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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】流量測定方法及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241001BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20241001BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241001BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
C23C16/52
C23C16/455
H05H1/46 L
H05H1/46 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020211855
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098355
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】李 威
(72)【発明者】
【氏名】阿部 純一
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-537628(JP,A)
【文献】特開2016-225018(JP,A)
【文献】特開2011-187507(JP,A)
【文献】特開2018-026494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/52
C23C 16/455
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを供給するガス供給配管と、
前記ガス供給配管から分岐する複数の分岐ガス配管と、
前記複数の分岐ガス配管に連通する金属窓と、
前記金属窓の底部に配置され、前記金属窓から前記ガスを通すガス吐出孔を有するシャワーヘッドと、
を有する基板処理装置において前記ガスの流量を測定する流量測定方法であって、
大気環境下において、複数の前記分岐ガス配管に連通する前記金属窓の供給口に流量計を配置し、前記流量計により前記金属窓の供給口に流れる前記ガスの流量を測定する工程を有する、流量測定方法。
【請求項2】
前記ガスの流量を測定する工程は、
前記流量計を前記金属窓の供給口の末端部に配置する、
請求項1に記載の流量測定方法。
【請求項3】
前記ガスの流量を測定する工程は、
予め分けられた前記金属窓の複数のエリアについて、同一エリア内の前記金属窓の供給口に同時に流れる前記ガスの流量の測定が可能である、
請求項1又は2に記載の流量測定方法。
【請求項4】
前記流量計は、前記金属窓の供給口から取り外しが可能である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の流量測定方法。
【請求項5】
前記ガスの流量を測定する工程は、
大気環境下で前記金属窓の供給口に流れる前記ガスの流量を測定する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の流量測定方法。
【請求項6】
ガスを供給するガス供給配管と、
前記ガス供給配管から分岐する複数の分岐ガス配管と、
前記複数の分岐ガス配管に連通する金属窓と、
前記金属窓の底部に配置され、前記金属窓から前記ガスを通すガス吐出孔を有するシャワーヘッドと、制御部と、を有し、
前記制御部は、
大気環境下において、前記複数の分岐ガス配管に連通する前記金属窓の供給口に配置された流量計により前記金属窓の供給口に流れる前記ガスの流量を測定する工程を制御する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流量測定方法及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、ガス吐出孔群をそれぞれ有するガス拡散室に連通した分岐配管部に流量制御器を設け、分岐配管の内部の圧力を測定することでシャワーヘッドの検査を行うことを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-29153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基板処理装置において、より高度な加工均一性を得るため、処理室内に供給する処理ガスの分布を制御することが重要になっている。よって、分岐ガス配管により分流され、処理室内に供給されるガスの流量を正しく測定することが製品不良を発生させないために望まれる。
【0005】
