(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】フランジハブ、細長体、器具
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20241003BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61B1/005 520
(21)【出願番号】P 2022512570
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2021013626
(87)【国際公開番号】W WO2021200998
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020060885
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504177284
【氏名又は名称】国立大学法人滋賀医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】米道 渉
(72)【発明者】
【氏名】嶋 辰也
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0262422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297012(US,A1)
【文献】中国実用新案第205698858(CN,U)
【文献】国際公開第2019/026995(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/027013(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/203061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/092
A61B 1/005
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長体に設けられるフランジハブであって、
前記細長体は、隣り合う2つの細長要素の間に、前記フランジハブが配置されたものであり、
前記フランジハブは、前記細長体の長手方向に延びるハブ本体と、前記ハブ本体の先端外周から環状に突出する先端フランジと、前記ハブ本体の基端外周から環状に突出する基端フランジとを備え、
前記先端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第一貫通孔が形成され、
前記基端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第二貫通孔が形成され、
前記一対の第一貫通孔と前記一対の第二貫通孔とは、以下の条件1及び条件2を満たすように形成されているフランジハブ。
条件1:前記細長体の中心線に沿って延びる第一平面を境界として前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記第一平面からの最短距離が第一距離となる一方側の位置に、一方の前記第一貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第一距離となる他方側の位置に、他方の前記第一貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第二距離となる一方側の位置に、一方の前記第二貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第二距離となる他方側の位置に、他方の前記第二貫通孔が形成されている。
条件2:前記細長体の中心線に沿って延び、且つ、前記第一平面と直交する第二平面を境界として、前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一対の第一貫通孔及び前記一対の第二貫通孔は、同一側に形成されており、前記一対の第一貫通孔は、それぞれ前記第二平面からの最短距離が第三距離となる位置に形成され、前記一対の第二貫通孔は、それぞれ前記第二平面からの最短距離が第四距離となる位置に形成されており、前記第三距離は前記第四距離よりも長い。
【請求項2】
前記ハブ本体は、中空筒状を呈しており、
前記ハブ本体の先端側及び基端側には、前記ハブ本体の筒壁を厚さ方向に貫通する孔が形成されている、請求項1に記載のフランジハブ。
【請求項3】
前記先端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第三貫通孔が形成され、
前記基端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第四貫通孔が形成され、
前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔とは、以下の条件3及び条件4を満たすように形成されている請求項1又は2に記載のフランジハブ。
条件3:前記第一平面とは異なる一の平面であって、前記細長体の中心線に沿って延びる前記一の平面を境界として前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一の平面からの最短距離が第五距離となる一方側の位置に、一方の前記第三貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が前記第五距離となる他方側の位置に、他方の前記第三貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が第六距離となる一方側の位置に、一方の前記第四貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が前記第六距離となる他方側の位置に、他方の前記第四貫通孔が形成されている。
条件4:前記細長体の中心線に沿って延び、且つ、前記一の平面と直交する二の平面を境界として、前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一対の第三貫通孔及び前記一対の第四貫通孔は、同一側に形成されており、前記一対の第三貫通孔は、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第七距離となる位置に形成され、前記一対の第四貫通孔は、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第八距離となる位置に形成されており、前記第七距離は前記第八距離よりも長い。
【請求項4】
前記条件3及び前記条件4を満たす前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔との組が複数組形成されている請求項3に記載のフランジハブ。
【請求項5】
前記一の平面を前記第二平面とし、前記二の平面を前記第一平面としたときに、前記条件3及び前記条件4を満たす前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔とが形成されている請求項3に記載のフランジハブ。
【請求項6】
前記条件1及び条件2を満たす前記一対の第一貫通孔及び前記一対の第二貫通孔として、以下の条件5を満たす第1組の一対の第一貫通孔及び一対の第二貫通孔及び第2組の一対の第一貫通孔及び一対の第二貫通孔が設けられ、
前記条件3及び条件4を満たす前記一対の第三貫通孔及び前記一対の第四貫通孔として、以下の条件6を満たす第3組の一対の第三貫通孔及び一対の第四貫通孔及び第4組の一対の第三貫通孔及び一対の第四貫通孔が設けられる請求項5に記載のフランジハブ。
条件5:第1組の前記一対の第一貫通孔と、第2組の前記一対の第一貫通孔とは、前記第二平面に対して線対称となる位置に形成され、第1組の前記一対の第二貫通孔と、第2組の前記一対の第二貫通孔とは、前記第二平面に対して線対称となる位置に形成されている。
条件6:第3組の前記一対の第三貫通孔と、第4組の前記一対の第三貫通孔とは、前記第一平面に対して線対称となる位置に形成され、第3組の前記一対の第四貫通孔と、第4組の前記一対の第四貫通孔とは、前記第一平面に対して線対称となる位置に形成されている。
【請求項7】
長手方向に隣り合う2つの細長要素の間に、請求項1乃至6のいずれかに記載のフランジハブが配置された細長体であって、
前記2つの細長要素のうち、前記長手方向の先端側に配置される一方の細長要素は、その基端面が、前記フランジハブの先端フランジに接合され、
前記2つの細長要素のうち、前記長手方向の基端側に配置される他方の細長要素は、その先端面が、前記フランジハブの基端フランジに接合され、
前記フランジハブに形成される前記一対の第一貫通孔は、それぞれ前記一方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記一対の第二貫通孔は、それぞれ前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通する細長体。
【請求項8】
前記フランジハブは、請求項3乃至6のいずれかに記載のフランジハブであり、
前記フランジハブに形成される前記一対の第三貫通孔は、それぞれ前記一方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記一対の第四貫通孔は、それぞれ前記他方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通する請求項7に記載の細長体。
【請求項9】
前記フランジハブは、請求項6に記載のフランジハブであり、
前記フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第一ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第二ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第三ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第四ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第五ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第六ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第七ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第八ワイヤルーメンに連通する請求項8に記載の細長体。
【請求項10】
前記細長体は、第一細長要素、第二細長要素、及び第三細長要素が、この順序で長手方向の先端側から連設されたものであり、長手方向に隣り合う前記第一細長要素と前記第二細長要素との間に第一フランジハブが配置され、長手方向に隣り合う前記第二細長要素と前記第三細長要素との間に第二フランジハブが配置されており、
前記第一及び第二フランジハブは、それぞれ、請求項6に記載のフランジハブであり、前記第一フランジハブの前記第二距離と、前記第二フランジハブの前記第七距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第四距離と、前記第二フランジハブの前記第五距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第六距離と、前記第二フランジハブの前記第三距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第八距離と、前記第二フランジハブの前記第一距離とは一致しており、
前記第一細長要素の基端面は、前記第一フランジハブの先端フランジに接合され、
前記第二細長要素の先端面は、前記第一フランジハブの基端フランジに接合され、
前記第二細長要素の基端面は、前記第二フランジハブの先端フランジに接合され、
前記第三細長要素の先端面は、前記第二フランジハブの基端フランジに接合され、
前記第一フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第一ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第二ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第三ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第四ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第五ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第七ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔のうち、一方の前記第一貫通孔は、一方の前記第七ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第一貫通孔は、一方の前記第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔のうち、一方の前記第一貫通孔は、他方の前記第七ワイヤルーメンの他方に連通し、他方の前記第一貫通孔は、他方の前記第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔のうち、一方の前記第三貫通孔は、一方の前記第五ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第三貫通孔は、一方の前記第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔のうち、一方の前記第三貫通孔は、他方の前記第五ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第三貫通孔は、他方の前記第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第九ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十一ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十二ワイヤルーメンに連通する請求項7に記載の細長体。
【請求項11】
請求項7に記載の細長体と、
ワイヤとを備える器具であって、
前記ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記ワイヤの一端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記ワイヤの他端部が前記四のワイヤルーメンから延び出ており、
前記ワイヤの一端部及び他端部を、前記細長体の長手方向に牽引可能である器具。
【請求項12】
請求項8に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される五のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第四貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される六のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される七のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第四貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される八のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記四のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記五のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの他端部が前記八のワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【請求項13】
請求項9に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤと、
第三ワイヤと、
第四ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、一方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第1組の一方の第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第一ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第一ワイヤルーメン、これと連通する前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第五ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、一方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第2組の一方の第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第二ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第二ワイヤルーメン、これと連通する前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第六ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第三ワイヤは、一方の前記第七ワイヤルーメン、これと連通する前記第3組の一方の第四貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第3組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第三ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第三ワイヤルーメン、これと連通する前記第3組の他方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第3組の他方の前記第四貫通孔、これと連通する他方の前記第八ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第四ワイヤは、一方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第4組の一方の第四貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第4組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第四ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第四ワイヤルーメン、これと連通する前記第4組の他方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第4組の他方の前記第四貫通孔、これと連通する他方の前記第八ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一方の第五ワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記他方の第五ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記一方の第六ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記他方の第六ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの一端部が前記一方の第七ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの他端部が前記他方の第七ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの一端部が前記一方の第八ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの他端部が前記他方の第八ワイヤルーメンから延び出ており、 前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第三ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第四ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【請求項14】
請求項10に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤと、
第三ワイヤと、
