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特許7567369画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/21 20060101AFI20241008BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20241008BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04N1/21
H04N1/00 127Z
B41J29/38 201
B41J29/42 F
G06F3/12 313
G06F3/12 363
G06F3/12 364
G06F3/12 382
G06F3/12 320
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020181790
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072391
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】北村 貴志
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-010004(JP,A)
【文献】特開2008-006718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/21
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段が読み取った読取画像を順次蓄積する蓄積手段と、
製本順において優先順序が低い読取画像の対を前記蓄積手段から外部に転送することにより、前記蓄積手段に優先順序が高い読取画像の対を残す転送処理手段と、
優先順序が高い読取画像の対から順に画像形成手段に画像形成を指示する指示手段と、
を有し、
前記転送処理手段は、前記蓄積手段に蓄積可能な前記読取画像の数から印刷可能枚数を算出し、製本順に残す転送ルールで前記優先順序が低い読取画像の対を前記蓄積手段から外部に転送し、前記印刷可能枚数に対応する数の読取画像で且つ前記優先順序が高い読取画像の対で前記蓄積手段を埋める、
画像処理装置。
【請求項2】
外部装置と通信する通信手段を有し、
前記転送処理手段は、前記通信手段を介して、前記優先順序が高い読取画像の対よりも低い読取画像の対を前記蓄積手段から前記外部装置に前記優先順序で順次転送し、
さらに、前記転送処理手段は、前記画像形成手段による前記画像形成が行われると、前記通信手段を介して前記外部装置から前記優先順序で続きの前記読取画像の対を取得し、
前記指示手段は、前記画像形成手段による前記画像形成を、前記優先順序で前記画像形成手段に指示する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
外部装置と通信する通信手段を有し、
前記転送処理手段は、前記通信手段を介して、前記優先順序が高い読取画像の対よりも低い読取画像の対を前記蓄積手段から前記外部装置に前記優先順序で順次転送し、
さらに、前記転送処理手段は、前記通信手段を介して前記優先順序で前記読取画像の対の画像形成を外部装置に指示する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記読取手段および前記画像形成手段の少なくとも一方を備える、
請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ユーザが印刷設定を行うユーザインタフェース部と、
製本の対象となる読取画像が前記蓄積手段に蓄積できなくなるかを予測する予測部と、
を有し、
前記転送処理手段は、蓄積できなくなると予測された場合に前記ユーザインタフェース部を介してユーザから複数の選択肢の中から印刷方法の選択を受け付ける、
請求項1乃至のうちの何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像処理装置が読取画像の処理を行う画像処理方法であって、
読取手段が読み取った読取画像をメモリに順次蓄積する蓄積ステップと、
製本順において優先順序が低い読取画像の対を前記メモリから外部に転送することにより、前記メモリに優先順序が高い読取画像の対を残す転送ステップと、
記優先順序が高い読取画像の対から順に画像形成手段に画像形成を指示する画像形成指示ステップと、
を含み、
前記転送ステップは、前記メモリに蓄積可能な前記読取画像の数から印刷可能枚数を算出し、製本順に残す転送ルールで前記優先順序が低い読取画像の対を前記メモリから外部に転送し、前記印刷可能枚数に対応する数の読取画像で且つ前記優先順序が高い読取画像の対で前記メモリを埋める、
画像処理方法。
【請求項7】
読取手段が読み取った読取画像をメモリに順次蓄積する蓄積ステップと、
製本順において優先順序が低い読取画像の対を前記メモリから外部に転送することにより、前記メモリに優先順序が高い読取画像の対を残す転送ステップと、
記優先順序が高い読取画像の対から順に画像形成手段に画像形成を指示する画像形成指示ステップと、
前記転送ステップは、前記メモリに蓄積可能な前記読取画像の数から印刷可能枚数を算出し、製本順に残す転送ルールで前記優先順序が低い読取画像の対を前記メモリから外部に転送し、前記印刷可能枚数に対応する数の読取画像で且つ前記優先順序が高い読取画像の対で前記メモリを埋めること、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機で本や冊子を複製する場合、ユーザは複合機のスキャナで表紙と裏表紙を読み取り、続いて見開きの状態にして各ページをページ順に読み取る作業を行う。複合機は、読取順に画像をメモリに蓄積し、ページの最後まで画像の蓄積が終わると、蓄積されている画像を製本順の配列で複数枚の印刷用紙に複数ずつ割り付けて印刷する。途中のページでメモリが一杯になり、同じ印刷用紙へ割りつけを行う画像がまだ読み取られていない場合、製本順に印刷が行えないのでコピージョブがキャンセルされる。
