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特許7567067堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス
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  • 特許-堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス 図1
  • 特許-堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス 図2
  • 特許-堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス 図3
  • 特許-堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
H01L21/205
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023562281
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022058094
(87)【国際公開番号】W WO2022218678
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】21167990
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテットナー,トーマス
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213218(JP,A)
【文献】特開2020-102589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0293471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/68
C23C 16/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバにおいて気相堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセスであって、
先行する被覆動作の過程で前記堆積チャンバ内に堆積した材料の、前記堆積チャンバのエッチングによる、前記堆積チャンバからの除去と、
エッチングされた前記堆積チャンバにおいて連続して実行される被覆動作とを含み、前記被覆動作は各々の場合、
ロボットによる、円形の外周を有するサセプタ上への基板ウェーハの配置を含み、前記ロボットは、前記基板ウェーハを配置位置へ動かし、前記配置位置において前記基板ウェーハの中心が前記サセプタの中心の上方に位置しないようにする是正措置を用いて前記基板ウェーハを前記サセプタ上に配置し、前記被覆動作はさらに、
エピタキシャル層を有する半導体ウェーハを形成するための、前記基板ウェーハ上へのエピタキシャル層の堆積を含み、
前記堆積チャンバの前記エッチング後に前記ロボットによって前記配置位置へ動かされた第1の基板ウェーハの各々について、前記是正措置の量は、先行するチャンバエッチング後に各々最初に被覆されるべき、以前に被覆された複数の基板ウェーハ自体の位置偏差の平均に対応する、プロセス。
【請求項2】
前記以前に被覆された基板ウェーハの数は、少なくとも3つである、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセスに関する。エピタキシャル層を有する半導体ウェーハは、電子部品の製造のために必要とされる。エピタキシャル層は典型的には、単一ウェーハリアクタの形をとる堆積チャンバにおいて堆積される。被覆されるべき基板ウェーハがサセプタ上に配置され、サセプタとともに回転する基板ウェーハを越えて堆積ガスが堆積温度で堆積チャンバを通される。
【背景技術】
【0002】
エピタキシャル層を有する半導体ウェーハの1つの品質基準は、特に半導体ウェーハのエッジ領域における、エピタキシャル層の厚さの均一性である。
【0003】
先行技術/問題
WO 2017 102 597 A1は、エピタキシャル層を有する半導体ウェーハのエッジ形状を向上させるという問題を特に扱っている。先行する被覆動作の過程で堆積チャンバ内に堆積した材料を除去するために堆積チャンバにおいて定期的に行なわれる典型的なエッチング(チャンバエッチング)の後で、連続するその後の被覆動作が、その後に堆積チャンバにおいて製造されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハにおいてエッジロールオフの増加をもたらす、ということが発見された。
【0004】
