IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 旭硝子株式会社の特許一覧

特許7564508グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス
<>
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図1
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図2
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図3
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図4
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図5
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図6
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図7
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図8
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図9
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図10
  • 特許-グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/62 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
E06B3/62 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021090788
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022183455
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 粛
(72)【発明者】
【氏名】桶谷 幸史
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109248(JP,A)
【文献】特開2000-145966(JP,A)
【文献】特開2012-112120(JP,A)
【文献】実開昭58-195779(JP,U)
【文献】実開昭57-15896(JP,U)
【文献】特開2018-188862(JP,A)
【文献】特開2012-122231(JP,A)
【文献】特開2004-190316(JP,A)
【文献】特開2004-124390(JP,A)
【文献】実開平7-10370(JP,U)
【文献】国際公開第2017/099216(WO,A1)
【文献】特開2017-89306(JP,A)
【文献】特許第5347103(JP,B1)
【文献】特開2016-156156(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0854263(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、前記底面部の両縁に接する一対のコーナー部と、前記一対のコーナー部からそれぞれ立設させた一対の側壁部とを有する縦断面形状がU字形状の本体部であって、窓ガラスの縁部に装着される本体部と、
前記一対の側壁部の上部からそれぞれ前記窓ガラスの主面に向けて斜め上方に延びる一対のシール部と、を備え、
前記底面部は、複数の分割底面部と、前記複数の分割底面部を連結することにより前記底面部を構成する少なくとも一つの連結部とを有し、
前記分割底面部及び前記一対の側壁部は、JIS K6253-3(2012)に準拠してタイプAのデュロメータで測定される硬度が80度以上100度以下である硬質部材からなり、
前記一対のシール部及び前記連結部は、前記方法により測定される硬度が50度以上80度未満である軟質部材からなる、
グレージングチャンネル。
【請求項2】
前記連結部は上面側及び下面側の少なくとも片側に、厚みが薄くなっている陥入部を有する、
請求項1に記載のグレージングチャンネル。
【請求項3】
前記連結部は、前記陥入部を境に分断可能である、
請求項2に記載のグレージングチャンネル。
【請求項4】
前記底面部は、前記分割底面部として、第1分割底面部と第2分割底面部とを有し、前記連結部として、前記第1分割底面部と第2分割底面部とを連結する第1連結部を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のグレージングチャンネル。
【請求項5】
前記底面部は、前記分割底面部として、第1分割底面部と第2分割底面部と第3分割底面部とを有し、前記連結部として、前記第1分割底面部と第3分割底面部とを連結する第1連結部、及び前記第2分割底面部と第3分割底面部とを連結する第2連結部を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のグレージングチャンネル。
【請求項6】
前記複数の分割底面部の各々の長さは、前記一対のシール部の各々の長さよりも長い、請求項1から5のいずれか1項に記載のグレージングチャンネル。
【請求項7】
