(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20241001BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20241001BHJP
【FI】
H01L27/04 G
H01L27/04 C
H01L27/04 A
(21)【出願番号】P 2022109698
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2017227002の分割
【原出願日】2017-11-27
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅之
【審査官】西村 治郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-226998(JP,A)
【文献】特表2009-537972(JP,A)
【文献】特開2014-107415(JP,A)
【文献】特開2011-087385(JP,A)
【文献】特開2016-115386(JP,A)
【文献】特開2014-179545(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0014832(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105449007(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0133031(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の主面上に形成された少なくとも1つの回路ブロックと、
前記回路ブロックを接続する複数の金属層を備えた配線層と、
前記複数の金属層の一つである第1メタルと前記第1メタルとは異なる層の第2メタルとを用いた第1の容量、および前記半導体基板の主面内に形成されたアクティブ領域を用いた第2の容量が混在した複数の容量と、を含み、
前記回路ブロックが、各々昇圧用容量を備え入力された電圧を順次昇圧するとともに直列に接続された複数のチャージポンプ回路を含む昇圧回路であり、
前記第2の容量の少なくとも1つの前記アクティブ領域は、前記複数の金属層の一つである第3メタル及びビアを介して前記第3メタルとは異なる層の第4メタルで短絡されており、
前記複数のチャージポンプ回路の最初のチャージポンプ回路を含む予め定められた個数のチャージポンプ回路の前記昇圧用容量が前記第1の容量で形成され、
前記予め定められた個数を除くチャージポンプ回路の前記昇圧用容量が前記第2の容量で形成され、
前記第1の容量の少なくとも1つと前記第2の容量の少なくとも1つとが前記複数の金属層の積層方向に積層され
、
前記第1の容量がMIM容量またはMOM容量であって、前記第2の容量がMOS容量である
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の容量を構成する誘電体は、シリコン酸窒化膜である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の容量が、MIM容
量である
請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の容量と前記第2の容量との間に、前記第1の容量と前記第2の容量とを相互に遮蔽する少なくとも1層の遮蔽層をさらに含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、特にチャージポンプを用いた昇圧回路を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャージポンプを用いた昇圧回路は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性半導体記憶素子において用いられている。このチャージポンプを用いた昇圧回路を備えたフラッシュメモリ等がさらにマイクロプロセッサ等に組み込まれる場合もある。フラッシュメモリでは読み出し、書き込み、消去の各動作が行われるが、各々の動作で異なる電圧の電源が必要とされるのが一般的である。チャージポンプを用いた昇圧回路は異なる電圧を比較的容易に発生させることができるため、組込み用電源回路として用いられることが多い。
【0003】
