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特許7564469光通信システム、制御装置、及び、品質補償方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】光通信システム、制御装置、及び、品質補償方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2507 20130101AFI20241002BHJP
   H04B 10/077 20130101ALI20241002BHJP
【FI】
H04B10/2507
H04B10/077
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022579327
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 JP2021031330
(87)【国際公開番号】W WO2022168354
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2021/004550
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 由美子
(72)【発明者】
【氏名】可児 淳一
(72)【発明者】
【氏名】原 一貴
(72)【発明者】
【氏名】金子 慎
(72)【発明者】
【氏名】胡間 遼
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-060682(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167735(WO,A1)
【文献】特開2016-165089(JP,A)
【文献】特開2008-245179(JP,A)
【文献】特開2003-008509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0280369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/2507
H04B 10/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートを有し前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチと、
前記光スイッチから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を前記光スイッチに入力する、前記光スイッチに並列に接続された複数の品質補償部と、
前記光スイッチの一部の複数の前記ポートそれぞれに異なる加入者装置が接続される場合に、前記加入者装置毎に、複数の前記品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号を前記加入者装置について選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じた前記ポートから出力するよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御部と、
を備える光通信システム。
【請求項2】
複数のポートを有し、前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチの一部の複数の前記ポートそれぞれに異なる加入者装置が接続される場合に、前記加入者装置毎に、前記光スイッチに並列に接続され複数の品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する選択部と、
前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号を前記加入者装置について選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じた前記ポートから出力するよう前記光スイッチに指示する指示部と、
を備える制御装置。
【請求項3】
前記加入者装置からの要求に応じて前記加入者装置から前記送信先への光信号に用いられる波長及び伝送路を割り当てる割当部をさらに備え、
前記選択部は、前記加入者装置毎に、複数の前記品質補償部のうち、前記割当部により割り当てられた前記波長の前記光信号が前記割当部により割り当てられた前記伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた補償を行う前記品質補償部を選択し、
前記指示部は、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される前記波長の光信号を前記選択部により選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を前記割当部が割り当てた前記伝送路と接続される前記ポートから出力するよう前記光スイッチに指示する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記選択部は、複数の前記品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される前記光信号に許容される品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択し、
前記光信号に許容される品質劣化の程度は、当該光信号の伝送に使用されるリソースと、当該光信号の特性を制御するために光信号の送信装置において用いられる信号パラメータの値との一方又は両方に対応する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記リソースは、前記光信号が伝送する伝送路と、前記光信号を中継する装置との一方又は両方である、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度は前記伝送路の長さに対応し、
前記指示部は、前記加入者装置毎に、複数の前記品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送する前記伝送路の長さに基づいて前記光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択し、
前記伝送路の長さは、前記加入者装置と前記送信先との間で前記伝送路を介して光信号を送受信することにより測定されたラウンドトリップタイムに基づき推定される、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記ラウンドトリップタイムの測定に用いられる前記光信号は、主信号に重畳され、かつ、前記主信号よりも低速な制御信号である、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記指示部は、前記加入者装置毎に、複数の前記品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送する前記伝送路の長さに基づいて前記光信号の品質の補償を行う品質補償部の候補を複数選択し、複数の前記候補のうち前記光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択し、選択した前記品質補償部により補償された前記光信号の品質が所定よりも低い場合に、複数の前記候補のうち未選択の前記品質補償部を選択する、
請求項6又は請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記加入者装置毎に、複数の前記品質補償部のうち、品質の補償を行うための以上の品質補償部を選択し、
前記指示部は、2以上の前記品質補償部が選択された前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号を前記加入者装置について選択された前記品質補償部に順に出力し、選択された全ての前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう前記光スイッチを制御する、
請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記品質補償部は、光信号の分散の補償と、光信号の増幅との一方又は両方を行う、
請求項2から請求項9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
複数のポートを有する光スイッチが、前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する転送ステップと、
品質補償部が、前記光スイッチから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を前記光スイッチに入力する品質補償ステップと、
制御部が、前記光スイッチの一部の複数の前記ポートそれぞれに異なる加入者装置が接続される場合に、前記加入者装置毎に、前記光スイッチに並列に接続され複数の前記品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号を前記加入者装置について選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じた前記ポートから出力するよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御ステップと、
を有する品質補償方法。
【請求項12】
複数のポートを有し、前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチの一部の複数の前記ポートそれぞれに異なる加入者装置が接続される場合に、前記加入者装置毎に、前記光スイッチに並列に接続され複数の品質補償部のうち、前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択する選択ステップと、
前記加入者装置と接続される前記ポートから入力される光信号を前記加入者装置について選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じた前記ポートから出力するよう前記光スイッチに指示する指示ステップと、
を有する品質補償方法。
【請求項13】
複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有し、いずれかの前記入力ポートから入力した光信号をいずれかの前記出力ポートから出力し、いずれかの前記出力ポートから入力した光信号をいずれかの前記入力ポートから出力する光スイッチと、
前記光スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと接続され、接続されている前記出力ポートから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を接続されている前記入力ポートに入力する処理と、接続されている前記入力ポートから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を接続されている前記出力ポートに入力する処理とを行う複数の品質補償部と、
複数の前記品質補償部のうち、前記光スイッチの前記入力ポートの一つである第1入力ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記第1入力ポートから入力される第1光信号を選択された前記品質補償部と接続されている前記出力ポートである第1出力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第1光信号を、選択された前記品質補償部と接続されている前記入力ポートである第2入力ポートから入力して前記第1光信号の送信先に応じた前記出力ポートである第2出力ポートから出力する処理と、前記送信先から前記第1光信号の送信元への第2光信号を前記第2出力ポートから入力して前記第2入力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第2光信号を前記第1出力ポートから入力して前記第1入力ポートから出力する処理とを行うよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御部と、
を備える光通信システム。
【請求項14】
複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有し、いずれかの前記入力ポートから入力した光信号をいずれかの前記出力ポートから出力し、いずれかの前記出力ポートから入力した光信号をいずれかの前記入力ポートから出力する光スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと接続される複数の品質補償部のうち、前記光スイッチの前記入力ポートの一つである第1入力ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する選択部と、
前記第1入力ポートから入力される第1光信号を選択された前記品質補償部と接続されている前記出力ポートである第1出力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第1光信号を、選択された前記品質補償部と接続されている前記入力ポートである第2入力ポートから入力して前記第1光信号の送信先に応じた前記出力ポートである第2出力ポートから出力する処理と、前記送信先から前記第1光信号の送信元への第2光信号を前記第2出力ポートから入力して前記第2入力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第2光信号を前記第1出力ポートから入力して前記第1入力ポートから出力する処理とを行うよう前記光スイッチに指示する指示部と、
を備える制御装置。
【請求項15】
複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有する光スイッチが、いずれかの前記入力ポートから入力した光信号をいずれかの前記出力ポートから出力し、いずれかの前記出力ポートから入力した光信号をいずれかの前記入力ポートから出力する転送ステップと、
前記光スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと接続される品質補償部が、接続されている前記出力ポートから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を接続されている前記入力ポートに入力する処理と、接続されている前記入力ポートから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を接続されている前記出力ポートに入力する処理とを行う品質補償ステップと、
制御部が、前記光スイッチに接続される複数の前記品質補償部のうち、前記光スイッチの前記入力ポートの一つである第1入力ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記第1入力ポートから入力される第1光信号を選択された前記品質補償部と接続されている前記出力ポートである第1出力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第1光信号を、選択された前記品質補償部と接続されている前記入力ポートである第2入力ポートから入力して前記第1光信号の送信先に応じた前記出力ポートである第2出力ポートから出力する処理と、前記送信先から前記第1光信号の送信元への第2光信号を前記第2出力ポートから入力して前記第2入力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第2光信号を前記第1出力ポートから入力して前記第1入力ポートから出力する処理とを行うよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御ステップと、
を有する品質補償方法。
【請求項16】
複数の入力ポート及び複数の出力ポートを有し、いずれかの前記入力ポートから入力した光信号をいずれかの前記出力ポートから出力し、いずれかの前記出力ポートから入力した光信号をいずれかの前記入力ポートから出力する光スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと接続される複数の品質補償部のうち、前記光スイッチの前記入力ポートの一つである第1入力ポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択する選択ステップと、
前記第1入力ポートから入力される第1光信号を選択された前記品質補償部と接続されている前記出力ポートである第1出力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第1光信号を、選択された前記品質補償部と接続されている前記入力ポートである第2入力ポートから入力して前記第1光信号の送信先に応じた前記出力ポートである第2出力ポートから出力する処理と、前記送信先から前記第1光信号の送信元への第2光信号を前記第2出力ポートから入力して前記第2入力ポートから出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された前記第2光信号を前記第1出力ポートから入力して前記第1入力ポートから出力する処理とを行うよう前記光スイッチに指示する指示ステップと、
を有する品質補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システム、制御装置、及び、品質補償方法に関する。本願は、2021年2月8日に出願されたPCT/JP2021/004550に対して優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization sector) G.989.2勧告では、PtP(Point to Point) WDM(Wavelength Division Multiplexing)-PON(Passive Optical Network)が規定されている(例えば、非特許文献1参照)。PtP WDM-PONは、波長多重を行うPONシステムである。PtP WDM-PONシステムでは、上り方向と下り方向とにおいて、ONUごとに異なる光波長を用いて通信を行う。上り方向は、ONUからOLTへ向かう方向である。下り方向は、OLTからONUへ向かう方向である。
【0003】
非特許文献1に記載されているように、PtP WDM-PONシステムでは、OLTとONUとの間で用いられる管理および制御のための信号としてAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)と呼ばれる管理制御信号を用いることが規定されている。AMCC信号は、送信される情報があらかじめ定められた方式で変調された後、主信号に重畳されて伝送される信号である。AMCC信号が主信号に重畳されて伝送されることにより、OLTおよびONUは、主信号で用いる光波長の波長域内で管理および制御のための信号を伝送することができる。すなわち、管理および制御のために専用の光波長域が用いられることなく、管理および制御が実現される。上り光波長および下り光波長が決定される波長決定プロセスは、AMCC信号を用いて実施される。
【0004】
図31は、PtP WDM-PONシステムの構成例を示す図である。同図では、AMCC信号の重畳に関する構成を示している。OLT及びONUは、管理制御部を含む。AMCC信号は、光段で重畳され、電気段で分離される。図32は、ONUまたはOLTから送信される光信号の例を示す。送信される光信号は、管理制御信号が重畳された主信号である。光信号に管理制御信号が重畳されることにより、図32に示すように、主信号の包絡線に強度変調が加わっている。主信号のデータ速度はGb/s(ギガビット毎秒)オーダーの高速信号である。一方で、管理制御信号のデータ速度はkb/s(キロビット毎秒)オーダーの低速信号であると見込まれる(例えば、非特許文献2)。
【0005】
オールフォトニクス・ネットワーク(APN)は、フォトニクス技術をベースにした革新的ネットワークである。現在、APNの実現を目指した開発が行われている(例えば、非特許文献3参照)。APNでは、光ノードが光バックボーンネットワークおよび光アクセスネットワークを中継することにより、サービスごとに光パスをエンド・ツー・エンドで提供する。例えば、光ノードは、光SW(Switch)等であることが想定される。
【0006】
図33は、APNにおける光通信システム910の構成を示す図である(例えば、非特許文献4参照)。光通信システム910は、加入者装置920と、光SW930と、波長合分波部940と、光伝送路950と、管理制御装置970とを有する。2台の光SW930を、光SW930a、930bと記載する。光SW930aに接続される2台の加入者装置920を、加入者装置920a-1、920a-2と記載し、光SW930bに接続される2台の加入者装置920を、加入者装置920b-1、920b-2と記載する。光SW930aに接続される2台の波長合分波部940を波長合分波部940a-1、940a-2と記載し、光SW930bに接続される2台の波長合分波部940を波長合分波部940b-1、940b-2と記載する。波長合分波部940a-n(n=1,2)と波長合分波部940b-nの間の光伝送路950を、光伝送路950-nと記載する。このように、光SW930a及び光SW930b間は、複数の光伝送路950により接続される。
【0007】
ここでは、加入者装置920a-nは、加入者装置920b-nと通信を行う。加入者装置920a-nが出力し、加入者装置920b-nが受信する光信号には、波長λnuが用いられ、加入者装置920b-nが出力し、加入者装置920a-nが受信する光信号には、波長λndが用いられる。対向する加入者装置920a-n及び加入者装置920b-nは、光SW930a、930bと、波長合分波部940a-n、940b-nと、光伝送路950-nとを介して接続される。
【0008】
光SW930は、入力ポート931から入力した光を出力ポート932から出力し、出力ポート932から入力した光を入力ポート931から出力する。光SW930は、入力ポート931と出力ポート932との接続を変更することができる。波長合分波部940は、別々の複数のポートから入力した異なる波長の光信号を合波し、合波された光信号を単一のポートから出力する。また、波長合分波部940は、単一のポートから入力した異なる波長の光信号を分波し、分波された光信号をそれぞれ別々のポートから出力する。波長合分波部940には、例えば、AWG(Arrayed Waveguide Grating)が用いられる。光SW930の入力ポートと出力ポートの接続関係を設定することで、光信号が経由する光伝送路950を選択できる。光SWと接続される管理制御装置970が、各加入者装置920の送受信波長や、光SW930の入力ポートと出力ポートの関係を決定及び指示する。上記のように、光通信システム910は、光SW930と波長合分波部940とを備えることにより、加入者装置920から出力された光信号を、選択した光伝送路950を用いて送信できる。
【0009】
加入者装置920a-1及び光SW930a間と、光SW930b及び加入者装置920b-1間と、光伝送路950-1とがそれぞれ異なるファイバ長である場合、光通信システム910は、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1間で用いる光信号の信号パラメータの値を変更する。信号パラメータは、例えば、ボーレート、変調方式、出力光強度等を表す。信号パラメータが表すボーレート、変調方式、出力光強度の値を変更することにより、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、品質良く信号を受信できる。
【0010】
図34は、図33の光通信システム910において容易に考えられる主信号導通までの動作を示すシーケンス図である。加入者装置920a-1は、光SW930aに接続する(ステップS901)。加入者装置920b-1は、光SW930bに接続する(ステップS902)。加入者装置920a-1は、管理制御装置970に加入者装置920b-1への接続要求を送信する(ステップS903)。
【0011】
管理制御装置970は、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1間で使用される通信波長と、光伝送路950と、信号パラメータの値とを決定する(ステップS904)。その後、管理制御装置970は、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1に、通信波長及び信号パラメータを通知する(ステップS905、ステップS906)。管理制御装置970は、この信号パラメータに、ステップS904において決定した値を設定する。さらに、管理制御装置970は、光SW930a及び光SW930bそれぞれのポート接続関係を決定する(ステップS907)。ポート接続関係は、入力ポート931と出力ポート932との接続である。このポート接続関係は、加入者装置920a-1からの送信信号が、選択された光伝送路950-1を通って、加入者装置920b-1に出力されるように設定される。管理制御装置970は、決定したポート接続関係を光SW930a及び光SW930bに通知する(ステップS908、ステップS909)。
【0012】
光SW930a及び光SW930bは、管理制御装置970から通知されたポート接続関係に従って、入力ポート931と出力ポート932との接続を設定する(ステップS910、ステップS911)。加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、管理制御装置970から通知された通信波長と信号パラメータを設定する(ステップS912、ステップS913)。光SW930a及び光SW930bがポート接続関係を設定した後に、加入者装置920a-1と加入者装置920b-1との間の主信号の送信が開始される(ステップS914、ステップS915)。
【0013】
図34では、管理制御装置970が、通信波長と、光伝送路950と、信号パラメータの値とを決定している。しかし、光通信システム910は、図35に示すように動作してもよい。すなわち、図34のステップS901~ステップS903の処理の後、管理制御装置970は、通信波長及び光伝送路950を決定し(ステップS931)、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1に通信波長を通知する(ステップS932、ステップS933)。光通信システム910は、図34のステップS907~ステップS911の処理を行う。加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、通知された通信波長を設定する(ステップS934、ステップS935)。加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、相互に制御信号等を送受信して光伝送路状態を推定する(ステップS936、ステップS937)。加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、推定結果に基づいて信号パラメータの値を決定し、決定した値の信号パラメータを設定する(ステップS938、ステップS939)。その後、加入者装置920a-1と加入者装置920b-1との間の主信号の送信が開始される(ステップS914、ステップS915)。
【0014】
また、光通信システム910は、図36に示すように動作してもよい。すなわち、加入者装置920a-1及び加入者装置920b-1は、固定の値の信号パラメータを使用する。よって、光通信システム910は、信号パラメータの値を決定し、決定した値の信号パラメータを設定するための図35のステップS936~ステップS939の処理を行わない。
【0015】
一方で、対向するトランシーバからフィードバックチャネルを介して送信される光信号雑音比(OSNR;Optical Signal to Noise Ratio)の推定情報を参照して、最適な変調フォーマットを選択する距離適応型光伝送システムが提案されている(例えば、非特許文献5参照)。その方式の一部で、波長分散量の推定が行われている。
【0016】
図37は、距離適応型光伝送システムを示す図である。距離適応型光伝送システムは、対向する2台のトランシーバ980を有する。2台のトランシーバ980をそれぞれ、トランシーバ980a、980bと記載する。トランシーバ980x(x=a,b)は、送信器(Tx)981xと受信器(Rx)982xとを有する。トランシーバ980aの送信器981aとトランシーバ980bの受信器982bとがファイバ983-1を介して接続され、トランシーバ980bの送信器981bとトランシーバ980aの受信器982aとがファイバ983-2を介して接続されている。
【0017】
まず、データとパイロット・シーケンス(PS)を含む信号フレームが、ファイバ983-1を介して送信器981aから受信器982bに伝送される。トランシーバ980bは、受信器982bが推定したOSNRと、基準となるOSNR閾値データベースとを比較することで、ファイバ983-1に適した信号フォーマットを選択する。このOSNR閾値データベースは、伝送する前に設計される。その後、信号フォーマットの情報は、フィードバックチャネルにより、送信器981bからファイバ983-2を介して受信器982aに送り返される。次に、その情報は受信器982aでフィードバックチャネルから復調され、送信器981aに供給される。最後に、トランシーバ980aは、ファイバ983-1を伝送するための適切な信号フォーマットを送信器981aに設定する。
【0018】
受信器982bは、PSを用いてOSNRを推定する。信号電力と雑音電力は、それぞれデータのスペクトルとPSのスペクトルから算出される。図37には、送信信号のフレーム構造を示している。PSは、複素振幅が任意の値のSと-Sである0と1の2値シンボルを交互に並べたものである。また、図37には、PSのスペクトルを示している。PS信号はBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調された信号と見なすことができるため、そのスペクトルには雑音成分を含む2つのピーク成分が存在する。PSの周期がS、S、-S、-Sの交互など4つの場合、Rsをボーレートとすると、ピーク成分は±Rs/4である。
【0019】
OSNR推定のプロセスを以下に説明する。まず、受信器982bは、送信信号を検出した後、周波数領域等化(FDE)により波長分散(CD)を補正する。CDの値は、PSのスペクトル間の遅延時間差を計算することで推定される。受信器982bは、受信した信号列からPSを取り出し、DC付近の周波数要素から雑音電力を算出する。受信器982bは、信号電力を、PSが存在しない別の時間タイミングに抽出されたデータ列のスペクトルから得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【文献】"ITU-T G.989.2, 40-Gigabit-capable passive optical networks 2 (NG PON2): Physical media dependent (PMD) layer specification," Feb. 2019.
