(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】選択的な窒化ホウ素又は窒化アルミニウムの堆積による高度に選択的な酸化ケイ素/窒化ケイ素のエッチング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01L21/302 104
(21)【出願番号】P 2021575312
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 US2020037879
(87)【国際公開番号】W WO2020257160
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-23
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ユ-ハオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ミンメイ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022716(JP,A)
【文献】特開平06-236859(JP,A)
【文献】特開2006-041519(JP,A)
【文献】特開2017-212246(JP,A)
【文献】特開2017-084894(JP,A)
【文献】特開2012-212877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/205
C23C 16/04
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含む基板を提供する工程と、
a1)前記酸化ケイ素膜に第1の層を形成し、前記窒化ケイ素膜に第2の層を形成する第1のガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第1のガスは、ホウ素、アルミニウム、又はホウ素とアルミニウムの両方を含む工程と、
a2)前記第1の層と反応して前記酸化ケイ素膜に第1の窒化物層を形成し、前記第2の層と反応して前記窒化ケイ素膜に第2の窒化物層を形成する窒素含有ガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化物層の厚さは、前記第1の窒化物層の厚さよりも大き
く、前記(a2)の工程は、前記(a1)の工程の後に実施される工程と、
a3)前記第1の窒化物層及び前記酸化ケイ素膜をエッチングするエッチングガスに、
前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化物層は、前記エッチングガスによるエッチングから前記窒化ケイ素膜を保護する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
工程a3)を実行する前に、工程a1)とa2)を少なくとも1回繰り返す工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
a0)前記酸化ケイ素膜を-OH表面種で終端化し、前記窒化ケイ素膜を-NH
x表面種で終端化するH
2含有ガスに、前記基板を曝露する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
a0)、a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のガスは、水素化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、有機アルミニウム化合物、水素化アルミニウム、塩化アルミニウム、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のガスは、BH
3、BCl
3、BF
3、Al(CH
3)
3、AlH
3、AlCl
3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記窒素含有ガスは、水素化窒素、ハロゲン化窒素、N
2、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記窒素含有ガスは、NH
3、N
2H
4、NCl
3、N
2、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記エッチングガスは、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記エッチングガスは、CF
4、CF
2Cl
2、CH
2F
2、CH
4、CH
3F、CHF
3、C
4H
6、C
2H
4、C
3H
6、CH
2Cl
2、CH
3Cl
、CH
2ClF、CHCl
2F、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含む基板を提供する工程と、
a1)前記酸化ケイ素膜に第1のBCl
