(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-09
(45)【発行日】2024-10-18
(54)【発明の名称】研磨ヘッドおよび研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 41/047 20060101AFI20241010BHJP
B24B 55/00 20060101ALI20241010BHJP
B23Q 11/12 20060101ALI20241010BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241010BHJP
【FI】
B24B41/047
B24B55/00
B23Q11/12 A
H01L21/304 622R
H01L21/304 621D
(21)【出願番号】P 2020218349
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】古澤 磨奈人
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/250878(WO,A1)
【文献】特開2020-028927(JP,A)
【文献】特開2016-055408(JP,A)
【文献】特開2012-121085(JP,A)
【文献】特開2008-124402(JP,A)
【文献】特開2005-186165(JP,A)
【文献】特開2019-119012(JP,A)
【文献】特開2020-199617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00 - 37/34
B24B 41/047
B24B 55/00 - 55/12
B23Q 11/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための研磨ヘッドであって、
回転シャフトと、
前記回転シャフトに固定されたフランジと、
前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、
を含
み、
前記複数のフィンの少なくとも一部と前記フランジは、ヒートパイプを介して接続される、
研磨ヘッド。
【請求項2】
前記複数のフィンは、前記フランジの上面に前記回転シャフトを中心に放射状に設けられた羽根車であることを特徴とする、
請求項1に記載の研磨ヘッド。
【請求項3】
前記羽根車の上部を前記回転シャフトと同心状に覆うカバーであって、前記回転シャフトよりも大きいサイズの開口を有するカバーをさらに含む、
請求項2に記載の研磨ヘッド。
【請求項4】
被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための研磨ヘッドであって、
回転シャフトと、
前記回転シャフトに固定されたフランジと、
前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、
を含み、
前記複数のフィンは、前記フランジの上面に互いに平行に設けられる、
研磨ヘッド。
【請求項5】
前記研磨ヘッドの上部を覆う第1の壁部材、および前記第1の壁部材と接続され、前記研磨ヘッドを囲む第2の壁部材、を含むケーシングと、
前記ケーシング内部の前記研磨ヘッドが配置された空間に冷却用流体を供給するための流体供給ノズルと、
をさらに含む、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の研磨ヘッド。
【請求項6】
前記回転シャフトの周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバと、
前記液体リザーバの上部に設けられた、液体を前記液体リザーバに注入するための液体注入口と、
前記液体リザーバの下部に設けられた、液体を前記液体リザーバから排出するための液体排出口と、
前記液体リザーバにより受けられた液体を、前記液体排出口を介して圧送するための圧送部材と、
をさらに含む、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の研磨ヘッド。
【請求項7】
基板を着脱可能に支持するための基板支持機構と、
前記基板支持機構に対向するように設けられた、請求項1から
6のいずれか一項に記載の研磨ヘッドと、
を備える、研磨装置。
【請求項8】
被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための複数の研磨ヘッドと、
前記複数の研磨ヘッドの上部を覆う第1の壁部材、および前記第1の壁部材と接続され、前記複数の研磨ヘッドを個別に囲む第2の壁部材、を含むケーシングと、
前記ケーシング内部の前記複数の研磨ヘッドが配置された各空間に冷却用流体を供給するための複数の流体供給ノズルと、
を含み、
前記第2の壁部材の下端は、基板の被研磨面の高さよりも上方に位置するように構成されている、
研磨装置。
【請求項9】
前記複数の研磨ヘッドの少なくとも1つは、
回転シャフトと、
前記回転シャフトに固定されたフランジと、
前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、
を含む、
請求項
8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記複数のフィンは、前記フランジの上面に前記回転シャフトを中心に放射状に設けられた羽根車である、
請求項
