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特許7568479光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法
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  • 特許-光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20241008BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G02B6/02 421
G02B6/42
G02B6/02 431
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020184005
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073803
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 彪利
(72)【発明者】
【氏名】早水 尚樹
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-126160(JP,A)
【文献】特開2003-139996(JP,A)
【文献】国際公開第2020/196562(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/213633(WO,A2)
【文献】特開2018-084649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0008648(US,A1)
【文献】特開2020-160343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/036
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、
前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、
前記第一区間において前記クラッドと接し当該クラッドからの光が前記被覆に伝播するのを抑制する光処理機構と前記緩和部材との間に位置され、前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、
を備え
前記第一端部からの前記第一長より短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、
前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲む、光ファイバの端部構造。
【請求項2】
前記第二長は、前記筒状体の第三長より短い、請求項に記載の光ファイバの端部構造。
【請求項3】
前記芯線と前記筒状体との少なくとも一部が接合材により接合された、請求項1または2に記載の光ファイバの端部構造。
【請求項4】
前記接合材は、前記光ファイバにより伝送される光の透過性を有する、請求項に記載の光ファイバの端部構造。
【請求項5】
前記接合材の屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも低い、請求項またはに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項6】
前記筒状体および前記接合材は、前記光ファイバにより伝送される光の透過性を有し、
前記接合材の屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも高くかつ前記筒状体の屈折率よりも低い、請求項に記載の光ファイバの端部構造。
【請求項7】
前記筒状体は、前記受光面で受光された光の透過性を有し、
前記筒状体の、前記緩和部材と面した第一端面に、反射防止コーティングが施された、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項8】
前記第一端部と前記第二端部とが融着接続された、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項9】
前記筒状体は、非導電性の材料で作られた、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項10】
前記緩和部材は、前記受光面とは反対側の第二端面から突出しその先端が前記第二端部である突出部、を有した、請求項1~のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項11】
前記受光面に、反射防止コーティングが施された、請求項1~10のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項12】
前記光ファイバにより伝送される光の波長は、400[nm]以上かつ600[nm]以下である、請求項1~11のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項13】
前記光ファイバにより伝送される光のパワーは、100[W]以上である、請求項1~12のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造。
【請求項14】
コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、
前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、
前記第一区間において前記芯線を取り囲み外周が露出した筒状体と、
