(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】研削装置
(51)【国際特許分類】
B24B 7/00 20060101AFI20241001BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20241001BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20241001BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
B24B7/00 A
B24B41/06 A
B24B55/06
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2021020220
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】児玉 宗久
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/010236(WO,A1)
【文献】特開2019-093474(JP,A)
【文献】特開2015-019053(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225001(JP,U)
【文献】特開平05-082435(JP,A)
【文献】特開2020-203338(JP,A)
【文献】特開平10-086048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0095902(US,A1)
【文献】中国実用新案第207953531(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/00-7/30,41/00-57/04;
H01L 21/304,21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する保持部と、前記基板を研削する研削工具を駆動する工具駆動部と、
前記保持部と前記工具駆動部を収容する筐体と、前記筐体の外部において前記基板を一時的に保管する仮置部と、前記仮置部と前記保持部の間で前記基板を搬送する内部搬送部と、を含む、研削ブロックと、
前記研削工具で研削した前記基板を洗浄する洗浄部と、前記洗浄部と前記研削ブロックの間で前記基板を搬送する第1搬送部と、を含む、洗浄ブロックと、
を備え、
前記筐体は上面パネルと複数の側面パネルとを備え、一の前記側面パネルは前記基板を通過させる搬入出口を有し、
前記仮置部は、前記内部搬送部が前記仮置部
から前記保持部
に前記基板を搬送する
際に前記基板が前記搬入出口に入る直前に通る空間の上方に配置されている、研削装置。
【請求項2】
前記研削ブロックは、前記基板を反転する反転部を含み、
前記反転部と前記仮置部
は、前記空間の上方に配置されており、且つ鉛直方向に積層されている、請求項1に記載の研削装置。
【請求項3】
前記研削ブロックは、回転中心線を中心に回転する回転テーブルを含み、前記保持部を4つ含み、前記工具駆動部を2つ含み、4つの前記保持部は、前記回転テーブルと共に回転し、
2つの前記保持部は、前記回転中心線を中心に対称に配置され、前記内部搬送部によって前記基板を搬入出する第1搬入出位置と、1つの前記工具駆動部によって前記基板を研削する第1研削位置との間で移動し、
別の2つの前記保持部は、前記回転中心線を中心に対称に配置され、前記内部搬送部によって前記基板を搬入出する第2搬入出位置と、別の前記工具駆動部によって前記基板を研削する第2研削位置との間で移動する、請求項1又は2に記載の研削装置。
【請求項4】
前記上面パネルは、前記第1搬入出位置と前記第2搬入出位置と前記第1研削位置と前記第2研削位置の上方を覆い、
前記搬入出口を有する前記側面パネルは、前記第1搬入出位置と前記第2搬入出位置の側方を覆
う、請求項3に記載の研削装置。
【請求項5】
前記内部搬送部を制御する制御部を備え、
前記基板は、互いに反対向きの第1主面と第2主面とを有し、
前記制御部は、前記第1搬入出位置に位置する前記保持部の上に、前記第1主面を上に向けて前記基板を載せ、前記第2搬入出位置に位置する前記保持部の上に、前記第2主面を上に向けて前記基板を載せる、請求項3
又は4に記載の研削装置。
【請求項6】
前記研削ブロックは、前記側面パネルの前記搬入出口を開閉するシャッタを含む、請求項
1~5のいずれか1項に記載の研削装置。
【請求項7】
前記仮置部は、前記基板の中心位置を調節するアライメント部を兼ねている、請求項1~6のいずれか1項に記載の研削装置。
