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特許7566239基板ユニット、着脱ユニット、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】基板ユニット、着脱ユニット、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20241007BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241007BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241007BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241007BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H05K7/14 B
G03G15/08 390Z
G03G15/00 680
G03G21/16 152
G03G21/16 176
B41J2/175 175
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020158549
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052274
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】押川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】小澤 譲
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-192332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/16
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体に対して所定の方向に着脱可能に設置される基板ユニットであって、
前記所定の方向に略直交する方向に隙間をあけて並設された複数の基板を備え、
前記複数の基板のうち少なくとも1つの基板は、隣接する基板に対向する端面に、前記機器本体に対する当該基板ユニットの装着動作に連動して前記隣接する基板と基板との間に挿入される前記機器本体の本体端子に接離可能な端面部端子を具備したことを特徴とする基板ユニット。
【請求項2】
前記隣接する基板と基板との電気的なやり取りを可能にする中継部材が、前記端面部端子とは別に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の基板ユニット。
【請求項3】
前記中継部材は、前記隣接する基板と基板とにそれぞれ接続された導線であることを特徴とする請求項2に記載の基板ユニット。
【請求項4】
前記中継部材は、前記隣接する基板と基板とにそれぞれ接続された板バネ部材であることを特徴とする請求項2に記載の基板ユニット。
【請求項5】
前記隣接する基板と基板とにそれぞれ設置された前記端面部端子と前記端面部端子とが対向する方向の距離が、前記本体端子の前記対向する方向の長さに比べて短いことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の基板ユニット。
【請求項6】
前記端面部端子は、前記機器本体に対する当該基板ユニットの装着動作に連動して前記本体端子を案内するとともに、前記本体端子に接触して弾性変形するように形成されたことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の基板ユニット。
【請求項7】
前記複数の基板は、前記機器本体との間で情報を通信可能な情報記憶部が設けられた1つのICチップとして構成可能なものを当該複数の基板に分割したものであって、
前記端面部端子は、アース端子であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の基板ユニット。
【請求項8】
前記複数の基板は、それぞれ、前記所定の方向に略直交する主面に、前記機器本体に対する当該基板ユニットの着脱動作に連動して前記機器本体の第2の本体端子に接離可能な主面部端子を具備したことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の基板ユニット。
【請求項9】
前記複数の基板における複数の前記主面部端子は、前記所定の方向にみたときに、前記隣接する基板と基板とにそれぞれ設置された前記端面部端子と前記端面部端子とが対向する方向に対して略直交する方向に間隔をあけて配列されたことを特徴とする請求項8に記載の基板ユニット。
【請求項10】
前記主面部端子は、前記所定の方向にみたときに、その長手方向が、前記隣接する基板と基板とにそれぞれ設置された前記端面部端子と前記端面部端子とが対向する方向に略一致するように配置されたことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の基板ユニット。
【請求項11】
機器本体に対して所定の方向に着脱可能に設置される基板ユニットであって、
前記所定の方向に略直交する方向に隙間をあけて並設された複数の基板を備え、
前記複数の基板は、基板と基板との電気的なやり取りを可能にする1つ又は複数の中継部材で互いに接続され、
前記1つ又は複数の中継部材のうち少なくとも1つの中継部材は、前記機器本体に対する当該基板ユニットの装着動作に連動して前記隣接する基板と基板との間に挿入される前記機器本体の本体端子に接離可能な端子を具備したことを特徴とする基板ユニット。
【請求項12】
機器本体に対して所定の方向に着脱可能に設置される基板ユニットであって、
前記所定の方向に略直交する方向に隙間をあけて並設された複数の基板を備え、
前記複数の基板のうち少なくとも1つの基板は、前記機器本体に対する当該基板ユニットの装着動作に連動して前記隣接する基板と基板との間に挿入される前記機器本体の本体端子に接離可能な基板端子を具備したことを特徴とする基板ユニット。
【請求項13】
前記機器本体としての画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニットであって、
