(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-08
(45)【発行日】2024-10-17
(54)【発明の名称】ハイブリッド学習モデルを用いて性能を向上させた半導体処理ツール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241009BHJP
H01L 21/00 20060101ALI20241009BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241009BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/00
H01L21/302 101
H01L21/31 Z
(21)【出願番号】P 2023505723
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 US2021041658
(87)【国際公開番号】W WO2022026191
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モファット, スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ノーマンド, シェルドン アール.
(72)【発明者】
【氏名】キャントウェル, ダーマット ピー.
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-246368(JP,A)
【文献】特開2009-049305(JP,A)
【文献】特表2019-533312(JP,A)
【文献】特表2019-537240(JP,A)
【文献】米国特許第10712145(US,B2)
【文献】特開2002-093674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/00
H01L 21/3065
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造プロセスレシピを開発するための方法であって、
1つまたは複数のデバイス結果を選択することと、
前記デバイス結果を得るのに適するプロセスレシピ
の推奨を得るためにハイブリッドモデルに照会することであって、前記ハイブリッ
ドモデルが、
統計モデル、および
物理モデル
を含む、ハイブリッドモデルに照会することと、
前記ハイブリッ
ドモデルによって推奨される前記プロセスレシピを検証するために
、また酸化物材料の成長のための酸化プロセスを含む検証済みプロセスレシピを提供するために、ウエハのセットに実験計画(DoE)を実行することと
、
ウエハ上に前記酸化物材料を成長させるために前記酸化プロセスを適用することを含む、前記検証済みプロセスレシピを前記ウエハに適用することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記DoEを実行することが、
DoEウエハ結果を計量ツールで測定することと、
前
記デバイス結果が達成されるかどうかを前記DoEウエハ結果から決定することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
酸化プロセスが、ラジカル酸化プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスレシピが、圧力、温度、流量、および浸漬時間のうちの1つまたは複数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイス結果が、厚さ、厚さ均一性、プロファイル、および水素パーセンテージのうちの1つまたは複数を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記物理モデルが、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションから作り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記統計モデルが、物理的DoEと、前記物理的DoEからのデータの補間とから作り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハイブリッドモデルが、多次元プロセス空間である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
半導体製造プロセス
のハイブリッドモデルを更新する方法であって、
外部計量を用いてウエハの限定的な実験計画(DoE)を実行することと、
前記限定的なDoEからのウエハ結果および計量データをハイブリッドモデルに較正データセットとして追加することであって、前記ハイブリッドモデルが、
統計モデル、および
物理モデル
を含む、ウエハ結果および計量データを追加することと、
前記限定的なDoEによって識別された特定のチャンバ状態および/またはウエハ状態を考慮するように前記
ハイブリッドモデルの予測を調節することと、
前記チャンバ内で処理されるウエハの所望のウエハ結果を達成するために、
また酸化物材料の成長のための酸化プロセスを含む最適化されたプロセスパラメータを提供するために、最適化されたプロセスパラメータを予測することと
、
ウエハ上に前記酸化物材料を成長させるために前記酸化プロセスを適用することを含む、前記最適化されたプロセスパラメータを前記ウエハに適用することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記
