(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-01
(45)【発行日】2024-10-09
(54)【発明の名称】基板洗浄システムおよび基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
H01L21/304 644C
H01L21/304 644B
H01L21/304 651M
H01L21/304 622Q
(21)【出願番号】P 2021563839
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2020043805
(87)【国際公開番号】W WO2021117485
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】P 2019223429
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広毅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航平
(72)【発明者】
【氏名】深谷 孝一
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/124211(WO,A1)
【文献】特開2016-167514(JP,A)
【文献】特開2015-023165(JP,A)
【文献】特開2015-168035(JP,A)
【文献】特開2015-201627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水を加熱するヒーターと、
薬液と前記ヒーターで加熱された純水とを所定の体積比で混合させる薬液希釈モジュールと、
基板を洗浄する洗浄モジュールと、を備え、
前記洗浄モジュールは、
前記基板を保持する基板保持装置と、
前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、
前記基板に向けて、所定の温度に決定された薬液を供給する薬液供給ノズルと、
前記基板に向けて、加熱された純水を供給する純水供給ノズルと、を備え、
前記薬液希釈モジュールで混合された希釈薬液の温度は、常温よりも高い温度で、かつ前記洗浄部材のガラス転移点よりも低い温度に決定され、
前記洗浄部材は、前記決定された温度を有する希釈薬液が前記基板に供給された状態で、前記基板をスクラブする、基板洗浄システム。
【請求項2】
前記基板洗浄システムは、
前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、
前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、を備えており、
前記ヒーターは、前記純水供給ラインに接続されており、かつ、純水の流れ方向において、前記薬液供給ラインを前記純水供給ラインに接続する接続部材の上流側に配置されている、請求項1に記載の基板洗浄システム。
【請求項3】
前記純水供給ノズルから供給される純水の温度は、前記薬液供給ノズルから供給される希釈薬液の温度よりも高い、請求項1または請求項2に記載の基板洗浄システム。
【請求項4】
前記洗浄モジュールは、
前記薬液供給ノズルに隣接して配置され、かつ前記薬液供給ラインを流れる異物を捕捉する第1フィルタと、
前記純水供給ノズルに隣接して配置され、かつ前記純水供給ラインを流れる異物を捕捉する第2フィルタと、を備えている、請求項
2に記載の基板洗浄システム。
【請求項5】
前記薬液供給ノズルは、前記基板保持装置に保持された前記基板の中心から前記基板の周縁部に亘って、希釈薬液を供給する放射ノズルである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項6】
前記薬液供給ノズルは、
前記基板保持装置に保持された前記基板の中心に向けて、希釈薬液を供給する第1薬液供給ノズルと、
前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に向けて、希釈薬液を供給する第2薬液供給ノズルと、を備えている、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項7】
前記薬液供給ノズルは、
前記基板保持装置に保持された前記基板の表面に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルと、
前記基板保持装置に保持された前記基板の裏面に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルと、を備えている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項8】
前記洗浄モジュールは、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に隣接して配置された加熱装置を備えており、
前記加熱装置は、前記基板の周縁部に存在する希釈薬液を加熱する、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項9】
薬液と純水とを所定の体積比で混合する薬液希釈モジュールと、
基板に接触する洗浄部材と、前記薬液希釈モジュールを通じて供給される希釈薬液と、を用いて基板を洗浄する洗浄モジュールと、
前記希釈薬液の流量を調整する流量調整装置と、
前記薬液、前記純水、および前記希釈薬液のうちの少なくとも1つを加熱するヒーターと、
前記希釈薬液が前記洗浄モジュールに供給されるときに、前記希釈薬液の温度が常温よりも高く、かつ前記洗浄部材のガラス転移点よりも低くなるように、前記ヒーターおよび前記流量調整装置を制御する制御装置と、を備えた、基板洗浄システム。
【請求項10】
ヒーターで純水を加熱し、
薬液と前記ヒーターで加熱された純水とを所定の体積比で混合させ、
前記混合された希釈薬液の温度を、常温よりも高い温度で、かつ基板をスクラブする洗浄部材のガラス転移点よりも低い温度に決定し、
薬液供給ノズルを通じて、所定の温度に決定された希釈薬液を、基板保持装置に保持された前記基板に供給し、
純水供給ノズルを通じて、前記ヒーターで加熱された純水を、前記基板保持装置に保持された前記基板に供給し、
前記洗浄部材によって、前記決定された温度を有する希釈薬液が前記基板に供給された状態で、前記基板をスクラブする、基板洗浄方法。
【請求項11】
前記ヒーターによって、前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインを流れる純水を加熱し、
純水の流れ方向において、前記ヒーターの下流側の位置で前記純水供給ラインに接続された薬液供給ラインを流れる
純水に薬液を混合する、請求項10に記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
前記純水供給ノズルから供給される純水の温度は、前記薬液供給ノズルから供給される希釈薬液の温度よりも高い、請求項10または請求項11に記載の基板洗浄方法。
【請求項13】
前記薬液供給ノズルに隣接して配置された第1フィルタによって、前記薬液供給ラインを流れる異物を捕捉し、
前記純水供給ノズルに隣接して配置された第2フィルタによって、前記純水供給ラインを流れる異物を捕捉する、請求項
11に記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記基板保持装置に保持された前記基板の中心から前記基板の周縁部に亘って、希釈薬液を供給する放射ノズルである前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する、請求項10~請求項13のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項15】
前記基板保持装置に保持された前記基板の中心に向けて、希釈薬液を供給する第1薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に向けて、希釈薬液を供給する第2薬液供給ノズルと、を備えた前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する、請求項10~請求項14のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項16】
前記基板保持装置に保持された前記基板の表面に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の裏面に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルと、を備えた前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する、請求項10~請求項15のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項17】
前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に隣接して配置された加熱装置を用いて、前記基板の周縁部に存在する希釈薬液を加熱する、請求項10~請求項16のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項18】
純水を加熱して加熱純水を生成するヒーターと、
薬液と前記加熱純水とを混合させて加熱薬液を生成する薬液希釈モジュールと、
基板を洗浄する洗浄モジュールを備え、
前記洗浄モジュールは、
前記基板を保持する基板保持装置と、
前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、
前記基板に前記加熱薬液を供給する薬液供給ノズルと、
前記基板に純水を供給する純水供給ノズルと、
前記洗浄部材に連結され、前記加熱純水または前記加熱薬液のいずれかである加熱流体を前記洗浄部材に供給する内部配管を備え、
前記内部配管は、前記ヒーターおよび前記薬液希釈モジュールのうちの少なくとも一方に連通している、基板洗浄システム。
【請求項19】
前記内部配管は、前記洗浄部材内に配置されており、前記洗浄部材の長手方向に延びている、請求項18に記載の基板洗浄システム。
【請求項20】
前記内部配管は、前記洗浄部材に対向する少なくとも1つの開口部を有している、請求項18または請求項19に記載の基板洗浄システム。
【請求項21】
前記基板洗浄システムは、
前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、
前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、
前記内部配管に接続された加熱流体移送ラインをさらに備えており、
前記ヒーターは、前記純水供給ラインに接続されており、
前記加熱流体移送ラインは、前記純水供給ラインおよび前記薬液供給ラインのうちの少なくとも一方に連結されている、請求項18~請求項20のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項22】
前記洗浄部材は、円筒形状を有するロール洗浄部材であり、かつ前記洗浄部材の長手方向の長さが前記基板の直径よりも長い、請求項18~請求項21のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項23】
前記洗浄部材は、ペンシル形状を有するペンシル洗浄部材であり、
前記内部配管は、前記ペンシル洗浄部材の上部と接続されている、請求項18~請求項21のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項24】
薬液を加熱して加熱薬液を生成するヒーターと、
基板を洗浄する洗浄モジュールを備え、
前記洗浄モジュールは、
前記基板を保持する基板保持装置と、
前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、
前記基板に前記加熱薬液を供給する薬液供給ノズルと、
前記基板に純水を供給する純水供給ノズルと、
前記洗浄部材に連結され、前記加熱薬液を前記洗浄部材に供給する内部配管を備え、
前記内部配管は、前記ヒーターに連通している、基板洗浄システム。
【請求項25】
前記内部配管は、前記洗浄部材内に配置されており、前記洗浄部材の長手方向に延びている、請求項24に記載の基板洗浄システム。