9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記羽根車の上部を前記回転シャフトと同心状に覆うカバーであって、前記回転シャフトよりも大きいサイズの開口を有するカバーをさらに含む、
請求項
10に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨ヘッドおよび研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体加工工程において用いられる基板研磨装置の一種にCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)装置が存在する。CMP装置は、基板の被研磨面が向いている方向によって「フェースアップ式(基板の被研磨面が上向きの方式)」と「フェースダウン式(基板の被研磨面が下向きの方式)」に大別され得る。
【0003】
特許文献1には、フェースアップ式のCMP装置が開示されている。このCMP装置は、研磨パッドが貼り付けられた研磨部材と、研磨部材を保持するフランジと、を含む研磨ヘッドを備える。この研磨ヘッドは、フランジを回転させながらロータリジョイントを用いて研磨液を基板に供給するとともに研磨パッドを基板に押圧することによって基板を研磨するように構成されている。特許文献1には、研磨で生じる熱によってフランジが変形するのを抑制するために、ロータリジョイントを介してフランジ内部に液体を供給することによってフランジを冷却することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フェースアップ式の研磨装置においては、ロータリジョイントを用いずに研磨液を基板に供給する研磨ヘッドが存在する。この研磨ヘッドの場合、ロータリジョイントを用いないのでフランジ内部に液体を供給するのが難しい。また、ロータリジョイントを用いる場合であってもフランジ内部に液体を供給するだけでは研磨時に発生する熱に対して研磨ヘッドを効率よく冷却できない可能性もある。
【0006】
そこで本願は、研磨時に発生する熱に対して研磨ヘッドを効率よく冷却することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願は、一実施形態として、被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための研磨ヘッドであって、回転シャフトと、前記回転シャフトに固定されたフランジと、前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、を含む、研磨ヘッドを開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は一実施形態にかかる研磨装置の正面図である。
【
図2】
図2は一実施形態にかかる研磨装置の上面図である。
【
図3】
図3は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図4】
図4は一実施形態にかかる研磨ヘッドの上面図である。
【
図5】
図5は一実施形態にかかる研磨ヘッドの上面図である。
【
図6】
図6は一実施形態にかかる研磨ヘッドの上面図である。
【
図7】
図7は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図8】
図8は一実施形態にかかる研磨ヘッドの斜視図である。
【
図9】
図9は一実施形態にかかる研磨ヘッドの斜視図である。
【
図10】
図10は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図11】
図11は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図12】
図12は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図13】
図13は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図14】
図14は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
【
図15】
図15は一実施形態にかかる冷却用流体の温度調整を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ただし、用いられる図面は模式図である。したがって、図示された部品の大きさ、位置および形状などは、実際の装置における大きさ、位置および形状などとは異なり得る。
図1は一実施形態にかかる研磨装置1000の正面図である。以下では、
図1における左右方向をX方向(紙面右側を正)、紙面に垂直な方向をY方向(紙面手前側を正)、上下方向をZ方向(紙面上側を正)とする。
【0010】
図1の研磨装置1000はフェースアップ式のCMP装置である。ただし、研磨液、薬液および/または洗浄液などの液体を用いるフェースアップ式の研磨装置であれば、研磨装置1000はCMP装置でなくともよい。ここで、フェースアップ式の研磨装置とは、基板の被研磨面が上向きとなるように基板を保持する研磨装置であって、研磨パッドを用いて基板を研磨する研磨装置である。研磨装置1000は、定盤100、基板加圧部材150、研磨ヘッド200および液体供給ノズル300を備える。研磨装置1000はさらに、研磨装置1000の各構成要素を制御するための制御装置400を備える。
【0011】