酸化プロセスが、ラジカル酸化プロセスである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスパラメータが、圧力、流量、温度、および浸漬時間のうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ウエハ結果が、厚さ、厚さ均一性、プロファイル、および水素パーセンテージのうちの1つまたは複数を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記物理モデルが、複数の異なる処理パラメータにわたる前記チャンバ内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションから作り出される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記統計モデルが、モデリングDoEと、前記モデリングDoEからのデータの補間とから作り出される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ハイブリッドモデルが、多次元プロセス空間である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記限定的なDoEが、20枚以下のウエハを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
ウエハを処理ツールで処理するための方法であって、
処理ツールのハイブリッドモデルを用意することであって、前記ハイブリッドモデルが、
統計モデル、および
物理モデル
を含む、ハイブリッドモデルを用意することと、
第1のウエハを処理するためにレシピを前記処理ツールで実行することと、
前記レシピの実行の後に前記第1のウエハからのウエハデータを得ることと、
前記レシピの前記実行に関連する前記処理ツールからのプロセスデータを得ることと、
更新されたハイブリッドモデルを作り出すために、前記ウエハデータおよび前記プロセスデータを前記ハイブリッドモデルに提供することと、
前記処理ツールのチャンバドリフトを考慮するために、
酸化物材料の成長のための酸化プロセスを含む変更済みレシピを作り出すのに前記更新されたハイブリッドモデルを使用することと、
第2のウエハ上に前記酸化物材料を成長させるために前記酸化プロセスを適用することを含む、前記処理ツール内で前記変更済みレシピを前記第2のウエハに適用することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記レシピを複数の第1のウエハに実行することと、
前記複数の第1のウエハからのウエハデータを得ることと、
前記複数の第1のウエハへの前記レシピの前記実行に関連する前記処理ツールからのプロセスデータを得ることと、
更新されたハイブリッドモデルを作り出すために、前記複数の第1のウエハの前記処理からの前記ウエハデータおよび前記プロセスデータを前記ハイブリッドモデルに提供することと
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ウエハデータが計量データを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記計量データが、厚さ、厚さ均一性、プロファイル、および水素パーセンテージのうちの1つまたは複数を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月30日に出願された米国非仮特許出願第16/944,012号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、詳細には、レシピ開発およびチャンバベースライン化のために統計モデル(a statistical model)および物理モデル(a physical model)を含む半導体製造プロセスのハイブリッドモデルを使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスが進展し続け、より小さいフィーチャサイズになるにつれて、半導体ウエハ処理はますます複雑になっている。所与のプロセスは、ウエハ上の所望の結果をもたらすために、個々に制御することができる多くの異なる処理パラメータ(すなわち、ノブ)を含むことができる。例えば、ウエハ上の所望の結果は、フィーチャプロファイル、層の厚さ、層の化学組成物などを指すことができる。ノブの数が増加するにつれて、プロセスを調整および最適化するために利用できる理論的なプロセス空間は非常に大きくなる。
【0004】
大量生産(HVM)のためのプロセスレシピを開発するために、プロセスエンジニアは、経験および専門知識に依拠し、ウエハ上の所望の結果の粗い近似を提供することができるベースラインレシピを識別する。次いで、実験計画(DoE)が、ベースラインレシピを中心として作り出される。DoEは、ノブがどのように互いに相互作用してウエハ上の結果を生成するかを識別するためにウエハ(またはクーポン)のセットの処理に依拠する。DoEの結果をプロセスエンジニアが解釈して、ベースラインレシピをさらに洗練することができる。追加のDoEが、さらに、ウエハ上の所望の結果に集中するように実行されてもよい。そのような反復プロセスは、時間およびリソース集約的である。
【0005】
加えて、最終処理レシピが開発された後、異なるウエハへのプロセスの多くの反復中のチャンバドリフトが、ウエハ上の結果に変化をもたらすことがある。チャンバドリフトは、チャンバの消耗部分の腐食、構成要素(例えば、センサ、ランプなど)の劣化、表面を覆う副生成物膜の堆積などの結果であり得る。従って、追加の調整が、広範なレシピ開発プロセスの後でも必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で開示される実施形態は、ハイブリッドモデルを有する半導体製造ツールと、ウエハを処理し、および/またはプロセスレシピを開発するためにハイブリッドモデルを使用する方法とを含む。一実施形態では、半導体製造プロセスレシピを開発するための方法は、1つまたは複数のデバイス結果を選択することと、デバイス結果を得るのに適するプロセスレシピ推奨を得るためにハイブリッドモデルに照会することとを含む。一実施形態では、ハイブリッドプロセスモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含む。一実施形態では、この方法は、ハイブリッドプロセスモデルによって推奨されるプロセスレシピを検証するためにウエハのセットに実験計画(DoE)を実行することをさらに含むことができる。
【0007】
