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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】シリコン含有レジスト下層膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20241002BHJP
   G03F 7/42 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241002BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G03F7/11 503
G03F7/42
H01L21/30 568
G03F7/20 521
H01L21/30 572B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020094900
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189314
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 謙
(72)【発明者】
【氏名】柴山 亘
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/124514(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/42
H01L 21/027
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む、加水分解性シランの加水分解縮合物
を含有するレジスト下層膜形成組成物の塗布膜を紫外線で硬化させる工程を含む、シリコン含有レジスト下層膜の製造方法であって、
前記シリコン含有レジスト下層膜は、
酸素ガスによるドライエッチング処理後硫酸過酸化水素水溶液によって除去する工程を有する処理工程が適用されるものであり、
前記酸素ガスによるドライエッチング処理が、酸素ガス、酸素/硫化カルボニル(COS)混合ガス、及び酸素/窒素混合ガスからなる群から選択される少なくとも1種を用いた処理であり、
前記硫酸過酸化水素水溶液が、硫酸及び過酸化水素を、硫酸/過酸化水素=85~95wt%/1~10wt%の割合で含、シリコン含有レジスト下層膜の製造方法。
【請求項2】
上記レジスト下層膜形成組成物が、
(B)架橋性化合物、及び
(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方
を含有する、請求項1に記載のシリコン含有レジスト下層膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン含有レジスト下層膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体装置の製造において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。上記微細加工はシリコンウエハー等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、上記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。
近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザー(248nm)からArFエキシマレーザー(193nm)へと短波長化される傾向にある。活性光線の短波長化に伴い、活性光線の半導体基板からの反射の影響が大きな問題となる中、フォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(BottomAnti-ReflectiveCoating、BARC)と呼ばれるレジスト下層膜を設ける方法が広く適用されるようになってきた。
【0003】
上記の半導体基板とフォトレジストとの間の下層膜として、シリコンやチタン等の金属元素を含むハードマスクとして知られる膜を使用することが行なわれている。この場合、レジストとハードマスクでは、その構成成分に大きな違いが有るため、それらのドライエッチングによって除去される速度は、ドライエッチングに使用されるガス種に大きく依存する。そして、ガス種を適切に選択することにより、フォトレジストの膜厚の大きな減少を伴うことなく、ハードマスクをドライエッチングによって除去し、パターン加工することが可能となる。このように、近年の半導体装置の製造においては、反射防止効果を初め、さまざまな効果を達成するために、半導体基板とフォトレジストの間にレジスト下層膜が配置されるようになってきている。
【0004】
近年、半導体最先端デバイスの微細化により、基板上に有機膜のレジスト下層膜、その上にシリコン含有のレジスト下層膜、さらにその上にレジスト層を積層する三層プロセスが用いられている。通常の三層プロセスではドライエッチングによる基板へのダメージが考えられるため、シリコン含有レジスト下層膜を湿式で除去する工程が望まれている。
例えば、架橋性有機基を有するチタンシロキサン樹脂を含有する反射防止膜材料により、該材料より得た膜のウェットストリップによる除去を図った提案がなされている(特許文献1等)。
また、半導体素子の製造において、例えばフォトレジストパターンをマスクとして、半導体基板にn型又はp型の導電型を付与する不純物イオンを導入するイオン注入が採用されている。この場合、上記不純物イオンは、イオン注入装置(イオンドーピング装置)を用い、半導体基板に直接、又は該半導体基板の表面に形成された薄膜を介して注入される。その後、上記フォトレジストパターンは、例えば、硫酸-過酸化水素水によるウェット洗浄、アンモニア水-過酸化水素水によるウェット洗浄、又はアッシングにより除去され、シリコン含有レジスト下層膜も湿式で除去する工程が望まれている。
【0005】
また、露光波長の短波長化に伴って焦点深度が低下するために、基板上に形成された被膜の平坦化性を向上させることが必要になっている。より微細なデザインが求められる半導体装置を製造するためには、基板上の平坦化技術が重要になっており、例えばレジストの下に形成されるレジスト下層膜を光硬化により形成する方法が開示されている。
例えば、エポキシ基やビニル基等のカチオン重合可能な反応性基を有するケイ素系化合
物と、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤とを含むレジスト下層膜形成組成物が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-163846号公報
【文献】国際公開第2007/066597号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、半導体装置の製造に用いることができるレジスト下層膜であって、酸素ガスエッチング処理が為された後でも、薬液を用いた湿式法、特に硫酸過酸化水素水溶液(SPM(硫酸と過酸化水素水の混合水溶液))による除去が可能なシリコン含有レジスト下層膜を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、2以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とアセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含むポリシロキサンより得られる光硬化膜が、酸素ガスエッチング処理後においても、薬液を用いた湿式法による除去が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、第1観点として、酸素ガスによるドライエッチング処理後に、硫酸過酸化水素水溶液によって除去可能であるシリコン含有レジスト下層膜の製造方法であって、
(A)2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む、加水分解性シランの加水分解縮合物
を含有するレジスト下層膜形成組成物の塗布膜を、紫外線で硬化させる工程
を含む、シリコン含有レジスト下層膜の製造方法に関する。
第2観点として、上記レジスト下層膜形成組成物が、
(B)架橋性化合物、及び
(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方
を含有する、第1観点に記載のシリコン含有レジスト下層膜の製造方法に関する。
第3観点として、上記硫酸過酸化水素水溶液が、硫酸及び過酸化水素を、硫酸/過酸化水素=85~95wt%/1~10wt%の割合で含む、第1観点又は第2観点に記載のシリコン含有レジスト下層膜の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本発明が製造対象とするレジスト下層膜は、加水分解性シランの加水分解縮合物として、2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む、加水分解縮合物を含み、さらに架橋性化合物と酸等を含み得る組成物より形成される。
従来、シリコン含有レジスト下層膜に用いられてきたテトラエトキシシラン等の4官能性シランと3官能性シランの共加水分解縮合物(ポリシロキサン)は、主にシラノール基同士の架橋構造の形成により、レジスト下層膜が上部に上塗りされるレジスト組成物とのインターミキシングを起こすことはないという利点はあるものの、その後に下層や基板を加工した後に薬液、例えばSPM(硫酸と過酸化水素水の混合水溶液)による除去は困難であった。
本発明では、レジスト下層膜の製造において2つ以上のヒドロキシ基とアセトキシ基を有する上記加水分解縮合物を用いることで、ヒドロキシ基同士で、又はヒドロキシ基とシラノール基の間で、又はヒドロキシル基と架橋性化合物との間で架橋構造を形成する。そ
のため、レジスト下層膜の上部に上塗りされるレジスト組成物によるインターミキシングを起こすことがないだけでなく、その後に下層を加工した後、特にレジスト下層膜を酸素ガスによるドライエッチング処理を施した後において、SPM(硫酸と過酸化水素水の混合水溶液)による除去を可能とすることができる。そのため、従来、レジスト下層膜を基板から除去する際、フッ素系ガスによるドライエッチングにより生じていた基板のダメージを低減することができる。
また本発明にあっては、上記の特定の有機基を有する加水分解縮合物を用いることにより、光硬化させることが可能であり、上記加水分解縮合物を光硬化させてレジスト下層膜(硬化膜)を得る。そのため、従来、レジスト下層膜の製造にあたり高温焼成させた場合に生じ得る、レジスト下層膜の下層に存在し得る有機下層膜の平坦化を悪化させることがなく、平坦化性の高い有機下層膜上に平坦化性の高いシリコン含有レジスト下層膜を形成でき、そしてその上層にレジスト膜を被覆することで、層界面の乱反射抑制や、エッチング後の段差発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、酸素ガスによるドライエッチング処理後に、湿式除去可能、特に硫酸過酸化水素水溶液によって除去可能であるシリコン含有レジスト下層膜の製造方法に関する。
【0012】
[シリコン含有レジスト下層膜の製造方法]
本発明が適用される、酸素ガスによるドライエッチング処理後に、硫酸過酸化水素水溶液による湿式除去が可能であるシリコン含有レジスト下層膜は、(A)加水分解性シランの加水分解縮合物(ポリシロキサン)を含有するレジスト下層膜形成組成物の塗布膜を、紫外線で硬化させる工程を含みて製造される。すなわち、該シリコン含有レジスト下層膜は、該レジスト下層膜形成組成物の塗布膜を紫外線照射により硬化させた紫外線(UV)硬化膜である。
上記レジスト下層膜形成組成物は、さらに(B)架橋性化合物、(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方を含有する。
【0013】
〔レジスト下層膜形成組成物〕
(A)加水分解性シランの加水分解縮合物(ポリシロキサン)
本発明で使用する(A)加水分解縮合物は、2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む加水分解縮合物である。
【0014】
上記(A)加水分解縮合物は、2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランと、アセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランとを含む、加水分解性シラン混合物の加水分解縮合物とすることができる。
あるいは、(A)加水分解縮合物は、エポキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む加水分解縮合物(a)を、無機酸又はカチオン交換樹脂により、該エポキシ基を開環させることにより得られる、加水分解縮合物とすることができる。上記加水分解縮合物(a)は、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランと、アセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランとを含む、加水分解性シラン混合物の加水分解縮合物とすることができる。
(A)加水分解縮合物の安定性に加え、加水分解縮合反応時にゲル化等が生じることによる反応の進行阻害等の難点も考慮すると、(A)加水分解縮合物は、加水分解縮合物(a)を経て得られる加水分解縮合物であることが好ましい。
本発明において、「加水分解縮合物」には、縮合が完全に完了した縮合物であるポリオルガノシロキサンポリマーだけでなく、縮合が完全に完了しない部分加水分解縮合物であるポリオルガノシロキサンポリマーも包含される。このような部分加水分解縮合物も、縮合が完全に完了した縮合物と同様、加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合によって
得られたポリマーであるが、部分的に加水分解で止まり、縮合しておらず、それ故、Si-OH基が残存しているものである。また上記レジスト下層膜形成組成物は、上記加水分解縮合物の他に、未縮合の加水分解物(完全加水分解物、部分加水分解物)や、モノマー(加水分解性シラン化合物)が残存していてもよい。なお本明細書において、「加水分解性シラン」を単に「シラン化合物」とも称することがある。
【0015】
また、後述するように、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランは、上記加水分解シラン混合物に含まれる全加水分解性シランの全モル数(100モル%)に基づいて、10モル%~90モル%の割合で含むことが好ましい。
エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランの割合を、10モル%以上とすることにより、上塗りレジスト組成物に対する耐インターミキシング性を確保することができる。インターミキシングとは上層の組成物を下層膜上に塗布した時に下層膜が溶解して下層膜と上層組成物が層混合を生じることで、好ましくない現象である。
また、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランの割合を、90モル%以下とすることにより、光学物性、耐ドライエッチング性を確保することができる。
【0016】
(a)加水分解縮合物は、例えば下記式(1-a)で表されるエポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランと、式(1-b)で表されるアセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランとを含む、加水分解性シラン混合物の加水分解縮合物とすることができる。
【0017】
【化1】
式(1-a)中、
1aは、ケイ素原子に結合する基であって、エポキシ基を含む有機基を表し、
2aは、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、スルホニル基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表し、R3aは、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、
a1は1を表し、b1は0~2の整数を表し、4-(a1+b1)は1~3の整数を表す。
また式(1-b)中、
1bは、ケイ素原子に結合する基であって、アセトキシ基を含む有機基を表し、
2bは、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロ
ゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、スルホニル基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表し、R3bは、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、
a2は1を表し、b2は0~2の整数を表し、(4-a2+b2)は1~3の整数を表す。
【0018】
1aはエポキシ基を含む有機基である限り特に限定されるものではない。例えば、エポキシ基それ自体、また特にアルキル基等における1以上の水素原子がエポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基(グリシドキシ基)で置換された有機基を挙げることができる。
またR1bはアセトキシ基(CHCOO-)を含む有機基である限り特に限定されず、例えばアルキル基等における1以上の水素原子がアセトキシ基で置換された有機基を挙げることができる。
【0019】
上記エポキシ基やアセトキシ基によって水素原子が置換されるアルキル基は特に限定されるものではなく、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、通常40以下、例えば30以下、より例えば20以下、また10以下とすることができる。
上記のエポキシ基やアセトキシ基によって水素原子が置換され得る直鎖状又は分岐状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
また上記のエポキシ基やアセトキシ基によって水素原子が置換され得る環状アルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-
シクロプロピル、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等のシクロアルキル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等のビシクロアルキル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、フェニル基、ベンジル基、フェニルプロピル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジ(メチル)フェニル基、ジ(エチル)フェニル基、メチルベンジル基等のアリール基や、アラルキル基、アルキル置換アリール基、アルキル置換アラルキル基等の芳香族環含有基における芳香族環上の水素原子やアルキル基上の水素原子が、上記エポキシ基やアセトキシ基によって置換されていてもよい。
【0020】
上記の中でも、R1aとしては、エポキシ基、グリシジル基、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシブチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロヘキシルメチル基、エポキシシクロヘキシルエチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
またR1bとしては、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、アセトキシプロピル基、アセトキシブチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
式(1-a)中のR2a、式(1-b)中のR2bは、それぞれ、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、スルホニル基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表す。
【0022】
上記アルキル基として、例えば直鎖又は分枝を有する炭素原子数1乃至10のアルキル基が挙げられ、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基及び1-エチル-2-メチル-n-プロピル基等が挙げられる。
また環状アルキル基を用いることもでき、例えば炭素原子数3乃至10の環状アルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シ
クロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等が挙げられる。
【0023】
アリール基としては、炭素原子数6乃至20のアリール基が挙げられ、例えばフェニル基、o-メチルフェニル基、m-メチルフェニル基、p-メチルフェニル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基、o-フルオロフェニル基、p-メルカプトフェニル基、o-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-アミノフェニル基、p-シアノフェニル基、α-ナフチル基、β-ナフチル基、o-ビフェニリル基、m-ビフェニリル基、p-ビフェニリル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基及び9-フェナントリル基等が挙げられる。
