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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】半導体加工用テープ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241008BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20241008BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241008BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241008BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/78 M
C09J7/30
C09J163/00
C09J7/38
H01L21/68 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023123624
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-09-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人クオリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198328
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】石黒 邦彦
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-140931(JP,A)
【文献】特開2008-303386(JP,A)
【文献】特開2014-135337(JP,A)
【文献】特開2010-182777(JP,A)
【文献】特開2010-182815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
C09J 7/30
C09J 163/00
C09J 7/38
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と該基材に接する粘着剤層との積層体からなるダイシングフィルムと、該粘着剤層に接する接着剤層と、該接着剤層に接する剥離フィルムとを有する積層体からなる半導体加工用テープであって、
前記接着剤層が、プリカット加工なしで形成された円形形状の塗布層であり、
前記ダイシングフィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の前記ダイシングフィルム側の面全体が前記ダイシングフィルムに接し、かつ、前記剥離フィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の剥離フィルム側の面全体が前記剥離フィルムに接し、
前記剥離フィルムは前記接着剤層のプリカット加工に伴う前記接着剤層の周囲に沿った切り込みを有しない、半導体加工用テープ(ただし、前記基材の前記粘着剤層が接する側とは反対側の面が十点平均粗さで6.0μm以上に粗面化されている半導体加工用テープ、前記基材の前記粘着剤層が接する側とは反対側の面が十点平均粗さで5.5μmに粗面化されている半導体加工用テープ、及び前記基材の前記粘着剤層が接する側とは反対側の面が十点平均粗さで2.5μmに粗面化されている半導体加工用テープを除く)
【請求項2】
前記接着剤層の厚みが1~200μmである請求項1に記載の半導体加工用テープ。
【請求項3】
前記接着剤層がエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の半導体加工用テープ。
【請求項4】
請求項1に記載された半導体加工用テープの製造方法であって、
前記接着剤層を、前記剥離フィルム上に、塗布によりプリカット加工なしで円形形状に形成することを含む、半導体加工用テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体加工用テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの加工用テープとして、粘着剤層と基材とを有するダイシングフィルムに接着剤層を積層した半導体加工用テープが知られている。この半導体加工用テープは、通常、以下のようにして用いられる。半導体加工用テープの接着剤層の一方の面を半導体ウエハに貼り付け、接着剤層の反対側に貼合されたダイシングフィルムを土台として半導体ウエハを接着剤層ごと個別化(ダイシング)して半導体チップとする。ダイボンダー装置上のピックアップコレットを用いてダイシングフィルムから半導体チップを接着剤層ごと剥離(ピックアップ)し、次いで半導体チップを配線基板上に熱圧着(ダイアタッチ)することにより、接着剤層を介して半導体チップを配線基板上に搭載する。ダイシングフィルムと接着剤層とを有する半導体加工用テープは、ダイシングダイアタッチフィルムとも称されている。
【0003】
このような半導体加工用テープは、半導体ウエハへの貼り付け及びダイシングの際のリングフレームへの取り付けにおける作業効率を高めるなどの観点から、ダイシングフィルムや接着剤層等は、予め所望の面積にプリカット加工された形態で供給されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/230036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリカット加工された半導体加工用テープの一例を図2に示す。図2(A)は、プリカット加工された半導体加工用テープの平面図であり、図2(B)は半導体加工用テープの積層構造を示すA-A線断面図である。
半導体加工用テープ1は、ダイシングフィルム2と、ダイシングフィルム2に接する接着剤層3と、接着剤層3に接する剥離フィルム4とを有する積層体からなる。図2(A)及び図2(B)においては省略しているが、ダイシングフィルム2は、粘着剤層及び基材を有する積層体であることが一般的であり、このような半導体加工用テープでは、粘着剤層と接着剤層とが接して配される。
図2(A)において、ダイシングフィルム2は、プリカット加工により、リングフレームの形状に対応する円形部(ラベル部)2aと周辺部2bとに区分されている。円形部2aと周辺部2bとの間のダイシングフィルム2が配されていない部分においては、剥離フィルム4が露出している。
図2(A)では、接着剤層3も、プリカット加工により、半導体ウエハの形状に対応する円形とされている。接着剤層3の形状は、ダイシングフィルム2の円形部2aと中心が同一であり、円形部2aよりも小さい直径の円形となっている。ダイシングフィルム2は、接着剤層3を覆い、接着剤層3の周囲において、剥離フィルム4に接している。剥離フィルム4の接着剤層3と反対側の面には、支持テープ6が2カ所に配されている。
【0006】
上述の通り、半導体加工用テープ1の接着剤層3は、半導体ウエハのダイシングに先立って、半導体ウエハに貼り付けられる。半導体ウエハへの貼り付けの一実施形態(テープ貼り付け装置を使用する形態)について図3を参照しながら説明する。
