(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-03
(45)【発行日】2024-10-11
(54)【発明の名称】ヒトの毛髪のケアおよび表面改質のための有効成分の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/58 20060101AFI20241004BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241004BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61K8/58
A61K8/73
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2021547940
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 EP2019079774
(87)【国際公開番号】W WO2020089360
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】102018127278.2
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】レネ・クローン
(72)【発明者】
【氏名】エリック・シュルツェ・ツーア・ヴィーシェ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/102856(WO,A1)
【文献】特表2018-537540(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第03060326(FR,A1)
【文献】国際公開第2018/108919(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/131798(WO,A1)
【文献】Redken, France,Texturizing Conditioner,Mintel GNPD [online],2017年11月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#5255071, [検索日:2023.08.24], 表題部分及び成分
【文献】Pureology Research, France,Infusion,Mintel GNPD [online],2016年11月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#3943679, [検索日:2023.08.24], 表題部分及び成分
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
b)少なくとも1つのカチオン性ポリマー
を含むケラチン物質を処理するための化粧品組成物
であって、
前記少なくとも1つの有機ケイ素化合物は式(I):
【化1】
[式中
・R
1
、R
2
は、互いに独立して、水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1
-C
6
アルキレン基を表し、
・R
3
、R
4
は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは、数値3を表し、および
・bは、数値0を表す]
の有機ケイ素化合物および式(IV):
【化2】
[式中、
・R
9
は、C
1
-C
12
アルキル基を表し、
・R
10
は、水素原子またはC
1
-C
6
アルキル基を表し、
・R
11
は、C
1
-C
6
アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、整数3-kを表す]
の有機ケイ素化合物を含み、
前記少なくとも1つのカチオン性ポリマーはキトサンである、化粧品組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機ケイ素化合物は、
式(II)の化合物を含み
、
式(II):
【化3】
の有機ケイ素化合物において
・R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は、独立に、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立に、直鎖または分岐鎖C
1-C
20二価アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基、または式(III):
【化4】
の基を表し、
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhからの残基の少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)ことを特徴とする、請求項1に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項3】
前記ケラチン物質を処理するための
化粧品組成物は、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
からなる群から選択される少なくとも1つの式(I)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とす
る、請求項1または2に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項4】
前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される少なくとも1つの式(II)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項5】
前記式(I)の有機ケイ素化合物は、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量
%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする
、請求項1~
4のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項6】
前記式(I)の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項7】
前
記式(IV)の
有機ケイ素化合物は、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシランおよび
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群か
ら選択され
ることを特徴とする、請求項1~
6のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項8】
前記カチオン性ポリマーは、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~10重量
%の量で前記化粧品組成物中に存在することを特徴とする、請求項1~
7のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項9】
前記化粧品組成物は、グリセロール、尿素、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸のシラノールエステル、パンテノール、タウリン、セラミド、フィトステロール、アロエベラ抽出物、クレアチン、クレアチニン、ヒアルロン酸ナトリウム、多糖類、ビオサッカリドガム-1、キュウリ抽出物、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビトール、アミノ酸、グリシン、グリシンソイ
、ヒスチジン、チロシンまたはトリプトファン、アミノ酸誘導体、乳酸、ラクテー
トおよび/またはエチルヘキシルオキシグリセロールからなる群か
ら選択される、さらなる皮膚保湿剤である成分c)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~
8のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項10】
前記ケラチン物質を処理するための組成物は、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
・0.5~3重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
【請求項11】
ケラチン物質のケアのための、および/または
ケラチン物質の表面を疎水化するための、
請求項1~10のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物であって、第一の成分として有機ケイ素化合物および第二の成分として少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む、化粧品組成物、および該化粧品組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なる発生源からの化学薬品への毛髪の外部暴露は、美容ケア製品の開発に対して様々な課題を提起する。空気および水の不純物は、皮膚および毛髪に対し有害作用を有する。主要な大気汚染物質には、多環式芳香族炭化水素、揮発性有機化合物、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質およびタバコの煙が含まれる。種々の大気汚染物質の影響は、他の大気汚染物質の存在下およびUV照射に晒された場合、増福され得る。
【0003】
二酸化硫黄、オゾンおよび窒素酸化物などの大気中の気体汚染物質の毒性は、生物に損傷を生ずるフリーラジカルの開始剤的活性に関連することが知られている。フリーラジカルは、身体中でも自然に発生する代謝産物である。大量にある場合、フリーラジカルは、刺激および炎症を促進し、老化の過程を加速させ得る。この場合、用語「酸化的損傷」が用いられる。フリーラジカルは目視可能な毛髪損傷、例えば光沢ならびに手触り感の減少、および/または毛髪色の退色も引き起こし得る。
【0004】
