(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ウェーハモデルを使用するウェーハ露光方法及びウェーハ製造アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241009BHJP
G03F 9/00 20060101ALN20241009BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F9/00 A
(21)【出願番号】P 2022538106
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(86)【国際出願番号】 US2020063849
(87)【国際公開番号】W WO2021126605
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-07-25
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブール シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】グルーガー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ロムトシェル パトリック
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-295056(JP,A)
【文献】特開2006-108533(JP,A)
【文献】特開2006-108386(JP,A)
【文献】特開2015-094862(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153171(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0250516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハ露光方法であって、
所定の測定部位においてウェーハ構造から限界寸法値を取得するステップと、
前記ウェーハ構造を形成するために使用される露光プロセスの位置依存型プロセスパラメータを取得するステップと、
前記測定部位における前記限界寸法値から、予め設定されたモデルの係数及び少なくとも1つの更なるモデルの係数を決定するステップであって、それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が、前記予め設定されたモデル及び
他の更なるモデルとは異なり、
前記予め設定されたモデル及び前記少なくとも1つの更なるモデルは、
閉数学形式でウェーハ基板の主表面を横切る前記限界寸法値
を近似し、前記
位置依存型プロセスパラメータ、及び/又は前記
位置依存型プロセスパラメータの補正値を2つの位置座標の
代数関数として近似
し、前記少なくとも1つの項は、係数と少なくとも1つの位置座標の代数関数の積である、ステップと、
前記
予め設定されたモデル及び前記少なくとも1つの更なるモデルから取得された近似限界寸法値と前記測定部位において取得された前記限界寸法値との間の残差を決定するステップと、
前記予め設定されたモデル及び前記少なくとも1つの更なるモデルの中で、更新
されたモデルを選択するステップであって、前記選択は、前記残差、
あるいは、前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルの前記項の数、及び/又は前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルの前記項の次数
を重み付けする基準に基づいている、ステップと、
を含むウェーハ露光方法。
【請求項2】
前記更新
されたモデル
の項を記述する情報を出力するステップを更に含む、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項3】
前記更新
されたモデルに基づいて、前記位置依存型プロセスパラメータを更新するステップを更に含む、請求項1に記載のウェーハの露光方法。
【請求項4】
前記更新
されたモデルの前記選択は、前記残差の総量に対して前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルの前記項の前記数を重み付けするトレードオフに基づいている、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項5】
前記更新
されたモデルの前記選択は、ベイズ情報基準及び赤池情報基準のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項6】
前記モデルは、ゼルニケ多項式及びルジャンドル多項式のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの更なるモデルは、最大次数までの全てのゼルニケ多項式を含む、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項8】
前記更新
されたモデルのそれぞれの係数についての品質指標を決定するステップであって、前記品質指標は、前記限界寸法値の変動から前記係数の依存度
の情報を与える、ステップを更に含む、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項9】
前記選択は、前記残差の分布を重み付けする基準に基づいている、請求項1に記載の露光方法。
【請求項10】
前記限界寸法値は、オーバーレイ不一致値を含み、
前記露光プロセス内で使用される前記プロセスパラメータは、位置オフセットを含み、
それぞれのモデルは、前記オーバーレイ不一致値、前記位置オフセット、及び/又は前記位置オフセットの補正値を前記位置座標の関数として近似するウェーハオーバーレイモデルを含む、
請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項11】
前記限界寸法値は、前記ウェーハ構造の限界寸法を含み、
前記露光プロセス内で使用される前記プロセスパラメータは、露光パラメータを含み、
それぞれのモデルは、前記限界寸法、前記露光パラメータ、及び/又は前記露光パラメータの補正値を前記位置座標の関数として近似するウェーハ露光モデルを含む、
請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項12】
前記ウェーハ構造は、フォトレジスト構造を含む、請求項1に記載のウェーハ露光方法。
【請求項13】
第1ウェーハ基
板上に形成された第1フォトレジスト層を露光するステップであって、前記露光は
、位置依存型露光パラメータを使用する、ステップと、
前記露光された第1フォトレジスト層を現像するステップであって、前記パターニングされたフォトレジスト構造は、前記露光されたフォトレジスト層から取得される、ステップと、
を更に含む、請求項12に記載のウェーハ露光方法。
【請求項14】
第2ウェーハ基
板上に形成された第2フォトレジスト層を露光するステップであって、前記露光は、更新
されたウェーハ露光モデルから取得された位置依存型露光パラメータを使用する、ステップ
を更に含む、請求項13に記載のウェーハ露光方法。
【請求項15】
ウェーハ製造アセンブリであって、
位置依存型プロセスパラメータを使用する露光ビームにウェーハ基
板をコーティングするフォトレジスト層を露光して、前記露光されたフォトレジスト層に基づいてウェーハ構造を画定するように構成された露光ツールアセンブ
リと、
前記露光ツールアセンブ
リとデータ接続されたプロセッサユニッ
トと、を備え、前記プロセッサユニッ
トは、
前記ウェーハ構造を画定するための前記露光ツールアセンブ
リ内で使用される位置依存型プロセスパラメータを受取る及び/又は保持するステップと、
所定の測定部位における前記ウェーハ構造の限界寸法値を受取るステップと、
前記所定の測定部位における前記限界寸法値から、予め設定されたモデルの係数及び少なくとも1つの更なるモデルの係数を決定するステップであって、それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が、前記予め設定されたモデル及び
他の更なるモデルとは異なり、前記
予め設定されたモデル及び前記少なくとも1つの更なるモデルは、
閉数学形式でウェーハ基板の主表面を横切る前記限界寸法値
を近似し、前記
位置依存型プロセスパラメータ、及び/又は前記
位置依存型プロセスパラメータの補正値を少なくとも2つの位置座標の
代数関数として近似
し、
前記少なくとも1つの項は、係数と少なくとも1つの位置座標の代数関数の積である、ステップと、
前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルから取得された近似限界寸法値と前記測定部位において取得された前記限界寸法値との間の残差を決定するステップと、
前記予め設定されたモデル及び前記少なくとも1つの更なるモデルの中で、更新
されたモデルを選択するステップであって、前記選択は、前記残差、
あるいは、前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルの前記項の数、及び/又は前記
予め設定されたモデル
及び前記少なくとも1つの更なるモデルの前記項の次数を重み付けする基準に基づいている、ステップと、
