IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7567404液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置
<>
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図1
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図2
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図3
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図4
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図5
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図6
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図7
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図8
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図9
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図10
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図11
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図12
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図13
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図14
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図15
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図16
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図17
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図18
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図19
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図20
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図21
  • 特許-液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/045
B41J2/01 401
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020197518
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085708
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】木田 仁司
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055645(JP,A)
【文献】特開2020-152020(JP,A)
【文献】特表2018-509320(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0047281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第2膨張波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備え
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素の後に配置されている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第2膨張波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記圧力室を収縮させる収縮波形要素を含み、
前記第1膨張波形要素と前記収縮波形要素は、前記第2膨張波形要素で架橋されている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項3】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記圧力室を段階的に膨張させる波形要素であり、
少なくとも、前記第2膨張波形要素の電位保持部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項4】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を収縮させる第1収縮波形要素及び第2収縮波形要素を含み、
前記第1収縮波形要素は、前記第2収縮波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第1収縮波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記第1収縮波形要素は、前記第2収縮波形要素の前に配置されている
ことを特徴とする請求項に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を収縮させる第1収縮波形要素及び第2収縮波形要素を含み、
前記第1収縮波形要素は、前記圧力室を段階的に収縮させる波形要素であり、
少なくとも、前記第1収縮波形要素の電位保持部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項7】
液体を吐出するヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第2膨張波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備え
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素の後に配置されている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【請求項8】
液体を吐出するヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第2膨張波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記圧力室を収縮させる収縮波形要素を含み、
前記第1膨張波形要素と前記収縮波形要素は、前記第2膨張波形要素で架橋されている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【請求項9】
液体を吐出するヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記圧力室を段階的に膨張させる波形要素であり、
少なくとも、前記第2膨張波形要素の電位保持部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【請求項10】
液体を吐出するヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を収縮させる第1収縮波形要素及び第2収縮波形要素を含み、
前記第1収縮波形要素は、前記第2収縮波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第1収縮波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【請求項11】
液体を吐出するヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を収縮させる第1収縮波形要素及び第2収縮波形要素を含み、
前記第1収縮波形要素は、前記圧力室を段階的に収縮させる波形要素であり、
少なくとも、前記第1収縮波形要素の電位保持部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備えている
ことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置、ヘッド駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドは、製造上のばらつきなどにより、ノズル間で、液体の吐出速度、吐出量にばらつきが生じる。
【0003】
従来、ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の印加と非印加を選択するスイッチを備え、圧力室を膨張させるメニスカス引き込み工程でスイッチをOFFするタイミングを調整して駆動電圧波形の電圧を調整し、滴速度を揃えるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3753075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、高スルーレートで変化する駆動電圧波形を使用すると、スイッチングタイミングの僅かなずれによっても吐出特性が大幅に変動するという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出特性の変動を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出するヘッドと、
前記ヘッドの圧電素子に対する駆動電圧波形の通過及び非通過を選択するスイッチング手段と、を備え、
前記駆動電圧波形は、前記ヘッドの圧力室を膨張させる第1膨張波形要素及び第2膨張波形要素を含み、
