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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】変倍光学系および光学機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20241008BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023082080
(22)【出願日】2023-05-18
(62)【分割の表示】P 2021572977の分割
【原出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2023096110
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2020007089
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩史
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-225308(JP,A)
【文献】特開2014-153402(JP,A)
【文献】特開2020-064175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に光軸上に並んで配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を有する後群とからなり、
前記後群は、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群と負の屈折力を有する第2合焦レンズ群とを有し、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群は、互いに異なる移動軌跡で像側に移動し、
前記第1合焦レンズ群は1枚の正レンズからなり、以下の条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
1.10<f2/fF2<2.00
1.30<f1/fF1<2.50
但し、f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
【請求項2】
物体側から順に光軸上に並んで配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を有する後群とからなり、
前記後群は、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群と負の屈折力を有する第2合焦レンズ群とを有し、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化し、
無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群は、互いに異なる移動軌跡で像側に移動し、
前記第2合焦レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズからなり、以下の条件式を満足することを特徴とする変倍光学系。
1.10<f2/fF2<2.00
1.30<f1/fF1<2.50
但し、f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
【請求項3】
前記第1合焦レンズ群は1枚の正レンズからなる請求項に記載の変倍光学系。
【請求項4】
以下の条件式を満足する請求項1~3のいずれかに記載の変倍光学系。
0.60<fr/fF2<3.00
但し、fr:最も像側に配置された最終レンズ群の焦点距離
【請求項5】
以下の条件式を満足する請求項1~いずれかに記載の変倍光学系。
1.30<fF1/(-fF2)<10.00
【請求項6】
以下の条件式を満足する請求項1~のいずれかに記載の変倍光学系。
0.01<MWF1/MWF2<1.00
但し、MWF1:広角端状態における前記第1合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
MWF2:広角端状態における前記第2合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
但し、像側への移動を正とする
【請求項7】
前記第2合焦レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズからなる請求項1、3~6のいずれかに記載の変倍光学系。
【請求項8】
前記第1レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを有し、
以下の条件式を満足する請求項1~のいずれかに記載の変倍光学系。
60.00<νp
但し、νp:前記正レンズのアッベ数
【請求項9】
前記後群は、前記第1合焦レンズ群の物体側に、光軸に垂直方向に移動可能なレンズ群を有する請求項1~のいずれかに記載の変倍光学系。
【請求項10】
以下の条件式を満足する請求項1~のいずれかに記載の変倍光学系。
15.00°<2ωw<45.00°
但し、2ωw:前記変倍光学系の広角端状態における全画角[°]
【請求項11】
以下の条件式を満足する請求項1~10のいずれかに記載の変倍光学系。
0.05<Bfw/fw<0.35
但し、Bfw:広角端状態におけるバックフォーカス
fw:広角端状態における前記変倍光学系の焦点距離
【請求項12】
以下の条件式を満足する請求項1~11のいずれかに記載の変倍光学系。
0.10<1/βF2w<0.60
但し、βF2w:広角端状態における前記第2合焦レンズ群の横倍率
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の変倍光学系を搭載して構成される光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍光学系および光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適した変倍光学系が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、従来の変倍光学系にあっては、合焦レンズ群の軽量化が不十分であり、無限遠物体から近距離物体への合焦時の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-102462号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に光軸上に並んで配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を有する後群とからなり、前記後群は、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群と負の屈折力を有する第2合焦レンズ群とを有し、広角端から望遠端への変倍時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化し、無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群は、互いに異なる移動軌跡で像側に移動し、前記第1合焦レンズ群は1枚の正レンズからなり、以下の条件式を満足する。
1.10<f2/fF2<2.00
1.30<f1/fF1<2.50
但し、f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離

第2の本発明に係る変倍光学系は、物体側から順に光軸上に並んで配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を有する後群とからなり、前記後群は、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群と負の屈折力を有する第2合焦レンズ群とを有し、広角端から望遠端への変倍時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化し、無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群は、互いに異なる移動軌跡で像側に移動し、前記第2合焦レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズからなり、以下の条件式を満足する。
1.10<f2/fF2<2.00
1.30<f1/fF1<2.50
但し、f2:前記第2レンズ群の焦点距離
fF2:前記第2合焦レンズ群の焦点距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fF1:前記第1合焦レンズ群の焦点距離
【0005】
本発明に係る光学機器は、上記変倍光学系を搭載して構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。
図2図2(A)、図2(B)、および図2(C)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図3図3(A)、図3(B)、および図3(C)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における近距離合焦時の諸収差図である。
図4】第2実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。
図5図5(A)、図5(B)、および図5(C)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図6図6(A)、図6(B)、および図6(C)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における近距離合焦時の諸収差図である。