3層を形成し、前記窒化ケイ素膜に第2のBCl
3層を形成するBCl
3ガスに、前記基板を曝露する工程と、
a2)前記第1のBCl
3層と反応して、前記酸化ケイ素膜に第1の窒化ホウ素層を形成し、前記第2のBCl
3層と反応して、前記窒化ケイ素膜に第2の窒化ホウ素層を形成するNH
3ガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化ホウ素層の厚さは、前記第1の窒化ホウ素層の厚さよりも大き
く、前記(a2)の工程は、前記(a1)の工程の後に実施される工程と、
a3)前記第1の窒化ホウ素層と前記酸化ケイ素膜をエッチングするプラズマ励起CF
4ガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化ホウ素層は、前記プラズマ励起CF
4ガスによるエッチングから前記窒化ケイ素膜を保護する工程と、
を含む、基板を処理する方法。
【請求項14】
工程a3)を実行する前に、工程a1)とa2)を少なくとも1回繰り返す工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
a0)前記酸化ケイ素膜を-OH表面種で終端化し、前記窒化ケイ素膜を-NH
x表面種で終端化するH
2含有ガスに、前記基板を曝露する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
a0)、a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
a1)、a2)、及びa3)を少なくとも1回繰り返して、前記酸化ケイ素膜を更にエッチングする工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
酸化ケイ素膜及び窒化ケイ素膜を含む基板を提供する工程と、
a1)前記酸化ケイ素膜に第1のホウ素含有層を形成し、前記窒化ケイ素膜に第2のホウ素含有層を形成するホウ素含有ガスに、前記基板を曝露する工程と、
a2)前記第1のホウ素含有層と反応して、前記酸化ケイ素膜に第1の窒化ホウ素層を形成し、前記第2のホウ素含有層と反応して、前記窒化ケイ素膜に第2の窒化ホウ素層を形成する窒素含有ガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化ホウ素層の厚さは、前記第1の窒化ホウ素層の厚さよりも大き
く、前記(a2)の工程は、前記(a1)の工程の後に実施される工程と、
a3)前記第1の窒化ホウ素層及び前記酸化ケイ素膜をエッチングするエッチングガスに、前記基板を曝露する工程であって、前記第2の窒化ホウ素層は、前記エッチングガスによるエッチングから前記窒化ケイ素膜を保護する工程と、
を含む、基板を処理する方法。
【請求項20】
前記ホウ素含有ガスは、BH
3、BCl
3、BF
3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記窒素含有ガスは、NH
3、N
2H
4、NCl
3、N
2、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記エッチングガスは、CF
4、CF
2Cl
2、CH
2F
2、CH
4、CH
3F、CHF
3、C
4H
6、C
2H
4、C
3H
6、CH
2Cl
2、CH
3Cl、CH
3Cl、CH
2ClF、CHCl
2F、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
a0)前記酸化ケイ素膜を-OH表面種で終端化し、前記窒化ケイ素膜を-NH
x
表面種で終端化するH
2
含有ガスに、前記基板を曝露する工程を更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月20日に出願された米国仮特許出願第62/864,378号に関連し、それに対する優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、半導体製造及び半導体デバイスの分野、より具体的には、窒化ケイ素に対して酸化ケイ素を選択的にエッチングする方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
ある材料を、他の材料に対して選択的であるドライエッチングで除去する必要があることから、高度な半導体技術の開発に大きな課題がある。窒化ケイ素に対する選択的な酸化ケイ素のエッチングは、半導体製造において多くの用途があり、フルオロカーボン(FC)又はハイドロフルオロカーボン(HFC)ガスを含むプラズマを使用する場合、高いエッチング選択性を実現するために、優先的な不動態化(主にカーボン系)が広く検討されている。高いエッチング選択性の必要性は、窒化ケイ素の損失に対する許容誤差が小さい自己整合コンタクト(SAC)などデバイスにとって特に重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の選択的エッチングの方法が、いくつかの実施形態で開示されている。一実施形態によれば、この方法は、酸化ケイ素フィルム及び窒化ケイ素フィルムを含む基板を提供する工程と、a1)基板を、酸化ケイ素フィルムに第1の層及び窒化ケイ素フィルムに第2の層を形成する第1のガスに曝露する工程であって、第1のガスは、ホウ素、アルミニウム、又はその両方を含む工程と、a2)基板を、第1の層と反応して酸化ケイ素フィルムに第1の窒化物層を形成し、第2の層と反応して窒化ケイ素フィルムに第2の窒化物層を形成する窒素含有ガスに曝露する工程であって、第2の窒化物層の厚さは、第1の窒化物層の厚さよりも大きい工程とを含む。