従来、チャージポンプを用いた電源回路として、特許文献1に開示されたチャージポンプ回路が知られている。特許文献1に開示されたチャージポンプ回路は、各段が、それぞれ、前段よりの出力電圧を後段に出力するためのスイッチングトランジスタと、該スイッチングトランジスタの出力に一方の電極が接続される、後段への出力電圧昇圧用コンデンサとを有する、n段(n:2以上の整数)の昇圧段と、上記スイッチングトランジスタのゲートに一方の電極が接続されるゲート電圧昇圧用コンデンサの他方の電極、および上記出力電圧昇圧用コンデンサの他方の電極に、それぞれ、所定の位相を有する第1クロック信号、および第2クロック信号を供給するクロック信号供給回路とを有するチャージポンプ回路において、上記クロック信号供給回路よりのクロック信号を昇圧するクロック信号昇圧回路を設け、上記n段の昇圧段のうちの、最終段を含む、後段側m段(m:正整数)に対しては、上記クロック信号昇圧回路よりの昇圧クロック信号を供給し、前段側(n-m)段に対しては、上記クロック信号供給回路よりのクロック信号を供給する構成としたことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昨今の集積規模の増大、機能の多様化等に伴って、半導体装置では回路レイアウト規模の抑制が喫緊の課題となっている。半導体装置に組み込まれる昇圧回路においても例外ではなく、レイアウト面積がより小さくてすむ回路の実現が課題となっている。
一方、チャージポンプを用いた昇圧回路では、特許文献1でもみられるように、昇圧用のキャパシタが必須の構成となっている。昇圧回路に必要とされるキャパシタの容量値は比較的大きいので、必然的にレイアウト面積も大きくなる。昇圧回路の出力電圧が大きくなると、なおさら昇圧回路のレイアウト全体に占める昇圧用キャパシタの面積が大きくなる。従って、チャージポンプを用いた昇圧回路のレイアウト面積削減においては、昇圧用キャパシタのレイアウト面積をいかに削減するかがポイントの一つとなる。
【0006】
この点、特許文献1も昇圧用キャパシタのレイアウト面積の削減を課題の一つとしているが、特許文献1は、一部のクロック信号の昇圧を行わないようにし、そのクロック信号が充電するキャパシタの大きさを抑える構成になっている。従って、特許文献1は、同じ容量値に対する昇圧用キャパシタのレイアウト面積の削減を目的とするものではない。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、レイアウト面積の削減が可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の主面上に形成されるとともに予め定められた機能を有する少なくとも1つの回路ブロックと、前記回路ブロックを接続する複数の金属層を備えた配線層と、前記回路ブロックに接続されるとともに前記金属層を用いた第1の容量、および前記半導体基板の主面内に形成されたアクティブ領域を用いた第2の容量とが混在した複数の容量と、を含み、前記第1の容量の少なくとも1つと前記第2の容量の少なくとも1つが半導体層の積層方向に積層されたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レイアウト面積の削減が可能な半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態に係る昇圧回路を示す回路図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る、(a)はMIMキャパシタを用いたポンプ回路の回路図、(b)はMOSキャパシタを用いたポンプ回路の回路図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る最終段のポンプ回路の回路図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る昇圧回路の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】第1の実施の形態に係るMIMキャパシタおよびMOSキャパシタの縦方向の配置を示す断面図である。
【
図6】第1の実施の形態に係るポンプ部の平面配置の一例を示すレイアウト図である。
【
図7】第2の実施の形態に係るMIMキャパシタおよびMOSキャパシタの縦方向の配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1から
図6を参照して、本実施の形態に係る半導体装置について説明する。本実施の形態に係る半導体装置は、以下で説明する昇圧回路単体の形態、または以下で説明する昇圧回路が他の機能の回路とともに搭載された半導体集積回路の形態をとりえる。以下では、本実施の形態に係る半導体装置における昇圧回路の部分について説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る昇圧回路10は、ポンプ回路11-1、11-2、18、19、分圧部13、比較部14、NAND回路15、インバータ16、クロック生成部17、レベルシフタ27、P型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」)PT1、PT2を含んで構成されている。ポンプ回路11-1、11-2、18、19によって本実施の形態に係るポンプ部30が構成されている。