定盤100は、基板110を着脱可能に支持するための基板支持機構の一例であり、研磨されるべき基板110を支持しつつ、研磨中に基板110がずれないよう保持するために設けられる。定盤100の上面には基板110が着脱可能に支持される。定盤100は基板110の被支持面(裏面)の全体を支持するだけでなく、基板110の被支持面を部分的に支持するものでもよい。基板加圧部材150は、基板110の下側に設けられており、基板110を研磨ヘッド200に対して押し付けるように構成される。基板110は円形であっても角形であっても、その他の形状であってもよい。基板加圧部材150は、1つの基板110に対して複数存在してもよい。
【0012】
研磨ヘッド200は、基板110を挟んで定盤100と対面する位置に設けられる。研磨ヘッド200の下面には研磨パッド500が着脱可能に取り付けられる。研磨装置1000はさらに回転機構610を備える。回転機構610は、シャフト240を中心に研磨ヘッド200を回転させることが可能である。ここで、研磨ヘッド200の回転軸はZ方向である。なお、本明細書における「シャフト」とは「回転によって動力を伝達する機械的な部品(実際に存在する部品)」を指す用語であり、「回転軸」とは「回転運動の中心となる直線(数学的または仮想的な直線)」を指す用語である。研磨装置1000はさらに研磨ヘッド200をZ方向に移動させて基板110の厚さの違いを吸収するための上下動機構630を備える。上下動機構630により研磨ヘッド200を下降させることによって、研磨パッド500の下面が基板110の上面に押し付けられる。研磨パッド500が基板110に押し付けられた状態で研磨ヘッド200を回転させることにより、基板110が研磨される。
図1では上下動機構630が研磨ヘッド200を上下に駆動させる構成となっているが、定盤100を上下動させることによって基板110の上面が研磨パッド500に接するよう基板110を上下動させる構成であってもよい。
【0013】
好ましくは、研磨装置1000はさらに研磨ヘッド200を水平移動させるための水平
動機構640を備える。基板110の研磨中に、水平動機構640により研磨ヘッド200を移動させることにより、基板110の広い領域を研磨することが可能になる。なお、
図1の水平動機構640は研磨ヘッド200をX方向に移動させるように構成されている。しかし、水平動機構640は研磨ヘッド200をX方向および/またはY方向に移動させる機構であってもよい。また、
図1では、研磨ヘッド200を基板110に対して水平移動させる構成となっているが、定盤100を駆動させることによって基板110を研磨ヘッド200に対して水平移動させる構成であってもよい。基板110と研磨ヘッド200とを相対的に水平移動させることにより、研磨パッド500より大きな基板110の全面を研磨したり、研磨量のムラを抑制したりできる。
【0014】
研磨ヘッド200の下面には、研磨パッド500と基板110との間の押圧力を調整するためのエアバッグ(図示せず)が設けられていてもよい。研磨ヘッド200の下面にエアバッグを設けた場合、基板加圧部材150は設けなくてもよい。
図1の例では、研磨パッド500より基板110の方が大きく図示されている。しかし、基板110より研磨パッド500の方が大きい構成を採用することも可能である。研磨ヘッド200は定盤100より大きくてもよく、小さくてもよい。ここで、基板110、研磨パッド500、研磨ヘッド200および定盤100の大きさとは、それらを上方または下方から見た場合における面積、すなわちXY平面上の投影面積を指す。
【0015】
液体供給ノズル300は、液体源310に保持された研磨液、薬液および/または洗浄液などの液体を研磨装置1000に供給するために設けられている。より詳細には、液体供給ノズル300は、研磨ヘッド200の上部から液体リザーバ230に液体を滴下または流下するように設けられている。液体源310は研磨装置1000の一部を構成する要素であってよい。追加または代替として、研磨装置1000と別個独立した液体源310を用いることも可能である。好ましくは、研磨装置1000は、液体供給ノズル300から供給される液体の量を調整するための流量調整機構320を備える。流量調整機構320は制御装置400によって制御されてもよい。
図1では、1つの液体源310が1つの液体供給ノズル300に接続されている。代替として、複数の液体源310を1つの液体供給ノズル300に接続してもよい。複数の液体源310を1つの液体供給ノズル300に接続した場合、1つの液体供給ノズル300から複数の種類の液体を供給することが可能になる。さらに、液体供給ノズル300の数は1つに限らない。液体供給ノズル300を複数設ける場合、それぞれの液体供給ノズル300に1つまたは複数の別個独立した液体源310を接続してもよい。一方で、液体供給ノズル300を複数設ける場合、1つの液体源310を複数の液体供給ノズル300に接続してもよい。
【0016】
液体供給ノズル300は回転機構610により回転させられない。換言すれば、回転機構610が研磨ヘッド200を回転させている間であっても、液体供給ノズル300は回転機構610によって回転させられない。したがって、液体源310から液体リザーバ230に液体を供給する際に、液体は回転する部品の内部を通過しない。よって、
図1の構成によれば、研磨装置1000にロータリジョイントを設ける必要がない。特に、FPD(Flat Panel Display)などに用いられる大型基板(例えば、大型ガラス基板)用のCMP装置の場合、大型基板をフェースアップで固定して、小径の研磨パッドで研磨を行うことが想定される。この場合、研磨パッドが小さいため、研磨時間を短縮するためには研磨ヘッド200を高速回転させることになる。すると研磨液に含まれる砥粒の影響によってロータリジョイントが短期間で寿命を迎えることになり研磨装置1000のメンテナンスが煩雑になるが、本実施形態によれば、ロータリジョイントを設ける必要がないので、研磨装置1000のメンテナンスの負荷を軽減することができる。