【0003】
特許文献1には、メモリフルが発生するまでの蓄積画像データと、その後に読み取られた読取画像データとを、接続された情報処理装置に転送し、その情報処理装置で画像の集約および印刷を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の解決策では、メモリフルになった場合にすべての画像を情報処理装置に転送するため、通信の性能や状況により、印刷が開始されるまでの待ち時間が長くなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷を速やかに開始することが可能な画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、読取手段が読み取った読取画像を順次蓄積する蓄積手段と、製本順において優先順序が低い読取画像の対を前記蓄積手段から外部に転送することにより、前記蓄積手段に優先順序が高い読取画像の対を残す転送処理手段と、優先順序が高い読取画像の対から順に画像形成手段に画像形成を指示する指示手段とを有し、前記転送処理手段は、前記蓄積手段に蓄積可能な前記読取画像の数から印刷可能枚数を算出し、製本順に残す転送ルールで前記優先順序が低い読取画像の対を前記蓄積手段から外部に転送し、前記印刷可能枚数に対応する数の読取画像で且つ前記優先順序が高い読取画像の対で前記蓄積手段を埋めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、印刷を速やかに開始することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システム全体の構成の一例を示す図である。
図2図2は、画像処理部が行う転送処理の説明図である。
図3図3は、画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、画像処理装置の制御ブロックの構成の一例を示す図である。
図5図5は、外部装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図6図6は、実施例にかかる、冊子の最終頁NをN=12とした場合のCPUの処理の説明図である。
図7図7は、CPUが行う処理の一例を示すフロー図である。
図8図8は、変形例1にかかるダイアログ画面の一例を示す図である。
図9図9は、変形例2にかかる構成の一例を示す図である。
図10図10は、変形例3にかかるフローの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。なお以下において、読取画像を並べ替える、組み合わせる、割り付ける、集約するなどの説明があるが、いずれも読取画像を製本順に対応づけることを指す。
【0010】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システム全体の構成の一例を示す図である。図1に示す画像処理システム1は、画像処理装置2が外部装置3と通信手段を介して通信可能に接続された構成を有する。外部装置3は、画像処理装置2とピアツーピアで接続するデスクトップ型PCやノート型PC等の情報処理装置でもよいし、画像処理装置2がLAN(Local Area Network)やインターネット等の通信ネットワークを介して接続可能な管理サーバ等の情報処理装置でもよい。また、外部装置3としてクラウドを利用してもよい。また、外部装置3も画像形成装置に接続可能に設けられていてもよいし、他の画像形成装置に設けられていてもよい。
【0011】
画像処理装置2は、画像読取部21と、画像処理部22と、画像形成部23とを有する。画像処理部22は、後述する転送処理を行う転送処理部(「転送処理手段」に相当)22aと、画像形成部23に画像形成を指示する指示部(「指示手段」に相当)22bを含む。画像処理装置2は、画像読取部21が読み取った読取画像を「蓄積手段」としてメモリM1に蓄積し、指示部22bの指示により、集約等の印刷設定に応じた処理を行って、処理後の画像を画像形成部23に出力して印刷する。また、画像処理装置2は、処理能力不足により、自装置において一部またはすべての処理を実行することができない場合に、転送処理部22aにより所定のルールに従ってメモリM1から外部へ読取画像Dを転送し、処理の続きを実行できるようにする。外部とは、外部装置3や可搬型記録媒体(例えばUSBメモリ)等のことであり、以下では一例として外部装置3として説明する。
【0012】
例えば製本印刷の設定の場合に、画像処理装置2のスペックや処理の状態などによりメモリM1が一杯になると、続く読取画像をメモリM1に蓄積することができず、メモリM1に蓄積されている読取画像だけで製本順に読取画像を組み合わせることができないためエラーとなる。そこで、画像処理部22は、所定の転送ルールに従い、読取画像についてメモリM1に残すか外部装置3に転送するかを決定して転送処理を行う。所定のルールでは、画像処理装置2は、製本する順序で優先順序の高い読取画像をメモリM1に残し、優先順序の低い読取画像Dを外部装置3に転送する。このように画像処理装置2は外部に読取画像Dを転送するため自装置で優先順序の高い読取画像の印刷を速やかに開始することができる。
【0013】
画像読取部21は「読取手段」に相当するスキャナである。画像形成部23は「画像形成手段」に相当し、記録紙等(例えば印刷用紙)に画像を形成して出力する。本実施の形態では、一例として、画像処理装置2が画像読取部21と画像形成部23とを共に備えた形態を示すが、画像読取部21および画像形成部23の片方または両方が、画像処理装置2と通信可能に接続された画像読取装置または画像形成装置であってもよい。
