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特許7565444アモルファスシリコン及び酸化による薄い酸化物層の成長
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-02
(45)【発行日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アモルファスシリコン及び酸化による薄い酸化物層の成長
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L21/316 C
H01L21/205
H01L21/31 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023524570
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2021050601
(87)【国際公開番号】W WO2022086649
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】17/076,807
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オルセン, クリストファー エス.
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-186905(JP,A)
【文献】特開2009-117793(JP,A)
【文献】特開2007-019468(JP,A)
【文献】特開平10-025627(JP,A)
【文献】特開2002-076346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
H01L 21/205
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)、及びナノワイヤ電界効果トランジスタ(FET)などの半導体デバイスに、ゲート酸化物層として使用される酸化物層を形成するための方法であって、
結晶シリコン基板に形成された凹型形状のフィーチャの内面酸化ケイ素を含む界面層を形成することと、
前記界面層上にアモルファスシリコン層をコンフォーマルに堆積して形成することと、
形成された前記アモルファスシリコン層の一部分であって、前記フィーチャの底部部分のみを直接的かつ選択的に酸化して、アモルファスシリコンの酸化物層を形成する、直接酸化プロセスを実施することと、
形成された前記アモルファスシリコン層の残りの酸化されていない側壁部分であって、前記フィーチャの前記底部部分以外の部分に形成された部分を酸化させてアモルファスシリコンの酸化物を形成する、熱酸化プロセスを実施することと
を含み、
前記フィーチャは、8:1と10:1との間のアスペクト比を有する、方法。
【請求項2】
前記界面層が、Åと10Åとの間の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アモルファスシリコン層を形成することが、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスにおいて、前記フィーチャ内面をシリコン前駆体に曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アモルファスシリコン層が、20Åと35Åとの間の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記直接酸化プロセスが、酸素プラズマイオンを、前記フィーチャの選択された底部部分に方向付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱酸化プロセスが、前記フィーチャ内面を酸素ラジカルに曝露することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)、及びナノワイヤ電界効果トランジスタ(FET)などの半導体デバイスに、ゲート酸化物層として使用される酸化物層を形成するための方法であって、
結晶シリコン基板に形成された凹型形状のフィーチャの内面にアモルファスシリコン層をコンフォーマルに堆積して形成することと、
形成された前記アモルファスシリコン層の一部分であって、前記フィーチャの底部部分のみを直接的かつ選択的に酸化して、アモルファスシリコンの酸化物層を形成する、直接酸化プロセスを実施することと、
形成された前記アモルファスシリコン層を直接的に酸素ラジカルに曝露することにより、形成された前記アモルファスシリコン層の前記底部部分以外の部分に形成された残りの酸化されていない側壁部分を酸化させてアモルファスシリコンの酸化物を形成す熱ラジカル酸化プロセスを実施することと
を含み、
前記フィーチャは、8:1と10:1との間のアスペクト比を有する、方法。
【請求項8】
前記フィーチャの内面に界面層を形成すること
をさらに含み、前記界面層が、酸化ケイ素を含み、かつ、2Åと10Åとの間の厚さを有する、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記アモルファスシリコン層を形成することが、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスにおいて、前記フィーチャの内面をシリコン前駆体に曝露することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記アモルファスシリコン層が、20Åと35Åとの間の厚さを有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