【0017】
液体供給ノズル300は上下動機構630および/または水平動機構640により移動させられるように構成されていてもよい。液体供給ノズル300が上下動機構630およ
び/または水平動機構640によって移動させられるように構成することで、液体供給ノズル300を研磨ヘッド200の平行移動に追従させることが容易になる。一方で、液体供給ノズル300は上下動機構630および/または水平動機構640によって移動させられないように構成されていてもよい。液体供給ノズル300と上下動機構630および/または水平動機構640を互いに独立させることで、装置の設計自由度が向上し、かつ、液体源310の交換が容易になると考えられる。なお、上下動機構630および水平動機構640とは別個独立して、液体供給ノズル300を移動させるための移動機構をさらに設けることも可能である。
【0018】
図2は一実施形態にかかる研磨装置1000の上面図である。
図2に示すように研磨装置1000は複数(本実施形態では4個)の研磨ヘッド200を備え得る。複数の研磨ヘッド200は、回転機構610によって同期して回転させることもできるし、それぞれ独立して回転機構610によって回転させることもできる。複数の研磨ヘッド200は、水平動機構640によってX方向および/またはY方向に移動させることができる。
【0019】
次に、研磨ヘッド200の詳細について
図3を用いて説明する。
図3は一実施形態にかかる研磨ヘッド200の断面図である。研磨ヘッド200は、研磨ヘッド200のシャフト240の周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバ230を含む。具体的には、研磨ヘッド200は、中央に開口を有する板状のフランジ210と、フランジ210の開口の周囲に設けられた側壁220と、を含む。フランジ210は板も含む。フランジ210の下面には研磨パッド500が着脱可能に取り付けられる。研磨パッド500の中央には、フランジ210の開口に対応する位置に、フランジ210の開口より僅かに径が大きいパッド孔502が形成される。研磨ヘッド200のシャフト240の下端には、板状のフランジ242が取り付けられている。液体リザーバ230は、フランジ210の開口、側壁220、およびフランジ242によって囲まれた空間を含み、この空間に液体を保持するように構成される。側壁220は、頂部に開口を有するドーム状に形成されている。液体リザーバ230は、上部の内径よりも下部の内径ほうが広くなるように、および/または、上部から下部に向かって内径が広くなるように形成される。側壁220の形状は、円錐状、角錐状など、上部に行くほど径方向の距離が小さくなるような形状であれば、ドーム状に限られない。
【0020】
研磨ヘッド200は、液体リザーバ230の上部に設けられた、液体を液体リザーバ230に注入するための液体注入口270を含む。具体的には、ドーム状に形成された側壁220の頂部にはシャフト240を囲む環状の開口が形成されており、この開口が液体注入口270となる。また、研磨ヘッド200は、液体リザーバ230の下部に設けられた、液体を液体リザーバ230から排出するための液体排出口260を含む。液体排出口260は、液体リザーバ230の下部の外周部、具体的にはフランジ242の外周部に均等に複数設けられる。また、研磨ヘッド200は、液体リザーバ230により受けられた液体を、液体排出口260を介して圧送するための圧送部材としての羽根車252を含む。
図3の実施形態では、フランジ210、側壁220、シャフト240、フランジ242、および羽根車252は一体に形成されている。
【0021】
図4は一実施形態にかかる研磨ヘッドのフランジおよび羽根車の上面図である。
図3および
図4に示すように、羽根車252の羽根は、基端部がシャフト240に取り付けられており先端部が径方向外側に伸びている。具体的には、羽根車252の羽根は、破線Rで示す放射方向に対して所定の角度θで研磨ヘッド200の回転方向(円弧状矢印P)と反対側に傾斜している。角度θは、研磨ヘッド200の回転速度、研磨ヘッド200の寸法、液体供給ノズル300から供給される液体の性質、および、研磨パッド500の研磨面に供給すべき液体の量などの種々のパラメータを考慮して決定されてよい。例えば、θは5°より大きく85°より小さい値である。本実施形態の羽根車252には8枚の羽根が
設けられているが、羽根車252の羽根の枚数および形状は、液体を圧送するという機能を考慮して任意に設定することができる。また、羽根車252の羽根は傾斜させずに放射方向に伸びていてもよい。液体排出口260は、フランジ242の外周部において、羽根車252の羽根の先端部に対応する位置に形成されている。液体排出口260は、液体リザーバ230の内部と研磨パッド500のパッド孔502とを連通する。液体排出口260の数および形状は、液体排出口260を介して液体を圧送するという機能を考慮して任意に設定することができる。
【0022】