図7】第3実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。
図8図8(A)、図8(B)、および図8(C)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図9図9(A)、図9(B)、および図9(C)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における近距離合焦時の諸収差図である。
図10】第4実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。
図11図11(A)、図11(B)、および図11(C)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。
図12図12(A)、図12(B)、および図12(C)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における近距離合焦時の諸収差図である。
図13】本実施形態に係る変倍光学系の製造方法を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る変倍光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る変倍光学系を備えたカメラ(光学機器)を図14に基づいて説明する。このカメラ1は、図14に示すように、本体2と本体2に装着される撮影レンズ3により構成される。本体2は、撮像素子4と、デジタルカメラの動作を制御する本体制御部(不図示)と、液晶操作画面5を備える。撮影レンズ3は、複数のレンズ群からなる光学系ZLと、各レンズ群の位置を制御するレンズ位置制御機構(不図示)を備える。レンズ位置制御機構は、レンズ群の位置を検出するセンサ、レンズ群を光軸に沿って前後に移動させるモーター、モーターを駆動する制御回路などにより構成される。
【0009】
被写体からの光は、撮影レンズ3の光学系ZLにより集光されて、撮像素子4の像面I上に到達する。像面Iに到達した被写体からの光は、撮像素子4により光電変換され、デジタル画像データとして不図示のメモリに記録される。メモリに記録されたデジタル画像データは、ユーザの操作に応じて液晶画面5に表示することが可能である。なお、このカメラは、ミラーレスカメラでも、クイックリターンミラーを有した一眼レフタイプのカメラであっても良い。
【0010】
次に、本実施形態に係る変倍光学系(撮影レンズ3)について説明する。本実施形態に係る変倍光学系(ズームレンズ)ZLの一例としての変倍光学系ZL(1)は、図1に示すように、物体側から順に光軸上に並んで配置された、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、後群GRとを有し、後群GRは、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群GF1(例えば、第5レンズ群G5から構成される)と負の屈折力を有する第2合焦レンズGF2(例えば、第6レンズ群G6から構成される)群とを有する。そして、広角端から望遠端への変倍時に、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2および後群GRを構成する複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化する。さらに、無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、第1合焦レンズ群GF1お
よび第2合焦レンズ群GF2が互いに異なる移動軌跡で像側に移動する。
【0011】
この変倍光学系ZLは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
1.10<f2/fF2<2.00 ・・・(1)
但し、f2:第2レンズ群の焦点距離
fF2: 第2合焦レンズ群の焦点距離
【0012】
上記条件式(1)は、第2レンズ群G2と第2合焦レンズ群GF2の焦点距離の比を規定するものであるが、条件式(1)を満足することにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差、像面湾曲をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(1)の上限値を、例えば、1.85、1.70、1.60、1.55、1.50、1.45、1.42に設定することが好ましい。また、条件式(1)の下限値を、例えば、1.12、1.14、1.15、1.16、1.18、1.19に設定することが好ましい。
【0013】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.30<f1/fF1<2.50 ・・・(2)
但し、f1:第1レンズ群の焦点距離
fF1: 第1合焦レンズ群の焦点距離
【0014】
上記条件式(2)は、第1レンズ群G1と第1合焦レンズ群GF1の焦点距離の比を規定するものであるが、条件式(2)を満足することにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差、像面湾曲をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(2)の上限値を、例えば、2.45、2.40、2.35、2.30、2.25、2.20、2.15、2.10、2.05に設定することが好ましい。また、条件式(2)の下限値を、例えば、0.50、0.75、1.00、1.15、1.30、1.40、1.45、1.50、1.55に設定することが好ましい。
【0015】
また、上記変倍光学系において、第1合焦レンズ群GF1は1枚の正レンズからなるのが好ましい。これにより、鏡筒を小型化と合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差を効果的に抑えることができる。
【0016】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
0.60<fr/fF2<3.00 ・・・(3)
但し、fr:最も像側のレンズ群の焦点距離
【0017】
上記条件式(3)は、最も像側のレンズ群と第2合焦レンズ群GF2の焦点距離の比を規定するものであるが、条件式(3)を満足することにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(3)の上限値を、例えば、2.85、2.70、2.55、2.40、2.25、2.10、2.00、1.95、1.92に設定することが好ましい。また、条件式(3)の下限値を、例えば、0.75、0.85、0.93、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20に設定することが好ましい。
【0018】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
1.30<fF1/(-fF2)<10.00 ・・・(4)
【0019】
上記条件式(4)は、第1合焦レンズ群GF1と第2合焦レンズ群GF2の焦点距離の
比を規定するものであるが、条件式(4)を満足することにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を良好に抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(4)の上限値を、例えば、8.50、7.00、5.50、4.50、4.00、3.50、3.00、2.50、2.30に設定することが好ましい。また、条件式(4)の下限値を、例えば、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.63、1.65に設定することが好ましい。
【0020】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(5)を満足することが好ましい。
0.01<MWF1/MWF2<1.00 ・・・(5)
但し、MWF1:広角端状態における第1合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
MWF2:広角端状態における第2合焦レンズ群の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量
なお、像側への移動を正とする
【0021】
上記条件式(5)は、広角端状態における第1合焦レンズ群GF1の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量と、広角端状態における第2合焦レンズ群GF2の無限遠物体から近距離物体への合焦の際の移動量との比を規定するものであるが、条件式(5)を満足することにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を良好に抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(5)の上限値を、例えば、0.95、0.90、0.88、0.85、0.83、0.78、0.75、0.73、0.70に設定することが好ましい。また、条件式(5)の下限値を、例えば、0.05、0.10、0.15、0.20、0.23、0.25、0.28、0.30に設定することが好ましい。
【0022】
また、上記変倍光学系において、第2合焦レンズ群GF2は、1枚の正レンズと1枚の負レンズからなるのが好ましい。これにより、無限遠物体から近距離物体への合焦の際の色収差の変動を効果的に補正することができる。
【0023】
