(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】粉塵除去判断装置、粉塵除去装置、及び粉塵除去判断方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/41 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
G01N27/41 325Z
G01N27/41 325P
(21)【出願番号】P 2023525220
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 JP2021020907
(87)【国際公開番号】W WO2022254588
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100164471
【氏名又は名称】岡野 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 航
(72)【発明者】
【氏名】内堀 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉村 勇祐
(72)【発明者】
【氏名】玉松 潤一郎
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-185614(JP,A)
【文献】中国実用新案第210442298(CN,U)
【文献】中国実用新案第212091327(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する測定値取得部と、
前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定する決定部と、
前記湿度が前記基準値未満であることを前記決定部
が決定
した場合に、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する信号生成部と
を備える、粉塵除去判断装置。
【請求項2】
前記決定部は、取得した複数の前記測定値の平均値を算出し、前記平均値が前記基準値未満かどうかを決定する、請求項1に記載の粉塵除去判断装置。
【請求項3】
前記決定部は、取得した複数の前記測定値のそれぞれについて前記基準値未満かどうかを決定し、前記基準値未満であった前記測定値の割合値を算出し、前記割合値が基準割合値以上かどうかを決定する、請求項1に記載の粉塵除去判断装置。
【請求項4】
構造物内の湿度の値を初期湿度値として取得し、前記初期湿度値の標準偏差値を算出し、前記標準偏差値が所定値未満かどうかに基づいて、前記汚れの除去の判断の可否を決定する判断可否決定部をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の粉塵除去判断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の粉塵除去判断装置と通信を行う粉塵除去装置であって、
前記酸素濃度測定装置は、前記酸素濃度測定装置への不純物の侵入を防止するフィルタ部を備え、
前記粉塵除去判断装置からの前記汚れの除去を指示する信号を取得する制御部と、
取得した前記信号に応じて、前記フィルタ部に振動を与えて前記フィルタ部上の粉塵の除去を行う振動部と
を備える、粉塵除去装置。
【請求項6】
酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する取得ステップと、
前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定する決定ステップと、
前記湿度が前記基準値未満であることを前記決定ステップ
が決定
した場合に、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する生成ステップと
を含む、粉塵除去判断方法。
【請求項7】
前記決定ステップは、取得した複数の前記測定値の平均値を算出し、前記平均値が前記基準値未満かどうかを決定する、請求項6に記載の粉塵除去判断方法。
【請求項8】
前記決定ステップは、取得した複数の前記測定値のそれぞれについて前記基準値未満かどうかを決定し、前記基準値未満であった前記測定値の割合値を算出し、前記割合値が基準割合値以上かどうかを決定する、請求項6に記載の粉塵除去判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉塵除去判断装置、粉塵除去装置、及び粉塵除去判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、とう道等の構造物内の酸素濃度を測定する際、酸素濃度測定装置が実用されている。酸素濃度測定装置の一種として、ジルコニア式(限界電流方式)の酸素濃度測定装置が存在する。非特許文献1及び非特許文献2にあるように、ジルコニア式の酸素濃度測定装置は、ジルコニアを用いたセンサに外気を接触させ反応させることで酸素濃度を測定する。また、ジルコニア式の酸素濃度測定装置は、外気を装置内に吸入しセンサと反応させるような構造となっている。このため、粉塵等の不純物がセンサに付着してしまった場合、センサの気体拡散孔の構造が変化し、起こる反応が妨げられ、真の酸素濃度よりも低い値が出力されてしまう問題がある。その対処法として、外気がセンサに達する前に通過する吸入口にフィルタを設け、粉塵等の不純物がセンサに付着することを防ぎ、センサの劣化を防ぐ手法が採用されている。
【0003】
しかしながら、当該フィルタに粉塵等が付着し残存し続けると、酸素の吸入が妨げられ、酸素濃度を正確に測定することが困難となる。その対処法として、フィルタを交換する、工具を用いて人の手で清掃する対策が考えられるが、酸素濃度測定装置が大量に設置されている場合や、点検のために容易に手が届く範囲に設置されていない場合は、個々の酸素濃度測定装置を点検するためには膨大なコストが発生する。そこで、自動で粉塵等の汚れを除去可能な装置が望まれていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】中沢光博、他1名「限界電流式ジルコニア酸素センサの開発」、電気化学および工業物理化学 60(7)、pp.613-616、1992年
【文献】佐治啓市、他2名「限界電流式ジルコニア酸素センサの開発」、電気化学および工業物理化学 60(7)、pp.608-612、1992年
【文献】水野建樹、他1名「初冬の粉じん濃度と相対湿度との関係」、大気汚染学会誌 25(6)、pp.395-404、1990年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、当該装置が酸素濃度測定装置のように人命に関わる装置に搭載された場合、粉塵の付着による機能不全を確実に防がなければならないため、高頻度で当該装置を稼働しフィルタを掃除し続けることで安全性を維持する必要があった。しかし、そのような運用ではシステム全体の電気代の増加、高頻度利用による装置の短命化、交換サイクルの増加でシステムのランニングコストが増加してしまうこと等が懸念される。よって、酸素濃度測定装置に自動で粉塵を除去可能な装置を取り付ける場合、必要な時にその装置を稼働させることで運用コストを削減する判断方法が重要となる。
【0006】
効率的なシステムの稼働判断を行う指標として湿度と粉塵の挙動の関係に着目したものが挙げられる。非特許文献3に示すように、一般的に粉塵は高湿度環境において吸湿し、重さで落下することが知られている。
図14は、とう道内において、粉塵径10.0μmの粉塵量が湿度によってどのように変化するかを測定した結果であり、とう道における平均湿度と粉塵量の関係を示したグラフである。
図14を参照すると、平均湿度が40%から80%程度の地点における粉塵量は、最大約800,000個/m
3までの間で大きくばらついているのに対し、平均湿度が80%を越える地点においては、1つのサンプルを除き、すべての粉塵個数が約100,000個/m
3以下と比較的小さいことがわかる。よって、ある程度高湿度の状態が継続している場所は粉塵の存在量が少なくなる確率が高いことがわかる。よって高湿度状態では、粉塵の酸素濃度測定装置のフィルタへの付着は起きにくく、乾燥状態が継続した際に粉塵量が増加しフィルタへの付着確率が高まると考えられるため、そのような判断基準に基づき粉塵が付着しやすいタイミングでシステムを稼働させることが効率的な運用方法として考えられる。
【0007】
このように、構造物内の湿度と粉塵との関係を考慮して、酸素濃度測定装置の保護フィルタの汚れに起因する、酸素濃度測定装置の機能不全を防止する技術の改善が望まれていた。
【0008】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、酸素濃度測定装置の保護フィルタの汚れに起因する、酸素濃度測定装置の機能不全を防止する技術を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る粉塵除去判断装置は、酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する測定値取得部と、前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定する決定部と、前記決定部の決定に応じて、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する信号生成部とを備える。
【0010】
また、本開示に係る粉塵除去装置は、本開示に係る粉塵除去判断装置と通信を行う粉塵除去装置であって、前記酸素濃度測定装置は、前記酸素濃度測定装置への不純物の侵入を防止するフィルタ部を備え、前記粉塵除去判断装置からの前記汚れの除去を指示する信号を取得する制御部と、取得した前記信号に応じて、前記フィルタ部に振動を与えて前記フィルタ部上の粉塵の除去を行う振動部とを備える。
【0011】