【文献】Yuanqiu Luo, Hal Roberts, Klaus Grobe, Maurizio Valvo, Derek Nesset, Kota Asaka, Harald Rohde, Joe Smith, Jun Shan Wey, and Frank Effenberger, "Physical Layer Aspects of NG-PON2 Standards-Part 2: System Design and Technology Feasibility [Invited]," Journal of Optical Communications and Networking, Vol.8, No.1, pp.43-52, Jan. 2016.
【文献】河原 光貴、外15名、“オールフォトニクス・ネットワークを支える光フルメッシュネットワーク構成技術”、日本電信電話株式会社,NTT技術ジャーナル、Vol.32、No.3、2020年
【文献】金井拓也、本田一暁、田中康就、金子慎、原一貴、可児淳一、吉田智暁、“All-Photonics Network を支えるPhotonic Gateway”、電子情報通信学会総合大会、通信講演論文集2、B-8-20、p.141、2021年3月
【文献】S. Okamoto, F. Hamaoka, and Y. Kisaka, "Field trial of distance-adaptive optical transmission with digital in-band OSNR estimation," Optics Express, Vol.24, No.20, pp.22403-22412, 2016.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
現在一般的に使用されている伝送用光ファイバは、1.55um帯の通信波長では約17ps/nm/kmの波長分散を有する。この波長分散が累積することにより、高速伝送の障害となってしまう。そこで、高速伝送のためには、光伝送路の累積波長分散の補償が必要である。
【0022】
所望の受信感度を得るためには、伝送損失と光デバイス損失に合わせた品質補償が必要である。一方で、変調方式、伝送速度、出力光強度によって許容される光強度の損失は異なる。そのため、許容される光強度の損失に従った品質補償が必要である。しかしながら、既存技術では、加入者装置全てに共通の品質補償を行う。APNでは、許容される損失が各加入者装置で異なるため、既存技術のように共通の品質補償を行った場合、高速伝送等に障害が生じる可能性がある。
【0023】
また、光パスをエンド・ツー・エンドで提供するAPNにおいては、通信相手の加入者装置が動的に変わることが想定される。対向する加入者装置によって、適切な品質補償は異なる。
【0024】
上記事情に鑑み、本発明は、光信号の品質補償を柔軟に行うことが可能な光通信システム、制御装置、及び、品質補償方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一態様の光通信システムは、複数のポートを有し、いずれかの前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチと、前記光スイッチから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を前記光スイッチに入力する複数の品質補償部と、複数の前記品質補償部のうち、前記光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記所定のポートから入力される光信号を選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御部と、を備える。
【0026】
本発明の一態様の管理制御装置は、複数のポートのいずれかの前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチと接続される複数の品質補償部のうち、前記光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する選択部と、前記所定のポートから入力される光信号を選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう前記光スイッチに指示する指示部と、を備える。
【0027】
本発明の一態様の品質補償方法は、複数のポートを有する光スイッチが、いずれかの前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する転送ステップと、品質補償部が、前記光スイッチから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した前記光信号を前記光スイッチに入力する品質補償ステップと、制御部が、前記光スイッチに接続される複数の前記品質補償部のうち、前記光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する処理と、前記所定のポートから入力される光信号を選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう前記光スイッチを制御する処理とを行う制御ステップと、を有する。
【0028】
本発明の一態様の品質補償方法は、複数のポートのいずれかの前記ポートから入力した光信号を他の前記ポートから出力する光スイッチと接続される複数の品質補償部のうち、前記光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際の前記光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する選択ステップと、前記所定のポートから入力される光信号を選択された前記品質補償部に出力し、選択された前記品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう前記光スイッチに指示する指示ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、光通信システムにおいて光信号の品質補償を柔軟に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図2】同実施形態による第一パラメータ表を示す図である。
図3】同実施形態による光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図4】第2の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図5】第3の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図6】第4の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図7】第5の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図8】同実施形態による第二パラメータ表を示す図である。
図9】同実施形態による光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図10】第6の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図11】第7の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図12】同実施形態による光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図13】第8の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図14】第9の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図15】同実施形態による加入者装置の構成を示す図である。
図16】同実施形態による光通信システムの分散補償部選択の動作を示すシーケンス図である。
図17】同実施形態によるRTTの計算方法を示す図である。
図18】同実施形態によるRTTの計算方法で誤差が生じる場合の例を示す図である。
図19】同実施形態によるRTTの他の計算方法を示す図である。
図20】同実施形態による加入者装置の構成を示す図である。
図21】同実施形態による制御信号抜出装置の構成を示す図である。
図22】第10の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図23】第11の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図24】第12の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図25】同実施形態による加入者装置の構成を示す図である。
図26】同実施形態による光通信システムの分散補償機能設定の動作を示すシーケンス図である。
図27】第13の実施形態による光通信システムの構成を示す図である。
図28】同実施形態による光通信システムの分散補償部選択の動作を示すシーケンス図である。
図29】同実施形態による光通信システムの加入者装置間の主信号導通までの処理を示すフロー図である。
図30】第1~第8の実施形態による管理制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図31】従来技術のPtP WDM-PONシステムの構成を示す図である
図32】従来技術の光信号を示す図である。
図33】従来技術の光通信システムの構成を示す図である。
図34】従来技術の光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図35】従来技術の光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図36】従来技術の光通信システムの動作を示すシーケンス図である。
図37】従来技術の距離適応型光伝送システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、複数の図面において同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による光通信システム110の構成を示す図である。光通信システム110は、加入者装置120と、光SW130と、波長合分波部140と、光伝送路150と、分散補償部160と、管理制御装置170とを有する。加入者装置120、光SW130、波長合分波部140及び光伝送路150としてそれぞれ、図33に示す加入者装置920、光SW930、波長合分波部940及び光伝送路950を用いることができる。
【0033】
光通信システム110は複数台の光SW130を有する。本実施形態では、光通信システム110が2台の光SW130を有する場合を例に説明する。2台の光SW130を、光SW130a、130bと記載する。光SW130aに接続される加入者装置120を、加入者装置120aと記載し、光SW130bに接続される加入者装置120を、加入者装置120bと記載する。また、N台(Nは1以上の整数)の加入者装置120aを、加入者装置120a-1、…、120a-Nと記載し、M台(Mは1以上の整数)の加入者装置120bを、加入者装置120b-1、…、120b-Mと記載する。光SW130aに接続されるJ台(Jは1以上の整数)の波長合分波部140を波長合分波部140a-1、…、140a-Jと記載し、光SW130bに接続されるJ台の波長合分波部140を波長合分波部140b-1、…、140b-Jと記載する。波長合分波部140a-j(jは1以上J以下の整数)と波長合分波部140b-jの間の光伝送路150を、光伝送路150-jと記載する。K個(Kは1以上の整数)の分散補償部160を、分散補償部160-1、…、160-Kと記載する。図1では、N=2、M=2、J=2、K=2の場合の例を示している。
【0034】
以下では、加入者装置120a-n(n=1,2)が、加入者装置120b-nと通信する場合を例に説明する。加入者装置120a-nが出力し、加入者装置120b-nが受信する光信号には、波長λnuが用いられ、加入者装置120b-nが出力し、加入者装置120a-nが受信する光信号には、波長λndが用いられる。対向する加入者装置120a-n及び加入者装置120b-nは、光SW130a、130bと、波長合分波部140a-n、140b-nと、光伝送路150-nとを介して接続される。
【0035】
加入者装置120は、光信号の送信と受信の一方又は両方を行う。加入者装置120は、管理制御装置170から通知された波長の光信号を送受信する。また、加入者装置120は、管理制御装置170から通知された信号パラメータの値に従って光信号を送受信する。信号パラメータにより、信号の特性が決定される。例えば、信号パラメータは、ボーレート、変調方式、出力光強度を表す。
【0036】
光SW130は、複数の入力ポート131と複数の出力ポート132とを備える。光SW130は、入力ポート131から入力した光信号を出力ポート132へ出力し、出力ポート132から入力した光信号を入力ポート131へ出力する。光SW130は、入力ポート131と出力ポート132との接続を変更することができる。光SW130aの一部の入力ポート131は、光伝送路を介して加入者装置120aと接続され、光SW130aの一部の出力ポート132は、光伝送路を介して波長合分波部140aと接続される。また、光SW130aの一部の入力ポート131及び一部の出力ポート132は、光伝送路を介して分散補償部160と接続される。光SW130bの入力ポート131は、光伝送路を介して加入者装置120bと接続され、光SW130bの出力ポート132は、光伝送路を介して波長合分波部140bと接続される。
【0037】
波長合分波部140は、複数の第一ポート(図示せず)及び一つの第二ポート(図示せず)を有する。複数の第一ポートはそれぞれ異なる波長に対応する。第一ポートはそれぞれ、光SW130の異なる出力ポート132と接続される。第二ポートは、光伝送路150と接続される。波長合分波部140は、複数の第一ポートにより光SW130から入力した異なる波長の光信号を合波し、合波された光信号を第二ポートから出力する機能と、第二ポートから入力した光信号を異なる波長の光信号に分波し、分波された光信号をそれぞれ別々の第一ポートから出力する機能とのいずれか又は両方を有する。例えば、波長合分波部140は、AWG(Arrayed Waveguide Grating)である。
【0038】
光伝送路150は、光信号を伝送する。光伝送路150は、例えば、光ファイバである。分散補償部160は、光信号の品質を補償する品質補償部の一例である。分散補償部160は、光SW130の出力ポート132から出力された光信号の分散を補償し、分散を補償した光信号を光SW130の入力ポート131に入力する。各分散補償部160が補償できる分散量はそれぞれ異なる。K≧3の場合、一部の複数の分散補償部160において補償できる分散量が同じでもよい。このように、K個の分散補償部160が補償する分散量は、複数種類である。K個の分散補償部160には、例えば、長さが異なる分散補償ファイバを用いることができる。
【0039】
なお、一つの光信号の分散を複数の分散補償部160により補償してもよい。例えば、光SW130aは、分散補償部160-1と接続される出力ポート132から光信号を出力する。分散補償部160-1は、光SW130aから出力された光信号の分散を補償し、分散を補償した光信号を光SW130aの入力ポート131に入力する。続いて、光SW130aは、分散補償部160-1と接続される入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-2と接続される出力ポート132から出力する。分散補償部160-2は、光SW130aから出力された光信号の分散を補償し、分散を補償した光信号を光SW130aの入力ポート131に入力する。この場合は、分散補償部160-1と分散補償部160-2を合わせた分散補償効果を期待できる。よって、分散補償部160の種類を削減し、また、分散補償部160の数を削減することができる。
【0040】
管理制御装置170は、光信号の品質補償のため光SW130内の光路を制御する制御装置の一例である。管理制御装置170は、管理制御部171を有する。管理制御部171は、記憶部172と、割当部173と、選択部174と、ポート接続決定部175と、通知部176とを有する。
【0041】
記憶部172は、第一パラメータ表を記憶する。第一パラメータ表は、光出力加入者装置と、光入力加入者装置と、リソース情報と、信号パラメータ情報と、許容品質劣化情報と、分散補償部情報とを対応付けたデータである。光出力加入者装置は、光信号を出力する加入者装置120である。光入力加入者装置は、光信号を受信する加入者装置120である。
【0042】
リソース情報は、光出力加入者装置から光入力加入者装置への光信号の伝送に用いられるリソースを示す。リソース情報は、リソースを特定する情報に加えて、又は、代えて、そのリソースの伝送品質に関する情報を含んでもよい。リソースは、通信波長と、光伝送路150とを含む。リソースは、光SW130と、波長合分波部140とを含んでもよい。伝送品質に関する情報は、リソースの仕様や特性のうち、信号品質が劣化する量、又は、信号品質が劣化する量の算出に用いられるものを示す。例えば、光伝送路150の場合、伝送品質に関する情報は、光伝送路150の長さ(伝送距離)、単位距離当たりの光ファイバの波長分散、累積波長分散などである。
【0043】
信号パラメータ情報は、加入者装置120が使用する信号パラメータの値又はその値が表す設定内容を示す。許容品質劣化情報は、許容される品質劣化の程度を表す。本実施形態において、許容品質劣化情報は許容される分散量を示す。品質補償部情報は、使用可能な品質補償部を示す。使用可能な品質補償部は、光信号が伝送路を伝送する際に生じるその光信号の品質劣化の程度に応じて、許容される品質劣化の程度となるように、品質の補償を行う品質保証部である。本実施形態において、品質補償部は、分散補償部160である。
【0044】
割当部173は、加入者装置120間の光パスに使用するリソースを割り当て、信号パラメータの値を決定する。リソースの割り当てと、信号パラメータの値の決定とには、任意の従来技術を用いることができる。なお、管理制御装置170と接続される他の装置が割当部173を有してもよい。
【0045】
選択部174は、光信号を出力する加入者装置120と、光信号を受信する加入者装置120と、それら加入者装置120間の光信号に用いられる信号パラメータ情報とにより示される検索条件に対応した品質補償部情報を第一パラメータ表から読み出す。信号パラメータ情報は、割当部173が決定した信号パラメータの値、又は、その信号パラメータの値が表す設定内容を示す。検索条件は、使用リソース情報をさらに含んでもよい。使用リソース情報は、割当部173が割り当てたリソースと、そのリソースの伝送品質に関する情報とのうち少なくとも一部の情報を含む。選択部174は、読み出した品質補償部情報が示す品質補償部の中から、使用する品質補償部を選択する。選択される品質補償部の数は一つでもよく、2以上でもよい。つまり、加入者装置120間の光パスは、1又は複数の品質補償部を経由する。
【0046】
ポート接続決定部175は、加入者装置120間の光パスにおいて、その加入者装置120間について選択部174が選択した品質補償部を経由させるための光SW130内のポート接続関係を決定する。ポート接続関係は、入力ポート131と出力ポート132との接続関係を示す。
【0047】
通知部176は、光信号を出力する加入者装置120及び光信号を受信する加入者装置120に、割当部173が決定したリソースと信号パラメータの値とを通知する。また、通知部176は、ポート接続決定部175が決定したポート接続関係を光SW130に通知する。
【0048】
図2は、第一パラメータ表の例を示す図である。第一パラメータ表は、番号と、光出力加入者装置と、光入力加入者装置と、光伝送路と、波長と、ファイバの波長分散と、伝送距離と、累積波長分散と、変調方式と、ボーレートと、許容分散量と、分散補償部情報とを対応付けた情報である。光伝送路、波長、ファイバの波長分散、伝送距離及び累積波長分散は、リソース情報である。変調方式及びボーレートは、信号パラメータ情報である。分散補償部情報は、品質補償部情報の例である。分散補償部情報は、使用可能な分散補償部160を示す。管理制御部171は、このように、光出力加入者装置から許容分散量までの項目を把握しておき、検索条件に基づいて分散補償部160を選択する。
