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特許7565361加工システム、傾き調整方法及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】加工システム、傾き調整方法及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20241003BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20241003BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B24B41/06 L
B24B49/12
B23Q17/00 D
H01L21/304 631
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022542796
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2021028333
(87)【国際公開番号】W WO2022034808
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2020136295
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】福永 信貴
(72)【発明者】
【氏名】鎗光 正和
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-141725(JP,A)
【文献】国際公開第2018/235619(WO,A1)
【文献】特開2003-053652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 41/06
B24B 49/12
B23Q 17/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象体の加工システムであって、
前記処理対象体としてのウェハを上面に保持する保持部と、
前記保持部を上面に保持する保持基台と、
前記保持部に保持された前記処理対象体を研削加工する加工部と、
前記保持部又は前記保持基台の上面と前記加工部の研削面との相対的な距離を測定する測定器により測定された距離情報に基づいて、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な傾きを調整する傾き調整部と、
前記保持部、前記保持基台、前記加工部、及び前記傾き調整部に関する情報を表示する情報表示部と、を有し、
前記情報表示部は、
前記測定器で測定された前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離情報を入力する入力部と、
前記傾き調整部の動作を開始させる指示部と、を同一画面内に表示する、加工システム。
【請求項2】
前記傾き調整部の動作を制御する制御部を有し、
前記情報表示部に表示された前記指示部が選択されると、
前記制御部は、前記入力部に入力された前記距離情報と、予め決められた前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離と、の差分に基づいて、前記傾き調整部を動作させる制御を行う、請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記加工部は、前記距離情報を取得するための前記測定器の取付け部を備え、
前記測定器は、前記保持部又は前記保持基台の面内における少なくとも3点の前記距離情報を取得する、請求項1または2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記測定器は、前記保持部又は前記保持基台の中心部を通過する円弧線状の測定領域に沿って移動可能に取り付けられ、
前記入力部には、
前記測定領域の中心である測定中心における前記距離情報と、
前記測定領域の一端部における前記距離情報と、が入力される、請求項3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記傾き調整部の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記測定領域の他端部における前記距離情報を基準高さとして、前記測定領域の前記測定中心及び前記一端部における、前記保持部又は前記保持基台と前記加工部との相対的な距離を調整するように、前記傾き調整部を動作させる制御を行う、請求項4に記載の加工システム。
【請求項6】
前記入力部に入力される前記距離情報は、前記保持部又は前記保持基台の中心部を通過する円弧線状の測定領域に沿って測定された、前記測定領域の中心である測定中心における前記距離情報と、前記測定領域の一端部における前記距離情報であり、
前記制御部は、前記測定領域の他端部における前記距離情報を基準高さとして、前記測定領域の前記測定中心及び前記一端部における、前記保持部又は前記保持基台と前記加工部との相対的な距離を調整するように、前記傾き調整部を動作させる制御を行う、請求項2に記載の加工システム。
【請求項7】
処理対象体としてのウェハを上面に保持する保持部と、
前記保持部を上面に保持する保持基台と、
前記保持部に保持された前記処理対象体を研削加工する加工部と、
