(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出制限方法及び液体吐出装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241008BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B41J2/175 115
B41J2/01 401
B41J2/175 167
B41J2/175 161
B41J2/175 119
(21)【出願番号】P 2021031174
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 茂
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-38656(JP,A)
【文献】特開2014-176983(JP,A)
【文献】特開2014-37097(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0180322(US,A1)
【文献】特開2013-159070(JP,A)
【文献】特開2005-262823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドにおける吐出動作の実行を制御する制御部と、
前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジと、
前記液体カートリッジを着脱自在に装着でき、当該液体カートリッジの装着状態を出力する装着部と、を有し、
前記制御部は、前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってから第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、当該第一時間を経過する前に装着状態になったときは
、前記吐出動作の停止を維持
し、当該第一時間の計測を停止し、その後、当該液体カートリッジが装着状態になったときは、当該第一時間の計測を再開する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドにおける吐出動作の実行を制御する制御部と、
前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジと、
前記液体カートリッジを着脱自在に装着でき、当該液体カートリッジの装着状態を出力する装着部と、
前記制御部の制御により操作指示を表示する表示部と、
を有し、
前記制御部は、前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってから第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、当該第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持し、前記第一時間を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記液体カートリッジが未装着になったとき、前記第一時間の計測を開始する操作指示を前記表示部に表示させ、
当該操作指示に対する所定の操作を検出してから当該第一時間の計測を開始する、
請求項
2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記吐出動作の停止が解除されてからの経過時間としての第二時間が経過したとき、前記吐出動作を停止し、
前記表示部に前記液体カートリッジを前記装着部から取り外してから前記液体を撹拌させる動作を指示する指示表示を表示させる、
請求項
2又は
3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、複数あり、
前記装着部は、各液体吐出ヘッドに対応する前記装着状態を出力する、
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体吐出ヘッドにおける液体の吐出動作の実行を制限する液体吐出制限方法であって、
前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジを着脱自在に装着できる装着部に対する装着状態を検出し、
前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってからの第一時間を計測し、
前記第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、
前記第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持
し、
当該第一時間の計測を停止し、
その後、当該液体カートリッジが装着状態になったときは、当該第一時間の計測を再開する、
ことを特徴とする液体吐出制限方法。
【請求項7】
液体吐出ヘッドにおける液体の吐出動作の実行を制限する液体吐出制限方法であって、
前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジを着脱自在に装着できる装着部に対する装着状態を検出し、
前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってからの第一時間を計測
して表示し、
前記第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、
前記第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持することを特徴とする液体吐出制限方法。
【請求項8】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドにおける吐出動作の実行を制御する制御部と、前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジと、前記液体カートリッジを着脱自在に装着でき、当該液体カートリッジの装着状態を示す装着状態情報を出力する装着部と、を有する液体吐出装置の動作を制御する液体吐出装置の制御プログラムであって、
前記制御部において、
