(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】硬化塗膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241001BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241001BHJP
C08F 220/36 20060101ALI20241001BHJP
C08G 18/80 20060101ALI20241001BHJP
C08G 18/81 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G02B5/20 101
C08F220/36
C08G18/80
C08G18/81 008
(21)【出願番号】P 2023022986
(22)【出願日】2023-02-17
(62)【分割の表示】P 2019534001の分割
【原出願日】2018-07-06
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2017150502
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】永井 英理
(72)【発明者】
【氏名】木下 健宏
(72)【発明者】
【氏名】川口 恭章
(72)【発明者】
【氏名】柳 正義
(72)【発明者】
【氏名】倉本 拓樹
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-189584(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203905(WO,A1)
【文献】特開2016-084464(JP,A)
【文献】特開2015-174877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
C08F 220/36
C08G 18/80
C08G 18/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有有機溶剤(B)の存在下でブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートと不飽和カルボン酸と重合性不飽和結合及び水酸基を有するモノマーとを含有する単量体混合物を共重合反応させて共重合体(A)を合成し、次いで、反応性希釈剤(C)及び光重合開始剤(D)を配合する工程を含み、
前記ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル、メタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、マロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステル、安息香酸-4-[[[[2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル、安息香酸-2-[[[[2-[(2-メチル-1-オキシ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル及び2-プロペン酸-2-メチル-2-[[(3,5-ジメチルフェノキシ)カルボニル]アミン]エチルエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記水酸基含有有機溶剤(B)が、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、1,3-プロパンジオールモノアルキルエーテル、1,3-ブタンジオールモノアルキルエーテル、1,4-ブタンジオールモノアルキルエーテル、グリセリンモノアルキルエーテル及びグリセリンジアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上であ
る感光性樹脂組成物の製造方法
により得られる感光性樹脂組成物を基板に塗布し、露光し、アルカリ現像した後、160℃以下の温度でベーキングしてパターンを形成する工程を含むことを特徴とする硬化塗膜の製造方法。
【請求項2】
前記水酸基含有有機溶剤(B)が、プロピレングリコールモノアルキルエーテルである請求項1に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項3】
前記共重合体(A)が、前記ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を1~40モル%、前記不飽和カルボン酸由来の構成単位を1~60モル%及び前記重合性不飽和結合及び水酸基を有するモノマー由来の構成単位を0モル%超~50モル%含有する請求項1又は2に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項4】
前記共重合体(A)における前記ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位と前記不飽和カルボン酸由来の構成単位とのモル比率が、10:90~50:50である請求項1~3のいずれか一項に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項5】
前記不飽和カルボン酸が、(メタ)アクリル酸であり、前記重合性不飽和結合及び水酸基を有するモノマーが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1~4のいずれか一項に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項6】
前記感光性樹脂組成物が着色剤(E)をさらに含有し、
前記硬化塗膜がカラーフィルタ
ーである請求項1~5のいずれか一項に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項7】
前記共重合体(A)と前記反応性希釈剤(C)との合計量100質量部に対して、前記共重合体(A)が10~100質量部、前記水酸基含有有機溶剤(B)が30~1,000質量部、前記反応性希釈剤(C)が0質量部超~90質量部、前記光重合開始剤(D)が0.1~30質量部及び前記着色剤(E)が5~80質量部含有される請求項6に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【請求項8】
前記着色剤(E)が、顔料を含む請求項6又は7に記載の
硬化塗膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びその製造方法、カラーフィルター及びその製造方法、並びに画像表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源や省エネルギーの観点から、各種コーティング、印刷、塗料、接着剤などの分野において、紫外線や電子線などの活性エネルギー線により硬化可能な感光性樹脂組成物が広く使用されている。また、プリント配線基板などの電子材料の分野においても、活性エネルギー線により硬化可能な感光性樹脂組成物が、ソルダーレジストやカラーフィルター用レジストなどに使用されている。さらに、硬化可能な感光性樹脂組成物に対する要求特性は、益々多様かつ高度になってきているが、中でも、生産性を考慮した短時間硬化性、適用する部材の熱的ダメージを抑える低温硬化性が要求されている。
【0003】
カラーフィルターは、一般に、ガラス基板などの透明基板と、透明基板上に形成された赤(R)、緑(G)及び青(B)の画素と、画素の境界に形成されるブラックマトリックスと、画素及びブラックマトリックス上に形成される保護膜とから構成される。このような構成を有するカラーフィルターは、通常、透明基板上にブラックマトリックス、画素及び保護膜を順次形成することによって製造される。画素及びブラックマトリックス(以下、画素及びブラックマトリックスのことを「着色パターン」という。)の形成方法としては、様々な方法が提案されている。その中で、感光性樹脂組成物をレジストとして用い、塗布、露光、現像及びベーキングを繰り返すフォトリソグラフィ工法で作製される顔料/染料分散法は、耐久性に優れ、ピンホールなどの欠陥が少ない着色パターンを与えるため、現在の主流となっている。
【0004】
一般に、フォトリソグラフィ工法に用いられる感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、反応性希釈剤、光重合開始剤、着色剤及び溶剤を含有する。顔料/染料分散法では、上記の利点を有している反面、ブラックマトリックス、R、G、Bのパターンを繰り返し形成することから、高い耐熱性が求められ、高いベーキング温度に耐え得る着色剤として、使用できる着色剤の種類が限られるなどの制限があることが、しばしば問題となる。
【0005】
特許文献1は、アルカリ可溶性樹脂、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、感放射線性重合開始剤、着色剤及び3-アミノベンゼンスルホン酸エチル等の化合物を用いることで、低温硬化が可能で保存安定性を向上させた着色組成物を開示している。
【0006】