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素よりも単位時間当たりの変化量が小さい波形要素であり、
前記第2膨張波形要素の部分で前記スイッチング手段を非通過状態にする制御して、前記圧電素子に与える駆動電圧波形を調整する手段を備え
前記第2膨張波形要素は、前記第1膨張波形要素の後に配置されている
構成とした。
【0008】
本発明によれば、吐出特性の変動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
図2】同印刷装置の吐出ユニットの説明図である。
図3】同実施形態におけるヘッドモジュールの一例の分解斜視説明図である。
図4】同ヘッドモジュールのノズル面側から見た分解斜視説明図である。
図5】同実施形態におけるヘッドの一例をノズル面側から見た外観斜視説明図である。
図6】同じくノズル面と反対側から見た外観斜視説明図である。
図7】同じく分解斜視説明図である。
図8】同じく流路構成部材の分解斜視説明図である。
図9図8の要部拡大斜視説明図である。
図10】同じく流路部分の断面斜視説明図である。
図11】本発明の第1実施形態におけるヘッド駆動制御装置のブロック説明図である。
図12】本発明の第1実施形態おけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチアレイ部分の説明図である。
図13】同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
図14】本発明の第2実施形態の説明に供する説明図である。
図15】本発明の第3実施形態の説明に供する説明図である。
図16】本発明の第4実施形態におけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチ部分の説明図である。
図17】同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
図18】本発明の第5実施形態におけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチ部分の説明図である。
図19】同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
図20】本発明の第6実施形態の説明に供する説明図である。
図21】本発明の第7実施形態の説明に供する説明図である。
図22】本発明の第8実施形態の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図1及び図2を参照して説明する。図1は同印刷装置の概略説明図、図2は同印刷装置の吐出ユニットの説明図である。
【0011】
液体を吐出する装置500は、印刷装置であり、搬入手段501と、案内搬送手段503と、印刷手段505と、乾燥手段507と、搬出手段509などを備えている。
【0012】
搬入手段501は、ウェブ状のシート材Pを搬入する。案内搬送手段503は、搬入手段501から搬入されたシート材Pを印刷手段505に案内搬送する。印刷手段505は、シート材Pに対して液体を吐出して画像を形成する印刷を行う。乾燥手段507は、シート材Pを乾燥する。搬出手段509は、シート材Pを搬出する。
【0013】
シート材Pは搬入手段501の元巻きローラ511から送り出され、搬入手段501、案内搬送手段503、乾燥手段507、搬出手段509の各ローラによって案内、搬送されて、搬出手段509の巻取りローラ591にて巻き取られる。
【0014】
このシート材Pは、印刷手段505において、搬送ガイド部材559上をヘッドユニット550に対向して搬送され、ヘッドユニット550から吐出される液体によって画像が印刷される。
【0015】
ここで、ヘッドユニット550には、2つのヘッドモジュール100A、100Bを共通ベース部材552に備えている。
【0016】
そして、ヘッドモジュール100の搬送方向と直交する方向におけるヘッド1の並び方向をヘッド配列方向とするとき、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1A1,1A2で同じ色の液体を吐出する。同様に、ヘッドモジュール100Aのヘッド列1B1、1B2を組とし、ヘッドモジュール100Bのヘッド列1C1、1C2を組とし、ヘッド列1D1、1D2を組として、それぞれ所要の色の液体を吐出する。
【0017】
次に、本実施形態におけるヘッドモジュールの一例について図3及び図4を参照して説明する。図3は同ヘッドモジュールの分解斜視説明図、図4は同ヘッドモジュールのノズル面側から見た分解斜視説明図である。
【0018】
ヘッドモジュール100は、液体を吐出する液体吐出ヘッドである複数のヘッド1と、複数のヘッド1を保持するベース部材103とを備えている。
【0019】
また、ヘッドモジュール100は、放熱部材104と、複数のヘッド1に対して液体を供給する流路を形成しているマニホールド105と、フレキシブル配線部材101と接続するプリント基板(PCB)106と、モジュールケース107とを備えている。
【0020】
次に、第1実施形態におけるヘッドの一例について図5ないし図10を参照して説明する。図5は同ヘッドをノズル面側から見た外観斜視説明図、図6は同じくノズル面と反対側から見た外観斜視説明図、図7は同じく分解斜視説明図、図8は同じく流路構成部材の分解斜視説明図、図9図8の要部拡大斜視説明図、図10は同じく流路部分の断面斜視説明図である。
【0021】
ヘッド1は、ノズル板10と、流路板(個別流路部材)20と、振動板部材30と、共通流路部材50と、ダンパ部材60と、共通流路部材70、フレーム部材80と、配線部材(フレキシブル配線基板)45などを備えている。配線部材45にはヘッドドライバ(ドライバIC)410が実装されている。
【0022】
ノズル板10には、液体を吐出する複数のノズル11を有している。複数のノズル11は、二次元状にマトリクス配置されている。
【0023】
個別流路部材20は、複数のノズル11に各々連通する複数の圧力室(個別液室)21と、複数の圧力室21に各々通じる複数の個別供給流路22と、複数の圧力室21に各々通じる複数の個別回収流路23とを形成している。1つの圧力室21及びこれに通じる個別供給流路22と個別回収流路23を併せて個別流路25と称する。
【0024】
振動板部材30は、圧力室21の変形な可能な壁面である振動板31を形成し、振動板31には圧電素子42が一体に設けられている。また、振動板部材30には、個別供給流路22に通じる供給側開口32と、個別回収流路23に通じる回収側開口33とが形成されている。圧電素子42は、振動板31を変形させて圧力室21内の液体を加圧する圧力発生手段である。
【0025】
なお、個別流路部材20と振動板部材30とは、部材として別部材であることに限定さるものではない。例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を使用して個別流路部材20及び振動板部材30を同一部材で一体に形成することができる。つまり、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を個別流路部材20とし、シリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜とで振動板31を形成することができる。この構成では、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜の層構成が振動板部材30となる。このように、振動板部材30は個別流路部材20の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
【0026】
共通流路部材50は、共通流路支流部材であり、2以上の個別供給流路22に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の個別回収流路23に通じる複数の共通回収流路支流53とを交互に隣接して形成している。
【0027】
共通流路部材50には、個別供給流路22の供給側開口32と共通供給流路支流52を通じる供給口54となる貫通孔と、個別回収流路23の回収側開口33と共通回収流路支流53を通じる回収口55となる貫通孔が形成されている。
【0028】
また、共通流路部材50は、複数の共通供給流路支流52に通じる1又は複数の共通供給流路本流56の一部56aと、複数の共通回収流路支流53に通じる1又は複数の共通回収流路本流57の一部57aを形成している。
【0029】
ダンパ部材60は、共通供給流路支流52の供給口54と対面する(対向する)供給側ダンパ62と、共通回収流路支流53の回収口55と対面する(対向する)回収側ダンパ63を有している。
【0030】
ここで、共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53は、同じ部材である共通流路部材50に交互に並べて配列された溝部を、変形可能な壁面を形成するダンパ部材60で封止することで構成している。
【0031】
共通流路部材70は、共通流路本流部材であり、複数の共通供給流路支流52に通じる共通供給流路本流56と、複数の共通回収流路支流53に通じる共通回収流路本流57を形成する。
【0032】
フレーム部材80には、通供給流路本流56の一部56bと、共通回収流路本流57の一部57bが形成されている。共通供給流路本流56の一部56bはフレーム部材80に設けた供給ポート81に通じ、共通回収流路本流57の一部57bはフレーム部材80に設けた回収ポート82に通じている。
【0033】
このヘッド1においては、液体は共通供給流路本流56から共通供給流路支流52を通り、供給口54から圧力室21へ供給され、ノズル11から液体が吐出される。ノズル11から吐出されない液体は、回収口55から共通回収流路支流53を通り、共通回収流路本流57に流れ、回収ポート82から外部の循環装置を経て供給ポート81を通じて、再度、共通供給流路本流56に供給される。
【0034】
次に、本発明の第1実施形態におけるヘッド駆動制御装置について図11を参照して説明する。図11は同ヘッド駆動制御装置のブロック説明図である。
