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特許7568524プロテクタ及びプロテクタを備えた外装付ハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】プロテクタ及びプロテクタを備えた外装付ハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20241008BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20241008BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241008BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241008BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20241008BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H02G3/04 050
F16L33/00 B
F16L57/00 A
H01B7/00 301
H02G3/06
B60R16/02 623U
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021008447
(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公開番号】P2022112597
(43)【公開日】2022-08-03
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信
(72)【発明者】
【氏名】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】武島 護
(72)【発明者】
【氏名】野本 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】奥 龍一
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-154666(JP,A)
【文献】特開2012-217286(JP,A)
【文献】特開2020-124073(JP,A)
【文献】特開2017-046441(JP,A)
【文献】特開2019-216494(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1653583(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 33/00
F16L 57/00
H01B 7/00
H02G 3/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスに装着された第一コルゲート及び第二コルゲートの間に配置されるプロテクタであって、
前記ワイヤーハーネスを収容する内部空間に対して長手方向の一方側から他方側まで連通した開口を有するプロテクタ本体部と、
記第一コルゲートの端部内側に挿入されるコルゲート挿入部と、
記第二コルゲートの端部外側に沿接されるコルゲート沿接部とが設けられ
前記コルゲート挿入部は、前記プロテクタ本体部の一端側のみに設けられ、
前記コルゲート沿接部は、前記プロテクタ本体部の他端側のみに設けられた
プロテクタ。
【請求項2】
前記コルゲート挿入部の長手方向に対する垂直断面は、その外縁形状が前記第一コルゲートの内周面に接する円弧形状である
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記プロテクタ本体部と前記コルゲート挿入部の連接部分における当該コルゲート挿入部の外周側に、前記第一コルゲートの端面が当接する端部当接面が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記コルゲート挿入部の外周面に径外側方向へ突出するコルゲート係止部が設けられた
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記コルゲート挿入部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が径外側方向へ窪んだ凹形状である
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が前記第二コルゲートの外周面に接する凹形状である
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項7】
前記コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が前記第二コルゲートの外周面に接する円弧形状である
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項8】
前記コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が、前記第二コルゲートの外周面に接する円弧形状と、当該円弧形状の周端部から接線方向に延びる直線形状もしくは前記円弧形状よりも曲率が大きい曲線形状とを有する
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項9】
前記プロテクタ本体部と前記コルゲート沿接部の連接部分における当該コルゲート沿接部の内周側に、前記第二コルゲートの端面が当接する端部当接面が設けられた
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項10】
前記コルゲート沿接部の内周面に径内側方向へ突出するコルゲート係止部が設けられた
請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項11】
前記プロテクタ本体部にボディパネルの取付孔に挿入されるアンカー部が設けられ、前記開口に対向する壁部の内周面に前記アンカー部が設けられた壁部と対向する壁部とをつなぐリブが設けられた
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項12】
前記開口を構成する一対の壁部において、前記ワイヤーハーネスの押込方向に前記壁部が短縮された短縮部又は前記ワイヤーハーネスの反押込方向に前記壁部が延長された延長部が設けられた
請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のプロテクタ。
【請求項13】
第一コルゲートと、
第二コルゲートと、
前記第一コルゲート及び前記第二コルゲートの間に配置されて接続される請求項1乃至請求項12のいずれかに記載のプロテクタとを備えた
