(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】データ解析システム、データ解析方法およびデータ解析プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20241008BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20241008BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241008BHJP
H04W 4/024 20180101ALI20241008BHJP
H04W 4/029 20180101ALI20241008BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241008BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20241008BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/01 F
G01C21/26 P
H04W4/024
H04W4/029
G16Y10/40
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2022553295
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2020037126
(87)【国際公開番号】W WO2022070299
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 里江子
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 隆行
(72)【発明者】
【氏名】松永 賢一
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/122258(WO,A1)
【文献】特開2005-117075(JP,A)
【文献】特開2010-032418(JP,A)
【文献】特開2011-145873(JP,A)
【文献】特開2009-056075(JP,A)
【文献】特開2017-211731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/005
G08G 1/01
G01C 21/26
H04W 4/024
H04W 4/029
G16Y 10/40
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析システムであって、
ユーザ識別情報を含むセンサデータを取得するデータ取得部と、
所定領域を対象として、前記センサデータを収集するデータ収集処理部と、
前記ユーザ識別情報を基に、前記所定領域に滞在するユーザの数を算出するデータ解析部と、
前記ユーザの数を基に、前記ユーザの密集度を推定する推定部と、
前記データ収集処理部近傍に配置され、前記密集度を表示するアラート表示部と
を備え、
前記データ収集処理部が、前記センサデータに時刻情報を付与し、
前記データ解析部が、前記時刻情報を基に、前記
所定領域ごとの前記ユーザの滞在時間を算出し、
前記推定部が、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定することを特徴とするデータ解析システム。
【請求項2】
人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析システムであって、
ユーザが装着するセンサ端末装置と、中継端末装置と、サーバ装置と、アラート表示装置とを備え、
前記センサ端末装置が、ユーザ識別情報を含むセンサデータを取得し、前記中継端末装置に送信し、
前記中継端末装置が、当該中継端末装置が受信可能な領域において前記センサデータを収集し、前記センサデータに時刻情報を付与し、前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が、前記中継端末装置から前記センサデータを受信し、前記ユーザ識別情報を基に、前記領域ごとに滞在するユーザの数を算出し、前記時刻情報を基に、前記領域ごとの前記ユーザの滞在時間を算出し、前
記領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前
記領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前
記領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定し、
前記アラート表示装置が、前記中継端末装置近傍に配置され、前記ユーザの密集度を表示する
ことを特徴とするデータ解析システム。
【請求項3】
人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析方法であって、
ユーザが装着するセンサからセンサデータを取得するステップと、
前記センサデータに時刻情報を付与するステップと、
前記センサデータに含まれるユーザ識別情報を基に、所定領域に滞在する前記ユーザの数を算出するステップと、
前記時刻情報を基に、前記所定領域での前記ユーザの滞在時間を算出するステップと、
前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定するステップと、
