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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20241007BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241007BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20241007BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20241007BHJP
【FI】
B24B49/12
H01L21/78 F
B24B27/06 M
B23K26/38 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020175720
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067160
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】藤江 健一
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06,49/12;
H01L 21/67,21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングテープに貼着され該ダイシングテープを介して互いに対向する平行な一対の辺を備えるフレームで支持されたウエーハを分割する加工装置であって、
該ダイシングテープと、該フレームと、該ウエーハと、が一体化された複数のフレームユニットを収容するカセットが載置されるカセットテーブルと、
該カセットから該フレームユニットを搬出する搬出ユニットと、
該ダイシングテープを介して該ウエーハを保持するウエーハ保持部と、該フレームを保持するフレーム保持部と、を有し、該ウエーハ保持部の上面に垂直な軸の周りに回転可能な保持テーブルと、
該フレームユニットを搬送する搬送ユニットと、
該保持テーブルに保持された該ウエーハを分割する加工ユニットと、
該保持テーブルを加工送りする加工送りユニットと、
該搬出ユニットによって該カセットから搬出された該フレームユニットを上方から撮像するカメラと、
該フレームユニットを該カメラで撮像して得られた撮像画像から、該保持テーブルの該ウエーハ保持部の上面に平行な座標平面における該ウエーハの中心の座標であるウエーハ中心座標を求めるとともに該フレームの該一対の辺の向きを求める制御ユニットと、を備え、
該制御ユニットは、該座標平面上の第1方向において該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該搬出ユニットによる該フレームユニットの引き出し位置を決定するとともに該座標平面上の該第1方向に直交する第2方向において該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該搬送ユニットで搬送される該フレームユニットを受け取る際の該加工送りユニットで移動される該保持テーブルの位置を決定することにより、該搬出ユニットにより該カセットから該フレームユニットが搬出され該搬送ユニットにより該フレームユニットが該保持テーブルに搬送される際に、該ウエーハ保持部に保持される該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該ウエーハ中心座標を参照して該加工送りユニットと、該搬送ユニットと、該搬出ユニットと、を制御するとともに該フレームの該一対の辺の向きを参照して該保持テーブルを該軸の周りに回転させて該フレームに対する該フレーム保持部の位置を調整することを特徴とする加工装置。
【請求項2】
該加工ユニットは、該ウエーハ保持部で保持された該ウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削ユニット、または、該ウエーハ保持部で保持された該ウエーハにレーザビームを照射するレーザ照射ユニットであることを特徴とする請求項1記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングテープに貼着され該ダイシングテープを介してフレームで支持された被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパソコン等の電子機器に使用されるデバイスチップの製造工程では、まず、半導体等の材料からなるウエーハの表面に互いに交差する複数の分割予定ライン(ストリート)を設定する。そして、分割予定ラインで区画される各領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integration)等のデバイスを形成する。その後、ウエーハを分割予定ラインに沿って分割すると、個々のデバイスチップが形成される。
【0003】
ウエーハの分割は、例えば、円環状の切削ブレードを備える切削ユニットで被加工物を切削できる切削装置や、レーザビームで被加工物をレーザ加工できるレーザ加工ユニットを備えるレーザ加工装置等の加工装置で実施される。加工装置は、ウエーハを加工する加工ユニットと、ウエーハを保持する保持テーブルと、を備える。
【0004】
ウエーハは、加工装置に搬入される前に、該ウエーハよりも径の大きいダイシングテープに貼着される。このダイシングテープの外周部には、ウエーハを収容できる大きさの開口部を有する環状のフレームの内周部が貼着される。すなわち、ウエーハと、ダイシングテープと、フレームと、が一体化されてフレームユニットが形成され、フレームユニットの一部となったウエーハが加工装置に搬入され加工される。
【0005】
加工装置は、複数のフレームユニットを収容するカセットが置かれるカセットテーブルと、カセットテーブルに置かれたカセットからフレームユニットを引き出す搬出ユニットと、搬出されたフレームユニットが仮置きされる仮置きテーブルと、を備える。さらに、加工装置は、仮置きテーブルに引き出されたフレームユニットを保持テーブルに搬送する搬送ユニットを備える。また、保持テーブルは、ダイシングテープを介してウエーハを保持するウエーハ保持部と、フレームを保持するフレーム保持部と、を有する。