追加の実施形態では、半導体製造プロセスを実行するチャンバをベースライン化する方法が提供される。一実施形態では、この方法は、チャンバ性能をベースライン化するために外部計量を用いてウエハの限定的な実験計画(DoE)を実行することを含む。この実施形態は、限定的なDoEからのウエハ結果および計量データをハイブリッドモデルに較正データセットとして追加することをさらに含むことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含む。一実施形態では、この方法は、限定的なDoEによって識別された特定のチャンバ状態および/またはウエハ状態を考慮するようにモデルの予測を調節することをさらに含む。一実施形態では、この方法は、チャンバ内で処理されるウエハの所望のウエハ結果を達成するために、最適化されたプロセスパラメータを予測することをさらに含む。
【0008】
追加の実施形態では、ウエハを処理ツールで処理するための方法が提供される。一実施形態では、この方法は、処理ツールのハイブリッドモデルを用意することを含む。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含む。一実施形態では、この方法は、第1のウエハを処理するためにレシピを処理ツールで実行することと、レシピの実行の後に第1のウエハからのウエハデータを得ることと、レシピの実行に関連する処理ツールからのプロセスデータを得ることと、をさらに含む。一実施形態では、この方法は、更新されたハイブリッドモデルを作り出すために、ウエハデータおよびプロセスデータをハイブリッドモデルに提供することと、処理ツールのチャンバドリフトを考慮するために、変更済みレシピを作り出すのに、更新されたハイブリッドモデルを使用することとをさらに含む。一実施形態では、この方法は、第2のウエハを処理するために変更済みレシピを処理ツールで実行することをさらに含む。
【0009】
実施形態は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに、半導体製造プロセスレシピを開発するための動作を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含むことができる。一実施形態では、この動作は、処理されるウエハ上の1つまたは複数のデバイス結果を選択することと、デバイス結果を得るのに適するプロセスレシピ推奨を得るためにハイブリッドモデルに照会することとを含むことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含む。一実施形態では、このプロセスは、ハイブリッドプロセスモデルによって推奨されるプロセスレシピを検証するためにウエハのセットに実験計画(DoE)を実行することをさらに含むことができる。一実施形態では、DoEを実行することは、DoEウエハ結果を計量ツールで測定することと、所望のデバイス結果が達成されるかどうかをDoEウエハ結果から決定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】一実施形態による、統計モデルおよび物理モデルを含むハイブリッドモデルの概略図である。
【
図1B】一実施形態による、ハイブリッドモデルを含む処理ツールの概略図である。
【
図2A】一実施形態による、統計モデルおよび物理モデルがハイブリッドモデルエンジンへの入力であるハイブリッドモデルを開発するためのプロセスを示す流れ図である。
【
図2B】一実施形態による、物理モデルが統計モデルエンジンへの入力であるハイブリッドモデルを開発するためのプロセスを示す流れ図である。
【
図3】一実施形態による、ハイブリッドモデルによって提供される多次元プロセス空間の2次元表現を示すチャートである。
【
図4】一実施形態による、ハイブリッドモデルを使用してプロセスレシピを開発するためのプロセスを示す流れ図である。
【
図5】一実施形態による、ハイブリッドモデルを使用してチャンバをベースライン化するためのプロセスを示す流れ図である。
【
図6】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
レシピ開発およびチャンバベースライン化のための統計モデルおよび物理モデルを含む半導体製造プロセスのハイブリッドモデルを使用する方法が本明細書で説明される。以下の説明において、非常に多くの具体的な詳細が、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために記載される。本開示の実施形態はこれらの具体的な詳細なしに実践され得ることが当業者には明らかであろう。他の事例では、集積回路製造などのよく知られている態様は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために詳細には説明されない。さらに、図に示される様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。
【0012】
上記のように、レシピ開発およびチャンバベースライン化は、時間およびリソース集約的である。特に、所与のプロセスを調整および最適化するために利用可能なプロセス空間は極めて大きく、妥当な時間フレーム内でプロセス空間全体を経験的に探索することは事実上不可能である。さらに、処理パラメータ間の相互作用およびプロセス性能への処理パラメータの影響により、多数の処理パラメータの同時変動の複合効果を、1つの処理パラメータを一度に手動で走査することによって予測することは極めて困難である。
【0013】
従って、本明細書で開示される実施形態は、大きい実験計画(DoE)で物理的ウエハを処理する必要なしに、プロセス空間全体を照会するためにハイブリッドモデルの使用を活用する。それゆえに、レシピ開発専用の時間およびリソースを大幅に削減することができる。加えて、ハイブリッドモデルは、チャンバ内のウエハの処理中に更新されてもよい。更新されたハイブリッドモデルは、チャンバドリフトの正確な追跡を行うことができ、物理的ウエハの広範なDoEなしに、またはプロセスエンジニアの経験および知識にのみに依存することなしに、プロセスレシピへの改訂を行うことを可能にする。そのため、本明細書で開示される実施形態によるハイブリッドモデルの使用は、少なくとも以下の利点を提供する。1)ツールの予定外のダウンタイムの減少、2)較正またはモニタリングウエハへの依存の低減、3)より厳格なプロセス制御、ならびにより良好な均一性、反復性、および収率、4)より少ないスクラップ、5)チャンバマッチングの改善、6)自動的なツール健全性監視を可能にする、および7)計画的保守(PM)からの回復の改善を提供する。
