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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】熱交換促進部材および熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20241010BHJP
【FI】
F28F1/32 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021535475
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 JP2020035727
(87)【国際公開番号】W WO2021020592
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2019137663
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000126632
【氏名又は名称】株式会社アタゴ製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】大友 昇
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲
(72)【発明者】
【氏名】森本 賢一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄二
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第00496733(DE,C1)
【文献】特開2011-174676(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02299488(EP,A1)
【文献】特開2000-193389(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0142201(US,A1)
【文献】米国特許第03515207(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109470075(CN,A)
【文献】国際公開第2014/077316(WO,A1)
【文献】特開昭56-149592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/30 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔で配設されて流体と熱交換を行う複数の放熱フィンと、
前記放熱フィンと熱的に結合され、熱エネルギーを輸送する熱媒体がその内部を流通する伝熱チューブと、を具備し、
前記放熱フィンの表面に対して平行な方向であり、且つ、前記流体の流れに沿う方向を第1方向とし、
前記第1方向の反対方向を第2方向とし、
前記放熱フィンの表面に対して垂直な方向であり、前記第1方向と直交する方向を第3方向とし、
前記第3方向の反対方向を第4方向とし、
前記放熱フィンの表面に対して平行な方向であり、前記第1方向と直交する方向を第5方向とし、
前記第5方向の反対方向を第6方向とした場合、
前記放熱フィンは、
前記第1方向に対して略平行な平坦面である面状部と、
前記面状部と連続し、前記第3方向に対してのみ突出する凸状部と、を有し、
前記面状部と前記凸状部との組み合わされた形状が、前記第1方向に沿って略一定間隔で複数が形成され、
前記凸状部は、前記第1方向に沿って前記第5方向に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記第1方向に沿って前記第6方向に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有し、
前記第1凸状部位と前記第2凸状部位とが連続する部分は、略V字形状を呈しており、
前記伝熱チューブは、前記第1方向に沿って離隔して配設された、第1伝熱チューブ群と、第2伝熱チューブ群と、を有し、
前記第1伝熱チューブ群は、前記第5方向に沿って離隔して配設された複数の前記伝熱チューブを有し、
前記第2伝熱チューブ群は、前記第1伝熱チューブ群よりも前記第1方向の側に配設され、前記第5方向に沿って離隔して配設された複数の前記伝熱チューブを有し、
前記第1伝熱チューブ群と前記第2伝熱チューブ群の間において、前記面状部と前記凸状部とが連続して繰り返し形成される繰り返し領域が形成され、
前記繰り返し領域の前記第1方向側の端部は、前記第2伝熱チューブ群よりも、前記第1方向の側に至るまで形成され、
前記繰り返し領域の前記第2方向側の端部は、前記第1伝熱チューブ群よりも、前記第2方向の側に至るまで形成されることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記流体の流れは、前記面状部の近傍に第1渦を形成し、前記凸状部の近傍に第2渦を形成し、
前記第1渦における前記流体の回転方向と、前記第2渦における前記流体の回転方向とは、逆であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記放熱フィンの前記第3方向を向く面に於ける前記流体の流れと、前記放熱フィンの前記第4方向を向く面に於ける前記流体の流れが非対称と成り、前記伝熱チューブの後方に回り込む流れが強化され、前記伝熱チューブが存在することによる形状抵抗を低下することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