【0006】
仮置きテーブルには、置かれたフレームユニットを側方から挟むことで該フレームユニットの位置を調整する一対のガイドレールが設けられている。加工装置は、ガイドレールにより位置が調整されたフレームユニットを搬送ユニットで保持テーブルに搬送し、保持テーブルでフレームユニットを保持し、加工ユニットでウエーハを分割予定ラインに沿って加工する(特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-204461号公報
【文献】特開2004-322168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フレームユニットを形成する際、フレームの開口の中心と、ウエーハの中心と、が合うように互いの位置が調整される。しかしながら、形成されたフレームユニットでは、両中心は所定の許容範囲内でずれる。そのため、保持テーブルに搬送された際、該保持テーブルのウエーハ保持部の上面の中心と、フレームユニットに含まれるウエーハの中心と、が一致するとは限らない。
【0009】
加工装置においては、保持テーブルで保持されたウエーハを加工ユニットで加工する際、ウエーハ保持部の上面の中心と、ウエーハの中心と、が許容される範囲の最大の量でずれていることを前提として加工動作が実施される。例えば、ウエーハが位置し得る領域の全域で加工動作を実施する必要があった。そのため、本来必要な加工動作を超えた無駄な加工動作が実施されており、加工効率を低下させる要因となっていた。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無駄な加工動作をすることなく高効率にウエーハを加工できる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、ダイシングテープに貼着され該ダイシングテープを介して互いに対向する平行な一対の辺を備えるフレームで支持されたウエーハを分割する加工装置であって、該ダイシングテープと、該フレームと、該ウエーハと、が一体化された複数のフレームユニットを収容するカセットが載置されるカセットテーブルと、該カセットから該フレームユニットを搬出する搬出ユニットと、該ダイシングテープを介して該ウエーハを保持するウエーハ保持部と、該フレームを保持するフレーム保持部と、を有し、該ウエーハ保持部の上面に垂直な軸の周りに回転可能な保持テーブルと、該フレームユニットを搬送する搬送ユニットと、該保持テーブルに保持された該ウエーハを分割する加工ユニットと、該保持テーブルを加工送りする加工送りユニットと、該搬出ユニットによって該カセットから搬出された該フレームユニットを上方から撮像するカメラと、該フレームユニットを該カメラで撮像して得られた撮像画像から、該保持テーブルの該ウエーハ保持部の上面に平行な座標平面における該ウエーハの中心の座標であるウエーハ中心座標を求めるとともに該フレームの該一対の辺の向きを求める制御ユニットと、を備え、該制御ユニットは、該座標平面上の第1方向において該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該搬出ユニットによる該フレームユニットの引き出し位置を決定するとともに該座標平面上の該第1方向に直交する第2方向において該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該搬送ユニットで搬送される該フレームユニットを受け取る際の該加工送りユニットで移動される該保持テーブルの位置を決定することにより、該搬出ユニットにより該カセットから該フレームユニットが搬出され該搬送ユニットにより該フレームユニットが該保持テーブルに搬送される際に、該ウエーハ保持部に保持される該ウエーハの中心と、該ウエーハ保持部の該上面の中心と、が一致するように該ウエーハ中心座標を参照して該加工送りユニットと、該搬送ユニットと、該搬出ユニットと、を制御するとともに該フレームの該一対の辺の向きを参照して該保持テーブルを該軸の周りに回転させて該フレームに対する該フレーム保持部の位置を調整することを特徴とする加工装置が提供される。
【0014】
また、好ましくは、該加工ユニットは、該ウエーハ保持部で保持された該ウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削ユニット、または、該ウエーハ保持部で保持された該ウエーハにレーザビームを照射するレーザ照射ユニットである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る加工装置は、カセットから搬出されたフレームユニットを上方から撮像するカメラと、該カメラでフレームユニットを撮像してウエーハ中心座標を求める制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、フレームユニットが搬出ユニットでカセットから搬出され搬送ユニットで保持テーブルまで搬送される際に、加工送りユニットと、搬送ユニットと、搬出ユニットと、のうち一つ以上を制御ユニットが制御する。
【0016】
この際、制御ユニットは、ウエーハの中心と、保持テーブルのウエーハ保持部の上面の中心と、が一致するようにウエーハ中心座標を参照する。そのため、保持テーブルがフレームユニットを保持する際に、ウエーハの中心と、保持テーブルのウエーハ保持部の上面の中心と、がずれない。この場合、該加工装置では、両者のずれを想定して無駄な加工動作をする必要がなく、必要最小限の加工動作でウエーハを加工でき、ウエーハを高効率に加工できる。
【0017】
したがって、本発明の一態様によると、無駄な加工動作をすることなく高効率にウエーハを加工できる加工装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】フレームユニットをカメラで撮像する様子を模式的に示す斜視図である。
図2】加工装置を模式的に示す斜視図である。
