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特許7563594光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/02 20060101AFI20241001BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20241001BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
G01M11/02 J
G02B6/46
G02B6/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023525198
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 JP2021020754
(87)【国際公開番号】W WO2022254557
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】菊池 雅
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信
(72)【発明者】
【氏名】鉄谷 成且
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 裕明
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0007040(KR,A)
【文献】特開平08-210948(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159848(WO,A1)
【文献】特開2012-018134(JP,A)
【文献】特開平06-059139(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03643525(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00 - G01M 11/02
G02B 6/00
G02B 6/46
G01N 3/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンに光ファイバを3層巻き付けること、
3層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに対し、1層目及び2層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加えること、及び
2層目の前記光ファイバに対して光学測定を行うこと、
を特徴とする光ファイバ試験方法。
【請求項2】
前記光ファイバは1本であること、及び
前記光学測定では、前記光ファイバの前記2層目にあたる区間を測定すること
を特徴とする請求項1に記載の光ファイバ試験方法。
【請求項3】
前記光ファイバは、各層で異なる3本であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ試験方法。
【請求項4】
供給される光ファイバを巻き取るボビンと、
前記光ファイバを前記ボビンの軸方向の所望の位置に巻き付けるための位置決め部と、
前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに所望の張力を加える張力制御部と、
を備える光ファイバ巻き取り装置であって、
前記張力制御部は、
3層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに対し、1層目及び2層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加えることを特徴とする光ファイバ巻き取り装置
【請求項5】
前記光ファイバに加わる張力を測定し、測定した張力が前記所望の張力となるように前記張力制御部へフィードバックする張力測定部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ巻き取り装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、
前記光ファイバの外径をDとしたとき、
前記ボビンの軸方向に対する移動量Δを前記ボビンが一回転する毎にD≦Δ<2Dとすることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ファイバ巻き取り装置。
【請求項7】
2層目の前記光ファイバに対して光学測定を行う光学測定器をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ巻き取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバの光学特性を試験する光ファイバ試験方法及びその試験で使用する光ファイバ巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ心線を束ねて細径高密度化した光ファイバケーブルが提案されている(例えば特許文献1を参照。)。この光ファイバケーブルは、光ファイバ心線を高密度に束ねて、ケーブル化している。このような構造にすることで、細く軽くなることで取り扱い性が向上し、経済的な光ファイバ網の構築に寄与する。このような光ケーブルを実現する際には、ケーブル化によって光損失増加を生じないように光ファイバを設計することが必要である。
【0003】