本開示は、分岐ガス配管により分流され、処理室内に流れる分岐後のガスの流量を精度良く測定する流量測定方法及び基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、ガスを供給するガス供給配管と、前記ガス供給配管から分岐する複数の分岐ガス配管と、前記複数の分岐ガス配管に連通する金属窓と、前記金属窓の底部に配置され、前記金属窓から前記ガスを通すガス吐出孔を有するシャワーヘッドと、を有する基板処理装置において前記ガスの流量を測定する流量測定方法であって、大気環境下において、複数の前記分岐ガス配管に連通する前記金属窓の供給口に流量計を配置し、前記流量計により前記金属窓の供給口に流れる前記ガスの流量を測定する工程を有する、流量測定方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、分岐ガス配管により分流され、処理室内に流れる分岐後のガスの流量を精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る基板処理装置の一例を示す断面模式図である。
図2】実施形態に係る金属窓の表面、拡散室及び流量計の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るガス系統の一例を模式的に示す図である。
図4図2のA-A断面を示す図である。
図5】実施形態に係る流量計によるセンターエリアの測定値と計算値との一例を示す図である。
図6】実施形態に係る各同一エリアの各パーツの測定値の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
[基板処理装置]
はじめに、図1及び図2を参照して、実施形態に係る基板処理装置100について説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置100の一例を示す断面模式図である。基板処理装置100は、実施形態に係る流量測定方法を実行可能な装置の一例である。
【0011】
基板処理装置100は、例えばプラズマ処理装置であり、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を生成する。基板処理装置100は、生成されたプラズマを用いて、矩形状の基板Gに対し、エッチングやアッシング、成膜等のプラズマ処理を施す。本実施形態において、基板Gは、例えばFPD(Flat Panel Display)用のガラス基板である。
【0012】
基板処理装置100は、処理容器20および制御装置(制御部)90を有する。処理容器20は、例えば、内壁面が陽極酸化処理されたアルミニウム等の導電性材料によって形成された直方体状の箱型の容器であり、その内部は基板Gを処理する処理室Sとなっている。処理容器20は接地されている。処理容器20は、上部の蓋11と、下部の本体15とが、複数のシャワーヘッド34を備える隔壁14により区画されている。複数のシャワーヘッド34は、基板Gに対向し、上部に複数の金属窓32A~32F(総称して、「金属窓32」ともいう。)を有する。本体15には、基板Gを搬出入するための搬出入口18が開設されており、搬出入口18はゲートバルブ24により開閉自在に構成されている。
【0013】
隔壁14とシャワーヘッド34との間、及び隣接するシャワーヘッド34の間には、絶縁部材37が配置され、シャワーヘッド34は、絶縁部材37により相互に電気的に絶縁されている。シャワーヘッド34の替わりに誘電体窓が形成されてもよい。
【0014】
処理容器20は、隔壁14により上下に分かれた上方空間であるアンテナ室Aと処理室Sに区画されている。隔壁14と本体15とで囲まれる空間が処理室Sとなる。蓋11と本体15とは、通常時は密閉しているが隔壁14の下面で分割可能であり、基板処理装置100の組み立て時には、蓋11側が例えば上方向に移動して本体15から離脱することで、本体15内(処理室S)が大気開放される。
【0015】
複数の金属窓32A~32Fのそれぞれの内部には、分岐ガス配管52が形成されている。各分岐ガス配管52は、処理容器20の外部から供給されるガスを各金属窓32に供給するための配管である。分岐ガス配管52は、金属窓32内の拡散室33に連通している。金属窓32内の拡散室33の底部はシャワーヘッド34によって形成されている。シャワーヘッド34には、ガス吐出孔36が形成されている。分岐ガス配管52から金属窓32に供給されたガスは、金属窓32内の拡散室33で拡散される。ガスは、拡散室33からシャワーヘッド34に形成されたガス吐出孔36へ流れて処理室Sへ供給される。金属窓32A~32Fに連通している分岐ガス配管52は、分岐ガス配管L1~L6に接続されている。分岐ガス配管52が金属窓32内に形成されている拡散室33と連通している部分を、金属窓32の供給口35という。分岐ガス配管L1~L6を総称して分岐ガス配管Lともいう。
【0016】
分岐ガス配管L1~L6は、分岐器65を介して処理ガス配管68に接続され、処理ガス配管68は、ガス供給部60に接続されている。ガス供給部60から処理ガス配管68に導入された処理ガスは、分岐器65により分流される。分流された処理ガスは、分岐ガス配管L1~L6を流れ、金属窓32A~32F内の拡散室33に連通する多数のガス吐出孔36から処理室Sにシャワー状に導入される。