図3】仮置きテーブルに引き出されたフレームユニットと、保持テーブルと、の位置関係を模式的に示す平面図である。
図4】ダイシングテープを介して保持テーブルに保持されたウエーハと、ウエーハの載置が許容される領域と、の位置関係を模式的に示す平面図である。
図5】カセットから搬出されたフレームユニットと、保持テーブルと、の向きの関係を模式的に示す平面図である。
図6】加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る加工装置について説明する。まず、本実施形態に係る加工装置で加工される被加工物であるウエーハについて説明する。図1には、ウエーハ1を含むフレームユニット11を模式的に示す斜視図が含まれている。
【0020】
フレームユニット11は、開口7aを備える環状のフレーム7と、開口7aを塞ぐように該フレーム7に配設されたダイシングテープ9と、開口7aの内側でダイシングテープ9に貼着されたウエーハ1と、を備える。すなわち、ウエーハ1は、ダイシングテープ9を介してフレーム7に支持される。
【0021】
ウエーハ1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。
【0022】
ウエーハ1の表面1aは、互いに交差する複数の分割予定ライン3で区画される。ウエーハ1の表面1aの分割予定ライン3で区画された各領域には、ICやLSI等のデバイス5が形成される。加工装置を使用して分割予定ライン3に沿ってウエーハ1を分割すると、個々のデバイスチップが形成される。
【0023】
ウエーハ1は、加工装置に搬入される前にダイシングテープ9及びフレーム7と一体化される。そして、ウエーハ1と、ダイシングテープ9と、フレーム7と、を含むフレームユニット11が形成される。ウエーハ1は、フレームユニット11の一部となって加工装置に搬入され、加工される。ウエーハ1が分割されて形成された個々のデバイスチップは、ダイシングテープ9に支持される。その後、ダイシングテープ9を拡張することでデバイスチップ間の間隔を広げると、デバイスチップのピックアップが容易となる。
【0024】
フレーム7は、例えば、金属等の材料で形成され、ウエーハ1の径よりも大きい径の開口7aを備える。フレームユニット11を形成する際は、ウエーハ1は、フレーム7の開口7a内に位置付けられ、開口7aに収容される。
【0025】
ダイシングテープ9は、フレーム7の開口7aよりも大きい径を有する。ダイシングテープ9は、例えば、基材層と、該基材層の上に形成された粘着層と、を備える。ダイシングテープ9は、粘着層で発現する粘着力によりフレーム7及びウエーハ1の裏面1bに貼着される。または、ダイシングテープ9は、例えば、ポリオレフィン系シートやポリエステル系シート等の粘着層を備えない樹脂系シートでもよく、この場合、ダイシングテープ9は熱圧着によりウエーハ1等に配設される。
【0026】
次に、フレームユニット11に含まれるウエーハ1を加工する本実施形態に係る加工装置について説明する。ウエーハ1を分割予定ライン3に沿って分割する際には、例えば、環状の切削ブレードを備える切削装置が使用される。または、ウエーハ1にレーザビームを照射してウエーハ1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。以下、本実施形態に係る加工装置が切削装置である場合を例に加工装置について説明するが、本実施形態に係る加工装置は切削装置に限定されない。
【0027】
図2は、本実施形態に係る加工装置の一例である切削装置2を模式的に示す斜視図である。図2に示す通り、切削装置2の基台4の角部には、カセット13が載置されるカセットテーブル6が設けられている。カセットテーブル6は、昇降機構(不図示)により上下方向(Z軸方向)に昇降可能である。
【0028】
図2では、カセットテーブル6に載置されたカセット13の輪郭を二点鎖線で示している。カセット13には、複数のフレームユニット11が上下方向に並んで収容されており、収容されているそれぞれのフレームユニット11は、水平方向に沿ってカセット13の外に引き出される。
【0029】
基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら互いに接近、離隔される一対のガイドレール8を含む仮置きテーブル10が設けられている。また、基台4の上面の仮置きテーブル10に隣接する位置には、カセットテーブル6に載置されたカセット13に収容されたフレームユニット11をカセット13から搬出する搬出ユニット12が設けられている。搬出ユニット12は、フレーム7を把持できる把持部を前面に有する。
【0030】
カセット13に収容されたフレームユニット11を搬出する際には、搬出ユニット12をカセット13に向けて移動させ、該把持部でフレーム7を把持し、その後、搬出ユニット12をカセット13から離れる方向に移動させる。すると、カセット13からフレームユニット11が仮置きテーブル10に引き出される。
【0031】
従来、一対のガイドレール8をX軸方向に互い近接する方向に連動させて移動させ、該一対のガイドレール8でフレーム7を挟み込むことでフレームユニット11が所定の位置に位置付けられていた。そして、位置が調整されたフレームユニット11が後述の保持テーブル32に搬送されていた。
【0032】
基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口4aが形成されている。開口4a内には、図示しないボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)と、X軸移動機構の上部を覆う蛇腹状の防塵防滴カバー28と、が配設されている。
【0033】
X軸移動機構は、X軸移動テーブル30の下部に接続されており、このX軸移動テーブル30をX軸方向に移動させる機能を有する。例えば、X軸移動テーブル30は、カセットテーブル6に近接する搬出入位置と、後述の切削ユニット40の下方の加工位置と、の間を移動する。
【0034】
X軸移動テーブル30上には、フレームユニット11を吸引、保持する保持テーブル32が設けられている。保持テーブル32は、ダイシングテープ9を介してウエーハ1を保持するウエーハ保持部32aと、フレーム7を保持するフレーム保持部32bと、を有する。
