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  • 特許-電磁波シールド膜の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】電磁波シールド膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20241004BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20241004BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20241004BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20241004BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20241004BHJP
   H01F 41/24 20060101ALI20241004BHJP
   H01F 1/28 20060101ALN20241004BHJP
   H01F 1/37 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
H05K9/00 W
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D5/12 A
B05D7/24 303C
B05D7/24 303G
H01F41/24
H01F1/28
H01F1/37
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019207278
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021082665
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曽根 圭太
(72)【発明者】
【氏名】増田 宏
(72)【発明者】
【氏名】山岸 秀明
【合議体】
【審判長】篠塚 隆
【審判官】富澤 哲生
【審判官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-12078(JP,A)
【文献】特開2016-117273(JP,A)
【文献】特開2015-198170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
H01F 41/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均アスペクト比が2以上の軟磁性体粒子と樹脂とを含有する電磁波シールド用組成物を吐出手段から吐出して、前記電磁波シールド用組成物の液滴を被着体に向けて飛翔させる吐出工程を有し、
前記吐出工程において、前記液滴が前記吐出手段から吐出された後であって前記被着体に付着するまでの間に、前記液滴に対して前記被着体における前記液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界を印加する電磁波シールド膜の製造方法。
【請求項2】
前記軟磁性体粒子の体積平均粒子径が、10μm以上である請求項1に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
【請求項3】
前記吐出手段が、スプレーガン又はインクジェット印刷機である請求項1又は請求項2に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電磁波シールド膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に外部から不要な電磁波が入射すると、誤作動を起こす可能性がある。そこで、電子機器には外部からの不要な電磁波をシールドする電磁波シールド材が用いられている。
【0003】
多くの電磁波シールド材は金属で構成されており、電磁波を反射することで電子機器を電磁波からシールドする。
しかし、一般的に用いられる金属のシールド材では低周波の磁界をほとんど反射することができず、電子機器を低周波の磁界からシールドすることが困難となる。
【0004】
低周波の磁界から電子機器をシールドする場合、比透磁率の高い軟磁性体を用いるのが効果的である。磁界が比透磁率の高い領域を通りやすいという性質を利用し、保護したい部分に磁界が通らないようにすることで電子機器をシールドする。平面的な部分にシールド材を設ける場合は、シート又はフィルムのような形態でもよいが、表面形状の複雑な被着体にシールド材を設ける場合は、塗装のような方法で行うのが好ましい。その場合、シールド材は塗料で提供され、軟磁性体は粉末として樹脂等と一緒に混合される。
【0005】
しかし、軟磁性体は塗料で用いられるような粒径が10μm程度の大きさになると、バルクで高い比透磁率を持っていたとしてもほぼ粉末形状に依存する比透磁率になってしまう。粉末形状では、球よりもアスペクト比が大きな扁平形状のほうが高い比透磁率を持つ。
【0006】
一方、軟磁性体粉末同士の間に比透磁率の低い領域(空隙、塗料中に混合する樹脂等)が存在すると比透磁率の低い領域に磁束が漏れてしまい、シールド膜全体の比透磁率が低下してしまう。
【0007】
粒径が10μm程度の軟磁性体粉末を用いて高い比透磁率を得るために、アスペクト比の大きな扁平形状の軟磁性粉末をより密に充填し、磁束が漏れてしまう領域をなるべく少なくすることが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、軟磁性体粉末を原料とした塗料で塗膜を作製した後に、塗膜を磁界中に通過させることで塗膜中の軟磁性体粉末を配向させ、軟磁性体粉末をより密に充填する方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6394137号
【文献】特開平7-22771号公報
