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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アライメント方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20241007BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G03F9/00 H
G03F7/20 521
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023023960
(22)【出願日】2023-02-20
(62)【分割の表示】P 2020557908の分割
【原出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2023075123
(43)【公開日】2023-05-30
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】18169523.0
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】グーアデン,セバスティアヌス,アドリアヌス
(72)【発明者】
【氏名】フイスマン,サイモン,レイナルド
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-228356(JP,A)
【文献】特開2002-008974(JP,A)
【文献】特開平08-264427(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0257572(US,A1)
【文献】特開2001-267224(JP,A)
【文献】特表2016-502134(JP,A)
【文献】特開平10-185512(JP,A)
【文献】特開2013-042186(JP,A)
【文献】特表2005-518107(JP,A)
【文献】特開2006-012867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のアライメントマークの位置を決定する方法であって、
フィーチャの位置を示し、第1の技法を用いて決定できる第1の位置と、前記フィーチャの位置を示し、前記第1の技法と異なる第2の技法を用いて決定できる第2の位置との差の測度であるオフセットパラメータを決定することと、
前記第2の位置を決定することと、
前記第2の位置及び前記オフセットパラメータから前記第1の位置を決定することであって、前記アライメントマークの前記位置は前記決定された第1の位置である、前記第1の位置を決定することと、
を含み、
前記オフセットパラメータは第1の波長範囲を用いて決定され、前記第2の位置は第2の波長範囲を用いて決定され、前記第1の波長範囲は前記第2の波長範囲よりも大きい、方法。
【請求項2】
前記アライメントマークは前記基板の表面よりも下方に配置され、前記アライメントマークと前記表面との間の前記基板の少なくとも一部は不透明であり、前記第2の位置は、前記アライメントマークの上に1つ以上のプロセス層を堆積することによって形成された残留トポグラフィの位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オフセットパラメータは第1の照明モードを用いて決定され、前記第2の位置は第2の照明モードを用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オフセットパラメータは第1の照明偏光状態を用いて決定され、前記第2の位置は第2の偏光状態を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基板は複数の前記アライメントマークを備え、前記第1の位置は前記複数のアライメントマークのうちの第1のアライメントマークの位置であり、前記第2の位置は前記複数のアライメントマークのうちの第2のアライメントマークの位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記オフセットパラメータは、最初に前記第1の位置及び前記第2の位置を決定し、その後、前記アライメントマークの前記第1及び第2の位置から前記オフセットパラメータを決定することによって決定される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記オフセットパラメータは、少なくとも部分的に、プロセス変動を補正するように計算される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記オフセットパラメータは第1の空間サンプリングを用いて決定され、前記第2の位置は第2の空間サンプリングを用いて決定される、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第2の位置を決定することは、前記アライメントマークの近傍で前記基板に測定放射を照射することと、前記基板から散乱した前記測定放射の少なくとも一部を受けることと、前記基板から散乱した前記測定放射の少なくとも一部から前記第2の位置を決定することと、を含む、請求項1からのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
フィーチャを有する基板を支持するための基板サポートと、
前記フィーチャの位置を示し、第1の技法を用いて決定できる第1の位置と、前記フィーチャの位置を示し、前記第1の技法と異なる第2の技法を用いて決定できる第2の位置との差の測度であるオフセットパラメータを決定するように動作可能な測定システムと、
を備え、
前記第1の位置は、前記第2の位置及び前記オフセットパラメータから決定され、
前記基板に測定放射を照射するよう動作可能な放射システムを更に備え、
前記放射システムは、少なくとも第1の波長範囲又は第2の波長範囲を有する測定放射を前記基板に照射するように動作可能であり、前記第1の位置は、第1の波長範囲を用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第2の位置は、第2の波長範囲を用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第1の波長範囲は前記第2の波長範囲よりも大きい、装置。
【請求項11】
記測定システムは、前記基板から散乱した前記測定放射の少なくとも一部を受けるように動作可能であり、更に、少なくとも部分的に、前記基板から散乱した前記測定放射の少なくとも一部から前記オフセットパラメータを決定するように動作可能である、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記放射システムは更に、
ポンププローブ構成としてポンプ放射及び測定放射の両方を用いて前記オフセットパラ
メータを決定し、
前記基板において機械的応答を生成するように、前記基板に前記ポンプ放射を照射する
ように動作可能である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記放射システムは、少なくとも第1の照明モード又は第2の照明モードを有する測定放射を前記基板に照射するように動作可能であり、前記第1の位置は、第1の照明モードを用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第2の位置は、第2の照明モードを用いて決定され得る前記フィーチャの位置である、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
前記放射システムは、少なくとも第1の照明偏光状態又は第2の照明偏光状態を有する測定放射を前記基板に照射するように動作可能であり、前記第1の位置は、第1の照明偏光状態を用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第2の位置は、第2の照明偏光状態を用いて決定され得る前記フィーチャの位置である、請求項11から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
フィーチャを有する基板を支持するための基板サポートと、
測定システムであって、
前記フィーチャの位置を示す第2の位置を決定し、更に、
前記第2の位置及びオフセットパラメータから前記フィーチャの位置を示す第1の位置を決定するように動作可能な測定システムと、
を備える装置であって、前記オフセットパラメータは、前記フィーチャの位置を示す第1の位置と前記フィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度であり、
放射システムは、少なくとも第1の波長範囲又は第2の波長範囲を有する測定放射を前記基板に照射するように動作可能であり、前記第1の位置は、第1の波長範囲を用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第2の位置は、第2の波長範囲を用いて決定され得る前記フィーチャの位置であり、前記第1の波長範囲は前記第2の波長範囲よりも大きい、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2018年4月26日に出願され、援用により全体が本願に含まれるEP出願第18169523.0号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本発明は、物体上のフィーチャの位置を決定する方法及びこれらの方法を実行するための関連付けられた装置に関する。物体は基板(例えばシリコンウェーハ)とすることができ、フィーチャはマーク(例えばアライメントマーク)とすることができる。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、基板に所望のパターンを適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造において使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク)のパターン(「設計レイアウト」又は「設計」と称されることも多い)を、基板(例えばウェーハ)上に提供された放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] 半導体製造プロセスが進み続けるにつれ、回路素子の寸法は継続的に縮小されてきたが、その一方で、デバイス毎のトランジスタなどの機能素子の量は、「ムーアの法則」と通称される傾向に従って、数十年にわたり着実に増加している。ムーアの法則に対応するために、半導体産業はますます小さなフィーチャを作り出すことを可能にする技術を追求している。基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、基板上にパターニングされるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm、及び13.5nmである。4nmから20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する、極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、例えば193nmの波長を伴う放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さなフィーチャを、基板上に形成することができる。