熱酸化プロセスが、前記フィーチャの内面を酸素ラジカルに曝露することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記直接酸化プロセスが、酸素プラズマイオンを、前記フィーチャの内面の選択された底部部分に方向付けることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)、及びナノワイヤ電界効果トランジスタ(FET)などの半導体デバイスに、ゲート酸化物層として使用される酸化物層を形成するための方法であって、
シリコン基板に形成された凹型形状のフィーチャの内面にアモルファスシリコン層を、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスにおいて前記シリコン基板フィーチャの内面をシリコン前駆体に曝露することによりコンフォーマルに堆積して形成することと、
形成された前記アモルファスシリコン層の一部分であって、前記フィーチャの底部部分のみを直接的かつ選択的に酸化して、アモルファスシリコンの酸化物層を形成する、直接酸化プロセスを実施することと、
形成された前記アモルファスシリコン層を直接的に酸素ラジカルに曝露することにより、形成された前記アモルファスシリコン層の前記底部部分以外の部分に形成された残りの酸化されていない側壁部分を酸化させてアモルファスシリコンの酸化物を形成す熱酸化プロセスを実施して、前記シリコン基板上に酸化物層を形成することと
を含み、
前記フィーチャは、8:1と10:1との間のアスペクト比を有する、方法。
【請求項14】
前記フィーチャの内面に前記アモルファスシリコン層を形成する前に、前記フィーチャの内面に界面層を形成すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記界面層が、酸化ケイ素を含み、かつ、2Åと10Åとの間の厚さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記アモルファスシリコン層が、20Åと35Åとの間の厚さを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記熱酸化プロセスが、前記フィーチャの内面を酸素ラジカルに曝露することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記直接酸化プロセスが、酸素プラズマイオンを前記フィーチャの内面の選択された底部部分に方向付けることを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書に記載の実施形態は、概して半導体デバイスの製造に関し、より詳細には、高アスペクト比の半導体構造において高品質の薄い酸化物層を形成する方法に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]シリコン集積回路の生産は、チップ上のフィーチャの最小サイズを低減しながらデバイスの数を増やすために、製造プロセスに困難な要求が課されてきた。このような要求は、デバイスの信頼性を維持しながら、困難なトポロジー上に層を堆積させることを含む製造プロセスに及んでいる。例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)は、10:1以上のアスペクト比を有する場合があり、薄くて信頼性の高いゲート酸化物層を必要とする。
【0003】
[0003]このような構造に酸化物層を形成する従来の方法は、2つの課題の一方又は両方を有している。1つ目の課題は、熱酸化成長のための高いケイ素消費量である。つまり、高アスペクト比の構造のために、酸化物層を薄く形成することができない。2つ目の課題は、堆積により形成された酸化物層の品質が低いことであり、内部に欠陥やトラップが含まれる可能性があり、よってデバイスの信頼性低下を招く。
【0004】
[0004]したがって、薄い高品質の酸化物層を形成し、ケイ素の消費量と形成される酸化物層の欠陥とを最小限に抑えるための改良されたプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本開示の実施形態は、酸化物層を形成するための方法を提供する。この方法は、基板上に界面層を形成することと、界面層上にアモルファスシリコン層を形成することと、形成されたアモルファスシリコン層を選択的に酸化させる直接酸化プロセスを実施することと、形成されたアモルファスシリコン層を酸化させる熱酸化プロセスを実施することとを含む。
【0006】
[0006]本開示の実施形態はまた、酸化物層を形成するための方法を提供する。この方法は、基板上にアモルファスシリコン層を形成することと、形成されたアモルファスシリコン層を酸化させる熱酸化プロセスを実施することとを含む。
【0007】
[0007]本開示の実施形態は、さらに、酸化物層を形成するための方法を提供する。この方法は、シリコン基板上にアモルファスシリコン層を、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスにおいてシリコン基板をシリコン前駆体に曝露することにより形成することと、形成されたアモルファスシリコン層を酸化させる熱酸化プロセスを実施して、シリコン基板上に酸化物層を形成することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
