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特許7565387基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241003BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20241003BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241003BHJP
   B05C 5/00 20060101ALN20241003BHJP
【FI】
H01L21/30 569C
H01L21/30 564C
B05C11/00
B05C11/10
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/304 648K
B05C5/00 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022579442
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2022002242
(87)【国際公開番号】W WO2022168641
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】P 2021015733
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021128413
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】西畑 広
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/084927(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/117043(WO,A1)
【文献】特開2020-119996(JP,A)
【文献】国際公開第2019/202962(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を吐出可能なノズルと、前記処理液の供給源と、前記ノズルと前記供給源との間を接続する供給流路とを有し、基板に対して前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置され、光の照射に伴い前記供給流路内から出射された出射光を受光して得られる受光信号に基づいて、前記処理液に含まれる異物を検出する複数の異物検出部と、
前記複数の異物検出部による前記複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、前記供給流路の中から前記異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する発生源推定部と、
前記発生源推定部が推定した前記区画に応じて、前記事象の発生の要因を推定する要因推定部と、
前記ノズルまで前記処理液を導く流路内を流れる前記処理液の流速を測定する流速測定部と、を備え、
前記要因推定部は、前記流速測定部による測定結果に基づいて、前記事象の発生の要因を絞り込む、基板処理装置。
【請求項2】
処理液を吐出可能なノズルと、前記処理液の供給源と、前記ノズルと前記供給源との間を接続する供給流路とを有し、基板に対して前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置され、光の照射に伴い前記供給流路内から出射された出射光を受光して得られる受光信号に基づいて、前記処理液に含まれる異物を検出する複数の異物検出部と、
前記複数の異物検出部による前記複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、前記供給流路の中から前記異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する発生源推定部と、
前記発生源推定部が推定した前記区画に応じて、前記事象の発生の要因を推定する要因推定部と、を備え、
前記要因推定部は、前記事象が発生した際の前記基板への前記処理液の供給頻度に基づいて、前記事象の発生の要因を絞り込む、基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給部は、
前記供給流路内の前記処理液に含まれる異物を捕集するフィルタと、前記ノズルに向けて前記処理液を送り出すポンプとを含む送液部と、
前記供給流路のうちの前記送液部と前記ノズルとの間の流路を開閉する吐出バルブと、
前記供給源から前記送液部に前記処理液を補充する補充部と、を有し、
前記複数の異物検出部は、
前記ノズルと前記吐出バルブとの間の流路に配置された第1異物検出部と、
前記吐出バルブと前記送液部との間の流路に配置された第2異物検出部と、
前記補充部と前記送液部との間の流路に配置された第3異物検出部と、を有する、請求項1又は2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ノズルまで前記処理液を導く流路内を流れる前記処理液の流速を測定する流速測定部を更に備え、
前記要因推定部は、前記流速測定部による測定結果に基づいて、前記事象の発生の要因を絞り込む、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数の異物検出部それぞれは、前記出射光に含まれる背景光の強度を示す強度情報に基づいて、前記処理液に含まれる別の薬液を前記異物として検出する、請求項1~のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理液を吐出可能なノズルから、基板に対して前記処理液を供給することと、
前記処理液の供給源と前記ノズルとの間を接続する供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所において、光の照射に伴い前記供給流路内から出射された光を受光して得られる受光信号に基づいて、前記処理液に含まれる異物を検出することと、
前記複数箇所それぞれでの前記異物の検出結果に基づいて、前記供給流路の中から前記異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定することと、
前記事象が発生したと推定された前記区画に応じて、前記事象の発生の要因を推定することと、
前記ノズルまで前記処理液を導く流路内を流れる前記処理液の流速を測定することと、を含み、
前記要因を推定することにおいては、前記流速の測定結果に基づいて、前記事象の発生の要因が絞り込まれる、基板処理方法。
【請求項7】
処理液を吐出可能なノズルから、基板に対して前記処理液を供給することと、
前記処理液の供給源と前記ノズルとの間を接続する供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所において、光の照射に伴い前記供給流路内から出射された光を受光して得られる受光信号に基づいて、前記処理液に含まれる異物を検出することと、
前記複数箇所それぞれでの前記異物の検出結果に基づいて、前記供給流路の中から前記異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定することと、
前記事象が発生したと推定された前記区画に応じて、前記事象の発生の要因を推定することと、を含み、
前記要因を推定することにおいては、前記事象が発生した際の前記基板への前記処理液の供給頻度に基づいて、前記事象の発生の要因が絞り込まれる、基板処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サンプリング配管から供給されたレジスト液のパーティクルを測定するパーティクル測定装置を具備する塗布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-209024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、異物検出の原因となる事象が発生した要因を容易に把握することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、処理液を吐出可能なノズルと、処理液の供給源と、ノズルと供給源との間を接続する供給流路とを有し、基板に対して処理液を供給する処理液供給部と、供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置され、光の照射に伴い供給流路内から出射された出射光を受光して得られる受光信号に基づいて、処理液に含まれる異物を検出する複数の異物検出部と、複数の異物検出部による複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、供給流路の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する発生源推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、異物検出の原因となる事象が発生した要因を容易に把握することが可能な基板処理装置、基板処理方法、及び記憶媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、基板処理システムの一例を示す模式的な斜視図である。
図2図2は、塗布現像装置の一例を示す模式的な側面図である。
図3図3は、液処理ユニットの一例を示す模式図である。
図4図4は、処理液供給部の一例を示す模式図である。
図5図5は、異物検出ユニットの一例を示す模式図である。
図6図6は、制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、異物検出に用いられる受光信号の一例を示すグラフである。
図8図8は、各異物検出部での蓄積データの一例を示すグラフである。
図9図9は、制御システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、制御システムが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、処理液の流速の測定結果の一例を示すグラフである。
図12図12は、薬液の種類と背景光の強度との関係の一例を示すグラフである。
図13図13は、各異物検出部での蓄積データの一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態に係る基板処理装置は、処理液を吐出可能なノズルと、処理液の供給源と、ノズルと供給源との間を接続する供給流路とを有し、基板に対して処理液を供給する処理液供給部と、供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置され、光の照射に伴い供給流路内から出射された出射光を受光して得られる受光信号に基づいて、処理液に含まれる異物を検出する複数の異物検出部と、複数の異物検出部による複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、供給流路の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する発生源推定部と、を備える。
