(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】穀物風粒状物
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20241007BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
(21)【出願番号】P 2020090253
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】片岡 弘
(72)【発明者】
【氏名】野口 夏希
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅史
【審査官】中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201968(JP,A)
【文献】特開2014-121293(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理することで喫食可能な米粉、架橋難消化性デンプンおよび湿熱処理難消化性デンプンを主原料とした乾燥穀物風粒状物であって、
架橋難消化性デンプンおよび湿熱処理難消化性デンプンの含有量が乾燥穀物風粒状物の全量に対して25~70重量%であり、
架橋難消化性デンプンおよび湿熱処理難消化性デンプンとの比率が7.5:92.5~30:70であり、
加熱調理後の乾燥穀物風粒状物のカロリーが、市販米と比べて
27.5%以上
40.1%以下に低減されており、
加熱調理前の乾燥穀物風粒状物100g当たりの食塩相当量が0.2g以下である、乾燥穀物風粒状物。
【請求項2】
加熱調理後の乾燥穀物風粒状物100g当たりの食塩相当量が0.1g以下である、請求項1記載の乾燥穀物風粒状物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物風粒状物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ライフスタイルの多様化により、完全食と呼ばれる一日に必要な栄養素を簡便に摂取できると謳われるドリンクやグミ、麺類など商品が上市されている。これらの商品は、厚生労働省より設定された栄養素等表示基準値や同じく厚生労働省により策定された日本人の食事摂取基準に記載されている必須栄養素の1日に必要とされる量の3分の1量以上含まれるものである。これとは別に、数種類の栄養素のみ足らないもののほぼ完全食である準完全食や特定の栄養素のみを補うようなサプリメントなどの商品もあり、日々の食生活で不足している必要な栄養素を簡単に補えるような食品が多数上市されている。
【0003】
上記食品は、元の原料の成分に対して新たな成分を添加したものであり、成分組成が自由に設定できる食材と言える。そして、成分組成の変更方法も比較的簡単である。例えば、ドリンクであれば溶媒となる液体に新たな成分を添加して混合すればよい。また、グミや麺類等は、原材料に新たな成分を添加した後、通常の製造工程を経て成形すればよい。このように、その多くは配合への必要成分の添加/不要成分の除去を比較的容易に行う事が可能という側面を持つ。
【0004】
一方、日本人の主食である米は成分組成を自由に変更できる食材ではない。しかし、近年の健康志向の影響もあり、摂取カロリーの低減や新たな成分を追加した米が求められている。このような需要に対して、コンニャク粉を含んだ混合物を米状に成形したコンニャク米が提案されている(特許文献1参照)。コンニャク米を米の一部と置き換えて炊飯することで、血液中のブドウ糖の上昇を抑制、満腹感を感じながらも、摂取カロリーを抑え、肥満を防ぐなどの効果が期待できる。
【0005】
また、難消化性デキストリンとともに炊飯する方法も提案されている(特許文献2参照)。難消化性デキストリンを添加することで、血糖値上昇抑制、整腸作用、脂質代謝の改善などの生理効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2020-505903号公報
【文献】特許第6125681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の場合、通常の米とは異なりコンニャク米の食感が柔らかいため、喫食時に違和感が生じてしまう。一方、特許文献2のように難消化性の物を用いる場合、難消化性を高めるために架橋を強める必要がある。しかし、架橋を強めるためにはpH調整が必要となり、その結果、Na量が増加してしまうといった問題がある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、摂取カロリーを抑えるととともにNa摂取量も抑制し、しかも食感が炊飯米に近い穀物風粒状物を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的として、炊飯米の一部と置き換えて使用するのではなく、本願発明単体で用いることができる穀物風粒状物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者等は、難消化性デンプンを用いることで上記課題が解決できないか検討を行った。そして、架橋方法の異なる難消化性デンプンを組み合わせて用いることで、摂取カロリー及びNa摂取量が低減できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
