(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】電磁誘導式エンコーダ用の送受信構成
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
G01D5/245 110Q
(21)【出願番号】P 2021049069
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2024-02-15
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】テッド ステイトン クック
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-113542(JP,A)
【文献】特開2004-61498(JP,A)
【文献】特開平3-96809(JP,A)
【文献】特開2019-49528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12 - 5/252
G01B 7/00 - 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
x軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダであって、
測定軸方向に沿って延び、信号変調スケールパターンを有するスケールであって、x軸方向に直交するy軸方向に沿ったパターントラック幅寸法を有する少なくとも第1パターントラックを含む前記信号変調スケールパターンを含み、各パターントラックは、x軸方向に沿った位置の周期的な関数として変化する空間的に変化する特性を提供するように配置された信号変調素子を含む、前記スケールと、
少なくとも前記第1パターントラックに近接して取り付けられ、少なくとも前記第1パターントラックに対して測定軸方向に沿って相対的に移動するように構成され、前記スケールに面する前面を有する多層回路素子を含む検出部と、
コイル駆動信号を提供するように前記検出部に動作可能に接続され、前記検出部から入力される検出信号に基づいて、前記検出部と前記信号変調スケールパターンとの相対的位置を特定するように構成される信号処理部と、を備え、
前記検出部は、
前記多層回路素子上に設けられた磁場生成コイルと、
x軸およびy軸方向に沿って延在し、前記多層回路素子の前面に対し
て法線であるz軸方向に沿った位置に関して第1トラック被遮蔽導体層と前記多層回路素子の1つ以上の受信ループ層との間に位置する第1トラック遮蔽領域層に作製された少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域を含む導電遮蔽領域構成と、
前記多層回路素子の1つ以上の前記受信ループ層に作製されたそれぞれの導電性の受信ループを有する複数の検知素子と、を備え、
前記磁場生成コイルは、
前記コイル駆動信号を供給するため、前記磁場生成コイルを前記信号処理部に接続する少なくとも2つの接続部を含む入力部と、
前記第1パターントラック
に整列した第1トラック生成磁場領域
を取り囲み、前記コイル駆動信号に応答して前記第1トラック生成磁場領域に第1トラック変化磁束を生成するように構成された第1トラック磁場生成コイル部とを備え、
前記第1トラック磁場生成コイル部は、
前記多層回路素子の1つ以上の伸長部層に作製され、前記第1トラック生成磁場領域の第1側および第2側にそれぞれ近接し、x軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法にわたって共に延在し、y軸方向の互いの最小の離間が前記第1トラック生成磁場領域の最小幅寸法である第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成と
一組の第1トラック導体経路であって、各前記第1トラック導体経路は第1トラックの前記第1トラック第1側伸長部構成または前記第1トラック第2側伸長部構成のうちの少なくとも1つに接続され、少なくとも1つの前記第1トラック導体経路は前記多層回路素子の第1トラック被遮蔽導体層内に作製された遮蔽層導体部を備え、少なくとも1つのそのような前記遮蔽層導体部は、x軸方向を横切る方向に沿って延びる被遮蔽層横断導体部であり、少なくとも1つのそのような被遮蔽層横断導体部は、前記第1トラック第1側伸長部構成と前記第1トラック第2側伸長部構成との間の少なくともy軸方向の最小離間にまたがっており、かつ、前記第1トラック磁場生成コイル部における前記第1トラック第1側伸長部構成と前記第1トラック第2側伸長部構成とを接続する導体経路に含まれる前記第1トラック導体経路と、を備え、
導電性の前記受信ループは、前記第1パターントラック
に整列された第1トラック検知素子領域にわたってx軸方向に沿って分布し、前記検知素子は、前記スケールパターンの隣接する前記信号変調素子によって提供される第1トラック変化磁束への局所的影響に応じた検出信号または検出信号寄与を提供するように構成され、
前記第1トラック生成磁場領域の各端部において、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第2側伸長部構成の少なくとも1つは、x軸方向に沿った位置の関数として、前記生成磁場領域の端部に近づくにつれて、前記第1トラック生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成された端部勾配配置を含み、
少なくとも1つの前記端部勾配配置は、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成を接続する前記被遮蔽層横断導体部を含む導体経路の1つに接続されており、
前記導電遮蔽領域構成は、前記受信ループ層と、前記第1トラック第1側伸長部構成と前記第1トラック第2側伸長部構成とを接続する前記被遮蔽層横断導体部との間に介在するように構成された少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域を備え、前記受信ループ層に向かうz軸方向に沿って関連する前記被遮蔽層横断導体部のz軸方向への投影の少なくとも半分の領域を遮断するように構成されている、ことを特徴とする電磁誘導式エンコーダ。
【請求項2】
前記端部勾配配置が、タイプAの前記端部勾配配置またはタイプBの前記端部勾配配置のうちの少なくとも1つに従って構成されており、
タイプAの前記端部勾配配置は、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成のそれぞれに少なくとも2つの電流パスノードを備え、x軸方向に関して前記生成磁場領域の端部に最も近く、かつ中心から最も遠い遠位電流パスノードと、x軸方向に関して前記生成磁場領域の中心に最も近く、かつ端部から最も遠い近位電流パスノードとを含み、前記遠位電流パスノードおよび前記近位電流パスノードは、それぞれ、前記伸長部層内で、前記伸長部層の外側に電流を伝達する導体経路に接続され、これにより、関連する前記第1トラック第1側または第2側伸長部構成では、x軸方向に沿って前記近位電流パスノードまで延びる中央領域における正味の動作電流は、前記伸長部層において相対的に大きく、x軸方向に沿って前記近位電流パスノードと前記遠位電流パスノードとの間を延びる端部ノード領域における正味の動作電流は、前記伸長部層において相対的に小さく、
タイプBの前記端部勾配配置は、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成が、x軸方向に沿って延びる中央領域の前記伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に接近しており、関連する前記第1トラック第1側伸長部構成または前記第1トラック第2側伸長部構成は、x軸方向に沿って延びるそれぞれの端部領域の前記伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に遠ざかるように構成され、かつ、それぞれのタイプBの前記端部勾配配置に関連付けられており、関連する前記第1トラック第1側伸長部構成または前記第1トラック第2側伸長部構成は、それぞれの端部領域の前記伸長部層内で、前記伸長部層の外側に電流を伝達する導体経路に接続され、これにより、前記第1トラック生成磁場領域は、中央領域ではy軸方向について相対的に狭く、それぞれのタイプBの前記端部勾配配置に関連付けられたそれぞれの端部領域ではy軸方向について相対的に広くなる、ことを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項3】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプAの前記端部勾配配置を含み、
タイプAの前記端部勾配配置は、さらに、x軸方向に関して、前記遠位電流パスノードと前記近位電流パスノードとの間の端部ノード領域に位置する少なくとも1つの中間電流パスノードを含み、
前記中間電流パスノードは、前記伸長部層内で、前記伸長部層の外に電流を伝達する導体経路に接続されており、これにより、前記近位電流パスノードと前記中間電流パスノードとの間の前記端部ノード領域のサブ領域における前記伸長部層における正味の動作電流は、前記中央領域における正味の動作電流よりも相対的に小さく、前記中間電流パスノードと前記遠位電流パスノードとの間の前記端部ノード領域のサブ領域における正味の動作電流よりも相対的に大きいことを特徴とする、請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項4】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプAの前記端部勾配配置を含み、
タイプAの前記端部勾配配置は、z軸方向に沿って延び、各電流パスノードを前記遮蔽層導体部に接続するそれぞれの導電性層間接続を備えるそれぞれの導体経路に接続される、請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項5】
タイプAの前記端部勾配配置において、各電流パスノードは、それぞれの導電性層間接続を介して同じ前記遮蔽層導体部に接続されている、請求項4に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項6】
前記導電遮蔽領域構成が、前記受信ループ層と、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる前記被遮蔽層横断導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えており、第1トラック導電遮蔽領域は、それぞれの導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1トラック検知素子領域と重なる、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる前記被遮蔽層横断導体部のz軸投影の全領域を遮断するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項7】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプAの前記端部勾配配置を含み、
前記第1パターントラックの前記信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置され、
タイプAの前記端部勾配配置が、その端部ノード領域が、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部ノード領域寸法ENRDXを有するように構成されており、Jは、少なくとも1である数である、ことを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項8】
Jが少なくとも2であることを特徴とする請求項7に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項9】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプAの前記端部勾配配置を含み、
前記第1トラック検知素子領域は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法とにわたって延びており、x軸方向に沿った前記第1トラック検知素子領域長寸法は、前記第1トラック伸長部長寸法よりも長く、
タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる少なくとも1つの前記被遮蔽層横断導体部は、前記受信ループ層に向かうそのz軸投影が、第1トラック検知素子領域内の導電性の受信ループと少なくとも部分的に重なるように構成されており、
前記導電遮蔽領域構成が、前記受信ループ層と、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる前記被遮蔽層横断導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えており、第1トラック導電遮蔽領域は、z軸方向に沿って延びて第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1トラック検知素子領域と重なる、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる前記被遮蔽層横断導体部のz軸投影の全領域を、遮断するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項10】
前記導電遮蔽領域構成が、前記受信ループ層と、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる前記遮蔽層導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えており、第1トラック導電遮蔽領域は、z軸方向に沿って延びて第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成にまたがるy軸幅寸法内であり、タイプAの前記端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる前記遮蔽層導体部のz軸投影の全領域を、遮断するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項11】
前記第1パターントラックの前記信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置され、
x軸方向に沿った前記第1トラック検知素子領域長寸法は、各端部において前記第1トラック伸長部長寸法よりも少なくともWLである寸法SEだけ延びていることを特徴とする請求項9に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項12】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプBの前記端部勾配配置を含み、
タイプBの前記端部勾配配置において、端部領域は、中央領域に近い近位サブ領域と、近位サブ領域よりも中央領域から遠い遠位サブ領域とを含み、遠位サブ領域では、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成は、近位サブ領域におけるそれらの離間と比較して、y軸方向に沿って互いに相対的に離れていることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項13】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプBの前記端部勾配配置を含み、
タイプBの前記端部勾配配置は、
関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成の端部領域において、導電性層間接続と前記遮蔽層導体部とからなる導体経路に接続され、導電性層間接続は、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成と前記遮蔽層導体部との間に接続されていることを特徴とする請求項12に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項14】
少なくとも1つの前記端部勾配配置がタイプBの前記端部勾配配置を含み、
前記第1パターントラックの前記信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置され、
タイプBの前記端部勾配配置の端部領域が、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部領域寸法ERDXにわたって延びるように構成されており、Jは少なくとも2である数である請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項15】
タイプAの前記端部勾配配置とタイプBの前記端部勾配配置との組み合わせからなる複数の前記端部勾配配置(EGA)を含む、前記第1トラック生成磁場領域の周囲にマルチターン構成で構成された第1トラック磁場生成コイル部を備え、前記マルチターン構成は、
生成磁場領域の第1端部の近傍にある第1側第1端部EGAの近位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第1側第2端部EGAの近位電流パスノードを含む前記第1トラック第1側伸長部構成の第1の第1側伸長部と、
生成磁場領域の第2端部の近傍にある第2側第2端部EGAの近位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第2側第1端部EGAの近位電流パスノードを含む前記第1トラック第2側伸長部構成の第1の第2側伸長部と、
生成磁場領域の第1端部の近傍にある第1側第1端部EGAの遠位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第1側第2端部EGAの遠位電流パスノードを含む前記第1トラック第1側伸長部構成の第2の第1側伸長部と、
生成磁場領域の第2端部の近傍にある第2側第2端部EGAの遠位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第2側第1端部EGAの遠位電流パスノードを含む前記第1トラック第2側伸長部構成の第2の第2側伸長部と、を備え、
第1側第2端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される前記被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第1の導体経路を介して、第2側第2端部EGAの近位電流パスノードと直列に接続され、
第2側第1端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される前記被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第2の導体経路を介して、第1側第1端部EGAの遠位電流パスノードと直列に接続され、
第1側第2端部EGAの遠位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される前記被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第3の導体経路を介して、第2側第2端部EGAの遠位電流パスノードと直列に接続され、
第2側第1端部EGAの遠位電流パスノードは、導電性層間接続と前記遮蔽層導体部とを備える導体経路を介してコイル駆動信号の前記入力部に直列に接続され、
第1側第1端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続と前記遮蔽層導体部とを備える導体経路を介してコイル駆動信号の前記入力部に直列に接続されることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項16】
前記第1トラック検知素子領域は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法とにわたって延びており、x軸方向に沿った前記第1トラック検知素子領域長寸法は、前記第1トラック伸長部長寸法よりも長く、
前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第2側伸長部構成を接続する関連する前記被遮蔽層横断導体部は、その前記受信ループ層に向かってのz軸方向の投影が、第1トラック検知素子領域の導電性の受信ループと少なくとも部分的に重なるように構成されており、
第1トラックの前記導電遮蔽領域構成は、前記受信ループ層に向かってz軸方向に沿って延び、第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除いて、前記受信ループ層と前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成を接続する関連する前記被遮蔽層横断導体部との間に介在するように構成された導電遮蔽領域を備え、少なくともそのz軸方向の投影が第1トラック検知素子領域と重なる、関連する前記被遮蔽層横断導体部のz軸方向の投影のすべての領域を、遮断するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項17】
少なくとも1つの伸長部層および少なくとも1つの前記受信ループ層は、多層回路素子の同一層であり、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成の少なくとも1つおよび導電性の受信ループの少なくとも一部は、その同一層内に作製されることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【請求項18】
前記生成磁場領域の各端部において、前記第1トラック第1側伸長部構成および前記第1トラック第2側伸長部構成のそれぞれは、x軸方向に沿った位置の関数として、前記生成磁場領域の端部に近づくにつれて前記生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成された前記端部勾配配置(EGA)を備えることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定器に関し、より具体的には、精密測定器において使用できる電磁誘導式エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なエンコーダ構成には、様々なタイプの光学式、静電容量式、磁気式、電磁誘導式、移動および/または位置トランスデューサが含まれうる。これらのトランスデューサは、読取ヘッド内の送信器および受信器の様々な幾何学的構成を使用して、読取ヘッドとスケールとの間の移動を測定する。磁気式および電磁誘導式トランスデューサは、汚れに対して比較的ロバストではあるため、多くの用途で望ましいとされている。
【0003】
特許文献1は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明している。特許文献2および特許文献3は、信号生成および処理回路を含む電磁誘導式インクリメンタル型ノギスおよびリニアスケールについて説明している。特許文献4、特許文献5および特許文献6は、電磁誘導式トランスデューサを使用する電磁誘導式アブソリュート型ノギスおよび電子式巻き尺について説明している。特許文献7は、高精度用途に使用可能である電磁誘導式トランスデューサについて説明しており、平行に二分されたスケール並びに複数の送信コイルおよび受信コイルのセットが、電磁誘導式トランスデューサに誤差を生じさせる可能性のある特定の信号オフセットを低減する。上記のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの特許に説明されるように、電磁誘導式トランスデューサは、プリント回路基板技術を使用して製造することができ、汚れにほとんど影響されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6011389号明細書
