(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】スタンド、スタンドシステム、及び表示装置用回転ユニット
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241008BHJP
A47B 97/04 20060101ALI20241008BHJP
F16M 11/00 20060101ALI20241008BHJP
F16M 11/10 20060101ALI20241008BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G09F9/00 351
A47B97/04 A
F16M11/00 Z
F16M11/10 P
H04N5/64 581M
(21)【出願番号】P 2020203381
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2020020094
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 正道
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0014790(US,A1)
【文献】中国実用新案第208418022(CN,U)
【文献】特開2019-219540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 97/04
B43L 1/00-27/04
F16B 1/00-1/04
F16M 1/00-13/08
G09F 9/00-9/46
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を懸架するスタンドであって、
複数の支柱、及び該複数の支柱間を連結する取付け板を有するスタンド機構と、
前記表示装置を着脱せずに横長に支持された横長状態と縦長に支持された縦長状態とに変更させることができる回転ユニットと、を備えており、
前記回転ユニットは、
前記スタンド機構に対して固定される回転ユニット固定部、及び
前記表示装置の背面に固定され、前記表示装置と一緒に可動する回転ユニット可動部を有しており、
前記回転ユニット固定部は、2つ以上の孔が形成された固定板と、2つ以上の孔が形成された大スペーサと、1つにつき1つの孔が形成された2つ以上の小スペーサと、を有し、
前記回転ユニット可動部は、2つ以上の孔が形成された摺動平面部を有しており、
前記摺動平面部の、背面を前記大スペーサに面接触させ、前記2つ以上の孔周囲の表面を前記2つ以上の小スペーサ
に面接触させた状態で、軸部を有する2つの以上の第1の締結具の前記軸部を、前記固定板、前記大スペーサ、及び前記摺動平面部の2つ以上の孔と、前記2つ以上の小スペーサの各孔に挿通させて、それぞれ、穴部を有する第2の締結具と締結することで前記固定板と前記摺動平面部とを連結させ、
前記大スペーサは、前記表示装置の回転とともに前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の位置が移動する間、前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の背面側の周囲と、表面が接触し続ける、
スタンド。
【請求項2】
前記大スペーサには3つの孔が形成されており、
前記摺動平面部に形成される、前記2つ以上の孔は、
前記大スペーサの孔と略同一の大きさの回転中心となる中心孔と、
前記回転中心の孔から同一の距離にある、2つの円弧状の溝孔と、を含んでおり、
前記小スペーサは、前記中心孔と、前記2つの円弧状の溝孔に面接触するように、3つ設けられ、
3つの第1の締結具を、前記固定板及び前記大スペーサの3つの孔と、前記摺動平面部の前記中心孔と前記2つの円弧状の溝孔に挿通させ、3つの第2の締結具によって前記固定板と前記摺動平面部とを締結する、
請求項1に記載のスタンド。
【請求項3】
前記回転ユニットにおいて、
前記回転ユニット可動部は、前記横長状態における、幅方向において前記摺動平面部を外側から挟む支持板を有しており、
前記回転ユニット固定部において、前記大スペーサよりも回転の外側であって、前記固定板から表面側に起立する複数のブッシュ部材が設けられ、
前記複数のブッシュ部材の各ブッシュ部材は、前記表示装置が横長状態又は縦長状態の場合に、前記支持板の背面と近接する、
請求項1又は2に記載のスタンド。
【請求項4】
前記複数のブッシュ部材は、
前記大スペーサを挟んで左右に設けられる左右ブッシュ部材と、
前記大スペーサを挟んで上下に設けられる上下ブッシュ部材と、を有しており、
前記表示装置が横長状態の場合に、前記左右ブッシュ部材が、前記回転ユニット可動部の前記支持板の背面と近接し、
前記表示装置が縦長状態の場合に、前記上下ブッシュ部材が、前記支持板の背面と近接する、
請求項3に記載のスタンド。
【請求項5】
前記回転ユニットの前記回転ユニット固定部には、前記回転ユニット可動部の一部と係合することで、前記表示装置を横長状態又は縦長状態のいずれかで固定する、回転ロックレバーが設けられている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスタンド。
【請求項6】
前記回転ロックレバーは、前記大スペーサよりも回転の外側の上側又は下側において、前記固定板に連結されて水平方向に延伸しており、
前記回転ロックレバーは、L字状のフック部材を有しており、
前記回転ユニット可動部は、前記表示装置が前記横長状態における、左右方向において前記摺動平面部を外側から挟む支持板と、前記横長状態の場合の、前記摺動平面部と前記支持板を上下から支持する支持枠と、前記摺動平面部と両側の前記支持板との境界を仕切る仕切り枠と、を有しており、
前記フック部材が、前記支持枠に形成された第1の孔及び前記仕切り枠に形成された孔に挿入し、前記フック部材の先端が、前記支持枠の前記孔周囲の延伸面の一部と近接することで、前記表示装置の縦長状態からの回転を抑止する、