【0010】
ノズルと供給源との間の供給流路において1箇所に異物検出ユニットを配置して、処理液内の異物を検出する方法が考えられる。この方法では、処理液内において異物が発生したことを把握することができるが、異物がどのような要因で処理液内に発生しているかを、検出結果から把握することができない。これに対して、上記基板処理装置では、供給流路上の複数箇所での異物の検出結果から、供給流路の中の異物の検出の原因となる事象が発生した区画が推定される。そのため、その推定結果を利用することで、上記事象の発生の要因を容易に把握することが可能となる。
【0011】
処理液供給部は、供給流路内の処理液に含まれる異物を捕集するフィルタと、ノズルに向けて処理液を送り出すポンプとを含む送液部と、供給流路のうちの送液部とノズルとの間の流路を開閉する吐出バルブと、供給源から送液部に処理液を補充する補充部と、を有してもよい。複数の異物検出部は、ノズルと吐出バルブとの間の流路に配置された第1異物検出部と、吐出バルブと送液部との間の流路に配置された第2異物検出部と、補充部と送液部との間の流路に配置された第3異物検出部とを有してもよい。この場合、第1異物検出部、第2異物検出部、及び第3異物検出部による検出結果から、異物の検出の原因となる事象が発生したと想定される区画を、吐出バルブを含む区画、送液部を含む区画、又は補充部を含む区画のいずれかに推定することが可能となる。
【0012】
上記基板処理装置は、発生源推定部が推定した区画に応じて、上記事象の発生の要因を推定する要因推定部を更に備えてもよい。この場合、要因推定部による要因の推定結果を利用することで、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0013】
上記基板処理装置は、ノズルまで処理液を導く流路内を流れる処理液の流速を測定する流速測定部を更に備えてもよい。要因推定部は、流速測定部による測定結果に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。この場合、上記事象の発生の要因が絞り込まれるので、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0014】
要因推定部は、上記事象が発生した際の基板への処理液の供給頻度に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。この場合、上記事象の発生の要因が絞り込まれるので、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0015】
複数の異物検出部それぞれは、出射光に含まれる背景光の強度を示す強度情報に基づいて、処理液に含まれる別の薬液を異物として検出してもよい。処理液等の液の種別に応じて、背景光の強度が異なる。上記構成では、強度情報を利用することで、処理液内に他の薬液が異物として含まれていないかを容易に判定することが可能となる。
【0016】
一つの例示的実施形態に係る基板処理方法は、処理液を吐出可能なノズルから、基板に対して処理液を供給することと、処理液の供給源とノズルとの間を接続する供給流路に沿って位置が互いに異なる複数箇所において、光の照射に伴い供給流路内から出射された光を受光して得られる受光信号に基づいて、処理液に含まれる異物を検出することと、複数箇所それぞれでの異物の検出結果に基づいて、供給流路の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定することと、を含む。この基板処理方法では、上述した基板処理装置と同様に、上記事象の発生の要因を容易に把握することが可能となる。
【0017】
一つの例示的実施形態に係る記憶媒体は、上記基板処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0018】
以下、図面を参照して、いくつかの実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
最初に、図1図11を参照して、第1実施形態に係る基板処理システム1について説明する。図1に示される基板処理システム1(基板処理装置)は、ワークWに対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施すシステムである。処理対象のワークWは、例えば基板、あるいは所定の処理が施されることで膜又は回路等が形成された状態の基板である。当該基板は、一例として、シリコンウェハである。ワークW(基板)は、円形であってもよい。ワークWは、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)などであってもよい。感光性被膜は、例えばレジスト膜である。
【0020】
図1及び図2に示されるように、基板処理システム1は、塗布現像装置2と、露光装置3と、制御装置20とを備える。塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理前に、ワークWの表面にレジスト(薬液)を塗布してレジスト膜を形成する処理を行い、露光処理後にレジスト膜の現像処理を行う。露光装置3は、ワークW(基板)に形成されたレジスト膜(感光性被膜)を露光する装置である。具体的には、露光装置3は、液浸露光等の方法によりレジスト膜の露光対象部分にエネルギー線を照射する。塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インタフェースブロック6と、を備える。
【0021】
キャリアブロック4は、塗布現像装置2内へのワークWの導入及び塗布現像装置2内からのワークWの導出を行う。例えばキャリアブロック4は、ワークW用の複数のキャリアCを支持可能であり、受け渡しアームを含む搬送装置A1を内蔵している。キャリアCは、例えば円形の複数枚のワークWを収容する。搬送装置A1は、キャリアCからワークWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からワークWを受け取ってキャリアC内に戻す。処理ブロック5は、処理モジュール11,12,13,14を有する。
【0022】
処理モジュール11は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール11は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりワークWの表面上に下層膜を形成する。液処理ユニットU1は、下層膜形成用の処理液をワークW上に塗布する。熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0023】
処理モジュール12は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール12は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により下層膜上にレジスト膜を形成する。液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の処理液を下層膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0024】
処理モジュール13は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール13は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2によりレジスト膜上に上層膜を形成する。液処理ユニットU1は、上層膜形成用の処理液をレジスト膜上に塗布する。熱処理ユニットU2は、上層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。
【0025】
処理モジュール14は、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、これらのユニットにワークWを搬送する搬送装置A3とを内蔵している。処理モジュール14は、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2により、露光処理が施されたレジスト膜の現像処理及び現像処理に伴う熱処理を行う。液処理ユニットU1は、露光済みのワークWの表面上に現像液を塗布した後、これをリンス液により洗い流すことで、レジスト膜の現像処理を行う。熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、及び現像後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0026】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームを含む搬送装置A7が設けられている。搬送装置A7は、棚ユニットU10のセル同士の間でワークWを昇降させる。
【0027】
処理ブロック5内におけるインタフェースブロック6側には棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0028】
インタフェースブロック6は、露光装置3との間でワークWの受け渡しを行う。例えばインタフェースブロック6は、受け渡しアームを含む搬送装置A8を内蔵しており、露光装置3に接続される。搬送装置A8は、棚ユニットU11に配置されたワークWを露光装置3に渡す。搬送装置A8は、露光装置3からワークWを受け取って棚ユニットU11に戻す。
【0029】
制御装置20は、例えば以下の手順で塗布現像処理を実行するように塗布現像装置2を制御する。まず制御装置20は、キャリアC内のワークWを棚ユニットU10に搬送するように搬送装置A1を制御し、このワークWを処理モジュール11用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0030】
次に制御装置20は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール11内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置20は、このワークWの表面上に下層膜を形成するように、液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置20は、下層膜が形成されたワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール12用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0031】
次に制御装置20は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール12内の液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2に搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置20は、このワークWの表面に対してレジスト膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置20は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWを処理モジュール13用のセルに配置するように搬送装置A7を制御する。
