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特許7564590基板重ね合わせ装置、及び基板重ね合わせ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】基板重ね合わせ装置、及び基板重ね合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2024013913
(22)【出願日】2024-02-01
【審査請求日】2024-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011226
【氏名又は名称】AIメカテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100211627
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 穂寿
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳裕
(72)【発明者】
【氏名】菊地 右文
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-145908(JP,A)
【文献】特開2013-191601(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114620637(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持して昇降するリフトピンと、
前記基板を前記リフトピンから受け取り前記基板を保持する保持部と、を備え、
前記リフトピンと前記保持部とを互いに近づけることで、前記保持部に保持された前記基板と、前記リフトピンで支持した前記基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、
前記リフトピンは、
上下方向に延びるピン本体と、
前記ピン本体の上端部に取り付けられ、上下方向に弾性変形可能な材質で形成された第1部材と、
前記第1部材の上面に設けられ、前記基板と接触する第2部材と、を備え
前記ピン本体と前記第1部材との間に第3部材が設けられる、基板重ね合わせ装置。
【請求項2】
前記第1部材は、多孔質体である、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項3】
前記第1部材は、独立気泡タイプの多孔質体である、請求項2に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項4】
前記第1部材は、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、及びシリコーンゴムのうち少なくとも一つを含む材質から形成される、請求項3に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項5】
前記第2部材は、前記第1部材よりも前記基板に対する離型性が高い、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項6】
前記第1部材及び前記第2部材は、使用温度よりも耐熱性が高い、請求項5に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項7】
前記第2部材は、ポリイミドを含む材質から形成される、請求項5又は請求項6に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項8】
前記第2部材は、前記第1部材の弾性変形に追従して変形可能である、請求項5に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項9】
前記第3部材は、前記第2部材と同じ材質で形成される、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項10】
前記第1部材、前記第2部材、及び前記第3部材は、一体として形成される、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項11】
前記リフトピンが下降した際に、前記リフトピンから渡された前記基板を支持する基板支持部を備える、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項12】
前記保持部及び前記基板支持部の一方又は双方に、前記基板を加熱するための加熱部を備える、請求項11に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項13】
前記基板支持部で支持された前記基板を位置決めするアライメント機構を備える、請求項11に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項14】
前記保持部は、高さ位置が固定されている、請求項1に記載の基板重ね合わせ装置。
【請求項15】
基板を支持して昇降するリフトピンと、
前記基板を前記リフトピンから受け取り前記基板を保持する保持部と、を備え、
前記リフトピンと前記保持部とを互いに近づけることで、前記保持部に保持された前記基板と、前記リフトピンで支持した前記基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、
前記リフトピンは、
上下方向に延びるピン本体と、
前記ピン本体の上端部に取り付けられ、
前記基板を重ね合わせる際に、10kPa~50kPaの押圧力により弾性変形する第1部材と、
前記第1部材の上面に設けられ、前記基板と接触する第2部材と、を備え
前記ピン本体と前記第1部材との間に第3部材が設けられる、基板重ね合わせ装置。
【請求項16】
請求項1又は請求項15に記載の基板重ね合わせ装置を用いて、
先に搬送された前記基板の上面を前記保持部で吸着することと、
前記保持部で前記基板を吸着した後、次に搬送された前記基板を前記リフトピンで支持することと、