を備え
前記第一端部からの前記第一長より短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、
前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲む、光ファイバの端部構造。
【請求項15】
コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、
前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、
前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、
を備え、
前記第一端部からの前記第一長より短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、
前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲み、
前記第二長は、前記筒状体の第三長より短い、光ファイバの端部構造。
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか一つに記載の光ファイバの端部構造と、
前記緩和部材を介して前記光ファイバと光学的に結合された光学系と、
を備えた、光学装置。
【請求項17】
光源を備え、
前記光学系は、前記光源と前記光ファイバとを光学的に接続する、請求項16に記載の光学装置。
【請求項18】
コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、
前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、
前記第一区間において前記クラッドと接し当該クラッドからの光が前記被覆に伝播するのを抑制する光処理機構と前記緩和部材との間に位置され、と前記緩和部材との間に位置され、前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、
を備えた、光ファイバの端部構造の製造方法であって、
前記第一端部と前記第二端部とが互いに接するように、前記光ファイバと前記筒状体とを有したサブアセンブリと、前記緩和部材とを、相対的に移動する第一ステップと、
前記第一ステップの後、前記第一端部と前記第二端部とを接続する第二ステップと、
を有し
前記第一端部からの前記第一長より短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、
前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲む、光ファイバの端部構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間的に多重化されたレーザ光が光ファイバの芯線の端部(入力端)に結合される半導体レーザモジュールにおいて、当該端部と接するように当該端部の前段に緩和部材が設けられるとともに、当該緩和部材の後段に光処理部が設けられた、光ファイバの端部構造が知られている(例えば、特許文献1)。特に、可視光域のレーザモジュールにおいては、光ファイバの端部に緩和部材を設けることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/134911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の光ファイバの端部構造にあっては、光ファイバの緩和部材と接続される端部近傍において被覆が除去され芯線が露出していると、例えば、端部と緩和部材との接続工程を行う際などに、露出している芯線の外周に塵芥等が付着し、当該塵芥等が芯線内を伝送される光によって過熱される虞があった。このため、当該接続工程をより塵芥等の少ない環境下で行うなどの対策が必要となり、その分、製造の手間やコストが増大する一因となっていた。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、芯線に塵芥等が付着し難い光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法を得ること、である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光ファイバの端部構造は、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、前記第一区間において前記クラッドと接し当該クラッドからの光が前記被覆に伝播するのを抑制する光処理機構と前記緩和部材との間に位置され、前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、を備える。
【0007】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記第一端部からの前記第一長よりも短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲んでもよい。
【0008】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記第二長は、前記筒状体の第三長より短くてもよい。
【0009】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記芯線と前記筒状体との少なくとも一部が接合材により接合されてもよい。
【0010】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記接合材は、前記光ファイバにより伝送される光の透過性を有してもよい。