【0032】
次に制御装置20は、棚ユニットU10のワークWを処理モジュール13内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御する。また、制御装置20は、このワークWのレジスト膜上に上層膜を形成するように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置20は、ワークWを棚ユニットU11に搬送するように搬送装置A3を制御する。
【0033】
次に制御装置20は、棚ユニットU11のワークWを露光装置3に送り出すように搬送装置A8を制御する。その後制御装置20は、露光処理が施されたワークWを露光装置3から受け入れて、棚ユニットU11における処理モジュール14用のセルに配置するように搬送装置A8を制御する。
【0034】
次に制御装置20は、棚ユニットU11のワークWを処理モジュール14内の各ユニットに搬送するように搬送装置A3を制御し、このワークWのレジスト膜の現像処理を行うように液処理ユニットU1及び熱処理ユニットU2を制御する。その後制御装置20は、ワークWを棚ユニットU10に戻すように搬送装置A3を制御し、このワークWをキャリアC内に戻すように搬送装置A7及び搬送装置A1を制御する。以上で1枚のワークWについての塗布現像処理が完了する。制御装置20は、後続の複数のワークWのそれぞれについても、上述と同様に塗布現像処理を塗布現像装置2に実行させる。
【0035】
なお、基板処理装置の具体的な構成は、以上に例示した基板処理システム1の構成に限られない。基板処理装置は、基板に対して処理液を供給して液処理を施す液処理ユニット、及びこれを制御可能な制御装置を備えていればどのようなものであってもよい。
【0036】
(液処理ユニット)
続いて、図3及び図4を参照して、処理モジュール12における液処理ユニットU1の一例について詳細に説明する。液処理ユニットU1は、図3に示されるように、回転保持部22と、処理液供給部28と、を備える。
【0037】
回転保持部22は、制御装置20の動作指示に基づき、ワークWを保持して回転させる。回転保持部22は、保持部24と、駆動部26とを有する。保持部24は、表面Waを上方に向けて水平に配置されたワークWの中心部を支持し、当該ワークWを吸着(例えば真空吸着)等により保持する。駆動部26は、例えば電動モータ等の動力源を含む回転アクチュエータであり、鉛直な回転軸周りに保持部24を回転させる。これにより、鉛直な回転軸周りにワークWが回転する。
【0038】
処理液供給部28は、ワークWに対して処理液を供給する。処理液供給部28は、処理液を吐出可能なノズル30と、処理液の液源(後述の供給源52)からノズル30まで処理液を導く供給流路29とを有し、ワークWの表面Waに対して処理液を供給する。処理液供給部28は、例えば、図4に示されるように、ノズル30と、送液管32と、吐出バルブ34と、送液部40と、送液管36と、補充部50とを有する。以下の説明では、処理液の流れを基準として、「上流」及び「下流」の用語を使用する。
【0039】
ノズル30は、ワークWに処理液を吐出する。ノズル30は、例えば、ワークWの上方に配置され、処理液を下方に吐出する(図3も参照)。ノズル30からワークWに向けて処理液が吐出されることで、ワークWの表面Waに処理液が塗布(供給)される。送液管32は、ノズル30と送液部40との間を接続し、ノズル30まで処理液を導く流路を形成する。送液管32の下流側の端部はノズル30に接続され、送液管32の上流側の端部は送液部40に接続されている。
【0040】
吐出バルブ34は、送液管32によって形成される処理液の流路に設けられる。吐出バルブ34は、制御装置20からの動作指示に基づいて、送液管32内の流路(送液部40とノズル30との間の流路)を開閉する。吐出バルブ34が開状態であるときに、ノズル30から処理液がワークWの表面Waに向けて吐出され、吐出バルブ34が閉状態であるときに、ノズル30からの処理液の吐出が停止される。吐出バルブ34は、例えば、エアオペレーションバルブである。
【0041】
送液部40は、送液管32を介してノズル30まで処理液を送る。具体的には、送液部40は、処理液を所定圧力でノズル30に向けて送り出す。送液部40は、例えば、ポンプ42と、接続管44と、フィルタ46とを有する。
【0042】
ポンプ42は、補充部50から補充される処理液を受け入れて、受け入れた処理液を加圧してノズル30に向けて送り出す。ポンプ42は、処理液を収容する収容室と、その収容室を拡大及び収縮させる収縮部とを有する。ポンプ42は、収縮部により収容室を拡大して処理液を受け入れて、収縮部により収容室を収縮させて処理液を送り出す。ポンプ42として、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、又はベローズポンプが用いられてもよい。
【0043】
接続管44は、ポンプ42とフィルタ46とを接続する。接続管44の下流側の端部はポンプ42に接続され、接続管44の上流側の端部はフィルタ46に接続されている。接続管44は、補充部50から補充される処理液をポンプ42まで導く流路の一部を形成する。フィルタ46は、補充部50からポンプ42までの流路を流れる処理液に含まれる異物を捕集する。
【0044】
送液管36は、フィルタ46と補充部50との間を接続する。送液管36の下流側の端部は送液部40(フィルタ46)に接続され、送液管36の上流側の端部は補充部50に接続されている。送液管36及び接続管44によって、補充部50からポンプ42までの処理液の流路が形成される。
【0045】
補充部50は、ノズル30に向けて送り出すための処理液を送液部40に補充する。上述のように、補充部50とポンプ42との間では、送液管36及び接続管44によって処理液の流路が形成され、当該流路内にフィルタ46が設けられている。補充部50は、例えば、供給源52と、送液管54と、貯留タンク56と、ポンプ58とを有する。
【0046】
供給源52は、送液部40に補充される処理液の供給源である。供給源52は、例えば、処理液が収容されたボトルである。供給源52は、送液管54を介してポンプ58に処理液を供給する。貯留タンク56は、送液管54に設けられており、ポンプ58に供給するための処理液を一時的に貯留する。
【0047】
ポンプ58は、貯留タンク56から処理液を受け入れて、受け入れた処理液を加圧した状態で、送液管36を通して送液部40に送り出す(送液管36及び接続管44を通してポンプ42に送り出す)。ポンプ58は、処理液を収容する収容室と、その収容室を拡大及び収縮させる収縮部とを有する。ポンプ58は、収縮部により収容室を拡大して処理液を受け入れて、収縮部により収容室を収縮させて処理液を送り出す。ポンプ58として、チューブフラムポンプ、ダイヤフラムポンプ、又はベローズポンプが用いられてもよい。
【0048】
以上に説明した処理液供給部28では、補充部50の送液管54、送液管36、送液部40の接続管44、及び送液管32によって、供給源52とノズル30との間を接続する供給流路29が形成される。供給流路29内には、ノズル30から吐出される処理液に含まれる異物の発生源となり得る各種の部品(パーツ)が設けられる。これらの各種部品によって、処理液供給部28が構成される。上述の処理液供給部28では、供給源52、貯留タンク56、ポンプ58、フィルタ46、ポンプ42、及び吐出バルブ34が、異物の発生源となり得る各種の部品に相当する。
【0049】
(異物検出ユニット)
塗布現像装置2は、複数の異物検出ユニット70(複数の異物検出部)を備える。各異物検出ユニット70は、供給流路29内を流れる処理液に含まれる異物(パーティクル)を検出するように構成されている。本開示において、処理液内の「異物」には、埃及び塵等の固体状の異物に加えて、泡等の気体状の異物も含まれる。異物を検出するとは、処理液内に異物が含まれていることを検出(異物が含まれていると判定)することを意味する。異物検出ユニット70は、供給流路29内を流れる処理液に光源からの光(照射光)を照射した際に発生する光(出射光)を受光して、その受光した光に応じた信号に基づいて異物を検出する。
【0050】
複数の異物検出ユニット70は、供給流路29に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置されている。この場合、供給流路29は、複数の異物検出ユニット70によって複数の区画(領域)に分割される。複数の異物検出ユニット70のうちの供給流路29において互いに隣り合う異物検出ユニット70は、それらのユニット間の区画に少なくとも1つの上記部品が含まれるように配置されている。複数の異物検出ユニット70のうちの最も上流側に位置する異物検出ユニット70は、そのユニットの上流側の区画に少なくとも1つの上記部品が位置するように配置されている。各異物検出ユニット70は、自身が配置されている箇所において、供給流路29内の処理液に含まれる異物を検出する。
【0051】
塗布現像装置2は、例えば、複数の異物検出ユニット70として、異物検出ユニット70Aと、異物検出ユニット70Bと、異物検出ユニット70Cと、を備える。以下では、供給流路29上の処理液が流れる方向に沿って互いに異なる位置に異物検出ユニット70A~70Cが備えられる場合について説明する。異物検出ユニット70A~70Cは、供給流路29に沿ってノズル30から、この順で設けられている。
【0052】
異物検出ユニット70A(第1異物検出部)は、供給流路29のうちの吐出バルブ34とノズル30との間の流路に配置されている。異物検出ユニット70B(第2異物検出部)は、供給流路29のうちの吐出バルブ34と送液部40との間の流路に配置されている。異物検出ユニット70C(第3異物検出部)は、供給流路29のうちの送液部40と補充部50との間の流路に配置されている。
【0053】
異物検出ユニット70Aと異物検出ユニット70Bとの間の区画には、部品として吐出バルブ34が配置されている。異物検出ユニット70Bと異物検出ユニット70Cとの間の区画には、部品としてポンプ42及びフィルタ46が配置されている。異物検出ユニット70Cの上流の区画には、部品として供給源52(ボトル)、貯留タンク56、及びポンプ58が存在する。
【0054】
以上のように、供給流路29に沿って異物検出ユニット70A~70Cが配置されるので、仮に異物検出ユニット70Cよりも上流の区画で処理液内に異物が発生した場合、その異物は異物検出ユニット70C,70B,70Aをこの順で通過する。処理液内に異物が発生する場合の例としては、部品の内部等に存在していた塵等の異物が処理液内に混入する場合、及び、処理液内において泡等の異物が形成される場合が挙げられる。
【0055】