【0024】
アラルキル基は、アリール基により置換されたアルキル基であり、このようなアリール基及びアルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アラルキル基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
アラルキル基の具体例としては、例えばフェニルメチル基(ベンジル基)、2-フェニルエチレン基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、8-フェニル-n-オクチル基、9-フェニル-n-ノニル基、10-フェニル-n-デシル基等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0025】
ハロゲン化アルキル基は、ハロゲン原子により置換されたアルキル基を指す。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、またアルキル基の具体例としては上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
ハロゲン化アルキル基の具体例としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3-ブロモプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル基、3-ブロモ-2-メチルプロピル基、4-ブロモブチル基、パーフルオロペンチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
ハロゲン化アリール基は、ハロゲン原子により置換されたアリール基であり、このようなアリール基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アリール基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
ハロゲン化アリール基の具体例としては、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,3,4-トリフルオロフェ
ニル基、2,3,5-トリフルオロフェニル基、2,3,6-トリフルオロフェニル基、2,4,5-トリフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、2,3,4,5-テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6-テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-フルオロ-1-ナフチル基、3-フルオロ-1-ナフチル基、4-フルオロ-1-ナフチル基、6-フルオロ-1-ナフチル基、7-フルオロ-1-ナフチル基、8-フルオロ-1-ナフチル基、4,5-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,7-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,8-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラフルオロ-1-ナフチル基、ヘプタフルオロ-1-ナフチル基、1-フルオロ-2-ナフチル基、5-フルオロ-2-ナフチル基、6-フルオロ-2-ナフチル基、7-フルオロ-2-ナフチル基、5,7-ジフルオロ-2-ナフチル基、ヘプタフルオロ-2-ナフチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
ハロゲン化アラルキル基は、ハロゲン原子により置換されたアラルキル基であり、このようなアラルキル基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アラルキル基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
ハロゲン化アラルキル基の具体例としては、2-フルオロベンジル基、3-フルオロベンジル基、4-フルオロベンジル基、2,3-ジフルオロベンジル基、2,4-ジフルオロベンジル基、2,5-ジフルオロベンジル基、2,6-ジフルオロベンジル基、3,4-ジフルオロベンジル基、3,5-ジフルオロベンジル基、2,3,4-トリフルオロベンジル基、2,3,5-トリフルオロベンジル基、2,3,6-トリフルオロベンジル基、2,4,5-トリフルオロベンジル基、2,4,6-トリフルオロベンジル基、2,3,4,5-テトラフルオロベンジル基、2,3,4,6-テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6-テトラフルオロベンジル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
アルコキシアルキル基は、アルコキシ基により置換されたアルキル基をいう。このようなアルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0029】
上記アルコキシ基としては、炭素原子数1乃至20の直鎖、分岐、環状のアルキル部分を有するアルコキシ基が挙げられる。直鎖又は分岐を有するアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシロキシ基、1-メチル-n-ペンチロキシ基、2-メチル-n-ペンチロキシ基、3-メチル-n-ペンチロキシ基、4-メチル-n-ペンチロキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基及び1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等が挙げられる。また環状のアルコキシ基としては、例えばシクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1-メチル-シクロプロポキシ基、2-メチル-シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1-メチル-シクロブトキシ基、2-メチル-シクロブトキシ基、3-メチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロプロポキシ基、2,3-ジメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-シクロプロポキシ基、シクロヘ
キシロキシ基、1-メチル-シクロペンチロキシ基、2-メチル-シクロペンチロキシ基、3-メチル-シクロペンチロキシ基、1-エチル-シクロブトキシ基、2-エチル-シクロブトキシ基、3-エチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロブトキシ基、1,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,2-ジメチル-シクロブトキシ基、2,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,4-ジメチル-シクロブトキシ基、3,3-ジメチル-シクロブトキシ基、1-n-プロピル-シクロプロポキシ基、2-n-プロピル-シクロプロポキシ基、1-i-プロピル-シクロプロポキシ基、2-i-プロピル-シクロプロポキシ基、1,2,2-トリメチル-シクロプロポキシ基、1,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、2,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-1-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロポキシ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
アルコキシアルキル基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
アルコキシアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1-エトキシエチル基、2-エトキシエチル基、エトキシメチル基等の低級アルキルオキシ低級アルキル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
アルコキシアリール基は、アルコキシ基が置換したアリール基であり、このようなアルコキシ基及びアリール基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アルコキシアリール基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
アルコキシアリール基の具体例としては、例えば、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-(1-エトキシ)フェニル基、3-(1-エトキシ)フェニル基、4-(1-エトキシ)フェニル基、2-(2-エトキシ)フェニル基、3-(2-エトキシ)フェニル基、4-(2-エトキシ)フェニル基、2-メトキシナフタレン-1-イル基、3-メトキシナフタレン-1-イル基、4-メトキシナフタレン-1-イル基、5-メトキシナフタレン-1-イル基、6-メトキシナフタレン-1-イル基、7-メトキシナフタレン-1-イル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
アルコキシアラルキル基は、アルコキシ基が置換したアラルキル基であり、このようなアルコキシ基及びアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アルコキシアラルキル基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
アルコキシアラルキル基の具体例としては、3-(メトキシフェニル)ベンジル基、4-(メトキシフェニル)ベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
上記アルケニル基としては炭素原子数2乃至10のアルケニル基が挙げられ、例えばエテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル
-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-i-プロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-n-プロピル-2-プロペニル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-エチル-3-ブテニル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基、1,2-ジメチル-1-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-3-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-プロペニル基、1-s-ブチルエテニル基、1,3-ジメチル-1-ブテニル基、1,3-ジメチル-2-ブテニル基、1,3-ジメチル-3-ブテニル基、1-i-ブチルエテニル基、2,2-ジメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-3-ブテニル基、2-i-プロピル-2-プロペニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、1-n-プロピル-1-プロペニル基、1-n-プロピル-2-プロペニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル基、1-t-ブチルエテニル基、1-メチル-1-エチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基、1-i-プロピル-1-プロペニル基、1-i-プロピル-2-プロペニル基、1-メチル-2-シクロペンテニル基、1-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-1-シクロペンテニル基、2-メチル-2-シクロペンテニル基、2-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-4-シクロペンテニル基、2-メチル-5-シクロペンテニル基、2-メチレン-シクロペンチル基、3-メチル-1-シクロペンテニル基、3-メチル-2-シクロペンテニル基、3-メチル-3-シクロペンテニル基、3-メチル-4-シクロペンテニル基、3-メチル-5-シクロペンテニル基、3-メチレン-シクロペンチル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基及び3-シクロヘキセニル基等が挙げられ、またビシクロへプテニル基(ノルボルニル基)等の架橋環式のアルケニル基も挙げることができる。
【0034】
上記アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基における置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アリールオキシ基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられ、これらの具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述又は後述のものと同じものが挙げられる。
また上記アリールオキシ基は、アリール基が酸素原子(-O-)を介して結合する基であり、このようなアリール基の具体例としては上述したものと同じものが挙げられる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下であり、その具体例としては、フェノキシ基、ナフタレン-2-イルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、置換基が2以上存在する場合、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0035】
上記アクリロイル基を含む有機基としては、アクリロイルメチル基、アクリロイルエチル基、アクリロイルプロピル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
上記メタクリロイル基を含む有機基としては、メタクリロイルメチル基、メタクリロイルエチル基、メタクリロイルプロピル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
上記メルカプト基を含む有機基としては、エチルメルカプト基、ブチルメルカプト基、ヘキシルメルカプト基、オクチルメルカプト基等が挙げられるがこれらに限定されない。
アミノ基を含む有機基としては、アミノ基、アミノメチル基、アミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基等が挙げられるがこれらに限定されない。
またアミノ基やアミド基を含む有機基としては例えばシアヌル酸誘導体が挙げられる。
スルホニル基を含む有機基としては、例えばスルホニルアルキル基や、スルホニルアリール基が挙げられるがこれらに限定されない。
シアノ基を含む有機基としては、例えばシアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
式(1-a)中のR3a、式(1-b)中のR3bは、それぞれ、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表す。上記アルコキシ基、ハロゲン原子としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0037】
アラルキルオキシ基は、アラルキルアルコールのヒドロキシ基から水素原子を取り除いて誘導される基であり、このようなアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アラルキルオキシ基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
アラルキルオキシ基の具体例としては、フェニルメチルオキシ基(ベンジルオキシ基)、2-フェニルエチレンオキシ基、3-フェニル-n-プロピルオキシ基、4-フェニル-n-ブチルオキシ基、5-フェニル-n-ペンチルオキシ基、6-フェニル-n-ヘキシルオキシ基、7-フェニル-n-ヘプチルオキシ基、8-フェニル-n-オクチルオキシ基、9-フェニル-n-ノニルオキシ基、10-フェニル-n-デシルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
アシルオキシ基は、カルボン酸化合物のカルボン酸基から水素原子を取り除いて誘導される基であり、典型的には、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸又はアラルキルカルボン酸のカルボン酸基から水素原子を取り除いて誘導されるアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基又はアラルキルカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸及びアラルキルカルボン酸におけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アシルオキシ基の具体例としては、炭素原子数2乃至20のアシルオキシ基が挙げられる。例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、i-プロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、i-ブチルカルボニルオキシ基、s-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-ブチ
ルカルボニルオキシ基、1,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、及びトシルカルボニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
上記式(1-a)中、a1は1を表し、b1は0~2の整数を表し、4-(a1+b1)は1~3の整数を表す。b1は好ましくは0又は1を表し、より好ましくは0である。
また上記式(1-b)中、a2は1を表し、b2は0~2の整数を表し、4-(a2+b2)は1~3の整数を表す。b2は好ましくは0又は1を表し、より好ましくは0である。
【0040】
式(1-a)で表される加水分解性シランの具体例としては、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
また式(1-b)で表される加水分解性シランの具体例としては、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリメトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシラン
、アセトキシプロピルトリエトキシラン、アセトキシブチルトリメトキシラン、アセトキシブチルトリエトキシラン、アセトキシペンチルトリメトキシラン、アセトキシペンチルトリエトキシラン、アセトキシフェニルトリメトキシシラン、アセトキシフェニルトリエトキシシランアセトキシベンジルトリメトキシシラン、アセトキシベンジルトリエトキシシラン、アセトキシフェニルプロピルトリメトキシシラン、アセトキシフェニルプロピルトリエトキシシラン、アセトキシメチルフェニルトリメトキシシラン、アセトキシメチルフェニルトリエトキシシラン、アセトキシエチルフェニルトリメトキシシラン、アセトキシエチルフェニルトリエトキシシラン、アセトキシメチルベンジルトリメトキシシラン、アセトキシメチルベンジルトリメトキシシラン、ジ(アセトキシメチル)フェニルトリメトキシシラン、ジ(アセトキシメチル)フェニルトリエトキシシラン、ジ(アセトキシエチル)フェニルトリメトキシシラン、ジ(アセトキシエチル)フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
〔その他のシラン化合物(加水分解性シラン)〕
本発明においては、上記加水分解性シラン混合物において、上記式(1-a)で表される加水分解性シラン、式(1-b)で表される加水分解性シランとともに、上記式以外の加水分解性シランを使用することができる。なお、以下に示す化合物の例示において、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランやアセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランが例示されている場合があるが、これら化合物はそれぞれエポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン、アセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シランとして使用することができる。