【0014】
本明細書で使用される「プロセス空間」は、ウエハ上の1つまたは複数のデバイス結果に処理パラメータをマッピングする多次元プロセス空間を指すことができる。時にはノブ(knobs)と呼ばれる処理パラメータは、プロセスを制御するために制御することができる変数である。例えば、ノブは、圧力、処理ガス流量、温度、RF源電力、バイアス電力などを含むことができる。デバイス結果は、処理の後のウエハ上のフィーチャの測定可能な特性を指すことができる。例えば、デバイス結果は、フィーチャプロファイル、層厚さ、厚さ均一性、層の材料組成物、組成物均一性、多孔性、膜応力などを含むことができる。一実施形態では、デバイス結果はまた、設備内のチャンバにわたるプロセス均一性(例えば、チャンバマッチング)、ウエハ間の均一性、異なるウエハロット間の均一性などを指すことができる。すなわち、デバイス結果は、単一ウエハ上の結果に限定されない。プロセス空間における各点は、処理パラメータ値のセットと、処理パラメータのセットによって生成された結果として生じた1つのデバイス結果(または複数の結果)との表現であり得る。
【0015】
一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含むことができる。統計モデルは、プロセス空間の一部にデータを入れるために実際のウエハのDoEを使用して構築することができる。次いで、アルゴリズムを使用して、プロセス空間の残りの部分を外挿することができる。物理モデルは、処理チャンバ内で生じる現実の物理的および化学的相互作用に基づく。異なる処理パラメータの範囲にわたる処理チャンバ内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションを使用して、物理モデルを作り出すことができる。一実施形態では、物理モデルは、ハイブリッドモデルを提供するために統計モデルと組み合わされる。例えば、物理モデルは、統計モデルの間隙を充填するために、および/または外挿されたデータ点を確認するために使用することができる。
【0016】
一実施形態では、ハイブリッドモデルは、プロセスレシピ開発のために、および/またはチャンバドリフトを考慮するためのチャンバベースライン化のために使用することができる。プロセスレシピ開発の場合、ハイブリッドモデルは、プロセスエンジニアの技能および知識にのみ依拠する代わりにベースラインレシピを選択するために照会される。ハイブリッドモデルによって提供されるベースラインレシピは、所望のデバイス結果に厳密に近似するデバイス結果を生成することになる。そのため、ハイブリッドモデルによって予測されたプロセスレシピを検証するには、ベースラインレシピを確認するための小さいDoEで十分である。
【0017】
チャンバベースライン化の場合、ハイブリッドモデルは、処理されたウエハから得られた較正データセットを用いて更新することができる。較正データセットは、ウエハの処理中にまたは処理後に収集された計量データおよび/または他のデバイス結果を含むことができる。次いで、更新されたハイブリッドモデルは、チャンバドリフトを考慮した変更済みプロセスレシピを選択して、引き続き処理されるウエハ上に所望のデバイス結果を生成するために照会され得る。それゆえに、チャンバベースライン化は、チャンバマッピングを提供するための強力なツールである。すなわち、チャンバベースライン化プロセス(例えば、較正データセットを使用してハイブリッドモデルを更新する)は、現在のチャンバ状態がウエハの処理において正確に考慮されることを可能にする。加えて、ベースライン化は、ウエハ間の差を考慮するのにも有用であり得る。例えば、ロット間(またはさらに単一ロット内)のウエハは、差がある(例えば、前の処理の不均一性に起因する)ことがある。ベースライン化プロセスを用いてハイブリッドモデルを更新することによって、ウエハ間の変動を考慮して、所望のデバイス結果を提供することができる。
【0018】
本明細書で開示されるハイブリッドモデルは、半導体製造プロセスで使用することができる。例えば、ハイブリッドモデルは、エッチングプロセス、堆積プロセス、洗浄プロセス、平坦化プロセスなどのためのレシピ開発および/またはチャンバベースライン化を提供するために使用することができる。ハイブリッドモデルを用いて調べられるプロセスは、プラズマプロセス、熱プロセス、湿式化学プロセス、または任意の他のプロセスを含むことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルを用いてモデル化される処理ツールは、プラズマチャンバ、真空チャンバ、熱チャンバなどを含むことができる。
【0019】
特定の実施形態では、ハイブリッドモデルは、ラジカル酸化プロセスなどの酸化プロセスを調べるために使用される。ラジカル酸化プロセスにおいて、処理パラメータは、限定はしないが、圧力、処理ガスの流量、温度、および浸漬時間を含むことができる。ラジカル酸化プロセスにおいて制御されるデバイス結果は、限定はしないが、酸化物厚さ、ウエハにわたる厚さ均一性、酸化物の材料組成物、材料組成物均一性、および酸化物層のプロファイルを含むことができる。
【0020】
次に
図1Aを参照すると、一実施形態によるハイブリッドモデルサーバ120の概略図が示される。一実施形態では、ハイブリッドモデルサーバ120は、統計モデル125および物理モデル127を含むことができる。統計モデル125および物理モデル127は、統計モデル125および物理モデル127を構築および/または更新するために使用される入力データ(例えば、センサデータ、モデルデータ、計量データなど)を格納するためのデータベース130に通信可能に結合され得る。
【0021】