【0014】
外部装置3は、画像管理部31を有し、画像処理装置2から転送された読取画像Dを製本の優先順序で管理する。外部装置3は、読取画像Dを自装置のメモリM2で保持してもよいし、その他の外部ストレージ等の機器に読取画像Dを振り分けて、振分先を画像管理部31で管理してもよい。
【0015】
(転送処理の説明)
続いて、画像処理部22が行う転送処理についてさらに詳しく説明する。画像処理部22は、画像読取部21による読取順に読取画像をメモリM1に蓄積し、読取順である読取画像を製本する紙の順に組み合わせて画像形成部23に出力する。そこで、画像処理部22は、メモリM1が一杯になるなどした場合、製本順で優先順序がより高い読取画像をメモリM1に残し、優先順序がより低い読取画像を転送することで、画像形成部23で製本準に製本印刷を開始する。ここで、図2を参照し、この転送ルールについて説明する。
【0016】
図2は、画像処理部22が行う転送処理の説明図である。例えば紙(印刷済みの印刷用紙)を重ねて中央で綴じる製本の方法がある(図2(a))。この形態で製本する場合、右開きと、左開きと、上開きと、下開きとで画像の割り付け方や印刷の順番が異なる。ここでは右開きを例に説明するが、その他の場合も割り付け方や印刷の順番を変えることにより同様に実施することができる。
【0017】
まず、図2(a)に示す右開きの冊子の例で説明する。右開きの冊子の場合、表紙と裏表紙をページに換算すると、1ページ目が表紙で、2ページ目が、1ページ目をめくった見開きの左ページで、3ページ目が見開きの右ページと続き、順にページをめくり、冊子を閉じたNページ目が裏表紙となる。同じ右開きの製本設定にして冊子を複製する場合、作業者は、まず冊子の裏表紙であるNページ目をスキャナで読み取り、次に冊子の表紙である1ページ目をスキャナで読み取る。その後は、冊子をめくり2ページ目、続いて3ページ目という順にスキャナで読み取るという作業を、N-1ページ目まで行う。
【0018】
この手順で冊子を読み取ると、読取画像が図2(b)に示す読取順つまりN、1、2、3、・・・N-1の順にメモリM1に蓄積されていく。メモリ容量等を含む画像処理装置2の処理能力が十分でないと、全ページ分の読取画像をメモリM1で保持しておくことができず、冊子の読み取りの途中でメモリフルが発生する可能性が高まる。読取順と製本順とで読取画像の並びが異なるため、途中でメモリフルが発生すると、読取順に蓄積したメモリM1から製本順の組み合わせの対象画像(対の読取画像)が得られず、処理を実行できないので、キャンセルされ、読取作業からやり直しとなる。本実施の形態ではメモリM1に蓄積する読取画像(対の読取画像)を次の転送ルールで外部装置3に転送し、メモリM1を製本順でより優先順序の高い対の読取画像で満たしていく。このためメモリフルが発生した場合であっても、読取作業をやり直すことなく続きの読取画像を蓄積して優先順序の高い読取画像の対を揃えて製本印刷を開始することができる。
【0019】
図2(a)のような製本の場合、最初に読み取ったNページ目の読取画像と次に読み取った1ページ目の読取画像とが同じ印刷用紙の表面に対して左右に割り付けられ、更に、1ページ目に続いて読み取った2ページ目の読取画像と最後に読み取ったN-1ページ目の読取画像とが裏面に対して左右に割り付けられる。製本順では、これが1枚目となり優先順序が最も高い。2枚目、3枚目・・・の順に優先順序は低くなるが、これらついても、1枚の印刷用紙に割り付けられる読取画像の組み合わせは1枚目と同様の論理で組み合わされ、図2(c)に示す組み合わせの通りである。
【0020】
この製本の例において画像処理装置2が1枚目の印刷を完成させるためには、Nページ目と、1ページ目と、2ページ目と、N-1ページ目の4つの読取画像がメモリM1上にある必要がある。読取順から述べるとN-1ページ目(注目画像)は最後に読み取られるため、冊子のページ数が多くなればなるほど途中でメモリフルとなりメモリM1上にN-1ページ目まで揃わない可能性が高い。これは図2(b)に示す読取順の並びと図2(c)に示す製本順の並びとの比較からも明らかなように、1枚目の印刷に限らず2枚目以後の印刷に対しても起こり得る。そこで、このケースの場合には、メモリフルの発生までにメモリM1に蓄積した読取画像の完了ページ数を「K」とし、完了ページ数Kを、1枚の印刷用紙に組み合わせる(割り付ける)ページ数(この例では4)で割り、小数点以下を切り捨てた正の整数を「X」とする。画像処理部22は、4Xページ分の読取画像が製本の優先順序でメモリM1に残るように、優先順序の低い組の読取画像DをメモリM1から外部装置3へ転送し、後から読み取られる優先順序の高い組の読取画像により、そのメモリM1を満たす。この転送ルールでは例えば次のような2パターンの転送処理がある。なお、Xは、画像処理装置2がメモリM1の読取画像を使って印刷を実行することができる印刷可能枚数である。
【0021】
(X=0の場合)
K≦3の場合、X=0となる。
【0022】
この場合、画像処理装置2側は印刷用紙1枚の印刷を完成させる能力がないため、外部装置3へ読取画像をすべて転送する。つまり、画像処理部22はメモリM1に蓄積している読取画像をすべて外部装置3へ転送し、さらに、これらに続く読取画像についてもすべて外部装置3へ転送して、外部装置3側で右開きの製本印刷を実行させる。
【0023】
(X≧1の場合)
K≧4の場合、X≧1となる。
【0024】
この場合は、画像処理装置2は印刷用紙X枚の印刷を完成させる能力があるため、画像処理部22は、製本順に印刷用紙X枚分の読取画像が残るように外部装置3へ転送する読取画像を決定する。例えば、画像処理部22は次のようなルールで決定し、その読取画像を外部装置3へ転送する。
