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特許7569615高導電性組成物の堆積による電磁干渉シールド保護の達成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】高導電性組成物の堆積による電磁干渉シールド保護の達成
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241010BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20241010BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20241010BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20241010BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20241010BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/08
C08K9/02
H01B1/22
H01B5/14 Z
H01B13/00 503C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018505734
(86)(22)【出願日】2016-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-23
(86)【国際出願番号】 US2016044700
(87)【国際公開番号】W WO2017023747
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-07-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】62/200,267
(32)【優先日】2015-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、 ジャンボ
(72)【発明者】
【氏名】ジュオ、 チージュオ
(72)【発明者】
【氏名】カオ、 シンペイ
(72)【発明者】
【氏名】カスタネーダ、 グレンダ
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】近野 光知
【審判官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-76866(JP,A)
【文献】特開2013-159805(JP,A)
【文献】特開2014-49380(JP,A)
【文献】特開2014-216089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/00-1/24
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
40~98.99重量%の範囲の粒子状導電性充填剤、
0.01~20重量%の範囲の有機マトリックス;および
1~40重量%の範囲の有機希釈剤;
を含み、電子パッケージの上面および側壁に、静電スプレー処理、エアスプレー処理、超音波スプレー処理によって三次元の導電性コーティングを施すことにより、電子部品に電磁干渉(EMI)シールド保護を付与する導電性膜を製造するための焼結可能な導電性組成物であって、
ここで:
前記粒子状導電性充填剤は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、インジウム、ニッケルの合金、亜鉛の合金、鉄の合金、インジウムの合金、銀メッキされた銅、銀メッキされたアルミニウム、ビスマス、スズ、ビスマス-スズ合金、銀メッキされた繊維、銀メッキされたグラファイト、銀メッキされた炭化ケイ素、銀メッキされた窒化ホウ素、銀メッキされたダイヤモンド、銀メッキされたアルミナ、銀メッキされた合金42、カドミウム及びカドミウムの合金、鉛及び鉛の合金、アンチモン及びアンチモンの合金、並びにこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択され;そして、前記粒子状導電性充填剤は、1nm~50μmの範囲の粒径を有し、;
前記有機マトリックスは少なくとも1種の熱可塑性及び/又は少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み、;そして
前記有機希釈剤は、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジプロピレングリコールメチルエーテル、MEK、アセトン、DBE-9ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物からなる群より選ばれ;そして
前記組成物は、250℃以下の高温に曝され焼結されると、
電子パッケージに対して少なくとも20dBの電磁干渉(EMI)シールド保護を提供し、
前記組成物が25μm未満の厚さで適切な三次元基材に適用されたとき、1×10-3オーム・cm未満の体積抵抗率を有し、そして
前記基材との良好な接着性を有することを特徴とする導電性組成物。
【請求項2】
流動添加剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、強化剤、フラックス剤、フィルム柔軟剤、フェノールノボラック硬化剤、エポキシ硬化触媒、硬化剤、およびこれらの2種以上の混合物の1種以上をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機マトリックスが、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、フェノキシ、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリグリコールおよびポリアクリル酸、ポリ(エチレングリコール)、芳香族ビニルポリマー、ポリカーボネート、PC/ABSアロイ、ナイロン、シリコーンポリマー、シロキサンポリマー、ポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリフェニレンエーテル、コポリエステルカーボネート、ポリアリレートエーテルスルホンまたはケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン-EPDMブレンド、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエーテルエステル、スチレン/アクリロニトリルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ニトリルゴム、セルロース樹脂、並びにそれらの任意の2つ以上の混合物からなる群より選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機マトリックスが、エポキシ、アクリレート、マレイミド、ナジイミド、イタコンイミド、シアネートエステル、オキセタン、ポリウレタン、ポリイミド、メラミン、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ならびにそれらの2つ以上の混合物からなる群より選択される少なくとも1つの熱硬化性樹脂を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1μmで25μm未満の厚さを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の乾燥、硬化および/または焼結することによって得られる反応生成物を含む電子パッケージの電磁干渉(EMI)シールド保護フィルム。
【請求項6】
前記フィルムの厚さが10μm未満である、請求項に記載の電磁干渉(EMI)シールド保護フィルム。
【請求項7】
前記フィルムの厚さが5μm未満である、請求項に記載の電磁干渉(EMI)シールド保護フィルム。
【請求項8】
請求項のいずれか1項に記載の電磁干渉(EMI)シールド保護フィルムが適切な基材に接着された物品。
【請求項9】
試験方法D 3359-97に従うASTM規格クロスカットテープ試験によって決定される、前記フィルムと前記基材との間の接着力が、少なくともレベル1Bである、請求項に記載の物品。
【請求項10】
電子パッケージの露出したすべての表面上に、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の実質的に均一な電磁干渉(EMI)シールド保護コーティングを有する基材を含む物品。
【請求項11】
頂部およびその側壁において、前記基材がコーティングされている、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記組成物が乾燥、硬化および/または焼結されている、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
電子部品に電磁干渉(EMI)シールド保護を付与する導電性膜の製造方法であって、
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を前記電子部品に塗布する工程、および
組成物を乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む製造方法。
【請求項14】
電子部品に電磁干渉(EMI)シールド保護を与える方法であって、
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を前記電子部品に塗布する工程、および
前記組成物を乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む方法。
【請求項15】
導電性ネットワークを調製する方法であって、
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を適切な基材に所定のパターンで塗布する工程、およびその後、
前記組成物を乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって製造された電子パッケージに対して電磁干渉(EMI)シールド保護するための導電ネットワーク。
【請求項17】