上記課題解決のため、本発明は、加熱調理することで喫食可能な米粉と難消化性デンプンを主原料とした乾燥穀物風粒状物であって、難消化性デンプンの含有量が乾燥穀物風粒状物の全量に対して25~70重量%であり、加熱調理前の乾燥穀物風粒状物100g当たりの食塩相当量が0.2g以下であることを特徴とする。また、加熱調理後の乾燥穀物風粒状物100g当たりの食塩相当量が0.1g以下であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
通常、架橋剤処理によって得られた難消化性デンプン中には、架橋反応時のNaが残存する。そのため、架橋剤処理によって得られた難消化性デンプンを単独で用いると、摂取するNa量が増加してしまう。一方、湿熱処理によって得られた難消化性デンプン中にはNaの残存は少ないものの、架橋剤処理によって得られた難消化性デンプンよりもカロリーが高い。そのため、湿熱処理によって得られた難消化性デンプンを単独で用いると、摂取カロリーが高くなってしまう。本発明はこれらの難消化性デンプンを組み合わせて用いているため、Na量が少なく、しかもカロリーの少ない穀物風造粒物にすることができる。
【0012】
また本発明は、所定の乾燥方法を組み合わせることで、穀物風粒状物の表面に膜がはったような状態にすることができるため、食感をより炊飯米に近づけることができる。さらに、従来は白米と一部置き換えて用いることが一般的であったが、本発明ではすべての白米を本発明に置き換えて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0014】
本発明にかかる穀物風粒状物とは、穀物の形状に似せた混練物である。ここで穀物とは、米などのイネ科作物の種子である禾穀類の種子を指すが、ソバ、アマランサス、キヌアなどの擬禾穀類を含んでもよい。
【0015】
本発明の穀物風粒状物は、米粉と難消化性デンプンを主原料として構成されている。ここで、米粉の原料米としては、ジャポニカ系、インディカ系、長粒米、短粒米など特に制限されることなく、各種のものを使用することができる。さらに古米も有効に利用できる。本発明の穀物風粒状物に含まれる米粉の量としては、加熱調理前の段階において、穀物風粒状物100g当たり30~75重量%が好ましく、40~50重量%がより好ましい。
【0016】
次に、本発明における難消化性デンプンとは、アミラーゼ消化に対して耐性のあるデンプンを意味し、ハイアミロースデンプン、老化デンプン、湿熱処理デンプン、架橋剤によって強い架橋処理を施したものやエーテル置換したものなどの化学的に改変された加工デンプンなどが挙げられる。このうち、本発明においては、湿熱処理によって得られる難消化性デンプン(以下、「湿熱処理難消化性デンプン」という。)と架橋剤処理によって得られる難消化性デンプン(以下、「架橋難消化性デンプン」という)を用いることが好ましい。
【0017】
架橋難消化性デンプンとしては、リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンおよびヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンなどを用いることができる。難消化性デンプンは、リン酸架橋処理、リン酸モノエステル化リン酸架橋処理またはヒドロキシプロピル化リン酸架橋処理における反応条件を調整することで直接的に得ることができる。具体的には、リン酸架橋デンプンは、原料をトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化により架橋処理した加工デンプンである。リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンは、原料をオルトリン酸、オルトリン酸カリウム、オルトリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムのいずれかでエステル化した加工デンプンである。ヒドロキシプロピル化リン架橋でん粉は、原料をトリメタリン酸ナトリウム又はオキシ塩化リンでエステル化し、プロピレンオキシドでエーテル化により架橋処理した加工デンプンである。
【0018】
難消化性デンプンの原料としては、タピオカ、小麦、馬澱、甘藷、サゴ、ハイアミロースコーン、コーンスターチ、ワキシーコーン、米、エンドウ豆より選ばれる1または2以上の物を用いることができる。
【0019】
本発明の穀物風粒状物に含まれる難消化性デンプンの量としては、加熱調理前の段階において、穀物風粒状物100g当たり25~70重量%が好ましく、50~60重量%がより好ましい。また、異なる難消化性デンプン同士の配合比率としては、1:99~99:1であることが好ましい。なお、異なる難消化性デンプンとは、異なる処理方法によって得られた難消化性デンプンのことを意味する。
【0020】