【0049】
分散補償部160の選択の一例を示す。現在一般的に使用されている伝送用光ファイバ(Standard Single-Mode Fiber:SSMF)では、1550nm帯の通信波長は、約17ps/nm/kmの波長分散を有する。そのため、伝送距離が100kmの場合の累積波長分散は、1700ps/nmである。また、変調方式が異なると、そのスペクトル広がりの違いから許容される分散値が異なる。さらに、許容分散値は、伝送速度の2乗に反比例して小さくなる。例えば、変調方式がNRZ(Non return to Zero) 40Gbpsの信号に対する許容分散値は、約100ps/nmである(例えば、参考文献1参照)。この場合、累積波長分散量を、1700ps/nmから100ps/nm以下に低減できるような分散補償機能を有する分散補償部160を選択すればよい。選択された分散補償部160は、第一パラメータ表に設定される。
【0050】
(参考文献1)愛川ほか,「分散補償ファイバモジュール」,フジクラ技報,第119号,Vol.2,2010年,p.7-16
【0051】
図3は、光通信システム110の主信号導通までの動作を示すシーケンス図である。図3は、加入者装置120a-1が、加入者装置120b-1と通信する場合の例を示している。また、ここでは、光信号が一つの品質補償部を経由する場合を例に説明する。
【0052】
加入者装置120a-1は、光SW130aに接続する(ステップS101)。加入者装置120b-1は、光SW130bに接続する(ステップS102)。加入者装置120a-1は、管理制御装置170に接続要求を送信する(ステップS103)。接続要求には、加入者装置120b-1が接続先であることを示す情報が設定される。
【0053】
管理制御装置170の割当部173は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光信号に用いられる通信波長及び光伝送路150と、信号パラメータ値とを決定する(ステップS104)。
【0054】
例えば、割当部173は、加入者装置120a-1から送信された光信号が、光SW130a、波長合分波部140a-1、光伝送路150-1、波長合分波部140b-1及び光SW130bを経由して加入者装置120b-1へ出力されるように光パスを決定する。割当部173は、この光パスにおいて使用する波長λ1uを割り当てる。同様に、割当部173は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1までの光パスを決定し、波長λ1dを割り当てる。割当部173は、この光パスに使用する信号パラメータの値を決定する。なお、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号については、第2~第4の実施形態で説明するため、本実施形態では詳細な説明を省略する。
【0055】
さらに、割当部173は、光パスに使用するボーレート、変調方式、出力光強度などを決定し、決定したボーレート、変調方式、出力光強度などに応じた信号パラメータ値を決定する。例えば、割当部173は、加入者装置120a-1及び光SW130a間と、光SW130b及び加入者装置120b-1間と、光伝送路150-1とがそれぞれ異なるファイバ長である場合に、加入者装置120a-1及び加入者装置120b-1間で用いる光信号の信号パラメータの値を変更する。具体例として、割当部173は、光信号が経由する光伝送路150のファイバ長が短い場合は、高いボーレートで通信し、逆に、光信号が経由する光伝送路150のファイバ長が長い場合は、低いボーレートで通信するように、ボーレートを決定する。割当部173は、このように、光信号が経由する光伝送路150の状態に合わせてボーレートを変更する。これにより、加入者装置120a-1及び加入者装置120b-1は、正確に光信号を受信することが可能となる。
【0056】
通知部176は、加入者装置120a-1及び加入者装置120b-1に、割当てた通信波長と、決定した値の信号パラメータとを通知する(ステップS105、ステップS106)。
【0057】
選択部174は、加入者装置120a-1を示す光出力加入者装置と、加入者装置120b-1を示す光入力加入者装置と、ステップS104において割り当てられたリソースのリソース情報と、ステップS104において決定された通信パラメータ値を表す通信パラメータ情報との組み合わせを検索条件に用いて、記憶部172に記憶されている第一パラメータ表から分散補償部情報を読み出す。光出力加入者装置と光入力加入者装置の組み合わせによって、使用されるリソースが固定である場合、検索条件はリソース情報を含まなくてもよい。光出力加入者装置と光入力加入者装置の組み合わせによって、使用される通信パラメータの値が固定である場合、検索条件は通信パラメータ情報を含まなくてもよい。選択部174は、分散補償部情報が示す分散補償部160の中から、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に使用する分散補償部160-1を選択する(ステップS107)。選択部174は、同様に、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に使用する分散補償部160を選択する。
【0058】
ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光パスが経由する光SW130a及び光SW130bを特定する。ポート接続決定部175は、光SW130a及び光SW130bそれぞれのポート接続関係を決定する(ステップS108)。ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光パスにおいて、選択部174が選択した分散補償部160を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。
【0059】
具体的には、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号には、分散補償部160-1を使用する。そこで、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている光SW130aにおいて、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号が、波長合分波部140a-1と接続されている出力ポート132から出力されるまでの間に、分散補償部160-1を経由するように入力ポート131及び出力ポート132を接続する。つまり、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。また、ポート接続決定部175は、光SW130bについては、波長合分波部140b-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131へ出力するようにポート接続関係を決定する。
【0060】
通知部176は、ポート接続決定部175が決定した光SW130aのポート接続関係を光SW130aに通知する(ステップS109)。同様に、通知部176は、ポート接続決定部175が決定した光SW130bのポート接続関係を光SW130bに通知する(ステップS110)。光SW130aは、ステップS109において通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する(ステップS111)。同様に、光SW130bは、ステップS110において通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する(ステップS112)。
【0061】
一方、加入者装置120a-1は、ステップS105において通知された通信波長及び信号パラメータを設定する(ステップS113)。同様に、加入者装置120b-1は、ステップS106において通知された通信波長及び信号パラメータを設定する(ステップS114)。
【0062】
加入者装置120a-1は、波長λ1uの主信号を送信する。光SW130a及び光SW130bは、設定したポート接続関係に従って、加入者装置120a-1から送信された主信号を中継する。加入者装置120b-1は、加入者装置120a-1から送信された主信号を受信する(ステップS115)。加入者装置120b-1は、波長λ1dの主信号を送信する。光SW130b及び光SW130aは、設定したポート接続関係に従って、主信号を中継する。加入者装置120a-1は、加入者装置120b-1から送信された主信号を受信する(ステップS116)。
【0063】
上記により、加入者装置120a-1から送信された光信号は、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0064】
また、光通信システム110は、加入者装置120a-2と加入者装置120b-2との間についても上記と同様の処理を行う。管理制御装置170の割当部173は、加入者装置120a-2から送信された光信号が、光SW130a、波長合分波部140a-2、光伝送路150-2、波長合分波部140b-2及び光SW130bを経由して加入者装置120b-2に入力するように光パスを決定する。割当部173は、加入者装置120a-2から加入者装置120b-2への光信号に波長λ2uを割り当て、信号パラメータ値を決定する。選択部174は、加入者装置120a-2から加入者装置120b-2への光信号に、分散補償部160-2を使用すると判断する。これにより、加入者装置120a-2から送信された光信号は、光SW130a、分散補償部160-2、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-2を介して光伝送路150-2へ入力する。光伝送路150-2から波長合分波部140b-2を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-2へ出力される。
【0065】
また、加入者装置120間の光信号は、複数の分散補償部160を経由してもよい。この場合、第一パラメータ表の分散補償部情報に、使用される分散補償部160の組み合わせが設定される。これにより、例えば、ステップS107において、選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を選択する。選択部174は、選択された分散補償部160-1及び分散補償部160-2が使用される順序を、所定の規則により決定する。あるいは、分散補償部情報は、分散補償部160-1及び分散補償部160-2が使用される順序の情報を含んでもよい。ここでは、選択部174は、分散補償部160-1を最初と決定する。
【0066】
この場合、ステップS108において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-2が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続を決定する。またさらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-2が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0067】
なお、ポート接続決定部175は、同じ品質補償部をループして使用することがないように、光SW130の入力ポート131と出力ポート132との接続関係を制御する。これは、ループから主信号を取り出すために、光SW130の方路変更が必要になるからである。方路変更により、主信号断が発生する可能性がある。
【0068】
上述のように、光通信システム110は、光信号が経由する分散補償部160を選択できる。光通信システム110は、光伝送路150の状態や信号パラメータ値によっては、分散補償部160を経由しないように、光SW130aの入力ポート131と出力ポート132とを接続してもよい。
【0069】
図3に示す本実施形態のシーケンスは、図34に示す従来のシーケンスに対して、管理制御装置170から光SW130にポート接続関係を通知する前に、選択部174が分散補償部160を選択する処理(ステップS107)を追加し、ステップS907の処理に代えてステップS108の処理を行うものに相当する。同様に、光通信システム110は、図35及び図36に示す従来のシーケンスにおいてポート接続関係の決定処理(ステップS907)の前に、ステップS107の処理を追加した動作を行ってもよい。ポート接続決定部175は、ステップS908の処理に代えて、選択された分散補償部160と接続されている光SW130において、その分散補償部160を経由するようにポート接続関係を決定するステップS108の処理を行う。
【0070】
本実施形態の光通信システム110は、光信号が伝送する光パスにおける累積波長分散量、および、許容される分散量に従って分散補償部160を選択し、光SW130内における光路を制御して、選択した分散補償部160を経由させる。これにより、複数種類の光伝送路状態や信号パラメータ値を選択できる光通信システムにおいても、適切な分散補償を行って、所望の受信感度を得ることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、図1における加入者装置120aから加入者装置120bへの光信号が分散補償部160を経由している。本実施形態では、加入者装置120bから加入者装置120bへの光信号も分散補償部160を経由する。本実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0072】
図4は、第2の実施形態の光通信システム210の構成を示す図である。図4に示す光通信システム210が、図1に示す第1の実施形態の光通信システム110と異なる点は、加入者装置120と光SW130の間に波長分離フィルタ280を備える点と、光SW130bが分散補償部160と接続されている点である。加入者装置120a-2、120b-2、波長合分波部140a-2及び光伝送路150-2については記載を省略している。加入者装置120a-1と光SW130aの間の波長分離フィルタ280を波長分離フィルタ280aと記載し、加入者装置120b-1と光SW130bの間の波長分離フィルタ280を波長分離フィルタ280bと記載する。波長分離フィルタ280a、280bは、波長λ1uと波長λ1dを分離する。光SW130bと接続される2台の分散補償部160を、分散補償部160-3、160-4と記載する。
【0073】
管理制御装置170が記憶する第一パラメータ表の形式は、第1の実施形態と同様である。ただし、図2に示す第1の実施形態の第一パラメータ表において、番号2の行の分散補償部情報には分散補償部160-3が設定される。
【0074】
光通信システム210は、以下を除き、図3に示す第1の実施形態の光通信システム110のシーケンス図と同様の処理を行う。
【0075】
すなわち、ステップS104において、割当部173は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1までの光パスを、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1までの光パスと逆方向の光パスと決定する。ステップS107において、選択部174は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に用いる分散補償部160をさらに選択する。そこで、選択部174は、加入者装置120b-1を示す光出力加入者装置と、加入者装置120a-1を示す光入力加入者装置と、ステップS104において割り当てられたリソースのリソース情報と、ステップS104において決定された通信パラメータ値を表す通信パラメータ情報との組み合わせを検索条件に用いて、第一パラメータ表から分散補償部情報を読み出す。選択部174は、読み出した分散補償部情報が示す分散補償部160の中から、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に使用する分散補償部160-3を選択する。
【0076】
ステップS108において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号については、第1の実施形態と同様にポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号については、以下のようにポート接続関係を決定する。
【0077】
ポート接続決定部175は、選択された分散補償部160-3が光SW130bに接続されていると判断する。ポート接続決定部175は、光SW130bにおいて、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号が、波長合分波部140b-1と接続されている出力ポート132から出力されるまでの間に、分散補償部160-3を経由するように入力ポート131及び出力ポート132を接続する。つまり、ポート接続決定部175は、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-3が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130bのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-3が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140b-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130bのポート接続関係を決定する。また、ポート接続決定部175は、光SW130aについては、波長合分波部140a-1の波長λ1dに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131へ出力するようにポート接続関係を決定する。
【0078】
ステップS115において、加入者装置120a-1は、波長λ1uの主信号を送信する。加入者装置120a-1から送信された主信号は、波長分離フィルタ280a、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した主信号は、波長分離フィルタ280bを経由して加入者装置120b-1へ出力される。
【0079】
ステップS116において、加入者装置120b-1は、波長λ1dの主信号を送信する。加入者装置120b-1から送信された主信号は、波長分離フィルタ280b、光SW130b、分散補償部160-3、光SW130bを順に経由した後、波長合分波部140b-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140a-1を介して光SW130aに入力した主信号は、波長分離フィルタ280aを経由して加入者装置120a-1へ出力される。
【0080】
また、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号が複数の分散補償部160を経由してもよい。例えば、ステップS107において、選択部174は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に対して、分散補償部160-3及び分散補償部160-4を選択する。選択部174は、所定の規則に基づいて、又は、分散補償部情報に設定されている順序の情報に基づいて、分散補償部160-3を最初に使用すると決定する。
【0081】