前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定するステップと、
前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定するステップと、
前記所定領域近傍で前記ユーザの密集度を表示するステップと
を備えるデータ解析方法。
【請求項4】
人の密集を抑制して感染を防止するために、所定領域に滞在するユーザが装着するセンサから取得されるセンサデータを基に、前記ユーザの密集度を解析し、前記ユーザの密集度を表示するデータ解析システムに対し、
前記センサデータに含まれるユーザ識別情報を基に、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数を算出し、前記センサデータに付与された時刻情報を基に、前記所定領域に滞在するユーザの滞在時間を算出し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域近傍で前記ユーザの密集度を表示する処理を実行させることを特徴とする、前記データ解析システムを機能させるためのデータ解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の密集度を推定するデータ解析システム、サーバ装置、データ解析方法およびデータ解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今般、感染症対策の一環として人の密集を避ける取組みが各所で実施されている。特に人が多く集まる店舗、医療施設、イベント会場等においては、密集度を検知してユーザに回避を促すシステムが必要となる。また、このようなシステムは、災害等の場合においても必要になる。
【0003】
特許文献1には、スマートフォン等の移動端末を用いた、混雑緩和のためのシステムが開示されている。
【0004】
また、非特許文献1には、リハビリ入院患者の生体・身体活動情報を24時間収集して、リハビリ回復支援を行うシステムが開示されている。このシステムでは、スマートフォンの携帯は必須ではなく、センサ端末からデータ中継装置を介してデータ収集を行うことで、ユーザにとって負担のない環境を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】NTT技術ジャーナル,2018年7月号,pp.10-14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるシステムにおいては、ユーザは移動端末としてスマートフォンを持ち歩く必要がある。しかし、ユーザが高齢者である場合などには、スマートフォンを携帯しない、あるいは携帯していても見ることはないケースが想定される。
【0008】
一方、非特許文献1に開示されるシステムでは、混雑の緩和、密集度の回避を実現することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述したような課題を解決するために、本発明に係るデータ解析システムは、人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析システムであって、ユーザ識別情報を含むセンサデータを取得するデータ取得部と、所定領域を対象として、前記センサデータを収集するデータ収集処理部と、前記ユーザ識別情報を基に、前記所定領域に滞在するユーザの数を算出するデータ解析部と、前記ユーザの数を基に、前記ユーザの密集度を推定する推定部と、前記データ収集処理部近傍に配置され、前記密集度を表示するアラート表示部とを備え、前記データ収集処理部が、前記センサデータに時刻情報を付与し、前記データ解析部が、前記時刻情報を基に、前記所定領域ごとの前記ユーザの滞在時間を算出し、前記推定部が、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るデータ解析システムは、人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析システムであって、ユーザが装着するセンサ端末装置と、中継端末装置と、サーバ装置と、アラート表示装置とを備え、前記センサ端末装置が、ユーザ識別情報を含むセンサデータを取得し、前記中継端末装置に送信し、前記中継端末装置が、当該中継端末装置が受信可能な領域において前記センサデータを収集し、前記センサデータに時刻情報を付与し、前記サーバ装置に送信し、前記サーバ装置が、前記中継端末装置から前記センサデータを受信し、前記ユーザ識別情報を基に、前記領域ごとに滞在するユーザの数を算出し、前記時刻情報を基に、前記領域ごとの前記ユーザの滞在時間を算出し、前記領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前記領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前記領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定し、前記アラート表示装置が、前記中継端末装置近傍に配置され、前記ユーザの密集度を表示することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るデータ解析方法は、人の密集を抑制して感染を防止するためのデータ解析方法であって、ユーザが装着するセンサからセンサデータを取得するステップと、
