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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】金属材の連結体及び金属材の連結方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/50 20060101AFI20241001BHJP
   B29C 65/42 20060101ALI20241001BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20241001BHJP
   B65H 21/00 20060101ALI20241001BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241001BHJP
   C09J 171/10 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B29C65/50
B29C65/42
B32B15/08 N
B65H21/00
C09J163/00
C09J171/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023541815
(86)(22)【出願日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 JP2023024871
(87)【国際公開番号】W WO2024024424
(87)【国際公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2022119867
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信行
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 勇人
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-298136(JP,A)
【文献】国際公開第2022/118826(WO,A1)
【文献】特開2020-070367(JP,A)
【文献】国際公開第2022/014503(WO,A1)
【文献】特開昭56-089520(JP,A)
【文献】国際公開第2018/124215(WO,A1)
【文献】特開2017-177465(JP,A)
【文献】特開2021-066805(JP,A)
【文献】特開平10-157896(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016212622(DE,A1)
【文献】特開昭48-021724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の金属材Aの断面Aと平板状の金属材Bの断面Bを突き合わせ、前記金属材Aの端縁部Aと前記金属材Bの端縁部Bの両方にまたがる領域である対向部の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムで被覆し、前記金属材Aと前記金属材Bを連結してなる金属材の連結体であって、
前記フィルムが、前記対向部での溶融及び固化を経たフィルムであり、
前記熱可塑性樹脂が、非晶性熱可塑性樹脂であり、
前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、
前記熱可塑性エポキシ樹脂は、(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体(但し、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルを除く)であり、
前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、
前記フィルムは、溶媒に溶解している樹脂組成物から前記溶媒を除去してフィルム化する工程を有して製造されたものである、
金属材の連結体。
【請求項2】
前記金属材A及び前記金属材Bが、厚さ1mm以下の金属板及び厚さ1mm以下の金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の金属材の連結体。
【請求項3】
前記金属材A及び前記金属材Bが帯状の形状であり、前記金属材A及び前記金属材Bを長手方向で連続するように突き合わせた、請求項1に記載の金属材の連結体。
【請求項4】
前記金属材A及び前記金属材Bが、金属板及び金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つをロール状に巻回したロール材である、請求項3に記載の金属材の連結体。
【請求項5】
前記金属材A及び前記金属材Bの表側の平面部と、前記金属材A及び前記金属材Bの裏側の平面部の両平面部で、前記被覆をしてなる、請求項1に記載の金属材の連結体。
【請求項6】
前記非晶性熱可塑性樹脂が、エポキシ当量が1,600以上である非晶性熱可塑性樹脂、又はエポキシ基を含まない非晶性熱可塑性樹脂である、請求項に記載の金属材の連結体。
【請求項7】
前記フィルムは、厚さ10μm~3mmである、請求項1に記載の金属材の連結体。
【請求項8】
前記フィルムが、前記対向部を被覆する面に、粘着物を有し、
前記粘着物は、前記フィルムの仮止め機能を奏し、かつ、接着機能は奏さない、請求項1に記載の金属材の連結体。
【請求項9】
平板状の金属材Aの断面Aと平板状の金属材Bの断面Bを突き合わせ、金属材Aの端縁部Aと金属材Bの端縁部Bの両方にまたがる領域である対向部の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムで被覆し、前記フィルムを溶融及び固化して前記金属材Aと前記金属材Bを連結する、金属材の連結方法であって
前記フィルムが、前記対向部での溶融及び固化を経たフィルムであり、
前記熱可塑性樹脂が、非晶性熱可塑性樹脂であり、
前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つであり、
前記熱可塑性エポキシ樹脂は、(a)2官能エポキシ樹脂モノマーもしくはオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、イソシアネート基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体(但し、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルを除く)であり、
前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、
前記フィルムは、溶媒に溶解している樹脂組成物から前記溶媒を除去してフィルム化する工程を有して製造されたものである、
金属材の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属材の断面と他の金属材の断面を突き合わせて連結してなる金属材の連結体及び金属材の断面と他の金属材の断面を突き合わせて連結する用途に好適な及び金属材の連結方法に関する。
本明細書において、「端縁部」とは、連結対象の金属材の端部近傍の表と裏の少なくとも一方の平面部をいう。
