IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電信電話株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-信号増幅方法及び光受信装置 図1
  • 特許-信号増幅方法及び光受信装置 図2
  • 特許-信号増幅方法及び光受信装置 図3
  • 特許-信号増幅方法及び光受信装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】信号増幅方法及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/14 20060101AFI20241009BHJP
   H04B 10/69 20130101ALI20241009BHJP
【FI】
H04L27/14 F
H04B10/69
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023543552
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2021031151
(87)【国際公開番号】W WO2023026397
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下羽 利明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(72)【発明者】
【氏名】深田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田邉 暁弘
(72)【発明者】
【氏名】宮武 遼
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178586(JP,A)
【文献】特開2006-217334(JP,A)
【文献】特開2000-188515(JP,A)
【文献】特開2000-124876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/14
H04B 10/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光受信装置が実行する信号増幅方法であって、
周波数多重信号から変換された周波数変調信号に応じた光強度変調信号を、前記周波数変調信号に変換する電気変換ステップと、
前記周波数変調信号の中心周波数と前記周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、前記周波数変調信号の遅延量を制御する遅延制御ステップと、
前記遅延量が制御された前記周波数変調信号に対して遅延検波による復調処理を実行することによって、前記周波数変調信号を前記周波数多重信号に復調する遅延検波ステップと、
復調された前記周波数多重信号の増幅率を前記遅延量に基づいて導出する増幅率導出ステップと、
復調された前記周波数多重信号を前記増幅率で増幅する増幅ステップと
を含む信号増幅方法。
【請求項2】
復調された前記周波数多重信号の各パルス波の幅は、前記遅延量と等しく、
前記遅延制御ステップは、前記各パルス波が互いに重ならない範囲で前記各パルス波の幅が可能な限り長くなるように前記遅延量を導出することを含む、
請求項1に記載の信号増幅方法。
【請求項3】
周波数多重信号から変換された周波数変調信号に応じた光強度変調信号を、前記周波数変調信号に変換する電気変換部と、
前記周波数変調信号の中心周波数と前記周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、前記周波数変調信号の遅延量を制御する遅延制御部と、
前記遅延量が制御された前記周波数変調信号に対して遅延検波による復調処理を実行することによって、前記周波数変調信号を前記周波数多重信号に復調する遅延検波部と、
復調された前記周波数多重信号の増幅率を前記遅延量に基づいて導出する増幅率導出部と、
復調された前記周波数多重信号を前記増幅率で増幅する増幅部と
を備える光受信装置。
【請求項4】
復調された前記周波数多重信号の各パルス波の幅は、前記遅延量と等しく、
前記遅延制御部は、前記各パルス波が互いに重ならない範囲で前記各パルス波の幅が可能な限り長くなるように前記遅延量を導出する、
請求項3に記載の光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号増幅方法及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周波数多重(FDM : Frequency Division Multiplexing)信号を周波数変調(FM : Frequency Modulation)信号に一括変換する方式(以下「FM一括変換方式」という。)の光伝送システムが、映像信号の配信システムに導入されている(非特許文献1及び2参照)。
【0003】
図4は、光伝送システム10の構成例を示す図である。光伝送システム10は、光送信装置11と、光ネットワーク12と、光受信装置13とを備える。光受信装置13は、電気変換部14と、遅延検波部15と、増幅処理部16とを備える。
【0004】
光送信装置11には、映像信号を表す周波数多重信号が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。光送信装置11は、映像信号を表す周波数多重信号を、広帯域の周波数変調信号に一括変換する。光送信装置11は、広帯域の周波数変調信号を、光強度変調信号(光信号)に変換する。光送信装置11は、変換された光強度変調信号を、光ネットワーク12に送信する。
【0005】
電気変換部14は、光強度変調信号を光ネットワーク12から受信する。電気変換部14は、受信された光強度変調信号を、フォトダイオードを用いて周波数変調信号(電気信号)に変換する。遅延検波部15では、周波数変調信号の復調方式として、遅延検波が採用されている。遅延検波部15は、周波数変調信号に対して復調処理を実行することによって、周波数変調信号を周波数多重信号に復調する。増幅処理部16は、映像信号を表す周波数多重信号の振幅(電圧)を、予め定められたレベルまで増幅させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】ITU-T J.185 : Transmission equipment for transferring multi-channel television signals over optical access networks by frequency modulation conversion.