前記センサデータに時刻情報を付与するステップと、前記センサデータに含まれるユーザ識別情報を基に、所定領域に滞在する前記ユーザの数を算出するステップと、前記時刻情報を基に、前記所定領域での前記ユーザの滞在時間を算出するステップと、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定するステップと、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定するステップと、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定するステップと、前記所定領域近傍で前記ユーザの密集度を表示するステップとを備える。
【0014】
また、本発明に係るデータ解析プログラムは、人の密集を抑制して感染を防止するために、所定領域に滞在するユーザが装着するセンサから取得されるセンサデータを基に、前記ユーザの密集度を解析し、前記ユーザの密集度を表示するデータ解析システムに対し、前記センサデータに含まれるユーザ識別情報を基に、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数を算出し、前記センサデータに付与された時刻情報を基に、前記所定領域に滞在するユーザの滞在時間を算出し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、ユーザ数の下限値未満の場合に、前記ユーザの密集度が低いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザ数の上限値を超える場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域に滞在する前記ユーザの数が、前記ユーザ数の下限値以上かつ前記ユーザの上限値以下であって、前記滞在時間が前記滞在時間の上限値を超える前記ユーザの数が前記ユーザ数の下限値以上の場合に、前記密集度が高いと推定し、前記所定領域近傍で前記ユーザの密集度を表示する処理を実行させることを特徴とし、データ解析システムを機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザ近傍の人の密集度を推定するデータ解析システム、サーバ装置、データ解析方法およびデータ解析プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムにおけるデータ解析部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析方法のフローチャート図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムの構成例を示す概要図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムの動作の一例を説明するための図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第1の実施例に係るデータ解析システムの動作を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第1の実施例に係るデータ解析システムの動作を説明するための図である。
【
図6C】
図6Cは、本発明の第1の実施例に係るデータ解析システムの動作を説明するための図である。
【
図6D】
図6Dは、本発明の第1の実施例に係るデータ解析システムの動作を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態におけるコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムについて
図1~
図2を参照して説明する。
【0018】
<データ解析システムの構成>
本実施の形態に係るデータ解析システム1は、
図1に示すように、データ取得部10、データ収集処理部11、データ解析部12、推定部13、記憶部14、およびアラート表示部15を備える。特に、ユーザの密集度を解析するデータ解析部12、ユーザの密集度を推定する推定部13、およびユーザの密集度の高低を表示するアラート表示部15を備える。
【0019】
データ取得部10では、センサデータとしてユーザの生体情報や環境情報等がウェアラブルセンサによって取得される。センサとして、例えば、心拍計、心電計、血圧計、脈拍計、呼吸センサ、体温計、脳波センサなどがあげられる。
【0020】
データ収集処理部11では、データ取得部10で取得されたセンサデータを一定の時間周期で収集して時刻情報を付与する。また、センサデータにはユーザ識別情報(ユーザID情報)も付随しており、時刻情報とともに記憶部14に蓄積される。
【0021】
また、
図2に示すように、データ解析部12は、中継端末装置(後述)通信(受信)可能な所定の領域内に滞在するユーザIDの数を、ユーザID情報を基にカウントするID数算出部120を有する。換言すれば、ID数算出部120は、所定の領域内に滞在するユーザの数を算出する。
【0022】
また、データ解析部12は、ユーザが所定の領域内に滞在している時間を、時刻情報を基に算出する滞在時間算出部121を有する。
【0023】
データ解析部12では、データ収集処理部11によって収集された生体情報や環境情報等のセンサデータの解析も行うが、本発明においては本質的でないため詳述しない。
【0024】
推定部13では、上述のユーザID数および滞在時間から、中継端末装置近傍のユーザ密集度を推定し、その結果を、中継端末装置の近傍に設置されたアラート表示部15に表示し、ユーザに密集の回避を促す。以下、「中継端末装置の近傍に配置」は、中継端末装置の周囲に配置される場合を含み、中継端末装置と一体になり、中継端末装置に装着され配置される場合も含む。