本発明にかかる穀物風粒状物には、副原料としては、糖類、増粘剤、グルテン、卵白、色素、その他の栄養素等を必要に応じて用いることができる。なお、必要な栄養素としては、ビタミン、カルシウム等が挙げられる。また、水に副原料を溶解させて用いてもよい。
【0021】
また、本発明においては、水溶性食物繊維を添加することが好ましい。難消化性デンプンに水溶性食物繊維を添加して用いることで、炊飯後の穀物風造粒物の食感をより炊飯米に近づけることができる。水溶性食物繊維としては難消化性デキストリンを用いることが好ましい。水溶性食物繊維の添加量としては、加熱調理前の穀物風粒状物100g当たり5~20重量%となるように添加することが好ましく、10~15重量%となるように添加することがより好ましい。
【0022】
さらに、本発明においては必要に応じて香味油、食品添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤及び香料を添加してもよい。特に、炊飯時の香り付与や、難消化性デンプンの粉っぽさ及び栄養素の苦みをマスキングする観点から、香料を添加することが好ましい。香料の形態としては液体、粉末いずれの形態でも用いることができるが、粉末であれば混練時に、液体であれば炊飯時、または喫食直前に添加することが好ましい。
【0023】
次に、穀物風粒状物の製造方法について説明する。本実施形態において、原料の調製はエクストルーダーを用いて行うことができる。具体的には、主原料粉と水とを混捏し、エクストルーダーを用いて、生成された混合物は、スクリュー駆動部によって駆動されるスクリューによって送られ、ダイから押し出される。ダイから押し出された混合物は、ペレット状にカットされ、穀物風粒状物を得ることができる。本発明に用いるエクストルーダーは、一軸エクストルーダーでも二軸以上の複軸エクストルーダーでも用いることができるが、品質の安定性の点から二軸型のものが好ましい。エクストルーダーは、原料供給口、バレル内をスクリューにおいて原料送り、混合、圧縮、加熱機構を有し、さらに先端バレルに装着されたダイを有するものであれば利用できる。
【0024】
本発明においては、エクストルーダー内のバレル温度は70~120℃、好ましくは80~100℃が適当である。本発明の加圧はダイ部圧力が0~2.0MPa、好ましくは0.5~1.5MPaが適当である。また、ダイの形状を変えることにより、様々な形状の穀物風粒状物が得られる。本発明においては、ダイの先端に設けられた回転刃で適切な大きさに切断することが好ましい。なお、麺線のように押し出した後、カッター等を用いて所望の大きさに切断してもよい。
【0025】
続いて、切断物を乾燥工程に付し、所定の水分量となるまで乾燥させる。ここで、本発明においては高湿度条件下で乾燥させることが好ましい。高湿度条件下とは、相対湿度60%以上の条件下を意味する。さらに、高湿度条件下において、異なる温度帯による乾燥を複数回行うことが好ましい。なお、複数回の乾燥工程を経る場合には、工程を経るごとに徐々に湿度を下げていくことが好ましい。また、各乾燥工程の乾燥時間は1~4時間程度行うのが好ましい。
【0026】
本発明においては、高湿度条件下において一旦高湿度の熱風で表面を軽く乾燥させた後、さらに高温高湿度条件下で時間をかけて乾燥させていくことがより好ましい。これにより、穀物風粒状物の表面に膜を張り、炊飯時に溶け出すのを防止することができる。また、喫食時に炊飯米に近い食感を再現することができる。
【0027】
高温高湿度条件下で複数回乾燥を行った後、最後にAD乾燥を行うことが好ましい。これにより、穀物風粒状物の水分含量を目的の値まで下げることができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
先ず、米粉360g、難消化性デンプン740gを混合した。このとき、架橋難消化性デンプン(パインスターチRT;松谷化学社製)と湿熱処理難消化性デンプン(Hi-Maize260;イングレディオン社製)との比率は、重量ベースで7.5:92.5とした。次に二軸エクストルーダーを用いて、水2.5L/h~3.7L/hmlを加えながら混練した。このとき、エクストルーダーの設定条件は、バレル温度は90℃、スクリュー速度(生地搬送速度)は90rpm~130rpmとした。エクストルーダーのダイ形状は、俵型2.0×6.5mmを用いた。また、ダイから押し出された混練物は、ダイの先端に設けられた回転刃で米短粒種サイズとなるように切断した。次に切断された混練物を50℃、90%RHの条件下で10分間乾燥した。次に、80℃、85%RHで3時間乾燥し、その後70℃、75%RHで3時間乾燥し、最後に35℃、65%RHで3時間乾燥し、水分含量が15%以下の乾燥穀物風粒状物を得た。
【0030】
(実施例2)
架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとの比率を15:85にしたこと以外は、実施例1と同じである。
【0031】
(実施例3)
架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとの比率を22.5:77.5にしたこと以外は、実施例1と同じである。
【0032】
(実施例4)