液体供給ノズル300から供給され、液体リザーバ230により受けられた液体は、羽根車252によって圧送され、液体排出口260を介してパッド孔502に流れ込む。具体的には、基板110を研磨している間、研磨ヘッド200は回転する。液体リザーバ230により受けられた液体は、研磨ヘッド200(シャフト240)の回転に伴って回転する羽根車252によって液体排出口260を介して圧送され、パッド孔502を通って研磨パッド500の研磨面に達する。研磨ヘッド200の回転により、研磨パッド500の研磨面に達した液体は研磨ヘッド200の径方向外側に向かって力を受ける。したがって、基板110の研磨中に研磨ヘッド200の径方向外側に液体が移動し得る。本実施形態によれば、羽根車252が液体リザーバ230の内部の液体を強制的に研磨面へと排出し、液体供給を重力に頼らない構造となっているため、大流量の液体を研磨面に供給することが可能である。研磨パッド500の研磨面には、液体を径方向外側へ流すために、放射状、同心円状、XY方向の格子状、またはこれらの任意の組み合わせの溝(より具体的には特開2020-009987号公報の
図27、28に開示された溝の例であって、研磨パッドの中央部に本実施形態のパッド孔502を形成したもの)、またはディンプル状の窪みが形成されていてもよい。
【0023】
基板110の研磨中は、液体リザーバ230に供給された液体は遠心力に曝される。そのため液体リザーバ230は、液体が遠心力で溢れないような形状になっている必要がある。具体的には、本実施形態では、液体リザーバ230の形状を上から下にかけて内径が広くなるようにし、遠心力により液体を下方の液体排出口260へ押し出す構造としている。これにより、液体が遠心力で液体リザーバ230から溢れることを防止することができる。特に、FPD(Flat Panel Display)などに用いられる大型基板用のCMP装置の場合、大型基板をフェースアップで固定して、小径の研磨パッドで研磨を行うことが想定される。この場合、研磨パッドが小さいため、研磨時間を短縮するためには研磨ヘッド200を高速回転させることになる。すると、液体リザーバ230の内部の液体には強い遠心力が加わり、液体が液体リザーバ230から溢れるおそれがあるが、本実施形態の液体リザーバ230の形状によれば、液体が遠心力で溢れることを防止することができる。また液体には重力も作用するため、本実施形態で示したような液体リザーバ230の形状であれば、遠心力との合力により液体リザーバ230の底面外周部に設けられた液体排出口260へと液体が流れ込むことになる。
【0024】
研磨ヘッド200は、シャフト240を回転させながら研磨パッド500を基板110に押圧することによって基板110を研磨するように構成される。ここで、基板110の研磨時においては、基板110と研磨パッド500との摩擦によって熱が発生する。この摩擦熱によってフランジ210に変形が生じるおそれがある。また、この摩擦熱によって基板110と研磨パッド500との間を通る研磨液の温度が上昇する。その結果、研磨レートが変化し、基板110の研磨プロファイルに影響を及ぼす可能性がある。
【0025】
これに対して、本実施形態の研磨ヘッド200は、研磨時に発生する熱に対して研磨ヘッド200を効率よく冷却するための機構を有している。
図5は一実施形態にかかる研磨ヘッドの上面図である。
図3および
図5に示すように、研磨ヘッド200は、フランジ210の上面に設けられた複数のフィン280を備える。具体的には、
図5に示すように、
複数のフィン280は、フランジ210の上面に相互に平行に設けられる。複数のフィン280は、アルミニウム、鉄、銅など伝熱特性の良い材料で形成される。複数のフィン280はヒートシンクのように作用する。すなわち、複数のフィン280を設けることによってフランジ210の表面積は増大するので、フランジ210の放熱作用を向上させることができる。その結果、本実施形態によれば、研磨時に発生する熱に対して研磨ヘッド200を効率よく冷却することができる。なお、本実施形態では、フランジ210の上面に複数のフィン280が設けられる例を示したが、これに限らず、複数のフィン280は、フランジ210の研磨パッド500が取り付けられる面以外の面に設けることができる。
【0026】
複数のフィン280の態様は、
図5に示したものに限られない。
図6は一実施形態にかかる研磨ヘッドの上面図である。
図6に示すように、複数のフィン280は、フランジ210の上面にシャフト240(回転シャフト)を中心に放射状に設けられてもよい。一般的にヒートシンクを用いた放熱はヒートシンク表面の空気を常に入れ替えるために冷却用ファンなどを設置する場合がある。これに対して本実施形態によれば、基板110を研磨するときに研磨ヘッド200は回転するため、複数のフィン280も回転する。すると、複数のフィン280は、シャフト240を中心に放射方向に気体を圧送するように構成された羽根車として作用する。これにより、
図3に示すように、複数のフィン280へ向かう下向きの気体の流れ、および複数のフィン280の放射方向外側へ向かう気体の流れが生じる。したがって、本実施形態によれば、冷却用ファンなどを設置することなくヒートシンク表面の空気を常に入れ替えることができるので、研磨により生じた摩擦熱は複数のフィン280を通る気体の流れによって効率よく放熱される。その結果、本実施形態によれば、研磨時に発生する熱に対して研磨ヘッド200を効率よく冷却することができる。
【0027】
図7は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図7に示すように、複数のフィン280とフランジ210は、ヒートパイプ282a,282bを介して接続されていてもよい。ヒートパイプ282a,282bを介して複数のフィン280とフランジ210とを接続することによって、フランジ210の熱を効率よく複数のフィン280に伝熱することができるので、研磨ヘッド200を迅速に冷却することができる。ヒートパイプ282は、ヒートパイプ282aのようにZ方向に沿うように配置されてもよいし、研磨時に研磨ヘッド200は回転し遠心力が作用するので、ヒートパイプ282bのようにシャフト240の方向に傾けて配置されてもよい。