ノズル30からの処理液の1回あたりの吐出量(供給量)は、供給流路29の異物検出ユニット70A~70Cによって分割される各区画の配管容積よりも小さい値に設定される。この場合、1回の処理液の供給が行われる間に、異物が供給流路29内で下流に向けて移動する量は、各区画の長さよりも短い。そのため、いずれかの区画で処理液内に発生した異物が異物検出ユニット70A~70Cそれぞれで検出され得る供給回数にずれが生じる。これにより、異物検出ユニット70A~70Cによる検出結果から、供給流路29の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定することができる。異物の検出の原因となる事象(以下、単に「事象」という。)としては、例えば、異物が処理液内に混入すること、及び処理液内に泡が発生することが挙げられる。
【0056】
例えば、異物検出ユニット70Aによって異物が検出された場合に、異物検出ユニット70B,70Cにおいて異物が過去に検出されていなければ、異物検出ユニット70A,70Bの間の区画で上記事象が発生したと想定される。この場合、吐出バルブ34が異物の発生源であると推定することができる。異物検出ユニット70Aによって異物が検出された場合に、異物検出ユニット70Bにおいて異物が既に検出されており、異物検出ユニット70Cにおいて異物が過去に検出されていなければ、異物検出ユニット70B,70Cの間の区画で上記事象が発生したと推定される。この場合、送液部40に含まれるポンプ42及びフィルタ46の少なくとも一方が異物の発生源であると推定することができる。
【0057】
異物検出ユニット70Aによって異物が検出された場合に、異物検出ユニット70B,70Cにおいて異物が既に検出されているときには、異物検出ユニット70Cよりも上流の区画で上記事象が発生したと推定される。この場合、補充部50に含まれる供給源52、貯留タンク56、及びポンプ58の少なくとも一つが異物の発生源であると推定することができる。異物検出ユニット70A~70Cによる検出結果を用いて、上記事象が発生したと想定される区画(異物の発生源を含むと想定される区画)を推定する方法の具体例については後述する。
【0058】
異物検出ユニット70A~70Cは、互いに同様に構成されていてもよい。異物検出ユニット70A~70Cそれぞれは、供給流路29を流れる処理液を流通させる流路(以下、「検出流路」という。)を形成する。異物検出ユニット70A~70Cそれぞれは、対応する検出流路に照射光(例えば、レーザ光)を照射することで発生する光を受光したうえで、検出流路を流れる処理液内の異物を検出する。図5に示されるように、異物検出ユニット70A~70Cそれぞれは、例えば、筐体71と、流路形成部72と、照射部76と、受光部78と、制御部80とを有する。
【0059】
筐体71は、流路形成部72、照射部76、受光部78、及び制御部80を収容する。筐体71は、直方体状に形成されていてもよい。流路形成部72は、供給流路29において上記検出流路を形成する部材である。流路形成部72は、例えば、内部に検出流路74が形成されているブロック本体を含む。このブロック本体は、直方体状に形成されており、異物検出の際に用いられるレーザ光を透過可能な材料によって構成されている。以下では、説明の便宜上、供給流路29のうちの、その異物検出ユニットが形成する検出流路74の上流に位置する流路を「上流側供給流路29a」と表記し、検出流路74の下流に位置する流路を「下流側供給流路29b」と表記する。
【0060】
流路形成部72のブロック本体のうちの筐体71の一側面と対向する面には、検出流路74の流入口74a及び流出口74bが形成されている。流入口74aには、供給流路29のうちの検出流路74よりも上流に位置する上流側供給流路29aの端部が接続されている。流出口74bには、供給流路29のうちの検出流路74よりも下流に位置する下流側供給流路29bの端部が接続されている。上流側供給流路29a及び下流側供給流路29bの端部を形成する管は、流路形成部72の近傍に位置する筐体71の側壁を貫通している。
【0061】
以上の構成により、供給源52から送り出される処理液は、異物検出ユニット70Cが形成する検出流路74、異物検出ユニット70Bが形成する検出流路74、及び異物検出ユニット70Aが形成する検出流路74をこの順に通って、ノズル30に向かって流れる。1回あたりの処理液の供給量と各区画の配管容積との関係から、異物検出ユニット70Cの検出流路74を通過した処理液は、その後に複数回の処理液の供給が行われると、異物検出ユニット70Bの検出流路74に達する。同様に、異物検出ユニット70Bの検出流路74を通過した処理液は、その後に複数回の処理液の供給が行われると、異物検出ユニット70Aの検出流路74に達する。
【0062】
照射部76は、処理液の異物を検出するための照射光を検出流路74に向けて照射するように構成されている。照射部76は、例えば、照射光としてレーザ光を生成する光源を含む。その光源は、一例では、波長400nm~600nm程度、出力600mW~1000mW程度のレーザ光を生成する。照射部76は、下方から検出流路74に向けて照射光を照射してもよい。
【0063】
受光部78は、照射部76からの照射光に伴い検出流路74から出射される光(出射光)を受光するように構成されている。受光部78は、例えば、検出流路74の側方(流路形成部72と同じ高さ位置)に配置されている。受光部78は、検出流路74から出射される光を集光する光学部品(レンズ)と、受光した光に応じた電気信号(以下、「受光信号」という。)を生成する受光素子とを含んでもよい。受光部78は、照射部76からの照射光が検出流路74において散乱することで発生する光(散乱光)の一部を受光する。
【0064】
処理液が流れている検出流路74内に照射光が照射されると、異物の有無にかかわらず散乱光が発生する。検出流路74内の処理液に異物が含まれていない場合、照射部76からの照射光の大部分は、検出流路74を通過する。一方、検出流路74内の処理液に異物が含まれていると、検出流路74内での照射光の散乱の程度が大きくなり、異物が含まれていない場合に比べて、受光部78が受光する光(受光部78に向かう散乱光の一部)の強度が大きくなる。これに応じて、上記受光信号の強度が大きくなる。
【0065】
受光部78は、検出流路74から出射される光を受光して得られる受光信号を、制御部80に出力する。制御部80は、異物検出ユニット70A~70Cそれぞれに含まれる各要素を制御すると共に、受光部78が受光した受光信号に基づいて、処理液内に異物が含まれているか否かを判定する。以下では、液処理ユニットU1等を制御する上述の制御装置20と共に、制御部80について説明する。
【0066】
(制御システム)
異物検出ユニット70A,70B,70Cそれぞれの制御部80と、制御装置20とは、制御システム100を構成する。すなわち、基板処理システム1は、制御装置20及び制御部80を含む制御システム100を備える。制御装置20には、出力デバイス19が接続されていてもよい。出力デバイス19は、制御装置20から出力された情報を作業員等のオペレータに出力するための装置である。出力デバイス19は、例えばモニタである。モニタは、画面上に情報の表示が可能なものであればいかなるものであってもよく、その具体例としては液晶パネル等が挙げられる。
【0067】
制御システム100は、少なくとも、ノズル30からワークWに対して処理液を供給することと、供給流路29に沿って位置が互いに異なる複数箇所において、光の照射に伴い検出流路74内から出射された光を受光して得られる受光信号に基づいて、処理液に含まれる異物を検出することと、複数箇所それぞれでの異物の検出結果に基づいて、供給流路29の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定することと、を実行するように構成されている。
【0068】
図6に示されるように、制御システム100の制御部80は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、例えば、投光制御部102と、信号取得部104と、異物判定部106と、を有する。投光制御部102、信号取得部104、及び異物判定部106がそれぞれ実行する処理は、制御部80(制御システム100)が実行する処理に相当する。図6には、複数の異物検出ユニット70が有する複数の制御部80のうちの一つの制御部80が示されている。
【0069】
投光制御部102は、異物検出ユニット70A~70Cのうちの対応する異物検出ユニットにおいて、流路形成部72が形成する検出流路74に照射光が照射されるように照射部76を制御する。投光制御部102は、処理対象のワークWに対する処理液の供給ごとに(1回の処理液の供給ごとに)、その供給期間に合わせて、検出流路74に照射光が照射されるように照射部76を制御してもよい。一例では、投光制御部102は、ノズル30からワークWへの処理液の吐出開始のタイミングに合わせて照射部76に照射光の照射を開始させる。そして、投光制御部102は、ノズル30からワークWへの処理液の吐出停止のタイミングに合わせて照射部76に照射光の照射を停止させる。
【0070】
信号取得部104は、異物検出ユニット70A~70Cのうちの対応する異物検出ユニットにおいて、照射光の照射に伴い検出流路74から出射される散乱光(出射光)を受光することで得られる受光信号を、受光部78から取得する。信号取得部104は、処理対象のワークWに対する処理液の供給ごとに(1回の処理液の供給ごとに)、その供給期間に合わせて、検出流路74から受光した光に応じた受光信号を受光部78から取得してもよい。一例では、信号取得部104は、投光制御部102による照射光の照射タイミング(照射期間)に応じて、処理液の供給ごとに受光信号を受光部78から取得する。
【0071】
異物判定部106は、異物検出ユニット70A~70Cのうちの対応する異物検出ユニットにおいて、信号取得部104が取得した受光信号に基づいて、異物の有無を判定する。詳細には、異物判定部106は、対応する異物検出ユニットが取得した受光信号に基づいて、対応する箇所を通過した処理液内に異物が含まれているか否かを判定する。異物判定部106は、1回の処理液の供給ごとに、上記対応する箇所での異物の有無を判定してもよい。
【0072】
異物判定部106は、受光信号の信号強度の時間変化を分析して得られる評価値に応じて、異物の有無を判定してもよい。図7には、信号取得部104が取得した受光信号の信号強度の時間変化の一例が示されている。図7では、1回の処理液の供給期間Taで得られた受光信号が示されており、時刻t1,t2,t3において、信号強度が所定の強度閾値Th1を超えている。
【0073】
異物判定部106は、信号強度が、所定の強度閾値Th1を超えた回数をカウントした値を評価値として算出したうえで、その評価値(カウント値)が所定の評価閾値Th2を超えたか否かを判定してもよい。一例では、異物判定部106は、信号強度が強度閾値Th1を超えた回数が、評価閾値Th2を上回った場合に、その箇所(異物検出ユニットが配置される箇所)において上記事象が発生したと判定してもよい。なお、異物判定部106は、受光信号に基づいて(受光信号から得られる評価値に応じて)異物の有無を判定すれば、どのように評価値を算出してもよく、どのように異物の有無を判定してもよい。
【0074】
制御システム100の制御装置20は、機能モジュールとして、例えば、図6に示されるように、液処理制御部112と、判定結果蓄積部114と、発生源推定部116と、要因推定部118と、出力部122と、を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、制御装置20(制御システム100)が実行する処理に相当する。