前記保持部又は前記保持基台の上面と前記加工部の研削面との相対的な距離を測定する測定器により測定された距離情報に基づいて、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な傾きを調整する傾き調整部と、
前記保持部、前記保持基台、前記加工部、及び前記傾き調整部に関する情報を表示する情報表示部と、を有する加工システムにおいて、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な傾きを調整する方法であって、
前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離情報を取得することと、
前記情報表示部に表示される入力部に前記距離情報を入力することと、
前記入力部と同一画面内に表示される指示部を選択して前記傾き調整部の動作を開始することと、を含む、傾き調整方法。
【請求項8】
前記加工システムには、前記距離情報を取得する前記測定器が、前記保持部又は前記保持基台の中心部を通過する円弧線状の測定領域に沿って移動可能に取り付けられ、
前記距離情報の取得においては、前記測定領域に沿って少なくとも3点の前記距離情報を取得する、請求項7に記載の傾き調整方法。
【請求項9】
前記距離情報の入力においては、
前記測定領域の中心である測定中心における前記距離情報と、
前記測定領域の一端部における前記距離情報と、を入力する、請求項8に記載の傾き調整方法。
【請求項10】
前記指示部の選択後、前記入力部に入力された前記距離情報と、予め決められた前記保持部又は前記保持基台の上面と前記加工部の研削面との相対的な距離と、の差分に基づいて、前記傾き調整部の移動量を算出することと、
前記移動量の算出値に基づいて前記傾き調整部を移動させることと、を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の傾き調整方法。
【請求項11】
前記距離情報の入力においては、前記保持部又は前記保持基台の中心部を通過する円弧線状の測定領域に沿って測定された、前記測定領域の中心である測定中心における前記距離情報と、前記測定領域の一端部における前記距離情報と、を入力することと、
前記測定領域の他端部における前記距離情報を基準高さとして、前記測定領域の前記測定中心及び前記一端部における、前記保持部又は前記保持基台の上面と前記加工部の研削面との相対的な距離に基づいて、前記傾き調整部の移動量を算出することと、
前記移動量の算出値に基づいて前記傾き調整部を移動させることと、を含む、請求項7に記載の傾き調整方法。
【請求項12】
保持部又は保持基台の上面と加工部の研削面の相対的な傾きを調整する方法を加工システムによって実行させるように、当該加工システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体であって、
前記加工システムは、
処理対象体としてのウェハを上面に保持する前記保持部と、
前記保持部を上面に保持する前記保持基台と、
前記保持部に保持された前記処理対象体を加工する前記加工部と、
前記保持部又は前記保持基台の上面と前記加工部の研削面との相対的な距離を測定する測定器により測定された距離情報に基づいて、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な傾きを調整する傾き調整部と、
前記保持部、前記保持基台、前記加工部、及び前記傾き調整部に関する情報を表示する情報表示部と、を有し、
前記傾きの調整方法は、
前記情報表示部に表示される入力部に入力された、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離情報を取得することと、
前記入力部と同一画面内に表示される指示部が選択されると、前記傾き調整部の動作を開始することと、を含む、コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工システム、傾き調整方法及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、板状ワークを研削する研削装置であって、研削ホイールを支持する支持面に対するチャックテーブルの保持面の高さ位置を測定する高さ測定器を取り付ける高さ測定器取付け部を備え、該高さ測定器により、該保持面上における研削砥石の回転軌道上を走査させて該保持面の高さ位置の測定を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-141725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、処理対象体を研削処理する加工システムにおいて、処理対象体を研削する研削部の研削面と、処理対象体を保持する保持部の保持面との相対的な傾きを適切に調整する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、処理対象体の加工システムであって、前記処理対象体としてのウェハを上面に保持する保持部と、前記保持部を上面に保持する保持基台と、前記保持部に保持された前記処理対象体を研削加工する加工部と、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離を測定する測定器により測定された距離情報に基づいて、前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