また、本開示に係る粉塵除去判断方法は、酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する取得ステップと、前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定する決定ステップと、前記決定ステップの決定に応じて、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する生成ステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、酸素濃度測定装置の保護フィルタの汚れに起因する、酸素濃度測定装置の機能不全を防止する技術を改善する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るシステムを説明するための図である。
【
図2】本開示に係るとう道と、当該とう道に設けられた湿度測定装置、粉塵除去装置、及び酸素濃度測定装置とを説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係る湿度測定装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る粉塵除去判断装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図6】第1実施形態に係るシステムの動作を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係るシステムの動作を示す図である。
【
図8】変形例1に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図9】変形例2に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図10】変形例3に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図11A】変形例4に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図11B】変形例4に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図12】変形例5に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図13A】変形例6に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図13B】変形例6に係る粉塵除去装置を説明するための図である。
【
図14】とう道における平均湿度と粉塵量の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本開示の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における「上」、「下」とは、図面に描かれた座標軸表示のZ軸に平行な方向を意味するものとし、「水平」とは、図面に描かれた座標軸表示のXY平面に平行な方向を意味するものとする。各図面中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。以下に説明する実施形態は本開示の構成の例であり、本開示は、以下の実施形態に制限されるものではない。
【0015】
<システム1の構成>
図1を参照して、本実施形態に係るシステム1の構成の一例について説明する。
図1に示すように、システム1は、粉塵除去判断装置10と、湿度測定装置20と、粉塵除去装置30と、酸素濃度測定装置40とを備える。システム1は、ジルコニア式(限界電流方式)の酸素濃度測定装置の空気吸入口であるフィルタ部に粉塵等の不純物が付着、残存している場合、これを自動で取り除くことを可能にするシステムである。
【0016】
粉塵除去判断装置10と、湿度測定装置20と、粉塵除去装置30とは、互いに、有線または無線により通信可能に接続されていてよい。各装置間で情報を送受信するための通信方法は、特に限定されない。また、各装置は一体的に構成されていてもよい。
【0017】
湿度測定装置20は、構造物内の湿度を測定する。構造物は、本実施形態ではとう道をいう。とう道とは、通信ケーブル敷設用の地下トンネルである。これに限られず、構造物は例えば、ガス管又は送電線等の敷設用のトンネル、又はマンホール等を含む。
【0018】
図2は、とう道を簡略化して示す図である。とう道の上部から下部までのZ軸方向の高さ、及びX軸方向の幅は、例えば約3メートルである。Y軸方向はとう道の奥行方向である、とう道は、
図2に示すように円形の断面形状の他、矩形の断面形状を有していてもよい。とう道内には、作業のため人が入ることができる。湿度測定装置20は、
図2に示すようにとう道の側壁面に取り付けられてよい。湿度測定装置20は、酸素濃度測定装置40の近傍に設けられる。近傍とは例えば酸素濃度測定装置40の半径1メートル以内の位置に設けられる。湿度測定装置20は以下に説明するように、粉塵除去判断装置10に測定した湿度の値を送信できる。
【0019】
粉塵除去装置30は、酸素濃度測定装置40に組み合わせて一体的に構成されてもよいし、既存の酸素濃度測定装置40に付加できる構成であってもよい。粉塵除去装置30は酸素濃度測定装置40に組み合わせた状態で、
図2に示すようにとう道の側壁面に取り付けられてよい。粉塵除去装置30は、以下に説明するように、粉塵除去判断装置10の指示に応じて酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に付着した粉塵を除去する。
【0020】
酸素濃度測定装置40は、例えばジルコニア式の酸素濃度測定装置である。ジルコニア式の酸素濃度測定装置については既知であるため詳しい説明を省略する。酸素濃度測定装置40は、とう道内の空気の酸素濃度を測定する酸素濃度センサ41と、空気を酸素濃度測定装置40内に取り込んで当該酸素濃度センサ41を反応させるための吸入口42と、当該吸入口42に設けられたフィルタ部43とを備える。酸素濃度測定装置40は、粉塵除去装置30と組み合わせた状態で、
図2に示すようにとう道の側壁面に取り付けられてよい。
【0021】
酸素濃度測定装置40は、とう道等の構造物内に設けられて構造物内の酸素濃度を測定する。酸素濃度測定装置40は例えば地上1mの高さに位置する。本実施形態では、酸素濃度センサ41が酸素濃度測定装置40の側部に設けられ、フィルタ部43は酸素濃度測定装置40の外側側面からX軸方向に沿ってとう道内に突出する。これに限られず、酸素濃度センサ41が酸素濃度測定装置40の上部に設けられ、フィルタ部43が酸素濃度測定装置40の外側上面からZ軸方向に沿って突出していてもよい。
【0022】
フィルタ部43は、酸素濃度測定装置40への水や粉塵等の不純物の侵入を防止する。これにより、不純物が、酸素濃度測定装置40内の酸素濃度センサ41に接触して酸素濃度センサ41が劣化してしまうことを防ぐことができる。フィルタ部43は、例えば金属製であってよい。フィルタ部43は、本実施形態では底面が円形のドーム状であるが、これに限られず、底面が矩形形状の柱体形状であってもよい。
【0023】
粉塵除去判断装置10は、構造物内または構造物を管理する外部施設内に設けられてもよい。粉塵除去判断装置10は、湿度測定装置20が測定したとう道内の湿度の測定値を取得し、当該測定値を用いて湿度が基準値未満かどうかを決定する。粉塵除去判断装置10は、当該決定に応じて、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成し、当該信号を粉塵除去装置30に送信する。
【0024】
粉塵除去判断装置10からの信号に応じて、粉塵除去装置30は、以下に説明するように、酸素濃度測定装置40の汚れを除去する。具体的には、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に振動を加えてフィルタ部43に付着した粉塵を除去する。これにより、酸素濃度測定装置40の機能不全を防ぎ、酸素濃度を常時測定できるようになる。酸素濃度測定装置40が常に正常に稼働することで、安全かつ継続的な構造物内での作業を実現できる。
【0025】
<湿度測定装置20の構成>
図3を参照して、本実施形態に係る湿度測定装置20の構成の一例について説明する。
図3に示すように、湿度測定装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25と、湿度センサ26とを備える。
【0026】
記憶部22は、1つ以上のメモリを含み、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリなどを含んでもよい。記憶部22に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、湿度測定装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部22は、必ずしも湿度測定装置20が内部に備える必要はなく、湿度測定装置20の外部に備える構成としてもよい。
【0027】
通信部23には、少なくとも1つの通信インタフェースが含まれる。通信インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部23は、湿度測定装置20の動作に用いられる情報を受信し、また湿度測定装置20の動作によって得られる情報を送信する。
【0028】
通信部23は、湿度測定装置20がネットワークを介して他の装置と情報の送受信を行うことを可能にする。ネットワークとは、インターネット、少なくとも1つのWAN(Wide Area Network)、少なくとも1つのMAN(Metropolitan Area Network)、又はこれらの組み合わせを含む。ネットワークは、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN(Local Area Network)、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。