を行うように構成されている、
ウェーハ製造アセンブリ。
【請求項16】
前記プロセッサユニッ
トは、前記更新
されたモデル
の項を記述する情報を出力するように更に構成されている、請求項15に記載のウェーハ製造アセンブリ。
【請求項17】
前記プロセッサユニッ
トは、前記更新
されたモデルに基づいて前記位置依存型プロセスパラメータを更新して、前記露光ツールアセンブ
リに更新
された位置依存型プロセスパラメータを出力するように更に構成されている、請求項15に記載のウェーハ製造アセンブリ。
【請求項18】
前記測定部位において前記ウェーハ構造の前記限界寸法値を取得して、前記プロセッサユニッ
トに前記測定された限界寸法値を出力するように構成された測定ユニットを更に備えている、請求項17に記載のウェーハ製造アセンブリ。
【請求項19】
前記限界寸法値は、オーバーレイ不一致値を含み、
前記露光プロセス内で使用される前記補正
値は、位置オフセットを含み、
それぞれのモデルは、前記オーバーレイ不一致値、前記位置オフセット、及び/又は前記位置オフセットの補正値を前記位置座標の関数として近似するウェーハオーバーレイモデルを含む、請求項15に記載のウェーハ製造アセンブリ。
【請求項20】
前記限界寸法値は、前記ウェーハ構造の限界寸法値を含み、
前記露光プロセス内で使用される前記補正パラメータは、露光パラメータを含み、
それぞれのモデルは、前記限界寸法値、前記露光パラメータ、及び/又は前記露光パラメータの補正値を前記位置座標の関数として近似するウェーハ露光モデルを含む、請求項15に記載のウェーハ製造アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体リソグラフィ及びパターニングの分野に関し、具体的には、プロセス監視及びプロセス制御のために使用されるウェーハモデルの態様に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路、ディスプレイ、及びセンサのような電子デバイスの製造において、フォトリソグラフィシステムは、レチクルから半導体基板にパターンを転写する。レチクルは、回路設計情報を含む。フォトレジスト層は、半導体基板をコーティングする。露光プロセスは、レチクルパターンをフォトレジスト層に転写する。露光プロセスの制御可能なパラメータは、焦点及び線量を含む。「焦点」値は、実際の焦点面と最適パターニング状態についての基準面との間の距離を記述する「デフォーカス」として与えられてもよい。線量値は、露光ビームの放射パワーについての測定値を与える。典型的には、焦点及び線量の最良値は、主表面上での露光ビームの位置座標に両方とも依存する。基板のプロセス履歴における位置変動は、露光結果に影響を及ぼすので、最良の焦点及び線量値もまた時間に依存する。典型的には、焦点及び線量についてのフィードバックループは、前に露光された基板から取得された情報に基づいて、次の露光のための焦点及び線量補正値を提供する。補正値は、典型的には、比較的少ない数の測定部位から取得された情報から導出される。ウェーハモデルは、測定部位から取得された情報に基づいて、フィールド微細補正値又はフィールド内補正値の補間をサポートする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パターニングプロセスのプロセス監視及びプロセス制御を改善するための不断の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実施形態は、ウェーハ露光方法に関する。ウェーハ露光方法について、所定の測定部位におけるウェーハ構造から限界寸法値が取得される。ウェーハ構造を形成するために使用される露光プロセスの位置依存型プロセスパラメータが取得される。測定部位における限界寸法値から、予め設定されたモデル及び少なくとも1つの更なるモデルの係数が決定される。それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたモデル及び別のモデルとは異なる。それぞれのモデルは、限界寸法値、プロセスパラメータ、及び/又はプロセスパラメータの補正値を少なくとも2つの位置座標の関数として近似する。モデルから取得された近似限界寸法値と測定部位において取得された限界寸法値との間の残差が決定される。予め設定されたモデル及び少なくとも1つの更なるモデルの中で、更新式モデルが選択される。選択は、ウェーハモデルについての残差、項の数、及び/又は項の次数を重み付けする基準に基づいている。
【0006】
本出願の別の一実施形態は、ウェーハ製造アセンブリに関する。ウェーハ製造アセンブリは、露光ツールアセンブリを含む。露光ツールアセンブリは、ウェーハ基板をコーティングするフォトレジスト層を露光ビームに露光させ、露光ツールアセンブリは、露光されたフォトレジスト層からウェーハ構造を画定するための位置依存型プロセスパラメータを使用する。プロセッサユニットは、露光ツールアセンブリとデータ接続されている。プロセッサユニットは、ウェーハ構造を画定するために露光ツールアセンブリ内で使用される位置依存型プロセスパラメータを受取る及び/又は保持する。プロセッサユニットは、所定の測定部位において露光されたフォトレジスト層から取得されたウェーハ構造の限界寸法値を更に受取る。プロセッサユニットは、測定部位における限界寸法値から、予め設定されたモデルの、及び少なくとも1つの更なるモデルの係数を決定する。それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたモデル及び別のモデルとは異なる。モデルは、限界寸法値、プロセスパラメータ、及び/又はプロセスパラメータの補正値を少なくとも2つの位置座標の関数として近似する。プロセッサユニットは、モデルから取得された近似限界寸法値と、測定部位において取得された限界寸法値との間の残差を決定する。予め設定されたモデル及び少なくとも1つの更なるモデルの中で、プロセッサユニットは、更新式モデルを選択し、選択は、残差、モデルの項の数、及び/又はモデルの項の次数を重み付けする基準に基づいている。
【0007】
当業者であれば、以下の詳細な説明及び添付図面を読取ることにより、追加の特徴及び利点を認識するであろう。
【0008】
添付図面は、実施形態についての更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてそれの一部を構成する。図面は、露光方法及びウェーハ製造アセンブリの実施形態を示し、記述と一緒に、実施形態の原理を説明するのに役立つ。更なる実施形態が、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に従う少なくとも1つの露光パラメータを監視及び/又は制御するためのプロセッサユニットを含むウェーハ製造アセンブリの区画の概略ブロック図である。
【
図2】実施形態に従うウェーハモデル更新プロセスにおけるペナルティ項の効果を示すための概略図である。
【
図3A】実施形態の効果を示すための一例に従う更新式ウェーハモデルに対するゼルニケ多項式の選択を概略的に示す図である。
【
図3B】実施形態の効果を示すための一例に従う更新式ウェーハモデルに対するゼルニケ多項式の選択を概略的に示す図である。
【
図4】一実施形態に従うウェーハ露光モデル更新のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、参照が本明細書の一部を形成する添付図面になされ、そこには、実施形態が実施されてもよい特定の実施形態が例として示されている。本開示の範囲から逸脱することなく、別の実施形態が利用されてもよく、構造的又は論理的変更がなされてもよいことが理解されるべきである。例えば、一実施形態について示された又は説明された特徴が、別の実施形態において又は別の実施形態と組み合わせて使用されることにより、更に別の実施形態を生み出してもよい。本開示は、そのような修正及び変更を含むことが意図されている。例が、特定の言語を用いて説明されるが、添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。図面は、スケーリングされておらず、例示の目的のみのためのものである。対応する要素は、別途記載されていない場合、様々な図面において同じ参照符号によって指定される。
【0011】
用語「有する」、「含有する」、「含む」、「備える」等は、開いており、該用語は、記載された構造、要素、又は特徴の存在を示すが、追加の要素又は特徴を排除しない。冠詞「a」、「an」及び「the」は、文脈が明示的に別途示さない限り、単数形と同様に複数形を含むことが意図されている。
【0012】
本開示の一実施形態は、ウェーハ露光方法に関する。ウェーハの露光方法は、所定の測定部位におけるウェーハ構造の限界寸法値を取得することを含む。
【0013】
ウェーハ構造は、ウェーハ基板上又はウェーハ基板内に形成された構造を含んでもよい。ウェーハ基板は、基板材料を含む薄い円板であってもよい。基板材料は、半導体材料を含んでもよい。例えば、ウェーハ基板は、一例として、半導体ウェーハ、1つ又は複数の半導体層を含むガラス基板、或いはSOI(シリコンオンインシュレータ)ウェーハであってもよい。
【0014】