この方法は、a3)基板を、第1の窒化物層及び酸化ケイ素フィルムをエッチングするエッチングガスに曝露する工程を更に含み、第2の窒化物層は、エッチングガスによるエッチングから窒化ケイ素フィルムを保護する。一実施形態によれば、この方法は、a0)基板を、酸化ケイ素フィルムを-OH表面種で終端し、窒化ケイ素フィルムを-NHx表面種で終端するH2含有ガスに曝露する工程を更に含む。
【0005】
一実施形態によれば、この方法は、酸化ケイ素フィルム及び窒化ケイ素フィルムを含む基板を提供する工程と、a1)基板を、酸化ケイ素フィルムに第1のBCl3層及び窒化ケイ素フィルムに第2のBCl3層を形成するBCl3ガスに曝露する工程と、a2)基板を、第1のBCl3層と反応して酸化ケイ素フィルムに第1の窒化ホウ素層を形成し、第2のBCl3層と反応として窒化ケイ素フィルムに第2の窒化ホウ素層を形成するNH3ガスに曝露する工程であって、第2の窒化ホウ素層の厚さは、第1の窒化ホウ素層の厚さよりも大きい工程とを含む。この方法は更に、a3)基板を、第1の窒化ホウ素層及び酸化ケイ素フィルムをエッチングするプラズマ励起CF4ガスに曝露する工程を更に含み、第2の窒化ホウ素層は、エッチングガスによるエッチングから窒化ケイ素フィルムを保護する。一実施形態によれば、この方法は、a0)基板を、酸化ケイ素フィルムを-OH表面種で終端し、窒化ケイ素フィルムを-NHx表面種で終端するH2含有ガスに曝露する工程を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングのプロセスの流れ略図である。
【
図2A-2D】本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングのプロセスの流れ略図である。
【
図4A-4E】本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングのプロセスの流れ略図であり、
図2A~2Dは、本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングの方法を、断面図を通して概略的に示す。
【0008】
ここで、
図1及び
図2を参照すると、プロセスの流れ略
図10の処理方法は、12において、SiO
2フィルム200及びSi
3N
4フィルム220を含む基板2を提供する工程を含む。
図2Aに示される例では、SiO
2フィルム200及びSi
3N
4フィルム220は、同じ水平面にあるが、本発明の一実施形態はまた、同じ水平面にないが、垂直方向にオフセットされているフィルムに適用されることができる。Si
3N
4は、窒化ケイ素の中で最も熱力学的に安定であり、従って窒化ケイ素の中で最も商業的に重要である。しかしながら、本発明の一実施形態は、主成分としてSi及びNを含む他の窒化ケイ素に適用することができ、窒化ケイ素は、幅広い範囲のSi及びN組成物(Si
xN
y)を有することができる。同様に、SiO
2は、酸化ケイ素の中で最も熱力学的に安定であり、従って酸化ケイ素の中で最も商業的に重要である。しかしながら、本発明の一実施形態は、主成分としてSi及びOを含む他の酸化ケイ素に適用することができ、酸化ケイ素は、広範囲のSi及びO組成物(Si
xO
y)を有することができる。
【0009】
この方法は更に、14において、基板2を第1のガス201に曝露する工程を含む。第1のガス201は、ホウ素、アルミニウム、又はホウ素とアルミニウムの両方を含み得る。第1のガス201は、水素化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、有機アルミニウム化合物、水素化アルミニウム、塩化アルミニウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。一実施形態によれば、第1のガス201は、BH
3、BCl
3、BF
3、Al(CH
3)
3、AlH
3、AlCl
3及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。曝露は、第1のガス201のプラズマ励起の有無にかかわらず実行され得る。第1のガス201の曝露は、SiO
2フィルム200に第1の層202(例えば、BCl
3)及びSi
3N
4フィルム220に第2の層222(例えば、BCl
3)を形成する。