【文献】下羽 利明,外2名, “FM一括変換方式を用いた光映像配信技術,” 信学技報 IEICE Technical Report CS2019-84, IE2019-64(2019-12).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遅延検波部15(周波数復調部)における周波数変調信号の遅延量「τ」が大きいほど、復調された周波数多重信号のレベルが高くなる。復調された周波数多重信号のレベルが高いほど、増幅処理部16における雑音の影響が小さくなる。この点では、周波数変調信号の遅延量「τ」は可能な限り大きいことが望ましい。また、周波数変調信号の遅延量「τ」は周波数変調信号の周期「T」の半分よりも小さい必要がある。ここで、遅延検波部15における周波数変調信号の遅延量「τ」は固定値である。
【0008】
増幅処理部16は、低域濾波部(LPF : Low Pass Filter)を用いて、周波数が低い周波数多重信号を、周波数多重信号から取り出す。増幅処理部16は、取り出された周波数多重信号を、表示装置(不図示)に出力する。
【0009】
多様な光伝送システムに光受信装置13が対応するためには、広帯域の信号に対して光受信装置13が復調処理を正常に実行できることが必要である。この点では、周波数変調信号の遅延量「τ」は可能な限り小さいことが望ましい。これによって、周波数が高い周波数変調信号が遅延検波部15に入力された場合でも、遅延検波部15が復調処理を正常に実行することができる。
【0010】
周波数変調信号の遅延量「τ」が小さいほど(遅延時間が短いほど)、遅延検波部15によって復調された周波数多重信号の電力が小さくなる。遅延検波部15によって復調された周波数多重信号の電力が小さいほど、増幅処理部16における周波数多重信号の増幅率は高い必要がある。
【0011】
しかしながら、電気変換部14によって変換された周波数変調信号の周波数が低いほど、遅延検波部15によって復調された周波数多重信号(パルス波)の密度は疎になる。復調された周波数多重信号の密度が疎であるほど、復調された周波数多重信号の電力は小さい。この場合、増幅処理部16に遅延検波部15から入力される周波数多重信号の電力が小さいので、増幅処理部16における雑音の影響が大きくなる。このため、増幅処理部16から出力される周波数多重信号の搬送波対雑音比(CNR : Carrier to Noise Ratio)は低下する。
【0012】
このように、周波数変調信号の周波数が低い場合には、光強度変調信号を用いて伝送された周波数多重信号の品質の劣化を抑制することができない場合がある。
【0013】
上記事情に鑑み、本発明は、周波数変調信号の周波数が低い場合でも、光強度変調信号を用いて伝送された周波数多重信号の品質の劣化を抑制することが可能である信号増幅方法及び光受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、光受信装置が実行する信号増幅方法であって、周波数多重信号から変換された周波数変調信号に応じた光強度変調信号を、前記周波数変調信号に変換する電気変換ステップと、前記周波数変調信号の中心周波数と前記周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、前記周波数変調信号の遅延量を制御する遅延制御ステップと、前記遅延量が制御された前記周波数変調信号に対して遅延検波による復調処理を実行することによって、前記周波数変調信号を前記周波数多重信号に復調する遅延検波ステップと、復調された前記周波数多重信号の増幅率を前記遅延量に基づいて導出する増幅率導出ステップと、復調された前記周波数多重信号を前記増幅率で増幅する増幅ステップとを含む信号増幅方法である。
【0015】
本発明の一態様は、周波数多重信号から変換された周波数変調信号に応じた光強度変調信号を、前記周波数変調信号に変換する電気変換部と、前記周波数変調信号の中心周波数と前記周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、前記周波数変調信号の遅延量を制御する遅延制御部と、前記遅延量が制御された前記周波数変調信号に対して遅延検波による復調処理を実行することによって、前記周波数変調信号を前記周波数多重信号に復調する遅延検波部と、復調された前記周波数多重信号の増幅率を前記遅延量に基づいて導出する増幅率導出部と、復調された前記周波数多重信号を前記増幅率で増幅する増幅部とを備える光受信装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、周波数変調信号の周波数が低い場合でも、光強度変調信号を用いて伝送された周波数多重信号の品質の劣化を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態における、光伝送システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態における、光受信装置の動作例を示すフローチャートである。
