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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】複合粒子
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/02 20060101AFI20241004BHJP
   A61K 51/06 20060101ALI20241004BHJP
   C08G 77/02 20060101ALI20241004BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20241004BHJP
   C08L 101/12 20060101ALI20241004BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241004BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
C08L83/02 ZNM
A61K51/06 200
C08G77/02
C08G77/04
C08L101/12
C09K11/06
C09K11/06 680
G01N21/64 F
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019516684
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2017052924
(87)【国際公開番号】W WO2018060722
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-08-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】1616714.0
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベーレント,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブールセット,フローレンス
【合議体】
【審判長】藤原 浩子
【審判官】松本 直子
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0072671(KR,A)
【文献】特表2012-524014(JP,A)
【文献】特表2008-516040(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133229(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C08G 77/00- 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカポリマーと、主鎖およびこの主鎖から懸垂した極性基を含む発光ポリマーとの混合物を含む複合粒子であって、
前記発光ポリマーが、アルコール溶媒中で少なくとも0.1mg/mlの溶解度を有し、
前記発光ポリマーが、共役ポリマーであって、前記発光ポリマーの主鎖が式(Ia)の繰り返し単位を含む、
【化1】
(式中、Spはスペーサー基であり、Rは極性基であり、nは少なくとも1であり、Rは非極性置換基であり、pは0または正の整数であり、式中、Sp、RおよびRは、各出現において独立して、同一でも異なっていてもよい)
複合粒子。
【請求項2】
前記極性基が、式-O(RO)-R(式中、Rはそれぞれの出現において、1または複数の非隣接C原子がOで置き換えられていてもよいC1-10アルキレン基であり、RはHまたはC1-5アルキルであり、qは少なくとも1である)の基を含むか、またはそれからなる、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記極性基がイオン性基を含むか、またはそれからなる、請求項1又は2に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記イオン性基が-COO基である、請求項3に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記シリカポリマーが、式IIaおよび/またはIIbの繰り返し単位を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合粒子:
【化3】
(式中、Rは各出現において独立して、HまたはC1-12ヒドロカルビルから選択される)。
【請求項6】
前記シリカポリマーが、式IIcの繰り返し単位をさらに含む、請求項5に記載の複合粒子:
【化4】
【請求項7】
前記複合粒子がナノ粒子である、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合粒子。
【請求項8】
前記複合粒子が蛍光性である、請求項1から7のいずれか一項に記載の複合粒子。
【請求項9】
前記シリカポリマーの表面に共有結合した生体分子に結合するための受容体基を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合粒子。
【請求項10】
ポリエーテル鎖が、前記シリカポリマーの表面に共有結合している、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合粒子。
【請求項11】
リエーテル鎖が、前記シリカポリマーの表面と前記受容体との間に設けられている、請求項9に記載の複合粒子。
【請求項12】
液体中に懸濁されている、請求項1から11のいずれかに記載の複合粒子を含むコロイド懸濁液。
【請求項13】
前記液体がプロトン性液体である、請求項12に記載のコロイド懸濁液。
【請求項14】
前記プロトン性液体が、1または複数の塩をその中に溶解させて含む、請求項13に記載のコロイド懸濁液。
【請求項15】
前記発光ポリマーの存在下におけるシリカモノマーの重合による前記シリカポリマーの形成を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の複合粒子を調製する方法。
【請求項16】
溶媒に溶解したシリカモノマーを塩基の存在下で重合させる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シリカモノマーがトリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記発光ポリマーおよび前記シリカモノマーが極性溶媒に溶解される、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記発光ポリマーおよび前記シリカモノマーが、水、C1-10アルコールおよびそれらの組合せから選択される溶媒に溶解される、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記発光ポリマー:シリカモノマーの重量比が1:1~1:500の範囲内である、請求項15から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
アルコール溶液中の前記発光ポリマーの濃度が少なくとも0.1mg/mlである、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
以下の工程を含む、請求項15から21のいずれか一項に記載の方法:
(a)前記発光ポリマーを溶媒に溶解する工程;
(b)工程(a)で得られた溶液に塩基を添加する工程;ならびに
(c)工程(b)の溶液にシリカモノマーの溶液を添加する工程。
【請求項23】
前記複合粒子の表面が、生体分子に結合することができる基で官能化されている、請求項15から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項9に記載の複合粒子に生体分子を結合させる工程を含む、生体分子を標識する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合発光粒子および発光マーカーとしてのその使用に関する。本発明はさらに、前記複合粒子を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカナノ粒子は、それらの親水性のために、非常に高い固形分であっても、水性溶媒、例えば水性生物学的緩衝液中で非常に安定な懸濁液を形成する。シリカおよび発光材料のナノ粒子は、標識試薬または検出試薬として開示されている。
【0003】
Nanoscale Res.Lett.,2011,vol.6,p328は、シリカマトリックス中への小分子の捕捉を開示している。
【0004】
Langmuir,1992,vol.8,pp2921-2931は、シランカップリング剤への染料のカップリング、およびその後のシリカ球への組み込みを開示している。
【0005】
J.Mater.Chem.,2013,vol.1,pp3297-3304,Behrendt et al.は、LEPがシリカに共有結合しているシリカ-LEPナノ粒子を記載している。発光ポリマーは、ナノ粒子の形成中にシリカモノマーと反応する、ポリマー主鎖から懸垂したアルコキシシラン基を有する。
【0006】
Nanoscale,2013,vol.5,pp8593-8601,Geng et al.は、LEPがペンダント非極性アルキル側鎖を有し、ナノ粒子が「SiO@CP@SiO」構造を有するシリカ-共役ポリマー(CP)ナノ粒子を記載している。
【0007】
Chem.Mater.,2014,vol.26,pp1874-1880,Geng et al.は、ポリ(9,9-ジヘキシルフルオレン-alt-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)(PFBT)担持ナノ粒子を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Nanoscale Res.Lett.,2011,vol.6,p328
【文献】Langmuir,1992,vol.8,pp2921-2931
【文献】J.Mater.Chem.,2013,vol.1,pp3297-3304,Behrendt et al.
【文献】Nanoscale,2013,vol.5,pp8593-8601,Geng et al.