【0035】
保持テーブル32は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されており、ウエーハ保持部32aの上面に垂直な軸の周りに回転可能である。換言すると、保持テーブル32は、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転可能である。また、保持テーブル32は、上述したX軸移動機構によってX軸方向に移動する。
【0036】
ウエーハ保持部32aの上面は、ダイシングテープ9を介してウエーハ1を吸引保持するための保持面になっている。ウエーハ保持部32aは、保持テーブル32の内部に形成された吸引路(不図示)等を介して吸引源(不図示)に接続されている。また、ウエーハ保持部32aの外周側には複数のフレーム保持部32bが配設されている。各フレーム保持部32bは、フレーム7を外側から固定するためのクランプ機構を備える。
【0037】
カセット13から搬出ユニット12で搬出されたフレームユニット11の仮置きテーブル10から保持テーブル32への搬送は、基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置に設けられた第1の搬送ユニット34により実施される。第1の搬送ユニット34は、基台4の上面から上方に突き出た昇降可能であるとともに回転可能な軸部34aと、軸部34aの上端から水平方向に伸長した腕部34bと、腕部34bの先端下方に設けられた保持部34cと、を有する。
【0038】
第1の搬送ユニット34で仮置きテーブル10から保持テーブル32へフレームユニット11を搬送する際には、X軸移動テーブル30を移動させて保持テーブル32を所定の搬出入位置に位置付ける。そして、仮置きテーブル10に仮置きされているフレームユニット11のフレーム7を保持部34cで保持し、フレームユニット11を持ち上げて、軸部34aを回転させてフレームユニット11を保持テーブル32の上方に移動させる。
【0039】
その後、フレームユニット11を下降させて保持テーブル32に載せる。そして、フレーム保持部32bでフレーム7を固定するとともに、ウエーハ保持部32aの吸引源を作動させて、ダイシングテープ9を吸引させる。すると、ダイシングテープ9を介してウエーハ1がウエーハ保持部32aに吸引保持される。
【0040】
切削装置2は、X軸移動テーブル30の搬出入領域から加工領域への移動経路の上方に、開口4aを横切るように配設された支持構造36を備える。そして、支持構造36には下方に向いた撮像ユニット38が設けられている。撮像ユニット38は、切削ユニット40の下方の加工領域へ移動する保持テーブル32に吸引保持されたウエーハ1の表面1aを撮像し、表面1aに設けられた分割予定ライン3の位置及び向きを検出する。
【0041】
該加工領域には、保持テーブル32に保持されたウエーハ1を切削(加工)する切削ユニット(加工ユニット)40が設けられている。切削ユニット40は、円環状の砥石部を外周に備える切削ブレード42と、先端部に切削ブレード42が装着され該切削ブレード42の回転軸となるY軸方向に沿ったスピンドル44と、を備える。
【0042】
スピンドル44の基端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。保持テーブル32に保持されたウエーハ1に回転する切削ブレード42を切り込ませることで、ウエーハ1を切削(加工)できる。ウエーハ1がすべての分割予定ライン3に沿って切削されると、個々のデバイスチップが形成される。その後、保持テーブル32は、X軸移動機構により搬出入領域に移動される。
【0043】
基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置には開口4bが形成されており、開口4bには加工後のフレームユニット11を洗浄する洗浄ユニット46が収容されている。洗浄ユニット46は、フレームユニット11を保持するスピンナテーブルを備えている。スピンナテーブルの下部には、スピンナテーブルを所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
【0044】
切削装置2は、搬出入領域に位置付けられた保持テーブル32から洗浄ユニット46にフレームユニット11を搬送する第2の搬送ユニット48を備える。第2の搬送ユニット48は、Y軸方向に沿って移動可能な腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
【0045】
第2の搬送ユニット48で保持テーブル32から洗浄ユニット46へフレームユニット11を搬送する際には、まず、フレームユニット11を該保持部で保持する。そして、腕部をY軸方向に沿って移動させ、フレームユニット11を洗浄ユニット46のスピンナテーブルの上に載せる。その後、スピンナテーブルでフレームユニット11を保持してウエーハ1を洗浄する。
【0046】
洗浄ユニット46でウエーハ1を洗浄する際には、スピンナテーブルを回転させながらウエーハ1の表面1aに向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する。そして、洗浄ユニット46で洗浄されたフレームユニット11は、カセットテーブル6に載るカセット13に収容される。
【0047】
カセット13にフレームユニット11を収容する際には、第1の搬送ユニット34を使用して洗浄ユニット46から仮置きテーブル10にフレームユニット11を搬送する。そして、搬出ユニット12をカセット13に向けて移動させてフレームユニット11をカセット13に押し入れる。
【0048】
このように、切削装置2では、カセット13からフレームユニット11が搬出され、フレームユニット11に含まれるウエーハ1が切削ユニット40で加工される。その後、フレームユニット11が洗浄ユニット46で洗浄されてカセット13に再び収容される。
【0049】