【請求項8】
前記研削ブロックは、上方から見たときに前記内部搬送部を基準として前記仮置部とは反対側に、前記基板の中心位置を検出するアライメント部を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の研削装置。
【請求項9】
前記基板を収容するカセットが載置される載置部を含む、搬入出ブロックを備え、
前記洗浄ブロックは、前記載置部に載置された前記カセットと前記洗浄ブロックとの間で前記基板を搬送する第2搬送部を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の研削装置。
【請求項10】
前記洗浄ブロックは、前記洗浄部で洗浄した前記基板をエッチングするエッチング部と、前記エッチング部でエッチングした前記基板を検査する検査部と、を含み、
前記第2搬送部が、前記エッチング部から前記検査部へ前記基板を搬送する、請求項9に記載の研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の研磨装置は、半導体ウェハを保持するチャックテーブルが90゜間隔で4個配設されたインデックステーブルと、チャックテーブルにウェハを搬出入するウェハ搬出入領域と、チャックテーブルに保持されたウェハを研磨する研磨領域とを少なくとも含む。ウェハ搬出入領域には、2個のチャックテーブルが位置付けられた際夫々のチャックテーブルにウェハの搬出入を遂行する搬出入手段が2個配設されている。一方、研磨領域には、2個のチャックテーブルが位置付けられた際夫々のチャックテーブルに保持されているウェハを研磨する研磨手段が2個配設されている。搬入出手段は、センター合わせテーブルから、ウェハ搬入出領域にあるチャックテーブルにウェハを搬送する。その搬送経路の下方には、仮受け台が設けられる。仮受け台は、研磨後のウェハをカセットに収納するまでの間に待避させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様は、研削装置の拡張性を改善する、技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る研削装置は、研削ブロックと、洗浄ブロックと、を備える。前記研削ブロックは、基板を保持する保持部と、前記基板を研削する研削工具を駆動する工具駆動部と、前記保持部と前記工具駆動部を収容する筐体と、前記筐体の外部において前記基板を一時的に保管する仮置部と、前記仮置部と前記保持部の間で前記基板を搬送する内部搬送部と、を含む。前記洗浄ブロックは、前記研削工具で研削した前記基板を洗浄する洗浄部と、前記洗浄部と前記研削ブロックの間で前記基板を搬送する第1搬送部と、を含む。前記筐体は上面パネルと複数の側面パネルとを備える。一の前記側面パネルは前記基板を通過させる搬入出口を有する。前記仮置部は、前記内部搬送部が前記仮置部から前記保持部に前記基板を搬送する際に前記基板が前記搬入出口に入る直前に通る空間の上方に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、研削装置の拡張性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る研削装置を示す平面図であって、研削ブロックに含まれる筐体の上面パネルを取り外した状態を示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る研削方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例に係る研削装置を示す平面図である。
【
図6】
図6(A)は重合基板の薄化の一例を示す断面図であり、
図6(B)は薄化後の重合基板の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向及びY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
【0009】
先ず、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る研削装置1について説明する。研削装置1は、基板Wを研削する。本明細書において、研削は、研磨を含む。研削装置1は、搬入出ブロック2と、洗浄ブロック3と、研削ブロック5と、を備える。搬入出ブロック2と、洗浄ブロック3と、研削ブロック5とは、この順番で、X軸負方向側からX軸正方向側に並んでいる。
【0010】