【0029】
入力部24には、少なくとも1つの入力用インタフェースが含まれる。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部24は、湿度測定装置20の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付ける。入力部24は、湿度測定装置20に備えられる代わりに、外部の入力機器として湿度測定装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。
【0030】
出力部25には、少なくとも1つの出力用インタフェースが含まれる。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。出力部25は、湿度測定装置20の動作によって得られる情報を出力する。出力部25は、湿度測定装置20に備えられる代わりに、外部の出力機器として湿度測定装置20に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。
【0031】
湿度センサ26は、絶対湿度計又は相対湿度計から構成される。湿度センサ26は、とう道内の空気の湿度値xiを、t秒おきにn回測定できる。ここでtとnは予め設定可能な値であり、tの値は例えば60秒である。とう道内は風速訳0.3m/sで空気が循環しているため、湿度センサ26の周辺の空気が完全に入れ替わるようにtを設定すれば、湿度測定装置20の近傍、すなわち酸素濃度測定装置40の近傍の一定空間の湿度の値を把握することができる。湿度センサ26は、t秒おきにn回測定した湿度の値を測定値として制御部21に出力する。
【0032】
制御部21は、制御演算回路(コントローラ)により実現される。該制御演算回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。制御部21は、湿度測定装置20の各部を制御しながら、湿度測定装置20の動作に関わる処理を実行する。制御部21は、外部装置との情報の送受信を、通信部23及びネットワークを介して行うことができる。
【0033】
制御部21は、湿度センサ26が出力した測定値を示す情報を、通信部23を介して粉塵除去判断装置10に送信する。測定値を示す情報の送信は、常時行われてよい。
【0034】
<粉塵除去判断装置10の構成>
図4を参照して、本実施形態に係る粉塵除去判断装置10の構成の一例について説明する。
図4に示すように、粉塵除去判断装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、出力部15と、を備える。
【0035】
記憶部12は、1つ以上のメモリを含み、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリなどを含んでもよい。記憶部12に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、粉塵除去判断装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部12は、必ずしも粉塵除去判断装置10が内部に備える必要はなく、粉塵除去判断装置10の外部に備える構成としてもよい。
【0036】
通信部13には、少なくとも1つの通信インタフェースが含まれる。通信インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部13は、粉塵除去判断装置10の動作に用いられる情報を受信し、また粉塵除去判断装置10の動作によって得られる情報を送信する。
【0037】
通信部13は、粉塵除去判断装置10がネットワークを介して他の装置と情報の送受信を行うことを可能にする。ネットワークとは、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの組み合わせを含む。ネットワークは、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。
【0038】
入力部14には、少なくとも1つの入力用インタフェースが含まれる。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部14は、粉塵除去判断装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付ける。入力部14は、粉塵除去判断装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として粉塵除去判断装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。
【0039】
出力部15には、少なくとも1つの出力用インタフェースが含まれる。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部15は、粉塵除去判断装置10の動作によって得られる情報を出力する。出力部15は、粉塵除去判断装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として粉塵除去判断装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の任意の方式を用いることができる。
【0040】
制御部11は、制御演算回路(コントローラ)により実現される。該制御演算回路は、ASIC、FPGA等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。制御部11は、粉塵除去判断装置10の各部を制御しながら、粉塵除去判断装置10の動作に関わる処理を実行する。制御部11は、外部装置との情報の送受信を、通信部13及びネットワークを介して行うことができる。制御部11は、通信部13を介して湿度測定装置20からの湿度の測定値を示す情報を受信する。
【0041】
制御部11は、判断可否決定部111と、測定値取得部112と、決定部113と、信号生成部114とを備える。
【0042】
判断可否決定部111は、構造物内の湿度の測定値を初期湿度値xiとして取得し、初期湿度値xiの標準偏差値Sを算出する。本実施形態では、構造物はとう道である。具体的には判断可否決定部111は、湿度測定装置20がt秒おきにn回測定した測定値を初期湿度値xiとして取得する。判断可否決定部111は、以下の式(1)を用いて取得した初期湿度値xiの標準偏差値Sを求める。
【0043】
【数1】
ここでnは湿度が測定された回数であり、任意に設定できてよい。xバーはn回測定された初期湿度値x
iの平均値である。当該式から、判断可否決定部111は、取得した初期湿度値x
iの標準偏差値Sを算出できる。
【0044】
判断可否決定部111は、標準偏差値Sの値が予め設定した所定値α未満かどうかを判断する。αの値は任意に設定されてよい。標準偏差値Sの値が所定値α未満であるときは、取得した初期湿度値xiにばらつきが生じておらず、湿度が正しく測定されたと判断できる。よって、判断可否決定部111は構造物内の環境が粉塵除去判断に適した状況であると判断する。この場合、粉塵除去判断装置10の動作は次に測定値取得部112による処理へと進む。一方、標準偏差値Sの値が所定値α以上であるときは、初期湿度値xiにばらつきが生じており、湿度が正しく測定されていないと判断できる。すなわち、判断可否決定部111は、とう道内の環境が粉塵除去判断に適した状況ではないと判断できる。この場合、制御部11は湿度測定装置20から再度、湿度の測定値を示す情報を受信する。
【0045】
判断可否決定部111は、構造物内の環境が粉塵除去判断に適した状況ではないと判断したこととその理由とを示す情報を、ユーザに対し通知できてもよい。出力は、出力部15を介してユーザに対し直接行ってもよいし、通信部13を介して、ユーザが所持する端末装置に当該情報を送信し、当該情報を受信した端末装置がユーザに対し画像又は音声等で通知できてもよい。
【0046】
粉塵除去判断に適した状況ではないと判断した理由の例として、以下の理由が挙げられる。
【0047】
まず、湿度測定装置20が故障している場合があげられる。この場合、判断可否決定部111は、ユーザに対し湿度測定装置20の修理を促す情報を通知できてもよい。湿度測定装置20が故障したことの検出は任意の手法により行われてよく、例えば粉塵除去判断装置10が、通信部13を介して、湿度測定装置20から湿度測定装置20の稼働状況を示す情報を受信することで行われてもよい。
【0048】
他の理由として、換気装置が作動してとう道内の換気が行われている場合があげられる。この場合、判断可否決定部111は、換気装置が停止したことを検出して、とう道内の空気が定常状態に戻るまでの所定の時間の経過後、再度の初期湿度値xiを取得して標準偏差値Sを算出してもよい。換気装置が作動したこと、及び停止したことの検出は任意の手法により行われてよく、例えば粉塵除去判断装置10が、通信部13を介して、換気装置から換気装置の稼働状況を示す情報を受信することで行われてもよい。
【0049】
他の理由として、とう道内の空気が定常状態ではない場合があげられる。これは例えば、作業者が湿度測定装置20の近傍で工事等の作業を行っているため、空気の流れが変わっていることによる。この場合、作業者が動くことで粉塵が空間中に舞っている可能性がある。よって判断可否決定部111は、工事等の作業が終了したことを検出し、以下に説明する信号生成部114の処理を次に行ってもよい。作業が終了したことの検出は任意に手法により行われてよく、例えば入力部14を介して作業者の入力を受け付けることで行われてもよい。
【0050】
測定値取得部112は、酸素濃度測定装置40を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値yiを複数取得する。本実施形態では、構造物はとう道である。所定の時間とは例えば60秒であるが、これに限られず任意に設定されてよい。測定値取得部112は、判断可否決定部111が取得した初期湿度値xiを、測定値yiの一部又は全部として取得してもよい。測定値取得部112は、取得した複数の測定値yiを決定部113に出力する。
