(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-30
(45)【発行日】2024-10-08
(54)【発明の名称】超音波システムおよび超音波システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20241001BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2024016462
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2022536126の分割
【原出願日】2021-03-08
【審査請求日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020121906
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】田代 りか
【審査官】井海田 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198457(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122791(WO,A1)
【文献】特開2010-227357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、前記超音波プローブと有線または無線で接続される情報端末と、を備える超音波システムであって、
前記情報端末は、
前記超音波プローブと前記情報端末との間の無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を格納する操作情報格納部と、
前記ユーザによって行われる、前記複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、前記ユーザによって行われていない操作に対応する、前記複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第2操作情報を前記ユーザに提案するエラー処理部と、を備える、超音波システム。
【請求項2】
前記エラー処理部は、前記操作回数が、前記定められた期間内に、前記定められた回数に到達した場合に、前記第2操作情報として、前記超音波プローブと前記情報端末との間を有線ケーブルで接続する操作を提案する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記エラー処理部は、前記情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させ、前記操作回数が、前記定められた期間内に、前記定められた回数に到達した場合に、前記第2操作情報として、前記超音波プローブの群のうち、前記リストに含まれていない未表示の超音波プローブを選択する操作を提案する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記エラー処理部は、前記操作回数が、前記定められた期間内に、前記定められた回数に到達した場合に、前記第2操作情報として、前記情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群の中から、ウィザード方式で超音波プローブを選択する操作を提案する、請求項3に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記エラー処理部は、前記操作回数が、前記定められた期間内に、前記定められた回数に到達した場合に、前記第2操作情報として、前記情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、前記ユーザによって前記第1操作情報に対応する操作が行われてから、前記情報端末との無線接続が試されていない未試行の超音波プローブを選択する操作を提案する、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記エラー処理部は、前記未試行の超音波プローブの名称が先頭側から並べられ、かつ、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させる、請求項5に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記エラー処理部は、前記未試行の超音波プローブの名称をハイライトさせる、請求項6に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記エラー処理部は、前記未試行の超音波プローブの名称のみが並べられ、かつ、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させる、請求項5に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記エラー処理部は、前記第2操作情報をテキストメッセージまたは動画で表示させる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記エラー処理部は、前記第2操作情報を音声で読み上げさせる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項11】
超音波プローブと、前記超音波プローブと有線または無線で接続される情報端末と、を備える超音波システムの制御方法であって、
前記超音波プローブと前記情報端末との間の無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を、前記情報端末の操作情報格納部が格納するステップと、
前記ユーザによって行われる、前記複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、前記ユーザによって行われていない操作に対応する、前記複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第2操作情報を、前記情報端末のエラー処理部が前記ユーザに提案するステップと、を含む、超音波システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブと、情報端末と、が有線または無線で接続される超音波システムおよび超音波システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、超音波画像を利用する超音波システムが実用化されている。一般に、超音波システムは、振動子アレイを内蔵する超音波プローブと、超音波プローブと接続される情報端末と、を備えており、超音波プローブから被検体に向けて超音波ビームを送信し、被検体からの超音波エコーを超音波プローブで受信し、その受信信号を電気的に処理することにより超音波画像が生成される。
【0003】
近年では、据置型の超音波システムのみならず、携帯型およびハンドヘルド型の超音波システムが開発されている。携帯型の超音波システムは、情報端末が、ラップトップ型の端末装置によって実現されている超音波専用システムである。一方、ハンドヘルド型の超音波システムは、情報端末が、スマートフォンまたはタブレットPC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)等のハンドヘルド型の端末装置と、端末装置上で動作する超音波診断用のアプリケーションプログラムと、によって実現されている。
【0004】
ここで、本発明の参考となる先行技術文献として、特許文献1-5がある。
【0005】
特許文献1は、情報提供装置等に関するものである。特許文献1には、ユーザによる繰り返し操作を検出し、検出された繰り返し操作の操作履歴を解析し、内部記憶手段および外部記憶手段等の記憶手段に、操作履歴に対応して記憶された操作情報から、記憶手段に記憶された操作履歴を参照して、解析された繰り返し操作の操作履歴に対応する操作情報を特定し、特定された操作情報を出力することが記載されている。
【0006】
特許文献2は、誤操作防止装置等に関するものである。特許文献2には、操作者が行った操作画面上の操作を記憶し、記憶した操作の中で操作画面上に誤り表示がなされた操作およびその操作回数を計数し、計数した計数値が予め設定された所定の値を越えると、計数値が所定の値を越えた特定の操作を操作画面上で操作できないように制御したり、特定の操作が誤りであることを操作画面上で報知したりすることが記載されている。
【0007】
特許文献3は、医用装置の誤操作防止装置に関するものである。特許文献3には、表示装置の画面に表示される操作ボタンをタッチまたはクリックする操作により、所望の処理を実行させるようにしたソフトキーを有する医用装置において、操作ボタンを所定時間操作し続けるか、所定時間内に所定回数操作を繰り返すことにより、所望の処理の実行を開始させることが記載されている。