さらに、特定の毛髪テクスチャ-に対する消費者の要求の変化の多くは、毛髪の反復性の化学暴露に関係する。例えば染毛は毛髪にストレスを与え、このために特殊な集中ケアが必要となる場合がある。
【0005】
先行技術では、少なくとも1個のヒドロキシ基および/または加水分解性基を含むシランの群からのオルガノシリコン化合物が記載されている。ヒドロキシ基および/または加水分解性基の存在のために、シランは水の存在下で加水分解またはオリゴマー化または重合する反応性物質である。ケラチン物質に塗布されると、シランのオリゴマー化または重合が水の存在により開始され、最終的に保護作用を発揮できるフィルムの形成に至る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底にある課題は、改善されたケアおよび/または保護効果を備えた製品を提供することである。特に本発明は、毛髪処理の後でストレスを受けた毛髪に特別なケアをもたらす、処理後ケアを可能にする化粧剤を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、
a)少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
b)少なくとも1つのカチオン性ポリマー
を含む、ケラチン物質の処理のための化粧剤により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手の指の爪および/または足の指の爪)を意味する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に入る。
【0009】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪、特に、手の指の爪および足の指の爪を意味すると理解される。極めて好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、特に、頭髪および/または髭であると理解される。
【0010】
本発明に不可欠の第一の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。好ましい有機ケイ素化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランであって、1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物から選択される。
【0011】
別名オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、直接ケイ素-炭素結合(Si-C)を有するか、または炭素が酸素、窒素または硫黄原子を介してケイ素原子に結合している、いずれかである化合物である。有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは1個または2個のケイ素原子を含む。
【0012】
IUPAC命名法によると、用語シランは、ケイ素骨格および水素に基づく一群の化学化合物を表す。有機シランでは、水素原子は、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に置換されている。有機シランでは、いくつかの水素原子は、ヒドロキシ基により置換されてもよい。
【0013】
ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから好ましくは選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0014】
最も好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための剤は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上の塩基性基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基をさらに含む。
【0015】
この塩基性基は、例えばアミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくはリンカーを介してケイ素原子に結合されている。塩基性基は、好ましくはアミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0016】
加水分解性基は、好ましくはC1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合されている場合が好ましい。例えば加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。残基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0017】
ケラチン物質を処理するための剤が、式(I)および/または(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0018】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0019】
別の極めて特に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための剤は、式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
・R
1、R
2は、共に水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3およびR
4は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは、数値3を表し、および
・bは、数値0を表す]
【化2】
[式中、
・R
5、R
5’、R
5’’は、独立に、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
6、R
6’およびR
6’’は、独立に、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立に、直鎖または分岐鎖C
1-C
20二価アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、独立に、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化3】
で表される基を表し
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なることを条件とする)]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0020】
式(I)および式(II)の化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A’、A’’、A’’’およびA’’’’を、以下で例として説明する:
C1-C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルは、好ましいアルキル基である。C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブタ-2-エニル(but-2-enyl)、ブタ-3-エニル(but-3-enyl)およびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基は、ビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖の二価C1-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3個のC原子の鎖長から、二価アルキレン基は分岐することもできる。分岐鎖の二価C3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0021】
式(I):
【化4】
の有機ケイ素化合物において、
基R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表す。特に、基R
1およびR
2は共に、水素原子を表す。
【0022】
有機ケイ素化合物の中央部分には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。
【0023】
好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0024】
式(I):
【化5】
の有機ケイ素化合物は、一端にケイ素含有基-Si(OR
3)
a(R
4)
bを有する。
【0025】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、R3は、水素またはC1-C6アルキル基であり、R4は、C1-C6アルキル基である。R3およびR4は、互いに独立に、メチル基またはエチル基を表す。
【0026】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数値3を表す場合、bは0に等しい。aが数値2を表す場合、bは1に等しい。aが数値1を表す場合、bは2に等しい。
【0027】
ケラチン物質を処理するための剤が、基R3、R4が独立にメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合に、水および/または大気汚染の負の効果に対する最良の保護(「抗汚染」効果)およびストレスを受けた毛髪の最良のケアが得られ得る。
【0028】
特に適切な式(I)の有機ケイ素化合物は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化6】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化7】