【0075】
液処理制御部112は、処理対象のワークWに対して、処理液が供給されるように処理液供給部28を制御する。液処理制御部112は、例えば、ノズル30からの吐出を開始する際に、送液部40のポンプ42に処理液が補充され、且つその処理液が加圧された状態で、閉状態から開状態に遷移させるように吐出バルブ34を制御する。液処理制御部112は、例えば、処理液の供給開始後、予め設定された上記供給期間Taが経過したときに、ノズル30からの吐出を停止するために、開状態から閉状態に遷移させるように吐出バルブ34を制御する。供給期間Taにおいて処理液がワークWに対して供給されることで、1回の処理液の供給(1枚のワークWに対する1回の処理液の供給)が行われる。
【0076】
判定結果蓄積部114は、異物検出ユニット70A~70Cによる複数箇所それぞれの異物の検出結果(判定結果)を蓄積する。判定結果蓄積部114は、例えば、1回の処理液の供給ごとに、複数の制御部80の異物判定部106による複数箇所それぞれでの判定結果を取得したうえで、判定結果を蓄積する。判定結果蓄積部114は、処理液の供給回数(ワークWの処理枚数)に対応付けて、異物判定部106による判定結果を蓄積してもよい。この場合、判定結果蓄積部114は、異物検出ユニット70A~70Cそれぞれについて、処理液の供給回数と異物判定部106による判定結果とを対応付けて蓄積する。
【0077】
発生源推定部116は、異物検出ユニット70A~70Cによる複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、供給流路29の中から異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する。発生源推定部116は、上記事象が発生したと想定される区画を推定することによって、異物の発生源である部品を特定(推定)してもよい。発生源推定部116は、最もノズル30に近い位置に配置された異物検出ユニット70Aにおいて異物が検出されたときに、上記事象が発生したと想定される区画(異物の発生が継続している場合には、上記事象が発生している区画)を推定してもよい。以下では、図8も参照しながら、上記事象が発生したと想定される区画の推定方法の一例について説明する。
【0078】
図8には、異物検出ユニット70A~70Cそれぞれについて、供給回数に対する異物を検出するための評価値の推移を表すグラフが示されている。図8において、「70A」は、異物検出ユニット70Aにおいて取得された評価値(例えば、上述の強度閾値Th1を超えた回数)の推移を示す。「70B」は、異物検出ユニット70Bにおいて取得された評価値の推移を示しており、「70C」は、異物検出ユニット70Cにおいて取得された評価値の推移を示している。図8に示される例では、処理対象のワークWに対する処理液の供給回数が「tc」回であるときに、異物検出ユニット70Aにおいて取得された評価値が評価閾値Th2を上回っている。この場合、tc回の処理液の供給が実行された際に、異物検出ユニット70Aの制御部80によって、異物検出ユニット70Aが配置された箇所において異物が検出される。
【0079】
発生源推定部116は、異物検出ユニット70Aにおいて異物が検出された場合に、異物検出ユニット70B,70Cでの異物の有無についての過去の判定結果を参照する。発生源推定部116は、例えば、異物検出ユニット70Aで異物が検出されたときの供給回数から、所定の回数だけ遡った時点における他の検出ユニットの判定結果を参照する。この所定の回数は、異物検出ユニット70Aで異物が検出された際の処理液内の異物が、異物検出ユニット70Bの検出流路74を過去に通過したと想定される時点での判定結果を参照できるように設定されている。例えば、1回の処理液の供給での吐出量と、異物検出ユニット70Aと異物検出ユニット70Bとの間の配管容積との関係から、上記所定の回数が定められている。
【0080】
図8に示される例では、所定の回数が「b」回に設定されており、発生源推定部116は、供給回数が「tc-b」回であるときの異物検出ユニット70B,70Cでの判定結果を参照する。この場合、供給回数が(tc-b)回であるときに異物検出ユニット70Bの検出流路74を通過した処理液が、供給回数がtc回であるときに異物検出ユニット70Aの検出流路74を通過する(に到達する)。
【0081】
一例では、発生源推定部116は、所定の回数だけ遡った時点において、異物検出ユニット70B,70Cの双方で異物が検出されていなかった場合には、異物検出ユニット70Aと異物検出ユニット70Bとの間の区画で上記事象が発生していると推定する。この場合、発生源推定部116は、供給流路29のうちの、異物検出ユニット70A及び異物検出ユニット70Bの間に位置する区画に含まれる吐出バルブ34が異物の発生源であると推定してもよい。
【0082】
発生源推定部116は、所定の回数だけ遡った時点において、異物検出ユニット70Bで異物が検出され、且つ異物検出ユニット70Cで異物が検出されていなかった場合には、異物検出ユニット70Bと異物検出ユニット70Cとの間の区画で上記事象が発生していると推定する。この場合、発生源推定部116は、供給流路29のうちの、異物検出ユニット70B及び異物検出ユニット70Cの間に位置する区画に含まれるポンプ42及びフィルタ46の少なくとも一方が異物の発生源であると推定してもよい。図8には、このように推定される場合の判定結果が例示されている。
【0083】
発生源推定部116は、所定の回数だけ遡った時点において、異物検出ユニット70B,70Cの双方で異物が検出されていた場合には、異物検出ユニット70Cよりも上流の区画で上記事象が発生していると推定する。この場合、発生源推定部116は、供給流路29のうちの異物検出ユニット70Cよりも上流に位置する区画に含まれる供給源52、貯留タンク56、及びポンプ58の少なくとも1つが異物の発生源であると推定してもよい。
【0084】
上述の例において、発生源推定部116は、異物検出ユニット70Cについて、(tc-b)回から、1回の処理液の供給での吐出量と、異物検出ユニット70Bと異物検出ユニット70Cとの間の配管容積との関係から定まる所定回数だけ遡った時点での判定結果を参照してもよい。以上に例示したように、発生源推定部116は、上記事象が発生した(発生している)と想定される区画を推定することで、いずれの部品が異物の発生源であるかを推定してもよい。
【0085】
要因推定部118は、発生源推定部116が推定した区画に応じて、上記事象の発生の要因を推定する。上記事象の発生の要因とは、上記事象を発生させることとなった動作又は現象である。要因推定部118は、例えば、上記事象が生じたと推定した区画(推定した異物の発生源)と、異物発生の要因とを予め対応付けたテーブルを参照することで、上記事象の発生の要因を推定する。一例では、要因推定部118は、ポンプ42及びフィルタ46を含む区画で上記事象が発生したと推定されたときに、ポンプ又はフィルタの交換、処理液の滞留、及びポンプの動作条件の変更を、上記事象の発生の要因と推定する。本開示において、上記事象の発生の要因を推定することは、1つの要因を特定することだけを意味せず、複数の要因(要因の候補)を特定する場合も含まれる。
【0086】
出力部122は、供給流路29において異物が検出されたときに、発生源推定部116が推定した区画を示す情報を出力する。出力部122は、異物検出ユニット70Aにおいて異物が検出された場合に、推定した区画を示す情報を出力デバイス19に出力してもよい。この場合、出力デバイス19は、異物が検出されたこと、及び推定した区画を示す情報を表示してもよい。出力部122は、要因推定部118によって推定された上記事象の発生の要因(要因の候補)を示す情報も出力してもよい。
【0087】
図9は、制御部80及び制御装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。一つの制御部80は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えば制御部80は、回路150を有する。回路150は、一つ又は複数のプロセッサ152と、メモリ154と、ストレージ156と、入出力ポート158と、タイマ162と、通信ポート164とを有する。ストレージ156は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、異物検出ユニット70A~70Cにおいて実行される異物検出方法を制御部80に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。
【0088】
メモリ154は、ストレージ156の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ152による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ152は、メモリ154と協働して上記プログラムを実行することで、制御部80が有する各機能モジュールを構成する。入出力ポート158は、プロセッサ152からの指令に従って、照射部76及び受光部78等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ162は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。通信ポート164は、プロセッサ152からの指令に応じて、制御装置20との間で無線、有線、又はネットワーク回線等を介して通信を行う。
【0089】
制御部80が複数のコンピュータで構成される場合、各機能モジュールがそれぞれ、個別のコンピュータによって実現されていてもよい。あるいは、これらの各機能モジュールがそれぞれ、2つ以上のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。これらの場合、複数のコンピュータは、互いに通信可能に接続された状態で、上記異物検出方法を連携して実行してもよい。
【0090】
制御装置20は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。制御装置20は、例えば、回路170を有する。回路170は、一つ又は複数のプロセッサ172と、メモリ174と、ストレージ176と、入出力ポート178と、タイマ182と、通信ポート184とを有する。ストレージ176は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。記憶媒体は、後述の基板処理方法を塗布現像装置2に実行させるためのプログラムを記憶している。記憶媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。
【0091】