【0008】
特許文献4は、可搬型の超音波撮像システム等に関するものである。特許文献4には、超音波探触子と、超音波探触子から情報を受信するように構成された可搬型のホストシステムとを含む超音波撮像システムにおいて、ホストシステムが、ホストシステムにより特定された超音波探触子を表示し、操作者が、対応するアイコンに触れることにより、表示された探触子の1つを選択することが記載されている。
【0009】
特許文献5は、超音波撮像装置および多用途電子表示装置を含む超音波撮像システムに関するものである。特許文献5には、事前記憶情報、ユーザ入力、および超音波撮像装置から集められる情報等に基づいて、1つ以上の超音波撮像装置から、多用途電子表示装置と接続する超音波撮像装置を選択し、選択された超音波撮像装置から受信される超音波データを表示する超音波撮像システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2009-116787号公報
【文献】特開2008-282086号公報
【文献】特開2001-084074号公報
【文献】特開2013-172959号公報
【文献】特表2018-509269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ハンドヘルド型の超音波システムは、据置型および携帯型の超音波システムに比べて表示画面が小さいため、メッセージを表示させることにより、ユーザに一度に報知することができる情報量が限られている。
【0012】
他方、超音波システムは、検査部位等に応じて複数の超音波プローブを使い分ける必要がある。従来の据置型の超音波システムの多くは、情報端末に2~3個の超音波プローブを有線ケーブルで接続可能である。ユーザは、これらの2~3個の超音波プローブの中から、使用したい超音波プローブを機械的な選択スイッチで選択するか、あるいは、情報端末の表示画面のUI(User Interface:ユーザインタフェイス)によって選択して使用する。
【0013】
一方、ハンドヘルド型の超音波システムの場合、超音波プローブと情報端末との間は、例えば無線で接続される。無線接続の場合、ユーザが接続したい超音波プローブと実際に接続されている超音波プローブとが一致しているか否かは、有線接続の場合のように物理的な接続で目視することはできず、情報端末の小さな表示画面において、無線接続の情報を見て確認するしかない。
【0014】
また、超音波プローブと情報端末との間を2~3mの有線ケーブルで接続する場合と異なり、無線接続する場合、無線の電波が届く範囲であれば、検査室外の、例えば10m以上離れた場所にある超音波プローブにも無線接続される可能性がある。このため、ユーザは、手元にある超音波プローブに接続したいにも係わらず、手元の超音波プローブとは接続されず、検査室外の遠く離れた場所にある超音波プローブと接続される場合がある。
【0015】
病院には、無線接続が可能な多くの超音波プローブが多くの場所にある。このため、看護師が手元にある超音波プローブを無線で接続しようと試みてもうまく接続されず、何度も同じ操作を繰り返してもうまく接続されない場合がある。例えば、ユーザが手元にある超音波プローブに無線で接続するための操作を試みるが、実際には、遠く離れた場所にある超音波プローブに接続されており、情報端末の表示画面に超音波画像が表示されないため、ユーザは、接続操作を繰り返す。
【0016】
また、無線接続のための操作として、登録済みの超音波プローブの名称のリストを表示させ、その中から、ユーザが使用したい超音波プローブを選択して接続する操作、および、新規な超音波プローブを追加する操作等がある。
【0017】
ところが、情報端末の表示画面が小さいため、登録済みの超音波プローブの数が多く、一度に全ての超音波プローブの名称を表示させることができない場合には、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させる。ユーザは、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることによって、リストに表示されていない未表示の超音波プローブの名称を表示させることができる。
【0018】
この場合、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせなければ、未表示の超音波プローブの名称を表示させることはできないが、ユーザが、このような操作上の制約を知らない場合、新規な超音波プローブを追加するための操作を繰り返す。
【0019】
例えば、5個以上の超音波プローブが登録済みであるが、
図13に示すように、一度に4個の超音波プローブの名称のみを含むリストが表示されるとする。ユーザは、表示されている超音波プローブの名称を上下方向にスワイプすることにより未表示の超音波プローブの名称を表示させることができる。スクロールさせると、超音波プローブの名称の右端にスクロールバーが表示されるが、このスクロールバーは、仕様上、超音波プローブの名称を上下方向にスクロールさせた場合に、数秒間、表示されるだけである。
【0020】
しかし、ユーザが、このような仕様上の制約を把握しているとは限らない。ユーザが、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることができることを知らない場合、複数の超音波プローブを切り替えて使おうとしても、使用したい超音波プローブの名称が表示されていないため、使用したい超音波プローブが登録されていないと勘違いをして、新規な超音波プローブを追加する操作を繰り返す。
【0021】
あるいは、超音波プローブの電源がオンになっていることを確認し、超音波ビームにより被検体をスキャンするためのスキャンボタンをタップするか、使用する超音波プローブを切り替えるためのプローブ切り替えボタンをタップしても超音波画像が表示されない。さらに、登録済みの超音波プローブの中から、使用したい超音波プローブを一旦削除し、再度、追加した後、スキャンボタンをタップしても超音波画像が表示されない。そのため、ユーザは、無線接続を諦めて、有線ケーブルで接続する。
【0022】
このように、無線接続のエラーが発生して、超音波画像が表示されない場合、ユーザは、無線接続のエラーを解決するために、上記のような思いつく限りの操作を行う。しかし、上記の仕様上の制約の問題は、無線接続のエラーではあるが、実質的なエラーではなく、ユーザによる操作ミスであるため、この問題を解決するためのメッセージ等は表示されない。このため、ユーザは、使用したい超音波プローブの名称が表示されない理由が分からず、エラーを解決できない状態が続く。
【0023】
従って、本発明は、上記従来の問題点を解消し、ユーザが、同じ操作を繰り返すことなく、無線接続のエラーを解決できるようにサポートすることができる超音波システムおよび超音波システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するために、本発明は、超音波プローブと、超音波プローブと有線または無線で接続される情報端末と、を備える超音波システムであって、
情報端末は、
超音波プローブと情報端末との間の無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を格納する操作情報格納部と、
ユーザによって行われた、複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、ユーザによって行われていない操作に対応する、複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第2操作情報をユーザに提案するエラー処理部と、を備える、超音波システムを提供する。
【0025】
ここで、エラー処理部は、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、超音波プローブと情報端末との間を有線ケーブルで接続する操作を提案することが好ましい。
【0026】
また、エラー処理部は、情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させ、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、超音波プローブの群のうち、リストに含まれていない未表示の超音波プローブを選択する操作を提案することが好ましい。
【0027】
また、エラー処理部は、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群の中から、ウィザード方式で超音波プローブを選択する操作を提案することが好ましい。
【0028】
