(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】皮革様シート
(51)【国際特許分類】
D06N 3/14 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
D06N3/14 102
(21)【出願番号】P 2021567143
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045139
(87)【国際公開番号】W WO2021131589
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2019235313
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【氏名又は名称】江川 勝
(72)【発明者】
【氏名】割田 真人
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-192967(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181147(WO,A1)
【文献】特開平02-182980(JP,A)
【文献】国際公開第2019/216164(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103132344(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06N 1/00- 7/06
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維基材と、前記繊維基材の一面に積層された中間樹脂層と、前記中間樹脂層に積層された表面樹脂層と、を備え
、
前記繊維基材は、繊度0.5dtex以下の極細繊維を含む不織布,織物,編物、またはそれらを組み合わせたシートに、高分子弾性体を、前記極細繊維/前記高分子弾性体が、50/50~95/5(質量比)の範囲になるように含浸付与された、厚さ0.3~2.0mmの繊維基材であり、
前記表面樹脂層は
、10~60μmの厚さを有し、ポリエーテル系ポリウレタ
ンを60質量%以上、及び200℃の耐熱性を有する球状微粒
子を5~40質量
%、含有し、
前記球状微粒子は、比熱0.95kJ/(kg・K)以上、累積分布50体積%のときの粒径D
50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D
10が、粒径分散度D
50/D
10≦3、を満
たし、
20℃の環境下でフレクソメーターで屈曲性試験を行ったときに前記表面樹脂層にひび割れが発生するサイクルが30万サイクル以上である、皮革様シート。
【請求項2】
前記球状微粒子が、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子,ベンゾグアナミン樹脂粒子,及びポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の皮革様シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮革様シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、靴や衣類,車両や家具の内装材として人工皮革や合成皮革等の皮革様シートが用いられている。このような皮革様シートには、表面が他の物体に接触する用途がある。皮革様シートには、このような用途において、他の物体との摩擦によって磨耗しにくい特性が求められていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、天然皮革基材の表面に、ポリカーボネート系ウレタン樹脂を主体とする樹脂からなる接着剤層を介して、無黄変型ポリカーボネート系ウレタン樹脂を主体とする樹脂表皮層が積層されており、樹脂表皮層が、無黄変型ポリカーボネート系ウレタン樹脂を主体とする樹脂100重量部に対し、平均粒径10μm以下の球状微粉体を3~50重量部含有している皮革様シートを開示している。そして、球状微粉体として、メラミン樹脂,フェノール樹脂,ベンゾグアナミン樹脂を開示する。
【0004】
また、例えば、下記特許文献2は、繊維基材と、繊維基材の一面に配された、高分子弾性体と無機粒子とプロテインパウダーとを含む表面樹脂層と、を備えるボール用表皮材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-150479号公報
【文献】特開2016-67666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、体育館で行われるスポーツに用いられる靴は、競技中に床と繰り返し摩擦され、摩擦された箇所が摩擦熱により溶融することがあった。また、体育館で行われるスポーツに用いられるスポーツ靴は、競技者の動きによる繰り返し屈曲を受ける。そのために、体育館で行われるスポーツに用いられるスポーツ靴には、摩擦熱により溶融しにくい高い耐摩擦溶融性と、高い耐屈曲性とを兼ね備えた表面を有する皮革様シートが求められていた。
【0007】