ウェーハ構造は、ウェーハ基板の前側にある主表面からウェーハ基板内へと延在するトレンチを含んでもよい。トレンチは、周囲の基板材料とは異なる材料で充填されてもよい。それに代替又は追加して、ウェーハ構造は、ウェーハ基板の前側にある主表面から突出していてもよい。主表面から突出する構造は、例えば、ピラー、ストライプ状リブ及び/又は線パターンを含んでもよい。主表面から突出する構造は、フォトレジスト構造を含んでもよい。
【0015】
それぞれの限界寸法値は、ウェーハ構造のうちの1つについての物理特性、又は2つのウェーハ構造間の位置関係を定量的に記述する。
【0016】
ウェーハ露光方法は、ウェーハ構造を形成するために使用される露光プロセスの位置依存型プロセスパラメータを取得することを更に含んでもよい。露光プロセスは、露光ツールアセンブリを使用してもよい。露光ツールアセンブリは、ウェーハ基板の主表面をコーティングするフォトレジスト層にレチクルパターンを投影するために露光ビームを使用してもよい。プロセスパラメータは、限界寸法値に影響を及ぼすような露光プロセスのパラメータが含まれる。プロセスパラメータは、主表面上での露光ビームの位置の関数として制御されるような露光プロセスのパラメータを含んでもよい。
【0017】
所定の測定部位において取得された限界寸法値から、予め設定されたモデルの係数が決定されてもよい。予め設定されたモデルは、前の露光についての露光パラメータを決定するために使用されたモデルであってもよい。それに加えて、少なくとも1つの更なるモデルの係数が決定されてもよく、それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が予め設定されたモデルと異なり、少なくとも1つの項が別の更なるモデルとは異なる。
【0018】
それぞれのモデルは、閉数学形式で主表面を横切る限界寸法値の分布を近似してもよい。現在のモデルは、測定部位における測定から取得された入力情報を受取る。入力情報から、モデルは、全部の主表面を横切る限界寸法値の分布を記述する出力情報を導出する。入力情報は、測定された限界寸法値及び/又は測定された限界寸法値から導出されたプロセスパラメータを含んでもよい。出力情報は、位置の関数として、推定された限界寸法値、更新式プロセスパラメータ、及び/又はプロセスパラメータ補正値を含んでもよい。出力情報は、表示され、高次のプロセス監視及び/又は管理システムに伝送され、並びに/或いは、次のウェーハ基板の全部の主表面を横切る露光プロセスを制御するために又は現在のウェーハ基板の再加工のために使用されてもよい。
【0019】
位置は、基板主表面のそれぞれの点を明確に画定する位置座標内に記述されてもよい。位置座標は、一例として、直交線形座標(x,y座標系)、又は極座標(r,φ)等の線形座標であってもよい。位置座標は、(フィールド間補正のための)露光フィールドの位置、及び/又は(フィールド内補正のための)それぞれの露光フィールド内の位置を記述してもよい。
【0020】
それぞれのモデルは、項の和によって表される。それぞれの(モデル)項は、少なくとも1つの位置座標及び係数を含む。例えば、それぞれの項は、係数と、少なくとも1つの位置座標の代数関数との積であってもよい。
【0021】
それぞれのモデルの係数は、適合アルゴリズムを使用して取得されてもよい。適合アルゴリズムは、それぞれのモデルによって出力される限界寸法値(「モデルCD」)と実際の限界寸法値(「実際のCD」)との間の偏差を最小にする係数を探索する。実際のCDは、現在のウェーハ基板上での所定の測定部位においてウェーハ構造から直接取得される。モデルCDは、それぞれのモデルが所定の測定部位について出力するものである。適合アルゴリズムは、最小二乗法(LSM)を含んでもよい。
【0022】
次に、それぞれの関係モデルについて別々に、モデルの出力とウェーハ構造から取得された実際のCD値との間の残差が決定される。換言すれば、それぞれの関係モデルについて別々に、モデルCDと実際のCDとの間の残りの差が決定される。
【0023】
次に、予め設定されたモデル及び少なくとも1つの更なるモデルの中で、更新式モデルが選択される。選択は、それぞれのモデルの項の数、及び/又はモデルの項の次数に対する残差の大きさを重み付けする基準に基づいてもよい。典型的には、全残差は、モデルの複雑さの増加と共に、例えば、モデル項の数と共に減少する。しかし、完全なモデルに大きい影響を及ぼす項のみ、例えば、比較的大きく重み付けされた項のみが、典型的に、ウェーハ基板の生産ラインにおいて物理的効果を表し、一方、小さく重み付けされた項は、単に又は主に画像ノイズ効果を表す。項の数をペナルティ項と見なすことによって、モデルの項の数は、生産ラインにおける顕著な物理的効果を表し、そして次の露光に対して系統的な効果をも有することがあるような項に限定されてもよい。一方、物理的背景に割り当てられ得ないモデルのそのような項は、露光プロセスの改良にほとんど寄与せず、モデルの効果に正反対の影響を及ぼす場合がある。
【0024】
所定のモデルの代わりに更新式モデルを用いる露光プロセスについての制御は、更新式モデルが生産ラインにおける現在の支配的な物理的効果により良好に同調されるので、より効果的であり得る。新しいモデル項及び/又はスキップされたモデル項は、ウェーハ基板の生産ラインにおけるプロセスの有意な変化を示すことがある。
【0025】
一実施形態に従うと、更新式モデルの項を記述する情報が、出力されてもよい。例えば、モデル項の任意の変更が、ヒトのオペレータに、或いは高次のプロセス監視及び/又は管理システムに表示されてもよい。モデルの項の任意のスキップ及び項の任意の挿入が、全体的なプロセスシグネチャのいくつかの有意な変化を示してもよい。そのため、キャンセルされたモデル項に関する、及び/又は新たに導入されたモデル項に関する情報は、プロセス制御に有用であることがある。
【0026】
一実施形態に従うと、次の露光プロセス内で使用される位置依存型プロセスパラメータは、更新式モデルに基づいて更新されてもよい。このようにして、現在のウェーハ基板の所定の測定部位から取り出された情報は、次の露光プロセスを改善するために直ちに使用され得る。露光プロセスは、プロセスシグネチャの変化に直ちに適合されてもよい。
【0027】
インライン情報を用いるモデルの不断の更新によって、露光プロセスは、前に処理されたウェーハ基板において検出されなかったようなプロセス変動に、それらの最初の出現後にオペレータによる関与等の関与無しで適応し得る。
【0028】
一実施形態に従うと、更新式モデルの選択は、残差の総量に対してモデル項の数を重み付けするトレードオフに基づいてもよい。例えば、第1項と第2項とを結合する補助関数が定義されてもよい。第1項は、モデルの品質をモデル項の数の関数として表す。第1項は、モデル項の数が増加するにつれて着実に減少してもよい。第2項は、モデル項の数と共に増加してもよい。第2項は、着実に増加、例えば、単調に増加してもよい。項は、加法的に又は乗法的に結合されてもよい。
【0029】
一実施形態に従うと、更新式モデルの選択は、BIC(ベイズ情報基準)又はAIC(赤池情報量基準)のうちの少なくとも1つに基づいてもよい。BICは、式(1)のように定義されてもよく、AICは、式(2)のように定義されてもよい。
式(1): BIC=k・ln(n)-2・ln(^L)
式(2): AIC=2k-2・ln(^L)
【0030】
式(1)及び(2)において、nは、測定部位の数を与え、kは、項の数を与え、^Lは、尤度関数の最大値を示し、これは全残差に反比例することがある。
【0031】
一実施形態によれば、モデルは、ゼルニケ多項式及び/又はルジャンドル多項式のうちの少なくとも1つを含んでもよい。ゼルニケ多項式は、回転座標系に適用する。大部分のウェーハ基板の形状及びプロセスの性質に起因して、多くのプロセス変動は、ゼルニケ多項式を用いて比較的うまく記述され得る誤差をもたらす。
【0032】
例えば、モデルは、例えば、フィールド間補正のために、極座標を用いる多項式項を含んでもよい。フィールド間補正は、基板高さの変動、例えば、堆積効果、ウェーハ曲がり等に基づく影響を低減してもよい。例えば、モデルは、ゼルニケ多項式を含んでもよい。それに追加又は代替して、モデルは、例えば、フィールド内補正のために、デカルト座標を用いる多項式項を含んでもよい。フィールド内補正は、レチクル影響及び/又は設計固有の影響を低減することがある。例えば、モデルは、ルジャンドル多項式を含んでもよい。
【0033】
一実施形態に従うと、更なるモデルのうちの少なくとも1つは、最大次数までの特定タイプの全ての多項式を含んでもよい。例えば、少なくとも1つの更なるモデルは、最大次数までの全てのゼルニケ多項式を含んでもよい。最大次数は、3乃至10の範囲内にあってもよい。最大次数は、BIC又はAICが最小値を有する次数であってもよい。
【0034】
一実施形態に従うと、更新式モデルのそれぞれの係数について、品質指標が決定されてもよい。品質指標は、サンプリング点において取得された限界寸法値の変動からの係数の依存度についての情報を提供してもよい。
【0035】
品質指標は、全ての所定の測定部位から、又は所定の測定部位のいくつかのみから導出されてもよい。例えば、品質指標は、係数に有意に寄与するような所定の測定部位のみから導出されてもよい。品質指標は、限界寸法値のそれぞれのわずかな変動が係数の値に対して小さい影響のみを有する場合に、及び/又は係数の値が限界寸法値の側で単一の異常値に対してロバストである場合に、高いことがある。
【0036】
