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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】載置台及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241001BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241001BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241001BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/68 R
H05H1/46 M
H02N13/00 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020121686
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2021090036
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019213643
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】輿水 地塩
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-009351(JP,A)
【文献】特開2019-114612(JP,A)
【文献】特開2010-186841(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0006155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/683
H05H 1/46
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置する基板載置面と、
前記基板載置面の周囲にてエッジリングを載置するエッジリング載置面と、
誘電体と、前記誘電体に挟み込まれた吸着電極とを有し、前記誘電体の上面を構成する前記エッジリング載置面に前記吸着電極により前記エッジリングを吸着するように構成された静電チャックと、
前記誘電体の少なくとも一部が前記エッジリング載置面において露出するように前記誘電体上に形成され、電圧を前記エッジリングに供給するように構成された前記吸着電極とは別の導電性の電極と、
を備える、載置台。
【請求項2】
前記電極は、導電性の膜である、
請求項1に記載の載置台。
【請求項3】
前記導電性の膜は、物理蒸着、化学蒸着、メッキ、塗布、ゾルゲル、スピンコート、溶射、印刷のいずれかにより形成される、
請求項2に記載の載置台。
【請求項4】
前記電極は、金、アルミニウム、タングステン、ニッケル、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、タンタル、チタン、ルテニウム、白金、モリブデン、スズ、インジウムまたはそれらのいずれかを含む合金で形成される、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項5】
基板を載置する基板載置面と、
前記基板載置面の周囲にてエッジリングを載置するエッジリング載置面と、
誘電体と、前記誘電体に挟み込まれた吸着電極とを有し、前記誘電体の上面を構成する前記エッジリング載置面に前記吸着電極により前記エッジリングを吸着するように構成された静電チャックと、
前記誘電体の少なくとも一部が露出するように形成され、電圧を前記エッジリングに供給するように構成された前記吸着電極とは別の導電性の電極と、
を備える載置台であって、
前記電極は、前記エッジリング載置面に複数の給電部を有し、前記複数の給電部のそれぞれに直流電圧、又は高周波電力を供給するように構成され、
前記載置台の側面に、前記複数の給電部と接続する第1配線を備え、前記第1配線を介して、前記複数の給電部に給電する、
載置台。
【請求項6】
前記直流電圧、又は高周波電力はパルス状に供給される、
請求項5に記載の載置台。
【請求項7】
前記複数の給電部は、前記エッジリング載置面に等間隔に設けられる、
請求項5に記載の載置台。
【請求項8】
前記複数の給電部は、前記エッジリング載置面に放射状に設けられる、
請求項5または請求項7に記載の載置台。
【請求項9】
前記複数の給電部は、前記エッジリング載置面にリング状に設けられる、
請求項5または請求項7に記載の載置台。
【請求項10】
前記第1配線に、前記第1配線の側面を押圧しながら給電する弾性部材を備える、
請求項に記載の載置台。
【請求項11】
記載置台の背面に、前記第1配線と接続する第2配線を備える、
請求項5、請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の載置台。
【請求項12】
前記第2配線に、前記第2配線の側面を押圧しながら給電する弾性部材を備える、
請求項11に記載の載置台。
【請求項13】
基板を載置する基板載置面と、前記基板載置面の周囲にてエッジリングを載置するエッジリング載置面とを有する静電チャックと、
前記静電チャックを支持する基台と、
前記エッジリング載置面に形成され、電圧を前記エッジリングに供給するように構成された導電性の電極と、
前記電極から前記基台の側面に沿って伸びる第1配線と、
前記第1配線に結合され、前記基台における前記エッジリング載置面側の面とは反対側の下面に沿って伸びる第2配線と、を有し、
前記第2配線に前記電圧を発生する電源が結合される、