前記一対の側壁部の内側からそれぞれ前記窓ガラスの主面に向けて斜め下方に延びる一対の舌片状部を備え、前記複数の分割底面部の各々の長さは、前記一対の舌片状部の各々の長さよりも長い、請求項1から6のいずれか1項に記載のグレージングチャンネル。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のグレージングチャンネルがロール状に巻かれた巻取体であって、
少なくとも一つの前記連結部を屈曲部として前記一対の側壁部を互いに離れる方向に離間させることにより前記本体部の縦断面形状をU字形状からW字形状に変更した状態でロール状に巻かれた、グレージングチャンネル巻取体。
【請求項9】
前記シール部が外側を向く状態で、ロール状に巻かれた、請求項8に記載のグレージングチャンネル巻取体。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載のグレージングチャンネルと、前記グレージングチャンネルの前記一対の側壁部に接着剤により接着された前記窓ガラスと、を備える、グレージングチャンネル付き窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラスを窓枠に取り付ける際、グレージングチャンネルが窓ガラスの周縁部に装着される。特許文献1には、開口を有する断面U字形状の硬質樹脂部と、硬質樹脂部に一体成形され硬質樹脂部の開口の両先端に設けられた軟質樹脂部とを備えるグレージングチャンネルが開示されている。
【0003】
一方、特許文献2に開示されたグレチャン本体は、弾力性を有する軟質の樹脂材からなり、内部に中空部を設けて上下方向に潰れ易くすることにより巻取ることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-211524号公報
【文献】特開2004-124390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されたような巻取り可能なグレージングチャンネルは、例えば、リールに巻き取られた場合に中空部が潰れてしまうため巻き癖が付くという問題がある。その結果として、上記のグレージングチャンネルは、巻き癖を手直ししなければ使用できず、つまり、リールから巻き戻して直ぐに使用できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、巻取り可能であって巻き戻した際に巻き癖の少ないグレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、本発明の目的を達成するために、底面部と、底面部の両縁に接する一対のコーナー部と、一対のコーナー部からそれぞれ立設させた一対の側壁部とを有する縦断面形状がU字形状の本体部であって、窓ガラスの縁部に装着される本体部と、一対の側壁部の上部からそれぞれ窓ガラスの主面に向けて斜め上方に延びる一対のシール部と、を備え、底面部は、複数の分割底面部と、複数の分割底面部を連結することにより底面部を構成する少なくとも一つの連結部とを有し、分割底面部及び一対の側壁部は、JIS K6253-3(2012)に準拠してタイプAのデュロメータで測定される硬度が80度以上100度以下である硬質部材からなり、一対のシール部及び連結部は、前記方法により測定される硬度が50度以上80度未満である軟質部材からなる。
【0008】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、連結部は上面側及び下面側の少なくとも片側に、厚みが薄くなっている陥入部を有することが好ましい。
【0009】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、連結部は、陥入部を境に分断可能であることが好ましい。
【0010】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、底面部は、分割底面部として、第1分割底面部と第2分割底面部とを有し、連結部として、第1分割底面部と第2分割底面部とを連結する第1連結部を有することが好ましい。
【0011】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、底面部は、分割底面部として、第1分割底面部と第2分割底面部と第3分割底面部とを有し、連結部として、第1分割底面部と第3分割底面部とを連結する第1連結部、及び第2分割底面部と第3分割底面部とを連結する第2連結部を有することが好ましい。
【0012】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、複数の分割底面部の各々の長さは、一対のシール部の各々の長さよりも長いことが好ましい。
【0013】
本発明のグレージングチャンネルの一形態は、一対の側壁部の内側からそれぞれ窓ガラスの主面に向けて斜め下方に延びる一対の舌片状部を備え、複数の分割底面部の各々の長さは、一対の舌片状部の各々の長さよりも長いことが好ましい。
【0014】
本発明のグレージングチャンネル巻取体の一形態は、本発明の目的を達成するために、本発明のグレージングチャンネルがロール状に巻かれた巻取体であって、少なくとも一つの連結部を屈曲部として一対の側壁部を互いに離れる方向に離間させることにより本体部の縦断面形状をU字形状からW字形状に変更した状態でロール状に巻かれている。
【0015】
本発明のグレージングチャンネル巻取体の一形態は、シール部が外側を向く状態で、ロール状に巻かれることが好ましい。