外装付ハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロテクタ及びプロテクタを備えた外装付ハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤーハーネスの外装部品であるコルゲートとプロテクタが知られている。コルゲートは、ワイヤーハーネスを覆う可撓性を有する外装部品であって、異物等からワイヤーハーネスを保護するものである。プロテクタは、ワイヤーハーネスを覆う可撓性を有しない外装部品であって、異物等からワイヤーハーネスを保護するとともに、ボディパネル等に取り付けられて配索経路を規制するものである。
【0003】
ところで、特許文献1及び特許文献2には、二つのコルゲートの間に配置されるプロテクタが開示されている。かかるプロテクタは、コルゲートの端部を内部に収容した状態で蓋を閉じることにより、両コルゲートと接続される。しかし、このようなプロテクタは、コルゲートの外径よりも幅及び高さ寸法が大きくなるため、断面形状の大型化が避けられず狭小な隙間に配索することができないという問題があった。
【0004】
また、ワイヤーハーネスに対して二つのコルゲートを装着した後に、両コルゲートの間にプロテクタを配置して接続する組立手順にあっては、ワイヤーハーネスに装着されたコルゲートを適宜にズラしてプロテクタを配置し、それぞれのコルゲートの端部をプロテクタの内部に一つずつ収容していく作業が必要となる。そのため、このような組立手順にあっては、プロテクタとコルゲートの接続作業が複雑になってしまうという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-72583号公報
【文献】特開2019-80385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、断面形状の小型化によって狭小な隙間に配索することができるとともに、両側に配置されたコルゲートとの接続作業が容易となるプロテクタ及びプロテクタを備えた外装付ハーネスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ワイヤーハーネスに装着された第一コルゲート及び第二コルゲートの間に配置されるプロテクタであって、前記ワイヤーハーネスを収容する内部空間に対して長手方向の一方側から他方側まで連通した開口を有するプロテクタ本体部と、記第一コルゲートの端部内側に挿入されるコルゲート挿入部と、記第二コルゲートの端部外側に沿接されるコルゲート沿接部とが設けられ、前記コルゲート挿入部は、前記プロテクタ本体部の一端側のみに設けられ、前記コルゲート沿接部は、前記プロテクタ本体部の他端側のみに設けられたことを特徴としている。
【0008】
この発明により、断面形状の小型化によって狭小な隙間に配索することができるとともに、両側に配置されたコルゲートとの接続作業が容易となる。
詳述すると、本願発明に係るプロテクタにおいては、プロテクタ本体部の一端側のみに第一コルゲートの端部内側に挿入されるコルゲート挿入部が設けられている。そのため、第一コルゲートの端部内側にコルゲート挿入部を挿入するだけで、第一コルゲートの端部をプロテクタ本体部の内側に収容することなく接続できる。また、本願発明に係るプロテクタにおいては、プロテクタ本体部の他端側のみに第二コルゲートの端部外側に沿接されるコルゲート沿接部が設けられている。そのため、プロテクタ本体部の一端側に第一コルゲートを接続した状態でワイヤーハーネスを引っ張りつつ第二コルゲートの端部外側をコルゲート沿接部に沿接(コルゲート沿接部に沿うように当接)させるだけで、第二コルゲートの端部をプロテクタ本体部の内側に収容することなく接続できる。したがって、プロテクタ本体部の幅及び高さ寸法が小さく抑えられ、断面形状を小型化でき、ひいては狭小な隙間に配索することが可能となる。さらには、それぞれのコルゲートの端部をプロテクタの内部に一つずつ収容していく作業が不要となり、ひいては両側に配置されたコルゲートとの接続作業が容易となる。
【0009】
この発明の態様として、前記コルゲート挿入部の長手方向に対する垂直断面は、その外縁形状が前記第一コルゲートの内周面に接する円弧形状であってもよい。なお、第一コルゲートの内周面に接する円弧形状とは、第一コルゲートの内径に対して同一又は略同一の外径である円弧形状を意味する。
【0010】
この発明により、コルゲート挿入部の外周面が第一コルゲートの内周面に隙間なく当接した状態で第一コルゲートを支持するため、コルゲート挿入部の長手方向に沿って第一コルゲートが真っすぐ延びる。このため、プロテクタと第一コルゲートの接続部分において、第一コルゲートが屈曲しない。また、第一コルゲートの配索経路が安定するため、第一コルゲートが周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0011】
さらに、コルゲート挿入部の外周面が第一コルゲートの内周面に隙間なく当接した状態で第一コルゲートを支持するため、プロテクタと第一コルゲートを接続する際に作業者が手を放しても第一コルゲートが脱落しない。したがって、プロテクタと第一コルゲートの接続作業において、第一コルゲートが脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタと第一コルゲートの接続作業が容易となる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記プロテクタ本体部と前記コルゲート挿入部の連接部分における当該コルゲート挿入部の外周側に、前記第一コルゲートの端面が当接する端部当接面が設けられてもよい。
【0013】
この発明により、作業者がコルゲート挿入部の挿入代を認識できる。そして、端部当接面に対して第一コルゲートの端面が当接すれば、第一コルゲートが適切に接続されたことを認識できる。したがって、プロテクタと第一コルゲートの接続作業が適切に行われたか否かが一目でわかる。ひいてはプロテクタと第一コルゲートの接続作業が容易となる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記コルゲート挿入部の外周面に径外側方向へ突出するコルゲート係止部が設けられてもよい。なお、かかるコルゲート係止部は、コルゲート挿入部から第一コルゲートの抜け出しを防ぐための突起部分を指す。
【0015】
この発明により、コルゲート係止部が第一コルゲートの内周面における凹凸形状に引っ掛かるため、第一コルゲートに対して引っ張り方向の荷重が作用しても第一コルゲートが脱落しない。したがって、プロテクタと第一コルゲートの接続作業において、第一コルゲートが脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタと第一コルゲートの接続作業が容易となる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記コルゲート挿入部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が径外側方向へ窪んだ凹形状であってもよい。なお、かかる凹形状は、いわゆる椀型形状や円弧形状、多角形状等の様々な形状を含んだ概念である。