本発明は、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とを兼ね備えた表面を有する、皮革様シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面は、繊維基材と、繊維基材の一面に積層された中間樹脂層と、中間樹脂層に積層された表面樹脂層と、を備え、繊維基材は、繊度0.5dtex以下の極細繊維を含む不織布,織物,編物、またはそれらを組み合わせたシートに、高分子弾性体を、極細繊維/高分子弾性体が、50/50~95/5(質量比)の範囲になるように含浸付与された、厚さ0.3~2.0mmの繊維基材であり、表面樹脂層は、10~60μmの厚さを有し、ポリエーテル系ポリウレタンを60質量%以上、及び200℃の耐熱性を有する球状微粒子を5~40質量%、含有し、球状微粒子は、比熱0.95kJ/(kg・K)以上、累積分布50体積%のときの粒径D50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D10が、粒径分散度D50/D10≦3、を満たし、20℃の環境下でフレクソメーターで屈曲性試験を行ったときに表面樹脂層にひび割れが発生するサイクルが30万サイクル以上である、皮革様シートである。このような皮革様シートによれば、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とを兼ね備えた表面を有する、皮革様シートが得られる。
【0009】
また、球状微粒子としては、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子,ベンゾグアナミン樹脂粒子,またはポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子等が挙げられる。
【0010】
また、表面樹脂層は、10~60μmの厚さを有することにより、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性と機械的特性とのバランスに優れる皮革様シートが得られる。
【0011】
また、20℃の環境下でフレクソメーターで屈曲性試験を行ったときに、表面樹脂層にひび割れが発生するサイクルが30万サイクル以上であることにより、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とのバランスにとくに優れる皮革様シートが得られる。
【0012】
また、繊維基材は繊度0.5dtex以下の極細繊維を含む不織布,織物,編物、またはそれらを組み合わせたシートに含浸付与された高分子弾性体を含むことにより、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性と機械的特性とのバランスに優れる皮革様シートが得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とを兼ね備えた表面を有する皮革様シートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の皮革様シート10の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の皮革様シートの一実施形態を図面を参照して詳しく説明する。
図1は本実施形態の皮革様シート10の模式断面図である。
【0016】
図1を参照すれば、皮革様シート10は、繊維基材1と、繊維基材1の一面に接着剤層2を介して接着された中間樹脂層3と、中間樹脂層3に積層された表面樹脂層4とを備える。接着剤層2と中間樹脂層3と表面樹脂層4とを含む樹脂層は銀面調樹脂層5を形成する。銀面調樹脂層5は、皮革様シート10に天然皮革の銀面に似た外観及び触感を付与する層である。銀面調樹脂層5は、トップコート層などの他の層を必要に応じてさらに含んでもよい。
【0017】
表面樹脂層4は、ポリエーテル系ポリウレタンを含む高分子弾性体、及び、高分子弾性体に分散された200℃の耐熱性を有する球状微粒子4aを含む。球状微粒子4aは、比熱0.95kJ/(kg・K)以上、累積分布50体積%のときの粒径D50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D10が、粒径分散度D50/D10≦3、を満たす。表面樹脂層4は、ポリエーテル系ポリウレタンを含む高分子弾性体、及び、上述した200℃の耐熱性を有する球状微粒子を含むことにより、皮革様シート10に、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とを兼ね備えた表面を与える。
【0018】
繊維基材としては、従来から皮革様シートの製造に用いられている、不織布,織物,編物、またはそれらを組み合わせたシートを主体とし、必要に応じて、さらに高分子弾性体を含浸付与させた繊維基材が特に限定なく用いられる。これらの中では、不織布、とくには、高分子弾性体を含浸付与された繊度0.5dtex以下の極細繊維を含む不織布を含む繊維基材が、緻密で機械的強度の高い皮革様シートが得られやすい点から好ましい。
【0019】
繊維基材を形成する繊維は、繊度0.5dtex以下、さらには0.0001~0.2dtexの極細繊維を含むことが、繊維の粗密ムラが低く均質性の高い皮革様シートが得られやすい点から好ましい。なお、繊度は、立毛人工皮革の厚さ方向に平行な断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で3000倍に拡大撮影し、万遍なく選択された15本の繊維径から繊維を形成する樹脂の密度を用いて算出した平均値として求められる。
【0020】
繊維を形成する樹脂の種類は特に限定されない。繊維を形成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,芳香族ポリアミド,ポリアミドエラストマー等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリエステルエラストマー等のポリエステル樹脂;アクリル樹脂;オレフィン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂等の合成繊維や、各種天然繊維や半合成繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。合成繊維の製造方法としては、樹脂を融点以上の温度で溶融させてエクストルーダーから押し出して溶融紡糸する方法、ポリマー溶液を細孔より押し出し溶媒を蒸発させる乾式溶液紡糸する方法、高分子溶液を非溶剤中に紡出する湿式溶液紡糸する方法、等が、とくに限定なく用いられる。また、極細繊維の不織布は、例えば、海島型複合繊維のような極細繊維発生型繊維を絡合処理して繊維絡合体を形成し、極細繊維化処理することにより得られる。