本明細書において、「対向部」とは、前記「端縁部」にまたがる領域であって、金属材の表側の平面部と裏側の平面部の両平面部の領域をいう。
本明細書において、「断面」とは切断面に限定されず、「金属材の断面と他の金属材の断面を突き合わせて」には、切断による切断面を有さない金属材の末端や始端を突き合わせる態様も含まれる。
本明細書において、「突き合わせ」とは、対向させることを意味し、全面を接触させて対向させる態様に限定されない。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれた金属板及び/又は金属箔(以下、ロール材)を搬送して連続処理を行うロール・トゥ・ロール製造装置では、連続稼働のために、ロール材の巻き分量が少なくなった際や、ロール材の途切れ箇所で、連続処理中の旧ロール材と新たなロール材を繋ぎ合わせる作業が必要となる。
帯状の金属材の始端を、他の帯状の金属材の末端と連結させる技術として、端部同士を突合せた突合せ部の裏側に裏当て材を配置させ、この突合せ部の表側からアーク溶接のトーチを走行させて突合せ部を溶接接合する接合方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、特許文献1の技術は、溶接接合による連結に関し、連結後は、破壊しないと解体ができない。このため、連結箇所のズレ等の失敗に対し、簡単には連結し直しの作業(以下、リペアともいう)ができないという問題がある。
【0004】
溶接以外の連結手段として、液状型接着剤によるによる連結、フィルム状の熱硬化型接着剤(以下、熱硬化性接着フィルムという)による連結、粘着テープによる連結、カシメによる連結等が考えられるが、それぞれ、下記の問題を有する。
【0005】
液状型接着剤による連結では、液状の熱硬化性樹脂組成物を塗布する塗布工程と、塗布後に前記樹脂組成物を重合反応させて硬化させる硬化工程が必要となる。塗布工程では樹脂組成物の塗布に時間がかかり、硬化工程では重合反応に時間がかかる。このように、液状型接着剤による連結では、連結に係るプロセス時間が長くなるため、利便性に欠けるという問題がある。また、液状熱硬化型接着剤の場合もリペアができないか、リペアが困難である。
【0006】
熱硬化性接着フィルムによる連結の場合、塗布工程は不要であり、プロセス時間は短縮できるが、連結後にリペアができない。
熱硬化性接着フィルムがBステージ状フィルムである場合、常温で重合反応が進みやすいため、貯蔵安定性が悪く、常温での長期保管ができない。すなわち、熱硬化性接着フィルムがBステージ状フィルムである場合、低温での保管が必要であり、低温保管庫が必要になるため、大量に長期保管がしにくく、利便性に欠ける。
【0007】
粘着テープによる連結では、粘着テープの粘着層を構成する樹脂組成物であるマトリックス樹脂や粘着付与剤等の粘着成分(以下、粘着物)が生産ラインの搬送路や金型に付着して、搬送路や金型を汚染する問題がある。また、アクシデントにより粘着テープが剥がれた場合、剥がれた粘着テープの粘着層が露出して、粘着物が搬送路や金型を汚染する懸念もある。
【0008】
カシメによる連結では、カシメをするために金属材同士を重ねるとともに、カシメによる突起が生じる。このため、連結部であるカシメ箇所で厚みが増すため、低背型の製造ラインへの適用が困難であるという問題がある。また、カシメのためにカシメ直径よりも大きく平坦な金属材のスペースが必要であり、複雑形状や狭ピッチの金属材では十分な連結強度が得られない問題がある。また、複数の薬液槽を通す場合に次の槽への薬液の持ち込みが多くなり、薬液の汚染が進み、薬液の寿命が短くなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-61511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、リペアが可能であって、プロセス時間が短く、粘着成分による生産ラインの汚染の心配がなく、かつ、連結部での厚み変化が少ない連結技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、以下の手段を提供する。
【0012】
<金属材の連結体>
[1] 平板状の金属材Aの断面Aと平板状の金属材Bの断面Bを突き合わせ、前記金属材Aの端縁部Aと前記金属材Bの端縁部Bの両方にまたがる領域である対向部の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムで被覆し、前記金属材Aと前記金属材Bを連結してなる金属材の連結体であって、前記フィルムが、前記対向部での溶融及び固化を経たフィルムである、金属材の連結体。
[2]
前記金属材A及び前記金属材Bが、厚さ1mm以下の金属板及び厚さ1mm以下の金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つである、[1]の金属材の連結体。
[3]
前記金属材A及び前記金属材Bが帯状の形状であり、前記金属材A及び前記金属材Bを長手方向で連続するように突き合わせた、[1]又は[2]の金属材の連結体。
[4]
前記金属材A及び前記金属材Bが、金属板及び金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つをロール状に巻回したロール材である、[1]~[3]の何れかに記載の金属材の連結体。
[5]
前記金属材A及び前記金属材Bの表側の平面部と、前記金属材A及び前記金属材Bの裏側の平面部の両平面部で、前記被覆をしてなる、[1]~[4]の何れかの金属材の連結体。
[6]
前記熱可塑性樹脂が、非晶性熱可塑性樹脂である、[1]~[5]の何れかの金属材の連結体。
[7]
前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の少なくとも一つである、[6]の金属材の連結体。
[8]
前記非晶性熱可塑性樹脂が、エポキシ当量が1,600以上である非晶性熱可塑性樹脂、又はエポキシ基を含まない非晶性熱可塑性樹脂である、[7]の金属材の連結体。
[9]
前記フィルムは、厚さ10μm~3mmである、[1]~[8]の何れかの金属材の連結体。
[10]
前記フィルムが、前記対向部を被覆する面に、粘着物を有し、
前記粘着物は、前記フィルムの仮止め機能を奏し、かつ、接着機能は奏さない、[1]~[9]の何れかの金属材の連結体。
【0013】
<金属材の連結方法>
[11]
平板状の金属材Aの断面Aと平板状の金属材Bの断面Bを突き合わせ、金属材Aの端縁部Aと金属材Bの端縁部Bの両方にまたがる領域である対向部の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムで被覆し、前記フィルムを溶融及び固化して前記金属材Aと前記金属材Bを連結する、金属材の連結方法。
[12]
前記金属材A及び前記金属材Bが、厚さ1mm以下の金属板及び厚さ1mm以下の金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つである、[11]の金属材の連結方法。
[13]
前記金属材A及び前記金属材Bが帯状の形状であり、前記金属材A及び前記金属材Bを長手方向で連続するように突き合わせた、[11]又は[12]の金属材の連結方法。
[14]
前記金属材A及び前記金属材Bが、金属板及び金属箔からなる群より選ばれる少なくとも一つをロール状に巻回したロール材である、[11]~[13]の何れかに記載の金属材の連結方法。
