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特許7567936無線通信管理装置、無線通信管理方法、及び無線通信管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】無線通信管理装置、無線通信管理方法、及び無線通信管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20241008BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241008BHJP
   H04W 88/12 20090101ALI20241008BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20241008BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W84/12
H04W88/12
H04W28/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022570923
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048618
(87)【国際公開番号】W WO2022137477
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 笑子
(72)【発明者】
【氏名】井上 保彦
(72)【発明者】
【氏名】淺井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 泰司
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103559(JP,A)
【文献】特開2016-052101(JP,A)
【文献】特開2016-181812(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063943(WO,A1)
【文献】特開2020-198461(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122324(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との間を中継基地局を介して無線通信するように構成された端末から前記中継基地局を介して第1無線環境情報を受信し、前記中継基地局から第2無線環境情報を受信する受信部と、
前記第1無線環境情報及び前記第2無線環境情報に基づき、前記端末の第1制御情報及び前記中継基地局の第2制御情報の各々を生成する生成部と、
前記端末の設定を更新するために前記中継基地局を介して前記端末に前記第1制御情報を送信し、前記中継基地局の設定を更新するために前記第2制御情報を前記中継基地局に送信する送信部と、
を備え、
前記第1制御情報は、前記基地局と前記端末との間の伝送時間帯を含
前記基地局と前記端末との間の前記中継基地局を介する無線通信は、IEEE802.11ahに準拠する、
無線通信管理装置。
【請求項2】
無線通信管理装置は、前記第1無線環境情報を受信する前に、前記端末を管理対象とし
て特定するように構成された、
請求項1記載の無線通信管理装置。
【請求項3】
無線通信管理装置は、
前記更新された端末を再起動させるコマンドを生成し、
前記再起動された端末との間の通信を接続する
ように構成された、請求項1記載の無線通信管理装置。
【請求項4】
前記接続することは、SSH(Secure shell)で接続することを含む、
請求項3記載の無線通信管理装置。
【請求項5】
前記第1無線環境情報は、前記端末のバッテリの残容量を含む、
請求項1記載の無線通信管理装置。
【請求項6】
前記第1無線環境情報は、前記端末で観測されたRSSI(Received signal strength
indication)を含む、
請求項1記載の無線通信管理装置。
【請求項7】
基地局との間を中継基地局を介して無線通信するように構成された端末から前記中継基地局を介して第1無線環境情報を受信し、前記中継基地局から第2無線環境情報を受信することと、
前記第1無線環境情報及び前記第2無線環境情報に基づき、前記端末の第1制御情報及び前記中継基地局の第2制御情報の各々を生成することと、
前記端末の設定を更新するために前記中継基地局を介して前記端末に前記第1制御情報を送信し、前記中継基地局の設定を更新するために前記第2制御情報を前記中継基地局に送信することと、
を備え、
前記第1制御情報は、前記基地局と前記端末との間の伝送時間帯を含
前記基地局と前記端末との間の前記中継基地局を介する無線通信は、IEEE802.11ahに準拠する、
無線通信管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の無線通信管理装置が備
える各部として機能させるための無線通信管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、無線通信管理装置、無線通信管理方法、及び無線通信管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
基地局及び端末により構成される無線通信システムが知られている。
【0003】
無線通信システムの代表的な例として、公衆用途の無線LAN(Local area network)が挙げられる。公衆用途の無線LANでは、例えば、基地局から公衆のコンピュータ端末及びスマートフォン端末に対してデータを送信するユースケースが想定される。
【0004】
これに対し、近年、産業用途の無線LANが登場している。産業用途の無線LANでは、例えば、IoT(Internet of things)端末で測定されたデータを基地局に送信するユースケースが想定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ARIB STD-T108 1.3版, 「920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備 標準規格」, 2019年4月12日
【文献】IEEE Std 802.11ah TM-2016 (IEEE Standard for Information technology - Telecommunications and information exchange between systems Local and metropolitan area networks - Specific requirements, Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications, Amendment 2: Sub 1 GHz License Exempt Operation, IEEE Computer Society, 7 December 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