【文献】米国特許第5973494号明細書
【文献】米国特許第6002250号明細書
【文献】米国特許第5886519号明細書
【文献】米国特許第5841274号明細書
【文献】米国特許第5894678号明細書
【文献】米国特許第7906958号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなシステムは、例えば信号強度、小型サイズ、高分解能、価格、位置ずれおよび汚れに対するロバスト性等の組み合わせといったユーザによって望まれる特徴の特定の組み合わせを提供する能力に限界がある場合がある。これらおよびその他の特徴の改善された組合せを提供するエンコーダの構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この概要は、以下の詳細な説明において更に説明される概念のセレクションを、簡略形式で紹介するために提供される。この概要は、請求項に係る主題の重要な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求項に係る主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【0007】
x軸方向と一致する測定軸方向に沿って2つの要素間の相対位置を測定するために使用可能な電磁誘導式エンコーダが提供される。様々な実施態様において、電磁誘導式エンコーダは、スケールと、検出部と、信号処理部とを含む。スケールは、測定軸方向に沿って延在し、x軸方向に直交するy軸方向に沿ったトラック幅寸法を有する少なくとも第1パターントラックを備える信号変調スケールパターンを含む。いくつかの実施形態では、信号変調スケールパターンは、第1パターントラックと、第1パターントラックと平行にx軸方向に延在する第2パターントラックとを含む。各パターントラックは、x軸方向に沿った位置の周期的な関数として変化する空間的に変化する特性を提供するように配置された信号変調素子を備える。
【0008】
検出部は、少なくとも第1パターントラックに近接して取り付けられ、少なくとも第1パターントラックに対して測定軸方向に沿って移動するように構成される。
【0009】
様々な実施形態では、検出部は、スケールに面する前面を有する多層回路素子(例えば、プリント基板または多層回路素子)を含む。磁場生成コイル(送信器)は、多層回路素子に固定される。磁場生成コイルは、コイル駆動信号を供給するため、前記磁場生成コイルを前記信号処理部に接続する少なくとも2つの接続部を含む入力部と、第1パターントラックに整列した第1トラック生成磁場領域を公称的に取り囲み、コイル駆動信号に応答して第1トラック生成磁場領域に第1トラック変化磁束を生成するように構成された第1トラック磁場生成コイル部とを含む。第1トラック磁場生成コイル部は、多層回路素子の1つ以上の伸長部層に作製された第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成を備え、第1トラック生成磁場領域の第1側および第2側にx軸方向に沿って延在するものとして説明してもよい。第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成が共にx軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法にわたって延在し、または第1トラック伸長部長寸法を定義し、第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成との間のy軸方向の最小の離間が、第1トラック生成磁場領域の最小幅寸法を定義する。第1トラック磁場生成コイル部はさらに一組の第1トラック導体経路を構成し、導体経路の各部は第1トラック第1側伸長部構成または第1トラック第2側伸長部構成のうちの少なくとも1つに接続され、少なくとも1つの導体経路は多層回路素子の第1トラック被遮蔽導体層内に作製された遮蔽層導体部を含む。様々な実施形態では、少なくとも1つのそのような遮蔽層導体部は、x軸方向を横切る方向に沿って延びる横断導体部である。少なくとも1つのそのような被遮蔽層横断導体部は、第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成との間の少なくともy軸方向の最小離間にまたがっており、第1トラック磁場生成コイル部における第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成とを接続する第1トラック導体経路に含まれる。
【0010】
検出部は、x軸およびy軸方向に沿って延在し、多層回路素子の前面に対して公称的に法線であるz軸方向に沿った位置に関して前記第1トラック被遮蔽導体層と多層回路素子の1つ以上の受信ループ層との間に位置する第1トラック遮蔽領域層に作製された少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域を含む導電遮蔽領域構成をさらに備える。検出部はさらに、多層回路素子の1つ以上の受信ループ層に作製されたそれぞれの導電性の受信ループを有する複数の検知素子を備え、導電性の受信ループは、第1パターントラックに公称的に整列された第1トラック検知素子領域にわたってx軸方向に沿って分布している。検知素子は、スケールパターンの隣接する信号変調素子によって提供される第1トラック変化磁束への局所的影響に応じた検出信号または検出信号寄与を提供するように構成される。
【0011】
信号処理部は、コイル駆動信号を提供するように検出部に動作可能に接続されてよく、検出部から入力される検出信号に基づいて、検出部と信号変調スケールパターンとの相対的位置を特定するように構成される。
【0012】
本明細書に開示された原理に従った様々な実施形態では、検出部は以下のように構成される。
生成磁場領域の各端部において、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成の少なくとも1つは、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域の端部に近づくにつれて第1トラック生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成された端部勾配配置を含む。
少なくとも1つの端部勾配配置は、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成を接続する被遮蔽層横断導体部を含む導体経路の1つに接続されている。
そして、導電遮蔽領域構成は、受信ループ層と、第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成とを接続する被遮蔽層横断導体部との間に介在するように構成された少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域を備え、受信ループ層に向かうz軸方向に沿って関連する被遮蔽層横断導体部のz軸方向への投影の少なくとも半分の領域を遮断するように構成されている。
【0013】
上述のように構成された端部勾配配置が、既知の磁場生成コイルに関連する「端部効果」に起因して、さもなくば位置測定において発生する特定の周期的誤差を確実に低減し、検出部とスケールとの間で発生する可能性のあるずれ(例えば、取り付けまたはガイドのずれ等)に対するそのような誤差の感度を低減するのに特に有用であることが見出されている。
【0014】
様々な実施形態では、端部勾配配置は、「タイプA」の端部勾配配置または「タイプB」の端部勾配配置のうちの少なくとも1つに従って構成されているかもしれない。
【0015】
本明細書に開示されているように、タイプAの端部勾配配置は、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成のそれぞれに少なくとも2つの電流パスノードを備え、x軸方向に関して生成磁場領域の端部に最も近く、かつ中心から最も遠い遠位電流パスノードと、x軸方向に関して生成磁場領域の中心に最も近く、かつ端部から最も遠い近位電流パスノードとを含む。遠位電流パスノードおよび近位電流パスノードは、それぞれ、伸長部層内で、伸長部層の外側に電流を伝達する導体経路(CPX-xx)に接続される。このようなタイプAの端部勾配配置の結果として、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成では、x軸方向に沿って近位電流パスノードまで延びる中央領域における正味の動作電流は、伸長部層において相対的に大きく、x軸方向に沿って近位電流パスノードと遠位電流パスノードとの間を延びる端部ノード領域における正味の動作電流は、伸長部層において相対的に小さくなる。これにより、生成磁場領域の端部付近で望ましい磁界勾配が得られる。
【0016】
本明細書に開示されているように、タイプBの端部勾配配置は、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成が、x軸方向に沿って延びる中央領域の伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に接近しており、関連する第1トラック第1側伸長部構成または第1トラック第2側伸長部構成が、x軸方向に沿って延びるそれぞれの端部領域の伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に遠ざかるように構成されている。それぞれの端部領域は、それぞれのタイプBの端部勾配配置に関連付けられている。関連する第1トラック第1側伸長部構成または第1トラック第2側伸長部構成は、それぞれの端部領域の伸長部層内で、伸長部層の外側に電流を伝達する導体経路に接続される。このようなタイプBの端部勾配配置の結果として、第1トラック生成磁場領域は、中央領域ではy軸方向について相対的に狭く、それぞれのタイプBの端部勾配配置に関連付けられたそれぞれの端部領域ではy軸方向について相対的に広くなる。これにより、生成磁場領域の端部付近で望ましい磁界勾配が得られる。
【0017】
いくつかの実施形態では、タイプAの端部勾配配置が、さらに、x軸方向に関して、遠位電流パスノードと近位電流パスノードとの間の端部ノード領域に位置する少なくとも1つの中間電流パスノードを含む。中間電流パスノードは、伸長部層内で、伸長部層の外に電流を伝達する導体経路に接続されている。このようなタイプAの端部勾配配置の結果として、近位電流パスノードと中間電流パスノードとの間の端部ノード領域のサブ領域における伸長部層における正味の動作電流は、中央領域における正味の動作電流よりも相対的に小さく、中間電流パスノードと遠位電流パスノードとの間の端部ノード領域のサブ領域における正味の動作電流よりも相対的に大きくなる。これにより、生成磁場領域の端部付近で特に望ましい磁界勾配が得られる場合がある。
【0018】
いくつかの実施形態では、タイプAの端部勾配配置は、z軸方向に沿って延び、その電流パスノードを遮蔽層導体部に接続するそれぞれの導電性層間接続を備えるそれぞれの導体経路に接続される。いくつかのそのようなタイプAの端部勾配配置(EGA)では、各電流パスノードは、それぞれの導電性層間接続を介して同じ遮蔽層導体部に接続されており、これは、いくつかの実施形態では有利であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、そのようなタイプAのEGAは、受信ループ層と、そのようなタイプAのEGAに含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を構成する導電遮蔽領域構成と組み合わせて使用される。第1トラック導電遮蔽領域は、それぞれの導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1トラック検知素子領域と重なる、そのようなタイプAのEGAに含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部のz軸投影の全領域を、遮断するように構成されていてもよい。
【0020】
様々な実施形態では、第1パターントラックの信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置される。いくつかの実施形態では、含まれるタイプAの端部勾配配置の各々が、その端部ノード領域が、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部ノード領域寸法ENRDXを有するように構成されていると有利である。ここで、Jは、少なくとも1である数である。いくつかの実施形態では、Jが少なくとも2であるとさらに有利である。
【0021】
タイプAの端部勾配配置を含む様々な実施形態では、第1トラック検知素子領域は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法とにわたって延びてよく、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法は、(例えば、いくつかの実施形態では、各端部において少なくともWLである量だけ)、第1トラック伸長部長寸法よりも長い。いくつかのそのような実施形態では、タイプAの端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部は、受信ループ層に向かうそのz軸投影が、第1トラック検知素子領域内の導電性受信ループと少なくとも部分的に重なるように構成されていてもよい。いくつかのそのような実施形態では、導電遮蔽領域構成が、受信ループ層と、任意のタイプAの端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えると有利であり得る。第1トラック導電遮蔽領域は、有利には、z軸方向に沿って延びて第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1トラック検知素子領域と重なる、タイプAの端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部のz軸投影の全領域を、遮断するように構成されていてもよい。いくつかのそのような実施形態において、第1トラック導電遮蔽領域は、有利には、横断導体部ではない遮蔽層導体部を含む、タイプAの端部勾配配置に含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる遮蔽層導体部のz軸投影の全領域を遮断するように構成されていてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、タイプBの端部勾配配置において、端部領域は、中央領域に近い近位サブ領域と、近位サブ領域よりも中央領域から遠い遠位サブ領域とを含む。遠位サブ領域では、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成は、近位サブ領域におけるそれらの離間と比較して、y軸方向に沿って互いに相対的に離れている。これにより、生成磁場領域の端部付近でx軸方向に沿って特に望ましい磁界勾配が得られる場合がある。
【0023】
いくつかの実施形態では、タイプBの端部勾配配置において、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成の端部領域において、導電性層間接続と遮蔽層導体部とからなる導体経路に接続された導電性層間接続は、関連する第1トラック第1側または第2側伸長部構成と遮蔽層導体部との間に接続される。
【0024】
様々な実施形態では、第1パターントラックの信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置される。いくつかの実施形態では、タイプBの端部勾配配置の端部領域が、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部領域寸法ERDXにわたって延びるように構成されていると有利である。ここで、Jは、少なくとも1である数である。いくつかの実施形態では、Jが少なくとも2であるとさらに有利である。
【0025】
タイプBの端部勾配配置を含む様々な実施形態では、第1トラック検知素子領域は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法とにわたって延びてよく、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法は、(例えば、いくつかの実施形態では、各端部において少なくともWLである量だけ)、第1トラック伸長部長寸法よりも長い。いくつかのそのような実施形態では、第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成とを接続する被遮蔽層横断導体部が、タイプBの端部勾配配置に接続された導体経路に含まれてもよく、受信ループ層に向かってのそのz軸投影が、第1トラック検知素子領域内の導電性受信ループと少なくとも部分的に重なるように構成されていてもよい。
【0026】
いくつかのそのような実施形態では、導電遮蔽領域構成が、受信ループ層と、タイプBの端部勾配配置に接続された導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部(例えば、第1トラック第1側伸長部構成と第1トラック第2側伸長部構成とを接続する被遮蔽層横断導体部)との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えると有利であり得る。それぞれの第1トラック導電遮蔽領域は、有利には、それぞれの第1トラック導電遮蔽領域が、z軸方向に沿って延び、それぞれの第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1トラック検知素子領域と重なる、タイプBの端部勾配配置に接続された任意の導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部のz軸投影の全領域を、遮断するように構成されていてもよい。いくつかのそのような実施形態において、それぞれの第1トラック導電遮蔽領域は、有利には、横断導体部ではないそれぞれの遮蔽層導体部を含む、タイプBの端部勾配配置に接続された任意の導体経路に含まれる遮蔽層導体部のz軸投影の全領域を遮断するように構成されていてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、Aタイプの端部勾配配置とBタイプの端部勾配配置との組み合わせからなる複数の端部勾配配置(EGA)を含む、生成磁場領域の周囲にマルチターン構成で構成された磁場生成コイル部を備えてもよい。マルチターン構成は、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第1側第1端部EGAの近位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第1側第2端部EGAの近位電流パスノードを含む第1トラック第1側伸長部構成の第1の第1側伸長部と、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第2側第2端部EGAの近位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第2側第1端部EGAの近位電流パスノードを含む第1トラック第2側伸長部構成の第1の第2側伸長部と、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第1側第1端部EGAの遠位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第1側第2端部EGAの遠位電流パスノードを含む第1トラック第1側伸長部構成の第2の第1側伸長部と、生成磁場領域の第2端部の近傍にある第2側第2端部EGAの遠位電流パスノードを含み、生成磁場領域の第1端部の近傍にある第2側第1端部EGAの遠位電流パスノードを含む第1トラック第2側伸長部構成の第2の第2側伸長部と、を備えてもよい。第1側第2端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第1の導体経路を介して、第2側第2端部EGAの近位電流パスノードと直列に接続されていてもよい。第2側第1端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第2の導体経路を介して、第1側第1端部EGAの遠位電流パスノードと直列に接続されていてもよい。第1側第2端部EGAの遠位電流パスノードは、導電性層間接続に接続される被遮蔽層横断導体部に接続される導電性層間接続を備える第3の導体経路を介して、第2側第2端部EGAの遠位電流パスノードと直列に接続されていてもよい。第2側第1端部EGAの遠位電流パスノードは、導電性層間接続と遮蔽層導体部とを備える導体経路を介して駆動信号入力に直列に接続されてもよく、第1側第1端部EGAの近位電流パスノードは、導電性層間接続と遮蔽層導体部とを備える導体経路を介して駆動信号入力に直列に接続されてもよい。いくつかのそのような「マルチターン」の実施形態では、導電遮蔽領域構成が、受信ループ層と、EGAに含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部との間に介在する第1トラック導電遮蔽領域を備えるとよい。
【0028】
タイプAおよび/またはタイプBの端部勾配配置を含む様々な実施形態では、生成磁場領域の各端部において、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成のそれぞれが、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域の端部に近づくにつれて生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成された端部勾配配置(EGA)を備えると有利であり得る。
【0029】
様々な実施形態において、タイプAおよび/またはタイプBの端部勾配配置は、検出部に実装されてもよく、少なくとも1つの伸長部層および少なくとも1つの受信ループ層は、多層回路素子の同一層であり、第1トラック第1側伸長部構成および第1トラック第2側伸長部構成の少なくとも1つおよび導電性の受信ループの少なくとも一部は、その同一層内に作製される。
【0030】
電磁誘導式エンコーダのいくつかの実施形態では、信号変調スケールパターンは、第1パターントラックと平行に配置された第2パターントラックをさらに含み、第1および第2パターントラックは、それぞれ、x軸方向に沿って分布する信号変調素子を含む。そのような実施形態では、磁場生成コイルは、第2パターントラックに公称的に整列した第2トラック生成磁場領域を取り囲むように構成された第2トラック磁場生成コイル部を含み、コイル駆動信号に応答して第2トラック生成磁場領域に第2トラック変化磁束を生成するように構成されている。このような第2トラック磁場生成コイル部の様々な実施形態は、有利には、上で概説されたような端部勾配配置の実装に関連する任意の特徴を含む、上で概説された「第1トラック」構成のいずれかの様々な特徴を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、検出部およびスケールを含む電磁誘導式エンコーダを使用するハンドツールタイプのノギスの組立分解等角図である。
【
図2】
図2は、電磁誘導式エンコーダに使用可能である検出部の先行技術の実施態様を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一般的に
図2に対応する、検出部の磁場生成コイルの端部の先行技術の実施形態を示す等角図であり、検出部における磁場を生成する伸長部と導電性の受信ループとの相対的な配置がより明確に図示されている。
【
図4】
図4は、本明細書に開示されている原理に従った検出部の第1の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターンを示す平面図である。