[15]
前記金属材A及び前記金属材Bの表側の平面部と、前記金属材A及び前記金属材Bの裏側の平面部の両平面部で、前記被覆をする、[11]~[14]の何れかの金属材の連結方法。
[16]
前記熱可塑性樹脂が、非晶性熱可塑性樹脂である、[11]~[15]の何れかの金属材の連結方法。
[17]
前記非晶性熱可塑性樹脂が、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つである、[16]の金属材の連結方法。
[18]
前記非晶性熱可塑性樹脂が、エポキシ当量が1,600以上である非晶性熱可塑性樹脂、又はエポキシ基を含まない非晶性熱可塑性樹脂である、[17]の金属材の連結方法。
[19]
前記フィルムは、厚さ10μm~3mmである、[11]~[18]の何れかの金属材の連結方法。
[20]
前記フィルムが、前記対向部を被覆する面に、粘着物を有し、
前記粘着物は、前記フィルムの仮止め機能を奏し、かつ、接着機能は奏さない、[11]~[19]の何れかの金属材の連結方法。
【発明の効果】
【0014】
プロセス時間が短く、リペアが可能であって、プロセス時間が短く、粘着成分による生産ラインの汚染の心配がなく、かつ、連結部での厚み変化が少ない連結技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における金属材の連結体の平面図であって、平板状の金属材A、平板状の金属材Bが共に帯状である場合にその幅方向の断面を突き合わせて接合された連結体の模式図である。
図2】本発明の一実施形態における金属材の連結体の正面図であるって、平板状の金属材A、平板状の金属材Bが共に帯状である場合にその幅方向の断面を突き合わせて接合された連結体の模式図である。
図3】本発明の他の実施形態における金属材の連結体の正面図であって、平板状の金属材A、平板状の金属材Bが共に帯状である場合にその幅方向の断面を突き合わせて接合された連結体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、連結とは、物と物とを繋いで一続きにすることを意味し、接合はその下位概念である。本明細書において接合とは、物と物とが接するように繋合わせることを意味し、接着及び溶着はその下位概念である。接着とは、テープや接着剤の様な有機材(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等)を介して、2つの被着材(接着しようとするもの)を接合状態とすることを意味する。溶着とは、熱可塑性樹脂等の表面を熱によって溶融し、冷却することにより、分子拡散による絡み合いを生じさせて接合状態とすることを意味する。
【0017】
[金属材の連結体]
本発明の金属材の連結体は、平板状の金属材A:1の断面A:5と平板状の金属材B:2の断面B:6を突き合わせ、前記金属材A:1の端縁部A:7と前記金属材B:2の端縁部B:8の両方にまたがる領域である対向部9の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルム3で被覆し、前記金属材Aと前記金属材Bを連結してなる金属材の連結体であって、前記フィルム3が、前記対向部9での溶融及び固化を経たフィルムである。
本明細書において、「主成分」とは、フィルム中の樹脂成分のうちで最も含有量の高い成分を意味する。フィルムは、樹脂成分を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。
【0018】
フィルム3を対向部9で溶融及び固化することで、前記フィルム3と金属材A:1の端縁部A:7が接合し、前記フィルム3と金属材B:2の端縁部B:8がそれぞれ接合することで、前記金属材Aと前記金属材Bが連結され、優れた連結強度を示す連結体が得られる。
対向部9で溶融したフィルム3が、金属材A:1の断面A:5と金属材B:2の断面B:6の隙間に入り込んで固化することにより、断面A:5と断面B:6の突き合わせ面4が接合した連結体は、更に優れた連結強度を示すが、本発明の連結体では、断面A:5と断面B:6の間に、隙間あってもよい。
連結強度は、前記フィルムと金属材との間に働く界面相互作用の強さの他に、フィルムの厚さ、フィルムを構成するポリマーの分子量や化学構造、力学的特性、粘弾性的特性など数多くの因子に影響を受けるため、本発明の連結体が優れた連結強度を示す機構の詳細は明らかではないが、フィルムと金属材A、及び、フィルムと金属材Bの界面で水素結合やファンデルワールス力などの化学結合や分子間力を形成することが主な要因であると推測される。しかしながら、前記連結体において、フィルムと金属材の界面の状態又は特性は、ナノメーターレベル以下のごく薄い界面の化学構造を分析して特定されるものであるため、それを厳密な数値範囲で特定することにより、区別すべく表現することは、現時点の技術において、不可能又は非実際的である。
【0019】
対向部9での溶融及び固化を経たフィルム3で連結された連結体と、粘着テープで連結された連結体とを、分析等で厳密に区別することは、現時点の技術において、上記のように困難であるが、実務上は、下記のように、フィルムの角部の丸みの有無、厚みのバラつきの有無、端縁部と接するフィルム面の表面性状で区別される。
溶融及び固化前のフィルムは、当該フィルムの製造過程で形成された鋭利な切断面を有するが、本発明の金属材の連結体を構成するフィルム3は、対向部9での溶融及び固化を経たフィルム3であるため、フィルムの製造過程で形成された鋭利な切断面は有さず、フィルムの角部は丸みを帯びていると推測される。
フィルムは、通常、均一な厚みとなるように製造されるため、溶融及び固化前のフィルムには厚みのバラつきが見られないが、本発明の金属材の連結体を構成するフィルム3は、対向部9での溶融及び固化を経たフィルム3であるため、前記溶融及び固化の過程で不可避的に生じる厚みのバラつきを有すると推測される。厚みばらつきを測定する方法としては、測定対象の面内の任意の複数点の厚みを測定して統計処理するなど、任意の適切な方法を採用し得る。このような厚みを測定する方法としては、例えば、マイクロメーター、マイクロノギス、ダイヤルゲージなどの物理的な接触を伴う方法;測定対象に対するα線、X線、赤外線、電磁波などの透過率や反射率を測定する非接触的方法;測定対象を任意の測定箇所で切断して光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する方法;などが挙げられ、これらの組み合わせを採用してもよい。
対向部9での溶融及び固化を経たフィルム3は、端縁部A:7と接するフィルム面には端縁部A:7の表面性状が転写され、端縁部B:8と接するフィルム面には、端縁部B:8の表面性状が転写されていると推測される。ここで、表面性状とは、金属材の機械加工等の過程で金属材の表面に作られた細かい凹凸を意味する。
【0020】