一実施形態では、統計モデル125は、物理的DoEから作り出され、補間を使用して拡張プロセス空間モデルを提供することができる。処理される物理的ウエハは、特定のデバイス結果への処理パラメータのマッピングを行うために使用することができる。物理的DoEは、異なる処理パラメータ間の相互作用を識別するためにも使用することができる。物理的ウエハのデータ(例えば、計量データ、センサデータ、プロセスパラメータデータなど)が提供された後、プロセス空間の間隙を充填するために補間が使用される。一実施形態では、計量データなどのデータは、データリンク(例えば、有線または無線データリンク)によってハイブリッドモデルサーバ120に通信可能に結合される外部ツールを使用して得られてもよい。補間は、適切な1つまたは複数のアルゴリズムを使用して行うことができる。アルゴリズムは、限定はしないが、ニューラルネットワーク、深層学習、または回帰分析のために使用される他の知られている技法(例えば、線形、部分最小二乗、ガウシアン、多項式、回帰のための畳み込みニューラルネットワーク、回帰木など)を含むことができる。
【0022】
一実施形態では、統計モデル125は、処理ツールとともに使用するために販売またはライセンスされるモジュールとして提供されてもよい。すなわち、統計モデル125のための物理的DoEは、処理ツールの製造業者によって実行されてもよい。他の実施形態では、統計モデル125は、物理的DoEをオンサイトで実行することによって作り出されてもよい。さらに別の実施形態では、汎用統計モデル125がツール製造業者によって提供されてもよく、後続の物理的DoEがオンサイトで実行されて統計モデル125の較正が行われ、それにより、調べられている特定の処理ツールがより厳密にモデル化され得る。
【0023】
一実施形態では、物理モデル127は、現実の物理学および化学関係を使用して作り出されてもよい。例えば、処理チャンバ内の様々な相互作用の物理学および化学の式が、物理モデルを構築するために使用されてもよい。物理モデル127は、物理モデル127の精度を改善するために、チャンバ幾何学的形状または他のチャンバ構成を利用することもできる。物理モデル127は、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションの結果とすることができる。物理モデル127は、処理ツールとともに使用するために販売またはライセンスされるモジュールであってもよい。
【0024】
一実施形態では、物理モデル127および統計モデル125は、互いに参照する(矢印によって示されるように)ことができる。2つのモデル127と125との間の相互参照は、モデルの各々を検証すること、および個々のモデルにおける間隙を充填することを可能にする。一実施形態では、物理モデル127と統計モデル125とを組み合わせて、より堅牢なハイブリッドモデルを提供することができる。
【0025】
次に
図1Bを参照すると、一実施形態による処理ツール100の概略図が示される。図示のように、ハイブリッドモデルサーバ120は、処理ツール100と統合され得る。例えば、ハイブリッドモデルサーバ120は、矢印によって示されるように、ネットワーク接続によってフロントエンドサーバ160に通信可能に結合され得る。しかしながら、他の実施形態では、ハイブリッドモデルサーバ120は、処理ツール100の外にあってもよい。例えば、ハイブリッドモデルサーバ120は、外部ネットワークなどを通して処理ツール100に通信可能に結合されてもよい。
【0026】
一実施形態では、処理ツール100は、フロントエンドサーバ160、ツール制御サーバ150、およびツールハードウェア140を含むことができる。フロントエンドサーバ160は、ハイブリッドモデルサーバ120のためのユーザインターフェース165を含むことができる。ユーザインターフェース165は、以下でさらに詳細に説明されるように、プロセスエンジニアが、レシピ開発またはチャンバベースライン化などの様々な作業を実行するためにハイブリッドモデリングを利用するためのインターフェースを提供する。
【0027】
ツール制御サーバ150は、スマートモニタリングおよび制御ブロック155を含むことができる。スマートモニタリングおよび制御ブロック155は、処理ツール100の診断および他のモニタリングを行うためのモジュールを含むことができる。モジュールは、限定はしないが、健全性チェック、センサドリフト、障害回復、およびリーク検出を含むことができる。スマートモニタリングおよび制御ブロック155は、ツールハードウェアに実装された様々なセンサからのデータを入力として受け取ることができる。センサは、ツール100の動作を可能にするために半導体製造ツール100に通常存在する標準センサ147を含むことができる。センサは、ツール100に追加されるモデリングセンサ145をさらに含んでもよい。モデリングセンサ145は、非常に詳細なハイブリッドモデルを構築するために必要な追加情報を提供する。例えば、モデリングセンサは、仮想センサおよび/またはウィットネスセンサ(witness sensor)を含むことができる。仮想センサは、2つ以上の物理的センサから得られたデータを利用し、物理的センサのみでは得られない追加のセンサデータを提供するために補間および/または外挿を実施することができる。特定の例では、仮想センサは、ガスカートリッジなどの処理ツールの一部を通る流量を計算するために、上流圧力センサおよび下流圧力センサを利用することができる。通常、モデリングセンサは、限定はしないが、圧力センサ、温度センサ、およびガス濃度センサなどの任意のタイプのセンサを含むことができる。一実施形態では、スマートモニタリングおよび制御ブロック155は、ハイブリッドモデルサーバ120で使用されるデータを提供することができる。他の実施形態では、様々なモデリングセンサ145からの出力データは、ハイブリッドモデルサーバ120に直接提供されてもよい。
【0028】
次に、
図2Aを参照すると、一実施形態によるハイブリッドモデルを作り出すためのプロセスを示す流れ図が示される。一実施形態では、モデリングDoE215からの入力は、統計モデルエンジン224に入力される。モデリングDoE215は、いくつかの物理的ウエハを処理することを含むことができる。DoE215は、統計モデルエンジン224に供給される様々なデータソースを含むことができる。例えば、ウエハの処理中または処理後に得られる計量データ216は、統計モデルエンジン224に提供され得る。加えて、処理ツールのセンサからのセンサデータ217が、統計モデルエンジン224に提供され得る。プロセスパラメータデータ218(すなわち、ウエハの処理中の様々なプロセスパラメータの値)が、さらに、統計モデルエンジン224に提供され得る。
【0029】
