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  • 特許-サンプラー用ハンマー 図1
  • 特許-サンプラー用ハンマー 図2
  • 特許-サンプラー用ハンマー 図3
  • 特許-サンプラー用ハンマー 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】サンプラー用ハンマー
(51)【国際特許分類】
   B25D 1/14 20060101AFI20241009BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B25D1/14
G01N1/08 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020118131
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015359
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 光弘
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100132(JP,A)
【文献】特開平07-090831(JP,A)
【文献】実開平03-099041(JP,U)
【文献】米国特許第05086849(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 1/14
G01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面を打撃面とする角筒形の筒部と、
前記筒部の一端を閉塞する底部と、を備え、
前記筒部に挿入したパイプサンプラーの上端に前記底部で打撃を与えるほか、前記筒部に挿入されていない状態のパイプサンプラーの上端に前記打撃面で打撃を与えることが可能である
ことを特徴とするサンプラー用ハンマー。
【請求項2】
側面を打撃面とする角筒形の打撃筒と、前記打撃筒と連接された円筒形の把持筒とからなる筒部と、
前記筒部の一端を閉塞する底部と、を備え、
前記筒部に挿入したパイプサンプラーの上端に前記底部で打撃を与えるほか、前記筒部に挿入されていない状態のパイプサンプラーの上端に前記打撃面で打撃を与えることが可能である
ことを特徴とするサンプラー用ハンマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプラー用ハンマーに関する。さらに詳しくは、本発明は、パイプ状のサンプラーを採取対象物に打ち込むのに用いられるハンマーに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体状の採取対象物から試料を抜き取るのにパイプ状のサンプラーを用いることがある。例えば、ニッケル製錬では、フレキシブルコンテナバッグに詰め込まれた粉体状の原料(ニッケル・コバルト混合硫化物)にパイプ状のサンプラーを差し込み、分析試料を得ている。以下、パイプ状のサンプラーのことをパイプサンプラーと称する。
【0003】
フレキシブルコンテナバッグの中の原料は、充填時や、荷役における荷積み、荷下ろしなどのハンドリングによって、軽い小さな粒子ほど上に、重い大きな粒子ほど下に溜まりやすい。また、原料に水分が含まれる場合、下の水分率が高くなる傾向にある。そのため、平均的な分析試料を得るには、フレキシブルコンテナバッグの上から下までパイプサンプラーを差し込む必要がある。
【0004】
しかし、フレキシブルコンテナバッグの高さは1m程度ある。このフレキシブルコンテナバッグに長さが1m強あるパイプサンプラーを先端が底に達するまで垂直方向に差し込まなければならない。差し込み初期のパイプサンプラーの上端は高い位置にあり、通常の(金属製の頭部に柄が設けられた)ハンマーで叩くには力が入りにくく、また、腕の疲労が激しい。さらに、叩き損じやすく、作業者が怪我をする恐れもある。
【0005】
そこで、パイプサンプラーの差し込みに支柱ハンマーを用いることがある。特許文献1に開示されているように、支柱ハンマーは有底円筒状の工具である。支柱ハンマーを支柱の上部に被せて、上下に動かして支柱に打撃を与えることで、支柱を土壌に打ち込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3218282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
支柱はその全てが土壌に打ち込まれるのではなく、大部分が地上に露出したまま先端部のみが土壌に打ち込まれる。そのため、支柱ハンマーは支柱の全てを土壌に打ち込む構成とはなっていない。つまり、支柱の上部に被さった支柱ハンマー自体が邪魔となり、支柱の全てを土壌に打ち込むことができない。
【0008】
一方、パイプサンプラーはほぼ全体を採取対象物に差し込む必要がある。そのため、支柱ハンマーを用いてパイプサンプラーをある程度差し込んだ後、支柱ハンマーを通常のハンマーと交換して、最後の数十センチの打ち込みをしなければならない。このように工具の交換が必要であり、作業が煩雑となる。
【0009】
本発明は上記事情に鑑み、別の工具に交換することなくパイプサンプラーのほぼ全体を採取対象物に差し込むことができるサンプラー用ハンマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明のサンプラー用ハンマーは、側面を打撃面とする角筒形の筒部と、前記筒部の一端を閉塞する底部と、を備え、前記筒部に挿入したパイプサンプラーの上端に前記底部で打撃を与えるほか、前記パイプサンプラーの上端に前記打撃面で打撃を与えることが可能であることを特徴とする。