熱交換器を用いて流体と熱交換する熱交換方法であり、
前記熱交換器は、
一定間隔で配設されて前記流体と熱交換を行う複数の放熱フィンと、
前記放熱フィンと熱的に結合され、熱エネルギーを輸送する熱媒体がその内部を流通する伝熱チューブと、を具備し、
前記放熱フィンの表面に対して平行な方向であり、且つ、前記流体の流れに沿う方向を第1方向とし、
前記第1方向の反対方向を第2方向とし、
前記放熱フィンの表面に対して垂直な方向であり、前記第1方向と直交する方向を第3方向とし、
前記第3方向の反対方向を第4方向とし、
前記放熱フィンの表面に対して平行な方向であり、前記第1方向と直交する方向を第5方向とし、
前記第5方向の反対方向を第6方向とした場合、
前記放熱フィンは、
前記第1方向に対して略平行な平坦面である面状部と、
前記面状部と連続し、前記第3方向に対してのみ突出する凸状部と、を有し、
前記面状部と前記凸状部との組み合わされた形状が、前記第1方向に沿って略一定間隔で複数が形成され、
前記凸状部は、前記第1方向に沿って前記第5方向に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記第1方向に沿って前記第6方向に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有し、
前記第1凸状部位と前記第2凸状部位とが連続する部分は、略V字形状を呈しており、
前記面状部および前記凸状部に沿って前記流体が流動することで、前記放熱フィンと前記流体とが熱交換し、
前記流体の流れは、前記面状部の近傍に第1渦を形成し、前記凸状部の近傍に第2渦を形成し、
前記第1渦における前記流体の回転方向と、前記第2渦における前記流体の回転方向とは、逆であることを特徴とする熱交換方法。
【請求項5】
前記第1渦は、前記第2渦よりも、前記放熱フィンに接近して形成されることを特徴とする請求項4に記載の熱交換方法。
【請求項6】
前記流体は、層流状態を保ったまま、前記面状部および前記凸状部に沿って流動することを特徴とする請求項4に記載の熱交換方法。
【請求項7】
前記放熱フィンの前記第3方向を向く面に於ける前記流体の流れと、前記放熱フィンの前記第4方向を向く面に於ける前記流体の流れが非対称と成り、前記伝熱チューブの後方に回り込む流れが強化され、前記伝熱チューブが存在することによる形状抵抗を低下することを特徴とする請求項4に記載の熱交換方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換促進部材および熱交換器に関し、特に、熱交換促進部材と熱交換する流体の圧力抵抗の増大を抑制しつつ伝熱性能を向上することができる熱交換促進部材および熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器開発の歴史は長く、国内外を含め現在までに伝熱面設計および実機開発に関する膨大な知見とノウハウが蓄積されてきている。しかし、現在における課題として、伝熱面加工による圧力損失上昇を上回る熱伝達率向上の実現、熱伝達特性に加えて物質輸送特性を考慮した熱交換器設計、が挙げられる。
【0003】
従来の熱交換器においては、例えばフィンである拡大伝熱面上にスリットやルーバーなどを形成した。しかし、多くの場合、先端効果または前縁効果を得るには、流れの剥離による圧力抵抗の増大を伴うので、圧力損失上昇が熱伝達率向上を大きく上回る。熱交換器全体としての性能向上を得るためには、必要流量を得るためのポンプ動力の増大を抑えながら熱交換量を上昇させることが鍵となる。
【0004】
また、燃料電池、ガス石油給湯器、ヒートポンプ給湯器などで用いられる室外用熱交換器においては、ゴミや埃等の付着による流量低下の影響が大きいため、ゴミや埃の堆積を誘発する切り欠き部を有するスリットフィンやルーバーフィンが適用できず、効果的な伝熱促進手法が存在しなかった。更に、ヒートポンプ用熱交換器、エアコン用室外熱交換器や冷蔵庫用熱交換器などにおける低温条件下では、水成分の凝縮や着霜の抑制が特に重要である。したがって、強制対流下におけるゴミ、埃、凝縮水などの物質輸送特性を考慮した伝熱面設計の開発を行うことで、現在まで適用が見送られてきた多くのエネルギーシステムへの伝熱促進技術の導入が可能になるものと考えられる。
【0005】
更に、今後の燃料電池システムの普及拡大のために、低コスト化への要求が高まっており、材料コスト低減に直結するコンパクト化を実現する観点から前記課題をクリアすることが求められる。また、平板フィンを用いた現行熱交換器などの温水熱交換器は室外に設置され、ごみや埃の付着の影響を強く受けるため、上記した課題を克服することも重要である。
【0006】
また、熱交換器において、熱交換面に形状的な工夫を施すことで伝熱特性を向上させる発明が、以下の各特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開昭55-105786号公報
【文献】実開昭58-83687号公報
【文献】特開平2-309195号公報
【文献】特許第3342121号公報
【文献】特開昭62-123293号公報