半導体加工用テープ1は、リングフレームR及び半導体ウエハWが吸着支持されたステージ100上に搬送され(図3(A))、剥離フィルム4を剥がして得られる、ダイシングフィルム2と接着剤層3との積層体がこれらに貼り合わされる。具体的には、テープ貼り付け装置のベロ出し治具tの先端で剥離フィルム4を急角度で折り返し半導体加工用テープ1を剥離フィルム4と共に示す矢印方向に搬送しながらステージ100を図の右側に移動する。これにより、積層体の端部が剥離フィルム4から剥離されて前方に押し出される。(上記のように積層体の端部を剥離フィルムから剥離して浮き上がらせて剥離の起点とする操作を「ベロ出し(先端出し)」という。)押し出された積層体の先端を貼合ロールrで押し付けて、積層体をリングフレームRに貼合し(図3(B))、さらに半導体ウエハWに貼合する(図3(C)及び(D))。このようにして、接着剤層3が半導体ウエハW全体に貼合され、接着剤層3に比較して面積の大きいダイシングフィルム2がリングフレームRに貼合される。
【0007】
本発明者らが検討したところ、上記のようなテープ貼り付け装置を用いた貼り付けの際に、接着剤層3が剥がれたり、接着剤層3の先端部においてシワが生じたりする貼り付け不良が生じる場合があることが分かってきた。具体的には、図3(B)の状態では、積層体の端部において、接着剤層3はダイシングフィルム2に追従すべきところ、図4(A)に示すように剥離フィルム4に追従してしまい、結果、接着剤層3がダイシングフィルム2から剥離してしまう不良が生じたり、図4(B)に示すように積層体の端部が剥離フィルム4からスムースに剥離されず、端部にしわを生じた状態で半導体ウエハに貼合されてしまう不良が生じたりすることが分かってきた。このような貼り付け不良が生じた場合、半導体ウエハを半導体加工用テープごと廃棄せざるを得ない。
【0008】
本発明は、半導体ウエハ及びリングフレームへの貼り付けの際に、貼り付け不良の生じにくい、半導体加工用テープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
〔1〕
基材と該基材に接する粘着剤層との積層体からなるダイシングフィルムと、該粘着剤層に接する接着剤層と、該接着剤層に接する剥離フィルムとを有する積層体からなる半導体加工用テープであって、
前記ダイシングフィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の前記ダイシングフィルム側の面全体が前記ダイシングフィルムに接し、かつ、前記剥離フィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の剥離フィルム側の面全体が前記剥離フィルムに接し、
前記剥離フィルムは前記接着剤層のプリカット加工に伴う前記接着剤層の周囲に沿った切り込みを有さず、又は、該切り込みを有する場合は該切り込みの深さが25μm以下である、半導体加工用テープ。
〔2〕
前記接着剤層の厚みが1~200μmである〔1〕に記載の半導体加工用テープ。
〔3〕
前記切り込みの深さが5μm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の半導体加工用テープ。
〔4〕
前記剥離フィルムが前記接着剤層のプリカット加工に伴う前記接着剤層の周囲に沿った切り込みを有しない、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の半導体加工用テープ。
〔5〕
前記接着剤層がエポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を含有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の半導体加工用テープ。
【0010】
本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体加工用テープは、半導体ウエハ及びリングフレームへの貼り付けの際に、貼り付け不良を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の半導体加工用テープの構造の一形態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、プリカット加工された半導体加工用テープの一形態を模式的に示す説明図である。図2(A)は平面図であり、図2(B)は図2(A)のA-A線断面図である。
図3図3(A)~(D)は、半導体加工用テープの貼り付けの一実施形態を説明するための概略断面図である。図3(A)は、半導体加工用テープのベロ出し時の状態を示す概略断面図である。図3(B)は、半導体加工用テープの端部が貼合ロールによりリングフレームに貼合された状態を示す概略断面図である。図3(C)は、半導体加工用テープの接着剤層が半導体ウエハに貼合される状態を示す概略断面図である。図3(D)は、半導体加工用テープが半導体ウエハ及びリングフレームに貼合された状態を示す概略断面図である。
図4図4(A)及び(B)は、半導体加工用テープの貼り付け時の不良を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[半導体加工用テープ]
本発明の半導体加工用テープは、基材と該基材に接する粘着剤層との積層体からなるダイシングフィルムと、粘着剤層に接する接着剤層と、接着剤層に接する剥離フィルムとを有する積層体からなる。この半導体加工用テープにおいて、上記ダイシングフィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の前記ダイシングフィルム側の面全体が前記ダイシングフィルムに接し、かつ、前記剥離フィルムの面積が前記接着剤層の面積よりも大きく、前記接着剤層の剥離フィルム側の面全体が前記剥離フィルムに接している。前記剥離フィルムは前記接着剤層のプリカット加工に伴う前記接着剤層の周囲に沿った切り込みを有さず、又は、該切り込みを有する場合は該切り込みの深さが25μm以下である。
【0014】
本発明の半導体加工用テープは、剥離フィルムを剥離して、ダイシングフィルム及び接着剤層の積層体を被着体に貼合する際に、接着剤層が剥離フィルムの側に追従してダイシングフィルムから接着剤層が剥離したり、シワなどの不良を生じたりすることを効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明において、「接着剤層のプリカット加工」とは、半導体加工用テープの製造過程において、接着剤層を所望の形状とするために行われる切断加工を意味する。このプリカット加工は、通常、剥離フィルム上に形成された接着剤層を押切刃等により所望の形状に切断することにより行われる。切断により得られた所望形状の接着剤層以外の接着剤層部分は剥離して除去される。プリカット加工に当たり、接着剤層を確実に切断する観点から、接着剤層のみならず剥離フィルムに対しても一定の深さまで切り込みを入れるのが通常である。このため、接着剤層のプリカット加工により、剥離フィルムにも、接着剤層の周囲に沿って切り込みが生じる。
【0016】
本発明において、ダイシングフィルムもプリカット加工されていることが好ましい。
ダイシングフィルムのプリカット加工を行う場合は、接着剤層の場合と同様に、剥離フィルムには、プリカット加工に伴うダイシングフィルムの周囲に沿った切り込みが形成される。しかし、このプリカット加工に伴う切り込みが形成されたとしても、ダイシングフィルムの端部においては、基材に十分な厚みがあるため、接着剤層の場合のような貼り付け不良は生じにくいものである。
【0017】
本発明の半導体加工用テープの好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明は、本発明で規定すること以外は、下記で説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の半導体加工用テープ1の使用前の積層構造の一実施形態の概要を示す断面図である。また、本実施形態の半導体加工用テープ1の各部材の形状及び配置は、図2に示す一般的な半導体加工用テープ1と同様とすることができる。