【0021】
繊維基材は含浸付与された高分子弾性体を含んでもよい。繊維基材に含浸付与される高分子弾性体の種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリウレタン;アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体やアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系弾性体;ポリアミド系弾性体;シリコーンゴム等の各種高分子弾性体が挙げられる。これらの中では、良好な風合が得られる点からポリウレタンがとくに好ましい。なお、ポリウレタンのソフトセグメントはポリエステル単位、ポリエーテル単位、ポリカーボネート単位の中からそれらの1種を含んでも、組み合わせて用いてもよい。また、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
繊維基材の、含浸付与された高分子弾性体の含有割合は、繊維基材を形成する繊維と高分子弾性体との質量比(繊維/高分子弾性体)が、60/40~95/5の範囲である。高分子弾性体の含有割合が高すぎる場合には、得られる皮革様シートがゴムライクな硬い風合いになる傾向がある。
【0023】
繊維基材の厚さは、0.3~2.0mmであり、0.5~1.5mmであることが好ましい。
【0024】
図1を参照すれば、皮革様シート10の繊維基材1の一面には、接着剤層2及び中間樹脂層3を介して、表面樹脂層4が積層されている。表面樹脂層4は、皮革様シートの表面が繰り返し摩擦されたときの高い耐摩擦溶融性と、繰り返しの折り曲げに対してもひび割れ等を発生させにくい高い耐屈曲性と、を兼ね備える表面を付与する層である。このような表面樹脂層4は、ポリエーテル系ポリウレタンを含む高分子弾性体、及び、高分子弾性体に分散された200℃の耐熱性を有する球状微粒子4aを含む。
【0025】
球状微粒子は、200℃の耐熱性を有し、比熱0.95kJ/(kg・K)以上であり、累積分布50体積%のときの粒径D50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D10が、粒径分散度D50/D10≦3、の粒径分布を有する球状微粒子である。
【0026】
200℃の耐熱性を有する球状微粒子とは、後述するように、球状微粒子を200℃に設定した乾燥機で10分間加熱したときに、溶融しない球状微粒子である。球状微粒子が200℃の耐熱性を有しない場合には、耐摩擦溶融性が低下する。
【0027】
また、比熱0.95kJ/(kg・K)以上を満たす球状微粒子は、後述するように球状微粒子の比熱をJIS K 7123:プラスチックの比熱容量測定方法に基づいてDSC(示差走査熱量計)法で測定したときの比熱である。球状微粒子の比熱は0.95kJ/(kg・K)以上であり、1.00kJ/(kg・K)以上であることがより好ましい。球状微粒子の比熱が0.95kJ/(kg・K)未満の場合には、耐摩擦溶融性が低下する。比熱が0.95kJ/(kg・K)以上であることにより、球状微粒子が含まれる表面樹脂層の温度が摩擦熱によって上昇する速度を抑える。
【0028】
200℃の耐熱性を有し、比熱0.95kJ/(kg・K)以上である球状微粒子の具体例としては、例えば、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子,ベンゾグアナミン樹脂粒子,ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂粒子等が挙げられる。これらの粒子は、好ましくは、架橋された球状樹脂微粒子である。なお、「球状」とは、必ずしも真球であることを意味するものではないが、少なくともフレーク状のように破砕して製造された粒子ではないことを意味する。これらの中では、とくに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子が、粒子表面にシリカが存在することにより200℃を超えても粒子同士が融着しにくい点から好ましい。
【0029】
そして、球状微粒子は、累積分布50体積%のときの粒径D50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D10が、粒径分散度D50/D10≦3、を満たす。200℃の耐熱性を有し、比熱0.95kJ/(kg・K)以上である球状微粒子が、このような粒径及びシャープに制御された粒径分散度を有することにより、耐摩擦溶融性が向上する。
【0030】
球状微粒子の粒径D50(メジアン径)は、2.5~10μmである。粒径D50が10μmを超える場合には、表面樹脂層の表面が粗くなって耐摩耗性が低下しやすくなったり、粗大な粒子が見えるようになるため外観品位の低下が起こりやすくなったりする。また、コーティングによって表面樹脂層を形成する場合には、表面に線状の凹凸が形成されやすくなる。また、粒径D50が2.5μmよりも小さい場合には、耐摩擦溶融性の向上への寄与が低い微細粒子の割合が多くなるため、充分な効果を得ることが難しくなる。
【0031】