1×10-3オーム・cm以下の体積抵抗率を有する請求項16に記載の導電ネットワーク。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/200,267を優先権主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、高導電性組成物、および例えば静電スプレー処理、エアースプレー処理、超音波スプレー処理、スピンコート処理等の適切な手段を用いた、適切な基材(例えば、エポキシ成形化合物(EMC)表面上)へのその均一な3次元塗布のための方法に関する。非常に薄いコーティング厚さで、電子パッケージ用の高効率電磁干渉シールド(EMI)保護が実証された。本発明はまた、本発明の配合物および方法を用いて調製されたフィルムに関する。別の態様では、本発明は、適切な基材に接着された本明細書に記載のフィルムを含む物品に関する。さらに別の態様では、本発明は、電子部品に電磁干渉シールド(EMI)保護を与える導電性フィルムの製造方法にも関する。さらに別の態様では、本発明は、電子部品に電磁干渉シールド(EMI)保護を与える方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
EMI遮蔽は、導電性材料または磁性材料で作られた障壁を用いて磁界を遮ることによって、空間内の電磁場を低減することを実践するものである。シールドは、典型的には、外界から電気装置を隔離するために筐体に適用される。高周波電磁放射を遮断する電磁シールドは、RFシールドとしても知られている。
【0004】
EMI遮蔽は、電波、電磁場および静電界の結合を低減することができる。静電界を遮断するために使用される導電性エンクロージャは、ファラデーケージとしても知られている。達成できる低減量は、使用される材料、その厚さ、コーティングの導電率、関心のある電磁波の周波数などの要因に依存する。
【0005】
電磁遮蔽に使用される典型的な材料は、形成されたシートメタル(すなわち、金属缶)、およびメッキおよび/またはスパッタリングプロセスによって適用された金属コーティングを含む。別の一般的に使用される遮蔽方法、特にプラスチック容器に収納された電子製品を伴うものでは、導電性コーティングの使用である。
【0006】
形成された金属シートは、金属缶が電子パッケージに適用される基板レベル遮蔽のために典型的に使用される。その寸法のために、この方法は非常に小さい設計には適しておらず、適用において非常に柔軟性がない。
【0007】
メッキ方法は、電子パッケージに完全なカバレッジを提供することができ、潜在的に良好な厚さ制御を有する可能性がある。このような方法は、単位時間当たりの生産性(UPH)が非常に良好であり、材料コストが比較的低い。しかしながら、これらの方法は、コーティングされるべき表面の前処理を必要とし、基板の面倒なマスキングを必要とする。
【0008】
スパッタ法は、EMI遮蔽用途のためのよく知られ広く受け入れられている方法である。この方法は、典型的には低い材料コストであるが、コーティングの高い導電率のために非常に効果的なEMI遮蔽を提供することができる。しかしながら、その方法は非常に高価な装置の使用を必要とする。さらに、そのUPHは非常に低い。
【0009】
現在、導電性ペースト接着剤は、EMI遮蔽保護のために一般に使用されている。しかしながら、残念なことに、ペースト接着剤が高い導電性を有していない場合、所望の遮蔽性能を達成するためには非常に厚い膜が必要である。
【0010】
導電性コーティングは、導電性組成物により電子パッケージにEMI保護を提供する。その導電性組成物は、典型的には銀、銅、ニッケルなどの適切な金属が非常に小さい微粒子形態で充填された熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含むキャリア材料からなる。コーティングは、通常、電子パッケージ上にスプレーまたは印刷プロセスによって塗布され、一度乾燥されると連続導電層を生成し、それは装置のシャーシ接地に電気的に接続することができ、したがって効果的な遮蔽を提供する。この方法の限界は、EMI遮蔽の有効性が、純粋な金属シートや、メッキおよびスパッタリングによって提供される金属コーティングほど良好ではないことである(導電性コーティングの導電性が劣るため)。別の制限は、通常のスプレーまたは印刷プロセスによって電子パッケージ上に均一な三次元の薄いコーティングを製造することが困難であるということである。
【0011】
先行技術の方法のこれらおよび他の制限は、本発明によってここで対処される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、導電性材料を適切な基材に塗布するのに有用な高導電性組成物が提供され、結果として得られる被覆された物品は、先行技術の方法を用いた従来技術の配合物で被覆された物品と比較してEMI遮蔽性能が改善される。
【0013】
本発明のある態様によれば、導電性フィルムの製造方法およびそれによって遮蔽された物品も提供される。本発明の方法は、電子パッケージの表面に、実質的に均一な三次元の薄い導電性コーティングを達成するため、静電スプレー処理、エアスプレー処理、超音波スプレー処理、スピンコーティング処理などの様々な塗布方法の使用を意図している。効果的なEMIシールドは、非常に薄いコーティング厚さで実証されている。例えば、矩形のEMCブロックの場合、三次元コーティングは、導電性組成物がブロックの上面および四つの側壁を実質的に均一に覆うことを意味する(例えば、図1参照)。
【0014】
静電スプレー処理は、典型的には、コーティング材料を基材に分配するために非常に高い電圧(約10KV)を使用し、その間、電気力はコーティング溶液の表面張力に打ち勝ち、コーティング材料の液滴は、帯電した微細ミスト(ナノサイズの液滴)に分けられる。電場強度によって駆動されて、帯電した微細なミストはワークピースに向かって加速される。他のスプレープロセスと比較して、静電スプレー処理によって生成されたミストは、特定の実施形態でははるかに微細である傾向があり、それによりコーティングフットプリントの制御が容易になる。これは、いくつかの実施形態では、電子パッケージの表面上に3次元の薄いコーティングを作製することを容易にする。
【0015】
エアスプレープロセスは、空気圧式スプレーガンを用いて実施される。エアガンは、ノズル、塗料槽、エアコンプレッサーを有する。トリガーが押されると、塗料は圧縮空気流と混合され、細かいスプレーで放出される。
【0016】
超音波スプレーは、スプレーノズルチップに作用する圧電変換器によって生成された高周波音波を使用してコーティング液を霧化し、コーティング対象表面にコーティングするための小さな液滴を生成するコーティング方法である。
【0017】
エアスプレープロセスと比較して、静電スプレープロセスによって生成されたミストははるかに微細であり、コーティングフットプリントの制御がずっと容易である。これにより、側壁パッケージの厚さ対上面の厚さの比がほぼ1:1で、電子パッケージの表面に3次元の薄いコーティングを施すことが可能になる。超音波スプレーのミストは静電スプレーのミストと同様であるため、この方法によるコーティング品質は静電方法で得られるものと同様である。
【0018】
本発明によれば、先行技術の限界が克服され、本発明の組成物の優れた性能、およびその製造方法および使用方法が以下のように実証された:
・ (例えば、静電スプレー、エアスプレープロセス、超音波スプレープロセス、スピンコーティングプロセスなどによって)EMC表面上に3次元的に塗布された本発明の組成物は、EMC表面上に三次元の薄い導電性コーティングを提供する。薄いコーティングは、EMCに対して優れた接着性を示す。
・ 本発明による高導電性組成物は、そのEMI遮蔽性能を改善する。効果的なEMI遮蔽性能は、1~2μmという低いコーティング厚さで達成される。
・ スパッタリングコーティングで得られるものと比較して、本発明の配合物ではるかに高いUPHが得られる。さらに、本発明の方法は、スパッタリングおよびメッキプロセスによって調製されたコーティングと比較して類似の金属コーティングを提供する。
【0019】
本発明の特定の態様において、本発明の配合物および方法を用いて調製されたフィルムも提供される。本発明のさらなる態様において、そのための適切な基材に接着された本明細書に記載のフィルムを含む物品も提供される。
【0020】
要約すれば、高導電性組成物(およびその調製方法)が本明細書において実証された。これらの高導電性組成物は、例えば静電スプレー法、エアースプレー法、超音波スプレー法、スピンコーティング法などの様々な方法によってEMC表面に塗布することができる。均一な三次元の薄いコーティングが、EMC表面上で達成された(例えば、図1参照)。試験結果は、これらの高導電性組成物が、電子パッケージに対して、非常に薄い厚さで非常に効果的なEMI遮蔽保護を提供できることを示す。
【0021】
本発明は、少なくとも以下の望ましい性能特性の組み合わせを提供する点で独特である:
a.良好なEMIシールド効果(例えば、20dB以上)、
b.低い硬化温度で高い導電率、
c.非常に薄いが、均一なコーティング;そして
d.ICパッケージ保護用の3次元EMIシールドコーティング。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の方法を用いてEMI遮蔽が望まれる装置の上面および側壁に導電性コーティングを施した結果を示す。
図2図2は、組成A(実施例1参照)の水分調整後のEMC上の例示的な導電性組成物の接着性を示す図である。
図3図3は、組成A1の硬化標本(実施例5参照)の、例示的な基材への接着の引っ掻き-剥離試験の結果を示す。
図4図4は、厚さ5μmの異なる配合物のEMI遮蔽性能をまとめたものである。C850-6LはHenkel Electronic Materials LLCから市販されている。組成A1は実施例5に記載されている。組成Aは実施例1に記載されている。Y軸はEMIシールド効果である。その数値が低いほど、EMI遮蔽性能が良好であることを示す。試験結果は、本明細書に記載の配合物により、有意なEMI遮蔽性能改善が達成されたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、
約10~98.99重量%の範囲の粒子状導電性充填剤;
約0.01~約40重量%の範囲の有機マトリックス;および
約1~約80重量%の範囲の有機希釈剤;を含み、
ここで:
前記粒子状導電性充填剤は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウム、インジウム、ニッケルの合金(例えば合金42)、亜鉛の合金、鉄の合金、インジウムの合金、銀メッキされた銅、銀メッキされたアルミニウム、ビスマス、スズ、ビスマス-スズ合金、銀メッキされた繊維、銀メッキされたグラファイト、銀メッキされた炭化ケイ素、銀メッキされた窒化ホウ素、銀メッキされたダイヤモンド、銀メッキされたアルミナ、銀メッキされた合金42、カドミウム及びカドミウムの合金、鉛及び鉛の合金、アンチモン及びアンチモンの合金、並びにこれらの2つ以上の混合物からなる群より選択され;そして、前記粒子状導電性充填剤は、約1nm~約50μmの範囲の粒径を有し;
前記有機マトリックスは少なくとも1種の熱可塑性及び/又は少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み;そして