【0017】
この発明により、コルゲート挿入部の内側にワイヤーハーネスの少なくとも一部を収めることができる。したがって、プロテクタと第一コルゲートの接続作業において、ワイヤーハーネスを保持しておくことができる。ひいてはプロテクタと第一コルゲートの接続作業が容易となる。また、プロテクタと第一コルゲートを接続した後においても、ワイヤーハーネスの位置を規制することができる。ひいてはワイヤーハーネスの振れを抑えることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が第二コルゲートの外周面に接する凹形状であってもよい。なお、かかる凹形状は、いわゆる椀型形状や円弧形状、多角形状等の様々な形状を含んだ概念である。
【0019】
この発明により、コルゲート沿接部の内周面が第二コルゲートの外周面に面又は線で当接した状態で第二コルゲートを支持するため、コルゲート沿接部の長手方向に沿って第二コルゲートが真っすぐ延びる。このため、プロテクタと第二コルゲートの接続部分において、第二コルゲートが屈曲しない。また、第二コルゲートの配索経路が安定するため、第二コルゲートが周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が前記第二コルゲートの外周面に接する円弧形状であってもよい。なお、第二コルゲートの外周面に接する円弧形状とは、第二コルゲートの外径に対して同一又は略同一の内径である円弧形状を意味する。
【0021】
この発明により、コルゲート沿接部の内周面が第二コルゲートの外周面に隙間なく当接した状態で第二コルゲートを支持するため、コルゲート沿接部の長手方向に沿って第二コルゲートが真っすぐ延びる。このため、プロテクタと第二コルゲートの接続部分において、第二コルゲートが屈曲しない。また、第二コルゲートの配索経路が安定するため、第二コルゲートが周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0022】
さらに、第一コルゲート及び第二コルゲートの間におけるワイヤーハーネスがプロテクタ本体部に押し込まれており、さらにはコルゲート沿接部の内周面が第二コルゲートの外周面に隙間なく当接した状態で第二コルゲートを支持するため、プロテクタと第二コルゲートを接続する際に作業者が手を放しても第二コルゲートが脱落しない。したがって、プロテクタと第二コルゲートの接続作業において、第二コルゲートが脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタと第二コルゲートの接続作業が容易となる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記プロテクタ本体部と前記コルゲート沿接部の連接部分における当該コルゲート沿接部の内周側に、前記第二コルゲートの端面が当接する端部当接面が設けられてもよい。
【0024】
この発明により、第二コルゲートの弾力によって第二コルゲートの端面が端部当接面に押し付けられるため、第二コルゲートが端部当接面に対して直立した姿勢で安定する。したがって、プロテクタと第二コルゲートの接続作業が適切に行われたか否かが一目でわかる。ひいてはプロテクタと第二コルゲートの接続作業が容易となる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記コルゲート沿接部の内周面に径内側方向へ突出するコルゲート係止部が設けられてもよい。なお、かかるコルゲート係止部も、コルゲート沿接部から第二コルゲートの抜け出しを防ぐための突起部分を指す。
【0026】
この発明により、コルゲート係止部が第二コルゲートの外周面における凹凸形状に引っ掛かるため、第二コルゲートに対して引っ張り方向の荷重が作用しても第二コルゲートが脱落しない。したがって、プロテクタと第二コルゲートの接続作業において、第二コルゲートが脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタと第二コルゲートの接続作業が容易となる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記コルゲート沿接部の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状が、前記第二コルゲートの外周面に接する円弧形状と、当該円弧形状の周端部から接線方向に延びる直線形状もしくは前記円弧形状よりも曲率が大きい曲線形状とを有していてもよい。
【0028】
この発明により、直線形状部分に相当する平板部もしくは曲線形状部分に相当する曲板部が第二コルゲートを接続する際の案内板として機能する。したがって、コルゲート沿接部の平板部もしくは曲板部に沿わせるようにして第二コルゲートを押し込むだけで、第二コルゲートを正しい位置へ導くことができる。ひいてはプロテクタと第二コルゲートの接続作業が容易となる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記プロテクタ本体部にボディパネルの取付孔に挿入されるアンカー部が設けられ、前記開口に対向する壁部の内周面に前記アンカー部が設けられた壁部と対向する壁部とをつなぐリブが設けられてもよい。
【0030】
この発明により、プロテクタ本体部におけるアンカー部の挿入方向への剛性が向上する。したがって、作業者がプロテクタ本体部を押してアンカー部をボディパネルに係止する際に、プロテクタ本体部が撓んでアンカー部が不完全に係止された状態となることを防止できる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記開口を構成する一対の壁部において、前記ワイヤーハーネスの押込方向に前記壁部が短縮された短縮部又は前記ワイヤーハーネスの反押込方向に前記壁部が延長された延長部が設けられてもよい。
【0032】
この発明により、短縮部が設けられた部分においてはワイヤーハーネスを押し込む際の抵抗が小さくなる。したがって、作業者がワイヤーハーネスを押し込む際の作業が容易となる。また、延長部が設けられた部分においてはワイヤーハーネスが引き出される際の抵抗が大きくなる。したがって、ワイヤーハーネスに対して引き出す方向の荷重が作用してもプロテクタからの脱落を防止することができる。
【0033】
さらにこの発明は、第一コルゲートと、第二コルゲートと、前記第一コルゲート及び前記第二コルゲートの間に配置されて接続される前述したいずれかのプロテクタとを備えた外装付ハーネスであることを特徴としている。
【0034】
この発明により、断面形状の小型化が図られているので、狭小な隙間に通して配索することができる。また、両側に配置されたコルゲートとの接続作業が容易となるので、生産性を向上させることができる。さらには、前述したプロテクタに関する全ての効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】外装付ハーネスを示す斜視図。