また、エラー処理部は、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、情報端末と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、ユーザによって第1操作情報に対応する操作が行われてから、情報端末との無線接続が試されていない未試行の超音波プローブを選択する操作を提案することが好ましい。
【0029】
また、エラー処理部は、未試行の超音波プローブの名称が先頭側から並べられ、かつ、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させることが好ましい。
【0030】
また、エラー処理部は、未試行の超音波プローブの名称をハイライトさせることが好ましい。
【0031】
また、エラー処理部は、未試行の超音波プローブの名称のみが並べられ、かつ、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させることが好ましい。
【0032】
また、エラー処理部は、第2操作情報をテキストメッセージまたは動画で表示させることが好ましい。
【0033】
また、エラー処理部は、第2操作情報を音声で読み上げさせることが好ましい。
【0034】
また、本発明は、超音波プローブと、超音波プローブと有線または無線で接続される情報端末と、を備える超音波システムの制御方法であって、
超音波プローブと情報端末との間の無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を、情報端末の操作情報格納部が格納するステップと、
ユーザによって行われた、複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、ユーザによって行われていない操作に対応する、複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第2操作情報を、情報端末のエラー処理部がユーザに提案するステップと、を含む、超音波システムの制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0035】
本発明では、無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる、第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、ユーザによって行われていない操作に対応する第2操作情報をユーザに提案するため、ユーザは、定められた期間内に、定められた回数、第1操作情報に対応する操作を行った後に、第2操作情報に対応する操作を行うことができる。そのため、本発明によれば、ユーザが、同じ操作を繰り返すことなく、無線接続のエラーを解決できるようにサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る一実施形態の超音波システムの構成を表すブロック図である。
【
図3】エラー処理部の構成を表すブロック図である。
【
図4】超音波システムの動作を表すフローチャートである。
【
図5】超音波プローブと情報端末との間を無線で接続する場合の超音波システムの動作を表すフローチャートである。
【
図6】エラーの種別の情報および第1操作情報を表すモニタの表示画面の概念図である。
【
図8】超音波診断用のアプリケーションプログラムのメインメニュー画面の概念図である。
【
図9】超音波診断用のアプリケーションプログラムの設定画面の概念図である。
【
図10】超音波プローブの検出開始画面の概念図である。
【
図13】登録済みの超音波プローブの名称のリストの表示画面の概念図である。
【
図14】左側は、エラーの種別の情報および第1操作情報を表すモニタの表示画面の概念図であり、右側は、登録済みの超音波プローブのリストを表すモニタの表示画面の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の超音波システムおよび超音波システムの制御方法を詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明に係る一実施形態の超音波システムの構成を表すブロック図である。
図1に示す超音波システムは、超音波プローブ1と、超音波プローブ1と有線または無線で接続される情報端末3と、を備えている。本実施形態の超音波システムは、超音波プローブ1と、情報端末3と、情報端末3上で動作する超音波診断用のアプリケーションプログラムと、によって実現されている。
【0039】
超音波プローブ1は、超音波ビームにより被検体をスキャンして超音波画像を撮像し、超音波画像に対応するデータ、本実施形態の場合、超音波画像の画像情報データを出力する。超音波プローブ1は、
図1に示すように、振動子アレイ11と、送受信回路14と、信号処理部16と、画像処理部17と、プローブ側通信回路18と、プローブ制御部21と、シネメモリ22と、バッテリ24と、を備えている。
【0040】
振動子アレイ11には、送受信回路14が双方向に接続されている。送受信回路14には、信号処理部16、画像処理部17およびプローブ側通信回路18が順次直列に接続されている。信号処理部16および画像処理部17は、画像情報データ生成部19を構成する。また、画像処理部17にはシネメモリ22が接続され、シネメモリ22にはプローブ側通信回路18が接続されている。
【0041】
また、送受信回路14、信号処理部16、画像処理部17、シネメモリ22およびプローブ側通信回路18には、プローブ制御部21が接続されている。また、超音波プローブ1は、バッテリ24を内蔵している。
送受信回路14、画像情報データ生成部19(信号処理部16および画像処理部17)およびプローブ制御部21により、プローブ側プロセッサ25が構成されている。
【0042】
振動子アレイ11は、1次元または2次元に配列された複数の超音波振動子を有している。これらの振動子は、それぞれ送受信回路14から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、かつ、被検体からの反射波を受信してアナログの受信信号を出力する。
各振動子は、例えば、PZT(Lead Zirconate Titanate:チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック、PVDF(Poly Vinylidene Di Fluoride:ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電素子およびPMN-PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate:マグネシウムニオブ酸鉛-チタン酸鉛固溶体)に代表される圧電単結晶等からなる圧電体の両端に電極を形成した素子を用いて構成される。
【0043】
送受信回路14は、プローブ制御部21による制御の下で、振動子アレイ11から超音波を送信させ、かつ、超音波エコーを受信した振動子アレイ11から出力される受信信号に受信フォーカス処理を施すことにより音線信号を生成する。送受信回路14は、
図2に示すように、振動子アレイ11に接続されるパルサ51と、振動子アレイ11から順次直列に接続される増幅部52、AD(Analog Digital)変換部53およびビームフォーマ54と、を有している。
【0044】
パルサ51は、例えば複数のパルス発生器を含んでおり、プローブ制御部21により選択された送信遅延パターンに基づいて、振動子アレイ11の複数の振動子から送信される超音波が超音波ビームを形成するようにそれぞれの駆動信号を、遅延量を調節して複数の振動子に供給する。このように、振動子アレイ11の振動子の電極にパルス状または連続波状の電圧が印加されると、圧電体が伸縮し、それぞれの振動子からパルス状または連続波状の超音波が発生して、それらの超音波の合成波から、超音波ビームが形成される。
【0045】
送信された超音波ビームは、例えば、被検体の部位等の対象において反射され、超音波プローブ1の振動子アレイ11に向かって伝搬する。振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子は、このように振動子アレイ11に向かって伝搬する超音波エコーを受信することにより伸縮して、電気信号である受信信号を発生し、これらの受信信号を増幅部52に出力する。
【0046】
増幅部52は、振動子アレイ11を構成するそれぞれの振動子から入力された信号を増幅し、増幅した信号をAD変換部53に送信する。AD変換部53は、増幅部52から送信された信号をデジタルの受信データに変換し、これらの受信データをビームフォーマ54に出力する。
【0047】