前記有機希釈剤は、芳香族炭化水素、飽和炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、ポリオール、エステル、二塩基性エステル、α-テルピネオール、β-テルピネオール、ケロセン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、高沸点アルコールおよびそのエステル、グリコールエーテル、ケトン、アミド、ヘテロ芳香族化合物、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物からなる群より選ばれ;そして
前記組成物は、約250℃以下の高温に曝されると、
電子パッケージに対して少なくとも20dBの電磁干渉シールド(EMI)保護を提供し、
上記組成物が適切な手段、例えば静電スプレー法、エアースプレー法、超音波スプレー法、スピンコーティング法などによって適切な手段によって、三次元基材に対して、25μm未満の厚さで塗布されたとき、1×10-3オーム・cm未満の体積抵抗率を有し、
前記基材との良好な接着性を有する。
矩形のEMCブロックの場合、三次元コーティングは、導電性組成物がブロックの上面および四つの側壁を覆うことを意味する。
【0024】
EMI有効性は、様々な方法で、例えば、2つの導波管-同軸アダプタおよびベクトルネットワークアナライザを含む導波管システム(1.7-2.8GHz)を使用するなどで、測定することができる。サンプルは、PETフィルム上にコーティングされた目標厚さを有する薄膜層として調製される。サンプルサイズは5x3インチである。この材料は、14KHz以上の周波数での使用に適しており、>1GHz以上で優れた性能を発揮する。
【0025】
フィラー
本発明によれば、本明細書で使用される粒子状導電性充填剤は、本発明の組成物の約10~約98.99重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約10~約95重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約10~約90重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約10~約80wt%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約10~約70重量%の粒子状導電性充填剤を含む。使用される粒子状導電性充填剤は、本発明の配合物の20~約98.99重量%の範囲で存在し、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約95重量%の粒子状導電性充填剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約90重量%の粒子状導電性充填剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤約20~約80重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約70重量%の粒子状導電性充填剤を含む。使用される粒子状導電性充填剤は、本発明の配合物の30~約98.99重量%の範囲で存在し、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約30~約95重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約30~約90重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約30~約80重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約30~約70重量%の範囲で含み;いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約40~約95重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約40~約90重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約40~約80重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤約40~約70重量%の範囲で含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、粒子状導電性充填剤を約40~約60重量%の範囲で含む。
【0026】
本明細書で使用される粒子状導電性充填剤は、実質的にナノ粒子であってよく、または本明細書で使用される粒子状導電性充填剤は、実質的により大きく、非ナノ粒子であってよく、または本明細書で使用される粒子状導電性充填剤は、ナノ粒子と非ナノ粒子の組み合わせであってよい。
【0027】
例えば、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で使用される粒子状導電性充填剤の100重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、約2~1000nmの平均粒子径であり、残りの粒子状導電性充填剤は、50μm以下の粒径を有する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で使用される粒子状導電性充填剤の100重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で使用される粒子状導電性充填剤の10重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の20重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の30重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の40重量%までが、約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の50重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の60重量%までが、約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の70重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の80重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の90重量%までが約2~1000nmの範囲の粒径を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の10重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の20重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の30重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の40重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の50重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の60重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の70重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の80重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の90重量%までが約2~500nmの範囲の粒径を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の10重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の20重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の30重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の40重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の50重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の60重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の70重量%までが、50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の80重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の90重量%までが50μm以下の粒径および約1~25μmの範囲の平均粒径を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の10重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の20重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の30重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の40重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の50重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の60重量%までが、50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に用いられる粒子状導電性充填剤の70重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施に使用される粒子状導電性充填剤の80重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有し、いくつかの実施形態では、本発明の実施において使用される粒子状導電性充填剤の90重量%までが50μm以下の粒径および約10nm~10μmの範囲の平均粒径を有する。
【0033】
有機マトリックス
本出願において、多種多様な有機マトリックスの使用が考えられる。例示的な有機マトリックスは、少なくとも1種の熱可塑性樹脂および/または少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含む。