本実施形態の半導体加工用テープ1は、図1に示すように、基材21と粘着剤層22との積層体からなるダイシングフィルム2と、粘着剤層22に接する接着剤層3と、接着剤層3に接する剥離フィルム4とを有する積層体からなる。
【0018】
本実施形態のダイシングフィルム2は、図2(A)に示すように、ダイシングフィルム2を平面視した場合に、リングフレームに対応する形状を含むラベル部(図2においては、円形に描かれた2a)とその外側に形成されている周辺部(図2における2b)とに区画されている。本実施形態では、周辺部2bが形成されているが、周辺部2bは形成せずに、ラベル部2aのみとしてもよい。本発明において、「ダイシングフィルムの面積」は、ダイシングフィルム2を平面視した場合のこのラベル部2aの面積を意味し、周辺部2bの面積は含まない意味である。ダイシングフィルム2の面積は、リングフレームに貼合可能な面積とされていればよい。また、「ダイシングフィルム2の形状」はダイシングフィルム2を平面視した場合のラベル部2aの形状を意味する。ダイシングフィルム2の形状は、リングフレームの開口部を覆うことができる限り特に制限されず、円形状であることが好ましい。
本実施形態において、ダイシングフィルム2は、プリカット加工により一部が切断され、除去されており、この部分では剥離フィルム4が露出している。本実施形態では、このように剥離フィルム4の露出部が形成されているが、露出部は形成されていなくてもよい。
【0019】
本発明において「接着剤層の面積」は、半導体加工用テープ1からダイシングフィルム2を取り除いて接着剤層3を平面視した場合の「接着剤層の面積」を意味する。接着剤層3の面積は半導体ウエハを覆うことができる面積とされている。また、「接着剤層の形状」は接着剤層3を平面視した場合の接着剤層3の形状を意味する。接着剤層3の形状は、半導体ウエハの裏面全体を覆うことができる限り特に制限されず、円形状であることが好ましい。
本実施形態の半導体加工用テープ1において、ダイシングフィルム2の面積は、接着剤層3よりも大きく、半導体加工用テープ1からフィルム4を取り除いて接着剤層3及び粘着剤層22を平面視した場合に、接着剤層3の周囲全体に粘着剤層22が露出した部分が生じることが好ましい。
【0020】
本発明において「剥離フィルムの面積」は剥離フィルム4を平面視した場合の「剥離フィルムの面積」を意味する。本実施形態において、剥離フィルム4は、接着剤層3の面積よりも大きいものである。剥離フィルム4の面積は、ダイシングフィルム2の面積よりも大きいことが好ましい。
【0021】
本実施形態のダイシングフィルム2の面積は、図1及び図2に示すように、接着剤層3の面積よりも大きく、接着剤層3のダイシングフィルム2側の面全体がダイシングフィルム2に接している。さらに、剥離フィルム4の面積は接着剤層3の面積よりも大きく、接着剤層3の剥離フィルム4側の面全体が剥離フィルム4に接している。接着剤層3の周囲の外方においては、ダイシングフィルム2の円形部の端部と剥離フィルム4とが接している。
【0022】
本実施形態において、剥離フィルム4は、接着剤層3の周囲に沿った位置に、接着剤層3のプリカット加工に伴い、25μm以下の切り込み5を有している。すなわち、剥離フィルム4は、その厚さ方向に、接着剤層3の周囲形状に沿った25μm以下の切り込み5を有している。本実施形態では、25μm以下の切り込み5が形成されているが、切り込み5は、形成されてないことも好ましい。
切り込み5は、通常、剥離フィルム4の接着剤層3が接している側の主平面におよそ垂直方向に形成される。
切り込み5の切り込み深さは、22μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、6μm未満がさらに好ましく、5μm以下がさらに好ましく、4μm以下がさらに好ましく、3μm以下がさらに好ましく、2μm以下がさらに好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
切り込み5の切り込み深さは、顕微鏡による断面観察により測定することができる。
切り込み5の切り込み深さは、プリカット加工の条件を調整することにより制御することができる。
また、剥離フィルム4は、接着剤層3のプリカット加工に伴う接着剤層3の周囲に沿った切り込みを有さない形態とすることも好ましい。このような形態の剥離フィルム4は、通常、接着剤層3を、所望の面積、形状を有する塗布層又は転写層として、剥離フィルム4上に形成することにより得ることができる。
【0023】
剥離フィルム4の厚さに対する切り込み5の切り込み深さの比率(100×切り込み5の切り込み深さ/剥離フィルム4の厚さ)は、切り込み深さが25μm以下であれば、特に制限されない。剥離フィルム4の厚さに対する切り込み5の切り込み深さの比率は、剥離フィルム4の厚さにもよるが、65%以下が好ましく、61%以下がより好ましく、45%以下がさらに好ましく、35%以下がさらに好ましく、30%以下がさらに好ましく、25%以下がさらに好ましく、20%以下がさらに好ましく、15%以下がさらに好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
【0024】
本実施形態において、剥離フィルム4の接着剤層3と反対側の面には、支持テープ6が2カ所に配されている。本実施形態では、支持テープ6が配されているが、支持テープ6は配されていなくてもよい。本発明の別の好ましい実施形態は、支持テープ6が配されていない形態である。支持テープ6が配されていると、支持テープ6と剥離フィルム4とが積層された部分は支持テープ6が形成されていない剥離フィルム4のみの部分に比較して厚くなる。このような積層された部分において、切り込み5が形成されると、貼り付け不良が生じやすくなる場合がある。
【0025】
本発明の半導体加工用テープ1は、ダイシングフィルム2及び接着剤層3の積層体を長尺の剥離フィルム4上に複数有する形態とすることもでき、ダイシングフィルム2及び接着剤層3の積層体を1つ剥離フィルム4上に有する形態とすることもできる。本発明の半導体加工用テープ1が長尺である場合には、通常、ロール状に巻き取られた状態で供給される。例えば、図2(A)においては、ダイシングフィルム2及び接着剤層3の積層体が剥離フィルム4上に2つ形成されている。
【0026】
本発明の半導体加工用テープ1を構成する各部材についてより詳細に説明する。
【0027】
<ダイシングフィルム2>
本発明の半導体加工用テープ1を構成するダイシングフィルム2は、基材21と粘着剤層22とを有する。
【0028】
-基材21-
基材21は種々の樹脂材料で構成することができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂及びポリ塩化ビニル樹脂から選択される樹脂材料で構成されたものが好ましい。これらの樹脂材料は架橋構造を有することも好ましい。架橋構造の形成に寄与する結合は共有結合でもよく、イオン性相互作用に基づく結合でもよく、水素結合であってもよい。
【0029】
上記ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体など)、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのα-オレフィンの単独重合体または共重合体の樹脂あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0030】