本発明の連結は、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムの相変化(固体~液体~固体)を利用したものであり、重合反応などの化学反応を伴わない連結である。重合反応が完了した状態で使用されるため、常温でも重合反応が進むことはなく、常温での長期保管をすることができる。前記フィルムは、熱で軟化・溶融させることができ、容易に剥離できるため、解体性に優れる。また、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムは熱可塑性の性質を備えるため、可逆的に軟化・溶融と固化を繰り返すことができ、リペア性にも優れる。熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムを用いた連結はフィルムの相変化(固体~液体~固体)を利用したものであり、化学結合の形成を伴う重合反応に比べて短時間で済み、プロセス時間が短いという利点がある。また、熱可塑性樹脂は常温では液体ではなく重合反応が完了した固体であり、粘着とは異なる機構で接着するため、接着目的のための粘着物の使用は不要であり、粘着物による生産ラインの汚染の心配がない。また、重合反応が完了しているため、耐熱性及び耐薬品性にも優れる。また、薄いフィルムを用いた連結であるため、カシメなどに比べて連結部での厚み変化も少ないという利点がある。
【0021】
図1図3は、平板状の金属材A:1、平板状の金属材B:2が共に帯状である場合にその幅方向の断面を突き合わせて接合された連結体の模式図である。
前記フィルムは、図2に示すように、前記対向部9であって、前記金属材A及び前記金属材Bの表側の平面部と、前記金属材A及び前記金属材Bの裏側の平面部のうち、少なくとも一方の平面部で、前記金属材A:1及び前記金属材B:2を被覆するものであることが好ましい。
図3に示すように、前記対向部9であって、前記金属材A及び前記金属材Bの表側の平面部と、前記金属材A及び前記金属材Bの裏側の平面部の両平面部で、前記金属材A:1及び前記金属材B:2を被覆するものであることが特に好ましい。
【0022】
<金属材>
前記金属材A及び前記金属材の形状は、平板状であれば特に限定されないが、本発明は、厚さ1mm以下の金属板又は厚さ1mm以下の金属箔の接続の用途に適し、前記金属材A及び前記金属材Bが、ともに帯状(長尺もの)であり、その長手方向で連続するように対向させた対向部を連結する用途に好適である。具体的には、金属箔がロール状に巻回されたロール材の接続の用途に好適であり、生産ライン内に送り込まれている先行のロール材の終端と、後行のロール材の始端との端部を連結する用途や、ロール内でロール材の切れ目がある場合の終端と始端を連結する用途に特に好適である。
本明細書において、金属箔とは、展延性に富む金属を薄紙状に延ばしたもの、を意味する。
【0023】
金属材Aと金属材Bの金属の種類も特に限定されないが、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム及びそれらの合金からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、前記フィルムとの界面接着力の強度の観点から、アルミニウム合金及び鉄合金からなる群より選ばれる少なくとも1つであると、強固な連結を実現することができるので、特に好ましい。
また、金属材A又は金属材Bの表面に金属めっき処理がなされていても良く、また樹脂による被覆があってもよい。
【0024】
金属材Aと金属材Bのうち、フィルムで被覆する対向部に、前処理をすることで、フィルムと金属材間で、高い接着力が得られることがある。前処理としては、金属材の表面を洗浄する処理又は表面に凹凸を付ける処理が好ましい。金属材がアルミニウム又は鉄からなる場合、脱脂処理、UVオゾン処理、ブラスト処理、研磨処理、プラズマ処理、及びエッチング処理からなる群より選ばれる少なくとも1つの前処理が好適である。
前処理は、1種のみであってもよく、2種以上を施してもよい。これらの前処理の具体的な方法としては、公知の方法を用いることができる。
【0025】
<フィルム>
本明細書において、フィルムとは、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂を薄い膜状にしたもの又は熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を薄い膜状にしたものを意味する。
【0026】
フィルムに熱可塑性樹脂の特性を十分に付与する点から、前記熱可塑性樹脂の含有量は、フィルム中の樹脂成分のうち、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、好ましくは80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。
【0027】
前記熱可塑性樹脂は、非晶性熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、本実施形態における非晶性熱可塑性樹脂とは、結晶が存在しないか、存在してもその含有量がごく少量、具体的には結晶の融解熱が15J/g以下である樹脂を意味する。
【0028】
前記融解熱は、DSC(示差走査熱量計)の吸熱ピークの面積と、熱可塑性樹脂成分の重量から算出する。無機充填剤等がフィルム中に含まれる場合には、無機充填剤は除いた、熱可塑性樹脂成分の重量から算出する。具体的には、試料を2-10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製DSC8231)を用いて23℃から10℃/minで200℃以上まで昇温してDSCカーブを得、次いでそのDSCカーブから求めた融解時の吸熱ピークの面積と、前記秤量値から算出することができる。
前記非晶性熱可塑性樹脂の融解熱は、11J/g以下であることがより好ましく、7J/g以下であることが更に好ましく、4J/g以下であることがより更に好ましく、融解ピークが検出限界以下であることが最も好ましい。
【0029】
融解熱が15J/g以下である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムでは、溶融させるための加熱時に、従来のホットメルト接着剤で見られるような急激な粘度低下は起こらず、200℃を超える高温度領域においても低粘度(0.001~100Pa・s)状態には至らない。このため当該フィルムは溶融して流れ出すことはなく、固化後の厚みも、所定範囲内に維持でき、高い連結力を安定して得ることができる。
【0030】
フィルムの主成分である非晶性熱可塑性樹脂が、少量の結晶を含有する場合、その融点は50~400℃であることが好ましく、60℃~350℃であることがより好ましく、70℃~300℃であることが更に好ましい。50~400℃の範囲に融点があることにより、前記フィルムが加熱により効率よく変形及び溶融し、前記フィルムと金属材A、前記フィルムと金属材Bのそれぞれの接合面に有効に濡れ広がるため高い連結力が得られる。
本明細書において、熱可塑性樹脂の融点とは、DSCで測定される融解ピーク温度を意味する。なお、融解ピークが得られない場合や、融解熱が15J/g以下である場合は、ガラス転移点に70℃を足した温度を融点とする。ガラス転移点は、DSCで200℃まで昇温後、40℃以下に冷却し、さらに200℃まで加熱した2サイクル目のDSCカーブの降下開始時の温度を意味する。
【0031】
前記非晶性熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、樹脂内の凝集力が低いため、金属材との相互作用が強く、従来の結晶性のホットメルト接着剤よりも高い連結力で金属材を連結することができる。また、熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は可撓性や強靭性に優れるため、高い強度の連結が得られる。