【文献】特開2017-126643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のような方法で軟磁性体扁平粉末を密に充填させたとしても、被着体の表面に対し水平方向に配向していない軟磁性体扁平粉末は未だに存在し、水平方向に配向していない軟磁性体扁平粉末の存在によって、軟磁性体扁平粉末の充填率が下がってしまうことがある。
【0011】
高密度に軟磁性体扁平粉末を充填するには、プレス等の加圧処理を施す方法が考えられるが、表面形状の複雑な被着体をシールドする場合には、プレス等の加圧処理を施すことは困難である。従って、軟磁性体扁平粉末が被着体の表面に密に充填されず、高い比透磁率を得ることが困難となる場合がある。
【0012】
表面形状の複雑な被着体をシールドする場合は、スプレー塗布等の吐出手段を用いる方法が適している。しかしながら、被着体の表面形状が複雑な場合、特許文献2~3のように、塗膜作製後に被着体を磁界中に通したとしても、軟磁性体扁平粉末を被着体の表面に対し水平方向に配向させることが難しく、高い比透磁率を得ることが困難となる場合がある。
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、比透磁率の高い皮膜を形成可能な電磁波シールド膜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 平均アスペクト比が2以上の軟磁性体粒子と樹脂とを含有する電磁波シールド用組成物を吐出手段から吐出して、前記電磁波シールド用組成物の液滴を被着体に向けて飛翔させる吐出工程を有し、
前記吐出工程において、前記液滴が前記吐出手段から吐出された後であって前記被着体に付着するまでの間に、前記液滴に対して前記被着体における前記液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界を印加する電磁波シールド膜の製造方法。
<2> 前記軟磁性体粒子の体積平均粒子径が、10μm以上である<1>に記載の電磁波シールド膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、比透磁率の高い皮膜を形成可能な電磁波シールド膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の電磁波シールド膜の製造方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0017】
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
本開示において、層又は膜の平均厚みは、対象となる層又は膜の5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
本開示において、層又は膜の厚みを直接測定可能な場合には、マイクロメーターを用いて測定する。一方、1つの層の厚み又は複数の層の総厚みを測定する場合には、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定してもよい。
【0018】
<電磁波シールド膜の製造方法>
本開示の電磁波シールド膜の製造方法は、平均アスペクト比が2以上の軟磁性体粒子(以下、特定軟磁性体粒子と称することがある。)と樹脂とを含有する電磁波シールド用組成物を吐出手段から吐出して、前記電磁波シールド用組成物の液滴を被着体に向けて飛翔させる吐出工程を有し、前記吐出工程において、前記液滴が前記吐出手段から吐出された後であって前記被着体に付着するまでの間に、前記液滴に対して前記被着体における前記液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界を印加するものである。本開示の電磁波シールド膜の製造方法は、被着体に付着した電磁波シールド用組成物を乾燥する乾燥工程、被着体に付着した電磁波シールド用組成物を硬化する硬化工程その他の工程をさらに有してもよい。
【0019】
本開示の電磁波シールド膜の製造方法によれば、比透磁率の高い皮膜を形成可能となる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
図1は、本開示の電磁波シールド膜の製造方法を説明するための模式図である。図1では、吐出手段としてスプレーガンを用いた場合を例に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。また、図1における各部材の大きさ及び形状は概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係等はこれに限定されない。
図1では、電磁波シールド用組成物が吐出手段であるスプレーガン10から吐出され、電磁波シールド用組成物の液滴12が被着体14に向けて飛翔する。このときに、磁界印加手段である一対の磁石16A及び磁石16Bにより、液滴12に対して磁界18が印加される。磁界18の方向は、被着体14における液滴12の付与される面の面方向に平行な方向に沿った方向とされる。
一対の磁石16A及び磁石16Bは、スプレーガン10の吐出口と被着体14との間にN極とS極とが対向するように配置される。これにより、液滴12がスプレーガン10から吐出された後であって被着体14に付着するまでの間に、液滴12に対して、被着体14における液滴12の付与される面の面方向に平行な方向に沿った磁界を印加することが可能となる。液滴12に磁界を印加することで、液滴12に含有される特定軟磁性体粒子20の長手方向が、飛翔中において印加された磁界18の方向に沿って配向するため、印加された磁界18の方向に沿って配向した状態で、特定軟磁性体粒子20が被着体に付着することができる。そのため、被着体14に付着した特定軟磁性体粒子20は、被着体14の表面に平行な方向に沿って配向しやすく、被着体14の表面において特定軟磁性体粒子20の充填率が向上する。その結果、比透磁率の高い皮膜を形成可能になると推察される。
【0020】