第四ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、一方の前記第九ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第1組の一方の第二貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第七ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、一方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記前記第二フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第九ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、一方の前記第十ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第2組の一方の第二貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する他方の前記第七ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第十ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第三ワイヤは、一方の前記第十一ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第3組の一方の第四貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成される前記第3組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第二貫通孔、前記第一フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第一ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第一ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記第一フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された第4組の一方の前記第三貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第3組の他方の第四貫通孔、これと連通する他方の前記第十一ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第四ワイヤは、一方の前記第十二ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第4組の一方の第四貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第3組の他方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第二貫通孔、前記第一フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第二ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第二ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記第一フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された第4組の他方の前記第三貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第4組の他方の第四貫通孔、これと連通する他方の前記第十二ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一方の第九ワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記他方の第九ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記一方の第十ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記他方の第十ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの一端部が前記一方の第十一ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの他端部が前記他方の第十一ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの一端部が前記一方の第十二ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの他端部が前記他方の第十二ワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第三ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第四ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【請求項15】
前記細長体を構成する細長要素のうち、最も先端側に配置される一の細長要素に取り付けられる筒状の先端チップをさらに備え、
前記先端チップの外周面の一部又は全体は、先端側に向かって縮径するテーパ面とされており、前記先端チップの筒壁には、前記細長体の長手方向に延びる貫通孔(以下、チップ貫通孔)が形成されており、
当該チップ貫通孔は、前記一の細長要素に形成されるワイヤルーメンの各々に対して形成されるものであり、各前記チップ貫通孔が対応するワイヤルーメンと連通するように、前記先端チップの基端面は、前記一の細長要素の先端面に接合されており、
前記一の細長要素に形成された2つのワイヤルーメンに通されるワイヤは、一方のワイヤルーメン、これと連通する一の前記チップ貫通孔を順次通過した後、屈曲して、二の前記チップ貫通孔、これと連通する他方のワイヤルーメンを順次通過するものとされる、請求項11乃至14のいずれかに記載の器具。
【請求項16】
前記細長体を構成する細長要素のうち、最も先端側に配置される一の細長要素に取り付けられる板材をさらに備え、
前記板材には、前記細長体の長手方向に延びる貫通孔(以下、板材貫通孔)が形成されており、
当該板材貫通孔は、前記一の細長要素に形成されるワイヤルーメンの各々に対して形成されるものであり、各前記チップ貫通孔が対応するワイヤルーメンと連通するように、前記板材の基端面は、前記一の細長要素の先端面に接合されており、
前記一の細長要素に形成された2つのワイヤルーメンに通されるワイヤは、一方のワイヤルーメン、これと連通する一の前記板材貫通孔を順次通過した後、屈曲して、二の前記板材貫通孔、これと連通する他方のワイヤルーメンを順次通過するものとされる、請求項11乃至14のいずれかに記載の器具。
【請求項17】
請求項7に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過して、当該二のワイヤルーメンから延び出た前記一方のワイヤの一端部が前記一方の細長要素の先端に固定されており、
前記第二ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、他方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過して、当該四のワイヤルーメンから延び出た前記他方のワイヤの一端部が前記一方の細長要素の先端に固定されており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの他端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの他端部が前記三のワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの他端部及び前記第二ワイヤの他端部を、前記細長体の長手方向に牽引可能である器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長体が備える2つの細長要素の間に配置されるフランジハブ、当該フランジハブを備える細長体、及び当該細長体を備える器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡を用いて消化管や血管等を検査することが行なわれており、この種の検査として、例えば内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP:Endoscopic retrograde cholangiopancreatography)が知られている。
【0003】
上記のERCPは、内視鏡を口から十二指腸まで挿入した後、内視鏡の先端から延び出させた細いチューブ(カニューレ)を、十二指腸乳頭部から胆管等に挿入して造影剤を注入し、レントゲン写真を撮影するものである。このERCPでは、通常、柔軟性を有する受動的なチューブが使用されており、術者は、X線透視画像や内視鏡カメラ画像を確認しながら、随時、内視鏡を操作することでチューブを乳頭に挿入し、所望の位置に到達させる。また、困難症例においては、ワイヤの牽引で屈曲可能な可動型チューブが内部に挿通された内視鏡が使用される。この場合には、内視鏡および可動型チューブを操作することで、チューブを乳頭に挿入し、所望の位置に到達させる。
【0004】
ところで上記のERCPでは、チューブの先端部が管腔の分岐部に位置した際に、チューブの先端部を所望の分枝に挿入する必要がある。急峻な角度を持つ管腔の分岐部では、所望の分枝にチューブ先端が入るように内視鏡を巧みに操作するか、チューブを可動させる必要がある。
【0005】
例えばチューブを胆嚢管に到達させたい場合には、
図24に示すように、チューブ100の先端部100aが「胆嚢管200と総肝管201との分岐部202」に位置した際に、チューブ100の本体が分岐部202手前の総胆管203に沿った状態のままで、チューブ100の先端部100aを屈曲させて、チューブ100の先端部100aを胆嚢管200に入れる必要がある。仮にワイヤの牽引でチューブ100の全長が弓なりに湾曲する場合には、チューブ100が総胆管203に接触する虞があるため、チューブ100の先端部100aを胆嚢管200(所望の枝管)に挿入できない事態が頻繁に生じ得る。
【0006】
そこで特許文献1には、先端部を屈曲させることの可能なチューブ(医療機器)が開示されている。特許文献1に開示されるチューブは、先端側になるにつれて互いに近づくように配線された第1ワイヤ(第一操作線)及び第2ワイヤ(第一操作線)を備えており、第1ワイヤ及び第2ワイヤの牽引でチューブ(医療機器)の先端部を屈曲させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1のチューブでは、第1ワイヤと第2ワイヤとがそれぞれ第1中空管と第2中空管とに挿通される。このため、第1ワイヤと第2ワイヤとが互いに近づくように配線される湾曲領域では、その領域全長において、第1中空管と第2中空管とが徐々に近づくように、第1中空管及び第2中空管を曲げる必要がある。さらに特許文献1のチューブでは、湾曲領域で第1ワイヤと第2ワイヤとが互いに近づく状態を維持するために、第1中空管及び第2中空管の径方向外方に巻回ワイヤを巻回すことや、第1中空管及び第2中空管を樹脂管に埋設させることが必要とされる。
【0009】
以上の理由から、特許文献1のチューブでは、チューブの先端部を屈曲させるために要するワイヤの向きの調整に(つまり、チューブの先端側になるにつれて第1ワイヤ及び第2ワイヤが互いに近づくように、第1ワイヤ及び第2ワイヤを配線するために)、多大な手間を要する。
【0010】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、隣り合う2つの細長要素を備える細長体に設けられるフランジハブであって、先端側にある細長要素の屈曲を、基端側にある細長要素の屈曲よりも、大きく生じさせるために必要とされるワイヤの向きの調整を簡易な作業で実現できるフランジハブ、当該フランジハブを備える細長体、及び当該細長体を備える器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、次の項に記載の主題を包含する。
【0012】
項1.細長体に設けられるフランジハブであって、
前記細長体は、隣り合う2つの細長要素の間に、前記フランジハブが配置されたものであり、
前記フランジハブは、前記細長体の長手方向に延びるハブ本体と、前記ハブ本体の先端外周から環状に突出する先端フランジと、前記ハブ本体の基端外周から環状に突出する基端フランジとを備え、
前記先端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第一貫通孔が形成され、
前記基端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第二貫通孔が形成され、
前記一対の第一貫通孔と前記一対の第二貫通孔とは、以下の条件1及び条件2を満たすように形成されているフランジハブ。
条件1:前記細長体の中心線に沿って延びる第一平面を境界として前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記第一平面からの最短距離が第一距離となる一方側の位置に、一方の前記第一貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第一距離となる他方側の位置に、他方の前記第一貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第二距離となる一方側の位置に、一方の前記第二貫通孔が形成され、前記第一平面からの最短距離が前記第二距離となる他方側の位置に、他方の前記第二貫通孔が形成されている。
条件2:前記細長体の中心線に沿って延び、且つ、前記第一平面と直交する第二平面を境界として、前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一対の第一貫通孔及び前記一対の第二貫通孔は、同一側に形成されており、前記一対の第一貫通孔は、それぞれ前記第二平面からの最短距離が第三距離となる位置に形成され、前記一対の第二貫通孔は、それぞれ前記第二平面からの最短距離が第四距離となる位置に形成されており、前記第三距離は前記第四距離よりも長い。
【0013】
項2.前記ハブ本体は、中空筒状を呈しており、
前記ハブ本体の先端側及び基端側には、前記ハブ本体の筒壁を厚さ方向に貫通する孔が形成されている、項1に記載のフランジハブ。
【0014】
項3.前記先端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第三貫通孔が形成され、
前記基端フランジには、前記長手方向に延びる一対の第四貫通孔が形成され、
前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔とは、以下の条件3及び条件4を満たすように形成されている項1又は2に記載のフランジハブ。
条件3:前記第一平面とは異なる一の平面であって、前記細長体の中心線に沿って延びる前記一の平面を境界として前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一の平面からの最短距離が第五距離となる一方側の位置に、一方の前記第三貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が前記第五距離となる他方側の位置に、他方の前記第三貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が第六距離となる一方側の位置に、一方の前記第四貫通孔が形成され、前記一の平面からの最短距離が前記第六距離となる他方側の位置に、他方の前記第四貫通孔が形成されている。
条件4:前記細長体の中心線に沿って延び、且つ、前記一の平面と直交する二の平面を境界として、前記細長体を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一対の第三貫通孔及び前記一対の第四貫通孔は、同一側に形成されており、前記一対の第三貫通孔は、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第七距離となる位置に形成され、前記一対の第四貫通孔は、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第八距離となる位置に形成されており、前記第七距離は前記第八距離よりも長い。
【0015】
項4.前記条件3及び前記条件4を満たす前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔との組が複数組形成されている項3に記載のフランジハブ。
【0016】
項5.前記一の平面を前記第二平面とし、前記二の平面を前記第一平面としたときに、前記条件3及び前記条件4を満たす前記一対の第三貫通孔と前記一対の第四貫通孔とが形成されている項3に記載のフランジハブ。
【0017】
項6.前記条件1及び条件2を満たす前記一対の第一貫通孔及び前記一対の第二貫通孔として、以下の条件5を満たす第1組の一対の第一貫通孔及び一対の第二貫通孔及び第2組の一対の第一貫通孔及び一対の第二貫通孔が設けられ、
前記条件3及び条件4を満たす前記一対の第三貫通孔及び前記一対の第四貫通孔として、以下の条件6を満たす第3組の一対の第三貫通孔及び一対の第四貫通孔及び第4組の一対の第三貫通孔及び一対の第四貫通孔が設けられる項5に記載のフランジハブ。
条件5:第1組の前記一対の第一貫通孔と、第2組の前記一対の第一貫通孔とは、前記第二平面に対して線対称となる位置に形成され、第1組の前記一対の第二貫通孔と、第2組の前記一対の第二貫通孔とは、前記第二平面に対して線対称となる位置に形成されている。
条件6:第3組の前記一対の第三貫通孔と、第4組の前記一対の第三貫通孔とは、前記第一平面に対して線対称となる位置に形成され、第3組の前記一対の第四貫通孔と、第4組の前記一対の第四貫通孔とは、前記第一平面に対して線対称となる位置に形成されている。
【0018】
項7.長手方向に隣り合う2つの細長要素の間に、項1乃至6のいずれかに記載のフランジハブが配置された細長体であって、
前記2つの細長要素のうち、前記長手方向の先端側に配置される一方の細長要素は、その基端面が、前記フランジハブの先端フランジに接合され、
前記2つの細長要素のうち、前記長手方向の基端側に配置される他方の細長要素は、その先端面が、前記フランジハブの基端フランジに接合され、
前記フランジハブに形成される前記一対の第一貫通孔は、それぞれ前記一方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記一対の第二貫通孔は、それぞれ前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通する細長体。
【0019】
項8.前記フランジハブは、項3乃至6のいずれかに記載のフランジハブであり、
前記フランジハブに形成される前記一対の第三貫通孔は、それぞれ前記一方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記一対の第四貫通孔は、それぞれ前記他方の細長要素を長手方向に貫通するワイヤルーメンに連通する項7に記載の細長体。
【0020】
項9.前記フランジハブは、項6に記載のフランジハブであり、
前記フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第一ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第二ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第三ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔は、前記一方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第四ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第五ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第六ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第七ワイヤルーメンに連通し、
前記フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記他方の細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第八ワイヤルーメンに連通する項8に記載の細長体。
【0021】
項10.前記細長体は、第一細長要素、第二細長要素、及び第三細長要素が、この順序で長手方向の先端側から連設されたものであり、長手方向に隣り合う前記第一細長要素と前記第二細長要素との間に第一フランジハブが配置され、長手方向に隣り合う前記第二細長要素と前記第三細長要素との間に第二フランジハブが配置されており、
前記第一及び第二フランジハブは、それぞれ、項6に記載のフランジハブであり、前記第一フランジハブの前記第二距離と、前記第二フランジハブの前記第七距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第四距離と、前記第二フランジハブの前記第五距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第六距離と、前記第二フランジハブの前記第三距離とは一致し、前記第一フランジハブの前記第八距離と、前記第二フランジハブの前記第一距離とは一致しており、
前記第一細長要素の基端面は、前記第一フランジハブの先端フランジに接合され、
前記第二細長要素の先端面は、前記第一フランジハブの基端フランジに接合され、
前記第二細長要素の基端面は、前記第二フランジハブの先端フランジに接合され、
前記第三細長要素の先端面は、前記第二フランジハブの基端フランジに接合され、
前記第一フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第一ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第二ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第三ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔は、前記第一細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第四ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第五ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第七ワイヤルーメンに連通し、
前記第一フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記第二細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第一貫通孔のうち、一方の前記第一貫通孔は、一方の前記第七ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第一貫通孔は、一方の前記第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第一貫通孔のうち、一方の前記第一貫通孔は、他方の前記第七ワイヤルーメンの他方に連通し、他方の前記第一貫通孔は、他方の前記第八ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第三貫通孔のうち、一方の前記第三貫通孔は、一方の前記第五ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第三貫通孔は、一方の前記第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第三貫通孔のうち、一方の前記第三貫通孔は、他方の前記第五ワイヤルーメンに連通し、他方の前記第三貫通孔は、他方の前記第六ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第1組の前記一対の第二貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第九ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第2組の前記一対の第二貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第3組の前記一対の第四貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十一ワイヤルーメンに連通し、
前記第二フランジハブに形成される前記第4組の前記一対の第四貫通孔は、前記第三細長要素を前記長手方向に貫通する一対の第十二ワイヤルーメンに連通する項7に記載の細長体。
【0022】
項11.項7に記載の細長体と、
ワイヤとを備える器具であって、
前記ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記ワイヤの一端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記ワイヤの他端部が前記四のワイヤルーメンから延び出ており、
前記ワイヤの一端部及び他端部を、前記細長体の長手方向に牽引可能である器具。
【0023】