一実施形態では、統計モデルエンジン224は、様々なデータソースを分析し、統計モデル225を出力するのに適するハードウェアおよび/またはソフトウェアとして実装され得る。統計モデルエンジン224は、物理的DoEデータのみから利用可能なものよりも大きいプロセス空間を補間するために、ニューラルネットワークに基づく機械学習、または回帰分析に使用される他の知られている技法(例えば、線形、部分最小二乗、ガウシアン、多項式、回帰のための畳み込みニューラルネットワーク、回帰木など)を利用することができる。
【0030】
一実施形態では、物理モデルエンジン226は、物理モデル227を作り出すために使用される。一実施形態では、物理モデルエンジン226は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして実装され得る。物理モデルエンジン226は、入力として、チャンバ構成と、現実の物理学および化学の式とを取り入れる。物理モデルエンジン226は、物理モデル227を構築するために、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションを実施することができる。そのため、処理ツール内の物理的および/または化学的反応を修正する処理パラメータへの変更は、予想されるデバイス結果にマッピングすることができる。
【0031】
一実施形態では、統計モデル225および物理モデル227は、ハイブリッドモデル228を作り出すための入力として使用される。例えば、統計モデル225および物理モデル227は、ハイブリッドモデルエンジン229への入力とすることができる。ハイブリッドモデルエンジン229は、物理モデル227および統計モデル225を処理し、ハイブリッドモデル228を出力する。いくつかの実施形態では、物理モデル227は、測定することができないいくつかの物理的測定値を導出するために使用されてもよく、物理モデル227の出力は、統計モデルへの追加の入力と見なされてもよい。そのような状況では、ハイブリッドモデルエンジン229は、物理モデル227からの情報を統計モデル225に追加して、ハイブリッドモデル228を提供する。それゆえに、ハイブリッドモデル228は、2つのモデル225および227がプロセス空間内の個々の点を検証するために使用されることを可能にし、所与の処理ツールに合うように個別に調整され得るより完全なプロセス空間を提供する。しかしながら、いくつかの実施形態では、物理モデル227および統計モデル225は、出力に応じて、スタンドアロンモデルとすることができる。すなわち、いくつかの実施形態では、統計モデル225および物理モデル227は、ハイブリッドモデルに併合されないことがある。
【0032】
一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデル225の別のインスタンスと見なすこともできる。例えば、
図2Bにおいて、物理モデルエンジン226によって出力される物理モデル227は、統計モデルエンジン224への入力として使用することができる。それゆえに、統計モデルエンジン224は、物理モデル227からの情報を含む統計モデル225を作り出すために追加の入力を有する。特に、統計モデル224は、物理モデル227からのデータを既に含んでいてもよく、ハイブリッドモデルを生成するためにハイブリッドモデルエンジンを使用することは、すべての実施形態において必要でない可能性がある。
【0033】
次に
図3を参照すると、一実施形態によるハイブリッドモデルによって提供されるプロセス空間の表現を示すチャートが示される。チャートの各点は、処理パラメータのセットと、ウエハ上の結果として生じた結果とを表す。例えば、X軸は応答均一性とすることができ、Y軸は応答平均とすることができる。チャートは、処理パラメータの所与のセットについて、ウエハ上の結果として生じた結果が、特定の応答均一性および応答平均を有することを示す。
【0034】
図示のチャートにおいて、大きい菱形の点は、モデリングDoEから得られたデータ点である。すなわち、大きい点は、ウエハの物理的処理から得られたデータセットに基づく。小さい点は、ハイブリッドモデルを使用して作り出された仮想の点を表す。図示のように、ハイブリッドモデルは、処理されたウエハのみから入手可能なデータよりもはるかに詳細なプロセス空間のデータを提供する。
【0035】
次に
図4を参照すると、一実施形態によるハイブリッドモデルを使用してプロセスレシピを開発するためのプロセス470を示す流れ図が示される。目標のプロセスレシピは、ウエハ上の所望のデバイス結果をもたらすプロセスパラメータのセットを有するプロセスレシピである。一実施形態では、プロセス470は、所望のデバイス結果を決定することを含む動作471から開始することができる。一実施形態では、デバイス結果は、ウエハデバイス寸法、材料組成物などに関するものとすることができる。例えば、デバイス結果は、層厚さ、ウエハにわたる厚さ均一性、層の材料組成物、または材料組成物均一性を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、プロセス470は、処理パラメータのセットを選択するためにハイブリッドモデルに照会することを含む動作472に続くことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルと物理モデルの組合せから作り出されたプロセス空間のモデルとすることができる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを使用して作り出すことができる。物理モデルは、現実の物理学および化学の式に基づくことができる。例えば、物理モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションから作り出すことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、処理ツールが利用可能なプロセス空間全体をカバーすることができる。
【0037】
ハイブリッドモデルにより、プロセスエンジニアの経験および知識のみに依拠することなく、安定したプロセスレシピを識別することが可能になる。代わりに、目標のデバイス結果と厳密に一致するデバイス結果を生成することが期待されるベースラインレシピを、ハイブリッドモデルのプロセス空間から選択することができる。