【
図5】
図5は、一般的に
図4に対応する、第1の例示的なの実施形態を示す等角図であり、検出部における磁場を生成する伸長部と導電性の受信ループとの相対的な配置がより明確に図示されている。
【
図6】
図6は、本明細書に開示されている原理に従った検出部の第2の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターンを示す等角図である。
【
図7】
図7は、本明細書に開示されている原理に従った第3の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターンを示す等角図である。
【
図8】
図8は、本明細書に開示されている原理に従った検出部の第4の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターンを示す平面図である。
【
図9】
図9は、電磁誘導式エンコーダを含む測定システムのコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、本明細書に開示された原理に従った「タイプA」の端部勾配配置の実施形態を含む磁場生成コイルを示す検出部の第5の例示的な実施形態を示す等角図である。
【
図11】
図11は、検出部の第6の例示的な実施形態を示す等角図であり、第1トラックおよび第2トラックの磁場生成コイルを含む磁場生成コイル部を示し、それぞれが、本明細書に開示された原理に従ったタイプAの端部勾配配置の実施形態を含む。
【
図12】
図12は、本明細書に開示された原理に従った「タイプB」の端部勾配配置の実施形態を含む磁場生成コイルを示す検出部の第7の例示的な実施形態を示す平面図である。
【
図13】
図13は、検出部の第8の例示的な実施形態を示す平面図であり、本明細書に開示された原理に従ってタイプAおよびタイプBの両方の端部勾配配置の特徴を組み合わせた端部勾配配置を含む磁場生成コイルを示す。
【
図14】
図14は、検出部の第9の例示的な実施形態を示す平面図であり、本明細書に開示された原理に従ってタイプAおよびタイプBの両方の端部勾配配置の特徴を組み合わせた端部勾配配置を含む「2ターン」の磁場生成コイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本明細書に開示された原理に従って、既知の検出部167およびスケールパターン180、または新規の検出部167およびスケールパターン180を含む電磁誘導式エンコーダを使用することのできるハンドツールタイプのノギス100の組立分解等角図である。 図示された実施形態では、ノギス100は、スケール170を含む概略矩形断面のスパーを有するスケール部材102と、スライダアセンブリ120とを含む。様々な実施態様において、スケール170は、x軸方向に相当する測定軸方向MAに沿って延在してよく、また、信号変調スケールパターン180を含んでよい。既知のタイプのカバー層172(例えば100μmの厚さ)が、スケール170を覆ってよい。スケール部材102の第1の端の近くのジョー108および110と、スライダアセンブリ120上の可動ジョー116および118とが、既知の方法で、物体の寸法を測定するために使用される。スライダアセンブリ120は、端止め具154によって、スケール部材102の下のデプスバー溝152内に収められるデプスバー126を任意選択的に含んでもよい。デプスバー測定端128を穴の中に延ばして、その深さを測定することができる。スライダアセンブリ120のカバー139が、オン/オフスイッチ134と、ゼロ設定スイッチ136と、測定結果ディスプレイ138とを含んでよい。スライダアセンブリ120のベース140は、スケール部材102のサイドエッジ146に接触するガイドエッジ142を含み、ネジ147によって弾性圧力バー148をスケール部材102の対向するエッジに付勢することで、測定、および、スケール170に対する読取ヘッド部164の移動に適切な位置合わせを保証する。
【0033】
ベース140に取り付けられたピックオフアセンブリ160は、本実施態様では、磁場生成コイル部および測定軸方向MAに沿って配置された検知素子群(例えば集合的に磁場生成および検知巻線部)を含む検出部167と、信号処理部(例えば制御回路)166とを搭載した多層回路素子162(例えば、プリント回路基板またはPCB)を含む読取ヘッド部164を保持する。回路および接続部の汚染を防止するため、弾性シール163が、カバー139と多層回路素子162との間で圧縮されるとよい。検出部167は、絶縁コーティングによって覆われてよい。
【0034】
1つの特定の例示的な例では、検出部167は、スケール170と平行にかつスケール170に対向して配置され、また、スケール170に対向する検出部167の前面または表面は、深さ(Z)方向に沿って、約0.5mmの間隙によって、スケール170(および/または信号変調スケールパターン180)から離間されてよい。読取ヘッド部164とスケール170とを合わせて、電磁誘導式エンコーダの一部としてのトランスデューサが形成されうる。一実施態様では、トランスデューサは、磁場の変化を生成することによって動作する渦電流型または誘導型のトランスデューサであってよい。以下により詳細に説明されるように、磁場の変化は、当該磁場内に置かれた信号変調スケールパターン180の信号変調素子の幾つかにおいて、エディカレントと知られる渦電流を誘導する。
図1に示されるノギス100は、コンパクトサイズ、低電力動作(例えば、バッテリ長寿命化のため)、高分解能および高精度測定、低コスト、汚れに対するロバスト性などの比較的最適化された組合せを提供するために、長年にわたって発展した電磁誘導式エンコーダを典型的に実装する様々な用途のうちの1つであることが理解されるであろう。これらの要因のいずれか、および/または位置エンコーダで達成可能な信号対雑音比(S/N)のわずかな改善でさえも、非常に望ましいが、特に、様々な用途において商業的成功を達成するために課される設計制約の観点から、これを達成することは困難である。以下の説明に開示される原理は、特に費用効果および小型化の点で、これらの要素のうちの幾つかに改良を提供する。
【0035】
図2および
図3は、それぞれ、
図1等に示される電磁誘導式エンコーダにおける検出部167および信号変調スケールパターン180として使用可能である検出部267およびスケールパターン180の既知の従来技術の実施態様を示す平面図および等角図である。
図2および
図3の特定の特徴のみが、
図4~9を参照して詳細に後述する新規な電磁誘導式エンコーダおよび検出部の特定の類似した特徴および動作の理解に適用される適切な背景および説明を提供するため、以下に詳細に説明される。
図2および
図3に示された実施形態を理解するのに有用なより詳細な説明は、一般に譲渡された米国特許第10520335号(以下、’335特許という)に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
図2は、検出部267およびスケールパターン180の既知の先行技術の実施態様を示す平面図である。
図2は、一部は具象的であり、一部は概略的であるとみなすことができる。検出部267およびスケールパターン180の拡大部分は、
図2の下部に示されている。
図2では、以下に説明する様々な要素は、それらの形状または輪郭によって表現され、特定の幾何学的関係を強調するために互いに重ね合わされて示されている。一般的に知られている設計慣行に基づいて、および/または以下の説明および/または以下の説明に概説されているように(例えば、
図3を参照して)、当業者に明らかであるように、様々な動作ギャップおよび/または絶縁層を提供するべく、必要に応じて、z軸方向に沿って異なる平面に位置する様々な加工層上に様々な要素が存在してもよいことを理解されたい。
図2および
図3に示される特定の実施形態では、磁場生成コイルFGCの伸長部EP1およびEP2は、導電性の受信ループSEN1~SEN24と重なり、したがって、多層回路素子の少なくとも第1の内部金属層を含む伸長部金属層のセットを用いて作製され、導電性の受信ループSEN1~SEN24は、スケールパターン180に面する検出部の前面に第1の内部金属層よりも近い少なくとも1つの金属層を含む多層回路素子の受信ループ金属層のセットを用いて作製される。本主題に関連して、
図2の検出部267の拡大断面図は、伸長部EP1およびEP2と重なる導電性の受信ループSEN14~SEN16のそれぞれのy軸方向両端部を破線で示し、導電性の受信ループが伸長部よりも検出部の前面に近いことを示している。(
図3も参照のこと)。一方、
図2の検出部267の正面図では、図示を容易にするためだけに、導電性の受信ループSEN1~SEN24のそれぞれの2つの端部を実線で示している。本開示の図面を通して、1つまたは複数の要素の図示されたx軸、y軸、および/またはz軸の寸法は、明確にするために誇張されていてもよいことが理解されるであろう。
【0037】
信号変調スケールパターン180の図示される部分は、破線の輪郭で示される信号変調素子SMEを含み、信号変調素子SMEは、(
図1に示される)スケール170上に配置される。
図2に示す実施形態では、ほとんどの信号変調素子SMEのy方向の端部は、第1および第2伸長部EP1およびEP2の下に隠されている。
図1に示すように、スケールパターン180は、動作中に検出部267に対して移動することが理解されるであろう。
【0038】
図2の例では、スケールパターン180は、x軸に直交するy軸方向に沿って公称スケールパターン幅寸法NSPWDを有し、測定軸方向MAに沿って周期的に(例えば、x軸方向に対応して)配置された個別の信号変調素子SMEを備える。しかし、より一般的には、信号変調スケールパターン180は、パターンがx軸方向に沿った位置の関数として変化する空間特性を有し、これにより、既知の方法に従って、検出部267の検知素子SEN(例えば、SEN14)に生じる位置依存検出信号(一部の実施形態では、検出信号成分とも呼ばれる)を提供するならば、個別の要素または1つ以上の連続パターン要素を含む様々な代替空間変調パターンを含んでよい。
【0039】
様々な実施態様では、検出部267は、スケールパターン180に近接して取り付けられ、スケールパターン180に対して測定軸方向MAに沿って移動するように構成される。以下の開示に基づいて当業者には理解されるように、検出部は、磁場生成コイルFGCと、様々な実施形態において様々な対応する信号処理スキームと組み合わせて使用される様々な代替構成をとることができる複数の検知素子SENとを含む。
図2は、検知素子SEN1~SEN24の単一の代表的なセットを示し、これは、この特定の実施形態では、直列に接続された導電性の受信ループCRL1~CRL24(あるいは、検知ループ素子または検知コイル素子と呼ばれる)を備える。この実施態様では、隣接するループ素子は、多層回路素子の様々な層上の導体の構成によって接続され(例えば、層間接続(フィードスルー)によって接続されるように)、既知の方法に従って、反対の巻線極性を有するように接続される。すなわち、第1のループが磁界の変化に正極性の検出信号寄与で応答する場合、隣接するループは負極性の検出信号寄与で応答する。この特定の実施態様では、検知素子は、それらの検出信号または信号寄与が加算されるように直列に接続され、「加算された」検出信号が、検出信号出力接続部SDS1およびSDS2で信号処理部(図示せず)に出力される。
図2は、視覚的混同を回避するために単一の検知素子のセットを示しているが、様々な実施態様では、異なる空間位相位置で1つまたは複数の追加の検知素子のセットを提供するように(例えば、直交信号を提供するように)検出部を構成することが有利であることが当業者には理解されよう。当然ながら、本明細書において説明される検知素子の構成は、例示に過ぎず、限定ではない。一例として、個々の検知素子ループは、幾つかの実施形態では、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2018/003524号に開示されるように、対応する信号処理部に個別の信号を出力してもよい。より一般的には、様々な実施形態において、様々な既知の検知素子構成が、様々な既知の信号変調スケールパターンおよび信号処理スキームと組み合わせた使用のために、本明細書において開示され、請求項に係る原理と組み合わせて使用されてよい。
【0040】
様々な検知素子および磁場生成コイルFGCは、基板(例えば、
図1の多層回路素子162)上に固定されてもよい。磁場生成コイルFGCは、x軸方向に沿った公称コイル領域長寸法NCALDと、y軸方向に沿った約YSEPの公称コイル領域幅寸法とを有する内部領域INTAを囲むものとして説明することができる。様々な実施形態では、磁場生成コイルFGCは、内部領域INTAを取り囲む単一の巻線を含んでよい。動作時には、磁場生成コイルFGCは、コイル駆動信号に応答して内部領域INTAに磁束変化を生成する。
【0041】
様々な実施形態では、磁場生成コイルFGCは、入力部INP、第1伸長部EP1および第2伸長部EP2、および端部EDP(例えば、
図3を参照して開示されているように実装される)を含んでもよい。入力部INPは、コイル駆動信号を信号処理部(例えば
図1の信号処理部166または
図9の信号処理部966等)から磁場生成コイルFGCに提供する第1入力接続部ICP1および第2入力接続部ICP2を含む。第1接続部ICP1および第2接続部ICP2は、プリント回路基板の層間接続等を介して、信号処理部に接続されてよく、また、いくつかの実施形態では、端部EDPを、参照して以下に開示されるものと類似した原理を利用して、接続部をシールドしてもよい。第1伸長部EP1および第2伸長部EP2は、それぞれ、内部領域INTAの側面に隣接または近接してx軸方向に沿って延びており、y軸方向に沿って公称生成トレース幅寸法NGTWDを有している。図示された実施形態では、公称生成トレース幅寸法NGTWDは、第1伸長部EP1および第2伸長部EP2について同じであるが、これは、すべての実施形態において要求されるものではない。端部EDP(例えば、
図3を参照して開示されているように実装されている)は、第1伸長部EP1と第2伸長部EP2の間の公称コイル領域幅寸法YSEPに対応するy軸方向の離間にまたがっており、内部領域INTAの端部付近でその間の接続を提供する。
図2および
図3に示されている既知の実施形態において、磁場生成コイルFGCは、変化する磁束に応答して生じる検出信号に対応して規定された公称動作周波数における磁場生成コイルFGCのインピーダンスを最小化するために、各公称生成トレース幅寸法NGTWDが、公称コイル領域幅寸法YSEPの少なくとも0.1倍、または0.15倍、または0.25倍、および/または伸長部EP1およびEP2の表皮深さの少なくとも25倍であってもよい設計比を用いて有利に構成されている。しかしながら、様々な既知の実施形態におけるその有用性にもかかわらず、他の手段によって磁場生成コイルFGCのインピーダンスを最小化し得る本明細書に開示された様々な新規な実施形態において、この設計比は必要とされないことが理解されるべきである。
【0042】
検知素子SEN1~SEN24は、(例えば測定軸方向MAに相当する)x軸方向に沿って配置され、基板(例えば
図1の多層回路素子162)上に設けられる。
図2の例では、検知素子SENの各々は、y軸方向に沿った公称検知素子幅寸法NSEWDを有し、公称検知素子幅寸法NSEWDの少なくとも半分以上は、y軸方向に沿った公称コイル領域幅寸法YSEP内に含まれる。検知素子SENは、スケール170のスケールパターン180の隣接する信号変調部(例えば、1つ以上の信号変調素子SME)によって提供される磁束変化への局所的影響に応じた検出信号を提供するように構成される。信号処理部(例えば
図1の信号処理部166または
図9の信号処理部966等)は、検出部267から入力された検出信号に基づいて、スケールパターン180(またはスケール170)に対する複数の検知素子SEN1~SEN24の位置を特定するように構成されてもよい。一般に、磁場生成コイルFGCおよび検知素子SEN1~SEN24などは、参考文献に記載されているような既知の原理(例えば、誘導式エンコーダ)に従って動作してもよい。
【0043】
様々な実施形態では、磁場生成コイルFGCおよび検知素子SENは、互いに絶縁される。いくつかの実施形態では、それらは、既に記載したように、多層回路素子内の絶縁層によって分離された異なる金属層に配置されている。
図2および
図3に図示された公知の実施形態では、少なくとも1つの検知素子SENの公称検知素子幅寸法NSEWDが、好ましくは、伸長部EP1およびEP2の間の公称コイル領域幅寸法YSEPよりも大きく、オーバーラップ寸法ODとして定義される量だけ、伸長部EP1またはEP2の少なくとも1つの内縁IEを越えて延びている場合、このようなことがある。さらに、様々な実施形態において、磁場生成コイルFGCは、各公称生成トレース幅寸法NGTWDが、対応するオーバーラップ寸法ODよりも大きくなるように有利に構成されてもよい。
図2および
図3に図示された既知の実施形態について上述したこれらおよび他の特徴は、一般に、そのS/N比および/または精度を最大化するために、検出部267におけるインピーダンスおよび信号結合を最適化するように選択される。しかしながら、様々な既知の実施形態におけるそれらの有用性にもかかわらず、これらの設計上の特徴は、ここに開示された原則に従って、様々な新規な実施形態において必ずしも必要とされないことが理解されるべきである。これらの新規な実施形態は、等しいまたはより良いS/N比および/または精度を得るために、
図4~8を参照して開示されているように、他の手段によって等しいまたはより良いインピーダンスおよび信号結合を達成してもよい。
【0044】
図1に関して上述したように、様々な実施態様では、検出部267は、様々なタイプの測定機器(例えば、ノギス、マイクロメータ、ゲージ、リニアスケールなど)に含まれてもよい。例えば検出部267は、スライド部材に固定されてよく、信号変調スケールパターン180は、x軸方向と一致する測定軸を有するスケール部材に固定されてよい。このような構成において、スライド部材は、スケール部材に移動可能に取り付けられ、x軸方向およびy軸方向に沿って延在する平面(z軸方向は、当該平面に対して直交する)内で測定軸方向MAに沿って移動可能である。
【0045】
図3は、一般的に
図2に対応する、検出部の磁場生成コイルの端部の先行技術の実施形態を示す等角「ワイヤフレーム」図であり、伸長部EP1およびEP2、検出部267で使用可能な磁場生成コイルFGCの端部EDP、および検出部267における導電性の受信ループSENとの相対的な配置がより明確に図示されている。
図3の検出部267の要素は、
図2の検出部267の同様に番号が付けられた要素と類似または同一であってもよく、それに類推して一般的に理解されてもよいことが理解されるであろう。
【0046】
検出部267は、磁場生成コイルFGCと、複数の検知素子SEN1~SEN24(導電性の受信ループCRL14~CRL24からなる代表的な検知素子SEN17~SEN24は、
図3に図示されている)とを含むように示されている。磁場生成コイルFGCは、第1伸長部EP1、第2伸長部EP2、および端部EDPとを含み、多層回路素子162(例えば、
図1に示す多層回路素子162)上に固定され、内部領域INTAを公称的に取り囲んでいる。
【0047】
既に概説したように、様々な実施形態では、磁場生成コイルFGCおよび検知素子SENは、例えば、介在する絶縁層によって分離されたプリント回路基板の異なる導電層に配置される等により互いに絶縁される。
図3に示される特定の実施形態では、磁場生成コイルFGCの伸長部EP1およびEP2は、多層回路素子の少なくとも第1の内部金属層を(
図3のZ座標Zepに)含む伸長部金属または導電層のセットを用いて作製され、導電性の受信ループSEN1~SEN24は、スケールパターン180に面する検出部の前面(Z座標Zfs)に第1の内部金属層(Zep)よりも近い2つの金属層を(Z座標ZseL1またはZseL2に)含む多層回路素子の受信ループ金属層のセットを用いて作製される。
図3において、様々なラベル付けされたZ座標は、様々な多層回路素子層のそれぞれの面と一致しているか、または識別されていると理解され得る。様々な実施形態において、多層回路素子は、PCB、厚膜ハイブリッド回路、薄膜回路、または他の代替的な製造手法を公知の方法に従って使用することができる。スケールパターン180の信号変調素子SMEは、Z座標Zsmeにおいて、スケール170(
図1に示す)の表面上に存在する。スケール170は、検出部267を搭載した多層回路素子とは別個のものであることが理解されるであろう。上述したように、多層回路素子(検出部267)は、Z座標Zfsに位置する前面(例えば、絶縁被覆の前面)を有する。Z座標Zsmeのスケール面とZ座標Zfsの前面との間には動作ギャップが存在する。検知素子SENは、Z座標ZseL1またはZseL2に少なくとも1つの金属層を含む多層回路素子の受信ループ金属層のセットを用いて作製された相互接続された導電性の受信ループを備える。導電性の受信ループは、以下でより説明されるように、導電性の受信ループの導電性部分が、検知素子の信号寄与を直列的に接続し、それぞれの信号寄与の極性を提供しながら、互いに交差してもよいように、一般的に金属層を公知の方法に従って分離する絶縁層を介した公知のタイプの導電性層間接続を用いて、層間(Z座標ZseL1およびZseL2で)接続されてもよい。
【0048】
図3に示す特定の実施形態では、第1伸長部EP1および第2伸長部EP2は、それぞれ、x軸方向に沿って延び、公称的に、スケールパターン180に面する検出部267の多層回路素子の前面(Zfs)から、x軸方向およびy軸方向に直交するz軸方向に沿って、伸長部z距離EPZD=(Zep-Zfs)に配置される。いくつかの実施形態では、導電性の受信ループは、受信ループ金属層のセットに含まれるそれぞれの層(ZseL1およびZseL2)に形成された平面トレースループ部分と、それらのそれぞれの層の間で平面トレース部分を接続するメッキ穴を含む層間接続部分とを含む。図示された実施形態では、平面トレース部分は、第1の内部金属層(Zep)よりも検出部の前面(Zfs)に近いそれぞれの層(ZseL1、ZseL2)に作製される。いくつかの実施形態では、導電性の受信ループの平面トレース部分の少なくとも一部は、検出部の前面に位置する金属層(Zfs)、または検出部の前面に最も近い金属層であるそれぞれの層(ZseL1またはZseL2で)に作製されてもよい。
【0049】
既に概説したように、端部EDPは、内部領域INTAの端部付近でその間の接続を提供するために、第1伸長部EP1と第2伸長部EP2の間の公称コイル領域幅寸法YSEPに対応するy軸方向の離間にまたがる導電性の経路を備える。
図3に示す実施形態では、端部EDPは、Z座標Zsesを有するそれぞれの多層回路素子層上に存在する被遮蔽端部SESを含む。この被遮蔽端部SESは、検出部267の多層回路素子の前面(Zfs)からの被遮蔽端部z距離SESZD=(Zses-Zfs)に公称的に位置している。ここで、被遮蔽端部z距離SESZDは、伸長部z距離EPZDよりも大きい。
図3に示す特定の実施形態では、被遮蔽端部SESは、伸長部EP1およびEP2の端部からx軸方向に沿ってオフセットされており、第1接続部CNP1(例えば、多層回路素子の層間接続CNP1Aおよび導電性トレースCNP1Bからなる)が第1側伸長部EP1を被遮蔽端部SESの第1の端部に接続し、第2接続部CNP2(例えば、多層回路素子の層間接続CNP2Aおよび導電性トレースCNP2Bからなる)が第2側伸長部EP2を被遮蔽端部SESの第2の端部に接続する。代替的な実施形態(
図3には示されていない)では、被遮蔽端部SESは、伸長部EP1、EP2の端部からx軸方向に沿って大きくオフセットされていなくてもよく、導電性トレースCNP1B、CNP2Bは省略されていてもよい。すなわち、多層回路素子の層間接続CNP1Aは、第1伸長部EP1を「非オフセット」被遮蔽端部SESの第1の端部に接続してもよく、多層回路素子の層間接続CNP2Aは、第2伸長部EP2を「非オフセット」被遮蔽端部SESの第2の端部に接続してもよい。
【0050】