【0032】
前記非晶性熱可塑性樹脂は、エポキシ当量が1,600以上であるか、エポキシ基を含まないことが好ましい。
前記エポキシ当量(エポキシ基1モルが含まれる前記熱可塑性樹脂の重量)は、連結前のフィルムに含まれる熱可塑性樹脂のエポキシ当量の値であり、JIS-K7236:2001に規定された方法で測定された値(単位「g/eq.」)である。具体的には、電位差滴定装置を用い、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を用い、溶媒希釈品(樹脂ワニス)は、不揮発分から固形分換算値としての数値を算出した値である。なお、2種以上の樹脂の混合物の場合はそれぞれの含有量とエポキシ当量から算出することもできる。
前記非晶性熱可塑性樹脂のエポキシ当量は、2,000以上であることがより好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、9,000以上であることが更により好ましく、検出限界以上であってエポキシ基が実質的に検出されないことが最も好ましい。なお、エポキシ当量が検出限界以上とは、後述のJIS K 7236:2001に基づきエポキシ当量を測定した際に、エポキシ基が検出されないことを意味する。
【0033】
エポキシ当量が1,600以上である非晶性熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムを用いることにより、急激な粘度低下を更に効果的に抑制でき、より高い連結力を安定して得ることができる。
【0034】
《熱可塑性エポキシ樹脂》
熱可塑性エポキシ樹脂は、(a)2官能エポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーと(b)フェノール性水酸基、カルボキシ基、メルカプト基、イソシアナト基及びシアネートエステル基からなる群より選ばれる同一の又は異なる2つの官能基を有する2官能性化合物との重合体であることが好ましい。
かかる化合物を使用することにより、直鎖状のポリマーを形成する重合反応が優先的に進行して、所望の特性を具備する熱可塑性エポキシ樹脂を得ることが可能となる。
【0035】
前記(a)2官能エポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーとは、分子内にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂モノマー又はオリゴマーをいう。
前記(a)の具体例として、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2官能のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、2官能のナフタレン型エポキシ樹脂、2官能の脂環式エポキシ樹脂、2官能のグリシジルエステル型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ダイマー酸ジグリシジルエステルなど)、2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えばジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジンなど)、2官能の複素環式エポキシ樹脂、2官能のジアリールスルホン型エポキシ樹脂、ヒドロキノン型エポキシ樹脂(例えばヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテルなど)、2官能のアルキレングリシジルエーテル系化合物(例えばブタンジオールジグリシジルエーテル、ブテンジオールジグリシジルエーテル、ブチンジオールジグリシジルエーテルなど)、2官能のグリシジル基含有ヒダントイン化合物(例えば1,3-ジグリシジル-5,5-ジアルキルヒダントイン、1-グリシジル-3-(グリシドキシアルキル)-5,5-ジアルキルヒダントインなど)、2官能のグリシジル基含有シロキサン(例えば1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、α,β-ビス(3-グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサンなど)及びそれらの変性物などが挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂が、反応性及び作業性の点から好ましい。
前記(b)のフェノール水酸基を持つ2官能性化合物としては、例えばカテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのベンゼン環を1個有する一核体芳香族ジヒドロキシ化合物類、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)などのビスフェノール類、ジヒドロキシナフタレンなどの縮合環を有する化合物、ジアリ
ルレゾルシン、ジアリルビスフェノールA、トリアリルジヒドロキシビフェニルなどのアリル基を導入した2官能フェノール化合物、ジブチルビスフェノールAなどが挙げられる。
前記(b)のカルボキシ基含有化合物の具体例としては、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸などが挙げられる。
前記(b)のメルカプト基を持つ2官能性化合物としては、例えば、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネートなどが挙げられる。
前記(b)のイソシアナト基含有の2官能性化合物の具体例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、及びトリレンジイソシアネート(TDI)などが挙げられる。
前記(b)のシアネートエステル基含有の2官能性化合物の具体例としては、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、及びビス(4-シアナトフェニル)メタンなどが挙げられる。
前記(b)のなかでもフェノール水酸基を持つ2官能性化合物が熱可塑性の重合物を得る観点から好ましく、フェノール性水酸基を2つ持ち、ビスフェノール構造又はビフェニル構造を持つ2官能性化合物が耐熱性及び連結性の観点から好ましく、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSからなる群より選ばれる少なくとも一つが耐熱性及びコストの観点から好ましい。
【0036】
前記(a)がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂であり、前記(b)がビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSからなる群より選ばれる少なくとも一つである場合、前記(a)と(b)の重合により得られるポリマーは、パラフェニレン構造とエーテル結合を主骨格とし、それらをアルキレン基で連結した主鎖と、重付加により生成した水酸基が側鎖に配置された構造を有する。
パラフェニレン骨格からなる直鎖状の構造により、重合後のポリマーの機械的強度を高めることができるとともに、側鎖に配置された水酸基により、金属材への密着性を向上させることができる。この結果、熱硬化性樹脂の接着性を維持しながら、高い連結強度を実現することができる。さらに、熱可塑性樹脂である場合は、熱で軟化・溶融させることによってリサイクル及びリペアが可能となり、熱硬化性樹脂における問題点であるリサイクル性及びリペア性を改善することができる。