【0051】
決定部113は、測定値yiを用いて湿度が基準値β未満かどうかを決定する。具体的には、取得した複数の測定値yiの平均値Pを算出し、平均値Pが基準値β未満かどうかを決定する。基準値βの値は任意に設定されてよく、例えば80%の値である。
【0052】
より具体的には、決定部113は、測定値yiを取得した回数がk回以上になったとき、第k-a回目から第k回目までに係る測定値yk-aからykを用いて、以下の式(2)に従って平均値Pk-a,kを算出する。
【0053】
【数2】
ここでkは2以上の整数である。aは1以上の整数の値で、k>aである。aはサンプリング回数として任意に設定可能な値である。式(2)に従うと、例えば、サンプリング回数としてaの値を4と設定した場合、第k回から4回分前の測定値y
k-4から、第k回の測定値y
kまでの平均値が算出される。
【0054】
次に決定部113は、算出した平均値Pk-a,kが基準値β未満かどうかを決定する。基準値β未満である場合、粉塵除去判断装置10の動作は次に信号生成部114による処理へと進む。基準値β以上である場合は、決定部113は最大試行回数mまでの間でkの値を増やす。その後、測定値取得部112により再度測定値yiが取得され、決定部113が再び測定値yiの平均値Pk-a,kを算出し、平均値Pk-a,kが基準値β未満かどうかを決定する。最大試行回数mの値とは、例えば、とう道内の換気を行う時刻が予め計画されている場合に、湿度測定装置20が当該時刻までに湿度の値を測定できる最大回数の値である。
【0055】
例えば、測定値取得部112が、測定値yiとして74%、81%、76%、80%、79%の値を順に取得し、決定部113に出力したとする。さらに、kの値が5と、aの値が4とそれぞれ設定されていたとする。また、基準値βは80%であるとする。
【0056】
この場合、決定部113はまず、測定値yiを取得した回数が5回になったとき、第5回から4回分前の測定値y5-4である74%の値から、第5回の測定値y5である79%の値までの平均を算出する。本例では、上記式(2)に従うと、(74+81+76+80+79)/5=78である。よって決定部113は平均値P5-4,5として湿度78%の値を算出する。当該値は基準値βの80%未満であるので、決定部113は算出した平均値P5-4,5が基準値β未満であることを決定する。そして、粉塵除去判断装置10の動作は次に信号生成部114による処理へと進む。
【0057】
このように、決定部113は、測定値yiを用いて湿度が基準値β未満かどうかを決定する。
【0058】
信号生成部114は、決定部113の決定に応じて、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。本実施形態では、決定部113が算出した平均値Pk-a,kが基準値β未満であることを決定した場合に、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。信号生成部114は、生成した信号を制御部11に出力する。
【0059】
制御部11は、通信部13を介して信号生成部114が生成した信号を粉塵除去装置30に送信する。
【0060】
<粉塵除去装置30の構成>
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る粉塵除去装置30の構成の一例について説明する。
図5に示すように、本実施形態では、粉塵除去装置30は酸素濃度測定装置40に組み合わせて一体的に構成される。粉塵除去装置30は、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、振動部34と、振動伝搬部35と、を備える。
【0061】
記憶部32は、1つ以上のメモリを含み、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリなどを含んでもよい。記憶部32に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部32は、粉塵除去装置30の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部32は、必ずしも粉塵除去装置30が内部に備える必要はなく、粉塵除去装置30の外部に備える構成としてもよい。
【0062】
通信部33には、少なくとも1つの通信インタフェースが含まれる。通信インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部33は、粉塵除去装置30の動作に用いられる情報を受信し、また粉塵除去装置30の動作によって得られる情報を送信する。
【0063】
通信部33は、粉塵除去装置30がネットワークを介して他の装置と情報の送受信を行うことを可能にする。ネットワークとは、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの組み合わせを含む。ネットワークは、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。
【0064】
制御部31は、制御演算回路(コントローラ)により実現される。該制御演算回路は、ASIC、FPGA等の専用のハードウェアによって構成されてもよいし、プロセッサによって構成されてもよいし、双方を含んで構成されてもよい。制御部31は、粉塵除去装置30の各部を制御しながら、粉塵除去装置30の動作に関わる処理を実行する。制御部31は、外部装置との情報の送受信を、通信部33及びネットワークを介して行うことができる。制御部31は、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得する。信号の取得は、通信部33を介して受信することで行ってよい。制御部31は、当該信号を取得すると、振動部34を制御して振動を発生させる。
【0065】
振動部34は、駆動部と、駆動部の軸部に取り付けられて当該軸部とともに回転する錘部材とを有する。駆動部が駆動することによって、錘部材が偏心回転し、振動が発生する。
【0066】
振動伝搬部35は、粉塵除去装置30から突出して、振動部34と酸素濃度測定装置40のフィルタ部43とを接続し、振動部34が発生させた振動を酸素濃度測定装置40に伝搬する。これにより、フィルタ部43が振動し、フィルタ部43に付着した粉塵が落ち、酸素濃度測定装置40の汚れが除去される。振動伝搬部35の材質は限定されないが、振動部34からの振動を減衰させない材質であることが望ましい。
【0067】
振動部34と振動伝搬部35とが設けられる位置は特に限定されないが、
図5に示すように、粉塵除去装置30の内部に設けられることが望ましい。これにより、高湿度等の環境要因により振動部34と振動伝搬部35とが劣化することを防ぐことができる。
【0068】
<プログラム>
上述した粉塵除去判断装置10又は粉塵除去装置30として機能させるために、プログラム命令を実行可能なコンピュータを用いることも可能である。ここで、コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)、電子ノートパッドなどであってもよい。プログラム命令は、必要なタスクを実行するためのプログラムコード、コードセグメントなどであってもよい。
【0069】
コンピュータは、プロセッサと、記憶部と、入力部と、出力部と、通信インタフェースとを備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、SoC(System on a Chip)等であり、同種又は異種の複数のプロセッサにより構成されてもよい。プロセッサは、記憶部からプログラムを読み出して実行することで、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。なお、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェアで実現することとしてもよい。入力部は、ユーザの入力操作を受け付けてユーザの操作に基づく情報を取得する入力インタフェースであり、ポインティングデバイス、キーボード、マウスなどである。出力部は、情報を出力する出力インタフェースであり、ディスプレイ、スピーカなどである。通信インタフェースは、外部の装置と通信するためのインタフェースである。
【0070】
プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。このような記録媒体を用いれば、プログラムをコンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録された記録媒体は、非一過性(non-transitory)の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリなどであってもよい。また、このプログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0071】
<システム1の動作>
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る粉塵除去判断装置10及び粉塵除去装置30を含むシステム1の動作について説明する。システム1の動作のうち、粉塵除去判断装置10の動作は、本実施形態に係る粉塵除去判断方法に相当する。
【0072】
ステップS1において、湿度測定装置20の湿度センサ26はとう道内の湿度をt秒おきにn回測定する。
【0073】
ステップS2において、湿度測定装置20の制御部21は、通信部23を介して、湿度の測定値を示す情報を粉塵除去判断装置10に送信する。
【0074】
ステップS3において、粉塵除去判断装置10の制御部11は、通信部13を介して湿度測定装置20から湿度の測定値を示す情報を受信する。