請求項5に記載のスタンド。
【請求項7】
前記回転ユニット可動部は、前記摺動平面部と両側の前記支持板との境界を仕切る仕切り枠を有しており、
前記フック部材が、前記支持枠に形成された第2の孔に挿入され、前記フック部材の先端が該第2の孔の一端と近接することで、前記表示装置の縦長状態からの回転を抑止する、
請求項6に記載のスタンド。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスタンドと、
前記スタンドに懸架される表示装置と、を有する、
表示装置スタンドシステム。
【請求項9】
表示装置の背面に装着されてスタンドに取りつけられることで、前記表示装置を着脱せずに横長に支持された横長状態と縦長に支持された縦長状態とに変更させることができる表示装置用回転ユニットであって、
表示装置用回転ユニットは、
前記スタンドに対して固定される回転ユニット固定部、及び
前記表示装置の背面に固定され、前記表示装置と一緒に可動する回転ユニット可動部を有しており、
前記回転ユニット固定部は、2つ以上の孔が形成された固定板と、2つ以上の孔が形成された大スペーサと、1つにつき1つの孔が形成された2つ以上の小スペーサと、を有し、
前記回転ユニット可動部は、2つ以上の孔が形成された摺動平面部を有しており、
前記摺動平面部の、背面を前記大スペーサに面接触させ、前記2つ以上の孔周囲の表面を前記2つ以上の小スペーサ
に面接触させた状態で、軸部を有する2つの以上の第1の締結具の前記軸部を、前記固定板、前記大スペーサ、及び前記摺動平面部の2つ以上の孔と、前記2つ以上の小スペーサの各孔に挿通させて、それぞれ、穴部を有する第2の締結具と締結することで前記固定板と前記摺動平面部とを連結させ、
前記大スペーサは、前記表示装置の回転とともに前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の位置が移動する間、前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の背面側の周囲と、表面が接触し続ける、
表示装置用回転ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モニター、インタラクティブ・ホワイトボード、電子黒板等の表示装置(ディスプレイ)を支持するスタンド、表示装置とスタンドとを有するスタンドシステム、及び表示装置用回転ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
大型の表示装置(例えば、30インチ以上のディスプレイや、インタラクティブ・ホワイトボード、電子黒板等)を自立した状態で懸架する為に、懸架用スタンドが存在することは既に知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、重量部を下方後方に設置して、全体の重心をなるべく下方後方になるようにすることで、表示装置画面に対する前脚の飛出し量を少なくし、設置スペースをより小さくする工夫がなされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、大型の表示装置に対するユーザの使用方法が多様化しており、表示装置を横長状態(横向き)や縦長状態(縦向き)に手動で変更したいという要望が高まっている。
【0005】
その為、特定のユーザには、表示装置の回転を可能にする回転ユニットを別売りオプションとして提供して、この要望に応える対応が行なわれる。しかし、別売りオプションの回転ユニットは、手動で表示装置を縦長状態や横長状態に変更できるという付加価値がある反面、不安定で、ちょっとした負荷をかけるとガタついてしまい、特に表示装置がインタラクティブ・ホワイトボードや電子黒板の場合に、文字や図等を描く際に、ガタツキが発生するという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、表示装置に対して筆記する際のガタツキの発生を抑制することができる、表示装置を回転可能なスタンドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
表示装置を懸架するスタンドであって、
複数の支柱、及び該複数の支柱間を連結する取付け板を有するスタンド機構と、
前記表示装置を着脱せずに横長に支持された横長状態と縦長に支持された縦長状態とに変更させることができる回転ユニットと、を備えており、
前記回転ユニットは、
前記スタンド機構に対して固定される回転ユニット固定部、及び
前記表示装置の背面に固定され、前記表示装置と一緒に可動する回転ユニット可動部を有しており、
前記回転ユニット固定部は、2つ以上の孔が形成された固定板と、2つ以上の孔が形成された大スペーサと、1つにつき1つの孔が形成された2つ以上の小スペーサと、を有し、
前記回転ユニット可動部は、2つ以上の孔が形成された摺動平面部を有しており、
前記摺動平面部の、背面を前記大スペーサに面接触させ、前記2つ以上の孔周囲の表面を前記2つ以上の小スペーサに面接触させた状態で、軸部を有する2つの以上の第1の締結具の前記軸部を、前記固定板、前記大スペーサ、及び前記摺動平面部の2つ以上の孔と、前記2つ以上の小スペーサの各孔に挿通させて、それぞれ、穴部を有する第2の締結具と締結することで前記固定板と前記摺動平面部とを連結させ、
前記大スペーサは、前記表示装置の回転とともに前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の位置が移動する間、前記摺動平面部の前記2つ以上の孔の背面側の周囲と、表面が接触し続ける、
スタンド、を提供する。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、表示装置を回転可能な表示装置用スタンドにおいて、表示装置に対して筆記する際のガタツキの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のディスプレイスタンドシステムの全体図。
【