項12.項8に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される五のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第四貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される六のワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、前記一方の細長要素に形成される七のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第四貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、他方の前記第二貫通孔、これと連通する前記他方の細長要素に形成される八のワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記四のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記五のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの他端部が前記八のワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【0024】
項13.項9に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤと、
第三ワイヤと、
第四ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、一方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第1組の一方の第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第一ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第一ワイヤルーメン、これと連通する前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第五ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、一方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第2組の一方の第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第二ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第二ワイヤルーメン、これと連通する前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第六ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第三ワイヤは、一方の前記第七ワイヤルーメン、これと連通する前記第3組の一方の第四貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第3組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第三ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第三ワイヤルーメン、これと連通する前記第3組の他方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第3組の他方の前記第四貫通孔、これと連通する他方の前記第八ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第四ワイヤは、一方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第4組の一方の第四貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第4組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第四ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第四ワイヤルーメン、これと連通する前記第4組の他方の前記第三貫通孔、前記フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第4組の他方の前記第四貫通孔、これと連通する他方の前記第八ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一方の第五ワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記他方の第五ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記一方の第六ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記他方の第六ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの一端部が前記一方の第七ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの他端部が前記他方の第七ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの一端部が前記一方の第八ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの他端部が前記他方の第八ワイヤルーメンから延び出ており、 前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第三ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第四ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【0025】
項14.項10に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤと、
第三ワイヤと、
第四ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、一方の前記第九ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第1組の一方の第二貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第七ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、一方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記前記第二フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第九ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第二ワイヤは、一方の前記第十ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第2組の一方の第二貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する他方の前記第七ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第八ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第十ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第三ワイヤは、一方の前記第十一ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第3組の一方の第四貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成される前記第3組の一方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第二貫通孔、前記第一フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第1組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第一ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第一ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第一貫通孔、前記第一フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第1組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第五ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された第4組の一方の前記第三貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第3組の他方の第四貫通孔、これと連通する他方の前記第十一ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記第四ワイヤは、一方の前記第十二ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された前記第4組の一方の第四貫通孔、前記第二フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第3組の他方の前記第三貫通孔、これと連通する一方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第二貫通孔、前記第一フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第2組の一方の前記第一貫通孔、これと連通する一方の前記第二ワイヤルーメンを順次通過した後、屈曲して、他方の前記第二ワイヤルーメン、これと連通する前記第一フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第一貫通孔、前記第一フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第一フランジハブに形成された前記第2組の他方の前記第二貫通孔、これと連通する他方の前記第六ワイヤルーメン、これと連通する前記第二フランジハブに形成された第4組の他方の前記第三貫通孔、前記第二フランジハブの前記先端フランジと前記基端フランジとの間、前記第二フランジハブに形成された前記第4組の他方の第四貫通孔、これと連通する他方の前記第十二ワイヤルーメンを順次通過しており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの一端部が前記一方の第九ワイヤルーメンから延び出て、前記第一ワイヤの他端部が前記他方の第九ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記一方の第十ワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの一端部が前記他方の第十ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの一端部が前記一方の第十一ワイヤルーメンから延び出て、前記第三ワイヤの他端部が前記他方の第十一ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの一端部が前記一方の第十二ワイヤルーメンから延び出て、前記第四ワイヤの他端部が前記他方の第十二ワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第二ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第三ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することや、前記第四ワイヤの一端部及び他端部を前記細長体の長手方向に牽引することが可能である器具。
【0026】
項15.前記細長体を構成する細長要素のうち、最も先端側に配置される一の細長要素に取り付けられる筒状の先端チップをさらに備え、
前記先端チップの外周面の一部又は全体は、先端側に向かって縮径するテーパ面とされており、前記先端チップの筒壁には、前記細長体の長手方向に延びる貫通孔(以下、チップ貫通孔)が形成されており、
当該チップ貫通孔は、前記一の細長要素に形成されるワイヤルーメンの各々に対して形成されるものであり、各前記チップ貫通孔が対応するワイヤルーメンと連通するように、前記先端チップの基端面は、前記一の細長要素の先端面に接合されており、
前記一の細長要素に形成された2つのワイヤルーメンに通されるワイヤは、一方のワイヤルーメン、これと連通する一の前記チップ貫通孔を順次通過した後、屈曲して、二の前記チップ貫通孔、これと連通する他方のワイヤルーメンを順次通過するものとされる、項11乃至14のいずれかに記載の器具。
【0027】
項16.前記細長体を構成する細長要素のうち、最も先端側に配置される一の細長要素に取り付けられる板材をさらに備え、
前記板材には、前記細長体の長手方向に延びる貫通孔(以下、板材貫通孔)が形成されており、
当該板材貫通孔は、前記一の細長要素に形成されるワイヤルーメンの各々に対して形成されるものであり、各前記チップ貫通孔が対応するワイヤルーメンと連通するように、前記板材の基端面は、前記一の細長要素の先端面に接合されており、
前記一の細長要素に形成された2つのワイヤルーメンに通されるワイヤは、一方のワイヤルーメン、これと連通する一の前記板材貫通孔を順次通過した後、屈曲して、二の前記板材貫通孔、これと連通する他方のワイヤルーメンを順次通過するものとされる、項11乃至14のいずれかに記載の器具。
【0028】
項17.項7に記載の細長体と、
第一ワイヤと、
第二ワイヤとを備える器具であって、
前記第一ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される一のワイヤルーメン、これと連通する一方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、一方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される二のワイヤルーメンを順次通過して、当該二のワイヤルーメンから延び出た前記一方のワイヤの一端部が前記一方の細長要素の先端に固定されており、
前記第二ワイヤは、前記他方の細長要素に形成される三のワイヤルーメン、これと連通する他方の前記第二貫通孔、前記フランジハブの前記基端フランジと前記先端フランジとの間、他方の前記第一貫通孔、これと連通する前記一方の細長要素に形成される四のワイヤルーメンを順次通過して、当該四のワイヤルーメンから延び出た前記他方のワイヤの一端部が前記一方の細長要素の先端に固定されており、
前記細長体の基端側では、前記第一ワイヤの他端部が前記一のワイヤルーメンから延び出て、前記第二ワイヤの他端部が前記三のワイヤルーメンから延び出ており、
前記第一ワイヤの他端部及び前記第二ワイヤの他端部を、前記細長体の長手方向に牽引可能である器具。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、先端側にある細長要素の屈曲を、基端側にある細長要素の屈曲よりも、大きく生じさせるために要するワイヤの向きの調整を、フランジハブの貫通孔にワイヤを通すという簡易な作業で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、先端フランジを示す正面図であり、(B)は、基端フランジを示す正面図である。
【
図4】(A)及び(B)は、先端チップが設けられた細長体の先端部を示す斜視図である。
【
図5】板材が設けられた細長体の先端部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である
【
図7】本発明の第二実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である
【
図8】(A)は、先端フランジを示す正面図であり、(B)は、基端フランジを示す正面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第三実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第三実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第三実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第三実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図14】(A)は、先端フランジを示す正面図であり、(B)は、基端フランジを示す正面図である。
【
図15】本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図17】本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図18】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図19】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図20】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図21】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図22】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図23】(A)及び(B)は、本発明の第四実施形態に係る器具の一部を示す斜視図である。
【
図24】従来のチューブが人間の体内で使用される状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、本発明の第一実施形態に係る器具1の一部を示す斜視図である。
【0032】
第一実施形態の器具1は、細長体2と、ワイヤY1とを備えており、ワイヤY1の一端部及び他端部を細長体2の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側に配置される細長要素4Aの屈曲を、基端側に配置される細長要素4Bの屈曲よりも、大きく生じさせることができる(
図1の二点鎖線は屈曲前の器具1の状態を示し、
図1の実線は屈曲後の器具1の状態を示す)。当該器具1は、術具、内視鏡、術具及び内視鏡を併用する装置、可動性カテーテル、可動性針、ロボットのアーム構造、マジックハンドなどの装置に適用可能である。
【0033】
なお本発明において、「細長体の長手方向X」とは、「細長体の中心線と平行な方向」を意味する。以下では、「細長体の長手方向X」を「長手方向X」と適宜略記し、「長手方向Xに対して垂直な方向Y」を「方向Y」と適宜略記し、「長手方向X及び方向Yに対して垂直な方向Z」を「方向Z」と適宜略記する。また以下では、「細長体の長手方向Xの先端側」を「先端側」と適宜略記し、「細長体の長手方向Xの基端側」を「基端側」と適宜略記する。
【0034】
第一実施形態の細長体2は、長手方向Xに隣り合う2つの細長要素4A,4Bの間に、フランジハブ5が配置されたチューブであり、細長要素4Aによって細長体2の先端部が構成され、細長要素4Bによって細長体2の本体部が構成される。
【0035】
細長要素4A,4Bは、可撓性を有する材料から形成された円筒状の管である。細長要素4A,4Bの材料として、復元力が非常に高いβチタンや形状記憶合金であるニッケルチタンなどの弾性を有する金属あるいは合金や、樹脂や、ゴム等を使用できる。また上記の樹脂として、例えばポリテトラフルオロエチレン (polytetrafluoroethylene:PTFE)を使用できる。
【0036】
フランジハブ5は、ステンレスなどの金属や、樹脂等から形成されるものであり、ハブ本体6と、先端フランジ7と、基端フランジ8とを備える。フランジハブ5を形成するために、例えば、ハブ本体6、先端フランジ7、及び基端フランジ8を個別に製作した後、先端フランジ7及び基端フランジ8をハブ本体6に溶接(スポット溶接など)で接合することが行われる。或いは、ハブ本体6、先端フランジ7、及び基端フランジ8を一体で製作することで、フランジハブ5が形成されてもよい。
【0037】
ハブ本体6は、長手方向Xに延びる円筒体である。ハブ本体6の内径は、細長要素4A,4Bの内径と略一致し、ハブ本体6の外径は、細長要素4A,4Bの外径よりも小さい。
【0038】
先端フランジ7(
図1,
図2)は、ハブ本体6の先端から環状に突出する環状体であり、先端フランジ7の外径は、細長要素4A,4Bの外径と略一致する。細長体2を構成する2つの細長要素4A,4Bのうち、先端側に配置される一方の細長要素4Aは、その基端面が、フランジハブ5の先端フランジ7に接合される。この接合は、例えば、接着剤を用いて行われる。なお細長要素4Aが樹脂から形成されて、フランジハブ5が金属から形成される場合には、表面処理剤を用いて改質させた細長要素4Aの基端面を先端フランジ7に熱融着することで、上記の接合が行われてもよい。また細長要素4A及びフランジハブ5が金属から形成される場合には、溶接によって上記の接合が行われてもよい。
【0039】
基端フランジ8は、ハブ本体6の基端から環状に突出する環状体であり、基端フランジ8の外径は、細長要素4A,4Bの外径と略一致する。細長体2を構成する2つの細長要素4A,4Bのうち、基端側に配置される他方の細長要素4Bは、その先端面が、フランジハブ5の基端フランジ8に接合される。この接合は、例えば、接着剤を用いて行われる。なお細長要素4Bが樹脂から形成されて、フランジハブ5が金属から形成される場合には、表面処理剤を用いて改質させた細長要素4Bの先端面を基端フランジ8に熱融着することで、上記の接合が行われてもよい。また細長要素4B及びフランジハブ5が金属から形成される場合には、溶接によって上記の接合が行われてもよい。
【0040】
図3(A)は、先端フランジ7を示す正面図であり、
図3(B)は、基端フランジ8を示す正面図である。
【0041】
先端フランジ7には、長手方向Xに延びる一対の第一貫通孔9A,9Bが形成される。基端フランジ8には、長手方向Xに延びる一対の第二貫通孔10A,10Bが形成される。本発明において、「一対の」とは、「細長体2の中心線に沿って延びる所定の平面からの最短距離が等しいこと」を意味する。また本発明において、「平面からの最短距離」とは、「平面に垂直な直線に沿った距離」を意味する。
【0042】
上記の一対の第一貫通孔9A,9Bと一対の第二貫通孔10A,10Bとは、以下の条件1及び条件2を満たすように形成されている。
【0043】