上述した端部EDPのいずれかの実施形態では、検出部267は、x軸方向およびy軸方向に沿って延び、Z座標Zcsrを有するそれぞれの多層回路素子層の面上に公称的に位置し、検出部267の多層回路素子の前面からの遮蔽領域z距離SRZD=(Zcsr-Zfs)に位置する、導電遮蔽領域CSR(例えば、
図3におけるやや任意に配置された破線の「端部」線で表される導電性の平面領域)をさらに含む。様々な実施形態では、遮蔽領域z距離SRZDは被遮蔽端部z距離SESZDよりも小さく、導電遮蔽領域CSRは、被遮蔽端部SESの少なくとも一部と検出部267の多層回路素子の前面(Zfs)との間に配置される。導電遮蔽領域CSRは、検出部267の多層回路素子内の広範なグランドプレーン層の一部を含んでもよいし、いくつかの実施形態では離散的な領域を含んでもよい。導電遮蔽領域CSRは、第1接続部CNP1および第2接続部CNP2(例えば、多層回路素子の層間接続)が導電遮蔽領域CSRから分離または絶縁されるようなクリアランスホールを含んでいてもよい。
【0051】
’355特許 に教示されているように、
図3を参照して上述した原理に従った被遮蔽端部を使用する以前は、磁場生成コイルの端部(例えば、y軸方向に沿って延びる端部)によって生成された磁場成分は、それらに最も近い検知素子の検出信号に、いわゆる「端部効果」と呼ばれる誤差成分が生じる原因となっていた。検出部の「先細りの端部構造」を使用して、および/または磁場生成コイルの端部を端部の検知素子から遠くに離間することによって、この端部効果を緩和することが試みられてきた。しかし、これらのアプローチは、望ましくないほど信号強度を低下させるか、検出部のx軸寸法を増加させるか、またはその両方を生じさせる。これに対して、
図3を参照して上述した被遮蔽端部の構成では、端部によって生成される界磁成分を低減し、および/または信号変調素子SMEに到達することを防止する傾向がある。ゆえに、最も近い検知素子に結合される磁界成分は、スケールの位置に関係なく、より小さくおよび/またはほぼ一定となり、したがって、端部効果を実質的に緩和する。’335特許はさらに、
図3を参照して上記で概説したような遮蔽端構成が、検知素子SENに対する被遮蔽端部SESの影響(例えば、変化する磁束に関連する)を低減するために導電性の遮蔽領域(複数可)CSRを使用し、これにより、変化する磁束等に応答して生じる検出信号に影響を与えないように、端部EDPが検知素子SENからできるだけ離れた位置に配置される必要がない、磁場生成コイルFGC(または検出部267)のためのより短い全体的なx軸寸法を可能にする可能性があることを要約したものである。
【0052】
しかしながら、’335特許(本願と共通に譲渡されている)は、磁場生成コイルFGCの端部が、先述の従来の構成と比較して、検知素子SENから遠くに位置する必要はないことを示唆しているが、それでも、磁場生成コイルFGCの端部EDPと最も近い検知素子SENとの間にある程度の離間を含む構成のみを開示し、教示している。特に、’335特許は、端部EDPまたは被遮蔽端部SESが、任意の検知素子SENに近接して配置されてもよいことを認識していないか、または示唆していない。対照的に、本発明者は、端部EDPまたは被遮蔽端部SESが、検知素子SENに近接して配置され、および/または検知素子SENと重なって配置されることが有利である構成を発見した。あるいは別の言い方をすれば、本発明者は、磁場生成コイルFGCが、従来知られている構成よりも実質的に短く、複数の検知素子SENが、x軸方向に沿って、磁場生成コイルFGCの端部EDPまたは被遮蔽端部SESを越えて延びることが有利であるという構成を発見した。そのような構成で使用可能な様々な特徴および代替案が、
図4~8を参照して以下に開示されている。
【0053】
図4および
図5は、それぞれ、
図1等に示される電磁誘導式エンコーダにおける検出部167および信号変調スケールパターン180として使用可能である、本明細書に開示および請求される原理に従った検出部467および互換性のあるスケールパターン180の第1の実施態様を示す平面図および等角図である。検出部467は、
図2および
図3の検出部267と同様の一定の特徴およびコンポーネントを有する。特に、
図4と
図2において、または
図5と
図3において、類似の参照番号(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)で指定された要素、または様々な図において他に明らかに類似した要素は、類似の要素であり、以下に別段の記載がある場合を除いて、類似して動作すると理解され得る。
図4および
図5の特定の特徴のみが、その記述が、本明細書に開示およびクレームされた原理に従って新規な特徴および/または利点を強調するため、以下に詳細に記載されており、図面は、当技術分野の通常の熟練者によって、本明細書に含まれる他の図面および記述、または組込まれた参照文献に含まれる他の図面および記述との類推によって、他の方法で理解され得る。
【0054】
図4は、検出部467の第1の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターン180を示す平面図である。
図4は、一部は具象的であり、一部は概略的であるとみなすことができる。先に示されたように、本開示の図面を通して、1つまたは複数の要素の図示されたx軸、y軸、および/またはz軸の寸法は、明確にするために誇張されていてもよいことが理解されるであろう。検出部467およびスケールパターン180の拡大部分は、
図4の下部に示されている。
図4では、以下に説明する様々な要素は、それらの形状または輪郭によって表現され、特定の幾何学的関係を強調するために互いに重ね合わされて示されている。一般的に知られている設計慣行に基づいて、および/または以下の説明および/または以下の説明に概説されているように(例えば、
図5を参照して)、当業者に明らかであるように、様々な動作ギャップおよび/または絶縁層を提供するべく、必要に応じて、z軸方向に沿って異なる平面に位置する様々な加工層上に様々な要素が存在してもよいことを理解されたい。
【0055】
図4および
図5に示すように、信号変調スケールパターン180は、x軸方向に直交するy軸方向に沿ったパターントラック幅寸法PTDYを有する第1パターントラックFPTを含む。第1パターントラックは、x軸方向に沿った位置の周期的な関数として変化する空間的に変化する特性を提供するように配置された信号変調素子SMEを含む。検出部467は、第1パターントラックFPTに近接して取り付けられ、第1パターントラックFPTに対して測定軸方向MAに沿って相対的に移動するように構成される。検出部467は、通常の動作中にスケールパターン180を搭載するスケールに面する前面を有する多層回路素子(例えば、本明細書で既に概説されている)を含む。検出部467は、以下でより詳細に説明するように、多層回路素子に固定された磁場生成コイルFGCと、少なくとも1つの第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)と、複数の検知素子SENとを備える。
【0056】
図4に示すように、磁場生成コイルFGCは、信号処理部(例えば、
図1の信号処理部166または
図9の信号処理部966)からのコイル駆動信号に磁場生成コイルを接続する少なくとも2つの接続部ICP1,ICP2を含む入力部INPと、第1パターントラックFPTに公称的に整列された第1トラック生成磁場領域GFA(FT)を取り囲み、コイル駆動信号に応答して第1トラック生成磁場領域GFA(FT)に第1トラック変化磁束を生成するように構成された第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)とから構成される。
図4に示す第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、(例えば、
図5に示すように)多層回路素子の1つ以上の伸長部層EPL内に作製され、第1トラック生成磁場領域GFA(FT)の第1側および第2側に近接してx軸方向に沿って延びる第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)および第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)を有する。第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)および第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)は共にx軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法EPDXにわたって延在し、または第1トラック伸長部長寸法EPDXを定義し、第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)との間のy軸方向の離間が、第1トラック生成磁場領域の最小幅寸法GFADY(FT)を定義する。第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、さらに、(例えば、
図5に示すように)多層回路素子の第1トラック被遮蔽端部層SESL(FT)に作製され、第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)との間のy軸方向の離間にまたがり、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)における第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)とを接続する端部導体経路ECPに含まれている第1トラック被遮蔽端部SES(FT)を備える。
【0057】
第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)は、(例えば、
図5に示すように)上述した第1トラック被遮蔽端部SES(FT)と、第1トラック導電遮蔽領域CSR(FT)とから構成される。
図5を参照して以下にさらに詳細に説明するように、導電遮蔽領域CSR(FT)は、導電遮蔽領域構成CSRCに含まれ、x軸およびy軸方向に沿って延在し、多層回路素子の前表面FSに対して公称的に法線であるz軸方向に沿った位置に関して第1トラック被遮蔽端部層SESL(FT)と多層回路素子の1つ以上の受信ループ層RLL(例えばRLL1およびRLL2)との間に位置する第1トラック遮蔽領域層SRL(FT)に作製される。
【0058】
図4に示すように、複数の検知素子SEN(例えば、SEN1~SEN24)は、多層回路素子の1つ以上の受信ループ層RLL(例えば、
図5に示すようにRLL1およびRLL2)に作製されたそれぞれの導電性の受信ループ(例えば、CRL1~CRL24)を有し、導電性の受信ループCRLは、第1パターントラックFPTに公称的に整列された第1トラック検知素子領域SEA(FT)にわたってx軸方向に沿って分布している。検知素子SENは、スケールパターン180の隣接する信号変調素子SMEによって提供される第1トラック変化磁束への局所的影響に応じた検出信号または検出信号寄与を提供するように構成される。検知素子SENは、
図5を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0059】
信号処理部(例えば、
図5の信号処理部566等)は、コイル駆動信号を提供するために検出部467に動作可能に(例えば、接続点ICP1およびICP2において)接続され、検出部467から入力された検出信号に基づいて、検出部467とスケールパターン180との間の相対位置を特定するように構成されてもよいことが理解されるであろう(例えば、
図4の検出信号出力接続部SDS1およびSDS2において、
図5の信号処理部566を参照して以下にさらに詳細に説明されるように)。
【0060】
図5は、一般的に
図4に対応する、第1の例示的な実施形態を示す等角「ワイヤフレーム」図であり、検出部467における磁場を生成する伸長部EPS1およびEPS2、被遮蔽端部SES、磁場生成コイルFGCの導体経路ECP、並びに導電性の受信ループCRLの相対的な配置がより明確に図示されている。図示を明確にするために、
図5では
図4よりも少ない検知素子SENおよび/または導電性の受信ループCRLを示しているが、これらの要素は、
図4および
図5において同様であると理解されてもよい。
図5は、一部は具象的であり、一部は概略的であるとみなすことができる。
図4で使用されている「第1トラック」の接尾辞「(FT)」は、図示を明確にするために、
図5全体を通して参照番号/参照符号から省略されている。しかしながら、
図5に図示された要素は、この省略にもかかわらず、「第1トラック」の要素として考えられ、代替的に、「第2トラック」の要素(参照番号/参照符号の接尾辞「(ST)」に対応し、以下でより詳細に説明される特定の実施形態で使用可能である)として使用可能であると考えられ得ることが理解されるであろう。
図5の検出部467の要素は、
図4の検出部467の同様に番号が付けられた要素と類似または同一であってもよく、それに類推して一般的に理解されてもよいことが理解されるであろう。したがって、
図5の特定の特徴のみが、本明細書に開示され、クレームされる原則に従って新規な特徴および/または利点を強調するために必要に応じて、以下に詳細に記載される。
【0061】
図5に示すように、信号変調スケールパターン180は、既に概説された特徴および寸法を有する第1パターントラックFPTを含む。検出部467は、第1パターントラックFPTに近接して取り付けられ、第1パターントラックFPTに対して測定軸方向MAに沿って相対的に変位するように構成される。検出部467は、例えば、既に本明細書で概説されたように、既知の原理に従って絶縁層によって分離された、以下に説明されるようなその導電層によって表される多層回路素子を含むことが理解されるであろう。多層回路素子は、通常の動作中にスケールパターン180を搭載するスケールに面する前面を有することが理解されるであろう。検出部467は、以下でより詳細に説明するように、多層回路素子に固定された磁場生成コイルFGCと、少なくとも1つの第1トラック遮蔽端構成SECと、導電性の受信ループCRLを有する複数の検知素子SENとを備える。
【0062】
図5に示すように、磁場生成コイルFGCは、入力部INPと、第1パターントラックFPTに公称的に整列された第1トラック生成磁場領域GFAを取り囲み、信号処理部566からのコイル駆動信号に応答して第1トラック生成磁場領域GFAに第1トラック変化磁束を生成するように構成された第1トラック磁場生成コイル部FGCPとを備える。
【0063】
図5に示す特定の実施形態では、信号処理部566からのコイル駆動信号を供給するために、入力部INPは、磁場生成コイルFGCを信号処理部566に接続する入力接続部ICP1BおよびICP2Bにそれぞれ接続される2つの入力接続部ICP1A、ICP2Aを備える。
【0064】
図5に示す第1トラック磁場生成コイル部FGCPは、多層回路素子の1つ以上の伸長部層EPL内に作製される第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2を有する。本明細書に記載された層EPLおよび他の層は、参照符号およびそのような層のための例示的な平面に対応する破線によって、
図5に示されている。第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2は、第1トラック生成磁場領域GFAの第1側S1および第2側S2に近接してx軸方向に沿って延びている。第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2は共にx軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法EPDXにわたって延在し、または第1トラック伸長部長寸法EPDX定義し、第1トラック第1側伸長部EPS1と第1トラック第2側伸長部EPS2との間のy軸方向の離間が、第1トラック生成磁場領域の公称幅寸法GFADYを定義する。
【0065】
第1トラック磁場生成コイル部FGCPは、さらに、多層回路素子の第1トラック被遮蔽端部層SESLに作製され、第1トラック第1側伸長部EPS1と第1トラック第2側伸長部EPS2との間のy軸方向の離間にまたがり、第1トラック磁場生成コイル部FGCPにおける第1トラック第1側伸長部EPS1と第1トラック第2側伸長部EPS2とを接続する端部導体経路ECPに含まれている第1トラック被遮蔽端部SESを備える。
図5に示す特定の実施形態では、端部導体経路ECPは、第1トラック被遮蔽端部SESと、端部導体経路部ECP1BおよびECP2Bと、第1トラック磁場生成コイル部FGCPの被遮蔽端部SESを介して第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2を接続するためにそれぞれ端部導体経路部ECP1BおよびECP2Bに接続された層間接続要素である2つの端部導体経路部ECP1AおよびECP2Aとを備える。
図5に示す特定の実施形態では、被遮蔽端部SESは、伸長部EPS1およびEPS2の端部からx軸方向に沿ってオフセットされており、これにより、端部導体経路ECPにおいて端部導体経路部ECP1BおよびECP2Bを使用する必要がある。代替的な実施形態(
図5には示されていない)では(特に、
図5の矢印A1またはA2によって示されるように、導電遮蔽領域がx軸方向に沿って拡大される代替的な構成では)、被遮蔽端部SESは、伸長部EPS1およびEPS2の端部からx軸方向に沿って大幅にオフセットされる必要はない。このような代替実施形態では、端部導体経路部ECP1B、および端部導体経路部ECP2Bは省略されてもよい。すなわち、層間接続要素ECP1Aは、第1伸長部EPS1を「非オフセット」被遮蔽端部SESの第1の端部に接続してもよく、層間接続要素ECP2Aは、第2伸長部EPS2を「非オフセット」被遮蔽端部SESの第2の端部に接続してもよい。
図5に示すように、2つの端部導体経路部または層間接続要素ECP1A、ECP2Aは、z軸方向に沿って延び、絶縁された穴(ボイド;void)INSVを利用して導電遮蔽領域CSRを通過し、端部導体経路ECPを介して被遮蔽端部SESを通って第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2を接続する。導電遮蔽領域CSRおよび/または端部導体経路ECPの様々な構成を使用することができる様々な実施形態では、EPS1またはEPS2のような第1トラック伸長部と第1トラック被遮蔽端部SESとの間の各接続は、上で概説したものと同様の層間接続要素(例えば、PCBの層間接続要素)を含む。
【0066】
図5に示す特定の実施形態では、第1トラック遮蔽端構成SECは、上述した第1トラック被遮蔽端部SESと、第1トラック導電遮蔽領域CSRとを備え、一実施形態では、
図5の第1トラック遮蔽端構成SECにおいて実線で図示されたようにほぼ構成されてもよい。
図5に示すように、導電遮蔽領域CSRは、導電遮蔽領域構成CSRC(これは、いくつかの実施形態では、追加の導電遮蔽領域CSR’ ’を含んでもよい)に含まれると考えられてもよい。導電遮蔽領域CSRは、一般に、様々な実施形態において、x軸方向およびy軸方向に沿って様々な範囲に延在し、z軸方向に沿った位置に関して第1トラック被遮蔽端部層SESLと多層回路素子の1つ以上の受信ループ層RLL(例えばRLL1およびRLL2)との間に位置する第1トラック遮蔽領域層SRLに作製される。
【0067】
図4および
図5に示すように、複数の検知素子SEN(例えば、SEN1~SEN24)は、多層回路素子の1つ以上の受信ループ層RLL(例えば、RLL1およびRLL2)に作製されたそれぞれの導電性の受信ループ(例えば、CRL1~CRL24)を有し、導電性の受信ループCRLは、第1パターントラックFPTに公称的に整列された第1トラック検知素子領域SEA(対応する寸法SEADXおよびSEADYを有する)にわたってx軸方向に沿って分布している。検知素子SENは、スケールパターン180の隣接する信号変調素子SMEによって提供される第1トラック変化磁束への局所的影響に応じた検出信号または検出信号寄与を提供するように構成される。
図5に図示された特定の実施形態では、導電性の受信ループCRLは、第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2と重ならない。このように、検出部267の層とは対照的に、検出部467のいくつかの実施形態では、伸長部層EPLおよび少なくとも1つの受信ループ層RLL1またはRLL2は、多層回路素子の同一層であってよく、第1トラック伸長部EPS1およびEPS2の少なくとも1つおよび導電性の受信ループCRLの少なくとも一部は、その同一層内に作製されてもよい。
【0068】
図5に示す特定の入力部INPを説明する際に既に概説したように、信号処理部566は、例えば、信号処理部566からのコイル駆動信号に磁場生成コイルFGCを接続する入力接続部ICP1B、ICP2Bにそれぞれ接続される2つの入力接続部ICP1A、ICP2Aを介して、検出部467に動作可能に接続されていてもよい。信号処理部566は、
図5に示すように、例えば検出信号出力接続部SDS1およびSDS2での検出部467から入力された検出信号に基づいて、検出部467とスケールパターン180との間の相対位置を特定するようにさらに構成されてもよい。
図5に示す特定の実施形態では、検出信号出力接続部SDS1およびSDS2は、導電遮蔽領域CSR’を通過して信号処理部566に接続するために絶縁された穴INSVを利用する層間接続要素DSFT1およびDSFT2を介してそれぞれ信号処理部566に接続されている。入力部INPで使用される接続部および導電遮蔽領域CSR’は、
図5の第1トラック遮蔽端構成SECで使用される端部導体部および被遮蔽端部SESおよび導電遮蔽領域CSRと類似していることが理解されるであろう。様々な実施形態において、入力部INPの様々な接続部(および所望であれば、信号処理部566に関連する回路および接続)をシールドするために、第1トラック遮蔽端構成SECを参照して開示されたものと類似した原理を利用することが有利であることが理解されるであろう。
【0069】
図4および
図5は、直列に接続された導電性の受信ループCRL1~CRL24を備える、1つの代表的な検知素子SEN1~SEN24のセットを示している。この特定の実施形態では、隣接するループ素子は、検出部267を参照して既に概説されたように、2つの導電性の受信ループ層RLL1、RLL2上の導電体の構成によって接続される。検知素子SEN(導電性の受信ループCRL)は、それらの検出信号または信号寄与が加算されるように直列に接続され、「加算された」検出信号が、検出信号出力接続部SDS1およびSDS2で信号処理部566に出力される。
図4および
図5は、視覚的混同を回避するために検知素子SENの単一のセットを示しているが、様々な実施態様では、異なる空間位相位置で1つまたは複数の追加の検知素子のセットを提供するように(例えば、直交信号を提供するように)検出部を構成し、それらを信号処理部566に同様の方法で接続することすることが有利であることが当業者には理解されよう。したがって、当然ながら、本明細書において説明される検知素子SENの構成は、例示に過ぎず、限定ではない。一例として、個々の検知素子ループは、幾つかの実施形態では、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2018/003524号に開示されるように、対応する信号処理部に個別の信号を出力してもよい。より一般的には、様々な実施形態において、様々な既知の検知素子構成が、様々な既知の信号変調スケールパターンおよび信号処理スキームと組み合わせた使用のために、本明細書において開示され、請求項に係る原理と組み合わせて使用されてよい。
【0070】
図4および
図5に示す実施形態は、既知の先行技術の電磁誘導式エンコーダの検出部で使用されるものとは異なる、以下の重要かつ注目すべき特徴を含む。
【0071】
