(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】処理チャンバ内でのプラズマの高密度化
(51)【国際特許分類】
C23C 16/505 20060101AFI20241001BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241001BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20241001BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
C23C16/505
H01L21/31 C
H05H1/46 M
C23C16/455
(21)【出願番号】P 2021559895
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020024633
(87)【国際公開番号】W WO2020210031
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ビョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】リー, ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】リー, クァンドゥック ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】リムドゥルパイブーニ, ラタサミ
(72)【発明者】
【氏名】ジャミール, イルファン
(72)【発明者】
【氏名】ロー, ピョン ユーン
(72)【発明者】
【氏名】マー, チュン
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット クマール
(72)【発明者】
【氏名】グエン, トゥン アイン
(72)【発明者】
【氏名】ロチャ-アルヴァレス, フアン カルロス
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-224816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00
H01L 21/31
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
処理ガスをイオン化することによって処理空間内でプラズマを生成するよう構成された、ガス分配装置と、
前記処理空間内で基板を支持するよう構成された基板支持体と、
前記処理チャンバの第1の壁に沿って配置されたガス流入口と、
前記ガス流入口に連結されたガス供給源であって、前記処理空間内で前記プラズマを生成することと重複している期間中に、前記処理空間へとバリアガスを導入して、前記基板の一又は複数のエッジに沿ってガスカーテンを生成するよう構成された、ガス供給源と、
前記処理空間内に配置され、かつ前記基板支持体を取り囲んでいるシールドであって、前記バリアガスの流れを制御するよう構成されている、シールドと、
前記処理チャンバの前記第1の壁に沿って配置された排気口と、
を備える、処理チャンバ。
【請求項2】
前記処理チャンバの前記第1の壁が、前記ガス分配装置の反対側にある、請求項
1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記ガス供給源が、前記処理ガスの流量、前記バリアガスの種類、及び前記処理ガスの種類、のうちの少なくとも1つに基づく流量で、前記バリアガスを供給するよう構成される、請求項
1に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記バリアガスが、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン、酸素、又は窒素酸化物、のうちの1つである、請求項
1に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記基板の前記一又は複数のエッジに沿って前記ガスカーテンを生成することが、前記基板の上方の前記プラズマの密度の均一性を向上させる、請求項
1に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
処理チャンバであって、
プラズマを生成するために処理空間内に処理ガスを提供するよう構成された、ガス分配装置と、
前記処理空間内で基板を支持するよう構成された基板支持体と、
前記処理チャンバの第1の壁に沿って配置されたガス流入口と、
前記処理空間内で前記プラズマを生成することと重複している期間中に、前記処理チャンバの前記処理空間へとバリアガスを導入して、前記基板の一又は複数のエッジに沿ってガスカーテンを生成するよう構成された、ガス供給源と、
前記処理空間内に配置され、かつ前記基板支持体を取り囲んでいるシールドであって、前記バリアガスの流れを制御して前記ガスカーテンを形成するよう構成されている、シールドと、