【請求項26】
前記内部配管は、前記洗浄部材に対向する少なくとも1つの開口部を有している、請求項24または請求項25に記載の基板洗浄システム。
【請求項27】
前記基板洗浄システムは、
前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、
前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、
前記内部配管に接続された加熱流体移送ラインをさらに備えており、
前記ヒーターは、前記薬液供給ラインに接続されており、
前記加熱流体移送ラインは、前記薬液供給ラインに連結されている、請求項24~請求項26のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項28】
前記洗浄部材は、円筒形状を有するロール洗浄部材であり、かつ前記洗浄部材の長手方向の長さが前記基板の直径よりも長い、請求項24~請求項27のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項29】
前記洗浄部材は、ペンシル形状を有するペンシル洗浄部材であり、
前記内部配管は、前記ペンシル洗浄部材の上部と接続されている、請求項24~請求項27のいずれか一項に記載の基板洗浄システム。
【請求項30】
ヒーターで純水を加熱して加熱純水を生成し、
薬液と前記加熱純水とを混合させて加熱薬液を生成し、
洗浄部材に連結された内部配管を通じて、前記加熱純水または前記加熱薬液のいずれかである加熱流体を前記洗浄部材に供給し、
前記加熱薬液を薬液供給ノズルから基板に供給しながら、前記加熱流体が前記内部配管を通じて前記洗浄部材に供給された状態で、前記洗浄部材によって前記基板をスクラブする、基板洗浄方法。
【請求項31】
前記基板のスクラブの工程において、前記加熱流体が浸透した前記洗浄部材を前記基板の中央部および周縁部に接触させ、前記加熱流体を前記洗浄部材を通じて前記基板の中央部および周縁部に供給する、請求項30に記載の基板洗浄方法。
【請求項32】
前記基板のスクラブ後、純水供給ノズルから純水を前記基板に供給する工程をさらに含む、請求項30または請求項31に記載の基板洗浄方法。
【請求項33】
ヒーターで薬液を加熱して加熱薬液を生成し、
洗浄部材に連結された内部配管を通じて、前記加熱薬液を前記洗浄部材に供給し、
前記加熱薬液を薬液供給ノズルから基板に供給しながら、前記加熱薬液が前記内部配管を通じて前記洗浄部材に供給された状態で、前記洗浄部材によって前記基板をスクラブする、基板洗浄方法。
【請求項34】
前記基板のスクラブの工程において、前記加熱薬液が浸透した前記洗浄部材を前記基板の中央部および周縁部に接触させ、前記加熱薬液を前記洗浄部材を通じて前記基板の中央部および周縁部に供給する、請求項33に記載の基板洗浄方法。
【請求項35】
前記基板のスクラブ後、純水供給ノズルから純水を前記基板に供給する工程をさらに含む、請求項33または請求項34に記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄システムおよび基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造において、基板の表面の平坦化処理を行うCMP装置では、砥粒と研磨助剤とを含む懸濁液(スラリー)を用いて基板の表面を研磨処理した後に洗浄液を用いて基板の表面および裏面に付着したスラリーを除去する洗浄処理と、洗浄処理によって基板の表面および裏面に付着した液滴を除去する乾燥処理と、が行われる。
【0003】
洗浄処理が適切でない場合、素子の構造に欠陥が生じ、それによって素子の特性不良が生じるため、素子の破壊や腐食を生じることなく、短時間で確実にスラリーを除去する洗浄処理方法の選択が必要である。こうした背景から、ロール状あるいはペンシル状のスポンジ部材によるスクラブ洗浄が主に適用され、その補助的な役割で各種薬液からなる洗浄液が併用される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5866227号公報
【文献】特開2002-43267号公報
【文献】特開2010-74191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のスクラブ洗浄は、Cu配線とLow-k絶縁膜とからなる多層配線を形成する配線工程(BEOL)で主に適用される。近年、ロジック素子の高速化やメモリー素子の低コスト化の必要性から、電極とプラグを形成するトランジスタ工程(FEOL)にもCMP(Chemical Mechanical Polishing)の適用が広まっている。
【0006】
BEOLと比べて、FEOLでは、形成される膜厚・配線幅・配線間スペースがより微細であるため、微小パーティクルや分子状汚染に対する洗浄性能の改善が必要で、その実現手段として薬液の加熱による化学作用の促進を利用した洗浄方法が有望視されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のスクラブ洗浄において、加熱薬液をノズルから供給した場合、薬液温度が高すぎると、スポンジ部材の機械特性が熱によって劣化し、洗浄効果が室温の薬液のみを使用した時よりも低下してしまう懸念があった。
【0008】
さらに、発明者らの検討によれば、基板洗浄時の基板の回転運動に伴う冷却作用によって、基板の周縁部付近で液温が低下し、所望の液温で洗浄処理を行うことができない場合があり、結果として、安定した洗浄効果を得られないという課題がわかってきた。
【0009】
そこで、本発明は、改善された洗浄効果が得られる加熱薬液供給手段を備えた基板洗浄システムおよび基板洗浄方法を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、洗浄処理中に基板の被洗浄面の全体に亘って液温の高い均一性を達成することができる基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、純水を加熱するヒーターと、薬液と前記ヒーターで加熱された純水とを所定の体積比で混合させる薬液希釈モジュールと、基板を洗浄する洗浄モジュールと、を備え、前記洗浄モジュールは、前記基板を保持する基板保持装置と、前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、前記基板に向けて、所定の温度に決定された薬液を供給する薬液供給ノズルと、前記基板に向けて、加熱された純水を供給する純水供給ノズルと、を備え、前記薬液希釈モジュールで混合された希釈薬液の温度は、常温よりも高い温度で、かつ前記洗浄部材のガラス転移点よりも低い温度に決定され、前記洗浄部材は、前記決定された温度を有する希釈薬液が前記基板に供給された状態で、前記基板をスクラブする、基板洗浄システムが提供される。
【0011】
一態様では、前記基板洗浄システムは、前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、を備えており、前記ヒーターは、前記純水供給ラインに接続されており、かつ、純水の流れ方向において、前記薬液供給ラインを前記純水供給ラインに接続する接続部材の上流側に配置されている。
一態様では、前記純水供給ノズルから供給される純水の温度は、前記薬液供給ノズルから供給される希釈薬液の温度よりも高い。
一態様では、前記洗浄モジュールは、前記薬液供給ノズルに隣接して配置され、かつ前記薬液供給ラインを流れる異物を捕捉する第1フィルタと、前記純水供給ノズルに隣接して配置され、かつ前記純水供給ラインを流れる異物を捕捉する第2フィルタと、を備えている。
【0012】
一態様では、前記薬液供給ノズルは、前記基板保持装置に保持された前記基板の中心から前記基板の周縁部に亘って、希釈薬液を供給する放射ノズルである。
一態様では、前記薬液供給ノズルは、前記基板保持装置に保持された前記基板の中心に向けて、希釈薬液を供給する第1薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に向けて、希釈薬液を供給する第2薬液供給ノズルと、を備えている。
一態様では、前記薬液供給ノズルは、前記基板保持装置に保持された前記基板の表面に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の裏面に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルと、を備えている。
一態様では、前記洗浄モジュールは、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に隣接して配置された加熱装置を備えており、前記加熱装置は、前記基板の周縁部に存在する希釈薬液を加熱する。
【0013】
一態様では、薬液と純水とを所定の体積比で混合する薬液希釈モジュールと、基板に接触する洗浄部材と、前記薬液希釈モジュールを通じて供給される希釈薬液と、を用いて基板を洗浄する洗浄モジュールと、前記希釈薬液の流量を調整する流量調整装置と、前記薬液、前記純水、および前記希釈薬液のうちの少なくとも1つを加熱するヒーターと、前記希釈薬液が前記洗浄モジュールに供給されるときに、前記希釈薬液の温度が常温よりも高く、かつ前記洗浄部材のガラス転移点よりも低くなるように、前記ヒーターおよび前記流量調整装置を制御する制御装置と、を備えた、基板洗浄システムが提供される。
【0014】
一態様では、ヒーターで純水を加熱し、薬液と前記ヒーターで加熱された純水とを所定の体積比で混合させ、前記混合された希釈薬液の温度を、常温よりも高い温度で、かつ基板をスクラブする洗浄部材のガラス転移点よりも低い温度に決定し、薬液供給ノズルを通じて、所定の温度に決定された希釈薬液を、基板保持装置に保持された前記基板に供給し、純水供給ノズルを通じて、前記ヒーターで加熱された純水を、前記基板保持装置に保持された前記基板に供給し、前記洗浄部材によって、前記決定された温度を有する希釈薬液が前記基板に供給された状態で、前記基板をスクラブする、基板洗浄方法が提供される。
【0015】
一態様では、前記ヒーターによって、前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインを流れる純水を加熱し、純水の流れ方向において、前記ヒーターの下流側の位置で前記純水供給ラインに接続された薬液供給ラインを流れる純水に薬液を混合する。
一態様では、前記純水供給ノズルから供給される純水の温度は、前記薬液供給ノズルから供給される希釈薬液の温度よりも高い。
一態様では、前記薬液供給ノズルに隣接して配置された第1フィルタによって、前記薬液供給ラインを流れる異物を捕捉し、前記純水供給ノズルに隣接して配置された第2フィルタによって、前記純水供給ラインを流れる異物を捕捉する。
【0016】
一態様では、前記基板保持装置に保持された前記基板の中心から前記基板の周縁部に亘って、希釈薬液を供給する放射ノズルである前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する。
一態様では、前記基板保持装置に保持された前記基板の中心に向けて、希釈薬液を供給する第1薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に向けて、希釈薬液を供給する第2薬液供給ノズルと、を備えた前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する。
一態様では、前記基板保持装置に保持された前記基板の表面に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルと、前記基板保持装置に保持された前記基板の裏面に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルと、を備えた前記薬液供給ノズルを用いて、希釈薬液を前記基板保持装置に保持された前記基板に供給する。
一態様では、前記基板保持装置に保持された前記基板の周縁部に隣接して配置された加熱装置を用いて、前記基板の周縁部に存在する希釈薬液を加熱する。
【0017】