【0005】
[0005] 基板上にデバイスフィーチャを正確に配置するようリソグラフィプロセスを制御するため、通常、基板上にはアライメントマークが設けられ、リソグラフィ装置は、基板上のアライメントマークの位置を正確に測定できる1つ以上のアライメント測定システムを含む。これらのアライメント測定システムは事実上、位置測定装置である。様々な異なるタイプのアライメントマーク及び様々なタイプのアライメント測定システムが既知である。一般に、アライメント測定システムは、アライメントマークに測定放射ビームを照射し、アライメントマークから散乱した測定放射ビームの少なくとも一部を受け、この散乱した放射からアライメントマークの位置を決定することによって、アライメントマークの位置を測定する。
【0006】
[0006] 製品フィーチャがますます小型化するにつれて、特にオーバーレイエラーを制御するため、より正確な位置測定を行うことが常に求められている。
【0007】
[0007] 本発明の目的は、ここで特定されたものであるか否かを問わず、従来技術の構成に伴う1つ以上の問題に少なくとも部分的に対処する、物体におけるフィーチャの特徴(例えばアライメントマークの位置)を決定するのに適した代替的な方法及び装置を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の第1の態様に従って、物体上のフィーチャの位置を決定する方法が提供される。この方法は、フィーチャの位置を示す第1の位置とフィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度であるオフセットパラメータを決定することと、第2の位置を決定することと、第2の位置及びオフセットパラメータから第1の位置を決定することであって、マークの位置は第1の位置である、第1の位置を決定することと、を含む。
【0009】
[0009] 物体はシリコンウェーハとすることができる。フィーチャはマークとすることができ、例えばアライメントマークとすればよい。
【0010】
[00010] フィーチャの位置を示す第1及び第2の位置は、例えば2つの異なる技法を用いて決定される、例えば基準位置に対する絶対位置であることは認められよう。従って、第1及び第2の位置は概ね物体の構成に依存する。物体が変形すると、物体の構成が変化し、これにより第1及び第2の位置が変化する可能性がある。物体の変形は、例えば物体の基板をサポート(例えば基板テーブル)にクランプすること及び/又は物体の加熱によって発生し得る。第1及び第2の位置が規定される基準位置は、物体上の位置であるか、あるいは基板テーブルのような物体用サポート上の位置であり得ることは認められよう。更に、基準位置と第1及び第2の位置との間の距離において物体が変形すると、第1及び第2の位置の決定が影響を受けることは認められよう。
【0011】
[00011] これに対して、オフセットパラメータは相対位置であり、フィーチャの位置を示す第1の位置とフィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度である。従って、オフセットパラメータは原理上は物体の構成(すなわち物体の変形)に依存するが、オフセットパラメータの距離スケール(distance scale)における物体の変形だけに依存する。実際は、第1及び第2の位置が充分に近いので、オフセットパラメータは充分に小さく、そのような距離スケールにおける物体の変形はわずかである可能性がある。例えば、いくつかの実施形態において、第1及び第2の位置は双方ともフィーチャの位置とすることができる(が、異なる技法によって決定できる)。このような実施形態では、オフセットパラメータはフィーチャの寸法よりも著しく小さく、例えばフィーチャのピッチよりも小さい可能性がある。フィーチャは、約2μmのピッチを有するアライメントマークであり得る。このような距離スケールにおける物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。他の実施形態において、第1の位置はフィーチャの位置とすることができ、第2の位置は別の比較的近いフィーチャの位置とすることができる。このような実施形態では、オフセットパラメータは、ほぼ2つのフィーチャ間の分離距離(separation)である。充分に小さい2つのフィーチャ間の距離では、物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。従って、オフセットパラメータは、物体の構成(例えば、物体をサポートにクランプすることによって発生する物体の変形に依存し得る)から実質的に独立し得る。
【0012】
[00012] 本発明の第1の態様に従った方法が有利である理由は、オフセットパラメータが相対位置である(従って、物体の構成又は変形から実質的に独立し得る)ので、オフセットパラメータを第1の装置で決定できると共に、第2の位置を第2の異なる位置で決定できることである。例えば、オフセットパラメータを第1のメトロロジ装置で決定し、第2の位置をリソグラフィ装置内の位置測定装置(例えばアライメントセンサ)を用いて決定することができる。位置測定を、異なる装置で決定できる2つの部分に分割するこの能力は、直感では理解しにくい(counter-intuitive)。その理由は、当業者によって認められるように、各装置が物体を異なる手法で異なるサポートにクランプする可能性があり、従って一般に、物体の異なる構成又は変形を引き起こすからである。
【0013】
[00013] 更に、位置測定を、異なる装置によって決定できる2つの部分に分割するこの能力は、第2の装置(例えばリソグラフィ装置)内で、より精度の低い測定技法を(以前に決定したオフセットパラメータと組み合わせて)用いて、より正確な位置測定を決定することを可能とする。
【0014】
[00014] これに加えて又はこの代わりに、これにより、フィーチャを解像できない(が、別の近くのフィーチャを解像できる)位置測定システム(例えばアライメントセンサ)を用いて、リソグラフィ装置内でフィーチャの位置を決定できる。有利な点として、これによりフィーチャの小型化が可能となる。これは次いで、物体上のより広い範囲内の位置にフィーチャを配置することを可能とする。例えば、典型的には、リソグラフィ用のアライメントマークは、シリコンウェーハ上の隣接したダイ間に配置されたスクライブラインに位置付けられる。しかしながら、マークを充分に小型化できる場合、ダイ自体の内部にマークを提供することが許容可能となり得る。
【0015】
[00015] オフセットパラメータは、フィーチャの位置を示す第1の位置とフィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度である。しかしながら、オフセットパラメータを直接決定してもよいことは認められよう。すなわち、少なくともいくつかの実施形態では、オフセットパラメータの決定は第1及び第2の位置の決定を含まない場合がある。あるいは、オフセットパラメータの決定は、最初に第1及び第2の位置を決定し、次いでオフセットパラメータを決定することによって実行され得る。
【0016】
[00016] 更に、フィーチャの位置を示す第1及び第2の位置は、例えば2つの異なる技法を用いて決定される、例えば基準位置に対する絶対位置であることは認められよう。従って、第1及び第2の位置は一般に物体の構成に依存する。オフセットパラメータは第1の装置で決定することができ、第2の位置は第2の装置で決定することができ、概して、第1及び第2の装置では物体の構成は異なる可能性があることは認められよう。従って、最初に第1及び第2の位置を決定し、その後オフセットパラメータを決定することによってオフセットパラメータが決定される実施形態では、これらの第1及び第2の位置(第1の装置で決定される)は概して、第2の装置で決定される第1及び第2の位置とは異なる。
【0017】
[00017] 第1の位置は、第1の技法を用いて決定できるフィーチャの位置を示す位置であり、第2の位置は、第1の技法を用いて決定できるフィーチャの位置を示す位置であり得る。例えば、第1の技法は第2の技法よりも精度が高いものであり得る。
【0018】
[00018] オフセットパラメータ及び第2の位置は、任意の適切な位置測定センサを用いて決定することができる。適切な位置測定センサは、任意の適切な位置測定技術を使用し得る。適切な位置測定技術には例えば、光センサ、x線センサ、電子ビームセンサ、中性子ビームセンサ、原子間力顕微鏡センサ、及び音響センサ(例えばポンププローブ技法(pump probe technique)を用いる)が含まれる。オフセットパラメータ及び第2の位置は、同一の又は異なる位置測定技法を使用し得る異なる位置測定センサを用いて決定できることは認められよう。
【0019】
[00019] オフセットパラメータは第1の測定装置を用いて決定することができ、第2の位置は第2の測定装置を用いて決定される。第2の測定装置は第1の測定装置とは異なる。
【0020】
[00020] 第1の位置は、第2の位置よりも、フィーチャの位置を示す位置の正確な決定を表し得る。
【0021】
[00021] これによって、第2の装置(例えばリソグラフィ装置)内で、より精度の低い測定技法を(以前に決定したオフセットパラメータと組み合わせて)用いて、より正確な位置測定を決定することが可能となる。
【0022】
[00022] フィーチャは物体の表面よりも下方に配置され、フィーチャと表面との間の物体の少なくとも一部は不透明である可能性がある。第1の位置はフィーチャの位置とすることができ、第2の位置は、フィーチャの上に1つ以上のプロセス層を堆積することによって形成された残留トポグラフィの位置とすることができる。
【0023】
[00023] このような構成では、第1の位置を決定できる第1の技法はポンププローブ技法を含み得る。フィーチャは一般に、一連のラインと空間を含む反射回折格子の形態であり得ることは認められよう。そのような構造の上に1つ以上のプロセス層が堆積されるので、これらのプロセス層の表面は、下にあるフィーチャの周期構造のために残留トポグラフィを有し得る。例えば残留トポグラフィは、下にあるフィーチャよりも高さ(amplitude)が小さく歪んでいるが、周期的であり、下にあるフィーチャと実質的に同じピッチを有し得る。これが、フィーチャの上に1つ以上のプロセス層を堆積することで形成された残留トポグラフィがここで意味するものであることは認められよう。
【0024】