前記処理チャンバの前記第1の壁に沿って配置された排気口と、を備える、処理チャンバ。
【請求項7】
前記処理ガスをイオン化することによって前記処理チャンバの内部領域内で前記プラズマを生成するよう構成された電源
をさらに備える、請求項
6に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記基板が、前記ガス分配装置と、前記処理チャンバの前記第1の壁の間に配置される、請求項
7に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
前記基板の前記一又は複数のエッジに沿って前記ガスカーテンを生成することが、前記基板の上方の前記プラズマの密度の均一性を向上させる、請求項
6に記載の処理チャンバ。
【請求項10】
前記基板の上方の前記プラズマの前記密度の均一性を向上させることが、前記基板上に形成される膜の厚さの均一性を向上させる、請求項
9に記載の処理チャンバ。
【請求項11】
前記ガス供給源が、前記処理ガスの流量、前記バリアガスの種類、及び前記処理ガスの種類、のうちの少なくとも1つに基づく流量で、前記バリアガスを供給するよう構成される、請求項
6に記載の処理チャンバ。
【請求項12】
膜を形成するための方法であって、
基板上に前記膜を形成するために、請求項1~11のいずれか一項に記載の処理チャンバの前記処理空間内にプラズマを生成することと、
前記処理チャンバの前記ガス流入口を介して、前記処理チャンバの前記処理空間へと前記バリアガスを導入して、前記基板の前記一又は複数のエッジに沿って前記ガスカーテンを生成することと、
前記処理チャンバの前記排気口を介して、前記プラズマ及び前記バリアガスをパージすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
[0001]本開示の実施形態は概して、半導体基板上での薄膜の堆積に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]半導体デバイス製造では、基板上に一又は複数の膜を形成するために、プラズマ化学気相堆積(PECVD)が使用されうる。多くの場合、PECVDを実施している間に、処理チャンバ内でプラズマが生成されて基板上に一又は複数の膜が形成される。更に、膜の一又は複数のパラメータの均一性はプラズマの密度の均一性に対応する。したがって、プラズマ密度に差異があればそれが、一又は複数の膜の一又は複数のパラメータにおけるばらつきを引き起こしうる。一例では、不均一なプラズマ密度によって両エッジ間の厚さが不均一な膜が生成されることがあり、これにより、処理済みの基板が、半導体デバイス製造における使用に不適格となる可能性がある。したがって、製造歩留まりが低下し、製造コストは増大しうる。
【0003】
[0003]ゆえに、当該技術分野においては、半導体基板及びハードウェア構成要素の上に薄膜を形成する改良型の方法が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一実施形態では、膜を形成するための方法は、基板上に膜を形成するために、処理チャンバの処理空間内にプラズマを生成することと、処理チャンバの第1の側から、流入口を介して、処理チャンバの処理空間へとバリアガスを導入して、基板の一又は複数のエッジに沿ってガスカーテンを生成することと、処理チャンバの第1の側に沿った排気口を介して、プラズマ及びバリアガスをパージすることと、を含む。
【0005】
[0005]一実施形態では、処理チャンバは、処理チャンバの処理空間内で基板を支持するよう構成された、基板支持体と、処理チャンバの第1の側に沿って配置されたガス流入口と、処理チャンバの第1の側に沿って配置された排気口と、を備える。ガス流入口は、処理チャンバの処理空間へとバリアガスを導入して基板の一又は複数のエッジに沿ってガスカーテンを生成するよう構成されたガス供給源に、連結されるよう構成される。
【0006】
[0006]一実施形態では、処理チャンバは、ガス分配装置と、基板支持体と、ガス流入口と、ガス供給源と、排気口とを備える。ガス分配装置は、処理ガスをイオン化することによって処理チャンバの処理空間内でプラズマを生成するよう構成される。基板支持体は、処理チャンバの処理空間内で基板を支持するよう構成される。ガス流入口は、処理チャンバの第1の側に沿って配置される。ガス供給源は、ガス流入口に連結されており、かつ、処理チャンバの処理空間へとバリアガスを導入して基板の一又は複数のエッジに沿ってガスカーテンを生成するよう構成される。排気口は、処理チャンバの第1の側に沿って配置される。
【0007】
[0007]本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られる。一部の実施形態は、付随する図面に示されている。しかし、付随する図面は、例示的な実施形態のみを示しており、したがって実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではなく、他の等しく有効な実施形態を許容しうることに、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]一又は複数の実施形態による、基板処理システムの概略断面図である。