図2】本発明のディスプレイスタンドシステムの分解斜視図。
【
図3】本発明のディスプレイスタンドシステムの組立てを説明する図。
【
図5】本発明の回転取付け機構のユニット固定部及びブラケットの斜視図。
【
図6】本発明の固定部に対する回転ユニット可動部の回転を説明する図。
【
図7】ディスプレイが横長状態及び縦長状態のときのブッシュ部材の位置を説明する図。
【
図8】ディスプレイが横長状態のときのロック部材の説明図。
【
図9】ディスプレイが縦長状態のときのロック部材の説明図。
【
図10】ディスプレイスタンドシステムに対するロック部材の位置を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
本発明は、ディスプレイスタンド、該ディスプレイスタンドを備えるディスプレイスタンドシステムに関するものであって、本発明のディスプレイ用スタンドが懸架可能なディスプレイとして例えば、下記のものが想定しうる。
【0012】
ディスプレイは、例えば、ホワイトボード、黒板、カンバス等のアナログの板であってもよく、あるいは、インタラクティブ・ホワイトボード、インタラクティブフラットパネルディスプレイ、タッチパネル等の電子パネル(デジタルボード)である入力可能な表示装置、あるいは、モニター、テレビ等の受動的な表示装置であってもよい。以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0013】
<全体図>
図1は、本発明のディスプレイスタンドシステムの全体図である。詳しくは、
図1に示す本発明に係るディスプレイスタンドシステム200において、(a)はディスプレイ1が横長状態の正面側斜視図であり、(b)はディスプレイ1が縦長状態の正面側斜視図である。
【0014】
表示装置であるディスプレイ1が、ディスプレイスタンド(ディスプレイ用スタンド、スタンドともいう)100に装着されることで、ディスプレイスタンドシステム(スタンドシステムともいう)200になる。
【0015】
通常、会議、授業や打ち合わせ等で利用されるインタラクティブ・ホワイトボード、いわゆる電子黒板装置等で使用されるモニターやディスプレイ等の表示装置や入力画面であるディスプレイ1は、専用のスタンドによって懸架・保持されている。
【0016】
そして、ディスプレイ1を縦長状態(縦向き)及び横長状態(横向き)のどちらの向きで使用したいかに応じて状態を変えられるように、ディスプレイ1が回転可能に保持することが、ディスプレイスタンド100に求められている。
【0017】
図1(a)のようにディスプレイ1を横長状態に配置することで、使用者は一般的なアナログのホワイトボードや、黒板と同じような使い方で、ディスプレイ1に対して筆記することが可能である。
【0018】
図1(b)のようにディスプレイ1を縦長状態に配置することで、縦長の資料を表示する場合に、便利である。また、
図1(b)に示すように、ディスプレイ1を縦長状態にすることで、ディスプレイ1の幅は、ディスプレイ1を支持する支柱51R,51Lの間隔とほぼ同じ幅にできる。そのため、展示会等のために、複数の同じ型のディスプレイスタンドシステム200を、荷積みして運ぶ場合も、横幅のスペースを取らずに積み込むことができる。
【0019】
図2は、本発明のディスプレイスタンドシステム200の分解斜視図である。
図3は、本発明のディスプレイスタンドシステム200の組立てを説明する図である。
【0020】
図2、
図3を用いて、ディスプレイスタンドシステム200の構成要素について説明する。
【0021】
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るディスプレイスタンドシステム200は、ディスプレイ1、回転ユニット2、ブラケット部材4、及びスタンド機構5を有している。そして、ディスプレイスタンドシステム200において、ディスプレイ1を除く部分が、ディスプレイスタンド100である。
【0022】
ディスプレイ1は、表示面11と、背面12とを有しており、側面に操作部13が設けられている。
図3(b)を参照して、背面12の四隅には、取っ手14a,14b,14c,14dが設けられている。また、背面12にはロック操作用溝15が形成されている。
【0023】
回転ユニット2は回転ユニット可動部20及び回転ユニット固定部30を有している。回転ユニット2の構成については、
図4とともに詳述する。
【0024】
ブラケット部材4は左右のブラケット41,42で構成されている。詳しくは、
図3(a)を参照して、ブラケット41(42)は、装置側取付け柱411(421)と、嵌合フック412,413、(422,423)、スタンド側取付け板414(424)を備えて構成されている。
【0025】
スタンド機構5は、支柱51R,51Lと、取付け板52と、支持板53R,53Lと、前面カバー54と、背面カバー55と、補強梁56(
図3(c)参照)と、ベース部57と、キャスター58a~58dと、キャスター止め59a~59dを有している。
【0026】
支柱51R,51Lの下側は、前後に分岐しており、下側傾斜支柱(51Ra,51Rb)、(51La,51Lb)となっている。また、これらの下端を接続するように下側支柱571R,571Lが設けられている。さらに、スタンド機構5は、下側支柱571R,571Lの間に、下端補強板572を有する。さらにまた、スタンド機構5は、支柱51R,51Lの下側に、補強荷台573を有する。
【0027】
上記ディスプレイスタンド100に対しては、一般的に小さく、軽く、そして移動しやすいことが求められる傾向にある。移動しやすさの因子としてベース部57の大きさ・重さが大きく寄与している。
【0028】
さらに、インタラクティブ・ホワイトボードや電子黒板等のディスプレイ1は、画像等の表示を行うと共に、使用者によるディスプレイ1に対する筆記動作を受ける。使用者による筆記に伴いディスプレイ1に荷重がかかるため、ディスプレイ1が懸架されたディスプレイスタンド100に対して、ある決められた荷重に対してディスプレイ1が動かないという安定性も求められる。