[0008]本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のさらに詳細な記載が、実施形態を参照することによって得ることができ、そのうちのいくつかが添付図面で例示される。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付図面は、この開示の典型的な実施形態例示しているにすぎず、したがって本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【0009】
図1】[0009]一実施形態による基板処理システムの概略図である。
図2】[0010]一実施形態による基板処理システムの概略図である。
図3】[0011]一実施形態による半導体構造において酸化物層を形成する方法のプロセスフロー図である。
図4A-B】[0012]一実施形態によるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)構造の概略図である。
図4C-D】一実施形態によるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)構造の概略図である。
図4E】一実施形態によるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)構造の概略図である。
【0010】
[0013]理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0014]本明細書の実施形態は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)、及び薄いナノワイヤ電界効果トランジスタ(FET)などの半導体デバイスに高品質の薄い酸化物層を形成する方法を目的としている。このようなデバイスのゲート酸化物層として使用され得る薄い酸化物層は、まず基板上にアモルファスシリコンを堆積させ、次いで直接プラズマ酸化プロセス及び熱酸化プロセスによってアモルファスシリコンを酸化させることによって形成され得る。
【0012】
[0015]酸化物層を形成するための本明細書に記載の方法は、ケイ素の消費を低減し、形成された酸化物層の品質を向上させ得る。また、本明細書に記載の方法は、酸化物層の厚さを選択的に調整する能力を提供する。例えば、基板の凹型形状フィーチャ内に形成される酸化物層は、プラズマイオンを凹型形状フィーチャの底部に方向づけることにより、凹型形状フィーチャの底部において厚くすることができる。
【0013】
[0016]図1は、本明細書に記載の方法の態様を実施するために使用され得る基板処理システム100を概略的に示している。基板処理システム100は、カリフォルニア州サンタクララのアアプライドマテリアル社(Applied Materials,Inc.)から入手可能なデカップリングプラズマ酸化(DPO:Decoupled Plasma Oxidation)リアクタであってもよい。
【0014】
[0017]基板処理システム100は、円筒形の側壁104と、ドーム形状(図1に示す)、平坦、又は他の形状寸法であってよい天井106とを有するチャンバ102を含む。基板処理システム100は、パルス波又は連続波(CW)RF発電装置によって駆動される誘導結合プラズマ(ICP)源電力アプリケータを介して、低イオンエネルギープラズマを提供し得る。誘導結合プラズマ源電力アプリケータは、天井106の上に配置された、インピーダンス整合ネットワーク110を通してRF発電装置112を含むRF電源に結合されたコイルアンテナ108と、選択されたデューティサイクルを有するパルス信号によって制御される、RF発電装置112の出力にあるゲート114とを含んでいる。遠隔RF又はマイクロ波プラズマ源といった他の低イオンエネルギー生成プラズマ源電力アプリケータも同様に利用され得ることが企図される。代替的に、発電装置は、パルスDC発電機とすることもできる。基板処理システム100は、トランス結合プラズマ(TCP)源又はマイクロ波プラズマ源を含み得る。
【0015】
[0018]基板処理システム100は、基板W、例えば200mm又は300mmの半導体ウエハなどを保持するための、基板支持ペデスタル116、例えば静電チャック又は他の適切な基板支持体をさらに含んでいる。基板支持ペデスタル116は、典型的には、基板支持ペデスタル116の頂面の下にヒータ118などの加熱装置を含む。ヒータ118は、図1に示されるように、半径方向内側及び外側の加熱要素118A、118Bを有するデュアルラジアルゾーンヒータといった、単一又は複数のゾーンヒータであってよい。
【0016】
[0019]基板処理システム100は、チャンバ102の内部に結合されたガス注入システム120及び真空ポンプ122をさらに含んでいる。ガス注入システム120は、1つ又は複数のプロセスガス源、例えば、O、NO、NO、NO、HO、H、及びHを含む酸化性ガスを供給するための酸化性ガス容器124、水素などの還元ガスを供給するための還元ガス容器126、又は特定の用途、例えば、He、Ar、若しくはNといった窒化ガスに必要とされる他のプロセスガス源に供給される。ガス源(例えば、酸化性ガス容器124、還元ガス容器126、及びエッチングガス容器128など)にそれぞれ結合された流量制御バルブ130、132、及び134は、処理中にプロセスガス又はプロセス混合ガスをチャンバ102の内部に選択的に提供するために利用され得る。不活性ガス(ヘリウム、又はアルゴンなど)、又はガス状混合物などといった追加のガスを提供するための他のガス源(図示せず)も提供されてよい。チャンバ圧力は、真空ポンプ122のスロットルバルブ136によって制御され得る。