【0035】
ヘッド駆動制御装置400は、ヘッド制御部401と、駆動波形生成部402及び波形データ格納部403と、ロータリエンコーダ405の出力から吐出タイミングを生成するための吐出タイミング生成部404と、ヘッドドライバ410とを備えている。
【0036】
ヘッド制御部401は、吐出タイミングパルスstbを受信すると、共通駆動波形Vcomの生成のトリガーとなる吐出同期信号LINEを駆動波形生成部402へ出力する。また、ヘッド制御部401は、吐出同期信号LINEからの遅延量に当たる吐出タイミング信号CHANGEを駆動波形生成部402へ出力する。
【0037】
駆動波形生成部402は、吐出同期信号LINEと、吐出タイミング信号CHANGEに基づいたタイミングで共通駆動波形Vcomを生成出力する。
【0038】
ヘッド制御部401は、画像データを受け取り、この画像データをもとに、ヘッド100の各ノズル11からの液体吐出の有無を制御するマスク信号MNを生成する。マスク信号MNは吐出タイミング信号CHANGEに同期したタイミングの信号である。
【0039】
そして、ヘッド制御部401は、印写データSDと、トリミングデータTDと、カウンタクロック信号CCKと、生成したマスク信号MNとを、ヘッドドライバ410に転送する。
【0040】
ヘッドドライバ410は、ヘッド制御部401からの各種信号に基づいて、共通駆動波形Vcomの内、ヘッド100の各圧電素子42に与える波形部分を選択する選択手段である。
【0041】
このヘッドドライバ410は、シフトレジスタ411、レジスタ412、セレクタ413、レベルシフタ414、及びスイッチアレイ415を備える。
【0042】
また、ヘッドドライバ410は、シフトレジスタ421、レジスタ422、カウンタ428を備える。
【0043】
シフトレジスタ411は、ヘッド制御部401から転送される印写データSDを入力する。レジスタ412は、シフトレジスタ411の各レジスト値を保存する。
【0044】
同様に、シフトレジスタ421は、ヘッド制御部401からトリミングデータTDを入力する。レジスタ422は、シフトレジスタ421の各レジスト値を保存する。
【0045】
セレクタ413は、選択手段であり、レジスタ412に保存された値(印写データSD)とマスク信号MNとから共通駆動波形Vcomを印加するノズル(圧電素子42)を選択する第1スイッチ手段S1をON/OFFする信号を出力する。
【0046】
また、セレクタ413は、レジスタ422に保存された値(トリミングデータTD)と、カウンタ428からの出力信号(カウント値)とを入力する。
【0047】
そして、セレクタ413は、レジスタ422に保持されているトリミングデータTDに従って、カウンタ428のカウント結果がトリミングデータTDの値になったときに第2スイッチ手段S2をOFF状態にする信号を出力する。
【0048】
レベルシフタ414は、セレクタ413のロジックレベル電圧信号をスイッチアレイ415の第2スイッチ手段S2が動作可能なレベルへとレベル変換する。
【0049】
スイッチアレイ415は、駆動電圧波形を印加する圧電素子42(ノズル11)の選択する第1スイッチ手段S1と、選択した圧電素子42に対する駆動電圧波形の通過・非通過(遮断)を選択するスイッチング手段430で構成される。なお、各圧電素子42のスイッチング手段430に接続された側と反対側は、GND又はほぼ一定の電圧であるCOMに接続されている。
【0050】
本実施形態では、第1スイッチ手段S1と、スイッチング手段430の第2スイッチ手段S2とは、それぞれ、レベルシフタ414を介して与えられるセレクタ413の出力でオン(ON)/オフ(OFF)するスイッチング素子としてのアナログスイッチである。
【0051】
スイッチング手段430は、ヘッド1が備えるノズル11毎に設けられ、各ノズル11に対応する圧電素子42の個別電極に接続されている。また、第1スイッチ手段S1には駆動波形生成部402からの共通駆動波形Vcomが入力されている。
【0052】
そして、レベルシフタ414を介して与えられるセレクタ413の出力に応じて、第1スイッチ手段S1で共通駆動波形Vcomが与えられるノズル11(圧電素子42)が選択される。この場合、共通駆動波形Vcomが複数の駆動波形(駆動パルス)を含むとき、1又は複数の駆動パルスを選択することで、ノズル11から吐出される滴の大きさなどを制御でき、異なるサイズの滴を吐出させることができる。
【0053】
ここで、第1スイッチ手段S1がON状態になっているとき、スイッチング手段430の第2スイッチ手段S2のON/OFF(オン/オフ)が切り替えられることにより、共通駆動波形Vcomの通過・非通過(遮断)が選択されて、各ノズル11に対応する圧電素子42に印加される波形が調整(トリミング)される。
【0054】
吐出タイミング生成部404は、ロータリエンコーダ405の検出結果から、シート材Pが所定量移動される毎に吐出タイミングパルスstbを生成して出力する。ロータリエンコーダ405は、シート材Pの移動に応じて回転するエンコーダホイールと、エンコーダホイールのスリットを読取るエンコーダセンサで構成される。
【0055】
次に、本発明の第1実施形態について図12及び図13を参照して説明する。図12は同実施形態におけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチアレイ部分の説明図、図13は同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
【0056】
本実施形態では、スイッチアレイ415は、各ノズル11毎の第1スイッチ手段S1に直列接続されたスイッチング手段430を有している。スイッチング手段430は、ヘッド1の圧電素子42に対する駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomの通過及び非通過を選択するスイッチング手段であり、第2スイッチ手段S2とダイオードDとの並列回路とを含む。
【0057】
そして、共通駆動波形Vcomは、第1スイッチ手段S1を介して第2スイッチ手段S2とダイオードDとの並列回路(スイッチング手段430)に入力され、圧電素子42の個別電極側にトリミング後の駆動波形Vtが印加される。
【0058】
第1スイッチ手段S1は、圧電素子42に対する駆動電圧波形の印加及び非印加を選択する手段である。つまり、第1スイッチ手段S1は、駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを印加するノズル11を選択する手段である。なお、本実施形態では、第2スイッチ手段S2の前段側に第1スイッチ手段S1を配置しているが、第2スイッチ手段S2の後段側に第1スイッチ手段S1を配置することもできる。
【0059】
第2スイッチ手段S2は、トリミング用スイッチ手段である。第2スイッチ手段S2は、トリミングデータTDとカウンタ428のカウント値に基づいてON/OFF制御される。第2スイッチ手段S2は、第1スイッチ手段S1で共通駆動波形Vcomの印加が選択されたノズル11(圧電素子42)に対して、共通駆動波形Vcomのうちの通過させる波形部分を選択する。
【0060】
第2スイッチ手段S2と並列に接続されたダイオードDは、アノード側が第2スイッチ手段S2の共通駆動波形Vcomの入力側に、カソード側が圧電素子42の個別電極側にそれぞれ接続されている。
【0061】
したがって、ダイオードDは、駆動電圧波形の立ち下り波形要素(本実施形態では圧力室21を膨張させる膨張波形要素)に対して逆方向になる向きに接続されている。一方、ダイオードDは、駆動電圧波形の立ち上がり波形要素(本実施形態では圧力室21を収縮させる収縮波形要素)に対しては順方向になる。これにより、圧電素子42の保持電位以上の電位の立ち上がり波形要素はダイオードDを通過する。言い換えれば、ダイオードDを介して圧電素子42を充電する。
【0062】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図13(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0063】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、第1膨張波形要素a1と、第2膨張波形要素a2と、保持波形要素bと、収縮波形要素cとを時系列で含む。本実施形態では、第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも、時系列で後に配置されている。
【0064】
第1膨張波形要素a1は、基準電位(中間電位ともいう。)Veから電位V1まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1の立下り終了電位V1から電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。
【0065】
第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも単位時間当たりの変化量(以下、「スルーレート」ともいう。)が小さい波形要素である。言い換えれば、第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも立下り時定数trが大きい波形要素である。
【0066】
保持波形要素bは、第2膨張波形要素a2で立ち下がった電位V2を保持する。収縮波形要素cは、保持波形要素bで保持された電位V2から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0067】
このように構成した第1実施形態においては、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張工程よりもスルーレートが小さい第2膨張波形要素a2の時間領域をトリミングエリアとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態への遷移を制御する。第2スイッチ手段S2をOFF状態にすることで、共通駆動波形Vcomを非通過状態にする。
【0068】