【0014】
また、昇圧回路10は、イネーブル端子EN、クロック入力端子CKEPを備えている。以下では、イネーブル端子ENに入力される信号を「イネーブル信号en」、クロック入力端子CKEPに入力されるクロック信号を「クロック信号ckep」という場合がある。イネーブル信号enは昇圧回路10の有効、無効を切り替える制御信号であり、昇圧回路10を動作させる「昇圧回路動作モード」では電源VDDの電位Vdの信号(以下、「H」)とされ、昇圧回路10を動作させない「昇圧回路非動作モード」では接地レベルの信号(以下、「L」)とされる。一方、昇圧回路動作モードではクロック入力端子CKEPにクロック信号ckepが入力され、昇圧回路非動作モードではクロック入力端子CKEPにLが入力される。
【0015】
また、
図1に示すリファレンス端子REFは、昇圧電位(出力電位)の基準となる電位の入力端子であり、リファレンス電位Vrefが常時入力される。出力端子VEPは昇圧電源端子であり、昇圧回路動作モードでは昇圧回路10の電源電位よりも高い電位となり、昇圧回路非動作モードでは電源電位となる。なお、
図1に示すように本実施の形態では昇圧回路10の高電位側は、電源電位Vdの電源VDDに接続されている。
【0016】
ポンプ回路11-1、11-2、18、19は、ポンプ回路11-1の入力端子INに入力された電位(本実施の形態では、電源VDDの電位Vd)に基づいて逐次昇圧を行い、目標とする電位を昇圧回路10の出力端子VEPから出力する。ポンプ回路11-1の入力端子IN(ポンプ部30の入力端子でもある)は電源VDDに接続される一方、出力端子OUTはポンプ回路11-2の入力端子INと共通にノードN4に接続されている。
ポンプ回路11-2の出力端子OUTはポンプ回路18の入力端子INと共通にノードN5に接続されている。ポンプ回路18の出力端子OUTはポンプ回路19の入力端子INと共通にノードN6に接続されている。ポンプ回路19の出力端子OUTはPMOSトランジスタPT2のドレイン端子、分圧部13の入力端子IN0、レベルシフタ27の入力端子IN0と共通に出力端子VEPに接続されている。
【0017】
分圧部13は、出力端子VEPに出力された電圧を分圧し、負帰還用の電位を生成する。分圧部13の入力端子IN1は比較部14の入力端子IN2、レベルシフタ27の入力端子IN1、PMOSトランジスタPT1のゲート端子と共通にイネーブル端子ENに接続されている。分圧部13の出力端子OUTは比較部14の入力端子IN1に接続されている。
【0018】
比較部14は、分圧部13から出力された電位をリファレンス電位Vrefと比較し、比較結果を出力する。比較部14の入力端子IN0はリファレンス端子REFに接続されている。比較部14の出力端子OUTはNAND回路15の一方の入力端子と共通にノードN7に接続されている。NAND回路15の他方の入力端子はクロック入力端子CKEPに接続されている。NAND回路15の出力端子はインバータ16の入力端子に接続されている。インバータ16の出力端子はクロック生成部17の入力端子INと共通にノードN8に接続されている。
【0019】
レベルシフタ27の出力端子OUTはPMOSトランジスタPT2のゲート端子に接続されている。PMOSトランジスタPT2のソース端子はPMOSトランジスタPT1のドレイン端子に接続されている。PMOSトランジスタPT1のソース端子は電源VDDに接続されている。
【0020】
クロック生成部17はポンプ回路11-1、11-2、18、19で用いるクロック信号を、クロック信号ckepに基づいて生成する回路である。クロック生成部17の出力端子OUT0は、ポンプ回路11-1の入力端子CLK1、ポンプ回路18の入力端子CLK1と共通にノードN0に接続されている。クロック生成部17の出力端子OUT1は、ポンプ回路11-1の入力端子CLK2、ポンプ回路18の入力端子CLK2と共通にノードN1に接続されている。クロック生成部17の出力端子OUT2は、ポンプ回路11-2の入力端子CLK1、ポンプ回路19の入力端子CLK1と共通にノードN2に接続されている。クロック生成部17の出力端子OUT3は、ポンプ回路11-2の入力端子CLK2、ポンプ回路19の入力端子CLK2と共通にノードN3に接続されている。