【0025】
アラート表示部15は、例えば信号ランプや液晶ディスプレイなどのモニタによって実現される。
【0026】
本実施の形態に係るデータ解析システム1によれば、各中継端末装置が対象とする領域ごとにユーザの密集度を推定して表示することができる。ここで、記憶部14を備えなくとも、データ解析システム1は基本的な機能を発揮することができる。
【0027】
<データ解析方法>
次に、本実施の形態に係るデータ解析方法について、
図3を参照して説明する。
【0028】
データ解析システム1において、まず、データ取得部10は、ユーザごとにセンサ105で計測された生体情報等を含むセンサデータを取得する(ステップS1)。
【0029】
次に、データ収集処理部11は、一定の周期で複数のユーザのセンサデータをデータ取得部10から収集する(ステップS2)。このとき、各センサデータにはユーザID情報が含まれている。
【0030】
その後、ID数算出部120で、各中継端末装置の所定領域内でのユーザID総数、換言すれば、ユーザの数を算出する(ステップS3)。ID数算出部120で算出されたユーザID数の時系列データは記憶部14に蓄積される。
【0031】
次に、滞在時間算出部121で、センサデータに付与された時刻情報を基に、ユーザ各々の滞在時間が算出され(ステップS4)、その時系列データは記憶部14に蓄積される。
【0032】
次に、ユーザの密集度を推定する推定部で、ユーザID総数(ユーザの数)が0もしくは1の場合(ユーザID総数が2未満の場合、換言すれば、ユーザID総数<2の場合)(ステップS5:YES)には、滞在時間に関わらず、「推定1:密集度は低」とする(ステップS9)。
【0033】
一方、ユーザID総数(ユーザの数)が2以上の場合(ステップS5:NO)で、予め規定されたユーザ数の上限値αを超える場合(ステップS6:YES)は、滞在時間に関わらず「推定2:密集度は高」とする(ステップS8)。
【0034】
ユーザID数(ユーザの数)が2以上α以下の場合において(ステップS6:NO)、所定領域内に滞在時間の上限値βを超えて滞在するユーザID数(ユーザの数)が2以上の場合(ステップS7:YES)は「推定2:密集度は高」(ステップS8)とする。また、滞在時間が上限値βを超えるユーザID数(ユーザの数)が1の場合(ステップS7:NO)は、「推定1:密集度は低」とする(ステップS9)。
【0035】
密集度が高いと推定された場合(ステップS8)は、アラート表示部15へ、例えば、赤色表示となるようアラート送信する(ステップS10)。また、密集度は低いと推定された場合は、例えば、緑色が表示されるようアラート送信する(ステップS11)。
【0036】
本実施の形態では、所定領域におけるユーザ数と滞在時間に基づいて密集度を推定する例を示したが、これに限らず、所定領域におけるユーザ数だけに基づいて密集度を推定することもできる。例えば、ステップS5において、Yesの場合に密集度が低いと推定し、Noの場合に密集度が高いと推定してもよい。
【0037】
ここで、本実施の形態で示したように、所定領域におけるユーザ数に加えて滞在時間を用いて密集度を推定すれば、密集度の推定における精度を向上できる。
【0038】
本実施の形態では、ステップS5において、「2」未満/以上で、換言すれば、「2」を基準値(ユーザ数の下限値)として判定する例を示したが、これに限らず、「2」以外の下限値を用いてもよい。例えば、ユーザ数の下限値は、所定領域が広ければ高い値に設定してもよいし、所定領域が狭ければ低い値に設定してもよい。
【0039】
<データ解析システムの構成例>
次に、本実施の形態に係るデータ解析システムの構成例について
図4を参照して説明する。
【0040】
データ解析システム1では、店舗、医療施設、イベント会場などに複数の中継端末装置が設置される。ユーザに装着されるセンサにより取得されたデータが各中継端末装置に送信され、さらに各中継端末装置からデータがサーバ装置に送信され解析される。
【0041】
データ解析システム1は、例えば、
図4に示すように、ユーザに装着されるセンサ端末装置200a、200b、中継端末装置300(1~N)、サーバ装置400、アラート表示装置500(1~N)を備える。
【0042】
センサ端末装置200a、200b、データ中継端末装置300、サーバ装置400、アラート表示装置500のすべてもしくはいずれかは、
図1および
図2に示すデータ解析部12などのデータ解析システムに含まれる各機能を備える。
【0043】
なお、以下においては、センサ端末装置200a、200bにおけるデータ取得部202は、
図1に示すデータ取得部10に含まれる。
【0044】
また、中継端末装置300におけるデータ収集部302と時刻付与部303は、
図1に示すデータ収集処理部11に含まれる。
【0045】
また、サーバ装置400におけるID数算出部403と滞在時間算出部404は、
図1に示すデータ解析部12に含まれる。また、推定部405は、
図1に示す推定部13に含まれる。
【0046】
また、アラート表示装置500における表示部502は、
図1に示すアラート表示部15に含まれる。
【0047】
<センサ端末装置の機能ブロック>
センサ端末装置200a、200bは、
図4に示すように、センサ201、データ取得部202、および送信部203を備える。センサ端末装置200a、200bは、例えば、ユーザの体幹などに配置されてユーザに装着されて生体情報および身体の物理的情報を含むセンサデータを計測する。