ビームフォーマ54は、プローブ制御部21により選択された受信遅延パターンに基づいて設定される音速または音速の分布に従い、AD変換部53により変換された各受信データに対してそれぞれの遅延を与えて加算することにより、いわゆる受信フォーカス処理を行う。この受信フォーカス処理により、AD変換部53で変換された各受信データが整相加算され、かつ、超音波エコーの焦点が絞り込まれた音線信号が生成される。
【0048】
画像情報データ生成部19は、送受信回路14により生成された音線信号に基づいて画像情報データを生成する。画像情報データ生成部19は、前述のように、信号処理部16と、画像処理部17と、を有している。
【0049】
信号処理部16は、プローブ制御部21の制御の下で、送受信回路14により生成された音線信号に基づいて、超音波画像への画像化前の画像信号データを生成する。より具体的には、信号処理部16は、送受信回路14のビームフォーマ54により生成された音線信号に対して信号処理、例えば超音波が反射した位置の深度に応じて伝搬距離に起因する減衰の補正を施した後、包絡線検波処理を施して、画像化前の画像信号データとして、被検体内の組織に関する断層画像情報を表す信号を生成する。
【0050】
画像処理部17は、プローブ制御部21の制御の下で、信号処理部16により生成された画像信号データに基づいて、画像情報データ生成部19により生成された画像情報データとして超音波画像を生成する。より具体的には、画像処理部17は、信号処理部16により生成された画像化前の画像信号データを、通常のテレビジョン信号の走査方式に従う画像信号にラスター変換し、このように変換された画像信号に対して、モニタ34の表示フォーマットに従う明るさ補正、諧調補正、シャープネス補正、画像サイズ補正、リフレッシュレート補正、走査周波数補正および色補正等の各種の画像処理を施すことにより超音波画像(超音波画像信号)を生成した後、生成された超音波画像を画像情報データとしてプローブ側通信回路18に出力する。
【0051】
シネメモリ22は、プローブ制御部21による制御の下で、画像情報データ生成部19により生成された画像情報データを格納する。より詳しくは、シネメモリ22は、ライブモードの場合に、画像情報データとして、画像情報データ生成部19の画像処理部17により生成された超音波画像を格納する。シネメモリ22は、数秒から数十秒の超音波画像、例えば1秒間に30フレームの超音波画像が撮像される場合、数十フレームから数百フレームの超音波画像を格納するためのメモリ容量を有している。
シネメモリ22はリングバッファである。従って、メモリ容量に対応するフレーム数の過去のフレームの超音波画像がシネメモリ22に格納されると、最古のフレームの超音波画像の代わりに、最新のフレームの超音波画像がシネメモリ22に順次格納される。これにより、シネメモリ22には、常に、最新のフレームの超音波画像から、メモリ容量に対応するフレーム数の過去のフレームの超音波画像が格納される。
【0052】
ここで、ライブモードは、一定のフレームレートで撮像された超音波画像(動画像)を逐次表示(リアルタイム表示)するモードである。
フリーズモードは、ライブモードの場合に撮像された超音波画像(動画像)をシネメモリ22に格納しておき、このシネメモリ22に格納されている過去のフレームの超音波画像(動画像)の中から任意のフレームの超音波画像(静止画像)を読み出して表示するモードである。
【0053】
プローブ側通信回路18は、プローブ制御部21の制御の下で、画像処理部17により生成された画像情報データ、または、シネメモリ22に格納された画像情報データを有線または無線で送信する。
プローブ側通信回路18は、本実施形態の場合、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、画像処理部17により生成された超音波画像に基づいてキャリアを変調して伝送信号を生成し、伝送信号をアンテナに供給してアンテナから電波を送信することにより、超音波画像を無線送信する。
キャリアの変調方式としては、ASK(Amplitude Shift Keying:振幅偏移変調)、PSK(Phase Shift Keying:位相偏移変調)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying:四位相偏移変調)、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation:16直角位相振幅変調)等が用いられる。
また、プローブ側通信回路18は、超音波プローブ1と情報端末3とを、USB(Universal Serial Bus:ユニバーサル・シリアル・バス)ケーブル等のケーブルによって有線で接続することもできる。
【0054】
プローブ側通信回路18は、ライブモードの場合に、画像情報データ生成部19により生成されたフレームの画像情報データを無線送信し、フリーズモードの場合に、シネメモリ22に格納される画像情報データを無線送信する。
【0055】
プローブ制御部21は、予め記憶しているプログラム等に基づいて、超音波プローブ1の各部の制御を行う。より詳しくは、プローブ制御部21は、予め設定された検査モードおよび走査方式に基づいて、超音波ビームの送信および超音波エコーの受信が行われるように送受信回路14を制御する。また、プローブ制御部21は、予め設定された信号処理が音線信号に施され、予め設定された画像処理が画像信号データに施されるように画像情報データ生成部19の信号処理部16および画像処理部17を制御する。プローブ制御部21は、ライブモードの場合に、画像情報データ生成部19により生成された画像情報データがシネメモリ22に格納され、フリーズモードの場合に、シネメモリ22に格納されている過去のフレームの超音波画像が読み出されるように制御する。さらに、プローブ制御部21は、予め設定された送信電波強度で画像信号データの送信が行われるようにプローブ側通信回路18を制御する。
【0056】
ここで、検査モードとは、B(輝度)モード、CF(カラードプラ)モード、PD(パワードプラ)モード、M(モーション)モード、PW(パルスドプラ)モード、CW(連続波ドプラ)モード等、超音波システムにおいて使用可能な検査モードのうちのいずれかを示し、走査方式は、電子セクタ走査方式、電子リニア走査方式、電子コンベックス走査方式等の走査方式のうちのいずれかを示すものとする。
【0057】
バッテリ24は、超音波プローブ1に内蔵されており、超音波プローブ1の各回路に電力を供給する。
【0058】
次に、情報端末3は、例えば、スマートフォンおよびタブレットPC等のようなハンドヘルド型の端末装置であって、有線または無線で接続された超音波プローブ1によって撮像された超音波画像に対応するデータに基づいて超音波画像を表示する。情報端末3は、
図1に示すように、端末側通信回路32と、表示制御部33と、エラー処理部35と、端末制御部36と、モニタ(表示部)34と、入力装置37と、を備えている。
【0059】
端末側通信回路32には、表示制御部33およびモニタ34が順次直列に接続されている。また、端末側通信回路32、表示制御部33およびエラー処理部35に端末制御部36が接続されている。また、端末制御部36には、入力装置37が接続されている。
【0060】
超音波プローブ1のプローブ側通信回路18と情報端末3の端末側通信回路32とは、本実施形態の場合、無線通信により無線接続されており、これにより、超音波プローブ1と情報端末3とが、双方向に情報の受け渡しが可能に接続されている。
【0061】
端末側通信回路32は、端末制御部36の制御の下で、超音波プローブ1のプローブ側通信回路18から送信される画像情報データを有線または無線で受信する。本実施形態の場合、端末側通信回路32は、電波の送信および受信を行うためのアンテナを含んでおり、プローブ側通信回路18から無線送信された伝送信号を、アンテナを介して受信し、受信した伝送信号を復調することにより、画像情報データである超音波画像(超音波画像信号)を出力する。
【0062】
表示制御部33は、端末制御部36の制御の下で、各種の情報をモニタ34に表示させる。表示制御部33は、例えば端末側通信回路32により受信された画像情報データに基づいて超音波画像をモニタ34に表示させる。より詳しくは、表示制御部33は、画像情報データである超音波画像に所定の処理を施して、モニタ34に表示させる。また、表示制御部33は、超音波システムにエラーが発生した場合に、発生したエラーの種別の情報およびこのエラーを解決するための操作情報等をモニタ34に表示させる。
【0063】
エラー処理部35は、端末制御部36の制御の下で、超音波システムにおいて、エラーの発生が検出された場合に、発生したエラーの種別の情報を表示させ、エラーを解決するための操作情報等をユーザ(超音波システムの操作者)に提案する。エラー処理部35は、