以下、本開示の電磁波シールド膜の製造方法を構成する各要素について説明する。
【0021】
[吐出工程]
本開示の電磁波シールド膜の製造方法は、電磁波シールド用組成物の液滴を被着体に向けて飛翔させる吐出工程を有する。被着体に向けて飛翔した電磁波シールド用組成物の液滴は被着体に付着し、被着体表面に電磁波シールド用組成物の塗膜が形成される。
【0022】
-電磁波シールド用組成物-
吐出工程において用いられる電磁波シールド用組成物は、平均アスペクト比が2以上の軟磁性体粒子と樹脂とを含有し、必要に応じて上記成分以外のその他の成分を含有する。
【0023】
(軟磁性体粒子)
電磁波シールド用組成物には、特定軟磁性体粒子が含有される。特定軟磁性体粒子の平均アスペクト比は2以上であり、10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。特定軟磁性体粒子の平均アスペクト比は、100以下であってもよい。
軟磁性体粒子の平均アスペクト比は、以下のようにして求められた値をいう。
軟磁性体粒子について、走査型電子顕微鏡により500倍の条件で撮影して電子顕微鏡写真を得る。得られた電子顕微鏡写真から、10個の軟磁性体粒子の各々について、長径(Lμm)及び短径(Sμm)を測定する。なお、粒子の長径とは、粒子の外接長方形の長さをいい、粒子の短径とは、粒子の外接長方形の幅をいう。各軟磁性体粒子について、長径(Lμm)と短径(Sμm)とのアスペクト比(L/S)を求める。各軟磁性体粒子のアスペクト比(L/S)の算術平均値を、軟磁性体粒子についての平均アスペクト比とする。
【0024】
特定軟磁性体粒子の体積平均粒子径は、10μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましい。特定軟磁性体粒子の体積平均粒子径は、150μm以下であってもよい。
軟磁性体粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所、SALD3000J)を用いて行うことができる。具体的には、軟磁性体粒子を、水等の分散媒に分散させて分散液を調製する。この分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径とする。
【0025】
電磁波シールド用組成物は、特定軟磁性体粒子以外のその他の軟磁性体粒子を含有してもよい。
その他の軟磁性体粒子の体積平均粒子径は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。その他の軟磁性体粒子の体積平均粒子径は、0.05μm以上であってもよい。
【0026】
電磁波シールド用組成物が特定軟磁性体粒子以外のその他の軟磁性体粒子を含有する場合、特定軟磁性体粒子の体積平均粒子径をAμmとし、その他の軟磁性体粒子の体積平均粒子径をBμmとしたときに、比(A/B)は、軟磁性体粒子を密に充填するという観点から、10以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。比(A/B)は、500以下であってもよい。
【0027】
電磁波シールド用組成物がその他の軟磁性体粒子を含有する場合、軟磁性体粒子全体に占める特定軟磁性体粒子の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。軟磁性体粒子全体に占める特定軟磁性体粒子の含有率は、100質量%以下であってもよい。
【0028】
軟磁性体粒子を構成する材料は特に限定されるものではなく、高い比透磁率を持つ物質であればよい。軟磁性体としては、ナノ結晶系軟磁性体、アモルファス系軟磁性体、フェライト系軟磁性体等が挙げられる。
また、軟磁性体としては、鉄、鉄合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、フェライト等が挙げられる。
軟磁性体粒子としては、安価に入手することができるという観点から、鉄、鉄合金又はフェライトの粒子が好ましい。
鉄合金としては、センダスト、ケイ素鋼、パーメンジュール等が挙げられる。
フェライトとしては、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト、コバルトフェライト、ニッケルフェライト、マグネタイト等が挙げられる。
【0029】
電磁波シールド用組成物中における軟磁性体粒子の含有率は特に制限されない。例えば、電磁波シールド用組成物の固形分全体に占める軟磁性体粒子の割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。電磁波シールド用組成物の固形分全体に占める軟磁性体粒子の割合は、99質量%以下であってもよい。
【0030】
電磁波シールド用組成物は、電磁波シールド用組成物の効果を阻害しない範囲内で、軟磁性体粒子以外のその他の無機粒子を含有してもよい。その他の無機粒子としては、シリカ、ベントナイト、ヘクトライト等が挙げられる。その他の無機粒子の平均粒子径は、900nm以下であることが好ましい。また、その他の無機微粒子の含有率は、軟磁性体粒子及び必要に応じて用いられるその他の無機粒子の合計に対して30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
(樹脂)
本開示の電磁波シールド用組成物は、樹脂を含有する。電磁波シールド用組成物が樹脂を含むことで、電磁波シールド用組成物から形成される電磁波シールド膜の接着性が向上する傾向にある。
【0032】
電磁波シールド用組成物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても、これらの組み合わせであってもよい。樹脂は、接着性を示すことが好ましい。また、樹脂は、加熱により重合反応を生じうる官能基を有するモノマーの状態であっても、すでに重合したポリマーの状態であってもよい。
【0033】