第2発明のサンプラー用ハンマーは、側面を打撃面とする角筒形の打撃筒と、前記打撃筒と連接された円筒形の把持筒とからなる筒部と、前記筒部の一端を閉塞する底部と、を備え、前記筒部に挿入したパイプサンプラーの上端に前記底部で打撃を与えるほか、前記パイプサンプラーの上端に前記打撃面で打撃を与えることが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明によれば、パイプサンプラーを挿入したハンマーを上下にスライドさせ、パイプサンプラーに打撃を与えることで、パイプサンプラーを採取対象物に打ち込むことができる。その後、打撃面でパイプサンプラーの上端に打撃を与えることで、パイプサンプラーを採取対象物にさらに打ち込むことができる。そのため、別の工具に交換することなくパイプサンプラーのほぼ全体を採取対象物に差し込むことができる。また、筒部が単純な形状であるので、ハンマーが丈夫で破損しにくい。
第2発明によれば、筒部に把持筒があるので、打撃面でパイプサンプラーに打撃を与える際に、ハンマーを持ちやすい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】図(A)は第1実施形態に係るサンプラー用ハンマーの平面図である。図(B)は同サンプラー用ハンマーの正面図である。図(C)は同サンプラー用ハンマーの底面図である。図(D)は図(A)におけるd-d線矢視断面図である。
図2】図(A)はスライド打ち込みの説明図である。図(B)は側面打ち込みの説明図である。
図3】図(A)は第2実施形態に係るサンプラー用ハンマーの平面図である。図(B)は同サンプラー用ハンマーの正面図である。図(C)は同サンプラー用ハンマーの底面図である。図(D)は図(A)におけるd-d線矢視断面図である。
図4】図(A)はスライド打ち込みの説明図である。図(B)は側面打ち込みの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
図1(A)~(D)に示すように、本発明の第1実施形態に係るサンプラー用ハンマー1(以下、単に「ハンマー1」と称する。)は、筒部10と、筒部10の一端を閉塞する底部20とからなる。すなわち、ハンマー1は有底筒形の部材である。
【0014】
筒部10はその外面の少なくとも一部に平坦な打撃面11を有する。したがって、筒部10は、例えば、円筒の一部を平坦にした形状でもよい。本実施形態の筒部10は角筒形である。筒部10が単純な形状であるので、ハンマー1が丈夫で破損しにくい。また、製作、保守が容易である。筒部10の断面形状は三角形、四角形、五角形など、特に限定されない。ただし、後述の側面打ち込み時の持ちやすさ、打撃面11の広さという観点からは、図1(C)に示すように筒部10の断面形状を四角形とすることが好ましい。筒部10の断面形状が四角形の場合、四方の4つ面のいずれもが打撃面11である。
【0015】
ハンマー1の各所の寸法は特に限定されない。幅Wは、片手で持ちやすいように、40~70mmが好ましい。長さLは200~300mmが好ましい。筒部10および底部20の厚さは、必要な強度と重量が得られればよく、素材にもよるが、例えば4~5mmである。底部20を筒部10よりも厚くして、重量調節してもよい。パイプサンプラーに打撃を与えるにはある程度の重量が必要である。ハンマー1の重量は2~3kgが好ましい。
【0016】
つぎに、ハンマー1を用いたパイプサンプラーの打ち込み方法を説明する。
ハンマー1はスライド打ち込みと、側面打ち込みの2種類の方法でパイプサンプラーを採取対象物に打ち込むことができる。
【0017】
(スライド打ち込み)
図2(A)に示すように、フレキシブルコンテナバッグに詰め込まれた採取対象物にパイプサンプラーPを垂直方向に打ち込むとする。打ち込みの初期においては、スライド打ち込みを行なう。すなわち、パイプサンプラーPの上部にハンマー1を被せる。パイプサンプラーPの上部が筒部10に挿入され、上端が底部20の内面に接する。この状態で、ハンマー1を上下にスライドさせることで、パイプサンプラーPの上端に底部20で打撃を与える。これにより、採取対象物にパイプサンプラーPを打ち込む。
【0018】
(側面打ち込み)
図2(B)に示すように、採取対象物にパイプサンプラーPがある程度差し込まれた後は、側面打ち込みを行なう。すなわち、筒部10を手で持ち、ハンマー1を振り下ろして、打撃面11でパイプサンプラーPの上端に打撃を与える。これにより、パイプサンプラーPを採取対象物にさらに打ち込む。このように、別の工具に交換することなくパイプサンプラーPのほぼ全体を採取対象物に差し込むことができる。
【0019】
〔第2実施形態〕
図3(A)~(D)に示すように、本発明の第2実施形態に係るサンプラー用ハンマー2(以下、単に「ハンマー2」と称する。)は、筒部10と、筒部10の一端を閉塞する底部20とからなる。
【0020】
筒部10は、角筒形の打撃筒10Aと、打撃筒10Aと連接された円筒形の把持筒10Bとからなる。打撃筒10Aの断面形状は三角形、四角形、五角形など、特に限定されない。打撃筒10Aの平坦面が打撃面11である。底部20は、打撃筒10Aに設けられてもよいし、把持筒10Bに設けられてもよい。ただし、側面打ち込みの際の強度の面からは、底部20を打撃筒10Aに設けるほうが好ましい。また、スライド打ち込みの際、パイプサンプラーPの上端が打撃筒10Aと把持筒10Bの連接面に引っ掛かることがあるので、スライド打ち込みの作業性を考えると底部20を打撃筒10Aに設けるほうが好ましい。
【0021】
本実施形態のハンマー2は第1実施形態のハンマー1と同様の方法でパイプサンプラーPを打ち込む。
【0022】
(スライド打ち込み)
図4(A)に示すように、パイプサンプラーPを挿入したハンマー2を上下にスライドさせ、パイプサンプラーPに打撃を与える。これにより、パイプサンプラーPを採取対象物に打ち込むことができる。
【0023】
(側面打ち込み)
図4(B)に示すように、採取対象物にパイプサンプラーPがある程度差し込まれた後は、側面打ち込みを行なう。この際、把持筒10Bを手で持ち、打撃筒10AでパイプサンプラーPに打撃を与える。筒部10に円筒形の把持筒10Bがあるので、ハンマー2を持ちやすい。
【符号の説明】
【0024】
1、2 ハンマー
10 筒部
11 打撃面
20 底部
図1
図2
図3
図4