[00024] このような実施形態において、第1及び第2の位置は双方ともフィーチャの位置であると見なされる(が、異なる技法で決定される)。このような実施形態では、オフセットパラメータはフィーチャの寸法よりも著しく小さく、例えばフィーチャのピッチよりも小さい可能性がある。フィーチャは、約2μmのピッチを有するアライメントマークであり得る。このような距離スケールにおける物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。
【0025】
[00025] オフセットパラメータは、アライメント格子非対称性、層厚変動、又は残留表面トポグラフィのうちいずれかによって生じる位置誤差に少なくとも部分的に対応し得る。
【0026】
[00026] オフセットパラメータは第1の波長範囲を用いて決定することができ、第2の位置は第2の波長範囲を用いて決定することができる。第1の波長範囲は第2の波長範囲よりも大きい。
【0027】
[00027] 例えば、オフセットパラメータ及び第2の位置は双方とも光センサを用いて決定できる。照明ビームの波長範囲を拡大すると、測定のロバスト性が増大し得る。
【0028】
[00028] オフセットパラメータは第1の照明モードを用いて決定することができ、第2の位置は第2の照明モードを用いて決定することができる。
【0029】
[00029] 例えば、第1の位置を決定できる第1の技法は、精度向上のためにアライメントマークのピッチの縮小を可能とする軸外照明モードを使用し得る。このような技法は米国2015/109624号で検討されている。軸外照明とは、照明源が瞳面の周辺部に限定されることを意味する。照明を瞳の最周辺部に限定すると、アライメントマークの最小可能ピッチは、実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAに縮小する。ここで、λは使用される放射の波長であり、NAは、器具(例えばアライメントセンサ、又はより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。
【0030】
[00030] オフセットパラメータは第1の照明偏光状態を用いて決定することができ、第2の位置は第2の偏光状態を用いて決定することができる。
【0031】
[00031] 第1の位置はフィーチャの位置とすることができ、第2の位置は第2のフィーチャの位置とすることができる。
【0032】
[00032] 例えば、第2のフィーチャはフィーチャの比較的近くにあり得る。このような実施形態では、オフセットパラメータは、ほぼ2つのフィーチャ間の分離距離である。充分に小さい2つのフィーチャ間の距離では、物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。従って、オフセットパラメータは、物体の構成(例えば、物体をサポートにクランプすることによって発生する物体の変形に依存し得る)から実質的に独立し得る。
【0033】
[00033] このような実施形態により、フィーチャを解像できない(が、第2の近くのフィーチャを解像できる)位置測定システム(例えばアライメントセンサ)を用いて、リソグラフィ装置内でフィーチャの位置を決定できる。有利な点として、これによりフィーチャの小型化が可能となる。これは次いで、物体上のより広い範囲内の位置にフィーチャを配置することを可能とする。例えば、典型的には、リソグラフィ用のアライメントマークは、シリコンウェーハ上の隣接したダイ間に配置されたスクライブラインに位置付けられる。しかしながら、マークを充分に小型化できる場合、ダイ自体の内部にマークを提供することが許容可能でなり得る。フィーチャをダイ内に配置し、第2のフィーチャを隣接したスクライブラインに配置してもよい。
【0034】
[00034] フィーチャと第2のフィーチャとの間の距離は、物体の寸法の10%未満であり得る。
【0035】
[00035] 例えば、フィーチャはシリコンウェーハのダイ内に配置されたμDBO(micro diffraction based overlay)マークであり、第2のフィーチャは隣接したスクライブラインに配置されたアライメントマークであり得る。シリコンウェーハは、例えば約300mmの直径を有し得る。典型的なフィールド寸法(すなわち、単一の露光中に露光されるシリコンウェーハのターゲット領域の寸法)は、約30mmであり得る。このようなフィールド又はターゲット領域の各々は単一のダイに対応することができる。あるいは、このようなフィールド又はターゲット領域の各々は複数のダイに対応し、各ダイの典型的な寸法を、例えばフィールドの寸法のほぼ1/2又は1/3としてもよい。
【0036】
[00036] ダイ内に配置されたフィーチャの、これに最も近いスクライブラインからの最大距離は、ダイの寸法の1/2であり得ることは認められよう。いくつかの実施形態において、フィーチャと第2のフィーチャとの間の距離は物体の寸法の5%未満とすることができる。
【0037】
[00037] いくつかの実施形態において、フィーチャと第2のフィーチャとの間の距離は物体の寸法の1%未満とすることができる。直径300mmのシリコンウェーハでは、これは約3mmの距離に相当する。これはウェーハテーブル上のバールの典型的な間隔にほぼ等しく、従って、ランダムなウェーハテーブルクランプ変形の最も高い空間周波数に対応し得る。
【0038】
[00038] オフセットパラメータは直接決定することができる。オフセットパラメータが直接決定される場合、オフセットパラメータの決定が第1及び第2の位置の決定を含まないことは認められよう。例えば、オフセットパラメータはオーバーレイツールを訴えて決定することができる。
【0039】
[00039] あるいは、オフセットパラメータを間接的に決定することができる。
【0040】
[00040] オフセットパラメータは、最初に第1の位置及び第2の位置を決定し、その後、フィーチャの第1及び第2の位置からオフセットパラメータを決定することによって決定できる。
【0041】
[00041] オフセットパラメータは第1の装置で決定することができ、第2の位置は第2の装置で決定することができ、概して、第1及び第2の装置では物体の構成は異なる可能性があることは認められよう。従って、最初に第1及び第2の位置を決定し、その後オフセットパラメータを決定することによってオフセットパラメータが決定される実施形態では、これらの第1及び第2の位置(第1の位置で決定される)は概して、第2の装置で決定される第1及び第2の位置とは異なる。
【0042】
[00042] オフセットパラメータは、少なくとも部分的に、プロセス変動を補正するように計算することができる。
【0043】
[00043] そのような計算は、(例えば1以上の測定によって)決定され得る既知のプロセス変動(例えば層厚変動や非対称性等)を考慮に入れる(take into)ことができる。例えば層厚変動及び非対称性のようなプロセス変動は、アライメント測定誤差を引き起こす可能性がある。例えば、リソグラフィ装置内で決定される第2の位置には、そのような測定誤差が生じることがある。しかしながら、プロセス変動が既知である(例えば別個のメトロロジ装置を用いて測定される)場合、これらの誤差を少なくとも部分的に補正するオフセットパラメータを決定することができる。
【0044】
[00044] オフセットパラメータは第1の空間サンプリングを用いて決定することができ、第2の位置は第2の空間サンプリングを用いて決定される。
【0045】
[00045] 例えば、オフセットパラメータ(相対位置である)の空間サンプリングは、第2の位置の空間サンプリングよりも低密度とすることができる。一般に、物体のディストーション(例えば、シリコンウェーハである物体をサポートにクランプすることにより発生する)のレベルに応じて、物体の表面上に特定の数及び分布のフィーチャを設けることができる。これらのフィーチャの各々について、(例えばリソグラフィ装置内の)第2の装置で第2の位置を決定することができる。従って、物体の表面上に設けられるフィーチャの数及び分布により、第2の装置におけるフィーチャの空間サンプリングが設定され得る。非ゼロのオフセットパラメータを発生させる効果は、物体の表面上で比較的ゆっくり変動する可能性がある。この効果は例えば、アライメント格子非対称性、層厚変動、又は残留表面トポグラフィであり得る。これが当てはまる場合は、物体の比較的疎なサンプリング(sparse sampling)を行って、一部のフィーチャだけのオフセットパラメータを例えば第1の装置において測定すれば、物体全体にわたる全てのフィーチャのオフセットパラメータを充分に特徴付けられる可能性がある。
【0046】
[00046] 第2の位置を決定することは、フィーチャの近傍で物体に測定放射を照射することと、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部を受けることと、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部から第2の位置を決定することと、を含み得る。
【0047】
[00047] フィーチャが反射回折格子の形態であり得ること、及び、物体から散乱した測定放射が複数の回折次数を含み得ることは認められよう。物体から散乱した測定放射の少なくとも一部は、これらの回折次数のうち少なくともいくつかを含み得る。第2の位置を決定するために用いられる、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部の部分を形成する回折次数は、多くのファクタに依存し得る。そのようなファクタには例えば、フィーチャのピッチ、測定放射の波長、及び、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部を捕捉するように配置された光学系の開口数が含まれる。
【0048】
[00048] 物体から散乱した測定放射の少なくとも一部から第2の位置を決定することは、共役回折次数を相互に干渉させることによって達成できる。共役回折次数とは、±次数の回折ビームを意味することは認められよう。これは、(例えば偏光ビームスプリッタを用いて)フィールドを2つの部分に分割し、これら2つの部分を相互に180度回転させ、次いで、2つの部分が相互に干渉するようにこれらを重畳させることによって達成できる。これは、米国特許6961116号に記載されているタイプの自己参照干渉計を用いて達成され得る。
【0049】
[00049] 本発明の第2の態様に従って、フィーチャを有する物体を支持するための基板サポートと、フィーチャの位置を示す第1の位置とフィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度であるオフセットパラメータを決定するように動作可能な測定システムと、を備える装置が提供される。
【0050】
[00050] 物体はシリコンウェーハとすることができ、フィーチャはアライメントマークとすることができる。
【0051】
[00051] 本発明の第2の態様に従った装置は、本発明の第1の態様に従った方法の部分を実行するのに適している。本発明の第2の態様に従った装置は、関連付けられたリソグラフィ装置とは別個であり得るメトロロジ装置とすることができる。