な傾きを調整する傾き調整部と、前記保持部、前記保持基台、前記加工部、及び前記傾き調整部に関する情報を表示する情報表示部と、を有し、前記情報表示部は、前記測定器で測定された前記保持部又は前記保持基台の上面と、前記加工部の研削面との相対的な距離情報を入力する入力部と、前記傾き調整部の動作を開始させる指示部と、を同一画面内に表示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理対象体を研削処理する加工システムにおいて、処理対象体を研削する研削部の研削面と、処理対象体を保持する保持部の保持面との相対的な傾きを適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる加工装置の構成の概略を示す平面図である。
図2】各研削部及びチャックの構成の一例を示す側面図である。
図3】各研削部とチャックの接触の様子を示す説明図である。
図4】測定器による測定領域の一例を示す説明図である。
図5】本実施形態にかかる表示パネルの表示例を示す説明図である。
図6】本実施形態にかかる傾き調整動作の主な工程を示すフロー図である。
図7】測定器による距離データの取得の概要を示す説明図である。
図8】チャックのセルフグラインドの様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
近年、半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成された半導体基板(以下、「ウェハ」という。)に対し、当該ウェハを研削して、ウェハを薄化することが行われている。ウェハの研削は、例えば保持手段でウェハの研削面とは反対側の面を保持した状態で当該保持手段を回転させながら、ウェハの研削面に研削手段の研削砥石を当接させることにより行われる。
【0009】
このウェハの研削処理では、製品としてのウェハの面内厚みを均一にするため、保持手段の保持面と研削砥石の研削面とが平行に調整される。上述の特許文献1には、この保持面と研削面とを平行にするための調整を高精度に行う研削装置が開示されている。特許文献1に開示される研削装置によれば、研削砥石を支持するホイールマウントに取り付けられた高さ測定器を用いて、ホイールマウントの支持面(研削面)に対するチャックテーブルの保持面の高さ位置を測定し、該高さ測定器による測定値に基づいて、保持面と研削面の相対的な傾きの調整を行う。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示される研削装置においては、高さ測定器による測定値を確認しながら、保持面と研削面とが平行になるまで、同様の測定及び調整を手動で何度も繰り返し行う必要があった。このため、保持面と研削面との傾きの調整に多大な時間を要するとともに、手動での調整動作に起因して操作ミスや調整ミスが発生するおそれがあった。
【0011】
本開示にかかる技術は上記事情に鑑みてなされたものであり、処理対象体を研削処理する加工システムにおいて、処理対象体を研削する研削部の研削面と、処理対象体を保持する保持部の保持面との相対的な傾きを適切に調整する。以下、本実施形態にかかる加工システムとしての加工装置、及び保持面と研削面との相対的な傾きの調整動作(以下、単に「傾き調整動作」という場合がある。)について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
本実施形態にかかる加工装置1では、処理対象体としてのウェハWの面内厚みを均一に制御するための処理、具体的には保持面と研削面の傾き調整動作が行われる。より具体的には、例えば、ウェハWの研削処理に際して、該ウェハWを保持する保持部としてのチャックの保持面と、該ウェハWを加工処理する研削部の研削面とを平行に調整する。また例えば、交換後の新たなチャックの保持面と研削部の研削面との相対的な傾きを調整し、かかる状態で研削部を使用してチャックのセルフグラインドを行うことで、該チャックを、ウェハWの研削処理を適切に行うための所望の形状に加工する。
【0013】
図1に示すように加工装置1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2では、例えば外部との間で複数のウェハWを収容可能なカセットCが搬入出される。処理ステーション3は、ウェハWに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。
【0014】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。また、カセット載置台10のY軸正方向側には、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送領域20が設けられている。ウェハ搬送領域20には、X軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されたウェハ搬送装置22が設けられている。
【0015】
ウェハ搬送装置22は、ウェハWを保持して搬送する搬送フォーク23を有している。搬送フォーク23は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸回りに移動自在に構成されている。そして、ウェハ搬送装置22は、カセット載置台10のカセットC、後述のアライメント部50、及び後述の第1の洗浄部60に対して、ウェハWを搬送可能に構成されている。