前記保持部と前記リフトピンとを互いに近づけ、前記第1部材を変形させる押圧力で2枚の前記基板を重ね合わせることと、を含む、基板重ね合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板重ね合わせ装置、及び基板重ね合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2枚の基板を重ね合わせる基板重ね合わせ装置が知られている。このような基板重ね合わせ装置として、上方に位置する基板に対し、下方に位置する基板を押し付けて重ね合わせる際に、下方に位置する基板をリフトピンで支持して持ち上げる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示す基板重ね合わせ装置のリフトピンは、基板を支持する部分が、上方から見て円形であって上下方向に所定の厚さを有した板状に形成されている。このリフトピンは、円形状の上面に基板の中央部分が載ることで、基板を支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2023-156160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、下方に位置する基板をリフトピンで持ち上げ、上方に位置する基板に押し付けた場合に、リフトピンが接触する部位においては、その周囲のリフトピンが折衝しない部位に比較すると、2枚の基板に局所的に大きな圧力が加わってしまうことがある。その結果、基板に搭載されたデバイスの損傷等を招く可能性がある。昨今の先端半導体製造におけるウエハ等の基板を薄化して積層する三次元実装技術では特に留意が必要である。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明は、2枚の基板を重ね合わせる際に、基板に過大な圧力が加わるのを有効に抑えることが可能な基板重ね合わせ装置、及び基板重ね合わせ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様では、基板を支持して昇降するリフトピンと、前記基板を前記リフトピンから受け取り前記基板を保持する保持部と、を備え、前記リフトピンと前記保持部とを互いに近づけることで、前記保持部に保持された前記基板と、前記リフトピンで支持した前記基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、前記リフトピンは、上下方向に延びるピン本体と、前記ピン本体の上端部に取り付けられ、上下方向に弾性変形可能な材質で形成された第1部材と、前記第1部材の上面に設けられ、前記基板と接触する第2部材と、を備え、前記ピン本体と前記第1部材との間に第3部材が設けられる、基板重ね合わせ装置が提供される
本発明の第1態様では、基板を支持して昇降するリフトピンと、前記基板を前記リフトピンから受け取り前記基板を保持する保持部と、を備え、前記リフトピンと前記保持部とを互いに近づけることで、前記保持部に保持された前記基板と、前記リフトピンで支持した前記基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、前記リフトピンは、上下方向に延びるピン本体と、前記ピン本体の上端部に取り付けられ、上下方向に弾性変形可能な材質で形成された第1部材と、前記第1部材の上面に設けられ、前記基板と接触する第2部材と、を備える、基板重ね合わせ装置が提供される。
【0007】
本発明の態様は、基板を支持して昇降するリフトピンと、前記基板を前記リフトピンから受け取り前記基板を保持する保持部と、を備え、前記リフトピンと前記保持部とを互いに近づけることで、前記保持部に保持された前記基板と、前記リフトピンで支持した前記基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、前記リフトピンは、上下方向に延びるピン本体と、前記ピン本体の上端部に取り付けられ、前記基板を重ね合わせる際に、10kPa~50kPaの押圧力により弾性変形する第1部材と、前記第1部材の上面に設けられ、前記基板と接触する第2部材と、を備え、前記ピン本体と前記第1部材との間に第3部材が設けられる、基板重ね合わせ装置が提供される。
本発明の第2態様では、基板を支持して昇降するリフトピンと、基板を前記リフトピンから受け取り基板を保持する保持部と、を備え、リフトピンと保持部とを互いに近づけることで、保持部に保持された基板と、リフトピンで支持した基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、リフトピンは、基板を重ね合わせる際に、10kPa~50kPaの押圧力により弾性変形する第1部材と、第1部材の上面に設けられ、基板と接触する第2部材と、を備える、基板重ね合わせ装置が提供される。
【0008】
本発明の第3態様では、基板を支持して昇降するリフトピンと、基板をリフトピンから受け取り基板を保持する保持部と、を備え、リフトピンと保持部とを互いに近づけることで、保持部に保持された基板と、リフトピンで支持した基板とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置であって、リフトピンは、上下方向に延びるピン本体と、ピン本体の上端部に取り付けられ、上下方向に没入自在に構成された押圧ピンと、を備える、基板重ね合わせ装置が提供される。
【0009】
本発明の第4態様では、上記した基板重ね合わせ装置を用いて、先に搬送された前記基板の上面を前記保持部で吸着することと、前記保持部で前記基板を吸着した後、次に搬送された前記基板を前記リフトピンで支持することと、前記保持部と前記リフトピンとを互いに近づけ、前記第1部材を変形させる押圧力で2枚の前記基板を重ね合わせることと、を含む、基板重ね合わせ方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、2枚の基板を重ね合わせる際に、基板に過大な圧力が加わるのを有効に抑えることが可能となる。また、本発明の態様によれば、2枚の基板を重ね合わせる際に、基板に搭載されたデバイスの損傷等を抑制し、歩留まりを向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る基板重ね合わせ装置の一例を示す図である。
図2】基板支持部を上方から視た図である。
図3】リフトピンの断面図である。
図4】実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図5図4に続いて、実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。
図6】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板をチャンバ内に搬入し、リフトピンで支持した図である。
図7】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板を支持部材上に載置した図である。
図8】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板に対してアライメント動作を行った図である。