条件1:細長体2の中心線に沿って延びる第一平面XZを境界として細長体2を一方側及び他方側に分けてみたときに、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となる一方側の位置に、一方の第一貫通孔9Aが形成され、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となる他方側の位置に、他方の第一貫通孔9Bが形成され、第一平面XZからの最短距離が第二距離L2となる一方側の位置に、一方の第二貫通孔10Aが形成され、第一平面からの最短距離が第二距離L2となる他方側の位置に、他方の第二貫通孔10Bが形成されている(上記の第一平面XZは、細長体2の中心線に沿って、長手方向X及び方向Zに延びる平面である)。
【0044】
条件2:細長体2の中心線に沿って延び、且つ、第一平面XZと直交する第二平面XYを境界として、細長体21を一方側及び他方側に分けてみたときに、一対の第一貫通孔9A,9B及び一対の第二貫通孔10A,10Bは、同一側に形成されており、一対の第一貫通孔9A,9Bは、それぞれ第二平面XYからの最短距離が第三距離L3となる位置に形成され、一対の第二貫通孔10A,10Bは、それぞれ第二平面XYからの最短距離が第四距離L4となる位置に形成されており、第三距離L3は第四距離L4よりも長い(上記の第二平面XZは、細長体2の中心線に沿って、長手方向X及び方向Yに延びる平面である)。
【0045】
また第一実施形態では、第一貫通孔9A,9B及び第二貫通孔10A,10Bの全てが、第二平面XYよりも一方側に形成されていることで、第一貫通孔9A,9B及び第二貫通孔10A,10Bが、条件2の「第二平面XYを境界として同一側(一方側)に形成されること」を満たすものとなっているが、本発明では、「一対の第一貫通孔9A,9Bが第二平面XYよりも一方側或いは他方側に形成されて、一対の第二貫通孔10A,10Bが第二平面XY上に形成される場合」も、条件2の「一対の第一貫通孔9A,9B及び一対の第二貫通孔10A,10Bが第二平面XYを境界とする同一側(一方側或いは他方側)に形成されること」を満たす。
【0046】
また第一貫通孔9A,9B及び第二貫通孔10A,10Bは、プレス加工、レーザ加工、或いはエッチング加工によって形成される。なお第一貫通孔9A,9B及び第二貫通孔10A,10Bを容易に形成する観点においては、エッチング加工が好ましく、なお第一貫通孔9A,9B及び第二貫通孔10A,10Bを高精度に形成する観点においては、レーザ加工が好ましい。
【0047】
そして
図1,
図2に示すように、一方の第一貫通孔9Aは、細長要素4Aを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR1に連通し、他方の第一貫通孔9Bは、細長要素4Aを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR2に連通する。
【0048】
ワイヤルーメンR1は、一方の第一貫通孔9Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となり、第二平面XYからの最短距離が第三距離L3となる位置に形成されたものである。
【0049】
ワイヤルーメンR2は、他方の第一貫通孔9Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする他方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となり、第二平面XYからの最短距離が第三距離L3となる位置に形成されたものである。
【0050】
また
図1,
図2に示すように、一方の第二貫通孔10Aは、細長要素4Bを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR3に連通し、他方の第二貫通孔10Bは、細長要素4Bを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR4に連通する。
【0051】
ワイヤルーメンR3は、一方の第二貫通孔10Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第二距離L2となり、第二平面XYからの最短距離が第四距離L4となる位置に形成されたものである。
【0052】
ワイヤルーメンR4は、他方の第二貫通孔10Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする他方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第二距離L2となり、第二平面XYからの最短距離が第四距離L4となる位置に形成されたものである。
【0053】
ワイヤY1は、ステンレスなどの金属、ポリプロピレン、アクリル系材料、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂などから形成される。
【0054】
図1,
図2に示すように、ワイヤY1は、細長要素4Bに形成されるワイヤルーメンR3、これと連通する一方の第二貫通孔10A、フランジハブ5の基端フランジ8と先端フランジ7との間、一方の第一貫通孔9A、これと連通する細長要素4Aに形成されるワイヤルーメンR1を順次通過して細長要素4Aの先端から延び出た後、屈曲して、細長要素4Aに形成されるワイヤルーメンR2、これと連通する他方の第一貫通孔9B、フランジハブ5の先端フランジ7と基端フランジ8との間、他方の第二貫通孔10B、これと連通する細長要素4Bに形成されるワイヤルーメンR4を順次通過している。
【0055】
細長体2の基端側では、ワイヤルーメンR3からワイヤY1の一端部が延び出て、ワイヤルーメンR4からワイヤY1の他端部が延び出ており、ワイヤY1の一端部及び他端部を、細長体2の長手方向Xに牽引可能とされている。この牽引は、ワイヤY1の一端部及び他端部が接続される牽引機(図示せず)を用いることで実現される。
【0056】
図4(A)及び
図4(B)は、細長体2の先端部を示す斜視図である。
【0057】
細長体2を構成する細長要素4A,4Bのうち、最も先端側に配置される細長要素4Aには、先端チップ13が取り付けられる。
【0058】
先端チップ13は筒状を呈するものであり、先端チップ13の外周面の一部は、先端側に向かって縮径するテーパ面とされる。また先端チップ13の筒壁には、長手方向Xに延びる貫通孔16(以下、チップ貫通孔16)が形成される。
【0059】
より具体的には、先端チップ13の筒壁は、基端部をなす円環状部14と、本体をなす略円錐台状の筒部15とが一体的に成形されたものであり、円環状部14の内側の空間と、筒部15の内側の空間とが連なることで、先端チップ13を長手方向Xに貫通する空洞が構成されて、この空洞の先端開口13kによって細長体2の先端開口が構成される。
【0060】
筒部15の外周面には凹部Hが形成されており、筒部15の外周面のうち、凹部Hの表面を除く範囲は、先端側に向かって縮径するテーパー面とされる。凹部Hは、円環状部14の一部の範囲14aを長手方向Xに投影した範囲を切り欠いたものであり、上記円環状部14の範囲14aにチップ貫通孔16が形成される。
【0061】
チップ貫通孔16は、最も先端側に配置される細長要素4Aに形成されるワイヤルーメンR1,R2の各々に対して形成されるものであり、各チップ貫通孔16が対応するワイヤルーメンRと連通するように、先端チップ13の基端面(円環状部14の基端面)は、細長要素4Aの先端面に接合される。細長要素4Aに形成された2つのワイヤルーメンR1,R2を通過するワイヤY1は、一方のワイヤルーメンR1と連通する一のチップ貫通孔16を通過した後、屈曲して、他方のワイヤルーメンR2と連通する二のチップ貫通孔16を通過する。
【0062】
先端チップ13は、金属或いは樹脂から形成されるものであり、先端チップ13の基端面と細長要素4Aの先端面との接合は、例えば、接着剤を用いて行われる。なお細長要素4Aが樹脂から形成され、先端チップ13が金属から形成される場合には、表面処理剤を用いて改質させた細長要素4Aの先端面を先端チップ13の基端面に熱融着することで、上記の接合が行われてもよい。また細長要素4A及び先端チップ13が金属から形成される場合には、溶接によって上記の接合が行われてもよい。
【0063】
また上記の凹部Hは、先端チップ13に形成されなくてもよい。この場合、例えば、先端チップ13の外周面の一部又は全体が先端側に向かって縮径するテーパ面とされて、先端チップ13の筒壁を長手方向Xに貫通する貫通孔16が形成される。
【0064】
第一実施形態の器具1によれば、ワイヤY1の一端部及び他端部を細長体2の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Aを、基端側にある細長要素4Bよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる(
図1参照)。以下、理由を説明する。
【0065】
基端側の細長要素4Bでは、ワイヤY1の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR3及び第二貫通孔10A)と第一平面XZとの間の距離と、ワイヤY1の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR4及び第二貫通孔10B)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも第二距離L2(
図3(B))とされる。このため基端側の細長要素4Bでは、ワイヤY1の一端部の牽引で生じる方向Yの一方側(
図3(B)の左側)への曲げモーメントと、ワイヤY1の他端部の牽引で生じる方向Yの他方側(
図3(B)の右側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0066】
また先端側の細長要素4Aでは、ワイヤY1の一端側の通過ルート(第一貫通孔9A及びワイヤルーメンR1)と第一平面XZとの間の距離と、ワイヤY1の他端側の通過ルート(第一貫通孔9B及びワイヤルーメンR2)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも、第一距離L1(
図3(A))とされる。このため細長要素4Aにおいても、ワイヤY1の一端部の牽引で生じる方向Yの一方側(
図3(A)の左側)への曲げモーメントと、ワイヤY1の他端部の牽引で生じる方向Yの他方側(
図3(A)の右側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0067】
そして基端側の細長要素4Bでは、ワイヤY1の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR3及び第二貫通孔10A)と第二平面XYとの間の距離と、ワイヤY1の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR3及び第二貫通孔10B)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも第四距離L4(
図3(B))とされる。
【0068】
一方、先端側の細長要素4Aでは、ワイヤY1の一端側の通過ルート(第一貫通孔9A及びワイヤルーメンR1)と第二平面XYとの間の距離と、ワイヤY1の他端側の通過ルート(第一貫通孔9B及びワイヤルーメンR2)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも、第四距離L4よりも長い第三距離L3(
図3(A))とされる。つまり、先端側の細長要素4Aでは、基端側の細長要素4Bよりも、ワイヤY1の通過ルートと第二平面XYとの間の距離が、長い。このため、ワイヤY1を牽引した際に、細長要素4Aに加えられる方向Zの一方側への曲げモーメントを、細長要素4Bに加えられる方向Zの一方側への曲げモーメントよりも大きくすることができる。
【0069】
以上の理由から、ワイヤY1の一端部及び他端部の牽引によって、先端側にある細長要素4Aを、基端側にある細長要素4Bよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる。なお先端側に配置される細長要素4Aの硬度を基端側に配置される細長要素4Bの硬度よりも低くすることが好ましい(つまり細長要素4Aを細長要素4Bよりも柔らかくすることが好ましい。このようにすれば、細長要素4Aの屈曲を、細長要素4Bの屈曲に比して、より大きく生じさせることができる。第一実施形態の器具1が可動型カニューレ等に使用される場合には、例えば、細長要素4A,4Bの外径、先端フランジ7の外径、及び基端フランジ6の外径は、1.8mmとされ、細長要素4A,4Bの内径及びハブ本体5の内径は、1mmとされ、第一距離L1は 0.35mmとされ、第二距離L2は0.657mmとされ、第三距離L3は0.657mmとされ、第四距離L4は0.175mmとされる。このようにすれば、ワイヤY1を牽引した際に、細長要素4Aに加えられる曲げモーメントMAと細長要素4Bに加えられる曲げモーメントMBとの比MA:MBは、3.75:1となる(上記の3.75は、0.657mm(第三距離L3)/0.175mm(第四距離L4)の計算から求められる)。そして細長要素4Aの硬度と細長要素4Aの硬度とが等しい場合には、細長要素4Aの先端の変位を、細長要素4Bの先端の変位に比して、3.75倍大きくすることができ、細長要素4Aの硬度を細長要素4Bの硬度の0.5倍とすれば、細長要素4Aの先端の変位を、細長要素4Bの先端の変位に比して、7.5倍大きくすることができる。
【0070】
また第一実施形態の細長体2によれば、細長要素4AのワイヤルーメンR1,R2や、細長要素4BのワイヤルーメンR3,R4や、フランジハブ5の貫通孔9A,9B,10A,10Bに、ワイヤY1を通すという簡易な作業を行なうことで、上記の特徴を有する器具1(先端側にある細長要素4Aを、基端側にある細長要素4Bよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる器具1)を得ることができる。
【0071】
また上記の特徴を有する器具1(先端側にある細長要素4Aを、基端側にある細長要素4Bよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる器具1)を得るためには、細長要素4A,4Bの間において、細長体2の中心線に沿った平面とワイヤY1との間の距離(第一実施形態では第二平面XYとワイヤY1との間の距離)が、基端側(細長要素4B側)で短く、先端側(細長要素4A側)で長くなるように、ワイヤY1の向きを調整する必要があるところ、第一実施形態のフランジハブ5によれば、貫通孔9A,9B,10A,10BにワイヤY1を通すという簡易な作業を行なうことで、上記のワイヤY1の向きの調整を実現できる。
【0072】
なお第一実施形態で可能な細長要素4A,4Bの動きは、上述した「先端側にある細長要素4Aを、基端側にある細長要素4Bよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させること」に限られない。例えば、ワイヤY1の一端部と他端部とのうち、いずれか一方を固定した状態で、他方を牽引することで、細長要素4A,4Bの双方を方向Yの一方側或いは他方側に屈曲させることができる。また、ワイヤY1の一端部及び他端部を牽引する力を調整することで、細長要素4A,4Bの屈曲を微調整できる。
【0073】
また第一実施形態の器具1によれば、先端チップ13のチップ貫通孔16,16にワイヤY1が通されるので(
図4参照)、ワイヤY1の屈曲部Y1aが細長要素4Aの先端面に接触することを回避できる。したがって、ワイヤY1の屈曲部Y1aから加えられる牽引力によって、細長要素4Aが損傷することを回避できる。
【0074】
また第一実施形態の器具1では、先端チップ13の外周面の一部又は全体が、先端側に向かって縮径するテーパー面によって構成されることで(
図4参照)、第一実施形態の器具1がカテーテル等として使用される場合には、器具1(カテーテル)を円滑に体内に挿入できる。なお必ずしも、先端チップ13の外周面の一部又は全体をテーパー面とする必要はなく、先端チップ13の外周面の全体が、長手方向Xに延びる面とされてもよい。
【0075】
なお第一実施形態の器具1では、先端チップ13の代わりに、
図5に示す円環状の板材17が、最も先端側に配置される細長要素4Aの先端に取り付けられてもよい。
【0076】
板材17の環の内側にある孔17kは、細長体2の先端開口を構成するものであり、板材17の環には、長手方向Xに延びる貫通孔18(以下、板材貫通孔18)が形成されている。当該板材貫通孔18は、細長要素4Aに形成されるワイヤルーメンR1,R2の各々に対して形成されるものであり、各板材貫通孔18が対応するワイヤルーメンRと連通するように、板材17の基端面は、細長要素4Aの先端面に接合される。そして、細長要素4Aに形成された2つのワイヤルーメンR1,R2に通されるワイヤY1は、一方のワイヤルーメンR1、これと連通する一の板材貫通孔18を順次通過した後、屈曲して、二の板材貫通孔18、これと連通する他方のワイヤルーメンR2を順次通過する。
【0077】
板材17は、例えば金属或いは樹脂から形成される。板材17の基端面と細長要素4Aの先端面との接合は、例えば接着剤を用いて行われる。なお細長要素4Aが樹脂から形成され、板材17が金属から形成される場合には、表面処理剤を用いて改質させた細長要素4Aの先端面を板材17の基端面に熱融着することで、上記の接合が行われてもよい。また細長要素4A及び板材17が金属から形成される場合には、溶接によって上記の接合が行われてもよい。
【0078】
上記の板材17が使用される場合には、板材貫通孔18,18にワイヤY1が通されることで、ワイヤY1の屈曲部Y1aが細長要素4Aの先端面に接触することを回避できる。したがってワイヤY1の屈曲部Y1aから加えられる牽引力によって、細長要素4Aが損傷することを回避できる。
【0079】
なお、細長要素4Aの強度が大きい場合や、ワイヤY1の牽引力が弱い場合などには、上記の先端チップ13や板材17は省略されてもよい。この場合、ワイヤY1は、ワイヤルーメンR1から延び出た後、屈曲して、ワイヤルーメンR2に入るものとされる。
【0080】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。以下では、第一実施形態と相違する点を中心に説明し、第一実施形態に示す構成と対応する構成については同一の名称を付して、詳細な説明を省略する。
【0081】
図6及び
図7は、本発明の第二実施形態に係る器具20の一部を示す斜視図である(
図6の二点鎖線は屈曲前の器具20の状態を示し、
図6の実線は屈曲後の器具20の状態を示す)。
【0082】
第二実施形態の器具20は、細長体21と、第一ワイヤY2と、第二ワイヤY3とを備えている。
【0083】
第二実施形態の細長体21は、長手方向Xに隣り合う2つの細長要素4C,4Dの間にフランジハブ22が配置されたチューブであり、細長要素4Cによって細長体21の先端部が構成され、細長要素4Dによって細長体21の本体部が構成される(
図7では、説明の便宜のために、細長要素4Cの途中部分や、細長要素4Dにおけるフランジハブ22側の部分の図示を省略している)。
【0084】
フランジハブ22は、ハブ本体6と、先端フランジ23と、基端フランジ24とを備える。細長体21を構成する2つの細長要素4C,4Dのうち、先端側に配置される一方の細長要素4Cは、その基端面が、フランジハブ22の先端フランジ23に接合され、基端側に配置される他方の細長要素4Dは、その先端面が、フランジハブ22の基端フランジ24に接合される。上記の接合は、例えば、第一実施形態で示した「細長要素4A,4Bとフランジハブ5のフランジとの接合」と同様の方法で行われる。
【0085】
図8(A)は、先端フランジ23を示す正面図であり、
図8(B)は、基端フランジ24を示す正面図である。
【0086】
図8(A)に示すように、先端フランジ23には、第一実施形態に示した一対の第一貫通孔9A,9B(
図3)に加えて、長手方向Xに延びる一対の第三貫通孔25A,25Bが形成されている。
図8(B)に示すように、基端フランジ24には、第一実施形態に示した一対の第二貫通孔10A,10Bに加えて、長手方向Xに延びる一対の第四貫通孔26A,26Bが形成されている。
【0087】
一対の第一貫通孔9A,R9Bと一対の第二貫通孔10A,10Bとは、第一実施形態に示した条件1及び条件2を満たすように形成されている。
【0088】
一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bとは、以下の条件3及び条件4を満たすように形成されている。
【0089】
条件3:第一平面XZとは異なる一の平面であって、細長体21の中心線に沿って延びる前記一の平面を境界として細長体21を一方側及び他方側に分けてみたときに、前記一の平面からの最短距離が第五距離L5となる一方側の位置に、一方の第三貫通孔25Aが形成され、前記一の平面からの最短距離が第五距離L5となる他方側の位置に、他方の第三貫通孔25Bが形成され、前記一の平面からの最短距離が第六距離L6となる一方側の位置に、一方の第四貫通孔26Aが形成され、前記一の平面からの最短距離が第六距離L6となる他方側の位置に、他方の第四貫通孔26Bが形成されている。
【0090】
条件4:細長体21の中心線に沿って延び、且つ、前記一の平面と直交する二の平面を境界として、細長体21を一方側及び他方側に分けてみたときに、一対の第三貫通孔25A,25B及び一対の第四貫通孔26A,26Bは、同一側に形成されており、一対の第三貫通孔25A,25Bは、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第七距離L7となる位置に形成され、一対の第四貫通孔26A,26Bは、それぞれ前記二の平面からの最短距離が第八距離L8となる位置に形成されており、第七距離L7は第八距離L8よりも長い。
【0091】
なお図示例では、条件3に示す「一の平面」を第二平面XYとし、条件4に示す「二の平面」を第一平面XZとしたときに、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bとが形成されている。
【0092】
また図示例では、第三貫通孔25A,25B及び第四貫通孔26A,26Bの全てが、二の平面(第一平面XZ)よりも一方側に形成されていることで、第三貫通孔25A,25B及び第四貫通孔26A,26Bが、条件4の「二の平面(第一平面XZ)を境界として同一側(一方側)に形成されること」を満たすものとなっているが、本発明では、「一対の第三貫通孔25A,25Bが二の平面よりも一方側或いは他方側に形成されて、一対の第四貫通孔26A,26Bが二の平面上に形成される場合」も、条件4の「二の平面を境界として同一側(一方側或いは他方側)に形成されること」を満たす。
【0093】
また第三貫通孔25A,25B及び第四貫通孔26A,26Bは、プレス加工、レーザ加工、或いはエッチング加工によって形成される。なお第三貫通孔25A,25B及び第四貫通孔26A,26Bを容易に形成する観点においては、エッチング加工が好ましく、なお第三貫通孔25A,25B及び第四貫通孔26A,26Bを高精度に形成する観点においては、レーザ加工が好ましい。
【0094】
そして
図6,
図7に示すように、一方の第一貫通孔9Aは、細長要素4Cを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR1に連通し、他方の第一貫通孔9Bは、細長要素4Cを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR2に連通する。
【0095】
ワイヤルーメンR1は、一方の第一貫通孔9Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となり、第二平面XYからの最短距離が第三距離L3となる位置に形成されたものである。
【0096】
