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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】処理液供給装置、報知方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241010BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20241010BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/68 A
H01L21/30 569Z
H01L21/30 564Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020174018
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065430
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 由典
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0103756(US,A1)
【文献】特開2005-178899(JP,A)
【文献】特開2009-290106(JP,A)
【文献】特開2001-217217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/677
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に処理液を供給する処理液供給装置であって、
処理液を貯留した貯留容器が一側面側から設置される区画を複数有する収容部と、
前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画に設置されている前記貯留容器の側面に付された識別情報保持部から、当該貯留容器の識別情報を取得する取得部と、
前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画の前記取得部での取得結果に基づく、当該区画における前記貯留容器の設置状態を、発光素子の発光状態で報知する報知部と、を備え、
前記報知部の前記発光素子は、前記一側面側に向けて発光し、
前記収容部は、前記区画をそれぞれ有する第1設置台及び第2設置台を有し、
前記取得部は、前記第1設置台に対し設けられた第1取得部と、前記第2設置台に対し設けられた第2取得部と、を有し、
前記報知部は、前記第1設置台に対し設けられた第1報知部と、前記第2設置台に対し設けられた第2報知部と、を有し、
前記第2設置台は、前記第1設置台よりも低い場所に位置し、
前記第1設置台の高さ位置を基準とした前記第1報知部の高さ位置は、前記第2設置台の高さ位置を基準とした前記第2報知部の高さ位置よりも低い、処理液供給装置。
【請求項2】
前記第1設置台及び前記第2設置台はそれぞれ、水平方向に並ぶ複数の前記区画を有し、
前記第1報知部は、前記第1設置台の側方にまとめて配置されており、
前記第2報知部は、前記第2設置台における前記区画毎に、対応する前記区画の周囲に配置されている、請求項に記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記第1設置台は、
前記貯留容器を個別に収容する個別収容部と、
前記個別収容部を、当該第1設置台上の位置と当該第1設置台より下方の位置との間で昇降させる昇降部材と、を有する、請求項またはに記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記区画に設置された前記貯留容器から処理液を供給する動作を不能にするインターロックを行う機構を有し、
前記区画に設置された交換後の前記貯留容器が当該区画に設置すべきものでない場合に、前記インターロックは有効とされる、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記報知部は、互いに異なる色で発光する2つの前記発光素子を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の処理液供給装置。
【請求項6】
処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に処理液を供給する処理液供給装置において、処理液の貯留容器を交換した際の前記貯留容器の適否を報知する方法であって、
前記処理液供給装置が、
前記貯留容器が一側面側から設置される区画を複数有する収容部と、
前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画に設置されている前記貯留容器の側面に付された識別情報保持部から、当該貯留容器の識別情報を取得する取得部と、
前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画の前記取得部での取得結果に基づく、当該区画における前記貯留容器の設置状態の情報を、発光素子の発光状態で報知する報知部と、を備え、
前記報知部の発光素子は、前記一側面側に向けて発光し、
前記収容部は、前記区画をそれぞれ有する第1設置台及び第2設置台を有し、
前記取得部は、前記第1設置台に対し設けられた第1取得部と、前記第2設置台に対し設けられた第2取得部と、を有し、
前記報知部は、前記第1設置台に対し設けられた第1報知部と、前記第2設置台に対し設けられた第2報知部と、を有し、
前記第2設置台は、前記第1設置台よりも低い場所に位置し、
前記第1設置台の高さ位置を基準とした前記第1報知部の高さ位置は、前記第2設置台の高さ位置を基準とした前記第2報知部の高さ位置よりも低く、
前記方法は、
交換後の前記貯留容器が設置された前記区画に設けられた取得部によって、当該貯留容器の前記識別情報を取得する工程と、
取得された前記識別情報に基づいて、前記区画に設置された前記交換後の前記貯留容器が当該区画に設置すべきものであるか否かの判定を行う工程と、
前記判定の結果を前記報知部により報知する工程と、を含む、報知方法。
【請求項7】