一態様では、純水を加熱して加熱純水を生成するヒーターと、薬液と前記加熱純水とを混合させて加熱薬液を生成する薬液希釈モジュールと、基板を洗浄する洗浄モジュールを備え、前記洗浄モジュールは、前記基板を保持する基板保持装置と、前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、前記基板に前記加熱薬液を供給する薬液供給ノズルと、前記基板に純水を供給する純水供給ノズルと、前記洗浄部材に連結され、前記加熱純水または前記加熱薬液のいずれかである加熱流体を前記洗浄部材に供給する内部配管を備え、前記内部配管は、前記ヒーターおよび前記薬液希釈モジュールのうちの少なくとも一方に連通している、基板洗浄システムが提供される。
一態様では、前記内部配管は、前記洗浄部材内に配置されており、前記洗浄部材の長手方向に延びている。
一態様では、前記内部配管は、前記洗浄部材に対向する少なくとも1つの開口部を有している。
【0018】
一態様では、前記基板洗浄システムは、前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、前記内部配管に接続された加熱流体移送ラインをさらに備えており、前記ヒーターは、前記純水供給ラインに接続されており、前記加熱流体移送ラインは、前記純水供給ラインおよび前記薬液供給ラインのうちの少なくとも一方に連結されている。
一態様では、前記洗浄部材は、円筒形状を有するロール洗浄部材であり、かつ前記洗浄部材の長手方向の長さが前記基板の直径よりも長い。
一態様では、前記洗浄部材は、ペンシル形状を有するペンシル洗浄部材であり、前記内部配管は、前記ペンシル洗浄部材の上部と接続されている。
【0019】
一態様では、薬液を加熱して加熱薬液を生成するヒーターと、基板を洗浄する洗浄モジュールを備え、前記洗浄モジュールは、前記基板を保持する基板保持装置と、前記基板に接触して、前記基板をスクラブする洗浄部材と、前記基板に前記加熱薬液を供給する薬液供給ノズルと、前記基板に純水を供給する純水供給ノズルと、前記洗浄部材に連結され、前記加熱薬液を前記洗浄部材に供給する内部配管を備え、前記内部配管は、前記ヒーターに連通している、基板洗浄システムが提供される。
一態様では、前記内部配管は、前記洗浄部材内に配置されており、前記洗浄部材の長手方向に延びている。
一態様では、前記内部配管は、前記洗浄部材に対向する少なくとも1つの開口部を有している。
【0020】
一態様では、前記基板洗浄システムは、前記薬液供給ノズルが接続された薬液供給ラインと、前記純水供給ノズルが接続された純水供給ラインと、前記内部配管に接続された加熱流体移送ラインをさらに備えており、前記ヒーターは、前記薬液供給ラインに接続されており、前記加熱流体移送ラインは、前記薬液供給ラインに連結されている。
一態様では、前記洗浄部材は、円筒形状を有するロール洗浄部材であり、かつ前記洗浄部材の長手方向の長さが前記基板の直径よりも長い。
一態様では、前記洗浄部材は、ペンシル形状を有するペンシル洗浄部材であり、前記内部配管は、前記ペンシル洗浄部材の上部と接続されている。
【0021】
一態様では、ヒーターで純水を加熱して加熱純水を生成し、薬液と前記加熱純水とを混合させて加熱薬液を生成し、洗浄部材に連結された内部配管を通じて、前記加熱純水または前記加熱薬液のいずれかである加熱流体を前記洗浄部材に供給し、前記加熱薬液を薬液供給ノズルから基板に供給しながら、前記加熱流体が前記内部配管を通じて前記洗浄部材に供給された状態で、前記洗浄部材によって前記基板をスクラブする、基板洗浄方法が提供される。
一態様では、前記基板洗浄方法は、前記基板のスクラブの工程において、前記加熱流体が浸透した前記洗浄部材を前記基板の中央部および周縁部に接触させ、前記加熱流体を前記洗浄部材を通じて前記基板の中央部および周縁部に供給する。
一態様では、前記基板洗浄方法は、前記基板のスクラブ後、純水供給ノズルから純水を前記基板に供給する工程をさらに含む。
【0022】
一態様では、ヒーターで薬液を加熱して加熱薬液を生成し、洗浄部材に連結された内部配管を通じて、前記加熱薬液を前記洗浄部材に供給し、前記加熱薬液を薬液供給ノズルから基板に供給しながら、前記加熱薬液が前記内部配管を通じて前記洗浄部材に供給された状態で、前記洗浄部材によって前記基板をスクラブする、基板洗浄方法が提供される。
一態様では、基板洗浄方法は、前記基板のスクラブの工程において、前記加熱薬液が浸透した前記洗浄部材を前記基板の中央部および周縁部に接触させ、前記加熱薬液を前記洗浄部材を通じて前記基板の中央部および周縁部に供給する。
一態様では、基板洗浄方法は、前記基板のスクラブ後、純水供給ノズルから純水を前記基板に供給する工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0023】
基板洗浄システムは、希釈薬液の温度が常温よりも高く、かつ洗浄部材のガラス転移点よりも低い状態で、希釈薬液を基板に供給し、洗浄部材は、希釈薬液が供給された状態で、基板をスクラブする。したがって、基板洗浄システムは、最適な洗浄効果を得ることができる。
【0024】
さらに、基板洗浄システムは、内部配管および洗浄部材を経由して、加熱流体(加熱純水または加熱薬液)が基板の被洗浄面へ供給される。このとき洗浄部材は基板の中央部のみならず周縁部にも接触するため、加熱流体は基板の回転運動に伴う冷却作用を受けることなく基板の全体に亘って供給される。したがって、基板洗浄装置および基板洗浄方法は、洗浄処理中に基板の被洗浄面の全体に亘って液温の高い均一性を達成することができ、粒子状汚染、分子状汚染および金属元素汚染に対して安定した除去効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【
図5】基板洗浄システムの他の実施形態を示す図である。
【
図6】基板Wの周縁部に隣接して配置されたヒーターを示す図である。
【
図7】基板の周縁部に隣接して配置された液飛散防止カップを示す図である。
【
図8】薬液供給ノズルの他の実施形態を示す図である。
【
図9】薬液供給ノズルのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図10】基板洗浄システムおよび乾燥モジュールによる一連の洗浄・乾燥シーケンスの一実施形態を示す図である。
【
図11】第1洗浄モジュールによる基板の表面および裏面の洗浄工程を示す図である。
【
図12】洗浄モジュールの構成による洗浄効果を示す図である。
【
図13】基板洗浄システムの他の実施形態を示す図である。
【
図14】基板洗浄システムのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図15】基板洗浄システムのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図16】基板洗浄システムのさらに他の実施形態を示す図である。
【
図17】
図13乃至
図16に示す洗浄モジュールの一実施形態を示す斜視図を示す斜視図である。
【
図18】
図17に示す第1洗浄モジュールの一部を示す断面図である。
【
図19】第2洗浄モジュールの他の実施形態を示す斜視図である。
【
図20】
図19に示す第2洗浄モジュールの一部を示す断面図である。
【
図21】
図13に示す第1洗浄モジュールによる基板の洗浄シーケンスを示すフローチャートである。
【
図22】基板洗浄システムの一実施形態による基板の表面における液温均一性の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0027】
以下に説明する実施形態は、基板(特に、半導体ウェハ)の表面(および裏面)を洗浄する基板洗浄方法(および基板洗浄システム)に関し、特に、CMPなどの基板の研磨後の基板の表面を洗浄する基板洗浄工程で実行される基板洗浄方法に関する。この基板洗浄方法は、例えば、フラットパネル製造、CMOSやCCDなどのイメージセンサー製造およびMRAMの磁性膜製造などの洗浄工程にも適用される。
【0028】
なお、特に説明がない限り、「上」とは基板を起点として洗浄具が存在する方向を意味し、「下」とはその反対方向を意味する。また、洗浄具やこれを構成する構成物に関し、「上面」や「表面」とは洗浄具が基板に接触する側の面を意味する。また、基板の中央部とは基板の中心を含む領域であり、基板の周縁部とは基板の中心を含まない環状の領域、すなわち基板の中央部を取り囲む、基板の中心から見て基板の中央部よりも遠い領域であって、基板Wの表面において基板Wの外周端部に沿った一定幅の領域をいう。
【0029】
図1は、上述した基板洗浄方法が適用される基板処理装置1(より具体的には、研磨装置)の全体構成を示す平面図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、ハウジング10と、多数の半導体ウェハ等の基板をストックする基板カセットが載置されるロードポート12と、を備えている。ロードポート12は、ハウジング10に隣接して配置されている。
【0030】
基板処理装置1は、ハウジング10の内部に配置された研磨部2および洗浄部4を備えている。研磨部2は、複数(本実施形態では、4つ)の研磨モジュール14A~14Dを備えている。洗浄部4は、研磨された基板を洗浄する第1洗浄モジュール16および第2洗浄モジュール18と、洗浄された基板を乾燥させる乾燥モジュール20と、を備えている。研磨モジュール14A~14Dは、基板処理装置1の長手方向に沿って配列されている。同様に、第1洗浄モジュール16、第2洗浄モジュール18、および乾燥モジュール20は、基板処理装置1の長手方向に沿って配列されている。
【0031】
基板処理装置1は、ロードポート12に隣接して配置された第1搬送ロボット22と、研磨モジュール14A~14Dに隣接して配置された搬送モジュール24と、を備えている。第1搬送ロボット22は、研磨前の基板をロードポート12から受け取って搬送モジュール24に受け渡すとともに、乾燥後の基板を乾燥モジュール20から受け取ってロードポート12に戻す。搬送モジュール24は、第1搬送ロボット22から受け取った基板を搬送して、各研磨モジュール14A~14Dとの間で基板の受け渡しを行う。
【0032】
基板処理装置1は、第1洗浄モジュール16と第2洗浄モジュール18との間に配置された第2搬送ロボット26と、第2洗浄モジュール18と乾燥モジュール20との間に配置された第3搬送ロボット28と、を備えている。第2搬送ロボット26は、搬送モジュール24と、各洗浄モジュール16,18との間で基板の受け渡しを行う。第3搬送ロボット28は、各モジュール18,20との間で基板の受け渡しを行う。
【0033】
基板処理装置1は、ハウジング10の内部に配置された制御装置30を備えている。制御装置30は、基板処理装置1の各機器の動きを制御するように構成されている。本実施形態では、制御装置30は、特に、後述する基板洗浄システム50の動作を制御するように構成されている。
【0034】
図2は、基板洗浄システム50を示す図である。基板処理装置1は、基板洗浄システム50を備えている。基板洗浄システム50は、純水を加熱するヒーター51と、薬液とヒーター51で加熱された純水とを所定の体積比で混合させる薬液希釈モジュール(言い換えれば、薬液供給モジュール)52と、基板を洗浄する洗浄モジュール16,18と、を備えている。本実施形態では、基板洗浄システム50は、第1洗浄モジュール16および第2洗浄モジュール18を備えているが、一実施形態では、基板洗浄システム50は、第1洗浄モジュール16および第2洗浄モジュール18のうちのいずれかを備えてもよい。
【0035】
図3は、第1洗浄モジュール16を示す図である。
図3に示すように、第1洗浄モジュール16は、基板Wを保持しつつ回転させる基板保持装置60と、基板Wに接触して、基板Wをスクラブする洗浄部材61,62と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、所定の温度に決定された薬液を供給する薬液供給ノズル65,66と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、加熱された純水を供給する純水供給ノズル67,68と、を備えている。
【0036】
薬液供給ノズル65は、基板Wの表面W1に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルである。薬液供給ノズル66は、基板Wの裏面W2に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルである。同様に、純水供給ノズル67は、基板Wの表面W1に向けて、純水を供給する表面側純水供給ノズルである。純水供給ノズル68は、基板Wの裏面W2に向けて、純水を供給する裏面側純水供給ノズルである。薬液供給ノズル66および純水供給ノズル68は、基板Wの裏面W2に対する洗浄作用だけでなく、その熱伝達作用により、基板Wの表面W1における薬液および純水の温度低下を防止する。