特許文献2は、塩基性物質によって又は塩基性物質の存在下での加熱によって最終生成物への反応が促進される高分子前駆体と、電磁波の照射及び加熱により塩基を発生する特定の塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物を用いることで低温硬化を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-68843号公報
【文献】特開2014-70148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年では、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイが普及している。このフレキシブルディスプレイの基板としては、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック基板が検討されている。この基板はベーキング時に伸張又は収縮する性質があり、ベーキング工程の低温化が必要とされている。しかし、特許文献1で達成されるレベルでは、上記の要求を満たすには不十分である。また、特許文献2では、低温硬化性を向上させた反面、保存安定性が低く、実用化は困難である。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現像性及び保存安定性が良好であると共に、低温で硬化させても耐溶剤性に優れた硬化塗膜を与える感光性樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、耐溶剤性に優れた着色パターンを有するカラーフィルター及びその製造方法並びに該カラーフィルターを具備する画像表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明は、以下の[1]~[15]で示される。
[1]ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)及び酸基を有する構成単位(b)を含有する共重合体(A)と、水酸基含有有機溶剤(B)と、反応性希釈剤(C)と、光重合開始剤(D)とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
[2]前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)が、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレート由来の構成単位であり、前記ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのブロックイソシアナト基の解離率が100℃で30分加熱した際、5~99質量%である[1]に記載の感光性樹脂組成物。
[3]前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)のブロック剤が、マロン酸ジエチル、3,5-ジメチルピラゾール及びメチルエチルケトオキシムからなる群から選択される1種以上である[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
[4]前記水酸基含有有機溶剤(B)が、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、1,3-プロパンジオールモノアルキルエーテル、1,3-ブタンジオールモノアルキルエーテル、1,4-ブタンジオールモノアルキルエーテル、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノール、乳酸エチル及びジアセトンアルコールからなる群から選択される1種以上である[1]~[3]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[5]前記酸基を有する構成単位(b)が、不飽和カルボン酸由来の構成単位である[1]~[4]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[6]前記共重合体(A)が、前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)を1~40モル%及び前記酸基を有する構成単位(b)を1~60モル%含有する[1]~[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[7]前記共重合体(A)における前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)と前記酸基を有する構成単位(b)とのモル比率が、10:90~50:50である[1]~[6]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[8]前記共重合体(A)が、メタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル、メタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロピリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチル、マロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステル、安息香酸-4-[[[[2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル、安息香酸-2-[[[[2-[(2-メチル-1-オキシ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステル、及び2-プロペン酸-2-メチル-2-[[(3,5-ジメチルフェノキシ)カルボニル]アミン]エチルエステルからなる群から選択される少なくとも1種由来の構成単位(a)と、(メタ)アクリル酸由来の構成単位(b)と、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1種由来の構成単位(c)とを含有する[1]~[7]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[9]着色剤(E)をさらに含有し、カラーフィルター用である[1]~[8]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
[10]前記共重合体(A)と前記反応性希釈剤(C)との合計量100質量部に対して、前記共重合体(A)が10~100質量部、前記水酸基含有有機溶剤(B)が30~1,000質量部、前記反応性希釈剤(C)が0質量部超~90質量部、前記光重合開始剤(D)が0.1~30質量部及び前記着色剤(E)が5~80質量部含有される[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11]前記着色剤(E)が、顔料を含む[9]又は[10]に記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
[12][9]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有することを特徴とするカラーフィルター。
【0012】
[13][12]に記載のカラーフィルターを具備することを特徴とする画像表示素子。
【0013】
[14][9]~[11]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を基板に塗布し、露光し、アルカリ現像した後、160℃以下の温度でベーキングして着色パターンを形成する工程を含むことを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
【0014】
[15]水酸基含有有機溶剤(B)の存在下でブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートと不飽和カルボン酸とを共重合反応させて共重合体(A)を合成し、次いで、反応性希釈剤(C)及び光重合開始剤(D)を配合する工程を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像性及び保存安定性が良好であると共に、低温で硬化させても耐溶剤性に優れた硬化塗膜を形成する感光性樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、耐溶剤性に優れた着色パターンを有するカラーフィルター及びその製造方法並びに該カラーフィルターを具備する画像表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)及び酸基を有する構成単位(b)を含有する共重合体(A)と、水酸基含有有機溶剤(B)と、反応性希釈剤(C)と、光重合開始剤(D)とを含有することを特徴とする。
【0017】
<共重合体(A)>
<ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)>