【0034】
本明細書で使用される有機マトリックスは、本発明の組成物の約0.01~約40重量%の範囲で存在する。いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.05~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.1~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.5~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約3~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約4~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約40重量%の範囲の有機マトリックスを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される有機マトリックスは、本発明の組成物の約0.01~約30重量%の範囲で存在し、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.05~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.1~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.5~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約3~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約4~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約30重量%の範囲の有機マトリックスを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される有機マトリックスは、本発明の組成物の約0.01~約20重量%の範囲で存在し、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.05~約20wt%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.1~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.5~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約3~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約4~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約20重量%の範囲の有機マトリックスを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される有機マトリックスは、本発明の組成物の約0.01~約10重量%の範囲で存在し、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.05~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.1~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約0.5~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約3~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約4~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約10重量%の範囲の有機マトリックスを含む。
【0038】
例示的な熱可塑性樹脂は、ポリエステル、ポリアクリレート(例えば、ポリメタクリレート、ポリブチルメタクリレート)、ポリウレタン、フェノキシ、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリグリコールおよびポリアクリル酸、ポリ(エチレングリコール)、芳香族ビニルポリマー、フレキシブルエポキシ、エポキシ官能基を有するポリマー、ポリカーボネート、ABS、PC/ABSアロイ、ナイロン、本来的に導電性のポリマー、シリコーンポリマー、シロキサンポリマー、ゴム、ポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリフェニレンエーテル、コポリエステルカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリアリレートエーテルスルホンまたはケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン-EPDMブレンド、ブタジエン、スチレン-ブタジエン、ニトリル、クロロスルホネート、ネオプレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエーテルエステル、スチレン/アクリロニトリルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ニトリルゴム、セルロース樹脂、並びにそれらの任意の2つ以上の混合物からなる群より選択される。
【0039】
少なくとも1種の熱可塑性樹脂の存在に加えて、本明細書での使用が意図される有機マトリックスは、任意に少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことができる。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ、アクリル樹脂、アクリル酸エステル、ビニル、マレイミド、ナジイミド、イタコンイミド、シアネートエステル、アルキド樹脂、シアネートエステル、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン、ポリイミド、官能化ポリイミド、オキセタン、ビニルエーテル、ポリウレタン、メラミン、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン、メラミン等並びにそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0040】
エポキシ
本明細書において、多種多様なエポキシ官能化樹脂の使用が企図され、例えば、ビスフェノールAをベースとする液状エポキシ樹脂、ビスフェノールAをベースとする固形状エポキシ樹脂、ビスフェノールFをベースとする液状エポキシ樹脂(例えば、Epiclon EXA-835LV)、フェノール-ノボラック樹脂をベースとする多官能性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、Epiclon HP-7200L)、ナフタレン型エポキシ樹脂等、及びそれらのいずれか2種以上の混合物である。
【0041】
本明細書において使用が企図される例示的なエポキシ官能化樹脂としては、脂環式アルコールのジエポキシド、水素化ビスフェノールA(Epalloy 5000として市販されている)、ヘキサヒドロフタル酸無水物の二官能性脂環式グリシジルエステル(Epalloy 5200として市販されている)、Epiclon EXA-835LV、Epiclon HP-7200L等、並びにそれらのいずれか2種以上の混合物が挙げられる。
【0042】
特定の実施形態では、エポキシ成分は、2種以上の異なるビスフェノール系エポキシの組み合わせを含んでもよい。これらのビスフェノール系エポキシは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、若しくはビスフェノールSエポキシ、又はそれらの組み合わせから選択してもよい。加えて、同じタイプの樹脂(例えば、A、F、又はS)内の2種以上の異なるビスフェノールエポキシを使用してもよい。
【0043】
本明細書において使用が企図されるビスフェノールエポキシの市販の例としては、ビスフェノールF型エポキシ(例えば、日本化薬(Nippon Kayaku)、日本からのRE-404-S、並びに大日本インキ化学工業(Dai Nippon Ink & Chemicals, Inc.)からのEPICLON 830(RE1801)、830S(RE1815)、830A(RE1826)、及び830W、並びにResolutionからのRSL 1738及びYL-983U)、並びにビスフェノールA型エポキシ(例えば、ResolutionからのYL-979及び980)が挙げられる。
【0044】
Dai Nipponから市販されている上記のビスフェノールエポキシは、ビスフェノールAエポキシをベースとする従来のエポキシよりもはるかに低い粘度を有する液体非希釈型エピクロロヒドリン-ビスフェノールFエポキシとして推奨されており、かつ、液体ビスフェノールAエポキシと類似した物性を有する。ビスフェノールFエポキシは、ビスフェノールAエポキシよりも低い粘度を有するが、その他の点ではこの2つの型のエポキシは同じであり、より粘度の低い、ひいては高流速のアンダーフィルシーラント材料を提供する。これら4つのビスフェノールFエポキシのEEWは、165~180である。25℃における粘度は、3,000~4,500cps(その粘度上限が4,000cpsであるRE1801を除く)である。加水分解性塩素含量は、RE1815及び830Wについては200ppm、そしてRE1826については100ppmと報告されている。
【0045】
Resolutionから市販されている上記のビスフェノールエポキシは、低塩素含量液体エポキシとして推奨されている。ビスフェノールAエポキシは、180~195のEEW(g/eq)、及び25℃で100~250cpsの粘度を有する。YL-979の全塩素含量は、500~700ppm、そしてYL-980の全塩素含量は、100~300ppmと報告されている。ビスフェノールFエポキシは、165~180のEEW(g/eq)、及び25℃で30~60の粘度を有する。RSL-1738の全塩素含量は、500~700ppm、そしてYL-983Uの全塩素含量は、150~350ppmと報告されている。
【0046】
ビスフェノールエポキシに加えて、本発明の配合物のエポキシ成分として、他のエポキシ化合物の使用が企図される。例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカーボネートのような脂環式エポキシを使用することができる。また、得られる樹脂材料の粘度を調整するため及び/又はTgを下げるために、単官能性、二官能性、又は多官能性反応剤希釈剤を使用してもよい。例示的な反応性希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテル、又はポリプロピレングリコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0047】