公衆用途の無線LANのユースケースでは、基地局から不特定多数の端末に向けたデータ伝送(下りトラヒック)が主要な通信と想定される。このため、公衆用途の無線LANを管理する場合、基地局における無線環境に基づいて各種制御情報が生成される。言い換えると、公衆用途の無線LANを管理する場合、端末における無線環境が考慮されることはない。
【0007】
一方、産業用途の無線LANのユースケースでは、特定多数の端末から基地局に向けたデータ伝送(上りトラヒック)が主要な通信と想定される。このため、産業用途の無線LANに対して、公衆用途の無線LANにおける無線環境の管理手法を適用した場合、スループットの劣化を抑制することが困難となり得る。具体的には、公衆用途の無線LANにおける無線環境の管理手法は、産業用途の無線LANにおいて主要な通信として想定される上りトラヒックの無線環境が改善されない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、上りトラヒックが主要な通信と想定される無線通信システムにおいて、適切に無線通信を管理する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様の無線通信管理装置は、基地局との間を中継基地局を介して無線通信するように構成された端末から上記中継基地局を介して第1無線環境情報を受信し、上記中継基地局から第2無線環境情報を受信する受信部と、上記第1無線環境情報及び上記第2無線環境情報に基づき、上記端末の第1制御情報及び上記中継基地局の第2制御情報の各々を生成する生成部と、上記端末の設定を更新するために上記中継基地局を介して上記端末に上記第1制御情報を送信し、上記中継基地局の設定を更新するために上記第2制御情報を上記中継基地局に送信する送信部と、を備える。上記第1制御情報は、上記基地局と上記端末との間の伝送時間帯を含む。上記基地局と上記端末との間の上記中継基地局を介する無線通信は、IEEE802.11ahに準拠する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、上りトラヒックが主要な通信と想定される無線通信システムにおいて、適切に無線通信を管理する手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る無線通信管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る無線通信管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施形態に係る基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、実施形態に係る端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施形態に係る無線通信管理装置における無線通信管理動作に関する状態遷移図である。
図9図9は、実施形態に係る無線通信管理装置における無線通信管理動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る無線通信管理装置における収集動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る無線通信管理装置における更新動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態の変形例に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図13図13は、実施形態の変形例に係る中継基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、共通する参照符号を有する複数の構成要素を区別する場合、当該共通する参照符号に後続して付される更なる参照符号(例えば、“-1”等のハイフン及び数字)によって区別する。
【0013】
1. 実施形態
1.1 構成
実施形態に係る通信システムの構成について説明する。
【0014】
1.1.1 全体構成
まず、実施形態に係る通信システムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、通信システム1は、無線通信システム2の無線環境を管理するシステムである。通信システム1は、無線通信管理装置100と、複数の基地局200-1及び200-2と、複数の端末300-1、300-2、及び300-3と、外部サーバ400と、データサーバ500と、を備える。複数の基地局200-1及び200-2、並びに複数の端末300-1~300-3は、無線通信システム2を構成する。
【0016】
以下では、複数の基地局200-1及び200-2の各々を特に区別しない場合、“基地局200”と呼ぶ場合がある。複数の端末300-1~300-3の各々を特に区別しない場合、“端末300”と呼ぶ場合がある。また、基地局200及び端末300を総称して“機器”と呼ぶ場合がある。
【0017】
無線通信システム2は、産業用途の無線通信システムである。無線通信システム2は、無線局免許が無くても使用できる周波数帯(アンライセンスバンド)を使用するように構成される。無線通信システム2では、例えば、アンライセンスバンドとしてサブギガヘルツ(GHz)帯が使用される。サブギガヘルツ帯は、例えば、920メガヘルツ(MHz)帯を含む。
【0018】
無線通信管理装置100は、無線通信システム2の無線環境を管理するための、オンプレミス(on-premises)のデータ処理サーバである。無線通信管理装置100は、例えば、ネットワークNW内のルータ又はハブ(図示せず)を介して、基地局200、外部サーバ400、及びデータサーバ500と有線接続するように構成される。
【0019】
基地局200は、無線通信システム2の親機(AP:アクセスポイント)である。基地局200は、ネットワークNWを介して、端末300と無線通信管理装置100との間、及び端末300とデータサーバ500との間を接続するように構成される。
【0020】
端末300は、無線通信システム2の子機(STA:ステーション)である。端末300は、例えば、IoT端末である。端末300は、対応する基地局200と無線接続するように構成される。
【0021】