【0017】
つまり、処理ガス配管68は、処理容器20の外部から処理容器20の内部の複数の金属窓32A~32Fまで連通している。ガス供給部60は、処理ガス供給源64およびバルブ62を有する。処理ガス配管68は、バルブ62を介して、処理ガス供給源64に接続されている。バルブ62は、開閉により処理ガスの供給及び供給停止を制御する。
【0018】
処理ガス配管68は、分岐器65に接続され、分岐器65で複数の分岐ガス配管L1~L6に分岐する。分岐した各分岐ガス配管L1~L6は、複数の金属窓32A~32Fに設けられた各分岐ガス配管52に接続され、各分岐ガス配管52は、隔壁14の異なる領域に位置する金属窓32A~32Fにそれぞれ接続されている。分岐した各ガス配管L1~L6は、フローレシオコントローラ(FRC:Flow Ratio Controller)63A~63Fを有する。フローレシオコントローラ63A~63Fは、処理ガス供給源64内のMFC(Mass Flow Controller)等の流量制御器で決定された流量を所定の比率に分配する。フローレシオコントローラ63A~63F及び分岐器65により処理ガスのガス流量及びガス配分を調節することによって処理室S内に供給する処理ガスの分布を制御することができる。
【0019】
加えて、ガス供給部60は、不活性ガス供給源67、外部ガス配管66、不活性ガス分岐配管61A~61Fおよびバルブ69A~69Fを有する。外部ガス配管66は、不活性ガス供給源67に接続されている。不活性ガス分岐配管61A~61Fは、外部ガス配管66から分岐している。分岐した各不活性ガス分岐配管61A~61Fは、各分岐ガス配管L1~L6に接続されている。フローレシオコントローラ63A~63Fと分岐ガス配管52の間に、不活性ガス分岐配管61A~61Fと分岐ガス配管L1~L6は接続されている。バルブ69A~69Fは、不活性ガス分岐配管61A~61Fに設けられている。バルブ69A~69Fは、開閉により不活性ガスの供給及び供給停止を制御する。
【0020】
外部ガス配管66は不活性ガス分岐配管61A~61Fと連結して、分岐ガス配管L1~L6に分岐する。不活性ガス供給源67内のMFC(Mass Flow Controller)等の流量制御器で所定のガス流量を分岐ガス配管L1~L6に供給する。
【0021】
例えば、本実施形態に係る流量測定方法は、基板処理装置100の組み立て時に、蓋11を開いて本体15内(処理室S)を大気開放した状態で、バルブ62を閉じ、処理ガスの供給を停止する。そして、バルブ69A~69Fを開いて不活性ガス供給源67からアルゴン(Ar)ガスやヘリウム(He)ガスなどの不活性ガスを金属窓32に供給する。なお、基板処理時には、蓋11を閉じて本体15内(処理室S)を所定の減圧状態に維持し、バルブ69A~69Fを閉じて不活性ガスの供給を停止し、バルブ62を開いて処理ガスを処理室Sに供給する。
【0022】
本実施形態に係る流量測定方法は、基板処理装置100の組み立て時に、外部ガス配管66から不活性ガスを供給する替わりに、ドライエアーを供給してもよい。
【0023】
本体15には複数の排気口19が開設されており、排気口19にはガス排気管25が接続され、ガス排気管25は開閉弁26を介して排気装置27に接続されている。ガス排気管25、開閉弁26及び排気装置27により、ガス排気部28が形成される。排気装置27はターボ分子ポンプ等の真空ポンプを有し、プロセス中に本体15内を所定の真空度まで自在に真空引き出来るように構成されている。
【0024】
金属窓32の上方空間であるアンテナ室Aには、金属窓32に離間して高周波アンテナ51が配設されている。高周波アンテナ51はプラズマの生成に寄与し、銅等の導電性の金属から形成されるアンテナ線を、環状もしくは渦巻き状に巻装することにより形成される。例えば、環状のアンテナ線を多重に配設してもよい。高周波アンテナ51は、インピーダンス整合を行う整合器55を介して高周波電源56に接続されている。
【0025】
高周波アンテナ51に対して高周波電源56から例えば13.56MHzの高周波電力が印加されることにより、金属窓32を介して処理室S内に誘導電界が形成される。この誘導電界により、シャワーヘッド34から処理室Sに供給された処理ガスがプラズマ化されて誘導結合プラズマが生成され、プラズマ中のイオンが基板Gに提供される。
【0026】
隔壁14と本体15とで囲まれる処理室Sの内部には、基板支持部70が設けられている。基板支持部70は、基板Gを支持する。基板支持部70は、インピーダンス整合を行う整合器82を介してバイアス源である高周波電源83に接続されている。高周波電源83から基板支持部70に対して例えば3.2MHzの高周波電力が印加されることにより、RFバイアスを発生させ、高周波電源56にて生成されたイオンを基板Gに引き付けることができる。
【0027】