共重合体(A)が含有するブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)は、ブロックイソシアナト基含有モノマー由来の構成単位である。該モノマーとしては、エチレン性不飽和結合とブロックイソシアナト基とを有するモノマー等、例えば、分子中にビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等を有するイソシアネート化合物におけるイソシアナト基を、ブロック剤でブロック化した化合物が挙げられる。イソシアネート化合物とブロック剤との反応は、溶剤の存在の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアナト基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩、3級アミン等を触媒として用いてもよい。反応は、一般に-20~150℃で行うことができるが、0~100℃で行うことが好ましい。前記イソシアネート化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0018】
【0019】
上記式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を示し、R2は、-CO-、-COOR3-(ここで、R3は炭素原子数1~6のアルキレン基である)又は-COO-R4O-CONH-R5-(ここで、R4は炭素原子数2~6のアルキレン基であり、R5は置換基を有していてもよい炭素原子数2~12のアルキレン基又は炭素原子数6~12のアリーレン基である)を示す。R2は、好ましくは-COOR3-であり、ここで、R3は、好ましくは炭素原子数1~4のアルキレン基である。
【0020】
上記式(1)で表されるイソシアネート化合物としては、具体的には、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられる。また、2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとジイソシアネート化合物との等モル(1モル:1モル)反応生成物も使用できる。前記2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基としては、エチル基又はn-プロピル基が好ましく、エチル基がより好ましい。前記ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4-(又は2,6-)トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,5,5-トリメチル-3-イソシアナトメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、m-(又はp-)キシレンジイソシアネート、1,3-(又は1,4-)ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
これらのイソシアネート化合物の中でも、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1-メチルエチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナト-1,1-ジメチルエチル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びメタクリロイルイソシアネートが好ましく、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート及び2-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0022】
なお、本明細書において(メタ)アクリレートと表記したものは、アクリレート及びメタクリレートのいずれでもよいことを意味しており、また、(メタ)アクリル酸の表記はアクリル酸及びメタクリル酸のいずれでもよいことを意味している。
【0023】
前記イソシアネート化合物におけるイソシアナト基をブロック化するブロック剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェニルセロソルブ、フルフリルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール系;フェノール、クレゾール、2,6-キシレノール、3,5-キシレノール、エチルフェノール、o-イソプロピルフェノール、p-tert-ブチルフェノール等のブチルフェノール、p-tert-オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、2-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、チモール、p-ナフトール、p-ニトロフェノール、p-クロロフェノール等のフェノール系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、チオフェノール、tert-ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等の酸イミド系;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系;ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等のピラゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素系;N-フェニルカルバミン酸フェニル、2-オキサゾリドン等のカルバミド酸塩系:エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン系;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリウム等の重亜硫酸塩系などが挙げられる。これらのブロック剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
ブロック剤は反応性の高いイソシアナト基を保護しているが、加熱によりブロックイソシアナト基が解離してイソシアナト基が再生される。本発明では、そのイソシアナト基が共重合体(A)や反応性希釈剤(C)に含まれる反応性の官能基、すなわち、酸基や所望により含まれるヒドロキシ基、アミノ基などと反応して、架橋密度の高い硬化物を形成する。
【0025】
後述の感光性樹脂組成物の低温硬化性及び保存安定性の観点から、ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)を与えるモノマーとしては、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。100℃で30分加熱処理した場合の該ブロックイソシアナト基の解離率が好ましくは5~99質量%、より好ましくは8~97質量%、最も好ましくは10~95質量%となるブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なお、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのブロックイソシアナト基の解離率は、該ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの濃度が20質量%のn-オクタノール溶液を調製し、その溶液に1質量%相当のジブチルスズラウレート及び3質量%相当のフェノチアジン(重合防止剤)を加えた後、100℃で30分加熱した後の該ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの質量減少割合をHPLC分析により測定した値とする。解離率が上記範囲のブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを用いると、合成の際の共重合体の安定性を十分に確保することができ、硬化塗膜作製の際のベーキング温度を十分に下げることができ硬化塗膜の耐溶剤性も十分に確保できる。このような解離率を有するブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのブロック剤としては、γ-ブチロラクタム、1-メトキシ-2-プロパノール、2,6-ジメチルフェノール、ジイソプロピルアミン、メチルエチルケトオキシム、3,5-ジメチルピラゾール及びマロン酸ジエチルが挙げられる。これらのブロック剤の中でも、低温硬化性の観点から、マロン酸ジエチル、3,5-ジメチルピラゾール及びメチルエチルケトオキシムがより好ましい。
【0026】