まず、第1トラック検知素子領域SEA(FT)は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法SEADY(FT)とにわたって延びており、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)は、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)よりも長い。反対に、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)は、x軸方向に沿って第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)よりも著しく短くてもよい。驚くべきことに、本発明者は、そのような構成が、本明細書に開示された原理に従って、電磁誘導式エンコーダにおける信号レベル、S/N比および/または精度、および製作コストに関連する予期しないトレードオフおよび利点を可能にする可能性があることを特定した。例えば、そのような場合、検出部467は、既知の検出部よりも著しく短くてもよく、相対的に短い第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2は、また、既知の磁場生成構成と比較して本質的に低いインピーダンスを有してもよい相対的に短い磁場生成構成FGCに対して、抵抗を著しく低減することができることが理解されるべきである。その結果、予想外に高い信号レベルが実用的な方法で達成されるかもしれないが、その一方で、以下に概説されるように、有害な最終効果が相対的に抑制され、そのような先行技術で教示された既知の磁場生成構成および検出部の構成に対する様々な制約が緩和されるか、または除去されるかもしれないし、製造コストも低減されるかもしれない。
【0072】
そのようないくつかの実施形態では、
図5に示すように、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法SEADXは、各端部で第1トラック伸長部長寸法EPDXを超えて、少なくとも寸法SEだけ延びてもよい。いくつかの実施形態において、本発明者は、寸法SEが、公称第1トラック生成磁場領域幅寸法GFADYの少なくともK倍である場合に、精度に有利である可能性があることを発見した。ここで、Kは、少なくとも1である数である。このようないくつかの実施形態では、Kが少なくとも2であると、精度の点でより有利である場合がある。
図5に示すように、第1パターントラックの信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置されていてもよい。本発明者によって発見された追加の設計原理によれば、Kが少なくとも1であるいくつかの実施形態では、寸法SEがさらに少なくともWLと同程度の大きさである場合には、精度の点で有利である場合もある。このようないくつかの実施形態では、寸法SEが少なくとも2*WLとさらに大きい方が、精度の点でより有利である場合がある。
【0073】
第2に、例えば第1トラック被遮蔽端部SESおよび導電性の受信ループCRLを参照して
図5に最もよく示されているように、第1トラック被遮蔽端部SESは、受信ループ層に向かうz軸方向に沿ったそのz軸方向の投影が、第1トラック検知素子領域SEA内の導電性の受信ループCRLと少なくとも部分的に重なるように構成されている。この特徴は、上述したように、第1トラック伸長部長寸法EPDXが、x軸方向に沿って第1トラック検知素子領域長寸法SEADXよりも短いことに関連していることが理解されよう。しかしながら、この構成特徴は、’335特許の教示および既知の先行技術の検出部において明示的に回避されており、したがって、そのような検出部で達成され得るコスト、サイズおよび/または精度に影響を及ぼす望ましくない設計上の制限を課していることは注目すべきである。
【0074】
第3に、本発明者は、第1トラック導電遮蔽領域CSRが、その第1トラック遮蔽領域層SRLにおいて、第1トラック被遮蔽端部SESと第1トラック検知素子領域SEA内の導電性の受信ループCRLとの間に介在し、第1トラック検知素子領域SEA内の導電性の受信ループCRLと重なる第1トラック被遮蔽端部SESのz軸投影ZPROJの少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されていると、様々な実施形態(または場合によっては全ての実施形態)において(例えば、精度、ロバスト性、および/または低コストの製造を容易にするために)有利であることを見出した。
図5に実線の輪郭で示す導電遮蔽領域CSRは、第1トラック検知素子領域SEAの導電性の受信ループCRLと重なる第1トラック被遮蔽端部SESのz軸方向投影ZPROJの領域の全てを遮断するように構成されていることが理解されるであろう(z軸方向に沿って一般的に延び、その少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域CSRを通過する導電性の層間接続を取り囲む絶縁された穴INSVを含む場合を除く)。これは、様々な実施形態において有利であるかもしれない。しかしながら、いくつかの実施形態では、図示された第1トラック導電遮蔽領域CSRが矢印A3によって示されるようにx軸方向に沿って縮小される場合に、精度に対する有意かつ十分な利益を得ることができ、ここで、第1トラック導電遮蔽領域CSRは、第1トラック被遮蔽端部SESのz軸方向投影ZPROJの少なくとも半分以上の領域を遮蔽するように構成されるであろう。いずれの場合も、既知の検出部の実施形態(例えば、’335特許で教示されているようなもの)は、第1トラック被遮蔽端部SESと第1トラック検知素子領域SEA内の導電性の受信ループCRLとの間の基本的に異なる構成または位置関係を利用するため、導電遮蔽領域CSRのこのような構成を重要な、有用な、または適応可能な特徴として認識していない。
【0075】
第1トラック導電遮蔽領域CSR等の機能は、第1トラック被遮蔽端部SESに近接して生成する磁場と第1トラック検知素子領域SEA内の検知素子SENおよび/または信号変調素子SMEとの間の誤差を引き起こす「端部効果」の相互作用を緩和または排除することであることが理解されるであろう。これらの要素の1つ以上の仮想的な投影に対する導電遮蔽領域CSRの構成の記述は、このような誤差を引き起こす「端部効果」の相互作用の所望の緩和または排除を達成する有利な実施形態を定義するための単に実用的な方法である。
【0076】
本発明者は、いくつかの実施形態において、上述した原理に従って構成された第1トラック導電遮蔽領域CSRが、追加の設計原理または設計観点に従ってさらに構成されていると有利である場合があることを発見した。ここで、第1トラック被遮蔽端部SESの位置に対応する第1トラック伸長部長寸法EPDXの端部より外側に位置する第1トラック検知素子領域SEAの端部に分布する導電性の受信ループCRLのz軸方向に沿った投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するようにさらに構成されていると有利である。さらなる説明のためのものであり、限定するものではないが、
図5に示された実施形態では、この記述は第1トラック検知素子領域SEA内の寸法SEに沿って分布する導電性の受信ループCRLのz軸方向に沿った投影にほぼ対応している。
図5の実線の輪郭で示された第1トラック導電遮蔽領域CSRが、この追加の設計原理に従って構成されていることが認識されるであろう。
【0077】
本発明者は、いくつかの実施形態において、上述した原理に従って構成された第1トラック導電遮蔽領域CSRが、追加の設計原理または設計観点に従ってさらに構成されていると有利である場合があることを発見した。ここで、第1トラック被遮蔽端部SESの位置に対応する第1トラック伸長部長寸法EPDXの端部より内側に位置する第1トラック検知素子領域SEAの一部分に分布する少なくとも1つの導電性の受信ループCRLのz軸方向に沿った投影の全ての領域を遮断するようにさらに構成されていると有利である。さらなる説明のためのものであり、限定するものではないが、
図5に示された実施形態では、この記述は導電性の受信ループCRL14のz軸方向に沿った投影にほぼ対応し、矢印A1によって示されるように、x軸方向に沿って図示された第1トラック導電遮蔽領域CSRを拡大することにほぼ対応している。
【0078】
本発明者は、いくつかの実施形態において、少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域がz軸方向に沿って概ね延びその少なくとも1つの第1トラック導電遮蔽領域を通過する導電性の層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除いて、上述した原理に従って構成された第1トラック導電遮蔽領域CSRが、第1トラック検知素子領域SEA内に分布する全ての導電性の受信ループCRLのz軸方向に沿った投影の領域の全てを遮断するようにさらに構成されていると有利であることを発見した。さらなる説明のためのものであり、限定するものではないが、
図5に示された実施形態では、矢印A2によって示されるように、x軸方向に沿って図示された第1トラック導電遮蔽領域CSRを拡大し、導電遮蔽領域CSR’を導電遮蔽領域構成CSRC内の導電遮蔽領域CSRと/または導電遮蔽領域構成CSRC内に併合させることすることにほぼ対応している。
【0079】
図4および
図5を参照して上記で開示された設計原理および実施形態は、’335特許で教示され、
図2および
図3に示された先行技術の実施形態とは、いくつかの重要な点で異なることが理解されるべきである。
【0080】
上記に開示された第1の原理によれば、第1トラック検知素子領域SEA(FT)は、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)と、y軸方向に沿った第1トラック検知素子領域幅寸法SEADY(FT)とにわたって延びており、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)は、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)よりも長い。第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)と類似する
図2における寸法には、便宜上、SEADXana(接尾辞「ana」は類似を意味する)と表記されている。第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)と類似する
図2における寸法は、便宜上、EPDXanaと表記されている。上記の設計原理とは対照的に、’335特許はその反対のことを教示していることがわかる。すなわち、
図2に示すように、x軸方向に沿った第1トラック検知素子領域長寸法の類似物SEADXanaは、第1トラック伸長部長寸法の類似物EPDXanaよりも著しく短くなっている。あるいは、別の態様で述べれば、
図4に示す第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)は、
図2に示すその類似物EPDXanaよりも著しく短い(例えば、半分の長さ、またはそれ以下の長さ)。
【0081】
上記に開示された第2の原理によれば、
図4に示された第1トラック被遮蔽端部SES(FT)は、そのz軸方向に沿ったz軸方向の投影が、受信ループ層に向かって少なくとも部分的に第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の導電性の受信ループCRLと重なるように構成されている(例えば、
図5に示された第1トラック被遮蔽端部SESを参照して示され、さらに詳細に説明されているように)。
図2および
図3の第1トラック被遮蔽端部SES(FT)に類似する特徴を便宜的にSESanaと表記する(接尾辞「ana」は類似を意味する)。上記の設計原理とは対照的に、’335特許はその反対のことを教示していることがわかる。すなわち、
図2および
図3に示すように、第1トラック被遮蔽端部の類似物SESanaは、最も近い端部の導電性の受信ループCRLから意図的に有意に離れた位置にあり、そのz軸方向に沿った受信ループ層へのz軸方向の投影が、
図2および
図3の対応する検知素子領域の導電性の受信ループCRLと重なることを禁止する(つまり、有意に離れる)ように構成されている。この制限は、’335特許で教示され、
図2および
図3に示されているように、本明細書で開示され、クレームされている電磁誘導式エンコーダおよび検出部の設計原理に関連したいくつかの特徴および利点を妨げるものである。
【0082】
上記に開示された第3の原理によれば、第1トラック導電遮蔽領域CSR(FT)は、その第1トラック遮蔽領域層SRLにおいて、第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の第1トラック被遮蔽端部SES(FT)と導電性の受信ループCRLとの間に介在するように構成され、第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の導電性の受信ループCRLと重なる第1トラック被遮蔽端部SES(FT)のz軸方向投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されている(例えば、
図5に示された導電遮蔽領域CSRおよび導電遮蔽領域構成CSRCを参照して詳細に示され、説明されているように)。導電遮蔽領域CSRに類似する
図3の特徴は、同様にCSRと表記されている。上で概説した設計原理とは対照的に、’335特許は、導電遮蔽領域CSRが、その第1トラック遮蔽領域層(
図3におけるZ位置Zcsrに位置する)において、第1トラック被遮蔽端部SESと、対応する第1トラック検知素子領域内の導電性の受信ループCRLとの間に介在するように構成される必要がないことを教示していることが、
図3で見て取れよう。上で概説した設計原理とは対照的に、’335特許は、導電遮蔽領域CSRが、第1トラック検知素子領域内の導電性の受信ループCRLと重なる第1トラック被遮蔽端部SESのz軸方向投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されていなくてもよいことをさらに教示していることも、
図3を参照して理解されよう。すなわち、
図3に示すように、第1トラック被遮蔽端部の類似物SESanaは、それおよびそれと対応する導電遮蔽領域CSRが、最も近い端部の導電性の受信ループCRLから意図的に有意に離れた位置にある。その結果、そのz軸方向に沿ったz軸方向の投影は、
図3のそれらの対応する検知素子領域における導電性の受信ループCRLと重なることが禁止されている(すなわち、有意に離れている)。さらに、
図3の例示された導電遮蔽領域CSRは、同様に、それらの対応する検知素子領域の導電性の受信ループCRLから有意に離れている。
【0083】
したがって、先述の説明によれば、(例えば、
図2および
図3に例示されているように)’335特許の教示は、本明細書に開示され、クレームされている電磁誘導式エンコーダおよび検出部の設計原理に適合していない。これは、’335特許が、本明細書に開示された原理および請求項に従って構成された検出部とは、特定の根本的に異なる要素関係を含む検出部の構成を対象としているからである。仮に、’335特許において、本明細書に開示された特異な設計原理を満たす可能性のある構成について偶発的な言及があるとすれば、それは偶然の発生であり、意図的な教示ではない。そのような言及は、本明細書に開示され、クレームされている様々な設計原理、特徴、およびそれらの相乗的な組み合わせを示唆する、特に有利な、望ましい、または適応可能な設計原理または特徴として、当技術分野の通常の技術者の一人によって理解されることはないであろう。
【0084】
図6は、本明細書に開示されている原理に従った検出部667の第2の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターン680を示す等角「ワイヤフレーム」図である。検出部667は、
図4および
図5の検出部467と同様の一定の特徴およびコンポーネントを有する。特に、
図6と、
図4および
図5とにおいて、類似の参照番号(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)で指定された要素、または様々な図において他に明らかに類似した要素は、類似の要素であり、以下に別段の記載がある場合を除いて、類似して動作すると理解され得る。
図6の特定の特徴のみが、その記述が、本明細書に開示およびクレームされた原理に従って新規な特徴および/または利点を強調するため、以下に詳細に記載されており、図面は、当技術分野の通常の熟練者によって、本明細書に含まれる他の図面および記述、または組込まれた参照文献に含まれる他の図面および記述との類推によって、他の方法で理解され得る。検出部667および互換性のあるスケールパターン680は、前述した実施形態と比較して、よりロバストな信号精度および/または信号強度を提供するという点で、さらなる利点を提供する。
【0085】
概して、
図6の実施形態と
図4および
図5の実施形態との間の主な相違点は以下の通りである。
スケールパターン680は、第1パターントラックFPTに加えて、第1パターントラックFPTと類似した第2パターントラックSPTをさらに含み;
検出部667は、第1トラック検出部要素(「第1トラック」の場合は接尾辞「(FT)」によって一般に識別される)に加えて、先述の第1トラック検出部要素と類似した第2トラック検出部要素(接尾辞「(ST)」によって一般に識別される)をさらに含んでいる。
【0086】
図6に示すように、信号変調スケールパターン680は、先に概説された特徴および寸法を有することが理解されるであろう第1パターントラックFPTと、第1パターントラックFPTに類似する第2パターントラックSPTとを含む。第1パターントラックFPTおよび第2パターントラックSPTは、それぞれ、第1パターントラックFPTおよび第2パターントラックSPTにおいてx軸方向に沿って同じ空間周期または波長WLに従って配置された同じ種類の信号変調素子SMEを含み、第2パターントラックSPTにおける信号変調素子SMEは、第1パターントラックにおける信号変調素子に対して約WL/2の公称スケールトラックオフセットだけ測定軸方向に沿ってオフセットされる。
【0087】
検出部667は、第1パターントラックFPTおよび第2パターントラックSPTに近接して取り付けられ、これらに対して測定軸方向MAに沿って相対的に変位するように構成される。検出部667は、例えば、本明細書で既に概説されたように、
図6に図示された様々な導電性の要素によって表される導電層を有する多層回路素子を含み、この導電層は、本明細書で既に概説されたように、既知の原理に従って絶縁層によって分離されていることが理解されるであろう。検出部667は、以下でより詳細に説明するように、多層回路素子に固定された磁場生成コイルFGCと、少なくとも1つの第1トラック遮蔽端構成SECと、導電性の受信ループCRL’を有する複数の検知素子SEN’とを備える。
【0088】
図6に示すように、磁場生成コイルFGCは、入力部INPと、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)および第2トラック磁場生成コイル部(ST)とを備える。第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、第1パターントラックFPTに公称的に整列された第1トラック生成磁場領域GFA(FT)を取り囲み、信号処理部からのコイル駆動信号に応答して第1トラック生成磁場領域GFA(FT)に第1トラック変化磁束を生成するように構成される。同様に、第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)は、第2パターントラックSPTと公称的に整列した 第2トラック生成磁場領域GFA(ST)を公称的に取り囲み、信号処理部からのコイル駆動信号に応答して、第2トラック生成磁場領域GFA(ST)に第2トラック変化磁束を生成するように構成されている。
【0089】
図6に示す特定の実施形態では、前記の説明に基づいて理解されるように、入力部INPは、層間接続を介して磁場生成コイルFGCに接続され、かつ信号処理部にも接続されている2つの入力接続部ICP1およびICP2を備える。
【0090】
図6に示す第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、前に概説されたように多層回路素子の1つ以上の伸長部層内に作製される第1トラック第1側伸長部EPS1および第1トラック第2側伸長部EPS2を有する。第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)および第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)は、第1トラック生成磁場領域GFA(FT)の第1側および第2側に近接してx軸方向に沿って延びている。第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)および第2側伸長部EPS2(FT)は共にx軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)にわたって延在し、または第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)を定義し、第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第2側伸長部EPS2(FT)との間のy軸方向の離間が、第1トラック生成磁場領域の公称幅寸法GFADY(FT)を定義する。同様に、第2トラック第1側伸長部EPS1(ST)および第2トラック第2側伸長部EPS2(ST)は、第2トラック生成磁場領域GFA(ST)の第1側および第2側に近接してx軸方向に沿って延びている。第2トラック第1側伸長部EPS1(ST)および第2トラック第2側伸長部EPS2(ST)は共にx軸方向に沿って第2トラック伸長部長寸法EPDX(ST)にわたって延在し、または第2トラック伸長部長寸法EPDX(ST)を定義し、第2トラック第1側伸長部EPS1(ST)と第2側伸長部EPS2(ST)との間のy軸方向の離間が、第2トラック生成磁場領域の公称幅寸法GFADY(ST)を定義する。
【0091】
第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、さらに、既に概説したように多層回路素子の第1トラック被遮蔽端部層に作製され、第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)との間のy軸方向の離間にまたがり、図示したように層間接続も含む端部導体経路ECP(FT)に含まれており、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)における第1トラック第1側伸長部EPS1(FT)と第1トラック第2側伸長部EPS2(FT)とを接続する第1トラック被遮蔽端部SES(FT)を備える。第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)は、さらに、既に概説したように多層回路素子の第2トラック被遮蔽端部層に作製され、第2トラック第1側伸長部EPS1(ST)と第2トラック第2側伸長部EPS2(ST)との間のy軸方向の離間にまたがり、図示したように層間接続も含む端部導体経路ECP(ST)に含まれており、第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)における第2トラック第1側伸長部EPS1(ST)と第2トラック第2側伸長部EPS2(ST)とを接続する第2トラック被遮蔽端部SES(ST)を備える。
【0092】
図6に示す特定の実施形態では、第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)は、上述した第1トラック被遮蔽端部SES(FT)と、第1トラック導電遮蔽領域CSR(FT)とを備え、一実施形態では、