前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってからの第一時間を計測し、
前記第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、
前記第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持
し、
当該第一時間の計測を停止し、その後、当該液体カートリッジが装着状態になったときは、当該第一時間の計測を再開する、
制御を実行する、液体吐出装置の制御プログラム。
【請求項9】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドにおける吐出動作の実行を制御する制御部と、前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジと、前記液体カートリッジを着脱自在に装着でき、当該液体カートリッジの装着状態を示す装着状態情報を出力する装着部と、
前記制御部の制御により操作指示を表示する表示部と、を有する液体吐出装置の動作を制御する液体吐出装置の制御プログラムであって、
前記制御部において、
前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってからの第一時間を計測し、
前記第一時間を前記表示部に表示させ、
前記第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、
前記第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持する、制御を実行する、液体吐出装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出制限方法及び液体吐出装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置が知られている。また、媒体に液体を吐出して画像を形成する画像形成装置としての液体吐出装置も知られている。そして、液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体カートリッジを着脱自在とする構成を備える液体吐出装置も知られている。
【0003】
画像を形成するときに用いられる種々の色の液体の内容成分は様々であって、液体カートリッジの収容中に液体の内容成分が沈降化しやすいものもある。したがって、液体吐出装置に液体カートリッジを装着した状態で一定時間が経過すると、液体カートリッジ内でインク成分の一部が沈降した状態が進み、液体カートリッジから液体吐出ヘッドへの液体の送出不良や、液体吐出ヘッドにおける吐出動作に悪影響を生じさせるおそれがある。すなわち、液体カートリッジ内での液体の内容成分の沈降下を放置した状態で液体吐出ヘッドの液体吐出動作を実行すると、吐出量のバラツキや媒体に付着させたときの色濃度ムラなどの原因にもなりうる。
【0004】
例えば、白色の液体インクは、インク成分が沈降化しやすいものの一例であり、画像を形成する際の濃度ムラを起こしやすい。そこで、色成分の沈降下に起因して画像の濃度ムラを生じさせるなどの影響を防止することを目的として、白色インクが収容されている液体カートリッジにおいて定期的に撹拌動作を行うように、オペレータへの指示を通知する液体吐出装置が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、撹拌をしたほうがよい、または、撹拌すべき時期に至ったときに、液体吐出装置の液体吐出動作を停止して、操作パネルに撹拌の指示を通知する。その後、オペレータが液体カートリッジを液体吐出装置から一旦取り外して撹拌動作を行い、その後に再装着させることで、液体吐出装置の再動作を可能とする。しかし、従来技術では、インク成分の沈降化による影響を抑止するための撹拌動作の指示にオペレータが従わず、十分な撹拌動作を行わずに再装着した場合であっても、液体吐出装置は再動作が可能になる。したがって、従来技術では、オペレータが所定の操作を適切に行わなかったときに、液体吐出装置から吐出される液体の品質が低下する、という課題が存在する。
【0006】
本発明は、液体インクの内容成分の沈降化を防止する動作の実行性を向上させて、吐出される液体の品質を向上させる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドにおける吐出動作の実行を制御する制御部と、前記液体吐出ヘッドから吐出される液体を収容し、当該液体吐出ヘッドに送出する液体カートリッジと、前記液体カートリッジを着脱自在に装着でき、当該液体カートリッジの装着状態を出力する装着部と、を有し、前記制御部は、前記吐出動作を停止しているときに、前記液体カートリッジが前記装着部に対して未装着になってから第一時間を経過した後に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を解除し、当該第一時間を経過する前に装着状態になったときは前記吐出動作の停止を維持し、当該第一時間の計測を停止し、その後、当該液体カートリッジが装着状態になったときは、当該第一時間の計測を再開する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体インクの内容成分の沈降化を防止する動作の実行性を向上させて、吐出される液体の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのプリンタの概略構成図。
【
図2】本実施形態に係るプリンタが備えるプラテンの昇降機構の概略構成図。
【
図3】本実施形態に係るプリンタの制御部の概略ブロック図。
【
図4】本実施形態に係るインクカートリッジの装着状態を示す図。
【
図5】上記インクカートリッジの外れた状態を示す図。
【
図6】個別に上記インクカートリッジの着脱を検出できるカートリッジ着脱検出回路の例を示す回路図。
【
図7】上記インクカートリッジ全体で着脱を検出できるカートリッジ着脱検出回路の他の例を示す回路図。
【
図8】上記プリンタの制御部において実行される制御処理の流れを示すフローチャート。
【
図9】上記制御処理の詳細な流れを例示するフローチャート。
【
図10】第一実施形態に係る操作指示の例を示す図。
【
図11】第一実施形態に係る操作指示の別例を示す図。
【