また、球状微粒子は、粒径分散度D50/D10≦3、を満たすような、シャープな粒径分布を有するように制御された微粒子である。球状微粒子の粒径分散度が、D50/D10>3の場合は、粒径がD10以下の微粒子の割合が相対的に高くなる。粒径がD10以下の微粒子は、耐摩擦溶融性の向上への寄与が低いため、高い耐摩擦溶融性を得るためには球状微粒子の配合割合を高くする必要があり、その場合には、耐屈曲性が低下しやすくなる。
【0032】
表面樹脂層は、ポリエーテル系ポリウレタンを含む高分子弾性体を含む。
【0033】
ポリエーテル系ポリウレタンは、ポリエーテル系ポリオールを含む高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート、及び鎖伸長剤を含む、ウレタン原料を反応させることにより得られる。
【0034】
ポリエーテル系ポリオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等が挙げられる。
【0035】
また、有機ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート,2,6-トリレンジイソシアネート,4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートを含む難黄変型ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,ノルボルネンジイソシアネート,4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系あるいは脂環族系ジイソシアネート等の無黄変型ジイソシアネート;等が挙げられる。
【0036】
また、鎖伸長剤の具体例としては、例えば、ヒドラジン,エチレンジアミン,プロピレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジンおよびその誘導体,アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;ジエチレントリアミンなどのトリアミン類;トリエチレンテトラミンなどのテトラミン類;エチレングリコール,プロピレングリコール,1,4-ブタンジオール,1,6-ヘキサンジオール,1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4-シクロヘキサンジオールなどのジオール類;トリメチロールプロパンなどのトリオール類;ペンタエリスリトールなどのテトラオール類;アミノエチルアルコール,アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類等が挙げられる。
【0037】
表面樹脂層に含まれる高分子弾性体に含まれるポリエーテル系ポリウレタンの割合としては、60質量%以上、さらには80質量%以上、とくには90~100質量%であることが、とくに高い耐屈曲性を保持させやすい点から好ましい。高分子弾性体に含まれるポリエーテル系ポリウレタン以外の高分子弾性体としては、ポリエステル系ポリウレタンやポリカーボネート系ポリウレタン等のポリエーテル系ポリウレタン以外のポリウレタンや、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体やアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系弾性体,ポリアミド系弾性体,シリコーンゴム等の各種高分子弾性体が挙げられる。また、表面樹脂層に含まれるポリエーテル系ポリウレタンの割合は、60質量%以上である。
【0038】
また、表面樹脂層に含まれる球状微粒子の含有割合は5~40質量%である。表面樹脂層の球状微粒子の含有割合が5質量%未満である場合には耐摩擦溶融性が充分に向上しない。また、表面樹脂層の球状微粒子の含有割合が40質量%を超える場合には耐屈曲性が低下しやすくなる。
【0039】
表面樹脂層は、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて酸化防止剤,紫外線吸収剤,顔料,染料,界面活性剤,帯電防止剤,難燃剤,粘着防止剤,充填剤,架橋剤等の各種添加剤等を含有してもよい。
【0040】
表面樹脂層の厚さは、10~60μmであり、15~45μmであることが、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性と天然皮革調のしなやかな風合とを兼ね備えた表面を有する皮革様シートが得られやすい点から好ましい。
【0041】
図1を参照すれば、表面樹脂層4は、接着剤層2及び中間樹脂層3を介して、繊維基材1に積層されている。本実施形態の皮革様シートは、例えば、離型紙上に表面樹脂層を形成し、さらに、表面樹脂層の表面に中間樹脂層を形成し、中間樹脂層の表面にさらに接着剤層を形成し、離型紙上に形成された接着剤層を繊維基材の表面に圧着して接着した後、離型紙を剥離するような方法により製造することができる。
【0042】
中間樹脂層は高分子弾性体を主体とする層であり、必要に応じて、酸化防止剤,紫外線吸収剤,顔料,染料,界面活性剤,帯電防止剤,難燃剤,粘着防止剤,充填剤,架橋剤等の各種添加剤等を含有する。中間樹脂層を形成する高分子弾性体の種類は特に限定されず、例えば、ポリウレタン;アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体やアクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体等のアクリル系弾性体;ポリアミド系弾性体;シリコーンゴム等の各種高分子弾性体が挙げられる。これらの中では、良好な風合が得られる点からポリウレタン、とくには、ポリエーテル系ポリウレタンが耐屈曲性を高くしやすい点から好ましい。
【0043】
中間樹脂層の厚さは特に限定されないが、10~60μm、さらには、15~45μmであることが、機械的特性と風合い等とのバランスに優れた皮革様シートが得られやすい点から好ましい。