請求項1~請求項12のいずれかに記載の基板ユニットが設置されたことを特徴とする着脱ユニット。
【請求項14】
当該着脱ユニットは、内部にトナー又はインクが収容された収容容器であることを特徴とする請求項13に記載の着脱ユニット。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の着脱ユニットが前記画像形成装置本体に設置されたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICチップなどの基板が設置された基板ユニットと、それを備えたトナー容器などの着脱ユニットと、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機や印刷機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機等の画像形成装置(機器)において、トナーカートリッジなどの着脱ユニットが着脱可能(交換可能)に設置されたものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
詳しくは、特許文献1等において、このようなトナーカートリッジ(着脱ユニット)には、トナーカートリッジに関する情報などが記憶されたICチップ(基板)が設置されている。そして、画像形成装置本体(機器本体)にトナーカートリッジが装着されると、トナーカートリッジのICチップと、画像形成装置本体の本体端子と、が通信可能に接触して、トナーカートリッジと画像形成装置本体との間での情報のやり取りが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、機器本体(画像形成装置本体)に着脱ユニットが装着されるときに、着脱ユニットに設置された基板が、機器本体の本体端子に接触して、破損してしまうことがあった。
特に、このような不具合は、着脱ユニットが機器本体に対して繰り返し着脱される場合などには、顕著になっていた。
【0004】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、機器本体に装着されても、基板が破損してしまう不具合が生じにくい、基板ユニット、着脱ユニット、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明における基板ユニットは、機器本体に対して所定の方向に着脱可能に設置される基板ユニットであって、前記所定の方向に略直交する方向に隙間をあけて並設された複数の基板を備え、前記複数の基板のうち少なくとも1つの基板は、隣接する基板に対向する端面に、前記機器本体に対する当該基板ユニットの装着動作に連動して前記隣接する基板と基板との間に挿入される前記機器本体の本体端子に接離可能な端面部端子を具備したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、機器本体に装着されても、基板が破損してしまう不具合が生じにくい、基板ユニット、着脱ユニット、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す断面図である。
図3】トナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図である。
図4】トナー容器収容部にトナー容器が設置される状態を示す斜視図である。
図5】トナー容器とトナー補給装置の要部とを示す斜視図である。
図6】トナー容器のキャップ部を示す正面図である。
図7】画像形成装置本体の本体端子を示す図である。
図8】基板ユニットを示す斜視図である。
図9】(A)基板ユニットを示す上面図と、(B)そのA-A断面を示す断面図と、(C)そのB-B断面(C-C断面、D-D断面)を示す断面図と、である。
図10】基板のアース端子に対して本体端子が相対的に斜めに挿入された状態を示す拡大図である。
図11】変形例1としての、基板ユニットの一部を示す断面図である。
図12】変形例2としての、基板ユニットの一部を示す断面図である。
図13】変形例3としての、基板ユニットを示す上面図である。
図14】変形例4としての、基板ユニットを示す上面図である。
図15】変形例5としての、基板ユニットを示す上面図である。
図16】変形例6としての、基板ユニットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0009】
まず、機器としての画像形成装置100の全体の構成・動作について説明する。
図1(及び、図3)に示すように、機器本体としての画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つの着脱ユニットとしてのトナー容器32Y、32M、32C、32K(収容容器)が着脱可能(交換可能)に設置されている。
トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット15が配設されている。その中間転写ユニット15の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
トナー容器32Y、32M、32C、32Kの下方には、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kが設置されている。そして、トナー容器32Y、32M、32C、32K(収容容器)に収容されたトナーは、それぞれ、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって、作像部6Y、6M、6C、6Kの現像装置内に補給される。
【0010】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Y(像担持体)と、感光体ドラム1Yの周囲にそれぞれ設置された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、除電装置、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Yの表面にイエロー画像が形成されることになる。