図2】プロテクタを図1における矢印Aから視た斜視図。
図3】プロテクタを図1における矢印Bから視た斜視図。
図4】プロテクタの正面図。
図5】プロテクタの背面図。
図6】プロテクタにおける各断面形状を示す説明図。
図7】第一コルゲートにプロテクタを接続している状況を示す説明図。
図8】プロテクタにワイヤーハーネスを押し込んでいる状況を示す説明図。
図9】プロテクタに第二コルゲートを接続している状況を示す説明図。
図10】プロテクタとコルゲートをテープで固定している状況を示す説明図。
図11】プロテクタをボディパネルに固定している状況を示す説明図。
図12】他の実施形態に係るプロテクタの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
本願においては、全ての図面でプロテクタ1の前後方向、左右方向、上下方向を示している。詳しくは矢印Fが前方側を示し、矢印Bが後方側を示し、矢印Lが左方側を示し、矢印Rが右方側を示し、矢印Uが上方側を示し、矢印Dが下方側を示している。
【0037】
図1は外装付ハーネス100を示す斜視図である。図2はプロテクタ1を図1における矢印Aから視た斜視図であり、図3はプロテクタ1を図1における矢印Bから視た斜視図であり、図4はプロテクタ1の正面図であり、図5はプロテクタ1の背面図である。そして、図6はプロテクタ1における各断面形状を示す説明図である。図6には、図5におけるX-X断面図とY-Y断面図とZ-Z断面図とが示されている。
【0038】
また、図7は第一コルゲート10にプロテクタ1を接続している状況を示す説明図である。図8はプロテクタ1にワイヤーハーネス30を押し込んでいる状況を示す説明図であり、図9はプロテクタ1に第二コルゲート20を接続している状況を示す説明図であり、図10はプロテクタ1とコルゲート(第一コルゲート10及び第二コルゲート20)をテープ40で固定している状況を示す説明図である。そして、図11はプロテクタ1をボディパネル50に固定している状況を示す説明図である。
【0039】
図1に示すように、外装付ハーネス100は、電装品から電装品への電力供給や信号伝達を担うものである。外装付ハーネス100は、ワイヤーハーネス30を保護する外装部品として、第一コルゲート10と、第二コルゲート20と、第一コルゲート10及び第二コルゲート20の間に配置されるプロテクタ1とを有している。
【0040】
第一コルゲート10及び第二コルゲート20は、ワイヤーハーネス30を覆う可撓性を有する外装部品であって、異物等からワイヤーハーネス30を保護するものである。第一コルゲート10は、大径部101と小径部102が交互に連続する形状であり、第二コルゲート20も、大径部201と小径部202が交互に連続する形状である。
【0041】
プロテクタ1は、ワイヤーハーネス30を覆う可撓性を有しない外装部品であって、異物等からワイヤーハーネス30を保護するとともに、ボディパネル50等に取り付けられて配索経路を規制するものである。プロテクタ1は、ポリプロピレン樹脂を用いて一体的に形成されており、少なくとも本願発明を具現化した構造を備えている。以下に、プロテクタ1について詳しく説明する。
【0042】
図2から図6に示すように、プロテクタ1は、プロテクタ本体部2と、コルゲート挿入部3と、コルゲート沿接部4と、アンカー部5とを有している。そこで、まずはプロテクタ本体部2について説明し、その後にコルゲート挿入部3、コルゲート沿接部4、アンカー部5について順に説明するものとする。
【0043】
プロテクタ本体部2は、ワイヤーハーネス30を収容する内部空間Sに対して長手方向の一方側から他方側(前端部から後端部)まで連通した開口2oを有している。プロテクタ本体部2は、開口2oに対向して内部空間Sの右方側壁部となる側壁部21が設けられている。また、プロテクタ本体部2は、側壁部21の上端縁から左方側に延びて内部空間Sの上方側壁部となる上壁部22と、側壁部21の下端縁から左方側に延びて内部空間Sの下方側壁部となる下壁部23とが設けられている。そのため、プロテクタ本体部2の長手方向に対する垂直断面は、略U字形状となっている(図6(a):X-X断面図参照)。
【0044】
また、上壁部22と下壁部23は、下壁部23のほうがやや長くなっている。これは、ワイヤーハーネス30を下壁部23に沿わせるようにして押し込むことを可能としたものである。また、プロテクタ本体部2の側壁部21には、その内周面に上壁部22と下壁部23とをつなぐ三つのリブ211が平行に設けられている。また、プロテクタ本体部2の下壁部23には、下方側かつ前方側に向かって延出されたパネル当接部231と、下方側かつ後方側に向かって延出されたパネル当接部232とが設けられている。これらリブ211ならびにパネル当接部231,232の機能については、後に説明するものとする。
【0045】
さらに、プロテクタ本体部2の上壁部22及び下壁部23には、ワイヤーハーネス30の押込方向に短縮された短縮部223,233が設けられている(図3参照)。すなわち、ワイヤーハーネス30をプロテクタ本体部2の内部空間Sに押し込む状況において、ワイヤーハーネス30を押し込む方向を押込方向Dfとした場合、この押込方向Dfに向かって上壁部22が短縮された短縮部223と、下壁部23が短縮された短縮部233とが設けられている。これらの短縮部223,233は、プロテクタ本体部2の前端部から所定の範囲(プロテクタ本体部2の前端部から曲げ部2Bまでの範囲)に設けられている。
【0046】
コルゲート挿入部3は、プロテクタ本体部2の一端側(前端部)に設けられている。コルゲート挿入部3は、第一コルゲート10の端部内側に挿入される挿入片であり、プロテクタ本体部2の前端部から中心軸Cに沿って設けられている。なお、プロテクタ本体部2とコルゲート挿入部3の連接部分にあたる、プロテクタ本体部2とコルゲート挿入部3の段差面2fは、第一コルゲート10の端部当接面31として機能する。そのため、コルゲート挿入部3を第一コルゲート10の端部内側に挿入した状態においては、この段差面2fに第一コルゲート10の端面10fが当接することとなる(図7参照)。
【0047】
また、コルゲート挿入部3の長手方向に対する垂直断面は、略C字形状となっている(図6(b):Y-Y断面図参照)。そして、その断面部分における外縁形状3oeが第一コルゲート10の内径(小径部102の内径)に等しい円弧形状となっている。そのため、コルゲート挿入部3を第一コルゲート10の端部内側に挿入すると、コルゲート挿入部3の外周面と第一コルゲート10の内周面(小径部102の内周面)とが隙間なく当接した状態となる。なお、コルゲート挿入部3の外周面を先端側から基端側に向かって徐々に拡径するテーパ面としてもよい。このようにすれば、より隙間なく当接した状態になると考えられる。
【0048】