図1の例では、端末300-1は、基地局200-1と無線接続するように構成される。端末300-2及び300-3は、基地局200-2と無線接続するように構成される。しかしながら、端末300-1は、基地局200-2とも無線接続するように構成されてもよい。端末300-2及び300-3は、基地局200-1とも無線接続するように構成されてもよい。このように、端末300と基地局200との間の無線接続は、複数の経路から適宜選択されてもよい。
【0022】
外部サーバ400は、無線通信システム2の外部環境に関する情報(外部環境情報)が記憶されるサーバである。
【0023】
データサーバ500は、無線通信システム2にて計測されたセンサ情報が集約して記憶されるサーバである。
【0024】
1.1.2 ハードウェア構成
次に、実施形態に係る通信システム内の主要な構成のハードウェア構成について説明する。
【0025】
(無線通信管理装置)
図2は、実施形態に係る無線通信管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
無線通信管理装置100は、制御回路101、メモリ102、有線通信モジュール103、ユーザインタフェース104、タイマ105、及びドライブ106を含む。
【0027】
制御回路101は、無線通信管理装置100の各構成要素を全体的に制御する回路である。制御回路101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。
【0028】
メモリ102は、無線通信管理装置100の補助記憶装置である。メモリ102は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びメモリカード等を含む。メモリ102には、無線通信管理動作に使用される各種情報、及び無線通信管理プログラムが記憶される。無線通信管理プログラムは、ネットワークNWを介して無線通信管理装置100の外部から送信されることにより、メモリ102内に記憶され得る。
【0029】
無線通信管理動作は、無線通信システム2内の無線通信の環境を適切に管理するために実行される一連の動作である。無線通信管理プログラムは、制御回路101に無線通信管理動作を実行させるためのプログラムである。無線通信管理動作に関する詳細は、後述する。
【0030】
有線通信モジュール103は、有線信号によるデータの送受信に使用される回路である。有線通信モジュール103は、例えば、TCP/IP階層モデルに準拠するように構成される。具体的には、例えば、有線通信モジュール103のネットワークインタフェース層に対応する構成は、イーサネットに準拠する。有線通信モジュール103のインターネット層に対応する構成は、IP(Internet protocol)に準拠する。有線通信モジュール103のトランスポート層に対応する構成は、TCP(Transmission control protocol)に準拠する。有線通信モジュール103のアプリケーション層に対応する構成は、SSH(Secure shell)に準拠する。
【0031】
ユーザインタフェース104は、ユーザと制御回路101との間で情報を通信するための回路である。ユーザインタフェース104は、入力機器及び表示機器を含む。入力機器は、例えば、タッチパネル及び操作ボタン等を含む。表示機器は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)及びEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)を含む。ユーザインタフェース104は、ユーザからの入力(ユーザ入力)を電気信号に変換した後、制御回路101に送信する。
【0032】
タイマ105は、時間を計測する回路である。例えば、タイマ105は、制御回路101からの開始指示に基づき、カウントを開始する(セット)。セットされた状態においてカウント値が閾値以上となると、タイマ105は、制御回路101にタイムアウトしたことを通知する(タイムアウト)。タイマ105は、制御回路101からの終了指示に基づき、カウントを終了する(リセット)。
【0033】
ドライブ106は、記憶媒体107に記憶されたプログラムを読込むための装置である。ドライブ106は、例えば、CD(Compact Disk)ドライブ、及びDVD(Digital Versatile Disk)ドライブ等を含む。
【0034】
記憶媒体107は、プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積する媒体である。記憶媒体107は、無線通信管理プログラムを記憶してもよい。
【0035】
(基地局)
図3は、実施形態に係る基地局のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、基地局200は、制御回路201、メモリ202、有線通信モジュール203、及び無線通信モジュール204を含む。
【0037】
制御回路201は、基地局200の各構成要素を全体的に制御する回路である。制御回路201は、CPU、RAM、及びROM等を含む。
【0038】
メモリ202は、基地局200の補助記憶装置である。メモリ202は、例えば、HDD、SSD、及びメモリカード等を含む。メモリ202には、無線通信管理動作において無線通信管理装置100で生成される基地局200の制御情報が記憶される。
【0039】
有線通信モジュール203は、有線信号によるデータの送受信に使用される回路である。有線通信モジュール203は、有線通信モジュール103と同等のプロトコルスタックに準拠する。これにより、有線通信モジュール203は、有線通信モジュール103と有線接続することができる。
【0040】
無線通信モジュール204は、無線信号によるデータの送受信に使用される回路である。無線通信モジュール204は、アンテナ(図示せず)に接続される。無線通信モジュール204は、例えば、TCP/IP階層モデルに準拠するように構成される。具体的には、例えば、無線通信モジュール204のネットワークインタフェース層に対応する構成は、IEEE(Institute of electrical and electronics engineers) 802.11 ahに準拠する。無線通信モジュール204のインターネット層に対応する構成は、IPに準拠する。無線通信モジュール204のトランスポート層に対応する構成は、TCPに準拠する。無線通信モジュール204のアプリケーション層に対応する構成は、SSHに準拠する。
【0041】
(端末)
図4は、実施形態に係る端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図4に示すように、端末300は、制御回路301、メモリ302、無線通信モジュール303、センサ304、及びバッテリ305を含む。