【0017】
[0020]ゲート114に出力されるパルスRF電力のデューティサイクルは、その出力がゲート114に結合されるパルス発生器138のデューティサイクルを制御することによって制御され得る。プラズマは、コイルアンテナ108によって囲まれた天井106下の体積に対応するイオン発生領域140において生成される。プラズマは、基板Wから離れたチャンバ102の上部領域に形成されるので、準遠隔プラズマと呼ばれる(例えば、プラズマは、遠隔プラズマ形成の利点を有するが、基板Wと同じ処理チャンバ102内で形成される)。
【0018】
[0021]動作において、基板処理システム100は、本発明の実施形態に従って酸化プロセスを実行するために利用され得る。プラズマは、天井106の上に配置されたコイルアンテナ108からのRFエネルギーの誘導結合を介してチャンバ102のイオン発生領域140に形成され、低いイオンエネルギー(例えば、パルスプラズマについては約5eV未満、CWプラズマについては25eV未満)を提供する。
【0019】
[0022]いくつかの実施形態では、約25から5000ワットの電力が、プラズマを形成するために適した周波数(例えば、MHz又はGHz単位の範囲、又は約13.56MHz以上)でコイルアンテナ108に提供され得る。電力は、約2パーセントと70パーセントとの間のデューティサイクルで、連続波モード又はパルスモードで提供され得る。
【0020】
[0023]例えば、いくつかの実施形態では、プラズマは、連続する「オン」時間の間に生成され、プラズマのイオンエネルギーは、連続する「オフ」間隔の間に減衰することが許容され得る。「オフ」間隔は、連続する「オン」間隔を分離し、「オン」間隔及び「オフ」間隔が、制御可能なデューティサイクルを規定する。デューティサイクルは、基板の表面での運動イオンエネルギーを、所定の閾値エネルギー未満に制限する。いくつかの実施形態では、所定の閾値エネルギーは、約5eV以下である。
【0021】
[0024]例えば、パルスRF電力の「オン」時間の間にプラズマエネルギーは増加し、「オフ」時間の間に減少する。短い「オン」時間の間、プラズマは、コイルアンテナ108によって囲まれた体積に概ね対応するイオン発生領域140で生成される。イオン発生領域140は、基板Wの上方で有意な距離LDだけ高くされている。「オン」時間の間に天井106近傍のイオン発生領域140で発生したプラズマは、「オフ」時間の間に基板Wに向かって平均速度VDでドリフトする。各「オフ」時間の間に、最も速い電子がチャンバ壁に拡散し、プラズマが冷却される。最もエネルギーの高い電子は、プラズマイオンのドリフト速度VDよりもはるかに高い速度でチャンバ壁に拡散する。したがって、「オフ」時間の間、プラズマイオンのエネルギーは、イオンが基板Wに到達する前に大幅に減少する。次の「オン」時間の間に、さらに多くのプラズマがイオン発生領域140に生成され、サイクル全体が繰り返される。結果として、基板Wに到達するプラズマイオンのエネルギーは大幅に低減される。より低いチャンバ圧力、すなわち10mT付近及びそれ以下の領域では、パルスRFの場合のプラズマエネルギーは、連続RFの場合よりも大きく低減される。
【0022】
[0025]パルスRF電力波形の「オフ」時間及びイオン発生領域140と基板Wとの間の距離LDはいずれも、イオン発生領域140に発生したプラズマが、基板Wに到達したときにイオン衝突損傷又は欠陥をほとんど又はまったく生じないように、そのエネルギーの十分な量を失うのに十分でなければならない。特に、「オフ」時間は、約2kHzと30kHzとの間、又は約10kHzのパルス周波数、及び約5%と20%との間の「オン」デューティサイクルによって規定される。したがって、いくつかの実施形態では、「オン」間隔は、約5マイクロ秒と約50マイクロ秒との間、又は約20マイクロ秒間持続し、「オフ」間隔は、約50マイクロ秒と約95マイクロ秒との間、又は約80マイクロ秒間持続し得る。「オフ」時間は、イオンがより遠くに移動することができ、偏向することができないように、ウエハフィーチャにおける電荷種の放電及び中性化を可能にするために重要である。
【0023】
[0026]発生するプラズマは、低圧のプロセスで形成することができ、汚染に起因する欠陥の可能性を低下させる。例えば、いくつかの実施形態では、チャンバ102は、約2mTorrと約500mTorrとの間の圧力に維持され得る。さらに、約10mTorr未満のこのような低いチャンバ圧力で予想され得るクリッピングなどのイオン衝突誘発欠陥は、準遠隔プラズマ源を使用することにより、及び任意で上記のようにプラズマ源電力をパルス状することにより、制限又は防止され得る。
【0024】
[0027]基板は、室温(約22℃)近傍、又は約20~750℃の間の温度、又は約700℃未満、又は約600℃未満の温度に維持することができる。いくつかの実施形態では、遠隔プラズマ酸化プロセスにおける約800℃未満といったより高い温度も同様に利用され得る。
【0025】
[0028]図2は、本明細書に記載の方法の態様を実施するために使用され得る基板処理システム200を概略的に示している。基板処理システム200は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なRTP CENTURA(登録商標)などの急速熱処理(RTP)装置であってよいが、これに限定されない。カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能なEPI CENTURA(登録商標)などの他の種類の熱リアクタをRTP装置に代えてもよい。カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能な遠隔プラズマ酸化(RPO)リアクタを含む他の適切なプラズマリアクタも利用され得る。