【文献】実用新案登録第3199776号公報
【文献】特許第4815612号公報
【文献】特許第5077926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般に伝熱面に凹凸変形を施すことで伝熱特性は向上するが、流れの剥離によって大きな圧力損失が生じる。伝熱促進技術の導入に伴う圧力損失の増大は、同一ポンプ動力での風量低下を招き、性能向上効果を減少させる。そのため、高性能熱交換器の開発において、圧力損失の増大を抑制しつつ伝熱性能を最大化する伝熱面設計が重要な技術課題となる。更に、作動流体を室外空気や燃焼排ガスとする場合、ゴミや埃、ススなどの堆積による目詰まりを抑制することが求められ、従来型のスリットやルーバーフィンに代わる新規伝熱面の開発が必須となる。国内外において多くの熱交換器開発が行われてきたものの、圧力損失の増大を上回る伝熱性能の向上を得るためには、従来手法とは異なる原理に基づいた新規アプローチが必要である。
【0009】
図8のグラフに、熱交換器に於ける低温側熱伝達率向上割合と通風抵抗増加割合の関係を示す。このグラフに於いて、横軸は低温側熱伝達率の向上割合を示し、縦軸は通風抵抗の増加割合を示している。また、このグラフに示す実線は、性能を同等に維持することが可能となる境界を示しており、熱交換器の性能を向上させるためには、低温側熱伝達率向上割合および通風抵抗増加割合を、実線で示す部分よりもグラフ上に於いて下方に配置しなければならない。
【0010】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、熱交換する流体の圧力抵抗の増大を抑制しつつ伝熱性能を向上することができる熱交換促進部材および熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、流動する流体との間で熱交換が行われる熱交換促進部材であり、前記流体が流動する方向に対して略平行な面である面状部と、前記面状部から前記流体の側に向かって突出する凸状部と、を具備し、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して傾斜する部位を有し、且つ、前記流体が流動する方向に沿って離間して複数が形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して一方向に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記流体が流動する方向に対して他方向に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部が、前記流体の流れに直交する方向から傾斜する角度は30度以上80度以下であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部の幅は、0.6mm以上4.5mm以下であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部が面状部から突出する長さは、0.2mm以上1.5mm以下であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部の先端部側の断面形状は、略半円形であることを特徴とする。
【0017】
本発明の熱交換器は、一定間隔で配設されて流体と熱交換を行う複数の放熱フィンと、前記放熱フィンと熱的に結合され、熱エネルギーを輸送する熱媒体がその内部を流通する伝熱チューブと、を具備し、前記放熱フィンは、前記流体が流動する方向に対して略平行な面である面状部と、前記面状部から前記流体の側に向かって突出する凸状部と、を具備し、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して傾斜する部位を有し、且つ、前記流体が流動する方向に沿って離間して複数が形成されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の熱交換器では、前記凸状部は、前記流体の流れに沿って一方側に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記流体の流れに沿って他方側に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有し、前記第1凸状部位と前記第2凸状部位とが連続する部分は、略V字形状を呈していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の熱交換器では、前記放熱フィンは、第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記凸状部は、前記第1主面の側のみに形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、流動する流体との間で熱交換が行われる熱交換促進部材であり、前記流体が流動する方向に対して略平行な面である面状部と、前記面状部から前記流体の側に向かって突出する凸状部と、を具備し、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して傾斜する部位を有し、且つ、前記流体が流動する方向に沿って離間して複数が形成されることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、流体が流動する方向に対して凸状部が傾斜して壁状を呈することで、流体は層流状態を維持しながら、熱交換促進部材の表面を流動しつつ熱交換することになり、熱交換促進部が流体に与える流動抵抗の増加を抑止しつつ、流体と熱交換促進部材との間に於ける熱伝達率を向上することができる。