【0043】
制御回路301は、端末300の各構成要素を全体的に制御する回路である。制御回路301は、CPU、RAM、及びROM等を含む。
【0044】
メモリ302は、端末300の補助記憶装置である。メモリ302は、例えば、HDD、SSD、及びメモリカード等を含む。メモリ302には、無線通信管理動作において無線通信管理装置100で生成される制御情報、センサ304で計測されたセンサ情報が記憶される。
【0045】
無線通信モジュール303は、無線信号によるデータの送受信に使用される回路である。無線通信モジュール303は、無線通信モジュール204と同等のプロトコルスタックに準拠する。これにより、無線通信モジュール303は、無線通信モジュール204と無線接続することができる。
【0046】
センサ304は、無線通信システム2がモニタするデータを計測する回路である。センサ304にて計測されたセンサ情報は、基地局200及びネットワークNWを介して、データサーバ500に集約される。
【0047】
バッテリ305は、端末300に電力を供給する容量である。バッテリ305は、例えば、太陽光発電モジュール(図示せず)によって充電される。なお、図4では、端末300が太陽光発電でバッテリ305を充電することによって電力を供給する場合について説明したが、これに限られない。例えば、端末300は、電源から安定的に電力を供給されてもよい。
【0048】
1.1.3 機能構成
次に、実施形態に係る通信システム内の主要な構成の機能構成について説明する。
【0049】
(無線通信管理装置)
図5は、実施形態に係る無線通信管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
制御回路101のCPUは、メモリ102又は記憶媒体107に記憶された無線通信管理プログラムをRAMに展開する。そして、制御回路101のCPUは、RAMに展開された無線通信管理プログラムを解釈及び実行することにより各構成要素102~106を制御する。これによって、図5に示されるように、無線通信管理装置100は、ユーザ入力部111、有線信号受信部112、制御情報生成部113、判定部114、有線信号送信部115、及びコマンドライブラリ116を備えるコンピュータとして機能する。
【0051】
ユーザ入力部111は、ユーザから入力された登録情報を制御情報生成部113に送信する。登録情報は、機器情報及び制約情報を含む。
【0052】
機器情報は、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300を一意に識別するための情報である。機器情報は、例えば、基地局200及び端末300毎のユーザ名、パスワード、IPアドレス、及び管理対象フラグ等を含む。ユーザ名及びパスワード、並びにIPアドレスは、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300にSSHでログインするために使用される。管理対象フラグは、対応する基地局200及び端末300が無線通信管理動作の対象であるか否かを識別する情報である。
【0053】
制約情報は、電波法等の法律に基づいて無線通信システム2が遵守すべき制約条件を示す情報である。制約情報は、例えば、機器毎の総送信時間の上限値を含む。
【0054】
有線信号受信部112は、基地局200及び端末300の無線環境情報を、基地局200から受信する。有線信号受信部112は、外部環境情報を外部サーバ400から受信する。有線信号受信部112は、受信した各種環境情報を、制御情報生成部113に送信する。
【0055】
無線環境情報は、無線通信管理動作において、無線通信のスループットを評価するために基地局200及び端末300から収集される情報である。無線環境情報は、基地局200及び端末300に共通する情報として、例えば、周辺BSS(Basic service set)のSSID、チャネル、バンド幅、周波数、RSSI(Received signal strength indication)等を含む。また、無線環境情報は、端末300に特有の情報として、例えば、バッテリ305の残容量を示す情報を含み得る。
【0056】
外部環境情報は、無線通信のスループットを評価するために外部サーバ400から収集される情報である。外部環境情報は、例えば、無線通信システム2が設けられる地域の日照時間の予測値等を含む。
【0057】
制御情報生成部113は、登録情報、基地局200及び端末300の無線環境情報、並びに外部環境情報に基づき、基地局200及び端末300の制御情報を生成する。制御情報生成部113は、無線通信管理動作に使用される全ての情報が揃うまで、受信した各種情報をメモリ102に記憶させてもよい。制御情報生成部113は、生成した制御情報を判定部114に送信する。
【0058】
制御情報は、基地局200及び端末300の無線通信環境の構築に使用されるパラメタである。或る機器の制御情報は、少なくとも当該或る機器から収集された無線環境情報に基づいて、生成される。或る機器の制御情報は、当該或る機器以外の機器から収集された無線環境情報に更に基づいて、生成され得る。制御情報は、基地局200及び端末300のアクセスパラメタ、チャネル、伝送レートを含む。また、制御情報は、基地局200及び端末300の伝送時間帯を示す情報、及び送信頻度(デューティ比)を含む。
【0059】
判定部114は、制御情報が生成された基地局200及び端末300毎に、生成した制御情報によって無線環境の設定を更新するか否かを判定する。また、判定部114は、無線環境の設定を更新すると判定された基地局200及び端末300毎に、当該更新が再起動を伴うか否かを更に判定する。判定部114は、基地局200及び端末300毎の制御情報及び判定結果の組を有線信号送信部115に送信する。
【0060】
有線信号送信部115は、制御回路101からの指示に基づいて、基地局200及び端末300を制御するための各種コマンドを生成する。各種コマンドは、コマンドライブラリ116を参照して生成される。
【0061】
コマンドライブラリ116は、無線通信管理動作に使用されるコマンド群が予め記憶される。コマンドライブラリ116は、例えば、収集コマンド、及び更新コマンドを記憶する。収集コマンドは、(例えばIPアドレスを)指定された基地局200又は端末300から無線環境情報を収集させるコマンドである。更新コマンドは、(例えばIPアドレスを)指定された基地局200又は端末300の無線環境の設定を制御情報で更新させるコマンドである。このため、更新コマンドは、指定された基地局200又は端末300の無線環境の設定を更新するための制御情報を含む。また、更新コマンドは、指定された基地局200又は端末300を再起動させる指示を含む場合がある。