【0016】
処理ステーション3では、ウェハWに対して研削や洗浄などの処理が行われる。処理ステーション3は、ウェハWの搬送を行う搬送部30、ウェハWの研削処理を行う研削部40、研削処理前のウェハWの水平方向の向きを調整するアライメント部50、研削処理後のウェハWを洗浄する第1の洗浄部60、及び第2の洗浄部70を有している。
【0017】
搬送部30は、複数、例えば3つのアーム31を備えた多関節型のロボットである。3つのアーム31は、それぞれが旋回自在に構成されている。先端のアーム31には、ウェハWを吸着保持する搬送パッド32が取り付けられている。また、基端のアーム31は、アーム31を鉛直方向に昇降させる昇降機構33に取り付けられている。そして、搬送部30は、研削部40の受渡位置A0、アライメント部50、第1の洗浄部60、及び第2の洗浄部70に対して、ウェハWを搬送可能に構成されている。
【0018】
研削部40には回転テーブル41が設けられている。回転テーブル41上には、ウェハWを吸着保持する保持部としてのチャック42が4つ設けられている。チャック42には例えばポーラスチャックが用いられ、ウェハWの表面を吸着保持する。チャック42の表面、すなわちウェハWの保持面は、側面視において中央部が端部に比べて突出した凸形状を有している。なおこの中央部の突出は微小であるが、以下の説明の図示においては、説明の明瞭化のためチャック42の中央部の突出を大きく図示する場合がある。
【0019】
図2に示すように、チャック42は保持基台としてのチャックベース43に保持されている。チャックベース43には、各研削部(粗研削部80、中研削部90及び仕上研削部100)とチャック42の相対的な傾きを調整する傾き調整部44が設けられている。傾き調整部44は、チャックベース43の下面に設けられた固定軸45と複数、例えば2本の昇降軸46を有している。各昇降軸46は伸縮自在に構成され、チャックベース43を昇降させる。この傾き調整部44によって、チャックベース43の外周部の一端部(固定軸45に対応する位置)を基点に、他端部を昇降軸46によって鉛直方向に昇降させることで、チャック42及びチャックベース43を傾斜させることができる。そしてこれにより、加工位置A1~A3の各研削部(研削面)とチャック42の表面(保持面)との相対的な傾きを調整できる。
【0020】
なお、傾き調整部44の構成はこれに限定されず、各研削部(研削面)に対するチャック42の表面(保持面)の相対的な角度(平行度)を調整することができれば、任意に選択できる。
【0021】
4つのチャック42は、回転テーブル41が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1~A3に移動可能になっている。また、4つのチャック42はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
【0022】
受渡位置A0では、搬送部30によるウェハWの受け渡しが行われる。加工位置A1には粗研削部80が配置され、ウェハWを粗研削する。加工位置A2には中研削部90が配置され、ウェハWを中研削する。加工位置A3には仕上研削部100が配置され、ウェハWを仕上研削する。
【0023】
図2に示すように、粗研削部80は、下面に環状の粗研削砥石を備える粗研削ホイール81、該粗研削ホイール81を支持するマウント82、該マウント82を介して粗研削ホイール81を回転させるスピンドル83、及び、例えばモータ(図示せず)を内蔵する駆動部84を有している。またマウント82の外周面には、粗研削ホイール81の下面(研削面)とチャック42の表面(保持面)との相対的な距離を測定するための測定器110を取り付けるための取付け部85が形成されている。また粗研削部80は、図1に示す支柱86に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0024】
ここで、上述のようにチャック42の保持面は凸形状を有している。このため、粗研削部80を用いたウェハWの粗研削処理においては、図3の太線部に示すように、環状の粗研削砥石の一部が、加工点としてウェハWと接触する。より具体的には、環状の粗研削砥石とウェハWの中心部から外周端部までが円弧線状に接触し、かかる状態でチャック42と粗研削ホイール81をそれぞれ回転させることによって、ウェハWの全面が研削処理される。
【0025】
測定器110は、マウント82から粗研削ホイール81が取り外された状態で、該マウント82の取付け部85に対して接続される。測定器110の計測点は粗研削ホイール81の研削面高さと同じ高さに設定され、マウント82(スピンドル83)の回転に伴って図4に示す粗研削ホイール81の外縁(研削位置の外縁)に相当する円弧線状の領域(以下、「測定領域R」という場合がある。)に沿って回転し、これにより、保持面やチャックベース43の上面と、研削面との相対的な距離を測定領域Rに沿って測定する。測定器110により測定された保持面やチャックベース43の上面と研削面との相対的な距離は、例えば該測定器110に設けられた表示部110aに表示される。なお、以下の説明において円弧線状の測定領域Rにおけるマウント82の回転方向上流側の端部を「測定一端部Ra」、マウント82の回転方向下流側の端部を「測定他端部Rb」、測定一端部Raと測定他端部Rbとの中間点(チャック42の中心部)を「測定中心Rc」、とそれぞれ呼称する場合がある。