また、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのブロックイソシアナト基の解離温度が80℃以上であるブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを用いることも好ましい。解離温度が80℃以上であるブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを用いると、合成の際の共重合体の安定性を十分に確保することができ、後述する変性反応の際に意図しない架橋反応を低減することができる。一方、ブロックイソシアナト基の解離温度が160℃以下であると、ベーキング温度を十分に下げることができ硬化塗膜の耐溶剤性も十分に確保できる。なお、ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートのブロックイソシアナト基の解離温度は、該ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの濃度が20質量%のn-オクタノール溶液を調製し、その溶液に1質量%相当のジブチルスズラウレート及び3質量%相当のフェノチアジン(重合防止剤)を加えた後、所定の温度で加熱して、30分後の該ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの質量減少割合をHPLC分析により測定し、その質量減少割合が80質量%以上となる温度をブロックイソシアナト基の解離温度とする。
【0027】
前記ブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの例としては、下記式(2)で示されるカレンズ(登録商標)MOI-DEM(メタクロイルオキシエチルイソシアネートとマロン酸ジエチルとの反応生成物、昭和電工株式会社製、ブロックイソシアナト基の解離温度:90℃、解離率:90質量%)、下記式(3)で示されるカレンズMOI-BP(メタクロイルオキシエチルイソシアネートと3,5-ジメチルピラゾールとの反応生成物、昭和電工株式会社製、ブロックイソシアナト基の解離温度:110℃、解離率:70質量%)、下記式(4)で示されるカレンズMOI-BM(メタクロイルオキシエチルイソシアネートとメチルエチルケトオキシムとの反応生成物、昭和電工株式会社製、ブロックイソシアナト基の解離温度:130℃、解離率:18質量%)のようなメタクリレート及びこれらに対応するアクリレートなどが挙げられる。これらのブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
共重合体(A)が含有するブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)の割合は、特に制限はないが、好ましくは1~40モル%、より好ましくは2~30モル%、最も好ましくは3~25モル%である。ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)の割合が1~40モル%であると、硬化塗膜の耐溶剤性が改善され、共重合体(A)の保存安定性も保持される。
【0032】
<酸基を有する構成単位(b)>
共重合体(A)が含有する酸基を有する構成単位(b)は、酸基含有モノマー由来の構成単位である(ただし、前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)に該当するものは除く)。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基等が挙げられ、これらの中でも、入手しやすさの面からカルボキシル基が好ましい。酸基を有する構成単位(b)を与えるモノマーとしては、重合性不飽和結合と酸基とを有するモノマー、例えば、不飽和カルボン酸又はその無水物、不飽和スルホン酸、不飽和ホスホン酸等が挙げられる。好ましいモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、α-ブロモ(メタ)アクリル酸、β-フリル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、プロピオール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、p-スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸;ビニルホスホン酸などの不飽和ホスホン酸;などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アルカリ現像性に優れること及び入手の容易性の観点から、不飽和カルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
【0033】
本発明では、酸基を有する構成単位(b)が共重合体(A)に含まれることにより、共重合体(A)を感光性材料として使用する際のアルカリ現像性が大きく改善される。
【0034】
共重合体(A)が含有する酸基を有する構成単位(b)の割合は、特に制限はないが、好ましくは1~60モル%、より好ましくは10~50モル%、最も好ましくは15~40モル%である。酸基を有する構成単位(b)の割合が1~60モル%であると、適当なアルカリ現像の速度となり、精緻なパターンの形成が可能となる。
【0035】
共重合体(A)において、ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)と酸基を有する構成単位(b)とのモル比率は、例えば、1:99~99:1であることができ、硬化塗膜の耐溶剤性と共重合体(A)の保存安定性の観点から、より好ましくは5:95~75:25、最も好ましくは10:90~50:50である。
【0036】
<その他の構成単位(c)>
本発明においては、共重合体(A)が含有する構成単位として、ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)及び酸基を有する構成単位(b)と共に、これらと共重合可能なその他の構成単位(c)が含有されてもよい(ただし、前記ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)及び前記酸基を有する構成単位(b)に該当するものは除く)。その他の構成単位(c)の具体例としては、エポキシ基を有する構成単位(c-1)、水酸基を有する構成単位(c-2)、(c-1)及び(c-2)以外の構成単位(c-3)などが挙げられる。共重合体(A)が含有するその他の構成単位(c)の割合は、特に制限はないが、好ましくは0~80モル%、より好ましくは0~70モル%、最も好ましくは0~60モル%である。
【0037】
エポキシ基を有する構成単位(c-1)を導入するのに用いるモノマーとしては、重合性不飽和結合とエポキシ基とを有するモノマー、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を含む(メタ)アクリル酸エステル誘導体;3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、3-(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルオキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの3,4-エポキシシクロヘキサン環等のエポキシ基含有脂環式炭素環を含む(メタ)アクリル酸エステル誘導体;エポキシ基を含むビニルエーテル化合物;エポキシ基を含むアリルエーテル化合物等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、オキシラニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2-グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート、3-グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0038】
エポキシ基を有する構成単位(c-1)が共重合体(A)に含まれることにより、共重合体(A)を感光性材料として使用する際の耐溶剤性が大きく改善される。
【0039】
エポキシ基を有する構成単位(c-1)を共重合体(A)に導入する場合、エポキシ基を有する構成単位(c-1)の割合は、特に制限はないが、好ましくは0モル%超~60モル%、より好ましくは0モル%超~50モル%、最も好ましくは0モル%超~40モル%である。
【0040】
水酸基を有する構成単位(c-2)を導入するのに用いるモノマーとしては、重合性不飽和結合と水酸基とを有するモノマー、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルーコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等の水酸基を含む(メタ)アクリル酸エステル誘導体が好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0041】
水酸基を有する構成単位(c-2)が共重合体(A)に含まれることにより、共重合体(A)を感光性材料として使用する際の耐溶剤性が大きく改善される。
【0042】
水酸基を有する構成単位(c-2)を共重合体(A)に導入する場合、水酸基を有する構成単位(c-2)の割合は、特に制限はないが、好ましくは0モル%超~50モル%、より好ましくは0モル%超~40モル%、最も好ましくは0モル%超~30モル%である。
【0043】