【0016】
本発明のグレージングチャンネル付き窓ガラス一形態は、本発明の目的を達成するために、本発明のグレージングチャンネルと、グレージングチャンネルの一対の側壁部に接着剤により接着された窓ガラスと、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、巻取り可能であって巻き戻した際に巻き癖の少ないグレージングチャンネル及びグレージングチャンネル巻取体並びにグレージングチャンネル付き窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係るグレージングチャンネルの要部縦断面図である。
図2図2は、図1に示したグレージングチャンネルの使用形態を示したグレージングチャンネル付き窓ガラスの要部縦断面図である。
図3図3は、図1に示したグレージングチャンネルをセパレート型のグレージングチャンネルとして構成した縦断面図である。
図4図4は、図3に示したグレージングチャンネルの使用形態を示したグレージングチャンネル付き窓ガラスの要部縦断面図である。
図5図5は、図1に示したグレージングチャンネルをリールに巻き取る場合の形態を示した断面図である。
図6図6は、実施形態のグレージングチャンネル巻取体の斜視図である。
図7図7は、図1に示したグレージングチャンネルがリールに巻き取られた場合の要部断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るグレージングチャンネルの要部縦断面図である。
図9図9は、図8に示したグレージングチャンネルの使用形態を示したグレージングチャンネル付き窓ガラスの要部縦断面図である。
図10図10は、図8に示したグレージングチャンネルをセパレート型のグレージングチャンネルとして構成した縦断面図である。
図11図11は、図10に示したグレージングチャンネルの使用形態を示したグレージングチャンネル付き窓ガラスの要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。なお、本明細書において、方向及び位置を表わす「上」「下」「左」「右」は、グレージングチャンネル付き窓ガラスが建物の窓枠に取り付けられた場合の「上」「下」「左」「右」を意味する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るグレージングチャンネル10の要部縦断面図である。図2は、図1に示したグレージングチャンネル10の使用形態を示した、第1実施形態に係るグレージングチャンネル付き窓ガラス100の要部縦断面図である。
【0021】
図3は、図1に示したグレージングチャンネル10を、後述する連結部12(図1参照)の陥入部14を境に分断して一対(セパレート型)のグレージングチャンネル50、50として構成した縦断面図である。図4は、図3に示したグレージングチャンネル50、50の使用形態を示した、第2実施形態に係るグレージングチャンネル付き窓ガラス150の要部縦断面図である。
【0022】
本明細書においては、グレージングチャンネル付き窓ガラス100(図2参照)、150(図4参照)の上下左右の各縁部のうち下縁部の断面を示して説明する。また、図4では、「室外」「室内」を図示している。以下、図1及び図2に示した形態に先立って、図3及び図4に示した形態について説明する。
【0023】
図4では、上記のセパレート型のグレージングチャンネル50、50が、二層の複層ガラス20で構成される窓ガラスに装着されたグレージングチャンネル付き窓ガラス150が示されている。なお、図3及び図4で示したグレージングチャンネル50は、複層ガラス20に限定されず、1枚のガラス板、または例えば防火性能を有する網入りガラス等の他の態様の窓ガラスでも好適に装着できる。また、複層ガラス20は二層に限定されず、三層以上であってもよい。
【0024】
図4に示すように、グレージングチャンネル付き窓ガラス150は、複層ガラス20と、グレージングチャンネル50、50と、を有する。グレージングチャンネル50、50は、複層ガラス20を構成する第1ガラス板22及び第2ガラス板24の周縁部に相当する側縁部22a、24aに装着される。そして、グレージングチャンネル付き窓ガラス150は、例えば窓枠80に形成された溝部82に不図示のセッティングブロックを介して取り付けられる。
【0025】
複層ガラス20は、第1ガラス板22と、第2ガラス板24と、第1ガラス板22と第2ガラス板24とを隔置するスペーサ26と、を備える。第1ガラス板22と、第2ガラス板24と、スペーサ26と、によって複層ガラス20の内部に中空層28が画定される。スペーサ26は、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の内側主面の側縁に沿って配置されるので、第1ガラス板22と第2ガラス板24との間隔がスペーサ26によって一定に保持される。
【0026】
第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、例えばソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、または無アルカリガラス等の無機ガラスの板である。
【0027】
また、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、例えば、物理強化処理、または化学強化処理等の強化処理が施されたガラス板でもよい。また、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、複数のガラス板を、中間膜を介して貼り合わせた公知の合わせガラスであってもよい。