【0037】
《フェノキシ樹脂》
フェノキシ樹脂は、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルであり、熱可塑性を有する。フェノキシ樹脂の製造には、二価フェノール類とエピクロルヒドリンの直接反応による方法、二価フェノール類のジグリシジルエーテルと二価フェノール類の付加重合反応による方法が知られているが、本発明に用いられるフェノキシ樹脂はいずれの製法により得られるものであってもよい。二価フェノール類とエピクロルヒドリンの直接反応の場合は、二価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビフェニレンジオール、フルオレンジフェニル等のフェノール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の脂肪族グリコールが挙げられる。中でも、コストや連結性、粘度、耐熱性の観点から、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSが好ましい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂に類似の化学構造をもち、パラフェニレン構造とエーテル結合を主骨格とし、それらを連結した主鎖と、水酸基が側鎖に配置された構造を有する。
【0038】
《熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の物性》
前記熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定によるポリスチレン換算の値である重量平均分子量が10,000~500,000であることが好ましく、18,000~300,000であることがより好ましく、20,000~200,000であることが更に好ましい。重量平均分子量はGPCによって検出される溶出ピーク位置から算出され、それぞれ標準ポリスチレン換算での分子量の値である。重量平均分子量がこの値の範囲であると熱可塑性と耐熱性のバランスが良く、溶融によって効率よく連結体が得られ、その耐熱性も高くなる。重量平均分子量が10,000以上であると耐熱性に優れ、500,000以下であると溶融時の粘度が低く、連結性が高くなる。
【0039】
《フィルム中における樹脂成分以外の成分》
必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲で、フィルムは、樹脂成分以外の成分として、フィラーや添加剤を含有してもよく、含有しなくてもよい。
【0040】
フィラーとしては、無機フィラー及び有機フィラー(樹脂粉体)が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、球状溶融シリカ、鉄などの金属の金属粉、珪砂、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸性白土、珪藻土、カオリン、石英、酸化チタン、シリカ、フェノール樹脂マイクロバルーン、ガラスバルーン等が挙げられる。
フィルムがフィラーを含有する場合、フィルムの全量100体積%中におけるフィラーの含有量は、50体積%以下であることが好ましく、30体積%以下であることがより好ましく、20体積%以下であることが更に好ましく、10体積%以下であることが最も好ましい。なお、フィラーの体積は、フィルム中に含有されるフィラーの重量をフィラーの見掛けで除して求めることができる。
フィルムの全量100体積%中における樹脂成分の含有量は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは30体積%以上、より更に好ましくは50体積%以上、一態様では80体積%以上、別の態様では90体積%以上、別の態様では99体積%以上である。
【0041】
添加剤としては、例えば、消泡剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、顔料等を挙げることができ、これらは1種又は2種以上含有していてもよい。
フィルム中における添加剤の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
フィルム中における樹脂成分の含有量は、好ましく10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、一態様では80質量%以上、別の態様では90質量%以上、別の態様では99質量%以上である。
【0042】
《フィルムの形態及び物性》
フィルムは、厚さ10μm~3mmであることが好ましい。
フィルムの厚さは、短いプロセス時間で連結性に優れた連結体を得る観点から、1mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることが更に好ましく、0.3mm以下であることがより更に好ましく、0.2mm以下であることが特に好ましく、0.1mm以下であることが最も好ましい。
フィルムを厚さ10μm~3mmとすることで、加熱や加圧等によって効率よく、前記フィルムと金属材A、前記フィルムと金属材Bのそれぞれの接合面に広がることができ、高い連結力が得られる。
【0043】
フィルムは単層であってもよく複数層からなる積層体であってもよいが、製造容易性の観点及び連結力の向上の観点から熱可塑性樹脂の層は単層であることが好ましい。又は、融点が前記樹脂組成物より高い樹脂で構成されたフィルム基材に対して前記熱可塑性樹脂を積層させた複数層であってもよい。そうした場合、金属基材に対して加熱溶着した際に樹脂フィルム基材が溶融せずに樹脂フィルム基材の厚みが残るため、良好な連結力を保持することができる。
【0044】
また、フィルムは、連結力やその耐熱性を阻害しない範囲で、タック性があってもよい。
タック性の付与は熱可塑性樹脂にタッキファイヤーを混合しても良く、粘着物をフィルムに塗布してもよい。前記粘着物は、前記フィルムの仮止め機能を奏し、かつ、接着機能は奏さない、ことが好ましい。フィルムの仮止め機能を奏し、かつ、接着機能は奏さない粘着物とは、例えば、フィルムの面のうち、対向部9を被覆する面の面内に留まり、面外に露出していない粘着物である。
前記粘着物の塗布は、対向部9を被覆する面の全面に行ってもよいし、縞状・ドット状・格子状・タイル状(複数の四角が隙間を有して並んだ形状)など、対向部9を被覆する面の一部に行ってもよい。塗布面積が小さいほどタック性は小さくなるが、連結後に粘着物がフィルムの端面から外側には露出して汚染の要因となるリスクを低減できる。
【0045】
従来の粘着テープでは、粘着テープの粘着層の粘着性のみで金属材とフィルム間の接合力を担うが、前記熱可塑性フィルムの場合は、前記のような熱可塑性樹脂の溶融と固化による接着で接合力を担うため、タック性は、前記の仮止め機能を奏する程度のものが好ましい。すなわち、前記フィルムを金属材に載せた際に、前記フィルムが金属材に貼りつかなくてもよく、せん断方向の力を加えた際に抵抗が大きくなる(滑りにくくなる)程度でよい。
仮止め機能を奏する程度のタック性を付与する目的の場合、粘着物の塗布量は、フィルムの仮押さえ(滑り止め)ができる最低限度に抑えることが好ましい。