【文献】Chem.Mater.,2014,vol.26,pp1874-1880,Geng et al.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、構造的に安定な発光粒子を提供することである。
【0010】
本発明のなおさらなる目的は、高いコロイド安定性を有する発光粒子を提供することである。
【0011】
本発明のなおさらなる目的は、前記発光粒子の簡単な合成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、シリカポリマーと極性基で置換された発光ポリマーとの組合せが、良好なコロイド形成特性を有する安定な発光粒子を提供し得ることを見出した。
【0013】
したがって、本発明の第1の態様では、シリカポリマーと、主鎖およびこの主鎖から懸垂した極性基を含む発光ポリマーとを含む複合粒子を提供する。
【0014】
第2の態様では、本発明は、液体中に懸濁した本発明の第1の態様による複合粒子を含むコロイド懸濁液を提供する。
【0015】
第3の態様では、本発明は、発光ポリマーの存在下におけるシリカモノマーの重合によるシリカポリマーの形成を含む、本発明の第1の態様による複合粒子の調製方法を提供する。
【0016】
本発明者らは、シリカを含む粒子のコロイド安定性、特に塩水溶液中のコロイド安定性が、粒子の表面上にポリエーテル基を提供することによって増強され得ることを見出した。
【0017】
したがって、第4の態様では、本発明は、その表面にポリエーテル基を有する、シリカを含む粒子を提供する。
【0018】
第5の態様では、本発明は、液体と第4の態様の粒子とを含むコロイドを提供する。液体は好ましくはプロトン性液体であり、水またはアルコールであってもよい。液体は、1または複数の塩をその中に溶解させて含み得る。液体は緩衝液であり得る。
【0019】
第6の態様では、本発明は、第4の態様による粒子を形成する方法であって、反応基とポリエーテル基とを含む化合物の反応基を粒子と反応させて、ポリエーテル基を粒子表面に共有結合させることを含む方法を提供する。
【0020】
粒子の表面での反応は、表面での反応基とシリカとの間の反応であっても、またはシリカ表面の別の反応基(アミンであってもよい)と化合物の反応基との間の反応であってもよい。
【0021】
第4の態様の粒子は、シリカを含み得るか、またはそれからなってもよい。
【0022】
第4の態様の粒子は、シリカおよび少なくとも1つの発光材料を含み得る。発光材料は、ポリマー性または非ポリマー性であり得る。発光材料は粒子に共有結合していても、していなくてもよい。粒子は、第1の態様による複合粒子であり得る。
【0023】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の実施形態による青色発光シリカ-LEPナノ粒子についての平均数%対直径(nm)のグラフである。
図2図2は、本発明の実施形態による青色発光シリカ-LEPナノ粒子の吸収スペクトルを示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態による青色発光シリカ-LEPナノ粒子のフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。
図4図4は、表面処理されていない複合粒子およびその表面にアミノ基を形成するように処理された複合粒子の、メタノール中コロイド懸濁液の粒度分布のグラフである。
図5図5は表面処理されていない複合粒子およびその表面にアミノ基を形成するように処理された複合粒子の、水中コロイド懸濁液の粒度分布のグラフである。
図6図6は、表面処理されていない複合粒子およびその表面にポリエチレングリコール鎖を形成するように処理された複合粒子の、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中コロイド懸濁液の粒度分布のグラフである。
図7図7は、一実施形態による緑色発光複合ナノ粒子のUV吸収スペクトルを示す図である。
図8図8は、一実施形態による緑色発光複合ナノ粒子のフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。
図9図9は、一実施形態による緑色発光複合ナノ粒子のZ平均直径対発光ポリマー濃度のグラフである。
図10図10は、一実施形態に係る緑色発光複合ナノ粒子のZ平均直径対基本体積のグラフである。
図11図11は、一実施形態による緑色発光複合ナノ粒子のZ-平均直径対シリケート体積のグラフである。および
図12図12は、一実施形態による緑色発光複合ナノ粒子のZ平均直径対総希釈率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第1の態様では、シリカポリマーと、主鎖およびこの主鎖から懸垂した極性基を含む発光ポリマーとの混合物を含む複合粒子を提供する。
【0026】
本明細書で使用される「シリカポリマー」は、シロキサン基を含むポリマーを意味する。シリカポリマーは、交互のSiおよびO原子を含むかまたはそれらからなる直鎖、分枝鎖または架橋主鎖を有することができる。
【0027】
シリカポリマーは、発光ポリマーが分散しているマトリックスを形成することができる。複合体の発光ポリマーとシリカポリマーは互いに共有結合していない。したがって、粒子の形成中にそのような共有結合を形成するために、シリカポリマーおよび/または発光ポリマーを反応基で置換する必要はない。
【0028】
発光ポリマーは、蛍光、燐光、またはそれらの組合せを放射してもよい。
【0029】
発光ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、または2つ以上の異なる繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0030】
発光ポリマーは、ポリマー主鎖から懸垂して、またはポリマー主鎖の末端基として、ポリマー主鎖中に発光基を含んでもよい。燐光性ポリマーの場合、燐光性金属錯体、好ましくは燐光性イリジウム錯体は、ポリマー主鎖中に、ポリマー主鎖から懸垂して、またはポリマー主鎖の末端基として提供され得る。
【0031】
発光ポリマーは、非共役主鎖を有していてもよく、共役ポリマーであってもよい。「共役ポリマー」とは、隣接する繰り返し単位に直接共役しているポリマー主鎖中に繰り返し単位を含むポリマーを意味する。共役発光ポリマーとしては、ポリマー主鎖に沿って互いに共役した1または複数のアリーレン、ヘテロアリーレンおよびビニレン基を含むポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
発光ポリマーは、直鎖、分枝状または架橋主鎖を有し得る。
【0033】
発光ポリマーは、少なくとも1つの極性基で置換された1または複数の繰り返し単位をポリマー主鎖中に含み得る。1または複数の極性基は、前記繰り返し単位の唯一の置換基であり得るか、または前記繰り返し単位は、1または複数の非極性基(1または複数のC1-40ヒドロカルビル基であってもよい)でさらに置換されていてもよい。1または複数の極性基で置換された1または複数の繰り返し単位は、ポリマーの唯一の繰り返し単位であってもよく、またはポリマーは、その共繰り返し単位または各繰り返し単位が、非置換であるか、または複数の非極性基(1または複数のC1-40ヒドロカルビル基であってもよい)で置換されている1または複数のさらなる共繰り返し単位を含み得る。