さらに、コルゲート挿入部3の長手方向に対する垂直断面は、その断面部分における内縁形状3ieが径外側方向へ窪んだ円弧形状となっている。そのため、コルゲート挿入部3を第一コルゲート10の端部内側に挿入する際に、コルゲート挿入部3の内側にワイヤーハーネス30を保持しておくことができる(図7参照)。また、プロテクタ1と第一コルゲート10を接続した後においても、コルゲート挿入部3の内側に保持することで、ワイヤーハーネス30の位置を規制することができる。なお、コルゲート挿入部3の長手方向に対する垂直断面において、内縁形状3ieは径外側方向へ窪んだ凹形状であればよい。コルゲート挿入部3の内側にワイヤーハーネス30を保持できればよいからである。
【0049】
加えて、本願発明に係るプロテクタ1においては、コルゲート挿入部3にコルゲート係止部33が設けられている。すなわち、コルゲート挿入部3の先端部における外周面に、径外側方向へ突出するコルゲート係止部33が設けられている。コルゲート係止部33は、コルゲート挿入部3を第一コルゲート10の端部内側に挿入した状態において、第一コルゲート10の大径部101内側に収まり、この大径部101に隣接する小径部102に引っ掛かる。このため、第一コルゲート10に対して引っ張り方向の荷重が作用しても第一コルゲート10が脱落しない。なお、プロテクタ1においては、コルゲート係止部33が一つだけ設けられた構造となっているが、複数設けられていてもよい。
【0050】
コルゲート沿接部4は、プロテクタ本体部2の他端側(後端部)に設けられている。コルゲート沿接部4は、第二コルゲート20の端部外側に沿接される沿接片であり、プロテクタ本体部2の後端部から中心軸Cに沿って設けられている。なお、プロテクタ本体部2とコルゲート沿接部4の連接部分にあたる、プロテクタ本体部2とコルゲート沿接部4の段差面2rは、第二コルゲート20の端部当接面41として機能する。そのため、コルゲート沿接部4に第二コルゲート20の端部外側を沿接した状態においては、この段差面2rに第二コルゲート20の端面20rが当接することとなる(図9参照)。
【0051】
また、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面は、略J字形状となっている(図6(c):Z-Z断面図参照)。そして、その断面部分における内縁形状4ieが第二コルゲート20の外径(大径部201の外径)に等しい円弧形状となっている。そのため、コルゲート沿接部4に第二コルゲート20の端部外側を沿接すると、コルゲート沿接部4の内周面と第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)とが隙間なく当接した状態となる。なお、コルゲート沿接部4の内周面を先端側から基端側に向かって徐々に縮径するテーパ面としてもよい。このようにすれば、より隙間なく当接した状態になると考えられる。
【0052】
さらに、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面は、その断面部分における内縁形状4ieが、第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に接する円弧形状と、この円弧形状の周端部4peから接線方向に延びる直線形状とを有している。そのため、コルゲート沿接部4に第二コルゲート20の端部外側を沿接する際に、この直線形状部分に相当する平板部42の内側面に沿わせるようにして第二コルゲート20を押し込むだけで、第二コルゲート20を正しい位置へ導くことができる。なお、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面において、直線形状の代わりに円弧形状よりも曲率が大きい曲線形状を有するとしてもよい。このようにしても、この曲線形状部分に相当する曲板部の内側面に沿わせるようにして第二コルゲート20を押し込むだけで、第二コルゲート20を正しい位置へ導くことができる。
【0053】
加えて、本願発明に係るプロテクタ1においては、コルゲート沿接部4にコルゲート係止部43が設けられている。すなわち、コルゲート沿接部4の先端部における内周面に、径内側方向へ突出するコルゲート係止部43が設けられている。コルゲート係止部43は、第二コルゲート20の端部内側をコルゲート沿接部4に沿接した状態において、第二コルゲート20の小径部202外側に収まり、この小径部202に隣接する大径部201に引っ掛かる。このため、第二コルゲート20に対して引っ張り方向の荷重が作用しても第二コルゲート20が脱落しない。なお、プロテクタ1においては、コルゲート係止部43が一つだけ設けられた構造となっているが、複数設けられていてもよい。
【0054】
アンカー部5は、ボディパネル50の取付孔50hに挿入されるパネル挿入部51と、ボディパネル50の取付孔50hに係止されるパネル係止部52とを有している。なお、前述したパネル当接部231,232は、ボディパネル50の取付孔50hにパネル挿入部51が挿入され、ボディパネル50の取付孔50hにパネル係止部52が係止された状態において、ボディパネル50の表面に押し付けられることとなる。このような構造により、パネル当接部231,232が常にボディパネル50から離間する方向に荷重をかけるため、プロテクタ1のガタつきを防止し、プロテクタ1を安定的に支持することができる。
【0055】
また、プロテクタ1をボディパネル50に固定する際には、作業者がプロテクタ本体部2を押すことによってアンカー部5をボディパネル50に係止する。つまり、作業者がプロテクタ本体部2の上壁部22を上方側から下方側に向けて押すことによってパネル当接部231,232を変形させ、パネル係止部52をボディパネル50の取付孔50hに引っ掛かけて係止する。このとき、プロテクタ本体部2が撓んでしまうと、パネル係止部52をボディパネル50の取付孔50hに適切に引っ掛かけることができず、アンカー部5が不完全に係止された状態となる。そこで、プロテクタ本体部2が撓まないよう、側壁部21の内周面に三つのリブ211を設けている。
【0056】
これらのリブ211は、アンカー部5の挿入方向に沿って設けられており、アンカー部5が設けられた下壁部23と対向する上壁部22とをつないでいる。さらには、三つのリブ211のうち中央のリブ211は、アンカー部5の中央部から上方側へ真っすぐ沿設されており、残り二つのリブ211は、アンカー部5の端部付近から上方側へ真っすぐ沿設されている。なお、これらのリブ211は、プロテクタ本体部2の内部空間Sに押し込まれたワイヤーハーネス30に対して荷重をかけないよう、ワイヤーハーネス30の外周面に接する程度の高さとされている。但し、これらのリブ211における上下方向の中途部分を窪ませてワイヤーハーネス30を保持するような構造としてもよい。
【0057】
次に、図7から図11を用いて、第一コルゲート10と第二コルゲート20の間にプロテクタ1を配置して接続する組立手順について説明する。ここでは、ワイヤーハーネス30に対して第一コルゲート10と第二コルゲート20が既に装着されているものとする。