【0029】
そのため、ディスプレイスタンド100は、ディスプレイ1の正面からだけではなく、横方向及び背面からの荷重にも耐え得るように、ベース部57の大きさ・重さが設定されている。
【0030】
なお、下記において、支柱51R,51Lのように、左右で対となる部材であって、構成及び機能が略等しい部材については、末尾にR,Lを付して示す。なお、組立ての際は、
図3のように背面側から見て組み立てるため、背面側から見て右側であって正面から見て左側の部材をR、背面から見て左側であって正面から見て右側の部材をLと示している。他の部材でも同様である。
【0031】
図2及び
図3を参照して、本発明のディスプレイスタンドシステム200の組立てについて説明する。
【0032】
最初に、
図2及び
図3(a)を参照して、取付け部である左右のブラケット41,42の装置側取付け柱411,421を、回転ユニット2の回転ユニット固定部30の裏側にネジ係合して取りつけ、左右のブラケット41,42を回転ユニット2と一体化した回転取付け機構6とする。
【0033】
その後、
図2及び
図3(b)を参照して、回転取付け機構6の回転ユニット可動部20の可動側支柱23R,23Lを、ディスプレイ1の背面12にネジ係合して取りつけ、回転取付け機構6をディスプレイ1と一体化して、取付け機構付きディスプレイ7とする。
【0034】
そして、
図2及び
図3(c)を参照して、取付け機構付きディスプレイ7のブラケット41,42の嵌合フック412,413(422,423)を、スタンド機構5の取り付け板52の上端に架けることで位置決めした後、スタンド機構5の背面カバー55を外し、ブラケット41,42をスタンド機構5の取り付け板52に取りつける。
【0035】
そして、一旦取り外していた背面カバー55を、スタンド機構5の支柱51R,51L及び支持板53R,53Lに取りつける。
【0036】
なお、
図3では、ディスプレイ1の背面に、回転ユニット2を装着する場合の取りつけ手順について示しているが、回転ユニット2が不要な場合は、ディスプレイ1の背面12にブラケット41,42を取りつけ、ブラケット付きディスプレイを、スタンドに装着することもできる。即ち、回転ユニット2は、必要な場合のみ、ディスプレイ1に取り付けて使用するオプション部材とすることもできる。
【0037】
図3のような、回転ユニット2の取り付け作業は、ディスプレイスタンド100に初めて表示装置1を懸架して使用するときのセッティングとして行う。
【0038】
一旦組み付けると、ディスプレイスタンド100に対してディスプレイ1を回転させることができるため、スタンド機構5に対してディスプレイ1の状態(横長/縦長の設置状態)を変えるときに、ディスプレイ1を着脱する必要がない。
【0039】
さらに、スタンド機構5には、支柱51R,51Lを支持するベース部57の下にキャスター58a~58dがついており、組立てた状態で、ディスプレイスタンドシステム200を移動させる(運ぶ)ことができる。なお、ディスプレイ1の左右方向の角度を調整したい場合は、ディスプレイスタンドシステム200全体の方向を、キャスター58a~58dによって調整する。
【0040】
この構成により、最初に組み立てた後は、構成要素の分解なく組み立てたままで、ディスプレイスタンドシステム200の移動及びディスプレイ1の手動による回転が、可能となる。
【0041】
なお、下記例では、手動により回転ユニットの可動部を固定部に対して回転可能な構成を説明するが、回転のユニットの回転は動力源からの動力を得て、自動で実施してもよい。
【0042】
ただし、以下では、動作や嵌合の説明のために、ディスプレイスタンドシステム200の各構成要素や、各ユニット内を分解して図示することもありうる。
【0043】
<回転取付け機構>
次に、
図4、
図5を用いて本発明の回転取付け機構6の詳細について説明する。
図4は、本発明の回転取付け機構6の分解斜視図である。
図5は、回転取付け機構6の回転ユニット固定部30及びブラケット41,42の斜視図である。
【0044】
回転ユニット2はスタンド機構5側に固定される回転ユニット固定部30と、ディスプレイ1側に締結され、ディスプレイ1と一緒に回転する回転ユニット可動部20とを有している。
【0045】
回転ユニット固定部30には、2本の、左右のブラケット41,42が取りつけられている。
【0046】
図4を参照して、回転ユニット可動部20は、スライド板21、支持板22R,22L、可動側支柱23R,23L、上下の支持枠24,25、及び仕切り枠26,27を有している。
【0047】
詳しくは、スライド板21の一面は、回転ユニット可動部20における、回転ユニット固定部30と接触する板状の平面領域(平面板金部)であって、回転時に、回転ユニット固定部30に対してスライドする摺動面となる。摺動平面部であるスライド板21には、貫通する3つの孔211,212,213が形成されている。孔211は、スライド板21の上下、左右の略中央に形成された中心孔であり、孔212,213は、中心孔211から同一距離上に形成される円弧状の溝孔(スライド孔)である。
【0048】
支持板22R,22Lは、スライド板21を、左右方向から挟み込んで支持する板状部材である。スライド板21と支持板22R,22Lの左右の境界に、仕切り枠26,27が設けられている。また、スライド板21及び支持板22R,22Lの全域を上下で挟むように、上下の支持枠24,25が設けられている。
【0049】
可動側支柱23R,23Lは、支持板22R,22Lとそれぞれ連結し、上下に延伸する棒状部材である。回転取付け機構6をディスプレイ1に装着する際は、
図3(a)で示したように、可動側支柱23R,23Lの表面を、ディスプレイ1の背面12に接触させてネジ係合する。
【0050】
一方、回転ユニット固定部30は、固定板31、背面側係止部32、ブッシュ部材33a~33h、ロック部材34、大スペーサ35、小スペーサ群36、表面側係止部37、及びナット係止部38を有している。
【0051】