【0025】
第一に画像処理部22は、メモリM1に蓄積されている2X+2番目~K-(2K-2)番目の読取画像を外部装置3へ転送する。
【0026】
第二に画像処理部22は、転送により空いたメモリM1を、続きの読取画像で順次更新し、メモリM1を印刷用紙X枚分に相当する読取画像(つまり4Xページ分の読取画像)で満たす。そして、その後も続きの読取画像がある場合は、同様にメモリM1にある読取画像を外部装置3へ転送し、空いたメモリM1に4Xページ分の読取画像で満たすことを繰り返す。例えば、画像処理部22はメモリM1を4Xページ分の読取画像で満たした後で、続きの読取画像があるかを判定し、続きの読取画像がある場合は、メモリM1にある最後から2X-1番目までを外部装置3へ転送し、転送により空いたメモリM1を続きの読取画像で順次満たす。
【0027】
画像処理部22は、画像処理装置2に残した4Xページ分の読取画像を使用して、製本順に4つずつ読取画像を印刷用紙X枚に順に割り付け、画像形成部23で印刷用紙X枚の印刷を製本順に行う。つまり、1枚目、2枚目、・・・、X枚目の順に印刷する。また、外部装置3側に転送した読取画像についても、外部装置3側に、画像処理装置2に続く製本順で印刷用紙へ読取画像を割り付けして、X+1枚目、X+2枚目、・・・、N/4枚目の順に印刷させる。ここでN/4枚目は、製本順で最後となる中面を表している。
【0028】
このように画像処理装置2側に冊子全体を複製する処理能力がない場合でも、K+1ページ目でメモリフルが発生すると、表紙を含む印刷からX枚目の印刷までを画像処理装置2側で実行し、X+1枚目からN/4枚目までの読取画像を外部装置3へ転送して外部装置3側でX+1枚目からの印刷を実行する。このように、画像処理装置2で処理能力を超える分を外部装置3に一時的に保持させたり、外部装置3側で処理を実行させたりすることが可能になる。また、画像処理装置2は、処理能力内であれば印刷の実行が可能であり、外部装置3に対して画像処理装置2の処理能力を超える分を送信すればよいため、この方式であれば外部装置3への転送量も少なく抑えることができる。また、画像処理装置2は、製本の順序で優先順のより高い読取画像を処理能力の範囲内で蓄積することができるため製本印刷を1枚目から速やかに開始することができる。
【0029】
(実施例)
図3は、画像処理装置2の構成の一例を示す図である。図3に示す画像形成装置2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する一般に複合機(MFP)と称される装置である。一例として画像読取部と画像形成部とを備えるMFPの外観および内部の構成を示す。
【0030】
図3に示すように、画像処理装置2は、画像読取部として読取装置本体50とADF(Automatic Document Feeder)60とを有し、画像形成部として画像形成部80と給紙部90を有する。画像処理装置2は読取装置本体50などに制御ボードを備え、画像処理装置2全体の動作を制御する。
【0031】
読取装置本体50は、上面にコンタクトガラス51を有し、読取装置本体50の内部に、光源53、第1キャリッジ54、第2キャリッジ55、レンズユニット56、センサボード57などでコンタクトガラス51上の読取対象の画像を読み取る読取手段を有する。なお、図3において、第1キャリッジ54は光源53と反射ミラー54-1とを有し、第2キャリッジ55は反射ミラー55-1、55-2を有する。
【0032】
読取装置本体50は、光源53の光を読取対象に照射し、読取対象からの反射光を第1キャリッジ54のミラー54-1や第2キャリッジ55のミラー55-1、55-2で折り返してレンズユニット56に入射し、レンズユニット56からセンサボード57上の受光面上に結像した読取対象の像を読み取る。センサボード57は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary MOS)などのラインセンサを有し、ラインセンサにおいて受光面に結像した読取対象の像を順次電気信号に変換して画像を読み取る。
【0033】
一例の画像処理装置2は、フラットベット方式で読取対象の読み取りを行う。読取対象は、例えば製本されている本や冊子の各ページ、あるいは断裁後の本や冊子のページの束である。以下では、これらを総称して原稿と呼ぶ。
【0034】
フラットベット方式の読み取りでは、ADF60を持ち上げてコンタクトガラス51を露出し、コンタクトガラス51上に原稿100を直接配置する。そして、ADF60を元の位置に下ろしてADF60の下部で原稿100の背面を押さえる。フラットベット方式では原稿100が固定されるため、原稿100に対しキャリッジ(第1キャリッジ54、第2キャリッジ55)側を移動して走査を行う。第1キャリッジ54および第2キャリッジ55はスキャナモータによって駆動され、原稿100の副走査方向を走査する。例えば、第1キャリッジ54が速度Vで移動し、同時にそれと連動して第2キャリッジ55が、第1キャリッジ54の半分の速度1/2Vで移動して、原稿100のコンタクトガラス51側の第1面を読み取る。
【0035】
また、ADF60を備えた構成であれば、ADF60に原稿100や、原稿100の束をセットすることで原稿100を自動搬送して読み取りを行うことも可能である。
【0036】
ADF60は、トレイ61の原稿束からピックアップローラ62により原稿100を1枚ずつ搬送路63に搬送し、原稿100の読取対象の面を所定の読取位置で読み取って原稿100を排紙トレイ65に排出する。原稿100の搬送は各種搬送ローラ64の回転により行う。
【0037】