【0052】
[00052] いくつかの実施形態において、第1及び第2の位置は双方ともフィーチャの位置とすることができる(が、異なる技法によって決定できる)。このような実施形態では、オフセットパラメータはフィーチャの寸法よりも著しく小さく、例えばフィーチャのピッチよりも小さい可能性がある。他の実施形態において、第1の位置はフィーチャの位置とすることができ、第2の位置は別の比較的近いフィーチャの位置とすることができる。このような実施形態では、オフセットパラメータは、ほぼ2つのフィーチャ間の分離距離である。
【0053】
[00053] オフセットパラメータは、フィーチャの位置を示すと共に第1の技法を用いて決定できる第1の位置と、フィーチャの位置を示すと共に第2の技法を用いて決定できる第2の位置との差の測度である。しかしながら、測定システムは、オフセットパラメータを直接決定するように動作可能であり得ることは認められよう。すなわち、少なくともいくつかの実施形態では、オフセットパラメータの決定は第1及び第2の位置の決定を含まない場合がある。あるいは、測定システムは、最初に第1及び第2の位置を決定し、次いでオフセットパラメータを決定することでオフセットパラメータを決定するように動作可能であり得る。
【0054】
[00054] 本発明の第2の態様に従った装置は、任意の適切な位置測定技術を用いることができる。適切な位置測定技術には例えば、光センサ、x線センサ、電子ビームセンサ、中性子ビームセンサ、原子間力顕微鏡センサ、及び音響センサ(例えばポンププローブ技法を用いる)が含まれる。
【0055】
[00055] 装置は更に、物体に測定放射を照射するよう動作可能な放射システムを備えることができる。測定システムは、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部を受けるように動作可能であり、更に、少なくとも部分的に、物体から散乱した測定放射の少なくとも一部からオフセットパラメータを決定するように動作可能であり得る。
【0056】
[00056] 放射システムは更に、物体において機械的応答を生成するように、物体にポンプ放射を照射するよう動作可能であり得る。
【0057】
[00057] このような装置は、第1の動作モード及び第2の動作モードで動作するように動作可能であり得る。これについて以下で検討する。第1の動作モードにおいて、測定システムは、測定放射だけを用いてオフセットパラメータを決定するよう動作可能であり得る。第2の動作モードにおいて、装置は、ポンププローブ構成としてポンプ放射と測定放射の双方を用いてオフセットパラメータを決定するように動作可能であり得る。最初にポンプ放射を用いて、物体において機械的応答を生成する。機械的応答は、例えば機械波(mechanical wave)とすればよい。このような機械波は、音響波や、例えば自由電子の拡散のような他のいずれかの熱伝搬を含み得ることは認められよう。ポンプ放射で発生した機械波は物体内を伝搬し、その一部はフィーチャによって散乱して表面の方へ戻ることがある。その後、測定放射を用いて、フィーチャの1つ以上の特徴を間接的に決定するように物体の表面をプローブする。
【0058】
[00058] このような装置が使用され得るのは、フィーチャが物体の表面よりも下方に配置され、フィーチャと表面との間の物体の少なくとも一部が不透明である場合である。第1の動作モードを用いて第2の位置を決定することができる。第2の位置は、フィーチャ上に1つ以上のプロセス層を堆積することにより形成された残留トポグラフィの位置であり得る。第2の動作モードを用いてオフセットパラメータを直接決定することができる。あるいは、第2の動作モードを用いて第1の位置を決定することができる。第1の位置は、ポンプ及びプローブ法を用いて決定されるフィーチャの位置であり得る。第1及び第2の位置からオフセットパラメータを決定できる。
【0059】
[00059] 放射システムは、少なくとも第1の波長範囲又は第2の波長範囲を有する測定放射を物体に照射するように動作可能であり得る。第1の位置は、第1の波長範囲を用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。第2の位置は、第2の波長範囲を用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。オフセットパラメータは第2の波長範囲を用いて決定できる。第1の波長範囲は第2の波長範囲よりも大きい。
【0060】
[00060] 照明ビームの波長範囲を拡大すると、測定のロバスト性が増大し得る。
【0061】
[00061] 放射システムは、少なくとも第1の照明モード又は第2の照明モードを有する測定放射を物体に照射するように動作可能であり得る。第1の位置は、第1の照明モードを用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。第2の位置は、第2の照明モードを用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。オフセットパラメータは第2の照明モードを用いて決定できる。
【0062】
[00062] 放射システムは、少なくとも第1の照明偏光状態又は第2の照明偏光状態を有する測定放射を物体に照射するように動作可能であり得る。第1の位置は、第1の照明偏光状態を用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。第2の位置は、第2の照明偏光状態を用いて決定され得るフィーチャの位置とすることができる。オフセットパラメータは第2の照明偏光状態を用いて決定できる。
【0063】
[00063] 第1の位置はフィーチャの位置とすることができ、第2の位置は第2のフィーチャの位置とすることができる。
【0064】
[00064] 測定システムは、オフセットパラメータを直接決定するように動作可能であり得る。
【0065】
[00065] あるいは、測定システムは、オフセットパラメータを間接的に決定するように動作可能であり得る。
【0066】
[00066] 本発明の第3の態様に従って、装置が提供される。この装置は、フィーチャを有する物体を支持するための基板サポートと、測定システムであって、フィーチャの位置を示す第2の位置を決定し、更に、第2の位置及びオフセットパラメータからフィーチャの位置を示す第1の位置を決定するように動作可能な測定システムと、を備える。オフセットパラメータは、フィーチャの位置を示す第1の位置とフィーチャの位置を示す第2の位置との差の測度である。
【0067】
[00067] 物体はシリコンウェーハとすることができ、フィーチャはアライメントマークとすることができる。
【0068】
[00068] 本発明の第3の態様に従った装置は、本発明の第1の態様に従った方法の一部を実行するのに適している。本発明の第3の態様に従った装置はリソグラフィ装置とすることができる。
【0069】
[00069] 本発明の第3の態様に従った装置は、任意の適切な位置測定技術を用いることができる。適切な位置測定技術には例えば、光センサ、x線センサ、電子ビームセンサ、中性子ビームセンサ、原子間力顕微鏡センサ、及び音響センサ(例えばポンププローブ技法を用いる)が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
[00070] 本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、単なる例示として以下に説明する。
【0071】
図1】リソグラフィ装置の概略図である。
図2】既知のアライメントセンサの一実施形態の概略ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に従った、物体上のマークの位置を決定する方法の一実施形態の概略ブロック図である。
図4】マーク(反射回折格子)と、このマークの上に形成された2つのプロセス層と、を有する基板の一部の断面の概略図である。
図5】スクライブラインで分離された複数のダイを有する基板の概略図であり、位置を決定することが望まれる第1のマークはターゲット領域内に設けられ、第2のマークは隣接したスクライブライン内にある。
【発明を実施するための形態】
【0072】
[00071] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、特に明記しない限り、紫外線(例えば、波長が365、248、193、157又は126nmの波長)及びEUV(極端紫外線放射、例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する)を含む、すべてのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0073】
[00072] 「レチクル」、「マスク」、又は「パターニングデバイス」という用語は、本文で用いる場合、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応して、入来する放射ビームにパターン付き断面を与えるため使用できる汎用パターニングデバイスを指すものとして広義に解釈され得る。また、この文脈において「ライトバルブ」という用語も使用できる。古典的なマスク(透過型又は反射型マスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)以外に、他のそのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイを含む。
【0074】
[00073] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えばUV放射、DUV放射、又はEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータとも呼ばれる)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するように構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに連結されたマスクサポート(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構築された第2のポジショナPWに連結された基板サポート(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。
【0075】
[00074] 動作中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して放射源SOから放射ビームを受ける。照明システムILは、放射を誘導し、整形し、及び/又は制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、及び/又はその他のタイプの光学コンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。イルミネータILを使用して放射ビームBを調節し、パターニングデバイスMAの平面において、その断面にわたって所望の空間及び角度強度分布が得られるようにしてもよい。