また、上記変倍光学系において、第1レンズ群G1は少なくとも1枚の正レンズを有し、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
60.00<νp ・・・(6)
但し、νp:第1レンズ群が有する正レンズのアッベ数
【0024】
上記変倍光学系において、第1レンズ群G1は少なくとも1枚の正レンズを有する構成とし、この正レンズが上記条件式(6)を満足することにより、軸上色収差を効果的に抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(6)の下限値を、例えば、63.0、68.0、72.0、75.0、78.0、80.0に設定することが好ましい。
【0025】
また、上記変倍光学系において、第1合焦レンズ群GF1の物体側に隣接するレンズ群の少なくとも一部を光軸に垂直方向に移動として像ブレ補正を可能とすることが好ましい。これにより、手振れ補正の際の像面傾斜と偏芯コマ収差の変動を効果的に抑えることができる。
【0026】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
0.10<βF1w<0.80 ・・・(7)
但し、βF1w:広角端状態における第1合焦レンズ群の横倍率
【0027】
上記条件式(7)は、広角端状態における第1合焦レンズ群GF1の無限遠物体合焦時の横倍率を規定するものであるが、条件式(7)を満足することにより、広角端状態における無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を良好に抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(7)の上限値を、例えば、0.75、0.70、0.68、0.65、0.63、0.60、0.58、0.55、に設定することが好ましい。また、条件式(7)の下限値を、例えば、0.15、0.20、0.25、0.30、0.33、0.35、0.38に設定することが好ましい。
【0028】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
0.10<1/βF2w<0.60 (8)
但し、βF2w:広角端状態における第2合焦レンズ群の横倍率
【0029】
上記条件式(8)は、広角端状態における第2合焦レンズ群GF2の無限遠物体合焦時の横倍率を規定するものであるが、条件式(8)を満足することにより、広角端状態における無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差をはじめとする諸収差の変動を良好に抑えることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(8)の上限値を、例えば、0.55、0.50、0.48、0.45、0.43、0.40、0.38、0.35に設定することが好ましい。また、条件式(8)の下限値を、例えば、0.13、0.15、0.18、0.20、0.23、0.25に設定することが好ましい。
【0030】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
(βF1w+1/βF1w)-2 <0.25 ・・・(9)
【0031】
上記条件式(9)は、広角端状態における第1合焦レンズ群GF1の無限遠物体合焦時の横倍率の関係を規定するものであるが、条件式(9)を満足することにより、広角端状態における無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差や歪曲収差、コマ収差をはじめとする諸収差の変動を抑えつつ、移動量を小さくすることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(9)の上限値を、例えば、0.24、0.22、0.21、0.20、0.19、0.18に設定することが好ましい。
【0032】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(10)を満足することが好ましい。
(βF2w+1/βF2w)-2 <0.15 ・・・(10)
【0033】
上記条件式(10)は、広角端状態における第2合焦レンズ群GF2の無限遠物体合焦時の横倍率の関係を規定するものであるが、条件式(10)を満足することにより、広角端状態における無限遠物体から近距離物体への合焦の際の球面収差や歪曲収差、コマ収差をはじめとする諸収差の変動を抑えつつ、移動量を小さくすることができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(10)の上限値を、例えば、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10に設定することが好ましい。
【0034】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(11)を満足することが好ましい。
15.00°<2ωw<45.00° ・・・(11)
但し、2ωw:前記変倍光学系の広角端状態における全画角[°]
【0035】
上記条件式(11)は、変倍光学系の広角端状態における全画角を規定するものである。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(11)の上限値を、例えば、44.00°、42.00°、40.00°、38.00°、36.00°、35.00°に設定することが好ましい。また、条件式(11)の下限値を、例えば、18.00°
、20.00°、23.00°、25.00°、28.00°、30.00°、32.00°に設定することが好ましい。
【0036】
また、上記変倍光学系は、以下の条件式(12)を満足することが好ましい。
0.05<Bfw/fw<0.35 ・・・(12)
但し、Bfw:広角端状態におけるバックフォーカス
fw:広角端状態における前記変倍光学系の焦点距離
【0037】
上記条件式(12)は、広角端状態における変倍光学系でのバックフォーカスと、広角端状態における変倍光学系の焦点距離の比を規定するものであるが、条件式(12)を満足することにより、広角端状態におけるコマ収差をはじめとする諸収差を効果的に補正することができる。本実施形態の効果を確実なものとするためには、条件式(12)の上限値を、例えば、0.34、0.32、0.30、0.29、0.28に設定することが好ましい。また、条件式(12)の下限値を、例えば、0.06、0.08、0.10、0.12、0.14に設定することが好ましい。
【0038】
続いて、図13を参照しながら、上記光学系の製造方法について概説する。この製造方法においては、まず、鏡筒内に、物体側から順に光軸上に並んで、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、複数のレンズ群を有する後群とを配置する(ステップST1)。なおこのとき、後群は、正の屈折力を有する第1合焦レンズ群と負の屈折力を有する第2合焦レンズ群とを有する。次に、広角端から望遠端への変倍時に、前記第1レンズ群、前記第2レンズ群および前記複数のレンズ群における隣り合うレンズ群の間隔が変化するように構成する(ステップST2)。さらに、無限遠物体から近距離物体への合焦に際して、前記第1合焦レンズ群および前記第2合焦レンズ群が互いに異なる移動軌跡で像側に移動するように構成する(ステップST3)。そして、下記の所定の条件式を満足するように構成する(ステップST4)。
1.10<f2/fF2<2.00
但し、f2:第2レンズ群の焦点距離
fF2: 第2合焦レンズ群の焦点距離
【0039】
以上説明した本実施形態に係る変倍光学系およびこの変倍光学系を備えたカメラ(光学機器)ならびに上記製造方法により製造された変倍光学系によれば、合焦用レンズ群を小型軽量化することが可能であり、これにより、鏡筒を大型化することなく高速なAF、AF時の静粛性を実現できる。さらに、広角端状態から望遠端状態への変倍時の収差変動、ならびに無限遠物体から近距離物体への合焦時の収差変動を良好に抑えることができる。
【実施例
【0040】
以下、上記実施形態の具体的な実施例に係る変倍光学系ZLを図面に基づいて説明する。図1図4図7図10は、第1~第4実施例に係る変倍光学系ZL{ZL(1)~ZL(4)}の構成及び屈折力配分を示す断面図である。各断面図には、広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際の各レンズ群の光軸に沿った移動方向を矢印で示している。さらに、合焦レンズ群が無限遠から近距離物体に合焦する際の移動方向を、「合焦」という文字とともに矢印で示している。
【0041】
これらの図(図1図4図7図10)において、各レンズ群を符号Gと数字の組み合わせにより、各レンズを符号Lと数字の組み合わせにより、それぞれ表している。この場合において、符号、数字の種類および数が大きくなって煩雑化するのを防止するため、実施例毎にそれぞれ独立して符号と数字の組み合わせを用いてレンズ群等を表している。このため、実施例間で同一の符号と数字の組み合わせが用いられていても、同一の構成であることを意味するものでは無い。
【0042】
図2および図3図5および図6図8および図9図11および図12は、第1~第4実施例に係る変倍光学系ZL(1)~ZL(4)における各種収差を示す。これらの図において、FNOはFナンバー、NAは開口数、Yは像高を示す。球面収差図では最大口径に対応するFナンバーまたは開口数の値を示し、非点収差図及び歪曲収差図では像高の最大値を示し、コマ収差図では各像高の値を示す。dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)を示す。非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面を示す。歪曲収差図ではd線を基準とした歪曲収差を示し、倍率色収差図では、g線を基準とした倍率色収差を示す。