原稿100の読取は、画像処理装置2が例えば第1キャリッジ54および第2キャリッジ55を所定のホームポジションに移動して固定し、それを固定した状態で、原稿100が読取窓59を通過するタイミングで行う。読取窓59はコンタクトガラス51の一部に設けられたスリット状の読取窓であり、原稿100が自動搬送で読取窓59を通過することで原稿100の副走査方向が走査される。画像処理装置2は、原稿100が読取窓59を通過する間に読取窓59側に向けられている原稿100の表面に照射した光源53の光の反射光をセンサボード57上のラインセンサで逐次読み取る。
【0038】
また、原稿100の両面読取を行う場合には、読取窓59の通過後に、読取モジュール67により原稿100の裏面の読み取りを行うことでできる。読取モジュール67は、照射部と、密着型イメージセンサとを有し、原稿100の裏面に対して照射された光の反射光を密着型イメージセンサで読み取る。
【0039】
画像処理装置2は、読取装置本体50で読み取った読取画像を画像処理し、処理後の画像を画像形成部80で記録紙に印刷する。
【0040】
具体的に、画像形成部80は、光書込装置81や、タンデム方式の作像ユニット(Y、M、C、K)82や、中間転写ベルト83や、二次転写ベルト84などを有する。画像形成部80では、画像処理後の画像に基づき光書込装置81が作像ユニット82の感光体ドラム820に画像を書き込み、各感光体ドラム820から中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像が転写される。
【0041】
図3に示す例では、作像ユニット(Y、M、C、K)82は、回転可能な4つの感光体ドラム(Y、M、C、K)820を有し、各感光体ドラム820の周囲に、帯電ローラ、現像器、一次転写ローラ、クリーナーユニット、及び除電器を含む作像要素をそれぞれ備える。各感光体ドラム820の周囲で各作像要素が所定の作像プロセスで動作することにより、各感光体ドラム820上に画像が形成され、各感光体ドラム820に形成された画像が一次転写ローラにより中間転写ベルト83上にそれぞれトナー画像として転写される。
【0042】
中間転写ベルト83は、各感光体ドラム820と各一次転写ローラとの間のニップに、駆動ローラと従動ローラとにより張架して配置されている。中間転写ベルト83に一次転写されたトナー画像は、中間転写ベルト83の走行により、二次転写装置で二次転写ベルト84上の記録紙に二次転写される。その記録紙は、二次転写ベルト84の走行により、定着装置85に搬送され、記録紙上にトナー画像がカラー画像として定着する。その後、記録紙は、機外の排紙トレイへと排出される。
【0043】
なお、記録紙は、例えば給紙部90が用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット91、92から所定の記録紙を繰り出して、各種ローラからなる搬送手段93で搬送して二次転写ベルト84に供給する。
【0044】
なお、画像形成部80は、上述したような電子写真方式によって画像を形成するものに限るものではなく、インクジェット方式によって画像を形成するものであってもよい。
【0045】
図4は、画像処理装置2の制御ブロックの構成の一例を示す図である。図4に示すように、画像処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)220と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)221と、ROM(Read Only Memory)222aとRAM(Random Access Memory)222bを含むシステムメモリ222と、SDメモリカードスロット223aとUSB(Universal Serial Bus)インタフェース223bとネットワークインタフェース223cとを含むインタフェース223と、補助記憶装置224と、タッチ表示ディスプレイ225と、エンジン226と、スキャナ227と、を有する。
【0046】
CPU220は、RAM222bの所定領域を作業領域として、ROM222aまたは補助記憶装置224に予め記憶された各種制御プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像処理装置2全体の動作を統括的に制御する。
【0047】
ASIC221は、画像処理用のハードウエア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、CPU220と各部を夫々接続するブリッジとしての機能を有する。
【0048】
ROM222aは、固定プログラムや固定データを格納する読み出し専用メモリである。RAM222bは、プログラムやデータの展開用あるいはプリンタの描画用などに用いられる、書き込みと読み出しとが自在な揮発性メモリである。
【0049】
インタフェース223は、自装置と外部デバイスとを着脱可能に接続するインタフェースである。図4に一例として示すSDメモリカードスロット223aは、外部記憶装置としてのSD(登録商標)メモリカードを着脱可能に接続する。USBインタフェース223bは、外部記憶装置としてのUSBフラッシュメモリを着脱可能に接続する。
【0050】
また、インタフェース223は、自装置を外部装置3と接続するネットワークに接続するためのインタフェースを含む。図4に示すネットワークインタフェース223cは、ネットワークカードなどであり、自装置をネットワークに接続する。
【0051】
補助記憶装置224は、磁気的、電気的、または光学的に書き込みや読出しを行う記憶媒体を有する。例えば磁気記録媒体を有するものとしてHDDなどがある。補助記憶装置224は、画像処理装置2の各種制御にかかるプログラムを書き換え可能に記憶する。
【0052】