搬入出ブロック2は、基板Wを収容するカセットCが載置される載置部21を含む。カセットCは、鉛直方向に間隔をおいて並ぶ複数の基板Wの各々を水平に収容する。基板Wは、シリコンウェハ若しくは化合物半導体ウェハ等の半導体基板、又はガラス基板を含む。基板Wは、半導体基板又はガラス基板の表面に形成されるデバイス層を更に含んでもよい。デバイス層は、電子回路を含む。また、基板Wは、複数の基板を接合した重合基板であってもよい。
【0011】
洗浄ブロック3は、
図1及び
図2に示すように、例えば、研削後の基板Wを洗浄する洗浄部31A、31Bと、洗浄後の基板Wをエッチングするエッチング部32A、32Bと、エッチング後の基板Wを検査する検査部33と、基板Wを反転する反転部34と、基板Wを一時的に保管する仮置部35と、を含む。また、洗浄ブロック3は、第1搬送領域36と、第2搬送領域37と、を含む。第1搬送領域36には第1搬送部38が設けられ、第2搬送領域37には第2搬送部39が設けられる。第1搬送部38は、洗浄部31A、31Bと研削ブロック5の間で基板Wを搬送する。第2搬送部39は、載置部21上のカセットCと洗浄ブロック3の間で基板Wを搬送する。
【0012】
洗浄部31A、31Bと、検査部33と、仮置部35とは、鉛直方向に積層されており、第1搬送領域36と、第2搬送領域37と、研削ブロック5とで三方を囲まれる位置に配置されている。洗浄部31A、31Bと、検査部33と、仮置部35とは、この順番で上から下に積層されている。但し、その順番は、特に限定されない。また、エッチング部32A、32Bは、鉛直方向に積層されており、第1搬送領域36と第2搬送領域37とに隣接するように配置されている。
【0013】
第1搬送部38は、第1搬送領域36にて基板Wを搬送する。つまり、第1搬送部38は、第1搬送領域36の隣に配置される複数の装置間で、基板Wを搬送する。第1搬送部38は、独立に移動する複数本の搬送アームを有する。各搬送アームは、水平方向(X軸方向およびY軸方向の両方向)および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする回転が可能である。各搬送アームは、基板Wを下方から保持する。なお、搬送アームの本数は、特に限定されない。
【0014】
同様に、第2搬送部39は、第2搬送領域37にて基板Wを搬送する。つまり、第2搬送部39は、第2搬送領域37の隣に配置される複数の装置間で、基板Wを搬送する。第2搬送部39は、独立に移動する複数本の搬送アームを有する。各搬送アームは、水平方向(X軸方向およびY軸方向の両方向)および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする回転が可能である。各搬送アームは、基板Wを下方から保持する。
【0015】
研削ブロック5は、
図1に示すように、例えば、基板Wを保持する4つの保持部52A、52B、52C、52Dと、基板Wを研削する研削工具Dを駆動する2つの工具駆動部53A、53Bと、研削ブロック5内で基板Wを搬送する内部搬送部54と、を含む。研削ブロック5は、回転中心線R1を中心に回転させられる回転テーブル51を更に含んでもよい。4つの保持部52A、52B、52C、52Dは、回転中心線R1の周りに間隔をおいて設けられ、回転テーブル51と共に回転させられる。また、4つの保持部52A、52B、52C、52Dは、各々の回転中心線R2を中心に回転させられる。
【0016】
2つの保持部52A、52Cは、回転テーブル51の回転中心線R1を中心に対称に配置される。各保持部52A、52Cは、内部搬送部54によって基板Wを搬入出する第1搬入出位置A3と、1つの工具駆動部53Aによって基板Wを研削する第1研削位置A1との間で移動する。2つの保持部52A、52Cは、回転テーブル51が180°回転する度に、第1搬入出位置A3と、第1研削位置A1との間で移動する。
【0017】
別の2つの保持部52B、52Dは、回転テーブル51の回転中心線R1を中心に対称に配置される。各保持部52B、52Dは、内部搬送部54によって基板Wを搬入出する第2搬入出位置A0と、別の工具駆動部53Bによって基板Wを研削する第2研削位置A2との間で移動する。別の2つの保持部52B、52Dは、回転テーブル51が180°回転する度に、第2搬入出位置A0と、第2研削位置A2との間で移動する。
【0018】
上方から見たときに、第1搬入出位置A3と、第2搬入出位置A0と、第1研削位置A1と、第2研削位置A2とは、この順番で、反時計回りに配置されている。この場合、上方から見たときに、保持部52Aと、保持部52Bと、保持部52Cと、保持部52Dとは、この順番で、反時計回りに90°ピッチで配置されている。
【0019】