【0046】
従来の粘着テープで、片側のみに粘着層が存在する粘着テープでは、金属材の接合後に、粘着層は接合面の外側には概ね露出しないが、接合面の端部に粘着層がはみだしている箇所があった場合、粘着物が生産ラインの搬送路や金型に付着して、汚染が生じることがあった。
また、帯状の金属材は端面が必ずしも直線とは限らず、そのような場合には連結される2枚の金属材の端面間に隙間が生し、当該隙間部分に粘着テープを貼った場合、当該隙間部分から粘着層が露出し、粘着物が生産ラインの搬送路や金型に付着して、汚染が生じることがあった。
更に、片面粘着テープを介して基材に重ね合わせた場合、粘着部の露出は少なくなるが、完全に裏面と表面の両方を一致させることは困難である。また、突合せの場合は、端面の形状は不定形になることもあるのでその部分は、粘着層が露出し粘着物が生産ラインの搬送路や金型に付着して、汚染が生じることがあった。
熱可塑性樹脂の溶融と固化による接着で接合力を担う本発明によれば、接合用途での粘着物は基本的に不要であり、位置決め等の目的で粘着剤を用い場合も最小限度の使用で済むため、従来の粘着テープに関する上記の問題は何れも回避することができる。
【0047】
前記フィルムで連結された前記金属材Aと前記金属材Bとの連結体におけるフィルムの破断強度は、20~1000N/25mmであることが好ましい。連結体が表裏2枚のフィルムで連結されている場合は、フィルムが最初に破断したときの強度である。
【0048】
前記連結体におけるフィルムの破断強度は、50~1000N/25mmであることが更に好ましく、100~1000N/25mmであることが最も好ましい。
【0049】
前記金属材Aと前記金属材Bとを前記フィルムを用いて連結した際の破断強度は、実施例の項に記載の条件で測定された、フィルム幅25mm当たりの破断時の引張強さである。
【0050】
《フィルムの製造方法》
熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムの製造方法は特に限定されない。例えば、2官能エポキシ化合物のモノマー又はオリゴマーを加熱して重合させることで樹脂組成物を得、得られた樹脂組成物に必要に応じて溶媒を加え、離型フィルム等に塗布し、硬化・乾燥、必要に応じて加圧することによりフィルムを得てもよい。また、重合反応は離型フィルムに塗布後でも良く、フィルムが得られた後でも良く、また、それらを組み合わせてもよい。
【0051】
[金属材の連結方法]
本実施形態に係る連結体の製造方法は、平板状の金属材Aの断面Aと平板状の金属材Bの断面Bを突き合わせ、金属材Aの端縁部Aと金属材Bの端縁部Bの両方にまたがる領域である対向部の少なくとも一部を、熱可塑性樹脂を主成分とする層を含むフィルムで被覆し、前記フィルムを溶融及び固化して前記金属材Aと前記金属材Bを連結する工程を有する。前記フィルムを溶融及び固化することで、前記フィルムと金属材A、前記フィルムと金属材Bがそれぞれ接合し、前記金属材Aと前記金属材Bが連結される。
金属材、フィルムについては、前記の連結体を構成するものと同様であり、説明を省略する。
【0052】
<フィルムの溶融及び固化>
フィルムを溶融させる方法は、フィルムを加熱、溶融できる手段であれば特に限定されない。具体的には、接触加熱、温風加熱、熱プレス、インパルスヒーター加熱、熱板溶着、赤外線加熱、超音波溶着、振動溶着及び高周波誘導溶着からなる群より選ばれる少なくとも1種の方法による溶融が挙げられる。中でも、製造容易性及びプロセス短縮の観点から、インパルスヒーター又は熱プレスでの溶融が好ましい。
【0053】
熱プレスの場合、加熱及び加圧を、100~400℃及び0.001~20MPaGの条件で行うことがより好ましい。
前記加熱の条件は、100~300℃が更に好ましく、120~250℃がより更に好ましく、150℃~220℃が最も好ましい。100~400℃で加熱することにより、前記フィルムが効率よく変形、溶融し前記フィルムと金属材A、前記フィルムと金属材Bのそれぞれの接合面に有効に濡れ広がるため、高い連結力が得られる。
前記加圧の条件は、0.001~20MPaGが好ましく、0.005~10MPaGが更に好ましく、0.01~5MPaGが最も好ましい。0.001~20MPaGで加圧することにより、前記フィルムが効率よく変形し、有効に濡れ広がるため高い連結力が得られる。
前記フィルムを溶融及び固化することで、前記フィルムと金属材A、前記フィルムと金属材Bがそれぞれ接合し、前記金属材Aと前記金属材Bが連結される。
【0054】
超音波溶着の場合、発信周波数は、好ましくは10~70kHz、より好ましくは15~40kHzである。
超音波印可時間は、接着性と外観性の観点から、好ましくは0.1~3秒、より好ましくは0.2~2秒である。
超音波印可時に加圧する場合、加圧力は0.01~20MPaGが好ましく、0.1~10MPaGがより好ましく、0.2~5MPaGが更に好ましい。このような圧力範囲であると、前記フィルムが効率よく変形し接着面に有効に濡れ広がるため高い接着力が得られる。
高周波誘導溶着の場合、出力は、100~5000Wの範囲が挙げられ、発振時間は、樹脂基材の大きさや種類に応じて調整すればよく、例えば、好ましくは1.0~10.0秒であり、より好ましくは1.5~8.0秒である。
【0055】
溶融したフィルムを固化させる方法としては、常温で放冷する方法又は冷却装置を用いて放冷する方法が挙げられる。なお、「常温」とは、5~30℃の範囲内の一般的な室温を意味する。中でも、製造容易性の観点から、常温で放冷する方法が好ましい。
【0056】
本明細書において、固化とは、常温で固体、即ち23℃の加圧のない状態下において流動性が無いことを意味する。ただし、固化後のフィルムには、タック性があってもよい。
【実施例
【0057】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0058】
<金属材A及び金属材B>
金属材A及び金属材Bとして、幅25mm、長さ100mm、厚さ0.1mmのC1100(タフピッチ銅)を準備した。
【0059】
<熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の重量平均分子量、融解熱及びエポキシ当量>
熱可塑性エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂の重量平均分子量、融解熱及びエポキシ当量を、それぞれ以下のように求めた。
【0060】
(重量平均分子量)
熱可塑性エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、Prominence 501(昭和サイエンス株式会社製、Detector:Shodex(登録商標) RI-501(昭和電工株式会社製))を用い、以下の条件で測定した。
カラム:昭和電工株式会社製 LF-804×2本
カラム温度:40℃
試料:樹脂の0.4質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
較正法:標準ポリスチレンによる換算
【0061】
(融解熱)
熱可塑性エポキシ樹脂又はフェノキシ樹脂を2~10mg秤量し、アルミ製パンに入れ、DSC(株式会社リガク製DSC8231)で23℃から10℃/minで200℃まで昇温し、DSCカーブを得た。そのDSCカーブの融解時の吸熱ピークの面積と前記秤量値から融解熱を算出した。