固定板31は、孔311,312,313が形成された略正方形状の中央固定板310と、中央固定板310の四辺から上下左右に伸び出した、張り出し部314,315,316,317を含んで構成された板状部材である。
【0052】
背面側係止部32は、ナット321と、2つのボルト322,323を有している。
【0053】
ブッシュ部材33a~33hは、ゴム等の弾性部材であって、上下左右に2つずつ、計8つ設けられている。
図5に示すように、ブッシュ部材33a,33bは上側張り出し部314に横方向に並んで設けられ、ブッシュ部材33c,33dは下側張り出し部315に横方向に並んで設けられている。ブッシュ部材33e,33fは左側張り出し部316に上下に並んで設けられ、ブッシュ部材33g,33hは右側張り出し部317に上下に並んで設けられている。
【0054】
ロック部材34は、横方向に延伸する板状の部材であって、固定板31の上側張り出し部314に締結部材39R,39Lによって装着されている。ロック部材34は、固定板31に対して横方向に可動な部材である。ロック部材34の詳細については、
図8以降で詳述する。
【0055】
背面側スペーサである大スペーサ35は、回転ユニット固定部30における、回転ユニット可動部20と背面側から接触する平面領域となる面(表面)を有しており、この平面領域となる面は、回転時に、回転ユニット可動部20のスライド板21が接触しながら摺動する面である。そのため、大スペーサ35は、表裏の表面は滑らかで安定した摩擦係数を得ることができる素材で構成される。大スペーサ35は、例えば、POM(ポリアセタール)等の樹脂、又はリン青銅等の金属で構成される。また、大スペーサ35には、固定板31の3つの孔311,312,313と略同じ大きさの、3つの孔351,352,353が形成されている。また、大スペーサ35の孔351は、スライド板21の中心孔211とも、略同じ大きさである。
【0056】
図4に戻って、表面側の小スペーサ群36は、1つにつき1つの孔が形成された3つの小スペーサ361,362,363を有している。小スペーサ361,362,363は、それぞれ回転ユニット固定部30における、回転ユニット可動部20と表面側から接触する部材であって、回転時にスライド板21が接触して摺動する。
【0057】
そのため、小スペーサ361,362,363は、表裏の表面は滑らかで安定した摩擦係数を得ることができる素材、例えば、POM等の樹脂、又はリン青銅等の金属であって、3つとも同じ素材で構成される。
【0058】
表面側係止部37は、1つのボルト371と、2つのナット372,372を有している。ボルト371のネジ部は、小スペーサ361の孔、スライド板21の中心孔211、大スペーサ35の孔351、及び固定板31の孔311を貫通して、背面側係止部32のナット321と係合する。
【0059】
ナット372は、固定板31の孔312、大スペーサ35の孔352、スライド板21の溝孔212、小スペーサ362の孔を貫通してきた、背面側係止部32のボルト322のネジ部と係合する。ナット373は、固定板31の孔313、大スペーサ35の孔353、スライド板21の溝孔213、小スペーサ363の孔を貫通してきた、背面側係止部32のボルト323のネジ部と係合する。
【0060】
ナット係止部38は、3つの孔部381,382,383が形成されている、周り止め部材である。孔部381には、ボルト371のネジ部が挿通される。孔部382,383には、それぞれ、ナット372,373の外形が嵌まり込んでいる。ナット係止部38によって、背面側係止部のボルト322,323に対する、表面側係止部37のナット372,373の回転が規制される。
【0061】
回転ユニット2を組み立てる際、スライド板21を、大スペーサ35と、小スペーサ群36とで挟み込んで、背面側係止部32と、表面側係止部37とが係合することで、回転ユニット可動部20と回転ユニット固定部30とが連結される。
【0062】
そのため、背面側係止部32のボルト322,323のネジ部、及び、表面側係止部37のボルト371のネジ部が、表裏方向に貫通して回転ユニット可動部20と回転ユニット固定部30とを連結する状態における、連結軸となる。連結軸となるボルト371,322,323を、軸部を有する第1の締結具とし、ナット321,372,373を、穴部を有する第2の締結具とする。
【0063】
(スペーサと締結の位置)
図6は、固定部αに対する回転ユニット可動部20の回転を説明する図である。
組み立てられたディスプレイスタンドシステム200では、ディスプレイ1と回転ユニット可動部20の部分が回転部βとなり、スタンド機構5と左右のブラケット41,42と回転ユニット固定部30の部分が固定部αとなる。
【0064】
ディスプレイ1回転時、
図6に示すように、スライド板21が、連結軸371が挿通された中心孔211を軸として回転することで、回転ユニット可動部20は回転ユニット固定部30に対して回転する。この際、2つの連結軸322,323に対して、スライド板21の2つの溝孔212,213の位置が変化する。
【0065】
上述のように回転ユニット可動部20のスライド板21は、回転ユニット固定部30の大スペーサ35に面接触した状態で、小スペーサ361,362,363に挟まれて、連結軸となるボルト371,322,323、ナット321,372,373によって連結されることで、所定のトルクで締結される。
【0066】
ここで、スライド板21に設けられた溝孔212,213の形状によって、固定部αに対して回転ユニット可動部20の可動できる方向が定まる。
【0067】
また、大スペーサ35は、3箇所の小スペーサ361,362,363とボルトナット締結部である表面側係止部37(371,372,373)を包括した面積を有している。即ち、ディスプレイ1を手動で横長状態と縦長状態に切り替えるために回転させる際に、表面側の小スペーサ361,362,363とスライド板21とが接触する領域の背面側の全ての領域に、大スペーサ35が存在する。
【0068】