図4に示すように、操作情報格納部61と、エラー検出部62と、操作情報取得部63と、経過時間判定部64と、操作回数判定部66と、音声出力部67と、を備えている。
【0064】
エラーの種別は、特に限定されないが、例えば超音波システムの不具合の他、超音波プローブ1と情報端末3との間の無線接続時あるいは有線ケーブルでの接続時のエラー、超音波画像を撮像しようとする患者の患者情報の入力時のエラー、等のユーザによる操作ミスおよび設定ミス等のエラーを含む。
【0065】
操作情報とは、エラーが発生した場合に、発生したエラーを解決するために、ユーザに提案される各種の情報(アドバイス)であって、エラーを解決するためにユーザが行う操作の手順等の情報を含む。操作情報は、テキストメッセージ、動画および音声等であってもよく、特に限定されないが、例えば無線接続のエラーを解決するための操作情報は、超音波診断用のアプリケーションプログラムのスキャンボタンをタップする操作、プローブ追加ボタンをタップする操作、およびプローブ切り替えボタンをタップする操作、等の情報を含む。
【0066】
エラー検出部62には、操作情報取得部63および操作回数判定部66が順次直列に接続されている。また、エラー検出部62には、経過時間判定部64が接続され、経過時間判定部64には、操作回数判定部66が接続されている。操作情報格納部61およびエラー検出部62には、音声出力部67が接続されている。また、エラー検出部62には、操作情報格納部61が接続され、操作情報格納部61および操作回数判定部66には、表示制御部33が接続されている。
【0067】
操作情報格納部61は、超音波システムにおいて発生するエラーの種別毎に、エラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を格納する。操作情報格納部61は、例えば無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる操作に対応する複数の操作情報を格納する。
【0068】
エラー検出部62は、超音波システムにエラーが発生したか否かを検出する。エラー検出部62は、例えば操作ミスおよび設定ミス等のエラーを含む、無線接続のエラーが発生したか否かを検出する。
【0069】
エラーの発生の検出方法は、特に限定されないが、例えば超音波プローブ1と情報端末3との間の無線接続の設定が正しいか否かを確認する、超音波プローブ1と情報端末3との間が有線で接続されているか否かを検出する、患者情報の入力が正しいか否かを検出する、等を含む。また、ユーザによってエラーを解決するための最初の操作が行われてから、定められた期間内に、ユーザによって行われる、操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた回数に到達した場合に、エラーが発生したと検出してもよい。
【0070】
操作情報取得部63は、エラー検出部62によってエラーの発生が検出された場合に、発生したエラーを解決するために、操作情報を読んだユーザによって行われる操作の情報であるユーザ操作情報を取得する。
【0071】
ユーザの操作は、特に限定されないが、例えば超音波プローブ1と情報端末3の間の無線接続の設定を行う操作、超音波プローブ1と情報端末3との間を有線ケーブルで接続する操作、正しい患者情報を入力し直す操作、等を含む。
【0072】
経過時間判定部64は、エラーの発生が検出されてからの経過時間が、定められた期間を経過したか否かを判定する。
【0073】
経過時間判定部64は、経過時間をタイマー等によって計測し、計測された経過時間が、定められた期間、例えば2分間を経過したか否かを判定する。
【0074】
操作回数判定部66は、経過時間判定部64によって、経過時間が、定められた期間を経過していないと判定された場合に、操作情報取得部63によって取得されたユーザ操作情報に基づいて、定められた期間内に、ユーザによって行われる、操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた回数に到達したか否かを判定する。
【0075】
操作回数判定部66は、エラーの発生が検出されてから、定められた期間内に、例えばユーザによって情報端末3の無線接続の設定が行われる回数をカウンタ等により計数し、その計数値が、定められた回数、例えば2回に到達したか否かを判定する。
【0076】
音声出力部67は、各種の情報を音声で読み上げるものであり、例えばスピーカ、イヤフォンおよびヘッドフォン等を含む。
【0077】
端末制御部36は、予め記憶されているプログラムおよび入力装置37から入力されたユーザの指示等に基づいて、情報端末3の各部の制御を行う。より詳しくは、端末制御部36は、超音波プローブ1のプローブ側通信回路18から伝送信号の受信が行われるように端末側通信回路32を制御する。また、端末制御部36は、画像情報データに基づいて超音波画像がモニタ34に表示されるように表示制御部33を制御する。さらに、端末制御部36は、エラーが発生した場合に、発生したエラーを解決するための操作情報をユーザに提案するようにエラー処理部35を制御する。
【0078】
表示制御部33と、エラー処理部35のエラー検出部62、操作情報取得部63、経過時間判定部64および操作回数判定部66と、端末制御部36と、によって端末側プロセッサ39が構成されている。
【0079】
モニタ34は、各種の情報を表示する。モニタ34は、例えば表示制御部33により生成された超音波画像、エラーの種別の情報および操作情報等を表示する。
モニタ34としては、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)および有機EL(Electro-Luminescence:エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等を例示することができる。
【0080】
入力装置37は、ユーザが入力操作を行って各種の指示を入力するためのものであり、本実施形態の場合、ユーザがタッチ操作を行って各種の指示を入力することができるタッチパネル等を含む。
【0081】
次に、
図4のフローチャートを参照しながら、超音波システムの動作について説明する。まず、ライブモードの場合の超音波システムの動作を説明する。
【0082】
入力装置37から入力されたユーザからの指示に基づいてライブモードが指定されると(ステップS1)、超音波プローブ1が被検体の体表面上に接触された状態において、送受信回路14により超音波の送信が開始され、音線信号が生成される(ステップS2)。
【0083】
つまり、プローブ制御部21の制御の下で、送受信回路14のパルサ51からの駆動信号に従って振動子アレイ11の複数の振動子から被検体内に超音波ビームが送信される。
パルサ51から送信された超音波ビームに基づく被検体からの超音波エコーは、振動子アレイ11の各振動子により受信され、超音波エコーを受信した振動子アレイ11の各振動子からアナログ信号である受信信号が出力される。
振動子アレイ11の各振動子から出力されるアナログ信号である受信信号は、送受信回路14の増幅部52により増幅され、AD変換部53によりAD変換されて受信データが取得される。
この受信データに対して、ビームフォーマ54により受信フォーカス処理が施されることにより、音線信号が生成される。
【0084】
続いて、画像情報データ生成部19により、送受信回路14のビームフォーマ54により生成された音線信号に基づいて、画像情報データとして超音波画像が生成される(ステップS3)。
【0085】
つまり、ビームフォーマ54により生成された音線信号は、画像情報データ生成部19の信号処理部16により各種の信号処理が施され、画像化前の画像信号データとして、被検体内の組織に関する断層画像情報を表す信号が生成される。
信号処理部16により生成された画像信号データは、画像処理部17によりラスター変換され、さらに各種の画像処理が施され、画像情報データとして超音波画像が生成される。
【0086】
画像処理部17により生成された超音波画像は、シネメモリ22に格納される(ステップS4)。
【0087】
また、画像処理部17により生成された超音波画像は、プローブ側通信回路18から情報端末3に向けて無線送信される(ステップS5)。
【0088】
続いて、超音波プローブ1のプローブ側通信回路18から無線送信された超音波画像は、情報端末3の端末制御部36の制御の下で、端末側通信回路32により受信される(ステップS6)。
【0089】
続いて、表示制御部33は、端末側通信回路32により受信された超音波画像に所定の処理を施して、モニタ34に表示させる(ステップS7)。
【0090】
つまり、ライブモードの場合、画像情報データとして、超音波プローブ1の画像情報データ生成部19の画像処理部17により生成された超音波画像がプローブ側通信回路18から無線送信される。一方、情報端末3の表示制御部33は、端末側通信回路32により受信された超音波画像をモニタ34に表示させる。