なお、以下では、出力端子OUT0から出力されるクロック信号を「クロック信号clock0」、出力端子OUT1から出力されるクロック信号を「クロック信号clock1」、出力端子OUT2から出力されるクロック信号を「クロック信号clock2」、出力端子OUT3から出力されるクロック信号を「クロック信号clock3」と表記する。
【0021】
図4を参照して、クロック信号clock0~clock3の位相関係について説明する。
図4(b)はクロック信号ckepの波形を、
図4(d)のノードN0、N3はクロック信号clock0、clock3の波形を、
図4(e)のノードN1、N2はクロック信号clock1、clock2の波形を、各々示している。
図4に示すように、本実施の形態では、クロック信号clock0およびclock3をクロック信号ckepと同相の信号とし、クロック信号clock1およびclock2をクロック信号ckepの反転信号としている。
【0022】
レベルシフタ27は昇圧回路非動作モードにおいて、出力端子VEPの電位を電源VDDの電位Vdに固定する機能を有する。すなわち、昇圧回路非動作モードではイネーブル信号enはLであることからPMOSトランジスタPT1、PT2はオンとなり、出力端子VEPの電位は電源VDDの電位Vdとなる。一方、昇圧回路動作でモードにおいてはイネーブル信号enがHであることからPMOSトランジスタPT1、PT2はオフし、出力端子VEPの電位はポンプ回路で昇圧された電位となる。換言すると、昇圧回路10の出力電位の初期値は電位Vdであり、電位Vdから順次昇圧される。
【0023】
次に、
図2および
図3を参照して、本実施の形態に係るポンプ回路11-1、11-2、18、19について説明する。
【0024】
ここで、ポンプ部30は、ポンプ部30の入力端子に入力された電位に基づき、クロック信号に同期して、直列に接続されたポンプ回路が前段から受け渡された昇圧電位をさらに昇圧する動作を順次実行することにより、高電位の電圧を発生する。従って、ポンプ回路の後段になるほど昇圧用キャパシタ(容量)に印加される電位差が大きくなる。一方、キャパシタは、一般に種類によって耐圧、専有面積等が異なる。換言すれば、ポンプ部30を構成する個々のポンプ回路について、必ずしもすべて同じ種類のキャパシタを用いる必要はない。
【0025】
より具体的には、例えばMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタとMOSキャパシタとを比較すると、MOSキャパシタの方がMIMキャパシタより耐圧が大きい場合がある。そこで、本実施の形態では、ポンプ部30の初段を含む所定の個数のポンプ回路の昇圧用キャパシタをMIMキャパシタとし、残余のポンプ回路の昇圧用キャパシタをMOSキャパシタで構成することとした。さらに、本実施の形態では、MIMキャパシタとMOSキャパシタとは半導体集積回路で構成した場合に互いに異なる層に配置されることに着目し、MIMキャパシタとMOSキャパシタとを半導体集積回路の縦方向(積層方向)に積層することとした。このことにより、昇圧回路10、さらには昇圧回路10を搭載した半導体装置のレイアウト面積の大幅な削減が可能となった。
【0026】
より具体的には、本実施の形態では、
図1に示すポンプ回路11-1、11-2(以下、総称する場合は「ポンプ回路11」)にMIMキャパシタを用い、ポンプ回路18、19にMOSキャパシタを用いている。また、本実施の形態に係る昇圧回路10では、出力端子VEPに接続されるポンプ回路には出力段用として付加的な回路が追加されており、ポンプ回路19がこの出力段用ポンプ回路に相当する。なお、本実施の形態ではポンプ回路の段数を4段としているが、これに限られず、昇圧回路10の出力電位に応じて必要となる段数としてよい。また、MIMキャパシタを用いたポンプ回路の段数と、MOSキャパシタを用いたポンプ回路の段数の割り振りも特に限定されず、各キャパシタの耐圧、出力される昇圧電位等を勘案して決定してよい。例えば、フラッシュメモリでは消去電位として最大11V程度要求される。この場合、MIMキャパシタの耐圧を仮に5Vとすれば、例えば4V程度までの昇圧電位のポンプ回路にMIMキャパシタを用い、4Vを越える昇圧電位のポンプ回路にMOSキャパシタを用いてポンプ部を構成すればよい。
【0027】
図2(a)に示すように、本実施の形態に係るポンプ回路11は、N型のMOSトランジスタ(以下、「NMOSトランジスタ」)NT1、NT2、キャパシタCM1、CM2を含んで構成されている。キャパシタCM1、CM2がMIMキャパシタである。入力端子IN、入力端子CLK1、入力端子CLK2、出力端子OUTは、