メモリ174は、ストレージ176の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ172による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ172は、メモリ174と協働して上記プログラムを実行することで、制御装置20が有する各機能モジュールを構成する。入出力ポート178は、プロセッサ172からの指令に従って、処理液供給部28、及び出力デバイス19等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ182は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。通信ポート184は、プロセッサ172からの指令に応じて、制御部80(上記通信ポート164)との間で無線、有線、又はネットワーク回線等を介して通信を行う。
【0092】
制御装置20が、複数のコンピュータで構成される場合、各機能モジュールがそれぞれ、個別のコンピュータによって実現されていてもよい。あるいは、これらの各機能モジュールがそれぞれ、2つ以上のコンピュータの組み合わせによって実現されていてもよい。これらの場合、複数のコンピュータは、互いに通信可能に接続された状態で、後述の基板処理方法を連携して実行してもよい。
【0093】
なお、制御部80及び制御装置20のハードウェア構成は、必ずしもプログラムにより各機能モジュールを構成するものに限られない。例えば制御部80及び制御装置20の各機能モジュールは、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成されていてもよい。
【0094】
(基板処理方法)
続いて、図10を参照しながら、異物検出を含む基板処理方法の一例として、制御部80及び制御装置20を含む制御システム100が実行する一連の処理について説明する。図10は、1枚のワークWに対して処理液が供給されるのに応じて実行される一連の処理を示すフローチャートである。
【0095】
この一連の処理では、処理対象のワークWに対して処理液の供給(吐出)が開始され、且つ各異物検出ユニットでの検出流路74への照射光の照射と受光部78による受光信号の生成とが開始された状態で、制御システム100がステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、制御部80が、処理対象のワークWに対する処理液の供給が完了するまで待機する。処理液の供給が完了するまでの間、各異物検出ユニットにおいて、制御部80の信号取得部104は、受光信号の取得を継続する。
【0096】
次に、制御システム100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、各異物検出ユニットにおいて制御部80の異物判定部106が、処理液内における異物の発生の有無を判定する。一例では、異物判定部106は、処理液の供給が継続された期間において得られる受光信号から評価値(例えば、信号強度が強度閾値Th1を超えた回数)を算出し、当該評価値を評価閾値Th2と比較することで、処理液内における異物の発生の有無を判定する。
【0097】
次に、制御システム100は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、制御装置20の判定結果蓄積部114が、各異物検出ユニットについてのステップS12での判定結果を蓄積(記憶)する。判定結果蓄積部114は、処理液の供給回数(ワークWの処理枚数)と各異物検出ユニットによる判定結果とを対応付けて蓄積してもよい。
【0098】
次に、制御システム100は、ステップS14を実行する。ステップS14では、例えば、制御装置20の発生源推定部116が、供給流路29に設けられた複数の異物検出ユニットのうちの最下流に配置された異物検出ユニット(上述の例では、異物検出ユニット70A)について、ステップS12において異物が検出された否かを判断する。
【0099】
ステップS14において、最下流に位置する異物検出ユニットにおいて異物が検出されたと判断された場合(ステップS14:YES)、制御システム100は、ステップS15を実行する。ステップS15では、例えば、発生源推定部116が、最下流に位置する異物検出ユニット以外の異物検出ユニットでの異物の有無についての過去の判定結果を参照したうえで、供給流路29のうちの異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する。一例では、発生源推定部116は、ステップS11を実行中に最下流に位置する異物検出ユニットを通過した処理液が、他の異物検出ユニット(上述の例では、異物検出ユニット70B,70C)を過去に通過した供給回数での判定結果を参照して、上記区画を推定する。
【0100】
次に、制御システム100は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、制御装置20の要因推定部118が、ステップS15で推定された区画に応じて、上記事象の発生の要因(要因の候補)を推定する。一例では、要因推定部118は、区画と上記事象の発生の要因とが予め対応付けられたテーブルを参照することで、上記事象の発生の要因を推定する。
【0101】
次に、制御システム100は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、制御装置20の出力部122が、異物が検出されたことと、ステップS15で推定された区画とを示す情報を出力デバイス19に出力する。出力部122は、ステップS16で推定された要因を示す情報も出力デバイス19に出力してもよい。出力部122からの情報の出力後に、出力デバイス19に出力された情報に応じたオペレータ等の指示に応じて、異物を取り除く処置が処理液供給部28において実行されてもよい。
【0102】
一方、ステップS14において、最下流に位置する異物検出ユニットにおいて異物が検出されていないと判断された場合(ステップS14:NO)、制御システム100は、ステップS15~S17を実行しない。制御システム100は、後続の複数のワークWそれぞれに対して処理液を供給する度に、ステップS11~S17(S14)の一連の処理を繰り返してもよい。
【0103】
(変形例)
上述した一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、制御システム100は、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。制御システム100は、いずれかのステップを省略してもよく、いずれかのステップにおいて上述の例とは異なる処理を実行してもよい。
【0104】
異物検出の原因となる事象が発生したと想定される区画の推定方法は、上述の例に限られない。上述の例では、最下流に位置する異物検出ユニットにおいて異物が検出されたときに区画の推定が行われるが、発生源推定部116は、いずれかの異物検出ユニットにおいて異物が検出されたときに、区画(異物の発生源)の推定を行ってもよい。例えば、発生源推定部116は、いずれかの異物検出ユニットにおいて異物が検出されたときに、その異物検出ユニットの上流に隣接して位置する区画において上記事象が発生したと推定する。
【0105】
一例では、発生源推定部116は、異物検出ユニット70Cにおいて異物が検出されたときに、補充部50に含まれる供給源52、貯留タンク56、及びポンプ58を含む区画において上記事象が発生したと推定する。発生源推定部116は、異物検出ユニット70Bにおいて異物が検出されたときに、送液部40に含まれるポンプ42及びフィルタ46を含む区画において上記事象が発生したと推定する。補充部50において上記事象が発生した際にも、供給回数の累積に伴って異物検出ユニット70Bでも異物が検出され得るが、この場合には、既に異物検出ユニット70Cにおいて異物が検出されているので、異物の発生源を含む区画を推定することが可能である。発生源推定部116は、異物検出ユニット70Aにおいて異物が検出されたときに、吐出バルブ34を含む区画において上記事象が発生したと推定する。
【0106】
要因推定部118は、各異物検出ユニットによる検出結果に加えて、他の情報を用いて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。塗布現像装置2は、図4に示されるように、流速測定部60を更に備えてもよい。流速測定部60は、ノズル30まで処理液を導く流路内を流れる処理液の流速(例えば、単位時間あたりの液の通過量)を測定する。流速測定部60は、いかなる方式で処理液の流速を測定してもよい。図4に示される例では、流速測定部60は、供給流路29のうちの吐出バルブ34と異物検出ユニット70Bとの間の流路に設けられている。
【0107】
図11には、流速測定部60によって測定される流速の時間変化の一例が示されている。図11に示されるグラフの各パルスが、1回の処理液の供給に対応する。流速測定部60を通過する処理液内に泡が含まれていない場合には、処理液の供給が継続されている期間での流速の時間変化は、略一定となる。一方、流速測定部60を通過する処理液内に泡が含まれている場合には、図11において拡大して示すグラフのように、処理液の供給が継続されている期間において流速が変動する。図11において拡大して示されるパルスは、図8に例示した(tc-b)回で異物検出ユニット70Bを通過した処理液が、流速測定部60を通過する際に検出された測定値である。以上のことから、泡を含む処理液が流速測定部60を通過する際の流速の変動を検出することで、異物として泡が含まれているか否かを推定することができる。
【0108】
要因推定部118は、流速測定部60による測定結果に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。要因推定部118は、例えば、送液部40内の部品が異物の発生源であると推定した場合に、異物検出ユニット70Bを通過した後の処理液が流速測定部60を通過する際の流速測定部60による流速の変動の程度に応じて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。一例では、要因推定部118は、流速の変動が所定レベルよりも大きい場合に、上記事象の発生の要因(要因の候補)を、ポンプ又はフィルタ交換に伴う泡の発生、処理液の滞留に伴う泡の発生、及びポンプの動作条件の変更に伴う泡の発生であると絞り込む。この場合、オペレータ等の指示に基づき、ポンプ又はフィルタまわりの泡抜き等の処置が施されてもよい。要因推定部118は、流速の変動が所定レベルよりも小さい場合に、泡の発生が要因ではないと推定してもよい。流速測定部60による測定結果は、処理液の供給ごとに、流速が安定しているか否かの確認に用いられてもよい。
【0109】
上記事象の発生の要因を絞り込む際に使用する情報は、上記の流速の変動に限られない。要因推定部118は、異物が検出された際のワークWへの処理液の供給頻度(吐出頻度)に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。異物が検出された時点を含む直前の所定期間内において、処理液の供給頻度が低い場合には、供給流路29内での処理液の滞留が生じていると推定できる。要因推定部118は、異物が検出された時点を含む直前の所定期間内での供給頻度に応じて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。
【0110】