【0026】
[0029]基板処理システム200は、熱処理チャンバ202と、熱処理チャンバ202に結合し、熱処理チャンバ202の処理領域206にプラズマのラジカルを遠隔で提供するために使用される前駆体活性化装置204とを含んでいる。前駆体活性化装置204は、例えば、無視できるイオンを含む高ラジカルリッチ混合物を作るガスにエネルギーを適用することによって、活性化プラズマ混合ガスを提供するために使用することもできる。処理領域206は、1つ又は複数の側壁208(例えば、4つの側壁)と基部210とによって取り囲まれている。側壁208の上部は、窓アセンブリ212に(例えば、「O」リングを使用して)シールされ得る。放射エネルギーアセンブリ212は、窓アセンブリ212の上に配置され、同窓アセンブリに結合されている。放射エネルギーアセンブリ214は、タングステンハロゲンランプであってよい複数のランプ216を有し、これらランプの各々はレセプタクル218に取り付けられて、処理領域206内へと電磁放射を放出するよう配置されている。図2の窓アセンブリ212は複数の光パイプ220を有するが、窓アセンブリ212は、光パイプを有さない平坦な中実の窓を有するだけでもよい。窓アセンブリ212は、外壁222(例えば、円筒形の外壁)を有し、この外壁は、窓アセンブリ212をその周囲の周りで取り囲むリムを形成する。窓アセンブリ212は、複数の光パイプ220の第1の端部を覆う第1の窓224と、第1の端部とは反対側にある複数の光パイプ220の第2の端部を覆う第2の窓226も有している。第1の窓224及び第2の窓226は、窓アセンブリ212の外壁222まで延びて同外壁116に係合し、複数の光パイプ220を含む窓アセンブリ212の内部を取り囲んでシールする。このような場合、光パイプが使用されるとき、外壁222を通る導管228を通して複数の光パイプ220のうちの1つに真空を適用することによって、複数の光パイプ220内に真空を生成することができる。真空が適用された光パイプのうちの1つは、残りの光パイプに流体的に接続されている。
【0027】
[0030]基板Wは、処理領域206内の支持リング230によって、熱処理チャンバ202内に支持されている。支持リング230は、回転可能なシリンダ232上に取り付けられている。回転可能なシリンダ232を回転させることにより、処理中に支持リング230と基板Wとが回転させられる。熱処理チャンバ202の基部210は、処理中に基板Wの裏側へとエネルギーを反射するための反射面234を有する。代替的に、別個のリフレクタ(図示せず)を、熱処理チャンバ202の基部210と支持リング230との間に配置することができる。熱処理チャンバ202は、基板Wの温度を検出するために熱処理チャンバ202の基部210を通して配置された複数の温度プローブ236を含むことができる。温度プローブ236はまた、上述のように別個のリフレクタが使用される場合、基板Wから到来する電磁放射線に光学的にアクセスするために別個の反射板を通して配置される。
【0028】
[0031]回転可能なシリンダ232は、磁気ロータ238によって支持されており、磁気ロータは、両部材が熱処理チャンバ202に設置されたときに回転可能なシリンダ232が載る棚部240を有する円筒形部材である。磁気ロータ238は、棚部240の下方の磁石領域242内に複数の磁石を有する。磁気ロータ238は、基部210に沿った熱処理チャンバ202の外周領域に位置する環状ウェル244内に配置されている。カバー246は、基部210の外周部に載置され、環状ウェル244の上方で、回転可能なシリンダ232及び支持リング230に向かって延びており、カバー246と、回転可能なシリンダ232及び/又は支持リング230との間に公差ギャップを残している。カバー246は通常、処理領域206内の処理条件に曝露されることから磁気ロータ238を保護する。
【0029】
[0032]磁気ロータ238は、基部210の周りに配置された磁気ステータ248からの磁気エネルギーによって回転させられる。磁気ステータ248は、複数の電磁石250を有し、これら電磁石は、基板Wの処理中に、回転パターンに従って給電され、磁気ロータ238を回転させるための磁気エネルギーを供給する回転磁界を形成する。磁気ステータ248は、支持体254によって線形アクチュエータ252に結合されている。線形アクチュエータ252を動作させると、磁気ステータ248が熱処理チャンバ202の軸256に沿って移動し、磁気ロータ238、回転可能なシリンダ232、支持リング230、及び基板Wを軸256に沿って移動させる。
【0030】
[0033]処理ガスは、チャンバ入口258を通して熱処理チャンバ202に提供され、図面の外側へと、通常チャンバ入口258及び支持リング230と同じ平面に沿って配向されたチャンバ出口を通して排出される(図2には示さない)。基板は、図2では後方に示される、側壁208に形成されたアクセスポート260を通して熱処理チャンバ202に出入りする。
【0031】