【0043】
例えば膜密度等の膜物性の調整等を目的として、下記式(2)で表される加水分解性シラン及び下記式(3)で表される加水分解性シランから選ばれる少なくとも1種(その他の加水分解性シラン)を使用することができる。これらその他の加水分解性シランの中でも、式(2)で表される加水分解性シランが好ましい。
【0044】
【化2】
式(2)中、Rは、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、スルホニル基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表す。
またRは、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表す。
そしてcは、0~3の整数を表す。
【0045】
上記Rにおける各基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述の基、例えばR2a及びR2bについて上述した基及び炭素原子数を挙げることができる。
上記Rにおける各基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述の基、R3a及びR3bについて上述した基及び原子並びに炭素原子数を挙げることができる。
またcは好ましくは0又は1を表し、より好ましくは0である。
【0046】
【化3】
式(3)中、Rは、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、スルホニル基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表す。
またRは、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表す。
Yは、Si-C結合によりケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、アルキレン基又はアリーレン基を表す。
そして、dは0又は1を表し、eは0又は1を表す。
【0047】
上記R及びRにおける各基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述の基及び炭素原子数を挙げることができる。
上記Rにおける各基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述の基、例えばR2a及びR2bについて上述した基及び炭素原子数を挙げることができる。
上記Rにおける各基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述の基、例えばR3a及びR3bについて上述した基及び原子並びに炭素原子数を挙げることができる。
また上記Yにおけるアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1,2-ジメチルトリメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、1-エチルトリメチレン基等の分岐鎖状アルキレン基等のアルキレン基、メタントリイル基、エタン-1,1,2-トリイル基、エタン-1,2,2-トリイル基、エタン-2,2,2-トリイル基、プロパン-1,1,1-トリイル基、プロパン-1,1,2-トリイル基、プロパン-1,2,3-トリイル基、プロパン-1,2,2-トリイル基、プロパン-1,1,3-トリイル基、ブタン-1,1,1-トリイル基、ブタン-1,1,2-トリイル基、ブタン-1,1,3-トリイル基、ブタン-1,2,3-トリイル基、ブタン-1,2,4-トリイル基、ブタン-1,2,2-トリイル基、ブタン-2,2,3-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,1-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,2-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,3-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,1-トリイル基のアルカントリイル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
またアリーレン基の具体例としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基;1,5-ナフタレンジイル基、1,8-ナフタレンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基、2,7-ナフタレンジイル基、1,2-アントラセンジイル基、1,3-アントラセンジイル基、1,4-アントラセンジイル基、1,5-アントラセンジイル基、1,6-アントラセンジイル基、1,7-アントラセンジイル基、1,8
-アントラセンジイル基、2,3-アントラセンジイル基、2,6-アントラセンジイル基、2,7-アントラセンジイル基、2,9-アントラセンジイル基、2,10-アントラセンジイル基、9,10-アントラセンジイル基等の縮合環芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基;4,4’-ビフェニルジイル基、4,4”-パラテルフェニルジイル基の環連結芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基等が挙げられるが、これらに限定されない。
またdは好ましくは0又は1を表し、より好ましくは0である。
さらにeは好ましくは1である。
【0048】
式(2)で表される加水分解性シランの具体例として、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトラi-プロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メトキシフェニルトリメトキシシラン、メトキシフェニルトリエトキシシラン、メトキシフェニルトリアセトキシシラン、メトキシフェニルトリクロロシラン、メトキシベンジルトリメトキシシラン、メトキシベンジルトリエトキシシラン、メトキシベンジルトリアセトキシシラン、メトキシベンジルトリクロロシラン、メトキシフェネチルトリメトキシシラン、メトキシフェネチルトリエトキシシラン、メトキシフェネチルトリアセトキシシラン、メトキシフェネチルトリクロロシラン、エトキシフェニルトリメトキシシラン、エトキシフェニルトリエトキシシラン、エトキシフェニルトリアセトキシシラン、エトキシフェニルトリクロロシラン、エトキシベンジルトリメトキシシラン、エトキシベンジルトリエトキシシラン、エトキシベンジルトリアセトキシシラン、エトキシベンジルトリクロロシラン、i-プロポキシフェニルトリメトキシシラン、i-プロポキシフェニルトリエトキシシラン、i-プロポキシフェニルトリアセトキシシラン、i-プロポキシフェニルトリクロロシラン、i-プロポキシベンジルトリメトキシシラン、i-プロポキシベンジルトリエトキシシラン、i-プロポキシベンジルトリアセトキシシラン、i-プロポキシベンジルトリクロロシラン、t-ブトキシフェニルトリメトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリエトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリアセトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリクロロシラン、t-ブトキシベンジルトリメトキシシラン、t-ブトキシベンジルトリエトキシシラン、t-ブトキシベンジルトリアセトキシシラン、t-ブトキシシベンジルトリクロロシラン、メトキシナフチルトリメトキシシラン、メトキシナフチルトリエトキシシラン、メトキシナフチルトリアセトキシシラン、メトキシナフチルトリクロロシラン、エトキシナフチルトリメトキシシラン、エトキシナフチルトリエトキシシラン、エトキシナフチルトリアセトキシシラン、エトキシナフチルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β-シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート、ビシクロ(2,2,1)ヘプテニルトリエトキシシラン、ベンゼンスルホニルプロピルトリエトキシシラン、ベンゼンスルホンアミドプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランや、下記式(A-1)~式(A-41)で表されるシラン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
式(3)で表されるシラン化合物の具体例としては、メチレンビストリメトキシシラン、メチレンビストリクロロシラン、メチレンビストリアセトキシシラン、エチレンビストリエトキシシラン、エチレンビストリクロロシラン、エチレンビストリアセトキシシラン、プロピレンビストリエトキシシラン、ブチレンビストリメトキシシラン、フェニレンビストリメトキシシラン、フェニレンビストリエトキシシラン、フェニレンビスメチルジエトキシシラン、フェニレンビスメチルジメトキシシラン、ナフチレンビストリメトキシシラン、ビストリメトキシジシラン、ビストリエトキシジシラン、ビスエチルジエトキシジシラン、ビスメチルジメトキシジシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
これらの中でも、上記組成物から得られる膜の架橋密度を向上させて、レジスト膜の成分の当該得られる膜への拡散等を抑制し、当該レジスト膜のレジスト特性の維持・改善する観点等から、メトキシベンジルトリメトキシシラン、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート、メチルトリエトキシシラン等を用いることが好ましい。
【0054】
本発明においては、上記加水分解性シラン混合物において、オニウム基を分子内に有するシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)を含んでいてもよい。オニウム基を分子内に有するシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)を用いることで、加水分解性シラン
の架橋反応を効果的に且つ効率的に促進できる。
【0055】
このようなオニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシラン(加水分解性オルガノシラン)の好適な一例は、式(4)で表される。
【0056】
【化7】
式(4)中、R11は、ケイ素原子に結合する基であって、オニウム基又はそれを含む有機基を表す。
12は、ケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はアクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表す。
13は、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表す。
fは1又は2を表し、gは0又は1を表し、1≦f+g≦2を満たす。
【0057】
上記のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、並びに、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基又はシアノ基を含む有機基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子の具体例、またアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基及びアルケニル基の置換基の具体例、及びそれらの好適な炭素原子数としては、R12については、例えばR2a及びR2bに関して上述したものを、R13については、例えばR3a及びR3bに関して上述したものをそれぞれ挙げることができる。
【0058】
より詳述すれば、オニウム基の具体例としては、環状アンモニウム基又は鎖状アンモニウム基が挙げられ、第3級アンモニウム基又は第4級アンモニウム基が好ましい。
すなわち、オニウム基又はそれを含む有機基の好適な具体例としては、環状アンモニウム基若しくは鎖状アンモニウム基又はこれらの少なくとも一方を含む有機基が挙げられ、第3級アンモニウム基若しくは第4級アンモニウム基又はこれらの少なくとも一方を含む有機基が好ましい。
なお、オニウム基が環状アンモニウム基である場合、アンモニウム基を構成する窒素原子が環を構成する原子を兼ねる。この際、環を構成する窒素原子とシリコン原子とが直接又は2価の連結基を介して結合している場合と、環を構成する炭素原子とシリコン原子が直接に又は2価の連結基を介して結合している場合とがある。
【0059】
本発明の好適な態様の一例においては、ケイ素原子に結合する基であるR11は、下記式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基である。
【化8】
【0060】
式(S1)中、A、A、A及びAは、互いに独立して、下記式(J1)~(J3)のいずれかで表される基を表すが、A~Aのうち少なくとも1つは、下記式(J2)で表される基である。上記式(4)におけるケイ素原子がA~Aのいずれと結合するかに応じて、構成される環が芳香族性を示すように、A~Aそれぞれと、それら各々に隣接し共に環を構成する原子との間の結合が、単結合であるか、二重結合であるかが定まる。
【0061】
【化9】
式(J1)~(J3)中、R10は、互いに独立して、単結合、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0062】
式(S1)中、R14は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基又はヒドロキシ基を表し、R14が2つ以上存在する場合、2つのR14は、互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR14が形成する環は架橋環構造であってもよく、このような場合においては、環状アンモニウム基は、アダマンタン環、ノルボルネン環、スピロ環等を有することとなる。
このようなアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0063】
式(S1)中、nは、1~8の整数であり、mは、0又は1であり、mは、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの正の整数である。
が0である場合、A~Aを含む(4+n)員環が構成される。すなわち、nが1であるときは5員環、nが2であるときは6員環、nが3であるときは7員環、nが4であるときは8員環、nが5であるときは9員環、nが6であるときは10員環、nが7であるときは11員環、nが8であるときは12員環が、それぞれ構成される。
が1である場合、A~Aを含む(4+n)員環とAを含む6員環とが縮合した縮合環が形成される。
~Aは、式(J1)~(J3)のいずれであるか次第で、環を構成する原子上に水素原子を有する場合と、水素原子を有さない場合があるが、A~Aが、環を構成する原子上に水素原子を有する場合、その水素原子は、R14に置き換わっていてもよい。また、A~A中の環構成原子以外の環構成原子に、R14が置換していてもよい。このような事情から、上述の通り、mは、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの整数から選択される。
【0064】
上記式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基の結合手は、このような単環又は縮合環に存在する任意の炭素原子又は窒素原子に存在し、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して環状アンモニウムを含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
アルキレン基及びアリーレン基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0065】
またアルケニレン基は、アルケニル基の水素原子を更に1つ取り除いて誘導される2価の基であり、このようなアルケニル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。アルケニレン基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
その具体例としては、ビニレン、1-メチルビニレン、プロペニレン、1-ブテニレン、2-ブテニレン、1-ペンテニレン、2-ペンテニレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
上記式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基を有する式(4)で表されるシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
【化10】
【0067】
【化11】
【0068】
【化12】
【0069】
またその他の一例において、上記式(4)中のケイ素原子に結合する基であるR11は、下記式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基とすることができる。
【化13】
式(S2)中、A、A、A及びAは、互いに独立して、下記式(J4)~(J
6)のいずれかで表される基を表すが、A~Aのうち少なくとも1つは、下記式(J5)で表される基である。上記式(4)におけるケイ素原子がA~Aのいずれと結合するかに応じて、構成される環が非芳香族性を示すように、A~Aそれぞれと、それら各々に隣接し共に環を構成する原子との結合が、単結合であるか、二重結合であるかが定まる。
【0070】
【化14】
式(J4)~(J6)中、R10は、互いに独立して、単結合、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0071】
式(S2)中、R15は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基又はヒドロキシ基を表し、R15が2つ以上存在する場合、2つのR15は、互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR15が形成する環は架橋環構造であってもよく、このような場合においては、環状アンモニウム基は、アダマンタン環、ノルボルネン環、スピロ環等を有することとなる。
アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0072】
式(S2)中、nは、1~8の整数であり、mは、0又は1であり、mは、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの正の整数である。
が0である場合、A~Aを含む(4+n)員環が構成される。すなわち、nが1であるときは5員環、nが2であるときは6員環、nが3であるときは7員環、nが4であるときは8員環、nが5であるときは9員環、nが6であるときは10員環、nが7であるときは11員環、nが8であるときは12員環が、それぞれ構成される。
が1である場合、A~Aを含む(4+n)員環とAを含む6員環とが縮合した縮合環が形成される。
~Aは、式(J4)~(J6)のいずれであるか次第で、環を構成する原子上に水素原子を有することと、水素原子を有さないことがあるが、A~Aが、環を構成する原子上に水素原子を有する場合、その水素原子は、R15に置き換わっていてもよい。また、A~A中の環構成原子以外の環構成原子に、R15が置換していてもよい。
このような事情から、上述の通り、mは、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの整数から選択される。
【0073】
上記式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基の結合手は、このような単環又は縮合環に存在する任意の炭素原子又は窒素原子に存在し、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して環状アンモニウムを含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基又はアルケニレン基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基及びアルケニレン基の具体例及びそれらの好適な炭素原
子数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0074】
上記式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基を有する式(4)で表されるシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
【化15】
【0075】
【化16】
【0076】