図1のポンプ回路11-1、ポンプ回路11-2の入力端子IN、入力端子CLK1、入力端子CLK2、出力端子OUTに各々相当する。
【0028】
NMOSトランジスタNT1のドレイン端子はNMOSトランジスタNT2のドレイン端子と共通に入力端子INに接続されている。NMOSトランジスタNT1のゲート端子はNMOSトランジスタNT2のソース端子、キャパシタCM2の一方の電極と共通に出力端子OUTに接続されている。NMOSトランジスタNT1のソース端子はNMOSトランジスタNT2のゲート端子、キャパシタCM1の一方の電極と共通にノードN11に接続されている。ポンプ回路11-1では、キャパシタCM2の他方の電極に接続された入力端子CLK1からクロック信号clock0が入力され、キャパシタCM1の他方の電極に接続された入力端子CLK2からクロック信号clock1が入力される。一方、ポンプ回路11-2では、キャパシタCM2の他方の電極に接続された入力端子CLK1からクロック信号clock2が入力され、キャパシタCM1の他方の電極に接続された入力端子CLK2からクロック信号clock3が入力される。
【0029】
図2(b)に示すように、ポンプ回路18は、NMOSトランジスタNT3、NT4、キャパシタCC1、CC2を含んで構成されている。キャパシタCC1、CC2はMOSキャパシタである。すなわち、キャパシタCC1、CC2は、各々ソースとドレインを接続させたNMOSトランジスタで構成されている。入力端子IN、CLK1、CLK2、出力端子OUTは、
図1のポンプ回路18の入力端子IN、CLK1、CLK2、出力端子OUTに各々相当する。回路接続は
図2(a)に示すポンプ回路11と同様なので説明を省略する。ポンプ回路18では、キャパシタCC2の他方の電極に接続された入力端子CLK1からクロック信号clock0が入力され、キャパシタCC1の他方の電極に接続された入力端子CLK2からクロック信号clock1が入力される。
【0030】
図3に示すように、ポンプ回路19は、NMOSトランジスタNT5、NT6、NT7、キャパシタCC3、CC4を含んで構成されている。キャパシタCC3、CC4はMOSキャパシタである。すなわち、キャパシタCC3、CC4は、各々ソースとドレインを接続させたNMOSトランジスタで構成されている。入力端子IN、CLK1、CLK2、出力端子OUTは、
図1のポンプ回路19の入力端子IN、CLK1、CLK2、出力端子OUTに各々相当する。ポンプ回路19は、
図2(b)に示すポンプ回路18にNMOSトランジスタNT7を追加して構成されている。NT7は出力段における逆流防止用のNMOSトランジスタであり、出力端子VEPから電流が逆方向(負荷と反対の方向)に流れるのを防いでいる。ポンプ回路19では、キャパシタCC4の他方の電極に接続された入力端子CLK1からクロック信号clock2が入力され、キャパシタCC3の他方の電極に接続された入力端子CLK2からクロック信号clock3が入力される。
【0031】
次に、ポンプ回路の動作についてより詳細に説明する。ポンプ回路11-1、11-2、18、19は各々入力されるクロック信号に応じた動作をするが、基本的な動作は同じなので、
図2(a)を参照し、主としてポンプ回路11を例示して説明する。
【0032】
図2(a)において、まず、入力端子INには電位VINが印加され、入力端子CLK1がL(=0V)、入力端子CLK2がH(=Vd)の状態で停止している場合を考える。ノードN11と出力端子OUTの電位は、NMOSトランジスタNT1、NMOSトランジスタNT2のリークによりともにVINとなっている。そのため、キャパシタCM2には電位差VINに応じた電荷が蓄えられ、キャパシタCM1にはVINからVdを差し引いた電位差(VIN-Vd)に応じた電荷が蓄えられる。
【0033】
次に、入力端子CLK1にH、入力端子CLK2にLの信号が印加されると、キャパシタCM2の他方の端子には電位Vdが印加されるため、カップリングにより出力端子OUTの電位は(VIN+Vd)となる。その結果NMOSトランジスタNT1はオンとなるため、ノードN11の電位はVINとなり、NMOSトランジスタNT2はオフとなる。
この時、キャパシタCM1の他方の電極の電位はLであることから、キャパシタCM1には電位差VINに応じた電荷が蓄えられ、キャパシタCM2は出力端子OUTにおいて電流が消費されない限り電位差VINに応じた電荷が蓄えられたままである。
【0034】
さらに入力端子CLK1にL、入力端子CLK2にHの信号が印加されると、キャパシタCM1の他方の電極には電位Vdが印加されるため、カップリングによりノードN11は(VIN+Vd)となる。その結果、NMOSトランジスタNT2はオンとなるため、出力端子OUTの電位はVINとなり、NMOSトランジスタNT1はオフとなる。この時、キャパシタCM2には、出力端子OUTにおいて電流の消費が無い限り電位差VINに応じた電荷が蓄えられ、キャパシタCM1には電位差VINに応じた電荷が蓄えられたままである。