一般的に光ファイバは、一定以上の側圧が加わるとマイクロベンド損失という光ファイバの微小な曲げに起因するとされる光損失増加を生じることが知られている。このような側圧によるマイクベンド損失特性を試験する方法がいくつか提案されている。当該試験方法のうち、図1(a)はワイヤメッシュ法、図1(b)はサンドペーパ法を説明する図である。
【0004】
図1(a)のワイヤメッシュ法では、円筒状のボビン10にあらかじめ巻き付けられたワイヤメッシュ20の上に測定対象の光ファイバ50を巻き付けて光損失測定を測定する手法である。なお、図1において、(X)はボビンの軸方向に垂直な面による断面(断面のうちボビンの表面の一部)を示す図であり、(Y)はボビンの軸を含む平面による断面(断面のうちボビンの表面の一部)を示す図である。
【0005】
図1(b)のサンドペーパ法では、円筒状のボビン10にあらかじめ巻き付けられたサンドペーパ30の上に測定対象の光ファイバ50を巻き付けて光損失測定を測定する手法である。
【0006】
いずれも、ワイヤメッシュ20やサンドペーパ30に光ファイバ50を押し付けて側圧と微小な曲げを与え、マイクロベンド損失特性を試験する方法である(例えば、非特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開公報WO/2010/001663
【非特許文献】
【0008】
【文献】“An Overview of Macrobending and Microbending of Optical Fibers”,インターネットURL https://www.corning.com/media/worldwide/coc/documents/Fiber/white-paper/WP1212.pdf、2021年5月14日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、非特許文献1の技術では、ワイヤメッシュのワイヤ径やメッシュの粗さあるいはサンドペーパの粒子の粗さや形状によって損失特性は大きく異なる。また、光ファイバに加わる側圧は、ワイヤメッシュの場合は、図1(a)のようにワイヤメッシュと光ファイバが交差するように接している面のみ作用し、光ケーブル内での光ファイバの状態とは条件が大きく異なる。
【0010】
サンドペーパでも同様に図1(b)に示すように光ファイバにサンドペーパの凹凸が不規則に光ファイバと接触している面のみ作用し、光ケーブル内での光ファイバの状態とは条件が大きく異なる。
【0011】
つまり、非特許文献1の技術では、光ケーブル内と同様の側圧や微小な曲げの状態を光ファイバの試験において適切に再現することが困難であり、同一の試験条件で光ファイバの相対的な特性を比較することしかできない。このため、非特許文献1の技術には、高密度な光ケーブルの損失を抑制するように光ファイバを設計することが困難という課題があった。
【0012】
そこで、本発明は、前記課題を解決するために、光ケーブル内と同様の側圧や微小な曲げの状態を光ファイバの試験において適切に再現することができる光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置は、高密度な光ケーブル内と同様に光ファイバ同士を接触させて側圧による微小な曲げを加える機能を持たせている。
【0014】
具体的には、本発明に係る光ファイバ試験方法は、
ボビンに光ファイバを3層巻き付けること、
3層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに対し、1層目及び2層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加えること、及び
2層目の前記光ファイバに対して光学測定を行うこと、
を特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る光ファイバ巻き取り装置は、供給される光ファイバを巻き取るボビンと、前記光ファイバを前記ボビンの軸方向の所望の位置に巻き付けるための位置決め部と、前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに所望の張力を加える張力制御部と、を備える。
本発明に係る光ファイバ巻き取り装置は、前記光ファイバに加わる張力を測定し、測定した張力が前記所望の張力となるように前記張力制御部へフィードバックする張力測定部をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ巻き取り装置の前記位置決め部は、前記光ファイバの外径をDとしたとき、前記ボビンの軸方向に対する移動量Δを前記ボビンが一回転する毎にD≦Δ<2Dとすることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ巻き取り装置の前記張力制御部は、3層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときに前記光ファイバに対し、1層目及び2層目の前記光ファイバを前記ボビンに巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバ巻き取り装置は、2層目の前記光ファイバに対して光学測定を行う光学測定器をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
本光ファイバ試験方法は、図1(c)のように、ボビン12に巻き付けた2層目の光ファイバ51-2を被試験対象とする。そして、2層目の光ファイバ51-2への側圧は3層目の光ファイバ51-3によって与える。当該側圧は、3層目の光ファイバ51-3をボビンに巻き付けるときの張力で調整をする。つまり、被試験対象の光ファイバに他の光ファイバから側圧を与えているので、光ケーブル内と同様の側圧や微小な曲げの状態を再現できる。