図9】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、上側の基板を吸着部で吸着保持させた図である。
図10】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板をチャンバ内に搬入し、リフトピンで支持した図である。
図11】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板を基板支持部で支持した図である。
図12】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、下側の基板に対してアライメント動作を行った図である。
図13】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、リフトピンを上昇させて上側基板と下側基板とを重ね合わせた図である。
図14】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、リフトピンを上昇させ、重ね合わせた基板を上昇させた図である。
図15】基板重ね合わせ装置の動作の一例を示し、重ね合わせた基板をリフトピンからアームに渡した図である。
図16】基板重ね合わせ装置のリフトピンで下側の基板を上側の基板に押し付けた際に、2枚の基板の間に作用する圧力を感圧フィルムで調べた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。また、図面においては実施形態をわかり易く説明するため、一部分を省略して表現している部分がある。さらに、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現しており、実際の製品とは大きさ、形状が異なっている場合がある。以下の各図において、XYZ直交座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ直交座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において基板301と基板302との搬送方向に平行な方向をX方向とし、X方向に直交する方向をY方向とする。また、XY平面に垂直な方向をZ方向(高さ方向)と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。
【0013】
<基板重ね合わせ装置>
実施形態に係る基板重ね合わせ装置100について説明する。図1は、実施形態に係る基板重ね合わせ装置100の一例を示す図である。基板重ね合わせ装置100は、接着層Fを形成した基板301と、接着層Fを形成した基板302とを、互いの接着層Fを当接させて貼り付ける。なお、接着層Fは、基板301及び基板302の双方に形成されることに限定されず、いずれか一方の基板301又は基板302に形成される形態であってもよい。接着層Fは、基板重ね合わせ装置100に搬入される前に、例えば塗布装置等により基板301、基板302に塗布、乾燥されることで形成される。なお、この塗布装置は、基板重ね合わせ装置100に備える形態であってもよい。また、基板301及び基板302のいずれか一方に接着層Fが形成され、いずれか他方に例えば反応層が形成される場合がある。
【0014】
本実施形態では、貼り付けられる2枚の基板のうち、上側基板を基板301と称し、下側基板を基板302と称する。基板301及び基板302は、例えばガラス基板、半導体基板、樹脂性基板などである。本実施形態では、例えば、上側の基板301がガラス基板、下側の基板302がシリコン基板である。また、基板301と基板302とを貼り付けた形態を基板300(図14参照)と称する。基板301及び基板302は、いずれも平面視において(Z方向から見て)円形状の円形基板が使用されるが、円形基板に限定されず、平面視において矩形状(正方形状、長方形状)の角形基板、楕円形状、長円形状等の基板であってもよい。
【0015】
図1に示すように、基板重ね合わせ装置100は、チャンバ10と、基板支持部20と、保持部30と、リフト部40と、アライメント機構60と、制御部Cと、を備える。制御部Cは、基板重ね合わせ装置100における各部の動作を統括して制御する。
【0016】
基板重ね合わせ装置100において、基板301、302を重ね合わせるには、まず、基板301をチャンバ10内に搬入し、アライメント機構60で位置合わせした後、リフト部40で基板301を上昇させ、保持部30で保持させる。その後、基板302をチャンバ10内に搬入し、アライメント機構60で位置合わせした後、リフト部40で基板302を上昇させ、保持部30に保持された基板301と重ね合わせる。
【0017】
チャンバ10内に基板301が搬入される際、基板301は、例えば、半導体チップ等の素子が接着剤等によりマウントされている面が下方(-Z方向)を向いた状態で搬送される。また、チャンバ10内に基板302が搬入される際、基板302は、接着層Fが上方(+Z方向)を向いた状態で搬入される。
【0018】
チャンバ10は、基板重ね合わせ装置100の基台15上に配置されている。チャンバ10は、基台15の外周部から上方に立ち上がる側壁10aと、側壁10aの上方を覆う天板10bとを有した箱状に形成されている。チャンバ10は、基板支持部20と、保持部30と、リフト部40と、アライメント機構60とが収容されている。チャンバ10は、側壁10aの一部に開口部11を有している。開口部11は、チャンバ10の-X側の面に形成され、チャンバ10の内部と外部と、を連通させる。開口部11は、搬送装置90に保持された基板301、302、さらに両者を貼り付けた基板300が通過可能な寸法に形成されている。
【0019】
基板301、302は、搬送装置90のアーム91によって開口部11を介してチャンバ10にそれぞれ搬入される。また、基板300は、開口部11を介してチャンバ10内から搬出される。本実施形態では、搬送装置90は、平板状の2本のアーム91を備えており、チャンバ10に基板301を搬入する際は、基板301の上側から吸着して基板301を保持する。搬送装置90は、基板302を搬入する際、及び基板300をチャンバ10から搬出する際は、基板302、300の下側から吸着して基板302、300を保持する。なお、アーム91は、基板302、300を搬送する際、基板302、300を吸着せずにアーム91の上面側に載置して保持する形態であってもよい。なお、アーム91は2本とは限らず、3本以上であってもよい。
【0020】