【
図2】一又は複数の実施形態による、基板処理システムの概略断面図である。
【
図3】[0009]一又は複数の実施形態による、基板及びガスカーテンの上面図を示す。
【
図4】[0010]一又は複数の実施形態による、膜を形成する方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0011]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると、想定される。
【0010】
[0012]半導体デバイスは、基板上に一又は複数の膜を形成することによって生成されてよく、シリコン、窒化物、及び酸化物などを含有する膜を含みうる。基板を処理するための処理チャンバは、化学気相堆積(CVD)(プラズマ化学気相堆積(PECVD)、プラズマ原子層堆積(PEALD)、又は物理的気相堆積(PVD)を含む)を含む工程を実施するよう、構成されうる。基板上の膜の品質は、処理チャンバ内の基板の上方の、プラズマのプラズマ密度の差異(すなわち不均一性)により、悪影響を受けることがある。処理チャンバの処理空間内のプラズマ密度の差異は、基板上に形成される膜の両エッジ間均一性に悪影響を与えうる。更に、膜に不均一性があればそれが、生産歩留まりの低下をもたらし、半導体デバイスの製造コストを増大させうる。
【0011】
[0013]本書に記載のシステム及び方法を使用することで、処理空間内の(詳細には基板の上方の)プラズマの密度の均一性が著しく向上しうる。例えば、バリアガスを処理空間へと導入して、処理空間でのプラズマの分散を低減させるガスカーテンを生成することによって、特定のプロセスでの均一性が向上しうる。処理空間内でのプラズマの分散が低減することで、基板の上方のプラズマの均一性が向上する。様々な実施形態において、処理空間内でのプラズマの分散を低減すること(例えば、処理空間内のプラズマの高密度化を促進すること)により、プラズマの分散を低減させる技法を含まない処理システムと比較して、堆積速度が約20パーセント高まる。更に、プラズマの分散を低減することで、部分的には形成された膜の堆積均一性が向上することにより、膜特性(例えば屈折率(n)、応力、及び吸光係数(k))が良好な方向に調整されうる。
【0012】
[0014]
図1は、本書に記載の一実行形態による、処理チャンバ100の概略断面図を示している。処理チャンバ100はPECVDチャンバであるが、別のプラズマ処理チャンバであってもよい。処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、チャンバ本体102の内部に配置された基板支持体104と、チャンバ本体102に連結され、かつ処理空間120内に基板支持体104を封入するリッドアセンブリ106と、を特徴とする。基板支持体104は、処理中にその上に基板154を支持するよう構成される。開口126を通じて、処理空間120に基板154が提供される。
図1の実施形態はPECVDチャンバを対象としているが、
図1のリッドアセンブリ106及び基板支持体104は、処理空間120内で生成されたプラズマを利用する別の処理チャンバと共に使用されることもある。
【0013】
[0015]ガス供給源111は一又は複数のガス源を含む。ガス供給源111は、一又は複数のガスを、一又は複数のガス源から処理空間120に送るよう構成される。一又は複数のガス源の各々は、プラズマ形成のためにイオン化されうる処理ガス(アルゴン、水素、又はヘリウムなど)を提供する。例えば、キャリアガスとイオン化可能ガスのうちの一又は複数が、一又は複数の前駆体と共に、処理空間120内に提供されうる。300mm基板を処理する場合、処理ガスは、約6500sccm~約8000sccm、約100sccm~約10,000sccm、又は約100sccm~約1000sccmの流量で、処理チャンバ100に導入される。あるいは、その他の流量が利用されることもある。一部の例では、処理チャンバ100にプラズマを送るために遠隔プラズマ源が使用されてもよく、この遠隔プラズマ源は、ガス供給源111に連結されうる。
【0014】
[0016]ガス分配装置112は、一又は複数の処理ガスをガス供給源111から処理空間120へと進入させるための開口118を特徴とする。処理ガスは、導管114を介して処理チャンバ100に供給され、ガス混合領域116に入ってから、開口118を通って流れる。
【0015】
[0017]電極108が、チャンバ本体102に隣接して配置され、チャンバ本体102をリッドアセンブリ106の他の構成要素から分離する。電極108は、リッドアセンブリ106の一部であるが、別個の側壁電極であることもある。電極108は、環状又はリング状の部材であってよく、リング電極であってもよい。電極108は、処理空間120を取り囲む処理チャンバ100の周縁部に沿った連続ループであっても、選択された箇所にある不連続なものであってもよい。電極108は、穿孔電極(穿孔リング電極やメッシュ電極など)であってもよい。電極108は、プレート電極(例えば補助的なガス分配装置)であってもよい。