特に、金属イオンによる凝集力を利用し高分子を凝集体とした合成樹脂であるアイオノマー樹脂が好ましく、例えば、エチレン-(メタ)アクリル酸2元共重合体またはエチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体を、金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂が、例示される。これらは、均一拡張性の面でエキスパンド工程に適する。上記アイオノマー樹脂に含まれる金属イオンは特に限定されないが、亜鉛イオン、ナトリウムイオン等が挙げられる。亜鉛イオンは溶出性が低く低汚染性の面から好ましい。
一般に、アイオノマー樹脂は、金属イオンのない樹脂と比較して引っ張りに対する復元力が大きく、エキスパンド工程後の引き伸ばされた状態に熱を加えた際の収縮応力が大きい。したがって、アイオノマー樹脂は、エキスパンド工程後にテープに生じた弛みを加熱収縮によって除去し、テープを緊張させて個々の半導体チップ間の間隔を安定に保持するヒートシュリンク工程を実施できる点で好ましい。
【0031】
また、上記アイオノマー樹脂の他に、比重0.910以上0.930未満の低密度ポリエチレン、比重0.910未満の超低密度ポリエチレン、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体から選ばれる樹脂を架橋させた熱可塑性架橋樹脂も好適である。
架橋の方法としては、上記樹脂に対して、電子線等のエネルギー線を照射する方法が挙げられる。このような熱可塑性架橋樹脂は、架橋部位と非架橋部位が樹脂中に共存していることから、一定の均一拡張性を有する。また、このような熱可塑性架橋樹脂は、分子鎖の構成中に塩素原子をほとんど含まないので、使用後に不要となったテープを焼却処分しても、ダイオキシンやその類縁体といった塩素化芳香族炭化水素を発生せず、環境負荷も小さい。上記ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体に対して照射するエネルギー線の量を適宜に調製することで、十分な均一拡張性を有する樹脂を得ることができる。
【0032】
基材21は、単層でもよく、複数層であってもよい。
基材21を構成する樹脂材料は、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のアイオノマー樹脂であることが好ましく、エチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸アルキルエステル3元共重合体のアイオノマー樹脂であることがより好ましい。
【0033】
基材21の厚さとしては、特に制限はなく、厚さ50~200μmが好ましく、60~160μmがより好ましく、70~150μmがさらに好ましい。基材21の厚さは、接着剤層3の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0034】
-粘着剤層22-
粘着剤層22は、ダイシング工程において接着剤層3及びリングフレームRとの剥離を生じない程度の保持性及びピックアップ時において接着剤層3との剥離が可能である特性を有するものであれば、特に限定されない。
粘着剤層22を構成する粘着剤は、上記特性を示すものであれば特に限定されず、ダイシングフィルム用途に用いられる一般的な粘着剤、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等を適宜に用いることができる。なかでも、エネルギー線硬化性の粘着剤が好ましい。エネルギー線硬化性粘着剤であれば、ピックアップ工程前に硬化させることにより、ピックアップが容易になる。ここで、エネルギー線とは、紫外線のような光線、または電子線などの電離性放射線をいう。
粘着剤層22を構成する粘着剤としては、ダイシングフィルムの粘着剤として使用されている通常の粘着剤を特に制限なく使用することができる。粘着剤の成分、特性、製造方法としては、例えば、日本国特許第6928852号公報の段落[0039]~[0076]、日本国特許第6989561号公報の段落[0033]~[0052]の記載、特開2023-13022号公報の段落[0031]~[0057]の記載等を参照することができる。
【0035】
粘着剤層22を構成する粘着剤は、(メタ)アクリル樹脂をベースポリマーとして含有するアクリル系粘着剤等が好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸の少なくともいずれかを構成成分として含むアクリル系粘着剤がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、さらに側鎖に放射線硬化性基が導入されていることが好ましく、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルが付加されていることがさらに好ましい。粘着剤は、さらに放射線硬化性のオリゴマーを含有していてもよく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等を含有していてもよい。
【0036】
粘着剤層22は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、粘着剤層22は、光重合開始剤を含有していてもよい。
【0037】
粘着剤層22の厚さとしては、特に制限はないが、厚さ2~35μmが好ましく、5~30μmがより好ましく、5~20μmがさらに好ましい。
粘着剤層22の厚さは、接触・リニアゲージ方式(卓上型接触式厚み計測装置)により測定することができる。
【0038】
<接着剤層3>
接着剤層3は、ダイシング後のピックアップ時において粘着剤層22との剥離が可能である特性を有し、半導体チップを被着体に固定する際の接着剤として作用するものであれば、特に限定されない。
接着剤層3を構成する接着剤は、エポキシ樹脂及び高分子成分を含有することが好ましく、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂、又は、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を含有することがより好ましく、エポキシ樹脂及びフェノキシ樹脂を含有することがさらに好ましい。
接着剤は、充填材を含有することができる。
接着剤は、通常は硬化剤を含有する。
本発明の半導体加工用テープ1において、接着剤層3を構成する接着剤は硬化前の状態、すなわちBステージの状態にある。
本発明の好ましい態様において、接着剤は、エポキシ樹脂、高分子成分、充填材、及び硬化剤を含むことが好ましい。各成分について説明する。
【0039】
-エポキシ樹脂-
上記エポキシ樹脂は、エポキシ基を持つ熱硬化型の樹脂であり、エポキシ当量は1000g/eq以下である。エポキシ樹脂は液体、固体又は半固体のいずれであってもよい。本発明において液体とは、軟化点が25℃未満であることをいい、固体とは、軟化点が60℃以上であることをいい、半固体とは、軟化点が上記液体の軟化点と固体の軟化点との間(25℃以上60℃未満)にあることをいう。本発明で使用するエポキシ樹脂としては、好適な温度範囲(例えば60~120℃)で低溶融粘度に到達することができる接着剤を得る観点から、軟化点が100℃以下であることが好ましい。なお、本発明において、軟化点とは、軟化点試験(環球式)法(測定条件:JIS-K7234 1986年に準拠)により測定した値である。
【0040】
本発明で使用するエポキシ樹脂において、熱硬化体の架橋密度を高める観点から、エポキシ当量は150~800g/eqであることが好ましい。なお、本発明において、エポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数(g/eq)をいう。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、通常、10000未満が好ましく、5000以下がより好ましい。下限値に特に制限はないが、300以上が実際的である。