【0017】
従って、本発明は、光ケーブル内と同様の側圧や微小な曲げの状態を光ファイバの試験において適切に再現することができる光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置を提供することができる。
【0018】
本光ファイバ試験方法において、前記光ファイバは1本であること、及び前記光学測定では、前記光ファイバの前記2層目にあたる区間を測定することとしても、前記光ファイバは、各層で異なる3本であることとしてもよい。
【0019】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、光ケーブル内と同様の側圧や微小な曲げの状態を光ファイバの試験において適切に再現することができる光ファイバ試験方法及び光ファイバ巻き取り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】光ファイバに側圧や微小な曲げを与える手法を説明する図である。
図2】本発明に係る光ファイバ巻き取り装置の構造を説明する図である。
図3】本発明に係る光ファイバ巻き取り装置の構造を説明する図である。
図4】本発明に係る光ファイバ巻き取り装置の位置決め部を説明する図である。
図5】本発明に係る光ファイバ巻き取り装置で巻き取った光ファイバの状態を説明する図である。
図6】本発明に係る光ファイバ試験方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0023】
図2は、本実施形態の光ファイバ巻き取り装置の構成を説明する図である。本光ファイバ巻き取り装置は、
送り出し側ボビン11から供給される光ファイバ51を巻き取る巻き取り側ボビン12と、
光ファイバ51をボビン12の軸方向の所望の位置に巻き付けるための位置決め部13と、
光ファイバ51をボビン12に巻き付けるときに光ファイバ51に所望の張力を加える張力制御部14と、
を備える。
【0024】
送り出し側ボビン11には、あらかじめ光ファイバ51が巻き付けられている。ここで、光ファイバ50は試験対象となる光ファイバ、光ファイバ51は光ケーブル内と同様の環境を作り出すための光ファイバである。光ファイバ51は、送り出し側ボビン11から送出されて巻き取り側ボビン12へ巻き取られる。巻き取るための動力は、巻き取り側のボビン12の軸の部分にて与えられ、例えば電気モータを使用すればよい。
【0025】
送り出し側のボビン11の軸には光ファイバに張力を加えることができる機能が付与される。当該機能はブレーキや電気モータである。ボビン11の回転にブレーキをかけること、あるいは電気モータでボビン11の回転数をボビン12の回転数よりもわずかに遅くすることで光ファイバ51に張力を加えることができる。張力制御部14は、ブレーキの強弱、あるいは電気モータの回転数を制御することで光ファイバ51に与える張力を制御することができる。
【0026】
図3のように、本光ファイバ巻き取り装置は、光ファイバ51に加わる張力を測定し、測定した張力が前記所望の張力となるように張力制御部14へフィードバックする張力測定部15をさらに備えてもよい。
【0027】
張力測定部15は、例えば、図3に示すように3つのプーリ(151、152、153)及び測定器150を有し、光ファイバ51が3つのプーリを蛇行するように配置される。光ファイバ51に張力を加えると、光ファイバ51が直線になろうとする力によって、中央のプーリ152に押し上げるような力が加わる。この力を測定器150で測定することによって張力を測定することができる。さらに、張力測定部15がこの張力を張力制御部14にフィードバックすることで所望の張力を一定に保つことができる。
【0028】
図4は、位置決め部13の構造を説明する図である。位置決め部13は、巻き取り側のボビン12が一回転する毎に光ファイバ51をボビン12の軸方向に移動させることで、光ファイバ51がボビン12の一か所に偏らないように巻き付けることを可能とする。例えば、位置決め部13は、光ファイバ51の外径をDとしたとき、ボビン12の軸方向に対する移動量Δをボビン12が一回転する毎にD≦Δ<2Dとするとよい。
【0029】
光ファイバ51の外径をDとする。ボビン12が一回転する毎の、ボビン12の軸方向に対する位置決め部13の移動量をΔとする。移動量ΔをD≦Δとすることで、各層内において隣接する光ファイバ同士が接触しないようにすることができる。また、移動量ΔをΔ<2Dとすることで、上層の光ファイバが下層の光ファイバ間に入り込まないようにすることができる。
【0030】
図5は、光ファイバを巻き付けた状態のボビン12を説明する図である。図5(A)はボビン12の全体図、図5(B)はK部分の拡大断面図である。図5(B)は図1(c)の(Y)と同じ部分を説明している。
【0031】
まず、巻き取り側ボビン12に第1層目の光ファイバ51-1を巻き付ける。ここで、光ファイバ51-1を巻き付けるための張力は、光ファイバ51-1をボビン12に適切に巻き取る程度の張力を最小限与えればよい。例えば、当該張力を10~100gfとする。なお、光ファイバ51-1の上から2層目および3層目の光ファイバ(51-2、51-3)を巻き付ける際に、光ファイバ51-1の巻き崩れを防止するために、当該張力を10~100gfから高めることも可能である。
【0032】
次に、試験対象の光ファイバ51-2を巻き取り側のボビン12の第2層目に巻き付ける。光ファイバ51-2を巻き付けるための張力は、できるだけ小さいことが望ましい。光ファイバ51-2に与える側圧は3層目の光ファイバ51-3の張力によって制御するからである。したがって、光ファイバ51-2を巻き付ける際の張力は、光ファイバをボビン12に適切に巻き取る程度の最小限の張力とする。例えば、当該張力を10~100gfとする。