【0038】
一実施形態では、プロセス470は、モデル推奨を検証するために小さいDoEを実行することを含む動作473に続くことができる。ハイブリッドモデルの高い精度のために、モデル推奨を検証するには小さいDoE(例えば、20枚以下のウエハ)で十分である。一実施形態では、DoEは、プロセスエンジニアによって設計されてもよい。
【0039】
一実施形態では、プロセス470は、DoEウエハ結果を1つまたは複数の計量ツールを用いて測定することを含む動作474に続くことができる。計量データは、目標のデバイス結果がウエハ上で達成されたことを確認するために使用することができる。
【0040】
一実施形態では、プロセス470は、所望のデバイス結果が達成されたかどうかを決定することを含む動作475に続くことができる。所望のデバイス結果が達成された場合、プロセスは動作476へと前方に進み、プロセスは完了する。所望のデバイス結果が達成されていない場合、プロセスは、動作472に戻って繰り返すことができる。一実施形態では、小さいDoEからのデータは、ハイブリッドモデルを更新するためにハイブリッドモデルにフィードバックされてもよい。次いで、更新されたハイブリッドモデルは、第2のベースラインレシピを提供するために照会されてもよい。このように、第1の反復が成功しない場合でさえ、プロセスは、依然として、広範なDoEおよび無駄になるリソースを必要とすることなく、適切なレシピに速く収束することができる。
【0041】
次に、
図5を参照すると、一実施形態による処理ツールをベースライン化するためのプロセス580を示す流れ図が示される。一実施形態では、ベースライン化プロセスは、処理ツール内でウエハを処理している間のチャンバドリフトを考慮するのに有益であり得る。一実施形態では、ベースライン化プロセスは、任意の所望の頻度で実施することができる。例えば、プロセス580は、ロットごとに、計画された保守(PM)イベントごとに、または処理されたウエハが指定の範囲外のデバイス結果を有するときに実施することができる。
【0042】
一実施形態では、プロセス580は、チャンバ性能をベースライン化するために外部計量を用いてウエハの限定的なDoEを実行することを含む動作581から開始することができる。一実施形態では、限定的なDoEは、20枚以下のウエハを含むことができる。限定的なDoEは、ベースラインとして記録されたプロセスレシピを利用することができる。外部計量は、処理されたウエハのデバイス結果を決定するのに適する任意の計量を含むことができる。例えば、酸化プロセスの場合、ウエハにわたる膜厚および厚さ均一性を調べるために、エリプソメトリを使用することができる。
【0043】
一実施形態では、プロセス580は、デバイス結果および他の計量データをハイブリッドモデルに追加することを含む動作582に続くことができる。ハイブリッドモデルに追加された追加データは、較正データセットと呼ぶことができる。較正データセットは、ハイブリッドモデルが処理ツールの現在の状態をより正確に反映するようにハイブリッドモデルを更新するために使用される。例えば、プロセス580は、特定のチャンバ状態を考慮するようにモデルの予測を調節することを含む動作583を含むことができる。すなわち、ハイブリッドモデルのプロセス空間は、調べられている処理ツールの状態により厳密に一致するように更新される。
【0044】
一実施形態では、ハイブリッドモデルは、統計モデルと物理モデルの組合せから作り出されたプロセス空間のモデルとすることができる。統計モデルは、上述のように実際のウエハのDoEを使用して作り出すことができる。物理モデルは、現実の物理学および化学の式に基づくことができる。例えば、物理モデルは、複数の異なる処理パラメータにわたる処理ツール内の物理的および化学的相互作用のシミュレーションから作り出すことができる。一実施形態では、ハイブリッドモデルは、処理ツールが利用可能なプロセス空間全体をカバーすることができる。
【0045】
一実施形態では、プロセス580は、チャンバ内で引き続き処理されるウエハの所望のウエハ結果を達成するために、最適化されたプロセスパラメータを予測することを含む動作584を続けることができる。ハイブリッドモデルが較正データセットを含むように更新された後、最適化されたプロセスパラメータを選択することができる。従って、新しいプロセスレシピは、チャンバ状態の変化にもかかわらず、目標値にさらに厳密に一致するウエハ結果をもたらすウエハパラメータを提供する。そのように、厳しいプロセスウインドウを維持し、均一性、反復性、収率を向上させるために、チャンバドリフトをモニタおよび考慮することができる。加えて、チャンバドリフトを考慮するように処理レシピを正確に調節することができるので、ツールの予定外のダウンタイムが減少する。さらに、PMが行われるとき、プロセス580を実施して、より短い回復時間を提供し、ツール利用率を改善することができる。
【0046】
一実施形態では、ハイブリッドモデルをさらに使用して、チャンバドリフトを考慮するための処理レシピの連続的な(またはほぼ連続的な)改訂を行うことができる。例えば、デバイスウエハの処理中に得られるウエハおよびプロセスデータを得て、ハイブリッドモデルを更新するために使用することができる。すなわち、較正データセットを提供するために、専用のDoEが必要でない場合がある。デバイスウエハからのウエハデータは、すべてのウエハに対して得られてもよく、または処理されるウエハのサブセットに対して得られてもよい。
【0047】
そのような実施形態は、処理ツールのハイブリッドモデルを提供することを含むことができる。ハイブリッドモデルは、統計モデルおよび物理モデルを含むことができ、それは上述のハイブリッドモデルと類似している。一実施形態では、プロセスは、第1のウエハを処理するために処理ツールでレシピが実行されることから開始することができる。第1のウエハを処理した後、第1のウエハからのウエハデータと、レシピの実行に関連する処理ツールからのプロセスデータとを得ることができる。一実施形態では、ウエハデータは、限定はしないが、厚さ、厚さ均一性、プロファイル、および水素パーセンテージなどの計量データを含むことができる。一実施形態では、プロセスデータは、処理ツール内のセンサから得られたデータ、および/またはツール構成情報を含むことができる。一実施形態では、ウエハデータおよびプロセスデータがハイブリッドモデルに提供されて、更新されたハイブリッドモデルが作り出される。一実施形態では、更新されたハイブリッドモデルを使用して、処理ツールのチャンバドリフトを考慮するように変更済みレシピが作り出される。次いで、実施形態は、第2のウエハを処理するために変更済みレシピを処理ツールで実行することを含むことができる。単一の第1のウエハの処理が上述されたが、複数の第1のウエハを処理し、その後、更新されたハイブリッドモデルが作り出されてもよいことを認識されたい。そのような一実施形態では、ウエハデータとプロセスデータの多数のセットを使用して、更新されたハイブリッドモデルを作り出すことができる。