【0034】
本明細書に記載のC1-40ヒドロカルビル基としては、C1-20アルキル、非置換フェニルおよび1または複数のC1-20アルキル基で置換されたフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される「極性基」は、アルコール性溶媒中少なくとも0.0005mg/ml、好ましくは少なくとも0.001、0.01、0.1、1、5または10mg/mlの溶解度を発光ポリマーにもたらすもう1つの基を指すことができる。溶解度は25℃において測定される。好ましくは、アルコール溶媒は、C1-10アルコール、より好ましくはメタノールである。
【0036】
極性基は、好ましくは水素結合を形成できる基またはイオン性基である。
【0037】
本発明の第1の態様の一実施形態では、発光ポリマーは式-O(RO)-R(式中、Rはそれぞれの出現においてC1-10アルキレン基であり、C1-5アルキレン基であってもよく、前記アルキレン基の1または複数の隣接していない非末端C原子はOで置換されていてもよく、RはHまたはC1-5アルキルであり、qは少なくとも1であり、1~10であってもよい)の極性基を含む。好ましくは、qは少なくとも2である。より好ましくは、qは2~5である。qの値は、式-O(RO)-Rのすべての極性基において同じであってもよい。qの値は、同じポリマーの極性基間で異なっていてもよい。
【0038】
に関して本明細書で使用される「C1-5アルキレン基」とは、式-(CH-(式中、fは1~5である)の基を意味する。
【0039】
好ましくは、発光ポリマーは式-O(CHCHO)(式中、qは少なくとも1であり、1~10であってもよく、RはC1-5アルキル基、好ましくはメチルである)の極性基を含む。好ましくは、qは少なくとも2である。より好ましくは、qは2~5であり、最も好ましくはqは3である。
【0040】
本発明の第1の態様の一実施形態において、発光ポリマーは式-N(R(式中、RはHまたはC1-12ヒドロカルビルである)の極性基を含む。好ましくは、各RはC1-12ヒドロカルビルである。
【0041】
本発明の第1の態様の一実施形態では、発光ポリマーは、アニオン性、カチオン性または双性イオン性であり得るイオン性基である極性基を含む。好ましくは、イオン性基はアニオン性基である。
【0042】
例示的なアニオン性基は、-COO、スルホン酸基、水酸化物、硫酸、リン酸、ホスフィン酸、またはホスホン酸の基である。
【0043】
例示的なカチオン性基は-N(R (式中、各Rは各出現において、HまたはC1-12ヒドロカルビルである)である。好ましくは、各RはC1-12ヒドロカルビルである。
【0044】
カチオン性基またはアニオン性基を含む発光ポリマーは、これらのイオン性基の電荷のバランスをとるために対イオンを含む。
【0045】
アニオン性またはカチオン性基および対イオンは同じ価数を有することができ、対イオンは各アニオン性またはカチオン性基の電荷のバランスをとる。
【0046】
アニオン性またはカチオン性基は、一価または多価であってよい。好ましくは、アニオン性基およびカチオン性基は一価である。
【0047】
発光ポリマーは、複数のアニオン性またはカチオン性極性基を含むことができ、ここで2以上のアニオン性またはカチオン性基の電荷は、単一の対イオンによってバランスがとられている。極性基は、二価または三価の対イオンを含むアニオン性またはカチオン性基を含んでいてよい。
【0048】
対イオンは、カチオンであってもよく、金属カチオンであってもよく、Li、Na、K、Csであってもよく、好ましくはCsであり、または有機カチオンであり、アンモニウム、例えばテトラアルキルアンモニウム、エチルメチルイミダゾリウムまたはピリジニウムであってもよい。
【0049】
対イオンはアニオンであってもよく、ハロゲン化物;スルホン酸基(メシル酸またはトシル酸の基であってもよい);水酸化物;カルボン酸、硫酸、リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸またはホウ酸の基であってもよい。
【0050】
本発明の第1の態様の一実施形態では、発光ポリマーは、式-O(RO)-Rの基、式-N(Rの基、式ORの基および/またはイオン性基から選択される極性基を含む。好ましくは、発光ポリマーは、式-O(CHCHO)の基、式-N(Rの基、および/または式-COOのアニオン性基から選択される極性基を含む。好ましくは、極性基は、式-O(RO)-Rの基、式-N(Rの基、および/またはイオン性基からなる群から選択される。好ましくは、極性基は、式-O(CHCHO)のポリエチレングリコール(PEG)基、式-N(Rの基、および/または式-COOのアニオン性基からなる群から選択される。R、R、R、およびqは、本発明の他の実施形態に関して説明したとおりである。
【0051】
発光ポリマーの主鎖は共役ポリマーであってもよい。共役発光ポリマーの主鎖は式(I)の繰り返し単位を含んでいてもよい:
【化1】
【0052】
(式中、Arはアリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、Spはスペーサー基であり、mは0または1であり、各出現において独立して、Rは極性基であり、mが0である場合nは1であり、mが1である場合、nは少なくとも1であり、1、2、3または4であってもよく、Rは、各出現において独立して、非極性基であり、pは0または正の整数であり、qは少なくとも1であり、1、2、3または4であってもよく、式中、Sp、RおよびRは、各出現において独立して、同一でも異なっていてもよい)。
【0053】
好ましくは、mは1であり、nは2~4、より好ましくは4である。好ましくはpは0である。
【0054】
式(I)のArは、C6-20アリーレン基または5~20員ヘテロアリーレン基であってもよい。Arは、好ましくはC6-20アリーレン基であり、フェニレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナントレン、ナフタレンまたはアントラセンであってもよく、より好ましくはフルオレンまたはフェニレン、最も好ましくはフルオレンであってもよい。
【0055】
Sp-(R)nは分枝基であってもよく、極性基(-NHまたは-OH基であってもよい)で置換された樹状基、例えばポリエチレンイミンであってもよい。
【0056】
好ましくは、Spは以下から選択される:
-1または複数の非隣接C原子がO、S、NまたはC=Oで置き換えられていてもよいC1-20アルキレンまたはフェニレン-C1-20アルキレン;
-1または複数の置換基Rに加えて、非置換であっても、または1もしくは複数の非極性置換基(1または複数のC1-20アルキル基であってもよい)で置換されていてもよいC6-20アリーレンまたは5~20員ヘテロアリーレン、より好ましくはフェニレン。
【0057】
本明細書で使用される「アルキレン」は、分枝または直鎖の二価アルキル鎖を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるアルキル基の「非末端C原子」は、n-アルキル基の末端のメチル基または分枝アルキル鎖の末端のメチル基以外のC原子を意味する。
【0059】