この場合、ステップS108において、ポート接続決定部175は、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-3が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130bのポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-3が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-4が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130bのポート接続を決定する。またさらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-4が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140b-1の波長λ1dに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130bのポート接続関係を決定する。
【0082】
第2の実施形態の光通信システム210は、加入者装置120a-nから出力され、加入者装置120b-nに受信される光信号と、加入者装置120b-nから出力され、加入者装置120a-nに受信される光信号とを、それぞれ異なる分散補償部160を用いて分散補償できる。
【0083】
(第3の実施形態)
第2の実施形態の光通信システムは、光送信を行う加入者装置に最も近い光SWが分散補償を行う。しかし、この構成に関わらず、例えば、加入者装置が出力した光信号の分散補償を、その加入者装置と接続されている光SWとは異なる光SWに接続されている分散補償部が行ってもよい。本実施形態を、第1及び第2の実施形態との差分を中心に説明する。
【0084】
図5は、第3の実施形態の光通信システム310の構成を示す図である。図5に示す光通信システム310が、図1に示す第1の実施形態の光通信システム110と異なる点は、光SW130と波長合分波部140との間に波長分離フィルタ380を備える点である。これにより、光SW130は、一つの出力ポート132により、波長分離フィルタ380を介して波長合分波部140と接続される。光SW130aと波長合分波部140a-1の間の波長分離フィルタ380を波長分離フィルタ380aと記載し、光SW130bと波長合分波部140b-1の間の波長分離フィルタ380を波長分離フィルタ380bと記載する。
【0085】
波長分離フィルタ380a及び波長分離フィルタ380bは、波長λ1uと波長λ1dとを分離する。波長分離フィルタ380aは、光SW130aの出力ポート132から入力した波長λ1uの光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートへ出力し、波長合分波部140a-1の第一ポートが出力した波長λ1dの光信号を、光SW130aの出力ポート132に出力する。波長分離フィルタ380bは、光SW130bの出力ポート132から入力した波長λ1dの光信号を、波長合分波部140b-1の波長λ1dに対応した第一ポートへ出力し、波長合分波部140b-1の第一ポートが出力した波長λ1uの光信号を、光SW130bの出力ポート132に出力する。
【0086】
管理制御装置170が記憶する第一パラメータ表の形式は、第1の実施形態と同様である。ただし、図2に示す第1の実施形態の第一パラメータ表において、番号2の行の分散補償部情報には分散補償部160-1が設定される。
【0087】
光通信システム310は、以下を除き、図3に示す第1の実施形態の光通信システム110のシーケンス図と同様の処理を行う。
【0088】
すなわち、ステップS104において、割当部173は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1までの光パスを、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1までの光パスと逆方向の光パスと決定する。ステップS107において、選択部174は、第2の実施形態と同様の処理により、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に用いる分散補償部160-1を選択する。
【0089】
ステップS108において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号については、第1の実施形態と同様にポート接続関係を決定する。さらに、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号については、以下のようにポート接続関係を決定する。
【0090】
ポート接続決定部175は、選択された分散補償部160-1が光SW130aに接続されていると判断する。ポート接続決定部175は、光SW130bについては、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140b-1が接続されている出力ポート132へ出力するようにポート接続関係を決定する。また、ポート接続決定部175は、光SW130aにおいて、波長合分波部140a-1と接続される出力ポート132から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131に出力するようポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0091】
ステップS115において、加入者装置120a-1は、波長λ1uの主信号を送信する。加入者装置120a-1から送信された主信号は、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130aを順に経由した後、波長分離フィルタ380a及び波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1及び波長分離フィルタ380aを介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0092】
ステップS116において、加入者装置120b-1は、波長λ1dの主信号を送信する。加入者装置120b-1から送信された主信号は、光SW130b、波長分離フィルタ380b及び波長合分波部140b-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140a-1及び波長分離フィルタ380aを介して光SW130aに入力した主信号は、分散補償部160-1及び光SW130aを経由して加入者装置120a-1へ出力される。
【0093】
また、加入者装置120間の光信号は、複数の分散補償部160を経由してもよい。例えば、ステップS107において、選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を選択する。この場合、ステップS108において、ポート接続決定部175は、第1の実施形態と同様に、加入者装置120a-1から送信された光信号が、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130a、分散補償部160-2、光SW130aを順に経由するように、光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0094】
また、例えば、ステップS107において、選択部174は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に対して、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を選択する。選択部174は、所定の規則に基づいて、又は、分散補償部情報に設定されている順序の情報に基づいて、分散補償部160-1を最初に使用すると決定する。この場合、ステップS108において、ポート接続決定部175は、光SW130aにおいて、波長合分波部140a-1と接続される出力ポート132から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131に出力するようポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132から入力した光信号を、分散補償部160-2が接続されている入力ポート131に出力するよう光SW130aのポート接続関係を決定する。またさらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-2が接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0095】
本実施形態では、加入者装置120a-nから出力され、加入者装置120b-nにより受信される光信号と、加入者装置120b-nから出力され、加入者装置120a-nにより受信される光信号とを、同一の分散補償部160を用いて分散補償することができる。このような制限はあるものの、光SW130のポート数を、第2の実施形態よりも削減できる。
【0096】
(第4の実施形態)
本実施形態では、光SWと分散補償部との間に波長合分波部を挿入する。これにより、本実施形態の光通信システムは、異なる波長の光信号に対して一括して分散補償を行う。本実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0097】
図6は、第4の実施形態の光通信システム410の構成を示す図である。図6に示す光通信システム410が、図1に示す第1の実施形態の光通信システム110と異なる点は、光SW130aと分散補償部160の間に、波長合分波部440を備える点である。これにより、光SW130aは、波長合分波部440を介して分散補償部160と接続される。波長合分波部440として、波長合分波部140と同様の装置を用いることができる。光SW130aの複数の出力ポート132と、分散補償部160-k(図6では、k=1,2)とに接続される波長合分波部440を波長合分波部440a-k-1と記載し、分散補償部160-kと、光SW130aの複数の入力ポート131とに接続される波長合分波部440を波長合分波部440a-k-2と記載する。
【0098】
波長合分波部440は、複数の第一ポート(図示せず)及び一つの第二ポート(図示せず)を有する。複数の第一ポートはそれぞれ異なる波長に対応する。波長合分波部440は、複数の第一ポートそれぞれにより入力した異なる波長の光信号を合波し、合波された光信号を第二ポートから出力する機能と、第二ポートから入力した光信号を異なる波長の光信号に分波し、分波された光信号をそれぞれ別々の第一ポートから出力する機能とのいずれか又は両方を有する。波長合分波部440a-k-1の第一ポートはそれぞれ、光SW130aの異なる出力ポート132と接続される。波長合分波部440a-k-1の第二ポートは、分散補償部160-kとの間の光伝送路に接続される。波長合分波部440a-k-2の第一ポートはそれぞれ、光SW130aの異なる入力ポート131と接続される。波長合分波部440a-k-2の第二ポートは、分散補償部160-kとの間の光伝送路に接続される。
【0099】
光通信システム410は、以下を除き、図3に示す第1の実施形態の光通信システム110のシーケンス図と同様の処理を行う。
【0100】
すなわち、ステップS108において、管理制御装置170のポート接続決定部175は、ステップS107において選択された分散補償部160-1が、波長合分波部440a-1-1及び波長合分波部440a-1-2を介して光SW130aと接続されていると判断する。ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-1-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-1-2の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0101】
これにより、加入者装置120a-1から送信された波長λ1uの光信号は、光SW130a、波長合分波部440a-1-1、分散補償部160-1、波長合分波部440a-1-2、光SW130aを順に経由し、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から、波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0102】
一方で、上記と同様の処理により、管理制御装置170の割当部173が加入者装置120a-2から加入者装置120b-2への光信号に波長λ2uを割り当て、選択部174は、この光信号に分散補償部160-1を利用すると判断したとする。この場合、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-2と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-1-1の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-1-2の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-2の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。これにより、加入者装置120a-2から送信された波長λ2uの光信号は、光SW130a、波長合分波部440a-1-1、分散補償部160-1、波長合分波部440a-1-2、光SW130aを順に経由し、波長合分波部140a-2を介して光伝送路150-2へ入力する。光伝送路150-2から、波長合分波部140b-2を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-2へ出力される。
【0103】
波長合分波部440a-1-1は、光SW130aから入力した波長λ1uの光信号と波長λ2uの光信号を合波して分散補償部160-1に出力し、波長合分波部440a-1-2は、分散補償部160-1が分散を補償した光信号から波長λ1uの光信号と波長λ2uの光信号を分波して光SW130aに出力する。このように、波長合分波部440が、複数波長の光信号を合波し、合波した光信号を分散補償部160へ入力することにより、同一の分散補償部160を用いて複数波長の光信号を一括で分散補償できる。よって、分散補償部160の数を削減することができる。
【0104】
また、加入者装置120間の信号は、複数の分散補償部160を経由してもよい。例えば、ステップS107において、選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を選択し、分散補償部160-1を最初に使用すると決定する。この場合、ステップS108において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-1-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-1-2の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-2-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。またさらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-2-2の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。この場合は、分散補償部160-1と160-2を合わせた分散補償効果を期待できる。よって、複数の分散補償部160を経由する場合、分散補償部160の種類を削減し、分散補償部160の数をさらに削減することができる。
【0105】
(第5の実施形態)
第1の実施形態においては、品質補償部として分散補償部を用いていた。第5の実施形態においては、品質補償部として光増幅部を用いる。本実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0106】
図7は、第5の実施形態による光通信システム510の構成を示す図である。図7に示す光通信システム510が、図1に示す光通信システム110と異なる点は、分散補償部160に代えて光増幅部560を備える点である。K個(Kは1以上の整数)の光増幅部560を、光増幅部560-1、…、560-Kと記載する。図7では、K=2の場合を例に示している。
【0107】
光増幅部560は、光SW130の出力ポート132から出力された光信号を増幅し、増幅した光信号を光SW130の入力ポート131に入力する。各光増幅部560の利得はそれぞれ異なる。K≧3の場合、一部の複数の光増幅部560の利得が同じでもよい。このように、K個の光増幅部560の利得は、複数種類である。
【0108】
なお、一つの光信号を複数の光増幅部560により増幅してもよい。例えば、光SW130aは、光増幅部560-1と接続される出力ポート132から光信号を出力する。光増幅部560-1は、光SW130aから出力された光信号を増幅し、増幅した光信号を光SW130aの入力ポート131に入力する。続いて、光SW130aは、光増幅部560-1と接続される入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-2と接続される出力ポート132から出力する。光増幅部560-2は、光SW130aから出力された光信号を増幅し、増幅した光信号を光SW130aの入力ポート131に入力する。この場合は、光増幅部560-1と光増幅部560-2を合わせた増幅を期待できる。よって、光増幅部560の種類を削減し、また、光増幅部560の数を削減することができる。
【0109】
図8は、本実施形態の第二パラメータ表の例を示す図である。管理制御装置170の記憶部172は、図2に示す第一パラメータ表に代えて、図8に示す第二パラメータ表を記憶する。第二パラメータ表は、番号と、光出力加入者装置と、光入力加入者装置と、光伝送路と、波長と、伝送損失と、光デバイス損失と、累積損失と、変調方式と、ボーレートと、最小受信感度と、送信光強度と、最大許容損失と、光増幅部情報とを対応付けた情報である。光伝送路、波長、伝送損失、光デバイス損失及び累積損失は、リソース情報である。伝送損失は、光伝送路150の伝送損失を表し、光デバイス損失は光SW130及び波長合分波部140の損失を表す。累積損失は、伝送損失と光デバイス損失の合計である。光増幅部情報は、使用可能な光増幅部560を示す。管理制御部171は、このように、光出力加入者装置から最大許容損失までの項目を把握しておき、光出力加入者装置と、光入力加入者装置と、使用リソース情報と、信号パラメータ情報とにより示される検索条件に基づいて光増幅部560を選択する。選択される光増幅部560の数は、一つでもよく、2以上でもよい。
【0110】
光増幅部560の選択の一例を示す。現在一般的に使用されている伝送用光ファイバでは、1550nm帯の通信波長は、約0.25dB/kmの伝送損失を有する。そのため、伝送距離が100kmの場合の伝送損失は、25dBである。波長合分波部140として用いられるAWGの光損失を3dB、光SW130の損失を5dB(例えば、参考文献2参照)とする。この場合、AWGを2台、光SW130を2台経由する場合の光デバイス損失は16dBである。よって、伝送損失と光デバイス損失を合計した累積損失は、41dBである。また、変調方式、ボーレート、及び、受信器の構成によって、所望のビットエラーレートを得るための受信感度が異なる。そして、送信光強度が異なると、所望の受信感度を得るために、許容される最大損失が異なる。例えば、変調方式がNRZ 10Gbpsの信号を、IMDD(Intensity-modulation and Direct-detection)受信した場合に、ビットエラーレートが10-3となる最小受信感度が-16dBmであるとする。送信光強度+4dBmの信号に対する最大許容損失は約20dBである。この場合、累積損失を41dBから20dB以下に低減できるような、つまり21dB以上の利得となる光増幅部560を選べばよい。選択された光増幅部560は、第二パラメータ表に設定される。
【0111】
(参考文献2)Yuko Kawajiri,Naru Nemoto,Koichi Hadama,Yuzo Ishii,Mitsuhiro Makihara,Joji Yamaguchi,Tsuyoshi Yamamoto,”512 × 512 Port 3D MEMS Optical Switch Module with Toroidal Concave Mirror”,NTT Technical Review,Vol.10,No.11,Nov. 2012.