【0016】
[0018]電極108は電源128に連結される。電源128は、電極108に電気的に連結されている高周波(RF)電源である。更に、電源128は、約50kHz~約13.6MHZの周波数で、約100ワットと約3,000ワットとの間の電力を提供する。電源128は、オプションで、様々な工程においてパルス化されうる。電極108及び電源128により、処理空間120内で形成されるプラズマの更なる制御が促進される。
【0017】
[0019]基板支持体104は、一又は複数の金属材料又はセラミック材料を含有するか、又はかかる材料から形成される。例示的な金属材料又はセラミック材料は、一又は複数の金属、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、又はこれらの任意の組み合わせ、を含む。例えば、基板支持体104は、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、若しくはこれらの任意の組み合わせ、を含有しうるか、又はこれらから形成されうる。
【0018】
[0020]電極122は、基板支持体104内に埋め込まれているが、代替的には、基板支持体104の表面に連結されることもある。電極122は電源136に連結される。電源136は、DC電力、パルスDC電力、高周波(RF)電力、パルスRF電力、又はこれらの任意の組み合わせである。電源136は、処理空間120内でプラズマを生成するために、駆動信号で電極122を駆動するよう構成される。駆動信号は、DC信号と可変電圧信号(例えばRF信号)の一方でありうる。更に、電極122は、代替的には、電源136の代わりに電源128に連結されてもよく、電源136は省略されうる。
【0019】
[0021]プラズマは、電源128及び電源136を介して、処理空間120内に生成される。処理空間120内での容量性プラズマの形成を促進するために、電極108と電極122の少なくとも一方を駆動信号で駆動することによって、RF場が生成される。プラズマが存在することで、基板154の処理(例えば、基板154の表面上への膜の堆積)が促進される。
【0020】
[0022]一又は複数のガス流入口152が、ガス供給源153に連結され、かつ、基板支持体104の下方の処理チャンバ100の底部チャンバ壁101に配置される。ガス供給源153は、ガス流入口152を通じて処理空間120内に、一又は複数のガスを提供する。例えば、ガス供給源153は処理空間120内にバリアガスを提供する。このバリアガスは、プラズマと著しく相互作用する(例えば混じり合う)ことがなく、かつ、基板154の周囲にガスカーテンを生成して、処理空間120内でのプラズマの分散を遅延させることが可能な、任意のガスである。例えば、プラズマと著しく相互作用することがないガスは、処理空間120内でのプラズマの分散を少なくとも部分的に遅延させる、任意のガスでありうる。更に、バリアガスは、寄生プラズマの形成を低減する任意のガスであってもよい。加えて、バリアガスは不活性ガスであってもよい。代替的又は追加的には、バリアガスは、ヘリウム、水素、窒素、アルゴン、酸素、又は窒素酸化物(NOx)などのうちの、いずれかでありうる。ガス供給源153は、バリアガスの種類、及び処理空間120に流入するバリアガスの流量を制御して、バリアガスによって生成されるガスカーテンの一又は複数のパラメータを制御する。加えて、バリアガスは、ガス、プラズマ、又は処理副生成物の処理空間120からの除去を促進するための、パージガスとして作用しうる。
【0021】
[0023]シールド(又はリング)160が、バリアガスを、基板支持体104の周縁部及び基板154の周縁部に沿って流れるよう導く。例えば、シールド160は、バリアガスが処理空間120内に分散する前に、基板支持体104の周縁部及び基板154の周縁部に沿って流れるように、バリアガスの流れを制御しうる。シールド160はチャンバ壁101に連結される。あるいは、シールド160は、処理チャンバ100の別のチャンバ壁に連結されることもある。図示しているように、シールド160は基板支持体104の周囲を囲む。
【0022】
[0024]排気口156が、真空ポンプ157に連結され、処理チャンバ100の、ガス流入口152があるのと同じ壁(例えばチャンバ壁101)に沿って配置される。あるいは、排気口156は、(基板154の周縁部に沿ったバリアガスの流れが悪影響を受けて、
図2のガスカーテン214の形成が妨げられない限り、)処理チャンバ100の別の壁に沿って配置されてもよい。真空ポンプ157は、処理中及び/又は処理の後に、排気口156を介して、処理空間120から余剰プロセスガス又は副生成物を除去する。
【0023】
[0025]