【0062】
(基地局)
図6は、実施形態に係る基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
制御回路201のCPUは、無線通信管理装置100から送信された各種コマンドに基づいて各構成要素202~204を制御する。これによって、図6に示されるように、基地局200は、有線信号受信部211、無線信号受信部212、収集部213、更新部214、有線信号送信部215、及び無線信号送信部216を備えるコンピュータとして機能する。
【0064】
有線信号受信部211は、収集コマンド及び更新コマンドを無線通信管理装置100から受信する。基地局200を宛先とする(基地局200への)収集コマンドを受信すると、有線信号受信部211は、収集部213に収集コマンドを送信する。基地局200への更新コマンドを受信すると、有線信号受信部211は、更新部214に更新コマンドを送信する。端末300を宛先とする(端末300への)収集コマンド及び更新コマンドを受信すると、有線信号受信部211は、収集コマンド及び更新コマンドを無線信号送信部216へ送信する。有線信号受信部211から無線信号送信部216へデータを送信する際に、当該送信データは、イーサネットのフレームフォーマットから、802.11 ahのフレームフォーマットへ変換される。
【0065】
無線信号受信部212は、端末300の無線環境情報を端末300から受信する。無線信号受信部212は、受信した端末300の無線環境情報を有線信号送信部215に送信する。無線信号受信部212から有線信号送信部215へデータを送信する際に、当該送信データは、802.11 ahのフレームフォーマットから、イーサネットのフレームフォーマットへ変換される。
【0066】
収集部213は、受信した収集コマンドに基づき、基地局200の無線環境情報を収集する。収集部213は、収集した基地局200の無線環境情報を有線信号送信部215に送信する。
【0067】
更新部214は、受信した更新コマンドに基づき、基地局200の無線環境の設定を、更新コマンド内の制御情報で更新する。更新コマンドが再起動の指示を含む場合、更新部214は、基地局200を再起動させる。
【0068】
有線信号送信部215は、受信した基地局200の無線環境情報を、無線通信管理装置100に送信する。有線信号送信部215は、受信した端末300の無線環境情報を、無線通信管理装置100に転送する。
【0069】
無線信号送信部216は、受信した端末300の収集コマンド及び更新コマンドを、端末300に転送する。
【0070】
(端末)
図7は、実施形態に係る端末の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0071】
制御回路301のCPUは、無線通信管理装置100から送信された各種コマンドに基づいて各構成要素302及び303を制御する。これによって、図7に示されるように、端末300は、無線信号受信部311、収集部312、更新部313、及び無線信号送信部314を備えるコンピュータとして機能する。
【0072】
無線信号受信部311は、収集コマンド及び更新コマンドを基地局200から受信する。無線信号受信部311は、収集コマンドを収集部312に送信する。無線信号受信部311は、更新コマンドを更新部313へ送信する。
【0073】
収集部312は、受信した収集コマンドに基づき、端末300の無線環境情報を収集する。収集部312は、収集した端末300の無線環境情報を無線信号送信部314に送信する。
【0074】
更新部313は、受信した更新コマンドに基づき、端末300の無線環境の設定を、更新コマンド内の制御情報で更新する。更新コマンドが再起動の指示を含む場合、更新部313は、端末300を再起動させる。
【0075】
無線信号送信部314は、収集した端末300の無線環境情報を、基地局200に送信する。
【0076】
1.2. 動作
次に、実施形態に係る通信システムの動作について説明する。
【0077】
1.2.1 状態遷移
図8は、実施形態に係る無線通信管理装置における無線通信管理動作に関する状態遷移図である。図8では、無線通信管理動作に関して無線通信管理装置100が取り得る複数の状態間の関係が示される。
【0078】
図8に示すように、無線通信管理装置100は、無線通信管理動作に関する状態として、待機中状態STS1、登録中状態STS2、収集中状態STS3、制御情報生成中状態STS4、更新中状態STS5、及び再接続確認中状態STS6を含む。
【0079】
待機中状態STS1は、無線通信管理装置100が待機している状態である。登録中状態STS2は、無線通信管理装置100が登録情報を更新している状態である。収集中状態STS3は、収集コマンドに基づいて、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300の各々から無線環境情報を収集している状態である。また、収集中状態STS3は、外部サーバ400から外部環境情報を収集している状態を含む。
【0080】
制御情報生成中状態STS4は、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300の各々に対する制御情報を生成している状態である。更新中状態STS5は、更新コマンドに基づいて、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300の各々の無線環境の設定を更新している状態である。再接続確認中状態STS6は、無線通信管理装置100が再起動後の基地局200及び端末300の各々との通信が確立されているか否かを確認している状態である。「通信が確立されている状態」とは、例えば、無線通信管理装置100がSSHで再起動後の基地局200及び端末300の各々にログインしている状態を含む。
【0081】
待機中状態STS1においてユーザ入力が開始されると(E1)、無線通信管理装置100は、登録中状態STS2に遷移する。登録中状態STS2において登録情報の更新が完了すると、無線通信管理装置100は、待機中状態STS1に遷移する。待機中状態STS1において開始条件が満たされない場合(E3)、無線通信管理装置100は、待機中状態STS1を維持する。待機中状態STS1において開始条件が満たされる場合(E4)、無線通信管理装置100は、収集中状態STS3に遷移する。開始条件は、手動又は自動のトリガによって満たされる。自動の場合、収集動作の開始条件は、例えば、所定の時刻になることを含む。
【0082】