タッチ表示ディスプレイ225は、ユーザが画像処理装置2と対話形式で印刷設定等の操作を行うためのユーザインタフェース部であり、液晶等の表示デバイスと、タッチパネルやキースイッチ群などを有する入力デバイスとから構成される。タッチ表示ディスプレイ225は、CPU220の制御の下、画像処理装置2の動作や印刷設定等の状態や操作方法などを表示デバイスの画面に表示する。また、タッチ表示ディスプレイ225は、タッチパネルやキースイッチ群を介してユーザによる入力を検出すると、その入力情報をCPU220に出力する。
【0053】
エンジン226は、画像形成部のエンジンである。当該エンジン226には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0054】
スキャナ227は、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子からなるラインセンサや、アナログの読取信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータや、それらの駆動回路などを有する。スキャナ227は、読取対象をラインセンサにより走査し、各CCD光電変換素子が原稿から読み取ったアナログの濃淡情報から、RGB各8ビットのデジタル画像データ(読取画像)を生成し、CPU220に出力する。
【0055】
図5は、外部装置3のハードウエア構成の一例を示す図である。図5に示す外部装置3は、ユーザI/F210と、制御部211と、通信I/F212と、補助記憶装置213とを有する。
【0056】
ユーザI/F210は、液晶等の表示ディスプレイや、キーボードなどの接続により、ユーザによる命令やデータの入力の受け付けや、表示データの表示出力などを行う。
【0057】
制御部211は、CPUと、ROMと、RAMを有するコンピュータ構成である。制御部211は、所定の制御プログラムの実行により外部装置3全体の動作を統括的に制御する。また、制御部211は、管理プログラムの実行により機能部として画像管理部31を実現し、管理テーブルなどにより読取画像を製本順に管理する。
【0058】
通信I/F212は、画像処理装置2を含むネットワークとの接続を制御するNIC(Network Interface Controller)である。
【0059】
補助記憶装置213は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどである。補助記憶装置213に読取画像などを記憶する。
【0060】
(転送処理の説明)
図6は、実施例にかかる、冊子の最終頁NをN=12とした場合のCPU220の処理の説明図である。この場合も、これまでの説明と同様に説明することができる。
【0061】
図6(a)に示すように、右開きの製本の例で述べると、最初に読み取った12ページ目の読取画像と次に読み取った1ページ目の読取画像とが同じ1枚の印刷用紙の表面に対して左右に割り付けられ、1ページ目に続いて読み取った2ページ目の読取画像と最後に読み取った11ページ目の読取画像とが裏面に対して左右に割り付けられる。つまり、この製本の例において画像処理装置2が1枚の印刷を完成させるためには、12ページ目と、1ページ目と、2ページ目と、11ページ目の4枚の読取画像がメモリ上にある必要がある。
【0062】
図6(b)は、読取順の一例である。以下、図6(b)に示す12ページ目、1ページ目、2ページ目、・・・10ページ目、11ページ目の読取順を一例に説明する。
【0063】
(X=0の場合)
画像処理装置2側は1枚の印刷を完成させる能力がないため、外部装置3へ読取画像をすべて転送する。つまり、外部装置3側で1~12ページまでの右開きの製本印刷を実行する。
【0064】
(X=1の場合)
K=4、5、6、7の場合に対応する。
【0065】
この場合、画像処理装置2は1枚の印刷を完成させる能力がある。このため、CPU220は、製本順に4ページ分の読取画像が残るように外部装置3へ転送する読取画像を決定する。
【0066】
第一にCPU220は、メモリに蓄積されている4番目~K番目の読取画像を外部装置3へ転送する。つまり、1番目~3番目である12ページ目と1ページ目と2ページ目とを残し、それ以外の読取画像を外部装置3へ転送する。
【0067】
第二にCPU220は、転送により空いたメモリを、続きの読取画像で1つ埋め、さらに続きの読取画像がある場合には、直前に埋めた読取画像を外部装置3へ転送して、空いたメモリに続きの読取画像を埋めることを繰り返す。これを繰り返すことにより、最後に11ページ目の読取画像で埋められる。このケースでは8ページ分の読取画像が外部装置3へ転送される(図6(c))。
【0068】
その後、CPU220は、メモリに残した4ページ分の読取画像(12ページ目、1ページ目、2ページ目、および11ページ目)を、製本順の1枚目になる印刷用紙へ割り付けて、1枚目の印刷を実行する。また、外部装置3側に転送した読取画像についても、外部装置3側に、画像処理装置2に続く製本の順序、つまり2枚目と3枚目の印刷用紙へ、この順に読取画像を割り付けして印刷を実行させる。
【0069】
(X=2の場合)
K=8、9、10、11の場合に対応する。
【0070】
この場合、画像処理装置2は2枚分の印刷を完成させる能力がある。このため、CPU220は、製本順に8つの読取画像が残るように外部装置3へ転送する読取画像を決定する。
【0071】
第一にCPU220は、メモリに蓄積されている6番目~K-2番目の読取画像を外部装置3へ転送する。
【0072】
第二にCPU220は、転送により空いたメモリを、読取画像が8つになるように続く読取画像で埋め、更に読取画像がある場合には、最後から3番目に埋めた読取画像を転送して、続く読取画像で埋めることを繰り返す。この繰り返しにより、最終的に、製本順となる12ページ目、1ページ目、2ページ目、11ページ目と、3ページ目、4ページ目、9ページ目、および10ページ目とがメモリに残り、その他の4ページ分の読取画像が外部装置3へ転送される(図6(d))。