請求項に記載の報知方法を前記処理液供給装置によって実行させるように、当該処理液供給装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理液供給装置、報知方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬液収納容器を交換する方法が開示されている。この方法では、容器の配置形態と略同一になるように各LEDが配置されたLED表示部が用いられ、容器内の薬液が空になると、対応するLED表示部のLEDが点灯する。オペレータは、容器71を交換する作業に先立ち、バーコードリーダによって未使用容器のバーコードを読み取る。バーコードリーダ照合機は、未使用容器のバーコードデータとデータベースに登録されており点灯中のLEDに対応する容器のバーコードデータとを照合する。そして、バーコードリーダ照合機によって両容器の薬液種類が同一であると判断された場合、LEDの表示は点灯表示から点滅表示に移行させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-218391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、処理液供給装置における処理液の貯留容器の交換時に、交換した貯留容器の適否を、交換作業中の作業者が直ちに視認できるように報知する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に処理液を供給する処理液供給装置であって、処理液を貯留した貯留容器が一側面側から設置される区画を複数有する収容部と、前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画に設置されている前記貯留容器の側面に付された識別情報保持部から、当該貯留容器の識別情報を取得する取得部と、前記区画それぞれに対し設けられ、対応する前記区画の前記取得部での取得結果に基づく、当該区画における前記貯留容器の設置状態を、発光素子の発光状態で報知する報知部と、を備え、前記報知部の前記発光素子は、前記一側面側に向けて発光し、前記収容部は、前記区画をそれぞれ有する第1設置台及び第2設置台を有し、前記取得部は、前記第1設置台に対し設けられた第1取得部と、前記第2設置台に対し設けられた第2取得部と、を有し、前記報知部は、前記第1設置台に対し設けられた第1報知部と、前記第2設置台に対し設けられた第2報知部と、を有し、前記第2設置台は、前記第1設置台よりも低い場所に位置し、前記第1設置台の高さ位置を基準とした前記第1報知部の高さ位置は、前記第2設置台の高さ位置を基準とした前記第2報知部の高さ位置よりも低い
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、処理液供給装置における処理液の貯留容器の交換時に、交換した貯留容器の適否を、交換作業中の作業者が直ちに視認できるように報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる処理液供給装置を備えたウェハ処理システムの内部構成の概略を示す説明図である。
図2】ウェハ処理システムの正面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。
図3】ウェハ処理システムの背面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。
図4】ウェハ処理システムの外観の概略を示す正面図である。
図5】タッチパネルが表示する表示画面の一例を示す図である。
図6】処理液の貯留容器の構成の概略を示す斜視図である。
図7】収容装置の構成の概略を示す側面図であり、貯留容器が設置された状態を示している。
図8】収容装置の構成の概略を示す側面図であり、貯留容器が設置されていない状態を示している。
図9】第2設置台に設けられたホルダの構成の概略を示す斜視図である。
図10】第1設置台に設けられたホルダの構成の概略を示す斜視図である。
図11】収容装置に設置された貯留容器から処理液を供給する機構の構成の概略を示す説明図である。
図12】貯留容器の交換方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジストパターンを形成するため、ウェハ上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成する処理や、ウェハ上に現像液を供給してレジスト膜を現像処理する処理等、様々な液処理が行われる。これら液処理は、各種液処理装置や装置間でウェハを搬送する搬送機構等を搭載した基板処理システムにより行われる。
【0009】
このような基板処理システムにおいて、各種の処理液は、当該処理液を貯留する貯留容器から各種液処理装置に供給される。また、処理液には例えばレジスト液や現像液のように複数種類のものが用いられ、さらに、レジスト液等そのものも複数種類のものが用いられる。そのため、基板処理システムには、多数の処理液の貯留容器が配置される。
【0010】
このように多数配置されている状態において処理液の貯留容器を交換する方法の1つがが前述の特許文献1に開示の方法である。しかし、この特許文献1に開示の方法では、バーコードリーダによってバーコードが読み取られた未使用の貯留容器を、作業者が誤った場所に設置してしまったときに、そのことを作業者が知ることができないため、誤った処理液が供給されてしまうことがある。
そして、上述のように未使用の貯留容器を作業者が誤った場所に設置していることは、作業者が直ちに(すなわちその場で)認識できることが好ましい。交換作業時間を極力短くするためである。
【0011】
そこで、本開示にかかる技術は、処理液の貯留容器の交換時に、交換後の貯留容器の適否を、交換作業中の作業者が直ちに視認できるように報知する。
【0012】
以下、本実施形態にかかる処理液供給装置及び報知方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<ウェハ処理システム>
図1は、本実施形態にかかる処理液供給装置を備えたウェハ処理システム1の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3は、各々ウェハ処理システム1の正面側及び背面側の内部構成の概略を模式的に示す図である。図4は、ウェハ処理システム1の外観の概略を示す正面図である。図5は、後述のタッチパネルが表示する表示画面の一例を示す図である。図6は、処理液の貯留容器の構成の概略を示す斜視図である。なお、以下の例において、ウェハ処理システム1は、ウェハWに対して塗布現像処理を行う塗布現像処理システムである。
【0014】
ウェハ処理システム1は、図1に示すように、複数枚のウェハWを収容したカセットCが搬入出されるカセットステーション10と、ウェハWに所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション11と、を有する。そして、ウェハ処理システム1は、カセットステーション10と、処理ステーション11と、処理ステーション11に隣接する露光装置12との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション13と、を一体に接続した構成を有している。
【0015】
カセットステーション10には、カセット載置台20が設けられている。カセット載置台20には、ウェハ処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置するカセット載置板21が複数設けられている。