重量平均分子量は、GPC〔ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)〕分析による値である。
【0041】
エポキシ樹脂の骨格としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、クレゾールノボラック型、ジシクロペンタジエン型、ビフェニル型、フルオレンビスフェノール型、トリアジン型、ナフトール型、ナフタレンジオール型、トリフェニルメタン型、テトラフェニル型、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、及びトリメチロールメタン型等が挙げられる。このうち、樹脂の結晶性が低く、良好な外観を有する接着剤を得る観点から、トリフェニルメタン型、ビスフェノールA型、クレゾールノボラック型、又はオルソクレゾールノボラック型が好ましい。これらは1種を単独で用いても、もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型の組合せが好ましい。
【0042】
エポキシ樹脂の含有量は、接着剤を構成する成分(具体的には、溶媒以外の成分、すなわち固形分)の総含有量100質量部中、25~80質量部が好ましく、30~80質量部がより好ましく、30~70質量部がさらに好ましく、30~60質量部がさらに好ましい。含有量を上記好ましい範囲内とすることにより、保存安定性及び透明性を高めることができる。また、上記好ましい上限値以下とすることにより、オリゴマー成分の生成を抑え、少しの温度変化ではフィルム状態(フィルムタック性等)の変化を生じにくくすることができる。
エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂と高分子成分の総含有量100質量部中、30~70質量部が好ましく、40~65質量部がより好ましい。
【0043】
-高分子成分-
上記高分子成分としては、接着剤層3を形成した際に、常温(25℃)でのフィルムタック性(少しの温度変化でもフィルム状態が変化しやすい性質)を抑制し、十分な接着性及び造膜性(フィルム形成性)を付与する成分であればよい。天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6-ナイロンや6,6-ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの高分子成分は単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。高分子成分としては、フェノキシ樹脂、及びポリウレタン樹脂の少なくとも一種が好ましい。
【0044】
高分子成分の重量平均分子量は、10000以上である。上限値に特に制限はないが、5000000以下が実際的である。
上記高分子成分の重量平均分子量は、GPC〔ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)〕によるポリスチレン換算で求めた値である。以降、具体的な高分子成分の重量平均分子量の値も同義である。
また、上記高分子成分のガラス転移温度(Tg)は、100℃未満が好ましく、90℃未満がより好ましい。下限は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
上記高分子成分のガラス転移温度は、昇温速度0.1℃/分でDSC(示差走査熱量計)により測定されたガラス転移温度である。以降、具体的な高分子成分のガラス転移温度の値も同義である。
なお、本発明においてエポキシ樹脂と高分子成分のうちフェノキシ樹脂等のエポキシ基を有し得る樹脂とは、エポキシ当量が1000g/eq以下である樹脂がエポキシ樹脂に、エポキシ当量が1000g/eqを越えるものが高分子成分に、それぞれ分類される。
【0045】
(フェノキシ樹脂)
フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が類似していることから相溶性が良好な点で、高分子成分として好ましい。フェノキシ樹脂を含有すると、接着性にも優れた効果を発揮することができる。
フェノキシ樹脂は常法により得ることができる。例えば、フェノキシ樹脂は、ビスフェノールもしくはビフェノール化合物とエピクロルヒドリンのようなエピハロヒドリンとの反応、液状エポキシ樹脂とビスフェノールもしくはビフェノール化合物との反応で得ることができる。
【0046】
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、10000以上が好ましく、10000~100000がより好ましい。
また、フェノキシ樹脂中に僅かに残存するエポキシ基の量は、エポキシ当量で、5000g/eq以上が好ましい。
【0047】
フェノキシ樹脂のガラス転移温度(Tg)は、100℃未満が好ましく、90℃未満がより好ましい。下限は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。
【0048】
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂は、主鎖中にウレタン(カルバミド酸エステル)結合を持つ重合体である。ポリウレタン樹脂は、ポリオール由来の構成単位と、ポリイソシアネート由来の構成単位とを有し、さらにポリカルボン酸由来の構成単位を有していてもよい。ポリウレタン樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタン樹脂のTgは通常は100℃以下であり、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、45℃以下であることも好ましい。
【0049】
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は特に制限されず、通常は5000~500000の範囲内にあるものが用いられる。
【0050】
ポリウレタン樹脂は、常法により合成でき、また、市場から入手することもできる。ポリウレタン樹脂として適用できる市販品として、ダイナレオVA-9320M、ダイナレオVA-9310MF、ダイナレオVA-9303MF(いずれもトーヨーケム社製)などを挙げることができる。
【0051】
エポキシ樹脂100質量部に対する高分子成分の含有量は、1~250質量部が好ましく、10~180質量部がより好ましく、40~150質量部がさらに好ましい。含有量をこのような範囲とすることで、硬化前の接着剤の剛性と柔軟性を調整することができる。フィルム状態が良好(フィルムタック性が低減)となり、フィルム脆弱性も抑制することができる。
高分子成分の含有量は、エポキシ樹脂と高分子成分の総含有量100質量部中、30~70質量部が好ましく、40~70質量部がより好ましい。
【0052】
-硬化剤-
硬化剤として、例えば、アミン類、酸無水物類、及び多価フェノール類等が挙げられる。接着剤の保存安定性の観点からは、潜在性硬化剤を用いることが好ましい。潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド化合物、イミダゾール化合物、硬化触媒複合系多価フェノール化合物、ヒドラジド化合物、三弗化ホウ素-アミン錯体、アミンイミド化合物、ポリアミン塩、及びこれらの変性物やマイクロカプセル型のものを挙げることができ、これらは1種を単独で用いても、もしくは2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでもジシアンジアミド化合物、イミダゾール化合物、及びヒドラジド化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