本明細書における使用に好適なエポキシとしては、フェノール化合物のポリグリシジル誘導体、例えば、商品名EPONで市販されているもの、例えば、ResolutionからのEPON 828、EPON 1001、EPON 1009、EPON 1031;Dow Chemical Co.からのDER 331、DER 332、DER 334、及びDER 542;並びに、日本化薬からのBREN-Sが挙げられる。他の好適なエポキシとしては、ポリオール等から調製されるポリエポキシド、及び、フェノール-ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体が挙げられ、後者は、例えば、Dow ChemicalからのDEN 431、DEN 438、及びDEN 439である。クレゾール類似体もまた、商品名ARALDITEで、例えば、Ciba Specialty Chemicals CorporationからのARALDITE ECN 1235、ARALDITE ECN 1273、及びARALDITE ECN 1299が市販されている。SU-8は、Resolutionから入手可能なビスフェノールA型エポキシノボラックである。アミン、アミノアルコール、及びポリカルボン酸のポリグリシジル付加物もまた本発明において有用であり、その市販の樹脂としては、F.I.C CorporationからのGLYAMINE 135、GLYAMINE 125、及びGLYAMINE 115;Ciba Specialty ChemicalsからのARALDITE MY-720、ARALDITE 0500、及びARALDITE 0510、並びにSherwin-Williams Co.からのPGA-X及びPGA-Cが挙げられる。
【0048】
本明細書において場合により使用するための適切な単官能性エポキシ共反応性希釈剤としては、エポキシ成分の粘度よりも低い、通常、約250cps未満の粘度を有するものが挙げられる。
【0049】
単官能性エポキシ共反応性希釈剤は、炭素原子が約6~約28個のアルキル基を有するエポキシ基を有するべきであり、その例としては、C6-28アルキルグリシジルエーテル、C6-28脂肪酸グリシジルエステル、C6-28アルキルフェノールグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0050】
そのような単官能性エポキシ共反応性希釈剤が含まれる場合、かかる共反応性希釈剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.5重量パーセント~約10重量パーセントの量で用いられるべきであり;いくつかの実施形態では、かかる共反応性希釈剤は、組成物の総重量に基づいて、約0.25重量パーセント~約5重量パーセントの量で用いられるべきである。
【0051】
エポキシ成分は、組成物中に、約1重量パーセント~約40重量パーセントの範囲の量で存在すべきであり;いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2重量パーセント~約18重量パーセントのエポキシを含み;いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約15重量パーセントのエポキシを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書において用いられるエポキシ成分は、シラン変性エポキシ、例えば、以下を含む組成物である:
(A)下記構造に包含されるエポキシ成分:
【0053】
【化1】
(式中:
Yは、存在しても、又は存在しなくてもよく、そしてYが存在する場合、Yは、直接結合、CH、CH(CH、C=O、又はSであり、
ここでのRは、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、カルボキシ、及びハロゲンであり、そして
ここでのxは、1~4である);
(B)下記構造に包含されるエポキシ官能化アルコキシシラン:
【0054】
【化2】
(式中、
は、オキシラン含有部分構造であり、そして
は、1~10個の炭素原子を有する、アルキル若しくはアルコキシ置換アルキル、アリール、又はアラルキル基である);及び
(C)成分(A)と成分(B)との反応生成物。
【0055】
そのようなシラン変性エポキシの例は、芳香族エポキシ、例えば、ビスフェノールA、E、F、若しくはSエポキシ、又はビフェニルエポキシと、エポキシシランと、の反応生成物として形成され、ここで、該エポキシシランは以下の構造に包含される:
【0056】
【化3】
(式中、
は、オキシラン含有部分構造であり、その例としては、2-(エトキシメチル)オキシラン、2-(プロポキシメチル)オキシラン、2-(メトキシメチル)オキシラン、及び2-(3-メトキシプロピル)オキシランが挙げられ、そして
は、1~10個の炭素原子を有する、アルキル若しくはアルコキシ置換アルキル、アリール、又はアラルキル基である)。
【0057】
一実施形態では、Rは2-(エトキシメチル)オキシランであり、そしてRはメチルである。
【0058】
シラン変性エポキシを調製するために使用される芳香族エポキシの理想的な構造としては、
【0059】
【化4】
(式中、
Yは、存在しても、又は存在しなくてもよく、そしてYが存在する場合、Yは、直接結合、CH、CH(CH、C=O、又はSであり、
は、アルキル、アルケニル、ヒドロキシ、カルボキシ、又はハロゲンであり、そして
xは、1~4である)
が挙げられる。
【0060】
当然ながら、xが2~4である場合、芳香族エポキシの鎖延長型もこの構造に包含されるものと企図される。
【0061】
例えば、芳香族エポキシの鎖延長型は、下記構造:
【0062】
【化5】
に包含され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、シロキサン変性エポキシ樹脂は、構造:
【0064】
【化6】
(式中:
Zは、-O-(CH-O-Ph-CH-Ph-O-(CH-CH(OH)-CH-O-Ph-CH-Ph-O-)-CH-オキシランであり、そして
nは、約1~4の範囲に入る)
を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、シロキサン変性エポキシ樹脂は、その反応を促進するのに好適な条件下で、以下の成分の組み合わせを接触させることによって製造される:
【0066】
【化7】
オキシラン-CH2-O-Ph-CH2-Ph-O-(CH2-CH(OH)-CH2-O-Ph-CH2-Ph-O-)n-CH2-オキシラン
(式中、「n」は、約1~4の範囲に入る)。
【0067】
シラン変性エポキシはまた、芳香族エポキシ、エポキシシラン、及び芳香族エポキシとエポキシシランとの反応生成物の組み合わせであってもよい。反応生成物は、1:100~100:1の重量比、例えば1:10~10:1の重量比の芳香族エポキシとエポキシシランとから調製され得る。
【0068】
本発明の組成物において使用が企図されるエポキシモノマーの量は、得られる配合物が約1~20重量%の範囲の前記エポキシを含むのに十分な量である。特定の実施形態では、得られる配合物は、約2~18重量%の範囲の前記エポキシを含む。特定の実施形態では、得られる配合物は、約5~15重量%の範囲の前記エポキシを含む。
【0069】
エポキシモノマーと組み合わせてエポキシ硬化剤が場合により用いられる。例示的なエポキシ硬化剤としては、尿素、脂肪族及び芳香族アミン、アミンハードナー、ポリアミド、イミダゾール、ジシアンジアミド、ヒドラジド、尿素-アミンハイブリッド硬化系、フリーラジカル開始剤(例えば、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ヒドロペルオキシド、アルキルペルオキシド、アリールペルオキシド、アゾ化合物等)、有機塩基、遷移金属触媒、フェノール、酸無水物、ルイス酸、ルイス塩基等が挙げられる。
【0070】
エポキシ硬化剤が存在する場合、本発明の組成物は、約0.1~2重量%の範囲のエポキシ硬化剤を含む。特定の実施形態では、本発明の組成物は、約0.5~5重量%の範囲のエポキシ硬化剤を含む。
【0071】
マレイミド、ナジイミド、又はイタコンイミド
本明細書において使用が企図されるマレイミド、ナジイミド、又はイタコンイミドは、それぞれ以下の構造:
【0072】
【化8】
(式中:
mは、1~15であり、
pは、0~15であり、
各Rは、水素又は低級アルキル(例えば、C1-5)から独立して選択され、そして
Jは、有機基又はオルガノシロキサン基を含む、一価又は多価の基である)
を有する化合物、及びその2種以上の組み合わせである。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態において、Jは、以下から選択される一価又は多価の基である:
-典型的には約6から約500個までの範囲の炭素原子を有するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル種であって、該ヒドロカルビル種は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル(aryalkenyl)、アルケニルアリール、アリールアルキニル、又はアルキニルアリールから選択され、ただし、Xが2以上の異なる種の組み合わせを含む場合のみ、Xはアリールであることができる、ヒドロカルビル種;
-典型的には約6から約500個までの炭素原子を有するヒドロカルビレン又は置換ヒドロカルビレン種であって、該ヒドロカルビレン種は、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、アリールアルケニレン、アルケニルアリーレン、アリールアルキニレン、又はアルキニルアリーレンから選択される、ヒドロカルビレン種、
-典型的には約6から約500個までの範囲の炭素原子を有する複素環又は置換複素環種、
-ポリシロキサン、又は
-ポリシロキサン-ポリウレタンブロックコポリマー、並びに、