図3】実施形態における、光受信装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】光伝送システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、光伝送システム1の構成例を示す図である。光伝送システム1は、光強度変調信号を伝送するシステム(光伝送ネットワーク)である。
【0019】
光伝送システム1は、光送信装置2と、光ネットワーク3と、光受信装置4とを備える。光送信装置2は、変調部20と、光変換部21とを備える。
【0020】
光受信装置4は、電気変換部40と、遅延検波部41と、増幅率導出部42と、増幅処理部43とを備える。遅延検波部41は、立ち上がり検出部410と、立ち下がり検出部411と、遅延制御部412と、加算部413とを備える。
【0021】
立ち上がり検出部410は、振幅制限部414と、論理否定部415と、遅延部416と、論理積部417とを備える。立ち下がり検出部411は、振幅制限部418と、論理否定部419と、遅延部420と、論理積部421とを備える。増幅処理部43は、低域濾波部430と、増幅部431とを備える。
【0022】
光送信装置2は、例えば、V-OLT(Video - Optical Line Terminal)等の光加入者線端局装置である。光送信装置2には、入力信号(主信号)が、第1外部装置(不図示)から入力される。第1外部装置(不図示)は、例えば、ヘッドエンド装置である。以下では、入力信号は、一例として映像信号である。光送信装置2は、映像信号を表す周波数多重信号(FDM信号)を、伝送信号として光ネットワーク3に送信する。
【0023】
光送信装置2は、FM一括変換方式に基づいて、周波数多重信号を周波数変調信号(FM信号)に一括変換する。これによって、光送信装置2は、広帯域の周波数変調信号を生成する。この広帯域とは、特定の帯域に限定されないが、例えば約3GHzを中心周波数とする帯域であって、例えば約500MHz(最低周波数)から約6GHz(最高周波数)までの帯域である。光送信装置2は、生成された周波数変調信号を、強度変調された光信号である光強度変調信号に変換する。光送信装置2は、光強度変調信号を光ネットワーク3に送信する。
【0024】
光ネットワーク3では、エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA : Erbium-Doped Fiber Amplifier)等の光増幅器(不図示)と光分配器(不図示)とが、多段接続されている。これによって、光ネットワーク3は広帯域の光強度変調信号を光受信装置4に伝送することが可能である。
【0025】
光受信装置4は、例えば、V-ONU(Video - Optical Network Unit)等の光回線終端装置である。光受信装置4は、光強度変調信号を光ネットワーク3から受信する。光受信装置4は、フォトダイオードを用いて、光強度変調信号(光信号)を周波数変調信号(電気信号)に変換する。
【0026】
光受信装置4は、遅延検波方式に基づく復調処理を周波数変調信号に対して実行することによって、周波数変調信号を周波数多重信号に復調する。遅延検波方式に基づく復調処理は、周波数変調信号の立ち上がりを検出する処理と、周波数変調信号の立ち下がりを検出する処理とを含む。
【0027】
光受信装置4は、復調された周波数変調信号の周波数に応じて、遅延部416における周波数変調信号の遅延量を変更する。例えば、光受信装置4は、周波数変調信号の中心周波数の情報(以下「中心周波数情報」という。)と、周波数変調信号の中心周波数に対する最高周波数の偏移量(オフセット量)の情報(以下「偏移量情報」という。)とに基づいて、遅延部416における周波数変調信号の遅延量「τ」を変更する。このようにして、光受信装置4は、周波数変調信号に対する復調処理の帯域を、周波数変調信号の周波数に応じて動的に変更する。
【0028】
光受信装置4は、遅延検波部41によって復調された周波数多重信号の増幅率を、遅延部416における周波数変調信号の遅延量に応じて導出する。光受信装置4は、周波数多重信号の増幅率情報に基づいて、増幅部431における周波数多重信号の増幅率を変更する。すなわち、光受信装置4は、周波数多重信号の増幅率情報に基づいて、周波数多重信号の振幅(電圧)を増幅させる。光受信装置4は、周波数多重信号を第2外部装置(不図示)に出力する。
【0029】
第2外部装置は、例えば、表示装置である。この表示装置(不図示)は、増幅率情報に応じて振幅(電圧)が増幅された周波数多重信号を、光受信装置4から取得する。表示装置は、周波数多重信号に含まれている映像信号に応じて、映像を画面に表示する。
【0030】
次に、光送信装置2及び光受信装置4の詳細を説明する。