【0011】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記接合材の屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも低くてもよい。
【0012】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記筒状体および前記接合材は、前記光ファイバにより伝送される光の透過性を有し、前記接合材の屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも高くかつ前記筒状体の屈折率より低くてもよい。
【0013】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記筒状体は、前記受光面で受光された光の透過性を有し、前記筒状体の、前記緩和部材と面した第一端面に、反射防止コーティングが施されてもよい。
【0014】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記第一端部と前記第二端部とが融着接続されてもよい。
【0015】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記筒状体は、非導電性の材料で作られてもよい。
【0016】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記緩和部材は、前記受光面とは反対側の第二端面から突出しその先端が前記第二端部である突出部、を有してもよい。
【0017】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記受光面に、反射防止コーティングが施されてもよい。
【0018】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記光ファイバにより伝送される光の波長は、400[nm]以上かつ600[nm]以下であってもよい。
【0019】
前記光ファイバの端部構造にあっては、前記光ファイバにより伝送される光のパワーは、100[W]以上であってもよい。
【0020】
また、本発明の光ファイバの端部構造は、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、前記第一区間において前記芯線を取り囲み外周が露出した筒状体と、を備える。
【0021】
また、本発明の光ファイバの端部構造は、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、を備え、前記第一端部からの前記第一長よりも短い第二長の第二区間において、前記芯線が露出し、前記筒状体は、前記第二区間よりも前記第一端部から離れた部位で前記芯線を取り囲み、前記第二長は、前記筒状体の第三長よりも短い。
【0022】
また、本発明の光学装置は、例えば、光ファイバの端部構造と、前記緩和部材を介して前記光ファイバと光学的に結合された光学系と、を備える。
【0023】
前記光学装置は、光源を備え、前記光学系は、前記光源と前記光ファイバとを光学的に接続してもよい。
【0024】
また、本発明の光ファイバの端部構造の製造方法は、例えば、コアとクラッドとを含む芯線と、当該芯線の第一端部と、当該第一端部からの第一長の第一区間と、前記芯線の当該第一区間よりも前記第一端部から離れた部位を取り囲む被覆と、を有した光ファイバと、前記第一端部と接続された第二端部と、当該第二端部とは反対側で空間からの光を受光し面積が前記芯線の断面積よりも大きい受光面と、を有した緩和部材と、前記第一区間において前記クラッドと接し当該クラッドからの光が前記被覆に伝播するのを抑制する光処理機構と前記緩和部材との間に位置され、前記第一区間において前記芯線を取り囲む筒状体と、を備えた、光ファイバの端部構造の製造方法であって、前記第一端部と前記第二端部とが互いに接するように、前記光ファイバと前記筒状体とを有したサブアセンブリと、前記緩和部材とを、相対的に移動する第一ステップと、前記第一ステップの後、前記第一端部と前記第二端部とを接続する第二ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、芯線に塵芥等が付着し難い光ファイバの端部構造、光学装置、および光ファイバの端部構造の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1実施形態の端部構造の例示的かつ模式的な斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の端部構造の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、図2の一部の拡大図である。
図4図4は、第1実施形態の端部構造の芯線およびキャピラリの例示的かつ模式的な断面図である。
図5図5は、図1のV-V断面図である。
図6図6は、第2実施形態の発光装置の例示的な概略構成図である。
図7図7は、第3実施形態の発光装置の例示的な概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0028】
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0029】
各図において、X方向を矢印Xで表し、Y方向を矢印Yで表し、Z方向を矢印Zで表す。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに直交している。
【0030】
また、長さ(第一長、第二長、第三長、第五長)は、いずれもX方向(光ファイバの長手方向、光軸方向)に沿った長さである。