図12】第一実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図13】第一実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図14】第一実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図15】第一実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図16】第一実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図17】第二実施形態に係るプリンタにおいて実行される制御処理の詳細な流れを例示するフローチャート。
【
図18】第二実施形態に係る操作指示の例を示す図。
【
図19】第二実施形態に係る操作指示の別例を示す図。
【
図20】第二実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図21】第二実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【
図22】第二実施形態に係る操作指示のさらなる別例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[液体吐出装置の全体像]
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る液体吐出装置の実施形態としてのプリンタ1の上面図である。プリンタ1は、インクを吐出することで布地(ガーメント)上に画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置を例としている。なお、本発明の技術範囲は、この実施形態(布地用のプリンタ1)に限定されるものではなく、複合機や、布帛以外の用紙などに画像を形成する装置など、その他の形態も含むものである。
【0011】
図1はプリンタ1の画像形成部を主に示している。プリンタ1の画像形成部において、板金と一体となったスライドレール104で装着部としてのキャリッジ100を保持し、主走査モータ105によって、駆動プーリ106と従動プーリ107間に渡したタイミングベルト102を介して主走査方向に移動走査する。
【0012】
装着部としてのキャリッジ100には、例えばブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液体インクを液滴として吐出する液体吐出ヘッド180が装着されている。各液体吐出ヘッド180は、主走査方向と直交する方向(副走査方向)において複数のインク吐出口(ノズル)を配列したノズル面を備えている。液体吐出ヘッド180には、それぞれに液体インクを送出するために、当該液体インクを収容している液体インクカートリッジ190が一体的に設けられているものとする。
【0013】
キャリッジ100に液体吐出ヘッド180を付けると、各液体吐出ヘッド180が備えるノズル面がインク吐出口方向(下方)に向いた状態で保持されになり、キャリッジ100を移動方向にノズル面(複数のインク吐出口)を移動しながら液体吐出動作を行うことができる。
【0014】
本実施形態において、液体吐出ヘッド180がキャリッジ100から外されたときには、制御部200は、後述するカートリッジ着脱検出回路541によって、液体インクカートリッジ190の未装着として識別する。また、キャリッジ100に液体吐出ヘッド180を取り付けると、制御部200は、液体インクカートリッジ190がプリンタ1に装着されたものとして識別する。すなわち、キャリッジ100は、液体吐出ヘッド180が装着されているか、未装着であるかを識別可能な情報としての装着状態状情報を制御部200に対して出力する構成を備える。
【0015】
なお、キャリッジ100が装着状態情報を出力するための構成や、装着状態情報を識別して制御する制御部200の構成の詳細については、後述する。
【0016】
なお、
図1においては、各色の液体インク毎に区別された液体吐出ヘッド180が独立してキャリッジ100に取り付けられているが、各液体吐出ヘッド180において、異なる色の液体インクを吐出する複数のノズル列を備えるような構成であってもよい。また、色の数および配列順序は、これに限るものではない。
【0017】
また、
図1に例示した構成とは異なる構成として、液体インクカートリッジ190が液体吐出ヘッド180とは別体として設けられてもよい。その場合、液体吐出ヘッド180に対して液体インクを送出するための液体ポンプをプリンタ1が備えればよい。また、液体インクカートリッジ190が液体吐出ヘッド180と別体である場合は、液体インクカートリッジ190を装着するためのカートリッジホルダが装着部に相当する。そして、カートリッジホルダが、各液体インクカートリッジ190の装着又は未装着を示す装着状態情報を制御部200に出力する構成を備えればよい。なお、その場合、各色のインクを個別に収容する液体インクカートリッジ190は、プリンタ1が備えるカートリッジホルダに対して独立して着脱自在なものとする。したがって、液体インクカートリッジ190がカートリッジホルダから取り外されたときは、カートリッジホルダが備える後述するカートリッジ着脱検出回路541から、装着状態情報としての検出信号が制御部200に通知されればよい。
【0018】
液体吐出ヘッド180を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、同様に、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0019】
また、キャリッジ100には、主走査方向に沿って設けられ、スリットが形成されたエンコーダスケール103と、エンコーダスケール103のスリットを検出するエンコーダセンサ117とが設けられている。エンコーダスケール103及びエンコーダセンサ117が、キャリッジ100の主走査方向位置を検知するためのリニアエンコーダ120を構成している。
【0020】
また、液体吐出ヘッド180に対向する位置には、インクの吐出対象である媒体としての布地(ガーメント)Gを搬送するための搬送手段であるプラテン2が設けられている。
【0021】
このプラテン2は、副走査モータ111によって、搬送駆動プーリ112と搬送ローラプーリ113間に渡したタイミングベルト114を介して搬送ローラ109を回転駆動することで、駆動している。