載置台。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の載置台を備える基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、載置台及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、フォーカスリングが、静電チャック上に載置された基板を囲むように配置されるプラズマ処理装置が開示されている。フォーカスリング上でのシースの上端位置を調整するために、フォーカスリングに直流電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-258417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッジリングに安定して電圧を印加する技術を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、基板を載置する基板載置面と、前記基板載置面の周囲にてエッジリングを載置するエッジリング載置面と、誘電体と、前記誘電体に挟み込まれた吸着電極とを有し、前記誘電体の上面を構成する前記エッジリング載置面に前記吸着電極により前記エッジリングを吸着するように構成された静電チャックと、前記誘電体の少なくとも一部が前記エッジリング載置面において露出するように前記誘電体上に形成され、電圧を前記エッジリングに供給するように構成された前記吸着電極とは別の導電性の電極と、を備える、載置台が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッジリングに安定して電圧を印加する技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す断面図。
図2】本実施形態に係る基板処理装置の静電チャックの上面図。
図3】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電について説明する図。
図4】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図5】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図6】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図7】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図8】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図9】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
図10】本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングへの給電の変形例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
<基板処理装置の全体構成>
まず、図1を参照しながら基板処理装置1の全体構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す断面図である。なお、本実施形態では、基板処理装置1がRIE(Reactive Ion Etching)型の基板処理装置である例について説明する。ただし、基板処理装置1は、プラズマエッチング装置やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置等であってもよい。
【0010】
図1において、基板処理装置1は、金属製、例えば、アルミニウム製またはステンレス鋼製の接地された円筒型の処理容器2を有し、該処理容器2内に、基板Wを載置する円板状の載置台10が配設されている。載置台10は、基台11と、静電チャック25と、を備える。基台11は、下部電極として機能する。基台11は、例えばアルミニウムからなる。基台11は、絶縁性の筒状保持部材12を介して処理容器2の底から垂直上方に延びる筒状支持部13に支持されている。
【0011】
処理容器2の側壁と筒状支持部13の間には排気路14が形成され、排気路14の入口または途中に環状のバッフル板15が配設されると共に、底部に排気口16が設けられ、該排気口16に排気管17を介して排気装置18が接続されている。ここで、排気装置18は、ドライポンプ及び真空ポンプを有し、処理容器2内の処理空間を所定の真空度まで減圧する。また、排気管17は可変式バタフライバルブである自動圧力制御弁(automatic pressure control valve)(以下、「APC」という。)を有し、該APCは自動的に処理容器2内の圧力制御を行う。さらに、処理容器2の側壁には、基板Wの搬入出口19を開閉するゲートバルブ20が取り付けられている。
【0012】
基台11には、第1の整合器22aを介して第1の高周波電源21aが接続されている。また、基台11には、第2の整合器22bを介して第2の高周波電源21bが接続されている。第1の高周波電源21aは、所定周波数(例えば100MHz)のプラズマ発生用の高周波電力を基台11に供給する。第2の高周波電源21bは、第1の高周波電源21aよりも低い所定周波数(例えば、13MHz)のイオン引き込み用の高周波電力を基台11に供給する。
【0013】
処理容器2の天井部には、上部電極としても機能するシャワーヘッド24が配設されている。これにより、基台11とシャワーヘッド24の間に、第1の高周波電源21a及び第2の高周波電源21bからの2つの周波数の高周波電圧が印加される。
【0014】
基台11の上面には静電吸着力により基板Wを吸着する静電チャック25が設けられている。静電チャック25は、基板Wが載置される円板状の中心部25aと、中心部25aを囲むように形成された環状の外周部25bとを有する。中心部25aは、外周部25bに対して図中上方に突出している。中心部25aの上面は、基板Wを載置する基板載置面25a1である。外周部25bの上面はエッジリング30を載置するエッジリング載置面25b1である。エッジリング載置面25b1は、基板載置面25a1の周囲にてエッジリング30を載置するようになっている。エッジリング30は、フォーカスリングともいう。また、中心部25aは、導電膜からなる電極板26を一対の誘電膜の間に挟み込むことによって構成される。電極板26には、直流電源27が電気的に接続されている。外周部25bは、導電膜からなる電極板29を一対の誘電膜の間に挟み込むことによって構成される。電極板29には、直流電源28が電気的に接続されている。