チャンバ10は、開口部11を開閉するゲートバルブ12を備えている。ゲートバルブ12は、チャンバ10の-X側の側面における外側に配置され、図示しない駆動部によって、例えば、上下方向(Z方向)にスライド可能である。ゲートバルブ12は、スライドすることにより開口部11を開閉する。なお、ゲートバルブ12で開口部11を閉じても、チャンバ10は、大気圧雰囲気の状態となっている。また、開口部11を閉じることによりチャンバ10内を密閉状態にして、チャンバ10内を真空雰囲気としてもよい。
【0021】
なお、基板重ね合わせ装置100は、チャンバ10を備えるか否かが任意であり、チャンバ10を備えない形態(大気開放型)であってもよい。また、チャンバ10内は、図示しないガス供給装置に接続されてもよい。このガス供給装置からチャンバ10内に所定のガスを供給することで、チャンバ10内の大気圧雰囲気を、所定のガス雰囲気に置換することができる。
【0022】
所定のガスとしては、例えば、窒素ガスなどの基板301、302に形成されている薄膜等に対して不活性なガス、又はドライエアなどが用いられる。チャンバ10内を真空雰囲気とする場合には、チャンバ10内は、図示しない吸引装置に接続される。この吸引装置によりチャンバ10内を吸引(排気)することにより、チャンバ10内を真空雰囲気にすることができる。さらに、チャンバ10は、内部の真空雰囲気を開放するために外部に対して開放可能なバルブを備えていてもよい。
【0023】
基板支持部20は、チャンバ10内に搬入される基板301、302を下方から支持する。基板支持部20は、後述のリフトピン41が下降した際に、リフトピン41から渡された基板301、302を支持する。基板支持部20は、上方から見て円形状であるが、この形態に限定されず、例えば矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。基板支持部20は、基板301、302より大きい外径寸法に設定されている。
【0024】
基板支持部20は、支持プレート21と、ヒータ(加熱部)22と、ベースプレート23とを有する。支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23は、下側(-Z側)からこの順番で積層されている。基板支持部20は、支持プレート21の下面側に設けられた複数の支柱24により支持されている。支持プレート21とヒータ22との間、及びヒータ22とベースプレート23との間は、例えばボルト等の締結部材により固定されている。
【0025】
支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23には、上方から見た際の中央部に、後述するリフト部40のリフトピン41を貫通させる貫通孔20aを有している。貫通孔20aは、上方から見て円形状で、支持プレート21、ヒータ22、及びベースプレート23を上下方向に貫通している。なお、ヒータ22を設けるか否かは任意であり、基板支持部20は、ヒータ22を備えていない形態であってもよい。ヒータ22で基板支持部20上の基板302を加熱するのは、基板302を介して接着層F等に適切な加熱を行うことで、材料を軟化させ好適な貼り付けを実現するためであり、基板302や接着層F等の材料の組み合わせによってはヒータ22の利用が不適なプロセスもあるためである。
【0026】
支持プレート21は、例えば、金属、樹脂、セラミックス等の材質により形成された板状体である。ヒータ22は、加熱部の一例であり、例えば、内部に電熱線等の加熱機構(熱源)を有するホットプレートである。ヒータ22によりベースプレート23を介して基板301、302を加熱する。なお、ヒータ22は、シート状の熱源を挟んで積層された積層構造体であってもよい。ベースプレート23は、+Z側の面である上面23f側に基板301、302、及び基板300が配置される。ベースプレート23は、例えば、セラミックスで形成される板状体であるが、金属、樹脂等で形成されてもよい。
【0027】
本実施形態において、ベースプレート23上に、支持部材80が設けられている。支持部材80は、リフトピン41から基板301、302を受け取る場合、基板301、302の下面の外周部に当接する。支持部材80は、ベースプレート23の周方向に間隔をあけて3個所以上設けられている。支持部材80は、例えば、ベースプレート23の上面から突出するピン81である。ピン81を、基板301、302の下面の外周部に当接させることで、簡易な構成で基板301、302を安定して支持することができる。
【0028】
支柱24は、支持プレート21の下面に複数設けられている。各支柱24の下端は、チャンバ10の底部の基台15に固定されている。なお、支柱24の本数及び配置は、基板支持部20の大きさ等によって任意に設定することができる。
【0029】
リフト部40は、基板支持部20の下方に設けられている。リフト部40は、基板支持部20の上方において基板301、302、300を支持し、この基板301、302、300を昇降させる。リフト部40は、チャンバ10内に搬入された基板301、302のそれぞれをアライメント機構60で位置合わせするため、支持した基板301、302を下降させ、基板支持部20上に載せる。リフト部40は、アライメント機構60で位置合わせした基板301を吸着パッド33に保持させるため、支持した基板301を上昇させる。リフト部40は、アライメント機構60で位置合わせした基板302を基板301に重ね合わせるため、基板302を上昇させる。
【0030】
リフト部40は、リフトピン41と、リフトピン41の下端に連結されてZ方向に昇降する移動部42と、移動部42を昇降させるリフトピン駆動部43と、を有している。図1図2に示すように、リフトピン41は、基板支持部20の中央部に配置されている。リフトピン41は、基板301、302の中央部に下方から突き当たることで、基板301、302を支持する。リフトピン41は、基板301、302を支持して昇降する。リフトピン41は、基板支持部20に設けられた貫通孔20aの内側に配置される。リフトピン41は、例えば複数本設けられている。
【0031】
本実施形態では、リフトピン41は、例えば3本設けられている。複数本のリフトピン41は、上下方向から見た際、基板301、302の中心部に対して径方向外側に、周方向に間隔をあけて同心状に配置されている。このようなリフト部40により、リフトピン41と保持部30とを互いに近づけることで、保持部30に保持された基板301と、リフトピン41で支持した基板302とを重ね合わせる。
【0032】