【0091】
次に、フリーズモードの場合の超音波システムの動作を説明する。
【0092】
入力装置37から入力されたユーザの指示に基づいてフリーズモードが指定されると(ステップS8)、振動子アレイ11からの超音波の送信が停止される(ステップS9)。
【0093】
この場合、画像情報データとして、シネメモリ22に格納されている過去のフレームの超音波画像が読み出されてプローブ側通信回路18から無線送信される(ステップS10)。
【0094】
続いて、端末側通信回路32によりプローブ側通信回路18から無線送信された超音波画像が受信される(ステップS11)。
【0095】
続いて、表示制御部33は、端末側通信回路32により受信された過去のフレームの超音波画像をモニタ34に表示させる(ステップS12)。
【0096】
次に、
図5のフローチャートを参照しながら、超音波プローブ1と情報端末3との間を無線で接続する場合の超音波システムの動作を説明する。
【0097】
まず、ユーザは、超音波プローブ1と情報端末3との間を無線で接続する(ステップS21)。この場合、ユーザは、例えば登録済みの複数の超音波プローブのリストの中から、使用したい超音波プローブ1をタップすることによって選択する。
【0098】
使用したい超音波プローブ1が選択されると、エラー検出部62により、超音波プローブ1と情報端末3との間に無線接続のエラーが発生したか否かが検出される(ステップS22)。
【0099】
その結果、エラーの発生が検出されなかった場合(ステップS22でNO)、超音波プローブ1と情報端末3との間の無線接続が確立される(ステップS23)。これにより、超音波プローブ1から送信され、情報端末3で受信された画像情報データに対応する超音波画像がモニタ34に表示される。
一方、エラーの発生が検出された場合(ステップS22でYES)、経過時間判定部64により、経過時間Tが、T=0に設定(初期化)され、かつ、操作回数判定部66により、操作回数Nが、N=0に設定(初期化)される(ステップS24)。
続いて、操作情報格納部61から、無線接続のエラーに対応する複数の操作情報が読み出され、読み出された複数の操作情報のうち、優先度が高い側の操作情報から少なくとも1つの操作情報である第1操作情報が選択される。そして、表示制御部33により、
図6に示すように、発生したエラーの種別の情報および第1操作情報がモニタ34に表示される(ステップS25)。
【0100】
続いて、ユーザは、モニタ34に表示されたエラーの種別の情報を読んで、超音波プローブ1と情報端末3との間に無線接続のエラーが発生したことを理解し、同じく第1操作情報を読んで、エラーを解決するために、この第1操作情報に対応する操作を行う(ステップS26)。ユーザによって第1操作情報に対応する操作が行われると、操作情報取得部63により、ユーザ操作情報が取得される。
【0101】
続いて、ユーザ操作情報に基づいて、ユーザによって第1操作情報に対応する操作が行われたことが分かると、操作回数判定部66により、操作回数Nが、N=N+1に設定される(ステップS27)。
【0102】
続いて、エラー検出部62により、超音波プローブ1と情報端末3との間に無線接続のエラーが発生したか否か、つまり、ユーザの操作によってエラーが解決されたか否かが検出される(ステップS28)。
【0103】
その結果、エラーの発生が検出されなかった場合(ステップS28でNO)、つまり、ユーザの操作によってエラーが解決された場合、ステップS23に進み、超音波画像がモニタ34に表示される。
一方、エラーが発生していることが検出された場合(ステップS28でYES)、つまり、ユーザの操作によってもエラーが解決されていない場合、続いて、経過時間判定部64により、エラーの発生が検出されてからの経過時間Tが、定められた期間T1、例えば2分間を経過したか否か(T≧T1?)が判定される(ステップS29)。
【0104】
その結果、経過時間Tが、定められた期間T1を経過した場合(ステップS29でYES)、ステップS21に戻り、最初からやり直す。経過時間Tが、定められた期間T1を経過した場合、エラーの発生が検出されてから、例えば1時間後に、あるいは、翌日に、同じ操作が行われるというように、ユーザによって同じ操作が短時間の間に繰り返し行われていない、言い換えると、ユーザは、無線接続を最初からやり直すことを意味する。
一方、経過時間Tが、定められた期間T1を経過していない場合(ステップS29でNO)、続いて、操作回数判定部66により、操作回数Nが、定められた回数N1、例えば2回に到達したか否か(N≧N1?)が判定される(ステップS30)。
【0105】
その結果、操作回数Nが、定められた回数N1に到達していない場合(ステップS30でNO)、ステップS26に戻る。従って、ユーザは、例えば第1操作情報に対応する操作を再度行う。つまり、ユーザは、同じ操作を繰り返す。
一方、操作回数Nが、定められた回数N1に到達した場合(ステップS30でYES)、表示制御部33により、ユーザによって行われていない操作に対応する、無線接続のエラーに対応する複数の操作情報のうちの少なくとも1つの操作情報である第2操作情報がモニタ34に表示される(ステップS31)。
【0106】
続いて、ユーザは、モニタ34に表示された第2操作情報を読んで、この第2操作情報に対応する操作を行う(ステップS32)。
【0107】
上記のように、超音波システムでは、無線接続のエラーの発生が検出された場合に、無線接続のエラーに対応する複数の操作情報のうち、第1操作情報を、表示制御部33がモニタ34に表示させる。
以下順に、第1操作情報を読んだユーザによって行われる、第1操作情報に対応する操作のユーザ操作情報を、操作情報取得部63が取得し、エラーの発生が検出されてからの経過時間が、定められた期間を経過したか否かを、経過時間判定部64が判定し、この経過時間が、定められた期間を経過していないと判定された場合に、ユーザ操作情報に基づいて、定められた期間内に、ユーザによって行われる、第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた回数に到達したか否かを、操作回数判定部66が判定する。
そして、表示制御部33が、第1操作情報を表示させた後、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報をユーザに提案する。
【0108】
このように、超音波システムでは、無線接続のエラーを解決するために、ユーザによって行われる、第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、ユーザによって行われていない操作に対応する第2操作情報をユーザに提案するため、ユーザは、定められた期間内に、定められた回数、第1操作情報に対応する操作を行った後に、第2操作情報に対応する操作を行うことができる。そのため、超音波システムによれば、ユーザが、同じ操作を繰り返すことなく、無線通信のエラーを解決できるようにサポートすることができる。
【0109】
なお、一度に表示させる操作情報の個数は、モニタ34の画面サイズに応じて設定することができる。例えば、モニタ34の画面サイズが小さい場合には、一度に1つの操作情報を表示させ、画面サイズが大きい場合には、一度に3つの操作情報を表示させる。
【0110】
次に、超音波診断用のアプリケーションプログラムの動作を説明する。
【0111】
図7に示すように、情報端末3のホーム画面には、超音波診断用のアプリケーションプログラムのアイコン71の他、各種のアプリケーションプログラムのアイコンが表示されている。
【0112】
ユーザによって、超音波診断用のアプリケーションプログラムのアイコン71がタップされると、
図8に示すように、メインメニュー画面が表示される。メインメニュー画面には、超音波診断用のアプリケーションプログラムに対して各種の設定を行うための設定ボタン72、超音波ビームによる被検体のスキャンを行うためのスキャンボタン73、および超音波診断用のアプリケーションプログラムを終了させるための終了ボタン74、等の各種のボタンが表示されている。
【0113】
メインメニュー画面において、設定ボタン72がタップされると、
図9に示す設定画面が表示される。設定画面には、プローブ設定、アプリケーション設定、端末情報、アプリケーション情報およびシステム、等の項目が表示されている。
【0114】
プローブ設定の項目には、登録済みの超音波プローブの名称のリスト、新規な超音波プローブを追加するためのプローブ追加ボタン75、超音波プローブの名称を変更するためのプローブ名の変更ボタン76、およびWi-Fiのチャネルの設定を行うためのWi-Fi channelの設定ボタン77、等が表示されている。図示例の場合、FF0001-01およびFF0002-01が、登録済みの超音波プローブの名称である。