【0026】
なお、取付け部85に取り付けられる測定器110の種類は特に限定されるものではなく、任意に選択することができる。例えば測定器110としては、保持面と接触することで研削面との相対的な距離を測定する接触式の測定器を用いることができる。また例えば、保持面に対してセンサ光を照射し、該センサ光の保持面からの反射光を検知することで研削面との相対的な距離を測定する非接触式の測定器を用いてもよい。
【0027】
また、測定器110の取付位置も上記したようなマウント82の外周面には限定されず、計測点を粗研削ホイール81の研削面高さと同じ高さに設定できれば、例えば該マウント82の下面に取り付け可能に構成されていてもよい。
【0028】
中研削部90は粗研削部80と同様の構成を有している。すなわち中研削部90は、環状の中研削砥石を備える中研削ホイール91、マウント92、スピンドル93、駆動部94、取付け部95、及び支柱96を有している。中研削砥石の砥粒の粒度は、粗研削砥石の砥粒の粒度より小さい。
【0029】
仕上研削部100は粗研削部80及び中研削部90と同様の構成を有している。すなわち仕上研削部100は、環状の仕上研削砥石を備える仕上研削ホイール101、マウント102、スピンドル103、駆動部104、取付け部105、及び支柱106を有している。仕上研削砥石の砥粒の粒度は、中研削砥石の砥粒の粒度より小さい。
【0030】
以上の加工装置1には、情報表示部としての表示パネル120が設けられている。表示パネル120は例えばモニターやタッチパネルであり、加工装置1に直接取り付けられてもよいし、又は遠隔で確認できるものであってもよい。
【0031】
表示パネル120には、例えば図5に示すように、保持面と研削面との傾き調整動作にかかる各種情報を表示する表示エリア121と、傾き調整動作に係る各種情報を入力する入力エリア122と、表示エリア121に表示される各種情報や傾き調整動作の動作モードを切り替える切替エリア123と、加工装置1における傾き調整動作を実行するための指示エリア124と、を同一画面内に表示する。
【0032】
表示エリア121には、例えば傾き調整動作を行う対象としてのチャック42、該チャック42の配置(図5の例においては加工位置A1)や、該チャック42を保持するチャックベース43の傾きに係る情報、例えばチャックベース43の下方に設けられた傾き調整部44の昇降軸46の高さ位置等、が表示される。
【0033】
入力部としての入力エリア122には、例えば測定器110により測定された保持面と研削面との相対的な距離に係る情報、例えば図5の例においては測定領域Rの測定中心Rcにおける測定値、及び測定他端部Rbにおける測定値が、オペレータによって入力される。
【0034】
切替エリア123は、例えばオペレータにより該切替エリア123が選択されることにより、保持面と研削面との傾き調整動作の動作モードを、後述のフラットモードMfと後述のセルフグラインドモードMgとの間で切り替える。
【0035】
指示部としての指示エリア124は、例えばオペレータにより該指示エリア124が選択されることにより、保持面と研削面との傾き調整動作を実行するため、傾き調整部44の動作を開始する。
【0036】
加工装置1における傾き調整動作においては、オペレータにより指示エリア124が選択されると、入力エリア122に入力された測定器110の測定値に基づいて、傾き調整部44の昇降軸46の移動量を算出する。そして、かかる算出値に基づいて昇降軸46を自動で移動させ、保持面と研削面の相対的な傾きを自動調節する。かかる際、表示エリア121には2本の昇降軸46それぞれの高さ位置、すなわち保持面の傾きがリアルタイムで表示される。
【0037】
なお、表示パネル120に出力される情報は本実施形態に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0038】
また、以上の加工装置1には制御部130が設けられている。制御部130は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、加工装置1におけるウェハWの加工処理を制御するプログラムが格納されている。またプログラム格納部には、後述の研削面と保持面との傾き調整動作を制御するプログラムが更に格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御部130にインストールされたものであってもよい。
【0039】
本実施形態にかかる加工装置1は以上のように構成されている。次に、加工装置1において行われる傾き調整動作について説明する。なお、かかる傾き調整動作の動作モードとしては、上述したように、例えば保持面やチャックベース43の上面と、研削面とを平行に調整するための動作(以下、「フラットモードMf」という。)や、例えば交換後の新たなチャック42を所望の凸形状に加工するための動作(以下、「セルフグラインドモードMg」という。)等が挙げられる。
【0040】
以下の説明においては、先ず、加工装置1におけるセルフグラインドモードMgとしての傾き調整動作について説明を行う。すなわち、チャックベース43により新たなチャック42を保持し、該新たなチャック42の保持面と、各研削部の研削面との相対的な傾きを調整する場合を例に説明を行う。なお、各研削部(粗研削部80、中研削部90及び仕上研削部100)の傾き調整はそれぞれ同様の操作により行うことができるが、以下の説明においては、研削部としての粗研削部80の研削面とチャック42の保持面との相対的な傾きを調整する場合を例に説明を行う。