【0048】
図6は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させるための命令のセットを実行することができるコンピュータシステム600の例示的な形態の機械の図式表示を示す。代替実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット内の他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。機械は、クライアント-サーバネットワーク環境におけるサーバもしくはクライアント機械の能力で動作するか、またはピアツーピア(もしくは分散)ネットワーク環境のピア機械として動作することができる。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウエブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、またはその機械によって行われるべきアクションを指定する命令のセット(逐次的な、または別のやり方の)を実行することができる任意の機械とすることができる。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書に記載される方法のうちの任意の1つまたは複数を実行するために命令の1つのセット(または多数のセット)を個々にまたは共同で実行する機械(例えば、コンピュータ)の任意の集合を含むと解釈されるべきである。
【0049】
例示的なコンピュータシステム600は、プロセッサ602、メインメモリ604(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)など)、スタティックメモリ606(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、および二次メモリ618(例えば、データストレージデバイス)を含み、それらは、バス630を介して互いに通信する。
【0050】
プロセッサ602は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などのような1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より具体的には、プロセッサ602は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIM)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装するプロセッサとすることができる。プロセッサ602はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどのような1つまたは複数の専用処理デバイスとすることができる。プロセッサ602は、本明細書に記載の動作を実行するための処理ロジック626を実行するように構成される。
【0051】
コンピュータシステム600は、ネットワークインターフェースデバイス608をさらに含むことができる。コンピュータシステム600は、ビデオディスプレイユニット610(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、または陰極線管(CRT))、英数字入力デバイス612(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス614(例えば、マウス)、および信号発生デバイス616(例えば、スピーカ)をさらに含むことができる。
【0052】
二次メモリ618は、本明細書に記載の方法または機能のうちの任意の1つまたは複数を具現化する1つまたは複数の命令のセット(例えば、ソフトウェア622)が格納された機械アクセス可能ストレージ媒体(またはより具体的にはコンピュータ可読ストレージ媒体)632を含むことができる。ソフトウェア622はまた、コンピュータシステム600による実行中、メインメモリ604内に、および/またはプロセッサ602内に、完全にまたは少なくとも部分的に常駐することができ、メインメモリ604およびプロセッサ602はまた、機械可読ストレージ媒体を構成する。ソフトウェア622は、さらに、ネットワークインターフェースデバイス608を介してネットワーク620を通して送信または受信することができる。
【0053】
機械アクセス可能ストレージ媒体632は、例示的な実施形態では単一の媒体であるように示されているが、「機械可読ストレージ媒体」という用語は、1つまたは複数の命令のセットを格納する単一の媒体または多数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈されるべきである。「機械可読ストレージ媒体」という用語はまた、機械で実行するための、および本開示の方法のうちの任意の1つまたは複数を機械に実行させる、命令のセットを格納または符号化することができる任意の媒体を含むように解釈されるべきである。従って、「機械可読ストレージ媒体」という用語は、限定はしないが、固体メモリと、光学および磁気媒体とを含むように解釈されるべきである。
【0054】
本開示の一実施形態によれば、機械アクセス可能ストレージ媒体は、ハイブリッドモデルからの洞察を使用してウエハを処理する方法、および/またはハイブリッドモデルを更新または構築する方法をデータ処理システムに実行させる命令を格納している。
【0055】
このように、処理ツールでウエハを処理するためにハイブリッドモデルを使用するための方法が開示された。