例えば、図13(c)に示すように、第1膨張波形要素a1の立下り開始時点以前の時点t1で第2スイッチ手段S2をON状態にする。そして、第2膨張波形要素a2の立下り開始時点以後であって、第2膨張波形要素a2の立下り終了時点以前の時点で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0069】
これにより、図13(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形(トリミング波形)Vtは、第2スイッチ手段S2がOFF状態にされた時の電位に保持された後、保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0070】
例えば、図13(c)の時点t2で、破線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図13(b)に破線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t2の電位に保持され、この保持された電位から立ち上がる波形となる。
【0071】
また、図13(c)の時点t3で、一点鎖線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図13(b)に一点鎖線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t3の電位に保持され、この保持された電位から立ち上がる波形となる。
【0072】
また、図13(c)の時点t4で、実線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図13(b)に実線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t4の電位V2に保持され、この保持された電位から立ち上がる波形となる。
【0073】
このように、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張によりノズル11のメニスカスを引き込むメニスカス引込工程Mrの後、スルーレートを小さくした電圧降下部となる第2膨張波形要素a2を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内でトリミング用スイッチ手段S2をON状態(通過状態)からOFF状態(非通過状態)にするタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0074】
メニスカス引込工程Mrでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0075】
次に、本発明の第2実施形態について図14を参照して説明する。図14は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0076】
本実施形態におけるヘッドドライバのスイッチアレイ部分の構成は前記第1実施形態(図12)と同様とする。
【0077】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図14(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0078】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、第1膨張波形要素a1と、第2膨張波形要素a2と、収縮波形要素cとを時系列で含む。
【0079】
第1膨張波形要素a1は、基準電位Veから電位V1まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1の立下り終了電位V1から電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。
【0080】
第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりもスルーレート(単位時間当たりの変化量)が小さい波形要素である。言い換えれば、第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも立下り時定数trが大きい波形要素である。
【0081】
収縮波形要素cは、第2膨張波形要素a2で立ち下がった電位V2から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。つまり、第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1と収縮波形要素cとを架橋している。
【0082】
このように構成した第2実施形態においては、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張工程よりもスルーレートが小さい第2膨張波形要素a2の時間領域をトリミングエリアとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態への遷移を制御する。第2スイッチ手段S2をOFF状態にすることで、共通駆動波形Vcomを非通過状態にする。
【0083】
例えば、図14(c)に示すように、第1膨張波形要素a1の立下り開始時点以前の時点t1で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2膨張波形要素a1の立下り開始時点以後であって、第2膨張波形要素a1の立下り終了時点以前の時点で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0084】
これにより、図14(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、第2スイッチ手段S2がOFF状態にされた時の電位に保持された後、保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0085】
例えば、図14(c)の時点t2で、破線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図14(b)に破線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t2の電位に保持され、この保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0086】
また、図14(c)の時点t3で、一点鎖線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図14(b)に一点鎖線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t3の電位に保持され、この保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分から立ち上がる波形となる。
【0087】
また、図14(c)の時点t4で、実線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図14(b)に実線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t4の電位に保持され、この保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0088】
このように、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張によりノズル11のメニスカスを引き込むメニスカス引込工程Mrの後、スルーレートを小さくした電圧降下部となる第2膨張波形要素a2を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内でトリミング用スイッチ手段S2をON状態(通過状態)からOFF状態(非通過状態)するタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0089】
メニスカス引込工程Mrでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0090】
そして、本実施形態では、前記第1実施形態の保持波形要素bを持たないので、第2膨張波形要素a2の単位時間当たりの変化量を第1実施形態よりも更に小さくできる。これにより、第2スイッチ手段S2のOFFタイミングのずれ量に対する吐出特性のずれをより小さくできる。
【0091】
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。図15は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0092】
本実施形態におけるヘッドドライバのスイッチアレイ部分の構成は前記第1実施形態(図12)と同様とする。
【0093】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図15(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0094】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、第1膨張波形要素a1と、第2膨張波形要素a2と、保持波形要素bと、収縮波形要素cとを時系列で含む。
【0095】
第1膨張波形要素a1は、基準電位Veから電位V1まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1の立下り終了電位V1から電位V2まで段階的に立ち下がって圧力室21を膨張させる。
【0096】
第2膨張波形要素a2は、電位V1を保持する電位保持部部分である波形要素a21と、電位V3(V3<V1)を保持する電位保持部部分である波形要素a22とを含む。
【0097】
保持波形要素bは、第2膨張波形要素a2で立ち下がった電位V2を保持する。
【0098】
収縮波形要素cは、保持波形要素bで保持された電位V2から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0099】