品質指標は、高次のプロセス監視及び/又は管理システムに伝送されてもよく、或いはヒトのオペレータに表示されてもよい。それに追加又は代替して、更新式モデルについての項の選択は、モデル項の品質指標を考慮してもよい。例えば、更新式モデルについての項の選択は、その係数が予め設定された閾値以下の品質指標を有する項をスキップすることを含んでもよい。
【0037】
例えば、品質指標は、統計的手法、例えば、ブートストラッピングに基づいて計算されてもよい。例えば、それぞれの係数の計算は、サンプリング点から取得された限界寸法値に対して異なる重みを用いる異なる行程において、複数回だけ繰り返されてもよい。例えば、それぞれの繰返しにおいて、少なくとも1つの別のサンプリング点が、係数の計算に対して完全に除外されてもよく、及び/又は少なくとも1つの別のサンプリング点が、係数2によって重み付けされてもよい。係数に割り当てられた品質指標が大きいほど、関係係数についての異なる行程における結果同士の間の差がより小さくなる。
【0038】
一実施形態に従うと、選択は、変動の分布を重み付けする基準に基づいてもよい。例えば、選択は、正規性検定に基づいてもよい。正規性検定は、それぞれのモデルについての変動の分布と正規分布との間の一致度を決定することを含んでもよい。例えば、更新式モデルは、変動の分布と正規分布との間の最良適合をもたらすものであってもよい。一致度は、正規分布とそれぞれのモデルについての変動の分布との間の最小二乗平均誤差から導出されてもよい。
【0039】
オーバーレイ誤差分析及び/又はオーバーレイ補正に関する実施形態に従うと、限界寸法値は、オーバーレイ不一致値を含むことがある。オーバーレイ誤差は、ウェーハ基板の異なる層内に形成された構造同士の間に生じる。
【0040】
オーバーレイ不一致値は、第1水平層内に形成された第1ウェーハ構造と、第2水平層内に形成された第2ウェーハ構造との間のオーバーレイ誤差の種類及び程度を記述する。オーバーレイ誤差は、位置依存型であってもよく、そして、第1ウェーハ構造と第2ウェーハ構造との間の線形オフセット、第1ウェーハ構造に対する第2ウェーハ構造の拡大又はサイズ縮小、及び第1ウェーハ構造に対する第2ウェーハ構造の回転のうちの少なくとも1つを含んでもよい。第2水平層は、第1水平層に直接隣接していてもよい。それに代替して、第3水平層が、第1水平層と第2水平層との間に形成されてもよい。
【0041】
オーバーレイ不一致値が取得される測定部位は、第1水平層における第1使用構造と第2水平層における第2使用構造とを有するウェーハ基板前側にある任意の領域であってもよい。それに代替して、測定部位は、第1及び第2水平層のうちの第1のものに形成された使用構造と、第1及び第2水平層のうちの第2のものにオーバーレイマークとを有する領域であってもよい。更なる代替案に従うと、オーバーレイ不一致値は、離散したオーバーレイマークを含む領域から取得されてもよい。離散したオーバーレイマークは、オーバーレイ誤差を決定するためにだけ又は少なくとも主として使用される。
【0042】
離散したオーバーレイマークは、一例として、平行線及び/又は四角形状のマークの組を含んでもよい。例えば、オーバーレイマークは、第1水平層内の第1四角形と、第2水平層内の第2四角形とを含んでもよい。2つの四角形は、異なるサイズを有してもよい。それぞれの四角形は、長方形、例えば、正方形の辺に沿って配置された4つの線状縞を含んでもよい。
【0043】
オーバーレイ分析及び/又はオーバーレイ補正について、制御可能なプロセスパラメータは、位置オフセットを含んでもよい。位置オフセットは、線形オフセット、例えば、xオフセット及びyオフセットを含んでもよい。xオフセットは、第1水平軸(x軸)に沿った基準位置からのウェーハ基板の横方向変位に関する情報を含んでもよい。yオフセットは、第2水平軸(y軸)に沿った基準位置からのウェーハ基板の変位に関する情報を含んでもよい。第2水平方向は、第1水平方向と直交していてもよい。
【0044】
更に、オーバーレイ分析及び/又はオーバーレイ補正について、それぞれのモデルは、ウェーハオーバーレイモデルを含んでもよい。ウェーハオーバーレイモデルは、オーバーレイ不一致値、位置オフセット、及び/又は位置オフセット補正値を基板主表面に対する位置座標の関数として近似する。
【0045】
オーバーレイ分析及び/又はオーバーレイ補正のためのウェーハ露光方法の適用を反映する項において、それぞれのウェーハオーバーレイモデルは、閉数学形式で、基板主表面を横切る全オーバーレイ誤差を近似する。それぞれのオーバーレイモデルは、項の和によって表される。それぞれの(モデル)項は、少なくとも1つの位置座標及び係数を含む。例えば、それぞれの項は、係数と、少なくとも1つの位置座標の関数との積であってもよい。
【0046】
現在のオーバーレイモデルは、オーバーレイマークでの測定から取得された入力情報を受取る。入力情報から、オーバーレイモデルは、全部の基板主表面にわたって位置依存型オーバーレイ誤差を記述する出力情報を導出する。入力情報は、オーバーレイマークにおいて測定されたオーバーレイ誤差を含んでもよい。出力情報は、推定された位置依存型オーバーレイ誤差、更新式位置オフセット、及び/又は位置オフセット補正値を位置座標の関数として含んでもよい。
【0047】
一実施形態に従うと、オーバーレイモデルは、式(3)及び(4)に表されるような項を含んでもよい。
式(3): Δx=Γ1・x+R1・x・y+WM1・y
式(4): Δy=Γ2・y+R2・x・y+WM2・x
【0048】
それぞれのオーバーレイモデルの係数Γ1、Γ2、R1、R2、WM1、WM2は、適合アルゴリズムから取得されてもよい。適合アルゴリズムは、モデル化されたオーバーレイ誤差とオーバーレイマークにおける実際のオーバーレイ誤差との間の偏差を最小にする係数値を探索する。実際のオーバーレイ誤差は、現在のウェーハ基板の1つ又は複数のオーバーレイマークから直接取得されるものである。モデルオーバーレイ誤差は、オーバーレイマークの位置に対してオーバーレイモデルが出力するものである。適合アルゴリズムは、最小二乗法を含んでもよい。
【0049】
次に、それぞれの関係オーバーレイモデルについて別々に、オーバーレイモデルの出力とオーバーレイマークで取得されたオーバーレイ誤差との間の残差が決定される。換言すれば、それぞれの関係オーバーレイモデルについて別々に、モデルオーバーレイ誤差と実際のオーバーレイ誤差との間の残りの差が決定される。
【0050】
次に、予め設定されたオーバーレイモデル及び少なくとも1つの更なるオーバーレイモデルの中で、更新式オーバーレイモデルが選択される。選択は、上記で説明したように、ウェーハオーバーレイモデルの項の数に対して及び/又は項の最大次数に対して、残差の大きさ及び/又は分布を重み付けする基準に基づいてもよい。
【0051】
出力情報は、高次のプロセス監視及び/又は管理システムに表示され、伝送されてもよく、並びに/或いは再加工のために使用されてもよい。例えば、第2ウェーハ構造は、フォトレジスト構造であってもよい。フォトレジスト構造は、除去されてもよく、更なる感光層が、更新式オーバーレイモデルの出力情報を使用することがある更なる露光プロセスにおいてパターニングされた状態で堆積されてもよい。一実施形態に従うと、ウェーハ基板の露光に使用される位置依存型位置オフセットは、更新式オーバーレイモデルに基づいて更新されてもよい。
【0052】
露光分析及び/又は露光補正に関する実施形態に従うと、限界寸法値は、物理的ウェーハ構造の少なくとも1つの物理的特性を定量的に記述する限界寸法(以下、CDという)を含んでもよい。例えば、CDは、円形レジスト特徴の直径、非円形レジスト特徴の短軸の長さ、非円形レジスト特徴の長軸の長さ、縞状レジスト特徴の線幅、同一平面内の2つのレジスト特徴同士の間又は2つの基板特徴同士の間の空間の幅、レジスト特徴の側壁角度、レジスト特徴の表面積、或いはレジスト特徴の線端粗さを含んでもよい。
【0053】
限界寸法が取得される測定部位は、サンプリング点であってもよい。サンプリング点は、露光フィールド内にあってもよく、露光フィールドの外側、例えば、ウェーハエッジ領域、チップ領域内、及び/又はチップ領域の外側、例えば、ウェーハ基板のカーフ領域内にあってもよい。サンプリング点の数及び位置は、サンプリング計画において規定されてもよい。サンプリング計画は、静的であってもよく、又は動的であってもよい。動的サンプリング計画では、1つ又は複数のサンプリング点の位置が変化してもよく、及び/又はサンプリング点の数が時間と共に変化してもよい。
【0054】
また、露光分析及び/又は露光補正について、制御可能なプロセスパラメータは、ウェーハ構造を形成するために、プロセスにおいて使用される露光プロセスの位置依存露光パラメータを含んでもよい。露光パラメータは、限界寸法に影響を与える。露光パラメータは、絶対焦点値、焦点ずれ値、焦点補正値、線量値、線量補正値、及び/又は露光方法の入力パラメータ、例えば、露光ツールアセンブリの入力パラメータが、それから明白に導出されてもよい任意の別のパラメータ又はパラメータの組を含んでもよい。露出パラメータは、1つの単一パラメータ、例えば、露光線量又は焦点値を含んでもよく、或いは露光線量と焦点値との組み合わせを含んでもよい。
【0055】
物理的ウェーハ構造を規定する露光プロセス内で使用される露光パラメータは、予め決定された露光パラメータであってもよく、又は露光パラメータを与える事例から受取られてもよい。露光パラメータを与える事例は、露光が行われる露光ツールアセンブリに組み込まれた又は割り当てられたプロセッサユニットであってもよい。それに代替又は追加して、プロセッサユニットは、露光ツールアセンブリとデータ接続されたサーバ装置に組み込まれるか又はそれに割り当てられてもよい。