上記したエポキシ基を有する構成単位(c-1)及び水酸基を有する構成単位(c-2)以外の構成単位(c-3)を導入するのに用いるモノマーの具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、p-ニトロスチレン、p-シアノスチレン、p-アセチルアミノスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン)、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、ジシクロペンタジエン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-8-エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ-3-エン、トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ-3-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-9-エン、トリシクロ[6.2.1.01,8]ウンデカ-4-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.01,6]ドデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ-4-エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ-3-エンなどのノルボルネン構造を有する環状オレフィン;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソ-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリルレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソ-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリルレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ロジン(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、5-メチルノルボルニル(メタ)アクリレート、5-エチルノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-トイソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、1,1,1-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ-n-プロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロ-イソプロピル(メタ)アクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、トリフェニルメチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、4-フェノキシフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ナフタレン(メタ)アクリレート、アントラセン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジ-イソプロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N-ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、ビニルトルエンなどのビニル化合物;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド;などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、メチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
<共重合体(A)の製造方法>
共重合体(A)の製造に際して使用されるブロックイソシアナト基含有モノマー(a0)及び酸基含有モノマー(b0)の割合は、特に制限はないが、好ましくは、(a0)1~40モル%及び(b0)1~60モル%、より好ましくは、(a0)2~30モル%及び(b0)10~50モル%、最も好ましくは、(a0)3~25モル%及び(b0)15~40モル%である。共重合体(A)がその他の構成単位(c)をさらに含有する場合、共重合体(A)の製造に際して使用されるブロックイソシアナト基含有モノマー(a0)、酸基含有モノマー(b0)及びその他のモノマー(c0)の割合は、好ましくは、(a0)1~40モル%、(b0)1~60モル%及び(c0)0モル%超~80モル%、より好ましくは、(a0)2~30モル%、(b0)10~50モル%及び(c0)0モル%超~70モル%、最も好ましくは、(a0)3~25モル%、(b0)15~40モル%及び(c0)0モル%超~60モル%である。
【0045】
ブロックイソシアナト基含有モノマー(a0)、酸基含有モノマー(b0)及びその他のモノマー(c0)の共重合反応は、当該技術分野において公知のラジカル重合方法に従って重合溶剤の存在下又は不存在下で行うことができるが、異常な重合を防止し、重合反応を安定して行うことができるというという観点から、後述する水酸基含有有機溶剤(B)の存在下で行うことが好ましい。水酸基含有有機溶剤(B)の存在下で共重合反応を行うことで、ブロックイソシアナト基が解離してイソシアナト基が生じたとしてもイソシアナト基と水酸基含有有機溶剤(B)の水酸基とが反応して異常な重合が防止される。こうして得られる共重合体(A)では、イソシアナト基をブロックしていたブロック剤の一部が水酸基含有有機溶剤(B)で置換されていると考えられる。例えば、これらのモノマーを水酸基含有有機溶剤(B)に溶解した後、その溶液に重合開始剤を添加し、50~100℃で1~20時間にわたり重合反応を行えばよい。この際、ブロックイソシアナト基含有モノマー(a0)のブロックイソシアナト基が解離する温度で重合反応を行うと、ブロックイソシアナト基が解離して生じるイソシアナト基が酸基と反応してゲルが生じるので、ブロックイソシアナト基の解離温度を下回る温度、好ましくは、ブロックイソシアナト基の解離温度を20~50℃程度下回る温度で重合を行うことが好ましい。
【0046】
また、この共重合反応に用いることが可能な重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、過酸化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合開始剤の使用量は、モノマーの全仕込み量を100質量部とした場合に、一般に0.5~20質量部、好ましくは1.0~10質量部である。
【0047】
共重合体(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に制限されないが、上記した製造方法により、好ましくは1,000~50,000、より好ましくは3,000~40,000の重量平均分子量を有する共重合体(A)を得ることができる。共重合体(A)の重量平均分子量が1,000以上であると、感光性樹脂組成物として用いる際のアルカリ現像後に着色パターンの欠けが発生し難くなる。一方、共重合体(A)の重量平均分子量が50,000以下であると、現像時間が適切になり、実用性が確保される。
【0048】
また、共重合体(A)の酸価(JIS K6901 5.3)は、適宜選択できるが、感光性樹脂組成物に配合する場合には、好ましくは20~300KOHmg/g、より好ましくは30~200KOHmg/gの範囲である。共重合体(A)の酸価が20KOHmg/g以上であると、感光性樹脂組成物として用いる際のアルカリ現像性が良好となる。一方、共重合体(A)の酸価が300KOHmg/g以下であると、アルカリ現像液に対して露光部分(光硬化部分)が溶解し難いため、パターン形状が良好となる。
【0049】
本発明において、共重合体(A)は、分子中にブロックイソシアナト基を含んでいる。ブロックイソシアナト基の含有量は、適宜選択すればよいが、通常、ブロックイソシアナト基当量が400~6,000、好ましくは1,000~5,000となるような範囲で選択される。ブロックイソシアナト基当量は、重合体に含まれるブロックイソシアナト基1モル当たりの重合体の質量であり、重合体の質量を重合体に含まれるブロックイソシアナト基のモル数で除することにより求めることが可能である(g/mol)。本発明において、ブロックイソシアナト基当量は、ブロックイソシアナト基含有モノマーの仕込み量から計算した理論値である。
【0050】
<水酸基含有有機溶剤(B)>
水酸基含有有機溶剤(B)は、水酸基を含有する有機溶剤であればよく、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、1,3-プロパンジオールモノアルキルエーテル、1,3-ブタンジオールモノアルキルエーテル、1,4-ブタンジオールモノアルキルエーテル、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノール、乳酸エチル及びジアセトンアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、硬化塗膜作製時の製膜性及び入手の容易性の観点から、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、3-メトキシ-1-ブタノール及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。これらの水酸基含有有機溶剤(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