【0112】
図9は、光通信システム510の主信号導通までの動作を示すシーケンス図である。ここでは、加入者装置120a-1が、加入者装置120b-1と通信する場合を例に示している。図9において、図3に示す第1の実施形態による光通信システム110と同じ処理には、同じ符号を付している。
【0113】
光通信システム510は、図3のステップS101~ステップS106と同様の処理を行う。管理制御装置170の選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号について、第1の実施形態のステップS107と同様の検索条件を用いて、記憶部172に記憶されている第二パラメータ表から光増幅部情報を読み出す。選択部174は、光増幅部情報が示す光増幅部560の中から、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に使用する光増幅部560-1を選択する(ステップS501)。さらに、選択部174は、加入者装置120b-1から加入者装置120a-1への光信号に使用する光増幅部560を選択する。
【0114】
ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光パスにおいて、選択部174が選択した光増幅部560を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とを接続するポート接続関係を決定する(ステップS502)。
【0115】
具体的には、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-1が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、光増幅部560-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。また、ポート接続決定部175は、光SW130bについては、波長合分波部140b-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131へ出力するようにポート接続関係を決定する。光通信システム510は、図3のステップS109~ステップS114の処理を行う。
【0116】
加入者装置120a-1は、波長λ1uの主信号を送信する。光SW130a及び光SW130bは、設定したポート接続関係に従って、加入者装置120a-1から送信された主信号を中継する。加入者装置120b-1は、加入者装置120a-1から送信された主信号を受信する(ステップS503)。同様に、加入者装置120b-1は、波長λ1dの主信号を送信する。光SW130b及び光SW130aは、設定したポート接続関係に従って、主信号を中継する。加入者装置120a-1は、加入者装置120b-1から送信された主信号を受信する(ステップS504)。
【0117】
上記により、加入者装置120a-1から送信された光信号は、光SW130a、光増幅部560-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0118】
また、光通信システム110は、加入者装置120a-2と加入者装置120b-2との間についても上記と同様の処理を行う。これにより、加入者装置120a-2から送信された光信号は、光SW130a、光増幅部560-2、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-2を介して光伝送路150-2へ入力する。光伝送路150-2から波長合分波部140b-2を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-2へ出力される。
【0119】
また、加入者装置120間の光信号は、複数の光増幅部560を経由してもよい。この場合、第二パラメータ表の分散補償部情報に、使用される光増幅部560の組み合わせが設定される。これにより、例えば、ステップS501において、選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して、光増幅部560-1及び光増幅部560-2を選択する。選択部174は、選択された光増幅部560-1及び光増幅部560-2が使用される順序を、所定の規則により決定する。あるいは、分散補償部情報は、光増幅部560-1及び光増幅部560-2が使用される順序の情報を含んでもよい。ここでは、選択部174は、光増幅部560-1を最初と決定する。
【0120】
この場合、ステップS502において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-1が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、光増幅部560-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-2が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続を決定する。またさらに、ポート接続決定部175は、光増幅部560-2が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0121】
上述のように、光通信システム510は、光信号が経由する光増幅部560を選択できる。光通信システム510は、光伝送路150の状態や信号パラメータ値によっては、光増幅部560を経由しないように、光SW130aの入力ポート131と出力ポート132とを接続してもよい。
【0122】
図9に示す本実施形態のシーケンスは、図34に示す従来のシーケンスに対して、管理制御装置170から光SW130にポート接続関係を通知する前に、選択部174が光増幅部560を選択する処理(ステップS501)を追加し、ステップS907の処理に代えてステップS502の処理を行うものに相当する。ステップS501の処理は、図8に示す第二パラメータ表を参照して、実行される。また、光通信システム510は、図35及び図36に示す従来のシーケンスにおいてポート接続関係の決定処理(ステップS907)の前に、ステップS501の処理を追加した動作を行ってもよい。ポート接続決定部175は、ステップS908の処理に代えて、選択された光増幅部560と接続されている光SW130において、その光増幅部560を経由するようにポート接続関係を決定するステップS502の処理を行う。
【0123】
本実施形態の光通信システム510は、光信号が伝送する光パスにおける累積損失、および、許容される損失に従って光増幅部560を選択し、光SW130内における光路を制御して、選択した光増幅部560を経由させる。これにより、複数種類の光伝送路状態や信号パラメータ値を選択できる光通信システムにおいても、適切な光増幅を行って、所望の受信感度を得ることができる。
【0124】
(第6の実施形態)
本実施形態では、光SWと光増幅部との間に波長合分波部を挿入する。これにより、本実施形態の光通信システムは、異なる波長の光信号に対して一括して増幅を行う。本実施形態を、上述の実施形態との差分を中心に説明する。
【0125】
図10は、第6の実施形態の光通信システム610の構成を示す図である。図10に示す光通信システム610が、図6に示す第4の実施形態の光通信システム410と異なる点は、分散補償部160に代えて光増幅部560を備える点と、管理制御装置170の記憶部172が、図8に示す第5の実施形態の第二パラメータ表を記憶する点である。本実施形態の光SW130aは、波長合分波部440を介して光増幅部560と接続される。波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2に接続されている光増幅部560を光増幅部560-kと記載する。
【0126】
光通信システム610は、以下を除き、図9に示す第5の実施形態の光通信システム510のシーケンス図と同様の処理を行う。
【0127】
すなわち、ステップS502において、管理制御装置170のポート接続決定部175は、ステップS501において選択された光増幅部560-1が、波長合分波部440a-1-1及び波長合分波部440a-1-2を介して光SW130aと接続されていると判断する。ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-1-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-1-2の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0128】
これにより、加入者装置120a-1から送信された波長λ1uの光信号は、光SW130a、波長合分波部440a-1-1、光増幅部560-1、波長合分波部440a-1-2、光SW130aを順に経由し、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から、波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0129】
一方で、上記と同様の処理により、管理制御装置170の割当部173が加入者装置120a-2から加入者装置120b-2への光信号に波長λ2uを割り当て、選択部174は、この光信号に光増幅部560-1を利用すると判断したとする。この場合、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-2と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部440a-1-1の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、波長合分波部440a-1-2の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-2の波長λ2uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。これにより、加入者装置120a-2から送信された波長λ2uの光信号は、光SW130a、波長合分波部440a-1-1、光増幅部560-1、波長合分波部440a-1-2、光SW130aを順に経由し、波長合分波部140a-2を介して光伝送路150-2へ入力する。光伝送路150-2から、波長合分波部140b-2を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-2へ出力される。
【0130】
波長合分波部440a-1-1は、光SW130aから入力した波長λ1uの光信号と波長λ2uの光信号を合波して光増幅部560-1に出力し、波長合分波部440a-1-2は、光増幅部560-1が分散を補償した光信号から波長λ1uの光信号と波長λ2uの光信号を分波して光SW130aに出力する。このように、波長合分波部440が、複数波長の光信号を合波し、合波した光信号を光増幅部560へ入力することにより、同一の光増幅部560を用いて複数波長の光信号を一括で増幅できる。よって、光増幅部560の数を削減することができる。
【0131】
また、加入者装置120間の信号は、複数の光増幅部560を経由してもよい。例えば、ステップS501において、選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して、光増幅部560-1及び光増幅部560-2を選択し、光増幅部560-1を最初に使用すると決定する。この場合、ステップS502において、ポート接続決定部175は、第4の実施形態において、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に対して分散補償部160-1及び分散補償部160-2が選択された場合と同様に、光SW130aのポート接続関係を決定する。このように複数の光増幅部560を経由する場合、光増幅部560の種類を削減し、光増幅部560の数をさらに削減することができる。
【0132】
(第7の実施形態)
本実施形態の光通信システムは、分散量が異なる複数の分散補償部と、利得が異なる複数の光増幅部とを有する。本実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0133】
図11は、第7の実施形態による光通信システム710の構成を示す図である。図11に示す光通信システム710が、図1に示す光通信システム110と異なる点は、図7に示す第5の実施形態の光増幅部560をさらに備える点である。光SW130aの一部の入力ポート131及び一部の出力ポート132は、光伝送路を介して、光増幅部560-1~560-Kと接続される。図11では、K=2の場合を例に示している。
【0134】
また、管理制御装置170の記憶部172は、図2に示す第一パラメータ表と、図8に示す第二パラメータ表とを記憶する。記憶部172は、図2に示す第一パラメータ表と、図8に示す第二パラメータ表とを統合したパラメータ表を記憶してもよい。
【0135】
図12は、光通信システム710の主信号導通までの動作を示すシーケンス図である。ここでは、加入者装置120a-1が、加入者装置120b-1と通信する場合を例に示している。図12において、図3に示す第1の実施形態による光通信システム110と同じ処理には、同じ符号を付している。
【0136】
光通信システム710は、図3のステップS101~ステップS106と同様の処理を行う。管理制御装置170の選択部174は、第1の実施形態のステップS107と同様に加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に用いる分散補償部160-1を決定する。さらに、選択部174は、図9に示す第5の実施形態のステップS501と同様に加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に用いる光増幅部560-1を選択する(ステップS701)。
【0137】
ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光パスにおいて、選択部174が選択した分散補償部160-1及び光増幅部560-1を経由するように入力ポート131と出力ポート132とを接続するポート接続関係を決定する(ステップS702)。
【0138】
具体的には、ポート接続決定部175は、以下のように光SW130aのポート接続関係を決定する。ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132へ出力するようポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-1が接続されている出力ポート132へ出力するようにポート接続関係を決定する。そしてさらに、ポート接続決定部175は、光増幅部560-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するようにポート接続関係を決定する。光通信システム710は、図3のステップS109~ステップS114の処理を行う。
【0139】
加入者装置120a-1は、波長λ1uの主信号を送信する。光SW130a及び光SW130bは、設定したポート接続関係に従って、加入者装置120a-1から送信された主信号を中継する。加入者装置120b-1は、加入者装置120a-1から送信された主信号を受信する(ステップS703)。同様に、加入者装置120b-1は、波長λ1dの主信号を送信する。光SW130b及び光SW130aは、設定したポート接続関係に従って、主信号を中継する。加入者装置120a-1は、加入者装置120b-1から送信された主信号を受信する(ステップS704)。
【0140】
ステップS703において、加入者装置120a-1から送信された光信号は、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130a、光増幅部560-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から、波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0141】
加入者装置120間の信号は、複数の分散補償部160を経由してもよく、複数の光増幅部560を経由してもよい。ポート接続決定部175は、選択部174が選択した1以上の分散補償部160と、1以上の光増幅部560とを経由するように、上述した実施形態と同様に光SW130のポート接続関係を決定する。
【0142】
上述のように、光通信システム810は、光信号が経由する分散補償部160及び光増幅部560を選択できる。光通信システム810は、光伝送路の状態や信号パラメータ値によっては、分散補償部160と光増幅部560の一方又は両方を経由しないように、光SW130aの入力ポートと出力ポートを接続してもよい。さらに、光通信システム810は、図6又は図10に示すように、光SW130aと分散補償部160-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよく、光SW130aと光増幅部560-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよい。
【0143】
図12に示す本実施形態のシーケンスは、図34に示す従来のシーケンスに対して、管理制御装置170から光SW130にポート接続関係を通知する前に、選択部174が分散補償部160及び光増幅部560を選択する処理(ステップS701)を追加し、ステップS907の処理に代えてステップS702の処理を行うものに相当する。同様に、光通信システム710は、図35及び図36に示す従来のシーケンスにおいてポート接続関係の決定処理(ステップS907)の前に、ステップS701の処理を追加した動作を行ってもよい。ポート接続決定部175は、ステップS908の処理に代えて、ステップS702の処理を行う。
【0144】
(第8の実施形態)
本実施形態の光通信システムは、分散補償部と光増幅部とを含む品質補償部を複数有する。本実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0145】
図13は、第8の実施形態による光通信システム810の構成を示す図である。図13に示す光通信システム810が、図1に示す光通信システム110と異なる点は、分散補償部160に代えて、品質補償部860を備える点である。K個の品質補償部860を、品質補償部860-1、…、860-Kと記載する。品質補償部860-kは、分散補償部160-k及び光増幅部560-kを有する。光SW130aの一部の入力ポート131及び一部の出力ポート132は、光伝送路を介して品質補償部860と接続される。図13では、K=2の場合を例に示している。
【0146】
また、管理制御装置170の記憶部172は、光出力加入者装置、光入力加入者装置、光伝送路、変調方式及びボーレートなどの共通項目をキー情報に用いて、図2に示す第一パラメータ表と、図8に示す第二パラメータ表とを統合したパラメータ表を記憶する。このパラメータ表は、分散補償部情報及び光増幅部情報に代えて品質補償部情報を含む。品質補償部情報は、使用可能な品質補償部860を示す。選択部174は、パラメータ表から検索条件に合致する品質補償部情報を読み出し、品質補償部情報から使用する品質補償部860を選択する。選択される品質補償部860の数は一つでもよく、2以上でもよい。
【0147】
光通信システム810の動作は、図12に示す第7の実施形態の光通信システム710の動作と同様である。ただし、ステップS701において、管理制御装置170の選択部174は、加入者装置120a-1から加入者装置120b-1への光信号に用いる品質補償部860-1を選択する。
【0148】
ステップS702において、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と加入者装置120b-1との間の光パスにおいて、選択部174が選択した品質補償部860-1を経由するように入力ポート131と出力ポート132とを接続するポート接続関係を決定する。
【0149】
具体的には、ポート接続決定部175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、品質補償部860-1が接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部175は、品質補償部860-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0150】
これにより、加入者装置120a-1から送信された波長λ1uの主信号は、光SW130a、品質補償部860-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から、波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0151】
加入者装置120間の信号は、複数の品質補償部860を経由してもよい。ポート接続決定部175は、選択部174が選択した1以上の品質補償部860を経由するように、上述した実施形態と同様に光SW130のポート接続関係を決定する。
【0152】
本実施形態では、分散補償部160と光増幅部560とを合わせて品質補償部860を構成している。複数の加入者装置120が同一の信号パラメータを用い、かつ、同一の光伝送路150を経由する場合は、光伝送路150のファイバ長に従って、累計波長分散と累計損失が決まる場合がある。そこで、本構成が可能となる。
【0153】
(第9の実施形態)
光パスをエンド・ツー・エンドで提供するAPNにおいては、通信相手の加入者装置が動的に変化することが想定される。累積波長分散を補償するためには、対向加入者装置間の距離を測定する必要がある。従来手法として、図37に示す従来技術のように、送信側の加入者装置が、データとPSを含む信号フレームを作成し、受信側の加入者装置が、PSのスペクトル間の遅延時間差を計算することで波長分散の値を推定する方法がある。しかし、信号にPSを挿入する必要があるため、主信号のスループットが低下する。
【0154】
第9の実施形態の光通信システムは、主信号のスループットを低下させないようにしながら加入者装置間の伝送距離を測定し、測定結果に基づいて主信号に対する品質補償部を選択する。測定には、高速な主信号に重畳して伝送される、低速な管理制御信号(以下、「制御信号」とも記載する)が用いられる。本実施形態では、品質補償部は、分散補償部である。加入者装置は管理制御信号を用いて通信先の加入者装置との間の伝送距離を測定する。管理制御装置は、測定された伝送距離に基づいて、最適な分散補償量の分散補償部を選択する。管理制御装置は、上述した実施形態と同様に、加入者装置間の光パスを、選択した分散補償部を経由するように設定する。本実施形態によれば、加入者装置は、主信号のスループットを低下させないようにしながら、高速な主信号に対して所望の受信感度を得ることができる。本実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0155】