【0048】
センサ端末装置200a、200bは、計測したユーザの生体情報等を無線通信により中継端末装置300に送信する。このとき、センサデータにはユーザID情報が含まれている。センサ端末装置200a、200bは、例えば、リストウォッチ型や衣服型のウェアラブル端末が用いられる。
【0049】
送信部203は、データ取得部202が取得したユーザID情報を含むセンサデータを中継端末装置300へ送出する。送信部203は、例えば、BLEやWi-Fiなどの無線通信により中継端末装置300にセンサデータを送信することができる。
【0050】
<中継端末装置の機能ブロック>
中継端末装置300(N台)は、屋内の所定の領域内に複数設置され、それぞれが独立にセンサ端末装置(200a、200b等)が構成する通信エリアを有する。中継端末装置300は、通信ネットワークNWを介してサーバ装置400にデータを送信する。
【0051】
中継端末装置300は、
図4に示すように、受信部301、データ収集部302、時刻付与部303、および送信部304を備える。
【0052】
受信部301は、センサ端末装置200a、200bで取得されたユーザID情報を含むセンサデータを受信する。データ収集部302が一定周期で収集したユーザごとのセンサデータは時刻付与部303によって時刻情報を付与された後、送信部304から通信ネットワークNWを介してサーバ装置400に送信される。
【0053】
<サーバ装置の機能ブロック>
サーバ装置400は、受信部401、記憶部402、ID数算出部403、滞在時間算出部404、推定部405、および送信部406を備える。
【0054】
受信部401は、中継端末装置300よりセンサデータを受信し、受信されたセンサデータは記憶部402に記憶される。
【0055】
ID数算出部403、滞在時間算出部404は、それぞれ受信されたセンサデータに基づき、ユーザID数および滞在時間を算出する。
【0056】
推定部405は、算出されたユーザID数および滞在時間に基づき、ユーザ密集度を推定する。
【0057】
送信部406は、ネットワーク経由でアラート表示装置500にユーザ密集度の推定結果を送信する。ここで、アラート表示装置500は、中継端末装置300近傍にN台(中継端末装置300と同数)設置され、表示処理部501および表示部502を備える。
【0058】
<データ解析システムの動作シーケンス>
次に、データ解析システムの動作の一例について
図5を参照して説明する。一例として、2人のユーザがそれぞれセンサ端末装置200a、200bを装着して、対象となる施設内を移動するときに、推定結果がアラートON(密集度が高)となる場合について説明する。
【0059】
まず、ユーザが装着するセンサ端末装置200a、200bのセンサ201で、生体情報等が計測される(ステップS100)。
【0060】
次に、センサ端末装置200a、200bで計測された生体情報等を、それぞれ、データ取得部202でセンサデータa、bとして取得する。センサデータa、bは送信部203より、BLEやWi-Fiで中継端末装置300に送信される(ステップS101)。
【0061】
ここで、各センサデータには、ユーザを識別する情報(ID:a、ID:b)が含まれる。識別情報は、MACアドレスや予めユーザ情報と関連付けた識別情報などを用いることができる。
【0062】
中継端末装置300は、受信部301とデータ収集部302で、一定周期でセンサ端末装置200a、200bで取得されたセンサデータを受信し、収集する(ステップS102)。
【0063】
次に、時刻付与部303で、収集した複数のユーザのセンサデータに時刻情報を付与する(ステップS103)。例えば、センサデータa、bそれぞれに、時刻(time:a、time:a)を付与する。
【0064】
時刻を付与されたセンサデータは、送信部304から通信ネットワークNWを介してサーバ装置400に送信する(ステップS104)。例えば、センサデータa(ID:a、time:a)、センサデータb(ID:b、time:b)が送信される。
【0065】
次に、サーバ装置400は、一定の時間周期内に受信したユーザのセンサデータから、ID数算出部403で、ユーザID数を算出する(ステップS105)。
【0066】
次に、滞在時間算出部404で、各々のユーザの滞在情報(滞在時間)を時刻情報から算出する(ステップS106)。
【0067】
次に、推定部405で、算出されたユーザID数と滞在情報(滞在時間)とを基に、一定時間周期内におけるユーザの密集度を推定する(ステップS107)。
【0068】
密集度が高いと推定される場合は、アラートONの信号をアラート表示装置500に送信する(ステップS108)。
【0069】
次に、アラート表示装置500において、表示処理部501で、サーバ装置からの指示を受け、例えば信号灯を赤に点灯、あるいは点滅させる処理を行う(ステップS109)。
【0070】
最後に、表示部502が赤色に点灯、あるいは点滅する(ステップ110)。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係るデータ解析システムによれば、ユーザがスマートフォンを携帯しなくとも、建物や施設内において、各中継端末装置が対象とする領域ごとにユーザの密集度を推定することができる。したがって、領域ごとに密集度が高いときにアラートを表示する等、ユーザ近傍の密集度を視覚的に表示することによって、ユーザ自ら、あるいは第三者による注意喚起により、ユーザの密集、混雑を緩和することができる。
【0072】
<第1の実施例>