【0041】
先ず、粗研削部80から粗研削ホイール81を取り外した後、取付け部85に対して測定器110(本実施形態においては接触式の測定器)を取り付ける(図6のステップS1)。測定器110が取付け部85に取り付けられると、次に、チャックベース43による新たなチャック42の保持に先立ち、該チャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きを確認する(図6のステップS2)。
【0042】
チャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きの確認に際しては、先ず、オペレータにより表示パネル120に表示された切替エリア123が選択され、傾き調整動作の動作モードがフラットモードMfに決定される(図6のステップS2-1)。
【0043】
次に、測定器110によりチャックベース43の上面と研削面との相対的な距離を測定し、距離データD1を取得する(図6のステップS2-2)。具体的には、粗研削部80を支柱86に沿って降下させて測定器110の接触端子(プローブ)をチャックベース43の上面に接触させた後、かかる状態でスピンドル83(測定器110)を回転させながら、該測定器110によりチャックベース43の上面と研削面との相対的な距離を複数点で測定する。
【0044】
測定器110は、スピンドル83の回転により、チャックベース43の上面において図4に示した測定領域Rと対応するように、すなわち、該チャックベース43の測定一端部Raと測定他端部Rbを結ぶ円弧線状に移動する。上述のステップS2-2においては、図7(b)に示すように、チャックベース43の傾きに追従して、測定領域Rに沿って該チャックベース43の上面を測定器110が移動し、図7(a)に示すように測定一端部Ra、測定他端部Rb、及び測定中心Rcと対応する少なくとも3点において、距離データD1を取得する。なお、以下の説明において測定一端部Ra、測定他端部Rb、及び測定中心Rcで取得される距離データDを、それぞれ距離データDa、Db、Dcという場合がある。
【0045】
測定器110により取得された距離データD1は、例えば測定器110の表示部110aや表示パネル120に表示され、該表示は例えばオペレータの目視により確認される。ここで、表示部110a等に表示される距離データD1は、測定一端部Raで測定された距離データDa1を基準距離として0点調節される。換言すれば、距離データDb1、Dc1が、それぞれ0点調節された距離データDa1からの差分値として表示される。
【0046】
ここで、チャックベース43の上面と研削面とが平行であった場合、表示される距離データDb1、Dc1は基準となる距離データDa1と同じ値、すなわちDa1=Db1=Dc1=0となる。かかる場合、チャックベース43の上面は研削面と平行であると判断され、チャックベース43に新たなチャック42を保持させる(図6のステップS5)。
【0047】
一方、チャックベース43の上面と研削面とが平行でなかった場合、オペレータに通知される距離データDb1、Dc1は基準となる距離データDa1とは異なる値、すなわちDa1=0、Db1≠0、Dc1≠0となる。かかる場合、チャックベース43の上面と研削面が平行でないと判断され、チャックベース43の傾き調整が行われる(図6のステップS3)。
【0048】
チャックベース43の傾き調整においては、先ず、測定器110で測定された距離データDb1、Dc1が、オペレータにより表示パネル120の入力エリア122に入力され(図6のステップS3-1)、続いてオペレータにより表示パネル120の指示エリア124が選択される(図6のステップS3-2)。
【0049】
オペレータにより指示エリア124が選択されると、入力エリア122に入力された距離データDb1、Dc1に基づいて、傾き調整部44の2本の昇降軸46の移動(昇降)量がそれぞれ自動的に算出される(図6のステップS3-3)。具体的には、チャックベース43の上面が研削面と平行になる際、より具体的にはDa1=Db1=Dc1=0となる際の2本の昇降軸46の高さ位置を目標位置として、昇降軸46の移動量が自動的に算出される。昇降軸46の移動量が算出されると、傾き調整部44の動作が開始される。そして、昇降軸46が算出された移動量に基づいて目標位置まで移動されると、チャックベース43の上面が研削面と平行に調節される(図6のステップS3-4)。
【0050】
チャックベース43の上面と研削面との平行度が調節されると、次に、該チャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きを、該チャックベース43に保持させるチャック42のセルフグラインドを行うための傾きに調整する(図6のステップS4)。
【0051】
チャックベース43の上面と研削面との傾き調整に際しては、先ず、オペレータにより表示パネル120に表示された切替エリア123が選択され、傾き調整動作の動作モードがフラットモードMfからセルフグラインドモードMgに切り替えられる(図6のステップS4-1)。
【0052】