【0037】
各洗浄部材61,62は、円筒形状を有し、かつ長手方向の長さが基板Wの直径よりも長いスポンジ部材である。スポンジ部材の材質として、親水性の高い材質が好ましく、例えばPU(ポリウレタン)やPVA(ポリビニルアルコール)などが望ましい。各洗浄部材61,62は、その中心軸の方向が基板Wの面(すなわち、表面W1および裏面W2)に対して平行に配置されている。以下、洗浄部材61を上側ロール洗浄部材61と呼ぶことがあり、洗浄部材62を下側ロール洗浄部材62と呼ぶことがある。
【0038】
図3に示すように、基板保持装置60は、基板Wの表面W1を上向きにして基板Wを水平に保持し、回転させる4つのローラー60a~60dを備えている。ローラー60a~60dは、図示しない駆動機構(例えば、エアシリンダ)によって、互いに近接および離間する方向に移動可能に構成されている。
【0039】
本実施形態では、基板保持装置60は、その構成要素として、ローラー60a~60dを備えているが、基板保持装置60は、基板Wの側面を保持できるものであればよく、ローラーに限定されない。ローラーの代わりに、例えば複数のクランプ(図示しない)を備えてもよい。クランプは、基板Wの周縁部を保持する位置と、基板Wから離間した位置との間を移動可能に構成されている。
【0040】
一実施形態では、基板保持装置60は、基板Wを鉛直方向に保持するように構成されてもよい。この場合、ローラー60a~60d(またはクランプ)は、縦置きに配置される。
【0041】
第1洗浄モジュール16は、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62を回転させる回転機構69を備えている。上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62のそれぞれは、昇降機構(図示しない)に支持されており、昇降機構によって上下方向に移動可能である。昇降機構の一例として、ボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダを挙げることができる。
【0042】
基板Wの搬入搬出時では、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62は互いに離間している。基板Wの洗浄時には、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62は、互いに近接する方向に移動して、基板Wの表面および裏面に接触する。その後、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62のそれぞれは、回転機構69によって回転して、基板Wをスクラブする(スクラブ洗浄)。
【0043】
図4は、第2洗浄モジュール18を示す図である。
図4に示すように、第2洗浄モジュール18は、基板Wを保持しつつ回転させる基板保持装置60と、基板Wに接触して、基板Wをスクラブする洗浄部材71と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、所定の温度に決定された薬液を供給する薬液供給ノズル75,76と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、加熱された純水を供給する純水供給ノズル77,78と、を備えている。
【0044】
薬液供給ノズル75は、基板Wの表面W1に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルである。薬液供給ノズル76は、基板Wの裏面W2に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルである。同様に、純水供給ノズル77は、基板Wの表面W1に向けて、純水を供給する表面側純水供給ノズルである。純水供給ノズル78は、基板Wの裏面W2に向けて、純水を供給する裏面側純水供給ノズルである。
【0045】
洗浄部材71は、ペンシル形状を有し、かつ洗浄部材71の中心軸の周りに回転しながら、基板Wの表面W1に接触して、基板Wをスクラブするスポンジ部材である。以下、洗浄部材71をペンシル洗浄部材71と呼ぶことがある。基板保持装置60は、基板Wの表面W1を上向きにして基板Wを水平に保持し、回転させる4つのローラー60a~60d(またはクランプ)を備えている。
【0046】
第2洗浄モジュール18は、ペンシル洗浄部材71を揺動させる揺動機構79を備えている。ペンシル洗浄部材71は、昇降機構(図示しない)に支持されており、昇降機構によって上下方向に移動可能である。昇降機構の一例として、ボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダを挙げることができる。
【0047】
揺動機構79は、ペンシル洗浄部材71を基板Wの半径方向に揺動させるように構成されている。ペンシル洗浄部材71の揺動時において、ペンシル洗浄部材71の中心軸の方向は、基板Wの表面W1(または裏面W2)に対して垂直である。
【0048】
一実施形態では、揺動機構79は、回転中のペンシル洗浄部材71の下面を回転中の基板Wの表面W1に所定の押圧力で接触させながら、ペンシル洗浄部材71を基板Wの中心から基板Wの周縁部に向けて揺動させる(片道揺動)。他の実施形態では、揺動機構79は、回転中のペンシル洗浄部材71の下面を回転中の基板Wの表面W1に所定の押圧力で接触させながら、ペンシル洗浄部材71を基板Wの周縁部から、基板Wの中心を通過させて、基板Wの周縁部に向けて揺動させる(往復揺動)。このようにして、ペンシル洗浄部材71は、基板Wをスクラブする(スクラブ洗浄)。
【0049】
上述したように、第1洗浄モジュール16は、ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62が基板Wをスクラブしているとき、薬液供給ノズル65,66を通じて、基板Wの表面W1および裏面W2に薬液を供給する。薬液は、例えば、アルカリ性の洗浄液である。具体的には、アンモニア、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム化合物の何れかを成分として含有する水溶液が好適である。同様に、第2洗浄モジュール18は、ペンシル洗浄部材71が基板Wをスクラブしているとき、薬液供給ノズル75,76を通じて、基板Wの表面W1および裏面W2に薬液(例えば、アルカリ性の洗浄液)を供給する。以下、
図2を参照して、基板Wに薬液を供給する薬液供給手段について、説明する。
【0050】
図2に示すように、基板洗浄システム50は、薬液供給ノズル65,66および薬液供給ノズル75,76が接続された薬液供給ライン80と、純水供給ノズル67,68および純水供給ノズル77,78が接続された純水供給ライン81と、純水供給ライン81からヒーター51へ純水を循環させる純水戻りライン83と、を備えている。
【0051】
ヒーター51は、純水供給ライン81に接続されている。薬液供給ライン80は、純水供給ライン81に接続されており、純水供給ライン81を流れる純水の流れ方向において、ヒーター51の下流側に配置されている。薬液供給ライン80は、接続部材82によって純水供給ライン81に接続されている。したがって、ヒーター51は、純水の流れ方向において、接続部材82の上流側に配置されている。
【0052】
ヒーター51は、純水供給ライン81を流れる純水を所定の温度まで加熱する。より具体的には、ヒーター51の下流側には、ヒーター51に隣接して、流量センサ84および温度センサ85が配置されている。制御装置30(
図1参照)は、流量センサ84および温度センサ85に電気的に接続されており、温度センサ85から送られる温度データに基づいて、純水供給ライン81を流れる純水の温度が所定の温度になるように、かつ純水の流量が所定の流量になるように、ヒーター51の動作を制御する。
【0053】
図1に示す実施形態では、ヒーター51は、その内部に、純水供給ライン81を流れる純水を加熱するヒーター要素54と、純水供給ライン81を流れる純水の流量を調整する流量調整装置55と、を備えている。ヒーター要素54として、例えば、赤外線照射タイプのヒーターを挙げることができる。ヒーター要素54の種類として、具体的には、ハロゲンヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーターなどを用いてもよい。ヒーターとしては、電気加熱(抵抗、アーク、誘導、誘電(マイクロ波)、赤外線、レーザ、ヒートポンプ)、光、熱風、バーナー等の公知の加熱手段であって、求められる設置環境、立ち上げ時間、温度の条件を満たし、さらにその温度に維持できるものであればよい。なお、設置した工場から温水が供給されるならばそれを利用してもよい。
【0054】
図1に示す実施形態では、ヒーター51は、純水供給ライン81を流れる純水を加熱し、純水の流量を調整する。一実施形態では、ヒーター51は、薬液希釈モジュール52の下流側に配置されてもよい。この場合、ヒーター51は、希釈薬液を加熱し、希釈薬液の流量を調整する。他の実施形態では、ヒーター51は、薬液連結ライン52b(後述する)に配置されてもよい。この場合、ヒーター51は、薬液原液を加熱し、薬液原液の流量を調整する。このように、ヒーター51は、純水、希釈薬液、および薬液原液のうちの少なくとも1つを加熱し、純水、希釈薬液、および薬液原液のうちの少なくとも1つの流量を調整するように構成されている。なお、
図1に示す実施形態では、単一のヒーター51が設けられているが、ヒーター51の数は、本実施形態には限定されない。複数のヒーター51が設けられてもよい。
【0055】
一実施形態では、流量調整装置55は、ヒーター51から独立した別個の構成要素として、設けられてもよい。この場合、流量調整装置55は、薬液供給ライン80、純水供給ライン81、および薬液連結ライン52bのいずれかに配置されてもよい。なお、流量調整装置55の数も本実施形態には限定されない。複数の流量調整装置55が設けられてもよい。
【0056】
一実施形態では、ヒーター51は、その内部に流量センサ84および温度センサ85が内蔵された加熱装置であってもよい。他の実施形態では、基板洗浄システム50は、薬液供給ノズル65,66,75,76および純水供給ノズル67,68,77,78に隣接して配置された流量センサ(図示しない)および温度センサ(図示しない)をさらに備えてもよい。温度センサの数は、純水供給ノズルの数および薬液供給ノズルの数に対応してもよい。
【0057】
ヒーター51によって所定の温度に加熱された純水は、純水供給ライン81を流れる。その後、加熱純水は、純水供給ライン81の途中で分岐して、純水供給ライン81および薬液供給ライン80を流れる。
【0058】
薬液希釈モジュール52は、薬液供給ライン80に接続されている。より具体的には、薬液希釈モジュール52は、薬液供給源52aと、薬液供給源52aおよび薬液供給ライン80を連結する薬液連結ライン52bと、を備えている。
【0059】
薬液希釈モジュール52は、薬液連結ライン52bを通じて、薬液供給源52aから薬液供給ライン80に供給される常温の薬液原液を、薬液供給ライン80を流れる加熱純水に加える。このようにして、薬液希釈モジュール52は、常温の薬液原液と加熱純水とを所定の体積比で混合希釈する。したがって、純水供給ノズル67,68,77,78から供給される純水の温度は、薬液供給ノズル65,66,75,76から供給される希釈薬液の温度よりも高い。
【0060】
薬液希釈モジュール52で混合された希釈薬液の温度は、常温よりも高い温度で、かつ洗浄部材61,62(および/または洗浄部材71)のガラス転移点よりも低い温度に決定される。この理由は次の通りである。希釈薬液の温度は、基板Wの洗浄効果を向上するため、言い換えれば、化学作用の促進の観点から、常温よりも高く、かつ水の沸点である100℃よりも低いことが望ましい。
【0061】
しかしながら、加熱薬液が供給された状態において、基板Wのスクラブ洗浄を実行する場合、洗浄部材(符号省略)の耐熱性を考慮する必要がある。上述したように、洗浄部材はスポンジ部材から構成されている。スポンジ部材の材料は、一般的に熱可塑性樹脂であるため、融点よりも低い温度域にガラス転移点が存在する。