[0034]前駆体活性化装置204は、イオン、ラジカル、及び電子のプラズマ266が形成され得る内部空間264を囲む本体262を有する。石英又はサファイアで作製されたライナ268が、プラズマによるケミカルアタックから本体262を保護している。内部空間264には、好ましくは、荷電粒子、例えばイオンを誘引し得る電位勾配がまったく存在しない。ガス入口270は、本体262の第2の端部276に位置するガス出口274とは反対側の、本体262の第1の端部272に配置されている。前駆体活性化装置204が熱処理チャンバ202に結合されると、ガス出口274は、内部空間264内に生成されたプラズマ266のラジカルが熱処理チャンバ202の処理領域206に供給されるように、チャンバ入口258への送達ライン278を通して熱処理チャンバ202と流体連結する。ガス出口274は、ガス入口270よりも大きな直径を有し、励起されたラジカルが目標流量で効率良く放出されることを可能とし、ラジカルとライナ268との間の接触を最小化する。目標とされる場合、別個のオリフィスを、ガス出口274のライナ268の範囲内に挿入ことが可能であり、ガス出口274における内部空間264の内側寸法が低減される。ガス出口274(又は使用される場合にはオリフィス)の直径は、処理領域206と前駆体活性化装置204との間に圧力差を提供するよう選択することが可能である。圧力差は、熱処理チャンバ202に流入するイオン、ラジカル、及び分子の組成が、熱処理チャンバ202内で実施されるプロセスに適したものとなるように選択され得る。
【0032】
プラズマ処理のためのガスを供給するために、第1のガス源280は、四方弁282の第1の入力と、第1のガス源280から放出されるガスの流量を制御するために使用される弁284とを介して、ガス入口270に結合されている。四方弁282の第2の入力は、第2のガス源286に接続され得る。四方弁の第3の入力は、第3のガス源288に接続され得る。第1のガス源280、第2のガス源286、及び第3のガス源288の各々は、窒素含有ガス、酸素含有ガス、ケイ素含有ガス、水素含有ガス、又はアルゴン若しくはヘリウムといったプラズマ形成ガスのうちの1つ又は複数であり得るか、又はこれらを含み得る。流量コントローラ290は四方弁282に接続され、どのプロセスが実行されるかに応じて、弁をその異なるポジションの間で切り替える。流量コントローラ290は、四方弁282の切り換えも制御する。
【0033】
[0036]いくつかの実施形態では、第2の水素ガス源(図示せず)が、熱処理チャンバ202に流体結合される。第2の水素ガス源は、処理領域206に水素ガスを送達し、水素ガスは、前駆体活性化装置204から処理領域206へ送達される、酸素及びアルゴンを含む遠隔プラズマによって活性化される。高いパーセンテージの水素ガスが目標とされるいくつかの実施形態では、水素ガスは、第3のガス源288及び第2の水素ガス源の両方を通して処理領域206に供給され得る。
【0034】
[0037]いくつかの実装形態では、第2のアルゴンガス源(図示せず)が、熱処理チャンバ202に結合される。第2の水素ガス源は、処理領域206にアルゴンガスを送達し、アルゴンガスは、前駆体活性化装置204から処理領域206へ送達される遠隔プラズマによって活性化される。高いパーセンテージのアルゴンガスが目標とされるいくつかの実施形態では、アルゴンガスは、第2のガス源286及び第2のアルゴンガス源の両方を通して処理領域206に供給され得る。
【0035】
[0038]図3は、半導体構造、例えば、本開示の1つ又は複数の実装態様による、図4Aに示されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)構造400又はRCAT構造400の任意のサブセットにおいて、酸化物層を形成する方法300のプロセスフロー図である。図4B、4C、4D、及び4Eは、方法300の種々の段階に対応するRCAT構造400の一部分の断面図である。RCAT構造400は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスで使用され得る。加えて、方法300は、異なる構成を有するRCAT構造、又は高品質の薄い酸化物層を必要とするナノワイヤなどの他の半導体デバイスを形成するために使用され得る。さらに、図3に示される動作は、同時に及び/又は図3に示される順序とは異なる順序で実施され得ることも理解すべきである。
【0036】
[0039]RCAT構造400は、分離層パターン404が形成されている基板402を含み得る。いくつかの実装態様では、基板402は、実質的に平坦な表面、不均一な表面、又は構造が形成されている実質的に平坦な表面を有し得る。基板402は、結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、ドープされた又はドープされていないシリコンウエハ、及びパターニングされた又はパターニングされていないウエハのシリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアなどの材料であり得る。基板402は、直径200mm又は300mmのウエハ及び矩形又は方形のパネルといった、種々の形状及び寸法を有し得る。特に断りのない限り、本明細書に記載の実装態様及び実施例は、300mmの直径を有する基板に言及している。いくつかの実装態様では、基板402は、結晶シリコン基板(例えば、単結晶シリコン又は多結晶シリコン)であり得る。
【0037】
[0040]分離層パターン404は、基板402の活性領域402Aを画定する。分離層パターン404は、シャロートレンチアイソレーションプロセスによって形成され得る。活性領域402aの上面には、1つ又は複数のトレンチ406が形成される。トレンチ406は、約15nmと60nmとの間の幅、約200nmと約400nmとの間の深さ、したがって約8:1と約10:1との間のアスペクト比を有し得る。