【0022】
プラテン2には、スリットを形成したエンコーダホイール115が、搬送ローラ109と同軸に設けられている。また、図示しない側板には、エンコーダホイール115のスリットを検出するエンコーダセンサ116が、設けられている。エンコーダホイール115及びエンコーダセンサ116は、プラテン2の副走査方向位置を検知するためのホイールエンコーダを構成している。
【0023】
このプラテン2は、フラットベッド方式であり、搬送ローラ109とテンションローラ110との間に掛け渡したタイミングベルト(搬送ベルト)119を介して、副走査方向に水平に搬送される。
【0024】
図2は、プラテン2の昇降機構の概略構成図である。
図2に示すように、ステッピングモータであるプラテン昇降モータ121によって、ギア122を介してプラテン2を上下に昇降させる。
【0025】
[制御構成の実施形態]
図3は、本実施形態に係るプリンタ1における制御部200と、制御部200に接続して制御対象となる機能構成を説明するための概略ブロック図である。
図3に示す制御部200は、CPU(Central Processing Unit)202、ROM(Read Only Memory)203、RAM(Random Access Memory)204、NVRAM(Non-Volatie Random Access Memory)205、ASIC(Application Specific Intergrated Circuit)206を備えている。
【0026】
CPU202は、装置に必要な情報の入力及び表示を行うための表示部としての操作パネル6と接続され、装置全体の制御を司る。その他、布地Cの搬送動作及びキャリッジ100の液体吐出ヘッド180の移動動作に関する制御を司る機能を兼ね備えている。ROM203は、CPU202が実行するプログラムやその他の固定データを格納する。RAM204は、画像データ等を一時格納する。NVRAM205は、装置電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリである。ASIC206は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0027】
また、制御装置としての制御部200は、ホストインターフェース(I/F)201、印刷制御部208、主走査モータ駆動部209、ギャップ調整部210、副走査モータ駆動部211、LED駆動部212、入出力(I/0)部207、及び媒体I/F213を備えている。ホストインターフェース(I/F)201は、プリンタドライバ31等のホスト装置30側とのデータ、信号の送受を行う役割を担う。印刷制御部208は、液体吐出ヘッド180を駆動するための駆動波形を生成すると共に、液体吐出ヘッド180の圧力発生手段を選択的に駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ130に出力する。主走査モータ駆動部209は、主走査モータ105を駆動する。ギャップ調整部210は、プラテン2を昇降するプラテン昇降モータ121へギャップ調整を指示する。副走査モータ駆動部211は、タイミングベルト114を駆動する副走査モータ111を駆動する役割を担う。入出力(I/0)部207は、リニアエンコーダ120、エンコーダホイール115からの検出パルス、及びその他の各種センサからの検知信号を入力する。
【0028】
この制御部200では、印刷データ等をケーブルやネットワークを介してホストインターフェース(I/F)201で受信し、受信バッファで一旦記憶する。印刷データは、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置のホスト機能のプリンタドライバ31により生成される。制御部200では、CPU202がホストインターフェース(I/F)201に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析する。
【0029】
あるいは制御部200では、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカードなどの外部記憶媒体9を、媒体I/F213(メモリ差し込み口)に差し込むことで、記憶された印刷データを読み出して取得し、解析してもよい。
【0030】
また、その解析結果に応じてASIC206によって必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って印刷制御部208に転送する。そこで、印刷制御部208は所要のタイミングでヘッドドライバ130に画像データや駆動波形を出力する。尚、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM203にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト装置30側の制御部であるプリンタドライバ31で画像データをビットマップデータに展開して装置へ転送するようにしても良い。ここでは、例えばプリンタドライバ31で行うものとする。
【0031】
印刷制御部208の駆動波形生成部は、ROM203に格納されてCPU202で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成される。そして、1つの駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ130に対して出力する。
【0032】
ヘッドドライバ130は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド180の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて液体吐出ヘッド180を駆動する。ヘッドドライバ130は、印刷制御部208の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に液体吐出ヘッド180の圧力発生手段に対して印加する。
【0033】