より好ましくは、Spは以下から選択される:
-1または複数の非隣接C原子がO、SまたはCOで置き換えられていてもよいC1-20アルキレン;および
-非置換であっても、または1もしくは複数の非極性置換基で置換されていてもよいC6-20アリーレンまたは5~20員ヘテロアリーレン、より好ましくはフェニレン。
【0060】
は、本明細書のどこかに記載されている極性基であり得る。好ましくは、Rは以下のものである:
-式-O(CHCHO)のポリエチレングリコール(PEG)基(式中、qは少なくとも1であり、1~10であってもよく、RはC1-5アルキル基、好ましくはメチルである);
-式-N(R(式中、RはHまたはC1-12ヒドロカルビルである)の基;または
-式-COOのアニオン性基。
【0061】
nが少なくとも2である場合、各Rは、各出現において独立して、同じでも異なっていてもよい。好ましくは、所与のSp基に結合している各Rは異なる。
【0062】
pが正の整数であり、1、2、3または4であってもよい場合、基Rは、以下から選択することができる:
-アルキル(C1-20アルキルであってもよい);および
-非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されていてもよいアリールおよびヘテロアリール基、好ましくは1または複数のC1-20アルキル基で置換されているフェニル;
-それぞれの基が独立して置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のアリールまたはヘテロアリール基、例えば式-(Arの基(式中、各Arは独立してアリールまたはヘテロアリール基であり、sは少なくとも2である)、好ましくはそれぞれの基が非置換であっても、または1もしくは複数のC1-20アルキルで置換されていてもよい分枝鎖または直鎖のフェニル基;ならびに
-架橋性基、例えばビニル基またはアクリレート基、またはベンゾシクロブタン基などの二重結合を含む基。
【0063】
好ましくは、各Rは、存在する場合、独立してC1-40ヒドロカルビルから選択され、より好ましくはC1-20アルキル;非置換フェニル;1または複数のC1-20アルキル基で置換されたフェニル;ならびに、非置換であっても1または複数の置換基で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖のフェニル基から選択される。
【0064】
本明細書に記載のポリマーは、1つの形態の式(I)の繰り返し単位のみを含むか、もしくはそれからなってもよく、または2つ以上の異なる式(I)の繰り返し単位を含むか、もしくはそれからなってもよい。
【0065】
式(I)の1または複数の繰り返し単位を含むポリマーは、1または複数の共繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。
【0066】
共繰り返し単位が存在する場合、式(I)の繰り返し単位は、ポリマーの繰り返し単位の0.1~99モル%を形成し、50~99モル%または80~99モル%を形成していてもよい。好ましくは、式(I)の繰り返し単位は、ポリマーの繰り返し単位の少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも60、70、80、90、95、98または99モル%を形成する。最も好ましくは、ポリマーの繰り返し単位は、式(I)の1または複数の繰り返し単位からなる。
【0067】
ポリマーのその繰り返し単位または各繰り返し単位は、ポリマーの所望の発光色を生じるように選択することができる。
【0068】
本明細書に記載の複合粒子の青色発光ポリマーは、500nm以下、好ましくは400~500nmの範囲(400~490nmであってもよい)のピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有することができる。
【0069】
本明細書に記載の複合粒子の緑色発光ポリマーは、500nmを超え580nmまでの(500nmを超え540nmまでであってもよい)ピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有することができる。
【0070】
本明細書に記載の複合粒子の赤色発光ポリマーは、580nm以下から630nmまでの(585nmから625nmまでであってもよい)ピークを有するフォトルミネッセンススペクトルを有することができる。
【0071】
本明細書に記載の発光ポリマーのフォトルミネッセンススペクトルは、Hamamatsuによって供給される装置C9920-02を使用して溶液中で測定することができる。
【0072】
式(I)の単位を含むポリマーの主鎖は、非共役であっても、または共役であってもよい。
【0073】
ポリマーは、好ましくは、互いに共役している、および/または式(I)の繰り返し単位に隣接する共繰り返し単位の芳香族もしくはヘテロ芳香族基に共役している、式(I)の繰り返し単位を含む共役ポリマーである。例示的な共役ポリマーとしては、アリーレンビニレン繰り返し単位;アリーレン繰り返し単位;ヘテロアリーレン繰り返し単位;アミン繰り返し単位;およびそれらの組合せを含むポリマーが挙げられる。
【0074】
存在する場合、その共繰り返し単位または各共繰り返し単位は、非置換であるか、または1もしくは複数の非極性置換基で置換されていてもよく、1または複数の繰り返し単位は、C6-20アリーレン基および5~20員のヘテロアリーレン基から選択される1もしくは複数の基を含むか、またはそれからなっていてよく、前記アリーレン基またはヘテロアリーレン基は、それぞれ独立に、各出現において、非置換であっても、または1もしくは複数の非極性置換基で置換されていてもよい。
【0075】
ポリマーのアリーレン繰り返し単位は、フルオレン、好ましくは2,7-結合フルオレン;フェニレン、好ましくは1,4-結合フェニレン;ナフタレン、アントラセン、インデノフルオレン、フェナントレンおよびジヒドロフェナントレンの繰り返し単位を含むがこれらに限定されない。アリーレン共繰り返し単位は、式(III)~(VI)の繰り返し単位から選択することができる:
【化2】
【0076】
(式中、R13は、各出現において、独立して置換基であり、cは0、1、2、3または4、好ましくは1または2であり、各dは独立して0、1、2または3、好ましくは0または1であり、eは0、1または2、好ましくは2である)。
【0077】
ポリマー主鎖中に1もしくは複数の非置換もしくは置換の5~20員ヘテロアリーレン基を含むか、またはそれからなる繰り返し単位としては、チオフェン繰り返し単位、ビチオフェン繰り返し単位、ベンゾチアジアゾール繰り返し単位、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なヘテロアリーレン共繰り返し単位は、式(VII)、(VIII)および(IX)の繰り返し単位を含む:
【化3】
【0078】
(式中、R13は、各出現において、独立して置換基であり、fは0、1または2である)。
【0079】
13は、各出現において独立して、極性基(極性置換基-(Sp)-(Rであってもよい)もしくは非極性置換基Rを含むか、またはそれらからなる基であり得、Sp、m、RおよびRは、式(I)に関して記載したとおりである。
【0080】