【0043】
以下に表1~表4を示すが、表1は第1実施例、表2は第2実施例、表3は第3実施例、表4は第4実施例のそれぞれにおける各諸元データを示す表である。各実施例では収差特性の算出対象として、d線(波長λ=587.6nm)、g線(波長λ=435.8nm)を選んでいる。
【0044】
[全体諸元]の表において、F.NОはFナンバー、2ωは画角(単位は°(度)で、ωが半画角である)を示す。TLは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最前面からレンズ最終面までの距離にBFを加えた距離を空気換算長で示し、BFは無限遠合焦時の光軸上でのレンズ最終面から像面Iまでの空気換算距離(バックフォーカス)を示す。なお、これらの値は、広角端(W)、中間焦点距離(M)、望遠端(T)の各変倍状態におけるそれぞれについて示している。
【0045】
[レンズ諸元]の表において、面番号(面という文字で示す欄の番号)は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序を示し、Rは各光学面の曲率半径(曲率中心が像側に位置する面を正の値としている)、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材質のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材質のd線を基準とするアッベ数を、それぞれ示す。曲率半径の「∞」は平面又は開口を、(絞りS)は開口絞りを、それぞれ示す。空気の屈折率nd=1.00000の記載は
省略している。レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示している。
【0046】
[非球面データ]の表には、[レンズ諸元]に示した非球面について、その形状を次式(A)で示す。X(y)は非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離(ザグ量)を、Rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)を、κは円錐定数を、Aiは第i次の非球面係数を示す。「E-n」は、「×10-n」を示す。例えば、1.234E-05=1.234×10-5である。なお、2次の非球面係数A2は0であり、その記載を省略している。
【0047】
X(y)=(y2/R)/{1+(1-κ×y2/R21/2}+A4×y4+A6×y6+A8×y8+A10×y10+A12×y12 ・・・(A)
【0048】
[レンズ群データ]の表には、各レンズ群のそれぞれの始面(最も物体側の面)と、各レンズ群それぞれの焦点距離を示す。
【0049】
[可変間隔データ]の表には、[レンズ諸元]を示す表において面間隔が「可変」となっている面番号での面間隔を示す。ここでは無限遠および近距離に合焦させたときのそれぞれについて、広角端(W)、中間焦点距離(M)、望遠端(T)の各変倍状態における面間隔を、通常距離に合焦する場合と至近距離に合焦する場合とに分けて示す。なお、第1行に各変倍状態における全体焦点距離f(通常距離に合焦する場合)もしくは横倍率β(至近距離に合焦する場合)を示している。
【0050】
[倍率]の表には、第1合焦レンズ群の横倍率βF1と第2合焦レンズ群の横倍率βF2を、広角端(W)、中間焦点距離(M)、望遠端(T)の各変倍状態について、通常距離に合焦する場合と至近距離に合焦する場合とに分けて示す。
【0051】
[その他諸元]の表には、広角端状態での変倍光学系ZLの焦点距離fw、望遠端状態での変倍光学系ZLの焦点距離ft、広角端状態におけるバックフォーカスBfw、第1合焦レンズ群GF1の焦点距離fF1、第2合焦レンズ群GF2の焦点距離fF2、最も像側に配置された最終レンズ群の焦点距離fr、広角端状態において無限遠物体から近距離物体(最も近距離の物体)へ合焦する際の第1合焦レンズ群の移動量MWF1および第2合焦レンズ群の移動量MWF2を示す。
【0052】
[条件式対応値]の表を全実施例(第1~第4実施例)の説明の最後に設けている。この表には、各条件式に対応する値を、全実施例(第1~第4実施例)について纏めて示す。
【0053】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径R、面間隔D、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。
【0054】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下における重複する説明は省略する。
【0055】
(第1実施例)
第1実施例について、図1図3および表1を用いて説明する。図1は、第1実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。第1実施例に係る変倍光学系ZL(1)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りSと、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、正の屈折力を有する第7レンズ群G7と、負の屈折力を有する第8レンズ群G8とから構成される。なお、第8レンズ群G8の像側に、像面Iを有する撮像素子4が位置する。
【0056】
広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1~第3レンズ群G1~G3、第5および第6レンズ群G5、G6および第8レンズ群G8がそれぞれ図1の矢印で示すように軸方向に移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。但し、第4および第7レンズ群G4、G7は変倍中において固定されて静止している。なお、第3~第8レンズ群G3~G8からなるレンズ群は、後群GRに該当する。各レンズ群記号に付けている符号(+)もしくは(-)は各レンズ群の屈折力を示し、このことは以下の全ての実施例でも同様である。
【0057】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成される。
【0058】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23の接合レンズとから構成される。
【0059】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に
凸面を向けた正メニスカスレンズL32とから構成される。
【0060】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、開口絞りSと、両凹形状の負レンズL41と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42および両凸形状の正レンズL43の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44とから構成される。開口絞りSは、第4レンズ群G4の像側に設けられ、変倍の際、第4レンズ群G4とともに移動する。なお、負メニスカスレンズL42および正レンズL43の接合レンズと、正メニスカスレンズL44とを光軸に垂直に移動させるように構成し、いわゆる手ぶれ補正を行う防振レンズとするのが好ましい。
【0061】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される。第5レンズ群G5は合焦の際に移動される第1合焦レンズ群GF1を構成する。
【0062】
第6レンズ群G6は、両凸形状の正レンズL61および両凹形状の負レンズL62の接合レンズから構成される。第6レンズ群G6は合焦の際に移動される第2合焦レンズ群GF2を構成する。
【0063】
第7レンズ群G7は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL71および両凸形状の正レンズL72の接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL73とから構成される。
【0064】
第8レンズ群G8は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL81から構成される。また、像面Iの手前には平行平板PPが配置される。
【0065】
本実施例では、上述のように、第5レンズ群G5が第1合焦レンズ群GF1を構成し、第6レンズ群G6が第2合焦レンズ群GF2を構成している。遠距離物体(無限遠物体)への合焦状態から近距離物体への合焦状態への変化に応じて、両合焦レンズ群GF1、GF2がともに矢印で示すように像側に移動する。なお、このときの移動軌跡は互いに相違する。
【0066】
以下の表1に、第1実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0067】
(表1)
[全体諸元]
W M T
F.NO 4.0951 4.09535 4.09833
2ω 34.15798 19.5708 12.31288
空気換算TL 166.38 187.45 194.45
空気換算BF 11.1546 18.7416 26.5245
[レンズ諸元]
面 R D nd νd
1 500.00 1.99 1.83400 37.18
2 105.771 8.57 1.49700 81.61
3 -149.176 0.10 1.00000
4 69.0714 5.76 1.49700 81.61
5 195.431 可変 1.00000
6 -95.4875 1.39 1.77250 49.61
7 60.8786 1.60 1.00000