潜在性硬化剤は、熱カチオン重合開始剤であってもよく、カチオン成分としてスルホニウムカチオンを、アニオン成分としてSbF 又はPF を有する熱カチオン重合開始剤がより好ましい。
【0053】
エポキシ樹脂100質量部に対する硬化剤の含有量は、十分な硬化速度を示し、かつ硬化後の透明性を確保する観点から、0.5~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましく、1~30質量部がさらに好ましく、1~10質量部がさらに好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。
【0054】
-充填材-
充填材は、半導体加工用テープの接着剤層に通常使用され得る充填材を特に制限なく用いることができる。充填材は、無機充填材であることが好ましい。
無機充填材としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン類等の種々の無機粉末が挙げられる。
充填材としてはシリカが好ましい。
【0055】
-その他の成分-
接着剤は、エポキシ樹脂、硬化剤、高分子成分、充填材の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、イオントラップ剤(イオン捕捉剤)、硬化触媒、粘度調整剤、酸化防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、硬化促進剤、及び着色剤等をさらに含有していてもよい。例えば、国際公開第2017/158994号のその他の添加物を含むことができる。
接着剤に含まれるエポキシ樹脂及び高分子成分の合計含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上とすることも好ましい。
【0056】
接着剤層3の厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜に設定することができる。接着剤層3の厚さは、例えば、1~200μmが好ましく、5~180μmがより好ましく、5~170μmがさらに好ましく、5~150μmがさらに好ましく、5~140μmが特に好ましい。接着剤層3の厚さは、10~100μmとでき、25~100μmとでき、25~80μmともでき、30~50μmともできる。
接着剤層3の厚さは、接触・リニアゲージ方式(卓上型接触式厚み計測装置)により測定することができる。
【0057】
<剥離フィルム4>
剥離フィルム4は、半導体加工用テープ1の製造時及び使用前の状態において支持体及び保護フィルムとして機能する。剥離フィルム4は、接着剤層3及びダイシングフィルム2を半導体ウエハ等の被着体に貼合する際には剥離され、露出した接着剤層3及びダイシングフィルム2に被着体が貼合される。
【0058】
剥離フィルム4の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系等のポリマーを挙げることができる。
剥離フィルム4は、離型処理されていることが好ましい。
剥離フィルム4は、離型処理されたポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0059】
剥離フィルム4の厚さは、特に限定されず、半導体加工用テープ1の使用条件等により、適宜選択可能である。剥離フィルム4の厚さは、例えば、25~200μmが挙げられる。剥離フィルム4の厚さは、25~150μmが好ましく、38~120μmがより好ましく、38~100μmがより好ましく、38~70μmがより好ましい。
【0060】
剥離フィルム4の形状は特に制限されず、例えば、矩形であり、好ましくは長尺の矩形である。
剥離フィルム4の幅方向の寸法は、特に限定されず、半導体ウエハの大きさ等、半導体加工用テープ1の使用条件等に応じて、適宜選択可能であり、例えば、20~70cmが挙げられる。
剥離フィルム4の長手方向の寸法は、特に限定されない。本発明の半導体加工用テープ1がダイシングフィルム2及び接着剤層3の積層体を1つ剥離フィルム4上に有する形態であれば、剥離フィルム4の長手方向の寸法は、例えば、20~70cmである。本発明の半導体加工用テープ1がダイシングフィルム2及び接着剤層3の積層体を長尺の剥離フィルム4上に複数有する形態であれば、剥離フィルム4の長手方向の寸法は、上記幅方向の寸法に対して十分に長ければよく、例えば、10~120mであり、10~50mとすることもできる。
【0061】
本発明の半導体加工用テープ1の好ましい形態においては、粘着剤層22と接着剤層3との剥離力は、0.02~5.0N/25mmが好ましく、0.03~4.0N/25mmがより好ましく、0.03~2.0N/25mmがより好ましく、0.03~1.0N/25mmがより好ましく、0.03~0.4N/25mmがより好ましく、0.03~0.3N/25mmがさらに好ましい。
剥離力は、以下のようにして測定することができる。
【0062】
-剥離力の測定方法-
1)サンプルの作製方法
半導体加工用テープから剥離フィルム4を剥離して接着剤層3を露出させ、接着剤面側を上にして作業台上に置く。
作業台上において、露出した接着剤面に支持用テープ(王子タック社製、PPテープ400包装用(商品名))を重さ2kgのゴムローラーを3往復させて貼合する。貼合が完了したら1時間放置する。
1時間経過後、カッターを用いて幅25mm×長さ約100mmのサイズに切り出して測定用サンプルを作成する。
2)測定方法
測定は、万能試験機(東洋精機製作所製、ストログラフVG1F(商品名))を用いたT字方向の引き剥がし法(JIS Z0237:2009に準拠)によって行う。23℃、300mm/minの速度で、上記測定用サンプルの粘着剤層22と接着剤層3とを剥離したときの、最大荷重を測定する。
測定は3回行い、平均値を剥離力(N/25mm)とする。
【0063】
<支持テープ6>
支持テープ6は、半導体加工用テープ1をロール状とした際に、積層体間に空間を形成して、痕付きを抑制する機能を有する。
本発明の半導体加工用テープ1は、支持テープ6が剥離フィルム4の接着剤層3とは反対側の面の幅方向両端に長手方向にわたって配されていてもよい。
支持テープ6は、半導体加工用テープ1において通常使用される支持テープを用いることができ、樹脂フィルム基材に粘接着剤を塗布した粘接着テープを好適に使用することができる。
【0064】
本発明の半導体加工用テープ1は、剥離フィルム4への切り込み深さを制御すること以外は、通常の半導体加工用テープと同様にして製造することができる。
例えば、離型処理したセパレータ上に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて乾燥することにより粘着剤層22を形成し、粘着剤層22と基材21とを貼り合わせることによって、基材21、粘着剤層22、セパレータが順に積層された積層体(ダイシングフィルム2とセパレータの積層体でもある)を得る。これとは別に、剥離フィルム4上に接着剤組成物を塗布し、必要に応じて乾燥して剥離フィルム4上に接着剤層3を有する接着フィルムを形成する。この接着フィルムにセパレータを貼り付けることにより、剥離フィルム4、接着剤層3、セパレータが順に積層された積層体を得る。次いで、これらの積層体からセパレータを剥がして、粘着剤層22を露出させたダイシングフィルム2と接着剤層3を露出させた接着フィルムとが接するように、かつ、接着剤層3のダイシングフィルム2側の面全体が粘着剤層22に接するようにして、ダイシングフィルム2と接着フィルムを貼り合わせることによって、基材21、粘着剤層22、接着剤層3、剥離フィルム4が順に積層された半導体加工用テープ1を得ることができる。