【0038】
[0041]基板402の上面及びトレンチ406の内面には、ゲート酸化物層408が形成される。ゲート酸化物層408上には、ゲート電極410が形成される。ゲート電極410の両側には、不純物イオン注入プロセスによりソース/ドレイン領域412が形成され得る。ソース/ドレイン領域412は、ゲート酸化物層408によってゲート電極410から電気的に分離される。
【0039】
[0042]基板402中のケイ素を酸化ケイ素に変換する熱酸化プロセスによってゲート酸化物層408を形成する従来の方法では、トレンチ406の底部406Aでの酸化反応がストレス起因して縮小し、これにより、トレンチ406の底部406A上のゲート酸化物層408の厚さが、トレンチ406の側壁406B上のゲート酸化物層408の厚さより小さくなり得る。したがって、トレンチ406の底部406Aを通るリーク電流が増加し得る。ゲート酸化物層408のこのような薄化(「幾何学的薄化」と呼ばれる)は、プラズマイオンがトレンチ406の底部406Aに方向付けられ、それによって酸化剤の流入を増加させる直接プラズマ酸化プロセスによって克服され得る。
【0040】
[0043]さらに、熱酸化プロセス及び直接プラズマ酸化プロセスによって形成されたゲート酸化物層408は、約4nmと約8nmとの間、例えば約6nmの厚さを有することができ(すなわち、トレンチ406の幅が約12nm減少する)、直接トンネルゲートリークのために約4nmより薄く形成され得ない。加えて、トレンチ406のエッジでケイ素の一部が失われることがあり、それにより、RCAT構造400に望ましくない接点が形成され、デバイスの信頼性が低下し得る。高アスペクト比及び高デバイス密度を有するより小さなサイズのフィーチャ、例えば最近の14/10/7nmノードでは、リーク電流を回避するために、約6nmと約7nmとの間の幅を有するより薄いゲート酸化物層408が必要とされる。
【0041】
[0044]ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を気相で使用するALD又はCVDプロセスによって酸化ケイ素を堆積させることによりゲート酸化物層408を形成する別の従来の方法では、ゲート酸化物層408の厚さは、約30Åと約60Åとの間、例えば約40Åに低減することができる。さらに、ALD又はCVDプロセスの材料のコンフォーマル堆積の能力に起因して、トレンチ406の底部406Aにおけるゲート酸化物層408の幾何学的薄化が生じない場合がある。しかしながら、堆積された酸化ケイ素は、(ALD又はCVDプロセスによって形成された酸化ケイ素の四面体結晶構造の中断に起因する)化学量論的欠陥及び構造的欠陥、基板402との界面から約10Åと約15Åとの間の距離における境界トラップ、並びに界面における(例えば、界面から約5Å以内の)界面トラップを含み、RCAT構造400のデバイス信頼性を低下させるに至る可能性がある。堆積された酸化ケイ素は、堆積された酸化ケイ素の欠陥を低減するために、直接プラズマ酸化プロセス及び/又はポストアニーリングプロセスによって処理され得る。しかしながら、この処理は、堆積された酸化ケイ素の頂面から約10Åと約30Åとの間の深さにのみ有効であり、したがってデバイス信頼性が大きく改善されないない場合がある。
【0042】
[0045]本明細書に記載の実施形態では、ゲート酸化物層408は、まず基板402上にアモルファスシリコン層を堆積させ、次いで堆積されたアモルファスシリコンを直接プラズマ酸化プロセス及び熱酸化プロセスによって酸化することにより形成される。本明細書に記載の方法300は、熱酸化成長のための犠牲Si源を提供し、隣り合うデバイス間の平均距離を増加させるアモルファスシリコンの堆積を含む。したがって、ゲート酸化物層408を形成するためのケイ素の消費量が低減され得る。さらに、方法300は、酸化ケイ素の堆積を含まず、したがって、形成されたゲート酸化物層408は欠陥及びトラップを含まない。
【0043】
[0046]方法300は、ブロック310において、図4Bに示されるように、トレンチ406を充填するか、又は少なくとも部分的に充填するために、基板402の露出表面上に界面層414を形成することによって開始される。界面層414は、熱酸化成長による酸化ケイ素の1つ又は複数の単層に対応する、約2Åと約10Åとの間、例えば約5Åの厚さを有する酸化ケイ素(SiO)で形成され得る。界面層414は、堆積されたケイ素が方法300の後続のステップで結晶化することを防止することができ、したがってアモルファスシリコンが形成され得る。
【0044】
[0047]ブロック320では、アモルファスシリコン、例えば水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)が、上に界面層414が形成された基板401がシリコン前駆体に曝露されるALDプロセス又はCVDプロセスによって界面層414上にコンフォーマルに堆積される。図4Cに示されるように、アモルファスシリコン層416が、界面層414上にコンフォーマルに形成される。ALDプロセス又はCVDプロセスの性質に起因して、アモルファスシリコン層416は、トレンチ406の側壁406B上の厚さと実質的に同じである底部406Aの厚さを有する。アモルファスシリコン層416の厚さは、約20Åと約35Åとの間であり得る。
【0045】
[0048]適切なシリコン前駆体は、ポリシラン(SixHy)を含むがそれに限定されない。例えば、ポリシランは、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、テトラシラン(Si10)、イソテトラシラン、ネオペンタシラン(Si12)、シクロペンタシラン(Si10)、ヘキサシラン(C14)、シクロヘキサシラン(Si12)、若しくは一般にx=2以上であるSi、及びこれらの組み合わせを含む。