【0021】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して一方向に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記流体が流動する方向に対して他方向に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有することを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、第1凸状部位と第2凸状部位との傾斜方向が異なることで、回転方向が異なる渦が交互に形成され、これにより、熱交換促進部材と流体との間における熱伝達が促進される。
【0022】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部が、前記流体の流れに直交する方向から傾斜する角度は30度以上80度以下であることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、凸状部が所定の角度範囲内で流体の流れから傾斜することで、流動抵抗の抑止および熱伝達率の向上を高いレベルで両立することができる。
【0023】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部の幅は、0.6mm以上4.5mm以下であることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、凸状部の幅を係る範囲にすることで、流動抵抗の抑止および熱伝達率の向上を高いレベルで両立することができる。
【0024】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部が面状部から突出する長さは、0.2mm以上1.5mm以下であることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、凸状部の突出高さを係る範囲にすることで、流動抵抗の抑止および熱伝達率の向上を高いレベルで両立することができる。
【0025】
また、本発明の熱交換促進部材では、前記凸状部の先端部側の断面形状は、略半円形であることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換促進部材によれば、凸状部の先端部側の断面形状が、略半円形であることで、流れの剥離を抑制し、流動抵抗の抑止および熱伝達率の向上を高いレベルで両立することができる。
【0026】
本発明の熱交換器は、一定間隔で配設されて流体と熱交換を行う複数の放熱フィンと、前記放熱フィンと熱的に結合され、熱エネルギーを輸送する熱媒体がその内部を流通する伝熱チューブと、を具備し、前記放熱フィンは、前記流体が流動する方向に対して略平行な面である面状部と、前記面状部から前記流体の側に向かって突出する凸状部と、を具備し、前記凸状部は、前記流体が流動する方向に対して傾斜する部位を有し、且つ、前記流体が流動する方向に沿って離間して複数が形成されることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換器によれば、流体が流動する方向に対して凸状部が傾斜して壁状を呈することで、流体は層流状態を維持しながら、熱交換促進部材の表面を流動しつつ熱交換することになり、熱交換促進部が流体に与える流動抵抗の増加を抑止しつつ、流体と熱交換促進部材との間に於ける熱伝達率を向上することができる。
【0027】
また、本発明の熱交換器では、前記凸状部は、前記流体の流れに沿って一方側に向かって傾斜する第1凸状部位と、前記流体の流れに沿って他方側に向かって傾斜する第2凸状部位と、を交互に有し、前記第1凸状部位と前記第2凸状部位とが連続する部分は、略V字形状を呈していることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換器によれば、第1凸状部位と第2凸状部位とが連続する部分が略V字形状を呈していることで、伝熱チューブの後方に回り込む流れが生成され、伝熱チューブの後流域が減少する。よって、圧力抵抗が大幅に低下することで圧力損失の増大が抑制される。
【0028】
また、本発明の熱交換器では、前記放熱フィンは、第1主面と、前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記凸状部は、前記第1主面の側のみに形成されることを特徴とする。これにより、本発明の熱交換器によれば、第1主面側の摩擦抵抗を、第2主面側の摩擦抵抗よりも大きくすることができ、放熱フィンの主面に対して垂直な方向に於ける流体の流れが非対称に成る。よって、伝熱チューブの後方に回り込む流れを更に大きくし、伝熱チューブの後流域が減少し、および、流れの剥離に起因する圧力抵抗(形状抵抗)を更に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態に係る熱交換促進部材を備えた熱交換器を示す図であり、(A)は熱交換器をY方向から見た図であり、(B)は熱交換器をZ方向から見た図である。