切削装置2は、さらに、該切削装置2の各構成要素を制御する制御ユニット50を備える。制御ユニット50は、例えば、カセットテーブル6、搬出ユニット12、仮置きテーブル10、X軸移動機構、保持テーブル32、撮像ユニット38、切削ユニット40、洗浄ユニット46、及び各搬送ユニット34,48を制御する。
【0050】
制御ユニット50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、を含むコンピュータによって構成される。補助記憶装置に記憶されるソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット50の機能が実現される。
【0051】
ところで、従来、フレームユニット11を形成する際、フレーム7の開口7aの中心と、ウエーハ1の中心と、が合うように互いの位置が調整される。しかしながら、形成されたフレームユニット11では、両中心は所定の許容範囲内でずれる。
【0052】
そして、フレームユニット11が切削装置2に搬入される際、フレーム7の位置がガイドレール8で調整されることでフレームユニット11の位置が調整される。また、第1の搬送ユニット34は、位置が調整されたフレームユニット11を保持テーブル32に搬送する際に、所定の搬送作業を実施するだけでフレームユニット11の位置を特に調整しない。すなわち、切削装置2は、フレーム7の位置を基準としてフレームユニット11の位置を調整する。
【0053】
そのため、フレームユニット11が保持テーブル32に搬送された際、保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面の中心と、フレームユニット11に含まれるウエーハ1の中心と、が一致するとは限らない。
【0054】
そこで、切削装置(加工装置)2においては、保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面の中心と、ウエーハ1の中心と、が許容される範囲の最大の量でずれていることを前提として加工動作が実施される。例えば、ずれの最大の量に相当する距離だけ本来ウエーハ1が位置付けられる領域から離れた位置からウエーハの加工動作を実施する必要があった。換言すると、ウエーハが位置し得る領域の全域で加工動作が実施される必要があった。
【0055】
図4は、ダイシングテープ9を介して保持テーブル32のウエーハ保持部32aに保持されたウエーハ1を模式的に示す平面図である。図4には、ウエーハ1の位置の許容範囲1dが模式的に示されており、ウエーハ1は許容範囲1dの内側のいずれかの位置に配される。
【0056】
そのため、切削装置2は、ウエーハ1が許容範囲1dのいずれの位置に配されていてもウエーハ1の全域が確実に加工されるように、許容範囲1dの全域に対して加工動作を実施していた。すなわち、ウエーハ1を加工する際に必要な加工動作を超える加工動作が加工装置(切削装置2)で行われていたため、加工効率を低下させる要因となっていた。
【0057】
そこで、本実施形態に係る加工装置は、フレームユニット11を保持テーブル32に搬送する際にウエーハ1の位置を基準としてフレームユニット11の位置を調整する。そして、ウエーハ1の中心が保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面の中心と重なるように、フレームユニット11を保持テーブル32で保持する。以下、ウエーハ1の位置の調整に関与する構成を中心に本実施形態に係る加工装置の説明を続ける。
【0058】
切削装置2(加工装置)は、さらに、搬出ユニット12によってカセット13から搬出されたフレームユニット11を上方から撮像するカメラ52を備える。カメラ52は、例えば、仮置きテーブル10の上方に配される。カメラ52は、搬出ユニット12によってカセット13からフレームユニット11が搬出された際に、ウエーハ1を撮像して撮像画像を制御ユニット50に送る。
【0059】
図1は、カメラ52で撮像されるフレームユニット11を模式的に示す斜視図である。カメラ52は、フレームユニット11に含まれるウエーハ1を撮像するとともに、フレームユニット11に含まれるフレーム7を撮像してもよい。カメラ52により得られた撮像画像におけるウエーハ1及びフレーム7の位置と、ウエーハ1及びフレーム7を撮像した際のカメラ52の位置と、に基づくと、ウエーハ1及びフレーム7の位置を特定できる。
【0060】
そして、制御ユニット50は、フレームユニット11をカメラ52で撮像して得られた撮像画像から、保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面に平行な座標平面におけるウエーハ1の中心の座標であるウエーハ中心座標を求める。そして、制御ユニット50は、ウエーハ1の中心と、ウエーハ保持部32aの上面の中心と、が一致するように該ウエーハ中心座標を参照して該加工送りユニットと、第1の搬送ユニット34と、搬出ユニット12と、のうち一つ以上を制御する。
【0061】
図3を用いて制御ユニット50が実施する制御の一例を説明する。図3は、搬出ユニット12によりカセット13から引き出されたフレームユニット11と、保持テーブル32と、の位置関係を模式的に示す平面図である。
【0062】
図3では、保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面に平行な面内の座標系として、第1の搬送ユニット34の軸部34aを中心(原点)とするXY座標系が示されている。図3では、仮置きテーブル10とガイドレール8は該XY座標系の第1象限に位置し、搬出入位置に位置付けられたX軸移動テーブル30と保持テーブル32は、該XY座標系の第3象限に位置する。
【0063】
ここで、搬出ユニット12によりカセット13から引き出されたフレームユニット11に含まれるウエーハ1の中心1cの座標(中心座標)を(x,y)とする。この座標は、カメラ52によるウエーハ1の撮像により検出される。また、搬出入位置に位置付けられた保持テーブル32のウエーハ保持部32aの上面の中心32cの座標を(X,Y)とする。この座標は、予め制御ユニット50等に記憶されている。
【0064】