【0035】
MOSキャパシタを用いたポンプ回路18、19も基本的には上記のポンプ回路11と同様に動作するが、昇圧用キャパシタがMOSキャパシタであることから、キャパシタCCC1とCC2、あるいはキャパシタCC3とCC4に蓄えられる電荷が、NMOSトランジスタの閾値をNVTとした場合に、電位差(VIN-NVT)に応じた電荷となる点が異なる。ポンプ部30では、ポンプ部30を構成する各ポンプ回路が、クロック信号clock0~clock3に基づいて上記の動作を順次行い、昇圧電位を逐次伝達することによって昇圧が行われる。
【0036】
次に、昇圧動作に伴う各部の波形を示す
図4を併せて参照し、昇圧回路10による昇圧動作について説明する。まず、
図1における各ブロックの動作は以下のようになっている。すなわち、
図1において、レベルシフタ27はIN1がHの時、OUTにIN0の電位レベルを出力し、IN1がLの時、OUTにLを出力する。分圧部13はIN1がHの時、IN0の電位レベルを分圧してOUTに出力し、IN1がLの時、OUTはLを出力する。比較部14はIN2がHの時、IN0とIN1の電位レベルを比較し、OUTに判定結果を出力する。この時、IN0の電位レベルよりIN1の電位レベルが高いとOUTはLを出力し、IN0の電位レベルよりIN1の電位レベルが低いとOUTはHを出力する。一方、IN2がLの時は、OUTはLを出力する。クロック生成部17はINに入力されたクロック信号ckepと同相の信号をOUT0とOUT3に出力し、クロック信号ckepの反転信号をOUT1とOUT2に出力する。
【0037】
図1において、昇圧回路非動作モードの場合、イネーブル端子ENとクロック入力端子CKEPはともにLとなる。その時、ノードN0、ノードN3、ノードN7、ノードN8の各々はLとなり、ノードN1、ノードN2はともにHとなる。また、PMOSトランジスタPT1とPMOSトランジスタPT2はともにオンとなるため、出力端子VEPの電位はVdとなる。この時、ポンプ回路11-2、11-2、18、19は入力端子INと同じ電位レベルが出力端子OUTに出力されるため、ノードN4、ノードN5、ノードN6の電位もすべてVdとなる。
図4のタイミングチャートにおける時刻t1までの昇圧回路非動作モードの波形がこの状態を表している。
【0038】
一方、昇圧回路動作モードの場合、イネーブル端子ENにHが印加され、クロック入力端子CKEPにクロック信号ckepが入力される。その時、分圧部13は出力端子VEPの電位を分圧して出力し、比較部14は出力端子VEPを分圧した電位とリファレンス電位Vrefを比較する。また、PMOSトランジスタPT1とPMOSトランジスタPT2はともにオフとなる。イネーブル端子ENがLからHに遷移した直後は、出力端子VEPの電位はVdであり、所望の電位レベルに達していないため、比較部14はHを出力する。その結果クロック信号ckepはノードN8に出力される。
【0039】
クロック入力端子CKEPがHの時、ノードN0とノードN3はH、ノードN1とノードN2はLとなり、ノードN4とノードN5はともに2VDDとなる。その状態からクロック入力端子CKEPがLに遷移した時、ノードN5とノードN6の電位は3VDDとなる。その状態からクロック入力端子CKEPがHに遷移した時、ノードN6と出力端子VEPの電位は(4VDD-NVT)となる。
図4のタイミングチャートにおける時刻t1からt2までの昇圧回路動作モードの昇圧動作部分の波形図がこの状態を表している。出力端子VEPの電位が上昇し、所望の電位に達すると。比較部14はLを出力するため、ノードN8はクロック入力端子CKEPのレベルに関わらずL固定となる。
図4のタイミングチャートにおける時刻t2以降の昇圧回路動作モードの昇圧停止部分の波形図がこの状態を表している。
【0040】
次に、
図5を参照して、本実施の形態に係るMIMキャパシタとMOSキャパシタの積層方法について説明する。
図5は、昇圧回路10のMIMキャパシタCM、MOSキャパシタCCが積層された領域の縦断面図である。上述したように、本実施の形態に係る昇圧回路10では、レイアウト面積削減のためにMIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとを混用し、さらにMIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとを半導体装置の積層方向(縦方向)に積層する構成を採用している。本実施の形態では、配線層として4層の配線層を適用した形態を例示して説明するが、むろん何層の配線層に適用した形態としてもよい。ここで、4層の配線層の各々を、基板に近い側から「第1メタルM1」、「第2メタルM2」、「第3メタルM3」、「第4メタルM4」とよぶ。