尚、このヘッドドライバ130は、例えばクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタ、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路、を含む。その他、ヘッドドライバ130は、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含む。機能上では、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に液体吐出ヘッド180の圧力発生手段に印加する場合を例示できる。
【0034】
キャリッジ100に搭載したレジストセンサ123は、布地Cのセンシングを行う。そして、キャリッジ100における幅方向の布地Cの有無を検出し、幅方向のインクの吐出位置の位置決めに用いる。
【0035】
ギャップ調整部210は、プラテン昇降モータ121でプラテン2を上下駆動する。
【0036】
LED駆動部212は、LED(Light Emitting Diode)で構成される発光素子3を駆動して発光させる。発光素子3及び受光素子4は、高さ検知部140(検知部)として機能する。
【0037】
カートリッジ着脱検出回路541は、キャリッジ100に装着された液体吐出ヘッド180の着脱を判定する回路である。
図3においては、便宜上、カートリッジ着脱検出回路541は、キャリッジ100から離れた位置に表記しているが、キャリッジ100に搭載されていて、キャリッジ100に対して液体吐出ヘッド180が装着されていることを検出する。
【0038】
なお、液体吐出ヘッド180に対してインクを供給するインクカートリッジが別体で設けられている場合、カートリッジ着脱検出回路541は、インクカートリッジを着脱自在に装着するインクカートリッジ装着部(カートリッジホルダ)に設けられているものとする。
【0039】
[液体カートリッジの着脱検出構成]
カートリッジ着脱検出回路541の出力信号(検出信号)はCPU202に入力される。CPU202は、ROM203に格納されている制御プログラムをRAM204の記憶領域に展開し、カートリッジ着脱検出回路541の出力信号に基づく制御処理を実行する。CPU202の制御プログラムの処理において出力信号が検出されているときは、液体インクカートリッジ190がキャリッジ100又はカートリッジホルダから取り外された状態、すなわち未装着の状態である。
【0040】
一方、出力信号が検出されていないときは、液体インクカートリッジ190がキャリッジ100又はカートリッジホルダに取り付けられた状態、すなわち装着されている状態である。したがって、制御プログラムでは、液体インクカートリッジ190の装着又は未装着を示す装着状態情報をカートリッジ着脱検出回路541の出力信号に基づいて識別する。
【0041】
図4は、液体インクカートリッジ190に液体吐出ヘッド180が取り付けられている状態を例示する図である。
図4においては、四つの液体吐出ヘッド180のそれぞれが液体インクカートリッジ190(190BK、190C、190M、190Y)に取り付けられている。なお、BKは黒の液体インクに対応し、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエローの液体インクにそれぞれ対応する。また、
図4は、装着部としてのキャリッジ100又はカートリッジホルダに液体インクカートリッジ190が装着された状態をプリンタ1の正面から見た図の例である。
【0042】
装着部としてのキャリッジ100には、検出部としての検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)が搭載される。検出スイッチ101は、電流を遮断/流通させる開閉器である。液体インクカートリッジ190(190BK、190C、190M、190Y)がキャリッジ100(プリンタ1)に装着された状態では、検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)は、それぞれ押下された状態になっている。
【0043】
図5は、
図4の状態から液体インクカートリッジ190BKを取り外した状態を例示している。この状態では、検出スイッチ101BKは開放状態となる。検出スイッチ101C、101M、101Yについても、それぞれ同様の回路構成である。本実施形態係る回路構成では、検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)の押下/開放状態を示す出力信号はそれぞれ独立している。したがって、液体インクカートリッジ190(190BK、190C、190M、190Y)の着脱状態は、それぞれ独立に検出することができる。
【0044】
図6は、液体インクカートリッジ190の着脱を検出するカートリッジ着脱検出回路541の回路図である。検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)の片端は、抵抗R1を介してVccに接続される。Vccは、例えば5Vや3.3V等に設定される検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)のもう一方の片端は、抵抗R2を介してGNDに接続されると共に、ドライバ素子150を介して、カートリッジ着脱検出回路541の出力となる。
【0045】
カートリッジ着脱検出回路541の出力信号は、検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)が押下(閉じた)状態では、例えば2.5V程度の一定レベルの電圧出力として得られる。また検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)が開放された状態では、グラウンドレベルの電圧出力として得られる。
【0046】
図7は、液体インクカートリッジ190の着脱を検出するカートリッジ着脱検出回路541の他の回路図例である。この回路では、検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)はそれぞれ直列に接続され、その片端は抵抗R1を介してVccに、もう一方の片端は抵抗R2を介してGNDに接続される。そして、ドライバ素子150も接続され、これを介して、カートリッジ着脱検出回路541の出力となる。
【0047】