【0062】
ガラス転移点とは、樹脂が固いガラス状と柔らかいゴム状の中間にある温度であり、この付近より高温では弾性率が大幅に低下する。すなわち、スポンジ部材の剛性が小さくなり、結果として、スポンジ部材のスクラブ作用が弱まる。したがって、スクラブ洗浄を実行するときの薬液の温度は、常温より高く、かつスポンジ部材のガラス転移点よりも低いことが望ましい。例えば、スポンジ部材がポリビニルアルコール(PVA)樹脂である場合、そのガラス転移点は約60℃である。
【0063】
本実施形態では、常温よりも高く、洗浄部材61,62(および/または洗浄部材71)のガラス転移点よりも低い温度に決定された加熱薬液が基板W上に供給された状態で、洗浄部材61,62(および/または洗浄部材71)が基板Wをスクラブする。
【0064】
使用する洗浄部材の種類に応じて、ガラス転移点は異なる場合がある。そこで、制御装置30は、洗浄部材の種類ごとに、洗浄部材に対応するガラス転移点を記憶装置30aに記憶してもよい。制御装置30は、処理装置30bを備えており、処理装置30bは、記憶装置30aに記憶されたデータに基づいて演算を実行する。記憶装置30aは、制御装置30の一構成要素である。制御装置30は、使用する洗浄部材および記憶装置30aに記憶されたガラス転移点に基づいて、加熱薬液の温度を制御する。
【0065】
上述した実施形態によれば、スポンジ部材の機械特性の低下に起因するスクラブ作用の低下が起こることなく、かつ薬液の加熱によって化学作用(例えば、表面張力の低下、動粘度の低下、有機物の溶解)が促進される。結果として、基板洗浄システム50は、基板Wの、高い洗浄効果を得ることができる。なお、基板Wに対してスクラブ洗浄を実行せずに、リンス洗浄を実施する場合には、加熱薬液の温度はガラス転移点より高い温度であってもよい。
【0066】
図2に示すように、接続部材82の上流側には、純水供給ライン81を流れる純水に混在する異物を捕捉するフィルタ86が配置されている。ヒーター51によって加熱された純水が純水供給ライン81を流れると、純水供給ライン81の内壁に付着した異物が加熱純水によって剥離されるおそれがある。この場合、剥離された異物は、純水供給ライン81(および薬液供給ライン80)を流れて、基板W上に供給される。本実施形態では、基板洗浄システム50は、ヒーター51に隣接して配置されたフィルタ86を備えているため、異物が基板W上に供給されることを防止することができる。
【0067】
異物の基板W上への供給をより確実に防止するために、基板洗浄システム50は、純水供給ノズル67に隣接して配置されたフィルタ87および純水供給ノズル77に隣接して配置されたフィルタ88を備えてもよい。図示しないが、基板洗浄システム50は、純水供給ノズル68,78に隣接して配置されたフィルタを備えてもよい。
【0068】
同様に、基板洗浄システム50は、薬液供給ノズル65に隣接して配置されたフィルタ90および薬液供給ノズル75に隣接して配置されたフィルタ91を備えてもよい。図示しないが、基板洗浄システム50は、薬液供給ノズル66,76に隣接して配置されたフィルタを備えてもよい。
【0069】
フィルタ87の上流側には、開閉バルブ120が配置されており、フィルタ88の上流側には、開閉バルブ121が配置されており、フィルタ90の上流側には、開閉バルブ122が配置されており、フィルタ91の上流側には、開閉バルブ123が配置されている。これら開閉バルブ120,121,122,123のそれぞれは、制御装置30に電気的に接続されている。したがって、制御装置30は、開閉バルブ120,121,122,123のそれぞれを動作させることにより、基板W上に純水および/または薬液を供給する。
【0070】
より具体的には、薬液供給ライン80は、フィルタ87および開閉バルブ120が取り付けられた第1薬液分岐ライン80Aと、フィルタ91および開閉バルブ123が取り付けられた第2薬液分岐ライン80Bと、を備えている。同様に、純水供給ライン81は、フィルタ90および開閉バルブ122が取り付けられた第1純水分岐ライン81Aと、フィルタ88および開閉バルブ121が取り付けられた第2純水分岐ライン81Bと、を備えている。
【0071】
図2に示すように、純水供給ライン81およびヒーター51には、純水戻りライン83が接続されている。純水戻りライン83は、洗浄部4の待機時に、純水供給ライン81に存在する純水の温度低下を防止するための保温手段として、設けられている。純水戻りライン83を設けることにより、純水供給ライン81に存在する純水の温度を一定に維持することができる。したがって、基板Wの研磨部2での処理中など、洗浄部4の待機中には、純水は、純水供給ライン81および純水戻りライン83を通じて、ヒーター51に戻される。結果として、純水供給ライン81を流れる純水は、一定の温度に維持される。
【0072】
純水戻りライン83は、第1純水分岐ライン81Aに接続され、かつ開閉バルブ124が取り付けられた第1戻り分岐ライン83Aと、第2純水分岐ライン81Bに接続され、かつ開閉バルブ125が取り付けられた第2戻り分岐ライン83Bと、を備えている。
【0073】
開閉バルブ124,125のそれぞれは、制御装置30に電気的に接続されている。洗浄部4の待機時では、制御装置30は、開閉バルブ124,125を開き、開閉バルブ120,121,122,123を閉じる。このような動作により、純水は、純水供給ライン81および純水戻りライン83とヒーター51との間を循環する。結果として、循環する純水は、一定の温度に維持される。洗浄部4の運転時では、制御装置30は、開閉バルブ124,125を閉じ、開閉バルブ120,121,122,123を開く。
【0074】
図5は、基板洗浄システム50の他の実施形態を示す図である。本実施形態において、上述した実施形態と同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0075】
図5に示すように、基板洗浄システム50は、薬液供給ライン80および純水供給ライン81を覆う断熱部材100を備えてもよい。断熱部材100は、薬液供給ライン80を流れる加熱薬液および純水供給ライン81を流れる加熱純水の温度低下を最小限に抑えることができ、結果として、加熱純水および加熱薬液のそれぞれは、その温度を維持した状態で、第1洗浄モジュール16および第2洗浄モジュール18のそれぞれに到達する。このように、断熱部材100を設けることにより、ヒーター51の熱効率を高めることができる。
【0076】
上述したように、加熱薬液を基板W上に供給することにより、薬液の化学作用が促進され、基板Wの洗浄効果を高めることができる。加熱薬液を基板Wの全体に均一に供給するために、加熱薬液は、回転する基板Wの中心上に供給される。基板Wの中心上に供給された加熱薬液には、回転する基板Wによる遠心力が作用し、加熱薬液は、基板Wの中心から基板Wの周縁部に向かって、基板Wの半径方向外側に広がる。
【0077】
本実施形態では、加熱薬液の供給位置は固定されているが、一実施形態では、薬液供給ノズル65(および/または薬液供給ノズル66)を基板Wの中心と基板Wの周縁部との間で揺動させながら、加熱薬液を基板W上に供給してもよい。
【0078】
したがって、基板Wの周縁部における加熱薬液の温度は、基板Wの中心における加熱薬液の温度よりも低くなる可能性がある。結果として、基板Wの周縁部の洗浄効果が基板Wの中心の洗浄効果よりも低くなるおそれがある。そこで、第1洗浄モジュール16(および第2洗浄モジュール18)は、基板Wの周縁部における加熱薬液の温度を基板Wの中心における加熱薬液の温度と同じ温度に維持する構成を有してもよい。
【0079】
図6は、基板Wの周縁部に隣接して配置されたヒーター101を示す図である。
図6に示す実施形態では、第1洗浄モジュール16に設けられたヒーター101について説明するが、ヒーター101は、第2洗浄モジュール18に設けられてもよい。
図6に示すように、洗浄モジュール16は、基板Wの周縁部に隣接して配置されたヒーター101を備えてもよい。
【0080】
ヒーター101は、基板Wの周縁部に存在する加熱薬液(および加熱純水)を加熱するための加熱装置である。ヒーター101は、基板Wの周縁部における加熱薬液(および加熱純水)の温度を基板Wの中心における加熱薬液(加熱純水)の温度と同じ温度に維持することができる。したがって、基板Wの周縁部の洗浄効果を向上させることができる。
【0081】
図7は、基板Wの周縁部に隣接して配置された液飛散防止カップ102を示す図である。
図7に示すように、第1洗浄モジュール16は、液飛散防止カップ102の内側に配置されたヒーター105を備えてもよい。液飛散防止カップ102は、基板Wから飛散した液体を受け止めて、液体の飛散を防止するための部材である。
【0082】
ヒーター105は、液飛散防止カップ102の内周面に貼り付けられており、基板Wを取り囲んでいる。液飛散防止カップ102に設けられたヒーター105は、基板Wの周縁部における加熱薬液(および加熱純水)の温度を基板Wの中心における加熱薬液(加熱純水)の温度と同じ温度に維持することができる。したがって、基板Wの周縁部の洗浄効果を向上させることができる。
【0083】
図8は、薬液供給ノズル65(および純水供給ノズル67)の他の実施形態を示す図である。
図8に示すように、薬液供給ノズル65(および純水供給ノズル67)は、基板保持装置60に保持された基板Wの中心から基板Wの周縁部に亘って、加熱された希釈薬液を供給する放射ノズルであってもよい。放射ノズルは、基板Wの面上のスプレーパターンの断面がほぼ円形状、楕円形状、扁平形状のような面積を有するノズルであることが好ましい。例えば、放射ノズルの一例として、扇形ノズルまたは円錐形ノズルを挙げることができる。
【0084】
放射ノズルである薬液供給ノズル65は、基板Wの中心から基板Wの周縁部に亘って、薬液を均一に供給することができる。したがって、薬液供給ノズル65は、基板Wの周縁部における加熱薬液(および加熱純水)の温度を基板Wの中心における加熱薬液(加熱純水)の温度と同じ温度に維持することができる。これにより、基板Wの洗浄対象面の温度を同じ温度に維持することができる。
【0085】
一実施形態では、薬液供給ノズル66(および純水供給ノズル68)が放射ノズルであってもよい。さらに、第2洗浄モジュール18に設けられた薬液供給ノズル75,76および純水供給ノズル77,78も放射ノズルであってもよい。
【0086】
図9は、薬液供給ノズル65(および純水供給ノズル67)のさらに他の実施形態を示す図である。
図9に示すように、薬液供給ノズル65(および純水供給ノズル67)は、基板保持装置60に保持された基板Wの中心に向けて希釈薬液を供給する第1薬液供給ノズル65A(および第1純水供給ノズル67A)と、基板保持装置60に保持された基板Wの周縁部に向けて希釈薬液を供給する第2薬液供給ノズル65B(および第2純水供給ノズル67B)と、を備えてもよい。
【0087】
一実施形態では、
図8に示す実施形態と
図9に示す実施形態とを組み合わせてもよい。この場合、第1薬液供給ノズル65A(および第1純水供給ノズル67A)および第2薬液供給ノズル65B(および第2純水供給ノズル67B)のそれぞれは、放射ノズルである。
【0088】
図10は、基板洗浄システム50および乾燥モジュール20による一連の洗浄・乾燥シーケンスの一実施形態を示す図である。
図10に示す実施形態では、第1洗浄モジュール16および乾燥モジュール20で実行される洗浄・乾燥シーケンスについて説明する。一実施形態では、洗浄シーケンスは、第2洗浄モジュール18および乾燥モジュール20で実行されてもよい。
【0089】
一実施形態では、洗浄・乾燥シーケンスは、洗浄モジュール16または洗浄モジュール18による単一モジュール(すなわち、洗浄・乾燥モジュール)で実行されてもよい。このような構成により、搬送ロボット28(
図1参照)を省略することができるため、基板処理装置1のスループットを向上させることができる。
【0090】
一実施形態では、洗浄・乾燥モジュールは、その内部に搬送された基板Wの下方に配置された排気口を備える構成を有してもよい。このような構成により、洗浄・乾燥モジュールは、その洗浄・乾燥チャンバ内にダウンフローを形成して、加温した純水・薬液の蒸気(ミスト)を速やかに排出することができる。結果として、洗浄・乾燥モジュールは、蒸気の、基板Wへの再付着を防止することができる。
【0091】