ワイヤルーメンR2は、他方の第一貫通孔9Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする他方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第一距離L1となり、第二平面XYからの最短距離が第三距離L3となる位置に形成されたものである。
【0097】
図7に示すように、一方の第二貫通孔10Aは、細長要素4Dを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR3に連通し、他方の第二貫通孔10Bは、細長要素4Dを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR4に連通する。
【0098】
ワイヤルーメンR3は、一方の第二貫通孔10Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第二距離L2となり、第二平面XYからの最短距離が第四距離L4となる位置に形成されたものである。
【0099】
ワイヤルーメンR4は、他方の第二貫通孔10Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする他方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第二距離L2となり、第二平面XYからの最短距離が第四距離L4となる位置に形成されたものである。
【0100】
図6,
図7に示すように、一方の第三貫通孔25Aは、細長要素4Cを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR5に連通し、他方の第三貫通孔25Bは、細長要素4Cを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR6に連通する。
【0101】
ワイヤルーメンR5は、一方の第三貫通孔25Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第七距離L7となり、第二平面XYからの最短距離が第五距離L5となる位置に形成されたものである。
【0102】
ワイヤルーメンR6は、他方の第三貫通孔25Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする他方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第七距離L7となり、第二平面XYからの最短距離が第五距離L5となる位置に形成されたものである。
【0103】
図7に示すように、一方の第四貫通孔26Aは、細長要素4Dを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR7に連通し、他方の第四貫通孔26Bは、細長要素4Dを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンR8に連通する。
【0104】
ワイヤルーメンR7は、一方の第四貫通孔26Aと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする一方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第八距離L8となり、第二平面XYからの最短距離が第六距離L6となる位置に形成されたものである。
【0105】
ワイヤルーメンR8は、他方の第四貫通孔26Bと同様の位置、つまり、第一平面XZを境界とする一方側、且つ第二平面XYを境界とする他方側の位置であって、第一平面XZからの最短距離が第八距離L8となり、第二平面XYからの最短距離が第六距離L6となる位置に形成されたものである。
【0106】
第一ワイヤY2は、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR3、これと連通する一方の第二貫通孔10A、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、一方の第一貫通孔9A、これと連通する細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR1を順次通過して細長要素4Cの先端から延び出た後、屈曲して、細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR2、これと連通する他方の第一貫通孔9B、フランジハブ22の先端フランジ23と基端フランジ24との間、他方の第二貫通孔10B、これと連通する細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR4を順次通過する。
【0107】
第二ワイヤY3は、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR7、これと連通する一方の第四貫通孔26A、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、一方の第三貫通孔25A、これと連通する細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR5を順次通過して細長要素4Cの先端から延び出た後、屈曲して、細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR6、これと連通する他方の第三貫通孔25B、フランジハブ22の先端フランジ23と基端フランジ24との間、他方の第四貫通孔26B、これと連通する細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR8を順次通過する。
【0108】
細長体21の基端側では、ワイヤルーメンR3から第一ワイヤY2の一端部が延び出て、ワイヤルーメンR4から第一ワイヤY2の他端部が延び出て、ワイヤルーメンR7から第二ワイヤY3の一端部が延び出て、ワイヤルーメンR8から第二ワイヤY3の他端部が延び出ており、図示しない牽引機によって、第一ワイヤY2の一端部及び他端部を細長体21の長手方向Xに牽引することや、第二ワイヤY3の一端部及び他端部を細長体21の長手方向Xに牽引することが可能とされる。
【0109】
また
図6,
図7に示すように、フランジハブ22では、ハブ本体6の先端側に孔27が形成され、ハブ本体6の基端側に孔28が形成されている。孔27,28は、それぞれハブ本体6の筒壁を厚さ方向に貫通するものであって、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第一ワイヤY2の部分は、ハブ本体6に形成された孔27,28に通されて、これら孔27,28の間で、ハブ本体6の内側を通過するものとされる。
【0110】
第二実施形態の器具20において、細長要素4Cが第一実施形態の細長要素4A(
図1,
図2)に対応し、細長要素4Dが第一実施形態の細長要素4Bに対応し、フランジハブ22が第一実施形態のフランジハブ5に対応するものとしてみると、第一ワイヤY2は、第一実施形態に示したワイヤY1と同様のルートで、細長体21を通過するものである。したがって第一実施形態と同様の理由から、第一ワイヤY2の一端部及び他端部を細長体21の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる
【0111】
さらに第二実施形態の器具20によれば、第二ワイヤY3の一端部及び他端部を細長体21の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、方向Yの一方側に大きく屈曲させることができる。以下、理由を説明する。
【0112】
基端側の細長要素4Dでは、第二ワイヤY3の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR7及び第四貫通孔26A)と第二平面XYとの間の距離と、第二ワイヤY3の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR8及び第四貫通孔26B)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも、第六距離L6(
図8(B))とされる。このため基端側の細長要素4Dでは、第二ワイヤY3の一端部の牽引で生じる方向Zの一方側(
図8(B)の上側)への曲げモーメントと、第二ワイヤY3の他端部の牽引で生じる方向Zの他方側(
図8(B)の下側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0113】
また先端側の細長要素4Cでは、第二ワイヤY3の一端側の通過ルート(第三貫通孔25A及びワイヤルーメンR5)と第二平面XYとの間の距離と、第二ワイヤY3の他端側の通過ルート(第三貫通孔25B及びワイヤルーメンR6)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも、第五距離L5(
図8(A))とされる。このため細長要素4Cでも、第二ワイヤY3の一端部の牽引で生じる方向Zの一方側(
図8(A)の上側)への曲げモーメントと、第二ワイヤY3の他端部の牽引で生じる方向Zの他方側(
図8(A)の下側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0114】
また基端側の細長要素4Dでは、第二ワイヤY3の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR7及び第四貫通孔26A)と第一平面XZとの間の距離と、第二ワイヤY3の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR8及び第四貫通孔26B)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも第八距離L8(
図8(B))とされる。
【0115】
一方、先端側の細長要素4Cでは、第二ワイヤY3の一端側の通過ルート(第三貫通孔25A及びワイヤルーメンR5)と第一平面XZとの間の距離と、第二ワイヤY3の他端側の通過ルート(第三貫通孔25B及びワイヤルーメンR6)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも、第八距離L8よりも長い第七距離L7(
図8(A))とされる。つまり、先端側の細長要素4Cでは、基端側の細長要素4Dよりも、第二ワイヤY3の通過ルートと第一平面XZとの間の距離が、長い。このため、第二ワイヤY3を牽引した際に、細長要素4Cに加えられる方向Yの一方側への曲げモーメントを、細長要素4Dに加えられる方向Yの一方側への曲げモーメントよりも大きくすることができる。
【0116】
以上の理由から、第二ワイヤY3の一端部及び他端部を細長体21の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、方向Yの一方側に大きく屈曲させることができる。
【0117】
また第二実施形態の細長体21によれば、細長要素4AのワイヤルーメンR1,R2や、細長要素4BのワイヤルーメンR3,R4や、フランジハブ5の貫通孔9A,9B,10A,10Bに、第一ワイヤY2を通し、細長要素4AのワイヤルーメンR5,R6や、細長要素4BのワイヤルーメンR7,R8や、フランジハブ5の貫通孔25A,25B,26A,26Bに、第二ワイヤY3を通すという簡易な作業を行なうことで、上記の特徴を有する器具20(先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、方向Z,Yの一方側に大きく屈曲させることができる器具20)を得ることができる。
【0118】
また上記の特徴を有する器具20を得るためには、細長要素4A,4Bの間において、第一ワイヤY2と第二平面XYとの間の距離と、第二ワイヤY3と第一平面XZとの間の距離とが、基端側(細長要素4B側)で短く、先端側(細長要素4A側)で長くなるように、ワイヤY2,Y3の向きを調整する必要があるところ、第二実施形態のフランジハブ22によれば、貫通孔9A,9B,10A,10Bに第一ワイヤY1を通し、貫通孔25A,25B,26A,26Bに第二ワイヤY3を通すという簡易な作業を行なうことで、上記のワイヤY2,Y3の向きの調整を実現できる。
【0119】
また第二実施形態で可能な細長要素4A,4Bの動きは、上述した「先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、方向Yの一方側に大きく屈曲させること」に限られない。例えば、第一ワイヤY2の一端部と他端部とのうち、いずれか一方を固定した状態で、他方を牽引することで、細長要素4A,4Bの双方を方向Yの一方側或いは他方側に屈曲させることができる。また、第二ワイヤY3の一端部と他端部とのうち、いずれか一方を固定した状態で、他方を牽引することで、細長要素4A,4Bの双方を方向Zの一方側或いは他方側に屈曲させることができる。また、ワイヤY2,Y3の一端部及び他端部を牽引する力を調整することで、細長要素4A,4Bの屈曲を微調整できる。
【0120】
また第二実施形態の器具20では、
図6及び
図7に示すように、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第一ワイヤY2の部分が、ハブ本体6に形成された孔27,28に通されて、これら孔27,28の間でハブ本体6の内側を通過するものとされる。これにより、第一ワイヤY2と第二ワイヤY3とが接触することが防止されるので、ワイヤY2,Y3の牽引を円滑に行なうことができる。
【0121】
また第二実施形態の器具20では、先端側に配置される細長要素4Cの硬度を基端側に配置される細長要素4Dの硬度よりも高くすることが好ましい。このようにすれば、細長要素4Cの屈曲を、細長要素4Dの屈曲に比して、より大きく生じさせることができる。
【0122】
なお第二実施形態では、条件3に示す一の平面を「第二平面XY以外の平面」とし、条件4に示す二の平面を「第一平面XZ以外の平面」としたときに、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bとがフランジハブ22に形成されてもよい(例えば、一の平面を「第一平面XYと120°の角度で交差する平面」とし、二の平面を「第一平面XYと210°の角度で交差する平面」としたときに、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bとが、フランジハブ22に形成されてもよい)。
【0123】
またさらにフランジハブ22には、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bの組が複数組形成されてもよい(例えば、一の平面を「第一平面XYと120°の角度で交差する平面」とし、二の平面を「第一平面XYと210°の角度で交差する平面」としたときに、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bの組と、一の平面を「第一平面XYと240°の角度で交差する平面」とし、二の平面を「第一平面XYと330°の角度で交差する平面」としたときに、条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25Bと一対の第四貫通孔26A,26Bの組とが、フランジハブ22に形成されてもよい)。
【0124】
以上のようにフランジハブ22が変更される場合でも、細長体21を、「第一貫通孔9A,9B及び第三貫通孔25A,25Bの各々が、細長要素4Cを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンに連通し、第二貫通孔10A,10B及び第四貫通孔26A,26Bの各々が、細長要素4Dを長手方向Xに貫通するワイヤルーメンに連通したもの」とし、貫通孔9A,9B,10A,10Bと、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートや、貫通孔25A,25B,26A,26Bと、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートに、それぞれワイヤYを通して、各ワイヤYの一端部及他端部を牽引可能とすれば、先端側にある細長要素4Cを、基端側にある細長要素4Dよりも、複数の方向に大きく屈曲させることが可能な器具を得ることができる(第三貫通孔25A,25Bと第四貫通孔26A,26Bの組が複数組形成される場合には、貫通孔9A,9B,10A,10Bと、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートや、貫通孔25A,25B,26A,26Bの一組と、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートに、それぞれワイヤYが通されて、各ワイヤYの一端部及他端部が牽引可能とされる)。
【0125】
図9~
図13は、本発明の第三実施形態に係る器具30の一部を示す斜視図である(
図9の二点鎖線は屈曲前の器具30の状態を示し、
図9の実線は屈曲後の器具30の状態を示している)。
【0126】
第三実施形態の器具30は、細長体31(
図10~
図13)と、第一ワイヤY4と、第二ワイヤY5と、第三ワイヤY6と、第四ワイヤY7とを備えている(
図10~
図13は、同一の図であって、
図10では、第一ワイヤY4の通過ルートを示すべく第一ワイヤY4を着色し、
図11では、第二ワイヤY5の通過ルートを示すべく第二ワイヤY5を着色し、
図12では、第三ワイヤY6の通過ルートを示すべく第三ワイヤY6を着色し、
図13では、第四ワイヤY7の通過ルートを示すべく第四ワイヤY7を着色している)。
【0127】
第三実施形態の細長体31は、長手方向Xに隣り合う2つの細長要素4E,4Fの間にフランジハブ32が配置されたチューブであり、細長要素4Eによって細長体31の先端部が構成され、細長要素4Fによって細長体31の本体部が構成される。
【0128】
フランジハブ32は、ハブ本体6と、先端フランジ33と、基端フランジ34とを備える。細長体31を構成する2つの細長要素4E,4Fのうち、先端側に配置される一方の細長要素4Eは、その基端面が、フランジハブ32の先端フランジ33に接合される。また基端側に配置される他方の細長要素4Fは、その先端面が、フランジハブ32の基端フランジ34に接合される。上記の接合は、例えば、第一実施形態で示した「細長要素4A,4Bとフランジハブ5のフランジとの接合」と同様の方法で行われる。
【0129】
図14(A)は、先端フランジ33を示す正面図であり、
図14(B)は、基端フランジ34を示す正面図である。
【0130】
フランジハブ32には、第一実施形態に示した条件1及び条件2を満たす一対の第一貫通孔9A,R9B及び一対の第二貫通孔10A,10Bとして、以下の条件5を満たす第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1及び一対の第二貫通孔10A-1,10B-1と第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2及び一対の第二貫通孔10A-2,10B-2とが設けられている。
【0131】
条件5:第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1と、第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2とは、第二平面XYに対して線対称となる位置に形成され、第1組の一対の第二貫通孔10A-1,10B-1と、第2組の一対の第二貫通孔10A-2,10B-2とは、第二平面XYに対して線対称となる位置に形成されている。
【0132】
またフランジハブ32には、第二実施形態に示した条件3及び条件4を満たす一対の第三貫通孔25A,25B及び一対の第四貫通孔26A,26Bとして、以下の条件6を満たす第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3及び一対の第四貫通孔26A-3,26B-3と第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4及び一対の第四貫通孔26A-4,26B-4とが設けられている。
【0133】
条件6:第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3と、第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4とは、第一平面XZに対して線対称となる位置に形成され、第3組の一対の第四貫通孔26A-3,26B-3と、第4組の一対の第四貫通孔26A-4,26B-4とは、第一平面XZに対して線対称となる位置に形成されている。
【0134】
図10に示すように、第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1は、一方の細長要素4Eを長手方向Xに貫通する一対の第一ワイヤルーメンR9A,R9Bに連通する。
【0135】
図11に示すように、第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2は、一方の細長要素4Eを長手方向Xに貫通する一対の第二ワイヤルーメンR10A,R10Bに連通する。
【0136】
図12に示すように、第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3は、一方の細長要素4Eを長手方向Xに貫通する一対の第三ワイヤルーメンR11A,R11Bに連通する。
【0137】
図13に示すように、第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4は、一方の細長要素4Eを長手方向Xに貫通する一対の第四ワイヤルーメンR12A,R12Bに連通する。
【0138】
図10に示すように、第1組の一対の第二貫通孔10A-1,10B-1は、他方の細長要素4Fを長手方向Xに貫通する一対の第五ワイヤルーメンR13A,R13Bに連通する。
【0139】
図11に示すように、第2組の一対の第二貫通孔10A-2,10B-2は、他方の細長要素4Fを長手方向Xに貫通する一対の第六ワイヤルーメンR14A,R14Bに連通する。
【0140】
図12に示すように、第3組の一対の第四貫通孔26A-3,26B-3は、他方の細長要素4Fを長手方向Xに貫通する一対の第七ワイヤルーメンR15A,R15Bに連通する。
【0141】
図13に示すように、第4組の一対の第四貫通孔26A-4,26B-4は、他方の細長要素4Fを長手方向Xに貫通する一対の第八ワイヤルーメンR16A,R16Bに連通する。
【0142】
図10に示すように、第一ワイヤY4は、一方の第五ワイヤルーメンR13A、これと連通する第1組の一方の第二貫通孔10A-1、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第一ワイヤルーメンR9Aを順次通過して細長要素4Eの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第一ワイヤルーメンR9B、これと連通する第1組の他方の第一貫通孔9B-1、フランジハブ32の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第1組の他方の第二貫通孔10B-1、これと連通する他方の第五ワイヤルーメンR13Bを順次通過する。
【0143】