【0015】
直流電源27および直流電源28は、供給する直流電圧のレベルおよび極性の変更が可能とされている。直流電源27は、後述する制御部43からの制御により、電極板26に直流電圧を印加する。直流電源28は、制御部43からの制御により、電極板29に直流電圧を印加する。静電チャック25は、直流電源27から電極板26に印加された電圧によりクーロン力等の静電力を発生させ、静電力により静電チャック25に基板Wを吸着保持する。また、静電チャック25は、直流電源28から電極板29に印加された電圧によりクーロン力等の静電力を発生させ、静電力により静電チャック25にエッジリング30を吸着保持する。
【0016】
なお、本実施形態の静電チャック25は、基板W用の静電チャックとエッジリング30用の静電チャックとが一体となっているが、基板W用の静電チャックとエッジリング30用の静電チャックとをそれぞれ別の静電チャックとしてもよい。すなわち、電極板26と電極板29とがそれぞれ独立した誘電膜に挟まれるようになっていてもよい。また、本実施形態の電極板29は、単極の電極になっているが、双極の電極としてもよい。なお、双極の場合、プラズマが生成されていないときでも、エッジリング30を吸着することができる。
【0017】
静電チャック25のエッジリング載置面25b1には、エッジリング30に電圧を供給する導電性の電極である給電部91が形成されている。図2は、本実施形態に係る基板処理装置1の静電チャック25の上面図である。給電部91は、エッジリング載置面25b1に、給電部91a、91b、91c・・・というように複数の給電部91が円周方向に等間隔で形成されている。また、給電部91は、放射状に設けられている。給電部91は、基板載置面25a1の外側に設けられている。なお、個別の給電部91a、91b、91c・・・を総称して給電部91と呼ぶ場合がある。なお、給電部91は、エッジリング載置面25b1にリング状に設けてもよい。また、給電部91に給電するために配線92と配線93を備える。また、配線92を保護するために保護層97を載置台10の側面に備える。給電部91は、配線92、配線93を介して、電源95に接続されている。なお、給電部91、配線92、配線93の詳細については、後述する。
【0018】
基台11の内部には、例えば、円周方向に延在する環状の冷媒室31が設けられている。冷媒室31には、チラーユニット32から配管33、34を介して所定温度の冷媒、例えば、冷却水が循環供給され、当該冷媒の温度によって静電チャック25上の基板Wの処理温度を制御する。なお、冷媒は、配管33、34に循環供給される温度調整用の媒体である。温度調整用の媒体は、基台11及び基板Wを冷却するだけでなく、加熱する場合もあり得る。
【0019】
また、静電チャック25には、ガス供給ライン36を介して伝熱ガス供給部35が接続されている。伝熱ガス供給部35は、ガス供給ライン36を用いて、静電チャック25の中心部25aと基板Wとで挟まれる空間に伝熱ガスを供給する。伝熱ガスとしては、熱伝導性を有するガス、例えば、Heガス等が好適に用いられる。
【0020】
天井部のシャワーヘッド24は、多数のガス通気孔37aを有する下面の電極板37と、該電極板37を着脱可能に支持する電極支持体38とを有する。電極支持体38の内部にはバッファ室39が設けられ、バッファ室39と連通するガス導入口38aには、ガス供給配管41を介して処理ガス供給部40が接続されている。
【0021】
基板処理装置1の各構成要素は、制御部43に接続されている。例えば、排気装置18、第1の高周波電源21a、第2の高周波電源21b、直流電源27、直流電源28、電源95、チラーユニット32、伝熱ガス供給部35および処理ガス供給部40は、制御部43に接続されている。制御部43は、基板処理装置1の各構成要素を制御する。
【0022】
制御部43は、図示しない中央処理装置(CPU)及びメモリといった記憶装置を備え、記憶装置に記憶されたプログラム及び処理レシピを読み出して実行することで、基板処理装置1において所望の処理を実行する。例えば、制御部43は、エッジリング30を静電吸着するための静電吸着処理を行う。
【0023】
基板処理装置1では、ドライエッチング処理の際、先ずゲートバルブ20を開状態にして加工対象の基板Wを処理容器2内に搬入し、静電チャック25の上に載置する。そして、基板処理装置1では、処理ガス供給部40より処理ガス(例えば、Cガス、Oガス及びArガスから成る混合ガス)を所定の流量および流量比で処理容器2内に導入し、排気装置18等により処理容器2内の圧力を所定値にする。
【0024】
さらに、基板処理装置1では、第1の高周波電源21a及び第2の高周波電源21bからそれぞれ周波数の異なる高周波電力を基台11に供給する。また、基板処理装置1では、直流電源27より直流電圧を静電チャック25の電極板26に印加して、基板Wを静電チャック25に吸着する。また、基板処理装置1では、直流電源28より直流電圧を静電チャック25の電極板29に印加して、エッジリング30を静電チャック25に吸着する。シャワーヘッド24より吐出された処理ガスはプラズマ化され、プラズマ中のラジカルやイオンによって基板Wにエッチング処理が施される。
【0025】
<給電部91への給電構造>
本実施形態の基板処理装置1について、エッジリング載置面25b1に形成された給電部91に給電する構造について説明する。
【0026】
図3は、本実施形態に係る基板処理装置のエッジリングの給電について説明する図である。具体的には、エッジリング30付近の拡大断面図である。
【0027】