変調部20(周波数変調部)には、映像信号を含む周波数多重信号が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。変調部20は、FM一括変換方式に基づいて、映像信号を含む周波数多重信号を、広帯域の周波数変調信号に一括変換する。
【0031】
光変換部21(光強度変調器)は、レーザー発振器(不図示)を用いて、広帯域の周波数変調信号(電気信号)を光強度変調信号(光信号)に変換する。光変換部21は、光強度変調信号を光ネットワーク3に送信する。
【0032】
電気変換部40は、光強度変調信号を光ネットワーク3から受信する。電気変換部40は、フォトダイオードを用いて、光強度変調信号(光信号)を周波数変調信号(電気信号)に変換する。電気変換部40は、立ち上がり検出部410と立ち下がり検出部411との2系統に、周波数変調信号を分岐する。
【0033】
遅延制御部412は、偏移量情報と中心周波数情報とを取得する。遅延制御部412は、例えば、タッチパネル等を操作するネットワーク管理者等によって直接入力された偏移量情報及び中心周波数情報を取得する。遅延制御部412は、例えば、他の光ネットワーク(不図示)に接続された情報処理装置(不図示)から、予め定められた偏移量情報及び中心周波数情報を取得してもよい。遅延制御部412は、例えば、光送信装置2によって周波数多重信号に重畳された偏移量情報及び中心周波数情報を、復調された周波数多重信号から抽出してもよい。
【0034】
遅延制御部412は、偏移量情報と中心周波数情報とに基づいて、遅延部416における周波数変調信号の遅延量「τ」を導出する。復調された周波数多重信号の各パルス波の幅は、周波数変調信号の遅延量と等しい。遅延制御部412は、復調された周波数多重信号の各パルス波が互いに重ならない範囲で各パルス波の幅が可能な限り長くなるように、遅延量を導出する。遅延制御部412は、導出された遅延量の情報を、増幅率導出部42に出力する。
【0035】
増幅率導出部42は、遅延量と増幅率との間の予め定められた関係に基づいて、増幅率導出部42における周波数多重信号の増幅率を制御する。なお、この予め定められた関係は、理論的に導出されてもよいし、実験的に導出されてもよい。
【0036】
振幅制限部414は、電気変換部40によって分岐されたうちの一方の周波数変調信号を、電気変換部40から取得する。振幅制限部414は、取得された周波数変調信号の振幅を制限することによって、取得された周波数変調信号を矩形化する。これによって、振幅制限部414から出力される周波数変調信号がパルス波になる。振幅制限部414は、矩形化された周波数変調信号を、論理否定部415と論理積部417とに出力する。
【0037】
論理否定部415(NOTゲート)は、振幅制限部414によって分岐されたうちの一方の周波数変調信号を、振幅制限部414から取得する。論理否定部415は、取得された周波数変調信号の論理を否定する。遅延部416は、遅延量情報を遅延制御部412から取得する。遅延部416は、論理が否定された周波数変調信号を、遅延量情報に基づいて遅延量「τ」だけ遅延させる。
【0038】
論理積部417(ANDゲート)は、振幅制限部414によって分岐されたうちの他方の周波数変調信号を、振幅制限部414から取得する。論理積部417は、論理が否定されてから遅延された周波数変調信号を、遅延部416から取得する。論理積部417は、論理が否定されてから遅延された周波数変調信号と周波数変調信号との論理積の結果(遅延量「τ」を幅とするパルス波の列)を、検波結果として、加算部413に出力する。
【0039】
振幅制限部418は、電気変換部40によって分岐されたうちの他方の周波数変調信号を、電気変換部40から取得する。振幅制限部418は、取得された周波数変調信号の振幅を制限することによって、周波数変調信号を矩形化する。これによって、振幅制限部418から出力される周波数変調信号がパルス波になる。振幅制限部418は、矩形化された周波数変調信号を、論理否定部419と遅延部420とに出力する。
【0040】
論理否定部419(NOTゲート)は、振幅制限部414によって分岐されたうちの一方の周波数変調信号を、振幅制限部418から取得する。論理否定部419は、取得された周波数変調信号の論理を否定する。
【0041】
遅延部420は、振幅制限部418によって分岐されたうちの他方の周波数変調信号を、振幅制限部418から取得する。遅延部420は、遅延量情報を遅延制御部412から取得する。遅延部420は、振幅制限部418から取得された周波数変調信号を、遅延量情報に基づいて遅延量「τ」だけ遅延させる。
【0042】
論理積部421(ANDゲート)は、論理が否定された周波数変調信号を、論理否定部419から取得する。論理積部421は、遅延された周波数変調信号を、遅延部420から取得する。論理積部421は、論理が否定された周波数変調信号と遅延された周波数変調信号との論理積の結果(遅延量「τ」を幅とするパルス波の列)を、検波結果として、加算部413に出力する。
【0043】