図1図3に示すように、リフトピン41は、ピン本体45と、パッド部50と、を備えている。ピン本体45の下端は、移動部42に接合されている。ピン本体45は、移動部42から上方に向けて延びている。ピン本体45は、例えば、非導電性を有する材質(例えば樹脂、金属、セラミックスなど)で形成されてもよい。本実施形態では、ピン本体45は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;フッ素樹脂)製である。
【0033】
パッド部50は、ピン本体45の先端部に取り付けられている。パッド部50は、基板302を基板301に重ね合わせる際、上下方向に弾性変形可能である。図3に示すように、パッド部50は、第1部材51と、第2部材52と、第3部材53と、を備えている。第2部材52、第1部材51、及び第3部材53は、上方から下方に向かって、この順で積層して設けられている。
【0034】
第1部材51は、第2部材52と第3部材53との間に配置されている。第1部材51は、上下方向に弾性変形可能な材質で形成されている。第1部材51は、第2部材52、及び第3部材53より剛性が低くかつ弾性変形可能な材料で形成されている。第1部材51は、使用温度より高い耐熱性を有しているのが好ましい。本実施形態では、基板301、302が、例えば100℃程度まで加熱されることから、第1部材51は、使用温度の100°以上、より好ましくは120℃以上の耐熱性を有しているのが好ましい。
【0035】
このような第1部材51を形成する材料としては、例えば、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、及びシリコーンゴムのうち少なくとも一つを含む材料を用いるのが好ましい。また、第1部材51は、このような材料からなる、多孔質体であるのが好ましい。さらには、第1部材51は、多孔質体のうち、多孔質体に含まれる気泡が互いに独立して設けられた、独立気泡タイプの多孔質体であるのが、特に好ましい。
【0036】
また、基板301と基板302とを重ね合わせる際に、リフトピン41を所定の位置まで上昇させ、リフトピン41と保持部30とを互いに近づけることで、保持部30に保持された基板301と、リフトピン41で支持した基板302とを重ね合わせる。基板301と基板302とを重ね合わせた際、接着層Fの接着力によって、基板301と基板302とが確実に貼り合わされるよう、所定の位置まで上昇したリフトピン41は、基板301を上方に押圧し、基板302に押し付ける。本実施形態では、所定の位置まで上昇したリフトピン41は、基板301と基板302とを、例えば10kPa以上50kPa以下の圧力で押し付ける。ここで、所定の位置とは、例えば第1部材51を形成する弾性変形可能な材料のつぶれ量を加味して設定される。
【0037】
このように、基板302を基板301に押し付ける際、第1部材51が、押圧力により上下方向に弾性変形し、基板301、302に過度な圧力が作用しないようにするのが好ましい。このため、第1部材51は、ゴム硬度が15~36(JIS K 7312に採用されているゴム硬度計、アスカーゴム硬度計C型による測定値)であるのが好ましい。また、第1部材51は、例えば、0.5mmから5.0mmの厚さに設けられるのが好ましい。本実施形態では、第1部材51の厚さを、例えば2mm程度としている。
【0038】
最も上方に設けられた第2部材52は、基板302を保持する際、基板302の下面に接触する。第2部材52は、基板302に接触した後に、基板302が第1層から離間した際に、基板302に固着し続けたり、第2部材52の接触痕が残らないような材料で形成するのが好ましい。つまり、第2部材52は、第1部材51よりも基板301、302に対する離型性が高い材料で形成するのが好ましい。また、第2部材52は、第1部材51が弾性変形した際に、第1部材51の弾性変形に追従して変形可能であるのが好ましい。なお、離型性が悪いと重ね合わせた基板301、302の剥がれ、位置ずれなどの不具合が生じる要因となる。仮に第2部材52を用いず多孔質体からなる第1部材51を直に基板302に押圧する場合、吸盤効果により基板302から第1部材51の離れが悪くなり、不具合が生じる要因となる。
【0039】
第2部材52は、使用温度より高い耐熱性を有しているのが好ましい。本実施形態では、基板301、302が、例えば100℃程度まで加熱されることから、第2部材52は、使用温度の100°以上、より好ましくは120℃以上の耐熱性を有しているのが好ましい。また、第2部材52は、基板302と接触した際に静電気が生じるのを抑えるため、導電性を有した材料から形成するようにしてもよい。このような第2部材52は、例えば、ポリイミドを含む材質から形成されるのが好ましい。第2部材52は、例えば、5μmから200μmの厚さに設けられているのが好ましい。本実施形態では、第2部材52の厚さを、例えば25μm程度としている。このように、第2部材52は離型性が良く、かつ、第1部材51の変形動作を邪魔しない・追従性に問題ない程度の厚みが好ましい。
【0040】
最も下方に設けられた第3部材53は、ピン本体45と第1部材51との間に設けられている。第3部材53は、第2部材52と同様の材質で形成するようにしてもよい。つまり、第3部材53は、例えば、ポリイミドを含む材質から形成されるのが好ましい。第2部材52は、例えば、5μmから200μmの厚さに設けられているのが好ましい。本実施形態では、第2部材52の厚さを、例えば25μm程度としている。
【0041】
パッド部50を構成する第1部材51、第2部材52、及び第3部材53は、一体として形成されるのが好ましい。つまり、第1部材51、第2部材52、及び第3部材53が予め一体成形されたパッド部50を、ピン本体45の先端部に取り付けるのが好ましい。一体に形成されたパッド部50(第1部材51、第2部材52、及び第3部材53)は、例えば、両面テープ又は接着剤等により、ピン本体45の先端部に固定される。このとき、ピン本体45と、上記したような材料からなる多孔質体からなる第1部材51を、ピン本体45に直接固定しようとすると、十分な接着力が得られない可能性がある。これに対し、第1部材51の下側に、予め第3部材53を一体に設けておき、第3部材53とピン本体45とを、両面テープ又は接着剤等により接着することで、十分な接着力が容易に得られる。
【0042】
図1に示すように、移動部42は、リフトピン駆動部43を駆動させることにより昇降する。リフトピン駆動部43は、例えば電動の回転モータ、リニアモータ、エアーシリンダ装置、油圧シリンダ装置などが用いられ、図示しない伝達機構により駆動力が移動部42に伝達される。
【0043】
保持部30は、基板支持部20の上方に離間して設けられている。本実施形態では、保持部30は、上側の基板301を吸着して保持する。保持部30は、基板301をリフトピン41から受け取り、基板301を保持する。保持部30は、支持軸31と、上側プレート32と、吸着パッド33とを備えている。支持軸31は、適宜のフレーム等を介して基台15に固定されており、チャンバ10の天板10bの中央部分から垂下して配置される。