高周波電源56はプラズマ発生用のソース源であり、基板支持部70に接続されている高周波電源83は、発生したイオンを引き付けて運動エネルギを付与するバイアス源となる。このように、ソース源には誘導結合を利用してプラズマを生成し、別電源であるバイアス源を基板支持部70に接続してイオンエネルギの制御を行う。これにより、プラズマの生成とイオンエネルギの制御が独立して行われ、プロセスの自由度を高めることができる。高周波電源56から出力される高周波電力の周波数は、0.1MHz乃至500MHzの範囲内で設定されるのが好ましい。
【0028】
基板処理装置100は、制御装置90を更に備え得る。制御装置90は、プロセッサ、メモリなどの記憶部、入力装置、表示装置、信号の入出力インターフェイス等を備えるコンピュータであり得る。制御装置90は、基板処理装置100の各部を制御する。制御装置90では、入力装置を用いて、オペレータが基板処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うことができる。また、制御装置90では、表示装置により、基板処理装置100の稼働状況を可視化して表示することができる。さらに、記憶部には、制御プログラム及びレシピデータが格納されている。制御プログラムは、基板処理装置100で各種処理を実行するために、プロセッサによって実行される。プロセッサが、制御プログラムを実行し、レシピデータに従って基板処理装置100の各部を制御する。
【0029】
[流量制御]
基板処理装置100において、より高度な加工均一性を得るため、処理室S内のプラズマ密度および処理ガスの分布を制御することが重要となっている。しかしながら、従来、金属窓32A~32Fのそれぞれにおいて分流されたガス流量を実測することができなかった。一方、金属窓32A~32Fから処理室S内に想定と異なる流量のガスが流れると基板に製品不良を発生させる可能性がある。また、金属窓32A~32Fから処理室S内に供給されるガスの流量を正しく測定できないと、基板処理装置100の製造工程においてガスの配管回りの組み立てに誤りがあった場合にそのミスを検知できない。
【0030】
そこで、本実施形態では、蓋11を開けて、本体15を大気開放し、シャワーヘッド34を取り外して、金属窓32A~32Fの天地を逆転させて配置し、金属窓32A~32Fのそれぞれの供給口35に流量計を取り付ける。そして、金属窓32A~32Fの供給口35にて、分流後のガスの流量をそれぞれ測定する。なお、金属窓32A~32Fの供給口35とは、分岐ガス配管52と、金属窓32A~32F内にそれぞれ形成されている拡散室33と、が連通している部分である。
【0031】
本実施形態に係る流量測定方法は、複数の金属窓32のうち、予め定められた同一エリア内に配置されている金属窓32の供給口35を流れるガスの流量を同時に測定することを可能とする。また、本実施形態に係る流量測定方法では、常設された流量計等のセンサー及び真空環境を必要としない。基板処理装置100の組み立て時に複数の金属窓32A~32Fのエリア毎の供給口35に流量計を配置する。そして、流量計により各エリアのガスの流量を測定する。これにより、各金属窓32A~32Fの各エリアから処理室Sに供給されるガスの流量を正確に測定することができ、かつ、ガスの配管回りの組み立てミスを検知することができる。
【0032】
流量計200は、図2に示すように、基板処理装置100の組み立て時に金属窓32の供給口に取り付ける。図2は、絶縁部材37によって電気的に絶縁された金属窓32の表面を示す。つまり、図2は、図1の金属窓32の底部のシャワーヘッド34を外した状態で天地を逆転させて金属窓32の表面、拡散室33の内部及び流量計200の一例を示した図である。
【0033】
金属窓32は、エリア毎に複数のパーツに分かれており、複数のパーツのそれぞれのガスの供給口35に流量計200が取り付けられている。
【0034】
金属窓32の複数のエリアについて説明する。図2の例では、金属窓32は、中央のセンターエリアC、外周のエッジエリアO、センターエリアCとエッジエリアOの間のミドルエリアMに分かれ、更に、外周のエッジエリアO及びミドルエリアMは複数のエリアに分かれている。
【0035】
[ガス系統]
図2及び図3を参照しながら実施形態に係るガス系統とエリアの一例を説明すると、センターエリアCでは、金属窓32Aが4つのパーツC1~C4に分かれ、パーツC1~C4の金属窓32Aの供給口35のそれぞれに流量計200が一つずつ取り付けられる。図2に示すように、パーツC1、C3は三角形、パーツC2、C4は台形の形状をしている。
【0036】
例えば、金属窓32AのパーツC4を拡大した図2の下図を参照すると、流量測定治具201により流量計200が金属窓32Aに固定され、パーツC4の金属窓32Aの供給口35に流量計200が取り付けられている。流量計200の取り付け部分の構造については、図2のA-A断面を示す図4を参照して、後述される。
【0037】