【0058】
図7に示すように、第一工程は、第一コルゲート10にプロテクタ1を接続する工程である。第一工程においては、第一コルゲート10と第二コルゲート20の間におけるワイヤーハーネス30を適宜に曲げ、第一コルゲート10の端部内側にコルゲート挿入部3を挿入する。そして、第一コルゲート10の端面10fにプロテクタ1の端部当接面31を当接させる。このとき、コルゲート挿入部3の内側にワイヤーハーネス30を保持しておくと作業が容易となる。
【0059】
図8に示すように、第二工程は、プロテクタ1にワイヤーハーネス30を押し込む工程である。第二工程においては、第一コルゲート10と第二コルゲート20の間におけるワイヤーハーネス30を伸ばしつつプロテクタ本体部2の前端部から開口2oを通じて内部空間Sに押し込んでいく。このとき、短縮部223,233がプロテクタ本体部2の前端部から所定の範囲に設けられているため、ワイヤーハーネス30を内部空間Sに押し込む際の最初の抵抗が抑えられて作業が容易となる。
【0060】
図9に示すように、第三工程は、プロテクタ1に第二コルゲート20を接続する工程である。第三工程においては、第一コルゲート10と第二コルゲート20の間におけるワイヤーハーネス30を引っ張りつつコルゲート沿接部4に第二コルゲート20の端部外側を沿接させる。そして、プロテクタ1の端部当接面41に第二コルゲート20の端面20rを当接させる。このとき、コルゲート沿接部4の平板部42に沿わせるようにして第二コルゲート20を押し込むと作業が容易となる。
【0061】
図10に示すように、第四工程は、プロテクタ1とコルゲート(第一コルゲート10及び第二コルゲート20)をテープ40で固定する工程である。第四工程においては、プロテクタ本体部2と第一コルゲート10を連続するテープ40で巻き回して固定する。また、プロテクタ本体部2と第二コルゲート20を連続するテープ40で巻き回して固定する。このとき、コルゲート沿接部4と第二コルゲート20をまとめて巻き回すので、第二コルゲート20を確実に固定することが可能となる。
【0062】
図11に示すように、第五工程は、プロテクタ1をボディパネル50に固定する工程である。第五工程においては、プロテクタ1のアンカー部5をボディパネル50の取付孔50hに嵌め合わせる。そして、プロテクタ本体部2におけるアンカー部5の上方側部分(上壁部22の外周面)を押すことでボディパネル50に固定する。このとき、作業者が押す上壁部22とアンカー部5が設けられた下壁部23とをつなぐリブ211により、内部空間Sが押し潰されるような撓みは生じない。
【0063】
以上のように、本願発明に係るプロテクタ1は、ワイヤーハーネス30に装着された第一コルゲート10及び第二コルゲート20の間に配置されるものである。そして、プロテクタ1は、ワイヤーハーネス30を収容する内部空間Sに対して長手方向の一方側から他方側まで連通した開口2oを有するプロテクタ本体部2と、プロテクタ本体部2の一端側に第一コルゲート10の端部内側に挿入されるコルゲート挿入部3と、プロテクタ本体部2の他端側に第二コルゲート20の端部外側に沿接されるコルゲート沿接部4とが設けられている。
【0064】
このようなプロテクタ1によれば、断面形状の小型化によって狭小な隙間に配索することができるとともに、両側に配置されたコルゲート(第一コルゲート10及び第二コルゲート20)との接続作業が容易となる。
【0065】
詳述すると、本願発明に係るプロテクタ1においては、プロテクタ本体部2の一端側に第一コルゲート10の端部内側に挿入されるコルゲート挿入部3が設けられている。そのため、第一コルゲート10の端部内側にコルゲート挿入部3を挿入するだけで、第一コルゲート10の端部をプロテクタ本体部2の内側に収容することなく接続できる。また、本願発明に係るプロテクタ1においては、プロテクタ本体部2の他端側に第二コルゲート20の端部外側に沿接されるコルゲート沿接部4が設けられている。そのため、プロテクタ本体部2の一端側に第一コルゲート10を接続した状態でワイヤーハーネス30を引っ張りつつ第二コルゲート20の端部外側をコルゲート沿接部4に沿接(コルゲート沿接部4に沿うように当接)させるだけで、第二コルゲート20の端部をプロテクタ本体部2の内側に収容することなく接続できる。したがって、プロテクタ本体部2の幅及び高さ寸法が小さく抑えられ、断面形状を小型化でき、ひいては狭小な隙間に配索することが可能となる。さらには、それぞれのコルゲート(第一コルゲート10及び第二コルゲート20)の端部をプロテクタ1の内部に一つずつ収容していく作業が不要となり、ひいては両側に配置されたコルゲート(10,20)との接続作業が容易となる。
【0066】
また、プロテクタ1において、コルゲート挿入部3の長手方向に対する垂直断面は、その外縁形状3oeが第一コルゲート10の内周面(小径部102の内周面)に接する円弧形状である。なお、第一コルゲート10の内周面に接する円弧形状とは、第一コルゲート10の内径(小径部102の内径)に対して同一又は略同一の外径である円弧形状を意味する。
【0067】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート挿入部3の外周面が第一コルゲート10の内周面(小径部102の内周面)に隙間なく当接した状態で第一コルゲート10を支持するため、コルゲート挿入部3の長手方向に沿って第一コルゲート10が真っすぐ延びる。このため、プロテクタ1と第一コルゲート10の接続部分において、第一コルゲート10が屈曲しない。また、第一コルゲート10の配索経路が安定するため、第一コルゲート10が周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0068】
さらに、コルゲート挿入部3の外周面が第一コルゲート10の内周面(小径部102の内周面)に隙間なく当接した状態で第一コルゲート10を支持するため、プロテクタ1と第一コルゲート10を接続する際に作業者が手を放しても第一コルゲート10が脱落しない。したがって、プロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業において、第一コルゲート10が脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業が容易となる。
【0069】
また、プロテクタ1においては、プロテクタ本体部2とコルゲート挿入部3の連接部分におけるコルゲート挿入部3の外周側に、第一コルゲート10の端面10fが当接する端部当接面31が設けられている。
【0070】
このようなプロテクタ1によれば、作業者がコルゲート挿入部3の挿入代を認識できる。そして、端部当接面31に対して第一コルゲート10の端面が当接すれば、第一コルゲート10が適切に接続されたことを認識できる。したがって、プロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業が適切に行われたか否かが一目でわかる。ひいてはプロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業が容易となる。