【0056】
更に、露光分析及び/又は露光補正について、それぞれのモデルは、ウェーハ露光モデルを含んでもよい。ウェーハ露光モデルは、CD、露光パラメータ、及び/又は露光パラメータ補正値を基板主表面についての位置座標の関数として近似する。それぞれのウェーハ露光モデルは、上記のように項の和によって表される。
【0057】
ウェーハ露光モデルは、例えばフィールド間補正のために、極座標を用いる多項式項を含んでもよい。フィールド間補正は、基板高さの変動、例えば、堆積効果、ウェーハの曲がり等に基づく影響を低減してもよい。フィールド内補正は、設計固有の影響を低減してもよい。例えば、ウェーハモデルは、ゼルニケ多項式を含んでもよい。それに追加又は代替して、ウェーハ露光モデルは、例えば、フィールド内補正のために、デカルト座標を用いる多項式項を含んでもよい。例えば、ウェーハ露光モデルは、ルジャンドル多項式を含んでもよい。
【0058】
現在のウェーハ露光モデルは、サンプリング点における測定から取得された入力情報を受取る。入力情報から、ウェーハ露光モデルは、全部の主表面を横切る限界寸法の分布を記述する出力情報を導出する。入力情報は、測定されたCD及び/又は測定されたCDから導出された露光パラメータを含んでもよい。出力情報は、推定されたCD、更新式露出パラメータ、及び/又は露出パラメータ補正値を位置座標の関数として含んでもよい。出力情報は、高次のプロセス監視及び/又は管理システムに表示、伝送されてもよく、並びに/或いは次のウェーハ基板の全部の主表面を横切って露光プロセスを制御するために使用されてもよい。
【0059】
残差の全体の大きさは、モデルCDと実際のCDとの間の残りの偏差についての尺度である。特に、残差の全体の大きさは、それぞれの物理モデルの品質の効果を与えてもよい。物理モデルにおける項の数を増加させるのに伴って、残差全体がより小さくなる。しかし、項の数の増加に伴って、着実に増加する程度に、追加の項は、ウェーハ露光モデルをプロセス非重要ノイズに従わせる傾向にある。残差だけでなく、ウェーハ露光モデルの項の数も考慮する基準に基づくウェーハ露光モデルの選択は、更新式ウェーハ露光モデルが、高い程度に系統的誤差にのみ追従することをもたらし、したがって、そのような誤差は、プロセス履歴においてプロセス効果に実際に寄与する可能性がある。
【0060】
ウェーハ構造は、ウェーハ基板の主表面上に形成されてもよいフォトレジスト構造を含んでもよい。ウェーハ基板は、基板材料を含む薄い円板であってもよい。基板材料は、半導体材料を含んでもよい。例えば、ウェーハ基板は、一例として、半導体ウェーハ、1つ又は複数の半導体層を含むガラス基板、又はSOI(シリコンオンインシュレータ)ウェーハであってもよい。
【0061】
フォトレジスト構造は、活性化又は不活性化光活性成分を含んでもよい。フォトレジスト構造は、露光されたフォトレジスト層を現像することによって取得される。フォトレジスト構造は、複数の横方向に分離されたレジスト特徴を含んでもよい。換言すれば、フォトレジスト構造は、基板主表面の1つ又は複数の第1部分を覆ってもよく、そして基板主表面の1つ又は複数の第2部分を露光してもよい。
【0062】
一実施形態に従うと、フォトレジスト構造を形成することは、基板主表面上に形成されている第1フォトレジスト層を露光することを含んでもよい。露光は、位置依存型露光パラメータを使用する。
【0063】
露光された第1感光性層が現像されてもよく、露光された第1感光性層からフォトレジスト構造が取得される。この目的のために、第1感光性層の露光された部分は、露光されていない部分に対して選択的に除去されてもよく、又は第1感光性層の露光された部分は、露光された部分に対して選択的に除去されてもよい。
【0064】
ウェーハ露光モデルの残差及び項の数の両方を考慮する基準に基づいてウェーハ露光モデルを更新する技術を適用することが、メモリデバイス、マイクロプロセッサ、論理回路、アナログ回路、パワー半導体デバイス等の半導体デバイスの製造を高い複製忠実度で製造することを容易にすることがあり、そして、半導体デバイス、特に100nm未満の小さい横方向特徴寸法を有する半導体デバイスについての製造プロセスの歩留まりを向上させることがある。
【0065】
一実施形態に従うと、第2フォトレジスト層が、第2ウェーハ基板上で露光されてもよく、露光は、更新式ウェーハ露光モデルから取得された位置依存型の露光パラメータの対を使用する。
【0066】
別の一実施形態によれば、本開示は、ウェーハ製造アセンブリに関する。特に断らない限り、ウェーハ製造アセンブリについての説明は、上述のウェーハ露光方法に関して導入される項及び概念を使用する。
【0067】
露光ツールアセンブリは、基板をコーティングするフォトレジスト層を、位置依存型プロセスパラメータに従う露光ビームに露光してもよい。露光ツールアセンブリは、次に、露光されたフォトレジスト層からフォトレジスト構造を形成する。例えば、露光ツールアセンブリは、リソグラフィ露光ユニット及び現像ユニットを含んでもよい。露光ユニットにおいて、レチクルが露光ビームを横方向に変調させる。横方向に変調された露光ビームは、フォトレジスト層の露光位置にある光活性化合物を活性化させる。現像ユニットは、フォトレジスト層の露光部分又は非露光部分を選択的に除去してもよい。フォトレジスト層の残留物は、フォトレジスト構造を形成する。
【0068】
フォトレジスト構造及び/又はフォトレジスト構造に由来する基板構造は、ウェーハ構造を形成する。例えば、基板構造は、エッチングマスクとして使用されるフォトレジスト構造を用いてウェーハ基板をエッチングすることによって取得されてもよい。
【0069】
プロセッサユニットは、露光ツールアセンブリとデータ接続されてもよい。例えば、プロセッサユニットは、フォトレジスト構造を形成するための露光ツールアセンブリにおいて使用される位置依存型プロセスパラメータを受取ってもよい。プロセッサユニット及び露光ツールアセンブリは、直接データ接続されてもよく、プロセッサユニットは、露光ツールアセンブリから直接、位置依存型プロセスパラメータを受取ってもよい。それに代替又は追加して、プロセッサユニット及び露出ツールアセンブリは、別のデータ管理ユニット、例えば、サーバを介してデータ接続されてもよく、プロセッサユニットは、データ管理ユニットから直接、位置依存型プロセスパラメータを受取ってもよい。それに代替又は追加して、プロセッサユニットは、前に使用されたプロセスパラメータを記憶してもよく、そして前に決定されたプロセスパラメータを使用してもよい。
【0070】
プロセッサユニットはまた、測定部位においてフォトレジスト構造から取得されたフォトレジスト構造及び/又は基板構造の限界寸法値を受取ってもよい。
【0071】
測定部位における限界寸法値から、プロセッサユニットは、予め設定されたモデルの係数及び少なくとも1つの更なるモデルの係数を決定してもよく、それぞれの更なるモデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたウェーハモデル及び別のウェーハモデルと異なり、ウェーハモデルは、限界寸法値及び/又はプロセスパラメータの補正値を少なくとも2つの位置座標の関数として近似する。プロセッサユニットは更に、それぞれの関係モデルについて別々に、モデルの出力とウェーハ構造から取得された限界寸法値との間の残差を決定してもよい。予め設定されたモデル及び少なくとも1つの更なるモデルの中で、プロセッサユニットは、更新式モデルを選択してもよく、選択は、モデルの項の数及び/又は項の次数に対する残差を重み付けする基準に基づいている。
【0072】
限界寸法値は、上述したようなオーバーレイ不一致値及び/又はCDを含んでもよい。プロセスパラメータは、上述したような露光パラメータ及び/又は位置オフセットを含んでもよい。モデルは、上述したようなウェーハ露光モデル及び/又はウェーハオーバーレイモデルを含んでもよい。
【0073】
一実施形態によれば、プロセッサユニットは、更新式モデルの項を記述する情報を出力するように構成されてもよい。
【0074】
一実施形態によれば、プロセッサユニットは、更新式モデルに基づいて位置依存型プロセスパラメータを更新するように、及び更新式位置依存型プロセスパラメータを露光ツールアセンブリに出力するように構成されてもよい。
【0075】
一実施形態によれば、ウェーハ製造アセンブリは、測定ユニットを含んでもよく、該測定ユニットは、所定の測定部位においてウェーハ構造の限界寸法値を取得する、例えば、測定する。測定ユニットは、測定された限界寸法値をプロセッサユニットに出力してもよい。
【0076】
図1は、露光ツールアセンブリ300を有するウェーハ製造アセンブリ900の一部を示す。露光ツールアセンブリは、コーティング機ユニット310と、リソグラフィ露光ユニット320と、現像ユニット330と、を含む。複数の前処理されたウェーハ基板100が、露光ツールアセンブリ300に連続して供給される。ウェーハ基板100は、一例として、半導体ウェーハ、半導体層若しくはその上に形成された半導体要素を有するガラス基板、又はSOI(半導体オンインシュレータ)ウェーハであってもよい。コーティング機ユニット310及び現像ユニット330のそれぞれは、同じタイプのプロセスを適用する2つ以上のサブユニットを含んでもよい。
【0077】
