(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】受光素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01L31/10 A
(21)【出願番号】P 2023514219
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(86)【国際出願番号】 JP2021015289
(87)【国際公開番号】W WO2022219710
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】前田 圭穂
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 徹
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07340709(US,B1)
【文献】特開2007-214405(JP,A)
【文献】特開2020-170819(JP,A)
【文献】特開2018-129483(JP,A)
【文献】特開2015-220290(JP,A)
【文献】特開平05-13805(JP,A)
【文献】特開2002-314117(JP,A)
【文献】特表2009-531847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0144443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/0392
H01L 31/08-31/119
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に形成された半導体からなる半導体層と、
前記半導体層に形成され、前記基板の平面方向にpin接合を形成する、p型のp領域、i型のi領域、およびn型のn領域と、
前記半導体層の前記p領域の上に形成され、p型の半導体から構成された光吸収層と、
前記光吸収層の上に形成され、p型の半導体から構成されたコンタクト層と、
前記コンタクト層に電気的に接続して形成されたp電極と、
前記半導体層の前記n領域に電気的に接続して形成されたn電極と
を備える受光素子。
【請求項2】
請求項1記載の受光素子において、
前記光吸収層と前記コンタクト層との間に形成され、前記光吸収層よりバンドギャップの大きい半導体から構成された拡散障壁層をさらに備えることを特徴とする受光素子。
【請求項3】
請求項1または2記載の受光素子において、
前記半導体は、IV族元素から構成されていることを特徴とする受光素子。
【請求項4】
請求項1または2記載の受光素子において、
前記半導体は、III-V族化合物半導体であることを特徴とする受光素子。
【請求項5】
基板の上に半導体からなる半導体層を形成する第1工程と、
前記半導体層の上に、p型の半導体から構成された光吸収層およびp型の半導体から構成されたコンタクト層を形成する第2工程と、
前記光吸収層の下の前記半導体層にp型のp領域を形成する第3工程と、
前記p領域と共に前記基板の平面方向にpin接合を形成する、i型のi領域およびn型のn領域を前記半導体層に形成する第4工程と、
前記コンタクト層に電気的に接続するp電極および前記半導体層の前記n領域に電気的に接続する電極を形成する第5工程と
を備える受光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光送受信器向けの超高速・高感度受光素子として、単一走行キャリア(Uni-traveling-carrier;UTC)フォトダイオード(photodiode;PD)が提案されている(非特許文献1)。一般に、PDの動作帯域は、キャリア走行時間およびCR時定数によって決まるため、キャリア走行時間およびCR時定数の両方を最小化することが、PDの高速化において重要である。
【0003】
UTC-PDでは、p型半導体を光吸収層として用いており、光吸収によって生成される電子走行時間が、動作帯域における高速化の支配要因となっている。さらに、p型半導体積層構造のドーピングプロファイルを、数十nmオーダーで精密に制御することで、電子速度オーバーシュート効果を利用して、電子走行時間を最短化するように設計されている。
【0004】
一方で、高感度化の観点では、素子を構成している半導体層の積層方向、すなわちキャリアの輸送方向と、光の伝搬方向とが直交する導波路型PDが、高速性と高感度の両立において有利であることが知られている。
【0005】
キャリア走行時間の短縮には、空乏層をより薄くすることが重要となるが、これに伴いCR時定数が増加するため、導波路型PDの高速化には、CR時定数を小さくすることが非常に重要である。
【0006】
例えば、導波路型PDとして、
図3A、
図3Bに示す構造が提案されている。このPDは、InP基板301、n-InP層302、i-InP層303、p-InGaAs吸収層304、p-InGaAsP拡散障壁層305、p-InGaAsコンタクト層306、n電極307、p電極308を備える。n-InP層302は、InP基板301の上に形成されている。i-InP層303、p-InGaAs吸収層304、p-InGaAsP拡散障壁層305、p-InGaAsコンタクト層306からメサが構成され、このメサが、n-InP層302の上に形成されている。また、このメサの周囲のn-InP層302の上にn電極307が形成され、p-InGaAsコンタクト層306の上にp電極308が形成されている。
【0007】
このPDは、積層されたn-InP層302、i-InP層303、p-InGaAs吸収層304により、pin接合を構成し、i-InP層303をコアとする光導波路を備える縦型pin接合を備える導波路型UTC-PDである。このUTC-PDにおいて、受光感度を維持したままCR時定数を小さくするには、空乏層幅T’(i-InP層303の幅)を小さくすることが望ましい。なお、
図3Aにおいて、W'
depは、i-InP層303の厚さである。
【0008】
しかしながら、このUTC-PDで空乏層幅T’を小さくすることは、メサ幅を小さくすることになり、p-InGaAsコンタクト層306、n電極307の面積を縮小させることになる。このため、このUTC-PDで空乏層幅T’を小さくすることは、コンタクト抵抗が反比例的に増加するためCR時定数の低減効果は小さい。
【0009】
上述した縦型pin接合によるUTC-PDに対し、コンタクト抵抗の増加を抑制でき、CR時定数を小さくできる構造として、非特許文献2に示すような半導体積層方向と直交する、基板の平面方向にpin接合を有する、いわゆる横型pin接合の導波路型PDがある。
【0010】
この横型pin接合を有する導波路型PDは、空乏層面積とコンタクト層および電極面積は独立に決定することが可能であるため、空乏層面積の低減すなわちCR時定数の低減が可能である。
【0011】
しかしながら、横型pin接合は、公知のイオン注入や不純物拡散、あるいは結晶再成長によって作製するため、縦型pin接合のような、数十nmオーダーの精緻なドーピングプロファイルや、ヘテロ構造の作製は困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】T. Ishibashi and H. Ito, "Uni-traveling-carrier photodiodes", Journal of Applied Physics, vol. 127, 031101, 2020.