【0028】
さらに、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、各々の主面に、機能を向上させるための機能性膜が形成されたガラス板でもよい。機能性膜としては、例えば低放射性膜(Low-E膜)、防曇膜、防汚膜、または撥水性膜が挙げられる。さらにまた、第1ガラス板22及び第2ガラス板24は、各々の厚みとして、窓ガラスに好適な例えば1mm以上24mm以下のガラス板であることが好ましい。
【0029】
本例の複層ガラス20は、第1ガラス板22の内側主面と、この内側主面に対向するスペーサ26の面とが、一次シール30によって接着される。また、第2ガラス板24の内側主面と、この内側主面に対向するスペーサ26の面とが、一次シール30によって接着される。さらに、スペーサ26の下側(中空層28の反対側)の面と、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の各内側主面とによって凹状の溝が画定され、この溝に二次シール32が充填される。二次シール32は一次シール30、30に接しており、一次シール30、30と二次シール32とによって中空層28が外気から遮断される。
【0030】
スペーサ26は、中空状に構成されて空洞部を有する。スペーサ26の上側(中空層28の側)の面には、スペーサ26の長手方向(紙面に垂直な方向)に沿って複数の通気孔34が所定の間隔で設けられる。通気孔34は、スペーサ26の空洞部に貫通して形成される。これによって、スペーサ26の空洞部と中空層28とが連通される。また、スペーサ26の空洞部には、粒状ゼオライト等の乾燥剤36が充填されているので、中空層28内の気体が通気孔34を介して乾燥剤36によって乾燥される。
【0031】
スペーサ26は、アルミニウムを主材質とする金属製スペーサであってもよく、また、樹脂製スペーサであってもよい。樹脂製スペーサの場合、その表面にアルミニウムシートを被覆してもよい。樹脂製スペーサを用いる場合は、一次シール30、30と二次シール32を用いなくてもよい場合がある。
【0032】
一次シール30としては、通常架橋処理されないブチルゴム、またはポリイソブチレンをベースとし、着色と補強を目的としたカーボンブラック等のフィラーを含有せしめたものが好適である。なお、一次シール30は固化せず、粘着性のみを有するため、いわゆる複層ガラス20におけるスペーサ26と第1ガラス板22及び第2ガラス板24との間の接着は、二次シール32により確保される。
【0033】
二次シール32としては、例えば、ポリサルファイド(横浜ゴム株式会社製:登録商標:ハマタイトSM9000)、シリコーン(東レ・ダウコーニング株式会社製:商品名:SE936)、ウレタン(サンユレック株式会社製:登録商標:SANYU IGS205)等の硬化性エラストマをベースとし、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の接着性を発現するために適当な変性が加えられたもの等が好適である。
【0034】
次に、図4を参照しつつ図3に示したグレージングチャンネル50、50について説明する。なお、2つのグレージングチャンネル50、50は同一構成であるので、それぞれ同一の符号を付して説明するが、本発明の要素となる部分については異なる符号を付して説明する。
【0035】
図3に示すように、グレージングチャンネル50は、本体部52とシール部54とを備える。本体部52は、底面部52A(52Aa、52Ab)と、底面部52Aに接するコーナー部52Bと、コーナー部52Bから立設させた側壁部52Cとを有し、L字形状の縦断面形状を有している。また、底面部52Aと側壁部52Cとは略直交の位置関係にある。また、コーナー部52Bは、底面部52Aと側壁部52Cとの間に位置し、複層ガラス20のエッジ部を保護する機能を有する。ここで、底面部52Aにおいて、連結部12(図1参照)を境に左側の底面部52Aを第1底面部52Aaと称し、右側の底面部52Aを第2底面部52Abと称する。連結部12は、本発明の連結部の一例であり、第1底面部52Aa及び第2底面部52Abは、本発明の分割底面部の一例である。
【0036】
本体部52(底面部52A、コーナー部52B及び側壁部52C)は、JIS K6253-3(2012)に準拠してタイプAのデュロメータで測定される硬度が80度以上100度以下である硬質部材から構成される。この硬質部材としては、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AES樹脂、クロロプレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、シリコンゴム、及びサーモプラスチックエラストマーからなる群から選択されるいずれかの材料で構成されることが好ましい。また、上記の硬度としては、90度以上99度以下であることが好ましく、95度以上99度以下であることがより好ましく、96度以上99度以下であることがさらに好ましい。このような硬度を有する硬質部材(半硬質部材とも言う。)によって本体部52を構成することにより、グレージングチャンネル50に要求される剛性(硬さ)と、窓枠80に安定して取り付けるために要求される柔軟性とを併せ持つ本体部52が構成される。なお、以下の説明において、「硬度」と称した場合には、「デュロメータ硬さ(JIS K6253-3(2012)に準拠)(タイプA)」を意味するものとする。