このように構成した第3実施形態においては、第1膨張波形要素a1で立ち下がった後の第2膨張波形要素a2の電位保持部分の時間領域をトリミングエリアTaとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態への遷移を制御する。第2スイッチ手段S2をOFF状態にすることで、共通駆動波形Vcomを非通過状態にする。
【0100】
例えば、図15(c)に示すように、第1膨張波形要素a1の立下り開始時点以前の時点t1で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2膨張波形要素a2の電位保持部分である波形要素a21、a22のいずれかの時点、又は保持波形要素bのいずれかの時点で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0101】
これにより、図15(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、第2スイッチ手段S2がOFF状態にされた時の電位に保持された後、保持された電位以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0102】
例えば、図15(c)の時点t2で、破線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図15(b)に破線で示すように、第2膨張波形要素a2の波形要素a21の時点t2の電位V1に保持され、この保持された電位V1以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0103】
また、図15(c)の時点t3で、一点鎖線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図15(b)に一点鎖線で示すように、第2膨張波形要素a2の波形要素a22の時点t3の電位V3に保持され、この保持された電位V3以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0104】
また、図15(c)の時点t4で、実線で示すように、第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。このとき、駆動波形Vtは、図15(b)に実線で示すように、保持波形要素b1の時点t4の電位V2に保持され、この電位V2以上の収縮波形要素cの波形部分に従って立ち上がる波形となる。
【0105】
このように、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張によりノズル11のメニスカスを引き込むメニスカス引込工程Mrの後、段階的に圧力室21を膨張させる電圧降下部となる第2膨張波形要素a2を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内で、第2膨張波形要素a2の電位保持部分でトリミング用スイッチ手段S2をON状態からOFF状態するタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0106】
メニスカス引込工程Mrでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaの電位保持部分での第2スイッチ手段S2のOFFタイミングが数十nsずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0107】
次に、本発明の第4実施形態について図16及び図17を参照して説明する。図16は同実施形態におけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチ部分の説明図、図17は同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
【0108】
本実施形態では、スイッチアレイ415は、各ノズル11毎の第1スイッチ手段S1に直列接続されたスイッチング手段430を有している。スイッチング手段430は、第2スイッチ手段S2とダイオードDとの並列回路とを含む。
【0109】
そして、共通駆動波形Vcomは、第1スイッチ手段S1を介して第2スイッチ手段S2とダイオードDとの並列回路(スイッチング手段430)に入力され、圧電素子42の個別電極側にトリミング後の駆動波形Vtが印加される。
【0110】
第1スイッチ手段S1は、圧電素子42に対する駆動電圧波形の印加及び非印加を選択する手段である。つまり、第1スイッチ手段S1は、駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを印加するノズル11を選択する手段である。なお、本実施形態では、第2スイッチ手段S2の前段側に第1スイッチ手段S1を配置しているが、第2スイッチ手段S2の後段側に第1スイッチ手段S1を配置することもできる。
【0111】
第2スイッチ手段S2は、ヘッド1の圧電素子42に対する駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomの通過及び非通過を選択するスイッチング手段としてのトリミング用スイッチ手段である。第2スイッチ手段S2は、トリミングデータTDとカウンタ428のカウント値に基づいてON/OFF制御される。第2スイッチ手段S2は、第1スイッチ手段S1で共通駆動波形Vcomの印加が選択されたノズル11(圧電素子42)に対して、共通駆動波形Vcomのうちの通過させる波形部分を選択する手段である。
【0112】
第2スイッチ手段S2と並列に接続されたダイオードDは、カソード側が第2スイッチ手段S2の共通駆動波形Vcomの入力側に、アノード側が圧電素子42の個別電極側にそれぞれ接続されている。
【0113】
したがって、ダイオードDは、駆動電圧波形の立ち上がり波形要素(本実施形態では圧力室21を収縮させる収縮波形要素)に対して逆方向になる向きに接続されている。一方、ダイオードDは、駆動電圧波形の立ち下がり波形要素(本実施形態では圧力室21を膨張させる膨張波形要素)及び立下り波形要素で立ち下がった電位を保持する保持波形要素に対しては順方向となり、膨張波形要素及び保持波形要素はダイオードDを介して圧電素子42に印加される。言い換えれば、圧電素子42の放電をダイオードDで行っている。
【0114】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図17(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0115】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、膨張波形要素aと、保持波形要素bと、第1収縮波形要素c1と、第2収縮波形要素c2とを時系列で含む。
【0116】
膨張波形要素aは、基準電位(中間電位ともいう。)Veから電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。保持波形要素bは、膨張波形要素aで立ち下がった電位V2を保持する。
【0117】
第1収縮波形要素c1は、保持波形要素bで保持された電位V2から電位V4まで立ち上がって圧力室21を収縮させる。第2収縮波形要素c2は、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了電位V4から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0118】
第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも単位時間当たりの変化量(スルーレート)が小さい波形要素である。言い換えれば、第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも立ち上がり時定数tfが大きい波形要素である。
【0119】
このように構成した第4実施形態においては、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮工程よりもスルーレートが小さい第1収縮波形要素c1の時間領域をトリミングエリアTaとして、第2スイッチ手段S2のOFF状態からON状態への遷移を制御する。第2スイッチ手段S2をOFF状態にすることで、共通駆動波形Vcomを非通過状態にする。
【0120】
例えば、図17(c)に示すように、第1収縮波形要素c1の立ち上がり開始時点以後であって、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了時点以前の時点で第2スイッチ手段S2をOFF状態からON状態にする。そして、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態からOFF状態にする。
【0121】
これにより、図17(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、第2スイッチ手段S2がON状態になった時に保持電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、立ち上がった電位以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0122】
例えば、図17(c)の時点t1で、破線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t4で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図17(b)に破線で示すように、時点t1で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t1以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0123】