次に、測定器110によりチャックベース43の上面と研削面との相対的な距離を測定し、距離データD2を取得する(図6のステップS4-2)。距離データD2の取得方法はステップS2-2における距離データD1の取得方法と同様である。すなわち、測定器110の接触端子(プローブ)をチャックベース43の上面に接触させた後、かかる状態でスピンドル83(測定器110)を回転させながら、該測定器110によりチャックベース43の上面と研削面との相対的な距離を複数点で測定する。
【0053】
上述したように測定器110は、スピンドル83の回転により、図4に示した円弧線状の測定領域Rに沿ってチャック42の保持面上又はチャックベース43の上面を移動する。上述のステップS4-2においては、図7に示したように、測定領域Rの測定一端部Ra、測定他端部Rb、及び測定中心Rcを含む少なくとも3点において、距離データDa2、Db2、Dc2を取得する。
【0054】
測定器110により取得された距離データD2は、例えば測定器110の表示部110aや表示パネル120に表示され、該表示は例えばオペレータの目視により確認される。ここで、オペレータに通知される距離データD2は、測定一端部Raで測定された距離データDa2を基準距離として0点調節される。換言すれば、距離データDb2、Dc2が、それぞれ0点調節された距離データDa2からの差分値として表示される。
【0055】
ここで、チャック42のセルフグラインド処理においては、図8に示すようにチャック42を保持面が凸形状を有する略円錐形状に加工するため、保持面と研削面との相対的な傾きを、チャック42の加工用の所望の傾きに調整する必要がある。そこで本実施形態にかかるセルフグラインドモードMgとしての傾き調整動作においては、ステップS4-2で取得された距離データD2に基づいて、チャック42の傾き調整が行われる。
【0056】
具体的には、先ず、測定器110で測定された距離データDb2、Dc2が、オペレータにより表示パネル120の入力エリア122に入力され(図6のステップS4-3)、続いてオペレータにより表示パネル120の指示エリア124が選択される(図6のステップS4-4)。
【0057】
オペレータにより指示エリア124が選択されると、入力エリア122に入力された距離データDb2、Dc2に基づいて、傾き調整部44の2本の昇降軸46の移動(昇降)量がそれぞれ自動的に算出される(図6のステップS4-5)。具体的には、チャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きが図8に示した所望の傾きとなる際、より具体的には、チャックベース43が該所望の傾きで配置された際の2本の昇降軸46の高さ位置を目標位置として、昇降軸46の移動量が自動的に算出される。昇降軸46の移動量が算出されると、傾き調整部44の動作が開始される。そして、昇降軸46が算出された移動量に基づいて目標位置まで移動されると、チャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きが、チャック42のセルフグラインドを行うための所望の傾きに調節される(図6のステップS4-6)。
【0058】
そして、このようにチャックベース43の上面と研削面との相対的な傾きが調節されると、該チャックベース43に新たなチャック42を保持させ(図6のステップS5)、加工装置1における一連のセルフグラインドモードMgとしての傾き調整動作が終了する。
【0059】
なお、一連の傾き調整動作が行われると、取付け部85から測定器110を取り外した後、粗研削部80に対して粗研削ホイール81を取り付ける。そしてその後、図3及び図8(a)に示したように環状の粗研削砥石の一部がチャック42の保持面に当接され、かかる状態でチャック42及び粗研削ホイール81をそれぞれ回転させることで、図8(b)及び図8(c)に示したように、チャック42が所望の略円錐形状に加工される。
【0060】
なお、以上の実施形態においてはチャックベース43の上面と研削面の平行度を調整(図6のステップS4)した後、該チャックベース43にチャック42を保持(図6のステップS5)させたが、チャック42の保持タイミングはこれに限定されない。すなわち、例えばチャックベース43の上面と研削面との平行度を調節(図6のステップS3)し、該チャックベース43にチャック42を保持(図6のステップS5)させた後に、チャック42の保持面と研削面の相対的な傾きをセルフグラインド用に調整(図6のステップS4に相当)してもよい。
【0061】
また、以上の実施形態においてはチャックベース43の上面と研削面との平行度を調整(図6のステップS3)した後、更にチャック42のセルフグラインドを行うために距離データD2を取得(図6のステップS4-2)したが、この距離データD2の取得は、適宜省略されてもよい。すなわち、例えば前工程においてチャックベース43の上面と研削面との平行度が調節されているため、図6のステップS4-3における距離データD2の入力に際してはDb2=Dc2=0が入力されてもよい。
【0062】
なお、以上の実施形態においては加工装置1においてセルフグラインドモードMgとしての傾き調整動作を行う場合を例に説明を行ったが、上述のように、加工装置1においてはチャック42の保持面と研削面とを平行に調整するためのフラットモードMfとしての傾き調整動作を行うことができる。
【0063】
チャック42の保持面と研削面とを平行に調整するためのフラットモードMfとしての傾き調整動作は、上述した図6のステップS1~ステップS3にかかるチャックベース43の上面と研削面の傾き調整動作と同様の方法により行われる。
【0064】