【文献】Y. Baumgartner et al., "CMOS-Compatible Hybrid III-V/Si Photodiodes Using a Lateral Current Collection Scheme", European Conference on Optical Communication, 18265198, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したように、従来の技術では、高速・高感度が期待される導波路型PDについて、空乏層の低減に伴うコンタクト抵抗の増加を抑制しつつ、数十nmオーダーの不純物プロファイルを有するヘテロ接合構造によって電子走行時間を最短化することが困難であるという課題があった。
【0014】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、導波路型フォトダイオードにおいて、空乏層の低減に伴うコンタクト抵抗の増加を抑制して、電子走行時間を最短化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る受光素子は、基板の上に形成された半導体からなる半導体層と、半導体層に形成され、基板の平面方向にpin接合を形成する、p型のp領域、i型のi領域、およびn型のn領域と、半導体層のp領域の上に形成され、p型の半導体から構成された光吸収層と、光吸収層の上に形成され、p型の半導体から構成されたコンタクト層と、コンタクト層に電気的に接続して形成されたp電極と、半導体層のn領域に電気的に接続して形成されたn電極とを備える。
【0016】
本発明に係る受光素子の製造方法は、基板の上に半導体からなる半導体層を形成する第1工程と、半導体層の上に、p型の半導体から構成された光吸収層およびp型の半導体から構成されたコンタクト層を形成する第2工程と、光吸収層の下の半導体層にp型のp領域を形成する第3工程と、p領域と共に基板の平面方向にpin接合を形成する、i型のi領域およびn型のn領域を半導体層に形成する第4工程と、コンタクト層に電気的に接続するp電極および半導体層のn領域に電気的に接続する電極を形成する第5工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、半導体層に基板の平面方向にpin接合を形成し、このp領域の上に、光吸収層、コンタクト層、p電極を積層したので、導波路型フォトダイオードにおいて、空乏層の低減に伴うコンタクト抵抗の増加を抑制して、電子走行時間を最短化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1Aは、本発明の実施の形態に係る受光素子の構成を示す断面図である。
【
図1B】
図1Bは、本発明の実施の形態に係る受光素子の構成を示す平面図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明の実施の形態に係る受光素子の製造方法を説明するための途中工程の受光素子の状態を示す断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本発明の実施の形態に係る受光素子の製造方法を説明するための途中工程の受光素子の状態を示す断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本発明の実施の形態に係る受光素子の製造方法を説明するための途中工程の受光素子の状態を示す断面図である。
【
図2D】
図2Dは、本発明の実施の形態に係る受光素子の製造方法を説明するための途中工程の受光素子の状態を示す断面図である。
【
図2E】
図2Eは、本発明の実施の形態に係る受光素子の製造方法を説明するための途中工程の受光素子の状態を示す断面図である。
【
図3A】
図3Aは、導波路型フォトダイオードの構成を示す断面図である。
【
図3B】
図3Bは、導波路型フォトダイオードの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る受光素子100について
図1A、
図1Bを参照して説明する。なお、
図1Aは、
図1Bのaa’線の断面を示している。
【0020】
この受光素子100は、基板101、半導体層102、光吸収層103、コンタクト層104を備える。基板101は、例えば、半絶縁性のInPから構成されている。半導体層102は、基板101の上に形成され、半導体から構成されている。半導体は、例えば、III-V族化合物半導体とすることができる。半導体層102は、例えば、InPから構成されている。また、半導体層102には、基板101の平面方向にpin接合を形成する、p型のp領域121、i型のi領域122、およびn型のn領域123が形成されている。
【0021】
ここで、この受光素子100は、p領域121を主にコアとする、いわゆる導波路型フォトダイオードである。p領域121をコアとする光導波路構造を備える受光素子100の導波方向は、
図1Aの紙面の奥から手前の方向、