図10のステップS101に示すように、まずは、加熱薬液を基板W上に供給して、基板Wのリンス洗浄を実行し、その後、加熱薬液の供給を継続したまま、洗浄部材61,62で基板Wをスクラブする(ステップS102参照)。その後、洗浄部材61,62を基板Wから離間して、再び、基板Wのリンス洗浄を実行する(ステップS103参照)。ステップS103の終了後、加熱薬液の供給を停止し、かつ加熱純水の供給を開始して、基板Wのリンス洗浄を実行する(ステップS104参照)。
【0092】
本実施形態では、加熱純水を供給して、基板Wのリンス洗浄を実行することにより、基板Wに付着した加熱薬液を速やかに除去することができるため、リンス洗浄時間を短縮することができる。ステップS104において供給される加熱純水の温度は、ステップS101において供給される加熱薬液の温度よりも高い。加熱純水による基板Wのリンス洗浄が終了した後、基板Wを乾燥モジュール20に搬送して、基板Wを乾燥する(ステップS105参照)。
【0093】
図11は、第1洗浄モジュール16による基板Wの表面W1および裏面W2の洗浄工程を示す図である。
図11に示すように、基板Wの洗浄は、次のように行われる。まず、搬送モジュール24(
図1参照)で待機中の基板Wを第1洗浄モジュール16に搬送する。一実施形態では、搬送モジュール24で待機中の基板Wに対して、加熱純水を供給してもよい。この場合、搬送モジュール24は、待機中の基板Wに加熱純水を供給する加熱純水供給ノズル(図示しない)を備えている。
【0094】
基板保持装置60は、第1洗浄モジュール16に搬送された基板Wを保持し、この状態で、基板Wの回転が開始される(ステップS201参照)。その後、薬液供給ノズル65,66を通じて、基板Wの両面(すなわち、表面W1および裏面W2)に対して、加熱薬液の供給を開始する(ステップS202参照)。スクラブ洗浄を開始した後に、基板Wの全体をむらなく洗浄するためには、基板Wの中心部領域および周縁部領域に温度差が生じにくいように予熱しておくことが望ましい。このような観点から、基板Wの表面W1への薬液供給および基板Wの裏面W2への薬液供給は、同時に行うことが望ましい。
【0095】
加熱薬液の供給が開始された後、洗浄部材61,62を所定の待機位置から所定の処理位置まで移動させて、洗浄部材61,62を基板Wの両面に接触させる(ステップS203参照)。その後、基板Wに対する洗浄部材61,62のスクラブを開始し(ステップS204参照)、基板Wのスクラブ洗浄を実行する。
【0096】
基板Wのスクラブ洗浄が終了した後、洗浄部材61,62を基板Wから離間させて(ステップS205参照)、洗浄部材61,62を待機位置に移動させる(ステップS206参照)。その後、加熱薬液の供給を停止する(ステップS207参照)。その後、加熱純水の供給を開始し(ステップS208参照)、基板Wのリンス洗浄を実行する。ステップS206、ステップS207、およびステップS208は、順次行ってもよく、または同時に行ってもよい。これらのステップを同時に行う場合、基板洗浄システム50は、一連の洗浄シーケンスの時間短縮を実現することができる。
【0097】
基板Wのリンス洗浄が終了した後、加熱純水の供給を停止し(ステップS209参照)、基板Wの回転が停止される(ステップS210参照)。その後、基板Wは、乾燥モジュール20に搬送される。乾燥モジュール20では、例えば、IPA蒸気を吐出するノズルと不活性ガスを吐出するノズルとが基板W上を揺動するアームの先端に隣接して設けられている。回転する基板W上にIPA蒸気を供給するとともに、不活性ガスを基板Wに供給しながら、上記アームを基板W上で揺動させて基板Wを乾燥させるという方法により、乾燥モジュール20で乾燥される。その後、乾燥された基板Wは、ロードポート12に戻される。
【0098】
図12は、上述した実施形態に係る洗浄モジュールの構成による洗浄効果を示す図である。
図12では、研磨処理直後のスラリーなどのパーティクルが残存するシリコン酸化膜が形成された基板Wに対して
図10に示す洗浄シーケンスを実行したときの、シリコン酸化膜の表面の欠陥数(汚染粒子数)の比較結果が示されている。
【0099】
比較例1における加熱薬液の温度は、22℃である。比較例1では、常温の薬液が使用される。本実施形態における加熱薬液の温度は、55℃である。本実施形態では、常温よりも高く、かつ洗浄部材(符号省略)のガラス転移点の温度よりも低い温度の薬液が使用される。比較例2における加熱薬液の温度は、63℃である。比較例2では、洗浄部材のガラス転移点の温度よりも高い温度の薬液が使用される。
【0100】
図12から明らかなように、本実施形態における加熱薬液を使用した場合、基板W上に存在する汚染粒子数は、比較例1における汚染粒子数および比較例2における汚染粒子数と比べて、非常に少ない。本実施形態によれば、基板洗浄システム50は、最適な洗浄効果を得ることができる。
【0101】
上述した実施形態では、洗浄部材として、ロール洗浄部材およびペンシル洗浄部材を例に説明したが、洗浄部材は、ロール洗浄部材およびペンシル洗浄部材以外の部材であってもよい。一実施形態では、洗浄部材は、バフパッドであってもよい。
【0102】
図13は、基板洗浄システム50の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図2を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0103】
基板洗浄システム50は、純水を加熱して加熱純水を生成するヒーター51と、薬液と加熱純水とを混合させて加熱薬液を生成する薬液希釈モジュール52と、基板を洗浄する洗浄モジュール16とを備えている。一実施形態では、基板洗浄システム50は、第1洗浄モジュール16に代えて第2洗浄モジュール18(
図4参照)を備えていてもよく、第1洗浄モジュール16および第2洗浄モジュール18の両方を備えていてもよい。
【0104】
基板洗浄システム50は、薬液供給ノズル65,66が接続された薬液供給ライン80と、純水供給ノズル67,68が接続された純水供給ライン81および常温純水供給ライン81-2と、純水供給ライン81からヒーター51へ純水を循環させる純水戻りライン83とをさらに備えている。純水供給ライン81はヒーター51に接続されている。純水供給ライン81には、純水の流れ方向においてヒーター51の下流側で、接続部材82によって薬液供給ライン80が接続されている。一実施形態では、
図2を参照して説明した実施形態と同様に、基板洗浄システム50は、常温純水供給ライン81-2を備えていなくてもよい。また、
図2を参照して説明した実施形態に、常温純水供給ライン81-2を備える構成を適用してもよい。
【0105】
第1洗浄モジュール16は、洗浄部材61,62にそれぞれ連結された内部配管63a,64aを備えている。内部配管63a,64aは、洗浄部材61,62の内部にそれぞれ配置されており、洗浄部材61,62の長手方向(軸方向)に延びている。
【0106】
基板洗浄システム50は、純水供給ライン81および内部配管63a,64aに接続された加熱流体移送ライン111A,111Bをさらに備えている。加熱流体移送ライン111A,111Bの一端は純水供給ライン81に接続され、加熱流体移送ライン111A,111Bの他端は図示しないロータリコネクタを介して内部配管63a,64aにそれぞれ接続されている。純水供給ライン81を流れる加熱純水は、加熱流体移送ライン111A,111Bを通って内部配管63a,64aに流入し、さらに内部配管63a,64aの複数の開口部から洗浄部材61,62の内部に直接供給される。加熱純水は、洗浄部材61,62の全体に浸透して、洗浄部材61,62と接触している基板Wの表面W1および裏面W2に加熱純水が供給される。本実施形態の第1洗浄モジュール16の構成については、詳細を後述する。
【0107】
ヒーター51は、その内部に、純水供給ライン81を流れる純水を加熱するヒーター要素54と、純水供給ライン81を流れる純水の流量を調整する流量調整装置55と、を備えている。ヒーター要素54は、一例として赤外線ランプヒーターである。流量調整装置55は、一例としてダイアフラムポンプである。ヒーター51は、純水供給ライン81を流れる純水を所定の温度まで加熱する。ヒーター51によって所定の温度に加熱された純水は、純水供給ライン81を流れる。その後、加熱純水は、純水供給ライン81から分岐して、薬液供給ライン80および加熱流体移送ライン111A,111Bを流れる。
【0108】
薬液希釈モジュール52は、薬液供給ライン80に接続されている。薬液希釈モジュール52は、薬液供給源52aと、薬液供給源52aおよび薬液供給ライン80を連結する薬液連結ライン52bと、を備えている。薬液希釈モジュール52は、常温の薬液原液と加熱純水とを所定の体積比で混合希釈することで、加熱薬液を生成する。
【0109】
薬液供給ライン80は、加熱薬液の流れ方向において薬液希釈モジュール52の下流側で、薬液供給ノズル65,66に接続されている。薬液供給ライン80には、開閉バルブ120A,120Bがそれぞれ配置されている。開閉バルブ120Aは、薬液希釈モジュール52と薬液供給ノズル65との間に位置し、開閉バルブ120Bは、薬液希釈モジュール52と薬液供給ノズル66との間に位置している。
【0110】
加熱流体移送ライン111A,111Bは、純水の流れ方向においてヒーター51の下流側で、純水供給ライン81に接続されている。常温純水供給ライン81-2は、純水の流れ方向においてヒーター51の上流側で、純水供給ライン81に接続されている。純水供給ライン81には、それぞれ開閉バルブ122A,122Bが配置されている。開閉バルブ122Aは、ヒーター51と純水供給ノズル67との間に位置し、開閉バルブ122Bは、ヒーター51と純水供給ノズル68との間に位置している。常温純水供給ライン81-2には、それぞれ開閉バルブ122C,122Dが配置されている。加熱流体移送ライン111A,111Bには、開閉バルブ126A,126Bがそれぞれ配置されている。開閉バルブ126A,126Bは、洗浄部材61,62と純水供給ライン81との間に位置している。純水戻りライン83には、開閉バルブ124が配置されている。純水供給ライン81には、純水の流れ方向においてヒーター51の上流側に、開閉バルブ127が配置されている。
【0111】
開閉バルブ120A,120B,122A,122B,122C,122D,124,126A,126B,127のそれぞれは、制御装置30(
図1参照)に電気的に接続されており、制御装置30から発せられる制御信号に基づいて開閉バルブ120A,120B,122A,122B,122C,122D,124,126A,126B,127の開閉操作を行うことができる。洗浄待機時には、制御装置30は、開閉バルブ124,127を開き、開閉バルブ120A,120B,122A,122B,122C,122D,126A,126Bを閉じる。このような動作により、純水は、純水供給ライン81、純水戻りライン83、およびヒーター51を通って循環する。結果として、加熱純水は一定の温度に維持される。
【0112】
制御装置30は、開閉バルブ120A,120B,122A,122B,122C,122Dのそれぞれを動作させることにより、基板W上に純水および/または加熱薬液を供給する。開閉バルブ122A,122Bを開き、開閉バルブ122C,122Dを閉じると、純水供給ノズル67,68には加熱純水が供給される。開閉バルブ122C,122Dを開き、開閉バルブ122A,122Bを閉じると、純水供給ノズル67,68には常温の純水が供給される。このように、純水供給ノズル67,68から基板W上に、加熱純水または常温の純水が選択的に供給される。制御装置30が開閉バルブ126A,126Bを開くと、加熱純水は加熱流体移送ライン111A,111Bを流れて内部配管63a,64aに流入し、洗浄部材61,62を通じて基板Wの表面W1および裏面W2に加熱純水が供給される。
【0113】
図14は基板洗浄システム50のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図2および
図13を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図13を参照して説明した実施形態では、加熱流体として加熱純水が洗浄部材61,62に供給されるが、
図14に示す実施形態では、加熱流体として加熱薬液が洗浄部材61,62に供給される。
【0114】