耐熱性の観点からは、樹脂として熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシ基、ビニル基、カルボキシ基、アミノ基、マレイミド基、酸無水物基、チオール基、チオニル基等の官能基を有する樹脂が挙げられる。
【0034】
熱可塑性樹脂として具体的には、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂として具体的には、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
これら樹脂の中でも、エポキシ樹脂が好ましい。
【0035】
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。樹脂成分は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0036】
電磁波シールド用組成物中における樹脂の含有率は特に制限されない。例えば、電磁波シールド用組成物の固形分全体に占める樹脂の割合は、5質量%~80質量%であることが好ましく、10質量%~70質量%であることがより好ましく、15質量%~60質量%であることがさらに好ましい。
また、軟磁性体粒子及び必要に応じて用いられるその他の無機粒子を除く電磁波シールド用組成物の固形分に占める樹脂の割合は、10質量%~99質量%であることが好ましく、20質量%~98質量%であることがより好ましく、30質量%~97質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
本開示の電磁波シールド用組成物は、接着性を向上するために、樹脂の1種として、ポリビニルアルコール樹脂、水溶性セルロース等の樹脂中に水酸基を豊富に含む水溶性の有機高分子結合剤を併用してもよい。
【0038】
(硬化剤)
樹脂が熱硬化性樹脂である場合、電磁波シールド用組成物は、熱硬化性樹脂を硬化する硬化剤を含有してもよい。
硬化剤の種類は特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択される。
【0039】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、液体状のものでも固体状のものでも使用可能である。
硬化剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
アミン系硬化剤としては、m-フェニレンジアミン、1,3-ジアミノトルエン、1,4-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミノアニソール等の芳香環が1個の芳香族アミン硬化剤;4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-メチレンビス(2-エチルアニリン)、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン等の芳香環が2個の芳香族アミン硬化剤;芳香族アミン硬化剤の加水分解縮合物;ポリテトラメチレンオキシドジ-p-アミノ安息香酸エステル、ポリテトラメチレンオキシドジ-p-アミノベンゾエート等のポリエーテル構造を有する芳香族アミン硬化剤;芳香族ジアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物;芳香族ジアミンとスチレンとの反応生成物;などが挙げられる。
【0041】
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、メチルハイミック酸無水物、ハイミック酸無水物、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸マレイン酸付加物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、水素化メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸とジエン化合物からディールス・アルダー反応で得られ、複数のアルキル基を有するトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸等の各種環状酸無水物が挙げられる。
【0042】
フェノール系硬化剤としては、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α-ナフトール、β-ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂;フェノール・アラルキル樹脂;ビフェニル・アラルキル樹脂;ナフトール・アラルキル樹脂;等が挙げられる。
【0043】
硬化剤の官能基(例えば、アミン系硬化剤の場合にはアミノ基の活性水素、フェノール系硬化剤の場合にはフェノール性水酸基、酸無水物系硬化剤の場合には酸無水物基)の当量数とエポキシ樹脂の当量数との比(硬化剤の当量数/エポキシ樹脂の当量数)を、0.6~1.4の範囲に設定することが好ましく、0.7~1.3の範囲に設定することがより好ましく、0.8~1.2の範囲に設定することがさらに好ましい。
【0044】
(硬化促進剤)
電磁波シールド用組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、電磁波シールド用組成物は熱硬化性樹脂の硬化反応又は熱硬化性樹脂と硬化剤との硬化反応を促進する硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤の種類は特に限定されるものではなく、熱硬化性樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜選択される。
【0045】