図2】本発明の実施の形態に係る放熱フィンを示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る放熱フィンに形成される凸状部を示す図であり、(A)は凸状部をY方向から見た図であり、(B)は(A)の切断面線A-Aに於ける断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る放熱フィンを示す図であり、(A)は放熱フィンを示す斜視図であり、(B)は放熱フィンの上面近傍に於ける流体の流れを示す断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る放熱フィンを示す図であり、(A)は放熱フィンの下面における摩擦係数の分布を示す図であり、(B)は放熱フィンの上面における摩擦係数の分布を示す図である。
図6】(A)は放熱フィンが平坦な場合の流れ場の変化を示し、(B)は本発明の実施の形態に係る放熱フィンの流れ場の変化を示している。
図7】本発明の実施の形態に係る放熱フィンを示す図であり、(A)はレイノルズ数とj因子との関係を示すグラフであり、(B)はレイノルズ数とf因子との関係を示すグラフである。
図8】低温側熱伝達率向上割合と通風抵抗増加割合との相関を示すグラフである。
図9】本発明の他の形態に係る熱交換促進部材を備えた熱交換器を示す図であり、(A)は熱交換器をY方向から見た図であり、(B)は熱交換器をX方向から見た図である。
図10】本発明の更なる他の形態に係る熱交換促進部材を備えた熱交換器を示す図であり、(A)斜視図であり、(B)は断面図である。
図11】本発明の更なる他の形態に係る熱交換促進部材が筐体に収納される状態を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は熱交換促進部材を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、本実施形態に係る熱交換促進部材がフィンアンドチューブ型の熱交換器に採用された場合を例示するが、本実施形態の熱交換促進部材は、他の形態に係る熱交換器に採用することも可能であり、例えば、プレート型の熱交換器、矩形流路を備えた熱交換器の伝熱面、具体的にはEGRクーラの伝熱面、等に採用することができる。以下の説明に於いて、X方向は流体が流動する方向に対して平行な方向であり、Y方向は放熱フィン14の厚み方向であり、Z方向はX方向およびY方向に対して直交する方向である。
【0031】
図1を参照して、熱交換器10の構成を説明する。図1(A)は熱交換器10をY方向から見た図であり、図1(B)は熱交換器10をZ方向から見た図である。ここで、図1(A)に於いて、X方向に沿って流体が流動している。
【0032】
図1(A)を参照して、熱交換器10は、複数の放熱フィン14と、伝熱チューブ15とから構成されている。熱交換器10は、放熱フィン14どうしの間を流通する流体と、伝熱チューブ15の内部を流通する熱媒体とを熱交換する機器である。熱交換器10は、例えば、家庭用固体酸化物型燃料電池(SOFC)システムの長期間連続駆動を可能にする室外用コンパクト熱交換器として用いられる。更には、熱交換器10は、ルームエアコン、ヒートポンプ給湯器、ガス給湯器、石油給湯器等に用いることができる。
【0033】
ここで、放熱フィン14と熱交換する流体としては、水などの液体や空気などの気体を幅広く採用することができる。また、伝熱チューブ15の内部を流通する熱媒体としては、空気等の気体、水などの液体、更には、蒸気圧縮型冷凍サイクルなどの冷凍サイクルで用いられる冷媒等を幅広く採用することができる。
【0034】
放熱フィン14は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導率に優れた金属等から成る板状の部材であり、ここでは上下方向に沿う長辺を有する略矩形形状を呈している。放熱フィン14は、その厚み方向に沿って、略等間隔に多数が配置されている。また、放熱フィン14は、熱交換促進部材の一形態であり、拡大伝熱面を有している。
【0035】
放熱フィン14には凸状部13が形成されている。凸状部13は、放熱フィン14を部分的に突出させた壁状の部位であり、Z方向に沿って蛇行形成されている。図1(A)では、凸状部13の突出高さが最も高くなる部分、即ち稜線を実線で示している。また、放熱フィン14の平坦部分と凸状部13との境界を点線で示している。凸状部13は、流体が流動するX方向に沿って複数個が略等間隔に形成されており、凸状部13どうしは略同様の形状を呈している。凸状部13の形状は、図3を参照して詳述する。
【0036】
伝熱チューブ15は、銅やアルミニウム等の熱伝導率が高い金属から成る管状の部材であり、蛇行形状を呈している。伝熱チューブ15が放熱フィン14を貫通することで、この貫通部分に於いて伝熱チューブ15と放熱フィン14とが熱的に結合される。また、伝熱チューブ15は、流体が流動するX方向に対して千鳥に配置されている。
【0037】