図11に示すように、第二ワイヤY5は、一方の第六ワイヤルーメンR14A、これと連通する第2組の一方の第二貫通孔10A-2、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する一方の第二ワイヤルーメンR10Aを順次通過して細長要素4Eの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第二ワイヤルーメンR10B、これと連通する第2組の他方の第一貫通孔9B-2、フランジハブ32の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第2組の他方の第二貫通孔10B-2、これと連通する他方の第六ワイヤルーメンR14Bを順次通過する。
【0144】
図12に示すように、第三ワイヤY6は、一方の第七ワイヤルーメンR15A、これと連通する第3組の一方の第四貫通孔26A-3、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第3組の一方の第三貫通孔25A-3、これと連通する一方の第三ワイヤルーメンR11Aを順次通過して細長要素4Eの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第三ワイヤルーメンR11B、これと連通する第3組の他方の第三貫通孔25B-3、フランジハブ32の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第3組の他方の第四貫通孔26B-3、これと連通する他方の第七ワイヤルーメンR15Bを順次通過する。
【0145】
図13に示すように、第四ワイヤY7は、一方の第八ワイヤルーメンR16A、これと連通する第4組の一方の第四貫通孔26A-4、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第4組の一方の第三貫通孔25A-4、これと連通する一方の第四ワイヤルーメンR12Aを順次通過して細長要素4Eの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第四ワイヤルーメンR12B、これと連通する第4組の他方の第三貫通孔25B-4、フランジハブ32の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第4組の他方の第四貫通孔26B-4、これと連通する他方の第八ワイヤルーメンR16Bを順次通過する。
【0146】
細長体31の基端側では、第一ワイヤY4の一端部が一方の第五ワイヤルーメンR13A(
図10)から延び出て、第一ワイヤY4の他端部が他方の第五ワイヤルーメンR13B(
図10)から延び出て、第二ワイヤY5の一端部が一方の第六ワイヤルーメンR14A(
図11)から延び出て、第二ワイヤY5の一端部が他方の第六ワイヤルーメンR14B(
図11)から延び出て、第三ワイヤY6の一端部が一方の第七ワイヤルーメンR15A(
図12)から延び出て、第三ワイヤY6の他端部が他方の第七ワイヤルーメンR15B(
図12)から延び出て、第四ワイヤY7の一端部が一方の第八ワイヤルーメンR16A(
図13)から延び出て、第四ワイヤY7の他端部が他方の第八ワイヤルーメンR16B(
図13)から延び出ている。
【0147】
そして図示しない牽引機によって、第一ワイヤY4の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに牽引することや、第二ワイヤY5の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに牽引することや、第三ワイヤY6の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに牽引することや、第四ワイヤY7の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに牽引することが可能とされる。
【0148】
またフランジハブ32では、ハブ本体6の先端側に、ハブ本体6の筒壁を厚さ方向に貫通する孔27が形成され、ハブ本体6の基端側に、ハブ本体6の筒壁を厚さ方向に貫通する孔28が形成されている。そして、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第一ワイヤY4の部分や、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第二ワイヤY5の部分が、それぞれ、ハブ本体6に形成された孔27,28に通されて、これら孔27,28の間でハブ本体6の内側を通過するものとされる(
図10,
図11参照)。
【0149】
第三実施形態の器具30において、細長要素4Eが第二実施形態の細長要素4C(
図6,
図7)に対応し、細長要素4Fが第二実施形態の細長要素4Dに対応し、フランジハブ32が第二実施形態のフランジハブ22に対応するものとしてみると、第一ワイヤY4(
図10)は、第二実施形態に示した第一ワイヤY2(
図6,
図7)と同様のルートで、細長体31を通過するものとなる。したがって、第一ワイヤY4の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Eを、基端側にある細長要素4Fよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる。
【0150】
また、第二ワイヤY5(
図11)が通過するルートと、上記の第一ワイヤY4(
図10)が通過するルートとは、第二平面XYに対して線対称なものとなる。したがって、第二ワイヤY5の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Eを、基端側にある細長要素4Fよりも、方向Zの他方側に大きく屈曲させることができる。
【0151】
また、第三ワイヤY6(
図12)は、第二実施形態に示した第二ワイヤY3(
図6,
図7)と同様のルートで、細長体31を通過するものとなる。したがって、第三ワイヤY6の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Eを、基端側にある細長要素4Fよりも、方向Yの一方側に大きく屈曲させることができる。
【0152】
また、第四ワイヤY7が通過するルート(
図13)と、上記の第三ワイヤY6(
図12)が通過するルートとは、第一平面XZに対して線対称なものとなる。したがって、第三ワイヤY6の一端部及び他端部を細長体31の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Eを、基端側にある細長要素4Fよりも、方向Yの他方側に大きく屈曲させることができる。
【0153】
また第三実施形態の器具30によれば、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過するワイヤY4,Y5の部分が、それぞれ、ハブ本体6に形成された孔27,28に通されて、これら孔27,28の間でハブ本体6の内側を通過するものとされる((
図10,
図11)。このため、第一ワイヤY4と第二ワイヤY5とを、それぞれ第三ワイヤY6及び第四ワイヤY7に接触させないものにすることができる。したがって、第一、第二、第三、第四ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の牽引を円滑に行なうことができる。
【0154】
また第三実施形態の器具30では、先端側に配置される細長要素4Eの硬度を基端側に配置される細長要素4Fの硬度よりも高くすることが好ましい。このようにすれば、細長要素4Eの屈曲を、細長要素4Fの屈曲に比して、より大きく生じさせることができる。
【0155】
【0156】
第四実施形態の器具40は、細長体41(
図17)と、第一ワイヤY8と、第二ワイヤY9と、第三ワイヤY10と、第四ワイヤY11とを備えている(
図18では,第一ワイヤY8の通過ルートを示すべく第一ワイヤY8を着色し、
図19では、第二ワイヤY9の通過ルートを示すべく第二ワイヤY9を着色し、
図20,
図22では、第三ワイヤY10の通過ルートを示すべく第三ワイヤY10を着色し、
図21,
図23では、第四ワイヤY11の通過ルートを示すべく第四ワイヤY7を着色している)。
【0157】
第四実施形態の細長体41は、第一細長要素4G、第二細長要素4H、及び第三細長要素4Iが、この順序で長手方向Xの先端側から連設されたものであり、長手方向Xに隣り合う第一細長要素4Gと第二細長要素4Hとの間に第一フランジハブ42が配置され、長手方向Xに隣り合う第二細長要素4Hと第三細長要素4Iとの間に第二フランジハブ43が配置されている(
図18~
図21では、説明の便宜のために、第二細長要素4Hの途中部分や、第三細長要素4Iの第二フランジハブ43側の部分の図示を省略している)。
【0158】
第一及び第二フランジハブ42,43は、第三実施形態のフランジハブ32(
図9~
図14)と同様、ハブ本体6と、先端フランジ33と、基端フランジ34とを備えるものである。すなわち第一及び第二フランジハブ42,43には、それぞれ、
図14に示した、第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1及び一対の第二貫通孔10A-1,10B-1と、第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2及び一対の第二貫通孔10A-2,10B-2と、第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3及び一対の一対の第四貫通孔26A-3,26B-3と、第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4及び一対の第四貫通孔26A-4,26B-4とが設けられる。第1組の貫通孔9A-1,9B-1,10A-1,10B-1及び第2組の貫通孔9A-2,9B-2,10A-2,10B-2は、第三実施形態で示した条件5を満たすものであり、第3組の貫通孔25A-3,25B-3,26A-3,26B-3及び第4組の貫通孔25A-4,25B-4,26A-4,26B-4は、第三実施形態で示した条件6を満たすものである。
【0159】
第一細長要素4Gの基端面は、第一フランジハブ42の先端フランジ33に接合される。第二細長要素4Hの先端面は、第一フランジハブ42の基端フランジ34に接合される。第二細長要素4Hの基端面は、第二フランジハブ43の先端フランジ33に接合される。第三細長要素4Iの先端面は、第二フランジハブ43の基端フランジ34に接合される。上記の接合は、例えば、第一実施形態で示した「細長要素4A,4Bとフランジハブ5のフランジの接合」と同様の方法で行われる。
【0160】
なお第四実施形態では、第一フランジハブ42の基端フランジ34に形成される一の貫通孔と、第二フランジハブ43の先端フランジ33に形成される一の貫通孔とを、第二細長要素4Hに形成される一のワイヤルーメンに連通させるために、第一フランジハブ42の基端フランジ34と、第二フランジハブ43の先端フランジ33とは、以下の特徴1~4を有するものとされる。
【0161】
特徴1:第一フランジハブ42の基端フランジ34における第二距離L2(
図14(B))と、第二フランジハブ43の先端フランジ33における第七距離L7(
図14(A))とが一致する。
特徴2:第一フランジハブ42の基端フランジ34における第四距離L4(
図14(B))と、第二フランジハブ43の先端フランジ33における第五距離L5(
図14(A))とが一致する。
特徴3:第一フランジハブ42の基端フランジ34における第六距離L6(
図14(B))と、第二フランジハブ43のの先端フランジ33における第三距離L3とが一致する。特徴4:第一フランジハブ42の基端フランジ34における第八距離L8と、第二フランジハブ43の先端フランジ33における第一距離L1とが一致する。
【0162】
また、フランジハブ42,43の製造を容易にする観点から、フランジハブ42,43の構造を同一にすることが好ましい。
【0163】
図22に示すように、第一フランジハブ42に形成される第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1は、第一細長要素4Gを長手方向Xに貫通する一対の第一ワイヤルーメンR17A,R17Bに連通する。
【0164】
図23に示すように、第一フランジハブ42に形成される第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2は、第一細長要素4Gを長手方向Xに貫通する一対の第二ワイヤルーメンR18A,R18Bに連通する。
【0165】
第一フランジハブ42に形成される第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3(
図22,
図23)は、第一細長要素4Gを長手方向Xに貫通する一対の第三ワイヤルーメンR19A,R19B(図示を省略)に連通する。
【0166】
第一フランジハブ42に形成される第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4(
図22,
図23)は、第一細長要素4Gを長手方向Xに貫通する一対の第四ワイヤルーメンR20A,R20B(図示を省略)に連通する。
【0167】
図22に示すように、第一フランジハブ42に形成される第1組の一対の第二貫通孔10A-1,10B-1は、第二細長要素4Hを長手方向Xに貫通する一対の第五ワイヤルーメンR21A,R21Bに連通する。
【0168】
図23に示すように、第一フランジハブ42に形成される第2組の一対の第二貫通孔10A-2,10B-2は、第二細長要素4Hを長手方向Xに貫通する一対の第六ワイヤルーメンR22A,R22Bに連通する。
【0169】
第一フランジハブ42に形成される第3組の一対の第四貫通孔26A-3,26B-3(
図22,
図23)は、第二細長要素4Hを長手方向Xに貫通する一対の第七ワイヤルーメンR23A,R23Bに連通する(R23Aについては
図18参照、R23Bについては
図19参照)。
【0170】
第一フランジハブ42に形成される第4組の一対の第四貫通孔26A-4,26B-4(
図22,
図23)は、第二細長要素4Hを長手方向Xに貫通する一対の第八ワイヤルーメンR24A,R24Bに連通する(R24Aについては
図18参照、R24Bについては
図19参照)。
【0171】
図18に示すように、第二フランジハブ43に形成される第1組の一対の第一貫通孔9A-1,9B-1のうち、一方の第一貫通孔9A-1は、一方の第七ワイヤルーメンR23Aに連通し、他方の第一貫通孔9B-1は、一方の第八ワイヤルーメンR24Aに連通する。
【0172】
図19に示すように、第二フランジハブ43に形成される第2組の一対の第一貫通孔9A-2,9B-2のうち、一方の第一貫通孔9A-2は、他方の第七ワイヤルーメンR23Bに連通し、他方の第一貫通孔9B-2は、他方の第八ワイヤルーメンR24Bに連通する。
【0173】
第二フランジハブ43に形成される第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3のうち、一方の第三貫通孔25A-3は、一方の第五ワイヤルーメンR21A(
図20)に連通し、他方の第三貫通孔25B-3は、一方の第六ワイヤルーメンR22A(
図21)に連通する。
【0174】
第二フランジハブ43に形成される第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4のうち、一方の第三貫通孔25A-4は、他方の第五ワイヤルーメンR21B(
図20)に連通し、他方の第三貫通孔25B-4は、他方の第六ワイヤルーメンR22B(
図21)に連通する。
【0175】
図18に示すように、第二フランジハブ43に形成される第1組の一対の第二貫通孔10A-1,10B-1は、第三細長要素4Iを長手方向Xに貫通する一対の第九ワイヤルーメンR25A,R25Bに連通する。
【0176】
図19に示すように、第二フランジハブ43に形成される第2組の一対の第二貫通孔10A-2,10B-2は、第三細長要素4Iを長手方向Xに貫通する一対の第十ワイヤルーメンR26A,R26Bに連通する。
【0177】
図20に示すように、第二フランジハブ43に形成される第3組の一対の第四貫通孔26A-3,26B-3は、第三細長要素4Iを長手方向Xに貫通する一対の第十一ワイヤルーメンR27A,R27Bに連通する。
【0178】
図21に示すように、第二フランジハブ43に形成される第4組の一対の第四貫通孔26A-4,26B-4は、第三細長要素4Iを長手方向Xに貫通する一対の第十二ワイヤルーメンR28A,R28Bに連通する。
【0179】
図18,
図22,
図23に示すように、第一ワイヤY8は、一方の第九ワイヤルーメンR25A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第1組の一方の第二貫通孔10A-1、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第七ワイヤルーメンR23A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第3組の一方の第四貫通孔26A-3(
図22,
図23)を順次通過して第一フランジハブ42の基端フランジ34から延び出た後、屈曲して、第一フランジハブ42に形成された第4組の一方の第四貫通孔26A-4(
図22,
図23).これと連通する一方の第八ワイヤルーメンR24A(
図18)、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第1組の他方の第一貫通孔9B-1、第二フランジハブ43の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第二フランジハブ43に形成された第1組の他方の第二貫通孔10B-1、これと連通する他方の第九ワイヤルーメンR25Bを順次通過する。
【0180】
図19,
図22,
図23に示すように、第二ワイヤY9は、一方の第十ワイヤルーメンR26A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第2組の一方の第二貫通孔10A-2、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する他方の第七ワイヤルーメンR23B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第3組の他方の第四貫通孔26B-3(
図22,
図23)を順次通過して第一フランジハブ42の基端フランジ34から延び出た後、屈曲して、第一フランジハブ42に形成された第4組の他方の第四貫通孔26B-4(
図22,
図23)、これと連通する他方の第八ワイヤルーメンR24B(
図19)、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第2組の他方の第一貫通孔9B-2、第二フランジハブ43の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第二フランジハブ43に形成された第2組の他方の第二貫通孔10B-2、これと連通する他方の第十ワイヤルーメンR26Bを順次通過する。
【0181】
図20,
図22に示すように、第三ワイヤY10は、一方の第十一ワイヤルーメンR27A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第3組の一方の第四貫通孔26A-3、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第3組の一方の第三貫通孔25A-3、これと連通する一方の第五ワイヤルーメンR21A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第1組の一方の第二貫通孔10A-1(
図22)、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第一フランジハブ42に形成された第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第一ワイヤルーメンR17Aを順次通過して第一細長要素4Gの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第一ワイヤルーメンR17B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第1組の他方の第一貫通孔9B-1、第一フランジハブ42の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第一フランジハブ42に形成された第1組の他方の第二貫通孔10B-1、これと連通する他方の第五ワイヤルーメンR21B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第4組の一方の第三貫通孔25A-4(
図20)、第二フランジハブ43の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第二フランジハブ43に形成された第3組の他方の第四貫通孔26B-3、これと連通する他方の第十一ワイヤルーメンR27Bを順次通過する。
【0182】
図21,
図23に示すように、第四ワイヤY11は、一方の第十二ワイヤルーメンR28A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第4組の一方の第四貫通孔26A-4、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第3組の他方の第三貫通孔25B-3、これと連通する一方の第六ワイヤルーメンR22A(
図23)、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第2組の一方の第二貫通孔10A-2、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第一フランジハブ42に形成された第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する一方の第二ワイヤルーメンR18Aを順次通過して第一細長要素4Gの先端から延び出た後、屈曲して、他方の第二ワイヤルーメンR18B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第2組の他方の第一貫通孔9B-2、第一フランジハブ42の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第一フランジハブ42に形成された第2組の他方の第二貫通孔10B-2、これと連通する他方の第六ワイヤルーメンR22B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第4組の他方の第三貫通孔25B-4(
図21)、第二フランジハブ43の先端フランジ33と基端フランジ34との間、第二フランジハブ43に形成された第4組の他方の第四貫通孔26B-4、これと連通する他方の第十二ワイヤルーメンR28Bを順次通過する。
【0183】
細長体41の基端側では、第一ワイヤY8の一端部が一方の第九ワイヤルーメンR25A(
図18)から延び出て、第一ワイヤY8の他端部が他方の第九ワイヤルーメンR25B(
図18)から延び出て、第二ワイヤY9の一端部が一方の第十ワイヤルーメンR26A(
図19)から延び出て、第二ワイヤY9の他端部が他方の第十ワイヤルーメンR26B(
図19)から延び出て、第三ワイヤY10の一端部が一方の第十一ワイヤルーメンR27A(
図20)から延び出て、第三ワイヤY10の他端部が他方の第十一ワイヤルーメンR27B(