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化8】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化9】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化10】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化11】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化12】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化13】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化14】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化15】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
【化16】
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化17】
である。
【0029】
式(I)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Sigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもSigma-Aldrichから市販品として入手できる。
【0030】
別の実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II):
【化18】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0031】
式(II)のオルガノシリコン化合物は、それぞれ、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’を両端に有する。
【0032】
式(II)の分子の中央部分には、基-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-が存在する。ここで、残基e、f、gおよびhのそれぞれは、互いに独立に、数値0または1を表すことができる(ただし、残基e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)。換言すれば、式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群から選択される少なくとも1つの基を含む。
【0033】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)cにおいて、基R5、R5’、R5’’は、互いに独立に、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6’およびR6’’は、独立にC1-C6アルキル基を表す。
【0034】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数値3を表す場合、dは0に等しい。cが数値2を表す場合、dは1に等しい。cが数値1を表す場合、dは2に等しい。
【0035】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数値3を表す場合、d’は0である。c’が数値2を表す場合、d’は1である。c’が数値1を表す場合、d’は2である。
【0036】
残基cおよびc’の両方が数値3を表す場合に、ケラチン物質の処理のための剤の極めて高い汚染防止効果が得られ得る。この場合、dおよびd’は両方とも数値0を表す。
【0037】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II):
【化19】
[式中、
・R
5およびR
5’は、独立してメチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’は、共に数値3を表し、
・dおよびd’は、共に数値0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0038】
cおよびc’が共に数値3を表し、dおよびd’が共に数値0を表す場合、有機ケイ素化合物は、式(IIa)
【化20】
に該当する。
【0039】
残基e、f、gおよびhは、独立に、数値0または1を表すことができ、残基e、f、gおよびhからの少なくとも1つの残基は0とは異なる。したがって、略号e、f、g、およびhは、-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のうちのいずれかの基が、式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを決定する。
【0040】
これに関連して、特定の基の存在が、「汚染防止」効果を高める観点から特に有利であることが証明された。残基e、f、g、およびhの少なくとも2つが数値1を表す場合に、特に良好な結果が得られた。特に好ましくは、eおよびfは、共に数値1を表す。さらに、gおよびhは、共に数値0を表す。
【0041】
eおよびfが共に数値1であり、gおよびhが共に数値0である場合、有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化21】
で表される。
【0042】
基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は互いに独立して、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は独立して、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。特に、残基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0043】
残基fが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR7-(A’)]-を含む。
【0044】
残基hが数値1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR8-(A’’)]-を含む。
【0045】
式中、R
7およびR
8は独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化22】
の基を表す。
【0046】
極めて好ましくは、R7およびR8は独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0047】
残基fが数値1を表し、残基hが数値0を表す場合、有機ケイ素化合物は、基-[NR7-(A’)]-を含むが、基-[NR8-(A’’’)]-を含まない。基R7が式(III)の基を表す場合、ケラチン物質を処理するための剤は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0048】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、式(II):
【化23】
[式中、
・eおよびfは、共に数値1を表し、
・gおよびhは、共に数値0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基を表し、
・R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0049】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、式中、
・eおよびfは、共に数値1を表し、
・gおよびhは、共に数値0を表し、
・AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、
・R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0050】
課題の解決に好適な式(II)の有機ケイ素化合物は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化24】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化28】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化29】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化30】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
である。
【0051】
式(II)の有機ケイ素化合物は、市販品として入手できる。
【0052】
CAS番号82985-35-1のビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0053】
CAS番号13497-18-2のビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンとしても知られ、例えば、Sigma-Aldrichから購入でき、または、Evonikから商品名Dynasylan 1122で市販品として入手できる。
【0054】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも呼ばれ、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0055】
CAS番号18784-74-2の3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0056】
毛髪に塗布される、ケラチン物質を処理するための剤が、式(IV)
【化36】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、有利であることも明らかになった。
【0057】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0058】
式(IV)
【化37】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、
・mは、整数3-kを表す]
の有機ケイ素化合物は、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランとも称されてよい。