8 134.479 1.29 1.60300 65.4
9 40.9439 2.64 2.00069 25.46
10 100.515 可変 1.00000
11 60.695 3.41 1.59319 67.87
12 -452.202 0.10 1.00000
13 51.5441 2.53 1.69680 55.48
14 171.456 可変 1.00000
15 ∞ 1.40 1.00000 絞り
16 -348.825 1.29 1.72825 28.38
17 41.809 2.16 1.00000
18 74.9298 1.19 1.85000 27.03
19 38.2117 3.23 1.51680 63.8
20 -543.588 0.28 1.00000
21 71.1546 2.16 1.90265 35.72
22 311.075 可変 1.00000
23 70.6244 1.79 1.75500 52.36
24 2710.11 可変 1.00000
25 121.18 1.99 1.84666 23.8
26 -85.4601 0.79 1.77250 49.61
27 27.6526 可変 1.00000
28 34.0186 0.99 1.90265 35.72
29 25.5061 8.47 1.51680 63.8
30 -36.1299 2.00 1.00000
31 -54.7648 1.70 1.72916 54.62
32 -1228.74 可変 1.00000
33 -37.2066 1.49 1.80400 46.58
34 -150.0 可変 1.00000
35 ∞ 2.00 1.51680 63.88
36 ∞ 0.10 1.00000
像面(I) ∞
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
G1 1 151.18674
G2 6 -60.4899
G3 11 48.89599
G4 16 -193.87542
G5 23 96.01709
G6 25 -50.55695
G7 28 73.01107
G8 33 -61.90763
[可変間隔データ]
W M T W至近 M至近 T至近
f 72.00 123.00 193.99 -0.08301 -0.138 -0.21187
d5 3.55932 39.103 61.1932 3.55932 39.103 61.1932
d10 36.3561 19.9769 1.08809 36.3561 19.9769 1.08809
d14 1.86104 3.7562 7.53637 1.86104 3.7562 7.53637
d22 2.50539 2.4 8.87949 4.68933 3.83126 12.50417
d24 11.711 9.41711 1.95377 13.89494 15.14216 14.64016
d27 15.058 17.468 18.4803 10.69012 10.31168 2.16923
d32 23.87795 16.29295 8.50055 23.87795 16.29295 8.50055
d34 9.73607 17.32302 25.1059 9.73607 17.32302 25.1059
[倍率]
W M T W至近 M至近 T至近
βF1 0.47058 0.50753 0.6043 0.45172 0.45556 0.49556
βF2 3.46577 3.1914 2.86125 3.37937 3.04985 2.53862
[その他諸元]
fw 72.003
ft 193.994
Bfw 11.155
fF1 96.017
fF2 -50.557
fr -61.91
MWF1 2.184
MWF2 4.368
【0068】
図2(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図3(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第1実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における至近距離合焦時の諸収差図である。
【0069】
図2(A)~(C)の各収差図において、FNOはFナンバー、Yは像高をそれぞれ示す。球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、横収差図では各像高の値を示す。図3(A)~(C)の各収差図において、NAは開口数、Yは像高をそれぞれ示す。球面収差図では最大口径に対応する開口数の値を示し、非点収差図および歪曲収差図では像高の最大値をそれぞれ示し、コマ収差図では各像高の値を示す。また、各収差図において、dはd線(波長
λ=587.6nm)、gはg線(波長λ=435.8nm)をそれぞれ示す。非点収差
図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0070】
各諸収差図より、第1実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに至近距離合焦時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0071】
(第2実施例)
第2実施例について、図4図6および表2を用いて説明する。図4は、第2実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。第2実施例に係る変倍光学系ZL(2)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りSと、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、正の屈折力を有する第7レンズ群G7と、負の屈折力を有する第8レンズ群G8とから構成される。なお、第8レンズ群G8の像側に、像面Iを有する撮像素子4が位置する。
【0072】
広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1~第3レンズ群G1~G3、第5および第6レンズ群G5、G6および第8レンズ群G8がそれぞれ図4の矢印で示すように軸方向に移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。但し、第4および第7レンズ群G4、G7は変倍中において固定されて静止している。なお、第3~第8レンズ群G3~G8からなるレンズ群は、後群GRに該当する。
【0073】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレン
ズL11および両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とから構成される。
【0074】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23の接合レンズとから構成される。
【0075】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL32および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33の接合レンズとから構成される。
【0076】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、開口絞りSと、両凹形状の負レンズL41と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42および両凸形状の正レンズL43の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44とから構成される。開口絞りSは、第4レンズ群G4の像側に設けられ、変倍の際、第4レンズ群G4とともに移動する。なお、負メニスカスレンズL42および正レンズL43の接合レンズと、正メニスカスレンズL44とを光軸に垂直に移動させるように構成し、いわゆる手ぶれ補正を行う防振レンズとするのが好ましい。
【0077】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される。第5レンズ群G5は合焦の際に移動される第1合焦レンズ群GF1を構成する。
【0078】
第6レンズ群G6は、両凸形状の正レンズL61および両凹形状の負レンズL62の接合レンズから構成される。第6レンズ群G6は合焦の際に移動される第2合焦レンズ群GF2を構成する。
【0079】
第7レンズ群G7は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL71および両凸形状の正レンズL72の接合レンズと、両凹形状の負レンズL73とから構成される。
【0080】
第8レンズ群G8は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL81から構成される。また、像面Iの手前には平行平板PPが配置される。
【0081】
本実施例では、上述のように、第5レンズ群G5が第1合焦レンズ群GF1を構成し、第6レンズ群G6が第2合焦レンズ群GF2を構成している。遠距離物体(無限遠物体)への合焦状態から近距離物体への合焦状態への変化に応じて、両合焦レンズ群GF1、GF2がともに矢印で示すように像側に移動する。なお、このときの移動軌跡は互いに相違する。
【0082】
以下の表2に、第2実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0083】
(表2)
[全体諸元]
W M T
F.NO 4.12046 4.11684 4.11125
2ω 34.23938 19.50486 12.29088
空気換算TL 169.454 187.456 197.586