静電チャック25の外周部25bのエッジリング載置面25b1には、導電性の電極である給電部91が形成されている。給電部91は、金属または合金等の導電体であればよく、例えば、金、アルミニウム、タングステン、ニッケル、ゲルマニウム、アンチモン、テルル、タンタル、チタン、ルテニウム、白金、モリブデン、スズ、インジウムまたはそれらのいずれかを含む合金により形成されている。給電部91は、例えば、物理蒸着法(PVD(Physical Vapor Deposition))、化学蒸着法(CVD(Chemical Vapor Deposition))などの気相成長法、また、メッキ、塗布、ゾルゲルやスピンコートなどの液相成長法、さらに溶射や印刷等により形成される。給電部91の厚さについては、静電チャック25で吸引されれば、どのような厚さでもよい。ただし、エッジリング30を冷却するために、エッジリング載置面25b1から、伝熱ガス(例えば、Heガス)を供給する場合には、電極の飛び出し高さ(電極の厚さ)は5μm以下にすることが望ましい。なお、エッジリング載置面25b1の一部を掘り下げて、底に電極を生成し、給電部91の電極面とエッジリング載置面25b1の面の高さを合わせてもよい。その場合は、電極を付けてから高さを揃える加工をするのが望ましい。給電部91は、エッジリング載置面25b1に形成され、電圧をエッジリング30に供給するように構成された導電性の電極の一例である。
【0028】
本実施形態の給電部91は、図2に示すように、エッジリング載置面25b1の円周方向に等間隔に設けている。これは、静電チャック25で、エッジリング30にエッジリング制御用のDC電圧やRFパワーを印加する為である。ただし、エッジリング30を静電チャック25で吸着しない場合は、エッジリング載置面25b1の全面に給電部91を形成してもよい。
【0029】
静電チャック25及び基台11の側面には、静電チャック25に用いられる誘電膜(例えば、セラミック)を介して、配線92が設けられている。当該誘電膜は、セラミックを溶射することにより形成している。配線92は、金属または合金等の導電体であれよく、例えば、金、アルミニウム、タングステン、ニッケル、ゲルマニウム、アンチモン、テルル,タンタル、チタン、ルテニウム、白金、モリブデン、スズ、インジウムまたはそれらのいずれかを含む合金等により形成されている。配線92は、例えば、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)などの気相成長法、また、メッキ、塗布、ゾルゲルやスピンコートなどの液相成長法、さらに溶射や印刷等により形成される。配線92は、給電部91と、基台11の下面の配線93との間を接続する。配線92は、給電部91と接続する第1配線の一例である。また、配線92は基台11や電極板29と絶縁しながら貫通構造を用いても良い。
【0030】
基台11の下面(背面)には、誘電膜(例えば、セラミック)を介して、配線93が設けられている。配線93は、金属または合金等の導電体であれよく、例えば、金、アルミニウム、タングステン、ニッケル、ゲルマニウム、アンチモン、テルル,タンタル、チタン、ルテニウム、白金、モリブデン、スズ、インジウムまたはそれらのいずれかを含む合金等により形成されている。なお、基台11の下面(背面)が大気中である場合は、配線93は、銅または銅合金でもよい。配線93は、例えば、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)などの気相成長法、また、メッキ、塗布、ゾルゲルやスピンコートなどの液相成長法、さらに溶射や印刷等により形成される。配線93は、電源95に接続される。電源95は、給電部91に直流電圧やRFパルスを供給する。直流電圧はパルス状に印加されてもよい。RFは連続的に供給されてもよい。また、任意波形の電力が供給されてもよい。RFは、第1の高周波電源21aから出力される高周波電力であってもよいし、第2の高周波電源21bから出力される高周波電力であってもよいし、その両方の高周波電力であってもよい。
【0031】
エッジリング30が消耗すると、シースの位置が変化する。電源95は、当該変化したシースの位置を調整するように、エッジリング30に給電する。配線93は、第1配線の一例である配線92と接続する第2配線の一例である。配線92と配線93は、プラズマ均一性確保のために、円柱とドーナツ状の円盤、またそうでない場合は 等配分配置されたリード線などで構成することが好ましい。なお、配線93への給電は、電源95からの給電に限らない。例えば、基台11や電極板26、29に給電される電流を可変インピーダンス素子により調整して、配線93に給電してもよい。
【0032】
配線92を保護するために保護層97を載置台10の側面に備える。保護層97は、例えば、セラミックで形成される。セラミックの場合は、セラミックを溶射することにより形成する。
【0033】
<作用・効果>
本実施形態の載置台10は、エッジリング30を載置するエッジリング載置面25b1に、給電部91を備える。それにより、エッジリング30に安定して電圧を印加することができる。さらに、載置台10の静電チャック25によりエッジリング30を吸着することにより、エッジリング30をエッジリング載置面25b1に保持できる。そのように、エッジリング30をエッジリング載置面25b1に保持し、エッジリング30で給電部91をエッジリング載置面25b1に押さえつけることにより、より安定してエッジリング30との接触状態を確保できるとともに、再現良く電圧を印加することができる。
【0034】
参考例として、例えば、エッジリング30の側面に押圧部材等で押圧しながら給電する場合を考える。エッジリング30に安定して給電するためには、エッジリング30を押圧部材で所定の荷重以上で押圧する必要がある。エッジリング30により押圧部材等で強い荷重で押圧すると、エッジリング30の位置がずれたり、エッジリング30が変形したりする場合があった。それに対して、本実施形態の載置台10では、エッジリング30をエッジリング載置面25b1に載置させることにより、給電できるようにしている。エッジリング30を載置する際の吸引力により、給電部91とエッジリング30との接触を十分取ることができる。これにより、エッジリング30に安定して給電することができる。また、エッジリング30をエッジリング載置面25b1に載置させて給電することより、上述のようなエッジリング30の変形やずれを防止することができる。また、エッジリング30は消耗するため交換する必要があるが、エッジリング30の静電吸着をオフにするだけでエッジリング30は簡単に取り外すことができる。このように、エッジリング30は簡単に取り外しすることができるため、交換作業、自動交換をシンプルに早く終えることができる。