収集中状態STS3において無線環境情報の収集が完了していない機器がある場合(E5)、無線通信管理装置100は、収集中状態STS3を維持する。収集中状態STS3において無線環境情報の収集が完了する、又はタイマ105がタイムアウトした場合(E6)、無線通信管理装置100は、制御情報生成中状態STS4に遷移する。
【0083】
制御情報生成中状態STS4において無線環境の設定を更新する機器がないと判定されると(E7)、無線通信管理装置100は、待機中状態STS1に遷移する。制御情報生成中状態STS4において無線環境の設定を更新する機器があると判定されると(E8)、無線通信管理装置100は、更新中状態STS5に遷移する。
【0084】
更新中状態STS5において更新が完了していない機器がある場合(E9)、無線通信管理装置100は更新中状態STS5を維持する。更新中状態STS5において更新動作が完了し、かつ再起動を伴う機器がない場合(E10)、無線通信管理装置100は、待機中状態STS1に遷移する。更新中状態STS5において更新動作が完了し、かつ再起動を伴う機器がある場合(E11)、無線通信管理装置100は、再接続確認中状態STS6に遷移する。
【0085】
再接続確認中状態STS6において再接続が確認されていない機器がある場合(E12)、無線通信管理装置100は、再接続確認中状態STS6を維持する。再接続確認中状態STS6において再起動を伴う機器との再接続が確認された場合(E13)、無線通信管理装置100は、待機中状態STS1に遷移する。再接続確認中状態STS6においてタイマ105がタイムアウトした場合(E14)、無線通信管理装置100は、登録中状態STS2に遷移する。
【0086】
1.2.2 無線通信管理動作
図9は、実施形態に係る無線通信管理装置における無線通信管理動作の一例を示すフローチャートである。図9では、ユーザ入力によって予め登録情報がメモリ102内に記憶されているものとする。また、無線通信管理装置100は、登録情報に記憶された各機器に対して、SSH等のプロトコルで遠隔からログイン済みであるものとする。
【0087】
図9に示すように、待機中状態STS1において開始条件が満たされると(開始)、無線通信管理装置100は、外部サーバ400から外部環境情報を収集する(S1)。
【0088】
無線通信管理装置100は、基地局200及び端末300の各々から外部環境情報を収集する(S2:収集動作)。S1及びS2の処理の間、無線通信管理装置100の状態は、収集中状態STS3となる。S2の処理は、S1の処理の前に実行してもよいし、S1の処理と並行に実行してもよい。
【0089】
無線通信管理装置100は、収集した外部環境情報及び無線環境情報に基づいて、基地局200及び端末300の各々の制御情報を生成する(S3)。S3の処理の間、無線通信管理装置100の状態は、制御情報生成中状態STS4となる。
【0090】
無線通信管理装置100は、無線通信システム2の無線環境の設定を更新するか否かを判定する(S4)。
【0091】
無線通信システム2の無線環境の設定を更新すると判定された場合(S4;yes)、無線通信管理装置100は、基地局200及び端末300の各々の無線環境の設定を、制御情報で更新する(S5:更新動作)。S5の処理の間、無線通信管理装置100の状態は、更新中状態STS5又は再接続確認中状態STS6となる。処理S5が終了すると、無線通信管理動作は終了する(終了)。
【0092】
無線通信システム2の無線環境の設定を更新しないと判定された場合(S4;no)、無線通信管理動作は終了する(終了)。これにより、無線通信管理装置100の状態は、待機中状態STS1となる。
【0093】
1.2.3 収集動作
図10は、実施形態に係る無線通信管理装置における収集動作の一例を示すフローチャートである。図10は、図9におけるS2の処理に対応する。
【0094】
収集動作の開始条件が満たされると(開始)、無線通信管理装置100は、登録情報に基づき、収集対象機器を選択する(S21)。
【0095】
例えば、無線通信管理装置100は、登録情報に登録された基地局200及び端末300のうち、管理対象フラグが立っている機器を収集対象機器として選択する。このため、収集対象機器には、少なくとも1つの端末300が含まれる。以下の例では、無線通信システム2内の全ての基地局200-1及び200-2、並びに端末300-1~300-3が収集対象機器として選択されたとして説明する。
【0096】
無線通信管理装置100は、選択された全ての収集対象機器に対して、収集コマンドを送信する(S22)。具体的には、無線通信管理装置100は、基地局200-1及び200-2、並びに端末300-1~300-3のそれぞれのIPアドレスを宛先とする5つの収集コマンドを送信する。
【0097】
収集コマンドを送信した後、無線通信管理装置100は、タイマ105のカウントを開始する(S23)。
【0098】
収集対象機器は、自身を指定する収集コマンドを受信すると、収集対象機器は、収集コマンドに基づいて無線環境情報を収集する(S24)。そして、収集対象機器は、収集した無線環境情報を、無線通信管理装置100に送信する。
【0099】
タイマ105のカウントが開始されると、無線通信管理装置100は、タイマ105がタイムアウトする、又は収集対象機器のいずれか1つから無線環境情報を受信するまで、待機する(S25)。
【0100】
S25の処理の後、無線通信管理装置100は、タイマ105がタイムアウトしたか否かを判定する(S26)。
【0101】
タイマ105がタイムアウトした場合(S26;yes)、無線通信管理装置100は、タイマのカウントを終了する(S29)。
【0102】
タイマ105がタイムアウトしていない場合(S26;no)、無線通信管理装置100は、受信した無線環境情報をメモリ102に記憶させる(S27)。
【0103】
そして、無線通信管理装置100は、全ての収集対象機器から無線環境情報を受信したか否かを判定する(S28)。
【0104】
無線環境情報を受信していない収集対象機器がある場合(S28;no)、S25の処理に進む。これにより、全ての収集対象機器から無線環境情報を受信するか、又はタイマ105がタイムアウトするまで、S25~S28の処理が繰り返される。
【0105】
全ての収集対象機器から無線環境情報を受信した場合(S28;yes)、無線通信管理装置100は、タイマのカウントを終了する(S29)。
【0106】
S29の処理の終了により、収集動作が終了する(終了)。
【0107】
1.2.4 更新動作
図11は、実施形態に係る無線通信管理装置における更新動作の一例を示すフローチャートである。図11は、図9におけるS5の処理に対応する。
【0108】
無線通信システム2の無線環境の設定を更新すると判定された場合(開始)、無線通信管理装置100は、制御情報を更新すると判定された基地局200及び端末300を更新対象機器として選択する(S51)。