1または複数の極性基で置換されたアリーレン繰り返し単位またはヘテロアリーレン繰り返し単位(式-(Sp)-(Rの1つの基で置換されている式(III)~(IX)の繰り返し単位であってもよい)は、式(I)の繰り返し単位である。
【0081】
非置換であるか、または1もしくは複数の非極性基のみで置換されている、アリーレン繰り返し単位またはヘテロアリーレン繰り返し単位(式(III)~(IX)の繰り返し単位であってもよい)は、ポリマーの共繰り返し単位である。
【0082】
ポリマーのアミン繰り返し単位は、式(XII)を有し得る:
【化4】
【0083】
(式中、Ar、ArおよびAr10は、各出現において独立して、置換もしくは非置換のアリールまたはヘテロアリールから選択され、gは0、1または2、好ましくは0または1であり、R13は各出現において独立して置換基であり、x、yおよびzはそれぞれ独立して1、2または3である)。
【0084】
は、gが1または2である場合、各出現において同一でも異なっていてもよく、好ましくはアルキルであり、C1-20アルキルであってもよく、Ar11およびAr11基の分枝鎖または直鎖からなる群から選択され、Ar11は各出現において独立して、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリールである。
【0085】
同じN原子に直接結合しているAr、Ar、および存在する場合にはAr10およびAr11から選択される任意の2つの芳香族またはヘテロ芳香族基は、直接結合または二価の連結原子もしくは基によって連結され得る。好ましい二価の連結原子および基には、O、S、置換NおよびCが含まれる。
【0086】
ArおよびAr10は、好ましくはC6-20アリール、より好ましくはフェニルであり、これらは非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0087】
g=0の場合、Arは、好ましくはC6-20アリール、より好ましくはフェニルであり、これらは非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0088】
g=1の場合、Arは、好ましくはC6-20アリール、より好ましくはフェニルまたは多環式芳香族基、例えばナフタレン、ペリレン、アントラセンまたはフルオレンであり、これらは非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されてもよい。
【0089】
は、好ましくはAr11または分枝鎖もしくは直鎖のAr11基である。Ar11は、各出現において好ましくはフェニルであり、これらは非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0090】
例示的な基Rとしては、以下のものが挙げられ、これらはそれぞれ、非置換であっても、または1もしくは複数の置換基で置換されていてもよく、式中*はNへの結合点を表す:
【化5】
【0091】
(x、yおよびzは好ましくはそれぞれ1である)。
【0092】
Ar、Ar、および存在する場合、Ar10およびAr11は、それぞれ独立して、非置換であるか、または1もしくは複数の置換基(1、2、3または4の置換基であってもよい)で置換されている。
【0093】
置換基は独立して、極性基(極性置換基-(Sp)-(Rであってもよい)または非極性置換基Rを含むか、もしくはそれらからなる基であり得、Sp、m、RおよびRは、式(I)に関して記載したとおりである。
【0094】
Ar、Ar、および存在する場合にはAr10およびAr11の好ましい置換基は、C1-40ヒドロカルビル、好ましくはC1-20アルキルである。
【0095】
式(XII)の好ましい繰り返し単位は、式(XII-1)、(XII-2)および(XII-3)の非置換単位または置換単位を含む:
【化6】
【0096】
好ましくは、式(XII)の繰り返し単位を含むポリマーは、1または複数のアリーレン繰り返し単位(式(III)~(IX)から選択される1または複数のアリーレン繰り返し単位であってもよい)をさらに含む。0.1~50モル%の発光ポリマーは、式(XII)の1または複数の繰り返し単位であってもよい。発光ポリマーの繰り返し単位は、1または複数の式(XII)の繰り返し単位、および1または複数のアリーレン繰り返し単位(1または複数の式(III)~(IX)の繰り返し単位であってもよい)を含むか、それからなっていてもよい。
【0097】
燐光共役ポリマーの場合、燐光基、好ましくは金属錯体、より好ましくはイリジウム錯体が、ポリマーの主鎖、側鎖基および/または末端基として提供されてもよい。イリジウム錯体を含む例示的な共役繰り返し単位は、以下の式を有する:
【化7】
【0098】
好ましくは、式(I)の繰り返し単位は式(Ia)の繰り返し単位である:
【化8】
【0099】
(Ia)
(式中、R、p、Sp、Rおよびnは、各出現において独立して、式(I)の繰り返し単位に関して記載したとおりである)。好ましくは、nは各出現において2である。好ましくは、pは各出現において0である。
【0100】
式(Ia)の例示的繰り返し単位は以下のものである:
【化9】
【0101】
シリカポリマーは、式IIaおよび/またはIIbの繰り返し単位を含んでいてよい:
【化10】
【0102】
(式中、Rは各出現において、HまたはC1-12ヒドロカルビル(HまたはC1-12アルキルであってもよい)から独立して選択される)。シリカポリマーは、式(IIc)の繰り返し単位をさらに含んでいてもよい:
【化11】
【0103】
式(II)の繰り返し単位のSi原子は、ポリマー主鎖中のO原子または式ORの基に結合していることは理解されよう。
【0104】
好ましくは、複合粒子の総重量の少なくとも0.1重量%が発光ポリマーからなる。好ましくは、複合粒子の総重量の少なくとも1、10、25、または50重量%が発光ポリマーからなる。
【0105】
好ましくは、複合粒子の総重量の少なくとも50重量%がシリカポリマーからなる。好ましくは、複合粒子の総重量の少なくとも60、70、80、90、95、98、99、99.5、99.9重量%がシリカポリマーからなる。
【0106】
本発明の第1の態様の一実施形態では、複合粒子の総重量の少なくとも70重量%が発光ポリマーおよびシリカポリマーからなる。好ましくは、複合粒子の総重量の少なくとも80、90、95、98、99、99.5、99.9重量%が発光ポリマーおよびシリカからなる。より好ましくは、複合粒子は本質的に発光ポリマーおよびシリカポリマーからなる。
【0107】
本発明の第1の態様の一実施形態では、複合粒子はナノ粒子である。好ましくは、ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nano ZSで測定して、5000nm以下、より好ましくは2500nm、1000nm、900nm、800nm、700nm、600mn、500nmまたは400nm以下の数平均直径を有する。好ましくは、ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nano ZSで測定して、5~5000nmの数平均直径、10~1000nmであってもよく、好ましくは25~600nm、より好ましくは50~500nm、最も好ましくは75~400nmの数平均直径を有する粒子を含む。
【0108】