【0016】
カセットステーション10には、X方向に延びる搬送路22上を移動自在なウェハ搬送装置23が設けられている。ウェハ搬送装置23は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各カセット載置板21上のカセットCと、後述する処理ステーション11の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0017】
処理ステーション11には、各種装置を備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション11の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション11の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション11のカセットステーション10側(図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション11のインターフェイスステーション13側(図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0018】
第1のブロックG1には、図2に示すように複数の液処理装置、例えば現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト塗布装置32、上部反射防止膜形成装置33が下からこの順に配置されている。現像処理装置30は、ウェハWを現像処理するものであり、下部反射防止膜形成装置31は、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)を形成するものである。レジスト塗布装置32は、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するものであり、上部反射防止膜形成装置33は、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)を形成するものである。
【0019】
例えば現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト塗布装置32、上部反射防止膜形成装置33は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト塗布装置32、上部反射防止膜形成装置33の数や配置は、任意に選択できる。
【0020】
これら現像処理装置30、下部反射防止膜形成装置31、レジスト塗布装置32、上部反射防止膜形成装置33では、例えばスピン塗布法により、ウェハW上に所定の処理液が供給される。スピン塗布法では、例えば吐出ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0021】
第2のブロックG2には、図3に示すようにウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う熱処理装置40や、レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置41、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置42が設けられている。これら熱処理装置40、アドヒージョン装置41、周辺露光装置42は、上下方向と水平方向に並べて設けられており、その数や配置は、任意に選択できる。
【0022】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50、51、52、53、54、55が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60、61、62が下から順に設けられている。
【0023】
図1に示すように第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、基板搬送領域としてのウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、基板搬送装置としてのウェハ搬送装置70が配置されている。
【0024】
ウェハ搬送装置70は、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。ウェハ搬送装置70は、例えば図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0025】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0026】
シャトル搬送装置80は、例えば図3のY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡し装置52と第4のブロックG4の受け渡し装置62との間でウェハWを搬送できる。
【0027】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側の隣には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えばX方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム90aを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置にウェハWを搬送できる。
【0028】
インターフェイスステーション13には、ウェハ搬送装置100と受け渡し装置101が設けられている。ウェハ搬送装置100は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム100aを有している。ウェハ搬送装置100は、例えば搬送アーム100aにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置、受け渡し装置101及び露光装置12との間でウェハWを搬送できる。
【0029】
前述のカセットステーション10には、図4に示すように、各種情報を示す画面を表示する表示装置としても機能するタッチパネル110が設けられている。タッチパネル110は、液晶パネルや有機ELパネル等から構成される表示デバイスを有する。また、タッチパネル110は、例えば、その表示面が正面側(図4のX方向負方向側)に向くように、カセットステーション10の処理ステーション11側に設けられる。
【0030】