図2は、一又は複数の実施形態による、処理チャンバ100の概略断面図を示すだけでなく、処理チャンバ100内でガスがどのように流れるかについて、及び処理チャンバ100内でのガスカーテンの作成についても示している。基板154の処理を促進するために、一又は複数の処理ガスが、ガス供給源111からガス分配装置112を通り、経路210に沿って流れる。この処理ガスは、
図1の処理空間120内の基板154上方のプラズマ領域220において、プラズマに変換される。バリアガスは、ガス流入口152を介して提供され、処理中及び/又は処理の後に排気口156を介して処理空間120から余剰処理ガス又は副生成物を除去することを支援するパージガスとして作用し、更にガスカーテン214を生成する。バリアガスは経路212(例えば経路212a及び212b)に沿って流れる。バリアガスが減少すると、処理チャンバ全体にわたるプラズマの分散が実現する。例えば、バリアガスは、バリアガスと処理ガスとの間の電気陰性度の差により、相互作用しない(例えば混じり合わない)ことが可能である。更に、処理チャンバ全体にわたるプラズマの分散を低減させることで、基板の上方のプラズマ領域220におけるプラズマの密度の均一性が向上する。例えば、基板154のエッジに沿ったプラズマの密度が、基板154の中心付近のプラズマの密度と同様になりうる。更に、より均一な密度を有するプラズマから形成される膜では、両エッジ間の厚さ又はk値がより均一になりうる。例えば、基板154のエッジに沿った膜の厚さ及び/又は膜のk値が、基板154の中心付近の膜の厚さ及び/又は膜のk値と同様になりうる。加えて、より均一な密度を有するプラズマから形成される膜の堆積速度は、均一な密度を有さないプラズマから形成される膜の堆積速度よりも約20パーセント高くなりうるが、同様の膜品質が維持される。
【0024】
[0026]ガスカーテン214は、処理空間120内のプラズマの分散を低減させるためのチョーク(choke)として機能し、プラズマ領域220においてプラズマを高密度化すると共に、プラズマ領域220におけるプラズマの密度の均一性を向上させる。更に、ガスカーテンは、基板154の周縁部全体の周囲に作成されうる。処理空間内でのプラズマの分散を低減することで、プラズマがトラップされ、プラズマ領域220におけるプラズマの均一性が向上する。したがって、対応する膜の堆積均一性も向上する。更に、プラズマの分散を低減することで、基板上に形成される膜の堆積速度及び/又はk値を高めることにより、プラズマの品質が向上する。加えて、バリアガスを用いて処理チャンバ内で基板上に形成された膜の、両エッジ間の厚さプロファイルの断面形状は、バリアガスを用いずに処理チャンバ内で基板上に形成された膜の両エッジ間の厚さプロファイルの断面形状よりも、平坦になる。更に、バリアガスを用いて処理チャンバ内で基板上に形成された膜のk値プロファイルは、バリアガスを用いずに処理チャンバ内で基板上に形成された膜のk値プロファイルよりも大きくなる。
【0025】
[0027]バリアガスの流量及び種類は、処理空間120内でのプラズマの分散が妨げられる量に、かつプラズマ密度の均一性に、対応しうる。例えば、流量が増大すると、より低い流量と比較して、プラズマが分散する量の減少が大きくなり、かつ、プラズマ密度の均一性の向上も大きくなりうる。バリアガスの流量は、約100sccm~約5000sccmの範囲内でありうる。例示的な一実施形態では、バリアガスの流量は、処理ガスの流量が約3リットルである場合、利用されている処理ガスの種類に応じて、約100sccm~約1000sccmの範囲内でありうる。更に、バリアガスの流量は処理ガスの流量を下回ることもある。例えば、バリアガスの流量が、処理ガスの流量のある割合であることもある。バリアガスの例示的な流量は、処理ガスの約10%~約80%の範囲内でありうる。あるいは、10%未満の割合及び80%を上回る割合が、利用されることもある。
【0026】
[0028]更に、バリアガスが異なる種類であることで、プラズマの分散が妨げられる量が異なり、処理空間120内のプラズマ密度の均一性の向上がより大きくなりうる。更に、バリアガスの流量は、利用されるバリアガスの種類、プラズマを生成するために使用されるガスの種類、処理ガスの流量、及びプラズマ分散が妨げられる量、のうちの少なくとも1つに基づきうる。例えば、第1の処理ガスの場合に利用される第1のバリアガスの流量は、第2の処理ガスの場合に利用される第1のバリアガスの流量とは異なりうる。更に、第1の処理ガスの場合に利用される第1のバリアガスの流量は、第1の処理ガスの場合に利用される第2のバリアガスの流量とは異なりうる。バリアガスの種類は、一又は複数の処理ガスの電気陰性度に基づいて選択されうる。例えば、バリアガスは、処理ガスとバリアガスとの間の電気陰性度の差に基づいて選択されうる。加えて、バリアガスは、処理ガスとバリアガスとの間の電気陰性度の差を最大化するよう、選択されることもある。更に、バリアガスは、処理ガスをプラズマに変換するために利用される駆動信号に従って選択されることもある。例えば、バリアガスは、処理ガスをプラズマに変換するために利用される駆動信号の存在のもとでも、イオン化してプラズマにならない(例えば点火しない)ように選択されうる。