図7の回路構成では、すべての検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)が押下(閉じた)状態となった場合、カートリッジ着脱検出回路541の出力信号は、例えば、2.5V程度の一定レベルの電圧出力として得られ、また検出スイッチ101(101BK、101C、101M、101Y)のいずれか一つでも開放された状態では、グラウンドレベルの電圧出力として得られる。
【0048】
従って、
図7の回路構成では、
図4中の液体インクカートリッジ190の着脱状態は、それぞれ独立に検出することはできず、全てが装着されているか、少なくともいずれか一つが外されているかのみを検出することができる。
【0049】
[第一実施形態]
次に、プリンタ1が備える制御部200において実行可能な制御プログラムの第一実施形態について、
図8及び
図9のフローチャートを用いて説明する。本実施形態は、プリンタ1を用いて実行可能な液体吐出制限方法の第一実施形態にも相当する。
【0050】
例えば、ガーメントなどの媒体(布地G)へ画像を形成する場合、液体インクカートリッジ190をプリンタ1に装着したまま一定時間が経過すると、液体インクの内容成分の一部が沈降して、液体吐出ヘッド108の吐出性能を低下させる要因になりやすい。そのまま液体吐出動作を実行すると、布地Gに付着させた液体インクの色濃度にムラがあり、形成される画像の質を低下させることになる。また、液体吐出ヘッド108のノズルが目詰まりを起こすことも想定される。すなわち、プリンタ1の正常動作を阻害する状態に至ることがある。
【0051】
これらを抑制するために、液体インクカートリッジ190をキャリッジ100から定期的に取り外して、収容されている液体インクにおいて沈降している色成分を撹拌させる動作(撹拌動作)をある程度の時間に亘って実行することが効果的である。このような撹拌動作によって、沈降していた色成分が液体インクカートリッジ190の内部で均一化されて、上記に例示した阻害要因を排除できる。
【0052】
そこで、プリンタ1では、制御部200が備えるCPU202において実行される制御プログラムにおいて、液体インクカートリッジ190の撹拌動作をしたほうが良いタイミングを監視して、撹拌動作のためにプリンタ1の動作を停止させる処理を行う。また、撹拌動作による効果を得られるように、ある程度の時間に亘って撹拌動作が実行されたときにプリンタ1の動作を再開させる処理を行う。そして、当該制御プログラムは、キャリッジ100への液体インクカートリッジ190の装着状態が一定期間を経過した液体インクカートリッジ190を検出したとき、操作パネル6において該当する液体インクカートリッジ190に対する撹拌動作を確実に実行することを促すためのオペレータに対する操作指示を行う。
【0053】
図8は、本実施形態に係る制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。まず、液体インクカートリッジ190に対する撹拌動作の効果的な実行間隔として予め設定されている第二時間がゼロになったか否かを制御部200が判定する(S801)。第一時間は、制御部200が制御する第二のタイマーによって計測される時間である。第二のタイマーをカウントダウンタイマーとした場合、S801に例示するように、残時間がゼロになったか否かで判定をする。第二時間は、例えば、12時間とする。この12時間が液体吐出状態の質を維持するためのメンテナンス(撹拌)を実行させる周期に相当する。なお、第二時間は12時間に限定するものではなく、適宜設定可能である。また、第二時間をカウントダウンタイマーによるものではなく、プリンタ1の動作再開からの経過時間としてもよい。その場合、経過時間が12時間を過ぎたか否かでS801の判定を行えばよい。
【0054】
第二時間がゼロに至るまで処理はループする(S801:NO)。第二時間がゼロに至ったとき(S801:YES)、制御部200はプリンタ1の動作、例えば、液体吐出動作を停止する(S802)。
【0055】
続いて、制御部200は操作パネル6に対して、
図10に例示するような操作指示を表示する(S803)。
図10は、液体インクカートリッジ190を振って、液体インクの内容成分を撹拌させるための撹拌動作を指示する指示表示の例である。
【0056】
図10に例示する第一指示表示D11には、液体インクカートリッジ190の内容物を撹拌するための動作の様子を模式化した図が表示される。この模式化した図には、液体インクカートリッジ190を垂直に対して水平方向に45度ずつ繰り返して傾斜させる状態の往復動作を、0.5秒サイクルで行う様子を表した図と、繰り返し動作の回数を100回とすることを示す数字が表示されている。
【0057】
また、
図10に示すように、第一指示表示D11には、撹拌動作の実行サイクルを監視する対象に相当する液体インクカートリッジ190が二つある(W1とW2)ことを示す図が表示されている。また、それぞれの液体インクカートリッジ190に対応する、個別の撹拌動作時間としての第一時間を示す数字が表示されている。
【0058】
また、
図10に示すように、第一指示表示D11には、各液体インクカートリッジ190において実行する撹拌動作の経過時間に相当する第一時間の計測開始を指示するための操作画像に相当するボタンB11及びボタンB12が含まれている。
【0059】
図8に戻る。第一指示表示D11が操作パネル6に表示された状態において、撹拌動作の対象となっている液体インクカートリッジ190がキャリッジ100から取り外されて未装着になったか否かを判定する(S804)。液体インクカートリッジ190がキャリッジ100から取り外されると、対応するドライバ素子150から信号が出力される。これによって、制御部200は、個別の液体インクカートリッジ190がキャリッジ100から取り外されて未装着になったことを識別する。いずれかの液体インクカートリッジ190がキャリッジ100から取り外されて未装着になったとき(S804:YES)、第一時間経過判定処理を実行する(S805)。
【0060】
図9は、第一時間経過判定処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部200が、キャリッジ100から液体インクカートリッジ190が取り外されたことを識別したとき、操作パネル6に対して、
図11に例示する操作表示を行う。
図11は、未装着になった液体インクカートリッジ190に対応するボタンB12に対する操作指示が可能になったことを示す例である。