次に、本発明の第1の実施例に係るデータ解析システムを、
図6A~
図6Dを参照して説明する。
【0073】
本実施例では、予め規定されるユーザID総数の上限値αを5、滞在時間の上限値βを15分間として説明する。
【0074】
まず、
図6Aに示すように、対象領域にユーザが1人、20分間滞在する場合を想定する。この場合、滞在時間は上限値βを超えているが、ユーザIDの総数が2を超えず(0か1)、
図3に示すステップS5でYesと判定されるので、密集度は低いと推定され、アラート信号はオフとなる。ここで、アラート信号は青や緑に点灯してもよい。
【0075】
次に、
図6Bに示すように、対象領域にユーザが6人、それぞれ1分間、5分間、3分間、8分間、4分間、2分間滞在する場合を想定する。この場合、ユーザIDの総数が2以上であり、上限値α(=5)を超えるので、
図3に示すステップS6でYesと判定され、密集度は高いと推定され、アラート信号はオンとなる。ここで、アラート信号は赤色等に点灯してもよい。
【0076】
次に、
図6Cに示すように、対象領域にユーザが3人、それぞれ2分間、20分間、16分間滞在する場合を想定する。この場合、ユーザIDの総数が2以上であり、上限値α(=5)以下であり、滞在時間の上限値β(15分間)を超えるID数は2なので、
図3に示すステップS7でYesと判定され、密集度は高いと推定され、アラート信号はオンとなる。ここで、アラート信号は赤色等に点灯してもよい。
【0077】
次に、
図6Dに示すように、対象領域にユーザが3人、それぞれ4分間、1分間、17分間滞在する場合を想定する。この場合、ユーザIDの総数が2以上であり、上限値α(=5)以下であり、滞在時間の上限値β(15分間)を超えるID数は1なので、
図3に示すステップS7でNoと判定され、密集度は低いと推定され、アラート信号はオフとなる。ここで、アラート信号は青や緑に点灯してもよい。
【0078】
本実施例では、予め規定された上限値α、βを各々5、15分間としたが、実際には、中継端末装置の所定の通信可能領域と、感染予防の十分とれるユーザ間距離や滞在時間を考慮した上で、システム管理者が夫々決定すればよい。
【0079】
以上のように、本実施例に係るデータ解析システムによれば、ユーザがスマートフォンを携帯しなくとも、建物や施設内において、各中継端末装置が対象とする領域ごとにユーザの密集度を推定することができる。したがって、領域ごとに密集度が高いときにアラートを表示する等、ユーザ近傍の密集度を表示することによって、ユーザ自ら、あるいは第三者による注意喚起により、ユーザの密集、混雑を緩和することができる。
【0080】
本発明の実施の形態および実施例に係るデータ解析システムおよびサーバ装置では、センサデータに時刻情報を付与する機能、時刻情報に基づいて滞在時間を算出する機能および所定領域内のユーザ数と滞在時間を用いて密集度を推定する機能を備える例を示したが、これに限らない。センサデータに時刻情報を付与する機能、時刻情報に基づいて滞在時間を算出する機能を備えず、所定領域内のユーザ数のみを用いて密集度を推定することができる。
【0081】
本発明の実施の形態および実施例では、アラート表示部およびアラート表示装置における密集度を、赤色等の点灯、点滅で表示する例を示したが、これに限らず、色だけでなく、文字、絵、パターン等でも表示してもよい。密集度が高いと推定された場合には、色、文字などを表示して、密集度が低いと推定された場合には表示しないという形態でもよい。密集度の高低が視覚的に識別できればよい。
【0082】
図7に、本発明の実施の形態に係るデータ解析システムにおけるコンピュータの構成例を示す。データ解析システムは、CPU(Central Processing Unit)63、記憶装置(記憶部)62およびインタフェース装置61を備えたコンピュータ60と、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。ここで、インタフェース装置61に、受信部、送信部が接続される。CPU63は、記憶装置62に格納されたデータ解析プログラムに従って本発明の実施の形態における処理を実行する。このように、データ解析プログラムはデータ解析システムを機能させる。
【0083】
本発明の実施の形態に係るデータ解析システムでは、コンピュータを装置内部に備えてもよいし、コンピュータの機能の少なくとも1部を、外部コンピュータを用いて実現してもよい。また、記憶装置も装置外部の記憶媒体65を用いてもよく、記憶媒体65に格納されたデータ解析プログラムを読み出して実行してもよい。記憶媒体65には、各種磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM、CD-R、各種メモリを含む。また、データ解析プログラムはインターネットなどの通信回線を介してコンピュータに供給されてもよい。
【0084】
本発明の実施の形態では、データ解析システムの構成などにおいて、各構成部の構造等の一例を示したが、これに限らない。データ解析システムの機能を発揮し効果を奏するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、建物、施設などにおける人の密集、混雑を回避させる装置、システム等として環境、健康医療、防災などの分野に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 データ解析システム
10 データ取得部
11 データ収集処理部
12 データ解析部
13 推定部
14 記憶部
15 アラート表示部