【0073】
その後、CPU220は、メモリに残した8ページ分の読取画像を、製本順の1枚目と2枚目になる印刷用紙へ4ページ分ずつ割り付けて、1枚目と2枚目の印刷を順に実行する。この例では、12ページ目、1ページ目、2ページ目、および11ページ目が1枚目に割り付けられ、3ページ目、4ページ目、9ページ目、および10ページ目が2枚目に割り付けられて、それぞれ順に印刷される。
【0074】
(処理フロー)
次に、CPU220が行う画像転送処理のフローを説明する。例えば画像処理装置2で作業者が製本印刷を設定し、冊子の読取対象をコンタクトガラスに配置して読取実行ボタンを操作したとする。すると、CPU220は、所定の動作でメモリに冊子の各ページの読取画像を蓄積して製本印刷を実行する。
【0075】
図7は、CPU220が行う処理の一例を示すフロー図である。以下では図2(a)で説明した手順で冊子を読み取るものとして図7に示すフローを説明する。
【0076】
まずCPU220は、画像読取部により1ページ分の画像を読み取らせる(S101)。最初は冊子のNページ目つまり裏表紙が読み取りの対象である。
【0077】
次にCPU220は、メモリフルかを判定し(S102)、メモリフルでない場合は(S102:No)、画像読取部が読み取った1ページ分の読取画像をメモリに蓄積する(S103)。
【0078】
次にCPU220は、画像読取部における設定から、次のページがあるかを判定し(S104)、次のページがある場合(S104:Yes)、次のページに対し、S101から同様の処理を行う。次のページとは、直前がNページ目だったので、これに続く1ページ目が相当する。直前が1ページ目になった場合は、続く2ページ目が次のページに相当する。
【0079】
CPU220は、次のページがないと判定した場合(S104:No)、メモリに蓄積した読取画像を製本順に印刷用紙に割り付ける処理(集約処理ともいう)を行う(S201)。
【0080】
一方、CPU220は、次のページの読取時にメモリフルと判定した場合(S102:Yes)、外部装置3とのネットワーク等による接続を判定する(S105)。
【0081】
CPU220は、外部装置3と接続不可(S105:無)の場合には当該製本印刷の実行ジョブ(コピージョブ)をキャンセルし(S301)、最初からやり直す。
【0082】
また、CPU220は、外部装置3と接続可(S105:有)の場合には、以下の転送処理を行う。
【0083】
まず、CPU220は自装置である画像処理装置2の印刷可能枚数Xを算出する(S106)。印刷可能枚数Xは、一例ではメモリフルが判定されたときにメモリに蓄積されている読取画像のページ数Kを1枚の印刷用紙に割り付けるページ数(この例では4)で割った値の整数部の数に相当する。
【0084】
次に、CPU220は、X>0かを判定する(S107)。
【0085】
X=0の場合(S107:No)、CPU220はメモリにある読取画像をすべて外部装置3に転送して(S108)、読み取りを行う次のページがあるかを判定する(S109)。CPU220は、次のページがある場合(S109:Yes)、画像読取部により次のページの画像を読み取らせ(S110)、その読取画像を空いたメモリに蓄積し(S111)、その読取画像も外部装置3に転送する(S112)。さらに次のページがある場合は、S110~S112を繰り返す。
【0086】
CPU220は、次のページがない場合(S109:No)、外部装置3に集約および印刷を指示する(S202)。
【0087】
また、X>0の場合(S107:Yes)、CPU220はXの値に応じ上述したルールでメモリにある読取画像を外部装置3に転送し(S113)、画像読取部により次のページの画像を読み取らせ(S114)、その読取画像を空いたメモリに蓄積する(S115)。
【0088】
CPU220は、さらに読み取りを行う次のページがあるかを判定し(S116)、次のページがある場合(S116:Yes)、S113に戻り、上述したルールでメモリにある読取画像を外部装置3に転送する処理を繰り返す。
【0089】
CPU220は、次のページがなくなると(S116:No)、画像処理装置2と外部装置3とでそれぞれ集約処理を行う(S203)。つまり画像処理装置2ではメモリ上の読取画像を使用して集約処理を行い、外部装置3では転送された読取画像を使用して集約処理を行う。
【0090】
S201とS203の自装置での集約処理の後、CPU220は、その他のコピー不可要因(紙無しや、機器依存の要因など)があるかを判定し(S204)、不可要因がある場合には(S204:Yes)、コピージョブをキャンセルする(S301)。
【0091】
一方、不可要因がない場合(S204:No)、CPU220は自装置で集約した画像(集約後画像)を製本順に印刷する(S205)。なお、転送した読取画像は外部装置3側で製本順に集約して印刷を実行するため、画像処理装置2において印刷された用紙と外部装置3で印刷された用紙をそのまま重ねれば製本順に並ぶことになる。
【0092】
CPU220は印刷後、最初からやり直す、すなわち別の冊子があれば、その複製を行い、なければ処理を終了する。
【0093】
(変形例1)
メモリフルが発生した場合にダイアログを表示して、ユーザが印刷方法を指定できるようにしてもよい。具体的には、図7の処理フローにおいて、メモリフルが発生した(S102:Yes)の後に、所定のダイアログ画面をタッチ表示ディスプレイ225に表示し、そのダイアログ画面でユーザが選択する印刷方法を受け付けるステップを追加する。例えばダイアログ画面で「印刷の取り止め」、「読み取り終了して印刷を実行」、および「外部装置に転送して読み取りを継続」の選択肢の中からいずれかを選択させる。CPU220は、「印刷の取り止め」が選択されると、コピージョブをすべてキャンセルする(S301)。またCPU220は、「読み取り終了して印刷を実行」が選択されると、メモリM1上の読取画像だけで集約を行い(S201)、印刷を実行する(S205)。またCPU220は、「外部装置に転送して読み取りを継続」が選択されると、S105からの処理を行う。