ここで、熱交換器10を構成する各部材のサイズを例示する。図1(A)に示すように、伝熱チューブ15の直径DCは10mmであり、流体が流れるX方向に沿う伝熱チューブ15どうしの間隔Plは22mmであり、流体の流れに直交するZ方向に於ける伝熱チューブ15同士の間隔Ptは25.4mmである。更に、図1(B)に示すように、Y方向に於いて、放熱フィン14どうしが離間する距離Hは1.82mmであり、これにより放熱フィン14どうしを十分に離間させることができ、ゴミや埃などが詰まることを抑止することができる。
【0038】
ここで、伝熱チューブ15の直径DCは、放熱フィン14に形成される孔部16(図2参照)の直径と同様である。流体が流れるX方向に沿う伝熱チューブ15どうしの間隔Plは、流体が流れるX方向に沿う孔部16の間隔と同様である。流体の流れに直交するZ方向に於ける伝熱チューブ15どうしの間隔Ptは、流体の流れに直交するZ方向に於ける孔部16の間隔と同様である。
【0039】
図2を参照して、放熱フィン14の構成を詳述する。放熱フィン14は、上記したように銅やアルミニウムなどの熱伝導に優れる金属板から成り、上記した伝熱チューブ15が貫通する部分に略円形の孔部16が形成されている。
【0040】
放熱フィン14は、上記した流体と熱媒体との熱交換を促進する熱交換促進部材である。放熱フィン14には、熱交換を更に促進させるために、凸状部13が形成されている。
【0041】
凸状部13は、放熱フィン14の一部を+Y方向に向かって突出させた部位である。凸状部13は、全体としては、流体が流れる流動方向であるX方向に対して直交する方向であるZ方向に対して平行且つ壁状に蛇行形成されている。また、凸状部13は、局所的には、Z方向に対して傾斜して延在している。具体的には、凸状部13は、+Z側の部分が+X側に向かって傾斜する傾斜部分と、+Z側の部分が-X側に向かって傾斜する傾斜部分とを、交互に有している。また、凸状部13は、放熱フィン14の+Z側の端部から、-Z側の端部まで連続して形成されている。
【0042】
本実施形態に係る放熱フィン14は、背景技術の如きスリットが形成されていない。よって、放熱フィン14を採用した熱交換器が汚染されやすい環境、例えば屋外や工場内部に配置されたとしても、放熱フィン14にゴミ等が付着してしまうことを抑止することができる。
【0043】
図3を参照して、凸状部13の具体的形状を説明する。図3(A)は凸状部13を+Y側から見た図であり、図3(B)は図3(A)の切断面線A-Aに於ける断面である。
【0044】
図3(A)を参照して、凸状部13は、Z方向に沿ってジグザグ形状に伸びる蛇行形状を呈している。換言すると、凸状部13は、+Z側に向かって-X側に傾斜して直線的に伸びる凸状部位131と、+Z側に向かって+X側に傾斜して直線的に伸びる凸状部位132と、を交互に有している。係る構成により、-X側の端部で凸状部位131と凸状部位132とが連続する端部133と、+X側の端部で凸状部位131と凸状部位132とが連続する端部134とにおいて、凸状部13は略V字形状を呈している。
【0045】
凸状部位131がZ方向から傾斜する角度θは、例えば55度である。角度θの好適な範囲は、30度以上80度以下であり、更に好適な範囲は40度以上70度以下であり、特に好適な範囲は50度以上60度以下である。凸状部位131がX方向から傾斜する角度θを係る範囲とすることで、後述するように、伝熱特性を高くすることができ、更に、圧力損失を小さくすることができる。
【0046】
凸状部位131のZ方向に於ける長さLZは、例えば4mmである。LZの好適な範囲は、1.5mm以上6.4mmであり、更に好適な範囲は2.5mm以上5.5mmであり、更に好適な範囲は3.0mm以上5.0mmである。LZを係る値および範囲とすることで、後述するように、伝熱特性を高くすることができ、更に、圧力損失を小さくすることができる。
【0047】
また、凸状部位132がZ方向から傾斜する角度θ、および、Z方向における長さLZも、凸状部位131と同様である。
【0048】
図3(B)を参照して、凸状部位131の高さhは、例えば0.9mmである。hの好適な範囲は0.2mm以上1.5mmであり、更に好適な範囲は0.4mm以上1.3mmであり、更に好適な範囲は0.6mm以上1.1mmである。hを係る値および範囲とすることで、後述するように、伝熱特性を高くすることができ、更に、圧力損失を小さくすることができる。
【0049】
凸状部位131の幅wは、例えば2.5mmである。wの好適な範囲は0.6mm以上4.5mm以下であり、更に好適な範囲は1.0mm以上4.0mmであり、更に好適な範囲は2.0mm以上3.0mmである。wを係る値および範囲とすることで、後述するように、伝熱特性を高くすることができ、更に、圧力損失を小さくすることができる。
【0050】
更に、スパン方向に於ける波数Nは、N=Pt/LZで算出され、Nの値の一例は、4以上16以下である。
【0051】
図4を参照して、上記した形状の放熱フィン14により奏される効果を説明する。図4(A)は、放熱フィン14を示す斜視図であり、図4(B)は図4(A)の点線で囲まれた領域に於ける流体の流れを示す図である。また、図4(B)では、流体の流れを細い実線の矢印で示している。
【0052】
図4(A)を参照して、凸状部13の稜線方向は、流体が流れる方向であるX方向に対して所定の角度で傾斜している。更に、図3(A)に示したように、凸状部13を構成する凸状部位131および凸状部位132の傾斜方向は、一定の周期(図3(A)に示すLZ)ごとに交互に入れ替わる。また、凸状部位131と凸状部位132とが連続する部分はV字形状を形成している。