【0011】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0012】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって図2の時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7(図1参照)から発せられるレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写ベルト8及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上のトナー像が中間転写ベルト8上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置(不図示)との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の下方に配設された露光装置7から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム上に向けて照射される。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0016】
ここで、図1を参照して、中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写対向ローラ12、複数のテンションローラ、中間転写クリーニング装置、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材によって張架・支持されるとともに、1つのローラ部材12の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0017】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0018】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト8は、2次転写ローラ19との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に転写される。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0019】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙等のシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0020】
レジストローラ対28に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0021】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される。
その後、シートPは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0022】
次に、図2にて、作像部における現像装置の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設された2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー搬送管64Y(トナー搬送経路)に連通している。
【0023】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。
【0024】
ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器32Yに収容されている現像剤としてのトナーが、トナー補給装置60Y(図3図5等参照)を介して現像剤収容部54Y内に補給される。
なお、トナー補給装置60Yの構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0025】
その後、現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0027】
次に、図3図5等を用いて、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kについて詳述する。
図3等を参照して、装置本体100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32Y、32M、32C、32Kに収容された現像剤としてのトナーは、各色の現像装置内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kによって適宜に各現像装置内に補給される。
なお、4つのトナー補給装置60Y、60M、60C、60Kやトナー容器32Y、32M、32C、32Kは、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明をおこない、他の3つの色に対応したトナー補給装置60M、60C、60Kやトナー容器32M、32C、32Kの説明を適宜に省略する。
【0028】
図4に示すように、トナー容器32Y、32M、32C、32Kが装置本体100のトナー容器収容部70に装着(矢印Qに沿った移動である。)されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Y、32M、32C、32Kのシャッタ部材34d(図3参照)が移動してトナー排出口Wが開放されるとともに、トナー容器収容部70(トナー補給装置60Y、60M、60C、60K)のトナー補給口72w(図3参照)とトナー排出口Wとが連通する。これにより、トナー容器32Y、32M、32C、32K内に収容されたトナーが、トナー排出口Wから排出されて、トナー容器収容部70(トナー補給装置60Y、60M、60C、60K)のトナー補給口72wからトナータンク部61Y内に貯溜されることになる。
なお、図3図6等を参照して、トナー容器32Yが画像形成装置本体100(機器本体)に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yのキャップ部34Yに設置された基板ユニット80が、画像形成装置本体100の本体端子ユニット110(図7参照)に接続される。そして、基板ユニット80の基板81、82(ICチップ)と画像形成装置本体100の制御部90との間での情報のやり取りが可能になる。そして、制御部90は、基板81から取得した情報に基づいて、トナー容器32Y内に残留するトナー量(トナー残量)を操作表示パネル(画像形成装置本体100の外装部に設置されている。)に表示したり、トナー容器32Yから現像装置5Yに向けてのトナー補給のタイミングを判断したり、トナーエンド状態からのリカバリ動作を実行したりすることになる。