【0046】
[0049]ブロック330では、アモルファスシリコン層416が、処理システム、例えば図1に示される基板処理システム100において、直接プラズマ酸化プロセスによって酸化され、トレンチ406の底部406Aに厚い第1の酸化物層418を形成する。直接プラズマ酸化プロセスでは、酸素プラズマイオンがトレンチ406の底部406Aに方向付けられ、それにより、図4Dに示されるように、アモルファスシリコン層416の酸化が、トレンチ406の底部406Aに対して優先的に起こる。いくつかの実施形態では、直接プラズマ酸化プロセスは、酸素(O)、一酸化窒素(NO)、又は亜酸化窒素(NO)などを含む酸化剤を使用してもよい。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。さらに、直接プラズマ酸化プロセスは、中でもヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、及び/又はキセノン(Xe)を含むプラズマを生成するための原料ガスを使用してもよい。これらは、単独で又は組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、直接プラズマ酸化プロセスは、酸化されたケイ素の高い品質を保証するために、約400℃を超える温度での酸化反応を可能にし得る。いくつかの実施形態では、酸素プラズマイオンは、基板402の選択された部分の第1の酸化物層418を選択的に厚くするために、基板402の別の選択された部分に方向づけられてもよい。
【0047】
[0050]いくつかの実施形態では、直接プラズマ酸化プロセスは、約5mTorrと約100mTorrとの間の圧力下で実施され得る。圧力は、トレンチ406に導入される酸化剤の流入を制御し得る。特に、トレンチ406の底部406a上に導入される酸化剤の流入は、直接プラズマ酸化プロセスにおいて圧力降下に比例して減少し得る。トレンチ406の底部406a上への酸化剤の流入は、直接プラズマ酸化プロセスの間にバイアスをかけることによっても制御され得る。したがって、トレンチ406の底部406aにおける第1の酸化物層418の厚さは、所望されるように制御及び調整され得る。
【0048】
[0051]いくつかの実施形態では、第1の酸化物層418は、トレンチ406の底部406Aで約2nmと約6nmとの間、例えば約4nmの深さ、及びトレンチ406の側壁406B上で約1nmと約3nmとの間の深さまで、アモルファスシリコン層416を消費する。
【0049】
[0052]ブロック340では、トレンチ406の側壁406B上のアモルファスシリコン層416の残部416Aは、処理システム、例えば基板処理システム200内で熱酸化プロセスによって酸化される。熱酸化プロセスは、10Torrの低圧H+O燃焼プロセス又はプラズマ源、例えば、基板処理システム200の前駆体活性化装置204などの遠隔プラズマ源を用いた熱ラジカル酸化を使用して実施され、酸素ラジカル(O*)を提供することができる。熱酸化プロセスでは、アモルファスシリコン層416の酸化はトレンチ406の側壁406Bに対して優先的に起こり、したがって、ブロック340における直接プラズマ酸化プロセスとブロック350における熱酸化プロセスとの組み合わせにより、トレンチ406の側壁406B上の厚さと同じである底部406A上の厚さを有するゲート酸化物層408が形成される。
【0050】
[0053]いくつかの実施形態では、熱処理プロセスは、直接プラズマ酸化プロセスの温度よりも高い温度で実施され得る。例えば、熱処理プロセスは、約700℃と約1050℃との間の温度で実施され得る。
【0051】
[0054]本明細書に記載の実施形態では、トレンチ406(すなわち、凹形状)を有するRCAT構造400が、高品質の薄い酸化物層を形成するための方法300から恩恵を受け得る例示的構造として使用される。また、方法300は、薄いナノワイヤ電界効果トランジスタ(FET)などの凸形状のフィーチャ(例えば、突起)又は平坦なフィーチャを有する構造において、高品質の薄い酸化物層を形成するために使用され得る。このような場合、酸化物層の幾何学的薄化は起こらない可能性があり、したがってブロック330における直接プラズマ酸化プロセスなしで、高品質の薄い酸化物層が形成され得る。
【0052】
[0055]本明細書に記載の実施形態では、半導体デバイス、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)デバイスに使用されるリセスチャネルアレイトランジスタ(RCAT)、及び薄いナノワイヤの電界効果トランジスタ(FET)に高品質の薄い酸化物層を形成する方法が提供される。本明細書に記載の方法では、まず基板上にアモルファスシリコンを堆積させ、次いで直接プラズマ酸化プロセス及び熱酸化プロセスによってアモルファスシリコンを酸化させることにより、薄い酸化物層を形成することができる。酸化物層を形成するための本明細書に記載の方法は、ケイ素の消費を低減し、形成された酸化物層の品質を向上させることができる。また、本明細書に記載の方法は、基板の選択された部分における酸化物層の厚さを調整する能力を提供する。
【0053】
[0056]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3
図4A-B】
図4C-D】
図4E