タッチパネル110が表示する表示画面は、例えば、図5に示すような、後述のRFIDリーダで後述のRFIDタグが検知されているか否かを「●」と「〇」で示すRFIDリーダ毎に示す領域R1、R2を有する表示画面Pである。例えば、「●」は検知されていることを示し、「〇」は検知されていないことを示す。表示画面Pにおいて、上側に位置する領域R1は、複数のRFIDリーダのうち上方に位置するものについての情報を示している。また、表示画面Pにおいて、下側に位置する領域R2は、複数のRFIDリーダのうち下方に位置するものについての情報を示している。
【0031】
タッチパネル110は、図5の表示画面Pの他、後述のRFIDタグに関する設定を行うための設定画面や、ウェハ処理システム1に現在生じているエラーの情報を表示するエラー画面等も表示することができる。
【0032】
さらにまた、処理ステーション11には、図1及び図4に示すように、処理液供給装置200が有する収容装置201が設けられれている。収容装置201は、処理液を貯留する貯留容器B(図6参照)を収容するものであり、例えば、図1及び図4に示すように、処理ステーション11のカセットステーション10側における下方寄りの位置に設けられる。
【0033】
収容装置201は、前後方向(図1及び図4のX方向)に延びるレール(図示せず)に沿って移動可能に構成されており、これにより、前後方向に沿って移動自在となっている。収容装置201は、通常時において、処理ステーション11内に収まっているが、貯留容器Bの交換時には、処理ステーション11から手前側に引き出され、これにより、作業者が、収容装置201から貯留容器Bを除いたり、収容装置201に貯留容器Bを設置したりすることが可能になる。
【0034】
収容装置201に収容される貯留容器Bには、処理液として、例えばレジスト液が貯留されている。また、貯留容器Bには、図6に示すように、識別情報保持部としてのRFIDタグB1が付されている。RFIDタグB1は具体的には例えば貯留容器Bの側面に貼り付けられている。このRFIDタグB1は、当該RFIDタグB1が貼り付けられた貯留容器Bの識別情報を保持する。RFIDタグB1が保持する貯留容器Bの識別情報は例えば当該貯留容器の製品名の情報である。
【0035】
以上の構成要素を備えるウェハ処理システム1には、図1に示すように制御装置Uが設けられている。制御装置Uは、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータにより構成され、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を制御するプログラムや、後述の、交換された貯留容器Bの適否を報知するプログラムが格納されている。また、制御装置Uが行う制御の一部または全てをPLC(Programmable Logic Controller)が行ってもよい。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置Uにインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0036】
<ウェハ処理>
次に、ウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
【0037】
先ず、複数のウェハWを収納したカセットCが、カセットステーション10の所定のカセット載置板21に載置される。その後、ウェハ搬送装置23によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、処理ステーション11の第3のブロックG3の例えば受け渡し装置52に搬送される。
【0038】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって例えば第1のブロックG1の下部反射防止膜形成装置31に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって、第2のブロックG2の熱処理装置40に搬送され、加熱処理が行われる。
【0039】
次いで、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によってレジスト塗布装置32に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、プリベーク処理される。なお、プリベーク処理においても下部反射防止膜形成後の熱処理と同様な処理が行われ、また、後述の反射防止膜形成後の熱処理、PEB処理、ポストベーク処理においても同様な処理が行われる。ただし、各熱処理に供される熱処理装置40は互いに異なる。
【0040】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって上部反射防止膜形成装置33に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送されて、加熱処理が行われる。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって周辺露光装置42に搬送され、周辺露光処理が行われる。
【0041】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって受け渡し装置52に搬送され、シャトル搬送装置80によって第4のブロックG4の受け渡し装置62に搬送される。その後、ウェハWは、インターフェイスステーション13のウェハ搬送装置100によって露光装置12に搬送され、所定のパターンで露光処理される。次にウェハWは、ウェハ搬送装置100によって第4のブロックG4の受け渡し装置60に搬送される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、PEB処理される。
【0042】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって現像処理装置30に搬送され、現像処理が行われる。現像処理後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。
【0043】
次いで、ウェハWは、ウェハ搬送装置70により第3のブロックG3の受け渡し装置50に搬送される。その後、ウェハWは、カセットステーション10のウェハ搬送装置23によって所定のカセット載置板21のカセットCに搬送され、一連のフォトリソグラフィー工程が完了する。そして、この一連のフォトリソグラフィー工程が、同一カセットC内の後続のウェハWについても実施される。
【0044】
<収容装置>
続いて、収容装置201の構成について説明する。図7及び図8は、収容装置201の構成の概略を示す側面図であり、図7は貯留容器Bが設置された状態を示し、図8は貯留容器Bが設置されていない状態を示している。図9及び図10はそれぞれ、収容装置201が有する後述のホルダの構成の概略を示す斜視図である。
【0045】
図7及び図8に示すように、収容装置201は、貯留容器Bが一側面側(図のY方向正側)から設置される区画(以下、「設置区画」ということがある。)Kを複数有する収容部としての棚210を備える。
