(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】LEDチャック
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20241001BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241001BHJP
H01L 33/64 20100101ALI20241001BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241001BHJP
【FI】
G01R31/28 H
H01L33/62
H01L33/64
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2021057160
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】糠信 知基
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】河西 繁
(72)【発明者】
【氏名】森藤 慶之
(72)【発明者】
【氏名】小林 大
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/230674(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/100881(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/116911(WO,A1)
【文献】特開2001-196635(JP,A)
【文献】特開2001-242795(JP,A)
【文献】特開2011-30122(JP,A)
【文献】特開2001-68515(JP,A)
【文献】特表2011-520269(JP,A)
【文献】特開2003-77964(JP,A)
【文献】特開2017-195239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/26
H01L 33/00
H01L 33/62
H01L 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査体が載置されるトッププレートと、
前記被検査体に対向して配置され、前記トッププレートに載置される被検査体を加熱する複数のLEDが設けられたLEDアレイ基板と、
前記LEDアレイ基板の裏面側に配置されるクーリングプレートと、
前記クーリングプレートの裏面側に配置されて前記複数のLEDを制御するLED制御基板と、
前記LED制御基板を囲むように配置されるベースプレートと、
を備え、
前記クーリングプレートの前記LED制御基板に対向する面及び前記ベースプレートの前記LED制御基板に対向する面は、磁性体材料からなる、
LEDチャック。
【請求項2】
前記クーリングプレートの前記LED制御基板に対向する面は、前記磁性体材料からなる第1被覆層を有する、
請求項1に記載のLEDチャック。
【請求項3】
前記第1被覆層は、磁性体めっき層である、
請求項2に記載のLEDチャック。
【請求項4】
前記ベースプレートの前記LED制御基板に対向する面は、前記磁性体材料からなる第2被覆層を有する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のLEDチャック。
【請求項5】
前記第2被覆層は、磁性体めっき層である、
請求項4に記載のLEDチャック。
【請求項6】
前記磁性体材料は、ニッケルである、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のLEDチャック。
【請求項7】
前記ベースプレートは、セラミックにより形成される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のLEDチャック。
【請求項8】
前記LED制御基板に接続される接続ケーブルを備え、
前記接続ケーブルは、シールドにより覆われる、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のLEDチャック。
【請求項9】
前記LED制御基板に搭載の電子部品は、熱伝導性シートを介して前記クーリングプレートに固定される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のLEDチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、LEDチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスを検査する電子デバイス検査装置として、電子デバイスを加熱するために、LEDによって光を照射する電子デバイス検査装置(例えば、特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、LEDを照射する際に発生するノイズの外部への放射を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、被検査体が載置されるトッププレートと、前記被検査体に対向して配置され、前記トッププレートに載置される被検査体を加熱する複数のLEDが設けられたLEDアレイ基板と、前記LEDアレイ基板の裏面側に配置されるクーリングプレートと、前記クーリングプレートの裏面側に配置されて前記複数のLEDを制御するLED制御基板と、前記LED制御基板を囲むように配置されるベースプレートと、を備え、前記クーリングプレートの前記LED制御基板に対向する面及び前記ベースプレートの前記LED制御基板に対向する面は、磁性体材料からなるLEDチャックが提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示では、LEDを照射する際に発生するノイズの外部への放射を抑制する技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電子デバイス検査装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電子デバイス検査装置の正面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るLEDチャックの断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るLEDチャックのクーリングプレートの断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るLEDチャックのベースプレートの断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るLEDチャックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0009】