このため、スライド板21の、少なくとも表面側の3つの小スペーサ361,362,363と接触する領域の背面において、1つの大スペーサ35が面状に存在するため、大スペーサ35が一部に存在しないことでの段差が生じず、筆記時及び回転時のガタツキを発生させないという効果がある。
【0069】
さらに、大スペーサ35の面状部分は、ディスプレイ1とともにスライド板21の溝孔212,213が回転しても、大スペーサ35の表面と、スライド板21に形成された全ての孔211,212,213の背面側の周囲とが接触し続けるような大きさと形状を有している。
【0070】
この構成により、ディスプレイ1を手動で回転させる際に、溝孔212,213の位置がスライド板21とともに移動する間、スライド板21の3つの孔211,212,213の背面側の周囲は常に大スペーサ35が存在することになる。さらに、小スペーサ361,362,363は連結軸371,322,323を取り囲むように存在し、溝孔212,213は、固定された連結軸322,323に沿って移動するため、孔211,212,213における表面側の連結軸371,322,323の周囲は、常に、小スペーサ361,362,363が接触している。
【0071】
本実施形態の大スペーサ35の面状部分の大きさと形状について述べる。大スペーサ35の面状部分は、円弧状の溝孔である孔212,213それぞれの、孔211から遠い円弧部分をつないだ仮想的な円を考えたときに、その仮想的な円を覆う大きさを持つ円状である。即ち、大スペーサ35は、孔351を略中心とした円状形状であり、中央固定板310の四辺の内部に収まっている。この大きさと形状は一例であり、これに限られない。
【0072】
これにより、孔211,212,213において、連結軸371,322,323の周囲は、常に、背面側の大スペーサ35と、表面側の小スペーサ361,362,363に挟まれていることになるため、回転の際に連結領域の厚みが変化せず、ガタツキの発生を抑制することができる。
【0073】
ここで、連結軸の位置によって、ガタツキを発生させない仕組みを説明する。
【0074】
本実施形態では、軸部を有する第1の締結具である3つのボルト371,322,323が、回転の際の3箇所の連結軸となる例を示したが、連結軸は少なくとも2箇所以上あると好適である。
【0075】
まず、スライド板21の上下及び左右の略中央に、回転中心となる1つの中心軸(連結軸371)が挿通される中心孔211が設けられる。
【0076】
通常、回転するためには1つの回転軸があれば、回転機能が実現できるが、懸架するディスプレイ1が大型で且つ重いため、1点のみで支持すると、回転以外の力、例えば、中心に位置する回転軸から離れた位置に筆記のための力がかかると、ガタつく可能性がある。
【0077】
そこで、中心に位置する回転軸から離れた位置に筆記のための力がかかっても、ガタつく可能性を低くするために、回転軸となる中心軸と、少なくとも1つ、溝孔をスライドさせるためのスライド軸となる連結軸を設ける。
【0078】
例えば、左右方向におけるガタツキを押えたい場合は、回転軸となる中心軸371から横方向に異なる位置に、連結軸323を設けることで、中心軸371と連結軸323とが横方向に対して線状に締結することになり、横方向のガタツキを抑制する。
【0079】
一方、上下方向におけるガタツキを押えたい場合は、中心軸371から上下方向に異なる位置に、連結軸322又は323を設けることで、中心軸371と連結軸322、又は中心軸371と連結軸323とが、上下方向に線状に締結することになり、上下方向のガタツキを抑制する。
【0080】
例えば、中央部の締結部(371,321)と右下の締結部(373,323)を設けることで、2つの連結軸371,323を結んだ状態で傾斜した線状になるため、左右方向、上下方向において、軸を結んだ線Pが線状の領域になるため、上下、及び左右方向に対してはガタツキを押えることができる。
【0081】
しかし、結んだ線Pに対して直交する方向、例えば、
図6の右上や左下方向などの特定の斜め方向に対して筆記の力が掛かった場合、力の方向に対して連結軸371,323の位置が重なり、点状の締結と同じ機能になってしまう。そのため、2箇所の連結軸による締結では、このような特定の斜め方向において力が加わった場合に、ガタツキが抑えられない可能性がある。
【0082】
そこで、2つの軸を結んだ線Pから異なる部分に、もう一つ連結軸(上の締結部(372,322))を設けることで、中心軸と2つの連結軸の3点を結んだ線が面状になる。
【0083】
そのため、3箇所の連結軸371,322,323によって、スライド板21と固定部αとを面状に締結することで、上下方向、左右方向に加えて、斜め方向に、どのような力が加わった場合も、ガタツキを押えることができる。
【0084】
なお、2つのスライド用の連結軸が、中心軸371を挟んで180°離れていると、3箇所の連結軸371,322,323をつないだ部分が直線状になり、線状の締結となってしまい、不安定さが残るため、中心軸371と連結軸322を繋いだ線と、中心軸371と連結軸323を繋いだ線の角度が、90°よりも大きく、180°未満となるように設定されると好適である。
【0085】
この構成により、1箇所ではなく、2箇所、より好ましくは3箇所の連結軸によって、面状に回転ユニット可動部20と回転ユニット固定部30が連結されるため、ディスプレイ1に対して筆記により負荷がかかっても、ガタツキを押えることができる。
【0086】
さらに、この3点の連結軸371,332,323は、スライド板21とともに大スペーサ35を貫通しているため、連結軸371,332,323に対応した大きさの孔351,352,353を有する大スペーサ35が、スライド板21に、背面から接触している。この構成により、スライド板21が、大スペーサ35によって背面から3点で面状に圧力を受け、サポートされるという点でも、筆記時のガタツキの発生を抑制することができる。
【0087】