第1の搬送ユニット34は、例えば、軸部34aを中心としてフレームユニット11を180°回転移動させる。このとき、移動したウエーハ1の中心1cがウエーハ保持部32aの上面の中心32cと一致するには、x及びXの絶対値が一致するとともにy及びYの絶対値が一致する必要がある。そこで、第1の搬送ユニット34によるフレームユニット11の搬送前又は搬送後で、若しくはその両方でフレームユニット11の位置を調整する。
【0065】
例えば、yの絶対値をYの絶対値に一致させるために、制御ユニット50は、カメラ52でウエーハ1が撮像された後、搬出ユニット12を制御してフレームユニット11をY方向に沿って移動させる。このときの移動量は、両者の絶対値の差であるΔyとする。この場合、第1の搬送ユニット34でフレームユニット11を180°で回転移動させたとき、移動したウエーハ1の中心1cのY座標と、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cのY座標と、が一致するようになる。
【0066】
また、制御ユニット50は、移動した後のウエーハ1の中心1cのX座標と、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cのX座標と、が一致するように、フレームユニット11を回転移動させる前にX軸移動機構(加工送りユニット)を制御する。このときの移動量は、移動前のウエーハ1の中心1cのX座標であるxと、移動前のウエーハ保持部32aの上面の中心32cのX座標であるXと、のそれぞれの絶対値の差であるΔxとする。
【0067】
この場合、第1の搬送ユニット34でフレームユニット11を180°で回転移動させたとき、移動したウエーハ1の中心1cのX座標と、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cのX座標と、が一致するようになる。
【0068】
このように、制御ユニット50は、第1の搬送ユニット34で保持テーブル32にフレームユニット11が搬送される前に、カメラ52でウエーハ1の中心1cの座標(中心座標)を検出できる。そして、ウエーハ保持部32aに保持されるウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの上面の中心と、が一致するように、得られた中心座標を参照して該加工送りユニットと、第1の搬送ユニット34と、搬出ユニット12と、を制御できる。
【0069】
換言すると、制御ユニット50は、図3に示す座標平面上の第1方向(Y軸方向)においてウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの該上面の中心と、が一致するように搬出ユニット12によるフレームユニット11の引き出し位置を決定する。また、該座標平面上の該第1方向に直交する第2方向(X軸方向)においてウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの該上面の中心と、が一致するように第1の搬送ユニット34で搬送されるフレームユニット11を受け取る際の保持テーブル32の位置を決定する。
【0070】
なお、制御ユニット50は、他の手順でウエーハ1等の位置を調整してもよい。例えば、第1の搬送ユニット34で保持テーブル32にフレームユニット11が搬送された後、さらにフレームユニット11を移動させることでウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cと、を重ねさせてもよい。
【0071】
この場合、例えば、予めカメラ52でウエーハ1を撮像し、ウエーハ1の中心1cの座標(中心座標)を検出する。次に、第1の搬送ユニット34でフレームユニット11を保持テーブル32に移し、その後、第2の搬送ユニット48を用いてウエーハ1の位置を調整する。
【0072】
例えば、保持テーブル32に移されたフレームユニット11を第2の搬送ユニット48で持ち上げ、加工送りユニットを作動させて保持テーブル32のX軸方向における位置を調整する。また、第2の搬送ユニット48にフレームユニット11を保持テーブル32へ戻させる前に、第2の搬送ユニット48をY軸方向に沿って移動させることでフレームユニット11のY軸方向における位置を調整する。
【0073】
すると、フレームユニット11が保持テーブル32に戻されたとき、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cと、が重なる。すなわち、制御ユニット50は、第2の搬送ユニット48を利用することでフレームユニット11が保持テーブル32に移された後でもウエーハ1及び保持テーブル32の位置を調整できる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る加工装置は、カセット13から引き出されたフレームユニット11を回転移動させて保持テーブル32に移す場合に限定されない。すなわち、本実施形態に係る加工装置は、フレームユニット11を回転移動させなくてもよい。
【0075】
図6は、フレームユニット11を回転させずに保持テーブルに移動させる変形例に係る加工装置62を模式的に示す斜視図である。次に変形例に係る加工装置62について説明する。加工装置62は、例えば、ウエーハ1を切削する切削ユニットを内蔵する切削装置や、ウエーハ1にレーザビームを照射してレーザ加工するレーザ加工装置等である。
【0076】
加工装置62は、各構成要素を支持する基台64を備える。基台64の前方の角部には、昇降可能なカセットテーブル66が設けられている。カセットテーブル66の上面には、複数のフレームユニット11を収容するカセット66aが載せられる。
【0077】
基台64の上面のカセットテーブル66に隣接した位置には、X軸方向(加工送り方向)に長い矩形の開口70が形成されている。開口70には、保持テーブル74と、該保持テーブル74が載るX軸移動テーブル72をX軸方向に移動させるX軸移動機構(不図示)と、該X軸移動機構を覆う防塵防滴カバー70aと、が設けられている。保持テーブル74は、ウエーハ保持部74aと、フレーム保持部74bと、を備える。
【0078】