【0076】
[00075] 本明細書で用いられる「投影システム」PSという用語は、使用する露光放射、及び/又は液浸液の使用や真空の使用のような他のファクタに合わせて適宜、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、アナモルフィック光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システム、及び/又は静電気光学システム、又はそれらの任意の組み合わせを含む様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈するべきである。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用される場合、これは更に一般的な「投影システム」PSという用語と同義と見なすことができる。
【0077】
[00076] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を充填するように、基板の少なくとも一部を例えば水のような比較的高い屈折率を有する液体で覆うことができるタイプでもよい。これは液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技法に関する更なる情報は、援用により本願に含まれる米国特許6952253号に与えられている。
【0078】
[00077] リソグラフィ装置LAは、2つ以上の基板サポートWTを有するタイプである場合もある(「デュアルステージ」という名前も付いている)。このような「マルチステージ」機械においては、基板サポートWTを並行して使用するか、及び/又は、一方の基板サポートWT上の基板Wにパターンを露光するためこの基板を用いている間に、他方の基板サポートWT上に配置された基板Wに対して基板Wの以降の露光の準備ステップを実行することができる。
【0079】
[00078] 基板サポートWTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含むことができる。測定ステージは、センサ及び/又は洗浄デバイスを保持するように配置されている。センサは、投影システムPSの特性又は放射ビームBの特性を測定するよう配置できる。測定ステージは複数のセンサを保持することができる。洗浄デバイスは、例えば投影システムPSの一部又は液浸液を提供するシステムの一部のような、リソグラフィ装置の一部を洗浄するよう配置できる。基板サポートWTが投影システムPSから離れている場合、測定ステージは投影システムPSの下方で移動することができる。
【0080】
[00079] 動作中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されている、例えばマスクのようなパターニングデバイスMAに入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(設計レイアウト)によってパターンが付与される。マスクMAを横断した放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに集束させる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFを用いて、例えば、放射ビームBの経路内の集束し位置合わせした位置に様々なターゲット部分Cを位置決めするように、基板サポートWTを正確に移動させることができる。同様に、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(図1には明示的に図示されていない)を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めすることができる。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合わせすることができる。図示されている基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占有するが、それらをターゲット部分間の空間に位置付けることも可能である。基板アライメントマークP1、P2は、これらがターゲット部分C間に位置付けられている場合、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0081】
[00080] 本発明を明確にするため、デカルト座標系が用いられる。デカルト座標系は3つの軸、すなわちx軸、y軸、及びz軸を有する。3つの軸の各々は他の2つの軸に対して直交している。x軸を中心とした回転をRx回転と称する。y軸を中心とした回転をRy回転と称する。z軸を中心とした回転をRz回転と称する。x軸及びy軸は水平面を画定し、z軸は垂直方向を画定する。デカルト座標系は本発明を限定せず、単に明確さのため使用される。代わりに、円筒座標系のような別の座標系を用いて本発明を明確にすることも可能である。デカルト座標系の配向は、例えばz軸が水平面に沿った成分を有するように、異なるものとしてもよい。
【0082】
[00081] 複雑なデバイスの製造においては、通常、多くのリソグラフィパターニングステップを実行することにより、基板上の連続した層内に機能フィーチャを形成する。従って、リソグラフィ装置の性能の重要な面は、前に形成された層内に設けられたフィーチャに対して、(同一の装置によって又は異なるリソグラフィ装置によって)正確かつ高精度に適用パターンを配置する能力である。この目的のため、基板には1つ以上のマークセットが設けられている。各マークは、後の時点で、典型的には光学位置センサである位置センサを用いて位置を測定できる構造である。位置センサを「アライメントセンサ」と呼ぶことがあり、マークを「アライメントマーク」と呼ぶことがある。
【0083】
[00082] リソグラフィ装置は1つ以上の(例えば複数の)アライメントセンサを含むことができ、これによって、基板上に設けられたアライメントマークの位置を高精度に測定できる。アライメント(又は位置)センサは、回折及び干渉のような光学現象を用いて、基板上に形成されたアライメントマークから位置情報を得ることができる。現在のリソグラフィ装置で使用されるアライメントセンサの一例は、米国特許6961116号に記載されているような自己参照干渉計に基づくものである。例えば米国特許公開2015261097A1号に開示されているように、位置センサの様々な改良及び変更が開発されている。これらの公報の全ての内容は援用により本願に含まれる。
【0084】
[00083] マーク又はアライメントマークは、基板上に設けられているか又は基板内に(直接)形成されている層上又は層内に形成された一連のバー(bar)を含み得る。これらのバーは一定の間隔に配置されて格子ラインとして機能するので、マークは、周知の空間周期(ピッチ)を有する回折格子と見なすことができる。マークは、これらの格子ラインの配向に応じて、x軸又はy軸(x軸に対して実質的に垂直に配向されている)に沿った位置の測定を可能とするように設計できる。x軸及びy軸の双方に対して+45度及び/又は-45度に配列されたバーを含むマークは、援用により本願に含まれる米国特許公開2009/195768A号に記載されているような技法を用いて、x及びyを組み合わせた測定を可能とする。
【0085】
[00084] アライメントセンサは、各マークを放射スポットで光学的にスキャンして、正弦波のような周期的に変動する信号を得る。この信号の位相を解析して、アライメントセンサに対するマークの位置、従って基板の位置を決定する。アライメントセンサは、リソグラフィ装置の基準フレームに対して固定されている。いわゆる粗マーク(coarse mark)及び微細マーク(fine mark)を、異なる(粗及び微細)マーク寸法に関連付けて提供することで、アライメントセンサは、周期信号の異なるサイクルを区別すると共に、1サイクル内の正確な位置(位相)を識別することが可能となる。この目的のため、異なるピッチのマークを使用してもよい。
【0086】
[00085] また、マークの位置を測定することで、例えばウェーハグリッドの形態でマークが設けられている基板の変形に関する情報も提供できる。基板の変形は、例えば、基板を基板テーブルに静電クランプすること及び/又は基板を放射に露光する際に基板が加熱されることによって生じ得る。
【0087】
[00086] 図2は、例えば、援用により本願に含まれる米国特許6961116号に記載されているような既知のアライメントセンサASの一実施形態の概略ブロック図である。放射源RSOは、1つ以上の波長の放射ビームRBを提供し、この放射ビームRBは、誘導(diverting)光学系によって、基板W上に位置付けられたマークAMのようなマーク上へ照明スポットSPとして誘導される。この例では、誘導光学系はスポットミラーSM及び対物レンズOLを含む。マークAMを照明する照明スポットSPは、マーク自体の幅よりもわずかに小さい直径とすることができる。
【0088】
[00087] マークAMによって回折された放射は、(この例では対物レンズOLを介して)情報保持ビームIBにコリメートされる。「回折される」という用語は、マークからのゼロ次回折(反射と呼ぶことができる)を含むことが意図される。例えば上記の米国特許6961116号に開示されているタイプの自己参照干渉計SRIは、ビームIBをそれ自体と干渉させ、その後ビームは光検出器PDによって受光される。放射源RSOによって2つ以上の波長が生成される場合は、追加の光学系(図示せず)を含ませて別個のビームを提供してもよい。光検出器は単一の要素とするか、又は所望の場合は多くの画素を含むことができる。光検出器はセンサアレイを含み得る。
【0089】
[00088] この例ではスポットミラーSMを含む誘導光学系が、マークから反射したゼロ次放射を阻止するよう機能することで、情報保持ビームIBがマークAMからの高次回折放射だけを含むようにしてもよい(これは測定に必須ではないが、信号対雑音比を改善する)。
【0090】
[00089] 強度信号SIが処理ユニットPUに供給される。ブロックSRIにおける光学処理とユニットPUにおける計算処理の組み合わせによって、基準フレームに対する基板上のX及びYの位置の値が出力される。
【0091】
[00090] 図示されているタイプの単一測定は、マークの1つのピッチに対応する特定範囲内のマークの位置を固定するだけである。これと関連付けてもっと粗い測定技法を用いて、このマーク位置を含む正弦波の周期を識別する。マークが作製されている材料やマークの下及び/又は上に提供されている材料とは無関係に、精度の向上及び/又はマークのロバストな検出のため、様々な波長で、粗いレベル及び/又は微細レベルで同一のプロセスを繰り返すことができる。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化及び逆多重化すること、及び/又は時分割もしくは周波数分割によって多重化することができる。