なお、第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0の位置が逆であって、且つ第1研削位置A1と第2研削位置A2の位置も逆であってもよい。つまり、上方から見たときに、第1搬入出位置A3と、第2搬入出位置A0と、第1研削位置A1と、第2研削位置A2とは、この順番で、時計回りに配置されてもよい。この場合、上方から見たときに、保持部52Aと、保持部52Bと、保持部52Cと、保持部52Dとは、この順番で、時計回りに90°ピッチで配置される。
【0020】
但し、保持部の数は、4つには限定されない。工具駆動部の数も、2つには限定されない。また、回転テーブル51は無くてもよい。例えば、回転テーブル51の代わりに、スライドテーブルが設けられてもよい。
【0021】
次に、
図3を参照して工具駆動部53Aについて説明する。工具駆動部53Bは、工具駆動部53Aと同様に構成されるので、図示及び説明を省略する。工具駆動部53Aは、研削工具Dが装着される可動部531を含む。研削工具Dは、基板Wに押し当てられ、基板Wを研削する。研削工具Dは、例えば円盤状の研削ホイールD1と、研削ホイールD1の下面にリング状に配列される複数の砥石D2と、を含む。
【0022】
可動部531は、研削工具Dが装着されるフランジ532と、フランジ532が下端に設けられるスピンドル軸533と、スピンドル軸533を回転させるスピンドルモータ534と、を備える。フランジ532は水平に配置され、その下面に研削工具Dが装着される。スピンドル軸533は鉛直に配置される。スピンドルモータ534は、スピンドル軸533を回転し、フランジ532に装着された研削工具Dを回転させる。研削工具Dの回転中心線R3は、スピンドル軸533の回転中心線である。
【0023】
工具駆動部53Aは、更に、可動部531を昇降させる昇降部535を備える。昇降部535は、例えば、鉛直なZ軸ガイド536と、Z軸ガイド536に沿って移動するZ軸スライダ537と、Z軸スライダ537を移動させるZ軸モータ538と、を含む。Z軸スライダ537には可動部531が固定され、Z軸スライダ537と共に可動部531及び研削工具Dが昇降する。
【0024】
昇降部535は、研削工具Dを待機位置から下降させる。研削工具Dは、下降しながら回転し、回転する基板Wの上面と接触し、基板Wの上面全体を研削する。基板Wの厚みが設定値に達すると、昇降部535は研削工具Dの下降を停止する。その後、昇降部535は、研削工具Dを待機位置まで上昇させる。
【0025】
研削ブロック5は、回転テーブル51と4つの保持部52A、52B、52C、52Dを収容する筐体55を含む。筐体55は、研削屑及び研削液が外部に飛散するのを抑制する。研削屑は、基板Wの研削によって生じる粉又は破片である。粉は、基板Wから削り出される粉と、研削工具Dから脱離する砥粒とを含む。
【0026】
筐体55は、上面パネル551と、複数の側面パネル552と、を備える。上面パネル551は、矩形状であって、水平に配置される。側面パネル552は、上面パネル551の四辺に1枚ずつ設けられ、鉛直に配置される。筐体55は、回転テーブル51の下方で研削屑及び研削液を受ける不図示のパンを含んでもよい。
【0027】
上面パネル551は、例えば第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0と第1研削位置A1と第2研削位置A2の上方を覆う。上面パネル551が第1搬入出位置A3及び第2搬入出位置A0を覆わずに上方に開放する場合に比べて、筐体55の内部から外部にミスト及びパーティクルが流出するのを抑制できる。
【0028】
一の側面パネル552は、第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0の側方を覆い、基板Wを通過させる搬入出口553を有する。搬入出口553は、第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0の各々の側方に、1つずつ設けられる。基板Wの搬入出時に、基板Wは内部搬送部54によって水平に保持される。それゆえ、基板Wの搬入出時に、側方から見た基板Wの大きさは、上方から見た基板Wの大きさよりも小さい。従って、側面パネル552に搬入出口553を形成すれば、上面パネル551に搬入出口553を形成するよりも、搬入出口553の大きさを小さくできる。その結果、搬入出口553を介して筐体55の内部から外部にミスト及びパーティクルが流出するのを抑制できる。
【0029】