【0029】
ここで、図3図5等を参照して、着脱ユニット(収容容器)としてのトナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持されるキャップ部34Yと、ギア33cが一体的に形成された容器本体33Y(ボトル本体)と、で構成される。
容器本体33Yは、キャップ部34Yに対して相対的に回転可能に保持されていて、駆動機構(駆動モータ91やギア92、93等で構成されている。)によって図3図5の矢印方向に回転駆動される。そして、容器本体33Y自体が軸線Xを中心に回転することで、容器本体33Yの内壁面(内周面)に螺旋状に形成された突起33b(図5参照)によって、トナー容器32Y(容器本体33Y)の内部に収容されたトナーが軸方向(長手方向)に搬送されて(図3の左方から右方への搬送である。)、容器本体33Yの開口部33aからキャップ部34Yにトナーが排出され、さらにキャップ部34Yのトナー排出口Wから容器外にトナーが排出される。すなわち、駆動モータ91によってトナー容器32Yの容器本体33Yが適宜に回転駆動されることで、トナータンク部61Yにトナーが適宜に供給される。なお、トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったときである。)に新品のものに交換される。
【0030】
また、図6等に示すように、キャップ部34Yの端面に形成された設置部34cには、基板ユニット80が嵌合(設置)されている。この基板ユニット80には、情報記憶装置としての基板81、82(図8等参照)が設置されている。
この基板81、82は、ICチップなどであって、画像形成装置本体100の制御部90との間で種々の情報のやり取りをおこなうためのものである。具体的に、基板81、82には、トナー容器32Yに収容されたトナーの製造年月日、製造ロット番号、色、種類などの情報や、トナー容器32Y自体の製造年月日、仕向地、製造工場、リサイクルの有無などの情報が予め記憶されている。そして、それらの情報が制御部90(装置本体)に送られる。さらに、制御部90(装置本体)の側からも、画像形成装置100における使用履歴などの情報が基板81、82(1Cチップ)に送られて、それらの情報が基板81、82に適宜記憶される。
なお、本実施の形態における基板ユニット80は、1つの基板が設置されているのではなくて、2つの基板81、82が分割されて設置されているが、このような基板ユニット80の構成・動作については、後でさらに詳しく説明する。
【0031】
また、図6に示すように、キャップ部34Yの端面には、トナー容器収容部70(画像形成装置本体100)におけるキャップ部34Yの位置を定めるための、位置決め穴部34a、34bが形成されている。
そして、トナー容器32Yが画像形成装置本体100(機器本体)に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yのキャップ部34Yに形成された位置決め穴部34a、34bが、画像形成装置本体100の位置決めピン120、121(図7参照)に嵌合する。これにより、トナー容器収容部70(画像形成装置本体100)におけるキャップ部34Yの位置を定めることになる。そして、そのように位置決めされたキャップ部34Yにおいて、基板ユニット80が、画像形成装置本体100の本体端子ユニット110(図7参照)に正常に接続されることになる。
【0032】
図3図5を参照して、トナー補給装置60Y、60M、60C、60Kは、トナー容器収容部70、トナータンク部61Y、搬送コイル62Y、トナーエンドセンサ66Y、駆動モータ91、ギア92~95、等で構成されている。
トナータンク部61Yは、トナー容器32Yのトナー排出口Wの下方に設置されていて、トナー容器32Yのトナー排出口Wから排出されたトナーが貯留される。トナータンク部61Yの底部は、トナー搬送管64Yの上流部に接続されている。
また、トナータンク部61Yの壁面(底部から所定高さの位置である。)には、トナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサ66Yが設置されている。トナーエンドセンサ66Yとしては、圧電センサ等を用いることができる。そして、トナーエンドセンサ66Yによってトナータンク部61Yに貯留されたトナーが所定量以下になったことが制御部90にて検知(トナーエンド検知)されると、制御部90の制御により駆動モータ91によってトナー容器32Yの容器本体33Yを所定時間回転駆動してトナータンク部61Yへのトナー補給をおこなう。さらに、このような制御を繰り返してもトナーエンドセンサ66Yによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、装置本体100の外装部に設置された表示パネルにトナー容器32Yの交換を促す旨の表示をおこなう。
【0033】
図3図5に示すように、搬送コイル62Yは、トナー搬送管64Yに回転可能に内設されていて、トナータンク部61Yに貯留されたトナーをトナー搬送管64Yを介して現像装置5Yに向けて搬送するものである。詳しくは、搬送コイル62Yは、駆動モータ91による回転駆動されることで、トナータンク部61Yの底部(最下点)から現像装置5Yの上方に向けてトナーをトナー搬送管64Yに沿って搬送する。そして、搬送コイル62Yによって搬送されたトナーは、現像装置5Y(現像剤収容部54Y)内に補給される。
なお、本実施の形態において、搬送コイル62Yの駆動源は、トナー容器32Y(容器本体33Y)の駆動源と共通化されている。すなわち、駆動モータ91が回転駆動されると、トナー容器32Yが回転するとともに搬送コイル62Yも回転することになる。
【0034】
また、図4を参照して、トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yのキャップ部34Yを保持するためのキャップ受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するためのボトル受部72と、本体端子ユニット110(図3図7参照)と、で構成されている。本体端子ユニット110には、複数の本体端子111~114が設けられている。