複合粒子は、液体中に懸濁された複合粒子を含むコロイド懸濁液として提供することができる。好ましくは、液体は水、C1-10アルコールおよびそれらの混合物から選択される。好ましくは、コロイド懸濁液は界面活性剤を含まない。
【0109】
複合粒子は蛍光性または燐光性である。好ましくは複合粒子は蛍光性である。好ましくは、複合粒子は蛍光プローブとしての使用のためのものであり、より好ましくはラテラルフローまたは固体イムノアッセイなどのイムノアッセイにおける蛍光プローブとしての使用のためのものである。複合粒子は蛍光顕微鏡法またはフローサイトメトリーで使用するためのものであってもよい。
【0110】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様の任意の実施形態の複合粒子は、発光ポリマーの存在下でのシリカモノマーの重合によって形成することができる。
【0111】
一実施形態では、この方法は、シリカモノマーと発光ポリマーの溶液を塩基で処理すること、またはシリカモノマーの溶液を発光ポリマーと塩基の溶液に添加することを含み、前記溶液の溶媒は水、1もしくは複数のC1-10アルコールまたはそれらの組合せである。
【0112】
別の実施形態では、この方法は、酸性条件下でモノマーと発光ポリマーとの溶液中でシリカモノマーを重合することを含む。
【0113】
このようにして形成された複合粒子のシリカポリマーと発光ポリマーの混合物は均質であってもなくてもよく、粒子内に封入された発光ポリマーの1または複数の鎖、および/または粒子を通って伸長する1または複数の鎖を含み得るがこれに限定されない。
【0114】
発光性ポリマーの極性基は、極性溶媒へのポリマーの溶解性を高め、極性基が存在しない発光性ポリマーが極性溶媒中に配置されている場合と比較して、ポリマーがきついコイル状形成するのを妨げる。
【0115】
複合粒子は、発光ポリマーの存在下でのシリカモノマーの重合のワンステップ方法において、発光ポリマーとシリカモノマーとから形成することができる。
【0116】
シリカモノマーはアルコキシシランであってもよく、好ましくはトリアルコキシまたはテトラアルコキシシランであり、C1-12トリアルコキシまたはテトラアルコキシシラン、例えばテトラエチルオルトシリケートであってもよい。シリカモノマーは、アルコキシ基のみで置換されていても、または1もしくは複数の基で置換されていてもよい。一実施形態では、シリカモノマーはポリエーテル基で置換されている。別の実施形態では、シリカモノマーは、以下により詳細に記載されるように、シリカモノマーの重合中に反応しないか、またはシリカモノマーの重合中に保護さている反応性結合基で置換されている。
【0117】
溶液はイオン性溶媒またはプロトン性溶媒を含むかまたはそれからなっていてよく、好ましくは水、アルコールおよびそれらの混合物から選択される溶媒を含むかまたはそれからなる。例示的なアルコールとしては、限定されないが、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノールおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、溶液は、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物から選択されるアルコール性溶媒を含むかまたはそれからなり、より好ましくは、溶液はメタノール、エタノールまたはそれらの混合物から選択される溶媒を含むかまたはそれからなる。好ましくは、溶媒系は水以外の非アルコール溶媒を含まない。
【0118】
本発明の第3の態様の一実施形態では、塩基は、塩基水溶液、好ましくは金属水酸化物、好ましくはアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウムまたは水酸化テトラアルキルアンモニウムなどの水酸化物の水溶液、好ましくは水中10~40%w/wのNH、好ましくは水中20~30%w/wのNHである。
【0119】
本発明の第3の態様の一実施形態では、発光ポリマー:シリカモノマーの重量比は、1:1から1:500、好ましくは1:3から1:300、または1:5から1:200、最も好ましくは1:10~1:100である。本発明者らは、発光ポリマー:シリカの重量比を選択することによって粒子の直径を調整できることを見出した。
【0120】
本発明の第3の態様の一実施形態では、溶液中の発光ポリマーの濃度は25℃で少なくとも0.0005mg/ml、好ましくは少なくとも0.001、0.01、0.1、1または10mg/mlである。
【0121】
複合粒子を形成する方法は、以下の工程を含んでいてよい:
(a)1または複数のプロトン性溶媒(水、アルコールおよびそれらの組合せであってもよい)から選択される溶媒系に発光ポリマーを溶解する工程;
(b)工程(a)で得られた溶液に塩基を添加するこ工程、ならびに
(c)工程(b)の溶液にシリカモノマーの溶液を添加する工程。
【0122】
この方法は均質溶液中で行われていてもよい。
【0123】
複合粒子は、形成後に単離され、水性溶媒、有機溶媒またはそれらの混合物中に再懸濁することができる。複合粒子は遠心分離によって反応混合物から単離することができる。
【0124】
複合粒子の表面のシリカを反応させて、受容体をシリカの表面に共有結合させることができる。受容体はシリカ表面に直接結合していてもよく、またはシリカ表面から間隔があってもよい。
【0125】
受容体をシリカ表面に結合させる鎖は、水または1もしく複数の溶質を溶解させることができるアルコールなどのプロトン性液体中で複合粒子を含むコロイドの安定性を高めるコロイド安定化基を含むか、またはそれからなる。液体は緩衝液であり得る。
【0126】
-一実施形態では、受容体は、以下の工程を含む方法で複合ナノ粒子に共有結合する:シリカの表面に第1の反応基RG1を形成する工程;
-前記反応基を、第1の反応基と反応して共有結合を形成することができる第2の反応基RG2と第3の反応基RG3とを含む化合物と反応させる工程;ならびに
-第3の反応基RG3を受容体と反応させて、受容体を複合ナノ粒子に共有結合させる工程。
【0127】
複合粒子の表面のシリカは、反応性結合基BG1で置換されたオルガノシラン(式(X)のオルガノシランであってもよい)と反応させることができる:
(式中、RはHまたは置換基、好ましくはC1-10アルキル基であり、
Spはスペーサー基であり、および
RG1は第1の反応基である)。
【0128】
RG1は、以下からなる群から選択されていてもよい:
アミン、好ましくは-N(R(式中、Rは各出現においてHまたは置換基、好ましくはHまたはC1-5アルキル、より好ましくはH;
カルボン酸またはそのエステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステルであってもよい);
アルケン;アルキン;またはSH;アジドである)。
【0129】
例示的なオルガノシランは、3-アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0130】
反応性結合基BG1を式(XI)の化合物と反応させる:
(式中、RG2はRG1と反応して共有結合を形成することができる基であり、Sp2はスペーサー基であり、RG3は受容体に結合することができる反応性結合基である)。
【0131】