【0041】
MOSキャパシタCCは、昇圧回路10が搭載された半導体装置のMOSトランジスタを用いて形成される。
図5に示すように、半導体基板20の主面31上に形成されたMOSトランジスタのソース、ドレインに相当するアクティブ領域21は、その両端がコンタクト23に接続され、第1メタルM1を経由し、ビア24を介して第2メタルM2で短絡されている。一方、MOSトランジスタのゲート22はコンタクト23を介して第1メタルM1に接続されている。つまり、MOSキャパシタCCでは、ゲート22が一方の電極、アクティブ領域21が他方の電極となっている。そして、ゲート22とアクティブ領域21との間にキャパシタの誘電体が配置されるが、本実施の形態ではこの誘電体をゲート酸化膜を用いて形成している。なお、本実施の形態では、アクティブ領域21側の電極を第2メタルM2まで上げて配線接続する形態を例示して説明したが、これに限られず、第1メタルM1内で双方の電極を配線する形態としてもよい。
【0042】
一方、MIMキャパシタCMは、電極に配線層を用い、間に誘電体を挟んだ構成となっている。すなわち、第3メタルM3で一方の電極が形成され、該電極はビア26によって第4メタルに接続されている。また、配線層とは異なる層のキャパシタメタル25で他方の電極が形成され、該電極はビアを介して第4メタルM4に接続されている。本実施の形態では、第3メタルM3とキャパシタメタル25との間に配置される誘電体に、一例としてシリコン酸窒化膜(SiON膜)を用いている。なお、本実施の形態では、配線層とは別にキャパシタメタル25を設ける形態を例示して説明したが、これに限られず、キャパシタメタル25の代わりに配線層、例えば第4メタルM4を用いてもよい。
【0043】
以上のように、本実施の形態に係る昇圧回路10では、MIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとが積層して配置されるので、レイアウトにおけるMIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとの重複部分の面積に相当する面積を削減することができる。例えば、レイアウト上におけるMIMキャパシタCMの面積とMOSキャパシタCCの面積とが略等しければ、レイアウト面積は半分ですむ。
【0044】
次に、
図6を参照して、MIMキャパシタCM、MOSキャパシタCCを含む昇圧回路10のレイアウトの一例について説明する。
図6は、5段のポンプ回路を備えたポンプ部30Aのレイアウトの例である。ポンプ部30Aでは、初段を含む最初の2つのポンプ回路をMIMキャパシタCMを用いたポンプ回路とし、最終段を含む残余のポンプ回路をMOSキャパシタCCを用いたポンプ回路としている。
【0045】
図6(a)は、ポンプ回路18(
図2(b)参照)のレイアウトの一例を示している。
図6(a)において、NMOSトランジスタNT3、NT4はトランジスタ領域TA1に配置され、キャパシタCC1、CC2はキャパシタ領域CA1に配置されている。すなわち、キャパシタ領域CA1にはMOSキャパシタCCが配置される。一方、
図6(b)は、ポンプ回路11(
図2(a)参照)のレイアウトの一例を示している。
図6(b)において、NMOSトランジスタNT1、NT2はトランジスタ領域TA2に配置され、キャパシタCM1、CM2はキャパシタ領域CA2に配置されている。すなわち、キャパシタ領域CA2にはMIMキャパシタCMが配置される。
【0046】
図6(c)は、
図6(a)と(b)とを組み合わせたポンプ部30A全体のレイアウトを示している。
図6(c)のレイアウト例では、ポンプ回路18であるポンプ回路18-1、18-2、18-3を横一列に並べ、その上にポンプ回路11であるポンプ回路11-1、11-2を重ねた配置としている。ただし、ポンプ回路11-2は左右を反転させている。
図6(c)に示すように、トランジスタ領域TA1とTA2とは重ねて配置させることはできないが、キャパシタ領域CA2は、トランジスタ領域TA1、キャパシタ領域CA1に重ねて配置することができる。
【0047】
以上のようなレイアウト方法を採用した本実施の形態に係る昇圧回路10、あるいは昇圧回路10を搭載した半導体装置によれば、レイアウト面積を大幅に削減することが可能となる。
【0048】
[第2の実施の形態]