ここで、図1を参照して、装置本体100の手前側(図1の紙面垂直方向手前側である。)の上方に設置された本体カバー(不図示)を開放すると、トナー容器収容部70が露呈される。そして、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの軸方向(長手方向)を水平方向とした状態で、装置本体100の手前側上方からの各トナー容器32Y、32M、32C、32Kの着脱操作(トナー容器の長手方向を着脱方向とする着脱操作である。)がおこなわれる。
詳しくは、装置本体100への装着時には、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、本体カバーが開放された状態の装置本体100の上方からトナー容器収容部70上に載置され、その後にキャップ部34Yを先頭にして水平方向に押し込まれることになる(図4の矢印Qに沿った移動である。)。これに対して、装置本体100からの離脱時には、各トナー容器32Y、32M、32C、32Kは、装着時と逆の操作がおこなわれることになる。
【0035】
以下、本実施の形態における着脱ユニットとしてのトナー容器32Y(収容容器)に設置された、特徴的な基板ユニット80の構成・動作について詳述する。
先に図3図6図7等を用いて説明したように、内部にトナーが収容された収容容器としてのトナー容器32Yは、機器本体としての画像形成装置本体100に対して着脱可能に設置される着脱ユニットとして機能している。そして、その着脱ユニットとしてのトナー容器32Yのキャップ部34Yには、複数に分割された基板81、82(本実施の形態では、ICチップである。)が設置された基板ユニット80が、画像形成装置本体100の制御部90と通信可能に設置されている。
したがって、基板ユニット80は、画像形成装置本体100(機器本体)に対して所定の方向(図3の左右方向であって、図9(A)の紙面垂直方向である。)に着脱可能に設置されることになる。
なお、図8に図示した矢印は、基板ユニット80(トナー容器32Y)の装着方向を示すものである。
【0036】
図8図9に示すように、基板ユニット80は、主として、複数の基板(第1基板81と第2基板82とである。)、中継部材としての導線83、などで構成されている。
複数の基板81、82は、画像形成装置本体100(機器本体)に対する基板ユニット80(トナー容器32Y)の着脱方向(所定の方向)に略直交する方向(図9(A)の上下方向である。)に隙間をあけて並設されている。換言すると、複数の基板81、82は、上述した着脱方向にそれぞれ略直交するように、隙間をあけて並設されている。
複数の基板81、82(本実施の形態では、2つの基板である。)は、少なくとも1つの基板(例えば、第1基板81である。)に、画像形成装置本体100との間で情報を通信可能な情報記憶部が設置されたICチップであって、本来1つのICチップとして構成可能なものを2つに分割したものである。
なお、中継部材としての導線83は、2つに分割された基板81、82が本来1つのICチップとして機能するように、2つの基板81、82間の電気的なやり取りを可能にするためのものである。したがって、導線83は2つの基板81、82のそれぞれの電子回路に電気的に接続されていることになる。
【0037】
ここで、図8図9(A)、(B)に示すように、複数の基板81、82は、それぞれ、隣接する基板に対向する端面(着脱方向(所定の方向)に延びる側面である。)に、画像形成装置本体100の本体端子としての本体アース端子111に接離可能な端面部端子としてのアース端子81a、82aが設けられている。
本体アース端子111は、画像形成装置本体100に対する基板ユニット80(トナー容器32Y)の装着動作に連動して、隣接する基板81と基板82との間に挿入される棒状(軸状)の本体端子である。また、本実施の形態において、本体アース端子111は、画像形成装置本体100において接地されていて、アース端子81a、82aを介して基板81、82のベース部を接地するための本体端子である。
【0038】
さらに具体的に、図9(A)に示すように(着脱方向(所定の方向)にみたときに)、第1基板81は略L字状に形成されていて、第2基板82は略逆L字状に形成されている。そして、2つの基板81、82は、互いに隙間をあけて対向して、全体的な外形(基板ユニット80を着脱方向(所定の方向)にみた外形である。)が略矩形になるように配置されている。
そして、第1基板81には、図9(A)の下方に突起した部分における右方の端面に、板状のアース端子81aが設けられている。これに対して、第2基板82には、図9(A)の上方に突起した部分における左方の端面に、板状のアース端子82aが設けられている。この2つのアース端子81a、82aが対向する方向は、後述する略矩形の主面部端子(クロック信号端子81b、シリアルデータ用端子82b、電源用端子82cである。)の長手方向(図9(A)の左右方向である。)に略一致している。
そして、画像形成装置本体100(本体端子ユニット110)に対するトナー容器32Y(基板ユニット80)の装着動作に連動して、これらの2つのアース端子81a、82aの間に、本体アース端子111が挿入されることになる。すなわち、棒状の本体アース端子111の外周面が、板状のアース端子81a、82aに線接触することになる。これにより、2つのアース端子81a、82aと本体アース端子111とが導通して、基板ユニット80(第1、第2基板81、82)の接地が可能になる。
なお、棒状の本体アース端子111の外周面が、板状のアース端子81a、82aに面接触するように、板状のアース端子81a、82aを本体アース端子111の外周面の形状に合わせて曲面状に形成することもできる。
【0039】
また、図8図9(A)、(C)に示すように、複数の基板81、82のうち少なくとも1つの基板(本実施の形態では2つの基板81,82である、)は、着脱方向(所定の方向)に略直交する主面(本体端子ユニット110に対向する対向面である。)に、画像形成装置本体100に対する基板ユニット80の装着動作に連動して画像形成装置本体100の第2の本体端子112~114に接離可能な略矩形の主面部端子81b、82b、82cが設けられている。