JP 2016 213 218 Aは、単結晶シリコンで作られたエピタキシャル層を有する単結晶シリコンの半導体ウェーハを製造するためのプロセスを記載する。堆積リアクタのサセプタ上に基板ウェーハを配置するロボットが、是正措置(corrective precept)のために基板ウェーハの中心がサセプタの中心の上方に位置していない配置位置へ動かされることが推奨されている。さもなければ、エピタキシャル層の堆積中、基板ウェーハは平均してサセプタの中心に位置していない、ということが発見されている。エピタキシャル層の堆積中に基板ウェーハがサセプタのポケットに同心円状に位置していない場合、エピタキシャル層の厚さの均一性に対する悪影響がある。さらに、そのような位置ずれはいずれも、特にそれがサセプタとの基板ウェーハのエッジの接触を必然的に伴う場合、粒子の望ましくない形成をもたらす場合がある。是正措置は、先行する被覆動作中のサセプタの中心からの基板ウェーハの中心の位置の平均偏差を示す平均から導き出される。是正措置とリンクされているのは、被覆動作中に、是正措置がなかった場合と比べて平均偏差の量だけサセプタの中心により近い、基板ウェーハの中心の位置を達成するという期待である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者らは、先行する被覆動作中に基板ウェーハの位置偏差のみによって導かれる是正措置の仕様は改良されるべきであると判断した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の目的は、堆積チャンバにおいて気相から堆積されるエピタキシャル層を有する半導体ウェーハを製造するためのプロセスであって、
先行する被覆動作の過程で堆積チャンバ内に堆積した材料の、堆積チャンバのエッチングによる、堆積チャンバからの除去と、
エッチングされた堆積チャンバにおいて連続して実行される被覆動作とを含み、被覆動作は各々の場合、
ロボットによる、円形の外周を有するサセプタ上への基板ウェーハの配置を含み、ロボットは、基板ウェーハを配置位置へ動かし、配置位置において基板ウェーハの中心がサセプタの中心の上方に位置しないようにする是正措置を用いて基板ウェーハをサセプタ上に配置し、被覆動作はさらに、
エピタキシャル層を有する半導体ウェーハを形成するための、基板ウェーハ上へのエピタキシャル層の堆積を含み、
堆積チャンバのエッチング後にロボットによって配置位置へ動かされた第1の基板ウェーハの各々について、是正措置の量は、先行するチャンバエッチング後に各々最初に被覆されるべき、以前に被覆された複数の基板ウェーハ自体の位置偏差の平均に対応する、プロセスによって達成される。
【0007】
チャンバエッチング後の最初の被覆動作の前では、堆積チャンバの状態は、入射する放射エネルギーが、2回目およびその後の被覆動作の前と比べてより速い温度上昇を生み出すようになっている。その結果、基板ウェーハの予想される位置ずれは、特にチャンバエッチング後の第1の基板ウェーハについて、その後に被覆された基板ウェーハと比べてより顕著である。
【0008】
したがって、チャンバエッチング後に被覆されるべき第1の基板ウェーハのための是正措置は、各々がチャンバエッチング後の第1の基板ウェーハである基板ウェーハ自体について測定された、先行する被覆動作からの基板ウェーハの位置偏差のみを考慮に入れて計算されるということが提案される。そのような基板ウェーハは、以下に第1のカテゴリの基板ウェーハと呼ばれる。是正措置は、位置偏差の平均化によって計算される。「位置偏差」という用語は、サセプタの中心に対する、配置された基板ウェーハの中心の位置の偏差を示す。
【0009】
平均(算術平均)の計算のために、好ましくは、少なくとも3つの第1のカテゴリの基板ウェーハの位置偏差が使用され、より好ましくは、5~10個のそのような基板ウェーハの位置偏差が使用される。第1のカテゴリの基板ウェーハにそれぞれ先行するチャンバエッチングは、好ましくは、それら自体を、被覆されるべき第1の基板ウェーハの被覆が行なわれる前のチャンバエッチングの直前に先行させる。
【0010】
各基板ウェーハカテゴリが、第1のカテゴリの基板ウェーハのパターンについて独立した是正措置を計算することは、原則としては可能である。しかしながら、一般的に言えば、チャンバエッチング後の最初の被覆動作ではなかった先行する異なる被覆動作からの基板ウェーハの位置偏差に基づいて是正措置を計算することは、チャンバエッチング後の第1のウェーハではない基板ウェーハにとって十分である。
【0011】
この発明に従ってエピタキシャル層が堆積される基板ウェーハは、ドーパントを含む半導体ウェーハであり、好ましくは、単結晶シリコンで作られた基板ウェーハである。
【0012】
この発明を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】典型的な形状構成を有する、気相からのエピタキシャル層を基板ウェーハ上に堆積させるための装置を、断面表現で示す図である。
図2】サセプタの中心に対する、第1のカテゴリの基板ウェーハおよび異なるカテゴリの基板ウェーハの位置偏差の第1および第2の平均値の位置を示す図である。
図3】極座標格子における、サセプタの中心に対する、サセプタ上への配置後の第1のカテゴリの基板ウェーハの中心の分布を示す図である。
図4】極座標格子における、サセプタの中心に対する、サセプタ上への配置後の異なるカテゴリの基板ウェーハの中心の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の例示的な実施形態の詳細な説明
図1に示される、基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるための装置は、反応空間を包囲する上部カバー1と下部カバー2と上部ライニング7と下部ライニング8とを有する堆積チャンバ3を含む。堆積チャンバ3の外部に存在する上部および下部ランプアレイは描かれていない。ランプの放射エネルギーにより、堆積チャンバは、気相(気体)堆積のために必要とされる温度になる。