【0061】
図9に戻る。第一時間経過判定処理ではまず、操作パネル6に表示されているボタンB12に対して、所定の操作指示が行なわれたか否かを判定する(S901)。所定の操作指示とは、ボタンB12をタップするなど、第一時間を監視する第一のタイマーの動作開始を指示する操作をいう。
【0062】
操作指示が可能になったボタンB12に対して操作指示が行なわれたとき(S901:YES)、対応する液体インクカートリッジ190の撹拌時間としての第一時間が設定されて、カウントダウンタイマーである第一のタイマーの動作を開始する(S902)。具体的には、撹拌時間をカウントダウンする。このとき、操作パネル6には
図12に例示するように、液体インクカートリッジ190側の第一時間の残時間を示す表示され、ボタンB12には、撹拌動作の実行時間を計測中であること知らせる表示が継続される。
【0063】
図9に戻る。第一のタイマーが動作している間において、液体インクカートリッジ190がキャリッジ100に取り付けられて装着されたか否かを判定する(S903)。ここで、未装着であった液体インクカートリッジ190が装着されておらず(S903:NO)、第一時間がゼロになっていないとき(S904:NO)、第一時間のカウントダウンを継続する(S902)。
【0064】
S903において、未装着であった液体インクカートリッジ190が装着されたときは(S903:YES)、第一のタイマーの動作を停止して、第一時間のカウントダウンを停止する(S905)。このとき、操作パネル6には、
図13に例示する第一指示表示D11が表示される。その後、液体インクカートリッジ190が取り外されて未装着に戻れば(再度のS903:NO)、操作パネル6には、
図14に例示する第一指示表示D11のように、カウントダウンが再開したことを示す表示がされる。
【0065】
そして、第一時間がゼロになったか否かを判定し(S904)、第一時間がゼロになるまで、すなわち、第一時間に到達するまで、S903以降の処理を繰り返す(S904:NO)。
【0066】
第一時間がゼロになったとき(S904:YES)、操作パネル6には、効果的な撹拌動作を行う時間として設定された第一時間が経過するまで、撹拌動作が継続して実行されたものとして、撹拌動作の完了表示が行なわれる。
図15は、完了表示としての第一指示表示D11の例である。
図15に示すように、ボタンB12には完了を示す情報と、その上方には「OK」の文字が表示されていて、撹拌動作が正常に完了したことを認識できる状態になる。また、続いて、もう一方の液体インクカートリッジ190(W1)が取り外されたときは、S804以降の処理を同様に行い、当該液体インクカートリッジ190(W1)の撹拌動作の実効性を確保するための一連の処理を制御部200が実行する。
【0067】
図8に戻る。第一時間経過判定処理(S805)が終了した次、操作パネル6に撹拌動作の完了を確認する画像が表示される(S806)。撹拌動作完了確認画面としてのボタンB11を含む第一指示表示D11の例を
図16に例示する。
図16に例示する第一指示表示D11が表示された状態で、オペレータがボタンB11を操作すると、撹拌動作の完了が確認されたものとなる。
【0068】
図8に戻る。第一指示表示D11に表示されているボタンB11を操作するまで処理はループする(S807:NO)。ボタンB11を操作すると、撹拌動作の完了が確認されたものとなる(S807:YES)。その後、液体吐出動作の停止が解除されて(S808)、第二のタイマーはリセットされて、次の撹拌を行う時期までのカウントダウンを開始する。
【0069】
[第一実施形態の効果]
以上説明のとおり、本実施形態に係るプリンタ1によれば、液体インクの内容成分が沈降化することで、画像形成の質を低下させる要因となる状況を解消するように、オペレータが確実に撹拌動作を行なわなければ、動作を開始できないよう制御することができる。
【0070】
また、確実な撹拌動作の実行を支援する、必要な撹拌動作の量を時間と動作の様子を例示する画像で表示し、オペレータに対して撹拌手順と動作時間を明確に提示することで、実効性を促すこともできる。
【0071】
また、撹拌動作の実行を開始したことを、オペレータがプリンタ1に明確に指示することを支援するために、撹拌動作のカウントダウンの開始を指示するためのボタン表示によっても、オペレータの撹拌動作の実効性を支援する。
【0072】
これによって、オペレータにおける撹拌動作の実行性を向上させることで、画像の質の向上を図ることができる。
【0073】
なお、第一実施形態において、撹拌動作の実行間隔や、撹拌動作の実行時間を監視するために、タイマーのカウントダウンを基準にしたが、それぞれの経過時間を計測して、所定の閾値時間を超えたか否かを判定する、カウントアップ形式で処理を行ってもよい。
【0074】
すなわち、カウントアップ形式では、予め設定した時間(第一時間)を減算してゼロになったか否かで撹拌動作を十分に実行したか否かを判定する。
【0075】
また、カウントアップ形式では、例えば、制御部200の制御において、液体インクカートリッジ190が装着部としてのキャリッジ100に対して未装着になってからの時間を計測し、この時間を表示部としての操作パネル6に表示させる。そして、上記の時間(経過時間)が予め規定する閾値時間(例えば第一時間)を経過する前に、液体インクカートリッジ190がキャリッジ100に対して装着されたときに上記の時間(経過時間)の計測を停止するようにしてもよい。
【0076】
また、操作指示の表示において、時間の表示を行なわなくてもよいし、撹拌動作の様子をより明確にするために動画像を表示して、正しい撹拌動作を促すようにしてもよい。そして、制御部200は、所定の撹拌動作が完了した旨をオペレータに通知するための表示を操作パネル6に対して行ってもよい。
【0077】
[第二実施形態]
次に、プリンタ1が備える制御部200において実行可能な制御プログラムの第二実施形態について、フローチャートを用いて説明する。本実施形態は、プリンタ1を用いて実行可能な液体吐出制限方法の第二実施形態にも相当する。
【0078】
図17は、本実施形態に係る制御プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態は、すでに説明をした第一実施形態に係る制御プログラムの処理と一部が異なるものである。より詳細には、