【0031】
また、本明細書において、序数は、部品や、部材、部位等を区別するために便宜上付与されており、優先度や順番を示すものではない。
【0032】
[第1実施形態]
[端部構造]
図1は、第1実施形態の端部構造10の斜視図である。端部構造10は、種々の光学機器において、主に、レーザ光を出力する出力光ファイバとしての光ファイバ20の、端部の支持に、適用される。端部構造10は、支持構造や、支持部とも称されうる。
【0033】
図1に示されるように、端部構造10は、光ファイバ20と、ベース11と、カバー12と、エンドキャップ13と、キャピラリ23と、集光レンズ33gと、を備えている。
【0034】
ベース11は、X方向に延びた直方体状の形状を有しており、X方向に延びた光ファイバ20を支持している。
【0035】
ベース11は、Z方向の反対側の端部に位置された面11aと、Z方向の端部に位置された面11bと、を有している。
【0036】
面11aは、Z方向の反対方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11aは、四角形状の平面であって、X方向に長い長方形状の平面である。
【0037】
面11bは、Z方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11bは、Z方向にずれた三つの面11b1,11b2,11b3を有している。面11b1,11b2,11b3は、いずれもZ方向を向き、Z方向と交差しかつ直交している。面11b1,11b2,11b3は、いずれも四角形状の平面である。面11b2は、面11b1からZ方向の反対方向にずれて位置され、面11b3は、面11b2からZ方向の反対方向にずれて位置されている。面11b1,11b2,11b3は、段差を構成している。面11a、面11b1、面11b2、および面11b3は、平行である。
【0038】
カバー12は、Z方向と交差しかつ直交している。カバー12は、X方向に長い長方形状かつ板状の形状を有している。
【0039】
ベース11およびカバー12は、いずれも、例えば、銅系材料やアルミニウム系の材料のような、熱伝導性の高い材料で作られうる。
【0040】
ベース11とカバー12との間には、X方向に延びる収容室S(図5参照)が設けられている。光ファイバ20は、当該収容室S内に収容されている。
【0041】
図1に示されるように、光ファイバ20は、コアおよびクラッドを含む芯線21と、当該芯線21を取り囲む被覆22と、を有している。芯線21は、例えば、石英系ガラス材料で作られうる。また、被覆22は、例えば、合成樹脂材料で作られうる。
【0042】
光ファイバ20の被覆22は、ベース11とカバー12との間の収容室S内に収容されている区間の大半において、除去されている。言い換えると、収容室S内には、光ファイバ20の剥離端部20aが収容されている。すなわち、カバー12は、剥離端部20aを覆っている。なお、収容室S内には、部分的に光ファイバ20の被覆22で覆われている区間も収容されている。
【0043】
カバー12は、例えば、ねじのような固定具16によって、ベース11と固定されている。
【0044】
光ファイバ20は、ベース11とカバー12とによって支持されている。よって、ベース11およびカバー12は、支持部材とも称されうる。なお、ベース11とカバー12とは、固定具16による結合とは異なる結合方式によって一体化されてもよい。
【0045】
エンドキャップ13は、面11b上に載置された状態で、ベース11に取り付けられている。エンドキャップ13は、例えば、接着によってベース11に固定されてもよいし、ベース11とキャップカバー(不図示)との間に挟まれた状態で当該ベース11およびキャップカバーに固定あるいは支持されてもよい。
【0046】
エンドキャップ13と光処理機構40との間において、剥離端部20aは、部分的にキャピラリ23で覆われている。キャピラリ23は、円筒状の形状を有し、剥離端部20aを取り囲んでいる。キャピラリ23は、筒状体の一例である。
【0047】
エンドキャップ13およびキャピラリ23は、ベース11に設けられた凹凸構造によって支持あるいは位置決めされている。本実施形態では、一例として、エンドキャップ13は、ベース11の面11b2に設けられた凹部11cに収容されることにより、当該ベース11に支持されるとともに位置決めされている。凹部11cは、面11b2からZ方向の反対方向に凹み、X方向に延びている。凹部11cのX方向と交差する断面の形状は、例えば、V字状やU字状である。また、キャピラリ23は、面11b2上に設けられた一対の凸条11d(図1では片方のみ図示)間の空間内に収容されることにより、当該一対の凸条11dに支持されるとともに位置決めされている。一対の凸条11dは、Y方向に互いに離間し、互いに略平行にX方向に延びている。なお、凹凸構造は、このような構成には限定されない。
【0048】
図2は、端部構造10の一部の平面図である。図2に示されるように、エンドキャップ13は、剥離端部20aの先端20a1、すなわち芯線21の先端20a1に対して、X方向に隣接している。エンドキャップ13は、円柱部13aと、突出部13bとを有している。円柱部13aは、円柱状の形状を有し、剥離端部20aの直径、すなわち芯線21の直径D1よりも十分に大きい直径D2を有して、X方向に延びている。円柱部13aのX方向の端面13a1の面積は、先端20a1すなわち芯線21の断面積よりも広い。また、突出部13bは、円錐状かつテーパ状の形状を有しており、円柱部13aのX方向の反対側の端面13a2から先端20a1に近付くようにX方向の反対方向に突出している。突出部13bの先端13b1は、剥離端部20aの先端20a1と接続されている。本実施形態では、先端13b1と先端20a1とは、融着接続されている。端面13a2は、第二端面の一例であり、先端20a1は、第一端部の一例であり、先端13b1は、第二端部の一例である。なお、エンドキャップ13の形状は、このような形状には限定されない。例えば、エンドキャップ13は、突出部13bを有することなく、円柱部13aだけを有してもよい。この場合には、円柱部13aのX方向の反対側の平面が、第二端部となる。