加算部413(ORゲート)は、論理が否定されてから遅延された周波数変調信号と周波数変調信号との論理積の結果を、論理積部417から取得する。加算部413は、論理が否定された周波数変調信号と遅延された周波数変調信号との論理積の結果を、論理積部421から取得する。
【0044】
加算部413は、論理が否定されてから遅延された周波数変調信号と周波数変調信号との論理積の結果と、論理が否定された周波数変調信号と遅延された周波数変調信号との論理積の結果とを加算する。加算部413は、復調された周波数多重信号(復調信号)として、加算部413による加算結果を、低域濾波部430に出力する。
【0045】
低域濾波部430(LFP)は、周波数が低い周波数多重信号を、復調された周波数多重信号(復調信号)から取り出す。増幅部431は、周波数が低い周波数多重信号を、表示装置(不図示)に出力する。
【0046】
次に、光受信装置4の動作例を説明する。
図2は、実施形態における、光受信装置4の動作例を示すフローチャートである。電気変換部40は、周波数変調信号に応じた光強度変調信号を、周波数変調信号に変換する(ステップS101)。遅延制御部412は、周波数変調信号の中心周波数と、周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、周波数変調信号の遅延量を制御する(ステップS102)。
【0047】
遅延検波部41(周波数復調部)は、遅延量が制御された周波数変調信号に対して遅延検波による復調処理を実行することによって、周波数変調信号を周波数多重信号に復調する(ステップS103)。増幅率導出部42は、復調された周波数多重信号の増幅率を、周波数変調信号の遅延量に基づいて導出する(ステップS104)。増幅処理部43は、復調された周波数多重信号を、導出された増幅率で増幅する(ステップS105)。
【0048】
以上のように、電気変換部40は、周波数多重信号から変換された周波数変調信号に応じた光強度変調信号(光信号)を、周波数変調信号(電気信号)に変換する。遅延制御部412は、周波数変調信号の中心周波数と周波数変調信号の最高周波数の偏移量とに基づいて、周波数変調信号の遅延量を制御する。遅延検波部41は、遅延量が制御された周波数変調信号に対して、遅延検波による復調処理を実行する。これによって、遅延検波部41は、周波数変調信号を周波数多重信号に復調する。増幅率導出部42は、復調された周波数多重信号の増幅率を、周波数変調信号の遅延量に基づいて導出する。増幅部431は、復調された周波数多重信号を、導出された増幅率で増幅する。
【0049】
周波数が低い周波数変調信号が光受信装置4に入力された場合でも、可能な限り大きい遅延量(可能な限り長い遅延時間)が遅延部416に動的に設定されるので、増幅部431に入力される信号の強度が高く保たれる。また、遅延部416に遅延量に応じて、増幅部431に入力される信号の増幅率が動的に変更される。
【0050】
このように、周波数変調信号の周波数に応じて光受信装置4における周波数復調の帯域が動的に変更されるので、周波数変調信号の周波数が低い場合(例えば、予め定められた閾値以下である場合)でも光強度変調信号を用いて伝送された周波数多重信号の品質の劣化を抑制することが可能である。複数の光伝送システムにおいて共通使用が可能な光受信装置が実現されるので、経済的な光伝送システムが実現可能である。汎用性の高い光伝送システムが実現可能である。増幅部431における雑音の影響を抑制し、光受信装置4から出力される信号の電力の変動を抑制することが可能である。
【0051】
図3は、実施形態における、光受信装置4のハードウェア構成例を示す図である。光受信装置4における、遅延検波部41、増幅率導出部42及び増幅処理部43のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置とメモリとに記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
【0052】
光受信装置4における、遅延検波部41、増幅率導出部42及び増幅処理部43のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、映像信号等の配信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…光伝送システム、2…光送信装置、3…光ネットワーク、4…光受信装置、10…光伝送システム、11…光送信装置、12…光ネットワーク、13…光受信装置、14…電気変換部、15…遅延検波部、16…増幅処理部、20…変調部、21…光変換部、40…電気変換部、41…遅延検波部、42…増幅率導出部、43…増幅処理部、410…立ち上がり検出部、411…立ち下がり検出部、412…遅延制御部、413…加算部、414…振幅制限部、415…論理否定部、416…遅延部、417…論理積部、418…振幅制限部、419…論理否定部、420…遅延部、421…論理積部、430…低域濾波部、431…増幅部
図1
図2
図3
図4