【0071】
また、プロテクタ1においては、コルゲート挿入部3の外周面に径外側方向へ突出するコルゲート係止部33が設けられている。なお、かかるコルゲート係止部33は、コルゲート挿入部3から第一コルゲート10の抜け出しを防ぐための突起部分を指す。
【0072】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート係止部33が第一コルゲート10の内周面における凹凸形状に引っ掛かるため、第一コルゲート10に対して引っ張り方向の荷重が作用しても第一コルゲート10が脱落しない。したがって、プロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業において、第一コルゲート10が脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業が容易となる。
【0073】
また、プロテクタ1において、コルゲート挿入部3の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状3ieが径外側方向へ窪んだ凹形状であってもよい。なお、かかる凹形状は、いわゆる椀型形状や円弧形状、多角形状等の様々な形状を含んだ概念である。
【0074】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート挿入部3の内側にワイヤーハーネス30の少なくとも一部を収めることができる。したがって、プロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業において、ワイヤーハーネス30を保持しておくことができる。ひいてはプロテクタ1と第一コルゲート10の接続作業が容易となる。また、プロテクタ1と第一コルゲート10を接続した後においても、ワイヤーハーネス30の位置を規制することができる。ひいてはワイヤーハーネス30の振れを抑えることができる。
【0075】
また、プロテクタ1において、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状4ieが第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に接する円弧形状である。なお、第二コルゲート20の外周面に接する円弧形状とは、第二コルゲート20の外径(大径部201の外径)に対して同一又は略同一の内径である円弧形状を意味する。
【0076】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート沿接部4の内周面が第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に隙間なく当接した状態で第二コルゲート20を支持するため、コルゲート沿接部4の長手方向に沿って第二コルゲート20が真っすぐ延びる。このため、プロテクタ1と第二コルゲート20の接続部分において、第二コルゲート20が屈曲しない。また、第二コルゲート20の配索経路が安定するため、第二コルゲート20が周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0077】
さらに、第一コルゲート10及び第二コルゲート20の間におけるワイヤーハーネス30がプロテクタ本体部2に押し込まれており、さらにはコルゲート沿接部4の内周面が第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に隙間なく当接した状態で第二コルゲート20を支持するため、プロテクタ1と第二コルゲート20を接続する際に作業者が手を放しても第二コルゲート20が脱落しない。したがって、プロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業において、第二コルゲート20が脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業が容易となる。
【0078】
また、プロテクタ1は、プロテクタ本体部2とコルゲート沿接部4の連接部分におけるコルゲート沿接部4の内周側に、第二コルゲート20の端面20rが当接する端部当接面41が設けられている。
【0079】
このようなプロテクタ1によれば、第二コルゲート20の弾力によって第二コルゲート20の端面が端部当接面41に押し付けられるため、第二コルゲート20が端部当接面41に対して直立した姿勢で安定する。したがって、プロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業が適切に行われたか否かが一目でわかる。ひいてはプロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業が容易となる。
【0080】
また、プロテクタ1は、コルゲート沿接部4の内周面に径内側方向へ突出するコルゲート係止部43が設けられている。なお、かかるコルゲート係止部43も、コルゲート沿接部4から第二コルゲート20の抜け出しを防ぐための突起部分を指す。
【0081】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート係止部43が第二コルゲート20の外周面における凹凸形状に引っ掛かるため、第二コルゲート20に対して引っ張り方向の荷重が作用しても第二コルゲート20が脱落しない。したがって、プロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業において、第二コルゲート20が脱落しないように手で押さえておく必要がなくなる。ひいてはプロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業が容易となる。
【0082】
また、プロテクタ1において、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状4ieが、第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に接する円弧形状と、円弧形状の周端部4peから接線方向に延びる直線形状もしくは円弧形状よりも曲率が大きい曲線形状とを有している。
【0083】
このようなプロテクタ1によれば、直線形状部分に相当する平板部42もしくは曲線形状部分に相当する曲板部が第二コルゲート20を接続する際の案内板として機能する。したがって、コルゲート沿接部4の平板部42もしくは曲板部に沿わせるようにして第二コルゲート20を押し込むだけで、第二コルゲート20を正しい位置へ導くことができる。ひいてはプロテクタ1と第二コルゲート20の接続作業が容易となる。
【0084】
また、プロテクタ1は、プロテクタ本体部2にボディパネル50の取付孔50hに挿入されるアンカー部5が設けられ、開口2oに対向する側壁部21の内周面にアンカー部5が設けられた下壁部23と対向する上壁部22とをつなぐリブ211が設けられている。