空気換算BF 11.154 18.408 26.664

[レンズ諸元]
面 R D nd νd
1 731.131 1.99 1.83400 37.18
2 117.25 8.05 1.49700 81.61
3 -154.091 0.10 1.00000
4 77.0078 5.73 1.49700 81.61
5 281.511 可変 1.00000
6 -94.2427 1.39 1.75500 52.36
7 72.1547 1.49 1.00000
8 169.537 1.29 1.61800 63.32
9 46.0722 2.56 2.00069 25.46
10 115.901 可変 1.00000
11 59.2825 3.43 1.59319 67.87
12 -916.548 0.10 1.00000
13 55.8635 1.49 1.83481 42.75
14 61.9704 2.25 1.59319 67.87
15 174.424 可変 1.00000
16 ∞ 1.33 1.00000 絞り
17 -585.399 1.29 1.72825 28.38
18 41.1729 1.98 1.00000
19 60.435 1.19 1.85000 27.03
20 34.9355 3.36 1.51680 63.88
21 -732.955 1.11 1.00000
22 76.1381 2.07 1.90265 35.72
23 267.9819 可変 1.00000
24 52.4504 1.98 1.75500 52.36
25 449.41 可変 1.00000
26 164.034 1.98 1.84666 23.8
27 -73.3989 0.79 1.71999 50.24
28 25.4685 可変 1.00000
29 35.5194 0.99 1.90265 35.72
30 27.1214 8.22 1.51680 63.88
31 -34.5587 0.10 1.00000
32 -58.2316 1.70 1.75500 52.36
33 4997.29 可変 1.00000
34 -36.5066 1.50 1.77250 49.61
35 -150.000 可変 1.00000
36 ∞ 2.00 1.51680 63.88
37 ∞ 0.10 1.00000
像面(I) ∞
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
f1 1 158.70211
f2 6 -65.8671
f3 11 54.45619
f4 17 -233.30838
f5 24 78.48149
f6 26 -47.29012
f7 29 76.27788
f8 34 -62.81955
[可変間隔データ]
W M T W至近 M至近 T至近
焦点距離 72.00356 122.99682 193.99234 -0.08271 -0.13753 -0.20924
d5 3.37147 39.0174 63.0344 3.37147 39.0174 63.0344
d10 39.6223 19.3426 1.091 39.6223 19.3426 1.091
d15 1.85246 4.49489 8.84929 1.85246 4.49489 8.84929
d23 2.49998 3.09048 8.36222 6.21678 4.36326 10.59723
d25 9.83103 8.03148 1.95682 11.68943 13.1226 13.13184
d28 14.6269 15.8161 16.6366 9.0517 9.4522 3.22657
d33 27.02815 19.78715 11.52424 27.02815 19.78715 11.52424
d35 9.73551 16.98995 25.24534 9.73551 16.98995 25.24534
[倍率]
W M T W至近 M至近 T至近
βF1 0.40348 0.44021 0.53916 0.38583 0.38343 0.41932
βF2 3.49235 3.23369 2.89849 3.37445 3.09912 2.61492
[その他諸元]
fw 72.004
ft 193.992
Bfw 11.155
fF1 78.48149
fF2 -47.29012
fr -62.82
MWF1 3.717
MWF2 5.575
【0084】
図5(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図6(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第2実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における至近距離合焦時の諸収差図である。
【0085】
各諸収差図より、第2実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに至近距離合焦時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0086】
(第3実施例)
第3実施例について、図7図9および表3を用いて説明する。図7は、第3実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。第3実施例に係る変倍光学系ZL(3)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りSと、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、負の屈折力を有する第5レンズ群G5と、正の屈折力を有する第6レンズ群G6と、負の屈折力を有する第7レンズ群G7とから構成される。なお、第7レンズ群G7の像側に、像面Iを有する撮像素子4が位置する。
【0087】
広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1~第3レンズ群G1~G3、第5レンズ群G5および第7レンズ群G7がそれぞれ図7の矢印で示すように軸方向に移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。但し、第4および第6レンズ群G4、G6は変倍中において固定されて静止している。なお、第3~第7レンズ群G3~G7からなるレンズ群は、後群GRに該当する。
【0088】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニ
スカスレンズL13とから構成される。
【0089】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、両凹形状の負レンズL22および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23の接合レンズとから構成される。
【0090】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33の接合レンズとから構成される。
【0091】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、開口絞りSと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と、両凸形状の正レンズL42および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL43の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44と、両凸形状の正レンズL45とから構成される。開口絞りSは、第4レンズ群G4の像側に設けられ、変倍の際、第4レンズ群G4とともに移動する。最も像側の正レンズL45は合焦の際に移動される第1合焦レンズ群GF1を構成する。なお、後述する[レンズ諸元]の表において、面番号23の面間隔が可変となっているが、変倍の際にこの間隔は変化せず、第2合焦レンズ群GF2が合焦のため移動されるときにこの間隔が変化することを示している。なお、正レンズL42および負メニスカスレンズL43の接合レンズと、正メニスカスレンズL44とを光軸に垂直に移動させるように構成し、いわゆる手ぶれ補正を行う防振レンズとするのが好ましい。
【0092】
第5レンズ群G5は、両凸形状の正レンズL51および両凹形状の負レンズL52の接合レンズから構成される。第5レンズ群G5は合焦の際に移動される第2合焦レンズ群GF2を構成する。
【0093】
第6レンズ群G6は、両凸形状の正レンズL61および物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL62の接合レンズから構成される。
【0094】
第7レンズ群G7は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL71から構成される。また、像面Iの手前には平行平板PPが配置される。
【0095】
本実施例では、上述のように、第4レンズ群G4における最も像側の正レンズL45が第1合焦レンズ群GF1を構成し、第5レンズ群G5が第2合焦レンズ群GF2を構成している。遠距離物体(無限遠物体)への合焦状態から近距離物体への合焦状態への変化に応じて、両合焦レンズ群GF1、GF2がともに矢印で示すように像側に移動する。なお、このときの移動軌跡は互いに相違する。
【0096】
以下の表3に、第3実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0097】
(表3)
[全体諸元]
W M T
F.NO 4.13522 4.13658 4.15089
2ω 34.0079 19.00672 12.21052
空気換算TL 167.955 187.453 194.407