上面パネル551は、第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0の各々の真上に透明部554を含んでもよい。上面パネル551の上から、各保持部52A、52B、52C、52Dの状態などを視認できる。第1搬入出位置A3と第2搬入出位置A0では、基板Wの研削が行われない。そこで、透明部554は、樹脂で形成されてもよい。樹脂は、金属よりも耐久性に劣る反面、透視性に優れている。
【0030】
研削ブロック5は、側面パネル552の搬入出口553を開閉するシャッタ56を含んでもよい。シャッタ56は、基本的に搬入出口553を閉塞しており、基板Wの通過時に搬入出口553を開放する。搬入出口553を常時開放する場合に比べて、搬入出口553を介したミスト及びパーティクルの流出を抑制できる。シャッタ56は、搬入出口553毎に設けられる。搬入出口553毎に、搬入出口553を開閉でき、ミスト及びパーティクルの流出をより抑制できる。
【0031】
内部搬送部54は、基板Wを保持する吸着パッドを含む。吸着パッドは、水平方向(X軸方向およびY軸方向の両方向)および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする回転が可能である。吸着パッドは、基板Wを上方から吸着保持する。
【0032】
研削ブロック5は、
図2に示すように、基板Wを一時的に保管する仮置部57A、57B、57Cを含む。仮置部57A、57B、57Cは、内部搬送部54と、洗浄ブロック3の第1搬送部38との間で、基板Wを受け渡す。内部搬送部54は、第1搬送部38が仮置部57A、57Bに渡した基板Wを、仮置部57A、57Bから受け取る。また、第1搬送部38は、内部搬送部54が仮置部57Cに渡した基板Wを、仮置部57Cから受け取る。
【0033】
仮置部57A、57Bは、基板Wの中心位置を調節するアライメント部を兼ねている。アライメント部は、ガイドなどで基板Wの中心位置を所望の位置に合わせる。その後、内部搬送部54によって基板Wを予め設定された搬入位置に搬送し、その搬入位置で各保持部52A、52B、52C、52Dに基板Wを渡せば、上方から見たときに、各保持部52A、52B、52C、52Dの中心と基板Wの中心とを位置合わせできる。
【0034】
なお、アライメント部は、光学系などで基板Wの中心位置を検出してもよい。この場合、制御部9は、アライメント部の検出結果に基づき、予め設定された上記の搬入位置を補正することで、上方から見たときに、各保持部52A、52B、52C、52Dの中心と基板Wの中心とを位置合わせできる。また、アライメント部は、光学系などで基板Wの結晶方位をも検出してもよく、具体的には基板Wの結晶方位を表すノッチ又はオリエンテーションフラットをも検出してもよい。各保持部52A、52B、52C、52Dと共に回転する回転座標系において、基板Wの結晶方位を所望の方位に位置合わせできる。
【0035】
仮置部57A、57Bは、研削装置1の設置面積を低減すべく、鉛直方向に積層されてもよい。積層の順番は、図示の順番には限定されず、逆でもよい。仮置部57A、57Bは、アライメント部を兼ねている場合、光学系を含む代わりに、ガイドを含むことが好ましい。仮置部57A、57Bがガイドを含む場合、光学系を含む場合に比べて、仮置部57A、57BのZ軸方向寸法を小さくできるからである。
【0036】
仮置部57B、57Cは、内部搬送部54が仮置部57B、57Cと第2搬入出位置A0に位置する保持部(例えば保持部52D)との間で基板Wを搬送する搬送経路TR1、TR2の上方に配置されている。上方から見たときに、仮置部57B、57Cと、搬送経路TR1、TR2が重なっている。
【0037】
仮置部57B、57Cは、搬送経路TR1、TR2の下方ではなく、上方に配置される。搬送経路TR1、TR2の上方は比較的自由に複数の装置を鉛直方向に積層でき、研削装置1の拡張性を改善できる。また、上方から見たときに、仮置部57B、57Cと、搬送経路TR1、TR2が重なっているので、研削装置1の設置面積を小さくでき、研削装置1を小型化できる。
【0038】
研削ブロック5は、基板Wを反転する反転部58を含んでもよい。反転部58は、搬送経路TR1、TR2の上方に配置される。反転部58と、仮置部57A、57B、57Cが鉛直方向に積層されている。例えば、反転部58と、仮置部57Cと、仮置部57Bと、仮置部57Aとは、この順番で上から下に積層されている。なお、積層の順番は、特に限定されない。
【0039】