【0085】
このようなプロテクタ1によれば、プロテクタ本体部2におけるアンカー部5の挿入方向への剛性が向上する。したがって、作業者がプロテクタ本体部2を押してアンカー部5をボディパネル50に係止する際に、プロテクタ本体部2が撓んでアンカー部5が不完全に係止された状態となることを防止できる。
【0086】
また、プロテクタ1は、開口2oを構成する一対の壁部(上壁部22及び下壁部23)において、ワイヤーハーネス30の押込方向Dfに壁部(22,23)が短縮された短縮部223,233が設けられている。
【0087】
このようなプロテクタ1によれば、短縮部223,233が設けられた部分においてはワイヤーハーネス30を押し込む際の抵抗が小さくなる。したがって、作業者がワイヤーハーネス30を押し込む際の作業性が向上する。なお、本実施形態に係るプロテクタ1においては、一つの短縮部223,233が設けられているが、二つ以上の短縮部223,233が設けられるとしてもよい。
【0088】
さらに、本願発明に係る外装付ハーネス100は、第一コルゲート10と、第二コルゲート20と、第一コルゲート10及び第二コルゲート20の間に配置されて接続されるプロテクタ1とを備えている。
【0089】
このような外装付ハーネス100によれば、断面形状の小型化が図られているので、狭小な隙間に通して配索することができる。また、両側に配置されたコルゲート(第一コルゲート10及び第二コルゲート20)との接続作業が容易となるので、生産性を向上させることができる。さらには、前述したプロテクタ1に関する全ての効果を奏する。
【0090】
この発明の構成と前述の実施形態との対応において、この発明のプロテクタはプロテクタ1に対応し、
プロテクタ本体部はプロテクタ本体部2に対応し、
コルゲート挿入部はコルゲート挿入部3に対応し、
コルゲート沿接部はコルゲート沿接部4に対応し、
アンカー部はアンカー部5に対応し、
第一コルゲートは第一コルゲート10に対応し、
第二コルゲートは第二コルゲート20に対応し、
ワイヤーハーネスはワイヤーハーネス30に対応し、
端部当接面は端部当接面31,41に対応し、
コルゲート係止部はコルゲート係止部33,43に対応し、
外装付ハーネスは外装付ハーネス100に対応し、
リブはリブ211に対応し、
短縮部は短縮部223,233に対応し、
開口は開口2oに対応し、
外縁形状は外縁形状3oeに対応し、
内縁形状は内縁形状3ieに対応し、
内縁形状は内縁形状4ieに対応し、
円弧形状の周端部は周端部4peに対応し、
内部空間は内部空間Sに対応し、
押込方向は押込方向Dfに対応し、
反押込方向は反押込方向Doに対応するも、この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0091】
例えば、本願発明に係るプロテクタ1においては、ワイヤーハーネス30の反押込方向Doに上壁部22及び下壁部23が延長された延長部224,234が設けられた構造であってもよい。すなわち、図12に示すように、ワイヤーハーネス30を押し込む方向の反対方向を反押込方向Doとした場合、反押込方向Doに向かって上壁部22が延長された延長部224と、下壁部23が延長された延長部234とが設けられた構造であってもよい。
【0092】
これらの延長部224,234は、プロテクタ本体部2の前端部から所定の範囲までを除き、中途部から後端部まで設けられるとしてもよい。このようにすれば、ワイヤーハーネス30を内部空間Sに押し込む際の最初の抵抗が大きくならず、ワイヤーハーネス30を押し込む作業が困難とならない。また、これらの延長部224,234については、プロテクタ本体部2の前端部から後端部までの間における任意の位置に設けられるとしてもよい。
【0093】
このようなプロテクタ1によれば、延長部224,234が設けられた部分においてはワイヤーハーネス30が引き出される際の抵抗が大きくなる。したがって、ワイヤーハーネス30に対して引き出す方向の荷重が作用してもプロテクタ1からの脱落を防止することができる。なお、本実施形態に係るプロテクタ1においては、一つの延長部224,234が設けられているが、二つ以上の延長部224,234が設けられるとしてもよい。
【0094】
加えて、プロテクタ1において、コルゲート沿接部4の長手方向に対する垂直断面は、その内縁形状4ieが第二コルゲート20の外周面(大径部201の外周面)に接する円弧形状であったが、径外側方向へ窪んだ凹形状であればよい。なお、かかる凹形状は、いわゆる椀型形状や円弧形状、多角形状等の様々な形状を含んだ概念である。
【0095】
このようなプロテクタ1によれば、コルゲート沿接部4の内周面が第二コルゲート20の外周面に面又は線で当接した状態で第二コルゲート20を支持するため、コルゲート沿接部4の長手方向に沿って第二コルゲート20が真っすぐ延びる。このため、プロテクタ1と第二コルゲート20の接続部分において、第二コルゲートが屈曲しない。また、第二コルゲート20の配索経路が安定するため、第二コルゲート20が周囲構造物に不用意に近接したり接触したりすることを防止できる。
【0096】
加えて、プロテクタ1においては、プロテクタ本体部2とコルゲート挿入部3の段差面2fを端部当接面31としているが、コルゲート挿入部3の外周側に別途の突起部を設け、この突起部の端面を端部当接面としてもよい。また、プロテクタ1においては、プロテクタ本体部2とコルゲート沿接部4の段差面2rを端部当接面41としているが、コルゲート沿接部4の内周側に別途の突起部を設け、この突起部の端面を端部当接面としてもよい。このようにしても、前述したものと同様の効果を奏する。
【0097】
さらに加えて、プロテクタ1においては、コルゲート挿入部3の外周面に径外側方向へ突出するコルゲート係止部33が一つだけ設けられているが、二つ以上のコルゲート係止部33が所定の間隔を隔てて設けられていてもよい。また、プロテクタ1においては、コルゲート沿接部4の内周面に径内側方向へ突出するコルゲート係止部43が一つだけ設けられているが、二つ以上のコルゲート係止部43が所定の間隔を隔てて設けられていてもよい。このようにしても、前述したものと同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0098】
1…プロテクタ
2…プロテクタ本体部
3…コルゲート挿入部
4…コルゲート沿接部
5…アンカー部
10…第一コルゲート
20…第二コルゲート
30…ワイヤーハーネス
31…端部当接面
33…コルゲート係止部
41…端部当接面
43…コルゲート係止部
100…外装付ハーネス
211…リブ
223…延長部
233…延長部
2o…開口
3oe…外縁形状
3ie…内縁形状
4ie…内縁形状
3pe…周端部
S…内部空間
Df…押込方向
Do…反押込方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12