また、図17(c)の時点t2で、一点鎖線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t4で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図17(b)に一点鎖線で示すように、時点t2で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t2以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0124】
また、図17(c)の時点t3で、実線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t4で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図17(b)に実線で示すように、時点t3で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t3以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0125】
このように、第1収縮波形要素c1による圧力室21の収縮によりノズル11のメニスカスを押し出すメニスカス押出工程Mfの前に、スルーレートを小さくした電圧上昇部となる第1収縮波形要素c1を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内でトリミング用スイッチ手段S2をOFF状態からON状態するタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0126】
メニスカス押出工程Mfでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0127】
次に、本発明の第5実施形態について図18及び図19を参照して説明する。図18は同実施形態におけるヘッドドライバの駆動電圧波形の調節を行うスイッチ部分の説明図、図19は同じく同実施形態の説明に供する説明図である。
【0128】
本実施形態では、スイッチアレイ415は、スイッチング手段である第2スイッチ手段S2を含む。そして、共通駆動波形Vcomは、第2スイッチ手段S2に入力し、圧電素子42の個別電極側にトリミング後の駆動波形Vtを印加する。つまり、本実施形態では、前記各実施形態におけるダイオードDを使用していない。
【0129】
第2スイッチ手段S2は、駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを印加するノズル11を選択する手段であるとともに、ヘッド1の圧電素子42に対する駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomの通過及び非通過を選択するスイッチング手段としてのトリミング用スイッチ手段である。
【0130】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図17(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0131】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、膨張波形要素aと、保持波形要素bと、第1収縮波形要素c1と、第2収縮波形要素c2とを時系列で含む。
【0132】
膨張波形要素aは、基準電位(中間電位ともいう。)Veから電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。保持波形要素bは、膨張波形要素aで立ち下がった電位V2を保持する。
【0133】
第1収縮波形要素c1は、保持波形要素bで保持された電位V2から電位V4まで立ち上がって圧力室21を収縮させる。第2収縮波形要素c2は、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了電位V4から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0134】
第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも単位時間当たりの変化量(スルーレート)が小さい波形要素である。言い換えれば、第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも立ち上がり時定数tfが大きい波形要素である。
【0135】
このように構成した第5実施形態においては、図19(c)に示すように、圧電素子42に共通駆動波形Vcomを印加するときには、膨張波形要素aを含む時点t1から時点t2までの間、第2スイッチ手段S2をON状態にする。
【0136】
これにより、図19(b)に示すように、共通駆動波形Vcomの膨張波形要素aが第2スイッチ手段S2を通過し、膨張波形要素aを含む駆動波形Vtが圧電素子42に印加されることになる。
【0137】
その後、前記第4実施形態と同様に、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮工程よりもスルーレートが小さい第1収縮波形要素c1の時間領域をトリミングエリアTaとして、第2スイッチ手段S2のOFF状態からON状態への遷移を制御する。第2スイッチ手段S2をOFF状態にすることで、共通駆動波形Vcomを非通過状態にする。
【0138】
例えば、図19(c)に示すように、第1収縮波形要素c1の立ち上がり開始時点以後であって、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了時点以前の時点で第2スイッチ手段S2をOFF状態からON状態にする。そして、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態からOFF状態にする。
【0139】
これにより、図19(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、第2スイッチ手段S2がON状態になった時に保持電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、立ち上がった電位以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0140】
例えば、図19(c)の時点t3で、破線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t6で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図19(b)に破線で示すように、時点t3で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t3以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0141】
また、図19(c)の時点t4で、一点鎖線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t6で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図17(b)に一点鎖線で示すように、時点t4で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t4以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0142】
また、図19(c)の時点t5で、実線で示すように、第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t6で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。このとき、駆動波形Vtは、図19(b)に実線で示すように、時点t5で電位V2から第1収縮波形要素c1の電位に立ち上がり、時点t5以後の第1収縮波形要素c1の波形部分及び第2収縮波形要素c2に従って立ち上がる波形となる。
【0143】
このように、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮によりノズル11のメニスカスを押し出すメニスカス押出工程Mfの前に、スルーレートを小さくした電圧上昇部となる第1収縮波形要素c1を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内でトリミング用スイッチ手段S2をOFF状態からON状態するタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0144】
メニスカス押出工程Mfでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0145】
そして、上述したように、共通駆動波形Vcomの印加/非印加の選択も第2スイッチ手段S2によって兼ねているので、前記各実施形態の第1スイッチ手段S1、ダイオードDが不要になり、小型化を図ることができる。
【0146】
次に、本発明の第6実施形態について図20を参照して説明する。図20は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0147】
本実施形態におけるヘッドドライバのスイッチアレイ部分の構成は前記第1実施形態(図12)と同様とする。
【0148】
本実施形態では、スイッチング手段430に対して、例えば、図20(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0149】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、第2膨張波形要素a2と、第1膨張波形要素a1と、保持波形要素bと、収縮波形要素cとを時系列で含む。本実施形態では、第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも、時系列で前に配置されている。
【0150】