【0037】
シール部54は、図4に示すように、側壁部52Cの上部から複層ガラス(窓ガラス)20の主面20Aに向けて斜め上方に延びている。このシール部54は、グレージングチャンネル50を複層ガラス20に取り付けた場合、複層ガラス20の主面20Aに押圧されることにより複層ガラス20の主面20Aに密着される。また、このとき、シール部54と側壁部52Cの上部(後述する接着剤60よりも上方の部分)とが、複層ガラス20の主面20Aから外方に向けて弾性変形する。その結果として、グレージングチャンネル付き窓ガラス150を窓枠80に取り付けた場合、シール部54と側壁部52Cの上部とが窓枠80の開口端部80Aとその近傍部に密着される。これにより、グレージングチャンネル付き窓ガラス150が窓枠80に対して安定して保持される。
【0038】
また、シール部54は、側壁部52Cの上部から複層ガラス(窓ガラス)20の主面20Aとは反対側に向けて斜め下方に延びる突出部55(図3参照)を有する。シール部54は、グレージングチャンネル付き窓ガラス150が図4の窓枠80に取り付けられた場合、窓枠80の上部に形成された開口端部80Aに突出部55が押圧される。これによって、シール部54は、図4の二点鎖線で示すように複層ガラス20の主面20A側に向けて弾性変形される。このような突出部55をシール部54に備えることにより、窓枠80と協働して複層ガラス20に対するグレージングチャンネル50の密着性及び水密性が向上される。
【0039】
シール部54は、硬度が50度以上80度未満である軟質部材からなる。この軟質部材としては、当然であるが本体部52よりも軟質な軟質樹脂が好ましい。また、この場合、難燃性の軟質樹脂が好ましい。上記の硬度としては、60度以上75度以下であることが好ましく、68度以上74度以下であることがより好ましく、70度以上72度以下であることがさらに好ましい。
【0040】
本体部52及びシール部54は、押し出し成形により一体的に形成されることが好ましい。この場合、本体部52及びシール部54の材料としては、押し出し成形可能な樹脂材料が用いられる。その樹脂材料としては熱可塑性樹脂材料、熱硬化性樹脂材料、湿気硬化性樹脂材料等、種々の材料を例示できる。その中でも、押し出し後に放冷するだけで直ちに固化する熱可塑性樹脂材料が好ましく、その中でも既述の硬度を満たす難燃性のポリ塩化ビニル樹脂材料が特に好ましい。
【0041】
また、グレージングチャンネル50は、シール部54の表面(図3ではシール部54の下面)にサポート部56が取り付けられている。サポート部56は、鉛直上に延びる側壁部52Cの上端から複層ガラス20の主面20Aに向けて斜め上方に延びている。このサポート部56は、硬度が80度以上100度以下である硬質部材によって構成され、シール部54の強度を補強する機能を有している。なお、サポート部56は側壁部54Cと一体に成形されているので、サポート部56をシール部54に容易に配置できる。また、サポート部56は、シール部54の下面に配置されているので、シール部54とサポート部56との界面が外部に露出せず、その結果として、外観意匠性のよいグレージングチャンネル付き窓ガラス150を構成できる。また、サポート部56がシール部54に対して突出していないので、複層ガラス20の主面20Aが風圧等の圧力を受けたり、主面20Aに梱包材などの物が当たったりして主面20Aが力を受けた場合でも、硬質部材であるサポート部56が主面20Aに当接しないため複層ガラス20を保護できる。
【0042】
さらに、グレージングチャンネル50は、上記のシール部54に加えて舌片状部58を有している。舌片状部58は、側壁部52Cの内側から複層ガラス20の主面20Aに向けて斜め下方に延びている。舌片状部58は、グレージングチャンネル50を複層ガラス20に取り付けた場合、図4に示すように、複層ガラス20の主面20Aに押圧されることにより複層ガラス20の主面20Aに密着される。この舌片状部58もシール部54と同様に、硬度が50度以上80度未満である軟質部材(例えば、軟質ポリ塩化ビニル樹脂材料)で構成されて押し出し成形により一体的に成形されることが好ましい。なお、グレージングチャンネル50においては、舌片状部58は必須のものではない。
【0043】
上記の如く構成されたグレージングチャンネル50は、図4に示すように、側壁部52Cが接着剤60によって複層ガラス20の主面20Aに接着される。これにより、グレージングチャンネル付き窓ガラス150が構成される。
【0044】
接着剤60としては、一例として両面接着テープが採用されている。この場合、両面接着テープが貼付される側壁部52Cの内側面52Dにおいては、例えば上下方向において、少なくとも3mm以上の平坦部を有していることが好ましい。これにより、グレージングチャンネル50と主面20Aとの接着力が高められる。なお、接着剤60としては、上記の両面接着テープに限定されず、例えば、エポキシ系接着剤またはホットメルト接着剤等の他の接着剤を採用してもよい。但し、両面接着テープを採用すれば接着剤の硬化時間(養生時間)を省くことができるので、グレージングチャンネル付き窓ガラス150が短時間で組み立てられる。
【0045】