【0059】
さらに好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV)
【化38】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0060】
同様に好ましい実施形態では、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV)
【化39】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、および
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0061】
別の好ましい実施形態において、ケラチン物質を処理するための組成物は、式(I)および(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV)
【化40】
[式中、
・R
9は、C
1-C
12アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数であり、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含む。
【0062】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R9は、C1-C12アルキル基を表す。このC1-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖となり得る。好ましくは、R9は、直鎖C1-C8アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、またはn-ドデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基またはn-オクチル基を表す。
【0063】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10は、メチル基またはエチル基を表す。
【0064】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、基R11は、C1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11は、メチル基またはエチル基を表す。
【0065】
さらに、kは1~3の整数を表し、mは整数3-kを表す。kが数値3を表す場合、mは0に等しい。kが数値2を表す場合、mは1に等しい。kが数値1を表す場合、mは2に等しい。
【0066】
ケラチン物質を処理するための剤が、残基kが数値3を表す式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、極めて高い「汚染防止」効果が得られ得る。この場合、残りのmは数値0を表す。
【0067】
課題の解決に特に好適な式(IV)の有機ケイ素化合物は、
・メチルトリメトキシシラン
【化41】
・メチルトリエトキシシラン
【化42】
・エチルトリメトキシシラン
【化43】
・エチルトリエトキシシラン
【化44】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化45】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化46】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化47】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化48】
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化49】
・n-ドデシルトリエトキシシラン
【化50】
およびプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、および/またはオクタデシルトリエトキシシランである。
【0068】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。
【0069】
これに関連して、剤が有機ケイ素化合物として、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわち、アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、および/または3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわち、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを含む場合に、特に好ましいことが見出された。
【0070】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の有機ケイ素化合物、特に、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランが、化粧品の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~8重量%、より好ましくは0.05~6重量%、最も好ましくは0.1~4重量%の量で化粧品中に存在する、および/または式(II)の有機ケイ素化合物、特に、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンが、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、最も好ましくは0.1~7重量%の量で、化粧品組成物中に存在する。
【0071】
剤が、構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含む場合、特に安定で均一なフィルムが、ケラチン物質上に得られることが見出された。
【0072】
好ましい実施形態において、剤は、式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物および式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0073】
明らかに極めて特に好ましい実施形態において、剤は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物、およびさらに、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0074】
別の好ましい実施形態において、剤は、剤の総重量を基準にして、
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクチルデシルトリメトキシシランおよびオクチルデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする。
【0075】
少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物において、少量の水の添加であっても、加水分解に繋がる。加水分解生成物および/または少なくとも1個のヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応で相互に反応し得る。この理由のために、少なくとも1つの加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物、およびその加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。少なくとも1個のヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物が使用される場合、少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が、組成物中に存在し得る。
【0076】
縮合生成物は、1分子当たりそれぞれ少なくとも1個のヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う反応により形成された生成物であると理解される。縮合生成物は、例えばダイマーであり得るが、トリマーまたはオリゴマーである場合もあり、縮合生成物はモノマーと平衡状態にある。加水分解で使用されるまたは消費される水の量に応じて、平衡はモノマー有機ケイ素化合物側から縮合生成物側にシフトする。
【0077】
本発明に関連して、重量%単位の数値は、特に記載のない限り、常に化粧品の総重量を基準にしている。
【0078】
本発明に不可欠の第二の成分として、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、さらなる成分b)として、少なくとも1つのカチオン性ポリマーを含む。本発明に至る研究の過程で、特に良好なケア効果を得るために、有機ケイ素化合物、例えば(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわち(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、すなわちアミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、または例えば3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、すなわちビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンが、少なくとも1つのカチオン性ポリマーと組み合わされる場合に、特に有利であることが見出された。
【0079】
用語カチオン性ポリマーは、カチオン性形式電荷を有するポリマーを指す。これは、ポリマーの骨格に沿って配置されてもよく、または側鎖中に存在してもよい。カチオン形式電荷は、酸性環境中でのプロトン化により生じることもできる。用語「ポリマー」は、当業者に既知の通常の意味を有する。
【0080】