【0046】
棚210は、設置区画Kをそれぞれ有する第1設置台220及び第2設置台221を有し、第2設置台221が、第1設置台220よりも底側に、すなわち第1設置台220よりも低い場所に位置する。棚210内の空間は、棚板211、212により、上下方向に3つに分割されており、例えば、上側に位置する棚板211が第1設置台220を構成し、下側に位置する棚板212が第2設置台221を構成する。第2設置台221の高さ位置が例えば80cm~105cmであるのに対し、第1設置台220の高さ位置は例えば140~165cmであり比較的高い。
【0047】
また、第1設置台220及び第2設置台221はそれぞれ、水平方向(図のX方向)に並ぶ複数(図の例では3つ)の設置区画Kを有する。以下では、第1設置台220の3つの設置区画Kを、図のX方向負側から順に、設置区画K11、設置区画K12、設置区画K13ということがあり、第2設置台221の3つの設置区画Kを、図のX方向負側から順に、設置区画K21、設置区画K22、設置区画K23ということがある。
【0048】
また、収容装置201は、貯留容器Bの側面に貼付されたRFIDタグB1から当該貯留容器Bの識別情報を読み取る(すなわち取得する)取得部として、RFIDリーダ230、231を備える。RFIDリーダ230、231は、設置区画Kそれぞれに対し設けられ、具体的には、第1取得部としてのRFIDリーダ230は、第1設置台220の設置区画Kそれぞれに対し設けられ、第2取得部としてのRFIDリーダ231は、第2設置台221の設置区画Kそれぞれに対し設けられている。RFIDリーダ230、231による取得結果は、無線通信及び有線通信の少なくともいずれか一方により、制御装置U(図1参照)に出力される。RFIDリーダ230、231と制御装置Uとの間の通信の一部または全部を、IO-Linkマスタを介して行ってもよい。
【0049】
制御装置Uは、RFIDリーダ230、231毎に、その取得結果に基づいて、対応する設置区画Kにおける貯留容器Bの設置状態について判定を行う。制御装置Uが行う上述の判定には例えば以下のものがある。
(1)対応する設置区画Kに設置された貯留容器Bが当該設置区画Kに設置すべきものであるか否かの判定
(2)貯留容器BのRFIDタグが検知されているか否かの判定
【0050】
上記(1)の判定は、例えば、RFIDリーダ230、231による取得結果に基づいて、記憶部(図示せず)に予め記憶された、各設置区画Kと適切な貯留容器Bの識別情報とを対応付けたテーブルを参照して、行われる。上記適切な貯留容器Bの識別情報は、例えばウェハ処理システム1に用意された当該識別情報の登録モードのときに、上記テーブルに登録される。具体的には、作業者によってタッチパネルに表示された選択画面(図示せず)から登録モードが選択され且つ適切な貯留容器Bが適切な設置区画Kに設置されたときに、当該設置区画Kに対応するRFIDリーダ230(またはRFIDリーダ231)で読み取った結果が、上記適切な貯留容器Bの識別情報として上記テーブルに登録される。この登録は、例えば、ウェハ処理システム1の立ち上げ時や、処理液の変更を伴う処理レシピの変更時に行われる。また、上記登録は、貯留容器Bの交換の度に行われてもよい。
【0051】
さらに、収容装置201は、設置区画Kそれぞれに対し報知部240、241も設けられている。具体的には、第1設置台220の設置区画Kそれぞれに対し報知部(以下、「第1報知部」ということがある。)240も設けられ、第2設置台221の設置区画Kそれぞれに対し報知部(以下、「第2報知部」ということがある。)241も設けられている。
【0052】
各報知部240、241は、対応する設置区画KのRFIDリーダ230、231での取得結果に基づく、当該設置区画Kにおける貯留容器Bの設置状態を2つの発光素子250、251の発光状態で報知する。発光素子250、251は例えばLEDである。
この報知部240、241の発光素子250、251は、作業者が貯留容器Bの交換作業時に位置する側である上記一側面側(図のY方向正側)に向けて発光するように配設されている。
【0053】
発光素子250と発光素子251とは、互いに異なる色で発光する。例えば、発光素子250は緑色に発光し、発光素子251は赤色に発光する。
【0054】
発光素子250、251の発光は制御装置Uにより制御される。
報知部240、241は、例えば、対応する設置区画Kに設置された貯留容器Bが当該設置区画Kに設置すべきものである場合、すなわち適切な場合、緑色の発光素子250が点灯状態となり、不適切な場合、赤色の発光素子251が点灯状態となる。
【0055】
また、報知部240、241は、例えば、対応する設置区画Kに設けられたRFIDリーダ230、231でRFIDタグB1を検知してから、対応する設置区画Kに設置された貯留容器Bの適否の判定が完了するまでの間、緑色の発光素子250と赤色の発光素子251の両方が短い間隔で同時に点滅する状態となる。これにより、報知部240、241は、上記判定中であることを報知する。
さらに、報知部240、241は、例えば、対応する設置区画Kに設けられたRFIDリーダ230、231でRFIDタグB1が検知されていない場合、すなわち、対応する設置区画Kに貯留容器Bが設置されていない場合(または、対応する設置区画Kへの貯留容器Bの設置の仕方が悪い場合)、発光素子250、251の両方が長い間隔で同時に点滅する状態となる。これにより、報知部240、241は、上述のようにRFIDタグB1が検知されていないことを報知する。
【0056】
報知部240、241は、対応する設置区画Kに設置された貯留容器Bの設置状態以外の情報も、発光素子250、251の発光状態で報知することができる。
例えば、報知部240、241は、RFIDリーダ230、231に異常が発生している場合、そのことを報知するように、発光素子250、251の両方が短い間隔で交互に点滅する状態となる。
例えば、報知部240、241と制御装置Uとの間の通信を司る機器(例えばIO-Linkマスタ)に異常が発生している場合、そのことを報知するように、当該機器を利用する報知部240、241の発光素子250、251の両方が短い間隔で交互に点滅する状態となる。
また、例えば、制御装置Uの処理液供給装置200に係る制御部分に異常が発生している場合、そのことを報知するように、全ての報知部240、241の発光素子250,251の両方が消灯状態となる。
【0057】
このように報知部240、241は、互いに異なる色に発光する発光素子250、251の発光状態で、種々の情報を報知することができる。
【0058】
なお、RFIDリーダ230、231に異常が発生しているか否かの判定や、報知部240、241と制御装置Uとの間の通信を司る機器に異常が発生しているか否かの判定、制御装置Uの処理液供給装置200に係る制御部分に異常が発生しているか否かの判定は