【0053】
このことにより、放熱フィン14の上面に於いて、渦171ないし渦175が形成されている。渦171、渦173および渦175は、放熱フィン14の面状部12の上面に形成されている。ここで、面状部12は流体の流れに対して略平行な面である。一方、渦172、渦174は、凸状部13の上方に形成されている。渦171ないし渦175では、X軸に対して平行な回転軸を中心に、流体が渦状に回流する。また、面状部12の上方に形成される渦171、渦173および渦175の回転方向と、凸状部13の上方に形成される渦172および渦174の回転方向は、逆である。具体的には、図4(B)の視点に於いて、渦171、渦173および渦175の回転方向は反時計回りであり、渦172および渦174の回転方向は時計回りである。係る現象により、流れ方向の垂直断面内に強度な2次流れが生成され、放熱フィン14に於ける熱伝達が促進される。
【0054】
また、図3(A)を参照して説明したように、凸状部13は、凸状部位131と凸状部位132とが連続する部分で略V字形状を呈している。凸状部13が係る形状を呈していることで、後述するように、伝熱チューブ15の後方に回り込む流体の流れが形成される。よって、伝熱チューブ15の後流域が顕著に減少し、圧力抵抗が大幅に低下し、圧力損失の増大が抑制される。ここで、後流域とは伝熱チューブ15の後方で流体が澱む流域であり、後流域では熱交換の効率が低下する。
【0055】
更に、図4(B)に示すように、放熱フィン14の断面形状は、面状部12と凸状部13とを交互に有する所謂パルス波形状を呈している。このことで、流体の流れ方向に於いて、略平坦な面状部12が一定間隔で存在することになり、剪断応力(摩擦力)が強化される。よって、放熱フィン14と流体との熱伝達が促進され、圧力損失の増大が抑制される。
【0056】
更にまた、図4(B)からも明らかなように、凸状部13は、上方(+Y方向)のみに対して突出し、下方(-Y方向)に対しては突出していない。係る構成により、放熱フィン14の上面(+Y方向を向く面)に於ける摩擦抵抗が、放熱フィン14の下面(-Y方向を向く面)に於ける摩擦抵抗よりも大きくなる。
【0057】
この現象を、図5を参照して説明する。図5(A)は放熱フィン14の下面に於ける摩擦係数の分布を示し、図5(B)は放熱フィン14の上面に於ける摩擦係数の分布を示している。図5(A)および図5(B)に於いて、色彩の濃さが摩擦係数の大きさを示している。図5(A)の分布図と図5(B)の分布図とを比較した場合、図5(A)に示す放熱フィン14の下面に於ける摩擦係数が、相対的に小さい。これにより、放熱フィン14の上面に於ける流体の流れと、放熱フィン14の下面に於ける流体の流れが非対称と成り、伝熱チューブ15の後方に回り込む流れが強化され、伝熱チューブ15が存在することによる形状抵抗を低下することができる。
【0058】
再び図4(B)を参照して、放熱フィン14を上記した形状にすることで、放熱フィン14の上面に於いて、流体は層流状態を保ったまま、放熱フィン14の上面に沿って剥離することなく良好に流動している。よって、放熱フィン14と流体との間に於ける伝熱を促進することができる。
【0059】
図6を参照して、本実施形態により奏される効果を説明する。図6(A)は放熱フィン14が平板であった場合に於ける流れ場の変化を示す、図6(B)は上記した凸状部13が形成された放熱フィン14による流れ場の変化を示している。図6(A)および図6(B)に於いて、色彩の薄い領域では、放熱フィン14と流体との熱交換の効率が低い。
【0060】
図6(A)を参照して、伝熱チューブ15の後方部分(白丸で囲む部分)に於いて、大きな後流域が形成され、熱交換の効率が低下している。これは、放熱フィン14の表面が平坦であることで、伝熱チューブ15の後方に於いて、放熱フィン14の表面と流体との間で伝熱が良好に行われていないからである。
【0061】
図6(B)では、伝熱チューブ15の後方部分(白丸で囲む部分)に於いて、図6(A)に示したような後流域は発生しておらず、熱交換は良好に行われている。これは、上記したように、放熱フィン14の表面に所定形状の凸状部13を形成することで、伝熱チューブ15の後方に良好に流体が流れ込み、放熱フィン14の表面と流体との間で良好に熱伝達が行われていることを示している。
【0062】
図7のグラフを参照して、本実施形態により奏される効果を説明する。図7(A)は放熱フィンと熱交換する流体のレイノルズ数とj因子との相関を示す図であり、図7(B)は係る流体のレイノルズ数とf因子との相関を示す図である。ここで、j因子は伝熱特性を示し、f因子は圧力損失を示している。
【0063】
図7(A)において、横軸はレイノルズ数を示し、縦軸はj因子を示している。ここでは、様々な形状の放熱フィンの特性を示しており、実線はプレインフィンの特性を示し、粗な点線はルーバーフィンの特性を示し、密な点線はスリットフィンの特性を示し、一点鎖線は波形状フィンの特性を示し、二点鎖線はディンプルが形成されたフィンの特性を示している。
【0064】
更にこのグラフでは、レイノルズ数が特定の値の条件下に於いてj因子を計測し、かかる条件下に於けるプレインフィンの値を「白塗りの丸」で示し、波形状フィン(波形状部が2の場合)の値を「黒塗りの丸」で示し、波形状フィン(波形状部が4の場合)の値を「黒塗りの四角」で示し、本実施形態に係る形状の放熱フィンを「黒塗りの三角」で示している。