【0075】
ステップS4において、判断可否決定部111は、構造物内の湿度の値を初期湿度値xiとして取得し、初期湿度値xiの標準偏差値Sを算出する。本実施形態では、構造物はとう道である。具体的には判断可否決定部111は、湿度測定装置20がt秒おきにn回測定した測定値を初期湿度値xiとして取得する。判断可否決定部111は、上記式(1)を用いて取得した初期湿度値xiの標準偏差値Sを求める。
【0076】
ステップS5において、判断可否決定部111は、標準偏差値Sの値が予め設定した所定値α未満かどうかを判断する。所定値αの値は任意に設定されてよい。標準偏差値Sの値が所定値α未満であるときは、取得した初期湿度値xiにばらつきが生じておらず、湿度が正しく測定されたと判断できる。よって、判断可否決定部111は構造物内の環境が粉塵除去判断に適した状況であると判断する。この場合、システム1の動作はステップS6へと進む。一方、標準偏差値Sの値が所定値α以上であるときは、初期湿度値xiにばらつきが生じており、湿度が正しく測定されていないと判断できる。すなわち、判断可否決定部111は、とう道内の環境が粉塵除去判断に適した状況ではないと判断できる。この場合、システム1の動作はステップS1へと戻る。
【0077】
判断可否決定部111は、構造物内の環境が粉塵除去判断に適した状況ではないと判断したこととその理由とを示す情報を、ユーザに対し通知できてもよい。通知は、出力部25を介してユーザに対し直接行ってもよいし、通信部13を介して、ユーザが所持する端末装置に当該情報を送信し、当該情報を受信した端末装置がユーザに対し画像又は音声等で通知できてもよい。
【0078】
ステップS6において、測定値取得部112は、酸素濃度測定装置40を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値yiを複数取得する。本実施形態では、構造物はとう道である。所定の時間とは例えば60秒であるが、これに限られず任意に設定されてよい。測定値取得部112は、判断可否決定部111が取得した初期湿度値xiを、測定値yiの一部又は全部として取得してもよい。測定値取得部112は、取得した複数の測定値yiを決定部113に出力する。
【0079】
ステップS7において、決定部113は、取得した複数の測定値yiの平均値Pを算出する。
【0080】
具体的には、決定部113は、測定値yiを取得した回数がk回以上になったとき、第k-a回目から第k回目までに係る測定値yk-aからykを用いて、上記式(2)に従って平均値Pk-a,kを算出する。
【0081】
ステップS8において、決定部113は、算出した平均値Pk-a,kが基準値β未満かどうかを決定する。基準値βは任意に設定されてよく、例えば80%の値である。基準値β以上である場合、粉塵除去判断装置10の動作はステップS9へと進む。基準値β未満である場合は、粉塵除去判断装置10の動作はステップS10へと進む。
【0082】
ステップS7とステップS8とに示すように、決定部113は、取得した複数の測定値yiの平均値Pを算出し、平均値Pが基準値β未満かどうかを決定する。このように、決定部113は、測定値yiを用いて湿度が基準値β未満かどうかを決定する。
【0083】
まず、ステップS8において、算出した平均値Pk-a,kが基準値β以上であると判断され、粉塵除去判断装置10の動作がステップS9に進んだ場合について説明する。ステップS9で、決定部113は、最大試行回数mまでの間でkの値を増やす。その後、粉塵除去判断装置10の動作はステップS6へと戻る。
【0084】
続いて、ステップS8において、算出した平均値Pk-a,kが基準値β未満であると判断され、粉塵除去判断装置10の動作がステップS10に進んだ場合について説明する。ステップS10で、信号生成部114は、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。このように信号生成部114は、決定部113の決定に応じて、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。信号生成部114は、生成した信号を制御部11に出力する。
【0085】
ステップS11において、制御部11は、通信部13を介して信号生成部114が生成した信号を粉塵除去装置30に送信する。
【0086】
ステップS12において、粉塵除去装置30の制御部31は、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得する。本例では、制御部31は通信部33を介して信号を受信することで取得する。
【0087】
ステップS13において、制御部31は、振動部34を制御して振動を発生させる。
【0088】
ステップS14において、振動伝搬部35は、振動部34が発生させた振動を酸素濃度測定装置40に伝搬する。具体的には、振動伝搬部35は、酸素濃度測定装置40が備えるフィルタ部43に振動を伝搬する。これにより、フィルタ部43が振動し、フィルタ部43に付着した粉塵が落ち、酸素濃度測定装置40の汚れが除去される。その後、システム1の動作は終了する。
【0089】
上述のように、本実施形態にかかる粉塵除去判断装置10は、酸素濃度測定装置40を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する測定値取得部112と、測定値を用いて湿度が基準値未満かどうかを決定する決定部113と、決定部113の決定に応じて、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する信号生成部114とを備える。
【0090】
本実施形態によれば、高湿度と低湿度を分ける閾値を基準値として設定し、当該基準値と複数の湿度の測定値を比較できる。比較の結果、測定値が基準値未満である場合には、粉塵がとう道等の構造物の空間内に舞う可能性が高くなるため、粉塵除去装置30により酸素濃度測定装置40の汚れの除去を開始する事ができる。このように、酸素濃度測定装置40が汚れたとき、すなわち酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に粉塵が付着した可能性が高いときのみにだけ、粉塵除去装置30を稼働できる。これにより、高頻度で酸素濃度測定装置40を掃除する場合と比較し、システム全体の電気代の増加、高頻度利用による粉塵除去装置30の短命化、交換サイクルの増加を抑制可能となる。このように本実施形態によれば、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0091】
上述のように、本実施形態にかかる粉塵除去判断装置10において、決定部113は、取得した複数の測定値の平均値を算出し、平均値が基準値未満かどうかを決定する。
【0092】
本実施形態によれば、第m回目の測定に係る測定値までのうち、k-a回目からk回目に係る測定値の平均値が基準値β未満である状態、すなわち乾燥状態が一定時間継続していたことを把握できる。乾燥状態が一定時間継続していたときは、粉塵がとう道等の構造物の空間内に舞う可能性がより高くなるため、粉塵除去装置30により酸素濃度測定装置40の汚れの除去を開始する事ができる。このように、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に粉塵が付着した可能性がより高まったときのみにだけ、粉塵除去装置30を稼働できる。これにより、高頻度で粉塵除去装置30を稼働させる場合と比較し、システム全体の電気代の増加、高頻度利用による粉塵除去装置30の短命化、交換サイクルの増加を抑制可能となる。
【0093】
また、本実施形態によれば、とう道内での作業や換気により、突如としてとう道内の湿度環境が変わり高湿度状態と低湿度状態が入れ替わった場合でも、乾燥状態の継続を精度よく把握し、粉塵除去装置30を稼働させることができる。例えば、上述で説明したようなサンプリング回数としてaの値を設定せず、単純に基準値β未満の測定値yiが3回連続したときに粉塵除去装置30に信号を送信して動作させる手法を想定する。基準値βは80%の値に設定し、測定値取得部112が75%、75%、95%、75%、75%の順に測定値yiを取得したとする。この場合、本実施形態によれば、75+75+95+75+75/5=79であり、決定部113は79%の平均値Pを算出し、粉塵除去装置30の稼働を開始できる。一方当該例に係る手法では、基準値β未満の測定値yiは3回連続していないため、粉塵除去装置30の稼働を開始できない。このように当該例に係る手法では、5回の測定値yiのうち4回が基準値β未満と、ほぼ乾燥状態であったにもかかわらず、粉塵除去装置30が起動しないという事象が発生する。
【0094】
このように本実施形態によれば、一定期間のサンプリング回数としてaの値を設定してその期間中の平均値Pを算出することで、一次的な高湿度状態と低湿度状態との入れ替わりの事象が起きたとしても、その影響を弱めてとう道内の湿度傾向を表現することが可能となる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0095】
上述のように、本実施形態に係る粉塵除去判断装置10は、構造物内の湿度の値を初期湿度値として取得し、初期湿度値の標準偏差値を算出し、標準偏差値が所定値未満かどうかに基づいて、汚れの除去の判断の可否を決定する判断可否決定部をさらに備える。
【0096】
本実施形態によれば、判断可否決定部111は、決定部113が測定値と基準値とを比較する前の段階において、測定値がばらついていないかを決定できる。測定値がばらついている場合には、上述したように、酸素濃度測定装置40の酸素濃度センサ41が故障している等の理由が想定される。このように、判断可否決定部111により、実際に粉塵除去装置30を稼働させるかを決定する前に、とう道内の環境が湿度の測定及び当該判断に適している状況であるかを決定することができる。よって、決定部113が誤った決定をしてしまうことを防ぎ、粉塵除去判断装置10及び粉塵除去装置30の稼働コストを低減できる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0097】