研削装置1は、制御部9を更に備える。制御部9は、例えばコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリ等の記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、研削装置1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部9は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、研削装置1の動作を制御する。
【0040】
次に、
図4を参照して、研削装置1によって実施する研削方法について説明する。研削方法は、例えば、
図4に示すステップS101~S111を含む。ステップS101~S111は、制御部9による制御下で実施される。なお、研削方法は、
図4に示す全てのステップを含まなくてもよいし、
図4に不図示のステップを含んでもよい。
【0041】
先ず、第2搬送部39が、カセットCから基板Wを取り出し、仮置部35に搬送する。続いて、第1搬送部38が、仮置部35から基板Wを受け取り、研削ブロック5の仮置部57Aに搬送する。基板Wは、互いに反対向きの第1主面と第2主面を有しており、第1主面を上に向けて搬送される。
【0042】
次に、仮置部57Aが、基板Wの中心位置を調節する(ステップS101)。仮置部57Aは、基板Wの中心位置を検出してもよい。また、仮置部57Aは、基板Wの中心位置に加えて、基板Wの結晶方位を検出してもよく、具体的には基板Wの結晶方位を表すノッチ又はオリエンテーションフラットを検出してもよい。
【0043】
次に、内部搬送部54が、仮置部57Aから基板Wを受け取り、第1搬入出位置A3に位置する保持部(例えば保持部52C)に搬送する。基板Wは、第1主面を上に向けて、保持部52Cの上に載せられる。その際、基板Wの中心と、保持部52Cの回転中心線R2とが合わせられる。その後、回転テーブル51が180°回転させられ、保持部52Cが第1搬入出位置A3から第1研削位置A1に移動させられる。
【0044】
次に、工具駆動部53Aが、研削工具Dを駆動し、基板Wの第1主面を研削する(ステップS102)。その後、回転テーブル51が180°回転させられ、保持部52Cが第1研削位置A1から第1搬入出位置A3に移動させられる。続いて、内部搬送部54が、第1搬入出位置A3に位置する保持部52Cから基板Wを受け取り、反転部58に搬送する。
【0045】
次に、反転部58が、基板Wを反転させる(ステップS103)。基板Wが上下反転され、第1主面が下向きに、第2主面が上向きになる。その後、洗浄ブロック3の第1搬送部38が、反転部58から基板Wを受け取り、洗浄部31Aに搬送する。
【0046】
次に、洗浄部31Aが、基板Wの第1主面を洗浄する(ステップS104)。洗浄部31Aによって研削屑等のパーティクルを除去できる。洗浄部31Aは、例えば基板Wをスクラブ洗浄する。洗浄部31Aは、基板Wの第1主面だけではなく第2主面をも洗浄してもよい。基板Wの乾燥後、第1搬送部38が洗浄部31Aから基板Wを受け取り、研削ブロック5の仮置部57Bに搬送する。
【0047】
次に、仮置部57Bが、基板Wの中心位置を調節する(ステップS105)。仮置部57Bは、基板Wの中心位置を検出してもよい。また、仮置部57Bは、基板Wの中心位置に加えて、基板Wの結晶方位を検出してもよく、具体的には基板Wの結晶方位を表すノッチ又はオリエンテーションフラットを検出してもよい。
【0048】
次に、内部搬送部54が、仮置部57Bから基板Wを受け取り、第2搬入出位置A0に位置する保持部(例えば保持部52D)に搬送する。基板Wは、第2主面を上に向けて、保持部52Dの上に載せられる。その際、基板Wの中心と、保持部52Dの回転中心線R2とが合わせられる。その後、回転テーブル51が180°回転させられ、保持部52Cが第2搬入出位置A0から第2研削位置A2に移動させられる。
【0049】
次に、工具駆動部53Bが、研削工具Dを駆動し、基板Wの第2主面を研削する(ステップS106)。その後、回転テーブル51が180°回転させられ、保持部52Dが第2研削位置A2から第2搬入出位置A0に移動させられる。続いて、内部搬送部54が、第2搬入出位置A0に位置する保持部52Dから基板Wを受け取り、仮置部57Cに搬送する。その後、洗浄ブロック3の第1搬送部38が、仮置部57Cから基板Wを受け取り、洗浄部31Bに搬送する。
【0050】
次に、洗浄部31Bが、基板Wの第2主面を洗浄する(ステップS107)。洗浄部31Bによって研削屑等のパーティクルを除去できる。洗浄部31Bは、例えば基板Wをスクラブ洗浄する。洗浄部31Bは、基板Wの第2主面だけではなく第1主面をも洗浄してもよい。基板Wの乾燥後、第2搬送部39が洗浄部31Bから基板Wを受け取り、エッチング部32Bに搬送する。
【0051】