【0049】
エンドキャップ13は、例えば、光ファイバ20のコアと同程度の屈折率を有する材料で作られうる。一例として、エンドキャップ13は、光ファイバ20のコアと同じ石英系ガラス材料で作られうる。
【0050】
図2には、エンドキャップ13内において芯線21の先端20a1に至るまでのレーザ光Lの光路が破線で示されている。仮に、エンドキャップ13が設けられていない構成において、剥離端部20aの先端20a1に向けて集光レンズ33g(図1参照)等によって集光されたレーザ光が到来すると、界面となる先端20a1においてビーム径が小さくなるのに伴ってパワー密度が過度に大きくなり、これにより過度な温度上昇が生じ、ひいては当該先端20a1が損傷してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、先端20a1にエンドキャップ13を接続することにより、界面の拡大を図っている。このような構成によれば、レーザ光Lは、先端20a1よりも広いエンドキャップ13の端面13a1に、ビーム径がより大きくパワー密度がより小さい状態で到達するため、界面となる端面13a1ならびに導光部材の途中となる芯線21の先端20a1の双方において、過度な温度上昇ひいては損傷を、抑制することができる。エンドキャップ13は、緩和部材の一例である。端面13a1は、受光面の一例である。
【0051】
また、端面13a1には、反射防止コーティングが施されている。これにより、端面13a1における光の反射が抑制される。
【0052】
キャピラリ23のX方向の端面23bにも、反射防止コーティングが施されている。これにより、端面23bにおける光の反射が抑制される。端面23bは、第一端面の一例である。
【0053】
また、図2に示されるように、光ファイバ20の、先端20a1からの第一長L1の第一区間S1において、被覆22が除去されている。すなわち、第一区間S1は、剥離端部20aである。すなわち、被覆22は、芯線21のうち第一区間S1よりも先端20a1から離れた部位を取り囲んでいる。
【0054】
剥離端部20aの一部、すなわち第一区間S1の一部が、キャピラリ23で覆われている。先端20a1とキャピラリ23の端面23bとの間の第二区間S2において、芯線21は、被覆22およびキャピラリ23によって覆われず、露出している。第二区間S2は、先端20a1から第二長L2の区間である。第二長L2は、第一長L1よりも短い。なお、本明細書において、芯線21が露出している区間は、被覆22が除去され芯線21の外周と接した他の固体あるいは液体が存在しない区間、すなわち、芯線21の外周が気体と接している区間とする。
【0055】
キャピラリ23は、第二区間S2よりも先端20a1から離れた部位である第三区間S3において、芯線21を取り囲んでいる。ここで、キャピラリ23の第三長L3は、第二区間S2の第二長L2よりも長い。すなわち、第二長L2は、第三長L3よりも短い。また、第二長L2は、エンドキャップ13の第五長L5よりも短い。このような第二長L2、第三長L3、および第五長L5の設定により、第二区間S2、キャピラリ23、およびエンドキャップ13の所要の機能を確保することができるとともに、第二区間S2が長くなり過ぎることによる塵芥等の付着や端部構造10の大型化のような不都合を回避することができる。
【0056】
第三区間S3よりも先端20a1から離れた部位である第四区間S4において、芯線21は、被覆22およびキャピラリ23によって覆われていない。ただし、当該第四区間S4の少なくとも一部は、ベース11とカバー12との間の収容室S内で、当該ベース11、カバー12、および処理材15(図5参照)によって取り囲まれている。
【0057】
図3は、図2の先端20a1,13b1近傍の拡大図である。図3には、先端20a1と先端13b1との融着接続に用いられる一対の針状の放電電極Nが示されている。一対の放電電極N間での放電により、先端20a1と先端13b1との接触部分がスパークの作用によって加熱され、融着接続される。ここで、図3に示されるように、キャピラリ23は、先端20a1近傍において、剥離端部20aを覆っていない。すなわち、芯線21は、先端20a1近傍において、露出している。これにより、先端20a1と先端13b1との接続工程(以下、単に接続工程と称する)において、スパークはキャピラリ23に作用することなく先端20a1に作用することができる。また、放電電極Nがキャピラリ23と物理的に干渉し難くなっている。さらに、エンドキャップ13は、突出部13bを有し、当該突出部13bのX方向の反対方向の端部としての先端13b1が、先端20a1と接続される。これにより、エンドキャップ13のX方向の反対方向の端部がX方向と直交した平面である場合に比べて、放電電極Nがエンドキャップ13と物理的に干渉し難くなっている。このような構成により、先端20a1と先端13b1との接触部分に、放電によるスパークをより確実に作用させることができ、先端20a1と先端13b1とをより確実に融着接続することができる。
【0058】