図6の第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)において破線の輪郭で図示されたようにほぼ構成されてもよい。第2トラック遮蔽端構成SEC(ST)は、上述した第2トラック被遮蔽端部SES(ST)と、第2トラック導電遮蔽領域CSR(ST)とを備え、一実施形態では、
図6の第2トラック遮蔽端構成SEC(ST)において破線の輪郭で図示されたようにほぼ構成されてもよい。
図6に示すように、導電遮蔽領域CSR(FT)およびCSR(ST)は、導電遮蔽領域構成CSRC(これは、いくつかの実施形態では、追加の導電遮蔽領域CSR’を含んでもよい)に含まれると考えられてもよい。前に概説された原理によれば、導電遮蔽領域CSR(FT)およびCSR(ST)は、一般に、様々な実施形態において、x軸方向およびy軸方向に沿って様々な範囲に延びており、z軸方向に沿ったそれらの位置に関して検出部667の被遮蔽端部層(複数可)と検出部667の1つ以上の受信ループ層との間に位置する1または複数の遮蔽領域層に作製される。
【0093】
図6に示すように、複数の検知素子SEN’は、前に概説された原理に従って動作するように多層回路素子の1つ以上の受信ループ層に作製された、導電性の受信ループCRL’をそれぞれ構成している。しかしながら、前述した実施形態と比較して、検知素子SEN’における1つの相違点は、複数の検知素子において、検知素子SEN’の導電性の受信ループCRL’が、第1パターントラックFPTと第2パターントラックSPTの両方に重なるように、y軸方向に沿って延在していることである。したがって、それらは、第1トラック検知素子領域SEA(FT)と、第2パターントラックSPTに公称的に整列した第2トラック検知素子領域SEA(ST)との両方にわたって、x軸方向に沿って分布している。検知素子SEN’は、それ故に、スケールパターン680の第1パターントラックFPTの隣接する信号変調素子SMEによって提供される第1トラック変化磁束への局所的影響に応じ、かつ、スケールパターン680の第2パターントラックSPTの隣接する信号変調素子SMEによって提供される第2トラック変化磁束に対する局所的な効果にも応じて、検出信号または検出信号寄与を提供するように構成される。
【0094】
図6の電流流れ矢印で示されるように、磁場生成コイルFGCは、第1トラック生成磁場領域GFA(FT)内に第1極性を有する第1トラック変化磁束を生成し、第2トラック生成磁場領域GFA(ST)内に第1極性とは反対の第2極性を有する第2トラック変化磁束を生成するように構成される。導電性の受信ループCRL’は、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)の両方にy軸方向に沿って延在し、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)において同じ検知ループ極性を提供するように構成されている。この構成は、第1パターントラックFPTおよび第2パターントラックSPTにおける約WL/2のスケールトラックオフセットと組み合わせて動作することにより、検知素子SEN’の各々において、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)からの信号寄与を強化する。
【0095】
図6に図示された特定の実施形態では、導電性の受信ループCRL’は、磁場生成コイルの何本かの伸長部と重なっている。したがって、検出部667のこの特定の実施形態では、伸長部層(複数可)EPLは、多層回路素子の受信ループ層と同じ層ではなく、導電性の受信ループCRL’が伸長部層(複数可)EPLから絶縁されたままであるように、(プリント回路基板製造技術、または他の多層製造技術で用語が使用されるそのような)ブラインドビアが、導電性の受信ループCRL’の製造のために必要とされてもよい。しかしながら、本開示の教示に基づいて、当技術分野の通常の当業者であれば、そのような実施形態は例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことを理解するであろう。
【0096】
信号処理部(例えば、信号処理部566に類推される)が、
図5を参照して既に概説された方法、および/または既知の方法に類推される方法で、2つの入力接続部ICP1およびICP2を介して、および検出信号出力接続部SDS1およびSDS2を介して、検出部667に動作可能に接続されてもよいことが理解されるであろう。また、信号処理部は、2つの入力接続部ICP1、ICP2において、コイル駆動信号を磁場生成コイルFGCに供給するように構成されていてもよい。信号処理部は、例えば検出信号出力接続部SDS1およびSDS2等での検出部667から入力された検出信号に基づいて、検出部667とスケールパターン680との間の相対位置を特定するようにさらに構成されてもよい。
【0097】
接続部(例えば、接続部ICPFTST、ICP1、ICP2、層間接続など)、および入力部INPで使用される導電遮蔽領域CSR’は、
図6の第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)および第2トラック遮蔽端構成SEC(ST)で使用される端部導体部ECP、被遮蔽端部SES、および導電遮蔽領域CSRと類似していることが理解されるであろう。様々な実施形態において、入力部INPの様々な接続部(および所望であれば、信号処理部に関連する回路および接続)をシールドするために、第1トラック遮蔽端構成SEC(FT)および第2トラック遮蔽端構成SEC(ST)を参照して開示されたものと類似した原理を利用することが有利であることが理解されるであろう。
【0098】
図6に示され、上述した検出部667は、
図4および
図5を参照して既に概説した重要かつ注目すべき特徴を含み、これは、既知の先行技術の電磁誘導式エンコーダの検出部で使用されるものとは異なり、既に概説した利点および利点を提供することが理解されるであろう。
【0099】
簡潔にまとめると、第1に、第1トラック検知素子領域SEA(FT)は、x軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)よりも長い第1トラック検知素子領域長寸法SEADX(FT)にわたって延びている。同様に、第2トラック検知素子領域SEA(ST)は、x軸方向に沿って第2トラック伸長部長寸法EPDX(ST)よりも長い第2トラック検知素子領域長寸法SEADX(ST)にわたって延びている。
【0100】
第2に、第1トラック被遮蔽端部SES(FT)は、受信ループ層に向かうz軸方向に沿ったそのz軸方向の投影が、第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の導電性の受信ループCRL’と少なくとも部分的に重なるように構成されている。同様に、第2トラック被遮蔽端部SES(ST)は、受信ループ層に向かうz軸方向に沿ったそのz軸方向の投影が、第2トラック検知素子領域SEA(ST)内の導電性の受信ループCRL’と少なくとも部分的に重なるように構成されている。
【0101】
第3に、第1トラック導電遮蔽領域CSR(FT)は、その第1トラック遮蔽領域層において、第1トラック被遮蔽端部SES(FT)と第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の導電性の受信ループCRL’との間に介在し、第1トラック検知素子領域SEA(FT)内の導電性の受信ループCRL’と重なる第1トラック被遮蔽端部SES(FT)のz軸投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されている。同様に、第2トラック導電遮蔽領域CSR(ST)は、その第2トラック遮蔽領域層(これは第1トラック遮蔽領域層と同じでもよい)において、第2トラック被遮蔽端部SES(ST)と第2トラック検知素子領域SEA(ST)内の導電性の受信ループCRL’との間に介在し、第2トラック検知素子領域SEA(ST)内の導電性の受信ループCRL’と重なる第2トラック被遮蔽端部SES(ST)のz軸投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されている。
【0102】
図6に示された導電遮蔽領域CSR(FT)およびCSR(ST)は、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)の導電性の受信ループCRL’と重なる第1トラック被遮蔽端部SES(FT)および第2トラック被遮蔽端部SES(ST)のz軸投影の領域のすべてを遮断するように構成されている(導電性層間接続を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除く)。これは、様々な実施形態において有利であるかもしれない。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1トラック導電遮蔽領域CSR(FT)および第2トラック導電遮蔽領域CSR(ST)が、x軸方向に沿って幾分縮小されても、第1トラック被遮蔽端部SES(FT)および第2トラック被遮蔽端部SES(ST)のz軸方向投影の少なくとも半分以上の領域を遮断するように構成されている場合、精度に対する有意かつ十分な利益を得ることができる。これおよび既に概説された原理に従った他の修正は、検出部667において行われてもよい。
【0103】
図7は、本明細書に開示されている原理に従った検出部767の第3の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターン680を示す等角「ワイヤフレーム」図である。スケールパターン680は、
図6を参照して説明したスケールパターン680と類似または同一であってもよい。検出部767は、
図6を参照して説明した検出部667と実質的に類似しており、以下に概説する相違点を除いて、類推して理解され得る。
図7および
図6において類似の参照番号で指定された要素(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)は、類似の要素であり、以下に別段の記載がある場合を除き、同様に動作し、同様の利点および利点を提供することが理解され得る。
【0104】
概して、
図7の実施形態と
図6の実施形態との間の主な相違点は、以下でより詳細に説明されるように、磁場生成コイルFGC’および導電性の受信ループCRL”を構成する複数の検知素子SEN”の特定の機能に関連している。
【0105】
図7に示すように、磁場生成コイルFGC’では、入力部INPが
図6の場合とは異なる構成となっている。特に、接続部ICP2は、伸長部EPS1(ST)でなはく伸長部EPS2(ST)に接続され、接続部ICPFTSTは、伸長部EPS2(FT)と伸長部EPS2(ST)でなはく伸長部EPS1(ST)に接続される。
【0106】
図7に示すように、複数の検知素子SEN”は、第1トラック生成磁場領域と第2トラック生成磁場領域との間の第1トラック伸長部と第2トラック伸長部とを含む領域において、それらの導電性の受信ループCRL”内の導電性トレースの交差またはねじれを含み、それによって、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)内の各検知素子SEN”において、反対の検知ループ極性を提供するようにする。
【0107】
以上の結果、
図7の電流流れ矢印で示されるように、磁場生成コイルFGC’は、第1トラック生成磁場領域GFA(FT)内に第1極性を有する第1トラック変化磁束を生成し、第2トラック生成磁場領域GFA(ST)内に第1極性と同じ極性を有する第2トラック変化磁束を生成するように構成される。上述のように構成されたねじれた導電性の受信ループCRL”は、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)において、反対の検知素子の極性を提供する。この構成は、第1パターントラックFPTおよび第2パターントラックSPTにおける約WL/2のスケールトラックオフセットと組み合わせて動作することにより、検知素子SEN”の各々において、第1トラック検知素子領域SEA(FT)および第2トラック検知素子領域SEA(ST)からの信号寄与を強化する。したがって、検出部767は、先に説明した検出部667と実質的に類似した信号および利点を提供する。
【0108】
図8は、本明細書に開示されている原理に従った検出部867の第4の例示的な実施態様および電磁誘導式エンコーダに使用可能である互換性のあるスケールパターン180を示す平面図である。
【0109】
スケールパターン180は、
図4および
図5を参照して説明したスケールパターン180と類似または同一であってもよい。検出部867は、
図4および
図5を参照して説明した検出部467と実質的に類似しており、以下に概説する相違点を除いて、類推して理解され得る。
図8並びに
図4および
図5において類似の参照番号で指定された要素(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)は、類似の要素であり、以下に別段の記載がある場合を除き、同様に動作し、同様の利点および利点を提供することが理解され得る。
【0110】
概して、
図8の実施形態と
図4および
図5の実施形態との間の主要な相違点は、以下でより詳細に説明されるように、磁場生成コイルFGC”の特定の機能に関連している。
【0111】
本明細書に既に記載された様々な生成磁場領域FGCは、1つの導電性のターンまたはループのみが生成磁場領域GFAを取り囲む「シングルターン」構成として特徴付けられてもよい。いくつかの実施形態では、そのようなターンまたはループは、生成磁場領域GFAを不完全に取り囲むが、それにもかかわらず、そこに動作可能な生成磁場を提供する部分的なループであってもよい。対照的に、
図8に示す検出部867は、以下でより詳細に説明するように、「2ターン」構成からなる。
【0112】
磁場生成コイルFGC”の伸長部EPXXxx(FT)は、既に概説された原理に従って、検出部867の伸長部層内に作製されることが、
図8において理解されるであろう。
図8に暗い塗りつぶしで図示されている被遮蔽端部SESx(FT)のような磁場生成コイルFGC”の他の部分は、既に概説された原理に従って、検出部867の被遮蔽端部層内に作製される。このような層間の接続は、既に概説された原則に従って、層間接続F-THRUによって行われる。層間接続F-THRUは、
図8において黒く塗りつぶされた円で表される。
【0113】
図8に示すように、磁場生成コイルFGC”は、以下の配置からなる。
【0114】
入力接続部CP1は、磁場生成コイルFGC”の第1の端部(すなわち、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)の第1の端部)において、遮蔽端構成SEC(FT)の被遮蔽端部SESa(FT)によって第1の第2側伸長部EPS2a(FT)に直列に接続された第1の第1側伸長部EPS1a(FT)に接続される。
【0115】
第1の第2側伸長部EPS2a(FT)は第2の第1側伸長部EPS1b(FT)に、磁場生成コイルFGC”の第2の端部(すなわち、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)の第2の端部)に設けられた遮蔽端構成SEC(FT)の被遮蔽端部SESab(FT)によって直列に接続される。
【0116】
第2の第1側伸長部EPS1b(FT)は第2の第2側伸長部EPS2b(FT)に、磁場生成コイルFGC”の第1の端部(すなわち、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)の第1の端部)に設けられた遮蔽端構成SEC(FT)の被遮蔽端部によって直列に接続される。
【0117】
そして、第2の第2側伸長部EPS2b(FT)は、磁場生成コイルFGC”の第2の端部(すなわち、第1トラック伸長部長寸法EPDX(FT)の第2の端部)の遮蔽端構成SEC(FT)に近接した入力接続部CP2に接続される。
【0118】
このような2ターン構成は、本明細書に開示された原理に従って、検出部において有利または望ましいものとなり得ることが理解されるべきであり、ここで、磁場生成コイルFGC”は、同様の性能および精度を提供する以前に知られている検出部において使用されるものよりも、x軸方向に沿って有意に短いものであってもよい。既に本明細書で説明したように、本明細書で開示され、請求される原理に従って許容される有意に短い伸長部EPは、磁場生成コイルFGC”が、既知の磁場生成構成と比較して、有意に少ない抵抗および/またはインピーダンスを有することを本質的に可能にする。その結果、いくつかの実施形態においてコイルの共振振動を駆動するために望ましいレベルにインピーダンスを調整(増加)するために、磁場生成コイルFGC”の抵抗および/またはインピーダンスに対する実用的または望ましい制限を超えることなく、磁場生成コイルFGC”に追加のターンまたはループが追加されてもよい。そのようないくつかの実施形態では、予想外に高いS/N比および/または精度が達成され得る。いくつかの実施形態では、「3ターン」構成またはより多くのターンの構成である磁場生成コイルFGCを使用することが好ましい場合があることを理解されたい。
【0119】
図9は、電磁誘導式エンコーダ910を含む測定システム900のコンポーネントの1つの例示的な実施態様を示すブロック図である。当然ながら、
図9の幾つかの番号が付けられたコンポーネント9XXは、以下に明記される点を除き、
図1の同様に番号が付けられたコンポーネント1XXに対応するか、および/または、同様の動作を有してよい。電磁誘導式エンコーダ910は、信号処理部966と共にトランスデューサを形成するスケール970および検出部967とを含む。様々な実施態様では、検出部967は、
図2から
図8に関して説明された構成の何れかまたは他の構成を含んでよい。測定システム900は更に、ディスプレイ938およびユーザによって操作可能なスイッチ934、936といったユーザインタフェースを含み、また、電源965を追加的に含んでもよい。様々な実施態様では、外部データインタフェース932が含まれてもよい。これらの要素はすべて、信号プロセッサとして具体化されうる信号処理部966(または信号処理および制御回路)に結合される。信号処理部966は、検出部967の磁場生成コイルに駆動信号を与え、検出部967から入力された検出信号に基づいて、本明細書で先に概説したように、スケール970に対する検出部967の検知素子の位置を特定してもよい。
【0120】
様々な実施態様において、
図9の信号処理部966(および/または本明細書に示され、記載されている他の信号処理部の構成)は、本明細書において説明される機能を行うように、ソフトウェアを実行する1つ以上のプロセッサを含んでもまたはそれらから構成されてよい。プロセッサは、プログラマブル汎用または特殊用途向けマイクロプロセッサ、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)等またはこのようなデバイスの組み合わせを含む。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等、または、このようなコンポーネントの組み合わせといったメモリに記憶されてよい。ソフトウェアは更に、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイスまたはデータを記憶する任意の他のタイプの不揮発性記憶媒体といった1つ以上の記憶デバイスに記憶されてもよい。ソフトウェアは、特定のタスクを行うまたは特定のアブストラクトデータタイプを実現するルーティン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含んでよい。分散型コンピュータ環境では、プログラムモジュールの機能は、組み合わされても、複数のコンピュータシステムまたはデバイスにわたって分散され、有線または無線構成のサービスコールを介してアクセスされてよい。
【0121】
図10~14を参照して以下に説明する開示は、端部効果に起因する特定の位置誤差成分をさらに低減または除去するために、磁場生成コイルFGCにおいて使用され得る、端部勾配配置(end gradient arrangement)またはEGAと称される要素または構成を紹介する。簡単に説明すると、EGAは、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域の端部に近づくにつれて生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成される。対照的に、’335特許に開示された、または本明細書にこれより前に記載されたような磁場生成コイルFGCは、一般に、生成磁場領域GFA内で公称的に均一な磁界強度を提供する。端部付近の生成磁場領域GFA内に磁界勾配を提供することの有用性については、そこでは教示も有利に使用もされていない。生成磁場領域GFAの端部に存在する可能性のある磁界勾配は、明示的に考慮も記述もされておらず、不注意または意図的ではないとみなされるであろう。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する1つ以上のEGAは、電磁誘導式エンコーダにおけるS/N比、精度、および/またはサイズをさらに改善するために、’335特許に開示された1つ以上の教示と組み合わせて、および/または
図4~8を参照して既に本明細書に開示されたように使用されてもよい。いくつかの実施形態では、EGAの使用は、電磁誘導式エンコーダのS/N比、精度、および/またはサイズを十分または改善したまま、’335特許に開示された教示および/または
図4~8を参照して既に本明細書に開示されたような、ある種の設計上の制約を緩和することを可能にし得る。EGAの2つの特定の「タイプ」である「タイプA」と「タイプB」が、以下に示され詳細に説明される。
図10および
図11は、タイプAのEGAを示す。
図12は、タイプBのEGAを示す。
図13および
図14は、タイプAおよびタイプBのEGAの両方の設計上の特徴を含み、組み合わせて使用されるEGAを示している。
【0123】
図10~14に関する以下の説明では、説明された実施形態における設計および強調事項の特定の違いにより、様々な導体経路におけるこれまで「被遮蔽端部SES」と称していたものと類似または同一の要素は、より一般的な呼称である「被遮蔽層横断導体部CPeXT」の特定の事例であり、これはまた、被遮蔽端部SESのこれまでに定義されたすべての特性に厳密に適合しない被遮蔽層横断導体部を指す場合がある。同様に、これまで被遮蔽端部層と呼ばれていた導体層は、より一般的な呼称である「被遮蔽導体層」を使用して称する。
【0124】
図10は、本明細書に開示された原理に従った「タイプA」のEGAの実施形態を含む磁場生成コイルFGCを示す検出部1067の第5の例示的な実施形態を示す等角図である。検出部1067は、検知素子領域SEA内に検知素子SENを含み、本明細書で既に記載された原理に従って、互換性のあるスケールパターン(例えば、スケールパターン180など)と組み合わせて使用されることが理解されるであろう。
図10の新規なEGAの特徴をより明確に例示するために、検知素子SENおよびスケールパターンは図示されていない。検出部1067は、
図4~5の検出部467および
図6および7の検出部667および767と同様の特徴およびコンポーネントを有する。特に、
図10と、
図4~7とにおいて、類似の参照番号(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)で指定された要素、または様々な図において他に明らかに類似した要素は、類似の要素であり、以下に別段の記載がある場合を除いて、類似して動作すると理解され得る。
図10に示す様々な特徴は、それらの参照番号には接尾辞「(FT)」が含まれていないが、第1トラックの特徴とみなしてよい。しかしながら、もちろん、
図11を参照して以下に示され、説明されるように、様々な特徴は、所望であれば、第2トラックで使用されてもよい。本明細書にこれまでに開示されていない特定の特徴を強調するため、