図2Bに概略的に示されているように、第1の層202は、第2の層222よりも薄く、前者は、下にあるSiO
2フィルム200を曝露させる空孔で不完全であり得る。Si
3N
4フィルム220における第1のガス201のこの優先的な吸着は、SiO
2フィルム200よりもSi
3N
4フィルム220における第1のガス201のより高い吸着エネルギーに起因し、この効果は、プラズマ励起がない場合、又は第1のガス201のリモートプラズマ励起を使用する場合に強く支持される。
【0010】
この方法は、16において、基板2を窒素含有ガス203に曝露する工程を更に含む。一実施形態によれば、窒素含有ガス203は、水素化窒素、ハロゲン化窒素、N2、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。水素化窒素は、例えば、NH3、N2H4、又はこれらの組み合わせを含み得る。ハロゲン化窒素は、例えば、NCl3を含み得る。一例では、窒素含有ガス203は、NH3、N2H4、NCl3、N2及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0011】
曝露は、窒素含有ガス203のプラズマ励起の有無にかかわらず実行され得る。窒素含有ガス203は、第1の層202及び第2の層222と反応して、それぞれ、第1の窒化物層204及び第2の窒化物層224を形成する。第1の窒化物層204及び第2の窒化物層224は、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、又はその両方を含み得る。
図2Cに概略的に示されているように、第1の窒化物層204は、下にあるSiO
2フィルム200を曝露させる空孔で不完全であり得る。しかしながら、これは必須ではなく、第1の窒化物層は連続的であり得る。第2の窒化物層224は、第1の窒化物層204よりも厚い厚さを有し、下にあるSi
3N
4フィルム220において少なくとも実質的に連続している。
【0012】
一例では、第1のガス201は、BCl3を含み、窒素含有ガスは、NH3を含む。窒化ホウ素(BN)と揮発性HCl副生成物を形成する素反応は:
BCl3+NH3→BN+3HCl
として表されることができる。
【0013】
窒化ホウ素の形成は、熱力学的に有利であり、窒化ホウ素は、一般的に使用される様々なエッチングガスに対して強力なエッチング保護を提供する。
【0014】
一実施形態によれば、曝露工程14及び16は、交互に且つ連続的に実行され得る。別の実施形態によれば、曝露工程14及び16は、少なくとも部分的に時間的に重複し得る。プロセスの矢印18によって示されるように、第1の窒化物層204の厚さが後続のエッチングプロセスでSiO2フィルム200を保護するのに十分でない一方、曝露工程14及び16は、第2の窒化物層224の厚さがエッチング停止層として機能するのに十分であるまで、少なくとも1回繰り返され得る。
【0015】
この方法は、20において、基板2をエッチングガス205に曝露する工程を更に含む。これは、
図2Dに概略的に示されている。一般に、エッチングガス205は、酸化ケイ素、窒化ホウ素、及び窒化アルミニウムをエッチングする任意のガスから選択されることができる。エッチングガス205は、プラズマ励起されることができ、フルオロカーボンガス、ハイドロフルオロカーボンガス、ハイドロクロロカーボンガス、ハイドロクロロフルオロカーボンガス、又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの例では、エッチングガス205は、CF
4、CF
2Cl
2、CH
2F
2、CH
4、CH
3F、CHF
3、C
4H
6、C
2H
4、C
3H
6、CH
2Cl
2、CH
3Cl、CHCl
2、CH
2ClF、CHCl
2F、又はこれらの組み合わせを含み得る。エッチングガス205は、任意選択で、Ar、He、又はこれらの組み合わせを更に含み得る。エッチングガス205への曝露は、第1の窒化物層204とSiO
2フィルム200をエッチングする。第2の窒化物層224は部分的にエッチングされるが、第2の窒化物層224がエッチングガス205に対して適切な保護を提供する限り、Si
3N
4フィルム220は、エッチングされない。一例では、第2の窒化物層224がSi
3N
4フィルム220をエッチングから適切に保護するのを中止する前に、エッチングガス205への曝露を停止することができる。
【0016】
エッチングガス205のプラズマ励起は、誘導結合プラズマ(ICP)システム、容量結合プラズマ(CCP)システム、マイクロ波プラズマシステム、基板から上流にプラズマ励起種を生成するリモートプラズマシステム、電子サイクロトロン共鳴(ECR)システム、及びその他のシステムを含む従来の商用プラズマ処理システムで実行され得る。
【0017】
プロセスの矢印22によって示されるように、曝露工程14、16、及び20を少なくとも1回繰り返して、第1の窒化物層204及び第2の窒化物層224を再堆積し、更にSiO