本発明では、ブロックイソシアナト基を有する構成単位(a)及び酸基を有する構成単位(b)を含有する共重合体(A)と水酸基含有有機溶剤(B)とを併用することで、感光性樹脂組成物の保存安定性が改善される。
【0052】
また、本発明の感光性樹脂組成物では、水酸基含有有機溶剤(B)以外の溶剤を併用してもよい。
【0053】
<反応性希釈剤(C)>
反応性希釈剤(C)は、分子内に重合性官能基として少なくとも一つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であり、中でも重合性官能基を複数有する化合物が好ましい。このような反応性希釈剤(C)を共重合体(A)と併用することにより、粘度を調整したり、形成される硬化物の強度や、基材に対する密着性を向上させることができる。
【0054】
反応性希釈剤(C)として用いられる単官能モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、α-メチルスチレン、α-クロロメチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸エステル類などが挙げられる。また、これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
反応性希釈剤(C)として用いられる多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート等と2-ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネートなどの芳香族ビニル化合物類;アジピン酸ジビニルなどのジカルボン酸エステル類;トリアリルシアヌレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
<光重合開始剤(D)>
光重合開始剤(D)としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテルなどのベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)アセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1などのアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンなどのアントラキノン類;キサントン、チオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4-(1-t-ブチルジオキシ-1-メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;アシルホスフィンオキサイド類;などが挙げられる。これらの光重合開始剤(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の成分に加えて、所定の特性を付与するために、公知のカップリング剤、レベリング剤、熱重合禁止剤などの公知の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
【0058】
<カラーフィルター用感光性樹脂組成物>
また、本発明の感光性樹脂組成物には、着色剤(E)をさらに含有させて、カラーフィルター用感光性樹脂組成物とすることができる。
【0059】
着色剤(E)は、水酸基含有有機溶剤(B)に溶解又は分散するものであれば特に限定されず、例えば、染料や顔料などが挙げられる。染料としては、水酸基含有有機溶剤(B)やアルカリ現像液に対する溶解性、感光性樹脂組成物中の他の成分との相互作用、耐熱性などの観点から、カルボン酸やスルホン酸などの酸性基を有する酸性染料、酸性染料の窒素化合物との塩、酸性染料のスルホンアミド体などを用いることが好ましい。
【0060】
このような染料の例としては、acid alizarin violet N;acid black1、2、24、48;acid blue1、7、9、25、29、40、45、62、70、74、80、83、90、92、112、113、120、129、147;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green1、3、5、25、27、50;acid orange6、7、8、10、12、50、51、52、56、63、74、95;acid red1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、34、35、37、42、44、50、51、52、57、69、73、80、87、88、91、92、94、97、103、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、158、176、183、198、211、215、216、217、249、252、257、260、266、274;acid violet 6B、7、9、17、19;acid yellow1、3、9、11、17、23、25、29、34、36、42、54、72、73、76、79、98、99、111、112、114、116; food yellow3及びこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、アゾ系、キサンテン系、アンスラキノン系もしくはフタロシアニン系の酸性染料が好ましい。これらの染料は、目的とする画素の色に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などの橙色顔料;C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59などの緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、25などの茶色顔料;C.I.ピグメントブラック1、7、カーボンブラック、チタンブラック、酸化鉄などの黒色顔料などが挙げられる。
【0062】
これらの着色剤(E)は、目的とする画素の色に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、目的とする画素の色に応じて、上記の染料及び顔料を組み合わせて用いることもできる。
【0063】
着色剤(E)として顔料を用いる場合、顔料の分散性を向上させる観点から、公知の分散剤を感光性樹脂組成物に配合してもよい。分散剤としては、経時の分散安定性に優れる高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤の例としては、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性エステル系分散剤などが挙げられる。このような高分子分散剤として、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成株式会社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)などの商品名で市販されているものを用いてもよい。分散剤の配合量は、使用する顔料などの種類に応じて適宜設定すればよい。
【0064】
カラーフィルター用感光性樹脂組成物における共重合体(A)、水酸基含有有機溶剤(B)、反応性希釈剤(C)、光重合開始剤(D)及び着色剤(E)の配合量は、カラーフィルター用感光性樹脂組成物中の共重合体(A)と反応性希釈剤(C)との合計量100質量部に対して、共重合体(A)が10~100質量部、水酸基含有有機溶剤(B)が30~1,000質量部、反応性希釈剤(C)が0質量部超~90質量部、光重合開始剤(D)が0.1~30質量部、着色剤(E)が5~80質量部であり、好ましくは、共重合体(A)が20~80質量部、水酸基含有有機溶剤(B)が50~800質量部、反応性希釈剤(C)が20~80質量部、光重合開始剤(D)が0.5~20質量部、着色剤(E)が5~70質量部であり、より好ましくは、共重合体(A)が30~75質量部、水酸基含有有機溶剤(B)が100~700質量部、反応性希釈剤(C)が25~70質量部、光重合開始剤(D)が1~15質量部、着色剤(E)が10~60質量部である。この範囲の配合量であれば、適切な粘度を有するカラーフィルター用感光性樹脂組成物となる。また、着色剤(E)を含まない感光性樹脂組成物の場合でも、共重合体(A)、水酸基含有有機溶剤(B)、反応性希釈剤(C)及び光重合開始剤(D)の配合量は、上記の数値範囲が適用可能である。
【0065】
<感光性樹脂組成物の製造>