具体的には、保持面と研削面との平行度を調節する必要が生じると、先ず、粗研削部80から粗研削ホイール81が取り外された後、取付け部85に測定器110を取り付ける(図6のステップS1)。次に、チャックベース43に保持されたチャック42の保持面と研削面との相対的な傾きを確認する(図6のステップS2)。
【0065】
チャック42の保持面と研削面との相対的な傾きの確認に際しては、切替エリア123の選択により傾き調整動作の動作モードがフラットモードMfに決定した後(図6のステップS2-1)、測定器110により保持面と研削面との相対的な距離を測定し、距離データD3(距離データDa3、Db3、Dc3)を取得する(図6のステップS2-2)。測定器110により取得された距離データD3は、例えば測定器110の表示部110aや表示パネル120に表示され、該表示は例えばオペレータの目視により確認される。なお、オペレータに通知される距離データD3は、距離データDa3を基準距離として0点調節され、距離データDb3、Dc3はそれぞれ0点調節された距離データDa3からの差分値として表示される。
【0066】
次に、測定器110により取得された距離データD3に基づいて、チャック42の保持面と研削面の傾き調整が行われる(図6のステップS3)。
【0067】
チャック42の保持面と研削面との相対的な傾きの調整に際しては、先ず、測定器110で測定された距離データDb3、Dc3が、オペレータにより入力エリア122に入力され(図6のステップS3-1)、続けて、指示エリア124が選択される(図6のステップS3-2)。
【0068】
オペレータにより指示エリア124が選択されると、入力エリア122に入力された距離データDb3、Dc3に基づいて、傾き調整部44の2本の昇降軸46の移動量がそれぞれ自動的に算出される(図6のステップS3-3)。具体的には、保持面が研削面と平行になる際、より具体的にはDa3=Db3=Dc3=0となる際の2本の昇降軸46の高さ位置を目標位置として、昇降軸46の移動量が自動的に算出される。昇降軸46の移動量が算出されると、傾き調整部44の動作が開始される。そして、昇降軸46が算出された移動量に基づいて目標位置まで移動されると、チャック42の保持面が研削面と平行に調節される(図6のステップS3-4)。こうして、加工装置1における一連のフラットモードMfとしての傾き調整動作が終了する。
【0069】
以上、本実施形態にかかる傾き調整動作によれば、入力エリア122に測定値である距離データDを入力した後、指示エリア124を選択することのみによって、チャック42の保持面と研削面の相対的な傾きを所望の傾きに自動調整することができる。このため、従来の傾き調整動作のように、所望の平行度(傾き)が得られるまでに何度も手動による調整を行う必要がなく、傾き調整動作に要する時間を大幅に低減することができる。また、このように保持面と研削面との傾き調整を人の手を介することなく自動調整により行うことができるため、従来のような手動による操作ミスや調整ミスの発生を抑制することができる。
【0070】
また本実施形態によれば、測定器110て測定された3点の距離データDa、Db、Dcのうち、距離データDaを基準距離として0点調節することで、距離データDb、Dcを距離データDaからの差分値として表示し、該距離データDb、Dcのみをオペレータが入力エリア122に入力する。すなわち、測定値のすべてを入力値として入力する必要はなく、傾き調整に際して入力エリア122に手動で入力する情報量を減らすことができるため、手動による入力ミスの発生を抑制することができる。
【0071】
なお、以上の実施形態においては、上述のように測定一端部Raにおいて取得された距離データDaを基準距離として0点調節を行ったが、基準とする距離データDは測定他端部Rb又は測定中心Rcにおいて取得された距離データDb又はDcであってもよい。
【0072】
また、以上の実施形態においては、チャックベース43の下方に設けられた傾き調整部44の動作により該チャックベース43(チャック42)を傾斜させることにより研削面に対する保持面の相対的な角度を調節したが、傾き調整部の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば傾き調整部を各研削部側に設けることで、チャック42の保持面に対する研削面の相対的な角度を調整してもよい。また例えば、チャック42の保持面、及び研削面のそれぞれが傾斜可能に構成されていてもよい。
【0073】
また更に、以上の実施形態においては研削部40における加工処理として、ウェハW、チャック42の保持面、及びチャックベース43の上面の研削する場合を例に説明を行ったが、加工装置1において行われる加工処理は研削に限定されるものではない。具体的には、例えば加工装置1においてウェハW、チャック42の保持面、及びチャックベース43の上面には、研磨処理が行われてもよい。このように、上記実施例で説明を行った研削処理、及びかかる研磨処理のそれぞれが、本実施形態にかかる加工装置1で行われる「加工処理」に含まれるものとする。
【0074】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 加工装置
42 チャック
43 チャックベース
44 傾き調整部
80 粗研削部
120 表示パネル
122 入力エリア
124 指示エリア
130 制御部
W ウェハ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8