硬化促進剤としては、具体的には、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等のシクロアミジン化合物;シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物;3級アミン化合物の誘導体;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物の誘導体;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、N-メチルモルホリニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート塩;テトラフェニルボレート塩の誘導体;トリフェニルホスフィン-トリフェニルボラン錯体、モルホリン-トリフェニルボラン錯体等のトリフェニルボラン錯体;などが挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0046】
硬化促進剤の含有率は、熱硬化性樹脂及び必要に応じて用いられる硬化剤の合計量に対して、0.1質量%~15質量%であることが好ましい。
【0047】
(溶剤)
本開示の電磁波シールド用組成物は、水、有機溶剤等の溶剤を含有してもよい。樹脂を充分に溶解する観点から、溶剤は有機溶剤が好ましく、電磁波シールド用組成物の液滴を被着体に向けて飛翔させる吐出工程での電磁波シールド用組成物の乾燥を抑制する観点から、50℃以上の沸点を有している有機溶剤であることが好ましく、乾燥又は硬化時のボイドの発生を抑制する観点から300℃以下の沸点を有している有機溶剤であることが好ましい。
【0048】
有機溶剤の例としては、テルピネオール、ステアリルアルコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(別名、エトキシエトキシエタノール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(別名、ヘキシルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコール-n-ブチルエーテル、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコールフェニルエーテル、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール等のアルコール類;酢酸ブチル、クエン酸トリブチル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン、γ-ブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、グリセリントリアセテート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;シクロヘキサン等のシクロアルカン類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム;フェニルアセトニトリル等のニトリル類;などを挙げることができる。溶剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0049】
電磁波シールド用組成物中の溶剤の割合は、電磁波シールド用組成物が吐出手段に適した粘度となる量であることが好ましい。
電磁波シールド用組成物中の溶剤の割合は、例えば、0.1質量%~85質量%であることが好ましく、0.5質量%~75質量%であることがより好ましく、1質量%~70質量%であることがさらに好ましい。
【0050】
(その他の成分)
本開示の電磁波シールド用組成物は、上述した成分に加え、必要に応じて当該分野で通常用いられるその他の成分をさらに含むことができる。その他の成分としては、可塑剤、分散剤、界面活性剤、チキソ剤等が挙げられる。
【0051】
(電磁波シールド用組成物の製造方法)
電磁波シールド用組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。電磁波シールド用組成物を構成する成分を混合し、さらに撹拌、溶解、分散等の処理をすることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等のための装置としては、特に限定されるものではなく、3本ロールミル、プラネタリーミキサ、遊星式ミキサ、自転公転型撹拌装置、らいかい機、二軸混練機、薄層せん断分散機等を使用することができる。また、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。上記処理の際、必要に応じて加熱してもよい。
処理後、ろ過により電磁波シールド用組成物の最大粒径を調整してもよい。ろ過は、ろ過装置を用いて行うことができる。ろ過用のフィルタとしては、例えば、金属メッシュ、メタルフィルター及びナイロンメッシュが挙げられる。
【0052】
本開示の電磁波シールド膜の製造方法により形成される電磁波シールド膜の平均厚みは、3μm~300μmが好ましく、5μm~200μmがより好ましく、10μm~100μmがさらに好ましい。
【0053】
-吐出手段-
吐出工程において用いられる吐出手段は、電磁波シールド用組成物を吐出して被着体に向けて飛翔させることのできるものであれば特に限定されるものではない。
吐出手段としては、スプレーガン、インクジェット印刷機、ディスペンサー等が挙げられる。
吐出手段と被着体との距離は、吐出手段の種類に基づいて適宜設定される。
【0054】
-磁界印加手段-
吐出工程では、電磁波シールド用組成物の液滴が吐出手段から吐出された後であって被着体に付着するまでの間に、液滴に対して被着体における液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界が印加される。
液滴に対して磁界を印加する磁界印加手段としては、液滴に含有される特定軟磁性体粒子を、液滴の飛翔中において、印加された磁界の方向に沿って配向させる程度の強度の磁界を発生することのできるものであれば、特に限定されるものではない。
磁界印加手段としては、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、電磁石等が挙げられる。