【0028】
図8および
図9は一実施形態にかかる研磨ヘッドの斜視図である。
図8に示すように、複数のフィン280は、遠心ポンプの羽根車のように放射方向外側へ湾曲しながら伸びる形状を有していてもよい。さらに、
図9に示すように、研磨ヘッド200は、複数のフィン280を含んで構成される羽根車の上部を覆うカバー286を備えていてもよい。カバー286は、シャフト240と同心状に配置され、シャフト240よりも大きいサイズの開口288を有する。本実施形態によれば、研磨ヘッド200を回転させると、開口288から複数のフィン280へ気体が吸い込まれるとともに複数のフィン280の放射方向外側へ気体が効率よく圧送されるので、フランジ210の熱を効率よく排出することができる。
【0029】
図10は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図10に示す実施形態は、
図7に示した実施形態と同様の構成を有し、さらに、ロータリジョイントを用いてフランジ210を冷却するようになっている。このため、
図7に示した実施形態と重複する説明は省略する。
図10に示すように、研磨ヘッド200は、シャフト240に取り付けられたロータリジョイント650を備える。ロータリジョイント650は、シャフト240およびフランジ210の内部に形成された流路652を介してフランジ210にロータリジョイント650の外部(非図示の流体源)で所定温度に冷却された冷却用流体を連続して循環供給できるように構成されている。
【0030】
本実施形態によれば、基板110を研磨している際に、複数のフィン280によってフランジ210の熱を効率よく排出することに加えて、ロータリジョイント650および流路652を介してフランジ210に冷却用流体を供給することによって、フランジ210をより効率的に冷却することができる。
【0031】
図3から
図10に記載された実施形態は、研磨ヘッド200で生じた熱を周囲の空気中に排出するので、周囲の温度が上昇し、だんだんと冷却効率が低下するおそれがある。そのため研磨ヘッド200周辺の空気を常に入れ替えることで、熱を蓄積させずに外部に排熱する仕組みが必要となる。
図11は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図11に記載された実施形態は、
図7に示した実施形態と同様の構成を含んでいる。このため、
図7に示した実施形態と重複する構成の説明は省略する。
【0032】
図11に示すように、研磨ヘッド200は、研磨ヘッド200が配置された空間291を覆うケーシング290を備える。具体的には、ケーシング290は、研磨ヘッド200の上部を覆う第1の壁部材290-1と、第1の壁部材290-1に接続され、研磨ヘッド200の周囲を囲む第2の壁部材290-2と、を含む。第2の壁部材290-2は、上端が第1の壁部材290-1の周縁部に接続され、下端が研磨パッド500の研磨面(基板110の被研磨面)の高さより僅かに上方に位置する筒状の部材である。研磨ヘッド200は、ケーシング290内部の研磨ヘッド200が配置された空間291に冷却用流体を供給するための流体供給ノズル294を備える。流体供給ノズル294は、冷却用流体の供給源293に接続される。供給源293は、冷却用流体の温度を調整するための機構および/または冷却用流体の供給流量を調整するための機構を含んでいる。冷却用流体は、例えば、空気または窒素などの気体であり得る。ケーシング290および流体供給ノズル294は、水平動機構640による研磨ヘッド200の移動に伴って移動するように構成することができる。
【0033】
研磨ヘッド200は、研磨ヘッド200の温度、具体的にはフランジ210の温度を検出するための温度センサ295を備える。制御装置400は、温度センサ295および供給源293に接続されている。制御装置400は、温度センサ295によって検出された温度と目標温度との差が小さくなるように、空間291に供給する冷却用流体の温度または流量を調整するための信号を供給源293に出力するように構成されている。流体供給ノズル294から空間291に供給された冷却用流体は研磨ヘッド200と熱交換し、熱交換によって温度上昇した流体はケーシング290(第2の壁部材290-2)の下端と基板110との間の隙間から外部へ放出される。
【0034】
本実施形態によれば、流体供給ノズル294を介して空間291内に冷却用流体が供給されるので、研磨ヘッド200で生じた熱により周囲の雰囲気温度が上昇することが防止され、その結果、研磨ヘッド200を効率よく冷却することができる。なお、
図11の実施形態では、研磨ヘッド200が複数のフィン280を含んでいる実施形態を説明したが、これに限定されず、複数のフィン280は設けられていなくてもよい。この場合、流体供給ノズル294を介して空間291内に供給された冷却用流体がフランジ210と直接熱交換することによって研磨ヘッド200が冷却される。
【0035】
また、
図11に示した実施形態では、温度センサ295は、フランジ210の温度を検出するように構成されているが、これに限定されない。
図12は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図12に示すように、温度センサ295は、基板110の温度を非接触で検出するように構成された温度センサであってもよい。本実施形態によれば、回転する研磨ヘッド200に温度センサ295を取り付ける必要がないため、配線の引き回しを簡素化することができる。また、温度センサ295は、空間291の雰囲気温度を検