【0109】
例えば、無線通信管理装置100は、生成された制御情報が、現在設定されている制御情報と異なる場合、当該制御情報に対応する基地局200又は端末300を、更新対象機器として選択する。無線通信管理装置100は、生成された制御情報が、現在設定されている制御情報と一致する場合、当該制御情報に対応する基地局200又は端末300を、更新対象機器から除外する。以下の例では、無線通信システム2内の全ての基地局200-1及び200-2、並びに端末300-1~300-3が更新対象機器として選択されたとして説明する。
【0110】
無線通信管理装置100は、選択された全ての更新対象機器に対して、更新コマンドを送信する(S52)。具体的には、無線通信管理装置100は、基地局200-1及び200-2、並びに端末300-1~300-3のそれぞれのIPアドレスを宛先とする5つの更新コマンドを送信する。
【0111】
S52の処理の後に、自身を指定する更新コマンドを受信すると、更新対象機器は、更新コマンド内の制御情報に基づき、無線環境の設定を更新する(S53)。そして、更新対象機器は、更新が完了した旨を示す情報を、無線通信管理装置100に送信する。なお、更新対象機器は、受信した更新コマンドが再起動を指示する場合、制御情報の更新後に引き続き再起動を実行する。
【0112】
無線通信管理装置100は、選択された更新対象機器のうち、無線環境の更新後に再起動を伴う機器があるか否かを判定する(S54)。
【0113】
無線環境の更新後に再起動を伴う更新対象機器がない場合(S54;no)、更新動作は終了する(終了)。
【0114】
無線環境の更新後に再起動を伴う更新対象機器がある場合(S54;yes)、無線通信管理装置100は、タイマ105のカウントを開始する(S55)。
【0115】
タイマ105のカウントが開始されると、無線通信管理装置100は、タイマ105がタイムアウトする、又は再起動を伴う全ての更新対象機器との間の再接続が確認されるまで、再接続の確認動作を実行する(S56)。
【0116】
S56の処理の後、無線通信管理装置100は、タイマ105がタイムアウトしたか否かを判定する(S57)。
【0117】
タイマ105がタイムアウトしていない場合(S57;no)、無線通信管理装置100は、タイマのカウントを終了する(S59)。
【0118】
タイマ105がタイムアウトした場合(S57;yes)、無線通信管理装置100は、接続が確認されなかった更新対象機器を管理対象から除外する(S58)。例えば、無線通信管理装置100は、登録情報を参照し、接続が確認されなかった更新対象機器の管理対象フラグを下ろす。これにより、無線通信管理動作において、管理対象フラグが下ろされた機器が管理対象から一時的に除外される。
【0119】
なお、無線通信管理装置100は、今回の無線通信管理動作の終了後、次回以降の無線通信管理動作が開始するまでに、接続が確認されなかった更新対象機器に対して継続的に再接続の確認動作を実行してもよい。そして、接続が確認できた場合、無線通信管理装置100は、接続が確認できた更新対象機器に対応する管理対象フラグを立てる。これにより、次回以降の無線通信管理動作では、当該更新対象機器を管理対象に含めることができる。
【0120】
登録情報の更新が完了した後、無線通信管理装置100は、タイマのカウントを終了する(S59)。
【0121】
S59の処理の終了により、更新動作が終了する(終了)。
【0122】
1.3 実施形態に係る効果
実施形態によれば、無線通信管理装置100は、収集コマンドを使用して、端末300から無線環境情報を収集する。無線通信管理装置100は、収集した端末300の無線環境情報に基づき、端末300の制御情報を生成する。無線通信管理装置100は、生成した端末300の制御情報に基づき、更新コマンドを使用して、端末300の無線環境の設定を更新する。これにより、端末300の無線環境を最適化することができる。このため、端末300からの上りトラヒックが主要な通信となるユースケースにおいても、スループットの悪化を抑制することができる。
【0123】
また、無線通信管理装置100は、端末300の更新動作が再起動を伴う場合、設定が更新された端末300を再起動する。無線通信管理装置100は、再起動された端末300との間の通信をSSHで再接続する。これにより、無線通信管理装置100は、無線通信システム2内の端末300を遠隔操作する状態を維持することができる。したがって、無線通信管理装置100は、端末300の再起動後も、無線通信管理動作を実行する状態を維持することができる。
【0124】
補足すると、公衆用途の無線LANでは、不特定多数の端末が自由に無線通信システムとの接続を開始し、自由に無線通信システムとの接続を終了することができる。このため、公衆用途の無線LANの無線通信を管理する場合、無線通信管理装置は、どの端末が接続されているかを管理することは困難である。すなわち、公衆用途の無線LANの無線通信を管理する場合、無線通信管理装置は、端末の個別の無線環境を考慮することは困難である。
【0125】
これに対し、実施形態に係る無線通信システム2では、無線通信管理装置100は、登録情報によって管理対象の端末300を予め特定する。このため、無線通信管理装置100は、どの端末が接続されているかを管理することができる。
【0126】
また、端末300の無線環境情報は、バッテリの残容量を含む。これにより、無線通信管理装置100は、端末300が太陽光発電によって電力を供給する場合において、バッテリ切れを起こすことなく運用可能な送信頻度を、制御情報として生成することができる。このため、端末300の送信管理を無線通信管理装置100に集約させることができる。したがって、無線通信システム2の運用負荷を軽減できる。
【0127】
また、端末300の無線環境情報は、周辺BSSのチャネル、バンド幅、周波数、及びRSSIを含む。これにより、無線通信管理装置100は、端末300のアクセスパラメタ、チャネル、伝送レート等を制御情報として生成することができる。このため、端末300同士の通信の衝突(collision)を抑制したり、変復調方式を最適化したりすることができる。このため、端末300と周辺の機器との干渉状況を考慮した運用が可能となる。したがって、無線通信システム2内のデータ伝送を安定化させることができる。
【0128】
2. 変形例
なお、上述した実施形態には、種々の変形が適用可能である。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、端末300と基地局200とがダイレクトに無線通信する場合について説明したが、これに限られない。例えば、端末300と基地局200とは、無線通信を中継する基地局(中継基地局)を介して、互いに無線通信するように構成されてもよい。