加工装置62には、カセットテーブル66に載せられたカセットに収容されたフレームユニット11を搬出入する第1の搬送ユニット76が設けられている。第1の搬送ユニット76は、基台64の立設部の前面に配設されたY軸方向に平行な一対のガイドレール78を有する。該一対のガイドレール78には、移動体80がスライド可能に取り付けられている。移動体80の後面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはガイドレール78に平行なボールネジ82が螺合されている。
【0079】
ボールネジ82の一端部には、パルスモータ84が連結されている。パルスモータ84でボールネジ82を回転させると、移動体80はガイドレール78に沿ってY軸方向に移動する。移動体80の下端には、X軸方向に沿って伸長した腕部86が昇降機構を介して接続されている。腕部86の下面には、フレーム7の大きさに対応して配設された複数の吸引部88が配設されている。さらに、腕部86の中央には、カセットテーブル66に向いたプッシュプル機構90が配設されている。
【0080】
また、基台64の上面には、開口70を跨ぐように設けられた一対のガイドレール68が配設されている。該一対のガイドレール68は、フレーム7の径よりも小さい幅で互いに離間して配設されているが、フレーム7の径よりも大きい幅となるように互いに離れる方向に移動可能である。また、ガイドレール68の上方には、該ガイドレール68に載せられたフレームユニット11を撮像できるカメラ92が配設される。
【0081】
カセット66aに収容されたフレームユニット11を保持テーブル74に移す際、第1の搬送ユニット76は、カセットテーブル66に載置されたカセット66aにプッシュプル機構90の先端を差し入れてフレームユニット11のフレーム7を把持する。プッシュプル機構90でフレーム7を把持し、Y軸方向に沿って逆方向に腕部86を移動させると、フレームユニット11を一対のガイドレール68上に引き出せる。
【0082】
その後、プッシュプル機構90によるフレーム7の把持を解除し、第1の搬送ユニット76の吸引部88を上方からフレーム7に接触させ、吸引部88によりフレーム7を吸引保持する。そして、フレームユニット11をガイドレール68から上方に引き上げ、一対のガイドレール68の間隔を広げ、フレームユニット11を下降させることで、保持テーブル74上にフレームユニット11を搬送できる。
【0083】
すなわち、第1の搬送ユニット76は、フレームユニット11をカセット66aから搬出する搬出ユニットとして機能するとともに、該フレームユニット11を保持テーブル74に搬送する搬送ユニットとしても機能する。
【0084】
加工装置62は、基台64の上面の開口70に隣接する位置に開口98を有する。開口98の内部には、加工されたウエーハ1を含むフレームユニット11を洗浄できる洗浄ユニット100が配設される。洗浄ユニット100へのフレームユニット11の搬送は、第2の搬送ユニット102により実施される。
【0085】
第2の搬送ユニット102は、基台64の立設部の前面に配設されたY軸方向に平行な一対のガイドレール104を有する。該一対のガイドレール104には、移動体106がスライド可能に取り付けられている。移動体106の後面側にはナット部(不図示)が設けられており、このナット部にはガイドレール104に平行なボールネジ108が螺合されている。
【0086】
ボールネジ108の一端部には、パルスモータ110が連結されている。パルスモータ110でボールネジ108を回転させると、移動体106はガイドレール104に沿ってY軸方向に移動する。移動体106の下端には、腕部112が昇降機構を介して接続されている。腕部112には、フレーム7の大きさに対応して配設された複数の吸引部(不図示)が配設された保持機構114が設けられている。
【0087】
加工されたウエーハ1を含むフレームユニット11は、第2の搬送ユニット102により洗浄ユニット100に搬送されて洗浄される。その後、フレームユニット11は、第1の搬送ユニット76または第2の搬送ユニット102のいずれかにより一対のガイドレール68に載せられ、プッシュプル機構90によりカセット66aに押し入れられる。
【0088】
また、加工装置62は、各構成要素を制御する制御ユニット94を備える。なお、制御ユニット94は、切削装置2の制御ユニット50と同様に構成される。図6に示す加工装置62においても、無駄な加工動作を削減するために、フレームユニット11が保持テーブル74に移される際、ウエーハ1の中心1cと、保持テーブル74のウエーハ保持部74aの中心と、が一致するように互いの位置が調整される。
【0089】
すなわち、制御ユニット94は、カセット66aから搬出されたフレームユニット11をカメラ92で撮像し、ウエーハ1の中心1cの座標(中心座標)を求める。そして、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部74aの上面の中心と、が重なるように、プッシュプル機構90でフレームユニット11をY軸方向に移動させるとともに、加工送りユニット(X軸移動機構)で保持テーブル74をX軸方向に移動させる。
【0090】
その後、第1の搬送ユニット76でフレームユニット11を持ち上げて、保持テーブル74にフレームユニット11を降ろすと、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部74aの上面の中心と、が重なる。そのため、加工装置62においても両者のずれを想定した無駄な加工動作をすることなくウエーハ1を効率的に加工できる。
【0091】
以上に説明する通り、本実施形態に係る加工装置では、制御ユニット50,94は、カメラ52,92でフレームユニット11を撮像し、得られた撮像画像から得られた情報に基づいて各構成要素を制御する。そして、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32a,74aの上面の中心32cと、が一致するようにフレームユニット11を保持テーブル32,74に保持できる。
【0092】