上述のように、本実施形態に係る粉塵除去装置30は、本実施形態に記載の粉塵除去判断装置10と通信を行う粉塵除去装置であって、酸素濃度測定装置40は、酸素濃度測定装置40への不純物の侵入を防止するフィルタ部43を備え、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得する制御部31と、取得した信号に応じて、フィルタ部43に振動を与えてフィルタ部43上の粉塵の除去を行う振動部34とを備える。
【0098】
本実施形態によれば、粉塵除去判断装置10の決定に応じて、粉塵除去装置30が酸素濃度測定装置40の汚れを除去することができる。粉塵除去装置30の振動部34と振動伝搬部35とにより、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に付着した粉塵を自動的に、有効に取り除くことができる。本実施形態によれば、作業者が手作業で汚れを除去する手間とコストとを削減することができる。また、高頻度で粉塵除去装置30を稼働させる場合と比較し、システム全体の電気代の増加、高頻度利用による粉塵除去装置30の短命化、交換サイクルの増加を抑制可能となる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0099】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と本実施形態との差異を説明する。
【0100】
本実施形態に係るシステム1の構成については、
図1に示した第1実施形態のものと同じであるため、説明を省略する。また、本実施形態に係る湿度測定装置20と、粉塵除去装置30と、酸素濃度測定装置40との構成についても、第1実施形態のものと同じであるため説明を省略する。
【0101】
本実施形態に係る粉塵除去判断装置10の測定値取得部112及び決定部113以外については、第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0102】
本実施形態に係る粉塵除去判断装置10の決定部113は、測定値yiを用いて湿度が基準値β未満かどうかを決定する。具体的には、取得した複数の測定値yiのそれぞれについて基準値β未満かどうかを決定し、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出し、割合値Qが基準割合値γ以上かどうかを決定する。基準値βは任意に設定されてよく、例えば80%の値である。基準割合値γは任意に設定されてよく、例えば50%の値である。
【0103】
より具体的には、決定部113は、測定値yiを取得した回数がk回以上になったとき、第k-a回目から第k回目までに係る測定値yiを用いて、以下の式(3)及び式(4)に従って割合値Qk-a,kを算出する。
【0104】
【0105】
【数4】
ここでkは2以上の整数である。aは1以上の整数の値で、k>aである。aはサンプリング回数として任意に設定可能な値である。W
iは測定値y
iが基準値β未満かどうかを表すバイナリ変数である。測定値y
iが基準値β未満である場合には1、測定値y
iが基準値β以上である場合には0が入力される。式(3)及び式(4)に従うと、例えば、サンプリング回数としてaの値を4と設定した場合、第k回から4回分前の測定値y
k-4から、第k回の測定値y
kまでのそれぞれについて基準値β未満かどうかが決定され、基準値β未満であった測定値y
iの割合が算出される。
【0106】
次に決定部113は、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qk-a,kが基準割合値γ以上かどうかを決定する。基準割合値γ以上である場合は、粉塵除去判断装置10の動作は次に信号生成部114による処理へと進む。
【0107】
基準割合値γ未満である場合は、決定部113は最大試行回数mまでの間でkの値を増やす。その後、測定値取得部112により再度測定値yiが取得され、決定部113が再び第k回からa回分前の測定値yk-aから、第k回の測定値ykまでのそれぞれについて基準値β未満かどうかを決定し、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出し、当該割合値が基準割合値γ以上かどうかを決定する。最大試行回数mの値は、例えば、とう道内の換気を行う時刻が予め計画されている場合に、湿度測定装置20が湿度の値を測定し始めてから当該時刻までに測定できる最大回数の値である。
【0108】
例えば、測定値取得部112が、測定値yiとして95%、95%、95%、75%、75%、75%、75%、75%、75%、95%の値を順に取得し、決定部113に出力したとする。さらに、kの値が10と、aの値が9とそれぞれ設定されていたとする。また、基準値βが80%であり、基準割合値γが50%であるとする。
【0109】
この場合、決定部113はまず、測定値yiを取得した回数が10回になったとき、第10回から9回分前の測定値y10-9である95%の値から、第10回の測定値y10である95%の値までのそれぞれについて、基準値β未満かどうかをバイナリ変数Wiを用いて決定する。本例では、上記式(3)及び式(4)に従うと、(0+0+0+1+1+1+1+1+1+0)/10=0.6である。よって決定部113は基準値β未満であった測定値yiの割合値として60%の値を算出する。当該割合値が基準割合値γの50%以上であるので、決定部113は算出した割合値Q10-9,10が基準割合値γ以上であることを決定する。そして、粉塵除去判断装置10の動作は次に信号生成部114による処理へと進む。
【0110】
以下、第1実施形態に係るシステム1の動作と本実施形態に係るシステム1の動作との差異を、
図7を参照しながら説明する。システム1の動作のうち、粉塵除去判断装置10の動作は、本実施形態に係る粉塵除去判断方法に相当する。
【0111】
ステップS101からステップS106の処理は、
図6のステップS1からステップS6の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0112】
ステップS107において、粉塵除去判断装置10の決定部113は、取得した複数の測定値yiのそれぞれについて基準値β未満かどうかを決定し、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出する。基準値βは任意に設定されてよく、例えば80%の値である。
【0113】
具体的には、決定部113は、測定値yiを取得した回数がk回以上になったとき、第k-a回目から第k回目までに係る測定値yiを用いて、上記式(3)及び式(4)に従って割合値Qk-a,kを算出する。
【0114】
ステップS108において、決定部113は、算出した割合値Qk-a,kが基準割合値γ以上かどうかを決定する。基準割合値γは任意に設定されてよく、例えば50%の値である。基準割合値γ未満である場合、粉塵除去判断装置10の動作はステップS109へと進む。基準割合値γ以上である場合は、粉塵除去判断装置10の動作はステップS110へと進む。
【0115】
ステップS107とステップS108とに示すように、決定部113は、取得した複数の測定値yiのそれぞれについて基準値β未満かどうかを決定し、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出し、割合値Qが基準割合値γ以上かどうかを決定する。このように、決定部113は、測定値yiを用いて湿度が基準値β未満かどうかを決定する。
【0116】
まず、ステップS108において、割合値Qが基準割合値γ未満であると判断され、粉塵除去判断装置10の動作がステップS109に進んだ場合について説明する。ステップS109で、決定部113は、最大試行回数mまでの間でkの値を増やす。その後、粉塵除去判断装置10の動作はステップS106へと戻る。
【0117】
ステップS110からステップS114の処理は、
図6のステップS10からステップS14の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0118】
上述のように、本実施形態にかかる粉塵除去判断装置10において、決定部113は、取得した複数の測定値のそれぞれについて基準値未満かどうかを決定し、基準値未満であった測定値の割合値を算出し、割合値が基準割合値以上かどうかを決定する。
【0119】
本実施形態によれば、k-a回目から第k回目までに係る測定値yiのそれぞれについて、都度、基準値β未満かどうかが決定され、とう道が一定時間のうちの何割において乾燥状態にあったかを把握することが可能となる。よって第1実施形態に係る決定部の処理と比較して、測定値yiのそれぞれの値の大小の影響を受けずに粉塵除去装置30を稼働させることを決定できる。例えば、取得された測定値yiが順に95%、95%、95%、75%、75%、75%、75%、75%、75%、95%であり、kの値が10、aの値が9であり、基準値βが80%であったとする。第1実施形態によれば、平均値Pk-a,kの値は83%であり、これは基準値β以上であるため粉塵除去装置30は稼働しない。しかし、取得した測定値には基準値β未満のものが6割も存在している。本実施形態によれば、このように測定値yiの値の大小に影響されることなく、乾燥状態が継続していた割合値を算出することができる。
【0120】
このように本実施形態によれば、より精度よくとう道内の乾燥状態が一定時間継続していたことを把握できる。乾燥状態が一定時間継続していたときは、粉塵がとう道等の構造物の空間内に舞う可能性がより高くなるため、粉塵除去装置30により酸素濃度測定装置40の汚れの除去を開始する事ができる。このように、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に粉塵が付着した可能性がより高まったときのみにだけ、粉塵除去装置30を稼働できる。これにより、高頻度で粉塵除去装置30を稼働させる場合と比較し、システム全体の電気代の増加、高頻度利用による粉塵除去装置30の短命化、交換サイクルの増加を抑制可能となる。