【0044】
上側プレート32は、支持軸31の下端に固定される。上側プレート32は、例えば、金属、樹脂、セラミックス等により形成される。上側プレート32は、基板301と基板302とを貼り付ける際に、リフトピン41により上方に押圧される基板302を、保持した上側の基板301で受け止める。上側プレート32は、上方から見て円形に形成されている。上側プレート32は、上下方向に交差する面に沿って延びる板状である。上側プレート32は、この形態に限定されず、例えば、矩形状(正方形状、長方形状)、楕円形状、長円形状等であってもよい。
【0045】
上側プレート32は、上方から見て、少なくともリフトピン41と重なる位置に配置されている。この構成により、基板301、302を重ね合わせる際に、基板301、302を、この上側プレート32とリフトピン41とで上下から挟み込み、基板301、302を確実に重ね合わせることができる。
【0046】
吸着パッド33は、上側プレート32の下面側に設けられる。吸着パッド33は、基板301の上面を吸着する。吸着パッド33は、リフトピン41で支持する基板301の上面を吸着して基板301をリフトピン41から受け取る。吸着パッド33は、いわゆる真空吸着パッドである。吸着パッド33は、上側プレート32の下面側に複数設けられてもよい。なお、吸着パッド33は、真空吸着パッドに限らず、静電式吸着機構(静電チャック)もしくは粘着パッド(粘着式吸着機構もしくは粘着チャック)であってもよい。粘着パッドを使用する場合、基板301を粘着パッドから離すために用いる粘着剥離機構(図示無し)を具備する。
【0047】
本実施形態において、上側プレート32は、高さ位置が固定されている。図1に示すように、吸着パッド33は、所定の高さに支持されている。ただし、支持軸31が昇降可能である場合には、上側プレート32(吸着パッド33)は、支持軸31と一体で昇降する形態であってもよい。吸着パッド33は、下面を吸着面として、リフトピン41に支持されて上昇してきた基板301の上面を吸着して基板301を保持可能である。なお、上側プレート32は、吸着パッド33で保持する基板301を加熱するためのヒータ(加熱部)を備える形態であってもよい。また、上側プレート32がヒータを備える形態に代えて、チャンバ10内を加熱するヒータが設けられる形態であってもよい。なお、ヒータ(加熱部)を設けるか否かは任意であり、保持部30は、ヒータ(加熱部)を備えていない形態であってもよい。ヒータで保持部30の基板を加熱するのは、基板301を介して接着層F等に適切な加熱を行うことで、材料を軟化させ好適な貼付けを実現するためであり、基板301や接着層Fの材料の組み合わせによってはヒータ利用が不適なプロセスもあるためである。
【0048】
アライメント機構60は、基板支持部20で支持された基板301、302を位置決めする。アライメント機構60は、複数のアライメント駆動部61と、複数のアライメントブロック62と、を備える。アライメントブロック62は、基板301、302を径方向から挟み込むことで、基板301、302をアライメント(位置決め)するために用いられる。図1図2に示すように、複数のアライメントブロック62は、基板支持部20のベースプレート23の外周部に、基板支持部20の中心軸AX回りの周方向に間隔を開けて配置されている。
【0049】
複数のアライメントブロック62は、中心軸AX回りの周方向に間隔を開けて、例えば3個配置されている。アライメントブロック62の数は、4個以上であってもよい。複数のアライメントブロック62のそれぞれは、図示しないガイドによって、基板301、302の表面に沿った方向に移動可能である。アライメントブロック62は、基板301、302が帯電するのを防止するため、導電性を有する材料で形成されるのが好ましい。
【0050】
アライメント駆動部61は、複数のアライメントブロック62のそれぞれを、ベースプレート23の径方向に移動させる。アライメント駆動部61は、例えば、シリンダ装置又は電動モータの駆動源と、駆動源で生じた駆動力をアライメントブロック62のそれぞれに伝達する伝達機構とを有する。
【0051】
アライメント機構60は、アライメント駆動部61を駆動することでアライメントブロック62をベースプレート23の径方向に進出させ、基板301、302の外周縁を、ベースプレート23の上面23fに平行な方向に押すことで、基板301、302を挟み込む。アライメント機構60は、アライメント駆動部61を駆動することでアライメントブロック62をベースプレート23の径方向に進退させることで、基板301、302を基板支持部20及び保持部30に対して位置決めする。
【0052】
アライメント機構60の動作は、制御部Cによって制御される。アライメントブロック62が用いられる場合、制御部Cは、例えば、図示しない他のユニットで取得した基板301、302の形状を読み込み、基板301、302に対してそれぞれのアライメント位置を決めてから、アライメントブロック62を動作させる。なお、アライメント機構60は、所要の機能を果たすことができるのであれば、その具体的な構成を何ら限定するものではなく、適宜他の構成に変更可能である。
【0053】
<基板重ね合わせ方法>
次に、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法について説明する。図4は、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。図5は、図4に続いて、本実施形態に係る基板重ね合わせ方法の一例を示すフローチャートである。この基板重ね合わせ方法は、例えば、制御部Cからの指示により実行される。図6から図14は、基板重ね合わせ装置100の動作の一例を示す工程図である。なお、これらの工程図では、各部の動きが分かり易くなるように、記載を簡略化している。以下、図4図5のフローチャートに沿って説明する。
【0054】
まず、チャンバ10のゲートバルブ12を開き、基板を搬入する(ステップS01)。図6に示すように、制御部Cは、図示しない駆動部を駆動させてゲートバルブ12を上昇させ、開口部11を開放させる。続いて、基板301(上側基板)をチャンバ10内に搬入する。このとき、制御部Cは、リフトピン41を基板301の受け渡し高さまで、上昇させておく。
【0055】