また、図3のグレージングチャンネル50、50は、第1底面部52Aa及び第2底面部52Abの各々の両端部のうち、コーナー部52B、52Bと接する一方側の端部とは反対側の他方側の端部に底面端部62Aa、62Abを備えている。この底面端部62Aa、62Abは、図1に示した連結部12を、陥入部14を境に分断することにより上記の他方側の端部にそれぞれ備えられたものである。底面端部62Aa、62Ab及び陥入部14からなる連結部12(図1参照。)は、硬度が50度以上80度未満である軟質部材から構成されている。なお、上記の硬度としては、65度以上75度以下であることが好ましく、68度以上74度以下であることがより好ましく、70度以上72度以下であることがさらに好ましい。
【0046】
また、窓枠80は、図4に示すように、グレージングチャンネル付き窓ガラス150を収容するための溝部82と、グレージングチャンネル50と係合する一対の爪部84とを備え、U字形状の縦断面形状を有している。一対の爪部84は、窓枠80の互いに対向する開口端部80Aに互いに対向して形成されており、窓枠80の開口幅を決定するための部材として機能している。
【0047】
次に、グレージングチャンネル付き窓ガラス150の作用について説明する。
【0048】
グレージングチャンネル付き窓ガラス150は、図4に示したように、第1ガラス板22及び第2ガラス板24の側縁部22a、24aにグレージングチャンネル50、50が別々に装着されており、シール部54、54により、複層ガラス20がグレージングチャンネル50に保持されている。この状態で、例えば、複層ガラス20の何れかの主面(例えば、室外側の主面)20Aが風圧等の圧力を受けると、複層ガラス20は圧力の方向(室内側)に移動(変位)していくため、圧力の方向に位置する右側のシール部54を押圧していく。このとき、シール部54は軟質部材で構成されているので変形する。一方、圧力の方向とは反対側に位置する左側のシール部54と複層ガラス20とは互いに離れようとし、この場合、左側のシール部54による複層ガラス20の保持力が弱まる問題がある。
【0049】
そこで、上記の問題を解決するため、グレージングチャンネル50の硬質の側壁部50Cを複層ガラス20の両主面20Aに接着剤(両面接着テープ)60によって接着する構成が採用されている。これにより、複層ガラス20が圧力を受けた場合、圧力の方向とは反対側に位置する左側のシール部54と複層ガラス20とは互い離れようとはせず、左側のシール部54による複層ガラス20の保持力が一定に維持される。これにより、図4のグレージングチャンネル付き窓ガラス150によれば、複層ガラス(窓ガラス)20を安定して保持できる。
【0050】
ここで、図1及び図2に示した形態(前者の形態)と、図3及び図4に示した形態(後者の形態)との相違点について説明する。後者の形態は、グレージングチャンネルとして、セパレート型のグレージングチャンネル50、50が採用され、前者の形態は、一体型のグレージングチャンネル10が採用された点にある。つまり、後者の形態は、前者の形態において、陥入部14を境に連結部12を分断することで構成された形態である。以下、前者の形態について説明する。なお、後者の形態と同一である構成においても繰り返して説明する。
【0051】
図1に示すように、グレージングチャンネル10の本体部52は、底面部52Aと、底面部52Aの両端部にそれぞれ接する一対のコーナー部52B、52Bと、一対のコーナー部52B、52Bからそれぞれ立設させた一対の側壁部52C、52Cと、を有し、U字形状の縦断面形状を有している。
【0052】
また、底面部52Aは、第1底面部52Aaと第2底面部52Abとを有し、第1底面部52Aaと第2底面部52Abとは、連結部12を介して連結されている。連結部12は、硬度が50度以上80度未満である軟質部材(例えば、軟質ポリ塩化ビニル樹脂材料)によって構成されており、押し出し成形により本体部52及びシール部54と一体に成形されている。
【0053】
図1に示すグレージングチャンネル10は、図2に示すように、硬質の側壁部52C、52Cがガラス板102の両主面102A、102Aに接着剤60、60によって接着されている。これにより、ガラス板102が圧力を受けた場合、圧力の方向とは反対側に位置するシール部54とガラス板102とは互い離れようとはしないので、シール部54によるガラス板102の保持力が一定に維持される。これにより、図2に示すグレージングチャンネル付き窓ガラス100によれば、ガラス板(窓ガラス)102を安定して保持できる。また、ガラス板102の厚さに誤差がある場合には、シール部54と側壁部52Cの上部(接着剤60よりも上方の部分)とが、ガラス板102の両主面102A、102Aから外方に向けて弾性変形することでその誤差を吸収できる。
【0054】
図1及び図2に示すように、連結部12は、グレージングチャンネル10を、図3に示したセパレート型のグレージングチャンネル50、50に分断するために、上記の陥入部14を有している。この陥入部14が本体部52の下面(ガラス板102とは反対側)及び上面(ガラス板102の側)の両方に形成されている場合、図1に示した陥入部14を屈曲支点として、両側の側壁部52Cと側壁部52Cとを互いに離れる方向に折り曲げると、図1のU字形状のグレージングチャンネル10を、図5に示すW字形状の形態に容易に変更できる。また、グレージングチャンネル10の形態を図5の形態から図1の形態に容易に変更できる。なお、接着剤(両面接着テープ)60は、図5で示した形態時に側壁部52Cに貼り付けることが好ましい。このとき、プライマーを使用してもよい。
【0055】
屈曲支点となる陥入部14は、本体部52の下面のみまたは上面のみに形成されてもよいが、グレージングチャンネル10の形態を図1に示した形態と図5に示した形態との間で容易に変更する観点から、本体部52の下面及び上面の両方に形成されることが好ましい。