つまり、ユーザは、設定画面において、登録済みの超音波プローブの名称を確認することができる、
【0115】
設定画面において、プローブ追加ボタン75がタップされると、
図10に示すように、情報端末3に無線接続が可能な超音波プローブの検出を開始するか、キャンセルするかを選択するための検出開始画面が表示される。
超音波プローブの検出開始画面において、開始ボタン78がタップされると、情報端末3に無線接続が可能な超音波プローブが自動的に検出される。その結果、新規な超音波プローブが検出された場合、検出された新規な超音波プローブの名称が、登録済みの超音波プローブの名称のリストに追加される。
このようにして、ユーザは、新規な超音波プローブを追加することができる。
一方、新規な超音波プローブが検出されなかった場合、前述の
図6に示すように、エラーの種別の情報として、新規な超音波プローブが検出されなかったことを表すメッセージおよびこのエラーを解決するための操作情報が表示される。
これにより、ユーザは、エラーの種別の情報を読んで、新規な超音波プローブが検出されなかったことを理解し、操作情報を読んで、このエラーを解決するための操作を行うことができる。
超音波プローブの検出開始画面において、キャンセルボタン(CANCEL)79がタップされると、新規な超音波プローブの追加が中止され、設定画面に戻る。
【0116】
メインメニュー画面において、スキャンボタン73がタップされると、
図11に示すスキャン画面が表示される。
スキャン画面において、患者情報が入力されて、スキャンが開始されると、超音波ビームにより被検体(患者)がスキャンされ、スキャンされた被検体の画像情報データが超音波プローブ1から情報端末3に無線送信される。そして、情報端末3において、超音波プローブ1から受信された画像情報データに対応する超音波画像がスキャン画面に表示される。
【0117】
スキャン画面の右上には、スキャンのメニューボタン81が表示されている。スキャンのメニューボタン81がタップされると、
図12に示すように、スキャンのメニュー画面が表示される。スキャンのメニュー画面には、検査を終了するための検査終了ボタン82、メニュー画面に戻るためのメニューへ戻るボタン83、および使用する超音波プローブを切り替えるためのプローブ切り替えボタン84が表示されている。
【0118】
スキャンのメニュー画面において、プローブ切り替えボタン84がタップされると、
図13に示すように、情報端末3に無線接続が可能な超音波プローブの名称のリストの表示画面が表示される。リストの表示画面において、任意の1つの超音波プローブの名称がタップされると、使用中の超音波プローブと情報端末3との間の接続が切断され、その後、タップされた超音波プローブと情報端末3との間が無線で接続される。
つまり、ユーザは、リストに表示されている任意の超音波プローブの名称をタップすることにより、使用する超音波プローブを、タップした超音波プローブに切り替えることができる。
【0119】
リストの表示画面には、情報端末3に無線接続が可能な超音波プローブの名称のリストの他、プローブ追加ボタン85が表示されている。リストの表示画面におけるプローブ追加ボタン85の機能は、設定画面におけるプローブ追加ボタン75と同じである。つまり、設定画面のプローブ追加ボタン75がタップされるか、あるいは、リストの表示画面のプローブ追加ボタン85がタップされることによって、
図10に示す超音波プローブの検出開始画面を表示させることができる。
【0120】
スキャンのメニュー画面において、検査終了ボタン82がタップされると、検査(スキャン)が終了し、この患者を検査するために設定した各種項目(患者情報および保存画像等)が1つの検査にまとめられて検査履歴に移され、各種項目が初期状態にされた後、
図11に示すスキャン画面に戻る。一方、メニューへ戻るボタン83がタップされると、各種項目が初期状態にされ、
図8に示すメインメニュー画面に戻る。
【0121】
以上のようにして、ユーザは、登録済みの超音波プローブの名称の確認、被検体のスキャン、新規な超音波プローブの追加、および、使用したい超音波プローブの切り替え、等の操作を行うことができる。
【0122】
次に、エラーを解決するために、ユーザによって行われる操作について具体例を挙げて説明する。
【0123】
(実施例1)
ユーザによってスキャンボタンがタップされた場合、何も問題が発生していなければ、ユーザの手元にある超音波プローブ1と情報端末3との間が無線で接続され、超音波プローブ1において、超音波ビームにより被検体がスキャンされ、超音波プローブ1から画像情報データが送信され、情報端末3において、超音波プローブ1から受信された画像情報データに対応する超音波画像が表示されるはずである。
【0124】
しかし、ユーザが、スキャンボタンをタップしても、情報端末3の表示画面に超音波画像が表示されなかった。
そのため、ユーザは、この問題を解決するために、(1)スキャンボタンをもう一度タップする操作、(2)プローブ切り替えボタンをタップして、使用したい超音波プローブ1を選び直す操作、および、(3)プローブ追加ボタンをタップして、使用したい超音波プローブ1を追加する操作を短時間の間に行ったが、超音波画像は表示されなかったとする。
【0125】
この場合、エラー処理部35は、例えば(1)の操作が行われてから2分以内に、(1)~(3)の操作が合計3回行われた場合に、「超音波プローブと情報端末との間の有線接続を試みてください」という操作情報をメッセージで表示させる。
【0126】
なお、合計3回の操作とは、(1)の操作、(2)の操作、および、(3)の操作が1回ずつ行われる場合だけでなく、例えば(1)の操作だけが3回繰り返された場合、(1)の操作および(2)の操作が合計で3回行われる場合等を含む。つまり、操作回数とは、単一の操作が行われる合計の回数であってもよいし、あるいは、2以上の操作が行われる合計の回数であってもよい。
【0127】
このように、エラー処理部35は、ユーザによって行われる、少なくとも1つの操作情報である第1操作情報に対応する操作の操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、複数の操作情報のうち、ユーザによって行われていない操作に対応する少なくとも1つの操作情報である第2操作情報として、超音波プローブ1と情報端末3との間を有線ケーブルで接続する操作を提案することができる。
【0128】
たとえ無線接続のエラーが発生している場合であっても、使用したい超音波プローブ1と情報端末3との間を有線ケーブルで接続することにより、無線接続のエラーに関わらず、超音波画像が表示される可能性がある。
【0129】
(実施例2)
同様に、ユーザが、スキャンボタンをタップしても、超音波画像が表示されず、
図14の左側に示すように、エラーの種別の情報および操作情報が表示された。
そのため、ユーザは、使用したい超音波プローブ1を無線で接続し直そうと試みるために、
図14の右側に示すように、(4)登録済みの超音波プローブのリストを表示させる操作、および、超音波プローブ1を無線で接続し直すための操作として、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることなく、(5)プローブ追加ボタンをタップして、使用したい超音波プローブ1を追加する操作を短時間の間に繰り返し行ったが、超音波画像は表示されなかったとする。
【0130】
この場合、エラー処理部35は、例えば(4)の操作が行われてから2分以内に、(4)および(5)の操作が合計3回以上行われた場合に、「スクロールして未表示の超音波プローブを表示させて選択してください」という操作情報を音声で読み上げさせる。
【0131】
このように、エラー処理部35は、情報端末3と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させ、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、超音波プローブの群のうち、リストに表示されていない未表示の超音波プローブを選択する操作を提案することができる。
【0132】
未表示の超音波プローブを選択する操作を提案することにより、ユーザが、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることができることを知らない場合であっても、スクロールさせて未使用の超音波プローブの名称を表示させることができるため、使用したい超音波プローブを追加する操作を繰り返し行うことなく、未表示の超音波プローブを試すことができる。
【0133】
(実施例3)
実施例2の場合、エラー処理部35は、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、操作情報を音声で読み上げさせる代わりに、情報端末3と無線接続が可能な超音波プローブの群の中から、ウィザード方式で超音波プローブを選択する操作を提案してもよい。