【0027】
[0029]
図3は、一又は複数の実施形態による、ガスカーテン214の上面図を示している。
図3に示しているように、基板154はガスカーテン214によって取り囲まれている。あるいは、ガスカーテン214が、基板154を部分的に取り囲むこともある。更に、ガスカーテン214の厚さは、実質的に均一であっても、不均一であってもよい。追加的又は代替的には、基板154とガスカーテン214との間の距離は、実質的に均一であっても、不均一であってもよい。
【0028】
[0030]本書に記載しているように、膜堆積工程は、基板支持体104上に配置された基板154上に、一又は複数の膜を形成することを含みうる。
図4は、一又は複数の実施形態による、基板を処理するための方法400のフロー図である。方法400は、基板154上に一又は複数の膜を形成するために用いられうる。例えば、基板154上に一又は複数の膜を形成するために、基板154は、処理チャンバ100内に配置されうる。
【0029】
[0031]工程410において、処理チャンバ100の処理空間120内にプラズマが生成される。例えば、一又は複数のプロセスガスが、ガス供給源111によって、処理チャンバ100へと導入されうる。プロセスガスは、少なくとも1つの前駆体ガス、イオン化可能ガス、及びキャリアガスを含んでよく、一又は複数の処理ガスは、イオン化されてプラズマを形成しうる。例えば、一又は複数の処理ガスをイオン化してプラズマにするために、電極122が、電源136によって、RF信号を用いて駆動されうる。更に、前駆体ガスは、プラズマの存在のもとで基板上に膜を形成するために利用されうる。例えば、電源128及び136は、プロセスガスが処理チャンバ100へと導入されてプラズマを生成している間に駆動されうる。
【0030】
[0032]工程420において、バリアガスが処理チャンバ100の処理空間120へと導入される。例えば、バリアガスは、ガス供給源153によって、ガス流入口152を介して処理チャンバ100の処理空間120へと導入されうる。バリアガスは、ガスカーテン(例えばガスカーテン214)を生成してよく、このガスカーテンは、処理空間120内でのプラズマの分散を低減し、基板154上方のプラズマ密度の均一性を向上させる。例えば、ガスカーテン214は、チョークとして機能してよく、基板154のエッジ付近に形成される寄生プラズマの量を低減すると共に、プラズマ領域220におけるプラズマ密度の均一性を向上させる。したがって、基板154上に形成された膜の一又は複数のパラメータの、両エッジ間均一性も向上する。例えば、膜の厚さの両エッジ間均一性が向上しうる。代替的又は追加的には、膜のk値の両エッジ間均一性も向上しうる。更に、密度の均一性の向上により局所的なプラズマの高密度化が発生しうる。これによって、プラズマ品質が向上し、かつ対応する膜の堆積速度が高まって、膜の一又は複数のパラメータが改善されうる。
【0031】
[0033]バリアガスの流量は、処理ガスの種類、バリアガスの種類、及び/又は処理ガスの流量、に応じて選択されうる。バリアガスの流量が処理ガスの流量を下回ることもある。更に、バリアガスの流量は、処理ガスの流量のある割合であることもある。追加的又は代替的には、バリアガスの流量は基板154上方でプラズマが高密度化される量に対応しうる。例えば、バリアガスの流量は、基板154上方で実質的に均一なプラズマ密度を維持するよう、調整されうる。例えば、バリアガスの流量は、最適な均一性から約5%の範囲内のプラズマ密度を維持するよう調整されうる。更に、バリアガスの流量は、プラズマ密度の均一性が第1の閾値を下回る場合に高められてもよく、プラズマ密度が第2の閾値を上回る場合に高められてもよい。2つの閾値について述べているが、代替的には、2を上回る数の閾値、又は2を下回る数の閾値が利用されることもある。
【0032】
[0034]工程430において、プラズマ及びバリアガスは、処理チャンバ100からパージされる。例えば、排気口156は真空ポンプ157に連結されてよく、真空ポンプ157は、処理中及び/又は処理の後に、排気を通じて、処理空間120から余剰プロセスガス又は副生成物を除去する。
【0033】
[0035]そのため、本書に記載のシステム及び方法を使用することにより、バリアガスの導入を通じて、処理チャンバの処理空間内でプラズマの密度の均一性が高められて、基板上に生成される対応する一又は複数の膜の均一性が向上しうる。更に、膜の堆積速度が高められる。そのため、対応する半導体デバイスの製造歩留まりの向上が可能になり、製造コストが削減されうる。バリアガスは、処理空間内でのプラズマの分散を低減させ、基板の上方のプラズマの密度の均一性を向上させるために、ガスカーテン(すなわちチョーク)を生成しうる。
【0034】
[0036]上記の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱しなければ、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって決まる。