一方のカチオン性ポリマー、および他方の有機ケイ素化合物、アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)および/またはビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンの組み合わせが処理後のコンディショニングの観点から特に強力であることが見出された。カチオン性ポリマーと毛髪の表面を覆う前記シランとの組み合わせは、本発明の根底にある課題の解決に特に効果的である。毛髪表面は疎水化され、縮れが低減される。毛髪は、特に以前に強い化学的ストレスを受けた場合に、より柔らかくなる。
【0081】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、カチオン性形式電荷を有するモノマー、好ましくはアミン基、アミド基または四級化窒素基を有するモノマー単位から構成され、カチオン性形式電荷を有するモノマー単位の量は、カチオン性形式電荷以外の形式電荷を有するモノマー単位の量を超える。これは、双性イオンポリマーも化粧品中に存在してよいことを意味するが、その場合、カチオン性形式電荷を有する基の数は、アニオン性形式電荷を有する基の数を超える。
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性ポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、四級化ポリビニルアルコール、カチオン性アルキルポリグリコシドおよびビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される。さらに、アミドアミンおよび/またはカチオン化アミドアミン、カチオン化ハチミツ、カチオン性グアー誘導体またはポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)化合物が好ましい。
【0083】
カチオン性ポリマーキトサンが特に好ましい。
【0084】
好ましい実施形態によれば、カチオン性ポリマーを含む成分b)は、化粧品組成物中で別の皮膚保湿剤と使用される。さらなる皮膚保湿剤は、グリセリン、尿素、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸のシラノールエステル、パンテノール、タウリン、セラミド、フィトステロール、アロエベラ抽出物、クレアチン、クレアチニン、ヒアルロン酸ナトリウム、多糖類、ビオサッカリドガム-1、キュウリ抽出物、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、エチルヘキシルグリセロール、ソルビトール、アミノ酸、グリシン、グリシンソイ、ヒスチジン、チロシンまたはトリプトファン(特に好ましいアミノ酸である)、アミノ酸誘導体、天然ベタイン化合物、乳酸、ラクテート、特に、乳酸ナトリウム、および/またはエチルヘキシルオキシグリセロールからなる群から選択される。特に、これらの追加の皮膚保湿剤の選択は、化粧品のケア特性を高める。これらの中で、皮膚保湿剤はカチオン性ポリマーであってよい。したがって、本発明により使用されるカチオン性ポリマーに加えて、これら皮膚保湿剤が存在する。
【0085】
本発明の好ましい実施形態によれば、成分b)は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~6重量%の合計量で化粧品組成物中に存在する。
【0086】
特に、ケラチン物質を処理するための手段は、ケラチン物質を洗浄するための手段、ケラチン物質を維持するための手段、ケラチン物質を維持し、洗浄するための手段、および/またはケラチン物質を一時的に整えるための手段を含んでよい。
【0087】
以下では、前記必須成分に加えて、製品中に含まれてよい、毛髪処理製品のさらなる成分が記載される。
【0088】
ケラチン物質を処理するための剤が、0.001~20重量%の、ポリマー化合物でない少なくとも1つの第四級化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。これは、ケラチン物質のケアのための剤、ならびにケラチン物質のケアおよび洗浄のための剤に当てはまる。
【0089】
少なくとも1つの第四級化合物は、
i)モノアルキルクワット、および/または
ii)エステルクワット、および/または
iii)式(Tkat2)
【化51】
[式中、基Rは、互いに独立して、それぞれ8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和の、直鎖または分岐鎖炭化水素基を表し、Aは、生理学的に耐容性のあるアニオンを表す]
の四級イミダゾリン
およびこれらの混合物
からなる群の少なくとも1つから選択されることが好ましい。
【0090】
ケラチン物質を処理するための剤が、好ましくは、ワックス、合成ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、固定化化合物(firming compound)をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0091】
ケラチン物質の形状を一時的に整えるための剤(=スタイリング剤)の形態で、ケラチン物質の処理のための剤に対する種々の要求を満たすために、多くの合成ポリマーが強化化合物(strengthening agent)として既に開発されており、それらをケラチン物質の処理のための剤に使用できる。代わりにまたは補完的に、ワックスが強化化合物として使用される。理想的には、ポリマーおよび/またはワックスは、ケラチン物質に塗布される場合、一方ではヘアスタイルに強力な保持力を与え、他方では応力が加えられた場合に破壊されないように充分に柔軟である、ポリマーフィルムまたはシートを生成する。
【0092】
他のアニオン性または非イオン性ポリマーが化粧品中に存在してよい。以下のポリマーがカチオン性ポリマーまたはカチオン化可能な基を有するポリマーである場合、これらは、本発明により使用されるカチオン性ポリマーに加えて、化粧品組成物中に存在してよい。
【0093】
好適な合成ポリマーには、例えば、以下のINCI名を有するポリマーが含まれる:アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー、アクリルアミド/DMAPAアクリレート/メトキシPEGメタクリレートコポリマー、アクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレートコポリマー、アクリレート/アクリルアミドコポリマー、アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、アクリレート/t-ブチルアクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C1-2スクシネート/ヒドロキシアクリレートコポリマー、アクリレート/ラウリルアクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、アクリレート/ステアリルアクリレート/エチルアミンオキシドメタクリレートコポリマー、アクリレート/VAコポリマー、アクリレート/ヒドロキシエステルアクリレートコポリマー、アクリレート/VPコポリマー、アリルステアレート/VAコポリマー、アミノエチルアクリレートホスフェート/アクリレートコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、アンモニウムVA/アクリレートコポリマー、AMPD-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/アリルメタクリレートコポリマー、AMP-アクリレート/C1-18アルキルアクリレート/C1-8アルキルアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジアセトンアクリルアミドコポリマー、AMP-アクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、バチルス/米糠エキス/大豆エキス発酵濾過物、ビス-ブチルオキシアモジメチコン/PEG-60コポリマー、ブチルアクリレート/エチルヘキシルメタクリレートコポリマー、ブチルアクリレート/ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、ブチル化PVP、エチレン/MAコポリマーのブチルエステル、PVM/MAコポリマーのブチルエステル、カルシウム/PVMナトリウム/MAコポリマー、コーンスターチ/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウムコポリマー、ジメチコンクロスポリマー、ジフェニルアモジメチコン、PVM/MAコポリマーのエチルエステル、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、イソブチレン/エチルマレイミド/ヒドロキシエチルマレイミドコポリマー、イソブチレン/MAコポリマー、イソブチルメタクリレート/ビス-ヒドロキシプロピルジメチコンアクリレートコポリマー、PVM/MAコポリマーのイソプロピルエステル、ラウリルアクリレートクロスポリマー、ラウリルメタクリレート/グリコールジメタクリレートクロスポリマー、MEA-スルファイト、メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムコポリマー、メタクリロイルエチルベタイン/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、PEG/PPG-25/25ジメチコン/アクリレートコポリマー、PEG-8/SMDIコポリマー、ポリアクリレート-6、ポリベータ-アラニン/グルタル酸クロスポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル-1、ポリエチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリロイルエチルベタイン、ポリペンタエリスリチルテレフタレート、ポリパーフルオロパーヒドロフェナントレン、ポリシリコーン-9、ポリウレタン-1、ポリウレタン-6、ポリウレタン-10、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルイミダゾリニウムアセテート、ポリビニルメチルエーテル、PVM/MAコポリマーのカリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのカリウムエチルエステル、PPG-70ポリグリセリル-10エーテル、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-10ソルビトール、PVM/MAコポリマー、PVP、PVP/VA/イタコン酸コポリマー、PVP/VA/ビニルプロピオネートコポリマー、リゾビアンガム、ロジンアクリレート、シェラック、PVM/MAコポリマーのナトリウムブチルエステル、PVM/MAコポリマーのナトリウムエチルエステル、ポリアクリル酸ナトリウム、カラヤガム、テレフタル酸/イソフタル酸/イソフタル酸スルホン酸ナトリウム/グリコールコポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルシロキシシリルカルバモイルプルラン、VA/クロトネートコポリマー、VA/クロトネート/メタクリルオキシベンゾフェノン-1コポリマー、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、VA/クロトネート/ビニルプロピオネートコポリマー、VA/DBMコポリマー、VA/ビニルブチルベンゾエート/クロトネートコポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、VP/DMAPAアクリレートコポリマー、VP/ヘキサデセンコポリマー、VP/VAコポリマー、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマー、イーストパルミテートおよびスチレン/VPコポリマー。セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースも好適である。
【0094】
また、Carbopol(登録商標)の名称で種々の形態で市販品として入手可能である、ホモポリアクリル酸(INCI:カルボマー)も、固定化化合物として好適である。
【0095】
好ましくは、固定化化合物は、ビニルピロリドン含有ポリマーを含む。特に好ましくは、固定化化合物は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0096】
カチオン性ポリマーが本明細書に開示の固定化化合物に存在する場合、これらは、本発明により使用されるカチオン性ポリマーに加えて、使用される。
【0097】
別の好ましい固定化化合物は、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)であり、これは、「Amphomer(登録商標)」の名称でAkzo Nobelから販売されている。
【0098】
したがって、固定化化合物が、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(VP/VAコポリマー)、ビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、VP/DMAPAアクリレートコポリマー(INCI)、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(INCI)、およびこれらの混合物からなる群から選択される合成ポリマーを含むことが特に好ましい。
【0099】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、成分d)として少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含む。これは、特に好ましくは、式(V):
【化52】
[式中、
R
12、R
13、R
14は、独立して、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
15は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基であり、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す]
のカチオン性界面活性剤である、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VI):
【化53】
[式中、
R
16は、C
1-C
6アルキル基を表し、
R
17、R
18は、独立して、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す]
の少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含む、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VII):
【化54】
[式中、
R
19、R
20は、独立して、C
1-C
6アルキル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、
R
21、R
22は、独立して、C
7-C
27アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表し、および
X
-は、生理学的に適合性があるアニオンを表す]
の少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含む、および/または
化粧品組成物は、好ましくは、式(VIII):
【化55】
[式中、
R
23、R
24は、独立して、C
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基またはC
2-C
6ヒドロキシアルキル基を表し、および
R
25は、C
8-C
28アルキル基、好ましくはC
10-C
22アルキル基を表す]
の少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含む。
【0100】
式(VIII)のカチオン性界面活性剤は、アミン誘導体、いわゆるシュードクワット(pseudoquat)である。有機基R23、R24およびR25は、窒素原子に直接結合している。酸性のpH範囲では、これらはカチオン化されている、すなわち窒素原子はプロトン化されている。生理学的に適合性があるカウンターイオンが、カウンターイオンとして好適である。ステアミドプロピルジメチルアミンが、式(VIII)のカチオン性界面活性剤の中で特に好ましい。
【0101】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤の量は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%、より好ましくは1~10重量%である。
【0102】
本発明の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、カチオン性電荷を有する疎水性先端基および1つまたは2つの疎水性末端部を含み、疎水性末端部は、C6~C30、より好ましくはC8~C26、特に好ましくはC10~C22の鎖長を好ましくは有する、直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキル基を表す。別の好ましい実施形態によれば、カチオン性界面活性剤は、エステル官能基、エーテル官能基、ケトン官能基、アルコール官能基、またはアミド官能基を有する。
【0103】
本発明の好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、非イオン性界面活性剤をさらに含む。これは、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含む、アルキルグルカミド、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含む、アルキルフルクトシド、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含む、アルキルグルコシド、および
・式R10(OR11)mOH[式中、R10は、直鎖または分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を表し、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基を表し、mは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6を表す]のアルキルアルコールアルコキシレート
からなる群から選択される非イオン性界面活性剤を好ましくは含む。
【0104】
本発明の好ましい実施形態によれば、1つ以上のアニオン性界面活性剤が化粧品組成物中に含まれ、それは
・8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルスルホネート、
・8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個のC原子を有する直鎖アルファ-オレフィンスルホネート、
・式R9-O-(CH2-CH2O)n-SO3X[式中、R9は、好ましくは、8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキル基またはアルケニル基であり、nは0または1~12、より好ましくは2~4であり、Xはアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである]のアルキルサルフェートおよびアルキルポリグリコールエーテルサルフェート、
・8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルカルボン酸、
・8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の、飽和または一価もしくは多価不飽和アルキルホスフェート、
・アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルイセチオネート、特にココイルイセチオン酸ナトリウム、
・アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルグリコシドカルボン酸、
・2個のアルキル基が、同じかまたは異なる、分岐鎖または非分岐鎖C2~C12、好ましくはC4~C10、より好ましくはC6~C8アルキル基から選択されるアルキルスルホサクシネート、
・アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルタウレート、
・アルキル基が、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基から選択されるアルキルサルコシネート、
・8~24、好ましくは12~22、より好ましくは16~18個のC原子および1~6個の二重結合を有する不飽和脂肪酸のスルホネート、
からなる群から好ましくは選択され、アニオン性界面活性剤のカウンターイオンは、アルカリイオンまたはアルカリ土類金属イオンまたはプロトン化トリエタノールアミンまたはアンモニウムイオンである。
【0105】
特に好ましいアニオン性界面活性剤は、8~18および10~16個の炭素原子ならびに1~6および2~4個のエチレンオキシド単位を有するアルキル基を含む、直鎖または分岐鎖アルキルエーテルサルフェートである。極めて好ましくは、アニオン性および両性/双性イオン界面活性剤の界面活性剤混合物は、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(INCI:ラウレス硫酸ナトリウム)、および極めて好ましくは、2つのエチレンオキシド単位を有するラウリルエーテル硫酸ナトリウムを含む。
【0106】
両性界面活性剤は、双性イオン界面活性剤としても知られ、分子内に少なくとも1つの四級アンモニウム基および少なくとも1つの-COO-基または-SO3
-基を含む界面活性化合物である。両性/双性イオン界面活性剤は、C8-C24アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1個の遊離アミノ基および少なくとも1個の-COOH基または-SO3H基も含み、内部塩を形成できる、界面活性化合物を含む。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によれば、化粧品組成物中の両性界面活性剤は、
・少なくとも1つの飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルベタイン、
・アルキルアンホジアセテート、または飽和もしくは不飽和の、分岐鎖もしくは非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含み、アルカリまたはアルカリ土類金属カウンターイオンを有するアルキルアンホジアセテート、および
・少なくとも1つの飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルアミドプロピルベタイン
からなる群から選択される。
【0108】
特に好適な両性/双性イオン界面活性剤には、INCI名称コカミドプロピルベタインおよびジナトリウムココアンホジアセテートとして知られるものが含まれる。
【0109】
本発明の好ましい実施形態によれば、非イオン性界面活性剤は、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルカミド、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルフルクトシド、
・飽和または不飽和の、分岐鎖または非分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を含むアルキルグルコシド、
・式R10(OR11)mOH[式中、R10は、直鎖または分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を表し、R11は、C2~C4、好ましくはC2アルキル基を表し、mは、1~10、好ましくは2~6、より好ましくは2~6を表す]のアルキルアルコールアルコキシレート、および
・式R12COOR13[式中、R12は、直鎖または分岐鎖C6~C22、好ましくはC10~C18、より好ましくはC12~C16アルキル基を表し、R13は、C1~C4、好ましくはC2アルキル基を表す]のアルキルエステル
からなる群から選択される。
【0110】
本発明の好ましい実施形態によれば、化粧品組成物は、構造的に異なる2つの界面活性剤を含む。化粧剤が相互に構造的に異なる2つの界面活性剤を含み、好ましくは化粧剤が相互に構造的に異なる2つのカチオン性界面活性剤を含むか、または化粧剤がカチオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤を含むことが特に好ましい。
【0111】
化粧品組成物は、合成ポリマーに加えてまたはその代わりに、固定化化合物として37℃を超える融点を有する少なくとも1つの天然ワックスまたは合成ワックスを含んでよい。
【0112】
天然ワックスまたは合成ワックスは、固体ケロシンまたはイソパラフィン、植物ワックス、例えばカンデリラワックス、カルナウバワックス、アフリカハネガヤワックス、和蝋、コルクワックス、サトウキビワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス、ヒマワリワックス、フルーツワックス、および動物ワックス、例えば蜜ろうおよび他の虫白蝋、鯨蝋、シェラックワックス、ウールワックスおよびブラッシンググリース(brushing grease)であってよく、さらに、ミネラルワックス、例えばセレシンおよびオゾケライト、または石油化学ワックス、例えばペトロラタム、ケロシンワックス、ポリエチレンまたはポリプロピレンのマイクロワックスおよびポリエチレングリコールワックスなどを使用できる。水素添加ワックスまたは硬化ワックスの使用が有利であり得る。化学修飾ワックス、特にモンタンエステルワックス、サソールワックスおよび水素添加ホホバワックスなどのハードワックスも使用できる。
【0113】
さらに、必須の成分に加えて、飽和および任意でヒドロキシル化されたC16-C30脂肪酸のトリグリセリド、例えば水素添加トリグリセリド油脂(水素添加パーム油、水素添加ヤシ油、硬化ヒマシ油)、グリセリルトリベヘネートまたはグリセリルトリ-12-ヒドロキシステアレートが化粧品に好適である。
【0114】
ワックス成分は、22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分岐鎖のアルカンカルボン酸、および22~44個の炭素原子の鎖長を有する、飽和した非分岐鎖のアルコールのエステルの群からも選択できる(ただし、ワックス成分またはワックス成分全体が室温で固体であることを条件とする)。シリコーンワックス、例えばステアリルトリメチルシラン/ステアリルアルコールも有利であり得る。
【0115】
天然ワックス、化学修飾ワックスおよび合成ワックスは、単独でまたは組み合わせて使用できる。したがって、複数のワックスも使用できる。さらに、おそらくその他の添加物と混合された、複数のワックス混合物も、市販品として入手できる。「Special Wax 7686 OE」(セチルパルミテート、蜜ろう、微結晶性ワックスおよびポリエチレンの混合物、融解範囲73~75℃;製造業者:Kahl&Co)、Polywax(登録商標)GP 200(ステアリルアルコールおよびポリエチレングリコールステアレートの混合物、融点47~51℃;製造業者:Croda)および「Softceresin(登録商標)FL 400」(ワセリン/ワセリンオイル/ワックス混合物、融点50~54℃;製造業者:Parafluid Mineral Oil Company)の名称で販売されている製品は、使用できる混合物の例である。
【0116】
好ましくは、ワックスは、カルナウバワックス(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、蜜ろう(INCI:蜜ろう)、ペトロラタム(INCI)、微結晶性ワックスおよび特にこれらの混合物から選択される。
【0117】
好ましいブレンドには、カルナウバワックス(INCI:Copernicia Cerifera Cera)、ペトロラタムおよび微結晶性ワックスの組み合わせ、または蜜ろう(INCI:蜜ろう)およびペトロラタムの組み合わせが含まれる。
【0118】
ワックスまたはワックス成分は、25℃で固体で、かつ>37℃の範囲で融解しなければならない。
【0119】
ケラチン物質を処理するための組成物は、化粧品組成物の総重量を基準にして、0.5~50重量%、好ましくは1~40重量%、より好ましくは1.5~30重量%、さらにより好ましくは2~25重量%の合計量で固定化化合物を好ましくは含む。
【0120】
他の好適な成分には、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、ワックス、タンパク質加水分解物、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、プロビタミン、ビタミン前駆物質、ベタイン、バイオキノン、プリン(誘導体)、植物抽出物、シリコーン、エステル油、UV光保護フィルター、構造剤、増粘剤、電解質、pH調整剤、膨張剤、着色剤、フケ防止剤、錯化剤、乳白剤、真珠光沢剤、顔料、安定化剤、噴射剤、抗酸化剤、香油および/または保存剤が含まれる。
【0121】
好ましい実施形態1~188において、好ましい有機ケイ素化合物は、本発明による化粧品組成物中において、好ましいカチオン性ポリマーと組み合わせられる。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
上表における組み合わせは、化粧品中で上記他の成分と組み合わされる活性成分の組み合わせを表す。
【0135】
少なくとも1つの有機ケイ素化合物およびカチオン性ポリマーの活性成分の組み合わせが、ケラチン物質を処理するための剤中に既に存在してよい。この実施形態において、ケラチン物質を処理するための剤は、即時使用可能な形態で既に分散されている。貯蔵中に可能な限り安定な配合物を提供するために、剤それ自体は低水分または無水状態で梱包されていることが好ましい。
【0136】