図1は、本実施形態に係る電子デバイス検査装置の一例である電子デバイス検査装置10の斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電子デバイス検査装置の一例である電子デバイス検査装置10の正面図である。なお、
図2は、部分的に断面図として、電子デバイス検査装置10に内蔵される構成要素を概略的に示す。
【0010】
電子デバイス検査装置10は、ウエハWに形成された複数の電子デバイスの電気的特性を検査する。電子デバイス検査装置10は、収容室12と、ローダ13と、テスター14を備える。
【0011】
収容室12は、内部が空洞の筐体形状を呈する。収容室12は、内部にステージ11を収容する。また、収容室12は、内部に、プローブカード15を備える。プローブカード15は、ウエハWの各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッド又は半田バンプに対応して配置された複数の針状のプローブ16を備える。
【0012】
ウエハWは、ステージ11に対する相対位置がずれないように該ステージ11へ固定される。ステージ11は、LEDチャック30を備える。LEDチャック30によって、ウエハWはステージ11に固定される。ステージ11は、水平方向及び上下方向に移動する。ステージ11は、プローブカード15とウエハWとの相対位置を調整する。そして、ウエハWの各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプをプローブカード15の各プローブ16へ接触させる。
【0013】
ローダ13は、搬送容器であるFOUP(Front Opening Unify Pod)から電子デバイスが配置されたウエハWを取り出して収容室12の内部のステージ11へ載置する。また、ローダ13は、検査が行われたウエハWをステージ11から除去してFOUPへ収容する。
【0014】
プローブカード15はテスター14へ接続される。各プローブ16がウエハWの各電子デバイスの電極に対応して設けられた電極パッドや半田バンプに接触する際、各プローブ16はテスター14から各電子デバイスへ電力を供給する。また、各プローブ16は、電子デバイスからの信号をテスター14へ伝達する。
【0015】
テスター14は、電子デバイスが搭載されるマザーボードの回路構成の一部を再現するテストボード(図示しない)を有する。また、テスター14のテストボードは電子デバイスからの信号に基づいて電子デバイスの良否を判断するテスターコンピュータ18に接続される。テスター14ではテストボードを取り替えることにより、複数種のマザーボードの回路構成を再現することができる。
【0016】
ローダ13は、電源等を制御するコントローラとしてのベースユニット19と、各電子デバイスにおける電位差生成回路(図示しない)、例えば、ダイオード、トランジスタ又は抵抗における電位差を測定する電位差測定ユニット20と、を備える。電位差測定ユニット20は、配線21を介してプローブカード15に接続される。電位差測定ユニット20は、電位差生成回路の各電極に対応する2つの電極パッドへ接触する2つのプローブ16間の電位差を取得し、取得した電位差をベースユニット19へ伝達する。
【0017】
ベースユニット19は配線22を介してステージ11へ接続される。また、後述するLEDチャック30の動作を制御する。
【0018】
なお、ベースユニット19や電位差測定ユニット20は収容室12に設けられてもよく、さらに、電位差測定ユニット20はプローブカード15に設けられてもよい。
【0019】
また、電子デバイス検査装置10は、ユーザインターフェース部23を備える。ユーザインターフェース部23は表示パネル、例えば、タッチパネルやキーボード等からなる。ユーザはユーザインターフェース部23において各種情報や指示を入力する。
【0020】
電子デバイス検査装置10では、電子デバイスの電気的特性の検査を行う際、テスターコンピュータ18が電子デバイスと各プローブ16を介して接続されたテストボードへデータを送信する。また、テスターコンピュータ18が、送信されたデータが当該テストボードによって正しく処理されたか否かをテストボードからの電気信号に基づいて判定する。
【0021】
<LEDチャック30>
本実施形態のLEDチャック30について説明する。
図3は、本実施形態に係るLEDチャック30の断面図である。
【0022】
LEDチャック30は、テストする電子デバイスの温度を制御するために、昇温機能を有する。LEDチャック30は、後述するLED35aにより電子デバイスの加熱を行う。LEDチャック30は、トッププレート31と、ガラスプレート32と、絶縁リング33と、ベースプレート34と、LEDアレイ基板35と、クーリングプレート36と、LED制御基板37と、を備える。
【0023】
トッププレート31は、被検査体であるウエハWを載置する。トッププレート31は、例えば、炭化シリコンにて構成される。トッププレート31は、被検査体であるウエハWを吸着するための機構を有する。
【0024】
ガラスプレート32は、トッププレート31を載置する。すなわち、ガラスプレート32は、上から見てトッププレート31の裏面側に設けられる。ガラスプレート32は、例えば、耐熱ガラスにより構成される。ガラスプレート32は、LEDアレイ基板35に搭載されるLED35aからの光を透過する。LED35aを透過した光は、トッププレート31と、トッププレート31に載置されるウエハWを加熱する。
【0025】
絶縁リング33は、ガラスプレート32とベースプレート34とを接続する部材である。絶縁リング33は、内部が空洞の円筒状の形状を有する。絶縁リング33、ガラスプレート32及びベースプレート34により形成される内部空間には、クーリングプレート36及びLED制御基板37が設けられる。絶縁リング33は、例えば、低熱膨張材により形成される。