【0092】
[00091] この例では、アライメントセンサ及びスポットSPは固定状態のままであり、移動するのは基板Wである。従ってアライメントセンサは、基準フレームに堅固かつ高精度に搭載されながら、実質的に基板Wの移動方向と反対の方向にマークAMをスキャンすることができる。基板Wのこの移動は、基板Wが基板サポートに搭載されると共に基板位置決めシステムが基板サポートの移動を制御することによって制御される。基板サポート位置センサ(例えば干渉計)が、基板サポート(図示せず)の位置を測定する。一実施形態では、基板サポート上に1つ以上の(アライメント)マークが設けられている。基板サポート上に設けられたマークの位置を測定することにより、位置センサで決定される基板サポートの位置を較正できる(例えばアライメントシステムが接続されているフレームに対して)。基板上に設けられたアライメントマークの位置を測定することにより、基板サポートに対して基板の位置を決定できる。
【0093】
[00092] これより図3を参照して、本発明の一実施形態に従った、物体上のマークの位置を決定する一般的な方法について記載する。ステップ10で示されるように、最初にオフセットパラメータΔxを決定する。オフセットパラメータΔxは、マークの位置を示すと共に第1の技法を用いて決定できる第1の位置xと、マークの位置を示すと共に第2の技法を用いて決定できる第2の位置xと、の差の測度である。
【0094】
[00093] 次にステップ20では、第2の技法を用いて第2の位置xを決定する。最後にステップ30では、第2の位置x及びオフセットパラメータΔxから第1の位置xを決定する。この方法によって決定されるマークの位置は、決定された第1の位置xである。
【0095】
[00094] 以下で更に検討されるように、オフセットパラメータΔxは第1の装置で決定され(ステップ10)、第2の位置xは第2の異なる装置で決定され得る(ステップ20)。例えば、オフセットパラメータΔxは第1のメトロロジ装置で決定され、第2の位置xはリソグラフィ装置内の位置測定装置(例えばアライメントセンサ)を用いて決定され得る。
【0096】
[00095] マークの位置を示す第1及び第2の位置x、xは、2つの異なる技法を用いて決定される、例えば基準位置に対する絶対位置であることは認められよう。従って、第1及び第2の位置x、xは概ね物体(例えば基板W)の構成に依存する。物体が変形すると、物体の構成が変化し、これにより第1及び第2の位置x、xが変化する可能性がある。物体の変形は、例えば物体をサポート(例えば基板テーブルWT)にクランプすること及び/又は物体の加熱によって発生し得る。第1及び第2の位置x、xが規定される基準位置は、物体上の位置であるか、あるいは基板テーブルWTのような物体用サポート上の位置であり得ることは認められよう。更に、基準位置と第1及び第2の位置との間の距離において物体が変形すると、第1及び第2の位置x、xの決定が影響を受けることは認められよう。
【0097】
[00096] これに対して、オフセットパラメータΔxは相対位置であり、マークの位置を示すと共に第1の技法を用いて決定できる第1の位置と、マークの位置を示すと共に第2の技法を用いて決定できる第2の位置との差の測度である。従って、オフセットパラメータは原理上は物体の構成(すなわち物体の変形)に依存するが、オフセットパラメータの距離スケールにおける物体の変形だけに依存する。実際は、第1及び第2の位置が充分に近いので、オフセットパラメータは充分に小さく、そのような距離スケールにおける物体の変形はわずかである可能性がある。例えば、いくつかの実施形態において、第1及び第2の位置は双方ともマークの位置とすることができる(が、異なる技法によって決定される)。このような実施形態では、オフセットパラメータはマークの寸法よりも著しく小さく、例えばマークのピッチよりも小さい可能性がある。マークは、約2μmのピッチを有するアライメントマークであり得る。このような距離スケールにおける物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。他の実施形態において、第1の位置はマークの位置とすることができ、第2の位置は別の比較的近いマークの位置とすることができる。このような実施形態では、オフセットパラメータは、ほぼ2つのマーク間の分離距離である。充分に小さい2つのマーク間の距離では、物体(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。従って、オフセットパラメータは、物体の構成(例えば、物体をサポートにクランプすることによって発生する物体の変形に依存し得る)から実質的に独立し得る。
【0098】
[00097] 図3に概略的に示されている方法が有利である理由は、オフセットパラメータΔxが相対位置である(従って、物体の構成又は変形から実質的に独立し得る)ので、オフセットパラメータΔxを第1の装置で決定できると共に、第2の位置xを第2の異なる位置で決定できることである。例えば、オフセットパラメータΔxを第1のメトロロジ装置で決定し、第2の位置xをリソグラフィ装置内の位置測定装置(例えばアライメントセンサ)を用いて決定することができる。位置測定を、異なる装置で決定できる2つの部分に分割するこの能力は、直感では理解しにくい。その理由は、当業者によって認められるように、各装置は物体を異なる手法で異なるサポートにクランプする可能性があり、従って一般に、物体の異なる構成又は変形を引き起こすからである。
【0099】
[00098] 更に、位置測定を、異なる装置によって決定できる2つの部分に分割するこの能力は、第2の装置(例えばリソグラフィ装置)内で、より精度の低い測定技法を(以前に決定したオフセットパラメータΔxと組み合わせて)用いて、より正確な位置測定を決定することを可能とする。
【0100】
[00099] これに加えて又はこの代わりに、これにより、マークを解像できない(が、別の近くのマークを解像できる)位置測定システム(例えばアライメントセンサ)を用いて、リソグラフィ装置LA内でマークの位置を決定できる。有利な点として、これによりマークの小型化が可能となる。これは次いで、物体上のより広い範囲内の位置にマークを配置することを可能とする。例えば、典型的には、リソグラフィ用のアライメントマークは、シリコンウェーハ上の隣接したダイ間に配置されたスクライブラインに位置付けられる(例えば、隣接したターゲット領域C間のスクライブライン。図1を参照のこと)。しかしながら、マークを充分に小型化できる場合、ダイ自体の内部にマークを提供することが許容可能となり得る。
【0101】
[000100] アライメントマーク測定の精度向上を図って、多くの新しい提案が行われている。しかしながら、そのような提案は通常、追加の装置を必要とすると共に、物理的に占める空間も大きくなる。リソグラフィ装置LAが再設計されない限り、アライメントセンサ等のメトロロジシステムに利用できる空間量には制限があり得る。図3に概略的に示されている方法は、改良されたアライメント測定に伴う追加の装置を異なる装置内に収容することができるので、リソグラフィ装置を再設計する必要がなく、改良されたアライメント測定から利益を得られるため、有利である。
【0102】
[000101] オフセットパラメータΔxは、マークの位置を示すと共に第1の技法を用いて決定できる第1の位置xと、マークの位置を示すと共に第2の技法を用いて決定できる第2の位置xと、の差の測度である。しかしながら、上述した方法のステップ10では、オフセットパラメータΔxを直接決定できることは認められよう。すなわち、少なくともいくつかの実施形態では、オフセットパラメータΔxの決定は第1及び第2の位置x、xの決定を含まない。
【0103】
[000102] あるいは、オフセットパラメータΔxの決定は、最初に第1及び第2の位置x、xを決定し、次いでオフセットパラメータΔxを決定することによって実行できる。前述のように、方法のステップ10及び20は異なる装置で実行することができ、異なる装置では、物体(例えば基板W)の構成は異なる可能性がある。更に、一般的には、第1及び第2の位置x、xが物体の構成に依存することは認められよう。従って、最初に第1及び第2の位置x、xを決定し、次いでオフセットパラメータΔxを決定することによって(ステップ10で)オフセットパラメータΔxが決定される実施形態では、(第1の装置において決定される)これらの第1及び第2の位置x、xは、一般に、第2の装置において(ステップ20及び30で)決定される第1及び第2の位置x、xとは異なる。例えば、ステップ10では、第1及び第2の位置x’、x’の第1のセットを決定し、このセットからオフセットパラメータΔxを決定できる(例えば、Δx=x’-x’)。ステップ20及び30では、第1及び第2の位置x、xの異なるセットを決定できる。つまり、最初に(例えば測定装置を用いて)第2の位置xを決定し、次いで、第2の位置x及びオフセットパラメータΔxから第1の位置xを決定する(例えば、x=Δx-x)。
【0104】
[000103] オフセットパラメータΔx(ステップ10)及び/又は第2の位置x(ステップ20)は、概ね図2に示されている(また、例えば米国特許6961116号に記載されている)アライメントセンサASの形態の装置を用いて決定できることは認められよう。従って、オフセットパラメータΔx(ステップ10)及び/又は第2の位置x(ステップ20)の決定は、マークAMの近傍で基板Wに測定放射RBを照射することと、基板Wから散乱した測定放射RBの少なくとも一部IBを受けることと、この少なくとも一部IBからオフセットパラメータΔx又は第2の位置xを決定することと、を含み得る。
【0105】
[000104] マークAMが反射回折格子の形態であり得ること、及び、基板Wから散乱した測定放射IBが複数の回折次数を含み得ることは認められよう。基板Wから散乱した測定放射は、これらの回折次数のうち少なくともいくつかを含み得る。オフセットパラメータΔx又は第2の位置xを決定するために用いられる、基板Wから散乱した測定放射の一部を形成する回折次数は、多くのファクタに依存し得る。そのようなファクタには例えば、マークのピッチ、測定放射RBの波長、及び、基板Wから散乱した測定放射を受けるように配置された光学系(例えば対物レンズOL)の開口数が含まれる。
【0106】
[000105] 基板Wから散乱した測定放射の一部からオフセットパラメータΔx又は第2の位置を決定することは、共役回折次数を相互に干渉させることによって達成できる。共役回折次数は、±次数の回折ビームを意味することは認められよう。これは、(例えば偏光ビームスプリッタを用いて)フィールドを2つの部分に分割し、これら2つの部分を相互に180度回転させ、次いで、2つの部分が相互に干渉するようにこれらを重畳させることによって達成できる。これは、米国特許6961116号に記載されているタイプの自己参照干渉計を用いて達成され得る。
【0107】
[000106] これより図2を参照して上述した一般的な方法のいくつかの具体的な実施形態を説明する。
【0108】