なお、3対の締結部(321,371)、(322,372),(323,373)は、ボルトとナットで構成したが、ボルトとナットは逆であってもよい。また、本例では、軸部を有する第1の締結具(連結軸)と穴部を有する第2の締結具の例として、ボルトとナットによる締結を説明したが、第1の締結具は、大小のスペーサとスライド板を貫通し、雄ネジ構造を有する他の軸部を有する締結具であってもよく、第2の締結具は雌ネジ構造を有する他の締結具であってもよい。穴部を有する第2の締結部は、六角ナットや蝶ネジのように貫通する孔部を有する締結部であってもよいし、あるいは、袋ナットのように貫通しない凹部を有する締結部であってもよい。
【0088】
(ブッシュ部材の位置)
図7は、ディスプレイ1が横長状態及び縦長状態のときのブッシュ部材の位置を説明する図である。
【0089】
図7(a)に示すように、ディスプレイ1が横長状態の場合は、左右のブッシュ部材33e,33f,33h,33gが、回転ユニット可動部20の、スライド板21を挟み込む支持板22R,22Lとそれぞれ近接する。
【0090】
横長状態で、例えば表示パネルとして使用する等、使用者がディスプレイ1に触れていない場合は、左右のブッシュ部材33e,33f,33h,33gと、支持板22L,22Rとは非接触である。一方、筆記の際に、左右のどちらかにおいて背面方向に圧力が掛かった場合に、ブッシュ部材(33e,33f)又は(33h,33g)の先端が、支持板22R,22Lと接触する。ブッシュ部材33e,33f,33h,33gのいずれかが支持板22R,22Lと当接することで、ディスプレイ1がそれ以上背面方向に押されなくなり、ディスプレイ1が背面方向に押される距離が短くなる。これにより、筆記中、ディスプレイ1と筆記具が接触したり離間したりする際の、ディスプレイ1のガタツキを抑止することができる。
【0091】
一方、
図7(b)に示すように、ディスプレイ1が縦長状態の場合は、上下のブッシュ部材33a,33b,33c,33dが、支持板22R,22Lと近接する。
【0092】
縦長状態で、表示パネルとして使用する等、使用者がディスプレイ1に触れていない場合は、左右のブッシュ部材33a,33b,33c,33dと、支持板22R,22Lとは非接触である。一方、筆記の際に、上下のどちらかにおいて背面方向に圧力が掛かった場合に、ブッシュ部材(33a,33b)又は(33c,33d)の先端が、支持板22R,22Lと接触する。ブッシュ部材33a,33b,33c,33dのいずれかが支持板22R,22Lと当接することで、ディスプレイ1が背面方向に押される距離が短くなり、筆記中の、ディスプレイ1のガタツキを抑止することができる。
【0093】
このように、ブッシュ部材33a~33fは、大スペーサ35よりも回転の外側の領域で、回転ユニット可動部20を押さえる。この構成により、実際に筆記などで使用するディスプレイ1が横長状態や縦長状態の場合のガタツキの発生をさらに抑えることができる。
【0094】
<ロック部材>
次に、
図8~
図10を用いて、ロック部材(回転ロックレバー)34の構成について説明する。
【0095】
図8は、ディスプレイ1が横長状態のロック部材の説明図である。
図9は、ディスプレイ1が縦長状態のロック部材の説明図である。
【0096】
回転ユニット固定部30に設けられるロック部材(下記、回転ロックレバーと呼ぶ)34は、回転ユニット可動部20の一部と係合することで、ディスプレイ1を横長状態又は縦長状態のいずれかで固定する、レバー状の部材である。
【0097】
詳しくは、回転ロックレバー34は、回転ユニット固定部30の、大スペーサ35よりも回転の外側であって上側の、固定板31の上側張り出し部314に連結され、水平方向に延伸している。なお、
図8では、横長状態において、上方向に回転ロックレバー34が設けられる例を示したが、回転ロックレバーは横長状態において、大スペーサ35の下側に設けられていてもよい。
【0098】
回転ロックレバー34は、水平方向に延伸する延伸レバー340と、L字状(鉤状)のフック部材341を有している。
【0099】
そして、延伸レバー340には、先端に操作孔342が形成され、固定板31と重なった領域に、ブッシュ用孔343が形成されている。操作孔342は、回転ロックレバー34操作時に使用者に把持されるための孔部である。ブッシュ用孔343は、延伸レバー340が移動しても、ブッシュ部材33bにぶつからないように形成された孔である。
【0100】
L字状のフック部材341は、延伸レバー340から下方に伸び出す立下り部341aと、先端の爪部341bとを有する。
【0101】
一方、回転ユニット可動部20の、上側の支持枠24には、第1の孔241と第2の孔242が形成されている。第1の孔241は、第2の孔242よりも延伸方向に長く形成されている。また、右側の仕切り枠26の上端近傍には、孔部261が形成されている。
【0102】
図8に示す横長状態において、(a)~(c)はロック状態を示し、(d)~(f)はロック解除状態を示す。
図8(b)、
図8(c)は、
図8(a)の部分拡大図である。
図8(e)、
図8(f)は、
図8(d)の部分拡大図である。
【0103】
回転ロックレバー34は、フック部材341が、支持枠24に形成された第1の孔241に挿入され、支持枠24の第1の孔241周囲の延伸面の一部と近接することで、ディスプレイ1の縦長状態からの回転を抑止する。詳しくは、
図8(b)、(c)に示すロック状態では、回転ロックレバー34のフック部材341が第1の孔241に挿入した後、先端の爪部341bが仕切り枠26の孔部261にも進入し、爪部341bの上面が支持枠24の下面(内側面)と対向して近接している。これにより、回転ユニット可動部20の回転が規制されている。この状態で、回転方向に力がかかると、爪部341bの上面と、上枠24の下面とが接触することで、回転が遮られ、回転が抑止される。
【0104】
一方、
図8(d)~
図8(f)に示すロック解除状態では、フック部材341は、第1の孔241に挿入されているが、爪部341bは、第1の孔241の範囲内にあり、支持枠24と対向しない位置にある。この状態で、回転方向に力がかかると、回転を遮るものがないため、
図8(f)に示すように回転が進む。
【0105】
一方、