【0015】
被覆動作のために、基板ウェーハ4がサセプタ5上に配置され、それはキャリアのアームによって下から回転自在に保持される。事前に、基板ウェーハはロボットのエンドエフェクタ上に配置され、ロボットによって配置位置へ動かされる。サセプタのまわりに配置されているのは、予熱リング6である。基板ウェーハ4はサセプタ5上に配置され、被覆後に、サセプタ5を通り抜ける持ち上げピンによってサセプタ5から持ち上げられ得る。
【0016】
基板ウェーハ4の被覆では、堆積ガスが、上部ライニング7に設けられた上部ガス入口開口9を通されて堆積チャンバ3に入り、流れ方向に沿って基板ウェーハを越えて、上部ガス出口11へと通される。オプションで、パージガスがサセプタ5の下を通って下部ガス出口13へと通されるために、さらに下部ガス入口開口12および下部ガス出口13が設けられてもよい。
【0017】
基板ウェーハの中心がサセプタの中心の垂直上方に位置するように、ロボットのための配置位置が確立された場合、基板ウェーハが配置された後にその中心がサセプタの中心に位置していない確率が比較的高い。これについての特別の理由は熱応力であり、それらは解消されて、基板ウェーハの中心を、意図された位置から変位させる。
【0018】
最後のチャンバエッチング以降に完了した被覆動作の数が少ないほど、サセプタの中心からの変位の量が大きいということが、現在発見されている。この発明によれば、この発見は、基板ウェーハがサセプタ上に配置される前にロボットが基板ウェーハを動かす配置位置を共同決定する是正措置を計算する場合に考慮に入れられる。是正措置は、チャンバエッチング後に被覆されるべきそれぞれの第1の基板ウェーハについて、以前に被覆された基板ウェーハの位置偏差からの平均化によって計算され、計算に使用される位置偏差は、第1のカテゴリの基板ウェーハの、すなわち、チャンバエッチング後に各々最初に被覆されるべき基板ウェーハ自体の、位置偏差のみである。
【0019】
第1のカテゴリの構成要素に基づく提案された平均化なしでは、位置偏差の曖昧な平均化は、あまり正確でない是正措置をもたらすであろう。なぜなら、チャンバエッチング直後の位置偏差の特別の影響が平均化されるためである。しかしながら、是正措置は極めて正確であるべきである。なぜなら、基板ウェーハがサセプタの中心に位置することは、結果として得られる、エピタキシャル層を有する半導体ウェーハのエッジ形状のための有利な結果を有しており、また、エピタキシャル層の堆積中に粒子が生成されるリスクが減少するためである。
【0020】
図2は、サセプタ5の中心10が基板ウェーハ4の中心と一致するようにサセプタ5上に配置される基板ウェーハ4を示す。この目標位置では、基板ウェーハ4は、サセプタ5に対して、および予熱リング6に対して同心である。是正措置なしでは、基板ウェーハの中心は、第1のカテゴリまたは異なるカテゴリのその構成要素に依存して、このカテゴリについて計算された平均位置の近傍に、たとえば、第1のカテゴリの構成要素の場合には第1の平均位置15の近傍に、または、異なるカテゴリの構成要素の場合には第2の平均位置14の近傍に、位置するであろう。図面では、この発明を図示できるようにするために、位置14および15は、サセプタの中心10から非現実的な距離だけ離れて位置している。実際の事実では、典型的な位置偏差は、サセプタの中心10からの距離が1000μm以下である。
【0021】
第1の平均位置15とサセプタ5の中心10との間の距離は、ベクトル17の長さに対応する。第2の平均位置14とサセプタ5の中心10との間の距離は、ベクトル16の長さに対応する。ベクトル16またはベクトル17が、その始まりがサセプタの中心10と一致するように変位される場合、ベクトルの点は、ロボットが、予想される位置偏差を補償するために基板ウェーハをその中心で動かすように要求される配置位置を指す。したがって、ベクトル17は、チャンバエッチング後に被覆されるべき第1の基板ウェーハに関連するロボットのための是正措置を表わし、ベクトル16は、異なるカテゴリの基板ウェーハに関連するロボットのための是正措置を表わす。
【0022】
第1のカテゴリの基板ウェーハ(最後のチャンバエッチング以降に行なわれた被覆動作の数がゼロである)、および、異なるカテゴリの基板ウェーハ(最後のチャンバエッチング以降に行なわれた被覆動作の数が7である)のそれぞれについて、図3および図4は、極座標格子における、直径が300mmである、単結晶シリコンで作られたホウ素ドープ基板ウェーハの測定された位置偏差を示す。位置偏差の描かれた分布の比較により、論議されている基板ウェーハが、チャンバエッチング直後に被覆された第1のカテゴリのウェーハである場合には、位置偏差の量は著しくより顕著である、ということが明らかになる。
【符号の説明】
【0023】
使用される参照番号のリスト
1 上部カバー
2 下部カバー
3 堆積チャンバ
4 基板ウェーハ
5 サセプタ
6 予熱リング
7 上部ライニング
8 下部ライニング
9 上部ガス入口開口
10 サセプタの中心
11 上部ガス出口
12 下部ガス入口開口
13 下部ガス出口
14 配置された基板ウェーハの中心の第2の平均位置
15 配置された基板ウェーハの中心の第1の平均位置
16 ベクトル
17 ベクトル
図1
図2
図3
図4