【0044】
また、接着剤層も高分子弾性体を主体とする層であり、必要に応じて、酸化防止剤,紫外線吸収剤,顔料,染料,界面活性剤,帯電防止剤,難燃剤,粘着防止剤,充填剤,架橋剤等の各種添加剤等を含有する。接着剤層を形成する高分子弾性体の種類も特に限定されず、上述したものと同様の各種高分子弾性体を含み、繊維基材と高い接着力を有する高分子弾性体を主体とする接着剤がとくに限定なく用いられる。接着剤層の主体となる高分子弾性体としては、良好な風合が得られる点からポリウレタン、とくには、ポリエーテル系ポリウレタンが耐屈曲性を高くしやすい点から好ましい。
【0045】
接着剤層の厚さは特に限定されないが、20~100μm、さらには、30~90μmであることが、機械的特性と風合い等のバランスに優れた皮革様シートが得られやすい点から好ましい。
【0046】
以上説明した本実施形態の皮革様シートは、高い耐摩擦溶融性と高い耐屈曲性とを兼ね備える。とくに、20℃の環境下でフレクソメーターで屈曲性試験を行ったときに表面樹脂層にひび割れが発生するサイクルが30万サイクル以上であり、さらには50万サイクル以上であるような皮革様シートが得られる。
【実施例】
【0047】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に何ら限定されるものではない。はじめに、本実施例で用いた評価方法を以下にまとめて説明する。
【0048】
(1)球状微粒子の200℃耐熱性
各実施例で使用した球状微粒子の粉末をアルミホイル製容器に2~3g秤量し、200℃の電熱乾燥機内で10分間加熱した。そして、冷却後の球状微粒子が粉末状を保っている場合、または軽く固着はしているが薬さじ等で軽く力を加えれば、ばらばらになって粉末に戻る場合をA(200℃耐熱性有り)と判定した。また、溶融してフィルム化している場合、または粒子同士が完全に融着して軽く力を加えても粉末に戻らない場合を、B(200℃耐熱性無し)と判定した。
【0049】
(2)球状微粒子の粒径、及び粒径分散度の測定
各実施例で使用した球状微粒子の累積粒子径分布をレーザー回折散乱測定装置LA-950V2((株)堀場製作所)を用いて乾式法で測定した。そして、測定された累積粒子径分布から、累積分布50体積%のときの粒径をD50、累積分布10体積%のときの粒径をD10とし、粒径分散度D50/D10を求めた。
【0050】
(3)球状微粒子の比熱
各実施例で使用した球状微粒子の比熱(kJ/(kg・K))を示差走査熱量測定装置DSC8500(Perkin Elmer社)を用い、JIS K 7123:プラスチックの比熱容量測定方法に基づいて測定した。
【0051】
(4)耐摩擦溶融性
各実施例で得られた皮革様シートから短冊状試験片(3×6cm)を切り出した。そして、短冊状試験片の表面樹脂層が形成された面に1800rpmで回転する桜製ローラー(直径73mm、巾26mm)を荷重2.0 lb(907g)で接触させた。そして、表面樹脂層が溶融して繊維基材が露出するまでの時間を1秒間隔(四捨五入)で測定し、最大10秒間まで測定した。
【0052】
(5)耐屈曲性
相対湿度 65±5%、温度20±2℃の環境下でJIS K6545に準拠したフレクソメーターで各実施例で得られた皮革様シートの耐屈曲性試験を行った。具体的には、フレクソメーターによる屈曲10万サイクルごとに皮革様シートの表面樹脂層が形成された面のひび割れの発生の有無を確認した。ひび割れの確認は30倍のルーペを用いて目視で行った。そして、10万サイクルでひび割れが確認されたときを「10万サイクル未満」とし、20万サイクルでひび割れが確認されたときを「10万サイクル」とし、その他同様に、「10万サイクル」ごとに判定した。なお、各サイクルにおいてサンプル数はN=3で行った。そして、各サンプルの何れかでひび割れが発生した場合にひび割れ発生と判定した。
【0053】
[実施例1]
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールを海成分に用い、イソフタル酸変性度6モル%のPETを島成分とし、繊維1本あたりの島数が25島で、海成分/島成分が25/75(質量比)となるような溶融複合紡糸用口金を用い、260℃で海島型複合繊維のフィラメントを口金より吐出した。そして、紡糸速度が4000m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度2.5dtexの海島型複合繊維をネット上に捕集し、目付30g/m2の長繊維のウェブを得た。
【0054】
そして、ウェブをクロスラッピングすることにより12層重ね、これに、針折れ防止油剤をスプレーした。そして、6バーブのニードル針で2000パンチ/cm2のパンチ密度でニードルパンチングすることにより、絡合されたウェブを得た。
【0055】
そして、絡合されたウェブを水蒸気により熱収縮させた。具体的には、はじめに、絡合されたウェブに、海成分の質量に対して30質量%の水分を付与し、次いで、相対湿度が90%、温度が110℃の加熱水蒸気雰囲気下で80秒間熱処理した。このときの面積収縮率は45%であった。
【0056】
次に、熱収縮させたウェブに、アニオン性自己乳化型の水性ポリウレタン(100%モジュラス 3.0MPa)の分散液を含浸させた。なお、水性ポリウレタンの分散液の濃度は、水性ポリウレタン/島成分の量の質量比が10/90であった。そして、マイグレーションを防止するために水蒸気雰囲気下で水性ポリウレタンの分散液をゲル化処理した後、120℃で10分間乾燥した。
【0057】