図10の特定の特徴のみを以下に詳細に説明する。その他の点では、
図10は、本明細書中の他の図および説明、または組込まれた参照文献中の他の図および説明との類推によって理解され得る。概して、先に開示された検出部の伸長部の端部で使用される単一の導電性層間接続および導体経路とは対照的に、検出部1067の主な相違点は、以下でより詳細に説明するように、その伸長部EPS1およびEPS2が、特別に構成されたEGAを介して、その端部で複数の導体経路に接続されていることである。検出部1067は、例えば、本明細書で既に概説されたように、
図10に図示された様々な導電性の要素によって表される導電層を有する多層回路素子を含み、この導電層は、絶縁層によって分離されていることが理解されるであろう。
【0125】
図10に示すように、磁場生成コイルFGCは、入力部INPと第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)とを備える。第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、第1パターントラック(図示しない)に公称的に整列された第1トラック生成磁場領域GFAを取り囲み、信号処理部からのコイル駆動信号に応答して第1トラック生成磁場領域GFAに第1トラック変化磁束を生成するように構成される。前述したように、本明細書で使用される「公称的に取り囲む」は、少なくともその伸長部が動作可能な生成磁場を提供するように構成された完全または不完全な「ループ」である任意の磁場生成コイル部FGCPに適用され、生成磁場領域GFAを提供する。
図10に示す実施形態では、入力部INPは、前記の説明に基づいて理解されるであろう位置信号測定動作を提供するために、信号処理部(例えば、信号処理部566)に動作可能に接続された2つの 入力接続部ICP1、ICP2を備える。
【0126】
図10に示す第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2を備え、これらは、前に概説されたように多層回路素子の1つ以上の伸長部層に作製されている。第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2は、生成磁場領域GFAの第1側および第2側でx軸方向に沿って延び、共にx軸方向に沿って第1トラック伸長部長寸法EPDXにわたって延在し、または第1トラック伸長部長寸法EPDXを定義する。第1側および第2側伸長部構成EPCS1、EPCS2の間のy軸方向の最小の離間が、第1トラック生成磁場領域の最小幅寸法を定義する。
図10に示す特定の実施形態では、第1側伸長部構成EPCS1は、単一の伸長部EPS1と、それに関連するEGAであるEGAS1e1(接尾辞の意味は側部(Side)1、端部(end)1)およびEGAS1e2(側部(Side)1、端部(end)2)を備える。第2側伸長部構成EPCS2は、単一の伸長部EPS2と、それに関連するEGAであるEGAS2e1(接尾辞の意味は側部(Side)2、端部(end)1)およびEGAS2e2(側部(Side)2、端部(end)2)を備える。しかしながら、他の実施形態では、伸長部の構成は、例えば、所望であれば、様々な方法で成形され、相互に接続された複数の伸長部を含むような、より複雑なものであってもよいことが理解されるべきである。
【0127】
第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)は、さらに、第1トラック導体経路PATHS(例えば、後述するサブセットPATHSxxxxを備える)のセットを含み、導体経路の各部は、第1トラック第1側伸長部構成EPCS1または第2側伸長部構成EPCS2のうちの少なくとも1つに接続される。少なくとも1つの導体経路は、多層回路素子の第1トラック被遮蔽導体層に作製された遮蔽層導体部CPxxxx(例えば、遮蔽層導体部CPS1e2)を備える。少なくとも1つのそのような遮蔽層導体部は、x軸方向を横切る方向に沿って延びる横断導体部(例えば、遮蔽層導体部CPe1TまたはCPe2T)である。少なくとも1つのそのような被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)は、第1トラック第1側伸長部と第2側伸長部との間の少なくともy軸方向の最小離間GFADYminにまたがっており、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)における第1トラック第1側伸長部構成EPCS1と第1トラック第2側伸長部構成EPCS2とを接続する導体経路に含まれる。
【0128】
図10に示す特定の実施形態では、動作中、入力接続部ICP1に入力される駆動信号からの電流は、遮蔽層導体部CPS1e1(側部1、端部1)と、第1側伸長部構成EPCS1の一部であるEGAS1e1への3つの導電性層間接続FThruS1e1とからなる導体経路サブセットPATHSS1e1を流れる。電流は、EGAS1e1を通り、伸長部EPS1に沿って、第1側伸長部構成EPCS1の一部であるEGAS1e2まで継続する。電流は、EGAS1e2を通り、3つの導電性層間接続FThruS1e2、遮蔽層導体部CPS1e2、および被遮蔽層横断導体部CPe2Tを備える接続導体経路サブセットPATHSS1e2まで継続する。電流は、導体経路サブセットPATHSS1e2を通って導体経路サブセットPATHSS2e2まで継続する。導体経路サブセットPATHSS2e2は、被遮蔽層横断導体部CPe2T(それが直接接続する2つの導体経路サブセットにあると考えられる)と、遮蔽層導体部CPS2e2と、3つの導電性層間接続FThruS2e2とを備える。電流は、導体経路サブセットPATHSS2e2を通って進み、EGAS2e2の3つの電流パスノードCPNd、CPNi、およびCPNpに流れる3つのそれぞれの電流成分Id、Ii、Ipに分流される。EGAS2e2は、第2側伸長部構成EPCS2の一部である。EGAS2e2の3つの電流パスノードCPNd,CPNi,CPNpからの電流成分は、足し合わされて、第2側伸長部構成EPCS2の伸長部EPS2の中央領域CRを通って、第2側伸長部構成EPCS2の一部であるEGAS2e1へと流れる。その後、電流は、図示されているように、EGAS2e1の3つの電流パスノードCPNp’、CPNi’、およびCPNd’を通って、導体経路サブセットPATHSS2e1へと分流し、継続する。導体経路サブセットPATHSS2e1は、3つの導電性層間接続FThruS2e1、遮蔽層導体部CPS2e1、被遮蔽層横断導体部CPe1Tを備える。電流は、導体経路サブセットPATHSS2e1を流れ、被遮蔽層横断導体部CPe1Tを通って入力接続部ICP2および信号処理部へと継続し、本明細書で先に概説されたように動作する。
【0129】
タイプAのEGAをより詳細に説明するために、タイプAのEGAである例示的な端部勾配配置EGAS2e2を参照する。一般的に、タイプAのEGAは、関連する第1側または第2側の伸長部構成EPCS1またはEPCS2の少なくとも2つのそれぞれの電流パスノードCPNを備える。電流パスノードは、x軸方向に関して生成磁場領域GFAの端部に最も近く、かつ中心から最も遠い遠位電流パスノードCPNdと、x軸方向に関して生成磁場領域GFAの中心に最も近く、かつ端部から最も遠い近位電流パスノードCPNpとを少なくとも含む。電流パスノードCPNp、CPNdは、それぞれ、伸長部層内で、伸長部層外に電流を伝達する導体経路(例えば、サブセットPATHSS2e2など)に接続されている。このようなタイプAのEGAの結果として、関連する伸長部構成では、近位電流パスノードCPNpに向かってx軸方向に沿って延びる中央領域CRにおける正味の動作電流Icrは、伸長部層において相対的に大きく、近位電流パスノードと遠位電流パスノードとの間で寸法ENRDXにわたってx軸方向に沿って延びる端部ノード領域ERにおける正味の動作電流(例えば、IdまたはId+Ii)は、伸長部層において相対的に小さくなる。これにより、生成磁場領域GFAの端部付近で望ましい磁界勾配が得られる。
図10に示された特定のタイプAのEGAS2e2(および他のもの)は、さらに、x軸方向に関して遠位電流パスノードCPNdと近位電流パスノードCPNpとの間の端部ノード領域ERに位置する中間電流パスノードCPNiを備える。中間電流パスノードは、同様に、伸長部層内で、伸長部層の外に電流を伝達する導体経路のサブセットPATHSS2e2に接続されている。この特定のタイプAの端部勾配配置の結果として、近位電流パスノードCPNpと中間電流パスノードCPNiとの間の端部ノード領域ERのサブ領域における伸長部層における正味の動作電流Ii+Idは、中央領域における正味の動作電流Icrよりも相対的に小さく、中間電流パスノードCPNiと遠位電流パスノードCPNdとの間の端部ノード領域ERのサブ領域における正味の動作電流Idよりも相対的に大きくなる。これにより、生成磁場領域GFAの端部付近で特に望ましい磁界勾配が得られる場合がある。端部勾配配置EGAS1e1、EGAS1e2、およびEGAS2e1の各々は、EGAS2e2と同様に構成されたタイプAのEGAであり、前述の説明と類似して理解されるであろう。各EGAは、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域の端部に近づくにつれて生成磁場領域内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように類似の方法で動作する。
【0130】
図10に示す特定のタイプAのEGAにおいて、各電流パスノードCPNx(例えば、CPNp、CPNiおよび/またはCPNd)は、z軸方向に概ね沿って延びその電流パスノードCPNxを遮蔽層導体部CPSXeXに接続するそれぞれの導電性層間接続FThruSXeXを備えるそれぞれの導体経路に接続される。
図10に示す特定のタイプAのEGAにおいて、各電流パスノードCPNxは、それぞれの導電性層間接続FThruSXeXを介して同一の遮蔽層導体部CPSXeXに接続されたそれぞれのEGASXeXである。しかしながら、所望であれば、異なる導体経路の構成が可能であることが理解されるであろう。一例として、サブセットPATHSS2e2の代替バージョンでは、各導電性層間接続FThruS2e2は、遮蔽層導体部CPS2e2(および/またはCPS1e2)を使用することなく、サブセットPATHSS1e2の対応する導電性層間接続FThruS1e2に直接接続する被遮蔽層横断導体部CPe2Tと同様に構成された別の被遮蔽層横断導体部に接続されてもよい。他の可能な構成は、本開示に基づいて当技術分野の通常の当業者には明らかであろう。
【0131】
なお、
図10に示すように、導電遮蔽領域CSR、CSR’は、導電遮蔽領域構成CSRCに含まれると考えてもよい。前に概説された原理によれば、導電遮蔽領域CSRおよびCSR’は、一般に、様々な実施形態において、x軸方向およびy軸方向に沿って様々な範囲に延びており、z軸方向に沿ったそれらの位置に関して多層回路素子の遮蔽導体層と1つ以上の受信ループ層との間に位置する1または複数の遮蔽領域層に作製される。
図10に示す特定の実施形態では、導電遮蔽領域構成CSRCは、受信ループ層と、任意のタイプAの端部勾配配置EGASXeXに含まれる電流パスノードCPNx、CPNx’に接続された任意の導体経路PATHSSXeXに含まれる遮蔽層導体部CPSXeX、CPeXTとの間に介在する導電遮蔽領域CSR、CSR’を備える。それぞれの導電遮蔽領域CSR、CSR’は、それぞれの導電遮蔽領域CSR、CSR’が、z軸方向に概ね沿って延び、それぞれの導電遮蔽領域CSR、CSR’を通過する導電性層間接続FThruSXeXを取り囲む絶縁された穴INSVを含む場合を除き、少なくともz軸投影が第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2にまたがるy軸幅寸法内にあり、任意のタイプAの端部勾配配置EGASXeXに含まれる電流パスノードCPNx、CPNx’に接続された任意の導体経路PATHSSXeXに含まれる遮蔽層導体部CPSXeX、CPeXTのz軸投影の全領域を遮断するように構成される。導電遮蔽領域構成CSRCによるそのような広範な遮蔽は、様々な実施形態において最も有利であり得る。特に、
図10に示すような実施形態において、検知素子領域SEAが、x軸方向に沿った検知素子領域長寸法SEADXおよびy軸方向に沿った検知素子領域幅寸法にわたって延びており、x軸方向に沿った検知素子領域長寸法SEADXは、(例えば、
図10に示すように、各端部の寸法SEの分だけ)伸長部長寸法EPDXよりも長い。様々な実施形態では、第1パターントラックの信号変調素子は、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置されており、寸法SEは、本明細書で既に概説されたように、少なくともWLと同程度の大きさである。
【0132】
しかし、このような広範な遮蔽は、すべての実装において厳密に必要とされるわけではない。
図10に示す実施形態では、タイプAの端部勾配配置EGAS2e2(またはEGAS2e1)に含まれる電流パスノードCPNxに接続された導体経路PATHSS2e2(またはPATHSS2e1)に含まれる被遮蔽層横断導体部CPe2T(またはCPe1T)は、その(それらの)z軸方向への受信ループ層に向けた(つまり、
図10では下方向への)投影が検知素子領域SEA内の導電性の受信ループと重なるように構成されている。このような実施形態では、遮蔽層導体部CPSXeXと比較して、被遮蔽層横断導体部CPe2TおよびCPe1Tが主に設計位置の制約を受ける。遮蔽がない場合は、検知素子領域SEA内の導電性の受信ループに不可避的に強く結合するであろう不要な磁界、および関連する端部効果を発生させる。このように、いくつかのそのような実施形態において、それぞれの導電遮蔽領域CSR、CSR’が、z軸方向に概ね沿って延び、それぞれの導電遮蔽領域CSR、CSR’を通過する導電性層間接続FThruSXeXを取り囲む絶縁された穴INSVを含む場合を除き、それぞれの第1トラック導電遮蔽領域CSR、CSR’が、少なくともそれらのz軸方向の投影が検知素子領域SEAと重なる場所で、任意のタイプAの端部勾配配置EGASXeXに含まれる電流パスノードCPNxに接続された任意の導体経路CPeXTに含まれる少なくとも被遮蔽層横断導体部のz軸方向の投影の全領域を遮断するように構成されている場合には、十分な性能上の利点および/または精度を提供することができる。これは、被遮蔽層横断導体部包括遮蔽領域構成と呼ばれる場合がある。
【0133】
しかしながら、本明細書に開示される原理に従ってEGAが含まれるいくつかの実施形態では、以下で説明するように、検知素子領域長寸法SEADXが伸長部長寸法EPDXを超えて延びる必要がない場合がある(すなわち、寸法SEはゼロであってもよく、または検知素子領域長寸法SEADXは伸長部長寸法EPDXよりも小さくてもよい)ことが理解されるべきである。一つの可能な理解によれば、EGAが存在しない場合(例えば、
図5に示す実施形態では)、生成磁場領域GFA内で生成された磁界強度は、伸長部長寸法EPDXの端部を越えると自然に減衰または低下して、生成磁場領域GFAの外側で磁界勾配を示すようになる。生成磁場領域GFAの外側のこの磁界勾配が、生成磁場領域GFAの外側の磁界勾配にわたる検知素子領域SEA内の検知素子によって受信されたときに、特定の空間フィルタリングの利点を提供すると信じる理由がある。これは、
図4~8を参照して説明された実施形態において、その特性に起因する他の前に概説された効果および利点に加えて、パフォーマンスに利益をもたらす予期せぬ効果である可能性がある。対照的に、本明細書に開示された原理に従ってEGAを使用する実施形態では(例えば、
図10に示すように)、生成磁場領域GFA内で生成される磁界強度が、伸長部長寸法EPDXの端部の内側、および生成磁場領域GFAの内側に意図的に生成された勾配を含むことが理解されるであろう。このように、生成磁場領域GFAの内側のこの磁界勾配が、生成磁場領域GFAの内側の磁界勾配にわたる検知素子領域SEA内の検知素子によって受信されたときに、前述の空間フィルタリングの利点を提供すると信じる理由がある。このような場合、いくつかの実施形態では、検知素子領域SEAは、生成磁場領域GFAの端部を超えて拡張せずとも、十分なまたは望ましい性能が依然として得られてもよい。いくつかのそのような実施形態では、第1側伸長部構成および第2側伸長部構成を接続し、タイプAの端部勾配配置(例えば、EGAS2e2)に含まれる電流パスノード(例えば、CPNd)に接続されるそれぞれの被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)のz軸投影は、生成磁場領域GFAよりも短い検知素子領域SEA内の導電性の受信ループと重ならなくてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、検出部の全体的なサイズを可能な限り短く制限するために(または他の理由で)、被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)を、そのz軸方向の投影が検知素子領域SEAの端部に相対的に近いように配置することが好ましい場合がある。したがって、いくつかのそのような実施形態では、導電遮蔽領域構成CSRCは、受信ループ層と、第1トラック第1側伸長部構成と第2側伸長部構成とを接続する被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)との間に介在するように構成された少なくとも1つの導電遮蔽領域CSRを備え、受信ループ層に向かうz軸方向に沿って被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)のz軸方向への投影の少なくとも半分の領域を遮断するように構成されていることが、依然として望ましい場合がある。そのような場合でも、十分な性能上の利点および/または精度は、本明細書に開示された原理に従って、EGA(例えば、タイプAのEGA、またはタイプBのEGA)を含む様々な実施形態において提供され得る。これは、被遮蔽層横断導体部過半遮蔽領域構成と呼ばれる場合がある。
【0134】
上で概説したように、本明細書に開示された原理に従ってEGAによって提供される磁界勾配が、その磁界勾配に沿って延びる検知素子領域SEA内の検知素子によって受信されたときに、特定の空間フィルタリングの利点(例えば、結果として得られる位置信号の特定の空間的高調波誤差を低減することなど)を提供するかもしれないと信じる理由がある。本発明者は、検知素子によって受信される空間的な勾配のx軸方向の長さが(少なくとも、実験または分析によって決定され得るある実用的な限界までの範囲で)相対的に長い場合に、そのような空間フィルタリングの利点が相対的に増強され得ることを見出した。したがって、第1パターントラックの信号変調素子が、本明細書で先に説明したようにx軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置される様々な実施形態において、検出部に含まれるタイプAの各EGAが、その端部ノード領域ERが、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部ノード領域寸法ENRDXを有するように構成されていると有利であり、ここで、Jは、少なくとも1であるか、少なくとも2であるか、またはそれ以上である数である。
【0135】
図11は、検出部1167の第6の例示的な実施形態を示す等角図であり、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)および第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)を含む磁場生成コイルFGCを示し、それぞれが、
図10を参照して既に開示された原理に従ってタイプAのEGAの実施形態を含む、第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)と実質的に類似していることを示している。第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)および第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)は、
図7を参照して既に説明したものと同様の方法で配置され、動作する。概して、
図7に示された様々な伸長部EPS1およびEPS2の端部で使用される単一の導電性層間接続および導体経路とは対照的に、検出部1167の主な違いは、その伸長部EPS1およびEPS2が、
図10を参照して説明された原理に従って、図示されたタイプAのEGAを介してそれらの端部で接続されていることである。したがって、検出部1167は、
図10および
図7についてのこれまでの説明に基づいて理解されてもよく、それに対する特定の相違点および/または説明のみが、以下に詳細に記載される。
【0136】
検出部1167は、
図7を参照して既に説明したものと類似または同一であってもよい検知素子領域SEA内の検知素子SENを含み、
図6および
図7に示されたスケールパターン680と類似した互換性のあるスケールパターンと組み合わせて使用されてもよいことが理解されるであろう。検出部1167の特定の新規な特徴をより明確に例示するために、検知素子SENおよびスケールパターンは図示されていない。
図11に示された、明示的な「トラック接尾辞」(FT)または(ST)を含まない様々な特徴のほとんどは、視覚的な乱雑さを軽減するためにトラック接尾辞が省略された第2トラック特徴とみなされてもよい。
【0137】
検出部1167の第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)に関しては、その遮蔽層導体部CPS2e1(FT)が、
図11において、
図10のように入力接続部ICP2に接続されるのではなく、遮蔽層導体部CPe1T’を介して第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)に接続されていることを除いて、
図10を参照して既に説明した第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)とほぼ同一であると見なすことができる。
【0138】
検出部1167の第2トラック磁場生成コイル部FGCP(ST)に関しては、
図11におけるその導体経路サブセットPATHSS1e1において、その遮蔽層導体部CPS1e1(ST)が、
図10のように入力接続部ICP1に接続されるのではなく、遮蔽層導体部CPe1T’を介して第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)に接続されていることを除いて、
図10を参照して既に説明した第1トラック磁場生成コイル部FGCP(FT)とほぼ同一であると見なすことができる。
【0139】
したがって、検出部1167は、
図10を参照して既に概説したように、その様々な端部勾配配置EGASXeXの使用に関連した付加的な利点および設計上の柔軟性を有してもよいことを除いて、
図7に示された検出部767と実質的に類似して動作してもよい。
図11に示された様々な要素の多数のバリエーションが、
図10を参照して既に概説された原理、および本明細書の他の場所に従って可能であることが理解されるであろう。したがって、
図11に示す「2トラック」の実施形態は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。
【0140】
図12は、検出部1267の第7の例示的な実施形態を示す平面図であり、本明細書に開示された原理に従った「タイプB」の端部勾配配置EGAの実施形態を含む磁場生成コイルFGCと電磁誘導式エンコーダにおいて使用可能な互換性のあるスケールパターン180とを示す。概して、検出部1267は、多くの点で、
図4および
図5を参照して説明した検出部467と類似している。検出部1267は、
図4および5を参照して既に説明したものと類似または同一であってもよい検知素子領域SEA内の検知素子SENを含み、
図4および