図20)から延び出て、第四ワイヤY11の一端部が一方の第十二ワイヤルーメンR28A(
図21)から延び出て、第四ワイヤY11の他端部が他方の第十二ワイヤルーメンR28B(
図21)から延び出ている。
【0184】
そして図示しない牽引機によって、第一ワイヤY8の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに牽引することや、第二ワイヤY9の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに牽引することや、第三ワイヤY10の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに牽引することや、第四ワイヤY11の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに牽引することが可能とされる。
【0185】
また第四実施形態では、第二フランジハブ43の基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第三ワイヤY10の部分や、第二フランジハブ43の基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第四ワイヤY11の部分が、それぞれ、第二フランジハブ43のハブ本体6に形成された孔27,28に通されて、これら孔27,28の間でハブ本体6の内側を通過するものとされる(
図20,
図21参照)。
【0186】
また第四実施形態では、第一フランジハブ42に形成される第3組の一対の第三貫通孔25A-3,25B-3(
図22,
図23)や、これらに連通する第一細長要素4Gの第三ワイヤルーメンR19A,R19B(図示せず)や、第一フランジハブ42に形成される第4組の一対の第三貫通孔25A-4,25B-4(
図22,
図23)や、これらに連通する第一細長要素4Gの第四ワイヤルーメンR20A,R20B(図示せず)に、ワイヤYが通されないが、これら貫通孔25A-3,25B-3,25A-4,25B-4及びワイヤルーメンR19A,R19B,R20A,R20Bを形成することで、第一フランジハブ42の構造を第二フランジハブ43の構造と同一にし、第一細長要素4Gの横断面を、第二、第三細長要素4H,4Iの横断面を同一にすることができる。このため、フランジハブ42,43や細長要素4G,4H,4Iの製造を容易にすることができる。
【0187】
第四実施形態に係る器具40は、「2つの細長要素4H,4Iの間に第二フランジハブ43が配置された第一の構造体」によって「第一フランジハブ42よりも基端側の範囲」が構成され、「2つの細長要素4G,4Hの間に第一フランジハブ42が配置された第二の構造体」によって「第二フランジハブ43よりも先端側の範囲」が構成されたものとみなすことができる。
【0188】
そして上記の第一の構造体において、細長要素4Hが第三実施形態の細長要素4E(
図9~
図13)に対応し、細長要素4Iが第三実施形態の細長要素4F(
図9~
図13)に対応するものとしてみると、第一ワイヤY8(
図18,
図22,
図23)は、第三実施形態に示した第一ワイヤY4(
図9,
図10)と同様のルートで、第一の構造体(2つの細長要素4H,4Iの間に第二フランジハブ43が配置された構造体)を通過するものである。したがって第一の構造体体は、第一ワイヤY8の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Hを、基端側にある細長要素4Iよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることが可能なものといえる。
【0189】
さらに第二ワイヤY9(
図19,
図22,
図23)は、第三実施形態に示した第二ワイヤY5(
図9,
図11)と同様のルートで、第一の構造体(2つの細長要素4H,4Iの間に第二フランジハブ43が配置された構造体)を通過するものである。したがって第一の構造体は、第二ワイヤY9の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Hを、基端側にある細長要素4Iよりも、方向Zの他方側に大きく屈曲させることが可能なものといえる。
【0190】
また上記の第二の構造体において、細長要素4Gが第三実施形態の細長要素4E(
図9~
図13)に対応し、細長要素4Hが第三実施形態の細長要素4F(
図9~
図13)に対応するものとしてみると、第三ワイヤY10(
図20,
図22)は、第三実施形態に示した第一ワイヤY4(
図9,
図10)と同様のルートで、第二の構造体(2つの細長要素4G,4Hの間に第一フランジハブ42が配置された構造体)を通過するものである。したがって第二の構造体は、第三ワイヤY10の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Gを、基端側にある細長要素4Hよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることが可能なものといえる。
【0191】
そして第三ワイヤY10が細長要素4Iを通過するルート(
図20)をみると、第三ワイヤY10の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR27A及び第四貫通孔26A-3)と第二平面XYとの間の距離と、第三ワイヤY10の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR27B及び第四貫通孔26B-3)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも、第六距離L6(
図14(B))とされる。このため細長要素4Iでは、第三ワイヤY10の一端部の牽引によって生じる方向Zの一方側(
図14(B)の上側)への曲げモーメントと、第三ワイヤY10の他端部の牽引によって生じる方向Zの他方側(
図14(B)の下側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0192】
さらに細長要素4Iでは、第三ワイヤY10の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR27A及び第四貫通孔26A-3)と第一平面XZとの間の距離と、第三ワイヤY10の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR27B及び第四貫通孔26B-3)ワイヤルーメン及び第二貫通孔10A-1,10B-1)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも短い第八距離L8(
図14(B))とされる。このため細長要素4Iでは、第三ワイヤY10の一端部及び他端部の牽引によって生じる方向Yへの曲げモーメントを小さく抑えることができる。
【0193】
また上記の第二の構造体において、細長要素4Gが第三実施形態の細長要素4E
図9~
図13)に対応し、細長要素4Hが第三実施形態の細長要素4F(
図9~
図13)に対応するものとしてみると、第四ワイヤY11(
図21,
図23)は、第三実施形態に示した第二ワイヤY5(
図9,
図11)と同様のルートで、第二の構造体(2つの細長要素4G,4Hの間に第一フランジハブ42が配置された構造体)を通過するものである。したがって第二の構造体は、第四ワイヤY11の一端部及び他端部を細長体41の長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Gを、基端側にある細長要素4Hよりも、方向Zの他方側に大きく屈曲させることが可能なものといえる。
【0194】
そして第四ワイヤY11が、細長要素4Iを通過するルート(
図21)をみると、第四ワイヤY11の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR28A及び第四貫通孔26A-4)と第二平面XYとの間の距離と、第四ワイヤY11の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR28B及び第四貫通孔26B-4)と第二平面XYとの間の距離とが、いずれも、第六距離L6(
図14(B))とされる。このため細長要素4Iでは、第四ワイヤY11の一端部の牽引によって生じる方向Zの一方側(
図14(B)の上側)への曲げモーメントと、第四ワイヤY11の他端部の牽引によって生じる方向Zの他方側(
図14(B)の下側)への曲げモーメントとを相殺できる。
【0195】
さらに細長要素4Iでは、第四ワイヤY11の一端側の通過ルート(ワイヤルーメンR28A及び第四貫通孔26A-4)と第一平面XZとの間の距離と、第四ワイヤY11の他端側の通過ルート(ワイヤルーメンR28B及び第四貫通孔26B-4)と第一平面XZとの間の距離とが、いずれも短い第八距離L8(
図14(B))とされる。このため細長要素4Iでは、第四ワイヤY11の一端部及び他端部の牽引によって生じる方向Yへの曲げモーメントを小さく抑えることができる。
【0196】
上述の理由から第四実施形態の器具40によれば、第一ワイヤY8の一端部及び他端部を長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Hを、基端側にある細長要素4Iよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができ、第二ワイヤY9の一端部及び他端部を長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Hを、基端側にある細長要素4Iよりも、方向Zの他方側に大きく屈曲させることができ、第三ワイヤY10の一端部及び他端部を長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Gを、基端側にある細長要素4H,4Iよりも、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができ、第四ワイヤY11の一端部及び他端部を長手方向Xに同時に牽引することで、先端側にある細長要素4Gを、基端側にある細長要素4H,4Iよりも、方向Zの他方側に大きく屈曲させることができる。
【0197】
そして第四実施形態の器具40は、上記の特徴を有することで、第一ワイヤY8の一端部及び他端部と、第三ワイヤY10の一端部及び他端部とを、長手方向Xに同時に牽引することで、第二フランジハブ43よりも先端側の範囲(細長要素4H、第一フランジハブ42、細長要素4G)を、方向Zの一方側に大きく屈曲させることができる(
図15の上側参照)。また、第二ワイヤY9の一端部及び他端部と、第四ワイヤY11の一端部及び他端部とを、長手方向Xに同時に牽引することで、第二フランジハブ43よりも先端側の範囲(細長要素4H、第一フランジハブ42、細長要素4G)を、方向Zの他方側に大きく屈曲させることができる(
図15の下側参照)。
【0198】
さらに第四実施形態の器具40によれば、第一ワイヤY8の一端部及び他端部と第四ワイヤY11の一端部及び他端部とを長手方向Xに同時に牽引することや、第二ワイヤY8の一端部及び他端部と第三ワイヤY11の一端部及び他端部とを長手方向Xに同時に牽引することによって、
図16に示すように、第二フランジハブ43よりも先端側の範囲(細長要素4G・第一フランジハブ42・細長要素4H)を、S字状に屈曲させることができる(
図16の上側に示すS字状の屈曲は、第一ワイヤY8の一端部及び他端部と第四ワイヤY11の一端部及び他端部とを長手方向Xに同時に牽引することで生じる。
図16の下側に示すS字状の屈曲は、第二ワイヤY8の一端部及び他端部と第三ワイヤY11の一端部及び他端部とを同時に牽引することで生じる)。
【0199】
また第三実施形態の器具30では、細長要素4Gの硬度を細長要素4Hの硬度よりも高くし、細長要素4Hの硬度を細長要素4Iの硬度よりも高くすることが好ましい。このようにすれば、細長要素4Gの屈曲を、細長要素4Hの屈曲に比して、より大きく生じさせ、細長要素4Hの屈曲を、細長要素4Iの屈曲に比して、より大きく生じさせることができる。
【0200】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々改変することができる。
【0201】
例えば、第二~第四実施形態の器具20,30,40(
図6,
図9,
図15,
図16)では、第一実施形態の器具1(
図1)と同様、細長体を構成する複数の細長要素4のうち、最も先端側に配置される一の細長要素4の先端に、先端チップ13或いは板材17が取り付けられてもよい(
図6,
図9は、第二,第三実施形態の器具20,30に先端チップ13を設ける例を示し、
図15及び
図16は、第三実施形態の器具40に板材17を設ける例を示す)。
【0202】
上記最も先端側に配置される一の細長要素4に、先端チップ13が取り付けられる場合には、先端チップ13のチップ貫通孔16は、上記一の細長要素4に形成されるワイヤルーメンRの各々に対して形成されて、各チップ貫通孔16が対応するワイヤルーメンRと連通するように、先端チップ13の基端面が、上記一の細長要素4の先端面に接合される。そして、前記一の細長要素4に形成された2つのワイヤルーメンR,Rに通されるワイヤYは、一方のワイヤルーメンR、これと連通する一のチップ貫通孔16を順次通過した後、屈曲して、二のチップ貫通孔16、これと連通する他方のワイヤルーメンRを順次通過する。
【0203】
また上記最も先端側に配置される一の細長要素4に、板材17が取り付けられる場合には、当該板材17の板材貫通孔18は、上記一の細長要素4に形成されるワイヤルーメンRの各々に対して形成されて、各板材貫通孔18が対応するワイヤルーメンRと連通するように、板材17の基端面が、上記一の細長要素4の先端面に接合される。そして、前記一の細長要素4に形成された2つのワイヤルーメンRに通されるワイヤYは、一方のワイヤルーメンR、これと連通する一の板材貫通孔18を順次通過した後、屈曲して、二の板材貫通孔18、これと連通する他方のワイヤルーメンRを順次通過する。
【0204】
以上のようにすれば、上記一の細長要素4の先端面にワイヤYの屈曲部が接触することを回避できるので、ワイヤY1の屈曲部から加えられる牽引力によって、上記一の細長要素4が損傷することを回避できる。
【0205】
また第三実施形態の器具30(
図9~
図14)では、ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の牽引によるプリロード(preload)を細長体31に加えることによって、細長体31を構成する部材同士を接合してもよい。
【0206】
上記のプリロードは、例えば細長部材4Fの基端を位置決めした状態で、ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の各々の一端部及び他端部を同一の力で牽引することで細長体31に圧縮力を加えるものである。第三実施形態の器具30では、第一ワイヤY4(
図10)が通過するルートと、第二ワイヤY5(
図11)が通過するルートとが、第二平面XYに対して線対称になり、第三ワイヤY6(
図12)が通過するルートと、第四ワイヤY7が通過するルート(
図13)とが第一平面XZに対して線対称になるため、上記のプリロードを行なうことで、接着剤の使用・熱融着・溶接を要せず、先端チップ13の基端面或いは板材17の基端面を細長要素4Eの先端面に隙間無く接合させ、細長要素4Eの基端面をフランジハブ32の先端フランジ33に隙間無く接合させ、フランジハブ32の基端フランジ34を細長要素4Fの先端面に隙間無く接合させることができる。なお細長体31を屈曲させる際には、ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の一端部及び他端部を牽引する力が、上記のプリロードと細長体31の屈曲とを生じさせるために必要な力に調整される。例えば、ワイヤY4の一端部及び他端部をa+bNの力で牽引し、ワイヤY5,Y6,Y7の一端部及び他端部をaNの力で牽引すれば、ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の牽引力に含まれるaNの力で上記のプリロードを行い、ワイヤY4の牽引力に含まれるbNの力で、先端側にある細長要素4Eを、方向Zの一方側に屈曲させることができる。
【0207】
また第四実施形態の器具40(
図15~
図23)においても、ワイヤY8,Y9,Y10,Y11の牽引によるプリロードを細長体31に加えることによって、細長体41を構成する部材同士を接合してもよい。
【0208】
上記のプリロードは、例えば細長部材4Iの基端を位置決めした状態で、ワイヤY8,Y9,Y10,Y11の各々の一端部及び他端部を同一の力で牽引することで細長体41に圧縮力を加えるものである。第四実施形態の器具30では、第一の構造体(2つの細長要素4H,4Iの間に第二フランジハブ43が配置された構造体)において、第一ワイヤY8が通過するルート(
図18)と、第二ワイヤY9が通過するルート(
図19)とが、第二平面XYに対して線対称になり、第三ワイヤY10が通過するルート(
図20)と、第四ワイヤY11が通過するルート(
図21)とが、第一平面XZに対して線対称になる。そして第二の構造体(2つの細長要素4G,4Hの間に第一フランジハブ42が配置された構造体)において、第三ワイヤY10が通過するルート(
図22)と、第四ワイヤY11が通過するルート(
図23)とが、第二平面XYに対して線対称になる。このため、上記のプリロードを行なうことで、接着剤の使用・熱融着・溶接を要せず、先端チップ13の基端面或いは板材17の基端面を細長要素4Gの先端面に隙間無く接合させ、細長要素4Gの基端面を第一フランジハブ42の先端フランジ33に隙間無く接合させ、第一フランジハブ42の基端フランジ34を細長要素4Hの先端面に隙間無く接合させ、細長要素4Hの基端面を第二フランジハブ43の先端フランジ34に隙間無く接合させ、第二フランジハブ43の基端フランジ34を細長要素4Iの先端面に隙間無く接合させることができる。なお細長体41を屈曲させる際には、ワイヤY8,Y9,Y10,Y11の一端部及び他端部を牽引する力が、上記のプリロードと細長体41の屈曲とを生じさせるために必要な力に調整される。
【0209】
なお、第一~第四実施形態の器具1,20,30,40(
図1,
図6,
図9,
図15,
図16)では、必ずしも、接着剤の使用、熱融着、溶接、或いはプリロードによって、細長体2,21,31,41を構成する部材同士を予め接合する必要はない。細長体2,21,31,41を屈曲させる以前に、細長体2,21,31,41を構成する部材同士の間に隙間が空いていたとしても、ワイヤYを牽引することで部材同士を接触させて、細長体2,21,31,41を屈曲させることが可能である。
【0210】
また第一実施形態のフランジハブ5(
図1,
図2)においても、第二、第三、第四実施形態のフランジハブ22,32,42,43(
図6,
図9,
図16等)と同様、ハブ本体6の先端側に、ハブ本体6の筒壁を厚さ方向に貫通する孔27が形成され、ハブ本体6の基端側に、ハブ本体6の筒壁を厚さ方向に貫通する孔28が形成されてもよい。この場合、ワイヤY1(
図1,
図2)を、ハブ本体6の孔27,28に通して、これら孔27,28の間でワイヤY1がハブ本体6の内側を通過するものとされる。このようにすれば、ワイヤY1が露出する範囲を小さく抑えることができるので、ワイヤY1が他の物体と接触することで損傷することを回避できる。
【0211】
また第二、第三、第四実施形態のフランジハブ22,32,42,43(
図6,
図9,
図17等)のハブ本体6には、上記の孔27,28は必ずしも形成されなくてもよい。この場合、第二実施形態のフランジハブ22(
図6)では、基端フランジ24と先端フランジ23との間を通過する第一,第二ワイヤY2,Y3の部分が、それぞれ、ハブ本体6の外側を通過するものとされる。また第三実施形態のフランジハブ32(
図9,
図10~
図13)では、基端フランジ34と先端フランジ33との間を通過する第一,第二,第三,第四ワイヤY4,Y5,Y6,Y7の部分が、それぞれ、ハブ本体6の外側を通過するものとされる。また第四実施形態の第二フランジハブ43(
図15~
図21)では、基端フランジ34と先端フランジ33との間を通過する第一,第二,第三,第四ワイヤY8,Y9,Y10,Y11の部分が、それぞれ、ハブ本体6の外側を通過するものとされる。
【0212】
また第一、第二、第三、第四実施形態では、器具1,20,30,40(
図1,
図6,
図9,
図15,
図16)が備える一のワイヤを、先端側に延ばした後、屈曲させて、基端側に延ばし、当該一のワイヤの一端部及び他端部を牽引可能とする例を示したが、その代わりに、2本のワイヤを、それぞれ先端側に延ばして、2本のワイヤの一端部を溶接或いは締結等によって細長要素の先端或いはフランジハブの基端フランジに固定し、2本のワイヤの他端部を牽引可能としてもよい。この場合、第一~第四実施形態の器具1,20,30,40(
図1,
図6,
図9,
図15,
図16)は、以下のように変更される。
【0213】
<第一実施形態の器具1の変更例>
第一実施形態の器具1は、細長体2(
図1,
図2)と、第一ワイヤと、第二ワイヤとを備えるものとされる(第一ワイヤ及び第二ワイヤは、ワイヤY1(
図1等)の代わりに設けられる)。
第一ワイヤは、細長要素4Bに形成されるワイヤルーメンR3、これと連通する一方の第二貫通孔10A、フランジハブ5の基端フランジ8と先端フランジ7との間、一方の第一貫通孔9A、これと連通する細長要素4Aに形成される二のワイヤルーメンR1を順次通過して、ワイヤルーメンR1から延び出た第一ワイヤの一端部が細長要素4Aの先端に固定される。
第二ワイヤは、細長要素4Bに形成されるワイヤルーメンR4、これと連通する他方の第二貫通孔10B、フランジハブ5の基端フランジ8と先端フランジ7との間、他方の第一貫通孔9B、これと連通する細長要素4Aに形成されるワイヤルーメンR2を順次通過して、ワイヤルーメンR2から延び出た第二ワイヤの一端部が細長要素4Aの先端に溶接や締結等により固定される。
細長体2の基端側では、第一ワイヤの他端部がワイヤルーメンR3から延び出されて、第二ワイヤの他端部がワイヤルーメンR4から延び出されて、第一ワイヤの他端部及び第二ワイヤの他端部が、それぞれ細長体2の長手方向Xに牽引可能とされる。
【0214】
<第二実施形態の器具20の変更例>
第二実施形態の器具20は、細長体21(
図6,
図7)と、第一ワイヤと、第二ワイヤと、第三ワイヤと、第四ワイヤとを備えるものとされる(第一ワイヤ及び第二ワイヤは、ワイヤY2(
図6等)の代わりに設けられ、第三ワイヤ及び第四ワイヤは、ワイヤY3(
図6等)の代わりに設けられる)。
第一ワイヤは、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR3、これと連通する一方の第二貫通孔10A、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、一方の第一貫通孔9A、これと連通する細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR1を順次通過して、ワイヤルーメンR1から延び出た第一ワイヤの一端部が細長要素4Cの先端に固定される。
第二ワイヤは、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR4、これと連通する他方の第二貫通孔10B、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、他方の第一貫通孔9B、これと連通する細長要素4Cに形成される二のワイヤルーメンR2を順次通過して、ワイヤルーメンR2から延び出た第二ワイヤの一端部が細長要素4Cの先端に固定される。