図1Bの紙面の上下方向となる。
図1Aは、受光素子100の導波方向に垂直な断面を示している。
【0022】
受光素子100の外部には、光導波路を構成するコア102bが配置されている。コア102bとp領域121との間には、スポットサイズ変換構造102aが形成され、p領域121をコアとする光導波路構造を備える受光素子100と、コア102bによる光導波路とを光学的に接続している。
【0023】
光吸収層103は、半導体層102のp領域121の上に形成され、p型の半導体から構成されている。光吸収層103は、例えば、p型のInGaAs(p-InGaAs)から構成されている。コンタクト層104は、光吸収層103の上に形成され、p型の半導体から構成されている。コンタクト層104は、例えば、p型のInGaAs(p-InGaAs)から構成されている。
【0024】
また、実施の形態では、光吸収層103とコンタクト層104との間に形成され、光吸収層103よりバンドギャップの大きい半導体から構成された拡散障壁層111を備える。拡散障壁層111は、例えば、p型のInGaAsP(p-InGaAsP)から構成されている。
【0025】
ここで、光吸収層103を構成するInGaAsの組成は、例えば、通信波長帯(1310nmおよび1550nm)の光に対して感度を有する範囲とすることができる。一方、拡散障壁層111を構成するInGaAsPの組成は、通信波長帯(1310nmおよび1550nm)の光に対して感度を有さない範囲とすることができる。
【0026】
また、受光素子100は、コンタクト層104に電気的に接続して形成されたp電極105と、半導体層102のn領域123に電気的に接続して形成されたn電極106とを備える。各電極は、例えば、Auから構成することができる。ここで、コンタクト層104およびn領域123は、金属から構成されたp電極105およびn電極106との間で、オーミック接触(接続)が得られるように、1×1019cm-3以上程度に十分高濃度にドーピングされていることが重要となる。なお、上述した半導体は、SiやGeなどのIV族元素から構成することもできる。
【0027】
実施の形態において、光吸収層103、拡散障壁層111、コンタクト層104、n電極106は、導波方向に垂直で、積層方向に垂直(基板101の面の平面方向)な方向に、所定の幅とされ、導波方向に所定の長さLとされたメサ構造とされている。基板101の平面に平行な面内で、メサ構造の位置より、導波方向に垂直な方向に延在している半導体層102に、i領域122およびn領域123が形成されている。このメサ構造の幅は、受光素子100が、光導波路フォトダイオードとして機能する、すなわち、p領域121を主にコアとする光導波路に伝搬モードが存在する範囲の幅とされている。
【0028】
実施の形態に係る受光素子100に、コア102bによる光導波路を介して光を入射(導入)すると、入射した光は、主に半導体層102のp領域121を導波し、光吸収層103で吸収される。光吸収層103に光が吸収されることで、光吸収層103には、電子正孔対が生成される。このようにして光吸収層103に生成された電子正孔対の中の正孔は、光吸収層103の中で、非常に短い時間で誘電緩和される。
【0029】
一方、上述したことにより光吸収層103に生成された電子正孔対の中の電子は、p領域121の方向および拡散障壁層111の方向に対して、不純物の濃度勾配およびキャリア密度分布に従って拡散する。ここで、拡散障壁層111は光吸収層103よりもバンドギャップが大きいため、電子に対して拡散障壁として機能し、光吸収層103で生成された電子は、主としてp領域121方向へ拡散する。
【0030】
p領域121に拡散した電子は、p領域121と、i領域122と、n領域123とにより形成される横型pin接合の内部電界によって加速され、n領域123までドリフトして達することで光電流となる。このように、実施の形態に係る受光素子100は、非特許文献1に示すようなUTC-PDとして機能する。受光素子100において、p領域121とn領域123との間の容量は、これらの間の距離と、pin接合の方向に垂直な断面におけるi領域122の面積により決定される。従って、L,Tが大きくなると、p領域121とn領域123との間の容量は大きくなる。一方、p領域121とn領域123との間の距離が大きくなると、容量は小さくなる。
【0031】
以下、実施の形態に係る受光素子100における容量CLおよび抵抗Rについて説明する。p領域121が十分に高濃度であれば、i領域122に形成される空乏層の容量CLは以下の式(1)で決定される。なお、Wdepは、横型pin接合における空乏層の幅であり、p領域121とn領域123との間の距離である。また、εは空乏層(i領域122)の誘電率である。一方で、n電極106のコンタクト抵抗Rcは、コンタクト層104との接触面積をSCL、コンタクト抵抗率をρCLとすると、以下の式(2)の通りとなる。
【0032】
【0033】
従って、CR時定数は、負荷抵抗をRLとすると、以下の式(3)で示されるものとなる。