基体バッチ(例えば、ウエーハロット)のウェーハ基体100は、同じ電子回路を形成するために同じプロセスを受けることがある。例えば、基板バッチのウェーハ基板100は、同じタイプの異なるプロセスユニットに連続して供給されてもよく、同じタイプのプロセスユニットは、同じタイプのプロセスを適用する。それに代替して、ウェーハ基板100は、同じプロセスユニットに連続して供給されてもよく、それぞれのプロセスユニットは、ウェーハ基板100のいくつかが並列で処理されてもよい1つ又は複数のサブユニットを含んでもよい。
【0078】
例えば、ウェーハ基板100は、コーティング機ユニット310に供給されてもよい。コーティング機ユニット310は、それぞれの基板100の主表面上にフォトレジスト層を堆積させる。フォトレジスト層に加えて、コーティング機ユニット310、1つ又は複数の補助層、例えば、反射防止コーティングを堆積させてもよい。例えば、コーティング機ユニット310は、スピナーユニットを含んでもよく、該スピナーユニットは、基板主表面上にレジスト材料を施して、ウェーハ基板100を回転させることによってレジスト材料を均一に分布させる。レジスト材料は、光活性成分(PCA)、溶媒、及びレジンを含んでいてもよい。コーティング機ユニット310は、コーティング後の溶媒の少なくとも一部分を蒸発させるための加熱設備を含んでもよい。フォトレジストコーティングされたウェーハ基板100は、露光ユニット320に搬送される。
【0079】
リソグラフィ露光ユニット320において、露光ビームが標的パターンをフォトレジスト層に転写し、露光ビームは、露光部分においてフォトレジスト層の光活性成分を選択的に活性化又は不活性化させてもよい。露光ビームは、電磁放射のビーム又は粒子ビームであってもよい。一実施形態に従うと、露光ビームは、365nmよりも短い、例えば、193nm以下の波長を有する光又は電磁放射を含み、電磁放射は、レチクルを通過するか、又はレチクルで反射して、レチクルパターンをフォトレジスト層に結像させる。
【0080】
露光ビームによって露光されたフォトレジスト層の部分において、光活性成分は、光活性化合物を活性化又は不活性化させてもよい。例えば、露光ビームは、前に重合されなかった化合物の重合、又は前に重合された化合物の解重合に影響を及ぼすことがある。露光後に、フォトレジスト層は、レチクルパターンの潜像を含む。
【0081】
1つのウェーハ基板100の露光は、全部の基板主表面について単一の露光を含んでもよく、又は主表面上の隣接する露光フィールド内に複数の露光を含んでもよい。後者の場合、同じパターンが、それぞれの露光フィールドに結像されてもよい。それぞれの露光は、上述したような焦点及び線量等の露光パラメータによって規定される。焦点及び線量のうちの少なくとも1つは、同じウェーハ基板100上の、同じ基板バッチのウェーハ基板100同士の間の、及び/又は異なる基板バッチ同士の間の、異なる露光フィールドに対して異なってもよい。露光されたフォトレジスト層を有するウェーハ基板100は、現像ユニット330に搬送される。
【0082】
リソグラフィ露光ユニット320は、基板ステージを更に含んでもよい。露光中、ウェーハ基板は、露光位置内に露光フィールドを有する基板ステージ上に固定されてもよい。基板ステージが露光ビームに対して移動可能あることにより、露光ビームは、直線走査方向(y方向)に沿って及び/又は走査方向に対して逆方向に、露光フィールドを走査してもよい。露光ビームは、均一な走査速度で1回又は数回だけそれぞれの露光フィールドを走査してもよい。露光フィールドの露光が完了した後に、基板ステージは、少なくとも1つの横方向に移動してもよく、別の露光フィールドが露光位置に配置される。
【0083】
現像ユニット330は、フォトレジスト層の露光部分と非露光部分との異なる溶解速度を使用して、非露光部分に対して露光部分を又はその逆のいずれかで選択的に溶解する。現像ユニット330は、溶剤残渣を蒸発させるため及び/又は現像されたレジスト層を化学的に改質するための露光後ベークのための加熱チャンバを含んでもよい。例えば、熱処理は、現像されたレジスト層を硬化させてもよく、又は現像されたレジスト層の基板主表面上への密着性を向上させてもよい。現像されたレジスト層は、フォトレジスト構造を形成する。フォトレジスト構造は、複数の横方向に分離されたレジスト特徴を含んでもよく、又は開口を有する1つ又は複数のレジスト特徴を含んでもよい。
【0084】
測定ユニット400は、上述したように、サンプリング点における限界フォトレジスト特徴の限界寸法を決定してもよい。測定ユニット400は、露光ツールアセンブリ300の一体的部分であってもよく、又はウェーハ基板100は、遠隔測定ユニット400に転送されてもよい。測定ユニット400は、フォトレジスト構造によって画定されるウェーハ構造の限界寸法を決定してもよい。例えば、測定ユニット400は、フォトレジスト構造をエッチングマスクとして使用することによって取得される基板特徴の限界寸法を決定してもよい。サンプリング点は、サンプリング計画において画定されたウェーハ基板100上での位置である。測定ユニット400は、一例として、OCD(光学的限界寸法)光波散乱計測による限界寸法値、SEM(走査電子顕微鏡)によって取得される画像の検査、及び光学顕微鏡によって取得される画像の検査に関する情報を取得してもよい。
【0085】
限界寸法値は、上述したような物理的寸法のうちの任意のものを含んでもよい。以下において、略語「CD」は、全ての種類の限界寸法値を含むものとして理解されるべきであり、限界レジスト特徴の線及び空間の幅、又は限界レジスト特徴の面積に限定されるものではない。
【0086】
測定ユニット400への転送の前に、露光後プロセスは、例えば、ウェーハ基板100に溝及び/又はトレンチを形成するためのエッチングマスクとして、インプラントマスクとして、又は別の修正プロセスのためのマスクとして、レジストパターンを使用してもよい。この場合、測定ユニット400は、フォトレジスト構造の特徴の代わりに、処理後の基板のCDを測定してもよい。
【0087】
プロセッサユニット200は、サンプリング点における、現像されたフォトレジスト構造及び/又は処理後のウェーハ基板100から取得された測定CDを受取ってもよい。プロセッサユニット200は、高度プロセス制御(APC)機能を含んでもよい。換言すれば、同じ露光ツールアセンブリ300又は別の露光ツールアセンブリにおいて前に処理された1つ又は複数のウェーハ基板100から取得されたCDに基づいて、プロセッサユニット200は、現在のCD測定値に応じて、少なくとも1つの露出パラメータを連続的に更新してもよい。
【0088】
この目的のために、プロセッサユニット200は、比較的少ない数のサンプリング点に基づいて、少なくとも1つの露光パラメータに対するフィールド微細及び/又はフィールド内微細補正値を補間する予め設定されたウェーハ露光モデルを使用してもよい。更に、プロセッサユニット200は、現在の基板のサンプリング点で取得された現在のCDに基づいて、予め設定されたウェーハ露光モデルの係数を更新してもよい。
【0089】
プロセッサユニット200は、上述したようなウェーハ露光モデル更新機能を更に含む。それぞれのウェーハ露光モデル更新は、2つのステップのうちの少なくとも1つを含んでもよい。第1ステップは、更新式ウェーハモデルに使用される多項式についての最大次数を決定してもよい。第2ステップは、最大次数までの全ての多項式から、実際の限界寸法値からの変動からみれば、更新式ウェーハ露光モデルを改善しない又は無視できる程度にしか改善しないような多項式を除去してもよい。
【0090】
術語「第1ステップ」及び「第2ステップ」は、暗示の経時的順序を示すものとして理解されるべきではない。第2ステップは、第1ステップの後に続いてもよく、第1ステップと交互配置されてもよく、又は第2ステップの結果が第1ステップの終了と同時に若しくはそれよりも前でも利用可能であるように、第1ステップと同時に実行されてもよい。
【0091】
それに代替又は追加して、プロセッサユニット200は、現像されたフォトレジスト構造内に及び/又は処理後のウェーハ基板100内に少なくとも部分的に形成されたオーバーレイマークから取得されたオーバーレイ不一致を受取ってもよい。プロセッサユニット200は、ステージ制御機能を含んでもよい。同じ露光ツールアセンブリ300において又は別の露光ツールアセンブリにおいて前に処理された1つ又は複数のウェーハ基板100から取得されたオーバーレイ情報に基づいて、プロセッサユニット200は、露光位置に位置オフセットを加えてもよい。
【0092】
この目的のために、プロセッサユニット200は、オーバーレイマークにおいて検出されたオーバーレイ誤差に基づいて、位置オフセットのためのフィールド微細及び/又はフィールド内微細補正値を補間する予め設定されたウェーハオーバーレイモデルを使用してもよい。更に、プロセッサユニット200は、オーバーレイマークにおいて取得された現在のオーバーレイ不一致値に基づいて、予め設定されたウェーハオーバーレイモデルの係数を更新してもよい。
【0093】
プロセッサユニット200は、上述したようなウェーハオーバーレイモデル更新機能を更に含む。それぞれのウェーハオーバーレイモデル更新は、ウェーハ露光更新機能について上述したような2つのステップのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0094】