出するように配置されていてもよい。本実施形態においても、ケーシング290および流体供給ノズル294は、水平動機構640による研磨ヘッド200の移動に伴って移動するように構成することができる。
【0036】
図11および
図12に示した実施形態では、1つの研磨ヘッド200をケーシング290で覆う例を示したが、これに限定されない。
図13は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図13に示すように、研磨装置1000は、複数(
図13の例では2つ)の研磨ヘッド200が配置された空間291を1つのケーシング290で覆ってもよい。本実施形態では、第1の壁部材290-1は、複数の研磨ヘッド200の上部を覆い、第2の壁部材290-2は、複数の研磨ヘッド200の周囲を囲むように構成される。ケーシング290および流体供給ノズル294は、水平動機構640による複数の研磨ヘッド200の移動に伴って移動するように構成することができる。本実施形態では、制御装置400は、複数の研磨ヘッド200のそれぞれに設けられた温度センサ295によって検出された温度に基づいて、空間291に供給する冷却用流体の温度または流量を調整するように構成されている。例えば、制御装置400は、複数の温度センサ295によって検出された温度の平均値と目標温度との差が小さくなるように、空間291に供給する冷却用流体の温度または流量を調整するように構成されている。本実施形態によれば、ケーシング290内を所定の温度に保つことができるので、複数の研磨ヘッド200を効率よく冷却することができる。
【0037】
図13に示した実施形態は、複数の研磨ヘッド200が配置された空間291を一律に温度制御するため、複数の研磨ヘッド200間で温度むらが生じるおそれがある。
図14は一実施形態にかかる研磨ヘッドの断面図である。
図14に示すように、研磨装置1000は、複数の研磨ヘッド200が配置された各空間291を個別に覆うケーシング290と、各空間291に冷却用流体を供給するための複数の流体供給ノズル294と、を備える。
【0038】
具体的には、ケーシング290は、複数の研磨ヘッド200の上部を覆う第1の壁部材290-1と、第1の壁部材290-1と接続され、複数の研磨ヘッド200を個別に囲む第2の壁部材290-2と、を含む。本実施形態では第2の壁部材290-2は、上端が第1の壁部材290-1の周縁部に接続され、下端が研磨パッド500の研磨面(基板110の被研磨面)の高さより僅かに上方に位置する筒状の部材である外壁部材290-2aを含む。さらに、第2の壁部材290-2は、第1の壁部材290-1と外壁部材290-2aに囲まれた空間において複数の研磨ヘッド200の間を仕切る隔壁部材290-2bを有する。隔壁部材290-2bは、上端が第1の壁部材290-1の下面に接続され、下端が研磨パッド500の研磨面(基板110の被研磨面)の高さより僅かに上方に位置する板状の部材である。これにより、ケーシング290は、複数の研磨ヘッド200が配置された各空間291を個別に覆うことができる。また、複数の流体供給ノズル294にはそれぞれ、各流体供給ノズル294を流れる冷却用流体の流量を調整するための流量コントローラ297が設けられる。ケーシング290、複数の流体供給ノズル294、および複数の流量コントローラ297は、水平動機構640による複数の研磨ヘッド200の移動に伴って移動するように構成することができる。研磨装置1000は、複数の研磨ヘッド200のそれぞれの温度を検出するための複数の温度センサ295を備える。制御装置400は、複数の温度センサ295によって検出されたそれぞれの温度と目標温度との差が小さくなるように、各空間291に供給する冷却用流体の温度または流量を調整するように構成される。本実施形態では、制御装置400は、流量コントローラ297を用いて各空間291に供給する冷却用流体の流量を調整するように構成される。本実施形態によれば、複数の研磨ヘッド200が配置された空間291を独立してケーシング290によって覆い、各空間291の温度を個別に調整することができるため、複数の研磨ヘッド200の間で温度むらが生じるのを防止し、複数の研磨ヘッド200を個別に効率
よく冷却することができる。
【0039】
図15は一実施形態にかかる冷却用流体の温度調整を説明するためのフローチャートである。
図15に示したフローチャートは、
図11から
図14に示した実施形態に適用することができる。
図15に示す温度調整処理は、例えば、研磨が行われている間に実行することができる。
図15に示すように、制御装置400は、研磨ヘッド200が配置された空間291の温度調整が開始されると、温度センサ295によって検出された温度と目標温度の乖離が閾値以上であるか否かを判定する(ステップ101)。
図13に示すように複数の研磨ヘッド200が1つのケーシング290で覆われている場合には、制御装置400は、検出された複数の温度の平均値と目標温度を比較する。
図14に示すように複数の研磨ヘッド200が個別にケーシング290で覆われている場合には、制御装置400は、検出された温度のそれぞれと目標温度を比較する。
【0040】
制御装置400は、検出温度と目標温度の乖離が閾値以上であると判定した場合には(ステップ101、Yes)、検出温度が目標温度より高いか否かを判定する(ステップ102)。制御装置400は、検出温度が目標温度より高いと判定した場合には(ステップ102、Yes)、冷却用流体の出力温度を下げる(ステップ103)。なお、制御装置400は、冷却用流体の出力温度を下げることに代えて、または冷却用流体の出力温度を下げることに加えて、冷却用流体の出力流量を上げてもよい。