要因推定部118は、例えば、送液部40内の部品が異物の発生源であると推定した場合に、異物検出ユニット70Bで異物が検出された時点を含む上記所定期間内での供給頻度に応じて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。一例では、要因推定部118は、上記所定期間内での供給頻度が所定の閾値よりも小さい場合に、上記事象の発生の要因が、処理液の滞留であると絞り込んでもよい。要因推定部118は、上記所定期間内での供給頻度が所定の閾値よりも大きい場合に、上記事象の発生の要因が、ポンプ又はフィルタ交換、及びポンプの動作条件の変更であると絞り込んでもよい。
【0111】
上述の例では、液処理ユニットU1は、1つの処理液供給部28を有するが、複数の処理液供給部28を有してもよい。この場合、液処理ユニットU1は、複数のノズル30と、複数のノズル30に処理液をそれぞれ供給するための複数の供給流路29とを有する。異物検出ユニット70A~70Cは、複数の供給流路29のそれぞれについて、複数箇所において異物を検出してもよい。制御システム100は、複数の供給流路29のそれぞれにおいて、上記事象が発生したと想定される区画(異物の発生源を含むと想定される区画)を推定してもよい。
【0112】
1つの異物検出ユニットが、1つの供給流路29に沿って位置が異なる複数箇所それぞれにおいて異物を検出するための部材を有してもよい。例えば、1つの異物検出ユニットは、ノズル30と吐出バルブ34との間に位置する検出流路74、吐出バルブ34と送液部40との間に位置する検出流路74、及び送液部40と補充部50との間に位置する検出流路74をそれぞれ形成する複数の流路形成部72を有してもよい。また、異物検出ユニットは、これらの検出流路74に対応する複数の照射部76と複数の受光部78とを有してもよい。この場合、1つの異物検出ユニットが、供給流路29上で複数箇所に設けられる複数の検出流路74において、異物の検出をそれぞれ行う複数の異物検出部を有する。
【0113】
塗布現像装置2は、供給流路29上の異なる位置で異物を検出する2個の異物検出ユニットを有してもよく、4個以上の異物検出ユニットを有してもよい。複数の異物検出ユニット(異物検出ユニット70A~70C)の配置は、上述の例に限られず、供給流路29上の異なる位置であればいずれの箇所であってもよい。異物の発生源となり得る部品は、上述の例に限られず、例えば、吐出バルブ34とは異なる位置で流路を開閉するバルブ、及び処理液の流路を形成する管を含んでもよい。送液部40は上述の例に限られず、フィルタとポンプとを有していれば、どのように構成されていてもよい。補充部50は、上述の例に限られず、送液部40に処理液を補充可能であれば、どのように構成されていてもよい。
【0114】
制御装置20が、供給流路29上の複数箇所それぞれでの異物の有無を判定する機能モジュールを有してもよい。この場合、制御部80は、異物判定部106を有していなくてもよい。異物検出ユニット70A~70Cのいずれか1つの制御部80が、上記事象が発生したと想定される区画を推定する機能モジュール、異物発生の要因を推定する機能モジュール、及び推定結果を出力する機能モジュールを有してもよい。この場合、異物検出ユニット70A~70Cの制御部80が互いに通信可能に接続されていてもよく、制御装置20が、上述した機能モジュールの一部を有していなくてもよい。
【0115】
(実施形態の効果)
以上に説明した第1実施形態に係る基板処理システム1は、処理液を吐出可能なノズル30と、処理液の供給源52と、ノズル30と供給源52との間を接続する供給流路29とを有し、ワークWに対して処理液を供給する処理液供給部28と、供給流路29に沿って位置が互いに異なる複数箇所に配置され、光の照射に伴い供給流路29内から出射された光を受光して得られる受光信号に基づいて、処理液に含まれる異物を検出する複数の異物検出部(異物検出ユニット70A~70C)と、複数の異物検出部による複数箇所それぞれでの検出結果に基づいて、供給流路29の中から、異物の検出の原因となる事象が発生した区画を推定する発生源推定部116と、を備える。
【0116】
上述の例とは異なり、異物が含まれた処理液のワークWへの供給を防止するために、ノズルと処理液の供給源との間の供給流路うちのノズルと吐出バルブとの間の1箇所に異物検出ユニットを配置して、処理液内の異物を検出する方法が考えられる。この方法では、処理液内に異物が発生したことを把握することができるが、当該異物検出ユニットの上流において上記事象がどのような要因で発生しているかを、検出結果から把握することができない。これに対して、基板処理システム1では、供給流路29上の複数箇所での異物の検出結果から、上記事象が発生した区画が推定される。そのため、その推定結果を利用することで、処理液供給部28において上記事象が発生した要因を容易に把握することが可能となる。
【0117】
処理液供給部28は、供給流路29内の処理液に含まれる異物を捕集するフィルタ46と、ノズル30に向けて処理液を送り出すポンプ42とを含む送液部40と、供給流路29のうちの送液部40とノズル30との間の流路を開閉する吐出バルブ34と、を有してもよい。複数の異物検出部は、ノズル30と吐出バルブ34との間の流路に配置された第1異物検出部(異物検出ユニット70A)と、吐出バルブ34と送液部40との間の流路に配置された第2異物検出部(異物検出ユニット70B)と、を有してもよい。この場合、第1異物検出部及び第2異物検出部による検出結果から、上記事象が発生したと想定される区画を、吐出バルブ34を含む区画か、それ以外の送液部40のポンプ42及びフィルタ46を含む区画のいずれかに推定することが可能となる。
【0118】
処理液供給部28は、供給源52から送液部40に処理液を補充する補充部50を更に有してもよい。複数の異物検出部は、補充部50と送液部40との間の流路に配置された第3異物検出部(異物検出ユニット70C)を更に有してもよい。この場合、第3異物検出部による検出結果も利用することで、吐出バルブ34を含まない区画(第2異物検出部よりも上流の区画)において、上記事象が発生したと想定される区画を、送液部40を含む区画か、補充部50を含む区画のいずれかに推定することが可能となる。
【0119】
基板処理システム1は、発生源推定部116が推定した区画に応じて、上記事象の発生の要因を推定する要因推定部118を更に備えてもよい。この場合、要因推定部118による要因の推定結果を利用することで、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0120】
基板処理システム1は、ノズル30まで処理液を導く流路内を流れる処理液の流速を測定する流速測定部60を更に備えてもよい。要因推定部118は、流速測定部60による測定結果に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。この場合、上記事象の発生の要因の推定結果が絞り込まれるので、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0121】
要因推定部118は、上記事象が発生した際のワークWへの処理液の供給頻度に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。この場合、上記事象の発生の要因の推定結果が絞り込まれるので、上記事象の発生の要因を更に容易に把握することが可能となる。
【0122】
[第2実施形態]
続いて、図12及び図13も参照しながら、第2実施形態に係る基板処理システム1について説明する。第2実施形態に係る基板処理システム1は、第1実施形態に係る基板処理システム1と同様に構成される。第2実施形態に係る基板処理システム1では、上述した埃、塵、及び泡等のパーティクルに代えて、処理液に混在する他の薬液が異物として検出される。すなわち、本開示において、処理液内の「異物」には、上述した埃、塵、及び泡等のパーティクルに加えて、処理液とは異なる成分を有する薬液が含まれる。第1実施形態に係る基板処理システム1では、評価値に基づきパーティクル等が検出されるのに対して、第2実施形態に係る基板処理システム1は、処理液内の他の薬液を検出するために、背景光の強度を利用する。
【0123】
背景光とは、パーティクルの有無に関係なく、処理液への光の照射に伴い検出流路74から出射(例えば、散乱)される光である。図7に示されるように、埃等のパーティクルの有無によって検出流路74内(処理液内)での照射光の散乱の程度が変化するので、パーティクルの有無によって信号強度の大きさが変化する。散乱光に応じた受信信号には、パーティクルが含まれていない状態での背景光に応じた信号Ibと、パーティクルが含まれる状態での当該パーティクルからの散乱光に応じた信号Isとが含まれる。なお詳細には、信号Isは、背景光とパーティクルによって散乱される散乱光とに応じた信号である。
【0124】
背景光に応じた信号Ibには、処理液内に通常含まれる物質からの散乱光に応じた成分と外乱に応じた成分とが含まれ得る。処理液内に通常含まれる物質としては、ベース樹脂(ベースポリマー)が挙げられる。異物検出ユニット70は、上述の受光信号から、検出流路74から出射される光に含まれる背景光の強度を取得する。異物検出ユニット70は、処理液等の薬液の種別に応じて、背景光の強度が変化することを利用して、処理液内に混入した他の薬液を異物として検出する。以下では、処理モジュール12の液処理ユニットU1が、レジスト膜を形成するための処理液(以下、「処理液Lr」という。)をワークWに対して供給する場合を例示する。
【0125】
供給流路29において、処理液Lrに他の薬液が混入してしまう場合がある。他の薬液は、例えば、洗浄液Lcである。図12には、処理液Lr及び洗浄液Lcそれぞれを供給した場合の背景光の強度についての計測結果が示されている。図12では、縦軸が背景光の強度[mW]を示している。背景光の強度は、受光信号において、所定期間における強度の時間平均を演算することで求められる。図12に示されるグラフから、薬液の種別によって背景光の強度が異なることがわかる。具体的には、処理液Lrを供給する場合と洗浄液Lcを供給する場合とで、背景光の強度が互いに異なることがわかる。また、背景光の強度は、薬液の種別が同じであれば、略一定のレベルを有することがわかる。
【0126】
供給流路29内において薬液の置換が行われたときに、処理液Lrに他の薬液が混在し得る。液処理ユニットU1は、塗布現像装置2におけるワークWに対する処理が継続される間、各ワークWに対する処理液Lrの供給を継続して実行する。ワークWに対する処理が継続される間に、処理を中断して、液処理ユニットU1においてメンテナンスが行われる場合がある。メンテナンスの一例としては、処理液供給部28に含まれるフィルタ46等の部品の交換が挙げられる。
【0127】
メンテナンスが実行される際には、供給流路29内が処理液Lrから洗浄液Lcに置き換えられる。そして、メンテナンス終了後に処理を再開する際には、供給流路29内が処理液Lrに再度置き換えられる。例えば、処理を再開する際に、洗浄液Lcから処理液Lrへの置換が十分に行われていないと、ワークWに対する処理中において、処理液Lrに洗浄液Lcの一部が混在し得る。
【0128】