本実施の形態において、第2の本体アース端子は、主面部端子81b、82b、82cに面接触する板状の本体端子であって、本体クロック信号端子112と本体シリアル信号用端子113と本体電源用端子114とである。主面部端子は、第1基板81に設置されたクロック信号端子81bと、第2基板82に設置されたシリアルデータ用端子82b、電源用端子82cと、である。
クロック信号端子81bは、本体クロック信号端子112に接続されて、基板81内の送受信タイミングを揃えるためのクロック信号を受信するための端子である。シリアルデータ用端子82bは、本体シリアルデータ用端子113に接続されて、画像形成装置本体100との間でシリアル通信をおこなうための端子である。電源用端子82cは、本体電源用端子114に接続されて、画像形成本体100から基板81を動作させるための電力を供給するための端子である。
なお、2つ基板81、82の表面は、それぞれ、端子(81a、81b、82a~82c)が露呈する部分や、導線83が接続される部分を除いて、絶縁材料(非導通材料)で被覆されている。
【0040】
このように、本実施の形態における基板ユニット80は、1つの基板に形成された穴状のアース端子に棒状の本体アース端子が接続(嵌合)されるのではなくて、分割された2つの基板81、82の端面にそれぞれ設置されたアース端子81a、82a(端子)の間に挟まれるように本体アース端子111(本体端子)が接続される。
そのため、1つの基板に形成された穴状のアース端子に棒状の本体アース端子が嵌合される場合(図10(B)参照)に比べて、画像形成装置本体100にトナー容器32Y(基板ユニット80)が装着されるときに、基板81、82が破損してしまう不具合が生じにくくなる。特に、トナー容器32Yが画像形成装置本体100に対して真直ぐに装着されずに、図10(A)に示すように、基板ユニット80に対して本体アース端子111が相対的に傾斜した状態で挿入されてしまい、基板81、82がアース端子81a、82aを介して本体アース端子111から白矢印方向の力を受けるような場合であっても、分割された2つの基板81、82は結合されておらず、その力が作用する方向に沿って移動可能であるため、基板81、82が破損してしまう不具合が生じにくくなる。
これに対して、図10(B)に比較例として示した基板180のように、1つの基板に形成された穴状のアース端子に、棒状の本体アース端子111が傾斜した状態で嵌合される場合には、基板180がアース端子を介して本体アース端子111から白矢印方向の力を受けて破損してしまう。
【0041】
ここで、図9(B)を参照して、本実施の形態では、隣接する基板81と基板82とにそれぞれ設置されたアース端子81a(端面部端子)とアース端子82a(端面部端子)とが対向する方向の距離Nが、本体アース端子111(本体端子)の対向する方向の長さMに比べて僅かに短くなるように構成されている(N<<M)。
このように構成することで、本体アース端子111がアース端子81a、82aに確実に接触して、導通不良(接地不良)が生じにくくなる。
なお、このように構成した場合には、基板ユニット80に対して本体アース端子111が挿入されたときに、2つの基板81、82がアース端子81a、82aを介して本体アース端子111から互いに離間する方向の力を受けることになるが、分割された2つの基板81、82は結合されておらず、その力が作用する方向に沿って移動可能であるため、基板81、82が破損してしまうことはない。
【0042】
なお、本実施の形態において、2つの基板81、82を図9(A)の左右方向に移動しやすくするため、基板ユニット80を保持するトナー容器32Y(キャップ部34Y)の設置部34c(図6参照)に、2つの基板81、82が移動可能なスペースを形成するとともに、2つの基板81、82の移動を案内する案内部を形成することが好ましい。
また、そのような場合に、2つの基板81、82を互いに近づく方向に付勢する付勢手段(例えば、スプリングである。)を設置することが好ましい。さらに、そのような場合に、2つの基板81、82が付勢手段によって無制限に近づかないように制限するストッパ部を、基板81、82に接触可能に設けることが好ましい。
【0043】
ここで、図9(B)等を参照して、本実施の形態における基板ユニット80には、隣接する基板81と基板82との電気的なやり取りを可能にする中継部材としての導線83が、アース端子81a、82a(端面部端子)とは別に設けられている。
この導線83は、隣接する基板81と基板82とにそれぞれ接続されている。
具体的に、導線83は、その一端側が第1基板81の電子回路に導通可能に接続されていて、その他端側が第2基板82の電子回路に導通可能に接続されている。また、導線83は、基板ユニット80への本体アース端子111の挿入を妨げず、第1、第2基板81、82が図9(B)の左右方向に離れても破断しないように、充分な長さに設定されている。
このように導線83を設置することで、本来1つの基板(ICチップ)として機能するものを2つの基板81、82に分割しても、2つの基板81、82に重複した部品(例えば、情報記憶部などである。)を設置することなく、1つの基板(ICチップ)として機能することになる。
【0044】
<変形例1>
図11は、変形例1としての基板ユニット80の一部を示す断面図であって、本実施の形態における図9(B)に対応する図である。
図11に示すように、変形例1において、端面部端子としてのアース端子81a、82aは、画像形成装置本体100(機器本体)に対する基板ユニット80の白矢印方向の装着動作に連動して本体アース端子111(本体端子)を案内するとともに(ガイド部として機能するとともに)、本体アース端子111に接触して黒矢印方向に弾性変形するように形成されている。
このように構成することで、装着時において本体アース端子111が2つのアース端子81a、82aの間にスムーズに挿入されるとともに、本体アース端子111がアース端子81a、82aに比較的強い力で密着して導通不良(接地不良)を防止することができる。
【0045】
<変形例2>
図12は、変形例2としての基板ユニット80の一部を示す断面図であって、本実施の形態における図9(B)に対応する図である。
図12に示すように、変形例2では、隣接する基板81と基板82との電気的なやり取りを可能にする中継部材として、導線83の替わりに、略V字状に形成された板バネ部材84が用いられている。
この板バネ部材84は、隣接する基板81と基板82とにそれぞれ接続されている。