空気換算BF 18.532 27.144 34.218
[レンズ諸元]
面 R D nd νd
1 234.377 2.00 1.83400 37.18
2 97.0845 7.50 1.49700 81.61
3 -226.442 0.10 1.00000
4 81.4145 5.10 1.49700 81.61
5 262.943 可変 1.00000
6 -226.35 1.40 1.80400 46.58
7 52.3491 5.40 1.00000
8 -91.8819 1.30 1.48749 70.45
9 72.8406 2.40 2.00069 25.46
10 4047.79 可変 1.00000
11 34.7784 4.60 1.59319 67.87
12 -340.051 0.34 1.00000
13 28.694 1.50 1.95000 29.37
14 20.7204 3.63 1.60300 65.4
15 50.6694 可変 1.00000
16 ∞ 1.18 1.00000 絞り
17* 570.28 1.30 1.67798 54.85
18 24.2385 2.47 1.00000
19 43.9463 4.01 1.49700 81.61
20 -31.9719 1.20 1.80610 40.98
21 -74.7571 1.10 1.00000
22 27.7311 1.75 1.76684 46.76
23 29.9997 可変 1.0000
24 60.5913 2.28 1.59319 67.87
25 -735.683 可変 1.00000
26 148.715 2.20 1.84666 23.8
27 -65.4915 0.80 1.76802 49.23
28* 25.2641 可変 1.00000
29* 160.588 7.41 1.69680 55.52
30 -19.8672 1.00 1.80610 40.98
31 -43.9193 可変 1.00000
32 -45.2889 1.50 1.80400 46.58
33 -150.000 可変 1.00000
34 ∞ 2.00 1.51680 63.88
35 ∞ 0.10 1.00000
像面(I) ∞
[非球面データ]
面 κ A4 A6 A8 A10
17 1.000 -1.76E-06 2.13E-10 -8.42E-13 0.00E+00
28 1.000 1.38E-06 -2.40E-08 2.04E-10 -9.35E-13
29 1.000 3.99E-06 6.78E-09 -2.24E-11 5.80E-14
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
f1 1 153.035
f2 6 -58.27
f3 11 40.05
f4 17 602.05
f5 26 -43.08
f6 29 58.97
f7 32 -81.21
[可変間隔データ]
W M T W至近 M至近 T至近
焦点距離 69.48393 122.99632 193.89295 -0.08017 0.13595 -0.20886
d5 2.43672 40.9882 66.3218 2.43672 40.9882 66.3218
d10 40.4348 20.6034 1.10004 40.4348 20.6034 1.10004
d123 2.16266 2.94747 4.07623 2.16266 2.94747 4.07623
d25 2.50063 2.50063 2.50063 3.50608 3.94625 3.57887
d28 9.19788 8.52466 3.17703 11.20878 14.30715 16.11589
d31 9.03572 9.71207 15.0604 6.01937 2.48396 1.0433
d33 20.19181 11.56998 4.48998 20.19181 11.56998 4.48998
d35 17.11364 25.72577 32.79941 17.11364 25.72577 32.79941
[倍率]
W M T W至近 M至近 T至近
βF1 0.53854 0.56554 0.635 0.51982 0.51285 0.51888
βF2 3.56137 3.0828 2.8363 3.49135 2.91501 2.51092
[その他諸元]
fw 69.484
ft 193.893
Bfw 18.532
fF1 94.473
fF2 -43.079
fr -81.21
MWF1 1.005
MWF2 3.016
【0098】
図8(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図9(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第3実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における至近距離合焦時の諸収差図である。
【0099】
各諸収差図より、第3実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに至近距離合焦時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0100】
(第4実施例)
第4実施例について、図10図12および表4を用いて説明する。図10は、第4実施例に係る変倍光学系のレンズ構成を示す図である。第4実施例に係る変倍光学系ZL(4)は、物体側から順に並んだ、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、開口絞りSと、負の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5と、負の屈折力を有する第6レンズ群G6と、負の屈折力を有する第7レンズ群G7とから構成される。なお、第7レンズ群G7の像側に、像面Iを有する撮像素子4が位置する。
【0101】
広角端状態(W)から望遠端状態(T)に変倍する際、第1~第3レンズ群G1~G3、第5レンズ群G5および第7レンズ群G7がそれぞれ図10の矢印で示すように軸方向に移動し、隣り合う各レンズ群の間隔が変化する。但し、第4および第6レンズ群G4、G6は変倍中において固定されて静止している。なお、第3~第7レンズ群G3~G7からなるレンズ群は、後群GRに該当する。
【0102】
第1レンズ群G1は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11および両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニ
スカスレンズL13とから構成される。
【0103】
第2レンズ群G2は、物体側から順に並んだ、両凹形状の負レンズL21と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL22および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23の接合レンズとから構成される。
【0104】
第3レンズ群G3は、物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL33の接合レンズとから構成される。
【0105】
第4レンズ群G4は、物体側から順に並んだ、開口絞りSと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL41と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42および両凸形状の正レンズL43の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44ととから構成される。開口絞りSは、第4レンズ群G4の像側に設けられ、変倍の際、第4レンズ群G4とともに移動する。なお、負メニスカスレンズL42および正レンズL43の接合レンズと、正メニスカスレンズL44とを光軸に垂直に移動させるように構成し、いわゆる手ぶれ補正を行う防振レンズとするのが好ましい。
【0106】
第5レンズ群G5は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL51から構成される。第5レンズ群G5は合焦の際に移動される第1合焦レンズ群GF1を構成する。
【0107】
第6レンズ群G6は、物体側から順に並んだ、両凸形状の正レンズL61および両凹形状の負レンズL62の接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL63と、両凸形状の正レンズL64と、両凹形状の負レンズL65とから構成される。両凸形状の正レンズL61および両凹形状の負レンズL62の接合レンズが、合焦の際に移動される第2合焦レンズ群GF2を構成する。なお、後述する[レンズ諸元]の表において、面番号28の面間隔が可変となっているが、変倍の際にこの間隔は変化せず、第2合焦レンズ群GF2が合焦のため移動されるときにこの間隔が変化することを示している。
【0108】
第7レンズ群G7は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL71から構成される。また、像面Iの手前には平行平板PPが配置される。
【0109】
本実施例では、上述のように、第5レンズ群G5が第1合焦レンズ群GF1を構成し、第6レンズ群G6の物体側に位置する両凸形状の正レンズL61および両凹形状の負レンズL62の接合レンズが第2合焦レンズ群GF2を構成している。遠距離物体(無限遠物体)への合焦状態から近距離物体への合焦状態への変化に応じて、両合焦レンズ群GF1、GF2がともに矢印で示すように像側に移動する。なお、このときの移動軌跡は互いに相違する。