液滴に印加される磁界の磁束密度は、例えば、0.01テスラ~1テスラの範囲であってもよい。
【0055】
磁界印加手段を配置する箇所は、液滴が吐出手段から吐出された後であって被着体に付着するまでの間に、液滴に対して磁界を印加することのできる箇所であれば特に限定されるものではない、吐出手段にスプレーガンを用いた場合、スプレーガンの吐出口付近に磁界印加手段を配置してもよいし、スプレーガンから吐出された液滴が被着体に付着する付近に磁界印加手段を配置してもよい。
配置される磁界印加手段の数は、1つであってもよいし2つ以上であってもよい。
【0056】
液滴に印加される磁界の方向は、被着体における液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿う方向とされる。被着体における液滴の付着する面が湾曲する場合、液滴に印加される磁界の方向は、吐出手段における液滴を吐出する吐出口から液滴の吐出方向に伸びる仮想線と、被着体における液滴の付着する面と、が交差する点における接平面に平行な方向に沿う方向とすればよい。
【0057】
-被着体-
吐出工程において用いられる被着体は、特に限定されるものではなく、ケーブル、建築材、電子部品装置等が挙げられる。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハー等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載したものが挙げられる。
電子部品及び支持部材のうちの、電磁波を発生する箇所又は電磁波の影響を受けやすい箇所を電磁波シールド膜で覆うことにより、電子部品装置を得ることができる。
【0058】
電子部品装置は、電子部品及び支持部材を収容する筐体をさらに備えてもよい。電子部品及び支持部材が筐体内に収容される場合、筐体の内表面及び外表面の少なくとも一方を電磁波シールド膜で覆うことにより、電子部品装置を得ることができる。
【0059】
[乾燥工程]
本開示の電磁波シールド膜の製造方法は、吐出工程で被着体表面に形成された塗膜を乾燥する乾燥工程を有してもよい。
乾燥方法は、電磁波シールド用組成物中に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から適宜選択することができる。
乾燥方法は、常温(例えば、25℃)放置による乾燥、加熱乾燥又は減圧乾燥を用いることができる。加熱乾燥又は減圧乾燥には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
乾燥のための温度及び時間は、使用した溶剤の種類及び量に合わせて適宜調整することができ、例えば、40℃~180℃で、1分間~120分間乾燥させることが好ましい。
【0060】
[硬化工程]
電磁波シールド用組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、本開示の電磁波シールド膜の製造方法は、被着体表面に形成された塗膜を硬化する硬化工程を有してもよい。
電磁波シールド用組成物に含有される熱硬化性樹脂を硬化するには、加熱処理で行ってもよいし、加熱加圧処理で行ってもよい。
加熱処理には、ホットプレート、温風乾燥機、温風加熱炉、窒素乾燥機、赤外線乾燥機、赤外線加熱炉、遠赤外線加熱炉、マイクロ波加熱装置、レーザー加熱装置、電磁加熱装置、ヒーター加熱装置、蒸気加熱炉等を用いることができる。
また、加熱加圧処理には、熱板プレス装置等を用いてもよいし、加圧しながら上述の加熱処理を行ってもよい。
加熱温度は、熱硬化性樹脂の種類によるが、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。当該加熱温度の上限は、特に制限されないが、例えば200℃以下である。
加熱時間は、熱硬化性樹脂の種類によるが、5分間~2時間であることが好ましく、10分間~90分間であることがより好ましく、30分間~60分間であることがさらに好ましい。
【実施例
【0061】
以下、実施例により本開示をさらに具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
[実施例]
軟磁性体扁平粒子としてFe-Si-Al合金(センダスト粉末、山陽特殊製鋼株式会社、体積平均粒子径45μm、アスペクト比45)を32質量部、樹脂としてエポキシ樹脂を37質量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を2質量部、溶剤として酢酸ブチルを29質量部混合し電磁波シールド用組成物(樹脂ワニス1)を作製した。樹脂ワニス1をスプレーガンに充填し、ポリイミドフィルム上に塗布した。このとき、スプレーガンの吐出口とポリイミドフィルム表面との間に磁界印加手段である一対のネオジム磁石のN極とS極とが対向するように配置し、樹脂ワニス1の液滴に対してポリイミドフィルムにおける液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界を印加した。その後、50℃で1時間乾燥し、150℃で1時間硬化させて電磁波シールド膜を得た。
【0063】
[比較例]
樹脂ワニス1の液滴に対して磁界を印加しない以外は実施例と同様にして電磁波シールド膜を得た。
【0064】
<評価>
得られた電磁波シールド膜の比透磁率を、キーサイト・テクノロジー社製のE4991Aを用いて求めた。得られた結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1から、樹脂ワニスの液滴に対して、ポリイミドフィルムにおける液滴の付着する面の面方向に平行な方向に沿って磁界を印加しながら樹脂ワニスを塗布することで、電磁波シールド膜の比透磁率を高くすることができることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
10 スプレーガン
12 液滴
14 被着体
16A、16B 磁石
18 磁界
20 特定軟磁性体粒子
図1