図14に示すように、内部配管63a,64aに接続された加熱流体移送ライン111A,111Bは、薬液供給ライン80に接続されている。制御装置30が開閉バルブ126A,126Bを開くと、加熱薬液は加熱流体移送ライン111A,111Bを流れて内部配管63a,64aに流入する。加熱薬液は、さらに内部配管63a,64aの複数の開口部から洗浄部材61,62の内部に直接供給される。加熱薬液は、洗浄部材61,62の全体に浸透して、洗浄部材61,62と接触している基板Wの表面W1および裏面W2に加熱薬液が供給される。
【0115】
図15は、基板洗浄システム50のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図14を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図15に示す実施形態では、ヒーター51によって薬液を直接加熱することで加熱薬液が生成される。薬液供給ノズル65,66が接続された薬液供給ライン80には、薬液供給源52aから薬液が供給されている。ヒーター51は、薬液供給ライン80に接続されており、薬液供給ライン80を流れる薬液を所定の温度まで加熱する。ヒーター51によって所定の温度に加熱された加熱薬液は、薬液供給ライン80を流れる。その後、加熱薬液は、薬液供給ライン80から分岐して、加熱流体移送ライン111A,111Bを流れる。
【0116】
純水供給ライン81には純水が流れており、純水供給ノズル67,68が接続されている。本実施形態では、純水供給ノズル67,68から常温の純水が供給されるが、純水供給ライン81にもヒーターを備えて加熱純水を生成し、純水供給ノズル67,68から加熱純水を供給してもよい。あるいは、
図13を参照して説明した実施形態と同様に、純水供給ノズル67,68から加熱純水または常温の純水が選択的に供給される構成としてもよい。また、
図2を参照して説明した実施形態に、ヒーター51によって薬液を直接加熱することで加熱薬液が生成される上記構成を適用してもよい。
【0117】
図16は、基板洗浄システム50のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図2および
図14を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図16に示す実施形態では、内部配管63a,64aは、加熱流体移送ライン111A,111Bを介して純水供給ライン81および薬液供給ライン80の両方に連結されている。加熱流体移送ライン111A,111Bと純水供給ライン81との間には第1切り替えバルブ129が配置されており、加熱流体移送ライン111A,111Bと薬液供給ライン80との間には第2切り替えバルブ130が配置されている。第1切り替えバルブ129および第2切り替えバルブ130は、制御装置30(
図1参照)に電気的に接続されており、制御装置30によって第1切り替えバルブ129および第2切り替えバルブ130の開閉動作が制御される。
【0118】
第1切り替えバルブ129を開き、第2切り替えバルブ130を閉じると、純水供給ライン81は第1切り替えバルブ129および加熱流体移送ライン111A,111Bを通じて内部配管63a,64aに連通する。したがって、加熱純水は純水供給ライン81から第1切り替えバルブ129および加熱流体移送ライン111A,111Bを通って内部配管63a,64aに流れる。第2切り替えバルブ130を開き、第1切り替えバルブ129を閉じると、薬液供給ライン80は第2切り替えバルブ130および加熱流体移送ライン111A,111Bを通じて内部配管63a,64aに連通する。したがって、加熱薬液は薬液供給ライン80から第2切り替えバルブ130および加熱流体移送ライン111A,111Bを通って内部配管63a,64aに流れる。このように、加熱流体移送ライン111A,111Bに接続された内部配管63a,64aは、純水供給ライン81または薬液供給ライン80に選択的に連通する。
【0119】
図17は、
図13乃至
図16に示す第1洗浄モジュール16の一実施形態を示す斜視図であり、
図18は、
図17に示す第1洗浄モジュール16の一部を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図3を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図17に示すように、第1洗浄モジュール16は、基板Wを保持して回転させるローラー60a~60dと、基板Wをスクラブする洗浄部材61,62と、洗浄部材61,62を回転させる回転機構69と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、加熱薬液を供給する薬液供給ノズル65,66と、基板Wの表面W1および裏面W2に向けて、加熱純水を供給する純水供給ノズル67,68とを備えている。
【0120】
ローラー60a~60dは、図示しない駆動機構(例えば、エアシリンダ)によって互いに近接および離間する方向に移動可能となっている。ローラー60a~60dは、保持部60a-1~60d-1と、肩部(支持部)60a-2~60d-2からなる2段構造になっている。肩部60a-2~60d-2の直径は、保持部60a-1~60d-1の直径よりも大きく、肩部60a-2~60d-2の上に保持部60a-1~60d-1がそれぞれ位置している。
【0121】
基板Wを保持する際には、基板Wは、まず肩部60a-2~60d-2の上に載置される。次に、ローラー60a~60dが互いに近接する方向に移動することによって、基板Wの周縁部は保持部60a-1~60d-1によって保持される。ローラー60a~60dのうちの少なくとも1つは、図示しない回転機構(例えば、スピンドル)によって回転するように構成され、これによって基板Wはローラー60a~60dに保持された状態で回転する。
【0122】
図18に示すように、肩部60a-2~60d-2の上面は、外側に向かって下方に傾斜したテーパ形状を有しており、保持部60a-1~60d-1で保持されている間、基板Wは肩部60a-2~60d-2と非接触な状態が保たれる。
【0123】
図17に戻って、薬液供給ノズル65は、基板Wの表面W1に向けて、希釈薬液を供給する表面側薬液供給ノズルである。薬液供給ノズル66は、基板Wの裏面W2に向けて、希釈薬液を供給する裏面側薬液供給ノズルである。同様に、純水供給ノズル67は、基板Wの表面W1に向けて、純水を供給する表面側純水供給ノズルである。純水供給ノズル68は、基板Wの裏面W2に向けて、純水を供給する裏面側純水供給ノズルである。
【0124】
各洗浄部材61,62は、円筒形状を有し、かつ長手方向の長さが基板Wの直径よりも長いスポンジ部材である。各洗浄部材61,62は、その中心軸の方向が基板Wの面(すなわち、表面W1および裏面W2)に対して平行に配置されている。以下、洗浄部材61を上側ロール洗浄部材61と呼ぶことがあり、洗浄部材62を下側ロール洗浄部材62と呼ぶことがある。
【0125】
基板Wの搬入搬出時では、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62は互いに離間している。基板Wの洗浄時には、上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62は、互いに近接する方向に移動して、基板Wの表面W1および裏面W2に接触する。上側ロール洗浄部材61および下側ロール洗浄部材62のそれぞれは、回転機構69によって回転して、回転している基板Wの全面をスクラブする(スクラブ洗浄)。
【0126】
回転機構69は、上側洗浄部材回転機構69Aと、下側洗浄部材回転機構69Bと、ガイドレール69Cと、昇降機構69Dとを備えている。上側洗浄部材回転機構69Aは、その上下方向の動きを定めるガイドレール69Cに取り付けられるとともに、昇降機構69Dに支持されている。上側ロール洗浄部材61は、昇降機構69Dによって上下方向に移動可能である。昇降機構69Dは、一例として、ボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダである。下側洗浄部材回転機構69Bも同様に、図示しないガイドレールおよび昇降機構に支持されており、下側ロール洗浄部材62は、上下方向に移動可能である。
【0127】
図18に示すように、第1洗浄モジュール16は、洗浄部材61,62の内部に配置されたシャフト63,64を備えている。シャフト63は洗浄部材61の回転軸であり、シャフト64は洗浄部材62の回転軸である。シャフト63は、複数の開口部63bを有する内部配管63aを備えており、シャフト64は、複数の開口部64bを有する内部配管64aを備えている。内部配管63a,64aには、加熱純水または加熱薬液からなる加熱流体が加熱流体移送ライン111A,111Bから供給される(
図13乃至
図16参照)。
【0128】
複数の開口部63b,64bは、それぞれ内部配管63a,64aの外周面全体に配列され、内部配管63a,64aの内部と連通している。内部配管63a,64aは、基板Wの直径よりも長く、複数の開口部63b,64bは基板Wを横切るように配列されている。開口部63b,64bは、洗浄部材61,62に対向している。より具体的には、開口部63b,64bは、洗浄部材61,62の内面に対向している。したがって、加熱流体移送ライン111A,111Bを通じて供給された加熱純水または加熱薬液からなる加熱流体は、内部配管63a,64aに流入した後、開口部63b,64bから洗浄部材61,62の内部に直接供給される。加熱流体は、洗浄部材61,62の全体に浸透し、さらに洗浄部材61,62の外側へ染み出て基板Wの表面W1および裏面W2の全体に供給される。
【0129】
本実施形態によれば、加熱流体が直接供給された洗浄部材61,62は、基板Wの中央部のみならず周縁部にも接触しているため、基板Wの回転運動に伴う冷却作用によって基板Wの周縁部での液温が下がることなく、第1洗浄モジュール16は所望の温度で基板Wのスクラブ洗浄を行うことができる。したがって、洗浄処理中の基板Wの全面における液温の均一性を向上させることができ、粒子状汚染、分子状汚染および金属元素汚染に対して安定した除去効果が得られる。
【0130】
図19は、第2洗浄モジュール18の他の実施形態を示す斜視図であり、
図20は、
図19で示す第2洗浄モジュール18の一部を示す断面図である。特に説明しない本実施形態の動作は、
図4および
図13を参照して説明した上記実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。また、図面の簡略化のために、
図13に示す各バルブの図示は省略されている。
【0131】
図19に示すように、第2洗浄モジュール18は、基板Wを保持して回転させる基板保持装置74と、基板Wをスクラブする洗浄部材71と、洗浄部材71と連結されたアーム73と、洗浄部材71を移動させる移動機構79と、基板Wの表面W1に向けて加熱薬液を供給する薬液供給ノズル75と、基板Wの表面W1に向けて加熱純水を供給する純水供給ノズル77とを備えている。
図19には図示しないが、基板Wの裏面W2に向けて加熱薬液および加熱純水を供給するノズルを備えてもよい。
【0132】
基板保持装置74は、基板Wの周縁部を保持するチャック95a~95dと、チャック95a~95dに連結されたモータ96とを備えている。チャック95a~95dは、一例として、ばね式のクランプ機構が挙げられる。チャック95a~95dは、基板Wを保持し、モータ96を駆動させることにより、基板Wはその軸心を中心に回転される。
【0133】
洗浄部材71は、ペンシル形状を有し、かつ洗浄部材71の中心軸の周りに回転しながら、基板Wの表面W1に接触して、基板Wをスクラブするスポンジ部材である。以下、洗浄部材71をペンシル洗浄部材71と呼ぶことがある。ペンシル洗浄部材71は、上部で内部配管72と接続されており、内部配管72は、加熱流体移送ライン111と接続されている。加熱流体移送ライン111は、純水供給ライン81に接続されている。一実施形態では、加熱流体移送ライン111は、
図14および
図15に示す実施形態で説明したように薬液供給ライン80に接続されていてもよく、または
図16に示す実施形態で説明したように、加熱流体移送ライン111は、純水供給ライン81および薬液供給ライン80の両方に接続されてもよい。
【0134】