図2は、ウェーハモデル更新についての第1ステップを指す。様々な最大次数までのゼルニケ多項式を使用するウェーハモデルについて、線501は、RMSE (二乗平均平方根誤差)を示し、線502は、BICを示す。挿入画像503は、基板主表面上の例示的なCD分布を概略的に視覚化しており、異なる階調レベルは、異なる限界寸法値を示す。例示的なCD分布は、圧倒的に、基板主表面の中心について点対称である。
【0095】
挿入画像503の例示的なCD分布について、1次のゼルニケ多項式は、単一方向のCD変動を記述するであろうが、ウェーハモデルの改善には寄与しない。
【0096】
2次ゼルニケ多項式のうちの1つは、点対称変動を記述する。2次の多項式を加えることによって、RMSEとBICの両方が有意に低下し得る。挿入画像504は、2次までの全てのゼルニケ多項式を使用してもよいウェーハモデルによって記述されたCD分布を概略的に視覚化している。
【0097】
RMSEとBICの両方の更なる有意な低下は、3次ゼルニケ多項式を使用するウェーハモデルから、4次ゼルニケ多項式を使用するウェーハモデルへの移行において観察され得る。挿入画像505は、4次までの全てのゼルニケ多項式を使用するウェーハモデルによって記述されたCD分布を概略的に視覚化している。挿入画像505は、挿入画像504よりも、挿入画像503の例示的なCD分布との有意なより良好な一致を示す。
【0098】
4次を超える項を使用して、RMSEを更に改良してもよい。しかし、BIC値の上昇が、更なる次数が画像ノイズに寄与するにすぎないことを示す。この例では、4次までのゼルニケ多項式を用いるウェーハモデルが、最小のBIC値を有する。最小のBIC値は、最良適合ウェーハモデルに対する最大ゼルニケ次数を高い確率をもって示す。換言すれば、最小のBIC値は、どの次数までのゼルニケ多項式が結像システム効果に寄与し、ゼルニケ多項式でのどの次数からがむしろノイズに追従するかを示す。
【0099】
第2ステップは、決定された最大次数までのそれぞれの多項式の妥当性を検証することを含んでもよい。
図2の例では、1次及び3次の多項式は、明らかにRMSEに有意な影響を及ぼすことがなく、更新式ウェーハモデルは、1次及び3次の多項式無しで機能してもよい。後の時点で露光される基板について、1次又は3次の多項式のうちの1つを使用するウェーハモデルがRMSEの減少をもたらす場合、これはプロセスシグネチャの有意な変化を示してもよい。ウェーハモデルは、新たに検出されたプロセスシグネチャの最初の発生とジャストインタイムで新たなプロセスシグネチャに適合されてもよい。
【0100】
再び
図1を参照すると、プロセッサユニット200は、インターフェースユニット290を介して、更新式ウェーハモデルの構成に関する情報を出力してもよい。インターフェースユニット290は、情報がヒトのオペレータに提示されてもよいディスプレイを含んでもよい。それに代替又は追加して、インターフェースユニット290は、高次のプロセス監視及び/又は管理システムへのデータリンクを含んでもよい。それに代替又は追加して、プロセッサユニット200は、次の露光のために更新式露光パラメータを決定するために、更新式ウェーハモデルを使用してもよい。
【0101】
図3A及び3Bは、可能なウェーハモデル更新を可視化する。第1ウェーハモデル更新ステップの結果は、4次超の項がウェーハモデルを改善しないことであってもよい。次に、4次までの15個のゼルニケ多項式の全32768個の可能な組合せを含むウェーハモデルの品質が検証されてもよい。
【0102】
それぞれのウェーハモデルの品質は、残差の総量、例えば、RMSEを示す第1項と、多項式の数、例えば、BICを示す第2項と、に基づいて決定されてもよい。
【0103】
第1基板について、第2ウェーハモデル更新ステップの結果は、2次までの全てのゼルニケ多項式、及び4次の点対称ゼルニケ多項式を含むウェーハモデルが、最良適合ウェーハモデルをもたらすことであってもよい。
【0104】
図3Aにおいて、第1基板について決定された最良ウェーハモデルのゼルニケ多項式が、点線の円を用いて示されている。
【0105】
同じ露光ツールにおいて後に処理される第2基板について、第2ウェーハモデル更新ステップの結果は、2次ゼルニケ多項式のうちの1つの代わりに3次ゼルニケ多項式のうちの1つを含むウェーハモデルが、第1基板についての最良ウェーハモデルよりも良好なウェーハモデルをもたらすことがあることであってもよい。
【0106】
図3Bにおいて、第2基板についての最良適合ウェーハモデルのゼルニケ多項式が、点線の円で示されている。
【0107】
多項式レベルでのウェーハモデルの変更は、プロセスシグネチャの特徴的な変化を示してもよい。この変化は、高次のプロセス監視及び/又は管理システム、或いはヒトのオペレータに信号伝達されてもよい。それに追加して、更新式ウェーハモデルは、変化させられたプロセスシグネチャに対する露光ツールのジャストインタイムの応答のために使用され得る。
【0108】
それに代替して、「更新式」ウェーハモデルは、プロセスシグネチャの変化を信号伝達するためにのみ使用され、一方、決定された最大次数までの全てのゼルニケ多項式を使用するウェーハモデルが、露光パラメータを更新するために使用されてもよい。
【0109】
それに代替して又は第2ウェーハモデル更新ステップに追加して、ウェーハモデル更新は、第3ウェーハモデル更新ステップを含んでもよい。第3ウェーハモデル更新ステップは、品質指標を、更新式ウェーハモデルの多項式を選択するための安定基準とみなしてもよい。品質指標は、幾何学的考察に基づいてもよく、及び/又は統計的考察に基づいてもよい。
【0110】
図4は、ウェーハ露光モデル更新700を使用する実施形態を示すフローチャートである。ステップ702において、デフォルトウェーハモデルが、現在のウェーハモデルとして選択されてもよい。選択は、経験的知識に基づいてもよい。
【0111】
ステップ710は、所定の測定部位(例えば、サンプリング計画において規定されたサンプリング点)において測定ツールから取得されたマーク微細測定データ705に基づいて、現在のウェーハ露光モデルについてのモデル係数795を決定する。モデル係数795は、APCシステムに伝送されてもよい。
【0112】
ウェーハ露光モデル更新が可能にされる場合、ウェーハ露光モデル更新700は、更新式ウェーハ露光モデルが特定の要件を満たすならば、ステップ710においてデフォルトウェーハ露光モデルを更新式ウェーハ露光モデルと置き換えてもよい。
【0113】
この目的のために、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ720において、予め設定されたデフォルトウェーハ露光モデルを用いて更新式ウェーハ露光モデルを初期化してもよい。
【0114】
ステップ730は、更なるウェーハ露光モデルを形成し、該更なるウェーハ露光モデルは、少なくとも1つの項が、更新式ウェーハ露光モデル及び全ての前にチェックされたウェーハ露光モデルとは異なる。
【0115】
ステップ740は、更なるウェーハ露光モデル及び更新式ウェーハ露光モデルのうちのどの1つが、より良好な係数選択、例えば、より良好なBIC値を提供するかをチェックする。例えば、更なるウェーハ露光モデルのBIC値が、更新式ウェーハ露光モデルのBIC値よりも小さくない場合には、更なるウェーハ露光モデルは、予め設定されたウェーハ露光モデルよりも良好に機能することが期待されず、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ780に進む。そうでなければ、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ750に進む。
【0116】
ステップ750は、更なるウェーハ露光モデルが十分に安定して機能するか否か、及び安定基準を満たすか否かをチェックする。例えば、上記のように、更なるウェーハ露光モデルがブートストラップ試験に合格しない場合、更なるウェーハ露光モデルは、十分に安定して実行することが期待されず、そしてウェーハ露光モデル更新は、ステップ780に進む。そうでなければ、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ760に進む。
【0117】
ステップ760は、更なるウェーハ露光モデルが正規性検定に合格するか否かをチェックする。例えば、更なるウェーハ露光モデルが上述のような正規性検定に合格しない場合には、更なるウェーハ露光モデルは、全ての有意なプロセスシグネチャを十分に網羅することが期待されず、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ780に進む。そうでなければ、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ770に進む。
【0118】
ステップ770において、現在の更なるウェーハ露光モデルは、十分に安定しており、そして前に更新されたウェーハ露光モデルよりも良好に機能すると仮定されるが、新しい更新式ウェーハ露光モデルとして規定される。次いで、ウェーハ露光モデル更新が、ステップ780に進む。
【0119】
ステップ780は、以前にチェックされなかった別の可能なウェーハ露光モデルが存在するか否かをチェックする。存在する場合、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ730に戻る。そうでなければ、ウェーハ露光モデル更新は、ステップ790に進む。