搬送装置90のアーム91は、下面側に基板301を保持した状態で開口部11からチャンバ10の内部に進入し、基板301をリフトピン41の上方に配置させる。アーム91は、下面に設けられた図示しない吸着パッド等により基板301を吸着保持している。その後、制御部Cは、アーム91を下降させて、基板301をアーム91からリフトピン41に渡す(ステップS02)。リフトピン41は、基板301の下面の中央部に下方から突き当たる。その後、アーム91は、チャンバ10から退出する。なお、基板301が接着層Fを備えている場合、基板301は、チャンバ10内への搬入時に、接着層Fが下側になっている。
【0056】
続いて、制御部Cは、図7に示すように、基板301を支持しているリフトピン41を下降させ、基板支持部20のベースプレート23上に載置する(ステップS03)。このとき、リフトピン41は、ベースプレート23(すなわち基板301の下面)よりも下方位置まで下降させ、基板301をベースプレート23の支持部材80で支持させる。この状態で、ヒータ22により基板301を所定時間加熱する。
【0057】
続いて、基板301に対してアライメント動作を行う(ステップS04)。図8に示すように、制御部Cは、アライメント駆動部61を駆動して各アライメントブロック62を径方向内側に向かって進出させ、複数のアライメントブロック62で基板を挟むことにより基板301を位置決めする。アライメント動作の後、制御部Cは、各アライメントブロック62を径方向外側に退避させる。
【0058】
なお、ステップS04では、ベースプレート23の支持部材80で基板301のアライメント動作を行うことに代えて、基板301をリフトピン41に載置した状態で行ってもよい。
【0059】
続いて、基板301を吸着パッド33で保持させる(ステップS05)。図9に示すように、制御部Cは、リフトピン41を上昇させ、ベースプレート23から基板301を受けとる。制御部Cは、リフトピン41をさらに上昇させて基板301を上昇させ、保持部30の吸着パッド33の吸着面に基板301を当接させる。制御部Cは、基板301の当接に際して、吸着パッド33を予め吸着可能な状態に駆動させている。その結果、基板301は、吸着パッド33に保持された状態となる。その後、リフトピン41を下降させることにより、リフトピン41は、基板301から離れる。
【0060】
次に、基板302(下側基板)を、チャンバ10内に搬入する(ステップS06)。制御部Cは、リフトピン41を基板302の受け渡し高さまで下降させる。その後、図10に示すように、アーム91によって基板302をチャンバ10内に搬入してリフトピン41の上方に配置させる。アーム91は、下面側に基板302を吸着して保持している。その後、制御部Cは、リフトピン41を上昇させて、基板302をアーム91からリフトピン41に渡す。その後、アーム91は、チャンバ10から退出する。なお、基板302は、チャンバ10内への搬入時に、接着層Fが上側になっている。
【0061】
続いて、ゲートバルブ12を閉じて、基板302を加熱する(ステップS07)。図11に示すように、ゲートバルブ12を閉じた後、リフトピン41を下降させて基板302を基板支持部20に載置させる。リフトピン41は、ベースプレート23よりも下方位置まで下降させ、基板302をベースプレート23のみで支持させる。その後、大気開放された状態でヒータ22により基板302を加熱してもよいし、チャンバ10内を真空雰囲気下とした状態で基板302を加熱してもよい。この加熱処理により、基板302は、例えば100℃程度にまで温度上昇する。
【0062】
続いて、基板302に対してアライメント動作を行う(ステップS08)。図12に示すように、制御部Cは、アライメント駆動部61を駆動して各アライメントブロック62を径方向内側に向かって進出させ、複数のアライメントブロック62で基板302を挟むことにより基板302を位置決めする。ステップS08のアライメント動作は、ステップS04のアライメント動作と同様である。従って、基板301と基板302とは、平面視でほぼ同じ位置に位置決めされる。
【0063】
なお、ステップS08では、ベースプレート23の支持部材80で基板302のアライメント動作を行うことに代えて、基板302をリフトピン41に載置した状態で行ってもよい。
【0064】
続いて、制御部Cは、図13に示すように、リフトピン41を上昇させることで基板302を上昇させ、基板301と基板302とを重ね合わせる(ステップS09)。このとき、保持部30の上側プレート32が基板301の上面側を押さえており、リフトピン41により基板302が上昇して基板301に重ね合わされることで基板301と基板302とが重ね合わされる。つまり、上側プレート32及び吸着パッド33は、基板301を保持する保持部として機能するとともに、基板301の上面に当接して基板301の上面を押さえる機能の双方を有する。
【0065】
ステップS09では、基板301の接着層Fと基板302の接着層Fとが当接することで、基板301と基板302とが貼り合わされる。なお、基板301と基板302とが重ね合わされる力は、リフトピン駆動部43でリフトピン41を所定の位置まで上昇させる力によって制御される。本実施形態では、リフトピン41は、基板301と基板302とを、例えば10kPa以上50kPa以下の圧力で押し付ける。この圧力(押圧力)とすることで、第1部材51が押圧力を受けて上下方向に弾性変形する(収縮する)。その結果、基板301及び基板302に対して過度な押圧力が付与されるのを抑えている。
【0066】
続いて、基板301に対する吸着パッド33の吸着を解除する(ステップS10)。制御部Cは、基板301と基板302とを貼り合わせた後、吸着パッド33による基板301への吸着を解除させる。続いて、図14に示すように、リフトピン41を下降させて、貼り付けが終了した基板300を搬出用の高さに配置させる。この工程により、基板300は、基板支持部20及び保持部30の双方から離れる。基板300は、リフトピン41上において押圧力から解放される。その結果、第1部材51は、押圧力から開放されることで、収縮した状態から元の状態に戻る。
【0067】
続いて、ゲートバルブ12を開いて基板300をチャンバ10から搬出する(ステップS11)。図15に示すように、ゲートバルブ12を上昇させて開口部11を開放した後、搬送装置90のアーム91を開口部11からチャンバ10の内部に進入させ、リフトピン41で支持する基板300の下方にアーム91を配置させる。その後、制御部Cは、アーム91を上昇させて、アーム91の上面に基板300を吸着保持させることにより、基板300をリフトピン41からアーム91に渡す。
【0068】
なお、アーム91は、基板300を吸着保持せず、アーム91の上面に基板300を載置させて保持する形態であってもよい。その後、アーム91がチャンバ10から退出することで、基板300がチャンバ10の外部に搬出される。その後、制御部Cは、ゲートバルブ12を閉じて、一連の処理を終了させる。