以下から選択されるリンカーを有する、上記の1又は複数の組み合わせ:共有結合、-O-、-S-、-NR-、-NR-C(O)-、-NR-C(O)-O-、-NR-C(O)-NR-、-S-C(O)-、-S-C(O)-O-、-S-C(O)-NR-、-O-S(O)-、-O-S(O)-O-、-O-S(O)-NR-、-O-S(O)-、-O-S(O)-O-、-O-S(O)-NR-、-O-NR-C(O)-、-O-NR-C(O)-O-、-O-NR-C(O)-NR-、-NR-O-C(O)-、-NR-O-C(O)-O-、-NR-O-C(O)-NR-、-O-NR-C(S)-、-O-NR-C(S)-O-、-O-NR-C(S)-NR-、-NR-O-C(S)-、-NR-O-C(S)-O-、-NR-O-C(S)-NR-、-O-C(S)-、-O-C(S)-O-、-O-C(S)-NR-、-NR-C(S)-、-NR-C(S)-O-、-NR-C(S)-NR-、-S-S(O)-、-S-S(O)-O-、-S-S(O)-NR-、-NR-O-S(O)-、-NR-O-S(O)-O-、-NR-O-S(O)-NR-、-NR-O-S(O)-、-NR-O-S(O)-O-、-NR-O-S(O)-NR-、-O-NR-S(O)-、-O-NR-S(O)-O-、-O-NR-S(O)-NR-、-O-NR-S(O)-O-、-O-NR-S(O)-NR-、-O-NR-S(O)-、-O-P(O)R-、-S-P(O)R-、又は-NR-P(O)R-(式中、各Rは、独立して、水素、アルキル、又は置換アルキルである)。
【0074】
例示的な組成物としては、Jが以下であるものが挙げられる:オキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、オキシアルケニル、チオアルケニル、アミノアルケニル、カルボキシアルケニル、オキシアルキニル、チオアルキニル、アミノアルキニル、カルボキシアルキニル、オキシシクロアルキル、チオシクロアルキル、アミノシクロアルキル、カルボキシシクロアルキル、オキシクロアルケニル(oxycloalkenyl)、チオシクロアルケニル、アミノシクロアルケニル、カルボキシシクロアルケニル、複素環、オキシ複素環、チオ複素環、アミノ複素環、カルボキシ複素環、オキシアリール、チオアリール、アミノアリール、カルボキシアリール、ヘテロアリール、オキシヘテロアリール、チオヘテロアリール、アミノヘテロアリール、カルボキシヘテロアリール、オキシアルキルアリール、チオアルキルアリール、アミノアルキルアリール、カルボキシアルキルアリール、オキシアリールアルキル、チオアリールアルキル、アミノアリールアルキル、カルボキシアリールアルキル、オキシアリールアルケニル、チオアリールアルケニル、アミノアリールアルケニル、カルボキシアリールアルケニル、オキシアルケニルアリール、チオアルケニルアリール、アミノアルケニルアリール、カルボキシアルケニルアリール、オキシアリールアルキニル、チオアリールアルキニル、アミノアリールアルキニル、カルボキシアリールアルキニル、オキシアルキニルアリール、チオアルキニルアリール、アミノアルキニルアリール又はカルボキシアルキニルアリール、オキシアルキレン、チオアルキレン、アミノアルキレン、カルボキシアルキレン、オキシアルケニレン、チオアルケニレン、アミノアルケニレン、カルボキシアルケニレン、オキシアルキニレン、チオアルキニレン、アミノアルキニレン、カルボキシアルキニレン、オキシシクロアルキレン、チオシクロアルキレン、アミノシクロアルキレン、カルボキシシクロアルキレン、オキシシクロアルケニレン、チオシクロアルケニレン、アミノシクロアルケニレン、カルボキシシクロアルケニレン、オキシアリーレン、チオアリーレン、アミノアリーレン、カルボキシアリーレン、オキシアルキルアリーレン、チオアルキルアリーレン、アミノアルキルアリーレン、カルボキシアルキルアリーレン、オキシアリールアルキレン、チオアリールアルキレン、アミノアリールアルキレン、カルボキシアリールアルキレン、オキシアリールアルケニレン、チオアリールアルケニレン、アミノアリールアルケニレン、カルボキシアリールアルケニレン、オキシアルケニルアリーレン、チオアルケニルアリーレン、アミノアルケニルアリーレン、カルボキシアルケニルアリーレン、オキシアリールアルキニレン、チオアリールアルキニレン、アミノアリールアルキニレン、カルボキシアリールアルキニレン、オキシアルキニルアリーレン、チオアルキニルアリーレン、アミノアルキニルアリーレン、カルボキシアルキニルアリーレン、ヘテロアリーレン、オキシヘテロアリーレン、チオヘテロアリーレン、アミノヘテロアリーレン、カルボキシヘテロアリーレン、ヘテロ原子含有二価又は多価環状部分構造、オキシヘテロ原子含有二価又は多価環状部分構造、チオヘテロ原子含有二価又は多価環状部分構造、アミノヘテロ原子含有二価又は多価環状部分構造、又はカルボキシヘテロ原子含有二価又は多価環状部分構造。
【0075】
アクリレート
本発明の実施において使用が企図されるアクリレートは、当技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第5,717,034号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0076】
本明細書において使用が企図される例示的なアクリレートとしては、単官能性(メタ)アクリレート、二官能性(メタ)アクリレート、三官能性(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0077】
例示的な単官能性(メタ)アクリレートとしては、フェニルフェノールアクリレート、メトキシポリエチレンアクリレート、アクリロイルオキシエチルスクシネート、脂肪酸アクリレート、メタクリロイルオキシエチルフタル酸、フェノキシエチレングリコールメタクリレート、脂肪酸メタクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレート等が挙げられる。
【0078】
例示的な二官能性(メタ)アクリレートとしては、ヘキサンジオールジメタクリレート、ヒドロキシアクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、変性エポキシアクリレート、脂肪酸変性エポキシアクリレート、アミン変性ビスフェノールA型エポキシアクリレート、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシル化エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、9,9-ビス(4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン、トリシクロデカンジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
【0079】
例示的な三官能性(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ポリエーテルトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
【0080】
例示的な多官能性(メタ)アクリレートとしては、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。
【0081】
本発明の実施において使用が企図されるさらなる例示的なアクリレートとしては、米国特許第5,717,034号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが挙げられる。
【0082】
シアネートエステル系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるシアネートエステルモノマーは、加熱により環三量化して置換トリアジン環を形成する、2個以上の環形成シアネート(-O-C≡N)基を含有する。シアネートエステルモノマーの硬化の間には、脱離基も揮発性副産物も形成されないため、硬化反応は付加重合と呼ばれる。本発明の実施において使用され得る好適なポリシアネートエステルモノマーとしては、例えば、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)メタン、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)-2,2-ブタン、1,3-ビス[2-(4-シアナトフェニル)プロピル]ベンゼン、ビス(4-シアナトフェニル)エーテル、4,4’-ジシアナトジフェニル、ビス(4-シアナト-3,5-ジメチルフェニル)メタン、トリス(4-シアナトフェニル)エタン、シアン化ノボラック(cyanated novolak)、1,3-ビス[4-シアナトフェニル-1-(1-メチルエチリデン)]ベンゼン、シアン化フェノールジシクロペンタジエン付加物等が挙げられる。本発明に従って用いられるポリシアネートエステルモノマーは、酸受容体の存在下、適切な二価又は多価フェノールとハロゲン化シアンとを反応させることによって容易に調製され得る。
【0083】
本発明に従ってポリシアネートエステルモノマーと場合により組み合わせることができるモノマーは、付加重合を受けるモノマーから選択される。そのようなモノマーとしては、ビニルエーテル、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、ジメタクリレート、ジプロパルギルエーテル、混合プロパルギルアリルエーテル、モノマレイミド、ビスマレイミド等が挙げられる。そのようなモノマーの例としては、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリアリルシアヌレート(trisallylcynurate)、1,1-ビス(4-アリルオキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-プロパルギルオキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-アリルオキシフェニル-4’-プロパルギルオキシフェニル)エタン、3-(2,2-ジメチルトリメチレンアセタール)-1-マレイミドベンゼン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0084】
本発明の実施において使用が企図されるさらなるシアネートエステルは、当技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第5,718,941号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0085】
シリコーン
本発明の実施において使用が企図されるシリコーンは、当技術分野においてよく知られている。例えば、米国特許第5,717,034号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0086】
オキセタン
オキセタン(すなわち、1,3-プロピレンオキシド)は、3個の炭素原子及び1個の酸素原子を有する4員環を有する、分子式COを有する複素環式有機化合物である。オキセタンという用語はまた、一般に、オキセタン環を含有する任意の有機化合物も指す。例えば、Angew.Chem.Int.Ed.2010,49,9052-9067におけるBurkhardら(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0087】