2フィルム202をエッチングすることができる。
図2Dに概略的に示される実施形態によれば、エッチングガス205への曝露は、基板2から第1の窒化物層204を完全に除去し、SiO
2フィルム202をエッチングする。別の実施形態によれば、エッチングガス205への曝露は、曝露工程14及び16が繰り返される前に、第1の窒化物層204を部分的にのみ除去し、SiO
2フィルム202をエッチングすることができる。SiO
2フィルム202が適切にエッチングされたら、第2の窒化物層224は、強力な酸化剤を使用する乾式又は湿式エッチングプロセスを使用して除去することができる。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングのプロセスの流れ略図であり、
図4A~4Eは、本発明の一実施形態による、窒化ケイ素フィルムに対する酸化ケイ素フィルムの選択的エッチングの方法を断面図を通して概略的に示している。プロセスの流れ略
図30における処理方法は、
図1のプロセスの流れ略
図10と同様であるが、前者は、基板を、酸化ケイ素フィルムに対する窒化ケイ素フィルムでの第1の層の優先的な形成を強化するH
2含有ガスに曝露する前処理工程を更に含み、これにより、窒化ケイ素フィルムでの窒化物層のその後の形成を促進する。
【0019】
プロセスの流れ略
図30は、32において、SiO
2フィルム400及びSi
3N
4フィルム420を含む基板4を提供する工程を含む。これは、
図4Aに概略的に示されている。その後、34において、この方法は、基板4をH
2含有ガス401に曝露する工程を含む。これは、
図4Bに概略的に示されている。H
2含有ガス401に曝露されると、-OH表面402でSiO
2フィルム400が終端し、-NH
x表面422でSi
3N
4フィルム420が終端する。
【0020】
この方法は、36において、基板4を第1のガス403に曝露する工程を更に含む。第1のガス403への曝露は、SiO
2フィルム400に第1の層404(例えば、BCl
3)及びSi
3N
4フィルム420に第2の層424(例えば、BCl
3)を形成する。これは、
図4Cに概略的に示されている。
【0021】
この方法は、38において、基板4を窒素含有ガス405に曝露する工程を更に含む。窒素含有ガス405は、第1の層404及び第2の層424と反応して、それぞれ、第1の窒化物層406及び第2の窒化物層426を形成する。一実施形態によれば、曝露工程34、36、及び38は、交互に且つ連続して実行され得る。別の実施形態によれば、曝露工程34、36、及び38は、少なくとも部分的に時間的に重複し得る。プロセスの矢印40によって示されるように、第1の窒化物層406の厚さが後続のエッチングプロセス中でSiO2フィルム400を保護するのに十分でない一方、曝露工程34、36、及び38、又は、曝露工程36及び38は、第2の窒化物層426の厚さがエッチング停止層として機能するのに十分であるまで、少なくとも1回繰り返され得る。
【0022】
この方法は、42において、基板4をエッチングガス407に曝露する工程を更に含む。これは、
図4Eに概略的に示されている。エッチングガス407への曝露は、第1の窒化物層406及びSiO
2フィルム400をエッチングする。第2の窒化物層426は部分的にエッチングされるが、第2の窒化物層426がエッチングガス407に対する適切な保護を提供する限り、Si
3N
4フィルム420は、エッチングされない。一例では、第2の窒化物層426がSi
3N
4フィルム420をエッチングから適切に保護するのを中止する前に、エッチングガス407への曝露を停止することができる。
【0023】
プロセスの矢印44によって示されるように、曝露工程34、36、38、及び42を少なくとも1回繰り返して、第1の窒化物層406及び第2の窒化物層426を再堆積し、更にSiO
2フィルム402をエッチングすることができる。
図2Eに概略的に示される実施形態によれば、エッチングガス407への曝露は、基板4から第1の窒化物層406を完全に除去し、SiO
2フィルム402をエッチングする。別の実施形態によれば、エッチングガス407への曝露は、曝露工程36、38、及び42、又は曝露工程34、36、38、及び42が繰り返される前に、第1の窒化物層406を部分的にのみ除去し、SiO
2フィルム402をエッチングすることができる。
【0024】
窒化ケイ素に対する酸化ケイ素の選択的エッチングのための複数の実施形態が説明されてきた。本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。この説明及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。当業者は、図に示されている様々な構成要素の様々な均等な組み合わせ及び置換形態を認識するであろう。従って、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付された特許請求の範囲によって限定されることを意図している。