図5に示されたスケールパターン180と類似した互換性のあるスケールパターンと組み合わせて使用されてもよいことが理解されるであろう。
図10、および/または
図4~5で使用されているものと類似した参照番号(例えば、類似の名称または数字または数値「接尾辞」)は、
図12の類似または類似の要素を指定してもよい。このような要素、および/または様々な図の要素と明らかに類似している他の要素は、以下に別段の記載がある場合を除き、類似の要素であり、同様に動作するものと理解され得る。本明細書にこれまでに開示されていない特定の特徴を強調するため、
図12の特定の特徴のみを以下に詳細に説明する。その他の点では、
図12は、本明細書中の他の図および説明、または組込まれた参照文献中の他の図および説明との類推によって理解され得る。
【0141】
概して、
図4および
図5に示された検出部467と比較して、検出部1267の主な相違点は、その伸長部構成EPCS1およびEPCS2が特別に構成されたBタイプのEGAを含み、それらの伸長部EPS1およびEPS2が、以下でより詳細に説明されるように、BタイプのEGAを介してそれらの端部で導体経路に接続されていることである。
【0142】
検出部1267は、例えば、本明細書で既に概説されたように、
図12に図示された様々な導電性の要素によって表される導電層を有する多層回路素子を含み、この導電層は、
図5等を参照して概説されたように、絶縁層によって分離されていることが理解されるであろう。
【0143】
図12に示すように、磁場生成コイルFGCは、入力部INPと磁場生成コイル部FGCPとを備える。
図12に示す実施形態では、入力部INPは、前記の説明に基づいて理解されるであろう位置信号測定動作を提供するために、信号処理部(例えば、信号処理部566)に動作可能に接続された2つの 入力接続部ICP1、ICP2を備える。
【0144】
図12に示す磁場生成コイル部FGCPは、第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2を備え、これらは、前に概説されたように多層回路素子の1つ以上の伸長部層に作製されている。第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2は、生成磁場領域GFAの第1側および第2側でx軸方向に沿って延び、共にx軸方向に沿って伸長部長寸法EPDXにわたって延在し、または伸長部長寸法EPDXを定義する。第1側および第2側伸長部構成EPCS1、EPCS2の間のy軸方向の最小の離間が生成磁場領域の最小幅寸法を定義する。
図12に示す特定の実施形態では、第1側伸長部構成EPCS1は、単一の伸長部EPS1と、それに関連するタイプBのEGAであるEGAS1e1およびEGAS1e2を備える。第2側伸長部構成EPCS2は、単一の伸長部EPS2と、それに関連するタイプBのEGAであるEGAS2e1およびEGAS2e2を備える。しかしながら、他の実施形態では、タイプBのEGAを含む伸長部の構成は、例えば、所望であれば、様々な方法で成形され、相互に接続された複数の伸長部を含むような、より複雑なものであってもよいことが理解されるべきである。
【0145】
磁場生成コイル部FGCPは、さらに、導体経路PATHS(例えば、後述するサブセットPATHS-eXを備える)のセットを含み、導体経路の各部は、第1側伸長部構成EPCS1または第2側伸長部構成EPCS2のうちの少なくとも1つに接続される。少なくとも1つの導体経路は、多層回路素子の被遮蔽導体層に作製された遮蔽層導体部CPxxx(例えば、遮蔽層導体部CPe1TまたはCPe2T)を備える。
図12に示す特定の実施形態では、遮蔽層導体部は、x軸方向を横切る方向に沿って延びる横断導体部(例えば、遮蔽層導体部CPe1TまたはCPe2T)である。被遮蔽層横断導体部CPe2Tは、第1側伸長部構成と第2側伸長部構成との間の少なくともy軸方向の最小離間GFADYminにまたがっており、磁場生成コイル部FGCPにおける第1側伸長部構成EPCS1と第2側伸長部構成EPCS2構成とを接続する導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部である。
【0146】
図12に示す特定の実施形態では、動作中、入力接続部ICP1に入力される駆動信号からの電流は、遮蔽層導体部CPS1e1(側部1、端部1)と、第1側伸長部構成EPCS1の一部であるタイプBのEGAS1e1への導体経路サブセットPATHS-e1の導電性層間接続FThruS1e1を流れる。電流は、EGAS1e1を通り、伸長部EPS1に沿って、第1側伸長部構成EPCS1の一部であるタイプBのEGAS1e2まで継続する。電流は、EGAS1e2を通り、導電性層間接続FThruS1e2、被遮蔽層横断導体部CPe2T、および導電性層間接続FThruS2e2を備える接続導体経路サブセットPATHS-e2まで継続する。電流は、導体経路サブセットPATHS-e2を通ってタイプBのEGAS2e2まで継続する。EGAS2e2は、第2側伸長部構成EPCS2の一部である。電流は、EGAS2e2を通り、伸長部EPS2を通り、第2側伸長部構成EPCS2の一部であるタイプBのEGAS2e1を流れる。そして、電流は、EGAS2e1を通り、導電性層間接続FThruS2e1および導体経路サブセットPATHS-e1の被遮蔽層横断導体部CPe1Tを通って、入力接続部ICP2および信号処理部へと流れ、本明細書で先に概説されたように動作する。
【0147】
以下、タイプBのEGAの一実施形態をより詳細に説明するために、タイプBのEGAの一実施形態であるEGAS2e2を参照する。一般的に、タイプBのEGAのそれぞれは、第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2が、x軸方向に沿って延びる中央領域CRの伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に接近しており、タイプBのEGAのそれぞれは、第1トラック第1側伸長部構成EPCS1および第1トラック第2側伸長部構成EPCS2が、x軸方向に沿って延びるそれぞれの端部領域ERの伸長部層において、y軸方向に沿って互いに相対的に遠ざかるように構成されている。それぞれの端部領域ER(例えば、ER-e2)は、それぞれのタイプBのEGA(例えば、EGAS2e2)と関連している。それぞれのタイプBのEGA(例えば、EGAS2e2)は、関連する第1側伸長部構成または第2側伸長部構成(例えば、EPCS2)に含まれ、それぞれの端部領域ER(例えば、ER-e2)の伸長部層内で、伸長部層の外側に電流を伝達する導体経路(例えば、PATHS-e2)に接続される。このようなタイプBの端部勾配配置(例えば、EGAS2e2)の結果として、生成磁場領域GFAは、中央領域CRではy軸方向について相対的に狭く、それぞれのタイプBの端部勾配配置(例えば、EGAS2e2)に関連付けられたそれぞれの端部領域ER(例えば、ER-e2)ではy軸方向について相対的に広くなる。これにより、生成磁場領域GFAの端部(例えば、端部2)の近くに位置する検知素子SENの磁界強度および信号強度が端部領域ER-e2に沿って減少し、これは、本明細書で既に概説されたような望ましい空間フィルタリング効果を提供する可能性がある、望ましい磁界勾配が生じる。
【0148】
EGAS2e2によって例示されるタイプBのEGAの特定の実施形態では、タイプBのEGAは、端部領域ER-e2にわたって、検知素子領域SEAから離れるように、かつ、第1側伸長部EPS1から離れるように角度を付けられた第2側伸長部EPS2の端部領域を備えることが理解されるであろう。一実施形態の説明によれば、これは、それぞれの端部領域ER-e2が、中央領域CRに近い近位サブ領域と、近位サブ領域よりも中央領域から遠い遠位サブ領域とを含む、タイプBの端部勾配配置の一実施形態とみなすことができる。遠位サブ領域では、第2側伸長部構成EPCS2は、近位サブ領域における離間と比較して、y軸方向に沿って第1側伸長部構成EPCS1から相対的に離れている。これにより、生成磁場領域GFAの端部付近で特に望ましい(例えば、徐々に変化する)磁界勾配が得られる場合がある。タイプBのEGAのこの実施形態は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではないことが理解されるであろう。例えば、様々な実施形態では、端部領域ERにおける伸長部の構成は、直線的に角度のついた部分(傾斜)を備える必要はなく、それは、単に、角度がつけられていない1つ以上の「段差」セグメントを備えてもよい。他の代替的なタイプBのEGAは、
図13および
図14を参照して以下に説明されるが、それでも、さらに他のタイプBのEGAの実施形態も、本開示に基づいて当技術分野の通常の当業者には明らかであろう。
【0149】
様々な実施形態において、タイプBのEGAは、有利には、タイプAのEGAを参照して既に概説された特定の特徴を含むように構成されていてもよい。一例として、第1パターントラックの信号変調素子が、x軸方向に沿った空間波長WLに対応して配置される様々な実施形態において、検出部に含まれるタイプBの各EGAが、その端部ノード領域ERが、少なくともJ*WLであるx軸方向に沿った端部ノード領域寸法ERDXを有するように構成されていると有利であり、ここで、Jは、少なくとも1であるか、少なくとも2であるか、またはそれ以上である数である。
【0150】
なお、
図12に示すように、導電遮蔽領域CSR、CSR’は、導電遮蔽領域構成CSRCに含まれると考えてもよい。前に概説された原理によれば、導電遮蔽領域CSRおよびCSR’は、一般に、様々な実施形態において、x軸方向およびy軸方向に沿って様々な範囲に延びており、z軸方向に沿ったそれらの位置に関して多層回路素子の被遮蔽導体層と1つ以上の受信ループ層との間に位置する1または複数の遮蔽領域層に作製される。
【0151】
図12に示す特定の実施形態では、検知素子領域SEAが、x軸方向に沿った検知素子領域長寸法SEADXおよびy軸方向に沿った検知素子領域幅寸法にわたって延びており、検知素子領域長寸法SEADXは、伸長部長寸法EPDXよりも長い。第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2を接続する被遮蔽層横断導体部CPe2Tは、その受信ループ層に向かってのz軸方向の投影が、検知素子領域SEAの導電性の受信ループと少なくとも部分的に重なるように構成されている。この実施形態では、導電遮蔽領域構成CSRCが、受信ループ層に向かってz軸方向に沿って延び、その各導電遮蔽領域CSRを通過する導電性層間接続(例えば、導電性層間接続FThruS1e2およびFThruS2e2)を取り囲む絶縁された穴を含む場合を除いて、導電遮蔽領域構成CSRCは、有利には、受信ループ層と関連被遮蔽層横断導体部CPe2Tとの間に介在するように構成された導電遮蔽領域CSRを備え、少なくともそのz軸方向の投影が検知素子領域SEAと重なる、その被遮蔽層横断導体部CPe2Tのz軸方向の投影のすべての領域を遮断するように導電性遮蔽領域CSRを構成する。導電遮蔽領域CSR’は、被遮蔽層横断導体部CPe1Tに対して相対的に構成され、導電遮蔽領域CSR’によって同様にシールドされている。
【0152】
しかし、このような広範な遮蔽は、すべての実装において厳密に必要とされるわけではない。例えば、タイプAのEGAに関して既に説明したのと同じ理由で、本明細書に開示される原理に従ってタイプBのEGAが含まれるいくつかの実施形態では、検知素子領域長寸法SEADXが伸長部長寸法EPDXを超えて延びる必要がない場合がある(すなわち、寸法SEはゼロであってもよく、または検知素子領域長寸法SEADXは伸長部長寸法EPDXよりも小さくてもよい)ことが理解されるべきである。いくつかのそのような実施形態では、第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2を接続し、端部領域ER、またはタイプBのEGA(例えば、EGAS2e2)として構成され、あるいは備えている伸長部の一部に接続されるそれぞれの被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)のz軸投影は、生成磁場領域GFAよりも短い検知素子領域SEA内の導電性の受信ループと重ならなくてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、検出部の全体的なサイズを可能な限り短く制限するために(または他の理由で)、被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)を、そのz軸方向の投影が検知素子領域SEAの端部に相対的に近いように配置することが好ましい場合がある。したがって、いくつかのそのような実施形態では、導電遮蔽領域構成CSRCは、受信ループ層と、第1側伸長部構成と第2側伸長部構成とを接続する被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)との間に介在するように構成された少なくとも1つの導電遮蔽領域CSRを備え、受信ループ層に向かうz軸方向に沿って被遮蔽層横断導体部(例えば、CPe2T)のz軸方向への投影の少なくとも半分の領域を遮断するように構成されていることが、依然として望ましい場合がある。そのような場合でも、十分な性能上の利点および/または精度は、本明細書に開示された原理に従って、タイプBのEGAを含む様々な実施形態において提供され得る。
【0153】
図13は、検出部1376の第8の例示的な実施形態を示す平面図であり、本明細書に開示された原理に従ったタイプAおよびタイプBのEGAの両方の特徴を組み合わせた端部勾配配置EGASXeXを含む磁場生成コイルFGCと電磁誘導式エンコーダにおいて使用可能な互換性のあるスケールパターン180とを示す。
【0154】
概して、検出部1367は、端部勾配配置EGASXeXが、
図12に示されたタイプBのEGAについてこれまでに参照して記載されたものと類似または同一のタイプBのEGA要素の特徴を含むことに加えて、
図10に示されたタイプAのEGAについてこれまでに参照して記載されたものと類似または同一のタイプAのEGA要素の特徴を含むことを除いて、ほとんどの点で、
図12を参照して記載された検出部1267と類似している。
図10および/または
図12で使用されているものと類似した参照数字は、以下に別段の記載がある場合を除き、
図13の類似した要素を指してよく、これらは、類似の要素であると理解され、および/または類似の動作をすると理解され得る。本明細書にこれまでに開示されていない特定の特徴を強調するため、
図12の特定の特徴のみを以下に詳細に説明する。
【0155】
様々なクロスハッチされた遮蔽層導体部CPSXeXは、伸長部層に作製された伸長部EPS1、EPS2の傾斜した端部領域を不明瞭にしている。しかしながら、
図13に示された伸長部EPS1およびEPS2は、
図12に示されたものと類似または同一であってもよいことが理解されるであろう。したがって、
図13に示された各端部勾配配置EGASXeXは、
図10に先に記載された対応するタイプAのEGASXeXと類似または同一のタイプAのEGAの特徴を含む。しかしながら、
図13に示すように、
図13に示す遮蔽層導体部CPSXeXは、タイプBのEGAと互換性があるように、それぞれの端部領域ER-e1および/またはER-e2において角度が付けられており、(詳細には示されていないが)
図13に示す様々な端部勾配配置EGASXeXに含まれる関連する導電性層間接続FThruSXeXおよび電流パスノードCPNp、CPNiおよびCPNdは、それぞれの端部領域ER-e1および/またはER-e2において相補的な角度のパターン(complementary angled pattern)で配置されており、含まれるタイプAのEGA要素のすべてがタイプBのEGA要素およびその特徴とさらに互換性があるようになっている。
【0156】
図13に示された様々な要素は、
図10および/または
図12を参照して既に概説された原理、および/または本明細書に開示された他の実施形態に従って、代替的に構成され、または組み合わされてもよいことが理解されるであろう。したがって、
図13に示された「タイプAのEGAとタイプBのEGAの組み合わせ」の実施形態は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。他の可能な実施形態は、本開示に基づいて当技術分野の通常の当業者には明らかであろう。
【0157】
図14は、検出部1467の第9の例示的な実施形態を示す平面図であり、本明細書に開示された原理に従ってタイプAおよびタイプBの両方のEGAの特徴を組み合わせた端部勾配配置EGASXeXを含む「2ターン」の磁場生成コイルFGCを示す。
図10、12、および/または
図13で使用されているものと類似した参照数字は、以下に別段の記載がある場合を除き、
図14の類似した要素を指してよく、これらは、類似の要素であると理解され、および/または類似の動作をすると理解され得る。さらに、
図14に示す「2ターン」の磁場生成コイルFGCの動作および利点の特定の側面は、
図8に示す検出部867の2ターンの磁場生成コイルを参照して既に概説されたものと類似していてもよい。したがって、本明細書にこれまでに開示されていない特定の特徴を強調するため、
図14の特定の特徴のみを以下に詳細に説明する。
【0158】
簡単に説明すると、
図14に示す検出部1467では、2ターンの磁場生成コイルFGCは、
生成磁場領域GFAの第1端部の近傍にあるEGAS1e1の近位電流パスノードCPNpを含み、生成磁場領域GFAの第2端部の近傍にあるEGAS1e2の近位電流パスノードCPNpを含む第1側伸長部構成EPCS1の第1の第1側伸長部EPS1bと、
生成磁場領域GFAの第2端部の近傍にあるEGAS2e2の近位電流パスノードCPNpを含み、生成磁場領域GFAの第1端部の近傍にあるEGAS2e1の近位電流パスノードCPNpを含む第2側伸長部構成EPCS2の第1の第2側伸長部EPS2bと、
生成磁場領域GFAの第1端部の近傍にあるEGAS1e1の遠位電流パスノードCPNdを含み、生成磁場領域GFAの第2端部の近傍にあるEGAS1e2の遠位電流パスノードCPNdを含む第1側伸長部構成EPCS1の第2の第1側伸長部EPS1aと、
生成磁場領域GFAの第2端部の近傍にあるEGAS2e2の遠位電流パスノードCPNdを含み、生成磁場領域GFAの第1端部の近傍にあるEGAS2e1の遠位電流パスノードCPNdを含む第2側伸長部構成EPCS2の第2の第2側伸長部EPS2aと、を備える。
【0159】
EGAS1e2の近位電流パスノードCPNpは、導電性層間接続FThruS2e2に接続される被遮蔽層横断導体部CPe2Taに接続される導電性層間接続FThruS1e2を備える第1の導体経路を介して、EGAS2e2の近位電流パスノードCPNpと直列に接続されていてもよい。EGAS2e1の近位電流パスノードCPNpは、導電性層間接続FThruS1e1に接続される被遮蔽層横断導体部CPe1Taに接続される導電性層間接続FThruS2e1を備える第2の導体経路を介して、EGAS1e1の遠位電流パスノードCPNdと直列に接続されていてもよい。EGAS1e2の遠位電流パスノードCPNdは、導電性層間接続FThruS2e2に接続される被遮蔽層横断導体部CPe2Tbに接続される導電性層間接続FThruS1e2を備える第3の導体経路を介して、EGAS2e2の遠位電流パスノードCPNdと直列に接続されていてもよい。EGAS2e1の遠位電流パスノードCPNdは、導電性層間接続FThruS2e1と遮蔽層導体部CPe1Tbとを備える導体経路を介して駆動信号入力に直列に接続されてもよく、EGAS1e1の近位電流パスノードCPNpは、導電性層間接続FThruS1e1を備える導体経路を介して駆動信号入力に直列に接続されてもよい。
【0160】
図14に示す各端部勾配配置EGASXeXにおいて、その近位および遠位の電流経路ノードCPN間の端部ノード領域ER内の電流の流れは、1つの伸長部のみが端部ノード領域ER内に延びるため、1iの大きさを有することが理解されるであろう。対照的に、中央領域CRは、関連する伸長部構成の2つの伸長部を含み、これらは合わせて2iの正味の電流を伝達する。したがって、端部勾配配置EGASXeXの各々は、タイプAのEGAに関連して本明細書で既に概説された原則に準拠する。さらに、
図14に示す各端部勾配配置EGASXeXにおいて、伸長部構成EPCS1およびEPCS2の端部領域ERに延びる伸長部EPS1aおよびEPS2aの離間は、伸長部構成EPCS1およびEPCS2の中央領域CRに含まれる伸長部EPS1bおよびEPS2bのy軸方向の離間と比較して、y軸方向に沿ってより離れていることが理解されるであろう。したがって、端部勾配配置EGASXeXの各々は、タイプBのEGAに関連して本明細書で既に概説された原則に準拠する。
【0161】
図14に示す実施形態では、導電遮蔽領域構成CSRCが、受信ループ層と、EGAに含まれる電流パスノードに接続された任意の導体経路に含まれる被遮蔽層横断導体部との間に介在する導電遮蔽領域CSRCを備えるとよい。しかしながら、既に本明細書で概説された原理に従った様々な他の導電遮蔽領域構成の構成が可能である。
【0162】
図14に示された様々な要素は、
図10~13を参照して既に概説された原理、および/または本明細書に開示された他の実施形態に従って、代替的に構成され、または組み合わされてもよいことが理解されるであろう。したがって、
図14に示された「タイプAのEGAとタイプBのEGAの組み合わせ」の実施形態は、例示的なものにすぎず、限定的なものではない。他の可能な実施形態は、本開示に基づいて当技術分野の通常の当業者には明らかであろう。
【0163】
図10~14に示される実施形態の各々は、生成磁場領域GFAの各端部において、第1トラック第1側伸長部構成EPCS1および第2側伸長部構成EPCS2のそれぞれは、有利には、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域GFAの端部に近づくにつれて生成磁場領域GFA内の磁界強度を減少させる磁界勾配を誘導するように構成されたEGAを含む。しかしながら、いくつかの実施形態および/または用途では、生成磁場領域の各端部において、第1トラック第1側伸長部構成および第2側伸長部構成の1つのみが、x軸方向に沿った位置の関数として、生成磁場領域GFAの端部に近づくにつれて生成磁場領域GFA内の磁界強度を減少させる端部勾配配置を含んでいれば十分であることが理解されるであろう。そのような実施形態は、EGAの使用に関連して既に本明細書で概説された、改善されたS/N比、精度、および/またはサイズの利点を依然として有していてもよい。
【0164】
本開示の好適な実施態様が図示および説明されたが、本開示に基づけば当業者には、図示および説明された特徴の配置および動作の順序における多数の変形態様が明らかであろう。本明細書で開示される原理を実施するために、様々な代替形態を使用することができる。上記様々な実施態様および特徴は、更なる実施態様を提供するために、組み合わされてもよい。本明細書で言及される米国特許および米国特許出願のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施態様の態様は、さらにさらなる実施態様を提供するために、必要であれば、様々な特許および出願の概念を使用するように修正することができる。一例として、本明細書に開示された様々な特徴および原理が、ロータリーエンコーダに適用され得ることが理解されるであろう。ここで、上記の説明および特許請求の範囲で言及されたx軸方向およびy軸方向は、それぞれ、そのようなロータリーポジションエンコーダに適用されたときに、円形の測定軸方向および半径方向に対応するものとして解釈されるであろう。
【0165】
これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明に照らして実施に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施態様に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施態様を含むように解釈されるべきである。