【0034】
【0035】
以上より、容量Cを低減するために、空乏層の幅Wdepを狭くしたとしても、WdepとScLは独立であるため、コンタクト抵抗RcLが増大することはない。
【0036】
一方で、
図3A、
図3Bを用いて説明した、半導体の積層方向にpin接合を作製する縦型pin接合による従来の導波路型フォトダイオードでは、空乏層容量C
vは、以下の式により示されるものとなる。なお、式(4)において、W'
depは、n-InP層302とp-InGaAs吸収層304との距離である。言い換えると、W'
depは、i-InP層303の厚さである。
【0037】
【0038】
さらに、p-InGaAsコンタクト層の幅は、積層構造上、空乏層の幅T’より小さくなる。従ってコンタクト抵抗RCVは、コンタクト層面積をSCVとすると、以下の式(5)で示されるものとなり、CR時定数は、以下の式(6)で示されるものとなる。
【0039】
【0040】
ここで、従来の導波路型フォトダイオードにおいて、容量Cを低減するために、空乏層幅T'を小さくすると、これに伴ってコンタクト抵抗RCVが増加してしまうことがわかる。さらに、SCL≫SCVとすると、「CL・RCL≪CV・RCV」となる。これらのことより、実施の形態に係る受光素子100の構造がCR時定数の低減に有効であることがわかる。
【0041】
次に、本発明の実施の形態に係る受光素子100の製造方法について、
図2A~
図2Eを参照して説明する。
【0042】
まず、
図2Aに示すように、基板101の上に、i-InPからなる半導体層102を形成する(第1工程)。また、半導体層102の上に、p-InGaAs層203,p-InGaAsP層211,p-InGaAs層204を形成する。p-InGaAs層203は、光吸収層103とする層である。p-InGaAsP層211は、拡散障壁層111とする層である。また、p-InGaAs層204は、コンタクト層104とする層である。
【0043】
これらの各層は、例えば、公知のエピタキシャル結晶成長技術(MO-CVD法、MBE法など)を用いて、成長することで形成することができる。また、各々の半導体の層における不純物のドーピング濃度は、エピタキシャル結晶成長の過程で、in-situドーピング技術を用いて制御する。
【0044】
次に、公知のフォトリソグラフィおよびエッチング技術を用いて、p-InGaAs層203,p-InGaAsP層211,p-InGaAs層204をパターニングすることで、
図2Bに示すように、光吸収層103、拡散障壁層111、コンタクト層104からなるメサ構造を形成する(第2工程)。このパターニングにおいて、同時に、半導体層102の他の領域に、スポットサイズ変換構造102aやコア102bなどの光入射用の光導波路構造を形成する。
【0045】
次に、
図2Cに示すように、光吸収層103の下の半導体層102にp領域121を形成する(第3工程)。例えば、不純物拡散技術により、半導体層102の所定領域にp型不純物を選択的に導入することで、p領域121を形成することができる。なお、イオンインプランテーション技術を用いることもできる。
【0046】
次に、
図2Dに示すように、p領域121と共に基板の平面方向にpin接合を形成する、i型のi領域122およびn型のn領域123を半導体層102に形成する(第4工程)。例えば、イオンインプランテーション技術により、半導体層102の所定領域n型不純物を選択的に導入することで、n領域123を形成することができる。p領域121と離間してn領域123を形成することで、p領域121とn領域123との間に、i領域122を形成することができる。
【0047】
この後、
図2Eに示すように、p電極105、n電極106を形成する(第5工程)。例えば、各電極形成領域に開口を有するマスク層を形成し、マスク層の上に、公知の金属蒸着技術により金属膜を形成する。この後、マスク層をリフトオフすることで、p電極105、n電極106を形成することができる。また、金属蒸着技術により金属膜を形成した後、形成した金属膜を、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術によりパターニングすることで、p電極105、n電極106を形成することもできる。
【0048】
以上に説明したように、本発明によれば、半導体層に基板の平面方向にpin接合を形成し、このp領域の上に、光吸収層、コンタクト層、p電極を積層したので、導波路型フォトダイオードにおいて、空乏層の低減に伴うコンタクト抵抗の増加を抑制して、電子走行時間を最短化することができるようになる。
【0049】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0050】
100…受光素子、101…基板、102…半導体層、102a…スポットサイズ変換構造、102b…コア、103…光吸収層、104…コンタクト層、105…p電極、106…n電極、111…拡散障壁層、121…p領域、122…i領域、123…n領域。