【0062】
(エポキシ当量)
JIS K-7236:2001に準拠して測定し、樹脂固形分としての値に換算した。また、反応を伴わない単純混合物の場合はそれぞれのエポキシ当量と含有量から算出した。
【0063】
参考例1>
(フィルムP-1)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、jER(登録商標)1007(三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量約10,000)1.0当量(203g)、ビスフェノールS1.0当量(12.5g)、トリフェニルホスフィン2.4g、及びメチルエチルケトン1,000gを仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら100℃まで昇温した。目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分約20質量%の樹脂組成物を得た。これから溶剤を除去して、固体を得た。プレス機の上板及び下板に非粘着フッ素樹脂フィルム(ニトフロン(登録商標)No.900UL、日東電工株式会社製)を設置し、下板の非粘着フッ素樹脂フィルム上に前記固体を配置した後、前記プレス機を160℃に加熱し、前記樹脂組成物又はフェノキシ樹脂を2時間加熱圧縮して固形分100質量%の厚さ100μmのフィルム状の固形接合剤(P-1)を得た。重量平均分子量は約37,000であった。エポキシ当量は検出限界以上(すなわち、エポキシ基はほとんど存在しない)であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されず、非晶性であることが確認された。
(連結体)
金属材Aの断面Aと金属材Bの断面Bを突き合わせて、金属材Aの端縁部Aと金属材Bの端縁部Bの対向部を、表と裏のそれぞれで幅方向(25mm)に亘って、20×25mmの大きさに裁断した前記フィルムP-1で被覆し、200℃に設定したホットプレートの上に金属材を下にして載置した。前記対向部を被覆するフィルムP-1の上に、3×3cmのガラス板を置き、ガラス板の上に2kgの重りを載せて1分間溶着を行った。前記溶着後、一旦、前記ガラス板と重りを除いて前記フィルムP-1を室温まで冷却した。冷却後、再度、200℃に設定したホットプレートの上で、裏返して前記対向部を被覆するフィルムP-1の上に3×3cmのガラス板を置き、ガラス板の上に2kgの重りを載せて1分間溶着を行い、連結体を作製した。
【0064】
<実施例2>
(フィルムP-2)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、フェノトート(登録商標)YP-50S(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約50,000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を離型フィルム上に塗布し、120℃で30分乾燥させることで固形分100質量%、厚さ100μmのフィルムP-2を得た。エポキシ当量は検出限界以上(すなわち、エポキシ基はほとんど存在しない)であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されず、非晶性であることが確認された。
(連結体)
フィルムとしてP-2を用いること以外は参考例1と同様にして、連結体を作製した。
【0065】
<実施例3>
(フィルムP-3)
撹拌機、還流冷却器、ガス導入管、及び温度計を付した反応装置に、フェノトート(登録商標)YPS-007A(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、フェノキシ樹脂、重量平均分子量約42000)20g、シクロヘキサノン80gを仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温し、目視で溶解したことを確認し、40℃まで冷却して固形分20質量%の樹脂組成物を得た。前記樹脂組成物を離型フィルム上に塗布し、120℃で30分乾燥させることで固形分100質量%、厚さ100μmのフィルムP-3を得た。エポキシ当量は検出限界以上(すなわち、エポキシ基はほとんど存在しない)であった。DSCにおいて融解熱ピークは検出されず、非晶性であることが確認された。
(連結体)
フィルムとしてP-3を用いること以外は参考例1と同様にして、連結体を作製した。
【0066】
参考例4>
(連結体)
前記固形接合剤P-1の上部にPETフィルム(厚さ25μm)を重ねたこと以外は参考例1と同様にして連結体を作製した。
【0067】
<比較例1>
(連結体)
金属材Aの断面Aと金属材Bの断面Bを突き合わせて、金属材Aの端縁部Aと金属材Bの端縁部Bの対向部を、表と裏のそれぞれで幅方向(25mm)に亘って、20×25mmの大きさに裁断した粘着テープ(セキスイセロテープ(登録商標) No.252 積水化学工業株式会社製、連結体作成前の厚さ50μm)で被覆、密着させ、連結体を作製した。
【0068】
<比較例2>
(連結体)
フィルムとして結晶性のオレフィン系ホットメルト接着剤フィルム(エルファン(登録商標)NT-120 日本マタイ株式会社製、連結体作成前の厚さ80μm)を用いたこと、及びホットプレートの温度を150℃に設定した以外は参考例1と同様にして、連結体を作製した。DSCにおける融解熱ピークは60J/gであった。
【0069】
<比較例3>
(連結体)
粘着テープとして20×25mmの大きさに裁断した耐熱粘着テープ(ポリイミドテープ PB416-20-30 アズワン株式会社製)を用いた以外は比較例1と同様にして連結体を作製した。
【0070】
[破断強度測定_引張試験]
実施例1~4、比較例1~3で得られた連結体の引張り強さを測定した。測定条件は、島津製作所製万能試験機オートグラフAG-X Plusを用いて掴み具間距離13cm、引張り速度5mm/min.とした。測定結果(破断強度)を表1に示す。
測定は、「常温:23℃」、「80℃熱間」、「エチレングリコール浸漬」の各条件下で行った。表1中、「80℃熱間」条件下での測定値は、80℃雰囲気で測定を行った値である。表1中、「エチレングリコール浸漬」条件下での測定値は、40℃のエチレングリコール中に5日間浸漬後、取り出し、5秒間水に浸漬させエチレングリコールをふき取り後に外観撮影を行い、20~30分静置した後に常温で測定を行った値である。
【0071】
[ライン汚染性]
引張試験後に、粘着面が表面に露出しているかを観察した。粘着面が表面に露出するとラインを汚染する可能性があるため、粘着面の露出が有るものを「×」、粘着面の露出が無いものを「〇」と評価した。評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば、LEDリードフレームの生産ラインにおいてフレーム材を繋ぐ用途や、フレキシブルプリント基板の生産ラインにおいて基板材料を繋ぐ用途に好適であるが、特にこれら例示の用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0074】
1 金属材A
2 金属材B
3 フィルム(連結体を構成するフィルム)
4 突き合わせ面
5 断面A
6 断面B
7 端縁部A
8 端縁部B
9 対向部





図1
図2
図3