第三ワイヤは、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR7、これと連通する一方の第四貫通孔26A、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、一方の第三貫通孔25A、これと連通する細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR5を順次通過して、ワイヤルーメンR5から延び出た第三ワイヤの一端部が細長要素4Cの先端に固定される。
第四ワイヤは、細長要素4Dに形成されるワイヤルーメンR8、これと連通する他方の第四貫通孔26B、フランジハブ22の基端フランジ24と先端フランジ23との間、他方の第三貫通孔25B、これと連通する細長要素4Cに形成されるワイヤルーメンR6を順次通過して、ワイヤルーメンR6から延び出た第四ワイヤの一端部が細長要素4Cの先端に固定される。
細長体21の基端側では、第一ワイヤの他端部がワイヤルーメンR3から延び出て、第二ワイヤの他端部がワイヤルーメンR4から延び出て、第三ワイヤの他端部がワイヤルーメンR7から延び出て、第四ワイヤの他端部がワイヤルーメンR8から延び出されて、第一ワイヤの他端部、第二ワイヤの他端部、第三ワイヤの他端部、及び第四ワイヤの他端部が、それぞれ細長体21の長手方向Xに牽引可能とされる。
なお、第三貫通孔25A,25Bと第四貫通孔26A,26Bの組が複数組形成される場合には、貫通孔9A,10Aと、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートや、貫通孔9B,10Bと、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートや、貫通孔25A,26Aの一組と、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートや、貫通孔25B,26Bの一組と、これらに連通するワイヤルーメンRとによって構成されるルートに、それぞれワイヤYが通されて、各ワイヤYの一端部が細長要素4Cの先端に固定され、各ワイヤYの他端部が牽引可能とされる。
【0215】
<第三実施形態の器具30の変更例>
第三実施形態の器具30は、細長体31(
図10~
図13)と、第一ワイヤと、第二ワイヤと、第三ワイヤと、第四ワイヤと、第五ワイヤと、第六ワイヤと、第七ワイヤと、第八ワイヤとを備えるものとされる(第一ワイヤ及び第二ワイヤは、ワイヤY4(
図9等)の代わりに設けられ、第三ワイヤ及び第四ワイヤは、ワイヤY5(
図6等)の代わりに設けられ、第五ワイヤ及び第六ワイヤは、ワイヤY6(
図9等)の代わりに設けられ、第七ワイヤ及び第八ワイヤは、ワイヤY7(
図6等)の代わりに設けられる)。
第一ワイヤは、一方の第五ワイヤルーメンR13A、これと連通する第1組の一方の第二貫通孔10A-1、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第一ワイヤルーメンR9Aを順次通過して、当該第一ワイヤルーメンR9Aから延び出た第一ワイヤの一端部が、細長要素4Eの先端に固定される。
第二ワイヤは、他方の第五ワイヤルーメンR13B、これと連通する第1組の他方の第二貫通孔10B-1、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第1組の他方の第一貫通孔9B-1、これと連通する他方の第一ワイヤルーメンR9Bを順次通過して、当該第一ワイヤルーメンR9Bから延び出た第二ワイヤの一端部が、細長要素4Eの先端に固定される。
第三ワイヤは、一方の第六ワイヤルーメンR14A、これと連通する第2組の一方の第二貫通孔10A-2、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する一方の第二ワイヤルーメンR10Aを順次通過して、第二ワイヤルーメンR10Aから延び出た第三ワイヤY5の一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
第四ワイヤは、他方の第六ワイヤルーメンR14B、これと連通する第2組の他方の第二貫通孔10B-2、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第2組の他方の第一貫通孔9B-2、これと連通する他方の第二ワイヤルーメンR10Bを順次通過して、第二ワイヤルーメンR10Bから延び出た第三ワイヤY5の一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
第五ワイヤは、一方の第七ワイヤルーメンR15A、これと連通する第3組の一方の第四貫通孔26A-3、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第3組の一方の第三貫通孔25A-3、これと連通する一方の第三ワイヤルーメンR11Aを順次通過して、ワイヤルーメンR11Aから延び出た第五ワイヤの一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
第六ワイヤは、他方の第七ワイヤルーメンR15B、これと連通する第3組の他方の第四貫通孔26B-3、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第3組の他方の第三貫通孔25B-3、これと連通する他方の第三ワイヤルーメンR11Bを順次通過して、ワイヤルーメンR11Bから延び出た第六ワイヤの一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
第七ワイヤY7は、一方の第八ワイヤルーメンR16A、これと連通する第4組の一方の第四貫通孔26A-4、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第4組の一方の第三貫通孔25A-4、これと連通する一方の第四ワイヤルーメンR12Aを順次通過して、第四ワイヤルーメンR12Aから延び出た第四ワイヤの一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
第八ワイヤY7は、他方の第八ワイヤルーメンR16B、これと連通する第4組の他方の第四貫通孔26B-4、フランジハブ32の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第4組の他方の第三貫通孔25B-4、これと連通する他方の第四ワイヤルーメンR12Bを順次通過して、第四ワイヤルーメンR12Bから延び出た第八ワイヤの一端部が細長要素4Eの先端に固定される。
細長体31の基端側では、第一ワイヤの他端部が一方の第五ワイヤルーメンR13Aから延び出され、第二ワイヤの他端部が他方の第五ワイヤルーメンR13Bから延び出され、第三ワイヤの他端部が一方の第六ワイヤルーメンR14Aから延び出され、第四ワイヤの他端部が他方の第六ワイヤルーメンR14Bから延び出され、第五ワイヤの他端部が一方の第七ワイヤルーメンR15Aから延び出され、第六ワイヤの他端部が他方の第七ワイヤルーメンR15Bから延び出され、第七ワイヤの他端部が一方の第八ワイヤルーメンR16Aから延び出され、第八ワイヤの他端部が他方の第八ワイヤルーメンR16Bから延び出される。そして第一ワイヤの他端部、第二ワイヤの他端部、第三ワイヤの他端部、第四ワイヤの他端部、第五ワイヤの他端部、第六ワイヤの他端部、第七ワイヤの他端部、及び第八ワイヤの他端部が、それぞれ細長体31の長手方向Xに牽引可能とされる。
【0216】
<第四実施形態の器具40の変更例>
第四実施形態の器具40は、細長体41(
図17)と、第一ワイヤと、第二ワイヤと、第三ワイヤと、第四ワイヤと、第五ワイヤと、第六ワイヤと、第七ワイヤと、第八ワイヤとを備えるものとされる(第一ワイヤ及び第二ワイヤは、ワイヤY8(
図15等)の代わりに設けられ、第三ワイヤ及び第四ワイヤは、ワイヤY9(
図15等)の代わりに設けられ、第五ワイヤ及び第六ワイヤは、ワイヤY10(
図15等)の代わりに設けられ、第七ワイヤ及び第八ワイヤは、ワイヤY11(
図15等)の代わりに設けられる)。
第一ワイヤは、一方の第九ワイヤルーメンR25A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第1組の一方の第二貫通孔10A-1、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第七ワイヤルーメンR23A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第3組の一方の第四貫通孔26A-3を順次通過して、当該第四貫通孔26A-3から延び出た第一ワイヤの一端部が、第一フランジハブ42の基端フランジ34に固定される。
第二ワイヤは、他方の第九ワイヤルーメンR25B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第1組の他方の第二貫通孔10B-1、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第1組の他方の第一貫通孔9B-1、これと連通する一方の第八ワイヤルーメンR24A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第4組の一方の第四貫通孔26A-4を順次通過して、当該第四貫通孔26A-4から延び出た第二ワイヤの一端部が、第一フランジハブ42の基端フランジ34に固定される。
第三ワイヤは、一方の第十ワイヤルーメンR26A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第2組の一方の第二貫通孔10A-2、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する他方の第七ワイヤルーメンR23B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第3組の他方の第四貫通孔26B-3を順次通過して、当該第四貫通孔26B-3から延び出た第三ワイヤの一端部が第一フランジ42の基端フランジ34に固定される。
第四ワイヤは、他方の第十ワイヤルーメンR26B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第2組の他方の第二貫通孔10B-2、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第2組の他方の第一貫通孔9B-2、これと連通する他方の第八ワイヤルーメンR24B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第4組の他方の第四貫通孔26B-4を順次通過して、当該第四貫通孔26B-4から延び出た第四ワイヤの一端部が第一フランジ42の基端フランジ34に固定される。
第五ワイヤは、一方の第十一ワイヤルーメンR27A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第3組の一方の第四貫通孔26A-3、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第3組の一方の第三貫通孔25A-3、これと連通する一方の第五ワイヤルーメンR21A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第1組の一方の第二貫通孔10A-1、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第一フランジハブ42に形成された第1組の一方の第一貫通孔9A-1、これと連通する一方の第一ワイヤルーメンR17Aを順次通過して、第一ワイヤルーメンR17Aから延び出た第五ワイヤの一端部が、第一細長要素4Gの先端に固定される。
第六ワイヤは、他方の第十一ワイヤルーメンR27B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第3組の他方の第四貫通孔26B-3、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第4組の一方の第三貫通孔25A-4、これと連通する他方の第五ワイヤルーメンR21B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第1組の他方の第二貫通孔10B-1、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間の、第一フランジハブ42に形成された第1組の他方の第一貫通孔9B-1、これと連通する他方の第一ワイヤルーメンR17Bを順次通過して、当該第一ワイヤルーメンR17Bから延び出た第六ワイヤの一端部が、第一細長要素4Gの先端に固定される。
第七ワイヤは、一方の第十二ワイヤルーメンR28A、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第4組の一方の第四貫通孔26A-4、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第3組の他方の第三貫通孔25B-3、これと連通する一方の第六ワイヤルーメンR22A、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第2組の一方の第二貫通孔10A-2、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第一フランジハブ42に形成された第2組の一方の第一貫通孔9A-2、これと連通する一方の第二ワイヤルーメンR18Aを順次通過して、当該第二ワイヤルーメンR18Aから延び出た第七ワイヤの一端部が、第一細長要素4Gの先端に固定される。
第八ワイヤは、他方の第十二ワイヤルーメンR28B、これと連通する第二フランジハブ43に形成された第4組の他方の第四貫通孔26B-4、第二フランジハブ43の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第二フランジハブ43に形成された第4組の他方の第三貫通孔25B-4、これと連通する他方の第六ワイヤルーメンR22B、これと連通する第一フランジハブ42に形成された第2組の他方の第二貫通孔10B-2、第一フランジハブ42の基端フランジ34と先端フランジ33との間、第一フランジハブ42に形成された第2組の他方の第一貫通孔9B-2、これと連通する他方の第二ワイヤルーメンR18Bを順次通過して、当該第二ワイヤルーメンR18Bから延び出た第八ワイヤの一端部が、第一細長要素4Gの先端に固定される。
細長体41の基端側では、第一ワイヤの他端部が一方の第九ワイヤルーメンR25Aから延び出され、第二ワイヤの他端部が他方の第九ワイヤルーメンR25Bから延び出され、第三ワイヤの他端部が一方の第十ワイヤルーメンR26Aから延び出され、第四ワイヤの他端部が他方の第十ワイヤルーメンR26Bから延び出され、第五ワイヤの他端部が一方の第十一ワイヤルーメンR27Aから延び出され、第六ワイヤの他端部が他方の第十一ワイヤルーメンR27Bから延び出され、第七ワイヤの他端部が一方の第十二ワイヤルーメンR28Aから延び出され、第八ワイヤの他端部が他方の第十二ワイヤルーメンR28Bから延び出される。
そして第一ワイヤの他端部、第二ワイヤの他端部、第三ワイヤの他端部、第四ワイヤの他端部、第五ワイヤの他端部、第六ワイヤの他端部、第七ワイヤの他端部、及び第八ワイヤの他端部が、それぞれ細長体41の長手方向Xに牽引可能とされる。
【0217】
また第一実施形態の器具1(
図1,
図2)では、細長要素4Aの空洞40と、ハブ本体6の空洞60と、細長要素4Bの空洞40とが連通することで、細長体2のメインルーメン40,60,40が構成される。また第二実施形態の器具20(
図6,
図7)では、細長要素4Cの空洞40と、ハブ本体6の空洞60と、細長要素4Dの空洞40とが連通することで、細長体21のメインルーメン40,60,40が構成される。また第三実施形態の器具30(
図9~
図13)では、細長要素4Eの空洞40(
図10)と、ハブ本体6の空洞60(
図10)と、細長要素4Bの空洞40(
図10)とが連通することで、細長体31のメインルーメン40,60,40が構成される。また第四実施形態の器具40(
図15~
図23)では、細長要素4Gの空洞40(
図22)と、第1フランジハブ42のハブ本体6の空洞60(
図22)と、細長要素4Hの空洞40(
図18)と、第2フランジハブ43のハブ本体6の空洞60(
図18)と、細長要素4Iの空洞40(
図18)とが連通することで、細長体41(
図17)のメインルーメン40,60,40,60,40が構成される。
【0218】
第一~第四実施形態の器具1,20,30,40が可動型カニューレに適用される場合には、細長体2,21,31,41は、ワイヤYの牽引による屈曲に加えて、長手方向Xへの進退及び中心線回りの回転が可能とされる。そして上記の細長体2,21,31,41のメインルーメンには、図示しないガイドワイヤや、焼灼針、ループ状のスネアや小型鉗子などの治療機器を挿通することが可能とされる。
【0219】
上記のガイドワイヤは、針金から形成されるものであって、細長体2,21,31,41を所望の管腔内へ導くガイドとして使用される。当該ガイドワイヤは、その基端部が細長体2,21,31,41の基端から延び出るように、細長体2,21,31,41のメインルーメンに挿通され、ガイドワイヤの基端部に対する操作によって、ガイドワイヤを細長体2,21,31,41の長手方向Xに進退させることや、ガイイドワイヤをその中心線回りに回転させることが可能とされる。
【0220】
例えば、細長体2,21,31,41を細い分岐管内に導くために、ガイドワイヤが使用される場合には、細長体2,21,31,41の先端部が管腔の分岐部に位置した際に、メインルーメンに挿通したガイドワイヤを長手方向Xに前進させて、細長体2,21,31,41の先端開口からガイドワイヤの先端部を延び出させるとともに、ガイドワイヤの回転操作でガイドワイヤの先端部の向きを調整することで、ガイドワイヤの先端部を上記分岐管内に挿入することが行なわれる(上記の「細長体2,21,31,41の先端開口」は、「細長体2,21,31,41を構成する複数の細長要素4のうち、最も先端側に配置される一の細長要素4の先端開口」、「先端チップ13の先端開口13k(
図4)」、或いは、「板材17の孔16k(
図5)」から構成される)。そしてガイドワイヤの先端部が分岐管内に挿入された状態で、ガイドワイヤの先端部に沿って細長体2,21,31,41を前進させて、細長体2,21,31,41の先端部を分岐管内に挿入することが行われる。なおガイドワイヤの先端部は、メインルーメンに挿通する前に曲げ癖を付けておくことで、細長体2,21,31,41の先端開口からガイドワイヤの先端部を延び出させた際に癖づけた向きに先端部が曲がるため、ガイドワイヤの先端部を上記分岐管内に挿入しやすくなる場合がある。またガイドワイヤをトルクコイル構造の針金から構成することが好ましい。このようにすれば、ガイドワイヤの基端部に対する回転操作によって、ガイドワイヤの先端部を確実に回転させることができる。これにより、ガイドワイヤの先端部の向きを確実に所望の向きに調整できるので、ガイドワイヤの先端部を確実に所望の管腔内に挿入できる。したがってガイドワイヤによるガイドで細長体2,21,31,41の先端部を確実に所望の管腔内に挿入できる。
【0221】
また、ワイヤYの牽引による細長体2,21,31,41の屈曲や、細長体2,21,31,41の回転によって、細長体2,21,31,41を所望の管腔内へ容易に進めることができる場合には、ガイドワイヤを使用する必要はない。
【0222】
また焼灼針、ループ状のスネアや小型鉗子などの治療機器は、管腔内にできた腫瘍を除去するために使用される。当該治療機器の使用時には、内視鏡カメラで撮影される範囲に細長体2,21,31,41を配置した状態で、メインルーメンにこれら治療機器を挿通して、治療機器先端部を細長体2,21,31,41から延び出させて、治療機器を、細長体2,21,31,41に沿って屈曲する軟性手術アームとして機能させることで、内視鏡カメラで術野を確認しながら、手術することが可能となる。
【0223】
なお、ガイドワイヤのガイドによって細長体2,21,31,41の先端部が管腔内に挿入された場合には、細長体2,21,31,41のメインルーメンからガイドワイヤを引き抜いた後に、或いは上記メインルーメンにガイドワイヤが挿通されたままの状態で、上記メインルーメンにガイドワイヤを挿通することが行なわれる。
【0224】
また上記実施形態では、細長体2,21,31,41が、管体である細長要素4,4同士がフランジハブ22,32,42,43で接続されたチューブである例を示したが、本発明の細長体は、管体ではない細長要素同士(空洞40を有しない細長要素同士)が、フランジハブ22,32,42,43で接続されたものであってもよい。また上記の管体ではない細長要素が使用される場合には、フランジハブ22,32,42,43のハブ本体6は、空洞60を有しないものとされ得る。
【符号の説明】
【0225】
1,20,30,40 器具、
2,21,31,41 細長体、
4A,4B,4C,4D,4E,4F 細長要素、
4G 第一細長要素、
4H 第二細長要素、
4I 第三細長要素、
5,22,32 フランジハブ、
6 ハブ本体、
7,23,33 先端フランジ、
8,24,34 基端フランジ、
9A 一方の第一貫通孔、
9B 他方の第一貫通孔、
10A 一方の第二貫通孔、
10B 他方の第二貫通孔、
13 先端チップ、
16 チップ貫通孔、
17 板材、
18 板材貫通孔、
25A 一方の第三貫通孔、
25B 他方の第三貫通孔、
26A 一方の第四貫通孔、
26B 他方の第四貫通孔、
27 ハブ本体の先端側に形成される孔、
28 ハブ本体の基端側に形成される孔、
42 第一フランジハブ、
43 第二フランジハブ、
L1 第一距離
L2 第二距離、
L3 第三距離、
L4 第四距離、
L5 第五距離、
L6 第六距離、
L7 第七距離、
L8 第八距離、
R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8 ワイヤルーメン、
R9A,R17A 一方の第一ワイヤルーメン、
R9B,R17B 他方の第一ワイヤルーメン、
R10A,R18A 一方の第二ワイヤルーメン、
R10B,R18B 他方の第二ワイヤルーメン、
R11A,R19A 一方の第三ワイヤルーメン、
R11B,R19B 他方の第三ワイヤルーメン、
R12A,R20A 一方の第四ワイヤルーメン、
R12B,R20B 他方の第四ワイヤルーメン、
R13A,R21A 一方の第五ワイヤルーメン、
R13B,R21B 他方の第五ワイヤルーメン、
R14A,R22A 一方の第六ワイヤルーメン、
R14B,R22B 他方の第六ワイヤルーメン、
R15A,R23A 一方の第七ワイヤルーメン、
R15B,R23B 他方の第七ワイヤルーメン、
R16A,R24A 一方の第八ワイヤルーメン、
R16B,R24B 他方の第八ワイヤルーメン、
R25A 一方の第九ワイヤルーメン、
R25B 他方の第九ワイヤルーメン、
R26A 一方の第十ワイヤルーメン、
R26B 他方の第十ワイヤルーメン、
R27A 一方の第十一ワイヤルーメン、
R27B 他方の第十一ワイヤルーメン、
R28A 一方の第十二ワイヤルーメン、
R28B 他方の第十二ワイヤルーメン、
Y1 ワイヤ、
Y2,Y4,Y8 第一ワイヤ、
Y3,Y5,Y9 第二ワイヤ、
Y6,Y10 第三ワイヤ、
Y7,Y11 第四ワイヤ