図9に示す縦長状態において、(a)~(c)はロック状態を示し、(d)~(e)はロック解除状態を示す。
図9(b)、
図9(c)は、
図9(a)の部分拡大図である。
図9(e)は、
図9(d)の部分拡大図である。
【0106】
回転ロックレバー34は、フック部材341が、支持枠(上枠)24に形成された第2の孔242に挿入され、第2の孔242の一端と近接することで、ディスプレイ1の縦長状態からの回転を抑止する。詳しくは、
図9(b)、(c)に示すように、フック部材341の爪部341bが支持枠24の第2の孔242に進入した後の、先端の爪部341bの上面が、第2の孔242の上端と対向して近接している。これにより回転ユニット可動部20の回転が規制されている。この状態で、回転方向に力がかかると、爪部341bの上面と、支持枠24の第2の孔242の上端とが接触することで、回転が遮られ、回転が抑止される。
【0107】
一方、
図9(d)~
図9(e)に示すロック解除状態では、フック部材341は、第2孔部に進入しておらず、爪部341bも、仕切り枠27及び、支持枠24の外側に位置している。この状態で、回転方向に力がかかると、回転を遮るものがないため、回転が進む。
【0108】
図10は、回転時のロックレバーの操作の説明図である。
【0109】
図10に示すように、背面側から見て、回転ロックレバー34の操作端(操作孔342)は、支柱51Rの外側に横方向に突出し、背面側から操作できる構成となっている。
【0110】
ディスプレイ1が横長状態の時(
図10(a))に回転ロックレバーを、OFF方向に引っ張るとロックが解除されて(
図10(e)⇒
図10(d))、フック部材341による回転規制が解除され、ディスプレイ1を回転できるようになる(
図10(a)⇒
図10(b))。そして、回転を続けてディスプレイ1を横長状態(横向き)から縦長状態(横向き)に切り替える(
図10(b)⇒
図10(c))。
【0111】
そして、縦長状態に到達したら、回転ロックレバー34をON方向に押し込み、ロック状態にする(
図10(f)⇒
図10(g))。
【0112】
逆に、ディスプレイ1を、縦長状態から横長状態へ切り替える時は、回転ロックレバー34を引っ張りロック解除してから(
図10(g)⇒
図10(f))、ディスプレイ1を回転させて横長状態に切り替える(
図10(c)⇒
図10(b))。ディスプレイ1が横長状態に到達したら(
図10(b)⇒
図10(a))、再び回転ロックレバー34を押し込みロック状態にする(
図10(d)⇒
図10(e))。
【0113】
なお、
図10(a)、(d),(e)に示すように、ディスプレイ1が横長状態の場合は、回転ロックレバー34の操作端は、背面12の厚みのある領域に対向して近接しているため、ディスプレイ背面12に干渉されずに回転ロックレバー34を操作できるように、ディスプレイの背面12には、ロック操作用溝15が形成されている。一方、
図10(c),(f),(g)に示すように、ディスプレイ1が縦長状態の場合は、回転ロックレバー34の操作端は、背面が厚い部分から薄い部分の切り替わった領域で、回転ロックレバー34と背面は離間しているため、溝等がなくても、操作性を確保されている。
【0114】
上記構成により実際に使用するディスプレイが横長状態や縦長状態の時に不用意に力を加えても、ディスプレイの回転が抑止されているため、不用意にディスプレイに寄りかかっても、ディスプレイが倒れたりする危険性がない。また、スタンド全体であるディスプレイスタンドシステム200の搬送時に、ディスプレイ1の部分を把持して動かしても、不用意にディスプレイ1が回転してしまうという不具合が生じないため、安定してディスプレイスタンドシステム200を移動させることができる。
【0115】
上述のように、本発明のスタンドでは、表示装置(ディスプレイ)を回転可能に懸架しながら、表示装置に対して筆記する際のガタツキの発生を抑制するとともに、想定外の表示装置の回転も抑制できる。
【0116】
また、ガタツキの発生を抑制可能であって、且つ想定外の回転も抑制可能な上記の回転ユニットは、スタンド及び表示装置に取り付け可能な、表示装置用回転ユニットとして、オプション部材として単独で流通させてもよい。
【0117】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 ディスプレイ(表示装置)
2 回転ユニット
4 ブラケット部材
5 スタンド機構
6 回転取付け機構
7 取付け機構付きディスプレイ
100 ディスプレイスタンド(スタンド)
200 ディスプレイスタンドシステム(スタンドシステム)
20 回転ユニット可動部
21 スライド板(摺動平面部)
211 孔(中心孔)
212,213 孔(溝孔)
22R,22L 支持板
23R,23L 可動側支柱
24 支持枠(上枠)
241 第1の孔
242 第2の孔
25 支持枠(下枠)
26,27 仕切り枠
261 孔部
30 回転ユニット固定部
31 固定板
311 孔
312,313 孔
314 上側張り出し部
315 下側張り出し部
316 左側張り出し部
317 右側張り出し部
32 背面側係止部
321 ナット(穴部を有する第2の締結部)
322,323 ボルト(連結軸、軸部を有する第1の締結部)
33a,33b,33c,33d,33e,33f,33g,33h ブッシュ部材
34 回転ロックレバー(ロック部材)
341 フック部材
341a 立下り部
341b 爪部
35 大スペーサ(背面側スペーサ)
36 小スペーサ群(表面側の小スペーサ群)
361,362,363 小スペーサ(表面側スペーサ)
37 表面側係止部
371 ボルト(連結軸、中心軸、軸部を有する第1の締結部)
372,373 ナット(穴部を有する第2の締結部)
38 ナット係止部
41,42 ブラケット
411,421 装置側取付け柱
412,413 嵌合フック
422,423 嵌合フック
414,424 スタンド側取付け板
51R,51L 支柱
α 固定部
β 回転部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】