また、接続工程においては、図2に示される二つの把持具G1,G2が用いられる。一つの把持具G1は、キャピラリ23の露出した外周23aを把持し、もう一つの把持具G2は、エンドキャップ13の円柱部13aの外周を把持する。接続工程に先立ち、可動装置によってこれら二つの把持具G1,G2間の相対位置を変更することにより、先端20a1と先端13b1とが離間した状態から接触した状態に移行されるとともに、先端20a1と先端13b1との位置決めが行われる。このような構成によれば、把持具G1がキャピラリ23の外周23aを把持することにより、把持具G1が剥離端部20a(芯線21)を把持せずに済むため、把持具G1に付着していた塵芥等が芯線21の外周に付着するのが、抑制される。
【0059】
図4は、芯線21および当該芯線21を取り囲むキャピラリ23の一部のX方向に沿った断面図である。コア21aおよびクラッド21bを有した芯線21(剥離端部20a)は、円筒状のキャピラリ23内に収容されている。芯線21とキャピラリ23との間には接合材24が介在し、これら芯線21とキャピラリ23とを固定している。なお、接合材24は、芯線21とキャピラリ23との間の一部区間においてのみ存在してもよい。
【0060】
キャピラリ23は、端面13a1で受光されエンドキャップ13を透過した光を透過する性質を有してもよい。この場合、キャピラリ23は、例えば、石英系ガラス材料で作られうる。
【0061】
接合材24は、芯線21で伝送される光を透過する性質を有してもよい。これにより、接合材24における温度上昇を抑制することができる。
【0062】
また、接合材24の屈折率は、クラッド21bの屈折率より低くてもよい。この場合、光は、接合材24とクラッド21bとの界面で反射され、芯線21からキャピラリ23には伝送されない。この場合、接合材24は、例えば、接着剤や、はんだ等であり、接着剤は、例えば、合成系接着剤であり、一例としては、シリコーン系樹脂などがある。この場合も、接合材24における温度上昇を抑制することができる。
【0063】
さらに、接合材24の屈折率は、クラッド21bの屈折率よりも高く、キャピラリ23の屈折率よりも低くてもよい。この場合、芯線21から接合材24を介してキャピラリ23に光が伝送される。よって、この場合も、接合材24における温度上昇を抑制することができる。また、この場合、接合材24は、例えば、接着剤等である。当該接着剤は、例えば、合成系接着剤であり、一例としては、シリコーン系樹脂や、フッ素系エポキシ樹脂などがある。
【0064】
また、キャピラリ23は、端面13a1で受光されエンドキャップ13を透過した光ならびに芯線21で伝送される光を、透過しなくてもよい。この場合、接合材24の光の透過性によらず、芯線21からキャピラリ23には光は入射しない。また、この場合、キャピラリ23は、例えば、セラミックで作られうる。
【0065】
また、先端20a1(芯線21)と先端13b1(エンドキャップ13)とが一対の放電電極N間の放電による融着接続によって接続される場合、キャピラリ23が、導電性を有していると、当該キャピラリ23により放電電極N間での放電が妨げられるため、芯線21とエンドキャップ13との接触位置にスパークを作用し難くなるかあるいはできなくなる。よって、この場合、キャピラリ23は、非導電性の材料で作られるのが好適である。石英系ガラス材料や、セラミックは、非導電性の材料の一例である。
【0066】
このようなキャピラリ23により、周囲からあるいは把持具G1からの塵芥等が芯線21に付着するのが抑制される。また、把持具G1や周辺部品と芯線21との干渉が防止され、これにより芯線21が損傷するのが抑制される。
【0067】
また、キャピラリ23が光の透過性を有する場合にあっても、キャピラリ23の直径D3は、芯線21の直径D1よりも大きいため、外周23aにおける光のエネルギ密度を下げることができる。よって、外周23aに塵芥等が付着した場合にあっても当該塵芥等の過熱を抑制することができる。発明者らの鋭意検討により、直径D3は、0.5[mm]以上かつ1[mm]以下であるのが好ましいことが判明している。また、芯線21の直径D1に対するキャピラリ23の直径D3の比(D3/D1)は、2以上かつ4以下であるのが好ましいことが判明している。
【0068】
[光処理機構]
光処理機構40は、キャピラリ23に対してエンドキャップ13とは反対側に設けられている。図5は、図1のV-V断面図であって、光処理機構40の断面図である。
【0069】
図5に示されるように、カバー12は、Z方向の反対側の端部に位置された面12aと、Z方向の端部に位置された面12bと、を有している。カバー12では、面11b1を覆っている。面12aは、面11b1と面するとともに、接している。また、ベース11の面11b1には、Z方向の反対方向に凹みX方向に延びた凹溝11eが設けられている。凹溝11eは、X方向と交差した断面において、V字状の断面を構成する所謂V字溝である。凹溝11eは、二つの面11e1,11e2の間に設けられている。面11e1は、Y方向に向かうにつれてZ方向の反対方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。面11e2は、Y方向に向かうにつれてZ方向に向かう方向に延びるとともに、X方向に延びている。
【0070】
凹溝11eの面11e1,11e2と、カバー12の面12aとによって囲まれた収容室Sは、X方向に延びている。収容室Sには、X方向に延びた光ファイバ20が収容されている。
【0071】
また、面11e1,11e2,12aは、剥離端部20aの、X方向と直交する方向における位置ずれを抑制している。面11e1,11e2,12aは、位置決め部、あるいはずれ防止部とも称されうる。
【0072】
収容室S内の、光ファイバ20を除く部分には、処理材15が収容されている。光処理機構40は、処理材15を有している。処理材15は、剥離端部20a(芯線21)と接した状態で、剥離端部20aの周囲に存在している。処理材15は、剥離端部20aのクラッド21bから漏れた光を透過または散乱する。これにより、クラッド21bから被覆22への光の伝播を抑制することができる。また、処理材15は、光エネルギを熱エネルギに変換してもよい。