本発明の感光性樹脂組成物は、公知の混合装置を用い、上記の成分を混合することによって製造することができる。また、水酸基含有有機溶剤(B)の存在下でブロックイソシアナト基含有(メタ)アクリレートと不飽和カルボン酸とを共重合反応させることにより、共重合体(A)及び水酸基含有有機溶剤(B)を含む組成物を調製した後、反応性希釈剤(C)、光重合開始剤(D)及び任意成分である着色剤(E)を混合して製造することも可能である。
【0066】
上記のようにして得られる感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性を有しているので、レジストとして好適なものである。感光性樹脂組成物の硬化は、ベーキング温度を250℃以下の範囲で適宜選択すればよいが、本発明で用いる共重合体(A)は低温での硬化性に優れているので、従来の材料に比較してベーキング温度を低くすることができる。感光性樹脂組成物において着色剤(E)として顔料を用いた場合、ベーキング温度は160℃以下においても十分な硬化性が得られる。本発明の感光性樹脂組成物は、ベーキング温度を低くしても架橋反応が十分に進行するため、エネルギー消費の面で有利である。また、耐熱性が劣る着色剤(E)や基板であっても使用することが可能になり、着色剤本来の特性が得られたり、様々な基板への応用も可能となる。そのような見地から、ベーキング温度は、160℃以下とすることが好ましく、より好ましくは150℃以下である。ベーキング温度の下限は、共重合体(A)に含まれるブロックイソシアナト基の種類によって必ずしも一様ではないが、該ブロックイソシアナト基の解離温度以上であることが必要であり、通常は80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上である。ベーキング温度が低くなり過ぎると、塗膜の耐溶剤性を十分に改善し難くなる。また、ベーキング時間は適宜選択できるが、通常は10分~4時間、好ましくは20分~2時間である。
【0067】
本発明の感光性樹脂組成物は、各種レジスト、特に、有機ELディスプレイ(ブラックPDL用)、液晶表示装置、CCDやCMOSなどの固体撮像素子などに組み込まれるカラーフィルターを製造するために用いられるレジストとして好適である。また、本発明の感光性樹脂組成物は、耐溶剤性、低温での硬化特性などに優れた硬化塗膜を与えるので、各種コーティング、接着剤、印刷インキ用バインダーなどに用いることもできる。
【0068】
本発明の感光性樹脂組成物は、現像性及び保存安定性が良好であると共に、パターン形成時のベーキング温度を低くしても耐溶剤性に優れた着色パターンを形成することができるので、カラーフィルター用の感光性材料として極めて有用である。また、本発明の感光性樹脂組成物は、低温硬化に伴いフレキシブルディスプレイの発展、製造工程におけるエネルギー消費の低減、そして、使用する着色剤の制限緩和についても貢献できる。
【0069】
<カラーフィルター>
次に、本発明のカラーフィルター用感光性樹脂組成物の硬化物からなる着色パターンを有するカラーフィルターについて説明する。本発明のカラーフィルターは、上記したカラーフィルター用感光性樹脂組成物を用いて形成される着色パターンを有する。カラーフィルターは、通常、基板と、その上に形成されるRGBの画素、それぞれの画素の境界に形成されるブラックマトリックス及び画素とブラックマトリックスの上に形成される保護膜とから構成される。この構成において、画素及びブラックマトリックス(着色パターン)が上記したカラーフィルター用感光性樹脂組成物を用いて形成されることを除けば、その他の構成は公知のものを採用することができる。
【0070】
次に、カラーフィルターの製造方法の一実施形態について説明する。まず、基板上に着色パターンを形成する。具体的には、基板上に、ブラックマトリックス及びRGBの画素を順次形成する。基板の材質は、特に限定されるものではなく、ガラス基板、シリコン基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、アルミニウム基板、プリント配線基板、アレイ基板などを適宜用いることができる。
【0071】
着色パターンは、フォトリソグラフィ法により形成することができる。具体的には、上記の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成した後、所定のパターンのフォトマスクを介して塗布膜を露光して露光部分を光硬化させる。そして、未露光部分をアルカリ水溶液で現像した後、ベーキングすることにより、所定の着色パターンを形成することができる。
【0072】
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されないが、スクリーン印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、スピンコート法などを用いることができる。また、感光性樹脂組成物の塗布後、必要に応じて、循環式オーブン、赤外線ヒーター、ホットプレートなどの加熱手段を用いて加熱することにより水酸基含有有機溶剤(B)を揮発させてもよい。加熱条件は、特に限定されず、使用する感光性樹脂組成物の種類に応じて適宜設定すればよい。一般には、50℃~120℃の温度で30秒~30分加熱すればよい。
【0073】
次いで、形成された塗膜にネガ型のマスクを介して紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射して部分的に露光する。照射するエネルギー線量は、感光性樹脂組成物の組成に応じて適宜選択すればよく、例えば、30~2000mJ/cm2であることが好ましい。露光に用いられる光源としては、特に限定されないが、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
【0074】
現像に用いられるアルカリ水溶液としては、特に限定されないが、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液;エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどのアミン系化合物の水溶液;テトラメチルアンモニウム、3-メチル-4-アミノ-N,N-ジエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-ヒドロキシエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メタンスルホンアミドエチルアニリン、3-メチル-4-アミノ-N-エチル-N-β-メトキシエチルアニリン及びこれらの硫酸塩、塩酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩などのp-フェニレンジアミン系化合物の水溶液などを用いることができる。なお、これらの水溶液には、必要に応じて消泡剤や界面活性剤を添加してもよい。また、上記のアルカリ水溶液による現像の後、水洗して乾燥させることが好ましい。
【0075】
ベーキングの条件は、特に限定されず、使用する感光性樹脂組成物の種類に応じて加熱処理を行えばよい。従来の感光性樹脂組成物では、ベーキング温度が200℃以下になると着色パターンの耐溶剤性が不足するが、本発明のカラーフィルター用感光性樹脂組成物では、120℃以下の温度でベーキングした場合であっても十分な耐溶剤性を示す着色パターンを形成することができる。そのため、ベーキング温度を低くすることができ、また、高温でベーキングする場合には処理時間を短縮することができ、製造上の大きな利点となる。このような見地から、ベーキング温度を、通常は210℃以下、好ましくは160℃以下、より好ましくは120℃以下とし、ベーキング時間を、通常は10分~4時間、好ましくは20分~2時間として行われる。
【0076】
上記のような塗布、露光、現像及びベーキングを、ブラックマトリックス用の感光性樹脂組成物、及び赤色、緑色、青色の画素用感光性樹脂組成物を用いて順次繰り返すことにより、所望の着色パターンを形成することができる。なお、上記では、光硬化による着色パターンの形成方法を説明したが、光重合開始剤(D)の代わりに、硬化促進剤及び公知のエポキシ樹脂を配合した感光性樹脂組成物を用いれば、インクジェット法により塗布した後、加熱することにより、所望の着色パターンを形成することもできる。次に、着色パターン(RGBの各画素及びブラックマトリックス)上に保護膜を形成する。保護膜としては、特に限定されず、公知のものを用いて形成すればよい。
【0077】
このようにして製造されるカラーフィルターは、感度や現像性に優れると共に、低温での硬化が可能で耐溶剤性に優れた着色パターンを与える感光性樹脂組成物を用いて製造しているため、色変化の少ない優れた着色パターンを有する。
【0078】
<画像表示素子>
本発明の画像表示素子は、上記のカラーフィルターを備えた画像表示素子であり、その具体例として、液晶表示素子、有機EL表示素子、CCD素子やCMOS素子などの固体撮像素子などが挙げられる。本発明の画像表示素子の製造は、上記のカラーフィルターを使用すること以外、常法に従って行えばよい。例えば、液晶表示素子を製造する場合には、基板上に、上記カラーフィルターを形成し、次いで、電極、スペーサー等を順次形成する。そして、もう一枚の基板上に電極等を形成し、両者を張り合わせて所定量の液晶を注入、封止すればよい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。なお、この実施例において、部及びパーセントとあるのは特に断らない限り、全て質量基準である。また、酸価及び重量平均分子量の測定法は以下のとおりである。