第2膨張波形要素a2は、基準電位Veから電位V5まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。第1膨張波形要素a1は、第2膨張波形要素a2の立下り終了電位V5から電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。
【0151】
第2膨張波形要素a2は、第1膨張波形要素a1よりも単位時間当たりの変化量(スルーレート)が小さい波形要素である。
【0152】
保持波形要素bは、第1膨張波形要素a1で立ち下がった電位V2を保持する。
【0153】
収縮波形要素cは、保持波形要素bで保持された電位V2から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0154】
このように構成した第6実施形態においては、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張工程よりもスルーレートが小さい第2膨張波形要素a2の時間領域をトリミングエリアとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態への遷移を制御する。
【0155】
例えば、図20(c)に示すように、第2膨張波形要素a2の立下り開始時点以前の時点t1で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2膨張波形要素a2の開始時点以後であって、第2膨張波形要素a2の終了時点以前で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。そして、第1膨張波形要素a1の領域では第2スイッチ手段S2をON状態にする。
【0156】
これにより、図20(b)に示すように、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、第2スイッチ手段S2がOFF状態にされた時の電位に保持された後、保持された電位から第1膨張波形要素a1の開始電位V5に立ち下がる。そして、駆動波形Vtは、第1膨張波形要素a1の開始電位V5に立ち下がった後、共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0157】
例えば、図20(c)の時点t1で、第2スイッチ手段S2をON状態にし、破線で示すように、時点t2で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。そして、時点t4で、再度、第2スイッチ手段S2をON状態にし、時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0158】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図20(b)に破線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t2の電位に保持され、時点t4で第1膨張波形要素a1の開始電位V5に立ち下がった後、共通駆動波形Vcomも従って変化する波形となる。
【0159】
また、例えば、図20(c)の時点t1で、第2スイッチ手段S2をON状態にし、一点鎖線で示すように、時点t3で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。そして、時点t4で、再度、第2スイッチ手段S2をON状態にし、時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0160】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図20(b)に一点鎖線で示すように、第2膨張波形要素a2の時点t3の電位に保持され、時点t4で第1膨張波形要素a1の開始電位V5に立ち下がった後、共通駆動波形Vcomも従って変化する波形となる。
【0161】
また、例えば、図20(c)の時点t1で、第2スイッチ手段S2をON状態にし、実線で示すように、時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0162】
このときには、図20(b)に実線で示すように、共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0163】
このように、第1膨張波形要素a1による圧力室21の膨張によりノズル11のメニスカスを引き込むメニスカス引込工程Mrの前に、スルーレートを小さくした電圧降下部となる第2膨張波形要素a2を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTa内でトリミング用スイッチ手段S2をON状態からOFF状態するタイミングを調整することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0164】
メニスカス引込工程Mrでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングがずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のOFFタイミングがずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0165】
次に、本発明の第7実施形態について図21を参照して説明する。図21は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0166】
本実施形態におけるヘッドドライバのスイッチアレイ部分の構成は前記第5実施形態(図18)と同様とする。
【0167】
本実施形態では、スイッチング手段である第2スイッチS2に対して、例えば、図21(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0168】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、膨張波形要素aと、保持波形要素bと、第1収縮波形要素c1と、第2収縮波形要素c2とを時系列で含む。
【0169】
膨張波形要素aは、基準電位(中間電位ともいう。)Veから電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。保持波形要素bは、膨張波形要素aで立ち下がった電位V2を保持する。
【0170】
第1収縮波形要素c1は、保持波形要素bで保持された電位V2から電位V4まで立ち上がって圧力室21を収縮させる。第2収縮波形要素c2は、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了電位V4から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0171】
第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも単位時間当たりの変化量(スルーレート)が小さい波形要素である。言い換えれば、第1収縮波形要素c1は、第2収縮波形要素c2よりも立ち上がり時定数tfが大きい波形要素である。
【0172】
このように構成した第7実施形態においては、図21(c)に示すように、圧電素子42に共通駆動波形Vcomを印加するときには、膨張波形要素aを含む時点t1から第2スイッチ手段S2をON状態にし、少なくとも、第1収縮波形要素c1の開始時点より前まではON状態を維持する。
【0173】
これにより、図21(b)に示すように、共通駆動波形Vcomの膨張波形要素aが第2スイッチ手段S2を通過し、膨張波形要素aを含む駆動波形Vtが圧電素子42に印加されることになる。
【0174】
その後、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮工程よりもスルーレートが小さい第1収縮波形要素c1の時間領域を含む領域をトリミングエリアTaとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態と、OFF状態からON状態への遷移を制御する。
【0175】
例えば、図21(c)に破線で示すように、第1収縮波形要素c1の立ち上がり開始時点より前の時点t2で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。その後、第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0176】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図21(b)に破線で示すように、時点t2以後も電位V2に保持され、時点t4で電位V2から第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始電位V4に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、時点t4以後の共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0177】
また、図21(c)に一点鎖線で示すように、第1収縮波形要素c1の立ち上がり開始時点以降の時点t3で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。その後、第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0178】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図21(b)に一点破線で示すように、第1収縮波形要素c1の時点t3の電位まで立ち上がって保持され、時点t4で電位V2から第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始電位V4に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、時点t4以後の共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0179】
また、図21(c)に実線で示すように、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態に遷移する。