図3には、エリア毎のガス系統が示され、例えば、金属窓32AのパーツC1~C4が同一エリアのセンターエリアCに予め設定されている。分岐ガス配管L1は4分岐し、4分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32AのパーツC1~C4に接続され、同一エリア内の4つのパーツC1~C4のそれぞれに設けられた金属窓32Aの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、CエリアのパーツC1~C4のそれぞれに設けられた金属窓32Aの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0038】
センターエリアMでは、金属窓32BのパーツML1~ML4が同一エリアに予め設定され、金属窓32CのパーツMS1~MS4が同一エリアに予め設定されている。分岐ガス配管L2は4分岐し、4分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32BのパーツML1~ML4に接続され、同一エリア内の4つのパーツML1~ML4のそれぞれに設けられた金属窓32Bの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、MLエリアのパーツML1~ML4のそれぞれに設けられた金属窓32Bの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0039】
分岐ガス配管L3は4分岐し、4分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32CのパーツMS1~MS4に接続され、同一エリア内の4つのパーツMS1~MS4のそれぞれに設けられた金属窓32Cの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、MSエリアのパーツMS1~MS4のそれぞれに設けられた金属窓32Cの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0040】
エッジエリアOでは、金属窓32DのパーツOC1~OC8が同一エリアに予め設定され、金属窓32EのパーツOLS1、OLS2が同一エリアに予め設定されている。更に、金属窓32FのパーツOSS1、OSS2が同一エリアに予め設定されている。分岐ガス配管L4は8分岐し、8分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32DのパーツOC1~OC8に接続され、同一エリア内の8つのパーツOC1~OC8のそれぞれに設けられた金属窓32Dの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、OCエリアのパーツOC1~OC8のそれぞれに設けられた金属窓32Dの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0041】
分岐ガス配管L5は2分岐し、2分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32EのパーツOLS1、OLS2に接続され、同一エリア内の2つのパーツOLS1、OLS2のそれぞれに設けられた金属窓32Eの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、OLSエリアのパーツOLS1、OLS2のそれぞれに設けられた金属窓32Eの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0042】
分岐ガス配管L6は2分岐し、2分岐後の分岐ガス配管52は金属窓32FのパーツOSS1、OSS2に接続され、同一エリア内の2つのパーツOSS1、OSS2のそれぞれに設けられた金属窓32Fの供給口35に同時にガスを流す。これにより、流量計200は、OSSエリアのパーツOSS1、OSS2のそれぞれに設けられた金属窓32Fの供給口35を流れるガスの流量を同時に測定できる。
【0043】
[流量計]
次に、流量計200の配置の一例について、図4を参照しながら説明する。図4は、図2のA-A断面を示す図である。図4(a)及び(b)に示すように、流量測定治具201を金属窓32上(金属窓の表面)に固定し、流量計200を流量測定治具201により金属窓32に固定させる。流量計200内の計測管200aと、金属窓32の供給口35の末端部35aとが連通し、流量計200は、金属窓32の供給口35の末端部35aを通るガスの流量を測定する。
【0044】
図4(a)は、分岐ガス配管52にオリフィス105が設けられていない場合の金属窓32の供給口35付近の流量計200の配置を示す。図4(b)は、分岐ガス配管52にオリフィス105が設けられている場合の金属窓32の供給口35付近の流量計200の配置を示す。
【0045】
図4(a)及び(b)では、金属窓32に形成された分岐ガス配管52により、金属窓32の供給口35が形成されている。分岐ガス配管52は、例えばセラミックスから構成されている。
【0046】