そして、水性ポリウレタンを含浸付与されたウェブを95℃の熱水中に10分間浸漬することにより、海成分を除去して極細繊維を形成させた。そして、120℃の温度で10分間乾燥することにより、0.1dtexの極細繊維の不織布を含む、厚さ2.1mmの繊維基材を得た。そして、厚さ2.1mmの繊維基材をその表面と略平行な面でスライス処理することにより、0.1dtexの極細繊維の不織布を含む厚さ1.0mm、目付525g/m2の繊維基材を得た。
【0058】
そして、毛穴調の離型紙上に、ポリエーテル系ポリウレタン(PEt系PU,大日精化工業(株)製のレザミンME-8116、固形分30質量%)100質量部、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製のオプトビーズ6500M)8.5質量部、DMF30質量部、MEK10質量部、黒顔料分散体(大日精化工業(株)製のDUT-4794、顔料分12質量%)30質量部を配合した、表面樹脂層を形成するための塗液をウェット塗布量130g/m2でロールコーターを用いて塗布し、乾燥した。このようにして表面樹脂層を形成した。形成された表面樹脂層はメラミン樹脂‐シリカ複合粒子20質量%を含有する。
【0059】
次に、表面樹脂層の表面に、ポリエーテル系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8116、固形分30質量%)100質量部、DMF30質量部、メチルエチルケトン10質量部、黒顔料分散体(大日精化工業(株)製のDUT-4794:顔料分12質量%)30質量部を配合された、中間樹脂層を形成するための塗液を、ウェット塗布量105g/m2でロールコーターを用いて塗布した後、乾燥した。このようにして中間樹脂層を形成した。
【0060】
そして、中間樹脂層の表面に、ポリエーテル系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンUD‐8310NTT、固形分60質量%)100質量部、イソシアネート架橋剤(大日精化工業(株)製のNE架橋剤)10質量部、架橋促進剤(大日精化工業(株)製のUD-103)2質量部、DMF30質量部、MEK20質量部を配合された、接着剤層を形成するための塗液を、ウェット塗布量150g/m2でロールコーターを用いて塗布した後、80℃で2分間乾燥させ、半乾燥の状態で、繊維基材の表面に貼り合わせて、さらに130℃で5分間乾燥した。その後、接着剤層の架橋反応を促進させるために、雰囲気温度60℃の乾燥機内で48時間の加熱を行った。そして、離型紙を剥がすことにより表面樹脂層を露出させた。
【0061】
このようにして、厚さ約1mmの皮革様シートが得られた。得られた皮革様シートの断面を走査型電子顕微鏡(300倍)で観察し、無作為に選び出した30箇所の膜厚を測定し、その平均値を求めた。表面樹脂層の厚さは30μm、中間樹脂層の厚さは30μm、接着剤層の厚さは60μmであった。
【0062】
そして、得られた皮革様シートの特性を、上述した評価方法により評価した。評価結果を表1に示す。
【0063】
【0064】
[実施例2]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、ベンゾグアナミン樹脂粒子((株)日本触媒製、エポスター M05)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0065】
[実施例3]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子を20質量%含有させた代わりに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子を5質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0066】
[実施例4]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子を20質量%含有させた代わりに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子を40質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0067】
[実施例5]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、PTFE粒子(Polysciences製、Microdispers-3000)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0068】
[実施例6]
実施例1において、表面樹脂層の膜厚を30μmの代わりに60μmに変更した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0069】
[実施例7]
実施例1において、表面樹脂層の膜厚を30μmの代わりに80μmに変更した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0070】
[比較例1]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0071】
[比較例2]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、メラミン樹脂粒子(Huber Engineered Materials製、PERGOPAK M4)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0072】
[比較例3]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子を20質量%含有させた代わりに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子を3質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0073】