【0041】
一方、制御装置400は、検出温度が目標温度より低いと判定した場合には(ステップ102、No)、冷却用流体の出力温度を上げる(ステップ104)。なお、制御装置400は、冷却用流体の出力温度を上げることに代えて、または冷却用流体の出力温度を上げることに加えて、冷却用流体の出力流量を下げてもよい。制御装置400は、ステップ101において、温度センサ295によって検出された温度と目標温度の乖離が閾値未満であると判定した場合(ステップ101、No)、ステップ103を実行した後、または、ステップ104を実行した後に、温度調整処理を終了すべきか否かを判定する(ステップ105)。制御装置400は、温度調整処理を終了すべきではないと判定した場合(ステップ105、No)、ステップ101に戻って処理を繰り返す。一方、制御装置400は、温度調整処理を終了すべきと判定した場合(ステップ105、Yes)、温度調整処理を終了する。一例として制御装置400は研磨が終了した時点で温度調整処理を終了すべきと判定し、研磨中は温度調整処理を継続する。
【0042】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0043】
本願は、一実施形態として、被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための研磨ヘッドであって、回転シャフトと、前記回転シャフトに固定されたフランジと、前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、を含む、研磨ヘッドを開示する。
【0044】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数のフィンは、前記フランジの上面に前記回転シャフトを中心に放射状に設けられた羽根車である、研磨ヘッドを開示する。
【0045】
さらに、本願は、一実施形態として、前記羽根車の上部を前記回転シャフトと同心状に覆うカバーであって、前記回転シャフトよりも大きいサイズの開口を有するカバーをさら
に含む、研磨ヘッドを開示する。
【0046】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数のフィンは、前記フランジの上面に互いに平行に設けられる、研磨ヘッドを開示する。
【0047】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数のフィンの少なくとも一部と前記フランジは、ヒートパイプを介して接続される、研磨ヘッドを開示する。
【0048】
さらに、本願は、一実施形態として、前記研磨ヘッドの上部を覆う第1の壁部材、および前記第1の壁部材と接続され、前記研磨ヘッドを囲む第2の壁部材、を含むケーシングと、前記ケーシング内部の前記研磨ヘッドが配置された空間に冷却用流体を供給するための流体供給ノズルと、をさらに含む、研磨ヘッドを開示する。
【0049】
さらに、本願は、一実施形態として、前記回転シャフトの周囲に設けられた、液体を受けるための液体リザーバと、前記液体リザーバの上部に設けられた、液体を前記液体リザーバに注入するための液体注入口と、前記液体リザーバの下部に設けられた、液体を前記液体リザーバから排出するための液体排出口と、前記液体リザーバにより受けられた液体を、前記液体排出口を介して圧送するための圧送部材と、をさらに含む、研磨ヘッドを開示する。
【0050】
さらに、本願は、一実施形態として、基板を着脱可能に支持するための基板支持機構と、前記基板支持機構に対向するように設けられた、上記のいずれかに記載の研磨ヘッドと、を備える、研磨装置を開示する。
【0051】
さらに、本願は、一実施形態として、被研磨面を上向きにした状態で保持された基板を研磨するための複数の研磨ヘッドと、前記複数の研磨ヘッドの上部を覆う第1の壁部材、および前記第1の壁部材と接続され、前記複数の研磨ヘッドを個別に囲む第2の壁部材、を含むケーシングと、前記ケーシング内部の前記複数の研磨ヘッドが配置された各空間に冷却用流体を供給するための複数の流体供給ノズルと、を含む、研磨装置を開示する。
【0052】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数の研磨ヘッドの少なくとも1つは、回転シャフトと、前記回転シャフトに固定されたフランジと、前記回転シャフトによって前記被研磨面に押圧される研磨パッドが取り付けられる前記フランジの面以外の面に設けられた複数のフィンと、を含む、研磨装置を開示する。
【0053】
さらに、本願は、一実施形態として、前記複数のフィンは、前記フランジの上面に前記回転シャフトを中心に放射状に設けられた羽根車である、研磨装置を開示する。
【0054】
さらに、本願は、一実施形態として、前記羽根車の上部を前記回転シャフトと同心状に覆うカバーであって、前記回転シャフトよりも大きいサイズの開口を有するカバーをさらに含む、研磨装置を開示する。
【符号の説明】
【0055】
110 基板
200 研磨ヘッド
210 フランジ
230 液体リザーバ
240 シャフト
260 液体排出口
270 液体注入口
280 フィン
282(282a,282b) ヒートパイプ
286 カバー
288 開口
290 ケーシング
290-1 第1の壁部材
290-2 第2の壁部材
290-2a 外壁部材
290-2b 隔壁部材
291 空間
293 供給源
294 流体供給ノズル
295 温度センサ
297 流量コントローラ
400 制御装置
500 研磨パッド
610 回転機構
650 ロータリジョイント
1000 研磨装置