【0180】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図21(b)に実線で示すように、共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0181】
このように、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮によりノズル11のメニスカスを押し出すメニスカス押出工程Mfの前に、スルーレートを小さくした電圧上昇部となる第1収縮波形要素c1を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTaを含む領域内でトリミング用スイッチ手段S2をON状態からOFF状態にするタイミングを調整し、あるいは、ON状態を維持することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0182】
メニスカス押出工程Mfでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0183】
そして、上述したように、共通駆動波形Vcomの印加及び非印加の選択も第2スイッチ手段S2によって兼ねているので、第1スイッチ手段S1及びダイオードDが不要になり、小型化を図ることができる。
【0184】
次に、本発明の第8実施形態について図22を参照して説明する。図22は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0185】
本実施形態におけるヘッドドライバのスイッチアレイ部分の構成は前記第5実施形態(図18)と同様とする。
【0186】
本実施形態では、スイッチング手段である第2スイッチS2に対して、例えば、図22(a)に示す駆動電圧波形である共通駆動波形Vcomを入力する。
【0187】
共通駆動波形Vcomは、圧力室21の液体を加圧して吐出させる吐出波形であり、膨張波形要素aと、保持波形要素bと、第1収縮波形要素c1と、第2収縮波形要素c2とを時系列で含む。
【0188】
膨張波形要素aは、基準電位(中間電位ともいう。)Veから電位V2まで立ち下がって圧力室21を膨張させる。保持波形要素bは、膨張波形要素aで立ち下がった電位V2を保持する。
【0189】
第1収縮波形要素c1は、保持波形要素bで保持された電位V2から電位V4まで段階的に立ち上がって圧力室21を収縮させる。第1収縮波形要素c1は、電位V2から立ち上がった電位V6を保持する電位保持部分である波形要素c11と、電位V6から立ち上がった電位V4を保持する波形要素c12とを含む。
【0190】
第2収縮波形要素c2は、第1収縮波形要素c1の立ち上がり終了電位V4から基準電位Veまで立ち上がって圧力室21を収縮させ、ノズル11から液体を吐出させる。
【0191】
このように構成した第8実施形態においては、図22(c)に示すように、圧電素子42に共通駆動波形Vcomを印加するときには、膨張波形要素aを含む時点t1から第2スイッチ手段S2をON状態にし、少なくとも、第1収縮波形要素c1の開始時点より前まではON状態を維持する。
【0192】
これにより、図22(b)に示すように、共通駆動波形Vcomの膨張波形要素aが第2スイッチ手段S2を通過し、膨張波形要素aを含む駆動波形Vtが圧電素子42に印加されることになる。
【0193】
その後、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮工程よりもスルーレートが小さい第1収縮波形要素c1の時間領域を含む領域をトリミングエリアTaとして、第2スイッチ手段S2のON状態からOFF状態と、OFF状態からON状態への遷移を制御する。
【0194】
例えば、図22(c)に破線で示すように、第1収縮波形要素c1の波形要素c11の立ち上がり開始時点より前の時点t2で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。その後、第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0195】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図22(b)に破線で示すように、時点t2以後も電位V2に保持され、時点t4で電位V2から第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始電位V4に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、時点t4以後の共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0196】
また、図22(c)に一点鎖線で示すように、第1収縮波形要素c1の波形要素c12が電位V6を保持している時点t3で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。その後、第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始時点t4で第2スイッチ手段S2をON状態にし、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0197】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図22(b)に一点破線で示すように、電位V2から第2収縮波形要素c2の時点t3の電位V6まで立ち上がり、時点t4で電位V6から第2収縮波形要素c2の立ち上がり開始電位V4に立ち上がる。そして、駆動波形Vtは、時点t4以後の共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0198】
また、図22(c)に実線で示すように、第2収縮波形要素c2の立ち上がり終了時点以後の時点t5で第2スイッチ手段S2をOFF状態にする。
【0199】
このとき、圧電素子42に印加される駆動波形Vtは、図21(b)に実線で示すように、共通駆動波形Vcomに従って変化する波形となる。
【0200】
このように、第2収縮波形要素c2による圧力室21の収縮によりノズル11のメニスカスを押し出すメニスカス押出工程Mfの前に、スルーレートを小さくした電圧上昇部となる第1収縮波形要素c1を設けてトリミングエリアTaとする。そして、トリミングエリアTaを含む領域内でトリミング用スイッチ手段S2をOFF状態からON状態するタイミングを調整し、あるいは、ON状態を維持することで、駆動電圧波形(共通駆動波形Vcom)のトリミングを実施する。
【0201】
メニスカス押出工程Mfでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量に対して、トリミングエリアTaでの第2スイッチ手段S2のONタイミングがずれた時の電圧変化量は、遥かに小さくなる。これにより、吐出特性が大きくずれないので、吐出特性の変動を低減できる。
【0202】
そして、上述したように、共通駆動波形Vcomの印加及び非印加の選択も第2スイッチ手段S2によって兼ねているので、第1スイッチ手段S1、ダイオードDが不要になり、小型化を図ることができる。
【0203】
なお、圧電定数d33モードを利用して吐出を行う場合などは、以上説明したように、駆動電圧波形の電圧降下でメニスカス引込工程、電圧上昇でメニスカス押し出し工程となる。圧電定数d31モードを利用して吐出を行う場合などは、駆動電圧波形の電圧上昇でメニスカス引込工程、電圧降下でメニスカス押し出し工程となるため、駆動電圧波形の上下関係を逆にしても、放電と充電を逆に読み替えて、上記実施形態を適用することができる。
【0204】
また、以上の実施形態において、トリミングは、普通、複数ノズルの滴速度や滴重量を合わせることだけでなく、他よりも滴サイズを大きくするなど、他と揃える場合以外も含むものである。
【0205】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0206】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)以外の容量型アクチュエータを使用するものも含まれる。
【0207】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0208】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0209】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0210】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0211】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0212】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0213】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0214】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0215】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0216】
1 ヘッド
10 ノズル板
11 ノズル
20 個別流路部材
21 圧力室
22 個別供給流路
23 個別回収流路
30 振動板部材
42 圧電素子
50 共通流路部材
100 ヘッドモジュール
400 ヘッド駆動制御装置
401 ヘッド制御部
402 駆動波形生成部
403 波形データ格納部
410 ヘッドドライバ
413 セレクタ
415 スイッチアレイ
430 スイッチング手段
S1 第1スイッチ手段
S2 第2スイッチ手段
D ダイオード
500 印刷装置(液体を吐出する装置)
550 ヘッドユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22