【0033】
ここでオプションとして、光ファイバ51-2を巻き付けたときの張力が適切か否かを確かめるため、2層目を巻き付ける前後で、光ファイバ51-2に対して所定の光測定を実施し、光ファイバ51-2の特性に変化が生じないことを確認してもよい。
【0034】
続いて、巻き取り側のボビン12に、第3層目の光ファイバ51-3を所望の張力で巻き付ける。当該張力で高密度な光ケーブル内と同様の側圧による微小な曲げを光ファイバ51-2に与える。具体的には、張力制御部14は、3層目の光ファイバ51-3をボビン12に巻き付けるときに光ファイバ51-3に対し、1層目及び2層目の光ファイバ(51-1、51-2)をボビン12に巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加える。
【0035】
本光ファイバ巻き取り装置は、2層目の光ファイバ51-2に対して光学測定を行う光学測定器(不図示)をさらに備える。光学測定器は、例えば、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)である。試験対象である光ファイバ51-2に光学測定器を接続し、所望の光学測定(例えば伝搬損失測定)を実施する。
【0036】
各層の光ファイバ51を同種類としておくことで、光ケーブル内で光ファイバに加わる側圧を再現することができる。このような方法によって光ケーブル内と同様の側圧を測定用の光ファイバ51-2に加えることができる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、各層の光ファイバ(51-1、51-2、51-3)が分離された3本の光ファイバであり、これらの光ファイバをボビン12に巻き付けることを説明した。他の実施形態として、各層の光ファイバ(51-1、51-2、51-3)が1本の光ファイバであってもよい。光ファイバの長さ方向に対しての分布測定が可能なOTDRなどの光学測定器で測定する場合、3層の光ファイバ(51-1、51-2、51-3)を連続する1本の光ファイバとしても良い(つまり、光学測定器で2層目の区間だけを測定する)。この実施形態の場合、光ファイバ51をボビン12に巻き付ける際に、光ファイバの切断や送り出し側ボビン11の交換が不要となり、光ファイバの試験を簡略化することができる。
【0038】
図6は、本実施形態の光ファイバ試験方法を説明する図である。本光ファイバ試験方法は、
ボビン12に光ファイバ51を3層巻き付けること(ステップS01)、
3層目の光ファイバ51-3をボビン12に巻き付けるときに光ファイバ51-3に対し、1層目及び2層目の光ファイバ(51-1、51-2)をボビン12に巻き付けるときの張力より強い所望の張力を加えること、及び
2層目の光ファイバ51-2に対して光学測定を行うこと(ステップS02)、
を特徴とする。
【0039】
本光ファイバ試験方法において、光ファイバ51が1本であること、及び前記光学測定では、光ファイバ51の2層目にあたる区間を測定することでもよいし、光ファイバ51が各層で異なる3本であってもよい。
【0040】
[付記]
以下は、本実施形態の光ファイバ試験方法を説明したものである。
【0041】
本実施形態は、光ファイバに側圧を与える光ファイバ試験方法であって、
試験装置として、
光ファイバを送り出すための送り出し側ボビンと、
光ファイバを巻き取るための巻き取り側ボビンと、
前記送り出し側ボビンを固定する送り出し部と、
前記巻き取り側ボビンを固定する巻き取り部と、
前記巻き取り部において光ファイバを巻き取るために、ボビンに回転を与える動力と、
前記送り出し部において光ファイバを送り出す際に、ボビンに与える回転をブレーキまたは回転数を変えて制御する制御機構と、
巻き取り側ボビンの軸方向に光ファイバを所望の位置に巻き付けるための位置決め部と、を具備し、
送り出し側ボビンにあらかじめ巻き付けられた光ファイバを、巻き取り側ボビンに巻き取る際に、前記制御機構によって、光ファイバに張力が加わった状態を維持しながら巻き取ることを特徴とした試験装置を用い、
第一に、巻き取り側ボビンに第1層目の光ファイバをあらかじめ巻き付けておき、
第二に、あらかじめ送り出し側ボビンに巻き付けられた試験対象の光ファイバを、前記巻き取り側のボビンの第2層目に巻き付け、
第三に、前記巻き取り側のボビンに、第3層目の光ファイバを張力が加わった状態で巻き付け、
第四に、試験対象の光ファイバに対して光学測定を実施することを特徴とする。
【0042】
前記試験装置は、光ファイバに加わる張力測定部と、測定した張力を前記制御機構へフィードバックするフィードバック部をさらに具備する。
【0043】
光ファイバの外径をDとしたとき、前記位置決め部は、ボビン軸方向に対する移動量Δがボビンが一回転する毎に、D≦Δ<2Dであることを特徴とする。
【0044】
本発明を用いることによって、高密度光ケーブル内の側圧と微小な曲げを再現し、光ケーブルの損失特性を適切にするために必要な光ファイバのマイクロベンド損失の特性を試験することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
11:送り出し側ボビン
12:巻き取り側ボビン
13:位置決め部
14:張力制御部
15:張力測定部
20:ワイヤメッシュ
30:サンドペーパ
51:光ファイバ
51-1:1層目の光ファイバ
51-2:2層目の光ファイバ
51-3:3層目の光ファイバ
150:測定器
151~153:プーリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6