図7を参照して、本実施の形態に係る昇圧回路について説明する。本実施の形態は、上記昇圧回路10において、MIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとの間にシールド配線を配置した形態である。従って、昇圧回路、ポンプ回路の構成は上記昇圧回路10と同様なので、説明を省略する。
【0049】
図7に示すように、本実施の形態に係る昇圧回路では第1メタルM1~第5メタルM5を備えた5層の配線層を用いている。第1メタルM1および第2メタルM2を含んで構成されたMOSキャパシタCCの部分は
図5と同様である。また、第4メタルM4と第5メタルM5を含んで構成されたMIMキャパシタCMの部分は、
図5における第3メタルM3、第4メタルM4を各々第4メタルM4、第5メタルM5としたものであり、基本的には
図5におけるMIMキャパシタCMと同じである。
【0050】
図7に示すように、本実施の形態では、MOSキャパシタCCとMIMキャパシタCMとの間に第3メタルM3を用いたシールド配線を設けている。該シールド配線により、昇圧回路の動作時におけるMIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとの間の干渉を抑制することができる。MIMキャパシタCMとMOSキャパシタCCとの間の干渉が抑制されると波形の歪等も抑制されるので、昇圧効率の劣化も抑制される。本シールド配線は、特にMIMキャパシタCMとCMOSキャパシタCCとが近い位置に配置される場合に特に有効である。本シールド配線により、相互の干渉を抑制しつつ、MIMキャパシタCMの下層にMOSキャパシタCCを配置することが可能となり、本昇圧回路、あるいは本昇圧回路が組み込まれた半導体装置のレイアウト面積を効果的に縮小し、かつ昇圧効率の劣化を抑制させることが可能となる。
【0051】
ここで、本実施の形態では、シールド配線を1層設ける形態を例示して説明したが、これに限られず必要となる層数設ける形態としてもよい。例えば、MIMキャパシタCMの下層に1層のシールド配線、MOSキャパシタCCの上層に1層のシールド配線を配置させて、2層のシールド配線を設ける形態としてもよい。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、ポンプ回路に用いる昇圧用キャパシタを積層させる形態を例示して説明したが、これに限られず、半導体装置内の他のキャパシタ同士を積層させる形態としてもよい。例えば、半導体装置内の各機能ブロックごとのバイパスコンデンサをMIMキャパシタとMOSキャパシタに割り振り、両者を積層させる構成としてもよい。
【0053】
また、上記各実施の形態では、MIMキャパシタを最上層の配線層(トップメタル)とその下層の配線層で構成する形態を例示して説明したが、これに限られず、トップメタルを用いないで、両方の電極を内層の配線層を用いて構成してもよい。
【0054】
また、上記各実施の形態では、昇圧用キャパシタとしてMIMキャパシタ、MOSキャパシタを用いる形態を例示して説明したが、これに限られず、他の種類のキャパシタを用いた形態としてもよい。例えば、MIMキャパシタの代わりにMOM(Metal Oxide Metal)キャパシタを用い、MOMキャパシタとMOSキャパシタを積層させる形態としてもよい。
【0055】
また、上記各実施の形態では、
図1に示す昇圧回路10に本発明を適用した形態を例示して説明したが、昇圧回路10は一例であって他の方式の昇圧回路に本発明を適用してもよい。同様に、上記各実施の形態では、
図2、
図3に示すポンプ回路に本発明を適用した形態を例示して説明したが、
図2、
図3に示すポンプ回路は一例であって他の方式のポンプ回路に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 昇圧回路
11-1、11-2 ポンプ回路
13 分圧部
14 比較部
15 NAND回路
16 インバータ
17 クロック生成部
18、19 ポンプ回路
20 半導体基板
21 アクティブ領域
22 ゲート
23 コンタクト
24 ビア
25 キャパシタメタル
26 ビア
27 レベルシフタ
30、30A ポンプ部
31 主面
M1 第1メタル
M2 第2メタル
M3 第3メタル
M4 第4メタル
M5 第5メタル
N1~N14 ノード
NT1~NT7 NMOSトランジスタ
PT1、PT2 PMOSトランジスタ
CC、CC1~CC4 MOSキャパシタ
CM、CM1~CM2 MIMキャパシタ
CA1、CA2 キャパシタ領域
TA1、TA2 トランジスタ領域
EN イネーブル端子
CKEP クロック入力端子
VEP 出力端子
REF リファレンス端子
VDD 電源
Vd 電位
clock0~clock3 クロック信号