【0056】
また、連結部12は、既述したように、厚みが薄くなっている陥入部14を境に分断可能である。つまり、陥入部14を境に連結部12を破断した場合、底面部52Aが第1底面部52Aaと第2底面部52Abとに分断され、そして、第1底面部52Aaと第2底面部52Abの互いに対向する端部に、図3及び図4に示した底面端部62Aa、62Abが備えられる。繰り返し説明するが、図3及び図4で示したセパレート型のグレージングチャンネル50、50は、図1乃至図2で示したグレージングチャンネル10を、陥入部14を境に分断した形態である。つまり、軟質の連結部12を本体部52に備えることにより、一体型のグレージングチャンネル10からセパレート型のグレージングチャンネル50、50に形態が変更される。
【0057】
一方、図5に示したグレージングチャンネル10の形態は、グレージングチャンネル10を、図6の二点鎖線で示すリール200に巻き取る場合の好適な形態である。リール200に巻き取るグレージングチャンネル10は、複層ガラス(窓ガラス)20やガラス板(窓ガラス)102の周縁部の長さに合わせた長さを有するものであってもよく、その長さに合わせて切断される前の長い状態であってもよい。
【0058】
図5の形態のグレージングチャンネル10を、図6のリール200に巻き取る場合、図7に示すように、グレージングチャンネル10は互いに重なり合いながらリール200に巻き取られていく。このとき、グレージングチャンネル10は、上に重なる他のグレージングチャンネル10からリール200に向けて矢印A方向の押圧力を受けるが、このとき、連結部12とその外側(矢印B方向側)に重なるコーナー部52Bとが接触することにより上記の押圧力を吸収できる。その結果として、硬質部材の本体部52が塑性変形したり損傷したりすることを防止できる。また、グレージングチャンネル10をリール200から巻き戻した場合、連結部12とシール部54の弾性復元力によってグレージングチャンネル10は、図5に示した元の形態に直ちに復元するので、巻き癖を抑制できる。
【0059】
したがって、第1実施形態のグレージングチャンネル10によれば、底面部52Aは、第1底面部52Aa及び第2底面部52Abと連結部12とを有し、第1底面部52Aaと第2底面部52Ab及び一対の側壁部52C、52Cは、JIS K6253-3(2012)に準拠してタイプAのデュロメータで測定される硬度が80度以上100度以下である硬質部材からなり、一対のシール部54、54及び連結部12は、硬度が50度以上80度未満である軟質部材からなるので、巻取り可能であって巻き戻した際に巻き癖の少ないグレージングチャンネル10、及び図6に示すグレージングチャンネル巻取体210を提供できる。また、グレージングチャンネル10が連結部12を屈曲支点として繰り返し開いたり閉じたりしても連結部12が意図しないで分断されることはないので、品質のよいグレージングチャンネル10を提供できる。また、グレージングチャンネル10において、舌片状部58は必須の部材ではないが、舌片状部58を有する場合、舌片状部58の硬度は50度以上80度未満である軟質部材からなることが好ましい。この硬度であれば、グレージングチャンネル10を図7のリール200から巻き戻した際に、舌片状部58に付く巻き癖を少なくできる。
【0060】
ここで、上記の硬質部材と上記の軟質部材の硬度の差は、21~31度であることが好ましく、硬度差の比率は67~79%であることが好ましい。
【0061】
また、グレージングチャンネル10がリール200に巻き取られる場合の好適な形態としては、図7に示すように、シール部54が矢印Bで示すリール200の外側を向く状態でロール状に巻かれることが好ましい。その結果として、上記の押圧力を連結部12とその外側(矢印B方向側)に重なるコーナー部52Bとの接触によって効果的に吸収でき、グレージングチャンネル10が規則的に巻き取られるため、グレージングチャンネル10の巻取り可能な長さを長くできる。なお、シール部54が内側を向く状態でロール状に巻かれていても問題はない。
【0062】
グレージングチャンネル10の好適な形態としては、第1底面部52Aa及び第2底面部52Abの各々の長さが、シール部54と舌片状部58の各々の長さよりも長いことが好ましい。図7に示すように、グレージングチャンネル10をW字形状の形態としてリール200に巻き取る際に、重なり合うグレージングチャンネル10におけるシール部54同士の接触と舌片状部58同士の接触が生じにくくなるので、シール部54及び舌片状部58を保護できる。
【0063】
〔第2実施形態〕
図8は、第2実施形態に係るグレージングチャンネル160の要部縦断面図である。図9は、図8に示したグレージングチャンネル160の使用形態を示した、第3実施形態のグレージングチャンネル付き窓ガラス170の要部縦断面図である。
【0064】
図10は、図8に示したグレージングチャンネル160において、左右の二つの連結部12、12のうち右側に位置する連結部12の陥入部14を境に分断し、セパレート型のグレージングチャンネル162、162として構成した縦断面図である。図11は、図10に示したグレージングチャンネル162、162の使用形態を示した、第4実施形態のグレージングチャンネル付き窓ガラス180の要部縦断面図である。なお、図1から図4に示した第1実施形態と共通する構成要素については同一の符号を付している。
【0065】