流量測定治具201は、金属窓32上であって、金属窓32の供給口35の末端部35aを形成する分岐ガス配管52のガス孔の端部(先端)に、シール部材101を介して配置される。分岐ガス配管52のガス孔および流量計200内の計測管200aは、シール部材101と流量測定治具201とを貫通する。シール部材101と分岐ガス配管52との間には、シール部材104が設けられ、シール部材101と流量測定治具201との間には、シール部材103が設けられている。シール部材101、103、104は供給口35を流れるガスをシールする。シール部材101は、例えばSUSから構成されてもよい。シール部材103、104は例えばOリングから形成されてもよい。
【0047】
流量計200は、金属窓32の供給口35の末端部35aにおいて流量測定治具201に取り付けられている。
【0048】
図4(b)の例では、供給口35の基端部35bに隣接してオリフィス105を配置し、オリフィス105によって金属窓32の供給口35から拡散室33に流入するガスの流れを絞るように構成されている。また、図4(b)の例では、供給口35の内壁にスパイラル形状の溝52aを設け、オリフィス105で絞られたガスをスムーズに供給口35の末端部35aまで送り出す構造を有する。なお、図4(a)の例では、供給口35の内壁にスパイラル形状の溝52aを設けていないが、溝52aを設けてもよい。
【0049】
かかる構成では、流量計200は、基板処理装置100を製造後に、工場内にて基板処理装置100を組み立てる際に取り付ける。つまり、流量計200は常設せず、基板処理装置100を製造後に、工場内にて組み立てた基板処理装置100の金属窓32の供給口35を流れるガス流量の測定を行うときに取り付け、測定が終わったら金属窓32から取り外す。よって、基板処理装置100により基板Gに所望の処理を行う基板処理時には、流量計200は取り外された状態である。
【0050】
制御装置90は、流量計200により金属窓32A~32Fの供給口35に流れるガスの流量を測定する工程を制御する。大気環境下において流量計200を金属窓32の供給口35に配置し、供給口35の末端部35aに流れるガスの流量を流量計200により測定する。測定後、流量計200は、金属窓32の供給口35から取り外しが可能である。
【0051】
また、ガスの流量の測定では、金属窓32を複数のエリアに分け、同一エリア内の金属窓32の供給口35に流れるガスの流量を同時に測定することが可能である。
【0052】
ガスの流量を測定する場合、図1に示すバルブ62を閉じ、処理ガスの供給を停止し、バルブ69A~69Fを開き、不活性ガス供給源67から出力した不活性ガスを金属窓32A~32Fのそれぞれの供給口35に流す。不活性ガスの替わりにドライエアーを金属窓32A~32Fのそれぞれの供給口35に流してもよい。
【0053】
ガスの流量を測定する工程では、金属窓32を複数のエリアに分け、同一エリア内の金属窓32の供給口35に流れるガスの流量を同時に測定可能である。
【0054】
[測定結果]
金属窓32を、図3に示す6エリア(Cエリア、MLエリア、MSエリア、OCエリア、OLSエリア、OSSエリア)に分け、同一エリア内の金属窓32の供給口35に流れるガス流量を同時に測定した結果について、図5を参照して説明する。図5は、実施形態に係る流量計200によるガス流量の測定結果と計算結果との一例を示す図である。
【0055】
図5(a)は、Cエリア内の金属窓32の供給口35に流れるガス流量を同時に測定した結果である流量計200の実測値を示す。図5(b)は、図5(a)の測定結果を得るために実際に不活性ガス供給源67から供給した不活性ガスの総流量値と同じ流量のガスをCエリア内の金属窓32に供給することを条件にシミュレーションを行ったときのシミュレーション結果の計算値を示す。いずれも、Cエリアの同一エリア1内の金属窓32のパーツC1~C4の供給口35の末端部35aに同時に流れるガスの流量を求める。
【0056】
この結果、図5(a)及び(b)の縦軸に示す供給口35の末端部35aを流れる流量は、図5(a)の実測値と図5(b)の計算値とでほぼ一致した。これにより、実施形態に係る流量測定方法の有効性が確認できた。また、Cエリア内の金属窓32のパーツC1~C4の供給口35に均等にガスが供給されていることが分かった。以上から、本実施形態に係る流量測定方法によれば、分岐ガス配管52により分流され、処理室S内に流れるガスの流量を精度良く測定することができる。
【0057】
なお、図2に示すように、パーツC1、C3は、パーツC2、C4よりも面積が小さい。その他のエリアでは、金属窓32の各パーツの面積は概ね同じである。そこで、パーツC1、C3には、図4(b)に示すオリフィス105を設けた機構を使用し、パーツC2、C4には、図4(a)に示すオリフィス105を設けない機構を使用する。これにより、パーツC2、C4よりも面積の小さいパーツC1、C3の供給口35の基端部35bの穴をオリフィス105で制御し、パーツC1、C3に供給するガスの流量を絞った。
【0058】