次に、エッチング部32Bが、基板Wの第2主面をエッチングする(ステップS108)。エッチング部32Bによって第2主面の研削痕を除去できる。基板Wの乾燥後、第2搬送部39が、エッチング部32Bから基板Wを受け取り、反転部34に搬送する。
【0052】
次に、反転部34が、基板Wを反転させる(ステップS109)。基板Wが上下反転され、第1主面が上向きに、第2主面が下向きになる。その後、第2搬送部39が、反転部34から基板Wを受け取り、エッチング部32Aに搬送する。
【0053】
次に、エッチング部32Aが、基板Wの第1主面をエッチングする(ステップS110)。エッチング部32Aによって第1主面の研削痕を除去できる。基板Wの乾燥後、第2搬送部39が、エッチング部32Aから基板Wを受け取り、検査部33に搬送する。
【0054】
次に、検査部33が、基板Wを検査する(ステップS111)。例えば、検査部33は、エッチング後の基板Wの厚みを計測し、基板Wの厚みおよび厚みのばらつきが予め設定された許容範囲内であるか否かを検査する。その後、第2搬送部39が、検査部33から基板Wを受け取り、受け取った基板WをカセットCに収納する。その後、今回の処理が終了する。
【0055】
図4の説明では、1枚の基板Wに着目して研削方法を説明した。研削装置1は、スループットを向上すべく、複数の位置で、複数の処理を同時に実施してもよい。例えば、研削装置1は、第1研削位置A1及び第2研削位置A2の各々で、基板Wを同時に研削する。その間、研削装置1は、第1搬入出位置A3及び第2搬入出位置A0の各々で、例えば基板Wのスプレー洗浄、基板Wの板厚分布の測定、基板Wの搬出、保持部の基板吸着面(上面)の洗浄、及び基板Wの搬入などをこの順番で実施する。
【0056】
その後、研削装置1は、回転テーブル51を180°回転させる。続いて、研削装置1は、第1研削位置A1及び第2研削位置A2の各々で再び基板Wを同時に研削する。その間、研削装置1は、第1搬入出位置A3及び第2搬入出位置A0の各々で、再び、基板Wのスプレー洗浄、基板Wの板厚分布の測定、基板Wの搬出、保持部の基板吸着面(上面)の洗浄、及び基板Wの搬入などをこの順番で実施する。
【0057】
次に、
図5を参照して、変形例に係る研削装置1について説明する。以下、本変形例と上記実施形態の相違点について主に説明する。研削ブロック5は、上方から見たときに内部搬送部54を基準として反転部58及び仮置部57A、57B、57C(
図2参照)とは反対側に、アライメント部59を含んでもよい。
【0058】
アライメント部59は、基板Wの中心位置を検出する。アライメント部59は、基板Wの中心位置に加えて、基板Wの結晶方位を検出してもよく、具体的には基板Wの結晶方位を表すノッチ又はオリエンテーションフラットを検出してもよい。アライメント部59は、仮置部57A、57Bを兼ねてもよい。
【0059】
本変形例によれば、上方から見たときに、アライメント部59と、反転部58及び仮置部57Cなどとが、重ならない。それゆえ、反転部58及び仮置部57Cなどの積層高さを低減できる。
【0060】
次に、
図6を参照して、研削装置1で研削する重合基板Tについて説明する。重合基板Tは、互いに接合された第1基板W1と第2基板W2を含む。接合前に、第1基板W1の接合面には接合膜B1が形成され、第2基板W2の接合面には接合膜B2が形成される。接合膜B1、B2は、酸化膜などである。
【0061】
図6(A)に示すように、第1基板W1の内部の分割予定面には、レーザー光線LBが照射され、改質層Eが形成される。改質層Eは、分割予定面に分散して複数形成される。改質層Eを起点に第1基板W1を分割することで、
図6(B)に示すように、第1基板W1を薄化できる。第1基板W1には、改質層Eの跡が残っている。
【0062】
研削装置1は、重合基板Tの改質層Eの跡が残る第1主面(
図6(B)中、上面)のみを研削し、重合基板Tの第2主面(
図6(B)中、下面)を研削しなくてもよい。この場合、第1搬入出位置A3でも、第2搬入出位置A0でも、重合基板Tは、第1主面を上に向けて保持部の上に載せられる。この場合、反転部34、58は不要である。また、洗浄部31Bは重合基板Tの第1主面を洗浄すればよく、エッチング部32Bは重合基板Tの第1主面をエッチングすればよい。
【0063】
以上、本開示に係る研削装置の実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0064】
1 研削装置
3 洗浄ブロック
31A、31B 洗浄部
38 第1搬送部
5 研削ブロック
52A、52B、52C、52D 保持部
53A、53B 工具駆動部
54 内部搬送部
57A、57B、57C 仮置部
W 基板
D 研削工具