さらにその他の一例において、上記式(4)中のケイ素原子に結合する基であるR11は、下記式(S3)で表される鎖状アンモニウム基とすることができる。
【化17】
式(S3)中、R10は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素原子数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0077】
式(S3)で表される鎖状アンモニウム基は、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して鎖状アンモニウム基を含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基又はアルケニレン基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基及びアルケニレン基の具体例としては、上述と同じものが挙げられる。
【0078】
上記式(S3)で表される鎖状アンモニウム基を有する式(4)で表されるシラン化合
物(加水分解性オルガノシラン)の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されない。
【化18】
【0079】
【化19】
【0080】
また上記加水分解性シラン混合物において、スルホン基を有する加水分解性シランや、スルホンアミド基を有する加水分解性シランを更に含んでいてもよい。以下、その具体例を挙げるが、これらに限定されない。
下記式中、Meはメチル基を、Etはエチル基をそれぞれ表す。
【0081】
【化20】
【0082】
【化21】
【0083】
【化22】
【0084】
さらに本発明においては、上記加水分解性シラン混合物において、環状尿素骨格を分子内に有するシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)を含んでいてもよく、具体例としては、これに限定される訳ではないが、下記式(5-1)で表されるシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)を挙げることができる。
【0085】
【化23】
式(5-1)中、R501は、ケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、式
(5-2)で表される基を表す。
502は、ケイ素原子に結合する基であって、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、若しくはシアノ基を含む有機基、又はそれらの組み合わせを表す。
503は、ケイ素原子に結合する基又は原子であって、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表す。
xは1又は2を表し、yは0又は1を表し、x+y≦2を満たす。
【0086】
上記R502のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、並びに、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、又はシアノ基を含む有機基の具体例、並びに、R503のアルコキシ基、アラルキルオキシ、アシルオキシ基及びハロゲン原子の具体例、並びにそれらの置換基の具体例、好適な炭素原子数等は、例えばR502については、例えばR2a及びR2bに関して上述したものを、R503については、例えばR3a及びR3bに関して上述したものを挙げることができる。
【0087】
【化24】
式(5-2)中、R504は、互いに独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又はエポキシ基若しくはスルホニル基を含む有機基を表す。
505は、互いに独立して、アルキレン基、ヒドロキシアルキレン基、スルフィド結合(-S-)、エーテル結合(-O-)又はエステル結合(-CO-O-又は-O-CO-)を表す。
なお、R504の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基及びエポキシ基を含む有機基の具体例、好適な炭素原子数等は、上述したものと同じものが挙げられるが、これらの他、置換されていてもアルキル基としては、末端の水素原子がビニル基で置換されたアルキル基が好ましく、その具体例としては、アリル基、2-ビニルエチル基、3-ビニルプロピル基、4-ビニルブチル基等が挙げられる。
【0088】
スルホニル基を含む有機基としては、スルホニル基を含む限り特に限定されるものではなく、置換されていてもよいアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアリールスルホニル、置換されていてもよいアラルキルスルホニル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキルスルホニル基、置換されていてもよいハロゲン化アリールスルホニル基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキルスルホニル基、置換されていてもよいアルコキシアルキルスルホニル基、置換されていてもよいアルコキシアリールスルホニル基、置換されていてもよいアルコキシアラルキルスルホニル基、置換されていてもよいアルケニルスルホニル基等が挙げられ、これらの基におけるアルキル基、アリール基、アラルキル基、
ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基及びアルケニル基並びにそれらの置換基の具体例、好適な炭素原子数等は、上述したものと同じものが挙げられる。
【0089】
アルキレン基は、上記アルキル基の水素原子を更に1つ取り除いて誘導される2価の基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、このようなアルキレン基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。アルキレン基の炭素原子数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
【0090】
また、アルキレン基は、スルフィド結合、エーテル結合及びエステル結合から選ばれる1種又は2種以上を、その末端又は途中、好ましくは途中に有していてもよい。
アルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1,2-ジメチルトリメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、1-エチルトリメチレン基等の分岐鎖状アルキレン基、1,2-シクロプロピパンジイル基、1,2-シクロブタンジイル、1,3-シクロブチタンジイル基、1,2-シクロヘキサンジイル、1,3-シクロヘキサンジイル等の環状アルキレン等、-CHOCH-、-CHCHOCH-、-CHCHOCHCH-、-CHCHCHOCHCH-、-CHCHOCHCHCH-、-CHCHCHOCHCHCH-、-CHSCH-、-CHCHSCH-、-CHCHSCHCH-、-CHCHCHSCHCH-、-CHCHSCHCHCH-、-CHCHCHSCHCHCH-、-CHOCHCHSCH-等のエーテル基等を含むアルキレン基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
ヒドロキシアルキレン基は、上記アルキレン基の水素原子の少なくとも1つが、ヒドロキシ基に置き換わったものであり、その具体例としては、ヒドロキシメチレン基、1-ヒドロキシエチレン基、2-ヒドロキシエチレン基、1,2-ジヒドロキシエチレン基、1-ヒドロキシトリメチレン基、2-ヒドロキシトリメチレン基、3-ヒドロキシトリメチレン基、1-ヒドロキシテトラメチレン基、2-ヒドロキシテトラメチレン基、3-ヒドロキシテトラメチレン基、4-ヒドロキシテトラメチレン基、1,2-ジヒドロキシテトラメチレン基、1,3-ジヒドロキシテトラメチレン基、1,4-ジヒドロキシテトラメチレン基、2,3-ジヒドロキシテトラメチレン基、2,4-ジヒドロキシテトラメチレン基、4,4-ジヒドロキシテトラメチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
式(5-2)中、X501は、互いに独立して、下記式(5-3)乃至式(5-5)で表される基を表し、下記式(5-4)及び式(5-5)におけるケトン基(-C(=O)-)の炭素原子は、式(5-2)におけるR505が結合する窒素原子と結合する。
【化25】
式(5-3)乃至式(5-5)中、R506乃至R510は、互いに独立して、水素原子、又は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、エポキシ基、スルホニル基若しくはそれらのいずれかを含む有機基を表し、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基及びエポキシ基を含む有機基の具体例及び好適な炭素原子数等は、R2a及びR2bに関し上述したものと同じものが挙げられる。
中でも、優れたリソグラフィー特性を再現性よく実現する観点から、X501は式(5-5)で表される基が好ましい。
【0093】
優れたリソグラフィー特性を再現性良く実現する観点から、R504及びR506乃至R510の少なくとも1つは、末端の水素原子がビニル基で置換されたアルキル基であることが好ましい。
【0094】
上記式(5-1)で表されるシラン化合物(加水分解性オルガノシラン)は、市販品を用いてもよく、国際公開第2011/102470号等に記載の公知方法で合成することもできる。
【0095】
以下、式(5-1)で表される加水分解性オルガノシランの具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化26】
【0096】
【化27】
【0097】
【化28】
【0098】
また上記の例示以外にも、本発明の効果を損なわない範囲において、上記加水分解性シラン混合物には、上記の例示以外のその他の加水分解性シランを含んでいてよい。
【0099】
上記の加水分解シラン混合物の加水分解縮合物(a)は、上述のシラン化合物(加水分解性シラン)を加水分解及び縮合することで得られる。
上記シラン化合物(加水分解性シラン)は、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子を、すなわち加水分解性基であるアルコキシシリル基、アラルキルオキシシリル基、アシロキシシリル基、ハロゲン化シリル基を含む。
これら加水分解性基の加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、通常0.5~100モル、好ましくは1~10モルの水を用いる。
加水分解及び縮合の際、反応を促進する目的等で、加水分解触媒を用いてもよいし、用いずに加水分解及び縮合を行ってもよい。加水分解触媒を用いる場合は、加水分解性基の1モル当たり、通常0.0001~10モル、好ましくは0.001~1モルの加水分解触媒を用いることができる。
加水分解と縮合を行う際の反応温度は、通常、室温以上、加水分解に用いられ得る有機溶媒の常圧での還流温度以下の範囲であり、また加水分解に用いられ得る有機溶媒の常圧での還流温度以下の範囲で実施され得、例えば20乃至110℃、また例えば20乃至80℃とすることができる
加水分解は完全に加水分解を行う、すなわち、全ての加水分解性基をシラノール基に変えてもよいし、部分加水分解する、即ち未反応の加水分解性基を残してもよい。
加水分解し縮合させる際に使用可能な加水分解触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。
【0100】
加水分解触媒としての金属キレート化合物は、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-i-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-n-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-sec-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-t-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-n-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-i-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-sec-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-t-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-n-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-i-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-n-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-sec-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-t-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-n-プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-i-プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-n-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-sec-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-t-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-n-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-i-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-n-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-sec-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-t-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-n-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-i-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-n-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-sec-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-t-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-i-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-n-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-sec-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-t-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-n-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-i-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-sec-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-t-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-n-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-i-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-n-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-sec-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-t-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-n-プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-i-プロポキシ・モノ(エチルアセト
アセテート)ジルコニウム、トリ-n-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-sec-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-t-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-n-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-i-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-n-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-sec-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-t-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-n-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-i-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-n-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-sec-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-t-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等などを挙げることをできるが、これらに限定されない。
【0101】
加水分解触媒としての有機酸は、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0102】
加水分解触媒としての無機酸は、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0103】
加水分解触媒としての有機塩基は、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができるが、これらに限定されない。
加水分解触媒としての無機塩基は、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0104】
これらの加水分解触媒のうち、加水分解縮合物(a)の加水分解縮合反応時において、加水分解性シラン分子毎に加水分解が進む、すなわち、1個の加水分解性シラン(分子)内に存在する少なくとも1つの加水分解性基が加水分解されたシラン化合物において、同一分子内の別の加水分解性基の加水分解が促進される観点から、有機塩基や無機塩基を用いることが好ましく、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて
使用してもよい。たとえば、これら(アルカリ性物質)の水溶液を用いることができる。本発明では、加水分解性シランの加水分解縮合時にアルカリ性物質水溶液を存在させ、シラノール基の形成を優先して加水分解縮合物(a)を得た後、後述するように無機酸の添加やカチオン交換樹脂により、エポキシ基をジヒドロキシ基に変化させ、ジヒドロキシ基を有する有機基を含む加水分解縮合物(A)を得ることができる。
なお加水分解縮合反応時に、上記エポキシ基の開環反応が生じた場合、上記加水分解縮合反応と、加水分解性シランのシラノール基と開環により生じたヒドロキシ基の副反応(脱水縮合)が同時に進行し得、その場合、得られる加水分解縮合物がゲル化し、ゲル状構造となり得るため好ましくない。
【0105】
加水分解をする際、溶媒として有機溶媒を用いてもよく、その具体例としては、例えばn-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、i-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンセン、i-プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i-ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、n-ヘプタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、i-プロピルエーテル、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1-エトキシ-2-