[比較例4]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子を20質量%含有させた代わりに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子を50質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0074】
[比較例5]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子(日本エクスラン工業(株)製、タフチック AR650SX)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0075】
[比較例6]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、アルミフレーク(東洋アルミニウム(株)製、TS-408PM)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0076】
[比較例7]
実施例1において、表面樹脂層に配合する高分子弾性体として、ポリエーテル系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8116、固形分30質量%)100質量部の代わりに、ポリカーボネート系ポリウレタン(PC系PU,大日精化工業(株)製のレザミンME-8210NS、固形分30質量%)100質量部を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0077】
[比較例8]
実施例1において、表面樹脂層に配合する高分子弾性体として、ポリエーテル系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8116、固形分30質量%)100質量部の代わりに、ポリカーボネート系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8210NS、固形分30質量%)100質量部を配合し、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を20質量%含有させた代わりに、ベンゾグアナミン樹脂粒子((株)日本触媒製、エポスター MS)33質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0078】
[比較例9]
実施例1において、表面樹脂層に配合する高分子弾性体として、ポリエーテル系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8116、固形分30質量%)100質量部の代わりに、ポリカーボネート系ポリウレタン(大日精化工業(株)製のレザミンME-8210NS、固形分30質量%)100質量部を配合し、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を20質量%含有させた代わりに、メラミン樹脂粒子((株)日本触媒製、エポスター S12)50質量%含有させた以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0079】
[比較例10]
実施例1において、表面樹脂層にメラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ6500M)を配合した代わりに、メラミン樹脂‐シリカ複合粒子(日産化学工業(株)製、オプトビーズ10500M)を配合した以外は実施例1と同様にして、皮革様シートを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0080】
表1を参照すれば、ポリエーテル系ポリウレタン及び200℃の耐熱性を有する球状微粒子を含有し、且つ、球状微粒子の含有割合が5~40質量%であり、球状微粒子が比熱0.95kJ/(kg・K)以上、累積分布50体積%のときの粒径D50(メジアン径)が2.5~10μm、且つ、累積分布10体積%のときの粒径D10が、粒径分散度D50/D10≦3、を満たす表面樹脂層を有する実施例1~7で得られた皮革様シートは、何れも耐摩擦溶融性が5秒間以上であり、耐屈曲性も30万回以上であった。一方、球状微粒子を配合していない表面樹脂層を備えた比較例1の皮革様シートは、耐摩擦溶融性が1秒間未満であった。また、粒径分散度D50/D10≦3、を満たさない球状微粒子を含む表面樹脂層を備えた比較例2の皮革様シートは、耐摩擦溶融性が2秒間であった。また、球状微粒子を3質量%含有する表面樹脂層を備えた比較例3の皮革様シートは、耐摩擦溶融性が1秒間であった。また、球状微粒子を50質量%含有する表面樹脂層を備えた比較例4の皮革様シートは、耐屈曲性が10万回未満であった。また、200℃の耐熱性を有しない球状微粒子であるPMMA粒子を含む表面樹脂層を備えた比較例5の皮革様シートは、耐摩擦溶融性が1秒間未満であった。また、比熱0.95kJ/(kg・K)未満のアルミフレークを含む表面樹脂層を備えた比較例6の皮革様シートは、耐摩擦溶融性が1秒間未満であった。また、ポリカーボネート系ポリウレタンを含む表面樹脂層を備えた比較例7~9の皮革様シートは、何れも耐屈曲性が10万回未満であった。また、D50が10μmを超える比較例10の皮革様シートは、耐屈曲性が10万回であった。また、ロールコーターを用いて塗布したときに粒子が塗膜の表面に筋状の凹凸を形成した。
【符号の説明】
【0081】
1 繊維基材
2 接着剤層
3 中間樹脂層
4 表面樹脂層
5 銀面調樹脂層
4a 球状微粒子
10 皮革様シート