図1から図4に示した第1実施形態のグレージングチャンネル10と、図8から図11に示す第2実施形態のグレージングチャンネル160との相違点は、第1実施形態では、1つの連結部12を有しているのに対し、第2実施形態では2つの連結部(本発明の第1連結部及び第2連結部に相当)12、12を有している点にある。また、第2実施形態では、第1実施形態の複層ガラス20(図4参照)よりも幅広の窓ガラス190(図11参照)にセパレート型のグレージングチャンネル162、162が装着されている点にある。
【0066】
図8に示すように、グレージングチャンネル160の本体部52は、底面部52Aと、底面部52Aの両端部にそれぞれ接する一対のコーナー部52B、52Bと、一対のコーナー部52B、52Bからそれぞれ立設させた一対の側壁部52C、52Cとを有し、U字形状の縦断面形状を有している。また、底面部52Aは、第1底面部52Aaと第2底面部52Abと第3底面部52Acとを有し、第1底面部52Aaと第3底面部52Acとが第1連結部に相当する連結部12を介して連結され、第2底面部52Abと第3底面部52Acとが第2連結部に相当する連結部12を介して連結されている。
【0067】
図9に示した形態も図2に示した形態と同様に、グレージングチャンネル160は、硬質の側壁部52C、52Cが複層ガラス20の両主面20Aに接着剤60、60によって接着されている。これにより、複層ガラス20が圧力を受けた場合、圧力の方向とは反対側に位置するシール部54と複層ガラス20とは互い離れようとはしないので、シール部54による複層ガラス20の保持力が一定に維持される。これにより、図9に示した形態のグレージングチャンネル付き窓ガラス170も複層ガラス20を安定して保持できる。
【0068】
一方、図11に示す窓ガラス190は、合わせガラス192と一枚のガラス板194とがスペーサ26を介して隔置された複層ガラスとして構成されている。合わせガラス192は、ガラス板196とガラス板198とが中間膜199を介して接合されたものである。なお、合わせガラス192に代えて厚みの厚い防火ガラスを適用してもよい。
【0069】
また、図11に示すグレージングチャンネル162、162は、図8に示したグレージングチャンネル160において第2底面部52Abと第3底面部52Acとを連結している連結部12を、陥入部14を境に分断することによって構成されたものである。そして、左側のグレージングチャンネル162は、接着剤60を介して窓ガラス190(合わせガラス192)の左側の主面190Aに接着され、右側のグレージングチャンネル162は、接着剤60を介して窓ガラス190(ガラス板194)の右側の主面190Aに接着されている。なお、上記の連結部12を分断することによって、第3底面部52Acの端部に底面端部62Acが備えられる。
【0070】
図11に示した形態も図4に示した形態と同様に窓ガラス190を安定して保持できる。
【0071】
また、第2実施形態のグレージングチャンネル160においても、二つの連結部12、12を屈曲部として一対の側壁部52C、52Cを互いに離れる方向に離間させることにより、本体部52の縦断面形状をU字形状から略W字形状に変更できる(図5参照)。そして、この状態でロール状に巻き取られる(図6参照)。そして、グレージングチャンネル160は、連結部12とその外側に重なる連結部52Bの押圧力吸収作用と、連結部12とシール部54の弾性復元力とによって、巻き戻した際に巻き癖の少ないものとなる。なお、グレージングチャンネル160の巻取体においては、図6に示したグレージングチャンネル巻取体210と略同一構成なので、ここでは図示を省略する。
【0072】
第1実施形態及び第2実施形態では、1つ又は2つの連結部12を有する底面部52Aを例示したが、底面部52Aは3つ以上の連結部12を有していてもよい。同様に、第1実施形態及び第2実施形態では、2つ又は3つの分割底面部(第1底面部52Aa、第2底面部52Ab、第3底面部52Ac)を有する底面部52Aを例示したが、底面部は4つ以上の分割底面部を有していてもよい。
【0073】
以上、本発明の一実施形態に係るグレージングチャンネルを説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部または全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0074】
10…グレージングチャンネル、12…連結部、14…陥入部、20…複層ガラス、22…第1ガラス板、24…第2ガラス板、26…スペーサ、28…中空層、30…一次シール、32…二次シール、34…通気孔、36…乾燥剤、50…グレージングチャンネル、52…本体部、52A…底面部、52Aa…第1底面部、52Ab…第2底面部、52Ac…第3底面部、52B…コーナー部、52C…側壁部、52D…内側面、54…シール部、55…突出部、56…サポート部、58…舌片状部、60…接着剤、62Aa…底面端部、62Ab…底面端部、62Ac…底面端部、80…窓枠、82…溝部、84…爪部、100…グレージングチャンネル付き窓ガラス、150…グレージングチャンネル付き窓ガラス、160…グレージングチャンネル、162…グレージングチャンネル、170…グレージングチャンネル付き窓ガラス、180…グレージングチャンネル付き窓ガラス、190…窓ガラス、192…合わせガラス、194…ガラス板、196…ガラス板、198…ガラス板、199…中間膜、200…リール、210…グレージングチャンネル巻取体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11