【0026】
ベースプレート34は、クーリングプレート36を保持する。ベースプレート34は、例えば、セラミックにより構成される。クーリングプレート36は、ベースプレート34にねじ39により固定される。
【0027】
LEDアレイ基板35は、LED35aが載置される基板である。LEDアレイ基板35は、LED35aを保持するとともに、LED35aから発せられる熱をクーリングプレート36に伝熱する。LEDアレイ基板35は、例えば、アルミニウムにより形成される。
【0028】
クーリングプレート36は、LEDアレイ基板35を冷却する。クーリングプレート36は、例えば、銅により形成される。クーリングプレート36は、側面に冷媒導入口36aを備える。クーリングプレート36は、内部に、流路36bを備える。冷媒導入口36aから導入された冷媒は、流路36bを通って冷媒導出口から排出される。冷媒が流路36bを通過することにより、クーリングプレート36が冷却される。
【0029】
クーリングプレート36は、LEDアレイ基板35を載置する。すなわち、クーリングプレート36は、上から見てLEDアレイ基板35の裏面側に設けられる。
【0030】
LED制御基板37は、LEDアレイ基板35のLED35aの発光を制御する回路を備える基板である。LED制御基板37は、例えば、ガラスエポキシ基板により形成される。LED制御基板37は、給電部材38により、クーリングプレート36に固定される。LED制御基板37は、上から見てクーリングプレート36の裏面側に設けられる。なお、給電部材38は、LED制御基板37からLEDアレイ基板35のLED35aに給電も行う。LED制御基板37は、ベースプレート34により囲まれるように配置される。
【0031】
LED制御基板37は、LED35aを高速にOnとOffをスイッチングするように駆動する回路を備えるため、ノイズを発生する。LED制御基板37から発生するノイズがLEDチャック30の外部に放出されることを防止するために、すなわち、LED制御基板37からの輻射ノイズを遮蔽するために、LEDチャック30は、LED制御基板37に対応する面に磁性体材料からなる被覆層を備える。
【0032】
磁性体材料からなる被覆層ついて説明する。
【0033】
図4は、本実施形態に係るLEDチャック30のクーリングプレート36の断面図である。クーリングプレート36は、LEDアレイ基板35が載置される上面36S1と、LED制御基板37に対向する下面36S2と、上面36S1と下面36S2をつなぐ側面36S3に、磁性体材料からなる被覆層36cを備える。なお、被覆層36cは、第1被覆層の一例である。
【0034】
図5は、本実施形態に係るLEDチャック30のベースプレート34の断面図である。ベースプレート34は、LED制御基板37が対向する上面34S1に、磁性体材料で形成された被覆層34cを備える。下面34S2には、磁性体材料で形成された被覆層は形成されていない。なお、被覆層34cは第2被覆層の一例である。
【0035】
被覆層36c及び被覆層34cを形成する磁性体材料は、例えば、ニッケルである。被覆層36c及び被覆層34cは、磁性体のめっき層により形成される。すなわち、被覆層36c及び被覆層34cは磁性体めっき層である。被覆層36c及び被覆層34cが磁性体材料で形成されることにより、LED制御基板37から放射されるノイズである電界ノイズ及び磁場ノイズを遮蔽できる。
【0036】
なお、ベースプレート34を磁性体金属により構成してもよい。例えば、ベースプレート34は、磁性を有するステンレス鋼により構成してもよい。ベースプレート34自体を磁性体金属により構成することによって、シールド効果を高めることができる。
【0037】
また、被覆層36c及び被覆層34cをフェライトのめっき層によって構成してもよい。すなわち、被覆層36c及び被覆層34cをフェライトめっき層としてもよい。フェライトを用いることによって、高周波ノイズを抑制することができる。
【0038】
また、被覆層36c及び被覆層34cは、磁気シールドシートを貼り付けることにより構成してもよい。シートを貼り付けることにより容易に実装できる。また、磁気シールドシートの材質をノイズ周波数に応じて適宜選択してもよい。
【0039】
LEDアレイ基板35とLED制御基板37との接続について説明する。
図6は、本実施形態に係るLEDチャック30の断面図、特に、LEDアレイ基板35とLED制御基板37との接続部分の拡大断面図である。LEDアレイ基板35とLED制御基板37は、給電部材38で電気的に接続される。
【0040】
給電部材38は、ねじ381と、ねじ382と、ねじ381とねじ382とを接続する接続部材383を備える。ねじ381、ねじ382及び接続部材383は、導電材料により形成される。例えば、ねじ381、ねじ382及び接続部材383は、金属により形成される。ねじ381の周囲には、クーリングプレート36と絶縁するために、樹脂製のスリーブ384を備える。また、接続部材383の周囲には、クーリングプレート36と絶縁するためのスリーブ385が設けられる。
【0041】
LED制御基板37は、LED35aを制御するために電子部品371を備える。電子部品371は、発熱をともなう部品である。電子部品371を冷却するために、電子部品371は、熱伝導性シート372を介して、クーリングプレート36と熱的に接続される。
【0042】
LED制御基板37には、接続ケーブル37aが接続される。接続ケーブル37aの周囲には、シールド40が設けられる。シールド40を設けることによって、接続ケーブル37aから放射されるノイズを半分以下に低減することができる。シールド40は、例えば、ステンレス鋼により形成される。なお、接続ケーブル37aを磁気シールドシートで覆うようにしてもよい。
【0043】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
30 LEDチャック
31 トッププレート
32 ガラスプレート
33 絶縁リング
34 ベースプレート
34c 被覆層
34S1 上面
34S2 下面
35 LEDアレイ基板
36 クーリングプレート
36c 被覆層
36S1 上面
36S2 下面
36S3 側面
37 LED制御基板
37a 接続ケーブル
38 給電部材
40 シールド
371 電子部品
372 熱伝導性シート
W ウエハ