図14は、第9の実施形態による光通信システム1110の構成を示す図である。同図において、図1に示す第1の実施形態の光通信システム110と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。光通信システム1110は、加入者装置1120と、光SW130と、波長合分波部140と、光伝送路150と、分散補償部160と、管理制御装置1170とを有する。すなわち、光通信システム1110は、図1に示す光通信システム110の加入者装置120及び管理制御装置170に代えて、加入者装置1120及び管理制御装置1170を有する。
【0156】
光SW130x(x=a,b)に接続される加入者装置1120を、加入者装置1120xと記載する。また、N台の加入者装置1120aを、加入者装置1120a-1、…、1120a-Nと記載し、M台の加入者装置1120bを、加入者装置1120b-1、…、1120b-Mと記載する。図14では、N=2、M=2の場合の例を示している。
【0157】
以下では、加入者装置1120a-n(n=1,2)が、加入者装置1120b-nと通信する場合を例に説明する。加入者装置1120a-nが出力し、加入者装置1120b-nが受信する光信号には、波長λnuが用いられ、加入者装置1120b-nが出力し、加入者装置1120a-nが受信する光信号には、波長λndが用いられる。対向する加入者装置1120a-n及び加入者装置1120b-nは、光SW130a、130bと、波長合分波部140a-n、140b-nと、光伝送路150-nとを介して接続される。
【0158】
管理制御装置1170は、光SW130内の光路を制御する制御装置の一例である。管理制御装置1170は、管理制御部1171を有する。管理制御部1171は、記憶部1172と、割当部1173と、選択部1174と、ポート接続決定部1175と、通知部1176とを有する。
【0159】
記憶部1172は、伝送距離と、分散補償量又は分散補償部情報とを対応づけた第一選択情報を記憶する。分散補償部情報は、第一パラメータ表に含まれる品質補償部情報と同様であり、使用可能な分散補償部160を示す。すなわち、使用可能な分散補償部160とは、光信号が伝送路を伝送する際のその光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う分散補償部160である。割当部1173は、上述した実施形態の管理制御装置170の割当部173と同様の機能により、加入者装置1120間の光パスに使用するリソースを割り当て、信号パラメータの値を決定する。管理制御装置1170と接続される他の装置が割当部1173を有してもよい。
【0160】
選択部1174は、光信号を出力する加入者装置1120と、光信号を受信する加入者装置1120との間の伝送距離の情報を加入者装置1120から受信する。選択部1174は、伝送距離に対応した分散補償量又は分散補償部情報を記憶部1172に記憶されている第一選択情報から読み出す。選択部1174は、分散補償量を読み出した場合、その分散補償量の分散補償を行う分散補償部160を選択する。選択部1174は、分散補償部情報を読み出した場合、読み出した分散補償部情報が示す分散補償部160の中から、使用する分散補償部160を選択する。選択される分散補償部160の数は一つでもよく、2以上でもよい。
【0161】
ポート接続決定部1175は、上述した実施形態の管理制御装置170のポート接続決定部175と同様の機能を有する。すなわち、ポート接続決定部1175は、加入者装置1120間の光パスにおいて、選択部1174が選択した分散補償部160を経由させるための光SW130内のポート接続関係を決定する。
【0162】
通知部1176は、上述した実施形態の管理制御装置170の通知部176と同様の機能を有する。すなわち、通知部1176は、光信号を出力する加入者装置1120及び光信号を受信する加入者装置1120に、割当部1173が決定したリソースと信号パラメータの値とを通知する。また、通知部1176は、ポート接続決定部1175が決定したポート接続関係を光SW130に通知する。
【0163】
図15は、加入者装置1120の構成を示す図である。加入者装置1120は、信号ミキサ1121と、光送信部1122と、光合分波部1123と、光受信部1124と、信号デバイダ1125と、管理制御部1126とを備える。
【0164】
信号ミキサ1121は、電気信号の入力データである主信号に、管理制御部1126が出力した電気信号の制御信号を重畳した送信信号を光送信部1122に出力する。制御信号は、主信号よりも低周波のAMCCである。光送信部1122は、信号ミキサ1121から入力した電気信号を、管理制御装置1170から通知された信号パラメータ及び送信波長の光信号に変換し、変換した光信号を光合分波部1123に出力する。光送信部1122は、予め設定された信号パラメータなどを使用してもよい。
【0165】
光合分波部1123は、光送信部1122から入力した光信号を光SW130との間の光伝送路に出力する。また、光合分波部1123は、光SW130との間の光伝送路から光信号を入力し、管理制御装置1170から通知された受信波長の光信号を光受信部1124に出力する。
【0166】
光受信部1124は、光合分波部1123から入力した光信号を、管理制御装置1170から通知された信号パラメータを用いて電気信号に変換し、変換した電気信号を出力する。光受信部1124は、予め設定された信号パラメータなどを使用してもよい。信号デバイダ1125は、光受信部1124が出力した電気信号を周波数により主信号の出力データと、制御信号とに分離する。
【0167】
管理制御部1126は、電気信号の制御信号を信号ミキサ1121に出力する。また、管理制御部1126は、信号デバイダ1125が分離した電気信号の制御信号を受信する。管理制御部1126は、伝送距離測定部1127を備える。伝送距離測定部1127は、通信先の加入者装置1120との間で送受信した制御信号に基づいて、その通信先の加入者装置1120との間の伝送距離を算出する。伝送距離測定部1127は、算出した伝送距離を、制御信号用通信路1190を介して管理制御装置1170に通知する。
【0168】
図16は、光通信システム1110の分散補償部選択の動作を示すシーケンス図である。図16は、加入者装置1120a-1が、加入者装置1120b-1と通信する場合の例を示している。
【0169】
初めに、光SW130a及び光SW130bは、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1とが分散補償部160を介さず接続されるように入力ポート及び出力ポートを接続する(ステップS1101)。例えば、光通信システム1110は、図3に示す第1の実施形態のステップS101~S106及びS108~ステップS114の処理を行う。すなわち、管理制御装置1170の割当部1173は、加入者装置1120a-1から送信された光信号が、光SW130a、波長合分波部140a-1、光伝送路150-1、波長合分波部140b-1及び光SW130bを経由して加入者装置1120b-1へ出力されるように光パスを決定する。割当部1173は、この光パスに波長λ1uを割り当てる。そのため、決定された光パスには図14に示す光SW130aのパスP1が含まれる。パスP1は、光SW130aにおいて、加入者装置1120a-1が接続されている入力ポート131から、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へのパスである。同様に、割当部1173は、加入者装置1120b-1から送信された光信号が、光SW130b、波長合分波部140b-1、光伝送路150-1、波長合分波部140a-1及び光SW130aを経由して加入者装置1120a-1へ出力されるように光パスを決定する。割当部1173は、この光パスに波長λ1uを割り当てる。このように割当部1173は、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光パスと、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1への光パスとが、同じ伝送路を使用するように決定する。割当部1173は、これら光パスに使用する信号パラメータ値を決定する。通知部1176は、加入者装置1120a-1及び加入者装置1120b-1に、通信波長及び信号パラメータを通知する。さらに、ポート接続決定部1175は、光SW130a及び光SW130bそれぞれのポート接続関係を決定し、光SW130a及び光SW130bに通知する。光SW130a及び光SW130bは、通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する。
【0170】
上記は、図34のステップS914の前までの処理と同様である。なお、光通信システム1110は、図35のステップS914の前までの処理、又は、図46のステップS913までの処理を行って、SW130a及び光SW130bの入力ポート131と出力ポート132とを接続してもよい。
【0171】
加入者装置1120a-1は、AMCC信号を設定したメッセージM1を送信する(ステップS1102)。すなわち、信号ミキサ1121は、電気信号の入力データに、管理制御部1126が出力したAMCC信号を重畳したメッセージM1を光送信部1122に出力する。光送信部1122は、メッセージM1を電気信号から波長λ1uの光信号に変換する。光合分波部1123は、光信号のメッセージM1を出力する。加入者装置1120a-1から送信されたメッセージM1は、光SW130aのパスP1、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力したメッセージM1は、加入者装置1120b-1へ出力される。
【0172】
加入者装置1120b-1は、メッセージM1に重畳されているAMCC信号を受信する(ステップS1103)。すなわち、加入者装置1120b-1の光合分波部1123は、メッセージM1を光受信部1124に出力する。光受信部1124は、メッセージM1を光信号から電気信号に変換する。管理制御部1126は、信号デバイダ1125が電気信号のメッセージM1から分離したAMCC信号を受信する。
【0173】
続いて、加入者装置1120b-1は、ステップS1102における加入者装置1120a-1の処理と同様の処理を行い、AMCC信号を設定した波長λ1dのメッセージM2を送信する(ステップS1104)。加入者装置1120b-1から送信されたメッセージM2は、光SW130b、波長合分波部140b-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140a-1を介して光SW130aに入力したメッセージM2は、加入者装置1120a-1へ出力される。加入者装置1120a-1は、ステップS1103における加入者装置1120b-1の処理と同様の処理を行い、メッセージM2に重畳されているAMCC信号を受信する(ステップS1105)。
【0174】
加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、受信したAMCC信号を用いて、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1との間のRTT(Round Trip Time)を測定し、測定したRTTを用いて伝送距離を算出する(ステップS1106)。ファイバ中の屈折率が102m/μsであるとすると(例えば、参考文献3参照)。この場合、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1間のファイバ距離FDnは、FDn=RTT[s]×102[m/μs]により算出される。伝送距離測定部1127は、算出した伝送距離を示す伝送距離情報を管理制御装置1170へ送信する(ステップS1107)。
【0175】
(参考文献3)"40-Gigabit-capable passive optical networks (NG-PON2): Transmission convergence layer specification", ITU-T G.989.3 Series G: TransmissionSystems and Media,Igital Systems and Networks, 2015年
【0176】
管理制御装置1170の選択部1174は、伝送距離情報に基づいて加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号に使用する分散補償部160を決定する(ステップS1108)。具体的には、選択部1174は、伝送距離情報に対応した分散補償量を第一選択情報から読み出し、読み出した分散補償量の分散補償を行う分散補償部160を選択する。選択部1174は、第一選択情報から伝送距離情報に対応した分散補償部情報を読み出した場合、読み出した分散補償部情報が示す分散補償部160から使用する分散補償部160を選択する。ここでは、分散補償部160-1が選択されたとする。
【0177】
ポート接続決定部1175は、分散補償部160-1と接続される光SW130aにおいて、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光パスが、選択部1174により選択された分散補償部160-1を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する(ステップS1109)。具体的には、ポート接続決定部1175は、加入者装置1120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132へ出力するように、光SW130aにおけるパスP2のポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部1175は、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aにおけるパスP3のポート接続関係を決定する。
【0178】
通知部1176は、選択部1174が決定した光SW130aのポート接続関係を光SW130aに通知する(ステップS1110)。光SW130aは、ステップS1110において通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する(ステップS1111)。加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1は主信号の通信を開始する(ステップS1112)。加入者装置1120a-1から送信された波長λ1uの光信号は、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0179】
なお、光SW130aは、ステップS1111におけるポート接続の設定が完了した後に、管理制御装置170を介して、加入者装置1120a-1及び加入者装置1120b-1に設定完了の通知を送信してもよい。加入者装置1120a-1及び加入者装置1120b-1は、設定完了の通知を受信した後、主信号の光信号の通信を開始する。
【0180】
また、加入者装置1120間の光信号は、複数の分散補償部160を経由してもよい。この場合、分散補償部情報に、使用される分散補償部160の組み合わせが設定される。これにより、例えば、ステップS1108において、選択部1174は、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号に対して、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を選択する。この場合、ポート接続決定部1175は、第1の実施形態において分散補償部160-1及び分散補償部160-2が選択された場合と同様に光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0181】
光通信システム1110は、図6に示すように、光SW130aと分散補償部160-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよい。この場合、管理制御装置1170のポート接続決定部1175は、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1宛ての光信号が、分散補償部160-1を経由するように光SW130aの入力ポート131及び出力ポート132のポート接続関係を決定してもよい。通知部1176は、選択部1174が決定した光SW130aのポート接続関係を光SW130aに通知する。
【0182】
なお、加入者装置1120と光SW130の間に、図4に示す第2の実施形態と同様の波長分離フィルタ280を備えてもよい。光SW130a及び光SW130bにおいて、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1への波長λ1dの光信号は、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号と異なる入力ポート131及び出力ポート132を使用する。この場合、ステップS1109において、ポート接続決定部175は、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1への光信号が、ステップS1108において決定した分散補償部160-1を経由するように光SW130aのポート接続関係をさらに決定してもよい。つまり、ポート接続決定部175は、光SW130aにおいて、波長合分波部140a-1の波長λ1dの第一ポートと接続される出力ポート132から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131に出力し、さらに、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132から入力した光信号を、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131へ出力するように光SW130aのポート接続関係を決定する。ステップS1110において、通知部1176は、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1への光信号について決定した光SW130aのポート接続関係をさらに光SW130aに通知する。
【0183】
また、加入者装置1120と光SW130の間に、図4に示す第2の実施形態と同様に波長分離フィルタ280を備え、かつ、光SW130bが分散補償部160-3、160-4を備える場合、選択部174は、加入者装置1120b-1から加入者装置1120a-1への光信号が、ステップS1108において決定した分散補償部160-1と同じ分散補償量の分散補償部160-3を使用すると決定してもよい。この場合、ポート接続決定部1175は、第2の実施形態と同様に、光SW130bのポート接続関係を決定する。これは、加入者装置120b-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号が、波長合分波部140b-1の波長λ1dの第一ポートと接続されている出力ポート132から出力されるまでの間に、分散補償部160-3を経由するような入力ポート131及び出力ポート132の接続関係である。ステップS1110において通知部1176は、選択部1174が決定した光SW130bのポート接続関係を光SW130bに通知する。光SW130bは、通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する。
【0184】
図17は、伝送距離の計算方法を示す図である。図17は、図16におけるステップS1102~S1106の処理に相当する。図17では、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1との間の伝送距離を計算する場合を例に説明する。加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127と加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127とは、時刻を表すカウンタを備える。すなわち、カウンタは、所定間隔ごとにカウントアップされる。まず初めに、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127と加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127との間で、時刻同期が取れている必要がある。そこで、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、自装置のカウンタの現在値をタイムスタンプ情報として加入者装置1120b-1に送信する。タイムスタンプ情報の送信は、AMCC信号を用いて行う。加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127は、受信したタイムスタンプ値に合わせて、自装置のカウンタ値を更新する。
【0185】
続いて、加入者装置1120a-1は、フレーム往復時間であるRTTを測定する。AMCC信号のフレーム長をTAMCCとする。フレーム長は、フレームの送信開始から送信終了までにかかる時間を表す。図17において、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、自装置のカウンタがtのとき、加入者装置1120b-1からメッセージM2の受信を完了したとする。このメッセージM2には、加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127が設定したタイムスタンプTs2が含まれる。タイムスタンプts2には、加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127がそのメッセージM2の送出を開始したときの、自装置のカウンタ値tが記述されている。
【0186】
一方、加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127がメッセージM2を送出する前に、加入者装置1120a-1から受信したメッセージM1には、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127が設定したタイムスタンプts1が含まれている。タイムスタンプts1には、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127がそのメッセージM1の送出を開始したときの、自装置のカウンタの値が記述されている。加入者装置1120b-1がメッセージM2を送出する前に加入者装置1120a-1から受信したメッセージM1のうち、直近のものには、タイムスタンプts1にカウンタ値tが記述されている。そこで、加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127はメッセージM1を受信した時点において、自装置のカウンタの値をメッセージM1に含まれるタイムスタンプts1の値(=t1)に更新する。