図12に示されるグラフでは、横軸が供給回数を示している。処理液Lrの供給が継続された後に、供給回数が「tc1」回において、洗浄液Lcへの置換が行われ、供給回数が「tc2」回において、処理液Lrに再度置換されている。tc1回及びtc2回の直後の期間において背景光の強度が安定していないのは、処理液Lrと洗浄液Lcとが混在しており、薬液の置換が完了していないためと考えられる。背景光の強度が薬液の種別に依存する特性を利用して、薬液の置換を完了させた後に(置換が完了したと想定される供給回数以降において)、背景光の強度を計測することで、薬液の置換不足を検出することができる。
【0129】
制御装置20及び制御部80は、図10に示される一連の処理と同様に処理を実行する。ステップS12において、複数の異物検出ユニット70A~70Cそれぞれは、供給流路29から出射される光(例えば、散乱光)に含まれる背景光の強度を示す強度情報に基づいて、処理液Lrに異物が含まれるか否かを判定する。一例では、各異物検出ユニットが有する制御部80の異物判定部106は、受光信号から、対応する検出流路74における散乱光に含まれる背景光の強度を示す強度情報を取得する(背景光の強度を算出する)。異物判定部106は、強度情報によって示される背景光の強度が、処理液Lrに応じたレベルであるか否かを判定する。
【0130】
異物判定部106は、背景光の強度が処理液Lrに応じた所定レベル(所定範囲)から外れている場合に、対応する検出流路74において洗浄液Lcが異物として混在していると判定する。異物判定部106は、処理液Lrから洗浄液Lcへの置換が行われた際に、他の制御装置からの入力又はユーザ入力に基づいて、供給流路29内の全体において置換が完了したことを示す信号を取得してもよい。異物判定部106は、供給流路29内の全体において置換が完了したことを示す信号を取得した以降の供給回数において、背景光に基づく異物の検出を実行してもよい。例えば、薬液の液源(ボトル)を交換した後に、所定回数だけ薬液をノズル30から吐出した時点で、置換が完了したと判定されてもよい。
【0131】
発生源推定部116は、異物検出ユニット70A~70Cによる複数箇所それぞれでの背景光の強度情報を利用した検出結果に基づいて、供給流路29の中から洗浄液Lcが混在した事象が発生した区画を推定する。発生源推定部116は、最もノズル30に近い位置に配置された異物検出ユニット70Aにおいて洗浄液Lcの混在が検出されたときに、洗浄液Lcの混在が発生した区画(異物検出の原因となる事象が発生した区画)を推定してもよい。以下では、図13を参照しながら、洗浄液Lcの混在が発生したと想定される区画の推定方法の一例について説明する。
【0132】
図13には、異物検出ユニット70A~70Cそれぞれについて、供給回数に対する背景光の強度の推移を表すグラフが示されている。図13において、「70A」は、異物検出ユニット70Aにおいて取得された背景光の強度の推移を示す。「70B」は、異物検出ユニット70Bにおいて取得された背景光の強度の推移を示しており、「70C」は、異物検出ユニット70Cにおいて取得された背景光の強度の推移を示している。
【0133】
「TLv」は、検出流路74内に洗浄液Lcが満たされているときの背景光の強度のレベル(範囲)である。「RLv」は、検出流路74内に処理液Lrが満たされているときの背景光の強度のレベル(範囲)である。洗浄液Lc又は処理液Lrに応じた背景光の強度レベルTLv,RLvは、予め測定されている。図13に示される例では、洗浄液Lc又は処理液Lrの薬液の供給回数が「tc2」回であるときに、洗浄液Lcから処理液Lrへの置換が開始されている。洗浄液Lcから処理液Lrへの置換開始後、上流から順に、背景光の強度の計測値が、洗浄液Lcに応じた強度レベルTLvから処理液Lrに応じた強度レベルRLvに変化していく。
【0134】
薬液の供給回数が「ts」回であるときに、異物検出ユニット70Aにおいて、背景光の強度が、処理液Lrに応じた強度レベルRLvから外れており、処理液Lrに洗浄液Lcが混在していると判定される。供給回数がts回である時点で、制御部80(異物判定部106)は、置換が完了したことを示す信号を取得している。異物検出ユニット70Aにおいて、洗浄液Lcの混在が発生していなければ、点線で示すグラフのように、ts回の時点で背景光の強度は処理液Lrに応じた強度レベルRLvに達している。
【0135】
発生源推定部116は、異物検出ユニット70Aにおいて洗浄液Lcの混在が検出された場合に、異物検出ユニット70B,70Cでの異物の有無についての過去の判定結果を参照する。発生源推定部116は、例えば、ts回から所定の回数(「b」回)だけ遡った時点における他の検出ユニットの判定結果を参照する。この所定の回数は、図8に示される例と同様に、異物検出ユニット70Aで検出された処理液内の洗浄液Lcが異物検出ユニット70Bの検出流路74を過去に通過したと想定される時点での判定結果を参照できるように設定されている。
【0136】
一例では、発生源推定部116は、所定の回数だけ遡った時点(「ts-b」回)において、異物検出ユニット70B,70Cの双方で洗浄液Lcの混在が検出されていなかった場合には、異物検出ユニット70Aと異物検出ユニット70Bとの間の区画で洗浄液Lcの混在が発生している(発生した)と推定する。発生源推定部116は、(ts-b)回の時点において、異物検出ユニット70Bで洗浄液Lcの混在が検出され、且つ異物検出ユニット70Cで洗浄液Lcの混在が検出されていなかった場合には、異物検出ユニット70Bと異物検出ユニット70Cとの間の区画で洗浄液Lcの混在が発生している(発生した)と推定する。図13には、このように推定される場合の判定結果が例示されている。
【0137】
発生源推定部116は、所定の回数だけ遡った時点において、異物検出ユニット70B,70Cの双方で洗浄液Lcの混在が検出されていた場合には、異物検出ユニット70Cよりも上流の区画で洗浄液Lcの混在が発生している(発生した)と推定する。要因推定部118は、異物判定部106による背景光の強度に基づく検出結果と、発生源推定部116が推定した区画とに基づいて、上記事象の発生の要因を推定する。発生源推定部116は、図13に示される例の判定結果が得られた際に、フィルタ46又はポンプ42内において薬液の置換不足が、異物検出の原因となる事象の要因であると推定してもよい。
【0138】
フィルタ46内において薬液が混在してしまう事象として、以下のものが考えられる。処理液Lrを用いた処理の開始前に供給流路29の配管内を洗浄するために通液させた洗浄液Lcが、フィルタ46内部の狭小領域(図示しないが異物を捕集する材料の内部流路など)に滞留してしまい、滞留した洗浄液Lcが排出されない可能性がある。この場合、洗浄液Lcの一部が排出されない状態で、処理液Lrが供給流路29の配管内に充填されてしまう。フィルタ46内部の狭小領域では供給流路29内の他の流路に比べて圧力損失が高くなりやすいので、処理液Lrを充填した際にすぐに溶出されずに、実処理時の送液のための圧力制御において不意のタイミングで洗浄液Lcが溶出し得る。
【0139】
第2実施形態に係る基板処理システム1に対して、第1実施形態で示される例が適用されてもよい。異物検出ユニット70は、受光信号から得られる評価値に基づくパーティクルの検出と、背景光の強度を示す強度情報に基づく他の薬液の混在の検出とを実行してもよい。評価値に基づく検出では、受光信号の瞬時値の変動に基づき異物が検出されるのに対して、強度情報に基づく検出では、受光信号の全体における時間平均の大きさに基づき異物が検出される。異物検出ユニット70は、評価値に基づく検出及び強度情報に基づく検出の少なくとも一方において異物を検出した場合に、対応する検出流路74内の処理液に異物が含まれていると判定してもよい。
【0140】
要因推定部118は、強度情報に基づく検出において異物が検出された場合に、上述の例と同様に、供給流路29内を流れる処理液の流速の計測結果に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。要因推定部118は、強度情報に基づく検出において異物が検出された場合に、上述の例と同様に、上記事象が発生した際のワークWへの処理液の供給頻度に基づいて、上記事象の発生の要因を絞り込んでもよい。
【0141】
強度情報に基づく検出において異物が検出された場合に、オペレータ等の指示に基づき、他の薬液(洗浄液Lc)を排出する処置が施されてもよい。他の薬液を排出する処理の一例では、背景光の強度が処理液(処理液Lr)に応じた強度レベルに達するまで、処理液Lrの送液状態が維持される。この処置において、排液可能な待機バス上でのダミー吐出が、実際に処理液LrをワークWに供給するときよりも連続的に加圧する時間を短くした状態で、繰り返し行われてもよい。このように圧力変動の頻度を増加させることで、滞留した洗浄液Lcが処理液Lrに溶出することを促すことができる。
【0142】
泡の発生に起因した異物の検出と薬液の置換不足に起因した異物の検出とが、略同一のタイミングで行われる場合もある。例えば、送液部40と吐出バルブ34との間で評価値に基づく検出及び強度情報に基づく検出により、略同一のタイミングで処理液内に異物が発生していると推定される場合がある。この場合、要因推定部118は、フィルタ46又はポンプ42での泡の存在と、フィルタ46での他の薬液の滞留との2つの要因があると推定してもよい。
【0143】
2つの要因が推定された場合に、背景光の強度が処理液に応じた強度レベルに達するまで、ダミー吐出が継続されてもよい。泡が存在する状態で背景光の強度が先に安定した場合には、断続的にダミー吐出を行っていた状態から、ダミー吐出時の圧力の増減の切替え頻度を少なくして、振動による微小泡の増加リスクを抑え、泡の低減をより促してもよい。このように、要因推定部118(制御装置20)は、異物の検出の原因となる複数の事象を推定した場合に、推定後の基板処理システム1におけるダミー吐出といった処置動作又は他動作の進行に伴い、その後の各事象の推移を監視してもよい。例えば、要因推定部118は、異物検出ユニット70A~70Cにおける受光信号に基づいて、複数の事象のうちのどの事象が安定したか、すなわち、どの事象の影響が解消したかを順次判断してもよい。要因推定部118(制御装置20)によって、事象の安定が順次判断され、ある時点でまだ安定していない事象に応じた必要な処置動作が判断されることで、複数の事象が発生した場合に効率的な安定化を図ることができる。
【0144】
以上に説明した第2実施形態に係る基板処理システム1においても、第1実施形態と同様に、処理液供給部28において異物の検出の原因となる事象が発生した要因を容易に把握することが可能となる。また、出射光に含まれる背景光の強度を示す強度情報に基づいて、処理液内の別の薬液を異物として検出することで、処理液等の薬液の置換不足を容易に検出することが可能となる。
【符号の説明】
【0145】
1…基板処理システム、2…塗布現像装置、20…制御装置、U1…液処理ユニット、28…処理液供給部、29…供給流路、30…ノズル、34…吐出バルブ、40…送液部、42…ポンプ、46…フィルタ、50…補充部、52…供給源、60…流速測定部、70,70A,70B,70C…異物検出ユニット、116…発生源推定部、118…要因推定部、W…ワーク。
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