【0120】
ステップ790は、ステップ710において使用されたデフォルトウェーハ露光モデルを、最後に更新されたウェーハ露光モデルと置き換える。
【0121】
例示のために、様々なシナリオが、プロセスシグネチャを監視する方法、及び露光方法をプロセスシグネチャの変化に適合させるための方法に関して説明されてきた。同様の技術が、露光ツールアセンブリ内での基板のアライメントを監視する方法と、同じ基板上での連続露光のオーバーレイを監視する方法とを組み合わせて実施されてもよい。以下では、前に定義した用語が、上記と同様の意味で使用される。
【0122】
一実施形態に従うと、アライメント方法は、基板上及び/又は基板内に形成されたアライメントマークの幾何学的値を測定することと、幾何学的値から、予め設定されたアライメントモデル及び少なくとも1つの更なるアライメントモデルの係数を決定することであって、それぞれの更なるアライメントモデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたアライメントモデル及び別のモデルとは異なり、アライメントモデルは、少なくとも2つの位置座標に依存する幾何学的値について幾何学的値及び/又は補正値を近似する、ことと、アライメントモデルの出力と幾何学的値との間の残差を決定することと、予め設定されたアライメントモデル及び少なくとも1つの更なるアライメントモデルの中で、更新式アライメントモデルを選択することであって、選択は、残差及びアライメントモデルの項の数を考慮する基準に基づいている、ことと、を含んでもよい。
【0123】
アライメントマークは、1つ又は複数の空間的に分離された基板特徴、例えば、周囲の材料とは異なる材料の溝又は構造を含んでもよい。典型的には、基板上のアライメントマークは、露光ユニットのレチクルに基板を整列させるために使用される。
【0124】
露光ツール内のステージ上に基板を設置した後に、適用可能であれば、自動化された事前アライメント後で露光前に、1つ又は複数のアライメントマークの幾何学的値が、例えば、露光ツール内に一体化された測定ユニットによって取得されてもよい。幾何学的値は、露光ツール内での基板非アライメント、例えば、基板上のレチクルの1つ又は複数のアライメントマークの投影と基板上の1つ又は複数のアライメントマークとの間の非アライメントを記述してもよい。
【0125】
取得された幾何学的値から、予め設定されたアライメントモデルの係数が決定されてもよい。予め設定されたアライメントモデルは、前の露光についてのステージパラメータを決定するために使用されたアライメントモデルを含んでもよい。ステージパラメータは、xオフセット値及びyオフセット値を含んでもよい。xオフセット値及びyオフセット値は、通常位置からのステージの変位を記述してもよい。それに加えて、少なくとも1つの更なるアライメントモデルの係数が決定されてもよく、それぞれの更なるアライメントモデルは、少なくとも1つの項が予め設定されたアライメントモデルとは異なってもよく、及び少なくとも1つの項が別の更なるアライメントモデルとは異なってもよい。
【0126】
それぞれのアライメントモデルは、閉数学形式で、基板主表面を横切る幾何学的値(「非アライメント」)を近似する。アライメントモデルは、アライメントマークにおける測定から取得された入力情報を受取る。入力情報から、アライメントモデルは、基板主表面全体を横切る非アライメントを記述する出力情報を導出する。入力情報は、アライメントマークにおいて測定された非アライメントを含んでもよい。出力情報は、位置の関数として、推定された位置依存型非アライメント、更新された位置依存型x/yオフセット値、及び/又は位置依存型x/yオフセット補正値を含んでもよい。出力情報は、高次のプロセス監視及び/又は管理システムに表示され、伝送され、並びに/或いは現在の基板についてのアライメントを改善するために使用されてもよく、ステージの位置は、位置依存型x/yオフセット値に応じて微調整されてもよい。
【0127】
位置は、基板主表面のそれぞれの点を明確に画定する位置座標に記述されてもよい。位置座標は、直交線形座標(x,y座標系)、又は極座標(r,φ)であってもよい。
【0128】
それぞれのアライメントモデルは、項の和によって表される。それぞれの(モデル)項は、少なくとも1つの位置座標及び係数を含む。例えば、それぞれの項は、係数と、少なくとも1つの位置座標の関数との積であってもよい。
【0129】
一実施形態に従うと、アライメントモデルは、式(3)及び(4)に表されるような項を含んでもよい。
式(5): Δx=Γ3・x+R3・x・y+WM3・y
式(6): Δy=Γ4・y+R4・x・y+WM4・x
【0130】
それぞれのアライメントモデルの係数は、適合アルゴリズムから取得されてもよい。適合アルゴリズムは、アライメントマークにおけるモデル化された非アライメントと実際の非アライメントとの間の偏差を最小にする係数を探索する。実際の非アライメントは、現在の基板の1つ又は複数のアライメントマークから直接取得されたものである。モデル非アライメントは、アライメントモデルがアライメントマークの位置に対して出力するものである。適合アルゴリズムは、最小二乗法を含んでもよい。
【0131】
次いで、それぞれの関係アライメントモデルについて別々に、アライメントモデルの出力とアライメントマークにおいて取得された非アライメントとの間の残差が決定される。換言すると、それぞれの関係アライメントモデルについて別々に、モデル非アライメントと実際の非アライメントとの間の残りの差が決定される。
【0132】
次に、予め設定されたアライメントモデル及び少なくとも1つの更なるアライメントモデルの中で、更新式アライメントモデルが選択される。選択は、ウェーハモデルについて上述したように、アライメントモデルの項の数に対する残差の大きさ及び/又は分布を重み付けする基準に基づいてもよい。
【0133】
一実施形態によれば、更新式アライメントモデルの項を記述する情報が出力されてもよい。例えば、アライメントモデル項の任意の変化は、ヒトのオペレータ、或いは高次のプロセス監視及び/又は管理システムに表示されてもよい。アライメントモデルの項の任意のスキップ及び項の任意の挿入は、基板の履歴における、又は露光ツールの性能におけるなんらかの有意な変化を示してもよい。そのため、削除されたアライメントモデル項に関する、及び/又は新たに導入されたアライメントモデル項に関する情報は、プロセス制御に有用であることがある。
【0134】
一実施形態に従うと、基板の露光に使用される位置依存型x/yオフセット値は、更新式アライメントモデルに基づいて更新されてもよい。
【0135】
一実施形態に従うと、露光方法は、サンプリング点におけるウェーハ構造からの限界寸法及びウェーハ構造を画定する露光プロセス内で使用される位置依存型露出パラメータを取得することと、サンプリング点における限界寸法から、予め設定されたウェーハ露光モデル及び少なくとも1つの更なるウェーハ露光モデルの係数を決定することであって、それぞれの更なるウェーハ露光モデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたウェーハ露光モデル及び別のウェーハ露光モデルとは異なり、ウェーハ露光モデルは、限界寸法、露光パラメータ、及び/又は露光パラメータ補正値を少なくとも2つの位置座標の関数として近似する、ことと、ウェーハ露光モデルから取得された近似限界寸法と、サンプリング点において取得された限界寸法との間の残差を決定することと、予め設定されたウェーハ露光モデル及び少なくとも1つの更なるウェーハ露光モデルの中で、更新式ウェーハ露光モデルを選択することであって、選択は、残差、ウェーハ露光モデルの項の数、及び/又はウェーハ露光モデルの項の次数を重み付けする基準に基づいている、ことと、を含んでもよい。
【0136】
更なる一実施形態に従うと、オーバーレイ測定方法は、含んでもよい。一実施形態に従うと、オーバーレイ分析及び修正方法は、測定部位においてウェーハ基板からオーバーレイ不一致値を取得することと、オーバーレイ不一致値に影響を及ぼす露光プロセス内で使用される位置依存型位置オフセットを取得することと、測定部位におけるオーバーレイ不一致値から、予め設定されたウェーハオーバーレイモデル及び少なくとも1つの更なるウェーハオーバーレイモデルの係数を決定することであって、それぞれの更なるウェーハオーバーレイモデルは、少なくとも1つの項が、予め設定されたウェーハオーバーレイモデルとは異なり、及び別のウェーハオーバーレイモデルとは異なり、ウェーハオーバーレイモデルは、オーバーレイ不一致値、位置オフセット、及び/又は位置オフセット補正値を少なくとも2つの位置座標の関数として近似する、ことと、ウェーハオーバーレイモデルから取得された近似オーバーレイ不一致値と、測定部位において取得されたオーバーレイ不一致値との間の残差を決定することと、予め設定されたウェーハオーバーレイモデル及び少なくとも1つの更なるウェーハオーバーレイモデルの中で、更新式ウェーハオーバーレイモデルを選択することであって、選択は、残差、ウェーハオーバーレイモデルの項の数、及び/又はウェーハオーバーレイモデルの項の次数を重み付けする基準に基づいている、ことと、を含んでもよい。
【0137】
測定部位は、オーバーレイマークを含んでもよい。オーバーレイ不一致値は、オーバーレイから取得されてもよい。ウェーハオーバーレイモデルは、式(3)及び(4)に示す項を含んでもよい。