制御装置Uにより行われる。
【0059】
また、第1報知部240及び第2報知部241の高さ位置は以下のようになっている。
すなわち、第1設置台220の高さ位置を基準とした第1報知部240の高さ位置は、第2設置台221の高さ位置を基準とした第2報知部241の高さ位置よりも低くなっている。具体的には、第1設置台220の設置区画Kに設置された貯留容器Bの位置を基準とした、当該設置区画Kに対し設けられた第1報知部240の相対的な高さ位置は、第2設置台221の設置区画Kに設置された貯留容器Bの位置を基準とした、当該設置区画Kに対し設けられた第2報知部241の相対的な高さ位置よりも低くなっている。
したがって、第1設置台220の高さ位置が前述のように比較的高い場合において、身長が高くない作業者(例えば身長がアジア人女性の平均程度である作業者)であっても、第1報知部240の発光素子250、251の発光状態を視認することができ、対応する設置区画Kにおける貯留容器Bの設置状態を把握することができる。
【0060】
また、第1報知部240は、第1設置台220の側方にまとめて配置されているのに対し、第2報知部241は、第2設置台221における設置区画K毎に、対応する設置区画Kの周囲に設けられている。
第1報知部240は手前側(図7のY方向正側)に設けられ、第2報知部241は奥側(図7のY方向負側)に設けられている。このように第1報知部240と第2報知部241とで奥行き方向(図のY方向)にかかる位置が異なる理由としては例えば以下の理由が挙げられる。すなわち、設置区画K毎に、対応する設置区画Kの周囲に設けられる第2報知部241については、手前側(図のY方向正側)に設けた場合、当該報知部241に対する配線等が貯留容器Bの交換作業の妨げになるおそれがある、という理由である。
【0061】
なお、第1報知部240は例えば上下方向に並ぶように設けられている。上側の第1報知部240が設置区画K11に、中央の第1報知部240が設置区画K12、下側の第1報知部240が設置区画K13にそれぞれ対応する。
【0062】
さらに、収容装置201は、設置区画K毎に、ホルダ260またはホルダ261が設けられている。そして、第1設置台220の設置区画Kに設けられたホルダ260と、第2設置台221の設置区画Kに設けられたホルダ261とでは構成が異なる。
【0063】
ホルダ261は、図9に示すように、貯留容器Bを個別に収容する個別収容部300を有し、個別収容部300は、第2設置台221(図7参照)に固定される。個別収容部300は、貯留容器Bの底面を支持する底板301と、底板301に支持された貯留容器Bの側方周囲を囲う側面板302、303、正面板304、背面板305とを有する。
【0064】
奥側(図9のY方向負側)に設けられた背面板305の手前側(図9のY方向正側)に、RFIDリーダ231が設けられている。
また、背面板305には、報知部241の発光素子250、251を支持する支持部材310が接続されている。
【0065】
このホルダ261と同様、ホルダ260は、図10に示すように、貯留容器Bを個別に収容する個別収容部400を有する。ただし、個別収容部400は、第1設置台220(図7参照)に固定されておらず、第1設置台220上の位置である供給位置と、第1設置台220より下方の位置であって貯留容器Bの交換作業が行われる交換位置との間で、移動自在となっている。上記交換位置は、具体的には、上記供給位置より手前側(図10のY方向正側)斜め下方の位置である。
【0066】
上述のような移動を可能とするため、ホルダ260は昇降部材410を有する。昇降部材410は、個別収容部400を上記供給位置と上記交換位置との間で昇降させる部材である。この昇降部材410は、例えば、折り畳み可能に構成されており、先端側に、個別収容部400が固定され、基端側が固定部材420に軸支される。昇降部材410が折り畳まれたときに、個別収容部400の位置が上記供給位置となり、昇降部材410が延ばされたときに、個別収容部400の位置が上記交換位置となる。
固定部材420自体は、第1設置台220に固定されている。また、固定部材420には、RFIDリーダ230も固定されている。
【0067】
ホルダ260に保持された貯留容器Bを交換する際、作業者は、個別収容部400を上記供給位置から上記交換位置まで移動させ、そして、個別収容部400内の貯留容器Bの交換を行う。交換後、作業者は、個別収容部400を上記供給位置に戻す。
【0068】
前述のように、高さ位置が比較的高い第1設置台220に対するホルダ260を上述のように構成することで、身長が高くない作業者(例えば身長がアジア人女性の平均程度である作業者)であっても、第1設置台220の貯留容器Bの交換を容易に行うことができる。
【0069】
なお、個別収容部400の位置を上記供給位置または上記交換位置で維持するためのロック機構や、ロック機構によるロックを解除するロック解除機構をホルダ260に設けてもよい。また、作業者が個別収容部400を上記供給位置と上記交換位置との間で容易に移動させることができるように、個別収容部400の手前側(図10のY方向正側)の面等の下方に取手を設けるようにしてもよい。
【0070】
また、個別収容部400は、貯留容器Bの底面を支持する底板401と、底板401に支持された貯留容器Bの下部を囲う筒状壁402と、貯留容器Bの奥側(図のY方向負側)上部と対向する上部背面板403とを有する。また、筒状壁402の奥側(図のY方向負側)部分の上端中央と上部背面板403の下端中央とにそれぞれ、切り欠き404、405とが設けられている。
上記供給位置に個別収容部400が位置しているときに、固定部材420に固定されたRFIDリーダ230は、この切り欠き404、405内に収まる。したがって、RFIDリーダ230による、上記供給位置の個別収容部400内に収容された貯留容器Bに貼付されたRFIDタグB1の読み取りが、筒状壁402及び上部背面板403に妨げられることがない。
【0071】
<貯留容器Bからの供給機構>
図11は、収容装置201に設置された貯留容器Bから処理液を供給する機構の構成の概略を示す説明図である。
【0072】
貯留容器Bは、収容装置201(図7参照)に設置された後、当該貯留容器Bの上部の開口部を塞ぐキャップB2が取り付けられる。キャップB2には、窒素ガス等の加圧ガスの供給管501と、処理液の供給管502とが設けられている。供給管501を介して、貯留容器B内に加圧ガスが供給されると、貯留容器B内の処理液が、供給管502内へ流入し、バッファタンク503に圧送される。このバッファタンク503から、ウェハ処理システム1の各液処理装置へ、処理液が供給される。
【0073】
また、供給管501には、当該供給管501を介した加圧ガスの供給と供給停止とを切り換える開閉弁510が設けられている。開閉弁510には、当該開閉弁510による供給管501の開閉動作を実行させるためのソレノイド511が設けられている。ソレノイド511に対しては、当該ソレノイド511を制御する制御回路512が配線513を介して接続されている。