【0110】
以下の表4に、第4実施例に係る変倍光学系の諸元の値を掲げる。
【0111】
(表4)
[全体諸元]
W M T
F.NO 4.1497 4.12738 4.10277
2ω 34.12502 19.2871 12.14344
空気換算TL 169.45464 187.46147 197.45586
空気換算BF 11.15474 16.97645 24.33136
[レンズ諸元]
面 R D nd νd
1 554.111 1.99 1.83400 37.18
2 121.117 7.95 1.49700 81.61
3 -154.679 0.10 1.00000
4 82.3981 5.45 1.49700 81.61
5 300.000 可変 1.00000
6 -89.8369 1.39 1.75500 52.36
7 72.7319 1.48 1.00000
8 169.21 1.29 1.61800 63.32
9 43.4531 2.58 2.00069 25.46
10 105.254 可変 1.00000
11 72.6136 2.81 1.59319 67.87
12 630.043 0.10 1.00000
13 39.6925 1.49 1.83481 42.75
14 29.7546 3.87 1.59319 67.87
15 153.618 可変 1.00000
16 ∞ 1.01 1.00000 絞り
17 255.742 1.29 1.72825 28.38
18 38.3739 2.14 1.00000
19 62.1964 1.19 1.85000 27.03
20 36.9077 3.39 1.51680 63.88
21 -312.986 0.78 1.00000
22 75.7193 2.01 1.90265 35.72
23 209.183 可変 1.00000
24 45.8893 1.90 1.75500 52.36
25 154.217 可変 1.00000
26 117.662 2.00 1.84666 23.8
27 -84.4172 0.79 1.71999 50.24
28 24.8653 可変 1.00000
29 38.098 1.00 1.90265 35.72
30 29.1903 0.21 1.00000
31 29.368 7.78 1.51680 63.88
32 -34.236 0.16 1.00000
33 -58.6977 1.70 1.75500 52.36
34 1488.85 可変 1.00000
35 -36.7886 1.50 1.77250 49.61
36 -150.000 可変 1.00000
37 ∞ 2.00 1.51680 63.88
38 ∞ 0.10 1.00000
像面(I) ∞
[レンズ群データ]
群 始面 焦点距離
f1 1 156.21
f2 6 -62.97
f3 11 60.19
f4 17 -694.45
f5 24 85.88
f6 26 -253.27
f7 35 -63.46
[可変間隔データ]
W M T W至近 M至近 T至近
焦点距離 72.007 122.99682 193.99136 -0.08258 -0.13692 -0.2071
d5 3.3891 39.252 62.9142 3.3891 39.252 62.9142
d10 39.6077 19.165 1.08983 39.6077 19.165 1.08983
d15 1.90568 4.49493 8.90891 1.90568 4.49493 8.90891
d23 2.50001 4.30027 10.75681 6.3024 5.41764 11.81545
d25 10.2319 8.42371 1.95605 12.13309 14.01054 14.65975
d28 15.6253 15.6253 15.6253 9.92172 8.9211 1.86296
d34 25.71179 19.89539 12.53498 25.71179 19.89539 12.53498
d36 9.73618 15.55788 22.91866 9.73618 15.55788 22.91866
[倍率]
W M T W至近 M至近 T至近
βF1 0.44457 0.47652 0.56971 0.4298 0.42123 0.44706
βF2 3.05967 2.89463 2.65901 2.946 2.76102 2.38474
[その他諸元]
fw 72.007
ft 193.991
Bfw 11.155
fF1 85.880052
fF2 -50.17732
fr -63.46
MWF1 3.802
MWF2 5.704
【0112】
図11(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における無限遠合焦時の諸収差図である。図12(A)、(B)および(C)はそれぞれ、第4実施例に係る変倍光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、望遠端状態における至近距離合焦時の諸収差図である。
【0113】
各諸収差図より、第4実施例に係る変倍光学系は、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらに至近距離合焦時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
【0114】
最後に、[条件式対応値]の表を下記に示す。この表には、各条件式(1)~(11)に対応する値を、全実施例(第1~第5実施例)について纏めて示す。
条件式(1) 1.10<f2/fF2<2.00
条件式(2) 0.30<f1/fF1<2.50
条件式(3) 0.60<fr/fF2<3.00
条件式(4) 1.30<fF1/(-fF2)<10.00
条件式(5) 0.01<MWF1/MWF2<1.00
条件式(6) 60.00<νp
条件式(7) 0.10<βF1w<0.80
条件式(8) 0.10<1/βF2w<0.60
条件式(9) (βF1w+1/βF1w)-2<0.25
条件式(10) (βF2w+1/βF2w)-2<0.15
条件式(11) 15.00°<2ωw<45.00°
条件式(12) 0.05<Bfw/fw<0.35
【0115】
[条件式対応値]
条件式 第1実施例 第2実施例 第3実施例 第4実施例
(1) 1.196 1.393 1.353 1.255
(2) 1.575 2.022 1.620 1.819
(3) 1.225 1.328 1.885 1.265
(4) 1.899 1.660 2.193 1.712
(5) 0.500 0.667 0.333 0.667
(6) 81.61 81.61 81.61 81.61
(7) 0.471 0.403 0.539 0.445
(8) 0.289 0.286 0.281 0.327
(9) 0.148 0.120 0.174 0.138
(10) 0.071 0.070 0.068 0.087
(11) 34.158 34.239 34.008 34.125
(12) 0.155 0.155 0.267 0.155
【0116】
上述の第1~第4実施例は本実施形態の一具体例を示しているものであり、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
【0117】
なお、以下の内容は、本実施形態に係る変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0118】
変倍光学系の数値実施例として7群構成および8群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、9群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、変倍光学系の最も物体側や最も像面側に、レンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0119】
レンズ面は、球面または平面で形成されても、非球面で形成されても構わない。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防げるので好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないので好ましい。
【0120】
レンズ面が非球面の場合、非球面は、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に形成したガラスモールド非球面、ガラスの表面に樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでも構わない。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0121】
開口絞りは、開口絞りとしての部材を設けずに、レンズの枠でその役割を代用しても良い。
【0122】
各レンズ面には、フレアやゴーストを軽減し、コントラストの高い光学性能を達成するために、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【符号の説明】
【0123】
G1 第1レンズ群 G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群 G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群 G6 第6レンズ群
G7 第7レンズ群 G8 第8レンズ群
GR 後群 S 開口絞り
GF1 第1合焦レンズ群 GF2 第2合焦レンズ群
I 像面 4 撮像素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14