RG1はアミンであり、RG2はアミンと反応することができる基(アミンと反応してアミド(カルボン酸または酸塩化物であってよい)を形成することができる基であってよい)であってよい。
【0132】
Sp1およびSp2はそれぞれ、それらのコロイド安定化特性に従って選択され得る。
【0133】
本発明者らは、シリカ粒子の表面のポリエーテル鎖スペーサー基が、特に10mMを超える塩濃度を有する水性緩衝液などの緩衝水溶液中で、粒子を構成するコロイドを安定化し得ることを見出した。
【0134】
本明細書で使用される「ポリエーテル鎖」とは、少なくとも2つのエーテル基を含む二価鎖を意味する。
【0135】
SpおよびSp2は、それぞれ独立して、1または複数の非隣接C原子がO、S、C(=O)、C(=O)O、C(=O)NR12またはNR12(式中、R12は、各出現において独立してHおよびC1-12ヒドロカルビル(C1-12アルキルであってもよい)から選択される)で置き換えられていてもよい直鎖または分枝の二価アルキレン鎖から選択されていてもよい。
【0136】
好ましくは、Sp1およびSp2の少なくとも一方は、式(XI)の繰り返し単位を含むか、またはそれからなる:
(式中、R14およびR15はそれぞれ独立してHまたはC1-6アルキルであり、bは少なくとも1であり、1~5であってもよく、好ましくは2であり、cは少なくとも2であり、2~1,000であってもよく、好ましくは10~500、10~200または10~100である)。式(XI)の基は多分散性であり得る。式(XI)の基は、少なくとも500のMnを有し、少なくとも2,000のMnを有していてもよい。
【0137】
好ましくは、SpおよびSpの少なくとも一方はポリエチレングリコール鎖を含むか、またはそれからなる。
【0138】
基SpおよびSpの一方は、1~10原子の鎖長を有していてもよく、C1-10アルキレン鎖を有していてもよく、SpおよびSpの他方は式(XI)の繰り返し単位を含む。
【0139】
結合基BG3は、限定するものではないが、生物材料(ペプチド、炭水化物、抗体、抗原、酵素、タンパク質、細胞受容体、DNA、RNA、PNA、アプタマーおよび天然生成物であってもよい);生物由来材料(組換え抗体、人工タンパク質であってもよい);ならびに生物模倣物(合成受容体、バイオミメティック触媒、コンビナトリアルリガンドおよびインプリントポリマーであってもよい)を含む合成基または受容体であり得る受容体と反応することができる。好ましいバイオレセプターはストレプトアビジンである。
【0140】
限定するものではないが、コロイド安定化基および/または非保護もしくは保護された反応基RG1で置換されたシリカモノマーを重合すること;および複合粒子を式(RO)Si-Sp-RG3(式中、Sp1はコロイド安定化基を含む)の化合物と反応させることを含む他の方法を使用して、受容体および/またはコロイド安定化基をシリカ粒子上面に共有結合させ得ることは理解されよう。
【0141】
使用時に、その表面に受容体基を有する粒子は、試料中の標的生体分子に結合することができる。生体分子としては、限定するものではないが、DNA、RNA、ペプチド、炭水化物、抗体、抗原、酵素、タンパク質およびホルモンが挙げられる。好ましい生体分子はビオチンである。
【0142】
試料を、本明細書に記載の複合ナノ粒子と接触させた、好ましくは本明細書に記載の複合ナノ粒子を含むコロイド懸濁液で処理した表面に固定化することができる。
【0143】
本明細書に記載の発光ポリマーまたはシリカポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、約1×10~1×10、好ましくは1×10~5×10の範囲であり得る。本明細書に記載のポリマーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0144】
本明細書に記載のポリマーは、適切には非晶質ポリマーである。
【0145】
本明細書に記載の複合粒子は、限定するものではないが、生物学的イメージング蛍光顕微鏡法、フローサイトメトリーおよび蛍光に基づく免疫アッセイにおいて使用することができる。
【0146】
[実施例1]
Stober法による青色発光シリカ-LEP複合ナノ粒子の形成方法:
【化12】
【0147】
その内容が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2012/133229号に開示されているLEP1を、60℃で1時間加熱することによりメタノール(1mg/mLまたは10mg/mLのいずれか)に溶解し、次いで溶液を室温に冷却した。この溶液2mLに0.15mLの水酸化アンモニウム(30%水溶液)を加え、続いて室温で撹拌しながらテトラエチルオルトシリケート(TEOS、0.2mL)およびメタノール(0.5mL)からなる溶液を素早く加えた。室温で1時間撹拌を続け、その後、溶液を14,000rpmで10分間遠心分離して、得られたシリカ-LEPナノ粒子を過剰の未反応TEOSおよび水酸化アンモニウムを含有する上清から単離した。上清をデカンテーションにより除去し、穏やかな超音波処理を用いて、単離したナノ粒子のペレットを2.5mLの新鮮なメタノール中に再分散させた。遠心分離、デカンテーションおよびメタノール(2.5mL)中への再分散からなる洗浄サイクルをさらに2回繰り返し、続いて2.5mLの脱イオン水を用いて3回同様に洗浄した。最後に、Malvern Zetasizer Nano ZSを用いた動的光散乱による粒子サイズの測定のために、ナノ粒子を1.5mLの脱イオン水中に再分散させた。
【0148】
調製したままのナノ粒子懸濁液の固形分(ナノ粒子の質量/体積)は、10分間14,000rpmで遠心分離することによって1mLの分散液から固体ナノ粒子を単離することによって決定した。遠心分離、デカンテーションおよび再分散(上記のとおり)によりメタノールで2回洗浄し、固体ペレットを一晩乾燥させた後、固体の質量を微量天秤を用いて測定した。
【0149】
調製したままのナノ粒子分散液の光学密度を、Cary 5000 UV-vis-IR分光計を使用して決定した。
【0150】
積分球アクセサリを備えたHamamatsu C9920-02 PL量子収率分光計を使用して、水性分散液中のナノ粒子のフォトルミネッセンス量子収率を決定した。
【表1】
【0151】
これらの複合粒子の粒度分布、吸収スペクトルおよびフォトルミネッセンススペクトルを図1~3に示す。
【0152】
それらの非常に高い蛍光輝度、水性緩衝液中での安定性および生体分子への表面付着の容易さのために、調製されたシリカ-LEPナノ粒子は、蛍光トレーサーまたは光学的検出アッセイ用のタグとしての使用に特に適している。
【0153】
複合ナノ粒子のアミノ修飾
メタノール中複合ナノ粒子の3mL懸濁液(動的光散乱による数平均直径=165nm、固形分約4mg/mL)に120μLの(3-アミノプロピル)トリエトキシシランを添加し、この懸濁液を室温で1時間撹拌した。懸濁液を14,000rpmで2分間遠心分離して、得られたシリカ-LEPナノ粒子を、過剰の未反応(3-アミノプロピル)トリエトキシシランを含有する上清から単離した。上清をデカンテーションにより除去し、穏やかな超音波処理を用いて、単離したナノ粒子のペレットを3mLの新鮮なメタノール中に再分散させた。遠心分離、デカンテーションおよびメタノール(3mL)中への再分散からなる洗浄サイクルをさらに2回繰り返し、最後に3mLメタノール中に再分散させた。動的光散乱分析用の試料を調製するために、懸濁液100μLを遠心分離し、上清を上記のようにデカントし、単離したナノ粒子をメタノールまたは水のいずれか1mLに再懸濁した。