【0121】
また、本実施形態によれば、とう道内での作業や換気により、突如としてとう道内の湿度環境が変わり高湿度状態と低湿度状態が入れ替わった場合でも、乾燥状態の継続を精度よく把握し、粉塵除去装置30を稼働させることができる。例えば、上述で説明したようなサンプリング回数としてaの値を設定せず、単純に基準値β未満の測定値yiが3回連続したときに粉塵除去装置30に信号を送信して動作させる手法を想定する。基準値βは80%の値に設定し、測定値取得部112が75%、75%、95%、75%、75%の順に測定値yiを取得したとする。この場合、本実施形態によれば、1+1+0+1+1/5=0.8であり、決定部113は80%の割合値Qを算出し、粉塵除去装置30の稼働を開始できる。一方当該例に係る手法では、基準値β未満の測定値yiは3回連続していないため、粉塵除去装置30の稼働を開始できない。このように当該例に係る手法では、5回の測定値yiのうち4回が基準値β未満と、ほぼ乾燥状態であったにもかかわらず、粉塵除去装置30が起動しないという事象が発生する。
【0122】
このように本実施形態によれば、一定期間のサンプリング回数としてaの値を設定してその期間中の基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出することで、一次的な高湿度状態と低湿度状態との入れ替わりの事象が起きたとしても、その影響を弱めてとう道内の湿度傾向を表現することが可能となる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0123】
本開示を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【0124】
粉塵除去装置30の構成は上述した実施形態に限られない。以下、粉塵除去装置30の構成の変形例として変形例1~6を、粉塵除去判断装置10の変形例として変形例7を示す。
【0125】
(変形例1)
変形例1では、
図8に示すように、粉塵除去装置30は、第1実施形態及び第2実施形態で述べた振動部34と振動伝搬部35との代わりに、風発生部351と、複数の送風路352とを備える。
【0126】
風発生部351は、モータとモータの回転軸に接続したプロペラとを、筐体内に備える。モータの駆動によりプロペラが回転し、風が発生する。
図8に示すように、風発生部351は粉塵除去装置30の内部に設けられ、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に向かって風を発生させる。
【0127】
送風路352は、風発生部351が発生させた風が通過してフィルタ部43へと入るための通路である。送風路352の形状は限定されないが、断面が円形の管状のものであってもよい。
図8では、送風路352Aと送風路352Bとの2つのみ図示するが、送風路352の数はこれに限られない。送風路352は、風が酸素濃度センサ41を避けてフィルタ部43に送り込まれるように設けられる。これにより、酸素濃度センサ41に風発生部351が発生させた風が直接当たることを防ぐことができる。
【0128】
本変形例では、制御部31が、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得すると、風発生部351を制御して風を発生させる。発生した風が送風路352A及び送風路352Bを通って、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43の内側に送り込まれる。これにより、フィルタ部43に粉塵していた粉塵が吹き飛ばされ、酸素濃度測定装置40の汚れを除去することができる。
【0129】
本変形例によれば、複数の送風路352を用いて酸素濃度センサ41に直接風を当てない構造にすることによって、酸素濃度センサ41の劣化を防ぎつつ、フィルタ部43に付着していた粉塵を飛ばすことができる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0130】
(変形例2)
本変形例では、
図9に示すように、粉塵除去装置30は、第1実施形態及び第2実施形態で述べた振動部34と振動伝搬部35との代わりに、回転発生部361と、回転軸362と、歯車部363とを備える。
【0131】
回転発生部361はモータを含み、回転軸362はモータによる回転力を外部に伝達させる。具体的には、回転軸362の一端は回転発生部361のモータに接続され、他端は歯車部363に接続される。
図9を参照すると、回転発生部361はY軸周りの回転力を発生させ、回転軸362によって回転力が歯車部363に伝達される。歯車部363は、当該Y軸周りの回転力を回転軸362の垂直方向、すなわちX軸周りの回転に変換する。歯車部363は、フィルタ部43が備える歯車等の任意の機構とかみ合い、フィルタ部43をX軸周りに回転させる。フィルタ部43が回転することにより、遠心力によってフィルタ部43の外部に付着した粉塵が吹き飛ばされ、酸素濃度測定装置40の汚れを除去することができる。
【0132】
本変形例によれば、フィルタ部43の内部に粉塵が落ちて酸素濃度センサ41に付着することを防ぐことができる。すなわち、酸素濃度センサ41の劣化を防ぎつつ、フィルタ部43に付着していた粉塵を飛ばすことができる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0133】
(変形例3)
本変形例では、
図10に示すように、粉塵除去装置30は、変形例1の風発生部351と、複数の送風路352とに加えて、フィルタ部43の上部で風発生部351からの風を受けて回転するプロペラ部371と、当該プロペラ部371の一枚のプロペラに接続されたブラシ部372とを備える。
【0134】
図10に示すように、プロペラ部371はフィルタ部43の突出した先端部分に設けられ、風発生部351からの風を受けて回転する。プロペラ部371は複数枚の回転翼を備え、そのうちの任意の一枚にブラシ部372が固定される。ブラシ部372は本体部と毛部とを備える。本体部は細長い形状を有し、フィルタ部43の突出した先端部分からフィルタ部43の酸素濃度測定装置40側の端部まで、側面に沿って延在する。ブラシ部372の毛部は一端を本体部に保持され、他端がフィルタ部43に接触している。ブラシ部372がプロペラ部371の回転と同時にフィルタ部43の周囲を回転することで、毛部がフィルタ部43の側面の粉塵を飛ばして掃除することができる。
【0135】
本変形例によれば、風発生部351とブラシ部372とを併用することによって、フィルタ部43の粉塵をより一層外部へ飛ばしやすくなり、粉塵除去効果を高めることが可能となる。ブラシ部372はフィルタ部43の外側に設けることによって回転時に酸素濃度センサ41に不純物が落下することを防ぐことができる。
【0136】
また、ブラシ部372の毛部の表面積は任意の大きさに設定することが可能であるが、本体部と同様に細長い形状を有するよう構成して表面積を小さくすることで、酸素濃度センサ41が酸素濃度を測定する際に外部の空気の吸入が妨げられることを防止することが可能となる。
【0137】
また、ブラシ部372をフィルタ部43の側面に沿って湾曲した形とすることで、ブラシ部372が回転してフィルタ部43の全面を清掃することが可能となる。また、風発生部351を粉塵除去装置30の内部に設けることにより、発生した風が酸素濃度センサ41に付着した不純物を内側から飛ばすことができ、酸素濃度センサ41へ不純物が落下することを防ぐことができる。
【0138】
図10を参照すると、本変形例に係る粉塵除去装置30は、複数の送風路352を用いて風発生部351からの風をフィルタ部43及びブラシ部372に送りこむ。これにより、酸素濃度センサ41に風発生部351が発生させた風が直接当たることを防ぐことができる。
【0139】
これにより、酸素濃度センサ41に直接風が当たらず、酸素濃度センサ41の劣化を防ぎつつ、フィルタ部43に付着していた粉塵を飛ばすことができる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0140】
(変形例4)
本変形例では、
図11Aに示すように、粉塵除去装置30は、変形例2の回転発生部361と、回転軸362と、歯車部363とに加えて、ブラシ部372とを備える。
【0141】
図11Aに示すように、ブラシ部372は酸素濃度測定装置40上に固定される。ブラシ部372は粉塵除去装置30上に固定されてもよい。ブラシ部372は本体部と毛部とを備え、本体部は細長い形状を有し、フィルタ部43の突出した先端部分からフィルタ部43の酸素濃度測定装置40側の端部まで、側面に沿って延在する。ブラシ部372の毛部は一端を本体部に保持され、他端がフィルタ部43に接触している。
【0142】
フィルタ部43は、回転発生部361が発生させた回転力を、回転軸362及び歯車部363を介して受けることでX軸周りに回転する。フィルタ部43が回転することで、フィルタ部43に接触しているブラシ部372の毛部がフィルタ部43の側面の粉塵を飛ばして掃除することができる。
【0143】
図11Bは、本変形例に係る粉塵除去装置30及び酸素濃度測定装置40を側部から見た図である。フィルタ部43は回転発生部361からの回転力により、X軸周りである矢印方向に回転する。フィルタ部43が回転することで、ブラシ部372の毛部がフィルタ部43の側面の粉塵を飛ばして掃除する。
【0144】
本変形例によれば、回転発生部361とブラシ部372とを併用することによって、フィルタ部43の粉塵をより一層効率的に外部へ飛ばしやすくなり、粉塵除去効果を高めることが可能となる。ブラシ部372はフィルタ部43の外側に設置することによって、フィルタ部43の回転時に酸素濃度センサ41に不純物が落下することを防ぐことができる。
【0145】