【0134】
この場合、エラー処理部35は、例えば(4)の操作が行われてから2分以内に、(4)および(5)の操作が合計3回以上行われた場合に、「コンベックス型またはリニア型の超音波プローブのどちらがいいですか?」という操作情報をメッセージで表示させる。これに対し、ユーザが、リニア型の超音波プローブを選択したとする。これに応じて、エラー処理部35は、リニア型の超音波プローブの名称のみを含むリストを表示させる。そして、ユーザが、リストに表示されているリニア型の超音波プローブの名称の中から、使用したい超音波プローブの名称を選択する。
【0135】
このように、ウィザード方式によって、質問および選択項目を表示させ、ユーザによる選択および入力を促すことを繰り返して、処理を対話的に進めることにより、ユーザは、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせて、リストに表示されていない未表示の超音波プローブを表示させることなく、使用したい超音波プローブを効率よく選択することができる。
【0136】
(実施例4)
同様に、ユーザが、スキャンボタンをタップしても、超音波画像が表示されなかった。
そのため、ユーザは、使用したい超音波プローブ1を無線で接続し直そうと試みるために、
図13に示すように、(6)登録済みの超音波プローブのリストを表示させる操作、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることなく、(7)リストに表示されている超音波プローブのリストの中から、超音波プローブをタップして選択する操作、および、(8)プローブ追加ボタンをタップして超音波プローブ1を追加する操作を短時間の間に繰り返し行ったが、超音波画像は表示されなかったとする。
【0137】
この場合、エラー処理部35は、例えば(6)の操作が行われてから2分以内に、(6)~(8)の操作が合計3回行われた場合に、「未試行の超音波プローブを選択してください」というアドバイスを表示させる。
【0138】
このように、エラー処理部35は、操作回数が、定められた期間内に、定められた回数に到達した場合に、第2操作情報として、情報端末3と無線接続が可能な超音波プローブの群のうち、ユーザによって第1操作情報に対応する操作が行われてから、情報端末3との無線接続が試されていない未試行の超音波プローブを選択する操作を提案することができる。
【0139】
未試行の超音波プローブを選択する操作を提案することにより、ユーザが、リストに表示されている超音波プローブの名称をスクロールさせることができることを知らない場合であっても、未試行の超音波プローブがあることを理解し、未試行の超音波プローブを見つけることができるため、超音波プローブ1を選択する操作および追加する操作を繰り返し行うことなく、未試行の超音波プローブを試すことができる。
【0140】
また、エラー処理部35は、未試行の超音波プローブを選択する操作を提案する場合に、例えば未試行の超音波プローブの名称を、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストの先頭側から並べて、このリストを表示させてもよい。この場合、さらに、未試行の超音波プローブの名称をハイライトさせてもよい。あるいは、未試行の超音波プローブの名称のみを、定められた個数の超音波プローブの名称のみを含むリストに含めて、このリストを表示させてもよい。
これにより、ユーザは、未試行の超音波プローブを識別しやすくなる。
【0141】
なお、エラー処理部35は、表示制御部33によって、第2操作情報をテキストメッセージまたは動画で表示させてもよいし、あるいは、音声出力部67によって、第2操作情報を音声で読み上げさせてもよい。第2操作情報を音声で読み上げさせることにより、情報端末3の表示画面のサイズに関わらず、第2操作情報の内容をユーザに提案することができる。
【0142】
画像処理部17は、超音波プローブ1側ではなく、情報端末3側に設けられていてもよい。この場合、信号処理部16によって超音波画像への画像化前の画像信号データが生成され、信号処理部16によって生成された画像信号データが、超音波プローブ1のプローブ側通信回路18から情報端末3の端末側通信回路32に向けて無線送信され、情報端末3の画像処理部において、画像信号データに基づいて超音波画像が生成される。
【0143】
この場合、情報端末3において、画像信号データに画像処理を行って超音波画像を生成するため、超音波画像をモニタ34に表示させた後で、モニタ34の表示特性に合わせて、ゲイン等の画像処理条件を自由に変更することができるという利点がある。
【0144】
本発明の装置において、送受信回路14、信号処理部16、画像処理部17、プローブ制御部21、表示制御部33、エラー検出部62、操作情報取得部63、経過時間判定部64、操作回数判定部66)および端末制御部36等の各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構成は、専用のハードウェアであってもよいし、プログラムを実行する各種のプロセッサまたはコンピュータであってもよい。また、シネメモリ22および操作情報格納部61等のハードウェア的な構成は、専用のハードウェアであってもよいし、あるいは半導体メモリ等のメモリおよびHDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)およびSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等のストレージデバイスであってもよい。
【0145】
各種のプロセッサには、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理をさせるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0146】
1つの処理部を、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成してもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ、例えば、複数のFPGAの組み合わせ、または、FPGAおよびCPUの組み合わせ等によって構成してもよい。また、複数の処理部を、各種のプロセッサのうちの1つで構成してもよいし、複数の処理部のうちの2以上をまとめて1つのプロセッサを用いて構成してもよい。
【0147】
例えば、サーバおよびクライアント等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。また、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。
【0148】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構成は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)である。
【0149】
また、本発明の方法は、例えば、その各々のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムにより実施することができる。また、このプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することもできる。
【0150】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0151】
1 超音波プローブ、3 情報端末、7 通信回線、11 振動子アレイ、14 送受信回路、16 信号処理部、17 画像処理部、18 プローブ側通信回路、19 画像情報データ生成部、21 プローブ制御部、22 シネメモリ、24 バッテリ、25 プローブ側プロセッサ、32 端末側通信回路、33 表示制御部、34 モニタ、35 エラー処理部、36 端末制御部、37 入力装置、39 端末側プロセッサ、51 パルサ、52 増幅部、53 AD変換部、54 ビームフォーマ、61 操作情報格納部、62 エラー検出部、63 操作情報取得部、64 経過時間判定部、66 操作回数判定部、67 音声出力部、71 超音波診断用のアプリケーションプログラムのアイコン、72 設定ボタン、73 スキャンボタン、74 終了ボタン、75 プローブ追加ボタン、76 プローブ名の変更ボタン、77 Wi-Fi channelの設定ボタン、78 開始ボタン、79 キャンセルボタン、81 スキャンのメニューボタン、82 検査終了ボタン、83 メニューへ戻るボタン、84 プローブ切り替えボタン、85 プローブ追加ボタン。