[000107] いくつかの実施形態において、第1の技法は第2の技法よりも精度が高い可能性があり、従って、第1の位置xは第2の位置xよりもマーク位置を示す位置の正確な決定を表し得る。これは、第2の装置(例えばリソグラフィ装置LA)内で、より精度の低い測定技法を(以前に決定したオフセットパラメータΔxと組み合わせて)用いて、より正確な位置測定を決定することを可能とする。例えば、ポンププローブ技法(不透明プロセス層の下方に配置されたアライメントマークの位置を可能とする)、より広い波長範囲を用いた測定、及び、より最適化した照明モードを用いた測定のような、精度の高い技法を用いて、オフセットパラメータΔxを決定することができる。
【0109】
[000108] 図4は基板Wの一部の断面の概略図である。基板Wの表面41の下方にマーク40が配置され、マーク40と表面41との間の基板Wの少なくとも一部は不透明である。図4に示されている例において、基板Wは、第1の層42、第2の層43、及び第3の層44を含む。反射回折格子の形態であるマーク40は第1の層42に形成されている。第2及び第3の層は、マーク40の上に形成されている2つのプロセス層を表し、それらのうち1つ(例えば第3の層44)は不透明である。基板の表面41は第3の層44によって画定される。
【0110】
[000109] この実施形態において、第1の位置xはマーク40の真の位置であり、破線45によって表される。第2の位置xは、マーク40の上に1つ以上のプロセス層を堆積することにより形成された残留トポグラフィの位置であり、破線46で表される。マーク40は一般に、一連のラインと空間を含む反射回折格子の形態であり得ることは認められよう。そのような構造の上に1つ以上のプロセス層(例えば第2及び第3の層43、44)が堆積されるので、これらのプロセス層の表面は、下にあるマークの周期構造のために残留トポグラフィを有し得る。例えば残留トポグラフィは、下にあるマークよりも高さが小さく歪んでいるが、周期的であり、下にあるマーク40と実質的に同じピッチを有し得る。これが、マーク40の上に1つ以上のプロセス層を堆積することで形成された残留トポグラフィがここで意味するものであることは認められよう。この残留トポグラフィは表面41上に概略的に示されており、この残留トポグラフィの高さは原理の理解を明確にするため誇張されていることは認められよう。
【0111】
[000110] 第1の位置x(マーク40の真の位置である)は、マーク40の反射回折格子におけるピークの中央の位置を示す破線45で表される。第2の位置x(マーク40上に1つ以上のプロセス層を堆積することで形成された残留トポグラフィの位置である)は、表面41の残留トポグラフィにおけるピークの中央の位置を示す破線46で表される。2つの破線45、46からわかるように、第1及び第2の位置x、xは異なっており、表面41上の残留トポグラフィの位置はマーク40の真の位置に対してオフセットパラメータΔxだけずれている。
【0112】
[000111] 不透明層44の下方に配置されたマーク40を有するこのような実施形態では、オフセットパラメータΔxを決定する(ステップ10)ために使用される装置は、マーク40が不透明層44の下方に配置されているにもかかわらずその位置を決定するために適切な技法を使用するように動作可能である。例えば、オフセットパラメータΔxを決定する(ステップ10)ために使用される装置は、概ね図2に示されるアライメントセンサASの形態であるが、更に、物体において機械的応答を生成するように基板Wにポンプ放射を照射するよう動作可能な放射システムも有し得る。あるいは、オフセットパラメータΔxを決定する(ステップ10)ために使用される装置は、トランスデューサ(例えば圧電デバイス)を用いて(基板Wの上部もしくは下部のいずれかから)機械波を誘起すること、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて(ポンプ放射もしくはトランスデューサのいずれかを用いて励起された)音響変形を測定すること、又は、(例えば赤外線放射を用いて)基板Wの下側からマーク40を光学的に測定すること、のうちいずれかを実施するよう動作可能であり得る。
【0113】
[000112] 概ね図2に示されているアライメントセンサASの形態であるが、更に、物体において機械的応答を生成するように基板Wにポンプ放射を照射するよう動作可能な放射システムも有する(又はトランスデューサを有する)装置は、第1の動作モードで動作するよう動作可能であり得る。第1の動作モードにおいて、装置は、ポンププローブ構成としてポンプ放射と測定放射の双方を用いてオフセットパラメータΔxを決定するように動作可能であり得る。最初にポンプ放射を用いて、基板Wにおいて機械的応答を生成する。機械的応答は、例えば機械波とすればよい。このような機械波は、音響波や、例えば自由電子の拡散のような他のいずれかの熱伝搬を含み得ることは認められよう。ポンプ放射で発生した機械波は基板W内を伝搬し、その一部はマーク40によって散乱して表面41の方へ戻ることがある。その後、測定放射を用いて、マーク40の1つ以上の特徴を間接的に決定するように基板Wの表面41をプローブする。
【0114】
[000113] 第1のモードで(ポンププローブ構成として)動作している場合、表面41から散乱する測定放射は概ね、残留トポグラフィと、ポンプ放射により発生した機械波の反射から形成された追加の時間依存信号との組み合わせをプローブしていることは認められよう。しかしながら、散乱した測定放射からマーク40の真の位置に関する情報を決定できることも認められよう。これは、測定放射が残留トポグラフィのみから散乱する別個の測定を行うことを含み得る。この目的のため、装置は第2の動作モードで動作するように動作可能であり得る。第2の動作モードでは、ポンプ放射を用いず、測定放射のみを用いて基板Wの表面41をプローブする。第2の動作モードを用いて、マーク40の上に1つ以上のプロセス層43、44を堆積することで形成された残留トポグラフィの位置であり得る第2の位置xを決定できる。第1の動作モードは、オフセットパラメータΔxを直接決定するために使用できる。あるいは、第1の動作モードを用いて第1の位置x(線45で示される)を決定し、第1及び第2の位置x、xからオフセットパラメータΔxを決定することができる。
【0115】
[000114] そのような実施形態において、第1及び第2の位置x、xは双方ともマーク40の位置であると見なされる(が、異なる技法で決定される)。そのような実施形態では、オフセットパラメータΔxはマーク40の寸法よりも著しく小さく、例えばマーク40のピッチよりも小さい可能性がある。マーク40は、約2μmのピッチを有するアライメントマークであり得る。このような距離スケールにおける基板W(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。
【0116】
[000115] 不透明層44の下方に配置されたマーク40を有するこのような実施形態では、第2の位置xを決定する(ステップ20)ために使用される装置は、概ね図2に示されるアライメントセンサASの形態とすればよい(基板にポンプ放射を照射するように動作可能な追加放射システムを含まない)。例えば、ステップ20はリソグラフィ装置LA内で実行することができる。図4に示されている構成に適用される図3の方法の実施形態は、ポンププローブ装置なしで不透明層44の下方に配置されたアライメントマーク40の位置をリソグラフィ装置LAによって決定できるので有利である。これを達成するには、最初に別個のポンププローブ装置を用いてオフセットパラメータΔxを決定し、次いで、より精度の低い第2の位置xとオフセットパラメータΔxを組み合わせて位置xを決定する。
【0117】
[000116] 図4に示されている、アライメントマーク40が不透明層44の下方に配置された実施形態は、第1の位置xが第2の位置xよりもマーク位置を示す位置の正確な決定を表す一例に過ぎないことは認められよう。
【0118】
[000117] 例えばいくつかの実施形態において、第1の位置xは第1の波長範囲を用いて決定できるマークの位置とすることができ、第2の位置xは第2の波長範囲を用いて決定できるマークの位置とすることができる。第1の波長範囲の方が第2の波長範囲よりも大きい。これに加えて又はこの代わりに、いくつかの実施形態において、オフセットパラメータΔxは第1の波長範囲を用いて決定することができ、第2の位置xは第2の波長範囲を用いて決定することができる。第1の波長範囲の方が第2の波長範囲よりも大きい。照明ビームの波長範囲を拡大すると、測定のロバスト性が増大し得ることは認められよう。
【0119】
[000118] この代わりに又はこれに加えて、いくつかの実施形態において、第1の位置xは第1の照明モードを用いて決定できるマークの位置であり、第2の位置xは第2の照明モードを用いて決定できるマークの位置である。これに加えて又はこの代わりに、いくつかの実施形態において、オフセットパラメータΔxは第1の照明モードを用いて決定することができ、第2の位置xは第2の照明モードを用いて決定することができる。ここで使用される場合、照明モードとは、測定放射がマーク上の各ポイントを照射する角度範囲を意味するよう意図していることは認められよう。例えば、第1の位置x及び/又はオフセットパラメータΔxは、精度向上のためにアライメントマークのピッチの縮小を可能とする軸外照明モードを用いて決定できる。このような技法は米国2015/109624号で検討されている。軸外照明とは、照明源が瞳面の周辺部に限定されることを意味する。照明を瞳の再周辺部に限定すると、アライメントマークの最小可能ピッチは、実質的にλ/NAから実質的にλ/2NAに縮小する。ここで、λは使用される放射の波長であり、NAは、器具(例えばアライメントセンサ、又はより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。更に、オフセットパラメータΔxは、ステップ20で第2の位置xを決定するため用いられる装置において使用される対物系(例えば、装置内の空間的制約に起因して約0.7の開口数を使用し得る)よりも開口数の大きい対物系(例えば開口数>0.9)を有する装置において決定され得る。この開口数の増大によって、アライメントマークの最小可能ピッチを更に縮小することができる。
【0120】
[000119] この代わりに又はこれに加えて、いくつかの実施形態において、第1の位置xは第1の照明偏光状態を用いて決定できるマークの位置であり、第2の位置xは第2の照明偏光状態を用いて決定できるマークの位置である。この代わりに又はこれに加えて、いくつかの実施形態において、オフセットパラメータΔxは第1の照明偏光状態を用いて決定することができ、第2の位置xは第2の照明偏光状態を用いて決定することができる。
【0121】
[000120] あるいは、いくつかの実施形態において、第1の位置xはマークの位置とすることができ、第2の位置xは第2のマークの位置とすることができる。これについて図5を参照して説明する。
【0122】