【0154】
アミノ修飾複合ナノ粒子のPEG化
上記の例で形成されたメタノール中アミノ修飾複合ナノ粒子懸濁液1mLを2分間14,000rpmで遠心分離して、上清のデカンテーションによってナノ粒子を単離した。α、ω-ビス{2-[(3-カルボキシ-1-オキソプロピル)アミノ]エチル}ポリエチレングリコール(Mr=2000g/mol、10mg)、N-(3-アミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド(2.1mg)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(2.5mg)のメタノール中溶液1mLを使用して、穏やかな超音波処理によってナノ粒子ペレットを再分散させ、得られた懸濁液を室温で1時間撹拌した。懸濁液を14,000rpmで2分間遠心分離して、得られたシリカ-LEPナノ粒子を、過剰の未反応PEG化試薬を含有する上清から単離した。上清をデカンテーションにより除去し、穏やかな超音波処理を用いて、単離したナノ粒子のペレットを1mLの新鮮なメタノール中に再分散させた。遠心分離、デカンテーションおよびメタノール(1mL)中への再分散からなる洗浄サイクルをさらに2回繰り返した。最後の遠心分離およびデカンテーションの前に、懸濁液を4つの250μL部分に等分し、得られたペレットを使用前に-20℃で貯蔵した。
【0155】
ストレプトアビジンのPEG化複合ナノ粒子への共役
上記の例における単離されたPEG化複合ナノ粒子ペレットのうちの1つを、穏やかな超音波処理によって1mLのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)に再懸濁し、続いて同じ緩衝液中ストレプトアビジン溶液(1mg/mL)の50μLを直ちに添加した。懸濁液を室温で1時間撹拌した後、(150mLのリン酸緩衝食塩水で予備洗浄した)Sephacryl S-300 HR分離媒体を充填した、高さ4.5cm、直径3cmのカラムの頂部に添加した。カラムを同じ緩衝液で溶出し、1.5mLの画分を集めた。(蛍光強度に基づいて)最高濃度のナノ粒子を含有するカラム画分を、その後のバイオアッセイにおける使用のために選択した。
【0156】
様々な分散剤中の複合ナノ粒子のコロイド安定性の評価
以下の試験を用いて、様々な分散剤中の裸のおよび官能化された複合ナノ粒子(同じバッチから製造された)の相対的安定性を決定した。遠心分離およびデカンテーションの後、単離した複合ナノ粒子(約0.4mg)をバスソニケーター中で5分間の超音波処理によって分散剤(1mL)中に再分散させた。DLS分析の直前に、ナノ粒子懸濁液をさらに1分間超音波処理し、次いでMalvern Zetasizer Nano ZSを使用して分析した。表2は、DLSによって決定された、様々な分散剤中の裸および表面修飾複合ナノ粒子の多分散性指数(PdI)を示し、図4~6は対応する数平均粒度分布を示す。
【表2】
【0157】
(3-アミノプロピル)シランの自己組織化単層で官能化されたガラス顕微鏡スライドを、アセトニトリル(50mL)中に無水コハク酸(1g)およびトリメチルアミン(1.3mL)を含有する溶液に16時間浸漬した後、新鮮なアセトニトリル(50mL)で3回洗浄した。乾燥後、その後の結合アッセイに使用するために、Grace-Biolabs Secure Sealイメージングスペーサーを、得られたカルボキシ官能化ガラススライドの表面に固定して、4つの円形領域(直径=9mm)を単離した。スライドのそれぞれの単離された領域内に、N-(3-アミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド(77.0mg)およびN-ヒドロキシルスルホスクシンイミド(33.0mg)を含有する1mL溶液のうちの80μLを添加した。室温で30分間放置した後、溶液を除去し、単離した領域を水(80μL)で3回洗浄した。最後の洗浄液を除去した後、これらの領域のうちの2つに、80μLのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)中ビオチン化ウシ血清アルブミン(50μg/mL)溶液を添加し、残りの2つの領域に、0.01重量%のTween-20を含有するリン酸緩衝食塩水(pH7.4)中にウシ血清アルブミン(3重量%)を含有するブロッキング緩衝液80μLを添加した。室温で1時間後、ビオチン化ウシ血清アルブミン溶液を含有する2つの領域から溶液を除去し、それらの場所に上記のブロッキング緩衝液80μLを添加した。室温でさらに1時間後、溶液を4つの領域すべてから除去し、それぞれを、0.01重量%のTween-20を含有するリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で3回洗浄した。
【0158】
ストレプトアビジン修飾複合ナノ粒子を用いたビオチン結合アッセイ
上記の実施例で作製したウシ血清アルブミン修飾領域(2つはビオチン化および2つは非ビオチン化)のそれぞれに、先の実施例に記載のストレプトアビジン修飾複合ナノ粒子を含有する60μLのカラム画分を加えた。室温で1時間放置した後、溶液を除去し、0.01重量%のTween-20を含有するリン酸緩衝食塩水(pH7.4)80μLで3回洗浄し、80μLの脱イオン水で1回洗浄した。空気中で乾燥させた後、4つのアッセイ領域のそれぞれの蛍光強度を、顕微鏡ベースの分光計を使用し、励起源として水銀灯(λex=365nm)および検出のための光ファイバー分光計を使用してを測定した。図Xに示されるように、ビオチンを含有する2つのアッセイの平均積分蛍光強度は、非ビオチン化対照領域のそれよりも高く、Si-LEPナノ粒子が特異的ストレプトアビジン-ビオチン相互作用を通じて表面に固定化されたことを実証している。
【0159】
[実施例2]
緑色発光シリカ-LEP複合粒子を、共役ポリマーとしてLEP2を使用して、実施例1と同じStoberの手順に従って得た。
【化13】
【0160】
これらのナノ粒子のUV吸収スペクトルおよびフォトルミネッセンススペクトルを、それぞれ図7および図8に示す。
【0161】
シリカ-LEP2複合ナノ粒子のフォトルミネッセンス量子収率(PLQY)は46%であることが分かった。
【0162】
粒子は以下の寸法を有する:
Z平均-195.5nm
数平均-137.0nm
強度平均-225.5nm
粒子は0.131のPDIを有する。
【0163】
複合ナノ粒子のサイズは、図9~12にそれぞれ示されるように、共役ポリマーの濃度、シリケート体積、塩基体積および/または全体希釈を変えることによって制御することができ、Z平均直径は動的光散乱によって測定される。
【0164】
本発明を特定の例示的な実施形態に関して説明してきたが、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示された特徴の様々な修正、変更および/または組合せが当業者に明らかであることは理解されよう。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図12