【0074】
そして、本実施形態では、制御回路512とソレノイド511との通信を遮断するリレー514が配線513に設けられている。リレー514は、制御回路512からソレノイド511への電力供給を遮断可能に設けられていてもよい。このようにリレー514を設けることにより、貯留容器Bへ加圧ガスを供給する動作、すなわち、貯留容器Bから処理液を供給する動作を不能にするインターロックを行うことができる。つまり、リレー514は上記インターロックを行う機構である。
【0075】
上記インターロックは、例えば、設置区画Kに設置された貯留容器Bが当該設置区画Kに設置すべきものでない場合に、有効とされる。
【0076】
なお、制御回路512とリレー514は、制御装置Uの制御の下、動作する。
【0077】
<交換方法>
続いて、貯留容器Bを交換した際の貯留容器Bの適否を報知する方法を含む、貯留容器Bの交換方法の一例について説明する。図12は、貯留容器Bの交換方法の流れを示すフローチャートである。
【0078】
貯留容器Bが空になったと制御装置Uに判定されると、貯留容器Bの交換を促すように、例えば、貯留容器Bが空になった旨の警告を示す画面が、タッチパネル110に表示される(ステップS1)。上記画面には、上記警告の他、例えば、交換すべき貯留容器Bの収容装置201内の位置、用意すべき新しい貯留容器Bの情報等が示される。なお、以下、設置区画K11の貯留容器Bが空になったものとして説明する。
また、貯留容器Bが空になったか否かは、例えば以下のようにして判定される。すなわち、バッファタンク503に設けられた液面センサ(図示せず)により、バッファタンク503内の処理液の量が少なくなると、処理液の補充のため、対応する貯留容器Bへの供給管501を介した加圧ガスの供給が行われる。この加圧ガスの供給開始から所定時間経過しても、上記液面センサの検知結果に変化がない場合に、対応する貯留容器Bが空になったと判定される。
【0079】
その後、設置区画K11に設置されていた貯留容器Bが取り外されると、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出されなくなる。このように検出されなくなると、リレー514が動作し、前述のインターロックが有効にされる(ステップS2)。
【0080】
また、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出されなくなると、その旨が設置区画K11の報知部240から報知されるよう、当該報知部240の発光素子250、251の両方が長い間隔で同時に点滅する状態とされる(ステップS3)。
【0081】
作業者により新しい貯留容器Bが設置区画K11にされた場合に、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出されるため、ステップS3に次いで、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出されたか否かの判定が制御装置Uにより行われる(ステップS4)。この判定はRFIDタグB1が検出されるまで繰り返される。具体的には、設置区画K11に交換後の貯留容器Bが設置され、設置区画K11に設けられたRFIDリーダ230によって、交換後の貯留容器Bの識別情報が取得されるまで繰り返される。
なお、RFIDリーダ230の読み取り可能範囲が狭いときには、新しい貯留容器Bの設置の際、RFIDリーダ230と新しい貯留容器BのRFIDタグB1とを対向させる必要がある場合がある。この場合は、RFIDリーダ230と新しい貯留容器BのRFIDタグB1とを対向させるよう促すメッセージを、ステップS1で表示する表示画面に表示してもよい。
【0082】
新しい貯留容器Bが設置区画K11に設置され、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出された場合(ステップS4、YESの場合)、設置区画K11に設置された貯留容器Bが適切であるか否かの判定が制御装置Uにより行われる(ステップS5)。具体的には、例えば、設置区画K11のRFIDリーダ230が取得した、RFIDタグB1に保持された新たな貯留容器Bの識別情報に基づいて、当該新たな貯留容器Bが適切であるかの否かが制御装置Uにより行われる。より具体的には、例えば、設置区画K11のRFIDリーダ230が取得した、RFIDタグB1に保持された新たな貯留容器Bの識別情報が、前述のテーブルに登録された、設置区画K11に対する適切な貯留容器Bの識別情報と一致するか否かの判定が制御装置Uに行われる。なお、この一致するか否かの判定に際し、設置区画K11のRFIDリーダ230が取得した上記識別情報は必要に応じて制御装置Uにより所定の文字コードへ変換される。
【0083】
ステップS4の判定の結果は、以下に説明するように、設置区画K11の報知部240により報知される。
【0084】
ステップS5の判定の結果、適切である場合すなわち識別情報が一致する場合(YESの場合)、適切である旨が設置区画K11の報知部240から報知されるよう、当該報知部240の発光素子250、251のうち緑色の発光素子250のみが点灯状態とされる(ステップS6)。
【0085】
また、リレー514が動作し、前述のインターロックが解除(無効化)される(ステップS7)。
【0086】
そして、設置区画K11の貯留容器Bが空である旨の警告等を示す画面の表示が解除される(ステップS8)。この解除は、以下のタイミングで行われてもよい。すなわち、インターロック解除後、設置区画K11の貯留容器Bへの加圧ガスの供給が再開され、その貯留容器Bから適切な処理液が供給され、対応するバッファタンク503に所定量補充されたタイミングで、ステップS8の警告画面表示の解除が行われてもよい。
【0087】
ステップS5において、設置区画K11に設置された貯留容器Bの識別情報が前述のテーブルに登録された情報と一致せず当該貯留容器Bが適切でない場合(NOの場合)、その旨が設置区画K11の報知部240から報知されるよう、当該報知部240の発光素子250、251のうち赤色の発光素子251のみが点灯状態とされる(ステップS9)。
その後、設置区画K11に設置された、適切でない貯留容器Bが、上記報知を受けた作業者により取り外されると、設置区画K11のRFIDリーダ230でRFIDタグB1が検出されなくなるため、その旨が再度報知されるよう、ステップS3に戻される。
【0088】
以上のように、本実施形態において、処理液供給装置200は、貯留容器Bが一側面側から設置される区画Kを複数有する棚210を備える。また、処理液供給装置200は、区画Kそれぞれに対し設けられ、対応する区画Kに設置されている貯留容器BのRFIDタグB1から、当該貯留容器Bの識別情報を取得するRFIDリーダ230、231を備える。さらに、処理液供給装置200は、区画Kそれぞれに対し設けられ、対応する区画KのRFIDリーダ230、231での取得結果に基づく、当該区画Kにおける貯留容器Bの設置状態を発光素子250、251の発光状態で報知する報知部240、241を備える。そのため、処理液供給装置200によれば、貯留容器Bの交換時に、交換した貯留容器Bの適否を、交換作業中の作業者が視認できる。