具体的に、板バネ部材84は、その一端側が第1基板81の電子回路に導通可能に接続されていて、その他端側が第2基板82の電子回路に導通可能に接続されている。また、板バネ部材84は、基板ユニット80への本体アース端子111の挿入を妨げず、第1、第2基板81、82が図12の左右方向に離れても破断しないように、充分な弾性を有している。
このように板バネ部材84を設置した場合にも、本来1つの基板(ICチップ)として機能するものを、重複部品を設けることなく、2つの基板81、82に分割することが可能になる。
また、中継部材として板バネ部材84を用いた場合には、2つの基板81、82の離間方向(図12の左右方向である。)の移動が妨げられることなく、板バネ部材84によるバネ性(復元力)によって2つの基板81、82の対向距離が適正に維持されることになる。
【0046】
<変形例3>
図13に示すように、変形例3における基板ユニット80は、複数の中継部材(変形例3では、2つの板バネ部材84である。)が、第1、第2基板81、82にそれぞれ設置されている。
このように複数の中継部材(板バネ部材84)を設置した場合にも、本来1つの基板(ICチップ)として機能するものを、重複部品を設けることなく、2つの基板81、82に分割することが可能になる。
なお、変形例3では、第1、第2基板81、82に接続される2つの板バネ部材84の接続方向が、2つのアース端子81a、82aが対向する対向方向に対して略直交する方向(図13の上下方向)になるように構成した。これに対して、第1、第2基板81、82に接続される2つの板バネ部材84の接続方向が、2つのアース端子81a、82aが対向する対向方向に略一致する方向(図13の左右方向)になるように構成することもできる。
【0047】
<変形例4>
図14(A)を参照して、変形例4における基板ユニット80は、図9(A)に示したものと同様に、複数の基板81、82における複数の主面部端子(クロック信号端子81b、シリアルデータ用端子82b、電源用端子82cである。)が、着脱方向(図14の紙面垂直方向である。)にみたときに、隣接する基板81と基板82とにそれぞれ設置されたアース端子81aとアース端子82aとが対向する方向(一点鎖線Sが延びる方向である。)に対して略直交する方向(一点鎖線Hが延びる方向である。)に間隔をあけて配列されている。
換言すると、着脱方向(所定の方向)にみたときに、アース端子81a、82a(端面部端子)は、第1、第2基板81、82の主面(上面)に設置されたすべての主面部端子81b、82b、82cを通過する1つの仮想線(図14(A)の範囲R内に描くことができる任意の仮想線である。)に対して略平行になる。
このように構成することにより、本体アース端子111が2つのアース端子81a、82aの間に挿入されて、2つの基板81、82の図14(A)の左右方向の離間距離が広がってしまっても、第2の本体端子(本体アース端子111とは異なる端子であって、本体クロック信号端子112、本体シリアル信号用端子113、本体電源用端子114である。)の接続位置が図14(A)の上下方向にズレてしまう不具合が生じにくくなる。したがって、第2の本体端子112~114と主面部端子81b、82b、82cとの導通不良を防止することができる。
【0048】
また、図14(A)に示すように、変形例4における基板ユニット80は、図9(A)に示したものと同様に、複数の基板81、82における複数の主面部端子(クロック信号端子81b、シリアルデータ用端子82b、電源用端子82cである。)が、着脱方向(図14の紙面垂直方向である。)にみたときに、その長手方向(両矢印Wの方向である。)が、隣接する基板81と基板82とにそれぞれ設置されたアース端子81aとアース端子82aとが対向する方向(一点鎖線Sが延びる方向である。)に略一致するように配置されている。
換言すると、着脱方向(所定の方向)にみたときに、第1、第2基板81、82の主面(上面)に設置された主面部端子81b、82b、82cは、すべての主面部端子81b、82b、82cを通過する1つの仮想線(図14(A)の範囲R内に描くことができる任意の仮想線である。)に対して、略直交する方向が長手方向になるように配置されている。
このように構成することにより、本体アース端子111が2つのアース端子81a、82aの間に挿入されて、2つの基板81、82の図14(A)の左右方向の離間距離が広がってしまって、第2の本体端子(本体アース端子111とは異なる端子であって、本体クロック信号端子112、本体シリアル信号用端子113、本体電源用端子114である。)の接続位置が図14(A)の左右方向にズレても、第2の本体端子112~114と主面部端子81b、82b、82cとの接続が維持されることになる。したがって、第2の本体端子112~114と主面部端子81b、82b、82cとの導通不良を防止することができる。
なお、図14(B)に示す基板ユニット80のように、略矩形の主面において、端面部端子81a、82aや主面部端子81b、82b、82cが傾いて配置されている場合であっても、先に図14(A)を用いて説明した2つの条件を満足するため、第2の本体端子112~114と主面部端子81b、82b、82cとの導通不良を防止することができる。
【0049】
<変形例5>
図15に示すように、変形例5における基板ユニット80は、変形例3のものなどと同じように、第1基板81と第2基板82とが、第1基板81と第2基板82との電気的なやり取りを可能にする中継部材としての板バネ部材84によって互いに接続されている。
そして、変形例5において、中継部材としての板バネ部材84は、画像形成装置本体100(機器本体)に対する基板ユニット80の装着動作に連動して、隣接する基板81と基板82との間に挿入される本体アース端子111(本体端子)に接離可能な端子84aが設けられている。
なお、変形例5では、中継部材としての板バネ部材84に、端子84aが一体的に形成されている。すなわち、導通材料で形成された板バネ部材84の一部(本体アース端子111に接触する部分である。)が端子84aとして機能することになる。
このように構成した場合であっても、画像形成装置本体100に装着された基板81が破損してしまう不具合を生じにくくすることができる。