【0187】
ここで、加入者装置1120がタイムスタンプ送信時においてカウンタ値を読み取る参照点をAMCC信号のフレームの先頭とし、タイムスタンプ受信時においてメッセージに記述されているカウンタ値を読み出す参照点をAMCC信号のフレームの終点とする。この場合、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1との間のRTTは、フレームの受信に要する時間を補正して、次の式(1)により算出される。
【0188】
RTT=(t-t)-(t-t)-2TAMCC …(1)
【0189】
例えば、AMCC信号が100kbps(キロビット毎秒)であるとすると、1ビットの送信に、10usかかる。AMCCフレームが8ビットで構成される場合、フレーム長は80usである。RTT測定時には、2フレーム分の受信時間TAMCCである2TAMCCの誤差が含まれる。ファイバを1km伝搬するのに5usかかるので、2TAMCC÷5=2×80÷5=32km分の測定誤差が発生する。そのため、RTTの式を上式のように補正する必要がある。
【0190】
また、加入者装置1120b-1のカウンタ値tは、メッセージM1に記述されたタイムスタンプts1の値(=t)によってtに更新される(故に、t=t)。そのため、RTTは以下の式(2)となる。
【0191】
RTT=t-t-2TAMCC …(2)
【0192】
なお、tは、メッセージM2のタイムスタンプts2の値と同じであるから、以下の式(3)と表現することもできる。
【0193】
RTT=t-ts2-2TAMCC …(3)
【0194】
このように加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、上りの制御フレームであるメッセージM2の受信を完了した時刻のカウンタ値tと、そのメッセージM2に記されているタイムスタンプts2とから、式(3)により、メッセージM2を送出した加入者装置1120b-1との間のRTTを求めることができる。このRTTの計算方法を、第1のRTT計算方法と記載する。
【0195】
図18は、第1のRTT計算方法に誤差が生じる場合の例を示す図である。この誤差は、送信側の加入者装置1120a-1において、自装置のカウンタ値を読み取るタイミングとフレームの到着タイミングとが合わない場合に生じる。加入者装置1120a-1は、カウンタ値tが設定されたタイムスタンプts1を含むメッセージM1を現在のフレームF11で送信できない場合、次のフレームF12でメッセージM1を送信する。同様に、加入者装置1120b-1は、カウンタ値tが設定されたタイムスタンプts2を含むメッセージM2を現在のフレームF21で送信できない場合、次のフレームF22でメッセージM2を送信する。このように、加入者装置1120は、現在のフレームで信号を送信できないと、次のフレームまで待ってその信号を送信する。この場合、加入者装置1120a-1において測定されるRTTは、RTT+2TAMCC~RTT+4TAMCCとなる。よって、最大2TAMCCの誤差が生じる。
【0196】
図19は、第2のRTT計算方法を示す図である。まず、AMCCを送信する加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、AMCCのフレームF11の先頭を検出し、先頭を検出したタイミングでカウンタ値tを読み出す。続いて、伝送距離測定部1127は、読み出したカウンタ値tを、先頭を検出したフレームF11の次のフレームF12のタイムスタンプts1に書き込む。加入者装置1120a-1は、フレームF12をメッセージM1として送信する。加入者装置1120a-1でカウンタ値tが検出された時刻と、カウンタ値tが記述されたフレームF12の送信が完了する時刻とに、2TAMCCの差が生じる。
【0197】
加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127は、メッセージM1の受信を完了した時点において、自装置のカウンタの値をメッセージM1のタイムスタンプts1の値(=t)に更新する。
【0198】
加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127は、AMCCのフレームF21の先頭を検出し、先頭を検出したタイミングでカウンタ値tを読み出す。伝送距離測定部1127は、読み出したカウンタ値tを、先頭を検出したフレームF21の次のフレームF22のタイムスタンプts2に書き込む。加入者装置1120b-1は、フレームF22をメッセージM2として送信する。加入者装置1120b-1でカウンタ値tが検出された時刻と、カウンタ値tが記述されたフレームF22の送信が完了する時刻とに、2TAMCCの差が生じる。
【0199】
この場合、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1との間のRTTは、フレームの送受信に要する時間を補正して、次の式(4)により算出される。
【0200】
RTT=(t-t)-(t-t)-4TAMCC=t-ts2-4TAMCC …(4)
【0201】
第2のRTT計算方法では、1つ前のフレームの先頭位置のカウンタ値をタイムスタンプとして記述したが、以下の第3のRTT計算方法を用いてもよい。すなわち、加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127及び加入者装置1120b-1の伝送距離測定部1127は、検出したフレームFの先頭位置に基づいて、タイムスタンプ値を記述するフレームF’の先頭位置におけるカウンタ値を算出し、そのフレームF’のタイムスタンプに算出したカウンタ値を設定する。その場合は、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1との間のRTTは、次の式(5)によりで算出される。
【0202】
RTT=(t-t)-(t-t)-4TAMCC=t-ts2-4TAMCC …(5)
【0203】
加入者装置1120a-1の伝送距離測定部1127は、第1~第3のRTT計算方法のいずれかによりRTTを計算し、計算したRTTに基づいて伝送距離を計算する。
【0204】
タイムスタンプ送信時においてカウンタ値を読み取る参照点、及び、タイムスタンプ受信時においてメッセージに記載されたカウンタ値を読み出す参照点は、AMCC信号フレーム中の決められた場所の1バイト(Byte)を用いることが一般的である。しかし、AMCC信号は低速であるため、1バイト中のどの時刻を参照するかにより、測定したRTT値が大きく揺らぐ。例えば、AMCC信号が100kbps(キロビット毎秒)であるとすると、1バイトの送信に80usかかる。そのため、上記のAMCC信号を用いた距離の測定は、精度が低い場合がある。そこで、ステップS1108において、管理制御装置1170の選択部1174は、使用する分散補償部160を一つ選択するのではなく、使用可能な分散補償部160の候補を複数抽出してもよい。そして、選択部1174は、抽出した分散補償部160の候補の中からランダムに、又は、所定の規則に従って一つの分散補償部160を選択する。その後、光通信システム1110は、ステップS1109以降の処理を行う。そして、ステップS1112により加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1とが主信号の通信を開始した後、加入者装置1120a-1の管理制御部1126又は加入者装置1120b-1の管理制御部1126は、所定よりも通信品質が低いなど、主信号を正しく受信できないことを検出した場合、管理制御装置1170に受信異常を通知する。管理制御装置1170の選択部1174は、受信異常を受信すると、ステップS1108において抽出した分散補償部160の候補の中から、未選択の分散補償部160を選択する。その後、光通信システム1110は、ステップS1109以降の処理を行う。
【0205】
例えば、加入者装置1120a-1から受信した伝送距離情報が「伝送距離10km~20km」であったとする。また、第一品質補償部情報には、伝送距離0~15kmと分散補償部160-1とが対応し、伝送距離15~20kmと分散補償部160-2とが対応していることが設定されている。この場合、管理制御装置1170の選択部1174は、分散補償部160-1及び分散補償部160-2を候補とする。選択部1174は、まず、分散補償部160-1を選択する。ポート接続決定部1175は、光SW130aにおいて、分散補償部160-1を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。ステップS1112の後、選択部1174は、主信号を正常に受信できない旨の通知を受けた場合、分散補償部160-2を選択する。ポート接続決定部1175は、光SW130aにおいて分散補償部160-1を経由せず、分散補償部160-2を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。
【0206】
図14に示す光通信システム1110では、加入者装置1120が制御信号用通信路1190を介して管理制御装置1170に伝送距離情報を送信しているが、加入者装置1120は、光信号に伝送距離情報を設定して送出してもよい。
【0207】
図20は、光通信システム1111の構成を示す図である。同図において、図14に示す光通信システム1110と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図20に示す光通信システム1111が、図14に示す光通信システム1110と異なる点は、光伝送路150の両端の波長合分波部140付近に制御信号抜出装置1180を備える点である。光伝送路150-n上の波長合分波部140x(x=a,b)付近に設置された制御信号抜出装置1180を、制御信号抜出装置1180x-nと記載する。
【0208】
加入者装置1120は、管理制御装置1170と制御信号用通信路1190により接続されなくてもよい。加入者装置1120は、例えば、伝送距離情報を設定した光信号を送信する。加入者装置1120は、伝送距離情報を設定した制御信号を、光信号により送信する。制御信号には、AMCC信号の制御信号を主信号に重畳して送信するアウトバンド方式を用いてもよく、プロトコルのオーバーヘッド内に制御信号を設定するインバンド方式を用いてもよい。管理制御装置1170は、加入者装置1120が光信号に設定した伝送距離情報を抜き出して、管理制御装置1170に通知する。
【0209】
図21は、制御信号抜出装置1180の構成を示す図である。制御信号抜出装置1180は、光分岐部1181と、波長合分波部1182と、制御用受信器(Rx)1183とを備える。
【0210】
光分岐部1181は、光伝送路150を伝送する光信号を分岐する。光伝送路150を伝送する光信号は、波長合分波部140が波長多重した光信号である。光信号は、主信号と制御信号とを含む。光分岐部1181は、分岐した光信号を波長合分波部1182に出力する。
【0211】
波長合分波部1182は、一つの入力ポート(図示せず)及びH個(Hは2以上の整数)の出力ポート(図示せず)を有する。図21では、H=3の場合を示している。H個の出力ポートはそれぞれ異なる波長に対応する。入力ポートは光分岐部1181と接続される。H個の出力ポートは制御用受信器1183と接続される。波長合分波部1182は、入力ポートにより光分岐部1181から入力した光信号を異なる波長の光信号に分波し、分波された光信号をそれぞれ別々の出力ポートから出力する。分波された各光信号には、主信号と制御信号とが含まれる。
【0212】
制御用受信器1183は、光受信器(Rx)1184-1~1184-Hと、分離部1185-1~1185-Hとを有する。光受信器1184-h(hは1以上H以下の整数)は、光分岐部1181が分波した光信号を入力し、入力した光信号を電気信号に変換する。光受信器1184-hは、変換した光信号を分離部1185-hに出力する。分離部1185-hは、光受信器1184-hから入力した電気信号から制御信号を分離する。分離部1185-hは、分離した制御信号を管理制御装置1170に出力する。
【0213】
例えば、加入者装置1120a-1は、伝送距離情報を設定した制御信号と主信号とが重畳された波長λ1uの光信号を送信する。波長合分波部140a-1は、光SW130aから出力された波長λ1u~λHuの光信号を多重し、光伝送路150-1へ出力する。制御信号抜出装置1180の光分岐部1181は、光伝送路150を伝送する光信号を分岐する。波長合分波部1182は、光分岐部1181が分岐した光信号を波長λ1u~λHuの光信号に分波し、分波した波長λhuの光信号を光受信器1184-hに入力する。光受信器1184-1は、波長λ1uの光信号を電気信号に変換する。分離部1185-1は、光受信器1184-1から入力した電気信号から制御信号を分離し、分離した制御信号を管理制御装置1170に出力する。
【0214】
なお、第一選択情報は、伝送距離及び信号パラメータと、分散補償量又は分散補償部情報とを対応づけた情報でもよい。この場合、選択部1174は、伝送距離と、加入者装置1120に割当てた信号パラメータとに対応した分散補償量又は分散補償部情報に基づき、分散補償部160を選択する。
【0215】
(第10の実施形態)
第9の実施形態においては、品質補償部として分散補償部を用いていた。第10の実施形態においては、品質補償部として光増幅部を用いる点を除き。第9の実施形態と同様の処理を行う。本実施形態を、第9の実施形態との差分を中心に説明する。
【0216】
図22は、第10の実施形態による光通信システム1210の構成を示す図である。図22に示す光通信システム1210が、図14に示す光通信システム1110と異なる点は、分散補償部160に代えて、図7に示す光増幅部560を備える点である。K個(Kは1以上の整数)の各光増幅部560の利得はそれぞれ異なる。図22は、K=2の場合を示している。K≧3の場合、一部の複数の光増幅部560の利得が同じでもよい。一つの光信号をいずれかの光増幅部560により増幅してもよく、複数の光増幅部560により増幅してもよい。
【0217】
管理制御装置1170の記憶部1172は、伝送距離と、光増幅利得又は光増幅部情報とを対応づけた第二選択情報を記憶する。光増幅部情報は、第二パラメータ表に含まれる光増幅部情報と同様であり、使用可能な光増幅部560を示す。選択部1174は、光信号を出力する加入者装置1120と、光信号を受信する加入者装置1120との間の伝送距離の情報を加入者装置1120から受信する。選択部1174は、伝送距離に対応した光増幅利得又は光増幅部情報を記憶部1172に記憶されている第二選択情報から読み出す。選択部1174は、光増幅利得を読み出した場合、その光増幅利得の光増幅部560を選択する。選択部1174は、光増幅部情報を読み出した場合、読み出した光増幅部情報が示す光増幅部560の中から、使用する光増幅部560を選択する。選択される光増幅部560の数は一つでもよく、2以上でもよい。
【0218】
光通信システム1210は、以下の点を除き、図16に示す第9の実施形態の光通信システム1110の動作と同様の動作を行う。すなわち、ステップS1108において、管理制御装置1170の選択部1174は、加入者装置1120a-1から通知された伝送距離情報に基づいて加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号に使用する光増幅部560を決定する。具体的には、選択部1174は、伝送距離情報に対応した光増幅利得を第二選択情報から読み出し、読み出した光増幅利得の光増幅部560を選択する。選択部1174は、第二選択情報から伝送距離情報に対応した光増幅部情報を読み出した場合、読み出した光増幅部情報が示す光増幅部560から使用する光増幅部560を選択する。ここでは、光増幅部560-1が選択されたとする。
【0219】
ステップS1109において、ポート接続決定部1175は、光増幅部560-1と接続される光SW130aにおいて、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号が選択部1174により選択された光増幅部560-1を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。つまり、ポート接続決定部1175は、加入者装置1120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-1が接続されている出力ポート132へ出力するように、光SW130aにおけるパスP2のポート接続を決定する。さらに、ポート接続決定部1175は、光増幅部560-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するように光SW130aにおけるパスP3のポート接続関係を決定する。
【0220】
ステップS1112において、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1は主信号の通信を開始すると、加入者装置1120a-1から送信された波長λ1uの光信号は、光SW130a、光増幅部560-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0221】
また、加入者装置1120間の光信号は、複数の光増幅部560を経由してもよい。この場合、光増幅部情報に、使用される光増幅部560の組み合わせが設定される。これにより、例えば、ステップS1108において、選択部1174は、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号に対して、光増幅部560-1及び光増幅部560-2を選択する。この場合、ポート接続決定部1175は、第5の実施形態において光増幅部560-1及び光増幅部560-2が選択された場合と同様に光SW130aのポート接続関係を決定する。
【0222】
また、第9の実施形態と同様に、ステップS1108において、管理制御装置1170の選択部1174は、使用可能な光増幅部560の候補を複数抽出し、候補の中から光増幅部560を選択してもよい。選択部1174は、加入者装置1120から所定よりも通信品質が低いなどの受信異常を受信した場合に、候補の中から未選択の光増幅部560を選択し、ステップS1109以降の処理を行う。
【0223】
光通信システム1210は、図10に示すように、光SW130aと光増幅部560-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよい。
【0224】
また、光通信システム1210は、光増幅部560に代えて、第8の実施形態の品質補償部860を備えてもよい。この場合、記憶部1172は、伝送距離と、使用可能な品質補償部860とを対応づけた第三選択情報を記憶する。管理制御装置1170の選択部1174は、加入者装置1120a-1から通知された伝送距離情報に基づいて第三選択情報から加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光信号に使用する品質補償部860を決定する。
【0225】
なお、第二選択情報は、伝送距離及び信号パラメータと、増幅利得又は光増幅部情報とを対応づけた情報でもよい。この場合、選択部1174は、伝送距離と、加入者装置1120に割当てた信号パラメータとに対応した増幅利得又は光増幅部情報に基づき、光増幅部560を選択する。同様に、第三選択情報は、伝送距離及び信号パラメータと、使用可能な品質補償部860とを対応づけた第三選択情報でもよい。選択部1174は、伝送距離と、加入者装置1120に割当てた信号パラメータとに対応して第三選択情報に設定されている品質補償部860を選択する。
【0226】
(第11の実施形態)
本実施形態の光通信システムは、分散量が異なる複数の分散補償部と、利得が異なる複数の光増幅部とを有する。本実施形態を、第9及び第10の実施形態との差分を中心に説明する。
【0227】
図23は、第11の実施形態による光通信システム1310の構成を示す図である。図23に示す光通信システム710が、図14に示す光通信システム1110と異なる点は、図22に示す第10の実施形態の光増幅部560をさらに備える点である。光SW130aの一部の入力ポート131及び一部の出力ポート132は、光伝送路を介して、光増幅部560-1~560-Kと接続される。図23では、K=2の場合を例に示している。
【0228】
また、管理制御装置1170の記憶部1172は、第一選択情報と第二選択情報とを記憶する。記憶部1172は第一選択情報と第二選択情報とを統合した第四選択情報を記憶してもよい。
【0229】
光通信システム1310は、以下の点を除き、第9の実施形態の光通信システム1110と同様に動作する。すなわち、図16のステップS1108において、管理制御装置1170の選択部1174は、第1の実施形態と同様に、加入者装置1120a-1から通知された伝送距離情報と、記憶部1172に記憶されている第一選択情報とに基づいて、使用する分散補償部160を選択する。さらに、選択部1174は、第10の実施形態と同様に、加入者装置1120a-1から通知された伝送距離情報と、記憶部1172に記憶されている第二選択情報とに基づいて、使用する光増幅部560を選択する。なお、選択部1174は、第一選択情報及び第二選択情報に代えて第四選択情報を用いてもよい。ここでは、分散補償部160-1及び光増幅部560-1が選択されたとする。
【0230】
ステップS1109において、ポート接続決定部1175は、光増幅部560-1と接続される光SW130aにおいて、加入者装置1120a-1から加入者装置1120b-1への光パスが、選択部1174により選択された分散補償部160-1及び光増幅部560-1を経由するように、入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。つまり、ポート接続決定部1175は、加入者装置120a-1と接続されている入力ポート131から入力した光信号を、分散補償部160-1が接続されている出力ポート132へ出力するようパスP11のポート接続関係を決定する。さらに、ポート接続決定部1175は、分散補償部160-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、光増幅部560-1が接続されている出力ポート132へ出力するようパスP12のポート接続関係を決定する。そしてさらに、ポート接続決定部1175は、光増幅部560-1が接続されている入力ポート131から入力した光信号を、波長合分波部140a-1の波長λ1uに対応した第一ポートと接続されている出力ポート132へ出力するようパスP13のポート接続関係を決定する。
【0231】