また、ブラシ部372の毛部の表面積は任意の大きさに設定することが可能であるが、本体部と同様に細長い形状を有するよう構成して表面積を小さくすることで、酸素濃度センサ41が酸素濃度を測定する際に外部の空気の吸入が妨げられることを防止することが可能となる。
【0146】
また、ブラシ部372をフィルタ部43の側面に沿って湾曲した形とすることで、フィルタ部43の回転によりブラシ部372がフィルタ部43の全面を清掃することが可能となる。また、回転発生部361を粉塵除去装置30の内部に設置することで、高湿度等の環境要因による回転発生部361の劣化を防ぐことが可能となる。
【0147】
このように本変形例によれば、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0148】
(変形例5)
粉塵除去装置30は、上述の第1の実施形態と変形例1とを組み合わせた構成をとってもよい。本変形例に係る粉塵除去装置30は、
図12に示すように、振動部34と、振動伝搬部35と、風発生部351と、複数の送風路352とを備える。
【0149】
本変形例では、制御部31が、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得すると、振動伝搬部35を制御して振動を発生させ、また、風発生部351を制御して風を発生させる。振動伝搬部35から発した振動が、振動伝搬部35を介してフィルタ部43に伝播する。フィルタ部43が振動することで粉塵を浮かせて落下させることができる。このとき、風発生部351から発生した風が送風路352Aと送風路352Bとを介してフィルタ部43の内側に送り込まれ、粉塵を飛ばすことができる。
【0150】
風発生部351を粉塵除去装置30の内部に設けることにより、発生した風が酸素濃度センサ41に付着した不純物を内側から飛ばすことができ、酸素濃度センサ41へ不純物が落下することを防ぐことができる。風発生部351と振動部34とを併用することによって、フィルタ部43の粉塵を浮かせてから飛ばすことができ、粉塵除去効果をより一層高めることが可能となる。
【0151】
また、複数の送風路352を用いて酸素濃度センサ41に直接風を当てないような構造にすることによって酸素濃度センサ41の劣化を防ぎつつ、フィルタ部43に付着していた粉塵を飛ばすことができる。よって、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0152】
(変形例6)
粉塵除去装置30は、上述の変形例1と変形例2とを組み合わせた構成をとってもよい。本変形例に係る粉塵除去装置30は、
図13Aに示すように、風発生部351と、回転発生部361と、回転軸362と、歯車部363とを備える。本変形例では、風発生部351は粉塵除去装置30の外側に設けられ、送風路352を介さずに、酸素濃度測定装置40のフィルタ部43に直接風を送る。
【0153】
本変形例では、制御部31が、粉塵除去判断装置10からの汚れの除去を指示する信号を取得すると、回転発生部361を制御して回転力を発生させ、また、風発生部351を制御して風を発生させる。回転発生部361により生じた回転力が、回転軸362及び歯車部363を介してフィルタ部43に伝播する。フィルタ部43が回転することで遠心力により粉塵を浮かせて落下させる。このとき、風発生部351から発生した風がフィルタ部43に送られ、粉塵を飛ばすことができる。
【0154】
図13Bは本変形例に係る粉塵除去装置30及び酸素濃度測定装置40を側部から見た図である。
図13Bの白抜き矢印は風発生部351から風が送られる方向を示し、黒矢印はフィルタ部43の回転の方向を示す。
図13Bで示すように、本変形例では風発生部351が、円形底面を有するフィルタ部43の接線方向、かつ、フィルタ部43の回転の順方向に風を送る。これにより、フィルタ部43の外側に粉塵を押し出す形で除去することが可能となる。また、フィルタ部43の内部に粉塵を落下させず、酸素濃度センサ41の劣化を防ぐことができる。
【0155】
本変形例によれば、回転発生部361と風発生部351とを併用することによって、遠心力と風力とにより粉塵を飛ばす効果を高め、粉塵除去効果をより一層高めることが可能となる。また、回転発生部361を粉塵除去装置30の内部に設置することで、高湿度等の環境要因による回転発生部361の劣化を防ぐことが可能となる。
【0156】
このように本変形例によれば、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0157】
(変形例7)
粉塵除去判断装置10の変形例として、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、第1実施形態に係る決定部113の処理と第2実施形態に係る決定部113の処理とが両方行われる構成としてもよい。
【0158】
具体的には、決定部113はまず、取得した複数の測定値yiの平均値Pを算出し、当該平均値Pが基準値β未満かどうかを決定し、第一の結果として記憶部12に格納する。決定部113は次に、同一の複数の測定値yiのそれぞれについて基準値β未満かどうかを決定し、基準値β未満であった測定値yiの割合値Qを算出し、当該割合値Qが基準割合値γ以上かどうかを決定し、第二の結果として記憶部12に格納する。
【0159】
本変形例では、第一の結果と第二の結果との組み合わせに応じて、信号生成部114が、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。当該組み合わせは自由に設定可能である。例えば決定部113は、第一の結果において平均値Pが基準値β未満である場合、又は、第二の結果において割合値Qが基準割合値γ以上である場合に、粉塵除去装置30による汚れの除去が必要と決定する。そして、当該決定に応じて、信号生成部114が、酸素濃度測定装置40の汚れの除去を指示する信号を生成する。すなわち決定部113は、第一の結果において平均値Pが基準値β以上であって、かつ、第二の結果において割合値Qが基準割合値γ未満である場合にのみ、粉塵除去装置30による汚れの除去は不要であると決定する。
【0160】
本変形例によれば、第1実施形態又は第2実施形態のいずれか一方の決定部113の処理のみ行う場合と比較して、とう道内の湿度の状態をより精度よく表現し、粉塵除去装置30を稼働するかどうかを決定できる。よって本変形例によれば、汚れに起因する酸素濃度測定装置40の機能不全を防止する技術を改善することができる。
【0161】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0162】
(付記項1)
酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得し、
前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定し、
前記決定に応じて、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する制御部
を備える、粉塵除去判断装置。
【0163】
(付記項2)
前記制御部は、取得した複数の前記測定値の平均値を算出し、前記平均値が前記基準値未満かどうかを決定する、付記項1に記載の粉塵除去判断装置。
【0164】
(付記項3)
前記制御部は、取得した複数の前記測定値のそれぞれについて前記基準値未満かどうかを決定し、前記基準値未満であった前記測定値の割合値を算出し、前記割合値が基準割合値以上かどうかを決定する、付記項1に記載の粉塵除去判断装置。
【0165】
(付記項4)
前記制御部は、構造物内の湿度の値を初期湿度値として取得し、前記初期湿度値の標準偏差値を算出し、前記標準偏差値が所定値未満かどうかに基づいて、前記汚れの除去の判断の可否を決定する、付記項1から3のいずれか一項に記載の粉塵除去判断装置。
【0166】
(付記項5)
付記項1から4のいずれか一項に記載の粉塵除去判断装置と通信を行う粉塵除去装置であって、
前記酸素濃度測定装置は、前記酸素濃度測定装置への不純物の侵入を防止するフィルタ部を備え、
前記粉塵除去判断装置からの前記汚れの除去を指示する信号を取得する制御部と、
取得した前記信号に応じて、前記フィルタ部に振動を与えて前記フィルタ部上の粉塵の除去を行う振動部とを備える、粉塵除去装置。
【0167】
(付記項6)
酸素濃度測定装置を備える構造物内の湿度の所定の時間間隔ごとの測定値を複数取得する取得ステップと、
前記測定値を用いて前記湿度が基準値未満かどうかを決定する決定ステップと、
前記決定ステップの決定に応じて、前記酸素濃度測定装置の汚れの除去を指示する信号を生成する生成ステップと
を含む、粉塵除去判断方法。
【0168】
(付記項7)
前記決定ステップは、取得した複数の前記測定値の平均値を算出し、前記平均値が前記基準値未満かどうかを決定する、付記項6に記載の粉塵除去判断方法。
【0169】
(付記項8)
前記決定ステップは、取得した複数の前記測定値のそれぞれについて前記基準値未満かどうかを決定し、前記基準値未満であった前記測定値の割合値を算出し、前記割合値が基準割合値以上かどうかを決定する、付記項6に記載の粉塵除去判断方法。
【符号の説明】
【0170】
1 システム
10 粉塵除去判断装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
20 湿度測定装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
26 湿度センサ
30 粉塵除去装置
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 振動部
35 振動伝搬部
40 酸素濃度測定装置
41 酸素濃度センサ
42 吸入口
43 フィルタ部
111 判断可否決定部
112 測定値取得部
113 決定部
114 信号生成部
351 風発生部
352,352A,352B 送風路
361 回転発生部
362 回転軸
363 歯車部
371 プロペラ部
372 ブラシ部