上記のダイシングフィルム2と接着フィルムとの貼り合わせは、加圧条件下で行うことが好ましい。
上記貼り合わせに先立って、接着剤層3は、所望の面積に形成される。
接着剤層3をプリカット加工により所望の面積とする場合には、プリカット加工の条件は、上述のとおりの切り込み深さとなるように設定される。プリカット加工後に、所望の形状とされた部分(半導体ウエハに対応した形状を有する部分)以外の接着剤層3は除去される。プリカット加工に用いる装置及び条件は、上述のとおりの切り込み深さとすること以外は、通常の装置及び条件とすることができる。
また、上述の通り、接着剤層3は接着剤を所望の形状に剥離フィルム4に塗布することにより、プリカット加工なしで所望の面積に形成してもよい。接着剤層3をプリカット加工なしで塗布のみにより形成する場合には、中外炉工業株式会社製のRSコータ(商品名)を用いることが好ましい。
また、接着剤層3は、所望の面積にセパレータ上でプリカット加工した後に、剥離フィルム4に転写して形成することもできる。
【0065】
ダイシングフィルム2は、所望の面積、形状に形成されることが好ましい。ダイシングフィルム2は、上記貼り合わせ後にプリカット加工されて所望の面積、形状とされることが好ましい。上記貼り合わせ前にプリカット加工されて所望の面積、形状とされた後に、接着剤層3と貼り合わせてもよい。ダイシングフィルム2をプリカット加工する場合には、プリカット加工の条件は、適宜設定することができる。
【0066】
本発明の半導体加工用テープ1の、構成部材の積層構造及び配置、構成部材の材質等については、剥離フィルム4における切り込み5に関する事項以外は目的に応じて通常の形態から選択することができ、例えば、国際公開第2019/230036号等を参考にすることができる。
【実施例
【0067】
本発明を、実施例及び比較例に基づき、より具体的に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
下記記載において、室温とは25℃を意味する。また、「MEK」はメチルエチルケトン、「PET」はポリエチレンテレフタレートである。
【0068】
各実施例及び比較例として、図1及び図2に示す半導体加工用テープ(ただし、支持テープ6のない形態)を調製した。
【0069】
<基材21a>
エチレン-メタクリル酸-(アクリル酸2-メチル-プロピル)3元共重合体-Zn++-アイオノマー樹脂である、ハイミランAM-7316(商品名、三井デュポンケミカル社製)を使用し、厚さ90μmのフィルムを作成した。このフィルムの片面にはコロナ処理を施した。このようにして、基材21aを得た。
【0070】
<粘着剤組成物22a>
アクリル系粘着剤(新中村化学工業株式会社製、商品名「AP-FE2503」)100質量部、硬化剤(綜研化学株式会社製、商品名「L-45E」)3.0質量部、ポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名「TKA-100」)9質量部を酢酸エチル中攪拌して溶解し、粘着剤組成物22aを調製した。
【0071】
<接着剤組成物3a>
エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名「1002」、ビスフェノールA型固体エポキシ樹脂)50質量部、エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製、商品名「806」、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂)100質量部、硬化剤(エボニックデグサ社製、商品名「Dyhard(登録商標)100SF」、ジシアンジアミド)5質量部、シリカフィラー(アドマファイン株式会社製、商品名「SO-C2」)150質量部、及び、シリカフィラー(日本アエロジル株式会社製、商品名「アエロジルR972」)5質量部からなる組成物にMEKを加え、攪拌混合し、均一な組成物とした。
これに、フェノキシ樹脂(Gabriel Phenoxies社製、商品名「PKHH」)100質量部、シランカップリング剤(信越シリコーン株式会社製、商品名「KBM-802」、メルカプトプロピルトリメトキシシラン)0.4質量部、並びに、硬化促進剤(四国化成工業株式会社製、商品名「キュアゾール2PHZ-PW」、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール)0.5質量部を加え、均一になるまで攪拌混合した。更にこれを100メッシュのフィルターでろ過し、真空脱泡することにより、接着剤組成物3aのワニスを得た。
【0072】
<実施例1>
離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなるセパレータS1(東洋紡エステルフィルム E7002(商品名)、東洋紡績株式会社製、幅:400mm)の片面全面に粘着剤組成物22aを乾燥後の厚さが15μmになるように塗工し、110℃で3分間乾燥させて粘着剤層を得た。得られた粘着剤層を上記基材21aと貼り合わせ、基材と粘着剤層とを有するセパレータS1付きのダイシングフィルムを作製した。
また、離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ100μm、幅:400mm)の片面に、接着剤組成物3aを、乾燥後の厚さが30μmになるように直径320mmの円形形状に100箇所、離間させて塗工し、110℃で5分間乾燥させた。このようにして、100個の円形の接着剤層を、剥離フィルム上に有する接着フィルムAを得た。この接着フィルムAの露出した接着剤層側の面に離型処理した長尺のポリエチレン-テレフタレートフィルムよりなるセパレータS2(東洋紡エステルフィルム E7002(商品名)、東洋紡績株式会社製、幅:400mm)を貼合した。
次に、ダイシングフィルムからセパレータS1を剥離し、接着フィルムAからセパレータS2を剥離し、露出した粘着剤層と接着剤層とを貼り合わせて、ダイシングフィルム-接着剤層-剥離フィルムの積層体(基材-粘着剤層-接着剤層-剥離フィルムの積層体)を得た。
その後、この積層体のダイシングフィルムを、押切刃を用いて、直径370mmの円形に、この円形の中心が接着剤層の円形の中心と同じになるように、また、この円形の外周と周辺部との隙間が3.5mmになるように、100箇所で打ち抜いた。隙間部分のダイシングフィルムは剥離除去した。
このようにして、実施例1の半導体加工用テープを作製した。
この半導体加工用テープにおいて、ダイシングフィルムと粘着剤層とは、その平面形状の中心が重なる状態で積層されている。
この半導体加工用テープの粘着剤層と接着剤層との剥離力は0.03N/25mmであった。
【0073】
<実施例2>
実施例1において、接着フィルムAに代えて、以下のように作製した接着フィルムBを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の半導体加工用テープを作製した。
(接着フィルムBの作製)
離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ100μm、幅:400mm)の片面全面に、接着剤組成物3aを、乾燥後の厚さが30μmになるように塗工し、110℃で5分間乾燥させて、剥離フィルム上と接着剤層との積層体を形成した。このようにして得られた積層体の接着剤層を、押切刃を用いて直径320mmの円形形状に100箇所で打ち抜いた。打ち抜きは、積層体の接着剤層側から行い、剥離フィルムへの切込み深さが10μmとなるように行った。打ち抜き後に、接着剤層の円形部の以外の部分を剥離フィルムから剥離し取り除いた。このようにして、100個の円形の接着剤層を、剥離フィルム上に有する接着フィルムBを得た。