(1)酸価:JIS K6901 5.3に従って測定された共重合体(A)の酸価であって、該共重合体(A)1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を意味する。
(2)重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件にて測定した標準ポリスチレン換算重量平均分子量を意味する。
カラム:ショウデックス(登録商標) LF-804+LF-804(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
試料:共重合体の0.2%テトラヒドロフラン溶液
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:示差屈折計(ショウデックス RI-71S)(昭和電工株式会社製)
流速:1mL/min
【0080】
[合成例1]
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計及びガス導入管を備えたフラスコに、149.3gのプロピレングリコールモノメチルエーテルを入れた後、窒素置換しながら攪拌し、78℃に昇温した。次に、22.4gのジシクロペンタニルメタクリレート、17.2gのメタクリル酸及び50.2gのメタクリル酸2-(3,5-ジメチルピラゾール-1-イル)カルボニルアミノエチル(カレンズMOI-BP、昭和電工株式会社製、ブロックイソシアナト基の解離率:70質量%)からなる単量体混合物と、11.2gの2、2’-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)を62.8gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに添加し溶解させたものをそれぞれ滴下ロートからフラスコ中に滴下した。滴下終了後、78℃で3時間攪拌して共重合反応を行い、共重合体を生成させ、試料No.1の重合体組成物(溶剤以外の成分濃度35質量%)を得た。得られた重合体組成物中の共重合体の重量平均分子量は9,100であり、酸価は121.5KOHmg/gであった。
【0081】
[合成例2~9及び比較合成例1~2]
表1及び2に記載の原料を用いる以外は合成例1と同様の条件で共重合反応を行い、試料No.2~11の重合体組成物(溶剤以外の成分濃度35質量%)を得た。得られた重合体組成物中の共重合体の重量平均分子量及び酸価を表1及び2に示す。なお、表1及び2において、メタクリル酸2-[O-(1’-メチルプロプリデンアミノ)カルボキシアミノ]エチルは、昭和電工株式会社製、カレンズMOI-BM、ブロックイソシアナト基の解離率:18質量%)であり、マロン酸-2-[[[2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル]オキシ]エチル]アミノ]カルボニル]-1,3ジエチルエステルは、昭和電工株式会社製、カレンズMOI-DEM、ブロックイソシアナト基の解離率:90質量%であり、安息香酸-4-[[[[2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステルは、ブロックイソシアナト基の解離率:40質量%であり、安息香酸-2-[[[[2-[(2-メチル-1-オキシ-2-プロペン-1-イル)オキシ]エチル]アミン]カルボニル]オキシ]メチルエステルは、ブロックイソシアナト基の解離率:75質量%であり、2-プロペン酸-2-メチル-2-[[(3,5-ジメチルフェノキシ)カルボニル]アミン]エチルエステルは、ブロックイソシアナト基の解離率:28質量%である。
【0082】
【0083】
【0084】
[実施例1~9及び比較例1~2]
<感光性樹脂組成物(顔料タイプ)の調製>
直径0.5mmのジルコニアビーズ200gを充填したステンレス製容器に、C.Iピグメントグリーン36(着色剤)を100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを44.98質量部、分散剤(ビッグケミー・ジャパン株式会社製Disperbyk-161)を25質量部投入して、ペイントシェーカーで2時間混合して分散させることにより、緑色顔料分散液を調製した。
この緑色顔料分散液を、表3に示すその他の配合成分(即ち、重合体組成物、反応性希釈剤、光重合開始剤及び溶剤)と混合して感光性樹脂組成物を調製した。それぞれの成分の配合割合は、表3に示すとおりである。なお、実施例1~9の感光性樹脂組成物は、試料No.1~9の重合体組成物それぞれを用いて調製し、比較例1~2の感光性樹脂組成物は、試料No.10~11の重合体組成物それぞれを用いて調製した。また、重合体組成物の量は共重合体反応終了時に含まれる溶剤を含み、各試料に含まれる溶剤の量も、配合成分としての溶剤の中に合算されている。
【0085】
【0086】
<感光性樹脂組成物の評価>
(1)アルカリ現像性
実施例1~9及び比較例1~2の感光性樹脂組成物それぞれを、5cm角のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に、露光後の厚さが2.5μmとなるようにスピンコートした後、90℃で3分間加熱することで溶剤を揮発させた。次に、塗布膜から100μmの距離に所定のパターンのフォトマスクを配置し、このフォトマスクを介して塗布膜を露光(露光量150mJ/cm2)し、露光部分を光硬化させた。次に、0.1質量%の炭酸ナトリウムを含む水溶液を23℃の温度及び0.3MPaの圧力でスプレーすることによって未露光部分を溶解して現像した後、100℃で20分間ベーキングすることで所定のパターンを形成した。アルカリ現像後の残渣は、アルカリ現像後のパターンを、(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S-3400を用いて観察することにより確認した。この評価の基準は以下の通りである。
○:残渣なし
×:残渣あり
アルカリ現像性の評価結果を表4に示す。
【0087】
(2)耐溶剤性の評価
5cm角のガラス基板(無アルカリガラス基板)上に、実施例1~9及び比較例1~2の感光性樹脂組成物それぞれを、ベーキング後の厚さが2.5μmとなるようにスピンコートした後、90℃で3分間加熱して溶剤を揮発させた。次に、塗布膜に波長365nmの光を露光し、露光部分を光硬化させたのち、ベーキング温度100℃の乾燥器中に20分間放置して硬化塗膜を作製した。容量500mLの蓋付きガラス瓶に200mLのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを入れ、80℃の条件下に静置した。その中に上記の硬化塗膜付き試験片を浸漬した後、80℃に維持した状態で、5分静置した。試験片をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートへ浸漬させる前後の色変化(ΔE*ab)を分光光度計UV-1650PC(株式会社島津製作所製)にて測定した。ΔE*abの測定結果を表4に示す。ΔE*abが1.5以下であれば耐溶剤性に優れているといえる。
【0088】
(3)保存安定性の評価
合成例1~9及び比較合成例1~2の共重合体を、ガラス容器に等量ずつ計り取り、ほこりなどが入らないようにアルミニウム箔で口を閉じた。次に、これらのサンプルをそれぞれ23℃に保った恒温器の中に静置し、サンプルの1ヶ月後の重量平均分子量(Mw)を測定した。1ヶ月後のMwの変化率を表5に示す。1ヶ月後のMwの変化率が20%以内であれば、共重合体の保存安定性が優れているといえる。
【0089】
【0090】
【0091】
表4の結果から分かるように、試料No.1~9の重合体組成物を用いた実施例1~9の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性及び耐溶剤性が良好であった。更に、共重合体の保存安定性は、それを配合した感光性樹脂組成物の保存安定性と相関があるので、表5の結果から、試料No.1~9の重合体組成物を用いた実施例1~9の感光性樹脂組成物は保存安定性も良好であるといえる。これに対して、試料No.10~11の重合体組成物を用いた比較例1~2の感光性樹脂組成物は、保存安定性が良好であるものの、試料No.10の重合体組成物を用いた比較例1の感光性樹脂組成物は、耐溶剤性が十分でなく、また、試料No.11の重合体組成物を用いた比較例2の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像性及び耐溶剤性が十分でなかった。
【0092】
以上の結果から分かるように、本発明によれば、現像性が良好であると共に、耐溶剤性及び保存安定性に優れた感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0093】
なお、本国際出願は、2017年8月3日に出願した日本国特許出願第2017-150502号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本国際出願に援用する。