なお、変形例5では、2つの板バネ部材84(複数の中継部材)に、それぞれ、画像形成装置本体100に対する基板ユニット80の装着動作に連動して本体アース端子111(本体端子)に接離可能な端子84aを設けた。これに対して、1つの板バネ部材84(1つ又は複数の中継部材のうち少なくとも1つの中継部材)にのみ、画像形成装置本体100に対する基板ユニット80の装着動作に連動して本体アース端子111(本体端子)に接離可能な端子84aを設けることもできる。
【0050】
<変形例6>
図16に示すように、変形例6における基板ユニット80は、複数の基板81、82のうち、少なくとも1つの基板(変形例6では2つの基板81、82である。)に、画像形成装置本体100(機器本体)に対する基板ユニット80の装着動作に連動して、隣接する基板81と基板82との間に挿入される本体アース端子111(本体端子)に接離可能な基板端子85(アース端子である。)が設けられている。
詳しくは、第1基板81には、第2基板82に向けて突出するように、アース端子として機能する基板端子85が設置されている。同様に、第2基板82には、第1基板81に向けて突出するように、アース端子として機能する基板端子85が設置されている。そして、これらの基板端子85は、基板ユニット80の装着動作に連動して第1、第2基板81、82の間に挿入される本体アース端子111を挟むように、本体アース端子111に接触することになる。
なお、図16(A)に示す基板端子85は、上面からみたときに、本体アース端子111に点接触するように、その接触部が直線状に形成されている。
また、図16(B)に示す基板端子85は、上面からみたときに、本体アース端子111に線接触するように、その接触部が円弧状に形成されている。
また、図16(C)に示す基板端子85は、先に図11を用いて説明したアース端子81a、82aと同様に、ガイド部として機能する部分(曲げ部である。)が形成されている。
このように構成した場合であっても、画像形成装置本体100に装着された基板81が破損してしまう不具合を生じにくくすることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態における基板ユニット80は、画像形成装置本体100(機器本体)に対して所定の方向(着脱方向)に着脱可能に設置される基板ユニット80であって、その所定の方向に略直交する方向に隙間をあけて複数の基板81、82が並設されている。そして、複数の基板81、82のうち少なくとも1つの基板は、隣接する基板に対向する端面に、画像形成装置本体100に対する基板ユニット80の装着動作に連動して隣接する基板と基板との間に挿入される画像形成装置本体100の本体アース端子111(本体端子)に接離可能なアース端子81a、82a(端面部端子)が設けられている。
これにより、画像形成装置本体100に装着されても、基板81が破損してしまう不具合を生じにくくすることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、内部にトナーが収容された収容容器としてのトナー容器32Yに設置される基板ユニット80に対して本発明を適用したが、内部にインクが収容された収容容器(例えば、インクジェット方式の画像形成装置に着脱可能に設置されるインクカートリッジである。)に設置される基板ユニットに対しても、当然に本発明を適用することができる。さらには、トナーやインクが収容された収容容器に限らず、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置される着脱ユニット(例えば、現像装置5Yや、プロセスカートリッジなどである。)に設置される基板ユニットのすべてに対して、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、基板81、82としてICチップを用いたが、基板81、82はこれに限定されることなく、また情報を記憶するものに限定されることなく、例えば、基板としてIDチップ、RFID、プリント基板、ICタグなどを用いることもできる。
また、本実施の形態では、基板81、82にアース端子、クロック信号端子、シリアルデータ用端子、電源用端子の4種の端子が設けられた基板ユニット80に対して本発明を適用した。しかし、本発明が適用される基板ユニット80はこれに限定されることなく、少なくとも端面部端子が設けられたものに対して本発明を適用することができる。さらに、端面部端子としてアース端子以外のものが設けられた基板ユニットに対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、2つの基板81、82が設けられた基板ユニット80に対して本発明を適用したが、3つ以上の基板が設けられた基板ユニットに対しても本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、複数の基板81、82のすべてに、本体アース端子111(本体端子)に接離可能なアース端子81a、82a(端面部端子)を設けた。これに対して、複数の基板81、82のうち少なくとも1つの基板(例えば、第1基板81である。)にのみ、本体アース端子111(本体端子)に接離可能なアース端子81a、82a(端面部端子)を設けることもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態ものと同様の効果を得ることができる。
【0053】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0054】
32Y、32M、32C、32K トナー容器(着脱ユニット、収容容器)、
80 基板ユニット、
81 第1基板(基板、ICチップ)、
81a アース端子(端面部端子)、
81b クロック信号端子(主面部端子)、
82 第2基板(基板、ICチップ)、
82a アース端子(端面部端子)、
82b シリアルデータ用端子(主面部端子)、
82c 電源用端子(主面部端子)、
83 導線(中継部材)、
84 板バネ部材(中継部材)、
85 基板端子、
100 画像形成装置(機器)、
111 本体アース端子(本体端子)、
112 本体クロック信号端子(第2の本体端子)、
113 本体シリアル信号用端子(第2の本体端子)、
114 本体電源用端子(第2の本体端子)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【文献】特開2007-199505号公報
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