プロパノール)、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロパノールモノアセテート)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3-プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0106】
こうして得られた加水分解縮合物は、エポキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む加水分解縮合物(a)となる。
上記加水分解縮合物(a)は、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-a)で表される化合物)を、加水分解性シラン混合物中に含まれる加水分解性シランの全量(全モル数:100モル%)に基づいて、例えば10モル%~90モル%の割合で含み、アセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-b)で表される化合物)を、加水分解性シラン混合物中に含まれる加水分解性シランの全量(全モル数:100モル%)に基づいて、例えば10モル%~90モル%の割合で含む、加水分解性シラン混合物の加水分解縮合物とすることができる。
【0107】
加水分解性シラン混合物において、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-a)で表される化合物)及びアセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-b)で表される化合物)以外の加水分解性シランを用いる場合、エポキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-a)で表される化合物)の仕込み量は、加水分解性シラン混合物中に含まれる全ての加水分解性シランの仕込み量(100モル%)に対して、例えば10モル%~90モル%とすることができる。またアセトキシ基を有する有機基を含む加水分解性シラン(例えば式(1-b)で表される化合物)の仕込み量は同10モル%~90モル%とすることができる。本発明の上記効果を再現性よく得る観点から、好ましくは式(1-a)で表される化合物を15モル%~85モル%、又は15モル%~80モル%、又は20モル%~60モル%、又は20モル%~40モル%、或いは15モル%~45モル%の仕込み量で、式(1-b)で表され
る化合物を15モル%~85モル%、又は15モル%~80モル%、又は20モル%~60モル%、又は20モル%~40モル%、或いは15モル%~45モル%の仕込み量とすることができ、これらは使用する化合物によって適宜調製され得る。
加水分解性シラン混合物において、式(2)で表されるシラン化合物や式(3)で表されるシラン化合物を用いる場合、これらシラン化合物の仕込み量は、加水分解性シラン混合物中に含まれる全ての加水分解性シランの仕込み量に対して中、通常10モル%~90モル%、例えば10モル%~80モル%、10モル%~70モル%、20モル%~60モル%などとすることができる。
また加水分解性シラン混合物において、式(4)で表されるオニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランを用いる場合、当該オルガノシランの仕込み量は、全てのシラン化合物(加水分解性シラン)の仕込み量に対して、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
加水分解性シラン混合物において、式(5-1)で表される加水分解性オルガノシランを用いる場合、当該オルガノシランの仕込み量は、全てのシラン化合物(加水分解性シラン)中、通常0.1モル%以上、好ましくは0.3モル%以上であり、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。
【0108】
上記(a)加水分解縮合物において、該縮合物中のエポキシ基は開環させることによりジヒドロキシ基となり、これにより、2つ以上のヒドロキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位と、アセトキシ基を有する有機基を含むシロキサン単位とを含む加水分解縮合物(A)を得る。
なお加水分解及び縮合反応終了後、反応液をそのままエポキシ基の開環反応に供してもよい。また該反応溶液をそのまま又は希釈若しくは濃縮し、それを中和することで、或いはイオン交換樹脂を用いて処理することで、加水分解及び縮合に用いた酸や塩基等の加水分解触媒を取り除くことができ、さらには、このような処理の前又は後に、減圧蒸留等によって、反応溶液から副生成物のアルコールや水、用いた加水分解触媒等を除去することができ、これらの操作を行った後に開環反応に供してもよい。
【0109】
加水分解縮合物(a)中のエポキシ基の開環反応は、無機酸又はカチオン交換樹脂により実施され得る。
上記無機酸は、無機酸水溶液として加えることができる。無機酸水溶液の濃度は例えば、0.01M~10M程度の濃度で用いることができる。無機酸としては例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
また、カチオン交換樹脂としては強酸性カチオン樹脂(例えばスルホン酸型イオン交換樹脂)、弱酸性カチオン樹脂(例えばカルボン酸型イオン交換樹脂)が挙げられる。
なお有機酸を用いた場合、エポキシ基と有機酸の反応では有機酸残基がエポキシ基の開環反応時に付加反応が生じて、ジヒドロキシ構造を形成することができない
【0110】
無機酸及びカチオン交換樹脂のプロトンは、エポキシ基の開環反応において触媒として機能する。本発明において、上述のアルカリ性物質水溶液による加水分解と縮合反応を行い、加水分解縮合物を含む反応系に無機酸又はカチオン交換樹脂を添加する場合、無機酸又はカチオン交換樹脂は残存するアルカリ性物質の中和に消費されることがある。エポキシ基の開環反応に用いられる上記プロトンは、エポキシ基に対してプロトンが0.01~100モル%の割合で添加することによるジヒドロキシ基を生成するが、アルカリ性物質の中和での消費量も考え、0.01~1000モル%、又は0.01~500モル%、0.01~300モル%、0.01~100モル%の割合で添加することができる。
【0111】
また、無機酸又はカチオン交換樹脂を添加した後、アニオンを除去するためにアニオン交換樹脂を用いることができる。アニオン交換樹脂としては強塩基性アニオン交換樹脂(例えば第4級アンモニウム型イオン交換樹脂)、弱塩基性アニオン交換樹脂(例えばポリ
アミン型イオン交換樹脂)を添加することができる。
上記カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂は反応系からろ過により容易に取り除くことができる。
【0112】
このようにして得られた加水分解縮合物(A)(以下、ポリシロキサンとも称する)は、有機溶媒中に溶解しているポリシロキサンワニスの形態として得られ、これをそのまま後述するレジスト下層膜形成組成物の製造に用いることができる。得られたポリシロキサンワニスは溶媒置換してもよいし、また適宜溶媒で希釈してもよい。なお得られたポリシロキサンワニスは、その保存安定性が悪くなければ、有機溶媒を留去し、固形分濃度100%とすることもできる。
上記ポリシロキサンワニスの溶媒置換や希釈等に用いる有機溶媒は、加水分解性シラン混合物の加水分解及び縮合反応に用いた有機溶媒と同じでも異なってもよい。この希釈用溶媒は、特に限定されず、1種でも2種以上でも任意に選択して用いることができる。
【0113】
また上記の加水分解性シラン混合物の加水分解縮合物(A)、並びにその前駆体である加水分解縮合物(a)は、その重量平均分子量を例えば500~1,000,000とすることができる。レジスト下層膜形成組成物中での加水分解縮合物の析出等を抑制する観点等から、好ましくは重量平均分子量を500,000以下、より好ましくは250,000以下、より一層好ましくは100,000以下とすることができ、保存安定性と塗布性の両立の観点等から、好ましくは700以上、より好ましくは1,000以上とすることができる。
なお、重量平均分子量は、GPC分析によるポリスチレン換算で得られる分子量である。GPC分析は、例えばGPC装置(商品名HLC-8220GPC、東ソー(株)製)、GPCカラム(商品名Shodex(登録商標)KF803L、KF802、KF801、昭和電工(株)製)を用い、カラム温度を40℃とし、溶離液(溶出溶媒)としてテトラヒドロフランを用い、流量(流速)を1.0mL/分とし、標準試料としてポリスチレン(昭和電工(株)製)を用いて、行うことができる。
【0114】
(B)架橋性化合物(架橋剤)
本発明に用いられる架橋性化合物(B)として、アルコキシメチル基又はヒドロキシメチル基を有する環構造を含む架橋性化合物、又はブロックイソシアネート基を有する架橋性化合物を挙げることができる。
アルコキシメチル基はメトキシメチル基が好ましく用いることができる。
【0115】
上記架橋性化合物としてはメラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。テトラメトキシメチルグリコールウリルは三井サイテック(株)からパウダーリンク1174(PL-LI)として入手できる。
【0116】
さらに、上記架橋剤としては耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を好ましく用いることができる。
【0117】
この化合物は下記式(6)で表される部分構造を有する化合物や、下記式(7)で表される繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【化29】
式(6)中、R41及びR42はそれぞれ水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、又は炭素原子数6~20のアリール基であり、n41は1~4の整数であり、n42は1~(5-n41)の整数であり、n41+n42は2~5の整数を示す。
式(7)中、R43は水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基であり、R44は炭素原子数1~10のアルキル基であり、n43は1~4の整数であり、n44は0~(4-n43)であり、n43+n44は1~4の整数を示す。
オリゴマー及びポリマーは繰り返し単位構造の数が2~100、又は2~50の範囲で用いることができる。これらのアルキル基やアリール基は上述の例示を挙げることができる。
なお上記式(6)で表される部分構造以外の構造や式(7)で表される繰り返し単位以外の構造は特に限定されず、例えば式(6)及び式(7)中のベンゼン環は任意の置換基で置換されていてもよい。
【0118】
上記式(6)で表される部分構造を含む化合物や、式(7)で表される繰り返し単位を有するポリマー、オリゴマーは以下に例示される。
【化30】
【0119】
【化31】
【0120】
【化32】
【0121】
上記式(6)で表される部分構造を含む化合物や、式(7)で表される繰り返し単位を有するポリマー、オリゴマーは、旭有機材(株)、本州化学工業(株)の製品として入手することができる。
例えば旭有機材(株)製、商品名26DMPC(式(6-7)化合物)、46DMOC、DM-BIPC-F(式(6-3)化合物)、DM-BIOC-F(式(6-4)化合物)、TM-BIP-A(式(6-21)化合物);本州化学工業(株)製、商品名T-MOM-PTBP(式(6-23)化合物)、TMOM-BP(式(6-22)化合物)等にて入手することができる。
【0122】
(B)架橋性化合物の添加量は、使用する溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、上記レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して0.001~80質量%、好ましくは0.01~50質量%、さらに好ましくは0.05~40質量%である。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、上記加水分解縮合物(A)中に架橋性置換基が存在する場合は、それらの架橋性置換基と架橋反応を起こすことができる。
【0123】
(C)酸及び酸発生剤
さらに、本発明では、(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方を使用する。
【0124】
上記酸(酸性化合物)は架橋反応を促進する作用を有し得、例えばカンファースルホン
酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、ピリジニウム-スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ピリジニウム-4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ピリジニウム-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ピリジニウム-ベンゼンジスルホン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、1-ナフタレンスルホン酸、及びピリジニウム-1-ナフタレンスルホン酸等を挙げることができる。これら酸は、1種のみを使用することができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記酸(酸性化合物)は上記加水分解縮合物(A)の質量に対して、0.01~10質量%、または0.05~8質量%、または0.1~8質量%、または0.3~8質量%、または0.5~5質量%で使用することができる。
【0125】
また、酸発生剤は、熱酸発生剤や光酸発生剤が挙げられる。
中でも光酸発生剤は、レジストの露光時に酸を発生し、下層膜の酸性度の調整ができるため、下層膜の酸性度を上層のレジストとの酸性度に合わせるための一方法として有用となることから、好ましく使用できる。また、下層膜の酸性度の調整によって、上層に形成されるレジストのパターン形状の調整が可能となり得るため、こうした観点からも光酸発生剤の使用が好まれる。
また熱酸発生剤は、酸の発生により上記加水分解縮合物(A)と架橋性化合物(B)との有機架橋を促進させる。
【0126】
上記光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及びジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
また熱酸発生剤としては、例えばテトラメチルアンモニウム硝酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸の第4級アンモニウム塩などが挙げられるが、これに限定されない。
【0127】
オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム硝酸塩、トリフェニルスルホニウムトリフルオロ酢酸塩、トリフェニルスルホニウムマレイン酸塩、トリフェニルスルホニウムクロリド等のスルホニウム塩化合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0128】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
ジスルホニルジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
酸発生剤の添加量は、酸発生剤の種類等を考慮して適宜定まるため一概に規定できないが、通常、上記加水分解縮合物(A)の質量に対して、0.01~10質量%の範囲であり、組成物中での酸発生剤の析出を抑制する観点等から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、その効果を十分に得る観点等から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
なお酸発生剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、また、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用してもよい。
【0131】
上記レジスト下層膜形成組成物は、上記(A)加水分解性シランの加水分解縮合物(ポリシロキサン)、(B)架橋性化合物、(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方を含み、さらに溶媒や後述するその他成分を含み得るものである。
レジスト下層膜形成組成物における固形分の濃度は、当該組成物の全質量に対して、例えば0.1乃至50質量%、0.1乃至30質量%、0.1乃至25質量%、0.5乃至20.0質量%とすることができる。固形分とは、当該組成物の全成分から溶媒成分を除いた成分を指す。
固形分中の上記加水分解縮合物(A)の含有量は、通常20質量%~100質量%であるが、上述した本発明の効果を再現性よく得る観点等から、その下限値は、好ましくは50質量%、より好ましくは60質量%、より一層好ましくは70質量%、更に好ましくは80質量%であり、その上限値は、好ましくは99質量%であり、その余を、後述の添加剤とすることができる。
また該組成物中の上記加水分解縮合物(A)の含有量は、例えば0.5乃至20.0質量%とすることができる。
【0132】
レジスト下層膜形成組成物は、上記(A)~(C)成分と、所望により後述するその他の成分とを混合することで製造できる。この際、(A)加水分解縮合物に溶媒を加え、(A)加水分解縮合物を含む溶液を予め準備し、この溶液を、(B)成分、(C)成分、そしてその他の成分と混合してもよい。
混合順序は特に限定されるものではない。例えば、(A)加水分解縮合物を含む溶液に,(B)成分、(C)成分を順に加えて混合し、その混合物にその他の成分を加えてもよく、(A)加水分解縮合物を含む溶液と、(B)成分、(C)成分、その他の成分を同時に混合してもよい。
必要であれば、最後に更に溶媒を追加で加えたり、溶媒に比較的溶けやすい一部の成分を混合物中に含めずにおき、最後にそれを加えたりしてもよいが、構成成分の凝集や分離を抑制し、均一性に優れる組成物を再現性よく調製する観点から、加水分解縮合物が良好に溶解した溶液を予め準備し、これを用いて組成物を調製することが好ましい。なお、加水分解縮合物は、共に混ぜられる溶媒の種類や量、その他の成分の量や性質等によっては、これらが混ぜられた際に凝集又は沈殿する可能性がある点に留意する。また、加水分解縮合物が溶解した溶液を用いて組成物を調製する場合、最終的に得られる組成物中の加水分解縮合物が所望の量となるように、加水分解縮合物の溶液の濃度やその使用量を決める必要がある点も留意する。
組成物の調製において、成分が分解したり変質したりしない範囲で、適宜加熱してもよい。
【0133】
本発明において、レジスト下層膜形成組成物を製造する途中の段階において、又は全ての成分を混合した後に、サブマイクロメートルオーダーのフィルタ等を用いてろ過してもよい。
【0134】
上記レジスト下層膜形成組成物はリソグラフィー工程に使用されるレジスト下層膜形成用の組成物として、好適に用いることができる。
【0135】
<溶媒>
上記レジスト下層膜形成組成物に使用可能な溶媒は、上記固形分を溶解できる溶媒であれば特に制限なく使用することができる。
このような溶媒は、上記の(A)加水分解縮合物、(B)架橋性化合物、(C)酸及び酸発生剤の少なくともいずれか一方やその他の成分を溶解する限り制限されるものではない。
【0136】
その具体例としては、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(1-エトキシ-2-プロパノール)、メチルイソブチルカルビノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1-メトキシ-2-プロパノールモノアセテート)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、4-メチル-2-ペンタノール、γ-ブチロラクトン等を挙げることができ、溶媒は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0137】
また上記レジスト下層膜形成組成物は、溶媒として水を含んでいてもよい。溶媒として水を含む場合、その含有量は、当該組成物が含む溶媒の合計質量に対して、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より一層好ましくは15質量%以下とすることができる。
【0138】
<その他添加剤>
上記レジスト下層膜形成組成物には、組成物の用途に応じて種々の添加剤を配合可能である。
上記添加剤としては、例えば、硬化触媒(アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、窒素含有シラン化合物等)、安定化剤(有機酸、水、アルコール等)、有機ポリマー化合物、界面活性剤(ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、UV硬化型界面活性剤等)、pH調整剤、レオロジー調整剤、接着補助剤等、レジスト下層膜や、反射防止膜、パターン反転用膜など、半導体装置の製造に使用され得る各種膜を形成する材料(組成物)に配合される公知の添加剤を挙げることができる。