図8にて説明した第一時間経過判定処理(S805)に相当する部分が異なる。そこで、
図17において、は、第一実施形態とは異なる部分を詳細に説明することとする。
【0079】
すでに説明のとおり、制御部200は、液体インクカートリッジ190の装着状態を識別する。液体インクカートリッジ190のいずれかが取り外されたことを検出したとき(S804:YES、
図8参照)、
図17に例示する第一時間経過判定処理を実行する。
【0080】
まず、操作パネル6に対して、
図18に例示する操作表示が表示サれている段階で、液体インクカートリッジ190が取り外された状態のままであれば、カウントダウンが開始される(
図19参照)。
【0081】
なお、
図18及び
図19に示すように、本実施形態では、未装着となった液体インクカートリッジ190に対応するボタンB12(
図11参照)を表示することなく、未装着であることを検出した段階でカウントダウンを開始する構成になっている。
【0082】
したがって、所定の第二時間(例:12時間)がゼロになった段階で、撹拌動作を促す表示を操作パネル6に出力し、かつ、液体吐出動作に関連する一連の動作を停止した状態で、液体インクカートリッジ190を取り外せば自動的にカウントダウンを開始する。
【0083】
図17に戻る、対応する液体インクカートリッジ190の撹拌時間としての第一時間が設定されて、カウントダウンタイマーである第一のタイマーの動作を開始する(S1701)。具体的には、撹拌時間をカウントダウンする。このとき、操作パネル6には
図19に例示するように、液体インクカートリッジ190側の第一時間の残時間を示す表示され、ボタンB12には、撹拌動作の実行時間を計測中であること知らせる表示が継続される。なお、ボタンB12などの操作指示を行うための情報は表示されない。
【0084】
図17に戻る。第一のタイマーが動作している間において、液体インクカートリッジ190がキャリッジ100に取り付けられて装着されたか否かを判定する(S1702)。ここで、未装着であった液体インクカートリッジ190が装着されておらず(S1702:NO)、第一時間がゼロになっていないとき(S1703:YES)、第一時間のカウントダウンを継続する(S1701)。
【0085】
S1702において、未装着であった液体インクカートリッジ190が装着されたときは(S1702:YES)、第一のタイマーの動作を停止して、第一時間のカウントダウンを停止する(S1704)。このとき、操作パネル6には、
図20に例示する第一指示表示D11が表示される。その後、液体インクカートリッジ190が取り外されて未装着に戻れば(再度のS1702:NO)、操作パネル6には、
図21に例示する第一指示表示D11のように、カウントダウンが再開したことを示す表示がされる。
【0086】
そして、第一時間がゼロになったか否かを判定し(S1703)、第一時間がゼロになるまで、すなわち、第一時間に到達するまで、S1702以降の処理を繰り返す(S1703:YES)。
【0087】
第一時間がゼロになったとき(S1703:NO)、操作パネル6には、効果的な撹拌動作を行う時間として設定された第一時間が経過するまで、撹拌動作が継続して実行されたものとして、撹拌動作の完了表示が行なわれる。
図22は、完了表示としての第一指示表示D11の例である。
図22に示すように、撹拌動作が完了したことを示す情報として「OK」の文字が表示されていて、撹拌動作が正常に完了したことを認識できる状態になる。また、続いて、もう一方の液体インクカートリッジ190(W1)が取り外されたときは、S1701以降の処理を同様に行い、当該液体インクカートリッジ190(W1)の撹拌動作の実効性を確保するための一連の処理を制御部200が実行する。
【0088】
以上のように、液体インクカートリッジ190が取り外されたことをトリガーにして撹拌動作の開始を促し、実際に所定の時間内(第一時間)において撹拌動作を確実に実行するようにオペレータの操作を促すことができる。これによって撹拌動作の実効性を向上させることができる。
【0089】
第一時間がゼロになったとき(S1703:YES)、操作パネル6には、カウントダウンまで撹拌動作が継続されたものとして、撹拌動作の完了表示が行なわれて、操作パネル6に撹拌動作の完了を確認する画像が表示される。以降、S806~S808の処理と同様である。
【0090】
[第二実施形態の効果]
以上説明のとおり、本実施形態に係るプリンタ1によれば、液体インクの内容成分が沈降化することで、画像形成の質を低下させる要因となる状況を解消するように、オペレータが確実に撹拌動作を行なわなければ、動作を開始できないよう制御することができる。
【0091】
また、確実な撹拌動作の実行を支援する、必要な撹拌動作の量を時間と動作の様子を例示する画像で表示し、オペレータに対して撹拌手順と動作時間を明確に提示することで、実効性を促すこともできる。
【0092】
また、撹拌動作が適宜実行されていることを液体インクカートリッジ190の装着状態によって監視するので、オペレータに煩雑なボタン操作を強いること無く、オペレータの撹拌動作の実効性を支援することができる。
【0093】
これによって、オペレータにおける撹拌動作の実行性を向上させることで、画像の質の向上を図ることができる。
【0094】
なお、第二実施形態においても、撹拌動作の実行間隔や、撹拌動作の実行時間を監視するために、タイマーのカウントダウンを基準にしたが、それぞれの経過時間を計測して、所定の閾値時間を超えたか否かを判定する、カウントアップ形式で処理を行ってもよい。また、操作指示の表示において、時間の表示を行なわなくてもよいし、撹拌動作の様子をより明確にするために動画像を表示して、正しい撹拌動作を促すようにしてもよい。そして、制御部200は、所定の撹拌動作が完了した旨をオペレータに通知するための表示を操作パネル6に対して行ってもよい。
【0095】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 :プリンタ
6 :操作パネル
100 :キャリッジ
101 :検出スイッチ
150 :ドライバ素子
180 :液体吐出ヘッド
190 :液体インクカートリッジ
200 :制御部
541 :カートリッジ着脱検出回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0097】