ポリエステル系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるポリエステルとは、ポリオール(多価アルコールとしても知られている)と、飽和又は不飽和の二塩基酸との反応によって形成される縮合ポリマーを指す。使用される典型的なポリオールは、エチレングリコールのようなグリコールであり;一般的に使用される酸は、フタル酸及びマレイン酸である。エステル化反応の副生成物である水を連続的に除去して、反応を完了させる。不飽和ポリエステル及びスチレンのような添加剤の使用は、樹脂の粘度を低下させる。最初は液体の樹脂を、鎖を架橋することによって固体に変換する。これは、不飽和結合においてフリーラジカルを生成し、これが、連鎖反応において隣接する分子の他の不飽和結合に伝播し、プロセス中に隣接鎖を連結することによってなされる。
【0088】
ポリウレタン系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるポリウレタンとは、カルバメート(ウレタン)結合によって連結された有機単位の鎖から構成されるポリマーを指す。ポリウレタンポリマーは、イソシアネートとポリオールとを反応させることによって形成される。ポリウレタンを製造するために使用されるイソシアネート及びポリオールは両方とも、1分子あたり平均して2個以上の官能基を含有する。
【0089】
ポリイミド系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるポリイミドとは、イミド結合(すなわち、-C(O)-N(R)-C(O)-)によって連結された有機単位の鎖から構成されるポリマーを指す。ポリイミドポリマーは、種々の反応によって、すなわち、二無水物とジアミンとを反応させること、二無水物とジイソシアネートとの反応、等によって形成することができる。
【0090】
メラミン系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるメラミンとは、メラミン(すなわち、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン)とホルムアルデヒドとから重合により製造される硬質の熱硬化性プラスチック材料を指す。そのブチル化された形態では、n-ブタノール及び/又はキシレンに溶解することができる。該メラミン系樹脂は、アルキド、エポキシ、アクリル、及びポリエステル樹脂のような他の樹脂と架橋するために使用することができる。
【0091】
尿素-ホルムアルデヒド系樹脂
本発明の実施において使用が企図される尿素-ホルムアルデヒドとは、アンモニア又はピリジンのような温和な塩基の存在下で加熱した尿素とホルムアルデヒドとから製造される不透明の熱硬化性樹脂又はプラスチックを指す。
【0092】
フェノール-ホルムアルデヒド系樹脂
本発明の実施において使用が企図されるフェノール-ホルムアルデヒドとは、フェノール又は置換フェノールとホルムアルデヒドとの反応によって得られる合成ポリマーを指す。
【0093】
希釈剤
本明細書での使用が意図される非反応性有機希釈剤は、例えば、より低い粘度、改善されたディスペンス能などの結果としての本発明の配合物の取り扱いを容易にする。希釈剤の沸点は充填剤の焼結温度に近いことが好ましく、希釈剤が蒸発すると粒子が互いに接触して焼結する。
【0094】
本明細書で使用される有機希釈剤は、本発明の組成物の約1~約80wt%の範囲で存在する。いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約10~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約30~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約40~約80重量%の範囲の有機希釈剤を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約60重量%の範囲の本発明の組成物を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約10~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約30~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約40~約60重量%の範囲の有機希釈剤を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約1~約50重量%の範囲の本発明の組成物を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約10~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、約30~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約40~約50重量%の範囲の有機希釈剤を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約2~約40重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約5~約40重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約10~約40重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約20~約40重量%の範囲の有機希釈剤を含み、いくつかの実施形態では、本発明の配合物は、約30~約40重量%の範囲の有機希釈剤を含む。
【0098】
有機希釈剤の例としては、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、飽和炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラデカンなど)、塩素化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールエーテル、エチレングリコールのモノアルキルエーテルまたはジアルキルエーテルなど)、ポリオール類(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテートなど)、二塩基酸エステル(DBE-9)、α-テルピネオール、β-テルピネオール、ケロシン、ジエチレングリコールエチルエーテル、ブチルアセテート、ブチルセロソルブ、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、高沸点アルコールおよびそのエーテルおよびエステル、グリコールエーテル、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン等)、アミド(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、ヘテロ芳香族化合物(N-メチルピロリドン及び等)など、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態において、使用される希釈剤は、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジプロピレングリコールメチルエーテル、MEK、アセトン、またはDBE-9である。
【0100】
本発明の特定の実施形態によれば、
約10~98.95重量%の範囲の粒子状導電性充填剤;
約0.01~約40重量%の範囲の有機マトリックス;および
約1~約80重量%の範囲の有機希釈剤
を含む導電性組成物が提供される。
【0101】
任意の添加剤
本発明のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の流動添加剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、強化剤、フラックス剤、フィルム柔軟剤、フェノールノボラック硬化剤、エポキシ硬化触媒(例えば、イミダゾール)、硬化剤(例えば、ジクミルペルオキシド)、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物を含んでもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「流動添加剤」は、それらが導入される配合物の粘度を変更する化合物を指す。このような特性を付与する例示的な化合物としては、ケイ素ポリマー、アクリル酸エチル/アクリル酸2-エチルヘキシルコポリマー、ケトオキシムのリン酸エステルのアルキロールアンモニウム塩など、ならびにそれらの任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0103】
本明細書で使用される場合、用語「接着促進剤」は、それらが導入される配合物の接着特性を増強する化合物を指す。
【0104】
本明細書で使用される場合、「レオロジー調整剤」という用語は、それらが導入される配合物の1つ以上の物理的特性を変更する添加剤を指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、用語「強化剤」は、それらが導入される配合物の耐衝撃性を高める添加剤を指す。
【0106】
本明細書で使用される場合、用語「フラックス剤」は、溶融金属の表面上に酸化物が形成されないようにする還元剤を指す。
【0107】
本明細書中で使用される場合、用語「フィルム柔軟化剤」は、それを含有する配合物から調製されたフィルムに可撓性を付与する薬剤を指す。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「フェノールノボラック硬化剤」は、反応性基のさらなる相互作用に関与して架橋を増加させ、それによりその剛性を高める材料を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「エポキシ硬化触媒」は、エポキシ含有部分構造のオリゴマー化および/または重合を促進する反応剤を指す(例えば、イミダゾール)。
【0110】
本明細書で使用する場合、用語「硬化剤」は、モノマー、オリゴマーまたはポリマー材料の硬化を促進するジクミルペルオキシドのような反応剤を指す。
【0111】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載された本発明の組成物の少なくとも1μmしかし25μm未満の厚さを、乾燥、硬化および/または焼結することによって得られる反応生成物を含むフィルムが提供される。
【0112】
特定の態様において、本発明の組成物を乾燥、硬化および/または焼結することによって得られるフィルムの厚さは、20μm未満である。