そして、処理液供給装置200では、報知部240、241の発光素子250、251が、上記一側面側すなわち作業者側に向けて発光する。したがって、以下の効果がある。本開示にかかる技術とは異なる技術(代替技術)として、本実施形態で報知部240により報知される情報を、タッチパネル110に表示することにより報知する技術が考えられる。
上記代替技術では、作業者が報知内容を確認するためにタッチパネル110まで移動する必要があるのに対し、本実施形態では、発光素子250、251が上述のように作業者側に向けて発光するため、作業者が移動することなくその場で直ちに、発光素子250、251による報知内容を確認することができる。
つまり、処理液供給装置200によれば、貯留容器Bの交換時に、交換した貯留容器Bの適否を、交換作業中の作業者が直ちに視認できるように報知することができる。
【0089】
特に、本実施形態によれば、作業者の熟練度によらず、区画Kに設置した貯留容器Bの適否を作業者がその場で判断することができる。
【0090】
また、本実施形態では、第1設置台220に対する報知部240は、第1設置台220の側方にまとめて配置されている。そのため、報知部240を手前側(図7等のY方向正側)すなわち作業者側に設けても、報知部240に対する配線等によって、第1設置台220の設置区画Kの貯留容器Bの交換作業が妨げられることがない。また、報知部240が手前側にあることにより、作業者が、報知部240による報知をより容易に視認することができる。特に、作業者の身長が低い場合、高さ位置が高い第1設置台220に対する報知部240が奥側に位置すると、作業者が、報知部240による報知を視認することができないおそれがあるが、報知部240が手前側にあることにより、これを防ぐことができる。
【0091】
さらに、本実施形態では、第2設置台221に対する報知部241については、設置区画K毎に、対応する設置区画Kの周囲に配置されている。これにより、報知部241と設置区画Kの対応関係を作業者がより容易に把握できるようにしている。
また、報知部241は、奥側(図7等のY方向負側)すなわち作業者よりも遠い位置に設けられており、そのため、報知部241に対する配線等によって、報知部241が設けられている第2設置台221の設置区画Kの貯留容器Bの交換作業が妨げられることがない。また、報知部241が設けられている第2設置台221の高さ位置は低いため、身長が低い作業者であっても、奥側に設けられた報知部241による報知を視認することができる。
【0092】
また、本実施形態では、報知部240、241が、互いに異なる色で発光する2つの発光素子250、251から成る、という簡易な構成を有している。そして、この2つの発光素子250、251の発光状態で、各区画Kに設置された貯留容器Bの適否を含む、処理液供給装置200に係る多数の状態を報知することができる。つまり、本実施形態では、報知部240、241は、簡易な構成で、処理液供給装置200に係る多数の状態を報知することができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、貯留容器Bから処理液を供給する動作を不能にするインターロックを行うためのリレー514が設けられており、上記インターロックが、設置区画Kに設置された貯留容器Bが適切でない場合に、有効とされる。したがって、不適切な処理液が供給されるのを防ぐことができる。その結果、バッファタンク503での適切な処理液と不適切な処理液との混合や、製品不良の発生を防ぐことができる。
【0094】
<変形例>
なお、各報知部240、241が有する発光素子の数は2つに限られず、1つであってもよいし、3以上であってもよい。
【0095】
以上の例では、交換時に設置区画Kに設置された貯留容器Bの適否の判定に、当該貯留容器Bの製品名の情報を用いていた。RFIDタグB1には、上記製品名の情報に代えて、または加えて、貯留容器Bの他の識別情報(例えば処理液の種類の情報、ロット番号等)が保持されている場合がある。この場合、上記他の識別情報を、上記適否の判定に用いてもよい。また、RFIDタグB1に保持されている貯留容器Bの識別情報のうちの複数に基づいて上記適否の判定を行ってもよい。
RFIDタグB1に保持されている貯留容器Bの識別情報のうち、いずれを上記適否の判定に用いるかの設定は、例えば、作業者が、タッチパネル110に表示された設定画面を見て、タッチパネル110を操作することにより行われる。
【0096】
以上の例では、設置区画Kに設置された貯留容器Bの適否を報知部240、241による発光状態のみで報知していた。これに加えて、設置区画Kに設置された貯留容器Bの適否を、音出力手段を介した音または音声出力手段を介した音声で、報知するようにしてもよい。
【0097】
また、以上の例では、貯留容器Bが空になった旨の警告を、タッチパネル110を介した画面表示で報知していたが、これに代えて、または、これに加えて、音出力手段を介した音または音声出力手段を介した音声で、上記警告を報知するようにしてもよい。これにより見落としを防ぐことができる。
【0098】
以上の例では、棚210は、奥行き方向(図7等のY方向)に一列のみ貯留容器Bが設置されていたが、奥行き方向に二列、貯留容器Bが設置されていてもよい。この場合、奥側(図7等のY方向負側)の貯留容器Bについては、棚210の奥側から設置され、当該貯留容器Bに対する報知部240、241は奥側に向けて発光する。
また、以上の例では、棚210は、第1設置台220及び第2設置台221という、高さ方向に並ぶ2つの設置台を有していたが、高さ方向に並ぶ3以上の設置台を有していてもよい。この場合、第1設置台220より高い位置の設置台は、第1設置台220と同様にRFIDリーダ230、報知部240、ホルダ260が設けられ、第2設置台221より低い位置の設置台は第2設置台221と同様にRFIDリーダ231、報知部241、ホルダ261が設けられる。
【0099】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
30 現像処理装置
31 下部反射防止膜形成装置
32 レジスト塗布装置
33 上部反射防止膜形成装置
200 処理液供給装置
210 棚
230、231 RFIDリーダ
231 RFIDリーダ
240、241 報知部
250、251 発光素子
B 貯留容器
B1 RFIDタグ
H 記憶媒体
K 区画
W ウェハ
基づいて
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12