【0065】
グラフから明らかなように、本実施形態に係る放熱フィン14を採用することで、プレインフィンの場合と比較すると、j因子を107%大きくすることが可能となり、即ち熱交換効率を飛躍的に向上することができる。
【0066】
図7(B)に示すグラフでは、横軸はレイノルズ数を示し、縦軸はf因子を示している。図7(A)の場合と同様に、実線はプレインフィンの特性を示し、粗な点線はルーバーフィンの特性を示し、密な点線はスリットフィンの特性を示し、一点鎖線は波形状フィンの特性を示し、二点鎖線はディンプルが形成されたフィンの特性を示している。ここでも、図7(A)の場合と同様に、特定のレイノルズ数に於いてf因子を測定した結果、「黒塗りの三角」で示す本実施形態のf因子は、プレインフィンと比較すると、78%大きくなっている。
【0067】
上記のことから、本実施形態の放熱フィン14を採用すれば、プレインフィンと比較すると、j因子を107%大きくすることが出来る一方、f因子の増加を78%に抑えることができるので、伝熱性能を向上しつつ圧力損失の増大を抑止できる。よって、係る構成の放熱フィン14を熱交換器に採用することで、少ない運転エネルギーで、効果的に熱交換を行うことができる。更には、本実施形態に係る放熱フィン14を採用した熱交換器は、着霜を抑制することができ、容易に除霜を行うことができる。
【0068】
図9を参照して、他の形態に係る熱交換器10の構成を説明する。図9(A)は熱交換器10をY方向に向かって見た図であり、図9(B)は熱交換器10をX方向に向かって見た図である。
【0069】
図9(A)および図9(B)を参照して、ここに示す熱交換器10の基本構成は図1に示したものと同様であり、プレート式熱交換器として熱交換器10が構成されている。プレート式熱交換器では、複数の熱交換器10が所定の間隙をあけて積層配置される。また、熱交換器10の四隅付近には、流体が流通する管が貫通する孔部18が形成されている。
【0070】
熱交換器10の運転状況下では、Y軸方向に沿って、熱交換器10の一枚毎に、高温流体と低温流体が流れる。熱交換器10では、高温流体または低温流体の流れに対して、略V字形状となるように、所定間隔をおいて凸状部13が形成されている。このようにすることで、高温流体および低温流体と熱交換器10とを効果的に熱交換することができる。
【0071】
図10を参照して、ここでの放熱フィン14は、略コルゲート状に形成されている。図10(A)は放熱フィン14を示す斜視図であり、図10(B)は図10(A)のB-B切断面線に於ける断面図である。
【0072】
図10(A)および図10(B)を参照して、Z方向に放熱フィン14を見た場合、放熱フィン14はX方向に沿ってコルゲート状を呈している。放熱フィン14の+Xを向く面に、凸状部13が形成されている。このようにすることで、コルゲート状の熱交換器10を流体と効果的に熱交換することができる。
【0073】
図10(A)に示す如く、熱交換器10では、X方向に沿って、且つ、放熱フィン14を挟んで、高温側流路22と低温側流路23とが交互に形成されている。また、凸状部13は高温側流路22の側に突出するように形成され、且つ、低温側流路23の側にも突出するように形成される。ここでは、高温側流路22では比較的高温の流体が下方に向かって流通しており、低温側流路23では比較的低温の流体が上方に向かって流通している。このようにすることで、放熱フィン14を介して、高温側流路22を流れる高温流体と、低温側流路23を流れる低温流体とを、効果的に熱交換することができる。
【0074】
図11は、筐体19を有する熱交換器10を示す図であり、図11(A)は熱交換器10を示す斜視図であり、図11(B)は放熱フィン14を抜き出して示す上面図である。
【0075】
図11(A)を参照して、放熱フィン14は筐体19に収納されている。熱交換器10の-Y側を向く側面には、下端側に導入口20が形成され、上端側に排出口21が形成されている。例えば、導入口20から筐体19の内部に低温流体が導入され、放熱フィン14と熱交換した後の低温流体が排出口21から外部に排出される。
【0076】
また、筐体19の+Y側の側面にも、図示しない導入口および排出口が形成され、導入口から高温流体が筐体19の内部に導入され、放熱フィン14と熱交換した高温流体が排出口から外部に排出される。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、上記した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0078】
上記した放熱フィン14は、熱交換器10以外にも適用可能であり、例えば、直交流型の熱交換器、自動車関連の熱交換器、即ち、コンデンサー、エバポレータ、ラジエータ等に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
10 熱交換器
12 面状部
13 凸状部
131 凸状部位
132 凸状部位
133 端部
134 端部
14 放熱フィン
15 伝熱チューブ
16 孔部
171 渦
172 渦
173 渦
174 渦
175 渦
18 孔部
19 筐体
20 導入口
21 排出口
22 高温側流路
23 低温側流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11