なお以下に各種添加剤を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0139】
<硬化触媒>
上記硬化触媒としては、アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩、スルホニウム塩等を用いることができる。なお硬化触媒として記載した下記の塩類は、塩の形態にて添加してもよいし、上記組成物中において塩を形成するもの(添加時には別化合物として添加され、系内で塩を形成するもの)のいずれであってもよい。
【0140】
上記アンモニウム塩としては、式(D-1):
【化33】
(式中、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を、R21はアルキル基又はアリール基を、Yは陰イオンを表す。)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D-2):
【化34】
(式中、R22、R23、R24及びR25はアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表し、且つR22、R23、R24、及びR25はそれぞれC-N結合により窒素原子と結合されているものである)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D-3):
【化35】
(式中、R26及びR27はアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D-4):
【化36】
(式中、R28はアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D-5):
【化37】
(式中、R29及びR30はアルキル基又はアリール基を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表す)で表される構造を有する第4級アンモニウム塩、
式(D-6):
【化38】
(式中、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を、Hは水素原子を、Nは窒素原子を、Yは陰イオンを表す)で表される構造を有する第3級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0141】
また、上記ホスホニウム塩としては、式(D-7):
【化39】
(式中、R31、R32、R33、及びR34はアルキル基又はアリール基を、Pはリン原子を、Yは陰イオンを表し、且つR31、R32、R33、及びR34はそれぞれC-P結合によりリン原子と結合されているものである)で表される第4級ホスホニウム塩を挙げることができる。
【0142】
また、上記スルホニウム塩としては、式(D-8):
【化40】
(式中、R35、R36、及びR37はアルキル基又はアリール基を、Sは硫黄原子を、Yは陰イオンを表し、且つR35、R36、及びR37はそれぞれC-S結合により硫黄原子と結合されているものである)で表される第3級スルホニウム塩を挙げることができる。
【0143】
上記の式(D-1)の化合物は、アミンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を示す。この第4級アンモニウム塩のR21は炭素原子数1乃至18、好ましくは2乃至10のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基を示し、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基等の直鎖アルキル基や、ベンジル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ジシクロペンタジエニル基等が挙げられる。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。
【0144】
上記の式(D-2)の化合物は、R22232425で示される第4級アンモニウム塩である。この第4級アンモニウム塩のR22、R23、R24及びR25は炭素原子数1乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基である。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。この第4級アンモニウム塩は、市販品で入手することが可能であり、例えばテトラメチルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリブチルベンジルアンモニウム、塩化トリメチルベンジルアンモニウム等が例示される。
【0145】
上記の式(D-3)の化合物は、1-置換イミダゾールから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R26及びR27の炭素原子数は1乃至18であり、R26及びR27の炭素原子数の総和が7以上であることが好ましい。例えばR26はメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基を、R27はベンジル基、オクチル基、オクタデシル基を例示することができる。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品で入手することもできるが、例えば1-メチルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール等のイミダゾール系化合物と、臭化ベンジル、臭化メチル等のハロゲン化アルキルやハロゲン化アリールを反応させて製造することができる。
【0146】
上記の式(D-4)の化合物は、ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり
、R28は炭素原子数1乃至18、好ましくは炭素原子数4乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基であり、例えばブチル基、オクチル基、ベンジル基、ラウリル基を例示することができる。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は、市販品として入手することもできるが、例えばピリジンと、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化メチル、臭化オクチル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造することができる。この化合物は例えば、塩化N-ラウリルピリジニウム、臭化N-ベンジルピリジニウム等を例示することができる。
【0147】
上記の式(D-5)の化合物は、ピコリン等に代表される置換ピリジンから誘導される第4級アンモニウム塩であり、R29は炭素原子数1乃至18、好ましくは炭素原子数4乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基であり、例えばメチル基、オクチル基、ラウリル基、ベンジル基等を例示することができる。R30は炭素原子数1乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基であり、例えばピコリンから誘導される第4級アンモニウムである場合には、R30はメチル基である。陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手することもできるが、例えばピコリン等の置換ピリジンと、臭化メチル、臭化オクチル、塩化ラウリル、塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化アルキル、又はハロゲン化アリールを反応させて製造することができる。この化合物は例えば、N-ベンジルピコリニウムクロリド、N-ベンジルピコリニウムブロミド、N-ラウリルピコリニウムクロリド等を例示することができる。
【0148】
上記の式(D-6)の化合物は、アミンから誘導される第3級アンモニウム塩であり、mは2乃至11、nは2乃至3の整数を示す。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。本化合物は、アミンとカルボン酸やフェノール等の弱酸との反応によって製造することができる。カルボン酸としてはギ酸や酢酸が挙げられ、ギ酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(HCOO)であり、酢酸を使用した場合は、陰イオン(Y)は(CHCOO)である。またフェノールを使用した場合は、陰イオン(Y)は(C)である。
【0149】
上記の式(D-7)の化合物は、R31323334の構造を有する第4級ホスホニウム塩である。R31、R32、R33、及びR34は炭素原子数1乃至18のアルキル基、又は炭素原子数6乃至18のアリール基であり、好ましくはR31乃至R34の4つの置換基の内で3つがフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示することができ、また残りの1つは炭素原子数1乃至18のアルキル基、炭素原子数6乃至18のアリール基である。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手することが可能であり、例えばハロゲン化テトラn-ブチルホスホニウム、ハロゲン化テトラn-プロピルホスホニウム等のハロゲン化テトラアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリエチルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリアルキルベンジルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム、
ハロゲン化テトラフェニルホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウム、或いはハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(以上、ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が挙げられる。特に、ハロゲン化トリフェニルメチルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルエチルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスホニウム、ハロゲン化トリフェニルベンジルホスホニウム等のハロゲン化トリフェニルモノアリールホスホニウム、ハロゲン化トリトリルモノフェニルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアリールホスホニウムや、ハロゲン化トリトリルモノメチルホスホニウム等のハロゲン化トリトリルモノアルキルホスホニウム(ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)が好ましい。
【0150】
また、ホスフィン類としては、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピルホスフィン、イソプロピルホスフィン、イソブチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第一ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジイソアミルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第二ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン等の第三ホスフィンが挙げられる。
【0151】
上記の式(D-8)の化合物は、R353637の構造を有する第3級スルホニウム塩である。R35、R36、及びR37は炭素原子数1乃至18のアルキル基又は炭素原子数6乃至18のアリール基であり、好ましくはR35乃至R37の3つの置換基の内で2つがフェニル基又は置換されたフェニル基であり、例えばフェニル基やトリル基を例示することができ、また残りの1つは炭素原子数1乃至18のアルキル基、、又は炭素原子数6乃至18のアリール基である。また陰イオン(Y)は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)等のハロゲン化物イオンや、カルボキシラート(-COO)、スルホナト(-SO )、アルコラート(-O)、マレイン酸アニオン、硝酸アニオン等の酸基を挙げることができる。この化合物は市販品として入手することが可能であり、例えばハロゲン化トリn-ブチルスルホニウム、ハロゲン化トリn-プロピルスルホニウム等のハロゲン化トリアルキルスルホニウム、ハロゲン化ジエチルベンジルスルホニウム等のハロゲン化ジアルキルベンジルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルメチルスルホニウム、ハロゲン化ジフェニルエチルスルホニウム等のハロゲン化ジフェニルモノアルキルスルホニウム、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム(以上、ハロゲン原子は塩素原子又は臭素原子)、トリn-ブチルスルホニウムカルボキシラート、トリn-プロピルスルホニウムカルボキシラート等のトリアルキルスルホニウムカルボキシラート、ジエチルベンジルスルホニウムカルボキシラート等のジアルキルベンジルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルメチルスルホニウムカルボキシラート、ジフェニルエチルスルホニウムカルボキシラート等のジフェニルモノアルキルスルホニウムカルボキシラート、トリフェニルスルホニウムカルボキシラートが挙げられる。また、ハロゲン化トリフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウムカルボキシラートが好ましく用いることができる。
【0152】
また、本発明では硬化触媒として窒素含有シラン化合物を添加することができる。窒素含有シラン化合物としてはN-(3-トリエトキシシリプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール等のイミダゾール環含有シラン化合物が挙げられる。
【0153】
硬化触媒が使用される場合、(A)ポリシロキサン100質量部に対して、0.01質量部乃至10質量部、または0.01質量部乃至5質量部、または0.01質量部乃至3質量部である。
【0154】
<安定化剤>
上記安定化剤は、上記加水分解縮合物の安定化等の目的のために添加され得、その具体
例として、有機酸、水、アルコール、又はそれらの組み合わせを添加することができる。
上記有機酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、乳酸、サリチル酸等が挙げられる。中でも、シュウ酸、マレイン酸が好ましい。有機酸を添加する場合、その添加量は、上記加水分解縮合物(A)の質量に対して0.1~5.0質量%である。これら有機酸はpH調整剤としても働き得る。
上記水としては、純水、超純水、イオン交換水等を用いることができ、使用する場合、その添加量は、レジスト下層膜形成組成物100質量部に対して1質量部~20質量部とすることができる。
上記アルコールとしては塗布後の加熱により飛散しやすいものが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、i-プロパノール、ブタノール等が挙げられる。アルコールを添加する場合、その添加量は、レジスト下層膜形成組成物100質量部に対して1質量部~20質量部とすることができる。
【0155】
<有機ポリマー>
上記有機ポリマー化合物は、該レジスト下層膜形成組成物に添加することにより、該組成物から形成される膜(レジスト下層膜)のドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)や、また減衰係数や屈折率等を調整することができる。該有機ポリマー化合物としては特に制限はなく、その添加目的に応じて、種々の有機ポリマー(縮重合ポリマー及び付加重合ポリマー)の中から適宜選択される。
その具体例としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルエーテル、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の付加重合ポリマー及び縮重合ポリマーが挙げられる。
本発明においては、吸光部位として機能するベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の芳香環や複素芳香環を含む有機ポリマーも、そのような機能が必要な場合には、好適に用い得る。そのような有機ポリマー化合物の具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、ベンジルビニルエーテル及びN-フェニルマレイミド等の付加重合性モノマーをその構造単位として含む付加重合ポリマーや、フェノールノボラック及びナフトールノボラック等の縮重合ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
有機ポリマー化合物として付加重合ポリマーが使用される場合、そのポリマー化合物は、単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
付加重合ポリマーの製造には付加重合性モノマーが使用されるが、そのような付加重合性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、マレイン酸無水物、アクリロニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
アクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、i-プロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリクロロエチルアクリレート、2-ブロモエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、5-アクリロイルオキ
シ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
メタクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリクロロエチルメタクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、ブロモフェニルメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
アクリルアミド化合物の具体例としては、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-アントリルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
メタクリルアミド化合物の具体例としては、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-アントリルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
ビニル化合物の具体例としては、ビニルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニル酢酸、ビニルトリメトキシシラン、2-クロロエチルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
スチレン化合物の具体例としては、スチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、シアノスチレン、アセチルスチレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
マレイミド化合物としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
ポリマーとして縮重合ポリマーが使用される場合、そのようなポリマーとしては、例えば、グリコール化合物とジカルボン酸化合物との縮重合ポリマーが挙げられる。グリコール化合物としてはジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。ジカルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、例えば、ポリピロメリットイミド、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
有機ポリマー化合物がヒドロキシ基を含む場合は、このヒドロキシ基は、加水分解縮合
物等と架橋反応をし得る。
【0165】
上記有機ポリマー化合物の重量平均分子量は、通常1,000~1,000,000でとすることができる。有機ポリマー化合物を配合する場合、ポリマーとしての機能の効果を十分に得つつ、組成物中での析出を抑制する観点から、その重量平均分子量を例えば3,000~300,000、又は5,000~300,000、あるいは10,000~200,000などとすることができる。