【0073】
処理材15は、例えば、光を透過または散乱する性質を有した無機系接着剤で作られうる。無機系接着剤は、例えば、ケイ素系やアルミナ系の接着剤である。この場合、無機系接着剤は、未硬化の状態で塗布した後に硬化することにより、セラミック状の膜となる。無機系接着剤は光を透過または散乱することができる。なお、無機系接着剤が有機溶剤を使用するものである場合、有機溶剤は、硬化の際に揮発する。無機系接着剤は耐熱性が高いため、処理材15として好適である。
【0074】
また、処理材15は、光を透過または散乱する性質を有した樹脂材料で作られてもよい。樹脂材料は、例えば、シリコーン系、エポキシ系、あるいはウレタンアクリレート系等である。樹脂材料は、フィラーとして、例えば、窒化ホウ素や、タルク、窒化アルミ(AlN)等を含んでもよい。この場合、光はフィラーによっても散乱される。また、フィラーの屈折率は、クラッド21bの屈折率より高いことが望ましい。なお、樹脂材料やフィラーは、上記のものには限定されない。
【0075】
以上、説明したように、本実施形態では、端部構造10は、光処理機構40とエンドキャップ13との間で、芯線21を取り囲むキャピラリ23(筒状体)を有している。
【0076】
このような構成によれば、例えば、芯線21が露出する区間をより短くすることができるため、芯線21に塵芥等が付着することによる不都合が生じるのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態のように、第一区間S1では、先端20a1(第一端部)からの第二区間S2において、芯線21が露出し、キャピラリ23は、第二区間S2よりも先端20a1から離れた部位で、芯線21を取り囲んでもよい。
【0078】
このような構成によれば、例えば、先端20a1と先端13b1(第二端部)との接続工程において、キャピラリ23が障害となるのを抑制できる。
【0079】
また、本実施形態のように、第二区間S2の第二長L2は、キャピラリ23の第三長L3より短くてもよい。
【0080】
このような構成によれば、例えば、第一区間S1におけるより長い区間を、キャピラリ23によって保護することができる。よって、芯線21が露出した所要長さの第二区間S2を確保しながら、キャピラリ23による保護性を高めることができる。
【0081】
また、本実施形態のように、芯線21とキャピラリ23とは、接合材24によって接合されてもよい。
【0082】
このような構成によれば、例えば、第一区間S1においてキャピラリ23が芯線21を取り囲む構造を、より容易に実現することができる。
【0083】
また、本実施形態の端部構造10の光ファイバ20により伝送される光の波長は、400[nm]以上かつ600[nm]以下であってもよく、光ファイバ20により伝送される光のパワーは、100[W]以上であってもよい。発明者らの鋭意検討により、塵芥等による不都合は、上記波長やパワーの条件で生じやすいことが判明している。すなわち、本実施形態によれば、上記波長やパワーの条件下であっても、塵芥等による不都合をより確実に抑制することができる。
【0084】
また、上述したように、端部構造10には、キャピラリ23および接合材24の材質や、光の透過性、反射性の種々の組み合わせを、適用可能である。
【0085】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の発光装置30Aの概略構成図であって、カバーを取り外した状態で発光装置30Aの内部をZ方向の反対方向に見た平面図である。発光装置30Aは、光学装置の一例であって、半導体レーザモジュールとも称されうる。
【0086】
図6に示されるように、発光装置30Aは、ベース31と、当該ベース31と固定された光ファイバ20と、複数の発光ユニット32と、複数の発光ユニット32からの光を合成する光合成部33と、を有している。
【0087】
光ファイバ20は、出力光ファイバであって、第1実施形態の端部構造10を介して、ベース31と固定されている。
【0088】
端部構造10は、ベース31の一部として当該ベース31と一体的に構成されてもよいし、ベース31とは別部材として構成された端部構造10が、例えばねじのような固定具を介してベース31に取り付けられてもよい。
【0089】
ベース31は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料のような、熱伝導性の高い材料で作られる。ベース31は、カバー(不図示)で覆われている。光ファイバ20、発光ユニット32、光合成部33、および端部構造10は、ベース31とカバーとの間に形成された収容室内に収容され、封止されている。
【0090】
ベース31には、X方向に複数の発光ユニット32が所定間隔(例えば一定間隔)で並ぶアレイA1,A2のそれぞれについて、X方向に向かうにつれて、発光ユニット32の位置がZ方向にずれるよう、段差面(不図示)が設けられている。段差面は、X方向およびY方向に延びている。発光ユニット32は、それぞれ、段差面上に載置されている。X1方向は、第一方向の一例である。また、段差面は、載置面とも称されうる。また、このような構成により、発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cが設けられる部位において、ベース31のZ方向の厚さは、X方向に向かうにつれて厚くなっている。
【0091】