【0094】
図8は、変形例1にかかるダイアログ画面の一例を示す図である。ダイアログ画面1000には、印刷を取り止める選択ボタン1001と、読み取り終了して印刷を実行する選択ボタン1002と、外部装置3に転送して読み取りを継続する選択ボタン1003を設けている。ユーザは、何れかの選択ボタンを押下してCPU220に印刷方法を指示する。
【0095】
このように、メモリフルが発生した場合に選択画面を表示することにより、ユーザの判断で、コピージョブをキャンセルするか、一部を印刷して終了するか、外部装置3を利用して印刷を続行するかを指示することができる。
【0096】
(変形例2)
変形例1では、メモリフルが発生したときにダイアログを表示させてユーザに印刷方法を指定させる例を示したが、もっと早い段階でユーザに印刷方法を選択させるように変形してもよい。
【0097】
例えば、最初の原稿を読み取った時点でメモリ残量から読み取り可能ページ数を予測し、ダイアログを表示して印刷を取り止めるか読み取り終了して印刷を実行するか外部サーバに転送して読み取りを継続するかを選択可能にする。
【0098】
図9は、変形例2にかかる構成の一例を示す図である。図9に示す構成において、画像処理部22は、メモリ管理部24から最初の読取画像をメモリM1に蓄積する前と蓄積した後のメモリ残量を取得し、冊子のページ数分の読取画像をメモリM1に蓄積可能かどうかを予測する予測部としても機能する。この段階で冊子のページ数分の読取画像を蓄積できないという予測であれば、ダイアログ1000(図8参照)を「ユーザインタフェース部」であるタッチ表示ディスプレイ225に表示させて、ダイアログ画面1000で、ユーザに印刷を続投するかを選択させる。
【0099】
(変形例3)
外部装置3に転送された読取画像Dを、画像処理装置2が外部装置3から取得して製本順に印刷を実行してもよい。外部装置3の画像管理部31は、画像処理装置2からの印刷設定により製本印刷の設定を取得することができる。従って、外部装置3は、画像処理装置2から転送されてくる読取順の読取画像Dを、画像処理装置2と同じ集約のルールで集約して、画像処理装置2に製本順に送信することができる。画像処理装置2はメモリM1に限りがあるため、画像処理装置2が印刷を行ってから、画像処理装置2の要求に応じて印刷可能枚数X分の製本順の読取画像(集約後画像)を送信する。
【0100】
図10は、変形例3にかかるフローの説明図である。図10には、図7に示すフローのS203からの変形したフローを示している。S203~S205については、上述した処理と同様である。
【0101】
変形例3において、CPU220はS205の後に、外部装置3に対し続きの製本順となる読取画像を要求する(S206)。続いてCPU220は、外部装置3から、続く1組の読取画像を受信すると(S207:Yes)、S204に戻り、受信した1組の読取画像(集約後画像)により1枚の印刷を実行する。CPU220は、外部装置3への要求により1組の読取画像(集約後画像)を受信する度に、その印刷を実行する。そして、外部装置3から読取画像(集約後画像)の送信がなくなると(S207:No)、処理を終了する。
【0102】
このように、画像処理装置2は、自装置で印刷可能枚数X分の印刷を製本順に実行した後、外部装置3の集約済みの読取画像を順次取得することにより、製本順に続きの印刷も実行することができる。
【0103】
実施の形態及び各変形例で実行される処理は、ASICに実装して提供してもよいし、コンピュータにプログラムを実行させることにより提供してもよい。後者の場合、ROMやHDDなどに予めプログラムを組み込んで機能部として提供することができる。この場合、CPUがプログラムを読み出してステップごとに実行することで各種の機能部を実現する。また、このプログラムを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供してもよい。例えば、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、フレキシブルディスク、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(登録商標)、半導体メモリ等の記録媒体に記録して提供してもよい。
【0104】
また、このプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態及び各変形例で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0105】
以上、本発明の実施の形態及び変形例を説明したが、実施の形態及び実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態及び実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態及び実施例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1 画像処理システム
2 画像処理装置
3 外部装置
21 画像読取部
22 画像処理部
22a 転送処理部
22b 指示部
23 画像形成部
31 画像管理部
D 読取画像
M1 メモリ
M2 メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【文献】特開2010-103620号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10