【0035】
さらに、本実施形態の載置台10は、載置台10の下面に配線93を備える。例えば、筒状保持部材12の上面に電源95と接続された弾性部材を備えて、当該弾性部材と載置台10の下面に備える配線93とを接触させて給電するようにしてもよい。このようにすれば、載置台10を筒状保持部材12に載置することにより給電部91に給電することができる。このように、基板処理装置1を製造、設置する時の作業を簡略化することができる。
【0036】
<変形例1>
以下、給電部91への給電方法の変形例について説明する。なお、以下の変形例では、筒状保持部材12に設けられた端子100との接続について説明する。なお、端子100には、電源95が接続されて、電源が供給される。
【0037】
図4は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第1変形例について説明する図である。第1変形例では、端子100と配線92aの間がバネ性接触子101で接続している。配線92aは、静電チャック25の側面に設けられている。バネ性接触子101は、配線92aの側面を押圧しながら、配線92aに給電する。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。なお、バネ性接触子101は、第1配線の側面を押圧しながら給電する弾性部材の一例である。
【0038】
<変形例2>
図5は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第2変形例について説明する図である。第2変形例では、端子100と配線92bの間をマルチコンタクト102で接続している。配線92bは、静電チャック25と基台11の側面に設けられている。マルチコンタクト102は、配線92bの側面を押圧しながら、配線92bに給電する。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。なお、マルチコンタクト102は、第1配線の側面を押圧しながら給電する弾性部材の一例である。
【0039】
<変形例3>
図6は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第3変形例について説明する図である。第3変形例では、配線92cに端子103を設け、端子103と端子100との間を給電ピン110で接続している。配線92cは、静電チャック25の側面に設けられている。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。
【0040】
<変形例4>
図7は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第4変形例について説明する図である。第4変形例では、配線92dと端子100との間を給電ピン110で接続している。配線92dは、静電チャック25の側面に設けられている。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。
【0041】
<変形例5>
図8は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第5変形例について説明する図である。第5変形例では、配線92eに、凹部104が形成され、凹部104と端子100との間を給電ピン110で接続している。配線92eは、静電チャック25及び基台11の側面に設けられている。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。
【0042】
<変形例6>
図9は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第6変形例について説明する図である。第6変形例では、配線92fと端子100との間をリード線105で接続している。配線92fは、静電チャック25の側面に設けられている。配線92fとリード線105は、スポット溶接で接続されている。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。
【0043】
<変形例7>
図10は、本実施形態に係る基板処理装置1のエッジリング30への給電の第7変形例について説明する図である。第7変形例では、配線92gと端子100との間をリード線106で接続している。配線92gは、静電チャック25の側面に設けられている。リード線106は、配線92gの上から基台11に、絶縁ねじ107で取り付けられることにより接続される。このように、エッジリング30に安定して給電することができる。
【0044】
<その他の変形例>
今回開示された本実施形態に係る載置台、基板処理装置及びエッジリングは、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0045】
本開示の基板処理装置は、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、マイクロ波によるプラズマ生成する装置、例えば、Radial Line Slot Antenna(RLSA)により生成されたプラズマ、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、そしてHelicon Wave Plasma(HWP)などのどのタイプでも適用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 基板処理装置
10 載置台
11 基台
25 静電チャック
25a 中心部
25a1 基板載置面
25b 外周部
25b1 エッジリング載置面
91 給電部
92 配線
93 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10