この結果、図5(a)及び(b)において、パーツC2、C4の供給口35の末端部35aに流れるガスの流量(L/min)は、パーツC1、C3の供給口35の末端部35aに流れるガスの流量(L/min)よりも多くなった。
【0059】
例えば、基板処理装置100の組み立て時、本来は、パーツC2、C4に図4(a)に示すオリフィス105を設けない機構を取り付け、パーツC1、C3に図4(b)に示すオリフィス105を設けた機構を取り付ける。ところが、パーツC1、C3に図4(a)に示すオリフィス105を設けない機構を取り付け、パーツC2、C4に図4(b)に示すオリフィス105を設けた機構を取り付けるミスをすることがある。この場合、本実施形態に係る流量測定方法により求めた、パーツC2、C4の供給口35に流れるガスの流量の測定値は、パーツC1、C3の供給口35に流れるガスの流量の測定値よりも小さい値を持つ。
【0060】
つまり、図5(a)のパーツC1、C3とパーツC2、C4の棒グラフの大小関係が、現在の図5(a)の棒グラフと逆転する。これにより、作業者は、パーツC1、C3とパーツC2、C4において分岐ガス配管52の取り付け位置に誤りがあることを発見できる。
【0061】
以上から、本実施形態に係る流量測定方法によれば、基板処理装置100の製造工程においてガス配管等の組み立てミスを検知することができる。また、例えば、組み立てミスを検知するための閾値を予め設定し、制御装置90が、本実施形態に係る流量測定方法により測定したガス流量の測定値(実測値)と閾値とを自動で照合してもよい。制御装置90は、測定値が閾値と所定以上ずれている場合に、組み立てにミスが発生していると自動で判定してもよい。
【0062】
図6は、実施形態に係る各エリア(Cエリア、MLエリア、MSエリア、OCエリア、OLSエリア、OSSエリア)について、本実施形態に係る流量測定方法により測定した各同一エリアの各パーツのガス流量の測定値(実測値)の一例を示す図である。この実験では、不活性ガスの替わりにドライエアーを供給した。
【0063】
図6(a)はCエリアの各パーツC1~C4の金属窓32Aの供給口におけるガス流量の測定結果である。図6(b)はMLエリアの各パーツML1~ML4の金属窓32Bの供給口におけるガス流量の測定結果である。図6(c)はMSエリアの各パーツMS1~MS4の金属窓32Cの供給口におけるガス流量の測定結果である。図6(d)はOCエリアの各パーツOC1~OC8の金属窓32Dの供給口におけるガス流量の測定結果である。図6(e)はOLSエリアの各パーツOLS1、OLS2の金属窓32Eの供給口におけるガス流量の測定結果である。図6(f)はOSSエリアの各パーツOSS1、OSS2の金属窓32Fの供給口におけるガス流量の測定結果である。
【0064】
この結果、図6(b)~図6(f)に示すいずれのエリアも同一エリア内の各パーツの測定値はほぼ一致した。図6(a)については、パーツC1、C3の流量の測定値はほぼ一致し、パーツC2、C4の流量の測定値はほぼ一致した。パーツC1、C3の流量の測定値とパーツC2、C4の流量の測定値とで差が生じているのは、前述したとおり、パーツC1、C3ではオリフィス105を使用してガスの流量を絞り、パーツC2、C4ではオリフィス105を使用しなかったために生じた差である。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態に係る流量測定方法及び基板処理装置によれば、分岐ガス配管により分流され、処理室内に流れる分岐後のガスの流量を精度良く測定することができる。また、基板処理装置100の製造工程においてガス配管の組み立てミスを検知することができる。これにより、組み立て後の基板処理装置において、処理室内に設定された流量と異なる流量のガスを供給することを未然に防止できる。
【0066】
今回開示された実施形態に係る流量測定方法及び基板処理装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0067】
本開示の基板処理装置は、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
【0068】
また、基板処理装置の一例としてプラズマ処理装置を挙げて説明したが、基板処理装置は、基板に所定の処理(例えば、成膜処理、エッチング処理等)を施す装置であればよく、プラズマ処理装置に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
11 蓋
14 隔壁
15 本体
20 処理容器
32、32A~32F 金属窓
33 拡散室
34 シャワーヘッド
35 金属窓の供給口
52 分岐ガス配管
60 ガス供給部
61A~61F 不活性ガス分岐配管
63A~63F フローレシオコントローラ
65 分岐器
66 外部ガス配管
67 不活性ガス供給源
68 処理ガス配管
70 基板支持部
90 制御装置(制御部)
100 基板処理装置
101 シール部材
200 流量計
200a 計測管
201 流量測定治具
L、L1~L6 分岐ガス配管
S 処理室
図1
図2
図3
図4
図5
図6