【0113】
特定の態様において、本発明の組成物を乾燥、硬化および/または焼結することによって得られるフィルムの厚さは、15μm未満である。
【0114】
特定の態様において、本発明の組成物を乾燥、硬化および/または焼結することによって得られるフィルムの厚さは、10μm未満である。
【0115】
特定の態様において、本発明の組成物を乾燥、硬化および/または焼結することによって得られるフィルムの厚さは、5μm未満である。
【0116】
物品/アセンブリ
本発明のさらに別の態様によれば、適切な基板(例えば、EMC(エポキシ成形品)、積層基板、ダイ、積層ダイ、ウェハ、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、TSVデバイスなど)に接着された本明細書に記載の本発明のフィルムを含む物品/アセンブリが提供される。
【0117】
本明細書において使用が意図される基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ガラス、窒化ケイ素パッシベーションを有するSiダイ、ポリイミドパッシベーションを有するSiダイ、BT基板、ベアSi、SR4基板、SR5基板などが挙げられる。
【0118】
本発明に従って塗布されるフィルムは、それが適用される基材に対して良好な接着性を示す。
【0119】
当業者によって容易に認識されるように、フィルムと基材との間の接着は、様々な方法、例えば試験方法D 3359-97に従ったASTM標準クロスカットテープ試験によって決定することができる。典型的には、試験方法D 3359-97に従ったASTM標準クロスカットテープ試験によって測定したとき、フィルムと基材との間の接着性は、少なくともレベル1Bである。いくつかの実施形態では、少なくともASTMレベル1Bに匹敵する接着性が観察される(すなわち、テープ試験後に、最初に付着したフィルム表面の少なくとも35%が基材に付着したままである)。本発明の特定の実施形態では、少なくともASTMレベル2Bに匹敵する接着が観察される(すなわち、テープ試験後に、最初に付着したフィルム表面の少なくとも65%が基材に付着したままである)。本発明の特定の実施形態では、少なくともASTMレベル3Bに匹敵する接着が観察される(すなわち、テープ試験後に、最初に付着したフィルム表面の少なくとも85%が基材に付着したままである)。本発明の特定の実施形態では、少なくともASTMレベル4Bに匹敵する接着が観察される(すなわち、テープ試験後に、最初に付着したフィルム表面の少なくとも95%が基材に付着したままである)。本発明の特定の実施形態では、少なくともASTMレベル5Bに匹敵する接着が観察される(すなわち、テープ試験後に、最初に付着したフィルム表面の100%が基材に付着したままである)。
【0120】
本発明のさらに別の態様によれば、その露出した全ての表面上に本発明の組成物の実質的に均一なコーティングを有する基材を含む物品が提供される。
【0121】
いくつかの態様では、本発明の物品の上部および任意の側壁において、本発明の組成物で基材が実質的に均一に被覆される。いくつかの態様では、組成物は、適切な基材に塗布された後、乾燥、硬化および/または焼結される。
【0122】
本発明のさらなる実施形態によれば、電子部品に電磁干渉シールド(EMI)保護を付与する導電性フィルムを調製する方法が提供され、この方法は、
静電スプレー法、エアースプレー法、超音波スプレー法、スピンコート法等の適当な手段により本発明の組成物を電子部品に塗布する工程、および
組成物を乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む。
【0123】
本発明のさらに別の実施形態によれば、電子部品に電磁干渉シールド(EMI)保護を与える方法が提供され、前記方法は、
静電スプレー法、エアースプレー法、超音波スプレー法、スピンコート法等の適当な手段により本発明の組成物を電子部品に塗布する工程、および
組成物を乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む。
【0124】
本発明のさらに別の実施形態によれば、導電性ネットワークを調製する方法が提供され、前記方法は、
適切な手段(例えば、静電スプレー処理、エアスプレー処理、超音波スプレー処理、スピンコーティング処理など)により、本発明の組成物を適当な基材に所定のパターンで塗布する工程、およびその後、
乾燥、硬化および/または焼結する工程
を含む。
【0125】
本発明のさらなる実施形態によれば、上述の方法によって調製された導電性ネットワークが提供される。
【0126】
本明細書で考慮される導電性ネットワークは、典型的には、約1×10-3オーム・cmを超えない体積抵抗率を有する。
【0127】
本発明の様々な態様は、以下の非限定的な実施例によって示される。これらの実施例は説明のためのものであり、本発明を実施する上での制限ではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正を行うことができることが理解されよう。当業者は、本明細書に記載の試薬および成分を合成する方法または商業的に入手する方法を容易に知ることができる。
【実施例
【0128】
実施例1
プラスチック容器にナノ銀及び酢酸ブチルを添加し、混合物が均質になるまで手で混合する(典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)ことにより、いくつかのナノ粒子含有配合物を調製した。表1を参照。
【0129】
【表1】
【0130】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次に、接着力および体積抵抗率を試験する。どちらのサンプルも優れた接着性と体積抵抗を持つことが分かった(配合Aを用いた剥離試験の例示的な結果については図2を参照)。
【0131】
実施例2
ポリマーElvacite 2021およびElvacite 2008をDBE-9中に溶解し、次いでナノ粒子銀粉末をポリマー溶液に添加し、次いで混合物が均質になるまで手で混合(典型的にはスピードミキサーを使用して約2分間)することにより、いくつかの熱可塑性樹脂含有配合物を調製した。表2を参照。
【0132】
【表2】
【0133】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次いで、体積抵抗率を試験する。各試料は、優れた体積抵抗率を有することが分かる。
【0134】
実施例3
ナノ銀、通常の銀および酢酸ブチルをプラスチックジャーに添加し、混合物が均質になるまで手で混合する(典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)ことにより、いくつかのナノ粒子含有配合物を調製した。表3を参照。
【0135】
【表3】
【0136】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次いで、体積抵抗率を試験する。各試料は、優れた体積抵抗率を有することが分かる。
【0137】
実施例4
ナノ銀、合金42および酢酸ブチルをプラスチックジャーに添加し、混合物が均質になるまで手で混合する(典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)ことにより、いくつかのナノ粒子含有配合物を調製した。表4を参照。
【0138】
【表4】
【0139】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次いで、体積抵抗率を試験する。各試料は、優れた体積抵抗率を有することが分かる。
【0140】
実施例5
プラスチックジャーにEpiclon EXA 830S、Celloxide 2021 P、EP 7、Silane A 186、Ken React KR、TTS、Dicyanodiamide、Sartomer SR 285およびSF9Hを添加し、混合物が均質になるまで手で混合(典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)することにより、いくつかの配合物を調製した。表5を参照。
【0141】
【表5】
【0142】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次に、接着力および体積抵抗率を試験する。得られたサンプルは、優れた体積抵抗率を有している(配合A1を用いた剥離試験の例示的な結果については図3を参照)。
【0143】
実施例6
2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート、ジプロピレングリコール、Luperox DI(過酸化物)およびAG-SAB-491(通常の銀フレーク)を組み合わせることによって銀含有配合物を調製した。得られた混合物を、混合物が均質になるまで手で混合した (典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)。表6を参照。
【0144】
【表6】
【0145】
得られたペーストの一部をキャストし、175℃で1時間硬化させる。次いで、体積抵抗率を試験する。得られた試料は、優れた体積抵抗率を有することが判明した。
【0146】
実施例7
ナノ銀、ジエチレングリコールn-ブチルエーテルおよび酢酸ブチルをプラスチックジャーに添加し、混合物が均質になるまで手で混合する(典型的にはスピードミキサーを用いて約2分間)ことによって、いくつかのナノ粒子含有配合物を調製した。表7を参照。
【0147】
【表7】
【0148】
得られたペーストの一部をキャストし、100℃~175℃で1時間硬化させる。次に、接着力および体積抵抗率を試験する。得られたサンプルは、100℃~175℃の範囲の硬化温度で優れた体積抵抗率を有することが分かる。
【0149】
本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の種々の改変が、上記説明の技術の当業者には明らかであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0150】
明細書で言及された特許および刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示すものである。これらの特許および刊行物は、各個々の出願または刊行物が具体的かつ個々に参照により本明細書に組み込まれているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
上記の説明は、本発明の特定の実施形態の例示であるが、本発明の実施を限定するものを意図するものではない。その全ての等価物を含む添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定めるものである。
図1
図2
図3
図4