【0130】
図12は、実施形態の変形例に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0131】
図12に示すように、通信システム1Aは、無線通信システム2Aを含む。
【0132】
無線通信システム2Aは、複数の基地局200-1及び200-2と、中継基地局200Aと、複数の端末300-1~300-3と、を含む。
【0133】
中継基地局200Aは、基地局200と端末300との間を無線接続するように構成される。図12の例では、中継基地局200Aが、基地局200-2と端末300-3との間を無線接続する場合が示される。このように、中継基地局200Aを介した無線通信網を構成することにより、より広範囲にわたって端末300が分布する無線通信システム2Aを構築することができる。
【0134】
中継基地局200Aは、例えば、図3に示した基地局200ハードウェア構成と同様のハードウェア構成を有する。このため、中継基地局200Aは、基地局200としても機能することができる。なお、図12に示した無線通信システム2Aの例では、中継基地局200Aは、基地局200と端末300との間を無線接続する機能を担うため、有線通信モジュール203を使用しない。
【0135】
図13は、実施形態の変形例に係る中継基地局の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0136】
図13に示すように、中継基地局200Aは、無線信号受信部212A、収集部213A、更新部214A、及び無線信号送信部216Aを備えるコンピュータとして機能する。
【0137】
無線信号受信部212Aは、収集コマンド及び更新コマンドを基地局200から受信する。中継基地局200Aを宛先とする(中継基地局200Aへの)収集コマンドを受信すると、無線信号受信部212Aは、収集部213Aに収集コマンドを転送する。中継基地局200Aへの更新コマンドを受信すると、無線信号受信部212Aは、更新部214Aに更新コマンドを転送する。端末300を宛先とする(端末300への)収集コマンド及び更新コマンドを受信すると、無線信号受信部212Aは、収集コマンド及び更新コマンドを無線信号送信部216Aへ送信する。
【0138】
また、無線信号受信部212Aは、端末300の無線環境情報を端末300から受信する。無線信号受信部212Aは、受信した端末300の無線環境情報を無線信号送信部216Aに送信する。
【0139】
収集部213Aは、受信した収集コマンドに基づき、中継基地局200Aの無線環境情報を収集する。収集部213Aは、収集した中継基地局200Aの無線環境情報を無線信号送信部216Aに送信する。
【0140】
更新部214Aは、受信した更新コマンドに基づき、中継基地局200Aの無線環境の設定を、更新コマンド内の制御情報で更新する。更新コマンドが再起動の指示を含む場合、更新部214Aは、中継基地局200Aを再起動させる。
【0141】
無線信号送信部216Aは、受信した中継基地局200Aの無線環境情報を、無線通信管理装置100に送信する。無線信号送信部216Aは、受信した端末300の無線環境情報を、無線通信管理装置100に転送する。無線信号送信部216Aは、受信した端末300の収集コマンド及び更新コマンドを、端末300に転送する。
【0142】
以上のように構成することにより、無線通信管理装置100は、基地局200及び中継基地局200Aを介して、端末300の無線環境情報を収集できる。また、無線通信管理装置100は、基地局200を介して、中継基地局200Aの無線環境情報を収集できる。
【0143】
また、無線通信管理装置100は、中継基地局200Aの無線環境情報を更に考慮することができる。具体的には、例えば、無線通信管理装置100は、中継基地局200Aを介した伝搬路と、中継基地局200Aを介さない伝搬路と、を比較することができる。これにより、無線通信管理装置100は、制御情報として、無線通信システム2A内の最適な伝搬路を生成できる。このため、広域な無線通信システム2Aにおける無線環境を最適化することができる。
【0144】
3. その他
また、例えば、上述した実施形態では、無線通信管理プログラムが、オンプレミスの無線通信管理装置100で実行される場合について説明したが、これに限られない。例えば、無線通信管理プログラムは、クラウド上の計算リソースで実行されてもよい。
【0145】
また、例えば、上述した実施形態では、無線通信管理装置100が、ネットワークNWを介して基地局200と接続される場合について説明したが、これに限られない。例えば、無線通信管理装置100は、無線通信システム2内に設けられ、ルート(root)の基地局200として機能してもよい。この場合、無線通信管理装置100は、図5に示した機能構成と、図6に示した機能構成と、の双方を有するように構成されてもよい。
【0146】
また、上述した実施形態では、無線通信管理装置100とデータサーバ500とが物理的に異なるサーバである場合について説明したが、これに限れない。すなわち、無線通信管理装置100とデータサーバ500とは、物理的に同一のサーバ内に構成されてもよい。
【0147】
また、上述した実施形態では、無線通信管理装置100、基地局200、及び端末300の間の通信にSSHが使用される場合について説明した。しかしながら、無線通信管理装置100、基地局200、及び端末300の間の通信は、無線通信管理装置100が基地局200及び端末300に対して遠隔からログインして各種コマンドを送信できれば、SSHに限られず任意のプロトコルを使用可能である。
【0148】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0149】
1,1A…通信システム
2,2A…無線通信システム
100…無線通信管理装置
200-1,200-2…基地局
200A…中継基地局
300-1,300-2,300-3…端末
400…外部サーバ
500…データサーバ
101,201,301…制御回路
102,202,302…メモリ
103,203…有線通信モジュール
104…ユーザインタフェース
105…タイマ
106…ドライブ
107…記憶媒体
204,303…無線通信モジュール
304…センサ
305…バッテリ
111…ユーザ入力部
112,211…有線信号受信部
113…制御情報生成部
114…判定部
115,215…有線信号送信部
116…コマンドライブラリ
212,212A,311…無線信号受信部
213,213A,312…収集部
214,214A,313…更新部
216,216A,314…無線信号送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13