あるいは、少なくとも1つの有機ケイ素化合物が、ケラチン物質処理組成物の塗布の、最大12時間前、好ましくは最大6時間前、より好ましくは最大3時間前、さらにより好ましくは最大1時間前に、少なくとも1つの有機ケイ素化合物以外のケラチン物質処理組成物の全成分を含む基剤に添加される。
【0137】
さらに、代わりに、有機ケイ素化合物および別の成分b)は、使用の直前に、すなわち、1分~12時間前、好ましくは2分~6時間前、特に好ましくは1分~3時間前、特に好ましくは1分~1時間前に化粧品に添加される。
【0138】
さらなる代替実施形態において、AMEOまたはビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンが、毛髪に塗布される水溶液に添加され、第二の工程において、さらなる成分b)を含む水溶液または化粧品組成物が毛髪に塗布される。
【0139】
例えば、使用者は、有機ケイ素化合物を含む剤(α)と、ケラチン物質を処理するための剤の残りの成分を含む剤(β)とを最初に混合または震とうしてよい。使用者は、この(α)および(β)の混合物を、その調製の直後に、または1分~20分の短い反応時間の後のいずれかで、ケラチン物質に塗布できる。剤(β)は、ケラチン物質を処理する剤の総重量を基準にして、水、特に>30重量%の量の水を含んでよい。
【0140】
本出願の別の目的は、ケラチン物質のケアのための、および/またはケラチン物質の表面を疎水化するための、本発明によるケラチン物質を処理するための化粧剤の使用である。
【0141】
さらなる好ましい使用の実施形態に関しては、必要な変更を加えて、化粧剤と同じ実施形態が適用される。
本発明の好ましい態様は以下を包含する。
[1] a)少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
b)少なくとも1つのカチオン性ポリマー
を含む、ケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[2] 前記少なくとも1つの有機ケイ素化合物は、式(I)および/または(II)の化合物を含み、
式(I):
【化1】
の有機ケイ素化合物において
・R
1
、R
2
は、共に水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1
-C
6
アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2
-CH
2
-CH
2
-)またはエチレン基(-CH
2
-CH
2
-)を表し、
・R
3
、R
4
は、独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは、数値3を表し、および
・bは、数値0を表し、
式(II):
【化2】
の有機ケイ素化合物において
・R
5
、R
5
’、R
5
’’、R
6
、R
6
’およびR
6
’’は、独立に、C
1
-C
6
アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、独立に、直鎖または分岐鎖C
1
-C
20
二価アルキレン基を表し、
・R
7
およびR
8
は、独立に、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、ヒドロキシC
1
-C
6
アルキル基、C
2
-C
6
アルケニル基、アミノC
1
-C
6
アルキル基、または式(III):
【化3】
の基を表し、
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhからの残基の少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)ことを特徴とする、[1]に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[3] 前記ケラチン物質を処理するための剤は、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
からなる群から選択される少なくとも1つの式(I)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とするか、
または、
前記ケラチン物質を処理するための剤は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される少なくとも1つの式(II)の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[4] 前記式(I)の有機ケイ素化合物は、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~8重量%、より好ましくは0.05~6重量%、最も好ましくは0.1~4重量%の量で化粧品組成物中に存在することを特徴とする、および/または
前記式(II)の有機ケイ素化合物は、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.01~10重量%、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.05~8重量%、さらにより好ましくは0.1~7重量%、最も好ましくは0.1~6重量%の量で存在することを特徴とする、および/または
前記式(I)の有機ケイ素化合物は、3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンである、および/または前記式(II)の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランであることを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[5] 前記ケラチン物質を処理するための組成物は、式(IV):
【化4】
で示され、
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシランおよび
・オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[6] 前記カチオン性ポリマーは、カチオン性形式電荷、好ましくは、アミン基、アミド基または四級化窒素基を有するモノマー単位から構成され、前記カチオン性形式電荷を有するモノマー単位の量は、前記カチオン性形式電荷以外の形式電荷を有するモノマー単位の量を超えることを特徴とするか、または前記カチオン性ポリマーは、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミド/ジフェニルアモジメチコンコポリマー、アジピン酸/ジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/エポキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、アジピン酸/イソフタル酸/ネオペンチルグリコール/トリメチロールプロパンコポリマー、アミノエチルプロパンジオール-アクリレート/アクリルアミドコポリマー、ジエチレングリコールアミン/エピクロロヒドリン/ピペラジンコポリマー、ポリアクリルアミド、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、ビニルアミン/ビニルアルコールコポリマー、四級化ポリビニルアルコール、カチオン性アルキルポリグリコシド、キトサンおよびビニルカプロラクタム/VP/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーからなる群から選択され、特にカチオン性ポリマーがキトサンであることを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[7] 前記カチオン性ポリマーは、前記化粧品組成物の総重量を基準にして、0.1~10重量%、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~6重量%の量で前記化粧品組成物中に存在することを特徴とする、[1]~[6]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[8] 前記化粧品組成物は、グリセロール、尿素、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸のシラノールエステル、パンテノール、タウリン、セラミド、フィトステロール、アロエベラ抽出物、クレアチン、クレアチニン、ヒアルロン酸ナトリウム、多糖類、ビオサッカリドガム-1、キュウリ抽出物、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルプロパンジオール、エチルヘキシルグリセリン、ソルビトール、アミノ酸、グリシン、グリシンソイ、特に好ましいアミノ酸であるヒスチジン、チロシンまたはトリプトファン、アミノ酸誘導体、乳酸、ラクテート、特に、乳酸ナトリウム、および/またはエチルヘキシルオキシグリセロールからなる群から好ましくは選択される、さらなる皮膚保湿剤である成分c)をさらに含むことを特徴とする、[1]~[7]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[9] 前記ケラチン物質を処理するための化粧品組成物は、構造的に相互に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[10] 前記ケラチン物質を処理するための組成物は、前記ケラチン物質を処理するための組成物の総重量を基準にして、
・0.5~3重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランの群から選択される少なくとも1つの第一の有機ケイ素化合物、および
・3.2~7重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第二の有機ケイ素化合物
を含むことを特徴とする、[1]~[9]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物。
[11] ケラチン物質のケアのための、および/または
ケラチン物質の表面を疎水化するための、
[1]~[10]のいずれかに記載のケラチン物質を処理するための化粧品組成物の使用。