【0074】
<実施例3>
実施例2において、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを20μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3の半導体加工用テープを作製した。
【0075】
<実施例4>
実施例2において、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを25μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例4の半導体加工用テープを作製した。
【0076】
<比較例1>
実施例2において、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを30μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例1の半導体加工用テープを作製した。
【0077】
<比較例2>
実施例2において、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを35μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の半導体加工用テープを作製した。
【0078】
<比較例3>
実施例2において、接着フィルム作製時の剥離フィルムを厚さ38μmの離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ38μm、幅:400mm)とし、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを30μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例3の半導体加工用テープを作製した。
【0079】
<比較例4>
実施例2において、接着フィルム作製時の剥離フィルムを厚さ50μmの離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ50μm、幅:400mm)とし、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを30μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例4の半導体加工用テープを作製した。
【0080】
<比較例5>
実施例2において、接着フィルム作製時の剥離フィルムを厚さ50μmの離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ50μm、幅:400mm)とし、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを35μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例5の半導体加工用テープを作製した。
【0081】
<比較例6>
実施例2において、接着フィルム作製時の剥離フィルムを厚さ38μmの離型処理した長尺のポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる剥離フィルム(東洋紡エステルフィルム E7004(商品名)、東洋紡績株式会社製、厚さ38μm、幅:400mm)とし、接着剤層打ち抜き時の剥離フィルムへの切り込み深さを35μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例6の半導体加工用テープを作製した。
【0082】
<ラベル剥がれ発生率>
実施例及び比較例の半導体加工用テープを半導体ウエハに貼合して、貼合時の不具合の発生について観察した。
上記の貼合には、テープ貼り付け装置としてウエハマウンター(Disco社製、商品名:DFM2700)を用いた。半導体ウエハは、厚さ100μm、直径300mmの半導体ウエハとした。リングフレームは、Disco社製のDTF2-12を用いた。
実施例及び比較例の半導体加工用テープを上記ウエハマウンターにセットし、図3(A)~(D)に示すように、実施例及び比較例の半導体加工用テープから剥離フィルムを剥離しながら、露出した接着剤層とダイシングフィルムとの積層体を、半導体ウエハ及びリングフレームに貼合した。この操作を各実施例及び比較例の各半導体加工用テープについて100回実施した(各半導体加工用テープにつき100枚の半導体ウエハとの貼合を行った)。各半導体ウエハと接着剤層とダイシングフィルムの積層体との貼合の状態を目視で観察し、接着剤層から剥離フィルムを剥がすとき(図3(B))に、接着剤層が剥離フィルムに追従して粘着剤層から接着剤層が剥がれたり、接着剤層がシワになるなどの不具合が出た場合を「ラベル剥がれ」とし、ラベル剥がれ発生率(ラベル剥がれした半導体ウエハの数/100個×100(%))を求めた。
【0083】
【表1】
【0084】
比較例1~6の半導体加工用テープは、いずれも、接着剤層のプリカット加工に伴う30μm以上の切り込み深さの切り込みを有する剥離フィルムを備える。比較例1~6の半導体加工用テープは、いずれも、半導体ウエハのへの貼合の際にラベル剥がれの発生率が14%以上となり、貼り付け不良が生じやすかった。剥離がしやすくラベル剥がれがより生じにくい、薄い剥離フィルムを備える比較例3~6の半導体加工用テープであっても、その傾向は変わらなかった。
これに対し、実施例1の半導体加工用テープは、接着剤層が塗布により形成されたことにより、切り込みを有しない剥離フィルムを備える。また、実施例2~4の半導体加工用テープは、接着剤層のプリカット加工に伴う切り込みの深さが25μm以下に制御された剥離フィルムを備える。実施例1~4の半導体加工用テープは、いずれも、半導体ウエハへの貼合の際にラベル剥がれの発生率が12%以下であり、貼り付け不良が抑制されていた。切り込み深さを浅くしたことにより、剥離フィルムへの接着剤層の噛みこみが抑制されていることが、貼り付け不良が抑制できた一因と考えられる。本発明の半導体加工用テープを用いれば、貼り付け不良を抑制して、効率よく、半導体ウエハへの貼り付けを行うことができることがわかる。
【符号の説明】
【0085】
1 半導体加工用テープ
2 ダイシングフィルム
21 基材
22 粘着剤層
3 接着剤層
4 剥離フィルム
5 切り込み
6 支持テープ
R リングフレーム
W 半導体ウエハ
100 ステージ
t ベロ出し治具
r 貼合ロール
【要約】      (修正有)
【課題】半導体ウエハ及びリングフレームへの貼り付けの際に、貼り付け不良の生じにくい、半導体加工用テープを提供する。
【解決手段】基材21と基材21に接する粘着剤層22との積層体からなるダイシングフィルム2と、粘着剤層22に接する接着剤層3と、接着剤層3に接する剥離フィルム4と、を有する積層構造を有する半導体加工用テープ1であって、ダイシングフィルム2の面積が接着剤層3の面積よりも大きく、接着剤層3のダイシングフィルム2側の面全体がダイシングフィルム2に接し、かつ、剥離フィルム4の面積が接着剤層3の面積よりも大きく、接着剤層3の剥離フィルム4側の面全体が剥離フィルム4に接し、剥離フィルム4は接着剤層3のプリカット加工に伴う接着剤層3の周囲に沿った切り込み5を有さないか又は切り込みを有する場合は該切り込みの深さが25μm以下である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4