【0069】
このように、本実施形態に係る基板重ね合わせ装置100は、ピン本体45の上端部に、上下方向に弾性変形可能な材質で形成された第1部材51を備える。この構成により、基板301と基板302とを重ね合わせるため、リフトピン41で支持した基板302を、保持部30に保持された基板301に押し付けた際、第1部材51が弾性変形することで、リフトピン41から基板302、301に圧力が局所的に作用するのを抑えることができる。従って、2枚の基板301、302の重ね合わせの際に、基板301、302に過大な圧力が加わるのを有効に抑えることが可能となる。
【0070】
(検討例)
上記実施形態で示した構成について、検証を行ったので、以下にその結果を示す。
実施例として、図13に示したように、上側の基板301を吸着パッド33に吸着させた状態で、パッド部50を備えたリフトピン41で下側の基板302を弾性変形材料が0.5mm縮む位置まで上昇させて基板301に重ね合わせた後、50kPa~200kPaの圧力範囲内で反応を示す感圧フィルムを下側の基板302上に予め載せておき、基板302と基板301との間に挟み込んだ結果(感圧紙の反応結果)を確認・評価した。尚、弾性変形材料の厚み合計は2mmとした。比較例として、パッド部50を備えないリフトピン41で、同様の試験を行った。
【0071】
その結果、図16に示すように、パッド部50を備えない比較例では、3本のリフトピン41に対応した箇所P1~P3で、感圧フィルムで反応するレベルの圧力が作用していることが確認された。これに対し、パッド部50を備えた実施例では、感圧フィルムで反応するレベルの圧力が作用していることが示される反応は確認できず、リフトピン41による局所的な圧力上昇は見受けられなかった。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上記した実施形態で説明した態様に限定されない。上記した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上記した実施形態で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上記した実施形態で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、実施形態において示した各動作の実行順序は、前の動作の結果を後の動作で用いない限り、任意の順序で実現可能である。また、上記した実施形態における動作に関して、便宜上「先ず」、「次に」、「続いて」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須ではない。
【0073】
上記実施形態では、パッド部50を構成する第1部材51、第2部材52、第3部材53を形成する材料、厚さ等を例示したが、リフトピン41で基板302を基板301に押し付ける際の圧力、基板301、302を加熱する温度等に応じて、上記に例示した以外の構成としてもよい。
【0074】
また、上記した実施形態では、2枚の基板301と基板302とを貼り付ける形態を例に挙げて説明しているがこの形態に限定されない。例えば、基板301と基板302とを貼り付けた基板300に、さらに他の基板を貼り付ける形態であってもよい。
【0075】
上記した実施形態では、保持部30は、吸着パッド33により上側の基板301を吸着して保持するようにしたが、この形態に限定されない。保持部30は、例えば、上側の基板301をクランプする等、適宜の手法で保持する形態であってもよい。
【0076】
また、保持部30は、例えば、上側の基板301の外周部を受ける複数のスペーサが用いられてもよい。このスペーサは、基板301の外周部を受ける位置と、基板301の径方向外側に退避する位置との間を、駆動装置によって進退可能に設けられる。保持部30としてスペーサが用いられる場合、上側の基板301と下側の基板302とを貼り付ける際は、上側プレート32を下降させることにより、基板301をリフトピン41上の基板302に押し付ける。このタイミングでスペーサを基板301から退避させることで、基板301と基板302とが貼り付けられる。
【0077】
上側プレート32の下面側には、例えば、下方に突出する複数の押圧ピンが設けられている。複数の押圧ピンは、それぞれ上側プレート32の下面に対して没入できるように弾性的に支持されている。従って、基板301と基板302とを貼り付ける際、基板301は、上側プレート32の下降に伴い、押圧ピンが没入する弾性力によって基板302に押し付けられることになる。
【0078】
また、上記した実施形態では、リフトピン41は、ピン本体45と、弾性変形材料等からなるパッド部50と、を備えている形態を例に挙げて説明しているがこの形態に限定されない。例えば、リフトピン41の上面側に、更に上方に突出可能な押圧ピン(図示無し)が内蔵され、リフトピン41の上面に対して没入自在に弾性的に支持されている。具体事例として押圧ピンは圧縮バネ等を用い支持されている。従って、リフトピン41の上昇による基板301と基板302の貼り付け時、基板302は、リフトピン41の上昇に伴い、リフトピン41に内蔵された押圧ピンが没入する弾性力によって基板301に押し付けられることによる形態であってもよい。また、前記リフトピン41に内蔵された押圧ピン上部に弾性変形材料等からなるパッド部50を、更に備えることもできる。
【符号の説明】
【0079】
20・・・基板支持部
30・・・保持部
41・・・リフトピン
45・・・ピン本体
51・・・第1部材
52・・・第2部材
53・・・第3部材
60・・・アライメント機構
100・・・基板合わせ装置
300、301、302・・・基板


【要約】
【課題】2枚の基板を重ね合わせる際に、基板に過大な圧力が加わるのを有効に抑える。
【解決手段】基板重ね合わせ装置100は、基板301、302を支持して昇降するリフトピン41と、基板301をリフトピン41から受け取り基板301を保持する保持部30と、を備え、リフトピン41と保持部30とを互いに近づけることで、保持部30に保持された基板301と、リフトピン41で支持した基板302とを重ね合わせる基板重ね合わせ装置100であって、リフトピン41は、上下方向に延びるピン本体45と、ピン本体45の上端部に取り付けられ、上下方向に弾性変形可能な材質で形成された第1部材と、第1部材の上面に設けられ、基板301、302と接触する第2部材と、を備える。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16