このような有機ポリマー化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて用いることができる。
【0166】
上記レジスト下層膜形成組成物が有機ポリマー化合物を含む場合、その含有量は、その有機ポリマー化合物の機能等を考慮して適宜定まるため一概に規定できないが、通常、上記加水分解縮合物(A)の質量に対して、1~200質量%の範囲とすることができ、組成物中での析出を抑制する観点等から、例えば100質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下とすることができ、その効果を十分に得る観点等から、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上とすることができる。
【0167】
<界面活性剤>
界面活性剤は、上記レジスト下層膜形成組成物を基板に塗布した際に、ピンホール、ストレーション等の発生を抑制するのに有効である。上記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、UV硬化型界面活性剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップ(登録商標)EF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)(旧(株)トーケムプロダクツ)製)、商品名メガファック(登録商標)F171、F173、R-08、R-30、R-30N、R-40LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(スリーエムジャパン(株)製)、商品名アサヒガード(登録商標)AG710(AGC(株)製)、サーフロン(登録商標)S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGCセイミケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤、及びオルガノシロキサンポリマ-KP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
界面活性剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0168】
上記レジスト下層膜形成組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、上記加水分解縮合物(A)の質量に対して、0.0001~5質量%の範囲とすることができ、又は0.01~1質量%、又は0.01~1質量%とすることができる。
【0169】
<レオロジー調整剤>
上記レオロジー調整剤は、主にレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベ
ーキング工程において、形成される膜の膜厚均一性の向上や、ホール内部への組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジi-ブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルi-デシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジ-i-ブチルアジペート、ジ-i-オクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体等を挙げることができる。
これらのレオロジー調整剤が使用される場合、その添加量は、上記レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常30質量%未満の割合である。
【0170】
<接着補助剤>
上記接着補助剤は、主に基板あるいはレジストと、当該レジスト下層膜形成組成物から形成される膜(レジスト下層膜)との密着性を向上させ、特に現像においてレジストの剥離を抑制・防止する目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のその他のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2ーメルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1-ジメチルウレア、1,3-ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。
これらの接着補助剤が使用される場合、その添加量は、上記レジスト下層膜形成組成物の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合である。
【0171】
<pH調整剤>
また、pH調整剤として、前述の<安定化剤>として挙げた有機酸などのカルボン酸基を1又は2以上有する酸の他、ビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体を添加することができる。ビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体は、上記加水分解縮合物(A)100質量部に対して、0.01~20質量部、又は0.01~10質量部、又は0.01~5質量部である。
【0172】
以下、ビスフェノールSやビスフェノールS誘導体の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化41】
【0173】
上述したように、本発明は、上述のレジスト下層膜形成組成物を塗布し塗布膜を得、これを紫外線で硬化させる工程を含む、シリコン含有レジスト下層膜の製造方法であって、該シリコン含有レジスト下層膜は、酸素ガスによるドライエッチング処理後に、硫酸過酸化水素水溶液によって除去可能である。
以下、上記レジスト下層膜形成組成物を用いたレジスト下層膜の製造方法の具体例について、例えば半導体装置においてレジスト下層膜が適用される際の前後の工程や、製造後のレジスト下層膜の湿式除去と合わせて説明する。
【0174】
精密集積回路素子の製造に使用される基板〔例えば、酸化珪素膜、窒化珪素膜又は酸化窒化珪素膜で被覆されたシリコンウェハー等の半導体基板、窒化珪素基板、石英基板、ガラス基板(無アルカリガラス、低アルカリガラス、結晶化ガラスを含む。)、ITO(イ
ンジウムスズ酸化物)膜やIZO(インジウム亜鉛酸化物)膜が形成されたガラス基板、プラスチック(ポリイミド、PET等)基板、低誘電率材料(low-k材料)被覆基板、フレキシブル基板等〕の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により、上記レジスト下層膜形成組成物を塗布し、必要があれば溶媒を除去し、塗布膜を得る。溶媒の除去は、減圧又は加熱すること行うことができる。加熱の条件は、溶媒を除去でき、且つ、より温和な条件が好ましく、このような条件を採用することで、優れた湿式除去性を再現性よく実現できる。加熱条件は、溶媒の沸点、固形分の反応性、固形分の濃度、所望の膜厚等を考慮して、通常、加熱温度30~140℃、加熱時間5秒~2分間の範囲から適宜決定される。
上記塗布膜を露光して、レジスト下層膜を形成する。以下、本明細書において、レジスト下層膜とは、上記レジスト下層膜形成組成物より形成される膜をいう。
【0175】
次に、得られた塗布膜を露光する。
露光には紫外線光(波長10nm乃至400nm)を用いることができ、波長が150nm乃至330nm、好ましくは150nm乃至248nmの光を使用し得、例えばKrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、Xeエキシマレーザー(波長172nm)、及びF2エキシマレーザー(波長157nm)等を使用することができる。中でも、波長172nm光の使用が好ましい。
また露光光量は10mJ/cm乃至3000mJ/cmとすることができる。
上記露光工程は、酸素及び/又は水蒸気(水)が存在する不活性ガス雰囲気下で露光を行ってもよい。不活性ガスとしては特に窒素ガスが好ましく用いることができる。
【0176】
ここで形成されるレジスト下層膜の膜厚としては、例えば、10nm~1,000nmであり、又は20nm~500nmであり、又は50nm~300nmであり、又は100nm~200nm、または10nm~100nmである。
【0177】
なお、後述するように、紫外線照射により光硬化させたレジスト下層膜は、酸素ガスによりドライエッチング処理される。ドライエッチング処理後のレジスト下層膜は、後述するように、硫酸過酸化水素水溶液により除去可能である。
【0178】
なお、上記基板上に有機下層膜を形成した後、この上に上記レジスト下層膜を形成した態様とすることもでき、本発明にあっては有機下層膜を設けた態様であることが好ましい。以下、有機下層膜を設けた態様として、レジスト下層膜形成工程後の工程も含め説明する。
ここで使用する有機下層膜としては、特に制限はなく、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができる。
基板上に、有機下層膜、その上にレジスト下層膜、さらにその上に後述するレジスト膜を設けた態様とすることにより、フォトレジスト膜のパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にフォトレジスト膜を薄く被覆した場合でも、後述する適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
例えば、フォトレジスト膜に対して十分に早いエッチング速度を有するフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてレジスト下層膜の加工が可能であり、当該レジスト下層膜に対して十分に早いエッチング速度を有する酸素系ガスをエッチングガスとして用いて、有機下層膜の加工が可能であり、更に有機下層膜に対して十分に早いエッチング速度を有するフッ素系ガスをエッチングガスとして用いて、基板の加工を行うことができる。
【0179】
次いで、上記レジスト下層膜の上に、例えばフォトレジストの層(レジスト膜)が形成される。レジスト膜の形成は周知の方法にて、すなわち、レジスト下層膜の上に、レジスト組成物(例えばフォトレジスト)を塗布し焼成することによって行なうことができる。
レジスト膜の膜厚は、例えば10nm~10,000nmであり、又は100nm~2
,000nmであり、又は200nm~1,000nmであり、又は30nm~200nmである。
【0180】
上記レジスト下層膜上に形成されるレジスト膜に使用されるフォトレジスト材料としては、露光に使用される光(例えば、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等)に感光するものであれば特に限定はされず、ネガ型フォトレジスト材料及びポジ型フォトレジスト材料のいずれも使用できる。例えば、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト材料、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト材料、酸により分解してフォトレジスト材料のアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト材料、及び酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジスト材料のアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト材料等がある。
市販品として入手可能な具体例としては、シプレー社製商品名APEX-E、住友化学(株)製商品名PAR710、JSR(株)製;商品名AR2772JN、及び信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられるが、これらに限定されない。また、例えば、Proc.SPIE,Vol.3999,330-334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357-364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365-374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系フォトレジスト材料を挙げることができる。
【0181】
また、上記レジスト下層膜上に形成されるレジスト膜には、フォトレジスト膜に替えて電子線リソグラフィー用レジスト膜(電子線レジスト膜とも称する)、又はEUVリソグラフィー用レジスト膜(EUVレジスト膜とも称する)を用いることができる。
上記電子線レジスト材料としては、ネガ型材料、ポジ型材料いずれも使用できる。その具体例としては、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる化学増幅型レジスト材料、アルカリ可溶性バインダーと酸発生剤と酸により分解してレジスト材料のアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト材料、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーと酸により分解してレジスト材料のアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト材料、電子線によって分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト材料、電子線によって切断されアルカリ溶解速度を変化させる部位を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト材料などがある。これらの電子線レジスト材料を用いた場合も、照射源を電子線としてフォトレジスト材料を用いた場合と同様にレジスト膜のパターンを形成することができる。
また上記EUVレジスト材料としては、メタクリレート樹脂系レジスト材料を用いることができる。
【0182】
次に、レジスト下層膜の上層に形成されたレジスト膜に対して、所定のマスク(レクチル)を通して露光を行う。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)、EUV(波長13.5nm)、電子線等を使用することができる。
露光後、必要に応じて露光後加熱(post exposure bake)を行なうこともできる。露光後加熱は、加熱温度70℃~150℃、加熱時間0.3分間~10分間から適宜選択された条件で行われる。
【0183】
次いで、現像液(例えばアルカリ現像液)によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジスト膜が使用された場合は、露光された部分のフォトレジスト膜が
除去され、フォトレジスト膜のパターンが形成される。
現像液(アルカリ現像液)としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度5~50℃、時間10秒~600秒から適宜選択される。
【0184】
また本発明では、現像液として有機溶剤を用いることができ、露光後に現像液(溶剤)によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジスト膜が使用された場合は、露光されない部分のフォトレジスト膜が除去され、フォトレジスト膜のパターンが形成される。
現像液(有機溶剤)としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を例として挙げることができる。さらに、これらの現像液に界面活性剤などを加えることもできる。現像の条件としては、温度は5℃~50℃、時間は10秒~600秒から適宜選択される。
【0185】
このようにして形成されたフォトレジスト膜(上層)のパターンを保護膜としてレジスト下層膜(中間層)の除去を行い、次いでパターン化されたフォトレジスト膜とパターン化されたレジスト下層膜(中間層)からなる膜を保護膜として、有機下層膜(下層)の除去を行い、有機下層膜が除去された部分の基板に対して、イオン(不純物)注入等の加工を行い、その後レジスト下層膜の除去が行われる。
【0186】
レジスト膜(上層)のパターンを保護膜として行われるレジスト下層膜(中間層)の除去はドライエッチングによって行われ、テトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、
一酸化炭素、アルゴン、酸素、窒素、六フッ化硫黄、ジフルオロメタン、三フッ化窒素、三フッ化塩素、塩素、トリクロロボラン及びジクロロボラン等のガスを使用することができる。
なおレジスト下層膜のドライエッチングには、ハロゲン系ガスを使用することが好ましい。ハロゲン系ガスによるドライエッチングでは、基本的に有機物質からなるレジスト膜(フォトレジスト膜)は除去されにくい。それに対し、ケイ素原子を多く含むシリコン含有レジスト下層膜はハロゲン系ガスによって速やかに除去される。そのため、該レジスト下層膜のドライエッチングに伴うフォトレジスト膜の膜厚の減少を抑えることができる。そして、その結果、フォトレジスト膜を薄膜で使用することが可能となる。従って、レジスト下層膜のドライエッチングはフッ素系ガスによることが好ましく、フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン(CH)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
基板とレジスト下層膜の間に有機下層膜を有している場合、次いでパターン化されたレジスト膜(上層)とパターン化されたレジスト下層膜(中間層)からなる膜を保護膜として行われる有機下層膜(下層)の除去は、酸素系ガス(酸素ガス、酸素/硫化カルボニル(COS)混合ガス等)によるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。これは、ケイ素原子を多く含む上記レジスト下層膜は、酸素系ガスによるドライエッチングでは除去されにくいことによる。
【0188】
続いて、(半導体)基板の加工としてイオン注入が行うことができる。
イオン注入は、例えば、公知のイオン注入装置又はイオンドーピング装置を用い、不純物イオンを上記基板に注入することにより行われる。イオン注入の条件は、例えば加速電圧:500eV乃至10MeV、ドーズ量:1×1010/cm乃至1×1018/cmの範囲から適当な条件が選択される。
【0189】
最後にレジスト下層膜の除去が行われる。一般に、レジスト下層膜の除去は、ドライエッチングやウェットエッチングが行われる。
レジスト下層膜(中間層)のドライエッチングは、例えばフッ素系ガスにより実施され、例えばテトラフルオロメタン(CF)、パーフルオロシクロブタン(C)、パーフルオロプロパン(C)、トリフルオロメタン、及びジフルオロメタン(CH)等が挙げられる。
また、レジスト下層膜(中間層)のウェットエッチングは、例えば希フッ酸、バッファードフッ酸、塩酸と過酸化水素を含む水溶液(SC-2薬液)、硫酸と過酸化水素を含む水溶液(硫酸過酸化水素水溶液)(SPM薬液)、弗酸と過酸化水素を含む水溶液(FPM薬液)や、アンモニアと過酸化水素を含む水溶液(SC-1薬液)等の薬液により実施される。
SPM薬液の硫酸と過酸化水素との比は、例えば、硫酸/過酸化水素=85~95wt%/1~10wt%である。
【0190】
本発明では、上記シリコン含有レジスト下層膜を用いた製造方法により得られたレジスト下層膜は、これを酸素ガスによるドライエッチング処理後に湿式除去が可能となる。
上記基板が酸化珪素膜である場合や、基板の加工としてイオン注入を行った場合、レジスト下層膜の除去にあたり、従来使用されてきたフッ素系ガスによるドライエッチングを実施すると、酸化珪素膜やイオン注入された基板がダメージを受ける虞がある。
本発明によれば、上記レジスト下層膜形成組成物の塗布膜を光硬化しレジスト下層膜を製造することで、酸素ガスエッチング処理後の該レジスト下層膜を、硫酸過酸化水素水溶液によって除去することができ、フッ素系ガスによるドライエッチングに比べて、基板に与えるダメージを抑制できる。
【0191】
またレジスト下層膜の上層には、レジスト膜の形成前に有機系の反射防止膜を形成することができる。そこで使用される反射防止膜組成物としては特に制限はなく、例えば、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができ、また、慣用されている方法、例えば、スピナー、コーターによる塗布及び焼成によって反射防止膜の形成を行なうことができる。
【0192】
また、上記レジスト下層膜形成組成物が塗布される基板は、その表面にCVD法などで形成された有機系又は無機系の反射防止膜を有するものであってもよく、その上にレジスト下層膜を形成することもできる。
【0193】
上記レジスト下層膜形成組成物より形成されるレジスト下層膜はまた、リソグラフィープロセスにおいて使用される光の波長によっては、その光に対する吸収を有することがある。そして、そのような場合には、基板からの反射光を防止する効果を有する反射防止膜として機能することができる。