[000121] 図5は、複数のダイ49を有する基板Wの概略図である。各ダイ49は例えば、単一の露光プロセス中に露光される単一のターゲット領域Cに対応し得る。あるいは、各ダイ49は、単一の露光プロセス中に露光される単一のターゲット領域Cの一部に対応し得る(すなわち、各ターゲット領域Cが複数のダイ49に対応するようになっている)。あるいは、各ダイ49は、それぞれが別個の露光プロセス中に露光される複数のターゲット領域Cに対応し得る。隣接したダイ49の間にギャップ又はスクライブライン50が設けられている。典型的に、リソグラフィ用のアライメントマークは、基板W上の隣接したダイ49間に配置されたスクライブライン50内に位置付けられる。
【0123】
[000122] この実施形態において、(例えばリソグラフィ装置LA内で)位置を決定することが望まれるマーク51は、ダイ49内に設けられている。マーク51は典型的なアライメントマークよりも著しく小さい可能性がある。マーク51は、μDBOマークの形態であり得る。
【0124】
[000123] 基板W上に第2のマーク52が設けられている。第2のマーク52は典型的なアライメントマーク52の形態であり、マーク51が設けられているダイ49に隣接したスクライブライン50に設けられている。第1の位置xはマーク51の位置であり、第2の位置xは第2のマーク52の位置である。このような実施形態では、オフセットパラメータΔxは、ほぼ2つのマーク51、52間の分離距離である。充分に小さい2つのマーク51、52間の距離では、基板W(例えば約300mmの直径を有するシリコンウェーハ)の変形は、わずかである可能性がある。従って、オフセットパラメータΔxは、例えば基板Wをサポート(例えば基板テーブルWT)にクランプすることによって発生する基板Wの変形に依存し得る基板Wの構成から実質的に独立することができる。
【0125】
[000124] このような実施形態により、マーク51を解像できない(が、第2の近くのマーク52を解像できる)位置測定システム(例えばアライメントセンサ)を用いて、リソグラフィ装置LA内でマーク51の位置を決定できる。有利な点として、これによりマークの小型化が可能となる。これは次いで、基板W上のより広い範囲内の位置にマークを配置することを可能とする。例えば、典型的には、リソグラフィ用のアライメントマークは、シリコンウェーハ上の隣接したダイ49間に配置されたスクライブライン50に位置付けられる。しかしながら、マークを充分に小型化できる場合、ターゲット領域C自体の内部にマークを提供することが許容可能となり得る。図5に示されている実施形態のように、マーク51をダイ49内に配置し、第2のマーク52を隣接したスクライブライン50に配置することができる。
【0126】
[000125] シリコンウェーハは、例えば約300mmの直径を有し得る。典型的なフィールド寸法(すなわち、単一の露光中に露光されるシリコンウェーハのターゲット領域Cの寸法)は、約30mmであり得る。このようなフィールド又はターゲット領域Cの各々は単一のダイ49に対応することができる。あるいは、このようなフィールド又はターゲット領域Cの各々は複数のダイ49に対応し、各ダイ49の典型的な寸法を、例えばターゲット領域Cの寸法のほぼ1/2又は1/3としてもよい。一般に、マーク51と第2のマーク52との間の距離は基板Wの寸法の10%未満である。ダイ49内に配置されたマーク51の、これに最も近いスクライブライン50からの最大距離は、ダイ49の寸法の1/2であり得ることは認められよう。いくつかの実施形態において、マーク51と第2のマーク52との間の距離は基板Wの寸法の5%未満とすることができる。
【0127】
[000126] いくつかの実施形態において、マーク51と第2のマーク52との間の距離は基板Wの寸法の1%未満とすることができる。直径300mmのシリコンウェーハでは、これは約3mmの距離に相当する。これはウェーハテーブルWT上のバールの典型的な間隔にほぼ等しく、従って、ランダムなウェーハテーブルクランプ変形の最も高い空間周波数に対応し得る。
【0128】
[000127] いくつかの実施形態において、オフセットパラメータΔxは少なくとも部分的に計算することができる。そのような計算は、(例えば1以上の測定によって)決定され得る既知のプロセス変動(例えば層厚変動や非対称性等)を考慮に入れることができる。例えば層厚変動及び非対称性のようなプロセス変動は、アライメント測定誤差を引き起こす可能性がある。例えば、リソグラフィ装置内で決定される第2の位置xには、そのような測定誤差が生じることがある。しかしながら、プロセス変動が既知である(例えば別個のメトロロジ装置を用いて測定される)場合、これらの誤差を少なくとも部分的に補正するオフセットパラメータΔxを計算することができる。
【0129】
[000128] アライメント格子非対称性は、例えば、複数の異なる光波長を用いる(例えば図2に示されている形態の)アライメントセンサによって決定することができる(非対称性は異なる波長では異なるアライメントオフセットを誘起するので)。また、非対称性は、共役回折次数間(例えば±回折次数の)の強度差を測定することによって決定できる。あるいは、非対称性は、格子ライン形状を測定するように動作可能である装置によって特徴付けることができる。
【0130】
[000129] また、層厚変動は、例えばエリプソメータ又は音響ツール(音響エコーの時間遅延を測定するように動作可能である)を用いて、メトロロジ装置において決定することができる。この情報を光学モデルで用いて、例えば基板W内の干渉を計算し、また、これによって生じる(例えば図2に示されている形態の)アライメントセンサの瞳面における回折次数の重心のシフトを計算することができる。回折次数の重心に未知の変動するシフトがあると、センサ内の光学収差に起因したアライメント誤差が発生する。
【0131】
[000130] リソグラフィ装置内のアライメントセンサに複数の光波長を用いることの潜在的な問題は、基板Wの損傷の加熱を防止するように波長ごとの強度が低減し得ることである。この結果、アライメント性能の再現性が低下する可能性がある。これは、オフセットパラメータΔxが別個の装置内で決定される本発明の実施形態の別の利点となる。このような装置では、各測定を実行するために利用できる時間が多くなるので、複数の異なる波長に対してもアライメント性能の再現性の増大が可能となり得る。
【0132】
[000131] 更に、オフセットパラメータΔx及び第2の位置xが別個の装置で決定されるそのような構成では、以下で検討するように、基板W上のフィーチャ又はマークの空間サンプリングを更に最適化することができる。例えば、第1の装置でオフセットパラメータΔxを決定する際、マークの空間サンプリングを、第1及び第2の位置間のオフセットを生じる空間周波数(例えば格子非対称性)に合致させることができる。同様に、第2の装置で第2の位置xを決定する際、マークの空間サンプリングを、基板W全体の変形の空間周波数に合致させることができる。オフセットパラメータΔxと第2の位置xの決定におけるこのようなマークの空間サンプリングの差を、本発明の他の実施形態に適用することも可能である(例えば、図4を参照して上記で検討されたように層厚変動又は残留表面トポグラフィに対して)。
【0133】
[000132] 一般に、基板Wのディストーション(例えば、基板Wを基板サポートWTにクランプすることにより発生する)のレベルに応じて、基板Wの表面に特定の数及び分布のマークを設けることができる。例えば、基板W上に約200のマークが提供され得る。これらのマークの各々について、(例えばリソグラフィ装置内の)第2の装置で第2の位置xを決定することができる。従って、基板Wの表面上に設けられるマークの数及び分布により、第2の装置におけるマークの空間サンプリングが設定され得る。非ゼロのオフセットパラメータΔxを発生させる効果は、基板Wの表面上で比較的ゆっくり変動する可能性がある。この効果は例えば、アライメント格子非対称性、層厚変動、又は残留表面トポグラフィであり得る。これが当てはまる場合は、基板Wの比較的疎なサプリングを行って、一部のマークだけのΔxを第1の装置において測定すれば(例えばマークを40個だけ測定する)、基板W全体にわたるΔxを充分に特徴付けられる可能性がある。これらの具体的な数は単に説明のための一例であり、オフセットパラメータΔx及び第2の位置xを決定するためにマークの任意の適切な空間サンプリングを使用できることは認められよう。
【0134】
[000133] 上述の実施形態はマーク及びアライメントマークに言及しているが、上述の方法及び装置は、任意のタイプのフィーチャ、及びそのフィーチャの位置を決定するため任意のタイプのプロセスに適用できることは認められよう。
【0135】
[000134] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。
【0136】
[000135] 本明細書ではリソグラフィ装置に関連して本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置に使用することもできる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、又はウェーハ(あるいはその他の基板)もしくはマスク(あるいはその他のパターニングデバイス)などのオブジェクトを測定又は処理する任意の装置の一部を形成してよい。これらの装置は一般にリソグラフィツールと呼ばれることがある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用することができる。
【0137】
[000136] 文脈上許される場合、本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせにおいて実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサにより読み取られて実行され得る、機械可読媒体に記憶された命令として実装することも可能である。機械可読媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)により読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の機構を含むことができる。例えば機械可読媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外信号、デジタル信号など)、及び他のものを含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明されることがある。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又は他のデバイスから生じ、実行する際、アクチュエータ又は他のデバイスが物質世界と相互作用し得ることを理解すべきである。
【0138】
[000137] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることは理解されよう。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
図1
図2
図3
図4
図5