アーム73は、基板Wの上方に配置されており、移動機構79と連結されている。移動機構79は、旋回軸79Aと、洗浄部材移動機構79Bとを備えている。アーム73の一端は、旋回軸79Aと連結されており、アーム73の他端にはペンシル洗浄部材71が連結されている。ペンシル洗浄部材71の中心軸の方向は、基板Wの表面W1(または裏面W2)に対して垂直である。
【0135】
旋回軸79Aは、アーム73を旋回させる洗浄部材移動機構79Bが連結されている。洗浄部材移動機構79Bは、旋回軸79Aを所定の角度回転させることにより、アーム73を基板Wと平行な平面内で旋回させるように構成されている。洗浄部材71は、アーム73の旋回によって基板Wの半径方向に移動する。旋回軸79Aは、昇降機構(図示しない)によって上下方向に移動可能であり、洗浄部材71を所定の圧力で基板Wの表面W1に押し付けて基板Wをスクラブする(スクラブ洗浄)。昇降機構の一例として、ボールねじを用いたモータ駆動機構またはエアシリンダが挙げられる。一実施形態では、移動機構79は、
図4を参照して説明した揺動機構の動作と同様であってもよい。
【0136】
図20に示すように、ペンシル洗浄部材71は、基板Wに対して垂直方向すなわち鉛直方向に延びる支持シャフト73Aの下端に固定されている。支持シャフト73Aは、中空構造となっており、アーム73の内部に設けられた洗浄部材回転機構73Bに連結されている。ペンシル洗浄部材71は、洗浄部材回転機構73Bによって支持シャフト73Aを軸として回転し、アーム73の旋回によって基板Wの半径方向に移動することで、回転している基板Wの表面W1をスクラブする。
【0137】
ペンシル洗浄部材71は、支持シャフト73Aの内部を貫通して延びる内部配管72と連結されている。内部配管72の一端は、加熱流体移送ライン111に接続され、内部配管72の他端はペンシル洗浄部材71の上部に接続されている。内部配管72は、ペンシル洗浄部材71の上部に対向する開口部72aを有している。加熱流体としての加熱純水は、内部配管72の開口部72aを通ってペンシル洗浄部材71に直接供給される。
【0138】
加熱純水は、ペンシル洗浄部材71の全体に浸透し、さらにペンシル洗浄部材71の外側へ染み出て基板Wの表面W1に供給される。一実施形態では、加熱流体移送ライン111は、薬液供給ライン80(
図19参照)と接続され、加熱薬液が内部配管72を通じてペンシル洗浄部材71に直接供給されてもよい。
【0139】
本実施形態によれば、加熱純水または加熱薬液が直接供給されたペンシル洗浄部材71は、基板Wの中央部のみならず周縁部にも接触するため、基板Wの回転運動に伴う冷却作用によって基板Wの周縁部付近の液温が下がることなく、所望の温度を維持したままスクラブ洗浄を行うことができる。したがって、第2洗浄モジュール18は洗浄処理中の基板Wの全面における液温の均一性を向上させることができ、粒子状汚染、分子状汚染および金属元素汚染に対して安定した除去効果が得られる。
【0140】
図21は、
図13に示す第1洗浄モジュール16による基板Wの洗浄シーケンスの一実施形態を示すフローチャートである。第1洗浄モジュール16は、基板Wの処理が実行されない待機状態において、予めヒーター51が運転され、純水供給ライン81内の加熱純水の温度が60℃に保たれている。薬液供給ライン80内には、薬液希釈モジュール52によって常温の薬液原液と加熱純水とを所定の体積比で混合希釈された加熱薬液の温度が54℃に保たれている。
【0141】
まず、薬液供給ノズル65,66に接続された開閉バルブ120A,120B、および純水供給ノズル67,68に接続された開閉バルブ122A,122Bを閉じて、内部配管63a,64aに接続された開閉バルブ126A,126Bを開く(ステップS301参照)。加熱純水は、内部配管63a,64aを通じて洗浄部材61,62に供給されて外側に染み出ているため、洗浄部材61,62は清浄かつ加温された状態となっている。基板の洗浄処理中、常に開閉バルブ126A,126Bは開かれている(すなわち加熱純水は洗浄部材61,62に供給され続ける)。
【0142】
基板Wが第1洗浄モジュール16に搬送され、基板Wの周縁部が肩部60a-2~60d-2の上に載置される。ローラー60a~60dが基板Wの中心部へ近接する方向に移動することによって、保持部60a-1~60d-1が基板Wを保持する。ローラー60a~60dが回転すると、基板Wの回転を開始する(ステップS302参照)。
【0143】
開閉バルブ122A,122Bを開いて、純水供給ノズル67,68から基板Wの両面(すなわち、表面W1および裏面W2)に加熱純水の供給を開始する(ステップS303参照)。開閉バルブ122Aを閉じて、純水供給ノズル67から基板Wの表面W1への加熱純水の供給を停止する(ステップS304参照)。開閉バルブ120A,120Bを開いて薬液供給ノズル65,66から基板Wの両面に対して加熱薬液の供給を開始する(ステップS305参照)。第1洗浄モジュール16に搬送された基板Wは常温であるため、ステップS303において加熱純水を供給して基板Wの表面温度を予め上げることにより、ステップS305において加熱薬液を供給した際に薬液温度の低下を防ぐことができる。
【0144】
昇降機構69Dおよび図示しない昇降機構によって、洗浄部材61,62を所定の待機位置から所定の処理位置まで移動させて、回転機構69A,69Bによって洗浄部材61,62を回転させた状態で、洗浄部材61,62を基板Wの両面に押し付けて基板Wのスクラブ洗浄を開始する(ステップS306参照)。このとき、洗浄部材61,62と接触した基板Wの表面W1および裏面W2に洗浄部材61,62を介して加熱純水が供給されるため、第1洗浄モジュール16は基板Wの周縁部における液温を保ったままスクラブ洗浄することができる。
【0145】
所定の時間が経過した後、昇降機構69Dおよび図示しない昇降機構によって、洗浄部材61,62を基板Wの表面W1と裏面W2から離間させてスクラブ洗浄を終了する(ステップS307参照)。その後、開閉バルブ120A,120Bを閉じて薬液供給ノズル65,66から基板Wの両面への加熱薬液の供給を停止する(ステップS308参照)。開閉バルブ122Aを開いて、純水供給ノズル67から基板Wの表面W1への加熱純水の供給を再度開始する(ステップS309参照)。その後、開閉バルブ122A,122Bを閉じて、純水供給ノズル67,68から基板Wの両面への加熱純水の供給を停止する(ステップS310参照)。なお、ステップ309において、開閉バルブ122Aの代わりに122Cを開いて、純水供給ノズル67から常温の純水を基板Wの表面W1に供給してもよい。
【0146】
ローラー60a~60dの回転を停止させて、基板Wの回転を停止する(ステップS311参照)。ローラー60a~60dが基板Wの中心から離れる方向に移動することによって、保持部60a-1~60d-1が基板Wから離れ、基板Wの周縁部は肩部60a-2~60d-2の上に再び載置される。その後、洗浄された基板Wは、図示しない搬送ロボットにより第1洗浄モジュール16から取り出される。開閉バルブ126A,126Bは開いた状態に維持されており、洗浄部材61,62は常に清浄かつ加温された状態に保たれている。
【0147】
上記実施形態では、洗浄部材61,62に加熱流体として加熱純水を供給したが、一実施形態では、
図14および
図15を参照して説明した実施形態のように洗浄部材61,62に加熱流体として加熱薬液を供給してもよい。また、他の実施形態では、基板Wのスクラブ中は加熱流体として加熱薬液を洗浄部材61,62に供給し、基板Wのスクラブ後に加熱流体として加熱純水を洗浄部材61,62に供給してもよい。例えば、基板Wの両面に薬液供給ノズル65,66から薬液を供給している工程(ステップS305~S308参照)においては、洗浄部材61,62に加熱薬液を供給し、それ以外の工程では、洗浄部材61,62に加熱純水を供給してもよい。
【0148】
説明を省略するが、
図19を参照して説明した第2洗浄モジュール18も、
図21で示した洗浄シーケンスと基本的に同じ洗浄シーケンスに従って基板Wのスクラブを実施する。
【0149】
図22は、基板洗浄システムの一実施形態による基板Wの表面W1における液温均一性の効果を示す図である。具体的には、
図21で示した洗浄シーケンスの実行中に、基板Wの表面W1の中心部および周縁部における液温の測定結果を示す図である。測定方法は、例えばサーモグラフィカメラを用いた輻射熱の計測である。
【0150】
比較例1は、開閉バルブ120A,120Bを開いて薬液供給ノズル65,66から加熱薬液を供給し、開閉バルブ122Bを開いて純水供給ノズル68から加熱純水を供給し、開閉バルブ122A,126A,126Bは閉じた状態での測定結果を示す。すなわち、洗浄部材61,62には加熱流体が供給されていない。
【0151】
比較例2は、開閉バルブ120A,120Bを開いて薬液供給ノズル65,66から加熱薬液を供給し、開閉バルブ122Bを開いて純水供給ノズル68から加熱純水を供給し、開閉バルブ122Aを閉じた状態で、かつ内部配管63a,64aから加熱されていない純水を供給した状態での測定結果を示す。すなわち、洗浄部材61,62には常温の純水が供給されている。
【0152】
実施例は、開閉バルブ120A,120Bを開いて薬液供給ノズル65,66から加熱薬液を供給し、開閉バルブ122Bを開いて純水供給ノズル68から加熱純水を供給し、開閉バルブ122Aを閉じた状態で、かつ内部配管63a,64aから加熱純水を供給した状態での測定結果を示す。すなわち、洗浄部材61,62には加熱純水が供給されている。
【0153】
図22から明らかなように、本実施形態において洗浄部材61,62から加熱純水を供給した場合、基板Wの表面W1において、加熱純水の温度である60℃から液温の低下を抑えることができた。さらに基板Wの中心部と周縁部との温度差も小さく抑えられている。したがって、本実施形態によれば、第1洗浄モジュール16は、基板Wの温度を上げることができるのみならず、基板Wの全面において液温の均一性を向上させることができ、基板Wの汚染に対して安定した除去効果を得ることができる。
【0154】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄システムおよび基板洗浄方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 基板処理装置
2 研磨部
4 洗浄部
10 ハウジング
12 ロードポート
14A~14D 研磨モジュール
16 第1洗浄モジュール
18 第2洗浄モジュール
20 乾燥モジュール
22 第1搬送ロボット
24 搬送モジュール
26 第2搬送ロボット
28 第3搬送ロボット
30 制御装置
30a 記憶装置
30b 処理装置
50 基板洗浄システム
51 ヒーター
52 薬液希釈モジュール
52a 薬液供給源
52b 薬液連結ライン
54 ヒーター要素
55 流量調整装置
60 基板保持装置
60a~60d ローラー
60a-1~60d-1 保持部
60a-2~60d-2 肩部(支持部)
61,62 洗浄部材(ロール洗浄部材)
63,64 シャフト
63a,64a 内部配管
63b,64b 開口部
65,66 薬液供給ノズル
65A 第1薬液供給ノズル
65B 第2薬液供給ノズル
67,68 純水供給ノズル
67A 第1純水供給ノズル
67B 第2純水供給ノズル
69 回転機構
69A 上側洗浄部材回転機構
69B 下側洗浄部材回転機構
69C ガイドレール
69D 昇降機構
71 洗浄部材(ペンシル洗浄部材)
72 内部配管
73 アーム
73A 支持シャフト
73B 洗浄部材回転機構
74 基板保持装置
75,76 薬液供給ノズル
77,78 純水供給ノズル
79 揺動機構(移動機構)
79A 旋回軸
79B 洗浄部材移動機構
80 薬液供給ライン
80A 第1薬液分岐ライン
80B 第2薬液分岐ライン
81 純水供給ライン
81A 第1純水分岐ライン
81B 第2純水分岐ライン
81-2 常温純水供給ライン
82 接続部材
83 純水戻りライン
83A 第1戻り分岐ライン
83B 第2戻り分岐ライン
84 流量センサ
85 温度センサ
86,87,88,90,91 フィルタ
95a~95d チャック
96 モータ
100 断熱部材
101 ヒーター
102 液飛散防止カップ
105 ヒーター
111,111A,111B 加熱流体移送ライン
120,120A,120B,121,122,122A,122B,122C,122D,123,124,125,126A,126B,127 開閉バルブ
129 第1切り替えバルブ
130 第2切り替えバルブ
W 基板
W1 表面
W2 裏面