発光ユニット32は、一例として、チップオンサブマウントである。発光ユニット32は、それぞれ、サブマウント32aと、当該サブマウント32a上に実装された発光素子32bと、を有している。発光素子32bは、例えば、半導体レーザチップである。複数の発光素子32bは、例えば、同じ波長(単一の波長)の光を出力する。発光素子32b(発光ユニット32)は、光源の一例である。
【0092】
複数の発光素子32bから出力された光は、光合成部33によって合成される。光合成部33は、コリメートレンズ33a,33b、ミラー33c,33d、コンバイナ33e、集光レンズ33f,33g等の光学部品を有している。光合成部33に含まれる光学部品は、複数の発光素子32b(発光ユニット32)と光ファイバ20とを光学的に接続する光学系の一例である。
【0093】
コリメートレンズ33aは、光をZ方向(速軸方向)にコリメートし、コリメートレンズ33bは、光をX2方向(遅軸方向)にコリメートする。コリメートレンズ33aは、例えば、サブマウント32aに取り付けられ、発光ユニット32と一体化されている。コリメートレンズ33bは、対応する発光ユニット32が実装されている段差面上に載置されている。
【0094】
ミラー33cは、コリメートレンズ33bからの光をコンバイナ33eに向かわせる。ミラー33cは、対応する発光ユニット32およびコリメートレンズ33bが実装されている段差面上に載置されている。すなわち、発光ユニット32、当該発光ユニット32が有する発光素子32bからの光が通るコリメートレンズ33b、および当該コリメートレンズ33bからの光を反射するミラー33cは、同一の段差面上に実装されている。すなわち、アレイA1,A2毎に、Y方向に並ぶ発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、同一の段差面上に実装されている。なお、段差面のZ方向の位置およびミラー33cのZ方向のサイズは、他のミラー33cからの光と干渉しないように設定されている。また、以下では、段差面上に実装されている発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、単に実装部品と称することがある。また、発光ユニット32、コリメートレンズ33b、およびミラー33cは、同一の段差面(平面)上に実装されなくてもよい。
【0095】
コンバイナ33eは、二つのアレイA1,A2からの光を合成して集光レンズ33fに向けて出力する。アレイA1からの光は、ミラー33dおよび1/2波長板33e1を介してコンバイナ33eに入力され、アレイA2からの光は、コンバイナ33eに直接入力される。1/2波長板33e1は、アレイA1からの光の偏波面を回転させる。コンバイナ33eは、偏波合成素子とも称されうる。
【0096】
集光レンズ33fは、光をZ方向(速軸方向)に集光する。集光レンズ33gは、集光レンズ33fからの光をY方向(遅軸方向)に集光し、光ファイバ20の端部に光学的に結合する。なお、集光レンズ33gは、端部構造10に設けられてもよいし、ベース31上に設けられてもよい。また、集光レンズ33fは、端部構造10上に設けられてもよい。
【0097】
上記第1実施形態の効果は、本実施形態の発光装置30Aにおいても得られる。
【0098】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の発光装置30Bの平面図である。発光装置30Bは、光学装置の一例であって、半導体レーザモジュールとも称されうる。本実施形態では、段差面31cが、X方向およびY方向に延びるとともに、Z方向にずれており、階段状に形成されている。ミラー33cからの光は、集光レンズ33f、ローパスフィルタ33h、および集光レンズ33gを経由して、端部構造10に支持された光ファイバ20の芯線21の先端20a1(図7には不図示)に結合される。本実施形態でも、ベース31のZ方向の厚さは、X方向に向かうにつれて、厚くなっている。上記第1実施形態の効果は、本実施形態の発光装置30Bにおいても得られる。
【0099】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0100】
例えば、端部構造は、半導体レーザモジュールとは異なる光学装置に適用可能である。また、端部構造を備える光学装置は、光源を有しなくてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…端部構造
11…ベース
11a…面
11b,11b1,11b2,11b3…面
11c…凹部
11d…凸条
11e…凹溝
11e1,11e2…面
12…カバー
12a,12b…面
13…エンドキャップ(緩和部材)
13a…円柱部
13a1…端面(受光面)
13a2…端面(第二端面)
13b…突出部
13b1…先端(第二端部)
15…処理材
16…固定具
20…光ファイバ
20a…剥離端部
20a1…先端(第一端部)
21…芯線
21a…コア
21b…クラッド
22…被覆
23…キャピラリ(筒状体)
23a…外周
23b…端面(第一端面)
24…接合材
30A,30B…発光装置(光学装置)
31…ベース
31c…段差面
32…発光ユニット(光源)
32a…サブマウント
32b…発光素子(光源)
33…光合成部
33a…コリメートレンズ
33b…コリメートレンズ
33c…ミラー
33d…ミラー
33e…コンバイナ
33e1…1/2波長板
33f…集光レンズ
33g…集光レンズ
33h…ローパスフィルタ
40…光処理機構
A1,A2…アレイ
D1…直径
D2…直径
D3…直径
G1,G2…把持具
L…レーザ光
L1…第一長
L2…第二長
L3…第三長
L5…第五長
N…放電電極
S…収容室
S1…第一区間
S2…第二区間
S3…第三区間
S4…第四区間
X…方向
Y…方向
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7