架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとの比率を30:70にしたこと以外は、実施例1と同じである。
【0033】
(比較例1)
架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとの比率を100:0にしたこと以外は、実施例1と同じである。
【0034】
(比較例2)
架橋難消化性デンプンをパインスターチRT(松谷化学社製)からNovelose8490(イングレディオン社製)に代えたこと以外は、比較例1と同じである。
【0035】
(比較例3)
架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとの比率を0:100にしたこと以外は、実施例1と同じである。
【0036】
実施例1~4及び比較例1~3、並びに市販米(コシヒカリ)を140%の加水率で炊飯した。炊飯後における各サンプルの塩分量(食塩相当量)、コシヒカリに対する糖質及びカロリー低減率、並びに炊飯後の粒の状態(品質)について検討を行った。なお、炊飯後の粒の評価については、次の基準で行った。結果を表1に示す。
(品質の評価基準)
◎:喫食に非常に適している
○:喫食できる
×:喫食できない
【0037】
【0038】
食塩相当量について見ると、当然のことながら市販米に塩分は含まれておらず、続いて湿熱処理難消化性デンプンを含んだ比較例3が最も低い値であった。実施例1~4については架橋難消化性デンプンを含んでいるため、比較例3よりも値は大きくなったものの、最大で0.09gであり、十分に低い値であることがわかる。これに対して、架橋難消化性デンプンのみ含んだ比較例1,2については、架橋処理時に用いたpH調整剤に含まれるナトリウムの影響により、食塩相当量が高い値となっていることがわかる。なお、炊飯後(水分約60%)100g当たり0.09gの食塩相当量は、加熱調理前の乾燥穀物風粒状物(水分約12%)100g当たり0.2gの食塩相当量となる。
【0039】
次に、糖質OFF率について見ると比較例1が最も高く、その後、架橋難消化性デンプンの含有率が少なくなるにつれて実施例1~4及び比較例3の糖質OFFの割合も低くなっていることがわかる。また、実施例1~4を見ると、おおよそ50%糖質がカットできていることがわかる。
一方、カロリーOFF率について見ると、比較例1が最も高いのは先ほどと同様であるが、同じ架橋難消化性デンプンであっても、比較例1と比較例2とではOFF率に差があることがわかる。実施例1~4及び比較例3を見ると、先ほど同様、架橋難消化性デンプンの含有率が少なくなるにつれて糖質OFFの割合も低くなっていることがわかる。
【0040】
品質について見ると、実施例1及び比較例2は品質が良いという結果になった。一方、異なる架橋難消化性デンプンを用いた比較例1は、最も悪い結果となった。また、湿熱処理難消化性デンプンを添加すると品質は若干劣るものの、比較例1よりも良い結果となった。
【0041】
以上のことから、架橋難消化性デンプンと湿熱処理難消化性デンプンとを組み合わせることで、食塩相当量やカロリーOFF率の高い穀物風粒状物が得られることが確認できた。
【0042】
続いて、実施例1~4及び市販米(コシヒカリ)を160%の加水率で炊飯し、先ほどと同じく炊飯後における各サンプルの塩分量(食塩相当量)、コシヒカリに対する糖質及びカロリーOFF率、並びに炊飯後の粒の状態(品質)について検討を行った。結果を表2に示す。
【0043】
【0044】
表1と表2を比べると、加水率を増加させると、食塩相当量が微減していることがわかる。また、糖質OFF及びカロリーOFFの比率も増加していることから、糖質及びカロリーも減少していることがわかる。これは加水率を上げたことにより、炊飯米の水分値が増えたためである。さらに、水分増加後の品質は、コシヒカリの水分増加時のものと同等であった。
【0045】
次に、本願発明にかかる穀物風粒状物に対して、香料を用いて香りを付与するタイミングについて検討を行った。
炊飯米の匂いを再現した水溶性、油溶性、粉末の3つの香料を用意した。油溶性香料の組成は香料ベース5%、シーズニングオイル95%である。粉末香料の組成は、香料ベース5%、シーズニングオイル20%、賦形剤・乳化剤75%である。各香料を実施例1の穀物風粒状物製造時の粉体混練時、炊飯前、炊飯後に分けて添加した場合の効果について確認を行った。効果については次の基準に従って判断した。結果を表3に示す。
(香料効果の判断基準)
++:効果あり
+ :効果はあるが不安定
- :効果なし
【0046】
【0047】
表3から明らかなように、炊飯後に添加する場合がいずれの香料においても効果を認められた。また、水溶性香料については炊飯前、粉末香料については混練時に添加しても効果が認められた。
【0048】
次に、各タイミングにおける適正添加量について検討を行った。その結果、混練時に添加する場合には2重量%、炊飯前に添加する場合には1.20重量%、炊飯後に添加する場合には1.00重量%が最適であった。
【0049】
以上説明したように、本発明は米粉と難消化性デンプンを主原料とした穀物風粒状物であり、異なる処理方法によって得られた難消化性デンプンを組み合わせて用いることで、摂取カロリー及び摂取Na量を抑制することができる。