そのため、該加工装置は、両者のずれを考慮してウエーハ1よりも広い領域で加工動作を実施する必要がない。したがって、無駄の無い加工動作でウエーハ1を加工できるため、ウエーハ1の加工効率を向上できる。また、図2等に示される切削装置2では、制御ユニット50が搬出ユニット12、第1の搬送ユニット34、加工送りユニット等を制御してフレームユニット11の位置を調整するため、仮置きテーブル10の一対のガイドレール8を省略できる。
【0093】
また、本実施形態に係る加工装置(切削装置2)では、さらに、フレームユニット11のフレーム7が保持テーブル32のフレーム保持部32bで適切に保持されるように、フレームユニット11の向きと、フレーム保持部32bの向きと、が調整されてもよい。次に、フレームユニット11の向きと、フレーム保持部32bの向きと、の調整に関与する構成について、図5を用いて説明する。
【0094】
図5等に示す通り、フレームユニット11に含まれるフレーム7は、互いに対向する平行な一対の辺7bを備える。さらに、フレーム7は、一対の辺7bの伸長方向に垂直な方向に沿った他の一対の辺を備える。フレーム7の外周縁では、これらの辺の間は円弧で接続される。また、保持テーブル32の複数のフレーム保持部32bは、フレーム7のこれらの辺で該フレーム7を把持できるように、配置が決定されている。
【0095】
しかしながら、カセット13にフレームユニット11が収容される際やカセット13が搬送される際に、フレームユニット11の向きが所定の向きから変わることがあった。または、搬出ユニット12でカセット13から搬出される際に、フレームユニット11の向きが変化することがあった。これらの場合、第1の搬送ユニット34でフレームユニット11を保持テーブル32に移したときに、フレーム保持部32bがフレーム7を適切に保持できない向きでフレームユニット11が保持テーブル32に置かれる場合がある。
【0096】
そこで、本実施形態に係る加工装置(切削装置2)では、制御ユニット50は、カメラ52でフレームユニット11を撮像して得られた撮像画像からフレーム7の向きを求め、フレーム7の向きと、フレーム保持部32bの向きと、を調整してもよい。例えば、制御ユニット50は、該撮像画像からフレーム7の一対の辺7bの向きを求め、該一対の辺7bの向きを参照して保持テーブル32をウエーハ保持部32aの上面に垂直な軸の周りに回転させて、フレーム7に対するフレーム保持部32bの位置を調整する。
【0097】
図5に示す例では、カセット13から引き出されたフレーム7が所定の向きから傾き角θだけ傾いている。制御ユニット50は、カメラ52でフレームユニット11を撮像することで、この傾き角θを検出する。そして、制御ユニット50は、検出された傾き角θで保持テーブル32を回転させ、フレーム7に対するフレーム保持部32bの位置を調整する。この場合、フレーム保持部32bは適切にフレーム7を保持できる。
【0098】
このように、本実施形態に係る加工装置(切削装置2)では、制御ユニット50は、カメラ52でフレームユニット11を撮像し、ウエーハ1の中心1cの座標(中心座標)を求めるとともに、フレーム7の向きを検出する。そして、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの上面の中心と、が一致するように、かつ、フレーム7の向きがフレーム保持部32bの向きと合うように、各構成要素を制御して、保持テーブル32にフレームユニット11を保持させる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、加工装置が切削装置2であり、加工ユニットがウエーハ1を切削する切削ブレード42を備えた切削ユニット40である場合を例に説明したが、本発明の一態様はこれに限定されない。
【0100】
例えば、本発明の一態様に係る加工装置は、加工ユニットとしてウエーハ保持部32aで保持されたウエーハ1にレーザビームを照射するレーザ照射ユニットを備えるレーザ加工装置でもよい。この場合においても、ウエーハ1の中心1cと、ウエーハ保持部32aの上面の中心32cと、が一致すると、両者のずれを考慮した無駄な加工動作が不要であるため、ウエーハ1を効率的にレーザ加工できる。
【0101】
また、本実施形態に係る加工装置は、カセット13から引き出されたフレームユニット11が仮置きされる仮置きテーブル10等を備える必要はない。例えば、搬出ユニット12は、フレームユニット11を下方から支持できる支持腕を備え、カセット13に収容されたフレームユニット11を下方から支持して浮上させ、フレームユニット11をカセット13の外部に搬出する。
【0102】
このとき、カメラ52でフレームユニット11を撮像した後、下方から支持されたフレームユニット11を第1の搬送ユニット34で保持し、保持テーブル32に搬送してもよい。この場合、仮置きテーブル10が不要となる。
【0103】
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0104】
1 ウエーハ
1a 表面
1b 裏面
1c 中心
1d 許容範囲
3 分割予定ライン
5 デバイス
7 フレーム
7a 開口
7b 辺
9 ダイシングテープ
11 フレームユニット
13,66a カセット
2 切削装置
4,64 基台
4a,4b,70,98 開口
6,66 カセットテーブル
8,68 ガイドレール
10 仮置きテーブル
12 搬出ユニット
28,70a 防塵防滴カバー
30,72 X軸移動テーブル
32,74 保持テーブル
32a,74a ウエーハ保持部
32b,74b フレーム保持部
32c 中心
34,48,76,102 搬送ユニット
34a 軸部
34b 腕部
34c 保持部
36 支持構造
38 撮像ユニット
40 切削ユニット(加工ユニット)
42 切削ブレード
44 スピンドル
46,100 洗浄ユニット
50,94 制御ユニット
52,92 カメラ
62 加工装置
78,104 ガイドレール
80,106 移動体
82,108 ボールネジ
84,110 パルスモータ
86 腕部
88 吸引部
90 プッシュプル機構
112 腕部
114 保持機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6