ステップS1112において、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1は主信号の通信を開始すると、加入者装置1120a-1から送信された波長λ1uの光信号は、光SW130a、分散補償部160-1、光SW130a、光増幅部560-1、光SW130aを順に経由した後、波長合分波部140a-1を介して光伝送路150-1へ入力する。光伝送路150-1から波長合分波部140b-1を介して光SW130bに入力した光信号は、加入者装置120b-1へ出力される。
【0232】
加入者装置1120間の信号は、複数の分散補償部160を経由してもよく、複数の光増幅部560を経由してもよい。ポート接続決定部1175は、選択部1174が選択した1以上の分散補償部160と、1以上の光増幅部560とを経由するように、上述した実施形態と同様に光SW130のポート接続関係を決定する。
【0233】
ポート接続決定部1175は、伝送距離によっては、分散補償部160と光増幅部560の一方又は両方を経由しないように、光SW130aの入力ポートと出力ポートを接続してもよい。さらに、光通信システム1310は、図6又は図10に示すように、光SW130aと分散補償部160-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよく、光SW130aと光増幅部560-kとの間に波長合分波部440a-k-1及び波長合分波部440a-k-2を挿入してもよい。
【0234】
(第12の実施形態)
第12の実施形態では、加入者装置に分散補償部を備える。本実施形態を、上述した第9~第11の実施形態との差分を中心に説明する。
【0235】
図24は、第12の実施形態による光通信システム1510の構成を示す図である。図24に示す光通信システム1510が、図14に示す光通信システム1110と異なる点は、加入者装置1120及び管理制御装置1170に代えて、加入者装置1520及び管理制御装置1570を備える点と、光SW130が分散補償部160と接続されていない点である。
【0236】
管理制御装置1570は、管理制御部1571を有する。管理制御部1571は、割当部1173と、ポート接続決定部1175と、通知部1572とを有する。通知部1572は、加入者装置1520から通知された伝送距離情報を、通知元の加入者装置1520の通信先の加入者装置1520に通知する。また、通知部1572は、ポート接続決定部1175が決定したポート接続関係を光SW130に通知する。
【0237】
図25は、加入者装置1520の構成を示す図である。図26に示す加入者装置1520が、図15に示す第9の実施形態の加入者装置1120と異なる点は、分散補償部1521をさらに備える点である。分散補償部1521は、電気段において分散補償を行う。分散補償部1521は、デジタル信号処理(DSP)を用いて実装された時間領域等化器(TDE:Time domain Equalizer)または周波数領域等化器(FDE:Frequency domain Equalizer)である。TDEとFDEのどちらも、波長分散の伝達関数から求めた等化係数を用いることで、分散補償を実現する。
【0238】
図26は、光通信システム1510の分散補償機能設定の動作を示すシーケンス図である。同図において、図16に示す第9の実施形態の光通信システム1110と同様の動作には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0239】
まず、光通信システム1510は、図16のステップS1101~ステップS1107と同様の処理を行う。すなわち、光通信システム1510は、加入者装置1520a-1と加入者装置1520b-1との間の光パスが設定されるように、光SW130a及び光SW130bそれぞれにおいて入力ポートと出力ポートとを接続する。加入者装置1520a-1は、AMCC信号のメッセージM1を送信する。加入者装置1520b-1は、メッセージM1を受信し、AMCC信号のメッセージM2を送信する。加入者装置1520a-1の伝送距離測定部1127は、メッセージM2を受信すると、加入者装置1520a-1と加入者装置1520b-1との間の伝送距離を算出する。加入者装置1520a-1の伝送距離測定部1127は、算出した伝送距離を示す伝送距離情報を管理制御装置1570に送信し、さらに、伝送距離情報を電気段の分散補償部1521に通知する。
【0240】
管理制御装置1570の通知部1572は、受信した伝送距離情報を、加入者装置1520b-1の電気段の分散補償部1521に通知する(ステップS1501)。加入者装置1520a-1の分散補償部1521及び加入者装置1520b-1の分散補償部1521は、受信した伝送距離情報に対して必要な分散補償量となるように、等化係数を設定する(ステップS1502、ステップS1503)。加入者装置1520a-1の分散補償部1521及び加入者装置1520b-1の分散補償部1521の設定が終わると、加入者装置1520a-1と加入者装置1520b-1との間で、主信号の送受信を開始する(ステップS1504)。
【0241】
本実施形態によれば、主信号のスループットの低下がなく、低速な管理制御信号を用いたRTT測定により、伝送距離の算出が可能となる。加えて、光通信システムは、伝送距離に従って電気段の分散補償部を設定した後に、高速な主信号の通信を開始する。これにより、高速な主信号に対して所望の受信感度を得ることができる。
【0242】
(第13の実施形態)
第13の実施形態では、加入者装置と光SWとの間の伝送路の品質を補償する。本実施形態を、上述した実施形態との差分を中心に説明する。
【0243】
図27は、第13の実施形態による光通信システム1610の構成を示す図である。図27に示す光通信システム1610が、図14に示す光通信システム1110と異なる点は、管理制御装置1170及び光伝送路150-nに代えて、管理制御装置1670及び光伝送路1650-nを備える点と、光SW130bが分散補償部160と接続されている点である。各光SW130a及び光SW130bはそれぞれ、複数種類の分散補償部160と接続される。光SW130bと接続される2台の分散補償部160を、分散補償部160-3、160-4と記載する。
【0244】
光伝送路1650-nは、累積波長分散値がゼロとなるような波長分散補償機能を具備しているため、分散補償の必要がない。もしくは、管理制御部1171は、予め光伝送路1650-nの伝送路長を事前に知っているとする。
【0245】
管理制御装置1670は、1台以上の制御用送受信器1680と、管理制御部1171とを有する。制御用送受信器1680はそれぞれ、光SW130の出力ポート132と接続される。加入者装置1120は、対向する加入者装置1120と通信を始める前に制御用送受信器1680に接続する。制御用送受信器1680は、加入者装置1120とAMCC信号を送受信し、加入者装置1120と光SW130と間の伝送路長を測定する。
【0246】
制御用送受信器1680は、光送信部1681と、光合分波部1682と、光受信部1683と、伝送距離測定部1684とを備える。光送信部1681、光合分波部1682、光受信部1683及び伝送距離測定部1684はそれぞれ、加入者装置1120の光送信部1122、光合分波部1123、光受信部1124及び伝送距離測定部1127と同様の機能を有する。光SW130xの出力ポート132と接続される制御用送受信器1680を、制御用送受信器1680xと記載し、制御用送受信器1680xが有する光送信部1681、光合分波部1682、光受信部1683及び伝送距離測定部1684をそれぞれ、光送信部1681x、光合分波部1682x、光受信部1683x及び伝送距離測定部1684xと記載する。
【0247】
図28は、光通信システム1610の分散補償部選択の動作を示すシーケンス図である。図28では、x=aの場合を例に示している。光SW130xには、制御用送受信器1680xと接続される出力ポート132から入力した加入者装置1120x-1の受信波長の光信号を、加入者装置1120x-1が接続される入力ポート131へ出力するポート接続関係が設定されている。さらに、光SW130xには、加入者装置1120x-1が接続される入力ポート131から入力した、加入者装置1120x-1の送信波長の光信号を、制御用送受信器1680xと接続される出力ポート132へ出力するポート接続関係が設定されている。
【0248】
制御用送受信器1680xと加入者装置1120x-1との間で、図16に示すステップS1102~ステップS1106と同様の処理を行う。すなわち、制御用送受信器1680xの伝送距離測定部1684xが出力した制御信号は、光送信部1681xによりAMCC信号として加入者装置1120x-1の受信波長の光信号に重畳される。光合分波部1682xは、AMCC信号を設定したメッセージM1を送信する(ステップS1701)。x=aの場合、受信波長はλ1dである。光SW130xは、制御用送受信器1680xから送信されたメッセージM1を、加入者装置1120x-1に出力する。
【0249】
加入者装置1120x-1は、メッセージM1に重畳されているAMCC信号を受信する(ステップS1702)。加入者装置1120x-1は、AMCC信号を設定したメッセージM2を送信する(ステップS1703)。メッセージM2の波長は、加入者装置1120x-1の送信波長である。x=aの場合、送信波長はλ1uである。光SW130xは、加入者装置1120x-1から送信されたメッセージM2を、制御用送受信器1680xに出力する。制御用送受信器1680xの光合分波部1682xは、受信したメッセージM2を光受信部1683xに出力する。光受信部1683xは、メッセージM2を光信号から電気信号に変換する。伝送距離測定部1684xは、電気信号のメッセージM2に重畳されているAMCC信号を受信する(ステップS1704)。
【0250】
制御用送受信器1680xの伝送距離測定部1684xは、受信したAMCC信号を用いて、第9の実施形態と同様に、加入者装置1120x-1と制御用送受信器1680xとの間のRTTを計算する。伝送距離測定部1684xは、計算したRTTを示すRTT情報を管理制御部1171に出力する(ステップS1705)。管理制御部1171の選択部1174は、RTT情報が示すRTTを用いて、加入者装置1120x-1と制御用送受信器1680xとの間の伝送距離を算出する。制御用送受信器1680xと光SW130xとの距離が短い場合、選択部1174は、算出した伝送距離を加入者装置1120x-1と光SW130xとの間の距離とする(ステップS1706)。
【0251】
管理制御部1171の選択部1174は、第9の実施形態と同様に、伝送距離に対して必要な分散補償量を算出して、使用する分散補償部160を決定する(ステップS1707)。ポート接続決定部1175は、光SW130xにおいて、加入者装置1120x-1から通信先の加入者装置1120x’-1への光信号が、選択部1174が選択した分散補償部160を経由するように、光SW130xにおける入力ポート131と出力ポート132とのポート接続関係を決定する。なお、x=aの場合はx’=bであり、x=bの場合はx’=aである。通知部1176は、選択部1174が決定した光SW130xのポート接続関係を光SW130xに通知する(ステップS1708)。光SW130xは、ステップS1708において通知されたポート接続関係に従って、入力ポート131と出力ポート132とを接続する(ステップS1709)。
【0252】
図29は、光通信システム1610の加入者装置1120a-1及び加入者装置1120b-1間の主信号導通までの処理を示すフロー図である。まず、光通信システム1610は、図28に示したシーケンスを用いて、加入者装置1120a-1と光SW130a間の分散補償を実現するための分散補償部160を選択する(ステップS1801)。続いて、光通信システム1610は、図28に示したシーケンスを用いて、加入者装置1120b-1と光SW130b間の分散補償を実現するための分散補償部160を選択する(ステップS1802)。最後に、光通信システム1610は、加入者装置1120a-1と加入者装置1120b-1間の主信号の通信を開始する。
【0253】
管理制御装置170が有する管理制御部171のハードウェア構成例を説明する。図30は、管理制御装置170のハードウェア構成例を示す装置構成図である。管理制御装置170は、プロセッサ71と、記憶部72と、通信インタフェース73と、ユーザインタフェース74とを備える。
【0254】
プロセッサ71は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ71は、例えば、CPUである。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行することにより、管理制御部171の機能を実現する。記憶部72は、さらに、プロセッサ71が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース73は、他装置と通信可能に接続するものである。ユーザインタフェース74は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の入力装置や、ディスプレイなどの表示装置である。ユーザインタフェース74により、人為的な操作が入力される。
【0255】
なお、管理制御装置170の機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0256】
また、管理制御装置1170が有する管理制御部1171、管理制御装置1570が有する管理制御部1571、管理制御装置1670が有する管理制御部1171のハードウェア構成例も図30と同様である。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行することにより、管理制御装置1170が有する管理制御部1171、管理制御装置1570が有する管理制御部1571、管理制御装置1670が有する管理制御部1171の機能を実現する。
【0257】
以上説明した第1~第8の実施形態によれば、複数種類の伝送路状態や信号パラメータを選択できる光通信システムにおいても、最適な分散補償と光増幅との一方又は両方を行い、所望の受信感度を得ることができる。
【0258】
第1~第8の実施形態では、発着の加入者装置の組み合わせ毎に、信号パラメータ値に応じた品質補償部の情報を設定したパラメータ表を予め用意しておく。光通信システムは、このパラメータ表に基づいて、品質補償部を選択する。よって、複数種類の伝送路状態等に柔軟に対応した品質補償が可能である。品質補償は、分散補償と、光増幅の一方又は両方により行う。例えば、許容される分散値や損失が各加入者装置で異なるAPNに適用する場合に好適である。
【0259】
また、以上説明した第9~第13の実施形態によれば、主信号のスループットの低下がなく、低速な管理制御信号を用いたRTT測定により、伝送距離の算出が可能となる。加えて、算出した伝送距離に従って分散補償部や光増幅部を選択した後に、高速な主信号の通信を開始することで、高速な主信号に対して所望の受信感度を得ることができる。
【0260】
以上説明した実施形態によれば、光通信システムは、光スイッチと、複数の品質補償部と、制御部とを備える。光スイッチは、複数のポートを有する。光スイッチは、いずれかのポートから入力した光信号を他のポートから出力する。品質補償部は、光スイッチから出力された光信号の品質を補償し、品質を補償した光信号を光スイッチに入力する。制御部は、選択部と、指示部とを有する。制御部は、実施形態の管理制御部171、1171、1571に対応する。選択部は、複数の品質補償部のうち、光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送路を伝送する際のその光信号の品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する。指示部は、所定のポートから入力される光信号を選択部により選択された品質補償部に出力し、選択された品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう光スイッチに指示する。指示部は、実施形態のポート接続決定部175及び通知部176、ポート接続決定部1175及び通知部1176、ポート接続決定部1175及び通知部1572に対応する。
【0261】
制御部は、加入者装置からの要求に応じて加入者装置から送信先への光信号に用いられる波長及び伝送路を割り当てる割当部をさらに備えてもよい。選択部は、光スイッチと接続される複数の品質補償部のうち、割り当てられた波長の光信号が割り当てられた伝送路を伝送する際の光信号の品質劣化の程度に応じた補償を行う品質補償部を選択する。指示部は、加入者装置と接続されるポートから入力される、割当てられた波長の光信号を、選択部により選択された品質補償部に出力する。指示部は、選択された品質補償部により品質が補償された光信号を割当部が割り当てた伝送路と接続されるポートから出力するよう光スイッチに指示する。
【0262】
例えば、選択部は、光スイッチに接続される複数の品質補償部のうち、加入者装置と接続されるポートから入力される光信号に許容される品質劣化の程度に応じた品質の補償を行う品質補償部を選択する。光信号に許容される品質劣化の程度は、当該光信号の伝送に使用されるリソースと、当該光信号の特性を制御するために光信号の送信装置において用いられる信号パラメータの値との一方又は両方に対応する。リソースは、光伝送路150、波長、光信号を中継する装置などである。光信号を中継する装置は、例えば、光SW130、波長合分波部140などである。光信号の送信装置は、例えば、加入者装置120である。光信号の特性は、例えば、変調方式、ボーレート、光強度などである。また、品質補償部は、光信号の分散の補償と、光信号の増幅との一方又は両方を行う。
【0263】
例えば、光信号が伝送路を伝送する際の光信号の品質劣化の程度は、伝送路の長さに対応する。指示部は、複数の品質補償部のうち、光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送する伝送路の長さに基づいて、光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択する。伝送路の長さは、加入者装置と通信先の装置との間で伝送路を介して光信号を送受信することにより測定されたラウンドトリップタイムに基づき推定される。ラウンドトリップタイムの測定に用いられる光信号は、例えば、主信号に重畳され、かつ、主信号よりも低速な制御信号である。
【0264】
指示部は、複数の品質補償部のうち、光スイッチの所定のポートから入力される光信号が伝送する伝送路の長さに基づいて光信号の品質の補償を行う品質補償部の候補を複数選択し、複数の候補のうち光信号の品質の補償を行う品質補償部を選択してもよい。指示部は、選択した品質補償部により補償された光信号の品質が所定よりも低い場合に、複数の候補のうち未選択の品質補償部を選択する。
【0265】
選択部は、複数の品質補償部のうち、品質の補償を行うための2以上の品質補償部を選択してもよい。指示部は、所定のポートから入力される光信号を選択された品質補償部に順に出力し、選択された全ての品質補償部により品質が補償された光信号を、当該光信号の送信先に応じたポートから出力するよう光スイッチを制御する。
【0266】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれら実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0267】
71 プロセッサ
72 記憶部
73 通信インタフェース
74 ユーザインタフェース
110 光通信システム
120a-1 加入者装置
120a-2 加入者装置
120b-1 加入者装置
120b-2 加入者装置
131 入力ポート
132 出力ポート
140a-1 波長合分波部
140a-2 波長合分波部
140b-1 波長合分波部
140b-2 波長合分波部
150-1 光伝送路
150-2 光伝送路
160-1 分散補償部
160-2 分散補償部
160-3 分散補償部
160-4 分散補償部
170 管理制御装置
171 管理制御部
172 記憶部
173 割当部
174 選択部
175 ポート接続決定部
176 通知部
210 光通信システム
280a 波長分離フィルタ
280b 波長分離フィルタ
310 光通信システム
380a 波長分離フィルタ
380b 波長分離フィルタ
410 光通信システム
440a-1-1 波長合分波部
440a-1-2 波長合分波部
440a-2-1 波長合分波部
440a-2-2 波長合分波部
510 光通信システム
560-1 光増幅部
560-2 光増幅部
610 光通信システム
710 光通信システム
810 光通信システム
860-1 品質補償部
860-2 品質補償部
910 光通信システム
920a-1 加入者装置
920a-2 加入者装置
920b-1 加入者装置
920b-2 加入者装置
921 光送信部
922 光受信部
923 光合分波部
924 管理制御部
931 入力ポート
932 出力ポート
940a-1 波長合分波部
940a-2 波長合分波部
940b-1 波長合分波部
940b-2 波長合分波部
950-1 光伝送路
950-2 光伝送路
970 管理制御装置
980a トランシーバ
980b トランシーバ
981a 送信器
981b 送信器
982a 受信器
982b 受信器
983-1 ファイバ
983-2 ファイバ
1110 光通信システム
1111 光通信システム
1120 加入者装置
1120a-1 加入者装置
1120a-2 加入者装置
1120b-1 加入者装置
1120b-2 加入者装置
1121 信号ミキサ
1122 光送信部
1123 光合分波部
1124 光受信部
1125 信号デバイダ
1126 管理制御部
1127 伝送距離測定部
1170 管理制御装置
1171 管理制御部
1172 記憶部
1173 割当部
1174 選択部
1175 ポート接続決定部
1176 通知部
1180 制御信号抜出装置
1180a-1 制御信号抜出装置
1180a-2 制御信号抜出装置
1180b-1 制御信号抜出装置
1180b-2 制御信号抜出装置
1181 光分岐部
1182 波長合分波部
1183 制御用受信器
1184-1~1184-3 光受信器
1185-1~1185-3 分離部
1190 制御信号用通信路
1210 光通信システム
1310 光通信システム
1510 光通信システム
1520 加入者装置
1520a-1 加入者装置
1520a-2 加入者装置
1520b-1 加入者装置
1520b-2 加入者装置
1521 分散補償部
1570 管理制御装置
1571 管理制御部
1572 通知部
1610 光通信システム
1650-1 光伝送路
1650-2 光伝送路
1670 管理制御装置
1680a 制御用送受信器
1680b 制御用送受信器
1681a 光送信部
1681b 光送信部
1682a 光合分波部
1682b 光合分波部
1683a 光受信部
1683b 光受信部
1684a 伝送距離測定部
1684b 伝送距離測定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37