さらに上記レジスト下層膜は、基板とレジスト膜(フォトレジスト膜等)との相互作用の防止するための層、レジスト膜に用いられる材料又はレジスト膜への露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能を有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層レジスト膜への拡散を防ぐ機能を有する層、及び半導体基板誘電体層によるレジスト膜のポイズニング効果を減少させるためのバリア層等として使用することも可能である。
【0194】
上記レジスト下層膜は、デュアルダマシンプロセスで用いられるビアホールが形成された基板に適用され得、ホールを隙間なく充填することができる穴埋め材(埋め込み材)として使用できる。また、凹凸のある半導体基板の表面を平坦化するための平坦化材として使用することもできる。
また上記レジスト下層膜は、EUVレジスト膜の下層膜として、ハードマスクとしての機能以外にも、例えばEUVレジスト膜とインターミキシングすることなく、EUV露光(波長13.5nm)に際して好ましくない露光光、例えばUV(紫外)光やDUV(深紫外)光(:ArF光、KrF光)の基板又は界面からの反射を防止することができる、EUVレジスト膜の下層反射防止膜として、用いることができる。すなわちEUVレジスト膜の下層で効率的に反射を防止することができる。EUVレジスト下層膜として用いた場合は、そのプロセスはフォトレジスト用下層膜と同様に行うことができる。
【実施例
【0195】
以下、合成例および実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
なお、下記調製したポリマー(加水分解縮合物)の重量平均分子量は以下のGPC測定装置及び測定条件にて実施した。
・GPC装置 商品名:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
・GPCカラム 商品名:Shodex(登録商標 KF803L,KF802,KF801(昭和電工(株)製)
・カラム温度:40℃
・溶離液(溶出溶媒):テトラヒドロフラン
・流量(流速):1.0mL/min
・標準物質:ポリスチレン(昭和電工(株)製)
【0196】
[1]ポリマー(加水分解縮合物)の調製
(合成例1)
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(濃度:35質量%)0.74g、水1.18g、イソプロピルアルコール22.15g及びメチルイソブチルケトン44.30
gを300mLのフラスコに入れて撹拌し、得られた溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら、そこへメトキシベンジルトリメトキシシラン2.34g、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート5.46g、メチルトリエトキシシラン2.20g、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン4.33g及びアセトキシプロピルトリメトキシシラン7.82gの混合物を滴下した。添加後、40℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、反応させた。
その後、エポキシ基を開環させて、ジヒドロキシ基を有する加水分解縮合物とするために、反応溶液に硝酸水溶液(濃度:1mol/L)43.98gを滴下し、さらに40℃で4時間、反応させた。
その後、反応溶液を室温まで冷却し、その反応溶液とメチルイソブチルケトン132.91g及び水66.45gを用いて分液処理を行い、有機層を回収した。回収した有機層にプロピレングリコールモノメチルエーテル66.45gを加え、減圧下で、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール及び水を留去することによって、プロピレングリコールモノメチルエーテルを溶媒とする加水分解縮合物(ポリマー)の濃縮液を得た。なお、得られた濃縮液の固形分濃度は、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%を超えるものであった。
次いで、得られた濃縮液に、プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%となるように濃度を調整し、プロピレングリコールモノエチルエーテルを溶媒とする加水分解縮合物(ポリマー)の溶液(固形分濃度13質量%)を得た。得られたポリマーは式(X-1)で表される構造を含み、その重量平均分子量(Mw)は、GPCによるポリスチレン換算でMw2,500であった。また、JIS規格(JISK 7236)に従った方法で測定した結果、エポキシ価は0であった。
【化42】
【0197】
(合成例2)
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(濃度:35質量%)0.85g、水1.35g、イソプロピルアルコール24.80g及びメチルイソブチルケトン49.59gを300mLのフラスコに入れて撹拌し、得られた溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら、そこへメトキシベンジルトリメトキシシラン3.04g、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート6.23g、メチルトリエトキシシラン5.82g、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン4.95g、アセトキシメチルトリメトキシシラン4.75gの混合物を滴下した。添加後、40℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、反応させた。
その後、エポキシ基を開環させて、ジヒドロキシ基を有する加水分解縮合物とするために、反応溶液に硝酸水溶液(濃度:1mol/L)50.29gを滴下し、さらに40℃で4時間、反応させた。
その後、反応溶液を室温まで冷却し、その反応溶液とメチルイソブチルケトン148.77g及び水74.39gを用いて分液処理を行い、有機層を回収した。回収した有機層にプロピレングリコールモノメチルエーテル74.39gを加え、減圧下で、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール及び水を留去することによって、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルを溶媒とする加水分解縮合物(ポリマー)の濃縮液を得た。なお、得られた濃縮液の固形分濃度は、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%を超えるものであった。
次いで、得られた濃縮液に、プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%となるように濃度を調整し、プロピレングリコールモノエチルエーテルを溶媒とする加水分解縮合物(ポリマー)の溶液(固形分濃度13質量%)を得た。得られたポリマーは式(X-2)で表される構造を含み、その重量平均分子量(Mw)は、GPCによるポリスチレン換算でMw2,700であった。また、JIS規格(JISK 7236)に従った方法で測定した結果、エポキシ価は0であった。
【化43】
【0198】
(比較合成例1)
テトラエトキシシラン25.4g、フェニルトリメトキシシラン1.73g、メチルトリエトキシシラン7.36g、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート0.72g及びアセトン53.02gを300mLのフラスコに入れて撹拌し、得られた溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら、そこへ塩酸水溶液(濃度0.01mol/L)11.63gを滴下した。滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。
その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70gを加え、減圧下で、アセトン、メタノール、エタノール、塩酸及び水を留去することによって、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを溶媒とする加水分解縮合物(ポリマー)の濃縮液を得た。なお、得られた濃縮液の固形分濃度は、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%を超えるものであった。
次いで、得られた濃縮液に、プロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、140℃で加熱した場合における固形残物換算で13質量%となるように濃度を調整し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとプロピレングリコールモノエチルエーテルの混合溶媒(20/80(V/V))を溶媒とする水分解縮合物(ポリマー)の溶液(固形分濃度13質量%)を得た。得られたポリマーは式(X-3)で表される構造を含み、その重量平均分子量(Mw)は、GPCによるポリスチレン換算でMw2,100であった。また、JIS規格(JISK 7236)に従った方法で測定した結果、エポキシ価は0であった。
【化44】
【0199】
[2]実施例1~2、比較例1:シリコン含有レジスト下層膜形成組成物の調製
上記合成例1~2、及び比較合成例1で得られた加水分解縮合物(Siポリマー)、酸及び酸発生剤、架橋性化合物、溶媒等を表1及び表2に示す割合(質量部)で混合し、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルタで濾過することによって、シリコン含有レジスト下層膜形成組成物をそれぞれ調製した。
なお、表1及び表2中のポリマー(ポリシロキサン)の添加割合は、ポリマー溶液の添加量ではなく、ポリマー自体の添加量を示した。
また下記表1及び表2中、用いた略号は以下の通りである。
PPTS:ピリジニウム-p-トルエンスルホン酸
TAG-2689:トリフルオロメタンスルホン酸の第4級アンモニウム塩(キングインダストリーズ社製 熱酸発生剤)
PL-LI:テトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)
MA:マレイン酸
IMID-TEOS:N-(3-トリエトキシプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGEE:プロピレングリコールモノエチルエーテル
【0200】
【表1】
【0201】
【表2】
【0202】
[3]有機下層膜形成組成物の調製
プロピレングリコールモノメチルエーテル7.57gに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート17.67g、製品名:EHPE-3150(2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、(株)ダイセル製)5.00g、9-アントラセンカルボン酸3.11g、安息香酸2.09g及びエチルトリフェニルホスホニウムブロミド0.62gを加え、窒素雰囲気下、13時間加熱還流した。
反応混合物を室温まで冷却した後、そこへ陽イオン交換樹脂(製品名:アンバーリスト[登録商標]15JWET、オルガノ(株)製)16g及び陰イオン交換樹脂(製品名:ダウエックス[登録商標] MONOSPHERE[登録商標]550A、室町ケミカル(株)製)16gを加え、25℃~30℃で4時間撹拌した。そして、ろ過によって樹脂を取り除き、反応生成物であるポリマーを含む溶液を得た。
得られた反応生成物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量は4,700であった。得られた反応生成物は、下記式(Y)で表される構造単位を有する共重合体(ポリマー)と推定される。
【化45】
得られたポリマーを含む溶液5g(ポリマーの濃度:16質量%)に、テトラエトキシメチルグリコールウリル0.2g、ピリジニウム-p-トルエンスルホナート0.03g及び製品名 メガファック[商標登録]R-30(DIC(株)製)0.0008g、プロピレングリコールモノメチルエーテル6.4g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート4.5gを加えて混合し、得られた溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターで濾過した後、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターで更に濾過し、有機下層膜形成組成物を得た。
【0203】
[4]熱硬化性試験(100℃、1分間)
実施例1~2及び比較例1で調製した各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃1分間加熱し、膜をそれぞれ形成し、得られた各膜の膜厚を計測した。
その後、各膜の上に、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶媒(7/3(V/V))をそれぞれ塗布し、スピン乾燥した。そして、乾燥後の膜の膜厚を計測し、混合溶媒塗布前後での膜厚の変化の有無を評価した。混合溶媒塗布前の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が10%以下のものを「良好」、膜厚変化が10%未満のものを「硬化せず」と評価した。得られた結果
を表3に示す。なお、以降の説明において、使用したレジスト下層膜形成組成物の例番号を、当該組成物を用いて実施した各種評価の例番号としても扱うものとする。
【0204】
【表3】
【0205】
表3に示すように、上記加熱条件下で、実施例1~2及び比較例1の各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いて形成した膜は、十分な溶媒耐性を示さないことを確認した。
【0206】
[5]光硬化性試験
実施例1~2及び比較例1で調製した各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃1分間加熱し、膜をそれぞれ形成し、次いで、窒素雰囲気下、光照射装置(ウシオ電機(株)製 SUS867)を用いて、波長172nmの光を約300mJ/cmの条件又は約500mJ/cmの条件にて、各膜の全面に照射した。そして、照射後の各膜の膜厚を計測した。
その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶媒(=7/3(V/V))を各膜上にそれぞれ塗布しスピン、乾燥した。そして、乾燥後の各膜の膜厚を計測し、混合溶媒塗布前後での膜厚の変化の有無を評価した。混合溶媒塗布前の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が10%以下のものを「良好」、膜厚変化が10%未満のものを「硬化せず」と評価した。得られた結果を表4に示す。
【0207】
【表4】
【0208】
表4に示すように、実施例1~2の各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いて形成した膜は、光硬化性を示すことを確認した。
【0209】
[6]ArF液浸露光によるレジストパターン評価
(レジストパターニング評価:アルカリ現像を行うPTD工程を経由した評価)
上記有機下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で240℃1分間加熱し、有機下層膜(A層)をそれぞれ形成した(
膜厚200nm)。
上記A層の上に、実施例1~2及び比較例1で調製した各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物をスピナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃1分間加熱し、塗布膜をそれぞれ形成し、次いで、窒素雰囲気下、光照射装置(ウシオ電機(株)製
SUS867)を用いて、波長172nmの光を約100mJ/cmの条件にて、各膜の全面に照射し、シリコン含有レジスト下層膜(B層)(膜厚40nm)を形成した。また、同様の操作を、約300mJ/cm、又は約500mJ/cmとの条件で行い、シリコン含有レジスト下層膜(B層)(膜厚40nm)を形成した。
上記B層の上に、更に市販のArF液浸用レジスト溶液を、スピナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で110℃1分間加熱し、フォトレジスト膜(C層)(膜厚90nm)を形成した後、スキャナー(波長193nm、NA:1.35、0.98/0.75)を用い、現像後にフォトレジストのライン幅及びそのライン間の幅が0.040μm、すなわち0.040μmのラインアンドスペース(L/S)=1/1のデンスラインが形成されるように設定されたマスクを通して、露光を行った。
露光後、露光後加熱(110℃1分間)を行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、38質量%濃度のアルカリ水溶液を用いて60秒現像し、リンス処理をし、レジストパターンを形成した。
得られたレジストパターンについて、大きなパターン剥がれやアンダーカット、ライン底部の太り(フッティング)が発生しないものを「良好」と、倒れがあるものを「パターン倒れ」として評価した。得られた結果を表5に示す。
【0210】
【表5】
【0211】
表5に示すように、実施例1~2の各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いて形成した膜は、良好なリソグラフィー特性を示すことを確認した。
【0212】
[7]光硬化レジスト下層膜のSPM除去性評価
実施例1~2及び比較例1で調製した各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で100℃1分間加熱し、膜をそれぞれ形成し、次いで、窒素雰囲気下、光照射装置(ウシオ電機(株)製 SUS867)を用いて、波長172nmの光を約100mJ/cmの条件にて、各膜の全面に照射し、光硬化膜を形成した。また、同様の操作を、約300mJ/cm、又は約500mJ/cmとの条件で行い、光硬化膜を形成した。そして、得られた各光硬化膜の膜厚を計測した。
一方、実施例1~2及び比較例1で調製したシリコン含有レジスト下層膜形成組成物を、スピナーを用いてシリコンウェハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で180℃60秒間加熱し、熱硬化膜を形成し、得られた各熱硬化膜の膜厚を計測した。
得られた各光硬化膜又は各熱硬化膜の上に、ラサ工業(株)製レジスト剥離剤 RS-30(硫酸・過酸化水素混合水(硫酸/過酸化水素=85~95wt%/1~10wt%):SPM薬液)を塗布し、水でリンスし、基板に空気を吹き付けることで乾燥した。そ
して、乾燥後の各膜の膜厚を計測し、混合溶媒塗布前後での膜厚の変化の有無を評価した。SPM薬液塗布前の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が70%以上のものを「良好」、膜厚変化が70%未満のものを「溶解せず」と評価した。なお、SPM薬液による除去性能を確認する観点から、この場合における「溶解せず」との評価は、本発明において好ましくないものである。得られた結果を表6に示す。
【0213】
【表6】
【0214】
表6に示すように、実施例1~2の各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用い、光硬化及び熱硬化させた膜はいずれも、SPM薬液による除去性が良好であることを確認した。
【0215】
[8]ドライエッチング後のレジスト下層膜のSPM除去性評価
実施例1~2及び比較例1で調製した各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を用いて、上述の方法と同様の方法で、光硬化膜又は熱硬化膜を得て、得られた各光硬化膜及び熱硬化膜の膜厚を計測した。
得られた各光硬化膜又は各熱硬化膜について、平行平板型反応性イオンエッチング装置
RIE-10NR(サムコ(株)製)を使用し、Oドライエッチング処理(エッチング条件:N/O=150/50(sccm/sccm)、時間:30秒、圧力:8Pa、100W)を実施した。
その後、エッチング処理した各光硬化膜又は各熱硬化膜の上に、ラサ工業(株)製レジスト剥離剤 RS-30(硫酸・過酸化水素混合水:SPM薬液)を塗布し、水でリンスし、基板に空気を吹き付けることで乾燥した。そして、乾燥後の各膜の膜厚を計測し、混合溶媒塗布前後での膜厚の変化の有無を評価した。SPM薬液塗布前(エッチング処理前)の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が70%以上のものを「良好」、膜厚変化が70%未満のものを「溶解せず」と評価した。なお、SPM薬液による除去性能を確認する観点から、この場合における「溶解せず」との評価は、本発明において好ましくないものである。得られた結果を表7に示す。
【0216】
【表7】
【0217】
表7に示すように、実施例1~2の各シリコン含有レジスト下層膜形成組成物を光硬化させて得られた膜は、Oエッチング後においてもSPM薬液による除去性が良好であることを確認した。